本発明は、電解効率が良く、しかも、電解水の生成効率に優れた水電解装置及び電解吐水端末を提供するものである。
また本発明はその一側面として、小型化が図られたり、可搬型の機器であったとしても、電解効率が良く、しかも、電解水の生成効率に優れた水電解装置及び電解吐水端末を提供するものであると言える。
電気分解を効率的に行う上で重要な点のひとつに、「気泡の除去」がある。水の電気分解を行うと、陽極から酸素、陰極から水素が発生する。これらは気体であるため、発生時に電極板の表面に気泡として存在し、やがてこれが電極板から離脱して水中を浮遊する。
しかし、電極板の表面に気泡がある場合、気体が付着して水と接触していない電極板の表面部分は電気分解に寄与しない。これは電極板と、電解質である水との接触面積が相対的に減少することと同等であり、電気分解に要する電力が増大する。このように、電極板上に気泡が存在することは電気分解の効率を低下させる原因となる。よって、発生した気泡はできる限り早く電極板の表面から離脱させることが、効率よく電気分解を行う上で好適である。
ここで、水電解装置は、広く電解水を生成する装置を意味するものであり、飲用や浴用などを含め、その用途は特に限定されるものではない。
例えば、浴室内に設けられているシャワーに電解部を配して電解機能を付与したものや、水筒に電解部を配して電解機能を付与したものなど、既存の物品に電解機能を付与したものを意味する他、浴槽内の浴湯など貯留した水の中に没した状態で電気分解して電解水を生成する装置の如く電解そのものを目的とする既存製品や、更なる未知の用途に使用される電解水の生成装置も概念として含んでいる。
中でも、本実施形態に係る水電解装置は、先述の如く小型化が図られたり、可搬型の機器と解した場合において、電解効率や電解水の生成効率の面で極めて有用であると言える。
このような水電解装置についてイメージを容易にするため敢えて具体例を示すならば、例えば、シャワーヘッド型の水電解装置や、蛇口取付型の水電解装置、浴湯投入型の水電解装置、水筒型の水電解装置、スプレー型の水電解装置などを挙げることができる。
シャワーヘッド型の水電解装置は、手に持って使用されることから小型軽量化が求められ、また、湿気の多い浴室内で使用されるため商用電源から独立しているのが望ましく、本発明に適した水電解装置の一態様であると言える。
また、蛇口取付型の水電解装置は、耐荷重がさほど期待できない一般家庭の蛇口部分に取付が行われることから小型軽量化が求められる点で、本発明に適した水電解装置の一態様であると言える。
浴湯投入型の水電解装置は、浴室内への搬入・搬出が行われる点で小型軽量化が求められ、また、浴湯中に没した状態で使用するため商用電源から独立しているのが望ましく、本発明に適した水電解装置の一態様であると言える。
水筒型の水電解装置は、水筒の如く携行可能でありながら、所望のタイミングで電解水を用事調製できるものであり、可搬型であるため小型軽量化が求められ、また、商用電源からも切り離された状態で使用されることから、本発明に適した水電解装置の一態様であると言える。
スプレー型の水電解装置は、電解水を洗浄用途で使用するものであり、例えば浴室の掃除の際に、スプレーボトル入りの浴室用洗剤と同様に用いられるものである。これもまた、手持ちであることやハンドリングの観点から小型軽量化が求められ、また、浴室などの湿気の多い場所でも使用が想定されるため商用電源から独立しているのが望ましく、本発明に適した水電解装置の一態様であると言える。
なお、前述の通り電解水は電気分解に供された水を広く意味するものであり、所謂水素水、酸素水、酸性水、アルカリイオン水、次亜塩素酸含有水等もその概念に含まれる。
そして、これらの態様も含む本実施形態に係る水電解装置は、その特徴として、筐体内に形成した浸水可能な空間領域に、正負交互に電圧が印加される複数枚の電極板を0.3〜1.0mmの間隙を保ちつつ積層してなる積層電極体を配置して、前記空間領域に流入させた水を電解して電解水を生成する水電解装置であって、前記複数の電極板間の間隙を保つ支持部に、各電極板の振動を許容する振動許容手段を設けた点が挙げられる。
筐体内に形成した浸水可能な空間領域は、水が収容されたり水で満たされる空間と解することができ、前述のシャワーヘッド型や蛇口取付型の水電解装置であれば流水流路であったり、浴湯投入型の水電解装置であれば水没時に浸水する筐体内の空間であったり、水筒型やスプレー型の水電解装置であれば水が収容される貯水部の空間の一部ないし全部が相当する。
積層電極体は、上述の浸水可能な空間領域に配されるものであり、同空間領域に存在する水の電解を行う役割を有するものである。なお、積層電極体は、水電解装置の使用時に必ずしも全体が水に浸漬された状態である必要はない。前述のシャワーヘッド型や蛇口取付型、浴湯投入型の水電解装置にあっては、専ら積層電極体全体が水に浸漬された状態で使用されるが、水筒型やスプレー型は使用に伴い貯水部の水が減少するため、積層電極体の一部が水から露出する場合も考えられる。
空間領域に流入させた水は、必ずしも流水である必要はない。前述のシャワーヘッド型や蛇口取付型の水電解装置は流水が電解対象となるが、浴湯投入型の水電解装置は自然対流や装置に備えられたポンプ等からの流水と解したり、投入した際の空間領域への浴湯の流入と解することができ、また、水筒型やスプレー型の水電解装置にあっては、貯水部に補充された水と解することができる。
また特に、本実施形態に係る水電解装置は、積層電極体を構成する複数の電極板間の間隙を保つ支持部に、各電極板の振動を許容する振動許容手段を設けることとしている。特に本実施形態に係る水電解装置においては、電気分解時の電力を低減するために、複数枚の電極板を0.3〜1.0mmの間隙で積層して積層電極体を構成しており、電極板の間隙が狭隘であるため発生した気泡は電極板上に滞りやすく、それらを速やかに離脱させ、電極板の表面に効率よく水を循環させる仕組みが、より重要となる。
振動許容手段は、電極板の表面に発生した気泡をできるだけ早く電極板の表面から離脱させるようにして、効率よく電気分解するための手段である。電極板表面に発生した気泡を電極板から早く離脱させるためには、電極板を振動させることが好適である。一般に、炭酸水を注いだコップの内壁や浴槽の内壁に付着した気泡が、振動や衝撃をあたえることで離脱する現象を目にすることがある。それを応用して、本発明では電極板に振動を与えることで気泡の離脱を促進する。そのため、電極板の支持部に振動許容手段を備える構造とした。
支持部は、積層電極体の側面、すなわち、各電極板の間隙が見通せる側の面に配された壁に形成された各電極板毎の凹溝であったり、各電極板の間隙毎に介設されるスペーサーと解することができる。
本実施形態では、このような支持部に振動許容手段を設けている。振動許容手段は各電極板の振動を支持部において固定端状態で支持するのではなく、自由端状態であったり、また半自由端状態、すなわち、電極板を伝わる振動が支持部に至った際に固定端反射される振動と自由端反射する振動とが生成される状態で支持する手段である。
このような振動許容手段は、例えば自由端状態で支持する支持部であれば、凹溝の場合は電極板の厚みよりも広幅で、且つ、その隙間(凹溝の幅と電極板の厚みとの差分)が振幅の2倍(peak to peakの振れ幅)以上とすることで実現可能である。すなわち、振動振幅の2倍以上である隙間(以下、自由端間隙ともいう。)が自由端状態で支持する支持部の振動許容手段として機能する。
また、スペーサーの場合についても、スペーサー間の距離が、電極板の厚みに加えて自由端間隙が設けられた距離であれば、自由端状態で支持する支持部の振動許容手段として機能することとなる。
一方、半自由端状態で支持する支持部であれば、凹溝の場合は電極板の厚みよりも広幅で、且つ、その隙間である凹溝と電極板の厚みとの差分が振幅の2倍未満(以下、半自由端間隙ともいう。)とすることで実現可能であり、スペーサーの場合についても、スペーサー間の距離が、電極板の厚みに加えて半自由端間隙が設けられた距離であれば、半自由端状態で支持する支持部の振動許容手段として機能することとなる。なお、自由端間隙と半自由端間隙は、電極板が凹溝やスペーサーから脱落しない程度の間隙であることは言うまでもない。
そして、これらのような振動許容手段が支持部に設けられることで、電極板間が狭隘な積層電極体により低エネルギーでの電解の実現、すなわち電解効率の向上が図られつつ、電解電極板に付着した気泡を速やかに離脱させることにより、水と接触していない電極板の表面部分を減少させ、電気分解の効率低下を防止することができる。
また、これらの効果をより顕著に享受すべく、水電解装置には、電極板に振動を与える振動源を設けるようにしても良い。このような構成とすることにより、電極板に対し安定的に振動を付与して、電解水の生成効率を良好にすることができる。
電極板に振動を与える手段としては、モーター、スピーカー、ポンプなどの積極的な振動誘起手段を備えることも有効である。しかし、それらを備えずとも、まず、電極板あるいは積層電極体をもって「振動を許容する構造」とし、それに対して周囲からの振動により電極板自身の振動を誘起することで、気泡の離脱は十分効果的に行えることがわかった。これにより、電気分解に必要な電力の上昇が抑えられ、また安定化した。周囲からの振動とは各実施形態で例示するように、内部流路を流れる水によって各通水管に生じる振動や、水の対流による振動、あるいは水電解装置の筐体の振動などが挙げられる。
また本願では、水電解装置に関し、吐水端末に特化した態様についても提供する。具体的には、吐水設備の下流末端に接続される吐水端末において、同吐水端末の内部流路をそれぞれ交互に正負の電圧が印加される複数枚の電極板で流水方向に沿って0.3mm〜1.0mm厚の層状に区分したことを特徴とする電解水吐水端末を提供するものである。
一般に、電解水素水をシャワー設備、台所や洗面台の水栓などの吐水設備から得ようとすれば、大流量の水を確実に電気分解するための電解槽が大型化し、これを設置するための設置スペースが必要となる。
すなわち、上記従来の電解水生成装置を吐水設備に具備させるためには、大型化した装置を吐水設備の給水流路の中途部に介設せざるを得ず、吐水設備の限られた環境下で同装置の設置スペースを余分に設けなければならない問題があった。
さらに、装置の大型化に伴い電解槽へ供給される電力が電解水素水の生成量に比して余分に必要となりエネルギー効率を著しく低下させていた。
このような状況に鑑み、本願は、吐水設備における限られたスペースの制約を受けず、大流量の水を少ない消費電力により確実に電気分解して高水素濃度の電解水素水を効率よく生成することができる電解水吐水端末を提供するという側面も有している。
吐水設備の一例としては上述の如くシャワー設備や水栓があり、この吐水設備の下流末端に接続される吐水端末の一例としてはシャワーヘッドやカランが挙げられる。なお、吐水設備から供給される水とは、給水源から供給される水のみならず、給湯器を介して加温された湯をも含む。
特にシャワー設備の下流末端に接続されたシャワーヘッドは、一定の水量や水圧を保持した無数の細糸状の水流からなるシャワー水流束を吐出することにより使用者の肌面を刺激して使用者にラクゼーション効果を付与する。
そして、このようなシャワー水流束を形成するための水の流量は約7L/min以上必要であることが知られている。
本発明は、シャワーヘッドの内部流路を複数枚の電極板で区分することにより、従来技術のように大掛かりな電解槽やその設置スペースを必要とせず、限られたシャワー設備環境の下、約7L/minで供給される大容量の水を確実に電解水素水とし、同電解水素水で形成されたシャワー水流束を形成でき、水素水による活性酸素消去効果と共にシャワーのリラクゼーション効果を安定して得ることができる電解水吐水端末とも言える。
また本願では、水電解装置に関し、蛇口取付型の水電解装置や浴湯投入型の水電解装置、水筒型の水電解装置、スプレー型の水電解装置に特化した態様についても提供する。これらの態様については、追って説明する各実施形態にて明らかにする。
また、更なる付加的な構成要素として、前記複数枚の電極板は少なくとも5枚以上からなることとすれば、吐水端末の内部流路をさらに層状に区分することができ、水素濃度の高濃度化をより堅実なものとすることができる。
また、前記電極板の所定位置には前記複数の電極板の間隔を保持するためのスペーサを備えることとすれば、電極板同士の間隔を一定に保持して区分された内部流路を安定させることができ、吐水設備の下流末端から内部流路へ流入する水の流圧により電極板が撓み、電極板同士が不用意に接触することによる短絡の発生を防止できる。
また、前記層状に区分された内部流路の上流に定流量体を配設することとすれば、区分された内部流路へ流入する水の流量を一定にすることができ、急激な流圧負荷による電極板の破損を防止すると共に短絡をより堅実に防止することができる。
また、前記電極板への電力の供給と停止とを切り替えるスイッチを配設することとすれば、使用者の任意により電解水素水の生成と停止の選択することができ、無用な電力消費を抑えることができる。
また、前記電極板へ供給する電力の制御を行う制御部と、前記電解水吐水端末への水の供給を検知する給水検知手段と、を備え、前記制御部は、前記給水検知手段により水の供給が検知された場合には前記電極板へ電力を供給する制御を行い、水の供給が検知されていない場合には前記電極板への電力の供給を停止する制御を行うこととすれば、内部流路への水の流入に応じた電解水素水を確実に生成することができ、電極板における無用な電力消費を抑制できる。
また、前記電極板に電力を供給する蓄電体を備えることとすれば、電極板への給電をワイヤレスで行うことができ、電源コードを引き回すことなく電解水吐水端末を操作できる。また防水構造を採ることができる、感電、漏電等のトラブルを回避することができる。
〔第1の実施形態〕
以下、本実施形態に係る電解水吐水端末の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、第1の実施形態に係る電解水吐水端末の外観を示し、図2は、電解水吐水端末の長手方向断面を示している。また、図3は、吐水端末の把持部の径方向断面を示し、図4は、電極板の配置構成を示し、図5は、蓄電体と充電台の側断面を示している。
電解水吐水端末H1(以下、単に吐水端末とも言う。)は、図1に示すように、使用者が把持する把持部10と、把持部10の先端に配置されたヘッド部20と、ヘッド部20の先端に配置された吐水部30とで本体部を構成している。
把持部10は、図2に示すように、内部中空の略筒状であってその内部に供給された水が流れる内部流路11を形成している。
また、把持部10の基端外周には給水ホース80先端と螺着する雄ネジ部12が形成されており、吐水端末H1は給水源に接続した給水ホース80と接続する。
内部流路11は、給水ホース80からの流水の全量が流通する流路であり、細長状孔として形成している。
特に本実施形態の内部流路11は、把持部10内壁を肉厚に形成した閉塞体13の中央部で長手方向に沿った方形状の細長孔を穿設して形成している。
内部流路11は、それぞれ交互に正負の電圧が印加される複数枚の電極板41で流水方向に沿って層状に区分されている。
すなわち、本実施形態の吐水端末H1は、吐水端末H1内部に閉塞体13を介在させ、同閉塞体13に形成した内部流路11を複数の電極板41により層状に区分している。
吐水端末H1の把持部10の内周面(閉塞体13の内周面)には、図3(a)に示すように、断面視で直径方向と平行に0.3mm〜1.0mm厚の突条13aが、電極板41厚に等しい間隔を隔てて複数(本実施形態では4つ)突出形成している。
また、突条13aによりなす電極板41厚に等しい幅の凹状溝によって、電極板41の短手方向の両縁端部を差し込む嵌合溝13bをなしている。
すなわち、吐水端末H1の内部流路11を形成する内周壁には、複数枚の電極板41の短手方向の両縁端部の形状に沿う嵌合溝13bを形成している。すなわち、複数枚の電極板41は一体的に積層電極体を構成しており、内部流路11は、吐水端末H1の筐体内に形成した浸水可能な空間領域としての役割を果たす。
かかる嵌合溝13bに電極板41の両縁端部を嵌め込むことにより、内部流路11を複数枚の電極板41が断面視で内部流路11の直径と平行に所定間隔を隔てて横架して区分する。
また、嵌合溝13bに嵌合して対向配置した電極板41間の短手方向の両縁端部には、突条13aが位置して各電極板41間の間隔を保持するスペーサ機能を果たす。
なお、これら突条13a及び嵌合溝13bにより構成される電極板41の支持部は、図3(b)に示すように、嵌合溝13bの幅L1を電極板41の厚みL2よりも広幅とするようにしても良い。
このように構成とした場合、嵌合溝13bの幅L1と電極板41の厚みL2との差分である隙間L3(=L1−L2)が形成されることとなるが、この間隙は、各電極板41の振動を許容する振動許容手段として機能することとなる。
振動は、内部流路11を流れる水によって把持部10に生じる振動が、上述の振動許容手段を有する電極構造に付与されることで、電解電極板に付着した気泡を速やかに離脱させ、水と接触していない電極板の表面部分を減少させて電解水の生成効率を極めて良好にすることができる。
隙間の長さL3は、前述の振動源である把持部10より発せられる振動の振幅の2倍以上、又は、2倍未満に構成することが可能である。なお、図3(b)におけるL1、L2、L3等の長さは、発明の理解に供すべく誇張して記載している。
また、複数枚の電極板41は、後述する制御部40と導線を介してそれぞれ正負交互に接続しており、内部流路11に陰極板41aと陽極板41bとを交互に層状配置している。
このように複数枚の電極板41で層状に区分された内部流路11は、閉塞体13により外周側を囲繞されるように対向配置した正負の電極板41間を電解流路42とし、複数の電解流路42からなる電解流路層43となし、供給される水の全量を通水可能としている。
内部流路11に配設される電極板41は、内部流路11を層状に区分可能な寸法で形成した帯状の金属平板である。電極板41の寸法の一例としては、長さ:50mm〜200mm、幅:0.5mm〜25mm、板厚:0.1mm〜1.0mm、より好ましくは長さ:約100mm〜150mm、幅:10mm〜25mm、板厚:0.2mm〜0.5mmとすることができる。また、電極板41の材質としては、例えば、白金をメッキしたチタン板などを用いることができる。
また、複数枚の電極板41の枚数は少なくとも5枚以上からなり、配置される内部流路11の寸法や電極板41自体の寸法、及び形成する電解流路42幅に応じて適宜増加することができる。
このように電極板41の枚数を5枚以上に増やすことで内部流路11を少なくとも4つ以上の電解流路42に区分した電解流路層43とすることを可能としている。
電極板41の枚数を増加させるに伴い、電極板41と水との接触面積が増大する。この結果、電極板41で発生した水素と水との接触面積が増大し、水への水素の溶存効率が向上して溶存水素濃度を増加させることができる。また、詳細については後述するが電気分解に必要な消費電力が低減化できる。
このように電極板41の枚数は、電気分解の効率的観点から言えば多い方が好適である一方、材料コストおよび内部流路の大きさ、把持部10の太さなどのコスト的及びスペースの制約的観点から言えば多すぎることは不適である。
従って、電極板41の枚数は、電気分解の効率的観点とコスト的及びスペース制約的観点との合理的範囲であることが好ましく、5枚以上10枚以下とすることが好適である。
なお、本実施形態に係る吐水端末H1は、図3及び図4に示すように、同形同大の5枚の電極板41を内部流路11に沿って互いに重ね合わせるよう面平行で所定間隔を隔てて積層配置し、並行した4つの電解流路42からなる略直方体形状の電解流路層43を形成している。
また、区分された内部流路11における1層の層厚、すなわち複数枚の電極板41の間隔幅は0.3mm〜1.0mmとしている。
複数枚の電極板41の間隔幅を0.3mmより小さくすると、水の電気分解に必要な電圧が酸素と水素の酸化還元電位差の1.23Vに近づくため電気分解に要する消費電力を可及的低減化することができるが、内部流路11に流入する流水により各電極板41への水圧負荷を増大させて各電極板41が不用意に撓み短絡が生じてしまうと共に流水の圧力損失を増大させて吐水部30からシャワー水流束が形成できない虞がある。
一方で、複数枚の電極板41の間隔幅を1.0mmより大きくすると、内部流路11の断面積が広くなることで電極板41に対する流水の速度が相対的に低下し、電極板で発生した水素が流水に対して局所的に飽和することで溶存しきれず気泡化する水素割合が増加し、結果、溶存水素量が低下する。また、対向配置された電極板41間の距離が大きくなることにより電圧が高くなり、電気分解に要する消費電力が増大する。
従って、複数枚の電極板41の間隔幅は0.3mm〜1.0mmとすることにより、内部流路11の流水の流れを妨げることなく電極板41同士の短絡を防止し、電気分解に要する電圧を低下させて少ない消費電力で安定した電気分解を実現し、高濃度の電解水素水で形成したシャワー水流束を吐出可能としている。
なお、複数枚の電極板41の間隔は、0.3mm〜1.0mmの範囲であれば一定でなくともよく、内部流路11の軸心側に位置する対向配置した電極板41間の間隔と最外側に位置する対向配置した電極板41間の間隔とが異なっていてもよい。
例えば、複数枚の電極板41を内部流路11の軸心側から最外側にかけて漸次拡幅する間隔で配置することとすれば、流圧の上昇に伴い幅広間隔の対向配置した電極板41間へ優先的に流水を導き安定した電気分解をより堅実とすることも可能である。
このように、本実形態に係る吐水端末H1は、流水方向に沿った複数の電極板41により内部流路11を区分することにより、内部流路11に電解流路42を形成して電解距離を長くすると共に、内部流路11全域を複数の電解流路42を並設した層状の電解流路層43となし、極狭状のスペースにも関わらず高効率の電気分解を可能としている。
また、図2に示すように、層状に区分された内部流路11の上流には、定流量体14が配設されている。より具体的には、定流量体14は把持部10内部の後方位置に配設されている。
定流量体14は、電解流路42へ流入する流水の水圧や水量を一定にできるものであればよく、一例として、円筒管内の上流側に配設された弁体と、弁体より下流側で上流側の内径よりも小さい開口を備えたオリフィス部を有した定流量弁を採用することができる。
このような定流量弁としては、弁体を常時上流側に付勢する付勢バネを備え、流入する水圧の変動に応じて弁体の付勢バネが収縮して自動的にオリフィス部の開口を絞るもの、オリフィス部の開口差を利用するもの、オリフィス部を弾性素材で形成し、開口部を弾性変形させるものを採用できる。
また、層状に区分された内部流路11の上流側、すなわちは把持部10内部の後方位置に、供給される水に含まれる爽雑物を取り除くトラップフィルターを配設することとしてもよい。
特に層状に区分された電解流路42を極狭化する観点から、トラップフィルターを配設することにより爽雑物を取り除くことができ、電極板41間の短絡を確実に防止する効果がある。
トラップフィルターは、夾雑物の種類や大きさに合わせて適宜選択でき、電解流路42の幅よりも狭いメッシュ間隔を有したフィルターであればよい。トラップフィルターの一例としては、夾雑物の種類や大きさに合わせて金属網目フィルターや不織布フィルター、活性炭フィルター、セラミックフィルターなどを単独あるいは組み合せて採用することができる。
また、把持部10の外周壁には、後述する制御部40と接続して電極板41への電力の供給と停止とを切り替えるスイッチ44が配設されている。
スイッチ44は、防水加工されたものであればよく、例えば、手の静電容量で反応する静電容量タッチセンサ式、防水構造のメカスイッチであってスライド式、押しボタン式等を採用できる。
また、スイッチ44は、シャワー状の散水とストレート状の吐水との吐水状態を切り替え可能に構成した吐水部30の切り替え動作に応じて電極板41への電力の供給と停止とを切り替えるように構成することも一案である。
例えば、スイッチ44は、吐水部30をストレート状の吐水に切り替えた場合には電極板41への電力の供給を停止し、吐水部30をシャワー状の散水に切り替えた場合には電極板41への電力の供給を行うようにしてもよい。
また、ヘッド部20は、図2に示すように、内部中空状に形成されており、その内部空間を仕切壁21により上側を制御部40が収納される制御部収納空間22と下側を内部流路11の下流側に位置する電解水素水流入空間23とに区画している。
電解水素水流入空間23は、複数の電極板41により区分された内部流路11と連通し、電解流路層43を形成する電解流路42を流下してきた水が合流する空間である。
電解水素水流入空間23の底面は、複数の散水孔32が穿設された散水面31となし、吐水部30を形成している。
制御部収納空間22に配設された制御部40は、後述する蓄電体50と接続して電極板41への電力の供給や停止の制御を行う部位である。
また、制御部40は、電解水吐水端末H1への水の供給を検知する給水検知手段45や、スイッチ44、水素水生成表示手段64などの電解水素水発生に関連する機能部と接続している。
給水検知手段45は、吐水端末H1の把持部10周壁に設けられている。具体的には、給水検知手段45は、把持部10周壁において、複数の電極板41により区分された内部流路11よりも下流側位置に配置している。
給水検知手段45は、内部流路11への流水の有無を検知し、検知した信号を制御部40へ送信可能としている。なお給水検知手段45としては、流水の有無や水の流量(以下、単に流水量とも言う。)を電気信号に変えるものであれば特に限定されることはなく、例えば、静電容量センサや流れている水流も検知可能なトランスデューサを採用することができる。
本実施形態の給水検知手段45は、静電容量センサであり、制御部40と接続し、制御部収納空間22に格納された容量センサ部45aと、同容量センサ部45aにそれぞれ接続し、把持部10内周面に流水方向に沿うように対向配置した2つの電極パッド45b、45b’と、で構成している。
このような構成により電極パッド45b、45b’に発生するキャパシタ容量が水の静止状態と流水状態とで変化するに伴い容量センサ部45aが水流の検知を行うことを可能としている。
なお、給水検知手段45を設ける位置は、複数の電極板41に干渉されない位置であれば特に限定されることはなく、複数の電極板41により区分された内部流路11よりも上流側位置であってもよいし下流側位置であってもよい。
例えば、複数の電極板41により区分された内部流路11より上流側位置に給水検知手段45を設ける場合には、ヘッド部20内方の電解水素水流入空間23に流水方向に沿うように2つの電極パッド45b、45b’を所定間隔を隔てて対向配置すると共に容量センサ部45aを制御部収納空間22に配置することも一案である。
また、複数の電極板41により区分された内部流路11より上流側位置に給水検知手段45を設ける場合には、給水ホース80内に設けることとしてもよい。
また、吐水端末H1は、電極板41に電力を供給する蓄電体50を備えている。特に本実施形態に係る蓄電体50は、内蔵された送電部54を介して吐水端末H1の本体の受電部に対し非接触で接続する接続構造を有しており、制御部40や電極板41への給電を行うように構成している。
蓄電体50は、図2及び図5に示すように、略円柱状で内部中空の蓄電体ケース51と、蓄電体ケース51内部上面に配設された受電コイル52aと、蓄電体ケース51内部中央に配設された蓄電体本体53と、蓄電体本体53の下方に配設された電源回路55と、蓄電体ケース51内部底面に配設された送電コイル54aと、を有している。
なお、本実施形態に係る蓄電体本体53は2つ並設しているが、電気分解に要する電圧を対向配置された電極板41間の間隔や電極板41の素材により可及的低減化することにより蓄電体本体53を減容化及び小型化することができるのは勿論である。
受電コイル52aは、後述する充電台60の送電部62に対応する受電部52として機能し、電源回路55を介して蓄電体本体53と接続している。
また、送電コイル54aは、後述する吐水端末H1の本体部に設けた受電部に対応する送電部54として機能し、受電コイル52aと同様に電源回路55を介して蓄電体本体53と接続している。
電源回路55は、AC/DC変換、DC/DC変換、AC/AC変換を行うコンバータ機能及び/又はDC/AC変換を行うインバータ機能を有し、受電部52や蓄電体本体53からの電圧の変換制御、蓄電体本体53への充電や後述する送電部54と受電部46との間における電磁結合に適した一定電圧への調整制御を行う。
また、蓄電体50は吐水端末H1の本体部に対して着脱自在としている。より具体的には、図2に示すように、ヘッド部20の制御部40近傍の外壁に蓄電体50の外形に沿う凹状の嵌着溝24を形成し、同嵌着溝24を介して蓄電体50を吐水端末H1のヘッド部20に着脱自在に構成している。
ヘッド部20内部の制御部40近傍には、制御部40と接続し、蓄電体50の送電部54に対応する受電部46としての受電コイル46aが備えられている。より具体的には、受電コイル46aは、嵌着溝24の底面近傍で蓄電体50の送電コイル54aに対応する位置に配設されている。
そして、蓄電体50がヘッド部20の嵌着溝24に装着された場合には、蓄電体50の送電コイル54aとヘッド部20内部の受電コイル46aとが近接して互いの間で磁界を発生させる。
具体的には、電源回路55を介して直流電圧から変換された交流電圧により送電コイル54aに交流電流を流すことによって蓄電体50の送電コイル54aとヘッド部20内部の受電コイル46aとの間で電磁誘導を生起し、同電磁誘導により電力を生起する。
すなわち、蓄電体50の送電部54とヘッド部20の受電部46とは互いに電磁結合する接続構造としている。
従って、蓄電体50は、接点をもたずに完全防水の状態で漏電を防止し制御部40を介して電極板41へ電力の供給を可能としている。
また、蓄電体50の充電は、図5に示すように、コンセントケーブル61を介して商用電源に接続した充電台60の載置面に載置することにより行う。
より具体的には、充電台60は、蓄電体50と同様に、その内部で載置面側に送電部62としての送電コイル62aを有しており、電源回路63を介した交流電圧により送電コイル62aに交流電流を流すことで充電台60の送電コイル62aと蓄電体50の受電コイル52aとの間で電磁誘導を生起する。
すなわち、充電台60と蓄電体50とは電磁結合して蓄電体50内部の蓄電体本体53を充電可能に構成している。
なお、このような非接触による給電方式は、本実施形態のような電磁誘導式以外に、例えば電磁共鳴方式、電界結合方式、電波式であってもよく、水環境下で防水加工を堅実とできる方式であれば限定されることがないのは勿論である。
次に、吐水端末H1の電気的な構成について図6を参照しながら説明する。図6は、吐水端末H1の電気的構成を示したブロック図である。
図6に示すように、制御部40は、CPU47と、制御部本体48と、電源回路49と、を備えている。
CPU47は、ROM47aと、RAM47bと、で構成している。ROM47aにはCPU47の処理において必要なプログラム等が格納されており、RAM47bはそのプログラム等の実行に際し一時的な記憶領域として機能する。
例えばROM47aの所定領域には、電極板41への給電及びその停止に必要な各種処理を実現するためのプログラムが格納されている。
より具体的には、プログラムには、スイッチ44の切り替え動作信号に応じて電極板41への給電の開始又は停止を行うための手動切り替えステップや、給水検知手段45による水流検知信号に応じて電極板41への給電の開始又は停止を行うための自動切り替えステップ、所定時間が経過した場合に電極板41における電圧の正負の入替を行う電極入替ステップが含まれる。
スイッチ44や給水検知手段45からの入力信号より入力された情報は、RAM47b上の所定アドレスに格納され、CPU47が各種プログラムを実行する上で参照される。
制御部本体48は、アナログ又は/及びデジタル回路とからなり、主に水素を発生させるための電極制御回路48aと安全回路48bとで構成している。制御部本体48は、CPU47が外部から取り込み処理した信号を受け取り、回路全体をコントロールする。
電極制御回路48aは、電極板41に流す電流を一定電流にするための回路であり、流水量や水質(電気伝導率)に応じて電圧を制御する。また、電極制御回路48aは、CPU47からの処理信号により、電極板41へ印加する電圧の正負の入れ替え制御を行う。
安全回路48bは、温度上昇をサーミスタや温度センサでモニターし、異常な発熱を検知した場合には回路を遮断制御するための回路である。また、安全回路48bは、電極のショートなどで異常な過電流が流れた際も電極板41への電力供給を停止する。
電源回路49は、上述の如くインバータ機能及び/又はコンバータ機能を有して蓄電体50から送電された電力を定電圧化し、各機能部への給電を行う。具体的には、制御部本体48の信号に応じて電圧の変換及び昇降を行う。特に電極板41への給電は、電流をモニターしつつ一定電流を流せるように電圧を制御する。
このように吐水端末H1は、制御部40において、外部情報を受けたCPU47からの処理信号により制御部本体48が各種制御回路を制御し、電極板41への給電の開始や停止、複数の電極板41における電圧の正負の入れ替えを行うように構成している。
具体的には、制御部40は、スイッチ44の切り替え動作に伴う電力の供給信号を受信した場合には電極板41への電力の供給を開始する制御を行う一方、電力供給の停止信号を受信した場合には電極板41への電力の供給を遮断する制御を行う。
また、制御部40は、給水検知手段45により流水の検知に伴う電力の供給信号を受信した場合には電極板41へ電力を供給する制御を行い、流水の停止の検知に伴う電力の供給信号を受信した場合には電極板41への電力の供給を停止する制御を行う。
また、制御部40は、一定時間が経過すると各電極板41における電圧の正負の入れ替えを行い、電気分解に伴う電極板41へのスケールの付着防止や付着したスケールの除去を可能としている。
また、制御部40には吐水端末H1による電解水素水の生成を使用者に知らせる水素水生成表示手段64が接続されている。
水素水生成表示手段64の一例としては、LED照明をヘッド部20の外壁の所定位置に設け、電解水素水の生成に応じて赤色に点滅し、電解水素水が生成されていない場合には青色に点滅するように構成してもよい。
なお、水素水生成表示手段64は、上述のスイッチ44や給水検知手段45と連動するように制御部40により制御してもよい。さらに、制御部40によらず、内部流路11に設けた水素ガスセンサやpHセンサなどの水素検知センサと接続して制御することも一案である。
そして、このような構成を備えた吐水端末H1によれば、以下のようにして電解水素水の生成を行う。
吐水端末H1の雄ネジ部12に接続された給水ホース80より水が供給されると、水は内部流路11に流入する。具体的には、供給された水は、内部流路11を区分する複数枚の電極板41により分流されて並走する複数の電解流路42に導入される。
次いで、給水検知手段45が流水を検知し、給水検知手段45により送信された流水検知信号により制御部40が複数の電極板41にそれぞれ正負交互の電圧の印加を行う。
次いで、内部流路11の水は、対向配置された電極板41間を流下しながら電気分解され、陰極板41a表面で生じた水素ガスが溶解することにより電解水素水となる。
なお、吐水端末H1により生成される電解水素水は、対向配置された電極板41間に隔膜が存在しないため、陽極板で生成された酸性水と陰極板で生成されたアルカリ水とが電解流路42を流下する過程で混合された略中性の電解水素水となる。
内部流路11にて生成された電解水素水は、ヘッド部20の電解水素水流入空間23へと至り、吐水部30の散水面31を介して吐出される。
そして、一定時間が経過すると、制御部40が陰極板41aを陽極板41bに、陽極板41bを陰極板41aにする正負の極性を入れ替えた電圧を各電極板41へ印加する。
ここで、吐水端末H1により生成される電解水素水の溶存水素量と層状に区分された内部流路11における1層の厚さ、すなわち複数枚の電極板41の間隔幅(以下、単に層厚と称す。)との関係、及び電極板へ印加される電圧と層厚との関係を図面を参照しながら説明する。図7は、電解水素水の溶存水素量と層厚の関係を示すグラフである。図8は、電極板へ印加される電圧と層厚との関係を示すグラフである。これらは電流値:1A、流水量:7L/minの一定条件で測定した結果である。
本実施形態に係る吐水端末H1において特筆すべき点の一つとしては、複数枚の電極板41により0.3mm〜1.0mm厚と言う極狭幅の層状に区分された内部流路11とすることにより、単位時間あたりに供給される大流量の流水の全量を流通可能としつつ同流水を流通過程で電気分解して高濃度の電解水素水を低い電力で生成する点が挙げられる。
図7に示すように、層状に区分した内部流路における各層厚に対する溶存水素量は、層厚が狭化するに伴い増加する。
すなわち、層厚狭化に伴い内部流路11の断面積が狭くなることにより、電極板41に対する流水速度が相対的に増加し、発生した水素が流水中へ十分に溶解する効果を生起する(水素溶存効率の増大効果)。
これにより流水量が7L/min以上であっても溶存水素量約50ppb以上を保持し、上述した活性酸素消去能を有した電解水素水を生成することが可能となる。
一方で、層厚を広くした場合には、流水速度が相対的に低下することとなり、発生した水素に対して溶解される水が少なくなる。すなわち、層厚を1.0mmより大きくすると水素飽和状態の水素水を局所的に生成することとなり、多くの水素が溶解できずに気泡化して排出され、結果、溶存水素量が低下してしまう。
従って、図7に示すように、層厚を1.0mm以下に狭化することで、流水量が7L/min以上でも50ppb以上の溶存水素量を確保することができる。また、層厚を広くした場合では電圧が高くなり電気分解に要する消費電力が増大するため、電力低減の観点からも層厚は1.0mm以下に狭化することが好適である。
このように複数枚の電極板41により層厚が1.0mm以下に区分された内部流路11は、流水量が7L/min以上の大流量であってもその水の全量を効果的に電気分解し、溶存水素量の高い電解水素水を安定して生成できる。
また、本実施形態に係る吐水端末H1において特筆すべき点は、上述の如く大容量の水を複数枚の電極板41により0.3mm〜1.0mm厚と言う極狭幅層状に区分された内部流路11が、溶存水素量約40ppb〜50ppb以上の電解水素水を生成するために要する電極板41への印加電圧を可及的低減化し、電気分解に必要な電力を低減化している点が挙げられる。図8は、内部流路の層厚と電流値1Aの電解電流を流すのに必要な印加電圧(V)との関係を示す。なお、流水量は7L/minで一定とした。
図8に示すように、区分された内部流路の層厚を減少させた場合には、電極板41への印加電圧は比較的少ない値である。
このように層厚を狭化とすると電気分解に要する印加電圧が低下するのは、層厚狭化に伴って電極板間の水の厚さ、すなわち電解質層厚が減少することにより、電界における活性化エネルギーが相対的に低下するためである。
すなわち、図8に示したように層厚の狭化に伴い一定電流を流すために必要な電圧が低下することは、電気分解に必要な電力を低減させる効果を示している(水素発生効率の改善効果)。
一方で、層厚を0.3mmより小さくすると、水の電気分解に必要な電圧である酸素と水素の酸化還元電位差の1.23Vに近づくため、電極板同士を近接させることによる電力の低減効果を享受する意義が薄れる。
さらに、内部流路11の層厚を狭くしすぎると、内部流路11に流入する流水により各電極板41への水圧負荷を増大させて各電極板41が不用意に撓み短絡が生じてしまうと共に流水の圧力損失を増大させて吐水部30からシャワー水流束が形成できない虞がある。
従って、内部流路11の層厚は必要以上に狭くしないことが好ましく、電力低減効果と圧力上昇防止を両立させる範囲としての層厚は0.3mm以上とすることが好適である。
すなわち、内部流路11を区分する複数枚の電極板41において対向配置する電極板41の間隔を0.3mm以上の範囲で近接させることにより、電気分解に要する消費電力を可及的低減化することができる。
また、第1の実施形態に係る電解水吐水端末H1の典型例として、複数の電極板により0.6mm厚の層状に区分した内部流路11により生成された電解水素水の溶存水素量(ppb)と同内部流路11へ供給される流水量(L/min)との関係を測定した。その結果を図9に示す。
第1の実施形態に係る電解水吐水端末H1の典型例の電極板41は、白金メッキチタン製で寸法を長さ:150mm、幅:20mm、板厚:0.5mmのものを5枚用いた。また、電流値は1Aで一定とした。
図9に示すように、流水量が増加するに伴い全体的に溶存水素量は徐々に減少する傾向にあるものの、流水量が3L/min〜9L/minの区間、特に7L/min以上の大流量であっても、溶存水素量は50ppb以上を保持しており、上述した活性酸素消去能を有した電解水素水が生成されている。
また、電気分解に要する電圧は流水量が3L/min〜9L/minの区間で約5.2Vの一定値、すなわち約5.2Wの低電力で一定であり、汎用の小電力な蓄電体50を電源に用いても持続的な電気分解が可能であった。
このように吐水端末H1は、内部流路11に供給される水を電気分解するのに必要な電力を低電力化する構成を備えているため、上述の蓄電体50のような小電力源であっても持続的な電気分解を可能とし、高濃度の電解水素水を安定して生成可能としている。なお、上述した吐水端末H1の基本構成や付加的構成は、後述する他の実施形態においても採用可能であり、これらの効果を享受し得るのは勿論である。
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態に係る吐水端末H2について、図10を参照しながら説明する。
図10は吐水端末H2の把持部10の側断面を示している。なお、以下において、前述の吐水端末H1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
吐水端末H2は、吐水端末H1と略同様の構成を備えており、電解水素水を吐出可能に構成したものであるが、内部流路11を区分する複数枚の電極板41の形状を変形した点において構成を異にしている。
すなわち、複数枚の電極板41cは、図10に示すように、大小複数の円筒形状となし、内部流路11の流水方向に沿って各電極板41cを軸線を中心とする同心円上に0.3mm〜1.0mm間隔を隔てて層状配置することにより、内部流路11を0.3mm〜1.0mm厚の層状に区分している。
具体的には、電極板41cは内部中空の円筒体であって、隣接する電極板41c同士において、一方の電極板は他方の電極板の軸心から径方向に0.3mm〜1.0mmだけ同一方の電極板の半径を伸延又は縮小するように形成している。
また、本実施形態に係る内部流路11は、断面視で把持部10内部に略円柱状の孔として形成している。
そして、内部流路11に対して複数枚の円筒形状の電極板41cをそれぞれ同心円上に入れ子状に配置し、0.3mm〜1.0mmの円筒形状の間隙を電解流路42cとなし、内部流路11を複数の電解流路42cからなる断面視略年輪状の電解流路層43cとしている。
また、隣接する電極板41c間の所定位置には、図示しない0.3mm〜1.0mm厚のスペーサを介設しており、隣接する電極板41c間の間隔を保持している。
なお、最外側の電極板41cは、その外径を把持部10内径と等しくし、その外周壁を把持部10の内周壁(閉塞体13の内周壁)に密着可能に形成している。
このような構成により、吐水端末H2は、給水ホース80から供給される大容量の水の全量を内部流路11へ速やかに導き、流入する流水の圧力損失を可及的低減化することができる。
すなわち、吐水端末H2に係る内部流路11は、各電解流路42cを給水ホース80の内周面形状に沿う円筒層状に形成していることから、給水ホース80から給水される水を流水形状を可及的保持したままスムーズに各層状の電解流路42cへと導入し、隣接する電極板41c間で電気分解することを可能としている。
〔第3の実施形態〕
次に、第3の実施形態に係る吐水端末H3について、図11を参照しながら説明する。
図11は吐水端末H3の把持部10の長手方向断面を示している。
吐水端末H3は、吐水端末H1と略同様の構成を備えたものであるが、吐水端末H2と同様、内部流路11を区分する複数の電極板41dの形状を変形した点において構成を異にしている。
すなわち、複数枚の電極板41dは、図11に示すように、流水方向に沿うように波状に湾曲した形状となし、内部流路11に対して互いの位相を合わせるように0.3mm〜1.0mm間隔を隔て面平行に積層配置することにより、内部流路11を0.3mm〜1.0mm厚の側断面視波層状に区分している。
電極板41dは、同一振幅の凹凸を繰り返すように湾曲して凹凸面を形成した波形板体である。なお、電極板41dの波形は、正弦波、矩形波、台形波又は三角波のいずれの形状であってもよい。
また、把持部10の内周面(閉塞体13の内周面)の突条13aや嵌合溝13bは、電極板41dの短手方向の両縁端部の形状に沿う波形に形成している。
そして内部流路11は、複数枚の波形状の電極板41dで区分されて長手方向断面視で波状の電解流路42dをなし、同複数の波状の電解流路42dを並設した電解流路層43dとしている。
このような構成により、吐水端末H3における内部流路11のスペースの制約があるにも関わらず、内部流路11に対向配置された波形状の電極板41dにより水の電気分解面積を可及的拡大することができると共に、内部流路11の長手方向に沿った波状の電解流路42d長さを増加させて水の電解距離を長くすることができる。
〔第4の実施形態〕
次に、第4の実施形態に係る吐水端末H4について、図12を参照しながら説明する。図12は吐水端末H4の内部流路11を区分する複数枚の電極板41の斜視図を示している。
吐水端末H4は、吐水端末H1と略同様の構成を備えたものであるが、内部流路11を区分する電極板41表面の所定位置にスペーサ15を備える点で構成を異にしている。
すなわち、図12に示すように、電極板41の板面41eには、所定厚みのスペーサ15をスポット状に所定間隔を隔てて複数(本実施形態では4つ)配設している。
スペーサ15の厚みは、複数の電極板の間隔を保持すべく0.3mm〜1.0mmしている。スペーサ15の素材は、防水素材、例えば樹脂を採用することができる。
また、スペーサ15の形状は、直方体形状としているが、これに限定されるものではなく、例えば略三角柱形状、略円柱形状にすることができる。例えば、三角柱形状のスペーサ15を、流水の流入方向に対向するように角部を位置させて電極板41に配置すれば、電解流路42を流れる水の流路抵抗を可及的低減化することができる。
また、スペーサ15の大きさは電解流路42を閉塞しない大きさであればよい。
また、スペーサ15の電極板41への配設位置は水の流れを妨げないような位置であれば特に限定されることはなく、本実施形態のスペーサ15は電極板41の板面41eにおいて、流水中心となる中央部を避けた角部近傍位置に4つ点在している。
このような構成により、複数枚の電極板41を層状に積層配置するだけで、各対向配置された電極板41間にスペーサ15が介在し、0.3mm〜1.0mm厚の複数の電解流路42からなる電解流路層43を形成することができる。
さらには、上述の閉塞体13の突条13aと相俟って、複数の電極板41の間隔の保持機能をより堅実とすることができ、大容量の流水による電極板41同士の撓み接触による短絡を確実に防止できる。これにより、例えば電極板41の厚みを肉薄に変更して内部流路11を区分する複数枚の電極板41の枚数を増加することも可能となる。
スペーサは通常、絶縁性と耐水性を有する物質で形成することが好適である。加えて先述の如く内部流路を流れる水によって把持部に生じる振動を振動源として電極板41に対し振動を付与し、電解水素水の生成効率の向上を図る場合には、スペーサ15の素材は絶縁性、耐水性に加えて弾性材にて形成、特に、振動の振幅の2倍未満の長さで電極板41の移動を許容可能な弾性材にて形成することが好適である。特に、振動の振幅の2倍未満の長さで電極板41の移動を許容可能な弾性材にて形成することで、電極板41を半自由状態で支持する支持部として機能させることが可能となる。
さらに、スペーサ15の固定方法として、当該スペーサが間隔を保持する両側の電極板のうち、片側にのみ固定された構造とすることにより、それぞれの電極板は独立に振動することが可能となる。以上のような構成により、当該スペーサ15を、振動許容手段を備えた支持部として機能させることができる。
上述のように、振動許容手段を備えた支持部として機能するスペーサを備えた積層電極体構造を採ることで、電解電極板に付着した気泡を速やかに離脱させ、水と接触していない電極板の表面部分を減少させ、電解水素水の生成効率を極めて良好にすることができる。
〔第5の実施形態〕
次に、第5の実施形態に係る吐水端末H5について、図13を参照しながら説明する。
図13は吐水端末H5の長手方向側断面を示している。
吐水端末H5は、吐水端末H1と略同様の構成を備え、蓄電体50aは吐水端末H5のヘッド部20に対して着脱自在に構成しているが、蓄電体50aと吐水端末H5の本体部との接続構造において構成を異にしている。
すなわち、吐水端末H5に係る蓄電体50aは、吐水端末H5の本体部と接点を介して制御部40や電極板41へ給電を行う接続構造を有している。
より具体的には、蓄電体50aの送電部54bは蓄電体ケース51底面から凸状に突出形成して露出状態としている。
一方で、吐水端末H5のヘッド部20の嵌着溝24底面には、蓄電体50aの送電部54bと対応する位置で受電部46bを凸状に露出状態としている。
また、蓄電体50aは、吐水端末H5のヘッド部20に対して水密性を堅実とするためのシーリング構造を介して着脱自在に構成している。
シーリング構造としては、例えばOリングなどのシール部材をヘッド部20の嵌着溝24と蓄電体50aとの間に介在させたり、嵌着溝24の内周壁に雌ネジ部を形成すると共に蓄電体50aの外周壁に雄ネジ部を形成して螺着可能に構成してもよい。
このような構成により、蓄電体50aを吐水端末H5のヘッド部20に装着した場合には、ヘッド部20の嵌着溝24と蓄電体50aとの間のシールを堅実としつつ、ヘッド部20の受電部46bと蓄電体50aの送電部54bとが互いの露出部分で接触して接点結合する。
従って、漏電を防止して蓄電体50aから吐水端末H5の本体部へ直接的に接触給電を行うことができ、制御部40や電極板41へより確実な電力供給ができると共に消費電力を可及的抑制することができる。
なお、蓄電体50aは、送電部54bを介して接点方式で充電台と充電することとしてもよいし、蓄電体本体53を交換することとしてもよいのは勿論である。
〔第6の実施形態〕
次に、第6の実施形態に係る吐水端末H6について、図14を参照しながら説明する。図14は吐水端末H6の長手方向側断面を示している。
吐水端末H6は、吐水端末H5と略同様の構成を備えるが、吐水端末H6では蓄電体50bが吐水端末H6の本体部に内蔵され、一体的な構造を有する点で構成を異にする。
より具体的には、吐水端末H6のヘッド部20の内部には蓄電体50bが備えられており、制御部40を介して電極板41への給電を行うように構成している。
また、ヘッド部20後方には蓄電体50bの充電を行うためのコンセントケーブル81と接続可能とするコンセントケーブル81の差込口25が形成されている。なお、差込口25は、吐水端末H6を使用する際には水密閉塞可能な蓋体で閉塞される。
このような構成により、蓄電体50bをヘッド部20に内蔵して完全防水とし、蓄電体50bから吐水端末H6の本体部へ直接的な給電を行い、制御部40や電極板41へ確実に電力供給ができると共に消費電力を可及的抑制することができる。
〔第7の実施形態〕
次に、第7の実施形態に係る吐水端末H7について、図15を参照しながら説明する。
図15(a)は、吐水端末H7を具備する吐水設備空間を示し、図15(b)は吐水端末H7と掛止部70との掛合状態を示している。
吐水端末H7は、吐水端末H1と略同様の構成を備えているが、吐水端末H7に係る蓄電体50cの位置や給電方式の構成を異にしている。
すなわち、図15(a)及び図15(b)に示すように、蓄電体50cは、吐水端末H7の把持部10後方位置に設けられ吐水設備H7aに備えられた掛止部70に掛止可能に構成し、しかも非接触で受電を行う受電部52を有し、掛止部70は蓄電体50cの受電部52に非接触で電力の供給を行う送電部71を有するように構成している。
蓄電体50cは、円柱状で内部中空の蓄電体ケース51cと、蓄電体ケース51c内側面に配設された受電コイルと、蓄電体ケース51c内部中央に配設された蓄電体本体と、を有している。なお、蓄電体本体は、吐水端末H7に内蔵された制御部40と接続している。
掛止部70は、図15(a)に示すように、吐水設備H7aが設けられる空間の壁面Wに備えられており、吐水端末を掛止するためのフックとして機能すると共に掛止状態で蓄電体50cへの送電を可能とする充電台として機能する。なお、壁面Wには商用電源Pと接続したコンセントケーブル81aが埋設されている。
より具体的には、図15(b)に示すように、掛止部70は、蓄電体50cの外形に沿う二又状の掛止部本体72と、掛止部本体72内部で蓄電体50cの受電コイルに対応するように配設された送電部71としての送電コイル71aと、掛止部本体72内部で送電コイル71aに接続した電源回路73と、コンセントケーブル81aと接続して電力を受ける受電部74と、を有している。
そして、吐水端末H7を掛止部70に掛合した場合には、掛止部70の送電コイル71aと蓄電体50cの受電コイルとが近接して互いの間で磁界を発生させ、電磁誘導により電力を生起する。
すなわち、掛止部70の送電部71と蓄電体50cの受電部52とが互いに電磁結合することにより、蓄電体50cは接点をもたずに完全防水の状態で掛止部70から給電されて充電される。
このような構成により、蓄電体50cへの充電の手間を大幅に省略し、漏電の防止を堅実とした蓄電体50cから制御部40や電極板41への電力供給を行うことができる。
また、蓄電体50cの電力残量が少なくなった場合であっても、掛止部70に吐水端末H7を掛止した状態で、充電を行いながら電極板41に電力を供給することができ、電解水素水からなるシャワー水流束を得ることができる。
以上、本実施形態に係る電解水吐水端末によれば、吐水設備の限られたスペースの制約を受けず、大流量の水を少ない消費電力により確実に電気分解して高水素濃度の電解水素水を効率よく生成することができる電解水吐水端末を提供することができる。
〔第8の実施形態〕
ここまで、本実施形態に係る水電解装置の一態様として、電解水吐水端末、特にシャワー型の水電解装置に相当する例を中心に説明してきたが、次に第8の実施形態として、蛇口取付型の水電解装置(以下、水電解装置Aともいう。)を例に説明する。
図16は水電解装置Aの外観構成及び取付状態を示した説明図である。水電解装置Aは、水道より供給される水を電気分解し、電解水としての電解水素水を吐水させるべくカラン100に取り付けられており、導水管101の耐荷重や、カラン100の水回りでの炊事等の作業の邪魔にならないよう、軽量・コンパクト化が図られている。
具体的には、水電解装置Aは、台所や洗面所等の水回りに備えられたカラン100の導水管101の先端部に取り付けられており、水栓ハンドル102を回動させて導水管101に通水することで、水電解装置Aに水が供給される。
また図16中において二点鎖線で示すように、水電解装置AからはACアダプタ103を先端に備えた電源ケーブル104を伸延させており、ACアダプタ103をコンセント105へ接続することで商用電源から受電可能としている。
電源ケーブル104を経て水電解装置Aに供給された電力は、水電解装置Aの内部に収容されている多層電極体に供され、同じく水電解装置Aに供給される水を電解して吐水口106から電解水としての電解水素水を吐水可能としている。なお、図16に示す電源ケーブル104は、水電解装置AとACアダプタ103との接続を示すために直線状に記載しているのであって、実際の配線はこの限りではない。また、図16中において符号107は、電解水素水の吐水と、電解されていない通常の水道水の吐水との切替を行う切替レバーである。
図17は、水電解装置Aの内部構成を示した断面模式図である。水電解装置Aは、その外観形状を成す筐体110を備えており、その上面部にはカラン100の導水管101から供給される水を受け入れる受水口108が、導水管101の端部と連結可能に形成されている。
筐体110は、樹脂にて形成された中空状の部材であり、その内部を隔壁110aを介して上下二分し、上方を流路系収容空間110bとする一方、下方を制御系収容空間110cとしている。
流路系収容空間110bには、水の電解を行うための電極ユニット111と、受水口108から電極ユニット111へ水を導く上流側通水管112と、電極ユニット111より流出する水を隔壁110a及び制御系収容空間110cを貫通して筐体110の下面側より吐出させる下流側通水管113の基端部とが流路系部材として収容されている。
導水管101より受水口108を介して供給された水は、上流側通水管112を介して電極ユニット111へ導入される。この上流側通水管112は水が流れることで振動を発生させる振動源としての役割も担うものであり、この振動は電極ユニット111における電解水素水の生成効率の向上に寄与する。上流側通水管112は、直管状であっても振動源として機能させることは可能であるが、図17に示すように屈曲部112aを形成することで、流量変化時のウォーターハンマー現象等を利用して振動がより生起するよう構成しても良い。
また、電極ユニット111より流出した水は、下流側通水管113を通じ、下流側通水管113の下流端である吐水口106を介して吐水される。この下流側通水管113もまた上流側通水管112と同様に振動源としての機能も有しており、例えば屈曲部113aを備えることで電極ユニット111に対し振動を付与可能としている。また、上述の上流側通水管あるいは下流側通水管の途中に、オリフィスなど流路の径や断面形状を変化させる部材や構造を配設することによっても流水が乱流化し、有効に振動を誘起させることができる(図示なし)。なお、振動源は水電解装置Aにおいて必須の構成ではなく、上流側通水管112や下流側通水管113に振動源としての役割が無くとも、次に述べる電極ユニット111の構成によれば電解水素水の生成効率の向上という目的は達成される点に留意すべきである。
電極ユニット111は、上流側通水管112と下流側通水管113との間に介設した水の電気分解を行うためのユニットであり、水電解装置Aにおける筐体110内に形成した浸水可能な空間領域としての役割を有する部位である。その具体的構成については、後述する。
制御系収容空間110cには、制御部125が配されている。この制御部125は、先述の電源ケーブル104を介して受電し、水電解装置A全体の制御を行う。
具体的には、制御部125には電極ユニット111が電気的に接続されており、受電した電力を電極ユニット111へ供給することで、水の電気分解を可能としている。
また、制御部125には、流水センサ126が電気的に接続されている。流水センサ126は、下流側通水管113に水が流れているか否かを検出するためのセンサであり、制御部125は、下流側通水管113に水が流れている際に流水センサ126が発する流水検出信号を受信した際に電極ユニット111に対して通電し、電気分解を行う。
次に、電極ユニット111の構成について説明する。先述したシャワー型の電解水吐水端末は、浸水可能な空間領域である内部流水流路に複数枚の電極板41を直接配設することで積層電極体を構成し電気分解を行うこととしていたが、水電解装置Aでは、積層電極体を外装ケースに収めてユニット化して構成しており、この外装ケースの内部が浸水可能な空間領域としての役割を果たす。
図18は、電極ユニット111の外観を示した説明図であり、図18(a)は直方体状の電極ユニット111における3つの面を示した斜視図、図18(b)はその余の3面を示した斜視図である。なお、以下において電極ユニット111についての構成の説明の便宜上、図18(a)にて符号115aで示す面は第1小スリット面115aと称し、符号116aで示す面は第1大スリット面116aと称し、符号117aで示す面は第1電極板対向面117aと称する。また、第1小スリット面115aと対向する図18(b)にて符号115bで示した面を第2小スリット面115bと称し、第1大スリット面116aと対向する符号116bで示した面を第2大スリット面116bと称し、第1電極板対向面117aと対向する符号117bで示した面を第2電極板対向面117bと称することとする。
電極ユニット111は、複数枚の電極板41を積層してなる積層電極体120と、同積層電極体120を収容する外装ケース121とで構成している。
積層電極体120は、制御部125により正負交互に電圧が印加される複数枚の電極板41を0.3〜1.0mmの間隙を保ちつつ積層してなるものであり、各電極板41の間隙に流入した水を電気分解して電解水素水を生成する役割を有する。
外装ケース121は、積層電極体120を収容すると共に、浸水可能な空間領域を形成する部材であり、第1小スリット面115aに受入孔122が穿設され、第2小スリット面115bには流出孔123が穿設されている。
受入孔122は、上流側通水管112から電極ユニット111への水の受け入れを行うための孔であり、上流側通水管112の下流端部が水密状に接続される。
流出孔123は、電極ユニット111内の水を流出させるための孔であり、下流側通水管113の上流端部が水密状に接続されている。
受入孔122および流出孔123は、上述の振動を誘起するためのオリフィスとしての機能を備えることも可能である。また、上流側通水管112と受入孔122の接続や、下流側通水管113と流出孔123との接続は、それぞれ上流側通水管112や下流側通水管113を振動源として利用する場合には、その振動が電極ユニット111に効率良く伝搬可能となるよう互いに固設している。
また、外装ケース121内に収容された積層電極体120の各電極板41は、図19に示すように、外装ケース121の第1大スリット面116a及び第2大スリット面116bの内面側に形成した凹溝124に沿って装着されている。
ここで、凹溝124の幅L1は、電極板41の厚みL2よりも大きな幅とし、しかも、その隙間の長さL3(=L1−L2)は、前述の振動源より発せられる振動の振幅の2倍以上、又は、2倍未満に構成している。
上述の構成によって、電極板41を半自由状態で支持することが可能となり、当該外装ケースの内面の凹溝124をもって、振動許容手段を備えた支持部として機能させることができる。当該電極板は振動源の振動を受けて有効に振動して付着した気泡を速やかに離脱させ、水と接触していない電極板の表面部分を減少させることにより、電解水の生成効率を極めて良好にすることができる。
そして、このような構成を備える水電解装置Aによれば、耐荷重がさほど期待できない一般家庭の蛇口部分に取付が行われ、小型軽量化が求められる機器でありながらも、電解効率が良く、しかも、電解水の生成効率に優れた水電解装置とすることができる。なお、本第8実施形態に係る水電解装置Aは、吐水設備の下流末端に接続される水電解装置であることから、電解吐水端末の一態様と解することもできる。
〔第9の実施形態〕
次に、第9の実施形態として、貯留した水に没した状態で使用される水電解装置、ここでは浴湯投入型の水電解装置(以下、水電解装置Bともいう。)を例に説明する。
図20は、本第9実施形態に係る水電解装置Bの外観構成及び使用状態を示した説明図である。水電解装置Bは、浴湯中に没した状態で使用され、筐体内部に配されたバッテリーから電力を得て浴湯を電気分解し、浴湯中に電解水素水に放散させて入浴者が水素水での入浴を楽しむことができるよう構成した装置である。
特に水電解装置Bは、浴室内への搬入・搬出が行われる点で小型軽量化が求められ、また、浴湯中に没した状態で使用するため商用電源から独立したバッテリーにて駆動させる必要があることから、筐体やバッテリーを小型としながらも良好な電解効率と優れた電解水の生成効率が発揮されるよう構成している。
図20に示すように水電解装置Bは、平面視略オーバル状の筐体130を備えると共に、その側部に穿設された取水口130aから浴湯を取り込みつつ、内部で浴湯を電気分解した後に、上部に形成した切欠部130bより電解水としての電解水素水を浴湯中に放散するよう構成している。
図21は、浴湯中から取り出された後、充電を行うための充電台131上に配置された状態の水電解装置Bの構成を示す断面模式図である。なお、図21では、筐体130の形状は簡略化して記載している。
水電解装置Bの筐体130は、樹脂にて形成された中空状の部材であり、その内部を隔壁132を介して上下に略二分し、上方に位置する空間は切欠部130bを介して浴湯を流入させる浸水空間133とする一方、下方を制御系収容空間134としている。
浸水空間133には、電極ユニット135を配置して、浸水空間133内に流入した浴湯や、制御系収容空間134に配されたポンプ142を介して送給される浴湯を電解可能に構成している。すなわち、浸水空間133は、筐体130内に形成した浸水可能な空間領域に相当する。
電極ユニット135は、前述の水電解装置Aにおける電極ユニット111と略同様の構成を備えたものであるが、外装ケース137に形成された孔の位置が異なっている。
具体的には図22に示すように、電極ユニット135は、外装ケース137内に積層電極体120を収容して構成しており、外装ケース137の第1小スリット面115aに受入孔122が、第2小スリット面115bに流出孔136aが形成されているが、更に、第1大スリット面116a及び第2大スリット面116bにも、長手方向略全域に亘って伸延する長円状の流出孔136bを形成している。
そして、浸水空間133に配された電極ユニット135は、図21に示すように、受入孔122をポンプから送出される浴湯を送給する通水管138の下流端部に接続させ、第1大スリット面116a又は第2大スリット面116bを上方に向け、電解水素水が水素気泡と共に流出孔136bを介して円滑に切欠部130bから放散されるよう配置している。
一方、制御系収容空間134には、バッテリー141と、ポンプ142と、スイッチ143と、受電用コイル144とが、制御部140と電気的に接続された状態で収容されている。
制御部140は、バッテリー141に蓄えられた電力により、電極ユニット135へ給電して浴湯の電解を行ったり、水電解装置B全体の制御を行う。
バッテリー141は、水電解装置Bで消費される電力の供給を行う。また、バッテリー141は、小型軽量化のために、比較的小型で小容量の二次電池が採用されている。
ポンプ142は、取水口130aより取り込んだ浴湯を通水管138を通じて電極ユニット135へ供給する。また、ポンプ142は、電極ユニット135へ付与するための振動を生成する振動源としての役割も有している。具体的には、ポンプ142の稼動により生成した振動は、振動伝搬部材(振動伝搬媒体)となる通水管138や通水管138内を流れる浴湯により電極ユニット135へ伝えられ、電解水素水の生成効率の向上が図られるよう構成している。ポンプなどの積極的に振動をあたえる振動源を備える構造はより有効であるが、積極的な振動源がなくても、電解ユニットが振動許容手段を備えていれば、周囲の水の対流や筐体の揺れなどを振動源として、付着した気泡を離脱させるうえで十分有効に振動し、電解水の生成効率を良好にすることができる。
スイッチ143は、水電解装置Bの稼動・停止を制御するためのスイッチである。水電解装置Bでは、タッチセンサを利用したスイッチを採用しており、浴湯中に没した状態で使用される水電解装置Bの制御系収容空間134の水密性の向上に寄与している。
受電用コイル144は、後述の充電台131より発せられる給電用の電磁波を受けて電力を生起するためのコイルであり、受電用コイル144にて生じた電力は制御部140を介して充電制御されつつバッテリー141に蓄電される。付言するならば、水電解装置Bは、バッテリー141への充電について非接触型の充電方式を採用しており、先述のスイッチ143と同様、浴湯中に没した状態で使用される水電解装置Bの制御系収容空間134の水密性の向上に寄与している。
充電台131は、水電解装置Bの受電用コイル144に対し電磁波を発生させてバッテリー141へ充電を行うための装置である。
充電台131は、筐体145の内部に充電台制御部146と、送電用コイル148とを配置して構成している。
筐体145の上部には、水電解装置Bの底部を嵌着可能な形状の載置用凹部145aが形成されており、水電解装置Bを載置可能としている。
充電台制御部146は、電源ケーブル147を介して供給された電力を送電用コイル148に供給するための制御を行う部位である。電源ケーブル147の先端に配されたプラグ147aを商用電源のコンセント(図示せず)に差し込むことで、充電台制御部146を介し送電用コイル148に電力が供給される。
送電用コイル148は、前述した水電解装置Bの受電用コイル144と対を成すコイルであり、受電用コイル144に対し充電用の電磁波を発生させる役割を有する。
この送電用コイル148は、水電解装置Bを充電台131に載置した際に、受電用コイル144と対向する載置用凹部145aに配設しており、充電台131から水電解装置Bに対し、効率的に給電が行われるよう構成している。
そして、このような構成を備える水電解装置Bによれば、浴室内への搬入・搬出が行われる点で小型軽量化が求められ、また、浴湯中に没した状態で使用するため商用電源から独立してバッテリーでの駆動が求められる機器でありながらも、筐体やバッテリーを小型とした場合であっても、良好な電解効率と優れた電解水の生成効率を備えた水電解装置とすることができる。
〔第10の実施形態〕
次に、第10の実施形態として、水筒型の水電解装置(以下、水電解装置Cともいう。)を例に説明する。
図23は、本第10実施形態に係る水電解装置Cの使用態様を示した説明図である。水電解装置Cは、携行可能な水筒型の外観を有する水電解装置であり、筐体内の貯水部に貯留した水を所望のタイミングで電気分解することで電解水としての電解水素水を生成し、いつどこででも飲用に供することができるよう構成した装置である。
特に水電解装置Cは、可搬型であるため小型軽量化が求められ、また、商用電源からも切り離された状態で使用されることから、筐体やバッテリーを小型としながらも良好な電解効率と優れた電解水の生成効率が発揮されるよう構成している。
図24は、水電解装置Cの構成を示した断面模式図である。図24に示すように水電解装置Cは、水を収容可能に構成した装置本体部150と、同装置本体部150の上部開口を閉蓋する蓋部151とで構成している。
装置本体部150は、中空状に形成された筐体152の内部空間を隔壁152aで上下分割し、上部は水を収容するための貯水部として機能する貯水空間153とする一方、下部は制御機構等を収容するための制御系収容空間154としている。
貯水空間153には、電極ユニット135を配置して、貯水空間153内に供給された飲用水を電解可能に構成している。すなわち、貯水空間153の一部ないし全部は、筐体152内に形成した浸水可能な空間領域に相当する部位である。なお、本第10実施例にて使用する電極ユニット135は、前述の水電解装置Bにて使用した電極ユニット135と同様の構成を備えるものであり、詳細な構成の説明は省略する。
また、図23に示すように使用者Qは、水電解装置Cをバッグなどに収容した状態で携行するものであるため、使用者Qが移動する際には随時、水電解装置Cに振動が生じる。すなわち、水電解装置Cの筐体152自体が振動源となり、電極ユニット135に対して振動を与え、電解水素水の生成効率を向上可能としている。
一方、図24に示すように制御系収容空間154には、バッテリー155と、スイッチ156と、コネクタ157とが、制御部158と電気的に接続された状態で配設されている。
バッテリー155は、水電解装置Cで消費される電力の供給を行う電池であり、小型軽量化のために、比較的小型で小容量の二次電池が採用されている。また、スイッチ156は、水電解装置Cの稼動・停止を制御するためのスイッチである。
コネクタ157は、バッテリー155を充電する際にACアダプタ159のプラグ159aが差し込まれる部位であり、コネクタ157にプラグ159aを差し込み、ACアダプタ159を商用電源のコンセントに差し込むことで、電源ケーブル159bを通じ、制御部158を介してバッテリー155への充電が行われる。また、使用時にはコネクタ157からプラグ159aを抜くことで、水電解装置Cを商用電源に拘束されることなく持ち運ぶことができ、電解水素水を常時調製可能としている。
そして、このような構成を備える水電解装置Cによれば、可搬型であるため小型軽量化が求められ、また、商用電源からも切り離された状態で使用される機器でありながら、筐体やバッテリーを小型とした場合であっても、良好な電解効率と優れた電解水の生成効率を備えた水電解装置とすることができる。
〔第11の実施形態〕
次に、第11の実施形態として、スプレー型の水電解装置(以下、水電解装置Dともいう。)を例に説明する。
図25は、本第11実施形態に係る水電解装置Dの外観及び使用状態を示した説明図である。水電解装置Dは、電解水を洗浄用途で使用するものであり、例えば浴室の掃除の際に、スプレーボトル入りの浴室用洗剤と同様に用いられるものである。
特に水電解装置Dは、手持ち状態で使用されることやハンドリングの観点から小型軽量化が求められ、また、浴室などの湿気の多い場所でも使用が想定されるため商用電源から独立した構成が要求され、本実施形態では筐体やバッテリーを小型としながらも良好な電解効率と優れた電解水の生成効率が発揮されるよう構成している。
図25に示すように使用者Qは、水電解装置Dを手で把持した状態でレバー160を操作し、浴室の壁部材として使用されているタイル161に対し、電解水としての次亜塩素酸含有水を噴霧し清掃を行っている。
図26は、水電解装置Dの構成を示した断面模式図である。図26に示すように水電解装置Dは、水、特に本実施形態では2wt%程度の塩化ナトリウムを含有する塩水を収容可能に構成した装置本体部162と、同装置本体部162の上部開口に螺着されるスプレーヘッド163とで構成している。
スプレーヘッド163は、一般的な霧吹き等に使用されるものと同様の構成を有しており、使用者Qがレバー160を操作することで、装置本体部162内に挿入した吸上管163aを介して次亜塩素酸含有水を吸い上げ、レバー160の直上に設けた噴霧部163bから噴霧するよう構成している。
装置本体部162は、中空状に形成された筐体164の内部空間を隔壁164aで上下分割し、上部は塩水を収容するための貯水部として機能する貯水空間165とする一方、下部は制御機構等を収容するための制御系収容空間166としている。
貯水空間165には、先の浴湯投入型の水電解装置Bや水筒型の水電解装置Cと同様の電極ユニット135を配置して、貯水空間165内に貯留された塩水を電解し、次亜塩素酸含有水を生成可能に構成している。すなわち、貯水空間165の一部ないし全部は、筐体164内に形成した浸水可能な空間領域に相当する部位である。
また、図25にて示したように、使用者Qは、水電解装置Dを手に把持した状態で清掃等を行うため、使用者Qが水電解装置Dを使用している際には随時、水電解装置Dに振動が生じる。すなわち、水電解装置Dの筐体164自体が振動源となり、電極ユニット135に対して振動を与え、次亜塩素酸含有水の生成効率を向上可能としている。
一方、図26に示すように制御系収容空間166には、先の水筒型の水電解装置Cと同様に、バッテリー167と、スイッチ168と、コネクタ169とが、制御部170と電気的に接続された状態で配設されている。また、コネクタ169にはACアダプタ171のプラグ171aを接続可能としており、商用電源から電源ケーブル171bを通じバッテリー167への充電が行えるように構成している。なお、これら制御系機器の詳細及びACアダプタ171については前述の水筒型の水電解装置Cと同様であるため説明を省略する。
そして、このような構成を備える水電解装置Dによれば、手持ち状態で使用されることやハンドリングの観点から小型軽量化が求められ、また、浴室などの湿気の多い場所でも使用が想定されるため商用電源から独立した構成が要求される機器であるところ、筐体やバッテリーを小型とした場合であっても、良好な電解効率と優れた電解水の生成効率を発揮可能な水電解装置とすることができる。
上述してきたように、本実施形態に係る水電解装置によれば、筐体内に形成した浸水可能な空間領域に、正負交互に電圧が印加される複数枚の電極板を0.3〜1.0mmの間隙を保ちつつ積層してなる積層電極体を配置し、前記複数の電極板間の間隙を保つ支持部に、各電極板の振動を許容する振動許容手段を設ける構成とした。それにより、前記空間領域に流入させた水を高効率に電解して電解水を生成し、かつ当該電極板は有効に振動して付着した気泡を速やかに離脱させることができる。機器の小型化を図る場合や、可搬型としバッテリー駆動とする場合でも、電解効率が良く、しかも、電解水の生成効率に優れた水電解装置を提供することができる。なお、本発明の振動許容手段を備える構成においても、電極板41同士の過度な接近を防止して流動抵抗の上昇を抑制し、また短絡の危険性を回避して構成することは言に及ばない。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはなく、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
また、上述した第1〜第11の実施形態における各構成は、その機能を阻害しない範囲内において、それぞれ別の実施形態に適用することができ、これらの構成もまた本発明の概念に含まれる。