JP2019052686A - バルブ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制御性を向上させることが可能なバルブ装置を提供する。
【解決手段】流入孔121及び流出孔112を有するハウジング110と、前記流出孔112と接続される内部側空間R1を区画すると共に、前記内部側空間R1と外部とを連通可能な隔壁連通路133を有し、当該隔壁連通路133の外部側開口136が軸線方向に開口する一方、内部側開口138が軸線方向視、前記外部側開口136とは異なる位置に開口するように形成された隔壁部130と、内部側空間R1内に往復動自在に設けられると共に前記隔壁部130との間に油圧制御空間R1aを区画し、前記流入孔121と前記油圧制御空間R1aとを連通可能であり、前記外部側開口136と同軸上に開口する前壁流入孔144が軸線方向視中央に形成されたバルブ140と、前記バルブ140を前側へ向けて付勢するスプリング150と、前記隔壁連通路133を開閉するソレノイド部160と、を具備した。
【選択図】図10

Description

本発明は、流体の流通を制御するバルブ装置の技術に関する。
従来、流体の流通を制御するバルブ装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1に記載のバルブ装置は、軸線方向に移動可能であり、端面を有する略円筒状のバルブと、バルブを一方向へと付勢するスプリングと、オンとオフとを切り替え可能なソレノイドと、バルブとソレノイドとの間に配置される隔壁と、を具備する。バルブの端面と隔壁との間には、油圧を制御するための空間(油圧制御空間)が区画される。バルブの端面には、油圧制御空間と外部とを連通するバルブ側連通孔が形成される。また、隔壁には、油圧制御空間とソレノイド側の空間とを連通する隔壁連通孔が形成される。また、ソレノイド側の空間には、オイルをドレインするためのリーク孔が形成される。
特許文献1に記載のバルブ装置において、ソレノイドをオンに切り替えると、隔壁連通孔が閉塞される。この状態では、バルブの軸線方向両側の圧力(油圧制御空間と、バルブを挟んで当該油圧制御空間の反対側の空間)が等しくなり、当該圧力によりバルブに作用する荷重は互いに相殺される。この場合、スプリングの付勢力によってバルブが一方向へと移動し、当該バルブの側方に形成された油路を閉塞する。
また、ソレノイドをオフに切り替えると、隔壁連通孔が開放される。この状態では、油圧制御空間内のオイルは、隔壁連通孔及びリーク孔を介して外部へとドレインされる。これによって、油圧制御空間の圧力が低下する。油圧制御空間の圧力が、バルブを挟んで当該油圧制御空間の反対側の空間における圧力よりもある程度小さくなると、バルブは他方向(スプリングの付勢力に反する方向)へと移動し、油路を開放する。
このように、特許文献1に記載のバルブ装置は、ソレノイドのオンとオフを適宜切り替えることで、流体の流通を制御することができる。
しかしながら、引用文献1に記載のバルブ装置においては、バルブに形成されたバルブ側連通孔と、隔壁に形成された隔壁連通孔が、同一軸線上に形成されている。このため、バルブ側連通孔から油圧制御空間へと流入するオイルに縮流が発生し、流速が増したオイルがそのまま隔壁連通孔から外部へとドレインされる場合がある。これによって、想定以上に油圧制御空間内の圧力が低下し、バルブ装置による流体の流通の制御性(制御の精度)が低下するおそれがある点で不利であった。
特開2014−152789号公報
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、制御性を向上させることが可能なバルブ装置を提供することである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、軸線方向の一側に設けられてオイルを内部へ流入させる流入孔と、前記流入孔よりも前記軸線方向の他側に設けられてオイルを外部へと流出させる流出孔と、を有する筒状のハウジングと、前記流入孔から離間して当該流入孔の前記他側に設けられ、前記流入孔との間に前記流出孔と接続される第一空間を区画すると共に、前記第一空間と外部とを連通可能な区画部連通路を有し、当該区画部連通路の外部側開口が前記軸線方向に開口する一方、第一空間側開口が軸線方向視、前記外部側開口とは異なる位置に開口するように形成された区画部と、前記第一空間内に前記軸線方向へ往復動自在に設けられると共に前記区画部との間に第二空間を区画し、前記流入孔と前記第二空間とを連通可能であり、前記外部側開口と同軸上に開口するバルブ連通孔が軸線方向視中央に形成されたバルブと、前記バルブを前記軸線方向の一側へ向けて付勢する付勢手段と、前記区画部連通路を開閉することにより前記バルブを前記軸線方向へ移動させ、当該バルブによって前記流出孔を開閉させる開閉手段と、を具備するものである。
請求項2においては、前記区画部は、前記ハウジング内において前記軸線方向の一側に向けて突出する突部を具備し、前記突部の側面に前記第一空間側開口が形成されているものである。
請求項3においては、前記区画部は、前記ハウジング内において前記軸線方向の一側に向けて突出する突部を具備し、前記突部の突出方向先端面に前記第一空間側開口が形成されているものである。
請求項4においては、前記区画部連通路は、第一空間側開口が複数設けられているものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、制御性を向上させることができる。
請求項2においては、ハウジング内部に異物が溜まることを抑制することができる。
請求項3においては、制御性を効果的に向上させることができる。
請求項4においては、異物によりオイルの流出が阻害されることを抑制することができる。
本発明の第一実施形態に係るバルブ装置が設けられるエンジンの構成及びオイルの流れを示す模式図。 バルブ装置を示す側面断面図。 バルブ装置の前部を示す拡大側面断面図。 バルブ装置の後部を示す拡大側面断面図。 開弁状態である場合の、オイルの流通態様、及びバルブに作用する荷重を示す拡大側面断面図。 開弁状態から閉弁状態へと切り替える場合の、ソレノイド部のプランジャの動作を示す拡大側面断面図。 開弁状態から閉弁状態へと切り替える場合の、ソレノイド部のシャフトの動作を示す拡大側面断面図。 開弁状態から閉弁状態へと切り替える場合の、バルブの動作、オイルの流通態様、及びバルブに作用する荷重を示す拡大側面断面図。 バルブ装置の区画部を示す拡大側面断面図。 油圧制御空間に流入してくるオイルの流れの向きが変わる様子を示す拡大側面断面図。 第二実施形態に係るバルブ装置の前部を示す拡大側面断面図。
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F及び矢印Bで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向及び後方向と定義して説明を行う。
以下では、本発明の一実施形態に係るバルブ装置100について説明する。
まず、図1を参照してバルブ装置100が設けられるエンジン1の構成及びエンジン1におけるオイルの流れについて簡単に説明する。
エンジン1は、4つの気筒を具備する直列4気筒型である。エンジン1は、オイルポンプ11、オイルフィルタ12、メインギャラリ13、メインメタル/コンロッドメタル14、オイル通路15、ピストンジェット16、チェーンジェット17、チェーンテンショナー18、可変バルブタイミング機構(VVT)19、ラッシュアジャスタ(HLA)20、カムジャーナル21、カムシャワー22及びバルブ装置100を具備する。
オイルポンプ11は、オイルパン(不図示)に貯溜されたオイルを吸入すると共に、当該オイルを下流側へ圧送する。オイルポンプ11は、エンジン1によって当該エンジン1の回転数に応じた回転数で駆動される。オイルポンプ11の下流側には、オイルフィルタ12が配置される。オイルフィルタ12は、オイルから異物や不純物等を取り除く。
オイルフィルタ12を流通したオイルは、メインギャラリ13を流通する。メインギャラリ13を流通したオイルは、メインメタルやコンロッドメタル(メインメタル/コンロッドメタル14)へと送られる。メインメタル/コンロッドメタル14は、クランク軸(不図示)を支持する。
また、オイルフィルタ12を流通したオイルは、オイル通路15を流通する。オイル通路15を流通したオイルは、ピストンジェット16へと送られる。ピストンジェット16は、ピストン(不図示)にオイルを噴射する。また、オイル通路15におけるピストンジェット16の上流側には、バルブ装置100が配置される。バルブ装置100は、ピストンジェット16へのオイルの供給と停止を切り替え制御する。
また、オイルフィルタ12を流通したオイルは、適宜のオイル通路を流通して、チェーンジェット17、チェーンテンショナー18、可変バルブタイミング機構19、ラッシュアジャスタ20、カムジャーナル21及びカムシャワー22へと送られる。
以下では、図2から図4を用いて、バルブ装置100の構成について説明する。
バルブ装置100は、下流側(本実施形態においては、ピストンジェット16)へと送られるオイルの供給と停止を切り替え制御するものである。バルブ装置100は、主としてハウジング110、流入部120、隔壁部130、バルブ140、スプリング150、ソレノイド部160及びプラグ170を具備する。
なお、バルブ装置100は、オイルが下流側へと送られるのを許可する開弁状態と、オイルが下流側へと送られるのを規制する閉弁状態と、を切り替え可能に構成される。以下では、バルブ装置100が開弁状態であるものとして、各部材の配置や構成等の説明を行う。
図2から図4に示すハウジング110は、バルブ装置100を構成する種々の部材を収容するものである。ハウジング110は、略円筒状に形成される。ハウジング110は、軸線方向を前後方向へ向けて配置される。ハウジング110は、貫通孔111、流出孔112及びドレイン孔113を具備する。
図3及び図4に示す貫通孔111は、ハウジング110を軸線方向(前後方向)に貫通する孔である。貫通孔111は、ハウジング110と軸線が重複するように形成される。貫通孔111は、段差部114、段差部115、絞り部116及び貫通孔テーパ部117を具備する。
図3に示す段差部114は、段になっている部分(段差部分)である。段差部114は、貫通孔111の前後方向略中央部よりも前方(後述する段差部115よりも前方であって、貫通孔111の前端部)に形成される。段差部114は、貫通孔111の前端部を拡径させることで形成される。段差部114は、貫通孔111の周方向に沿って形成される。
図3に示す段差部115は、段になっている部分(段差部分)である。段差部115は、貫通孔111の前後方向略中央部よりも若干前方に形成される。段差部115は、その壁面を前方へ向けて形成される。
図4に示す絞り部116は、内径が小さく形成された部分である。絞り部116は、貫通孔111の前後方向略中央部よりも若干後方に形成される。絞り部116は、その他の部分(当該絞り部116よりも前後方の部分)よりも内径が小さくなるように形成される。絞り部116は、貫通孔111と軸線が重複するように形成される。
図4に示す貫通孔テーパ部117は、テーパ状に形成された部分である。貫通孔テーパ部117は、貫通孔111の後部(絞り部116よりも後方)に形成される。貫通孔テーパ部117は、後方から前方に行くに従って(絞り部116に近接するに従って)縮径することにより先細り状に形成される。貫通孔テーパ部117は、貫通孔111と軸線が重複するように形成される。
図3に示す流出孔112は、ハウジング110の周壁を径方向に貫通する孔である。流出孔112は、ハウジング110の前側端部(軸線方向の一側端部)に形成される。より詳細には、流出孔112は、前後方向における段差部114と段差部115との間に配置される。流出孔112は、ハウジング110の内部と外部とを連通する。流出孔112は、ハウジング110の上部、下部、左部(図3の紙面手前側)及び右部(図3の紙面奥側)に4つ設けられる。流出孔112は、後述するように、ハウジング110の内部のオイルを外部(より詳細には、オイル通路15の下流側)へと流出させる。なお、4つの流出孔112は、ハウジング110の外周面に周方向に沿って形成された鉢巻溝112aを介して、当該ハウジング110の外部において連通される。
図3に示すドレイン孔113は、ハウジング110の周壁を径方向に貫通する孔である。ドレイン孔113は、ハウジング110の前後方向略中央部に配置される。より詳細には、ドレイン孔113は、前後方向における段差部115と絞り部116との間に配置される。ドレイン孔113は、ハウジング110の内部と外部とを連通する。ドレイン孔113は、ハウジング110の上部と下部とに2つ設けられる。ドレイン孔113は、後述するように、ハウジング110の内部のオイルを外部(より詳細には、前記オイルパン)へと流出(ドレイン)させる。なお、2つのドレイン孔113は、ハウジング110の外周面に周方向に沿って形成された鉢巻溝113aを介して、当該ハウジング110の外部において連通される。
図2及び図3に示す流入部120は、略円環状に形成された板状の部材である。流入部120の外径は、貫通孔111の段差部114の内径と略同一に形成される。流入部120は、段差部114に圧入されて取り付けられる。こうして、流入部120は、板面を前後方向へ向けた状態でハウジング110に取り付けられる。また、流入部120は、貫通孔111(ハウジング110)の前端部に配置される。流入部120は、流入孔121を具備する。
図3に示す流入孔121は、流入部120を前後方向に貫通する孔である。流入孔121は、側面断面視で流入部120の略中央に形成される。流入孔121は、ハウジング110の内部と外部とを連通する。流入孔121の径は、後述するバルブ140の前壁部142の外径よりも小さく形成される。流入孔121は、貫通孔111と軸線が重複するように形成される。流入孔121は、後述するように、ハウジング110の外部のオイルを内部(後述する内部側空間R1)へと流入させる。
こうして、貫通孔111の前部には、流入部120と後述する隔壁部130とにより前後方向に区画された所定の空間(内部側空間R1)が形成される。内部側空間R1には、流出孔112の一端部(上流側端部)が接続されている。また、貫通孔111の前後方向略中央部には、隔壁部130と絞り部116とにより前後方向に区画される所定の空間(外部側空間R2)が形成される。外部側空間R2は、内部側空間R1の後方に隣接するように形成される。外部側空間R2には、ドレイン孔113の一端部(上流側端部)が接続されている。ここで、前記内部側空間R1は、ハウジング110内において、隔壁部130によって区画された前方側(内部側)の空間であり、前記外部側空間R2は、ハウジング110内において、内部側空間R1を基準として隔壁部130を隔てた外部側(後方側)の空間である。
図2、図3及び図9に示す隔壁部130は、ハウジング110の内部を区画する部材である。具体的には、隔壁部130は、ハウジング110の内部を、上述の如く前後方向に隣接する内部側空間R1と外部側空間R2とに区画する。隔壁部130は、略円筒状に形成される。隔壁部130は、軸線方向を前後方向へ向けて配置される。隔壁部130は、弁座部131と、突部132と、隔壁連通路133と、を具備する。
図3に示す弁座部131は、略円環状に形成された板状の部分である。弁座部131は、厚さ方向を前後方向に沿わせて配置される。弁座部131の外径は、貫通孔111の段差部115の直ぐ前方の内径と略同一に形成される。当該弁座部131は、段差部115の前方に、当該段差部115と前後方向に当接するように配置される。
突部132は、弁座部131から前方側(軸線方向の一側)に向けて突出する円柱状の部分である。突部132は、外径が弁座部131の外径よりも小さくなるように形成される。また、突部132は、ハウジング110内において貫通孔111と軸線が重複するように、弁座部131の正面視中央(軸線方向視中央)から突出するように形成される。
隔壁連通路133は、隔壁部130の前側と後側と(すなわち、内部側空間R1と外部側空間R2と)を連通する。隔壁連通路133は、外部側連通路134と、内部側連通路137と、を具備する。外部側連通路134及び内部側連通路137は、互いに連通すると共に、外部側連通路134が外部側空間R2に連通し、内部側連通路137が内部側空間R1に連通する。また、外部側連通路134は、隔壁テーパ部135を具備する。隔壁テーパ部135は、隔壁連通路133の後部にテーパ状に形成された部分である。なお、隔壁連通路133の構成についての詳細な説明は後述する。
図2及び図3に示すバルブ140は、前後方向へ往復動自在に形成されるものである。バルブ140は、筒状部141及び前壁部142を具備する。
図3に示す筒状部141は、略円筒状に形成された部材である。筒状部141は、軸線方向を前後方向へ向けて配置される。筒状部141の外径は、貫通孔111(具体的には、内部側空間R1を区画する部分)の内径と略同一に形成される。筒状部141の内径は、流入孔121の内径よりも若干大きく形成される。筒状部141の前後方向の長さは、前後方向において流出孔112と隔壁部130との間の長さよりも若干短く形成される。筒状部141は、外周溝143を具備する。
図3に示す外周溝143は、筒状部141の外周面から内径方向に凹状に形成された部分(溝)である。外周溝143は、筒状部141の前部に形成される。外周溝143の前後方向の長さ(幅)は、流出孔112の前後方向の長さ(径)よりも若干長く形成される。外周溝143は、筒状部141の周方向に沿って、略円環状に形成される。
図3に示す前壁部142は、略円環状に形成された板状の部材である。前壁部142は、筒状部141の前側を覆うように形成される。前壁部142は、板面を前後方向へ向けて配置される。前壁部142は、前壁流入孔144を具備する。
図3に示す前壁流入孔144は、前壁部142を前後方向に貫通する孔である。前壁流入孔144は、バルブ140(より詳細には、前壁部142)の前側と後側とを連通する。すなわち、前壁流入孔144は、内部側空間R1内における後述するオイル流通空間R1bと油圧制御空間R1aとを連通する。前壁流入孔144は、正面視(軸線方向視)で略円形状に形成される。前壁流入孔144は、バルブ140の前壁部142の正面視中央に形成されている。
こうして、バルブ140は、筒状部141及び前壁部142により、前側が閉塞されると共に後側が開口された有底筒状に形成される。バルブ140は、軸線方向を前後方向へ向けて、内部側空間R1に配置される。バルブ140は、貫通孔111と軸線が重複するよう形成される。バルブ140は、内部側空間R1に対して前後方向に往復動自在に構成される。
なお、開弁状態である場合、図3に示すように、バルブ140は、最も後方へ移動した位置に配置される。バルブ140が最も後方に配置されると(開弁状態であると)、当該バルブ140は隔壁部130と当接される。また、バルブ140の前端部(前壁部142)は、前後方向において流出孔112の後方に配置される。
また、バルブ140は、内部側空間R1の内部を、前壁部142よりも後方の空間(バルブ140の内部の空間)と、前壁部142よりも前方の空間(バルブ140の外部の空間)と、に区画する。以下では、内部側空間R1のうちバルブ140の内部の空間を、「油圧制御空間R1a」と称する。また、内部側空間R1のうちバルブ140の外部の空間を、「オイル流通空間R1b」と称する。このように、オイル流通空間R1bと油圧制御空間R1aとは、バルブ140の前壁部142を介して前後方向に隣接して形成される。
なお、オイル流通空間R1bは、流出孔112と接続された空間である。また、油圧制御空間R1aは、流出孔112と接続されない空間である。
図2及び図3に示すスプリング150は、金属製の圧縮コイルスプリングである。スプリング150は、圧縮された状態で、バルブ140の内側(油圧制御空間R1aの内部)に配置される。より詳細には、スプリング150は、バルブ140の前壁部142と隔壁部130との間に配置される。スプリング150は、後端が隔壁部130の突部132に嵌装される。こうして、スプリング150は、バルブ140を常に前方へ付勢している。
図2及び図4に示すソレノイド部160は、バルブ140を移動させるためのものである。ソレノイド部160は、ハウジング110の後部に形成される。ソレノイド部160は、ケース161、ボビン162、コイル163、プランジャ164、シャフト165及びスプリング166を具備する。
図4に示すケース161は、ソレノイド部160を構成する種々の部材を収容するものである。ケース161は、第一ケース161a及び第二ケース161bを具備する。第一ケース161aは、後端部が閉塞された略円筒状に形成される。第二ケース161bは、第一ケース161aの外側で、略円筒状に形成される。第一ケース161a及び第二ケース161bは、互いに接続されて一体的に形成される。
図4に示すボビン162は、略円筒状に形成される部材である。ボビン162は、ケース161の第二ケース161bの内部に収容される。ボビン162は、前端部及び後端部に外径方向に延びるフランジを具備する。
図4に示すコイル163は、銅線によって構成される。コイル163は、ボビン162の外周面に嵌装される。コイル163は、図示せぬ電源と接続される。コイル163は、前記電源からの電流によって磁界を発生させることができる。
図4に示すプランジャ164は、略円筒状に形成される部材である。プランジャ164は、貫通孔111の後部(より詳細には、絞り部116よりも後方の部分)であって、コイル163の内側に配置される。プランジャ164の後部は、ケース161の第一ケース161aの内部に収容される。プランジャ164は、貫通孔111と軸線が重複するように形成される。プランジャ164は、前後方向に往復動自在に配置される。プランジャ164は、コイル163によって磁界が発生すると、吸引されて貫通孔111の後部を前方へ摺動する。プランジャ164は、プランジャテーパ部167を具備する。
図4に示すプランジャテーパ部167は、テーパ状に形成された部分である。プランジャテーパ部167は、プランジャ164の前部の外周面に形成される。プランジャテーパ部167は、後方から前方(前端部)に行くに従って縮径することにより先細り状に形成される。プランジャテーパ部167は、側面断面視において貫通孔テーパ部117と略同一の方向に沿って延びる傾斜面となるように形成される。
なお、開弁状態である場合、図4に示すように、プランジャ164は、貫通孔111の後部において、最も後方へ移動した位置に配置される。プランジャ164が最も後方に配置されると(開弁状態であると)、当該プランジャ164の後端部は第一ケース161aの後端部と当接される。なお、この状態においては、プランジャ164のプランジャテーパ部167は、貫通孔111の貫通孔テーパ部117と離間した状態となる。
図3及び図4に示すシャフト165は、略円柱状の部材である。シャフト165は、軸線方向を前後方向へ向けて配置される。シャフト165の前後方向略中央部は、貫通孔111の絞り部116の内側に配置される。シャフト165の外径は、貫通孔111の絞り部116の内径と略同一に形成される。こうして、シャフト165は、絞り部116により前後方向に摺動自在に支持される。シャフト165の後端部は、貫通孔111の後部に配置され、プランジャ164に固定される。こうして、シャフト165は、プランジャ164の摺動と共に前後方向に摺動可能に構成される。
また、シャフト165の前端部は、前方へ向けて凸となる曲面状に形成される。シャフト165の前端部は、当該シャフト165の摺動にかかわらず常に外部側空間R2に配置される。シャフト165の前端部は、隔壁部130の隔壁テーパ部135と前後方向に対向するように形成される。なお、開弁状態である場合、シャフト165の前端部は、隔壁部130の隔壁テーパ部135と前後方向に離間した状態(開放状態)で配置される。
図4に示すスプリング166は、金属製の圧縮コイルスプリングである。スプリング166は、圧縮された状態で、絞り部116とプランジャ164との間に配置される。こうして、スプリング166は、プランジャ164を常に後方へ付勢する。なお、開弁状態である場合、スプリング166の付勢力によって、プランジャ164は最も後方へ移動した位置(プランジャ164の後端部が第一ケース161aの後端部と当接された状態)に配置される。
図2及び図4に示すプラグ170は、略円環状に形成される部材である。プラグ170は、軸線方向を前後方向へ向けて配置される。プラグ170は、ハウジング110に後方から圧入され、当該ハウジング110によってかしめられて固定される。これによって、プラグ170は、ハウジング110に取り付けられる。プラグ170は、ハウジング110に取り付けられると、ソレノイド部160を後方から支持すると共に、貫通孔111を後方から閉塞する。
上述の如く構成されたバルブ装置100は、図2に示すように、オイル通路15に配置される。具体的には、バルブ装置100は、その前部がオイル通路15の中途部に挿入された状態で、当該オイル通路15が設けられている所定の壁部(以下では「壁部200」と称する)に取り付けられる。なお以下では、オイル通路15のうち、バルブ装置100よりも上流側に配置される部分を、上流側通路15aと称する。また、オイル通路15のうち、バルブ装置100よりも下流側(ピストンジェット16側)に配置される部分を、下流側通路15bと称する。
バルブ装置100がオイル通路15に配置されると、上流側通路15aの下流側(後側)端部が当該バルブ装置100のハウジング110の前端部と接続される。なお、ハウジング110の前端部には、流入部120が配置されている。ここで、流入部120の流入孔121は、上述の如くハウジング110の内部(より詳細には、内部側空間R1)と外部とを連通するものである。すなわち、上流側通路15aと内部側空間R1とは、流入部120の流入孔121を介して連通されている。
また、バルブ装置100がオイル通路15に配置されると、下流側通路15bの上流側(下側)端部が当該バルブ装置100のハウジング110の前上部と接続される。なお、ハウジング110の前上部には、合計4つ設けられた流出孔112のうち1つ(上側)の流出孔112が配置されている。ここで、流出孔112は、上述の如くハウジング110の内部(内部側空間R1)と外部とを連通するものである。すなわち、下流側通路15bと内部側空間R1とは、流出孔112を介して連通されている。
このように、上流側通路15a(オイル通路15)と、バルブ装置100の内部側空間R1と、下流側通路15b(オイル通路15)とは、互いに連通されている。
また、バルブ装置100がオイル通路15に配置されると、壁部200に形成されたドレイン通路210の上流側(上側)端部が、当該バルブ装置100のハウジング110の前後方向略中央下部と接続される。なお、ハウジング110の前後方向略中央下部には、2つ設けられたドレイン孔113のうち一方(下側)のドレイン孔113が配置されている。ここで、ドレイン孔113は、上述の如くハウジング110の内部(外部側空間R2)と外部とを連通するものである。すなわち、バルブ装置100の外部側空間R2とドレイン通路210とは、ドレイン孔113を介して連通されている。
なお、バルブ装置100がオイル通路15に配置されると、4つ設けられた流出孔112のうち他(下側、左側及び右側)の流出孔112、及び2つ設けられたドレイン孔113のうち他方(上側)のドレイン孔113と対向する部分には、壁部200の壁面が配置される。
こうして、下側、左側及び右側の流出孔112からハウジング110の外部へと流出されたオイルは、鉢巻溝112aを介して、上側の流出孔112側へと流通される。これによって、下側、左側及び右側の流出孔112から流出されたオイルは、上側の流出孔112から流出されたオイルと共に、下流側通路15bへと流通される。また、上側のドレイン孔113からハウジング110の外部へと流出されたオイルは、鉢巻溝113aを介して、一方の(下側)のドレイン孔113側へと流通される。これによって、上側のドレイン孔113から流出されたオイルは、下側のドレイン孔113から流出されたオイルと共に、ドレイン通路210へと流通される。
以下では、図1、図4及び図5を用いて、開弁状態である場合の、バルブ装置100におけるオイルの流通態様、及びバルブ140に作用する荷重について説明する。
開弁状態である場合、上流側通路15aを流通するオイルは、流入部120の流入孔121を介してバルブ装置100の内部(内部側空間R1)に流入する。なお、開弁状態である場合、流入部120と隣接する空間(内部側空間R1)は、前壁部142よりも前方の空間(バルブ140の外部の空間)である。すなわち、流入孔121を介して内部側空間R1に流入したオイルは、当該内部側空間R1のうち、オイル流通空間R1bに流入することとなる。
また、オイル流通空間R1bに流入したオイルの一部は、前壁流入孔144を介してバルブ140の内部(油圧制御空間R1a)に流入する。ここで、開弁状態である場合、シャフト165は、隔壁テーパ部135と離間した状態で配置されている。すなわち、油圧制御空間R1aと外部側空間R2とは、シャフト165と隔壁テーパ部135との間を介して、連通されている。したがって、油圧制御空間R1aに流入したオイルは、外部側空間R2に流入する。外部側空間R2に流入したオイルは、ドレイン孔113を介して外部へドレインされる。
このように、開弁状態である場合、油圧制御空間R1aに流入したオイルはドレインされることになるため、当該油圧制御空間R1aの内部の油圧は上昇し難い。具体的には、開弁状態である場合、油圧制御空間R1aの内部の油圧(後述する油圧P2)は、上流側通路15aから供給される油圧(後述する油圧P1)よりも小さくなる。
なお、以下では、上流側通路15aから供給される油圧(供給油圧)を油圧P1と称し、当該油圧P1によりバルブ140に作用する荷重を荷重Fp1と称する。荷重Fp1は、バルブ140を後方へ押圧するように作用する。また、油圧制御空間R1aの内部のオイルの圧力(制御空間内圧力)を油圧P2と称し、当該油圧P2によりバルブ140に作用する荷重を荷重Fp2と称する。荷重Fp2は、バルブ140を前方へ押圧するように作用する。また、スプリング150によりバルブ140に作用する荷重を荷重Fspと称する。荷重Fspは、バルブ140を前方へ押圧するように作用する。
こうして、開弁状態である場合、油圧P1によりバルブ140に作用する荷重Fp1と、油圧P2によりバルブ140に作用する荷重Fp2と、スプリング150によりバルブ140に作用する荷重Fspとは、以下の数式1の関係を満たすこととなる。
(数1)
荷重Fp1>荷重Fp2+荷重Fsp
この数式1の関係を満たした状態において、バルブ140は、摺動可能な範囲の最も後方に位置すると共に、この位置が維持される。
また、開弁状態である場合、流出孔112がオイル流通空間R1bと連通した状態であるため、オイル流通空間R1bに流入したオイルの一部(油圧制御空間R1aに流入するオイル以外のオイル)は、流出孔112を介して下流側通路15bに流出する。
以上のように、開弁状態である場合、バルブ装置100は、供給された一部のオイルをドレインする一方で、残りのオイルを下流側(ピストンジェット16)へと送る。
以下では、図6から図8を用いて、開弁状態から閉弁状態へと切り替える場合の、バルブ装置100におけるバルブ140の動作、オイルの流通態様、及びバルブ140に作用する荷重について説明する。
開弁状態から閉弁状態へと切り替える場合、前記電源からソレノイド部160のコイル163に電流が供給される。コイル163に電流が供給されると、コイル163は磁界を発生させる。図6に示すように、磁界が発生すると、プランジャ164は、前方へ吸引され、スプリング166の付勢力に抗って貫通孔111の後部を前方へ摺動する。なお、プランジャ164の前方への摺動は、後述するように、シャフト165が隔壁部130の隔壁テーパ部135に当接すると終了する。
また、図7に示すように、プランジャ164が前方へ摺動すると、当該プランジャ164に固定されたシャフト165も同様に前方へ摺動する。シャフト165の前方への摺動は、当該シャフト165が隔壁部130の隔壁テーパ部135に当接した状態(閉鎖状態)になると終了する。こうして、シャフト165が隔壁部130の隔壁テーパ部135に当接すると、隔壁連通路133がシャフト165によって閉塞される。すなわち、油圧制御空間R1a(内部側空間R1)と外部側空間R2との連通が解消される。
このように、油圧制御空間R1aと外部側空間R2との連通が解消されると、油圧制御空間R1aに流入したオイルはドレインされない。こうして、油圧制御空間R1aの内部の油圧P2は上昇し易くなる。具体的には、油圧制御空間R1aの内部の油圧P2は、上流側通路15aから供給される油圧P1と略同一となる。
こうして、図8に示すように、油圧制御空間R1aの内部の油圧P2が、上流側通路15aから供給される油圧P1と略同一となり、油圧P1によりバルブ140に作用する荷重Fp1と、油圧P2によりバルブ140に作用する荷重Fp2と、スプリング150によりバルブ140に作用する荷重Fspとが、以下の数式2の関係を満たした場合に、バルブ140は、摺動可能な範囲の最も後方の位置から前方へと摺動を開始する。
(数2)
荷重Fp1<荷重Fp2+荷重Fsp
この数式2の関係を満たした状態において、バルブ140は、前方へと摺動した後、摺動可能な範囲の最も前方(バルブ140の前壁部142が流入部120と当接した位置)に位置すると共に、この位置が維持される。
このように、開弁状態から閉弁状態へと切り替えると、前壁部142よりも前方の空間(バルブ140の外部の空間)が無くなるため、流入部120と隣接する空間(内部側空間R1)は、前壁部142よりも後方の空間(バルブ140の内部の空間)となる。すなわち、閉弁状態である場合、内部側空間R1において、オイル流通空間R1bが無くなり、油圧制御空間R1aだけが存在することとなる。ここで、油圧制御空間R1aは、流出孔112と接続されない空間である。すなわち、上流側通路15aを流通するオイルは、下流側通路15bに流出しない。
以上のように、開弁状態から閉弁状態へと切り替えると(閉弁状態である場合)、バルブ装置100は、供給されたオイルをドレインせず、また下流側(ピストンジェット16)へも送らない。
以下では、閉弁状態から開弁状態へと切り替える場合の、バルブ装置100におけるバルブ140の動作、オイルの流通態様、及びバルブ140に作用する荷重について説明する。
閉弁状態から開弁状態へと切り替える場合、前記電源からソレノイド部160のコイル163への電流の供給が停止される。コイル163への電流の供給が停止されると、コイル163から発生されていた磁界が消失する。磁界が消失すると、プランジャ164は、スプリング166の付勢力に応じて貫通孔111の後部を後方へ摺動する。プランジャ164の後方への移動は、プランジャ164の後端部が第一ケース161aの後端部と当接すると終了する(図4参照)。
また、プランジャ164が後方へ摺動すると、当該プランジャ164に固定されたシャフト165も同様に後方へ摺動する。シャフト165が後方へ摺動すると、シャフト165が隔壁部130の隔壁テーパ部135から離間することとなる(図3参照)。こうして、シャフト165が隔壁部130の隔壁テーパ部135から離間すると、油圧制御空間R1a(内部側空間R1)と外部側空間R2とが連通される。したがって、油圧制御空間R1aの内部のオイルは、シャフト165と隔壁テーパ部135との間を介して、外部側空間R2に流入する。外部側空間R2に流入したオイルは、ドレイン孔113を介して外部へドレインされる。
このように、油圧制御空間R1a(内部側空間R1)と外部側空間R2とが連通されると、油圧制御空間R1aに流入したオイルはドレインされる。こうして、油圧制御空間R1aの内部の油圧P2は下降し易くなる。具体的には、油圧制御空間R1aの内部の油圧P2は、上流側通路15aから供給される油圧P1と略同一の状態から、当該油圧P1よりも小さくなる。
こうして、油圧制御空間R1aの内部のオイルの油圧P2が、上流側通路15aから供給される油圧P1よりも小さくなると、油圧P1によりバルブ140に作用する荷重Fp1と、油圧P2によりバルブ140に作用する荷重Fp2と、スプリング150によりバルブ140に作用する荷重Fspとは、上述の如き数式1の関係を満たすこととなる。
すなわち、この数式1の関係を満たした状態において、バルブ140は、後方へと摺動した後、摺動可能な範囲の最も後方に位置すると共に、この位置が維持される。
なお、バルブ140の後方への移動に伴って、流入部120と隣接する空間として、前壁部142よりも前方の空間(オイル流通空間R1b)が形成される。すなわち、バルブ140の後方への移動に伴って、流入孔121がオイル流通空間R1bを介して流出孔112と連通される。こうして、オイル流通空間R1bに流入したオイルの一部(油圧制御空間R1aに流入するオイル以外のオイル)は、流出孔112を介して下流側通路15bに流出する。
以上のように、閉弁状態から開弁状態へと切り替えると(開弁状態である場合)、バルブ装置100は、供給された一部のオイルをドレインする一方で、残りのオイルを下流側(ピストンジェット16)へと送る。
ここで、閉弁状態から開弁状態へと切り替える際、オイルの温度(粘度)によっては以下で述べるような問題が生じるおそれがある。
例えば、閉弁状態から開弁状態へと切り替えるためにソレノイド部160への電流の供給が停止され、シャフト165が隔壁部130の隔壁テーパ部135から離間した場合を想定する。
この場合、前述のように油圧制御空間R1aが隔壁連通路133を介して外部側空間R2と連通され、当該油圧制御空間R1aの内部の油圧P2は低下する。また、当該油圧制御空間R1aには、前壁流入孔144を介してオイルが流入してくる。
この際、オイルの温度(粘度)によっては、前壁流入孔144を介して当該油圧制御空間R1aに流入してくる際に縮流が発生する場合がある。当該縮流によって流速が増加したオイルが、その勢いのまま隔壁連通路133を介して外部側空間R2へと流出してしまうと、油圧制御空間R1aの内部の油圧P2は低下してしまう。油圧制御空間R1aの内部の油圧P2が低下すると、当該油圧P2によりバルブ140に作用する荷重Fp2も低下してしまう。
前記数式1から分かるように、荷重Fp2が低下すると、油圧P1によりバルブ140に作用する荷重Fp1が低くても当該数式1を満たすようになる。すなわち、油圧P1(荷重Fp1)が低くても、バルブ140が後方に摺動して開弁状態となる。
このように、油圧P1(荷重Fp1)が低くても開弁状態となる(開弁圧が低下する)と、バルブ装置100の開弁状態と閉弁状態の切り替えが適切に行われず、問題が生じる。
そこで、本実施形態においては、上述の如き問題が生じるのを回避するための構成を有している。なお、当該構成には、隔壁部130の隔壁連通路133、及びバルブ140の前壁流入孔144の構成が含まれる。
以下では、図3及び図9を用いて、隔壁部130の隔壁連通路133の構成について詳細に説明する。
隔壁連通路133は、上述の如く隔壁部130の内部側空間R1と外部側空間R2とを連通する経路である。また、隔壁連通路133は、上述の如く外部側連通路134と、内部側連通路137と、を具備している。
外部側連通路134は、外部側空間R2に連通する経路である。外部側連通路134は、貫通孔111の軸線方向(前後方向)に沿って形成される。外部側連通路134は、貫通孔111と軸線が重複するように形成される。また、外部側連通路134は、上述した隔壁テーパ部135と、外部側開口136と、を具備する。
隔壁テーパ部135は、外部側連通路134の後部に形成される。隔壁テーパ部135は、後端部から前方に行くに従って縮径することにより先細り状に形成される。隔壁テーパ部135は、貫通孔111と軸線が重複するように形成される。
外部側開口136は、外部側連通路134が外部側空間R2に対して開口する部分である。外部側開口136は、前後方向に開口している。外部側開口136は、外部側連通路134(隔壁テーパ部135)の後端において開口している。外部側開口136は、正面視(軸線方向視)で略円形状に形成される。また、外部側開口136は、弁座部131の正面視中央に形成されている。外部側開口136は、バルブ140の前壁流入孔144と同軸上に(前壁流入孔144と軸線が重複するように)開口している。
内部側連通路137は、内部側空間R1に連通する経路である。内部側連通路137は、外部側連通路134の前端において接続されている。本実施形態においては、内部側連通路137は、軸線方向(前後方向)とは異なる方向に沿って形成されている。本実施形態においては、内部側連通路137は、前後方向に直交する方向(上下方向)に沿って形成されている。また、内部側連通路137は、複数設けられている。本実施形態においては、外部側連通路134の前端から上下方向に沿って同軸上に延びるように2つの内部側連通路137を設けている。また、内部側連通路137は、内部側開口138を具備する。
内部側開口138は、内部側連通路137が内部側空間R1に対して開口する部分である。本実施形態においては、内部側開口138は、外部側連通路134から上下に延びる2つの内部側連通路137の先端において上下方向に開口している。これにより、上下の内部側開口138が、外部側開口136とは、ハウジング110の径方向にずれた位置に形成される(正面視、外部側開口136とは異なる位置に開口する)。
本実施形態においては、内部側開口138は、突部132の側面に形成されている。内部側開口138は、上下方向視、略円形状に形成される。また、内部側開口138は、孔径(直径)が、外部側開口136の孔径よりも小さく形成される。また、本実施形態においては、突部132の前面(突出方向先端面)には、内部側開口138は形成されず、当該前面は、平坦な壁面とされている。また、本実施形態においては、複数の内部側開口138を、外部側開口136の軸線を中心として互いに対称な位置に形成している。なお、本実施形態では、内部側開口138を上下に開口させた例を示しているが、当該内部側開口138の開口方向に限定するものではなく、突部132の側面に内部側開口138が形成されていればよい。
なお、本実施形態に係る隔壁連通路133(外部側連通路134及び内部側連通路137)は、一例であり、これに限定されるものでない。隔壁連通路133は、外部側開口136と内部側開口138とを連通するものであればよく、種々の連通路の向き、流路面積、断面形状等とすることが考えられる。
また、本実施形態では、前壁流入孔144の断面積(開口面積)よりも隔壁連通路133における最小の断面積(開口面積)が、大きくなるように形成されている。ここで、隔壁連通路133が複数方向に分岐している場合は、分岐した複数の連通路(内部側連通路137)のそれぞれの径が最小となる部分の断面積の合計と、分岐元の連通路(外部側連通路134)の径が最小となる部分の断面積と、のうちの小さい方が、隔壁連通路133における最小の断面積となる。
このように、バルブ140の前壁流入孔144と同軸上に形成された外部側開口136を前後方向に開口させる一方、内部側開口138を、正面視、外部側開口136とは異なる位置に開口するように形成することで、前壁流入孔144を介して油圧制御空間R1aに流入してくるオイルの勢いを抑えることができる。具体的には、図10に示すように、バルブ140の前壁流入孔144の位置と、内部側開口138の位置と、がハウジング110の貫通孔の径方向にずれているので、前壁流入孔144を介して油圧制御空間R1aに流入してくるオイルの流速が大きかったとしても、当該オイルは後方へ直進し、隔壁部130の突部132の前面に一旦衝突し、流れの向きを変えて、内部側開口138を介して内部側連通路137に流入することになる。また、内部側連通路137から外部側連通路134に流入するオイルは、再度、前後方向に沿うように流れの向きを変えて、外部側開口136から流出する。また、本実施形態においては、隔壁連通路133において上下方向に沿って同軸上に形成された2つの内部側連通路137の出口側(外部側連通路134側)の開口が、互いに対向するように形成されている。これにより、内部側連通路137の出口側の開口を介して、外部側連通路134に流入するオイルが、互いに衝突することで、オイルの流速を低下させることができる。
このように、前壁流入孔144を介して当該油圧制御空間R1aに流入してきたオイルの流通方向を変化させることで、当該オイルが大量に外部側空間R2へと流出するのを防止することができる。これによって、油圧制御空間R1aの内部の油圧Pの低下を抑制し、ひいては開弁圧の低下を抑制することができる。
以上の如く、本実施形態に係るバルブ装置100は、
前側(軸線方向の一側)に設けられてオイルを内部へ流入させる流入孔121と、前記流入孔121よりも後側(前記軸線方向の他側)に設けられてオイルを外部へと流出させる流出孔112と、を有する筒状のハウジング110と、
前記流入孔121から離間して当該流入孔121の後側に設けられ、前記流入孔121との間に前記流出孔112と接続される内部側空間R1(第一空間)を区画すると共に、前記内部側空間R1と外部とを連通可能な隔壁連通路133(区画部連通路)を有し、当該隔壁連通路133の外部側開口136が前後方向(前記軸線方向)に開口する一方、内部側開口138(第一空間側開口)が正面視(軸線方向視)、前記外部側開口136とは異なる位置に開口するように形成された隔壁部130(区画部)と、
内部側空間R1内に前後方向へ往復動自在に設けられると共に前記隔壁部130との間に油圧制御空間R1a(第二空間)を区画し、前記流入孔121と前記油圧制御空間R1aとを連通可能であり、前記外部側開口136と同軸上に開口する前壁流入孔144(バルブ連通孔)が正面視中央に形成されたバルブ140と、
前記バルブ140を前側(前記軸線方向の一側)へ向けて付勢するスプリング150(付勢手段)と、
前記隔壁連通路133を開閉することにより前記バルブ140を前後方向へ移動させ、当該バルブ140によって前記流出孔112を開閉させるソレノイド部160(開閉手段)と、
を具備するものである。
このように構成することにより、制御性を向上させることができる。すなわち、前壁流入孔144をバルブの正面視中央に形成する一方、隔壁連通路133の内部側開口138を正面視、外部側開口136とは異なる位置に開口するように形成したことで、前壁流入孔144の軸線方向に沿うオイルの下流側の延長線上に内部側開口138が位置しないので、前壁流入孔144を介して流入してくるオイルが隔壁部130の突部132の前面に一旦衝突し、流れの向きを変えて、内部側開口138に流入する。これにより、当該前壁流入孔144から流入してくるオイルの勢いを抑え、隔壁連通路133から流出するオイルの量を抑制することができる。これによって、油圧制御空間R1aの内部の油圧の低下を抑制し、ひいては開弁圧の低下を抑制することができる。
また、例えば、前壁流入孔144を介して油圧制御空間R1aに流入してくるオイルが、そのまま外部へとドレインされることを抑制し、制御性を向上させるべく、隔壁部の軸線方向視中央に、軸線方向に貫通する貫通孔を形成し、当該貫通孔に対して同軸上に配置されたバルブを具備するバルブ装置において、前記貫通孔に対して軸径方向にオフセットした位置に前記バルブの前壁流入孔を形成するようなことも考えられる。当該構成とした場合、バルブの軸線方向視中心に前壁流入孔が位置しないことから、オイルの油圧を受けて軸線方向へ移動するバルブに対して、当該バルブが傾くような力が作用し、開弁圧のばらつきが生じることが考えられる。
本実施形態においては、上述したような構成とは異なり、前壁流入孔144をバルブ140の正面視中央に形成しているので、バルブ140に対して軸線方向の油圧が略均一にかかるものとすることができる。これにより、開弁圧の低下を抑制することを可能としながらも、開弁圧のばらつきを抑制することができる。
また、隔壁部130は、
前記ハウジング110内において前記前側に向けて突出する突部132を具備し、
前記突部132の側面に前記内部側開口138が形成されているものである。
このように構成することにより、ハウジング110内部に異物が溜まることを抑制することができる。すなわち、内部側開口138を突部132の側面に形成しているので、突部132の側方にオイルを流通させることができ、隔壁部130とハウジング110とによって形成される隅部に、異物が溜まることを抑制することができる。
また、隔壁連通路133は、
内部側開口138が複数設けられているものである。
このように構成することにより、異物によりオイルの流出が阻害されることを抑制することができる。すなわち、異物により隔壁連通路133の複数の内部側開口138のうちいずれかが詰まった場合でも、オイルの流出が阻害されることを抑制することができる。
なお、内部側空間R1は、第一空間の実施の一形態である。
また、内部側開口138は、第一空間側開口の実施の一形態である。
また、隔壁連通路133は、区画部連通路の実施の一形態である。
また、隔壁部130は、区画部の実施の一形態である。
また、油圧制御空間R1aは、第二空間の実施の一形態である。
また、前壁流入孔144は、バルブ連通孔の実施の一形態である。
また、スプリング150は、付勢手段の実施の一形態である。
また、ソレノイド部160は、開閉手段の実施の一形態である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、隔壁部130を、突部132の側面に内部側開口138が形成されたものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、図11に示す第二実施形態のように、隔壁部130を、突部132の前面(突出方向先端面)に内部側開口138が形成されたものとすることも可能である。
第二実施形態に係る隔壁部130は、内部側連通路137が軸線方向に対して斜め方向に沿って形成されている。また、内部側連通路137は、外部側連通路134から、斜め上方向及び斜め下方向に延びるように2つ形成されている。
内部側開口138は、開口中心が、正面視、外部側開口136の開口中心とは、ハウジング110の径方向にずれた位置に形成される(内部側開口138が、正面視、外部側開口136とは異なる位置に開口するように形成される)。本実施形態においては、内部側開口138は、突部132の前面において、当該突部132の正面視中央の上下に開口している。
また、本実施形態においては、内部側開口138を2つ設けた例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、内部側開口138を3つ以上設けてもよく、1つの内部側開口138を設けた構成としてもよい。
また、本実施形態に係るバルブ装置100は、ピストンジェット16にオイルを供給するための通路(オイル通路15)に設けられるものとしたが、オイルによる潤滑を必要とするような他の潤滑部(例えば、カム等)にオイルを供給するための通路に設けられていてもよい。
また、本実施形態に係るバルブ装置100は、エンジン1のオイルの供給を制御するものとしたが、これに限定されない。バルブ装置100が制御する流体の種類は、オイル以外の水等の液体や蒸気等の気体であってもよい。
また、本実施形態に係るバルブ装置100は、コイル163に電流が供給されたとき(通電時)に閉弁状態とすると共に、コイル163に電流が供給されていないとき(非通電時)に開弁状態に切り替えるものとしたが、これに限定されるものでない。例えば、バルブ装置100は、コイル163に電流が供給されたとき(通電時)に開弁状態とすると共に、コイル163に電流が供給されていないとき(非通電時)に閉弁状態に切り替えるものであってもよい。
また、本実施形態に係るスプリング150は、金属製の圧縮コイルスプリングであるとしたが、これに限定されるものでない。スプリング150(付勢手段)は、バルブ140を付勢するものであれば、例えばゴム等の弾性体等であってもよい。
また、本実施形態に係るバルブ装置100(開閉手段)は、ソレノイド部160によって隔壁連通路133を開閉するものとしたが、これに限定されるものではない。
1 エンジン
100 バルブ装置
110 ハウジング
112 流出孔
121 流入孔
130 隔壁部
131 弁座部
132 突部
133 隔壁連通路
136 外部側開口
138 内部側開口
140 バルブ
144 前壁部流入孔
150 スプリング
160 ソレノイド部

Claims (4)

  1. 軸線方向の一側に設けられてオイルを内部へ流入させる流入孔と、前記流入孔よりも前記軸線方向の他側に設けられてオイルを外部へと流出させる流出孔と、を有する筒状のハウジングと、
    前記流入孔から離間して当該流入孔の前記他側に設けられ、前記流入孔との間に前記流出孔と接続される第一空間を区画すると共に、前記第一空間と外部とを連通可能な区画部連通路を有し、当該区画部連通路の外部側開口が前記軸線方向に開口する一方、第一空間側開口が軸線方向視、前記外部側開口とは異なる位置に開口するように形成された区画部と、
    前記第一空間内に前記軸線方向へ往復動自在に設けられると共に前記区画部との間に第二空間を区画し、前記流入孔と前記第二空間とを連通可能であり、前記外部側開口と同軸上に開口するバルブ連通孔が軸線方向視中央に形成されたバルブと、
    前記バルブを前記軸線方向の一側へ向けて付勢する付勢手段と、
    前記区画部連通路を開閉することにより前記バルブを前記軸線方向へ移動させ、当該バルブによって前記流出孔を開閉させる開閉手段と、
    を具備するバルブ装置。
  2. 前記区画部は、
    前記ハウジング内において前記軸線方向の一側に向けて突出する突部を具備し、
    前記突部の側面に前記第一空間側開口が形成されている、
    請求項1に記載のバルブ装置。
  3. 前記区画部は、
    前記ハウジング内において前記軸線方向の一側に向けて突出する突部を具備し、
    前記突部の突出方向先端面に前記第一空間側開口が形成されている、
    請求項1に記載のバルブ装置。
  4. 前記区画部連通路は、
    第一空間側開口が複数設けられている、
    請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のバルブ装置。
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