以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図1に示すように、基板液処理システム1Aは、キャリア搬入出部2と、ロット形成部3と、ロット載置部4と、ロット搬送部5と、ロット処理部6と、制御部7とを備える。
このうちキャリア搬入出部2は、複数枚(たとえば、25枚)の基板(シリコンウエハ)8を水平姿勢で上下に並べて収容したキャリア9の搬入及び搬出を行う。このキャリア搬入出部2には、複数個のキャリア9を載置するキャリアステージ10と、キャリア9の搬送を行うキャリア搬送機構11と、キャリア9を一時的に保管するキャリアストック12,13と、キャリア9を載置するキャリア載置台14とが設けられている。ここで、キャリアストック12は、製品となる基板8をロット処理部6で処理する前に一時的に保管する。また、キャリアストック13は、製品となる基板8をロット処理部6で処理した後に一時的に保管する。
そして、キャリア搬入出部2は、外部からキャリアステージ10に搬入されたキャリア9を、キャリア搬送機構11を用いてキャリアストック12やキャリア載置台14に搬送する。また、キャリア搬入出部2は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9を、キャリア搬送機構11を用いてキャリアストック13やキャリアステージ10に搬送する。キャリアステージ10に搬送されたキャリア9は、外部へ搬出される。
ロット形成部3は、1又は複数のキャリア9に収容された基板8を組合せて同時に処理される複数枚(たとえば、50枚)の基板8からなるロットを形成する。なお、ロットを形成するときは、基板8の表面にパターンが形成されている面を互いに対向するようにロットを形成してもよく、また、基板8の表面にパターンが形成されている面がすべて一方を向くようにロットを形成してもよい。このロット形成部3には、複数枚の基板8を搬送する基板搬送機構15が設けられている。なお、基板搬送機構15は、基板8の搬送途中で基板8の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢及び垂直姿勢から水平姿勢に変更させることができる。
そして、ロット形成部3は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9から基板搬送機構15を用いて基板8をロット載置部4に搬送し、ロットを形成する基板8をロット載置部4に載置する。また、ロット形成部3は、ロット載置部4に載置されたロットを基板搬送機構15でキャリア載置台14に載置されたキャリア9へ搬送する。なお、基板搬送機構15は、複数枚の基板8を支持するための基板支持部として、処理前(ロット搬送部5で搬送される前)の基板8を支持する処理前基板支持部と、処理後(ロット搬送部5で搬送された後)の基板8を支持する処理後基板支持部の2種類を有している。これにより、処理前の基板8等に付着したパーティクル等が処理後の基板8等に転着するのを防止する。
ロット載置部4は、ロット搬送部5によってロット形成部3とロット処理部6との間で搬送されるロットをロット載置台16で一時的に載置(待機)する。このロット載置部4には、処理前(ロット搬送部5で搬送される前)のロットを載置する搬入側ロット載置台17と、処理後(ロット搬送部5で搬送された後)のロットを載置する搬出側ロット載置台18とが設けられている。搬入側ロット載置台17及び搬出側ロット載置台18には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて載置される。
そして、ロット載置部4では、ロット形成部3で形成したロットが搬入側ロット載置台17に載置され、そのロットがロット搬送部5を介してロット処理部6に搬入される。また、ロット載置部4では、ロット処理部6からロット搬送部5を介して搬出されたロットが搬出側ロット載置台18に載置され、そのロットがロット形成部3に搬送される。
ロット搬送部5は、ロット載置部4とロット処理部6との間やロット処理部6の内部間でロットの搬送を行う。このロット搬送部5には、ロットの搬送を行うロット搬送機構19が設けられている。ロット搬送機構19は、ロット載置部4とロット処理部6に沿わせて配置したレール20と、複数枚の基板8を保持しながらレール20に沿って移動する移動体21とで構成する。移動体21には、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8を保持する基板保持体22が進退自在に設けられている。
そして、ロット搬送部5は、搬入側ロット載置台17に載置されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、そのロットをロット処理部6に受け渡す。また、ロット搬送部5は、ロット処理部6で処理されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、そのロットを搬出側ロット載置台18に受け渡す。さらに、ロット搬送部5は、ロット搬送機構19を用いてロット処理部6の内部においてロットの搬送を行う。
ロット処理部6は、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8を1ロットとしてエッチングや洗浄や乾燥などの処理を行う。このロット処理部6には、基板8の乾燥処理を行う乾燥処理装置23と、基板保持体22の洗浄処理を行う基板保持体洗浄処理装置24と、基板8の洗浄処理を行う洗浄処理装置25と、基板8のエッチング処理を行う2台の本発明によるエッチング処理装置26とが並べて設けられている。
乾燥処理装置23は、処理槽27と、処理槽27に昇降自在に設けられた基板昇降機構28とを備える。処理槽27には、乾燥用の処理ガス(IPA(イソプロピルアルコール)等)が供給される。基板昇降機構28には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。乾燥処理装置23は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構28で受取り、基板昇降機構28でそのロットを昇降させることで、処理槽27に供給した乾燥用の処理ガスで基板8の乾燥処理を行う。また、乾燥処理装置23は、基板昇降機構28からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受け渡す。
基板保持体洗浄処理装置24は、処理槽29を有し、この処理槽29に洗浄用の処理液及び乾燥ガスを供給できるようになっており、ロット搬送機構19の基板保持体22に洗浄用の処理液を供給した後、乾燥ガスを供給することで基板保持体22の洗浄処理を行う。
洗浄処理装置25は、洗浄用の処理槽30とリンス用の処理槽31とを有し、各処理槽30,31に基板昇降機構32,33を昇降自在に設けている。洗浄用の処理槽30には、洗浄用の処理液(SC−1等)が貯留される。リンス用の処理槽31には、リンス用の処理液(純水等)が貯留される。
エッチング処理装置26は、エッチング用の処理槽34とリンス用の処理槽35とを有し、各処理槽34,35に基板昇降機構36,37が昇降自在に設けられている。エッチング用の処理槽34には、エッチング用の処理液(燐酸水溶液)が貯留される。リンス用の処理槽35には、リンス用の処理液(純水等)が貯留される。
これら洗浄処理装置25とエッチング処理装置26は、同様の構成となっている。エッチング処理装置26について説明すると、基板昇降機構36には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。エッチング処理装置26において、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構36で受取り、基板昇降機構36でそのロットを昇降させることでロットを処理槽34のエッチング用の処理液に浸漬させて基板8のエッチング処理を行う。その後、エッチング処理装置26は、基板昇降機構36からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受け渡す。また、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構37で受取り、基板昇降機構37でそのロットを昇降させることでロットを処理槽35のリンス用の処理液に浸漬させて基板8のリンス処理を行う。その後、基板昇降機構37からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受け渡す。
制御部7は、基板液処理システム1Aの各部(キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6)の動作を制御する。この制御部7は、たとえばコンピュータからなり、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体138を備える。記憶媒体138には、基板液処理システム1Aにおいて実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部7は、記憶媒体138に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板液処理システム1Aの動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体138に記憶されていたものであって、他の記憶媒体から制御部7の記憶媒体138にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体138としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
〔基板液処理装置〕
続いて、図2を参照して、基板液処理システム1Aが含む基板液処理装置A1について詳細に説明する。図2に示すように、基板液処理装置A1は、エッチング処理装置26を含んで構成されている。
エッチング処理装置26は、所定濃度の薬剤(燐酸)の水溶液(例えば88.3重量%の燐酸水溶液)をエッチング用の処理液として用いて基板8を液処理(エッチング処理)する。なお、上述した「88.3重量%」は、処理液の濃度が所定の設定濃度に調整される場合(「濃度一定モード」の場合。詳細は後述)の燐酸水溶液の濃度の一例を示しており、処理液の濃度が変更される場合(「濃度変更モード」の場合。詳細は後述)には、燐酸水溶液の濃度は一定ではなく適宜変更される。エッチング処理装置26は、図2に示すように、処理液貯留部38(貯留部)と、処理液供給部39(濃度上昇促進部)と、処理液循環部40と、処理液排出部41(排出部)とを備える。
処理液貯留部38は、処理液を貯留し基板8を処理する。処理液貯留部38は、上部を開放させた処理槽34の上部周囲に、上部を開放させた外槽42を形成し、処理槽34と外槽42に処理液を貯留する。処理槽34は、基板8を基板昇降機構36によって浸漬させることにより液処理する処理液を貯留する。外槽42は、処理槽34からオーバーフローした処理液を貯留する。外槽42に貯留された処理液は、処理液循環部40によって処理槽34に供給される。外槽42には、液面センサー80が設けられている。液面センサー80は、処理液貯留部38の外槽42における液面高さを検出するセンサーである。液面センサー80としては、液面高さを検出することが可能な各種センサーを用いることができる。以下では、液面センサー80が、電圧値から液面高さを検出するセンサーであるとして説明する。液面センサー80は、検出した液面高さを示す情報を制御部7に出力する。
処理液供給部39は、処理液貯留部38に処理液を供給する。処理液供給部39は、水溶液供給部43と、水供給部44とを備える。水溶液供給部43は、水溶液供給源45と、流量調整器46と、水供給源61と、バルブ62とを有する。
水溶液供給源45は、処理液の濃度が所定の設定濃度に調整される場合(「濃度一定モード」の場合)に処理液貯留部38に貯留された燐酸水溶液よりも濃度が高い燐酸水溶液を供給する。水溶液供給源45は、例えば88.3重量%、25℃の燐酸水溶液を供給する。水溶液供給源45から供給される燐酸水溶液は、流路43aを介して処理液貯留部38に供給される。
流量調整器46は、流路43aにおける水溶液供給源45の下流側に設けられている。流量調整器46は、制御部7に接続されており、制御部7によって開閉制御及び流量制御される。水供給源61は、流路43aに対して所定温度(25℃)の水(純水)を供給する。水供給源61から供給される水は、流路60aを介して流路43a(詳細には、流路43aにおける水溶液供給源45と流量調整器46との間の部分)に供給される。
バルブ62は、流路60aにおける水供給源61の下流側に設けられている。バルブ62は、制御部7に接続されており、制御部7によって開閉制御される。制御部7によってバルブ62が開かれた状態(通常状態)においては、流路60aを介して水供給源61から供給される水が流路43aに流入するため、水溶液供給源45から供給される燐酸水溶液の濃度が低くなり、処理液貯留部38には、処理液の濃度が所定の設定濃度に調整される場合(「濃度一定モード」の場合)に処理液貯留部38に貯留された燐酸水溶液よりも低い濃度の燐酸水溶液(例えば85重量%の燐酸水溶液)が供給される。
一方で、制御部7によってバルブ62が閉められた状態(濃度上昇状態)においては、水供給源61から供給される水が流路43aに流入しないため、水溶液供給源45から供給された高い濃度の燐酸水溶液がそのまま処理液貯留部38に供給される。このように、処理液供給部39の水溶液供給部43は、処理液貯留部38に貯留された燐酸水溶液よりも濃度が高い燐酸水溶液を処理液貯留部38に供給することにより、処理液貯留部38における処理液の濃度上昇を促進させる(詳細は後述)。
水供給部44は、処理液貯留部38に水(純水)を供給する。水供給部44は、所定温度(25℃)の純水を供給するための水供給源47を、処理液貯留部38の外槽42に流量調整器48を介して接続する。流量調整器48は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御及び流量制御される。
処理液循環部40は、外槽42内の処理液を処理槽34に送る。処理液循環部40は、循環流路49と、ポンプ50と、ヒーター51と、フィルター52と、濃度計53とを備える。循環流路49は、処理液貯留部38の外槽42の底部から処理槽34の底部に延びた流路である。循環流路49には、ポンプ50、ヒーター51、フィルター52、及び濃度計53が上流側(外槽42側)から下流側(処理槽34側)に順に設けられている。ポンプ50及びヒーター51は制御部7に接続されており制御部7により駆動制御される。ポンプ50は、処理液を上流側から下流側に圧送する。ヒーター51は、処理液を設定温度(例えば165℃)まで加熱する。フィルター52は、処理液中に混入したパーティクルを除去する。濃度計53は、循環流路49における処理液中の燐酸濃度を測定する。濃度計53は、測定した燐酸濃度を制御部7に出力する。
処理液排出部41は、処理槽34内から処理液を排出する。処理液排出部41は、例えば、排液流路41Aと、バルブ41Bとを有する。排液流路41Aは、処理槽34内の処理液を導出する。排液流路41Aの一端部は処理槽34の底部に接続されており、排液流路41Aの他端部は基板液処理システム1Aの排液管(不図示)に接続されている。バルブ41Bは、排液流路41Aに設けられている。バルブ41Bは、制御部7に接続されており、制御部7によって開閉制御される。
続いて、図3を参照して、エッチング処理装置26を制御する制御部7について詳細に説明する。制御部7は、処理液貯留部38の処理液の濃度が所定の設定濃度に調整される濃度一定モード(濃度一定期間)における第1制御と、処理液貯留部38の処理液の濃度が変更される濃度変更モード(濃度変更期間)における第2制御とを実行する。なお、以下で説明する濃度一定モード及び濃度変更モードとは、いずれも、処理対象である基板8が処理液貯留部38の処理液に浸漬されて処理液により処理される基板処理期間のモードである。すなわち、制御部7は、基板処理期間において、上記第1制御と第2制御とを実行可能に構成されている。また、制御部7は、処理液貯留部38の処理液に基板8が浸漬されていないインターバル期間においては、処理液貯留部38の処理液の濃度を、上記濃度一定モードにおける所定の設定濃度に調節する。
制御部7は、第2制御において、濃度変更前の設定濃度と濃度変更後の設定濃度とを比較し、濃度変更前の設定濃度よりも濃度変更後の設定濃度が低い場合に、処理液の排出が開始されるように処理液排出部41(詳細にはバルブ41B)を制御する。
具体的には、制御部7は、第2制御において、濃度変更前の設定濃度よりも濃度変更後の設定濃度が低い場合であって、且つ、液面センサー80によって検出された液面高さが所定の液面基準値よりも高い場合に、処理液の排出が開始されるように処理液排出部41(詳細にはバルブ41B)を制御する。
また、制御部7は、第2制御において、濃度変更前の設定濃度と濃度変更後の設定濃度とを比較し、濃度変更前の設定濃度よりも濃度変更後の設定濃度が高い場合に、処理液貯留部38における処理液の濃度上昇が促進されるように、処理液供給部39の水溶液供給部43を制御する。
図3は、制御部7の機能的な構成を開示するブロック図である。図3に示すように、制御部7は、機能上の構成(機能モジュール)として、レシピ記憶部71と、水溶液調整部72と、水調整部73と、排液制御部74とを備える。
レシピ記憶部71は、予め設定されたレシピ(作業指示書)を記憶する機能である。レシピ記憶部71は、例えば予めユーザによって設定されたレシピを記憶している。制御部7は、レシピに従って所定の処理(制御)を行う。図4は、レシピRPの一例を示す表である。図4に示すように、レシピRPには少なくとも、ステップ番号と、処理モードと、設定濃度とが設定されている。ステップ番号とは、連続して行われる処理におけるステップ(段階)を一意に特定する情報である。互いに連続するステップ番号(例えば「001」と「002」等)は、互いに連続するステップを示している。また、ステップ番号が小さいステップほど、先に実行されるステップである。図4に示す例では、ステップ番号「001」のステップ、「002」のステップ、「003」のステップ、「004」のステップの順で処理が実行される。
処理モードとは、処理液貯留部38における処理液の濃度調整に関する処理のモードを示す情報である。基板処理期間の処理モードとしては、「濃度一定モード」と「濃度変更モード」とが設定可能とされている。濃度一定モードとは、処理液貯留部38の処理液の濃度が所定の設定濃度に調整されるモードである。濃度変更モードとは、処理液貯留部38の処理液の濃度が変更される(変更可能とされている)モードである。図4に示すように、レシピRPでは、濃度一定モードとしてステップ番号「001」で示されるステップが設定されており、濃度変更モードとしてステップ番号「002」、「003」、「004」でそれぞれ示される複数のステップが設定されている。設定濃度とは、対応するステップにおける処理液の濃度の目標値である。図4に示すように、複数のステップにはそれぞれ個別の設定濃度が設定されている。制御部7は、各ステップにおける濃度が当該設定濃度となるように、水溶液調整部72、水調整部73、及び排液制御部74による各種制御を行う。
水溶液調整部72は、レシピ記憶部71に記憶されたレシピに応じて燐酸水溶液が供給されるように、水溶液供給部43(詳細には流量調整器46及びバルブ62)を制御する。具体的には、水溶液調整部72は、濃度一定モードにおける第1制御と、濃度変更モードにおける第2制御とを行う。水溶液調整部72は、レシピ記憶部71に記憶されたレシピを参照し、現ステップの処理モードが濃度一定モードの場合には第1制御を行い、濃度変更モードの場合には第2制御を行う。
第1制御(水溶液調整部72による第1制御)では、水溶液調整部72は、処理液貯留部38に貯留された燐酸水溶液よりも低い濃度の燐酸水溶液(例えば85重量%の燐酸水溶液)が処理液貯留部38に供給されるように、水溶液供給部43を制御する。具体的には、水溶液調整部72は、水供給源61から供給される水が流路60aを介して流路43aに流入するように、水溶液供給部43のバルブ62を開く。これにより、流路43aには、処理液貯留部38に貯留された燐酸水溶液よりも低い濃度の燐酸水溶液(流路60aを介して流入した水によって濃度が薄まった燐酸水溶液)が流れることとなる。そして、水溶液調整部72は、濃度計53から取得した処理液中の燐酸濃度の測定値と、レシピ記憶部71に記憶されたレシピにおける設定濃度とに基づき、処理液の濃度が設定濃度に近づくように流量調整器46を制御する。すなわち、水溶液調整部72は、処理液の濃度が設定濃度に近づく、適切な流量の燐酸水溶液が流路43aから処理液貯留部38に供給されるように、流量調整器46を制御する。
第2制御(水溶液調整部72による第2制御)では、水溶液調整部72は、所定の条件を満たす場合に、濃度一定モードにおいて処理液貯留部38に貯留された燐酸水溶液よりも高い濃度の燐酸水溶液(例えば93重量%の燐酸水溶液)が処理液貯留部38に供給されるように、水溶液供給部43を制御する。水溶液調整部72は、所定の条件を満たさない場合には、第2制御においても、例えば上述した第1制御と同様の制御を行う。水溶液調整部72は、まず、レシピ記憶部71に記憶されたレシピを参照し、現ステップの設定濃度(濃度変更後の設定濃度)と、1つ前のステップの設定濃度(濃度変更前の設定濃度)とを比較し、1つ前のステップの設定濃度よりも現ステップの設定濃度が低いか否かを判定する。水溶液調整部72は、1つ前のステップの設定濃度よりも現ステップの設定濃度が低くない(現ステップの設定濃度が1つ前のステップの設定濃度以上である)と判定した場合には、液面センサー80から処理液貯留部38の外槽42における処理液の液面高さを取得し、当該液面高さが所定の液面基準値(下限制御開始値)以上であるか否かを判定する。当該液面基準値(下限制御開始値)は、それより液面が下がった場合に温度調整機能が損なわれる液面高さである液面下限値よりも所定のバッファ分だけ高い値とされる。液面基準値は、例えば、処理液貯留部38に基板8を収容する前に液面センサー80で測定された電圧値から導出される液面高さに、処理液貯留部38に収容される基板8の枚数に応じた液面上昇を加えることにより、予め導出されている。
水溶液調整部72は、液面高さが液面基準値(下限制御開始値)以上でない(液面高さが液面基準値よりも低い)と判定した場合には、濃度一定モードにおいて処理液貯留部38に貯留された燐酸水溶液よりも高い濃度の燐酸水溶液(例えば93重量%の燐酸水溶液)が処理液貯留部38に供給されるように、水溶液供給部43を制御する。すなわち、水溶液調整部72は、「現ステップの設定濃度が1つ前のステップの設定濃度以上であり、且つ、液面高さが液面基準値よりも低い」との所定の条件を満たした場合に、濃度一定モードにおいて処理液貯留部38に貯留された燐酸水溶液よりも高い濃度の燐酸水溶液が処理液貯留部38に供給されるように、水溶液供給部43を制御する。
水溶液調整部72は、具体的には、水供給源61から供給される水が流路60aを介して流路43aに流入しないように、水溶液供給部43のバルブ62を閉める。これにより、流路43aには、濃度一定モードにおいて処理液貯留部38に貯留された燐酸水溶液よりも高い濃度の燐酸水溶液が流れることとなる。そして、水溶液調整部72は、所定の流量の燐酸水溶液が流路43aから処理液貯留部38に供給されるように、流量調整器46を制御する。水溶液調整部72は、液面センサー80から取得する処理液の液面高さが、液面基準値(下限制御開始値)以上となるまでは、処理液貯留部38への高濃度燐酸水溶液の供給を継続する。水溶液調整部72は、液面センサー80から取得する処理液の液面高さが液面基準値(下限制御開始値)以上となった場合、濃度計53から取得した処理液中の燐酸濃度が現ステップの設定濃度に到達しているか否かを判定し、到達している場合には第2制御を終了する。水溶液調整部72は、処理液中の燐酸濃度が設定濃度に到達した後は、例えば上述した第1制御を行う。
水調整部73は、レシピ記憶部71に記憶されたレシピに応じて水が供給されるように、水供給部44(詳細には流量調整器48)を制御する。具体的には、水調整部73は、濃度一定モードにおける第1制御と、濃度変更モードにおける第2制御とを行う。水調整部73は、レシピ記憶部71に記憶されたレシピを参照し、現ステップの処理モードが濃度一定モードの場合には第1制御を行い、濃度変更モードの場合には第2制御を行う。
第1制御(水調整部73による第1制御)では、水調整部73は、濃度計53から取得した処理液中の燐酸濃度の測定値と、レシピ記憶部71に記憶されたレシピにおける設定濃度とに基づき、処理液の濃度が設定濃度に近づくように流量調整器48を制御する。すなわち、水調整部73は、処理液の濃度が設定濃度に近づき(燐酸水溶液中の純水量が一定となり)、適切な流量の水が処理液貯留部38に供給されるように、流量調整器48を制御する。
第2制御(水調整部73による第2制御)では、水調整部73は、レシピ記憶部71に記憶されたレシピにおける設定濃度に応じて処理液貯留部38に供給される水量が変化するように、水供給部44を制御する。水調整部73は、レシピ記憶部71に記憶されたレシピを参照し、現ステップの設定濃度(濃度変更後の設定濃度)と、1つ前のステップの設定濃度(濃度変更前の設定濃度)とを比較する。水調整部73は、現ステップの設定濃度が1つ前のステップの設定濃度以上であると判定した場合には、水の供給量が減少するように流量調整器48を制御する。水調整部73は、現ステップの設定濃度が1つ前のステップの設定濃度よりも低い場合には、水の供給量が増加するように流量調整器48を制御する。水調整部73は、濃度計53から取得した処理液中の燐酸濃度が現ステップの設定濃度に到達しているか否かを判定し、到達している場合には第2制御を終了する。水調整部73は、処理液中の燐酸濃度が設定濃度に到達した後は、例えば上述した第1制御を行う。
排液制御部74は、レシピ記憶部71に記憶されたレシピに応じて処理槽34内から処理液が排出されるように、処理液排出部41(詳細にはバルブ41B)を制御する。具体的には、排液制御部74は、濃度一定モードにおける第1制御と、濃度変更モードにおける第2制御とを行う。排液制御部74は、レシピ記憶部71に記憶されたレシピを参照し、現ステップの処理モードが濃度一定モードの場合には第1制御を行い、濃度変更モードの場合には第2制御を行う。
第1制御(排液制御部74による第1制御)では、排液制御部74は、例えば処理槽34からの処理液の排出が行われないように、バルブ41Bを閉める。なお、排液制御部74は、第1制御において、バルブ41Bを少しだけ開き、少量(第2制御と比べて少量)の排液が行われるように制御してもよい。
第2制御(排液制御部74による第2制御)では、排液制御部74は、所定の条件を満たす場合に、処理槽34からの処理液の排出が開始されるようにバルブ41Bを開く。なお、「処理液の排出が開始されるようにバルブ41Bを開く」とは、完全に閉じた状態のバルブ41Bを開く場合だけでなく、少し開いた状態のバルブ41Bを大きく開く場合(第1制御時と比べて排液量を増やす場合)も含んでいる。排液制御部74は、所定の条件を満たさない場合には、第2制御においても、例えば上述した第1制御と同様の制御を行う。
排液制御部74は、まず、レシピ記憶部71に記憶されたレシピを参照し、現ステップの設定濃度(濃度変更後の設定濃度)と、1つ前のステップの設定濃度(濃度変更前の設定濃度)とを比較し、1つ前のステップの設定濃度よりも現ステップの設定濃度が低いか否かを判定する。水溶液調整部72は、1つ前のステップの設定濃度よりも現ステップの設定濃度が低いと判定した場合には、液面センサー80から処理液貯留部38の外槽42における処理液の液面高さを取得し、当該液面高さが所定の液面基準値(上限制御開始値)よりも高いか否かを判定する。当該液面基準値(上限制御開始値)は、それ以上液面が上がった場合に、処理液貯留部38から燐酸水溶液が吹き零れるおそれがある液面高さである液面上限値よりも所定のバッファ分だけ低い値とされる。
排液制御部74は、液面高さが液面基準値(上限制御開始値)よりも高いと判定した場合には、処理液の排出が開始されるように処理液排出部41を制御する。すなわち、排液制御部74は、「1つ前のステップの設定濃度よりも現ステップの設定濃度が低く、且つ、液面高さが液面基準値よりも高い」との所定の条件を満たした場合に、処理液の排出が開始されるように処理液排出部41を制御する。
排液制御部74は、具体的には、処理槽34からの処理液の排出が開始されるようにバルブ41Bを開く。これにより、濃度を下げる場合において、水調整部73の制御によって処理液貯留部38への水の供給量が増加し、処理液貯留部38における液面が上昇している場合において、更なる液面の上昇が抑制される。排液制御部74は、液面センサー80から取得する処理液の液面高さが、液面基準値(上限制御開始値)以下となるまでは、処理槽34からの処理液の排出を継続する。排液制御部74は、液面センサー80から取得する処理液の液面高さが液面基準値(上限制御開始値)以下となった場合、濃度計53から取得した処理液中の燐酸濃度が現ステップの設定濃度に到達しているか否かを判定し、到達している場合には第2制御を終了する。排液制御部74は、処理液中の燐酸濃度が設定濃度に到達した後は、例えば上述した第1制御を行う。
〔基板液処理方法〕
次に、基板液処理方法の一例について、図5のタイムチャート及び図6のフローチャートを参照して説明する。最初に、図5のタイムチャートを参照して、連続する複数のステップの処理イメージを説明する。図5においては、連続する複数のステップ(ステップ番号「001」、「002」、「003」、「004」でそれぞれ示される複数のステップ)についての時系列に沿った処理が示されている。図5に示す各ステップは、図4に示すレシピRPの各ステップに対応しており、処理対象である基板8が処理液貯留部38の処理液に浸漬されて処理液により処理される基板処理期間のステップである。ステップ番号「001」で示されるステップのみが濃度一定モードであり、ステップ番号「002」、「003」、「004」で示されるステップは濃度変更モードである。また、ステップ番号「001」、「003」で示されるステップの設定濃度は「88.5重量%」であり、ステップ番号「002」、「004」で示されるステップの設定濃度は「86重量%」である。なお、以下では、ステップ番号「001」〜「004」のステップを、それぞれ、ステップ001〜004と示す。
図5に示すように、最初に時刻t0において、ステップ001が開始される。濃度一定モードであるステップ001においては、制御部7は、処理液貯留部38の処理液の濃度を一定(88.5重量%)に調整する第1制御を行う。続いて、時刻t1において、ステップ001が終了しステップ002が開始される。ステップ002は、濃度変更モードであって設定濃度が86重量%である。このように、現ステップであるステップ002の設定濃度が、1つ前のステップであるステップ001の設定濃度よりも低い場合には、制御部7によって水の供給量が増えるように流量調整器48が制御されるため、ステップ002では時間の経過と共に処理液貯留部38における液面高さが徐々に上昇する。
そして、時刻t2において、液面高さが液面基準値(上限制御開始値)よりも高くなると、制御部7によってバルブ41Bが開かれて処理液の排出(排液制御)が開始される。当該排液制御は、時刻t3において液面高さが液面基準値(上限制御開始値)以下となるまで継続的に行われる。一度排液制御が終了した場合であっても、設定濃度に到達するまでは水の供給量が多く設定されているため、時刻t4において再度液面高さが液面基準値(上限制御開始値)よりも高くなっている。この場合には、液面高さが液面基準値(上限制御開始値)以下となるまで、再度排液制御が行われる。
続いて、時刻t5において、液面高さが液面基準値(上限制御開始値)以下になると共に、ステップ002が終了しステップ003が開始される。ステップ003は、濃度変更モードであって設定濃度が88.5重量%である。このように、現ステップであるステップ003の設定濃度が、1つ前のステップであるステップ002の設定濃度よりも高い場合には、制御部7によって水の供給量が減るように流量調整器48が制御されるため、ステップ003では時間の経過と共に処理液貯留部38における液面高さが徐々に下降する。
そして、時刻t6において、液面高さが液面基準値(下限制御開始値)よりも低くなると、制御部7によって水溶液供給部43のバルブ62が閉められ、高濃度の燐酸水溶液が処理液貯留部38に供給される(高濃度燐酸供給)。当該高濃度燐酸供給は、時刻t7において液面高さが液面基準値(下限制御開始値)以上となるまで継続的に行われる。
続いて、時刻t8において、ステップ003が終了しステップ004が開始される。ステップ004は濃度変更モードであって設定濃度が86重量%である。このように、現ステップであるステップ004の設定濃度が、1つ前のステップであるステップ003の設定濃度よりも低い場合には、制御部7によって水の供給量が増えるように流量調整器48が制御されるため、ステップ004では時間の経過と共に処理液貯留部38における液面高さが徐々に上昇する。そして、時刻t9において、液面高さが液面基準値(上限制御開始値)よりも高くなると、制御部7によってバルブ41Bが開かれて処理液の排出(排液制御)が開始される。当該排液制御は、時刻t10において液面高さが液面基準値(上限制御開始値)以下となるまで継続的に行われる。一度排液制御が終了した場合であっても、設定濃度に到達するまでは水の供給量が多くされるため、時刻t11において再度液面高さが液面基準値(上限制御開始値)よりも高くなっている。この場合には、液面高さが液面基準値(上限制御開始値)以下となるまで、排液制御が再度行われる。時刻t12において、液面高さが液面基準値(上限制御開始値)以下になると共に、ステップ004が終了する。なお、基板処理期間の各ステップが終了し基板8が処理液貯留部38の処理液に浸漬されていない状態となっている期間(インターバル期間)においては、制御部7によって、処理液貯留部38の処理液の濃度は、上述した濃度一定モードにおける設定濃度と同じ濃度に調節される。したがって、濃度一定モードにおける設定濃度に変更があれば、インターバル期間に入る前の濃度一定モードの処理液の濃度と、次の基板処理期間の濃度一定モードにおける処理液の濃度とは、互いに異なることになる。
次に、図6のフローチャートを参照して、1ステップにおける制御部7の処理の詳細について説明する。図6に示すように、最初に、制御部7(詳細には、水溶液調整部72、水調整部73、及び排液制御部74)は、レシピ記憶部71に記憶されたレシピ(例えば図4に示すレシピRP)を取得し(ステップS1)、現ステップを特定する(ステップS2)。
続いて、制御部7は、特定した現ステップが濃度変更モードであるか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3において、現ステップが濃度変更モードでない場合には、制御部7は、当該現ステップの終了タイミングまで、処理液の濃度を一定に調節する濃度一定モードの第1制御を行う(ステップS10)。
一方で、ステップS3において、現ステップが濃度変更モードである場合には、制御部7は、処理液の濃度変更が可能となるように第2制御を行う。具体的には、制御部7は、現ステップの設定濃度(濃度変更後の設定濃度)と、1つ前のステップの設定濃度(濃度変更前の設定濃度)とを比較し、1つ前のステップの設定濃度よりも現ステップの設定濃度が低いか否かを判定する(ステップS4)。
ステップS4において1つ前のステップの設定濃度よりも現ステップの設定濃度が低いと判定された場合には、制御部7(詳細には水調整部73)は、処理液貯留部38への水の供給量が増加するように流量調整器48を制御して、処理液貯留部38中の処理液の濃度を薄める(ステップS5)。更に、制御部7(詳細には排液制御部74)は、液面センサー80から処理液貯留部38の外槽42における処理液の液面高さを取得する(ステップS6)。
続いて、制御部7(詳細には排液制御部74)は、取得した液面高さが所定の液面基準値(上限制御開始値)以下であるか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7において液面高さが所定の液面基準値(上限制御開始値)以下ではない(液面高さが所定の液面基準値(上限制御開始値)よりも高い)と判定された場合には、制御部7(詳細には排液制御部74)は排液制御を開始する(ステップS8)。具体的には、制御部7は、処理槽34からの処理液の排出が開始されるようにバルブ41Bを開く。制御部7は、ステップS8において所定時間排液制御を行った後に、再度ステップS7の処理を実行する。
一方で、ステップS7において液面高さが所定の液面基準値(上限制御開始値)以下であると判定された場合には上述した排液制御を行わずに、制御部7は、濃度計53から取得した処理液中の燐酸濃度が現ステップの設定濃度に到達しているか否かを判定する(ステップS9)。ステップS9において処理液中の燐酸濃度が現ステップの設定濃度に到達していないと判定された場合には、再度ステップS7の処理が実行される。一方で、ステップS9において処理液中の燐酸濃度が現ステップの設定濃度に到達していると判定された場合には、制御部7は、当該現ステップの終了タイミングまで、処理液の濃度を一定に調節する濃度一定モードの第1制御を行う(ステップS10)。
ステップS4において1つ前のステップの設定濃度よりも現ステップの設定濃度が低くないと判定された場合には、制御部7(詳細には水調整部73)は、処理液貯留部38への水の供給量が減少するように流量調整器48を制御して、処理液貯留部38中の処理液の濃度を高める(ステップS13)。この場合、制御部7(詳細には排液制御部74)は、処理槽34からの処理液の排出が開始されるようにバルブ41Bを開いてもよい。制御部7(詳細には水溶液調整部72)は、液面センサー80から処理液貯留部38の外槽42における処理液の液面高さを取得する(ステップS14)。
続いて、制御部7(詳細には水溶液調整部72)は、取得した液面高さが所定の液面基準値(下限制御開始値)以上であるか否かを判定する(ステップS15)。ステップS15において液面高さが所定の液面基準値(下限制御開始値)以上ではない(液面高さが所定の液面基準値(下限制御開始値)よりも低い)と判定された場合には、制御部7(詳細には水溶液調整部72)は高濃度燐酸供給を開始する(ステップS16)。具体的には、制御部7は、高濃度の燐酸水溶液が処理液貯留部38に供給されるように水溶液供給部43のバルブ62を閉める。制御部7は、ステップS16において所定時間高濃度燐酸供給を行った後に、再度ステップS15の処理を実行する。
一方で、ステップS15において液面高さが所定の液面基準値(下限制御開始値)以上であると判定された場合には上述した高濃度燐酸供給を行わずに、制御部7は、濃度計53から取得した処理液中の燐酸濃度が現ステップの設定濃度に到達しているか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17において処理液中の燐酸濃度が現ステップの設定濃度に到達していないと判定された場合には、再度ステップS15の処理が実行される。一方で、ステップS17において処理液中の燐酸濃度が現ステップの設定濃度に到達していると判定された場合には、制御部7は、当該現ステップの終了タイミングまで、処理液の濃度を一定に調節する濃度一定モードの第1制御を行う(ステップS10)。
ステップS10が完了(現ステップが完了)すると、制御部7は、レシピを参照し、次ステップがあるか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11において、次ステップがあると判定された場合には、制御部7は、当該次ステップを新たな現ステップとして特定し(ステップS12)、再度ステップS3以降の処理を実行する。一方で、ステップS11において次ステップがない(レシピにおける全てのステップが完了している)と判定された場合には、一連の処理が終了する。
〔作用効果〕
基板液処理装置において、処理液である燐酸水溶液の燐酸濃度を変更すると、処理液貯留部における水量が変化し液面が上昇又は下降する。例えば、処理液である燐酸水溶液の燐酸濃度を低下させる場合には、処理液貯留部への水の供給量が増えるため、処理液貯留部における液面が上昇し、処理液貯留部から燐酸水溶液が吹き零れてしまうおそれがある。これによって、処理液の濃度変更(詳細には、濃度を低下させる場合の濃度変更)を適切に行うことができないおそれがある。
この点、基板液処理装置A1は、処理液を貯留する処理液貯留部38と、処理液貯留部38から処理液を排出する処理液排出部41と、処理液排出部41を制御する制御部7と、を備え、制御部7は、処理液貯留部38の処理液の濃度が所定の設定濃度に調整される濃度一定モードにおける第1制御と、処理液貯留部38の処理液の濃度が変更される濃度変更モードにおける第2制御とを実行し、第2制御において、濃度変更前の設定濃度と濃度変更後の設定濃度とを比較し、濃度変更前の設定濃度よりも濃度変更後の設定濃度が低い場合に、処理液の排出が開始されるように処理液排出部41を制御する。
このような基板液処理装置A1によれば、濃度変更モードの第2制御において、濃度変更後の設定濃度が濃度変更前の設定濃度よりも低くなる場合には、処理液である燐酸水溶液の排出が開始される。このため、燐酸濃度を低下させる際に処理液貯留部38への水の供給量を増やした場合であっても、処理液貯留部38から燐酸水溶液が排出されることによって、処理液貯留部38における液面上昇を抑制し、処理液貯留部38から燐酸水溶液が吹き零れることを防止することができる。以上より、本実施形態に係る基板液処理装置A1によれば、処理液の濃度変更(詳細には、濃度を低下させる場合の濃度変更)を適切に行うことができる。
基板液処理装置A1は、処理液貯留部38における液面高さを検出する液面センサー80を更に備え、制御部7は、第2制御において、濃度変更前の設定濃度よりも濃度変更後の設定濃度が低い場合であって、且つ、液面センサー80によって検出された液面高さが所定の液面基準値よりも高い場合に、処理液の排出が開始されるように処理液排出部41を制御する。これにより、濃度を低くするための水の供給によって実際に液面が高くなったことに基づいて、処理液の排出を開始することができる。このことで、適切なタイミングで処理液の排出を開始することができ、処理液の吹き零れをより確実に防止することができる。
濃度変更モードには、個別に設定濃度を設定可能な複数のステップが含まれていてもよい。これにより、濃度変更モードの複数のステップ毎に設定濃度が設定されるため、濃度変更モードにおける各処理に応じてより細かに濃度を設定することができる。
ここで、基板液処理装置において、処理液である燐酸水溶液の燐酸濃度を上昇させる場合には、処理液貯留部への水の供給量が減らされ、水が蒸発させられる。このような、濃度を上昇させるために水を蒸発させる処理には時間がかかってしまう。これによって、処理液の濃度変更(詳細には、濃度を上昇させる場合の濃度変更)を適切に行うことができないおそれがある。
この点、基板液処理装置A1は、処理液貯留部38における前記処理液の濃度上昇を促進させる濃度上昇促進部として処理液供給部39を備え、制御部7は、処理液貯留部38の処理液の濃度が所定の設定濃度に調整される濃度一定モードにおける第1制御と、処理液貯留部38の処理液の濃度が変更される濃度変更モードにおける第2制御とを実行し、第2制御において、濃度変更前の設定濃度と濃度変更後の設定濃度とを比較し、濃度変更前の設定濃度よりも濃度変更後の設定濃度が高い場合に、処理液貯留部38における処理液の濃度上昇が促進されるように処理液供給部39を制御する。
基板液処理装置A1によれば、濃度変更モードの第2制御において、濃度変更後の設定濃度が濃度変更前の設定濃度よりも高くなる場合には、濃度上昇促進部である処理液供給部39によって処理液の濃度上昇が促進させられる。これにより、単純に水を蒸発させる場合と比較して、濃度上昇に要する時間を短縮することができる。以上より、本実施形態に係る基板液処理装置A1によれば、処理液の濃度変更(詳細には、濃度を上昇させる場合の濃度変更)を適切に行うことができる。
具体的には、濃度上昇促進部である処理液供給部39は、処理液貯留部38に貯留された処理液よりも濃度が高い処理液を処理液貯留部38に供給することにより、処理液貯留部38における処理液の濃度上昇を促進させる。濃度を上昇させる場合には、水が蒸発することによって処理液貯留部38における液面が下降し、基板液処理装置の温度調節機能(循環温調)が低下するおそれがある。この点、濃度が高い処理液が処理液貯留部38に供給されることによって、濃度を適切に上昇させながら、液面の下降(すなわち、温度調整機能の低下)を抑制することができる。
制御部7は、処理対象の基板8が処理液貯留部38の処理液に浸漬されて処理液により処理される基板処理期間において、上記第1制御および第2制御を実行する。また、制御部7は、処理液貯留部38の処理液に基板8が浸漬されていないインターバル期間において、処理液貯留部38の処理液の濃度を、上記濃度一定モードにおける所定の設定濃度に調節する。これにより、基板処理期間において処理液の濃度変更を適切に行うと共に、インターバル期間においても所定の設定濃度への濃度調節を適切に行うことができる。
以上、実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、濃度上昇促進部の一例として、処理液供給部39を説明し、該処理液供給部39が高濃度の処理液を供給することにより処理液貯留部38における処理液の濃度上昇を促進する例を説明したが、濃度上昇促進部の構成はこれに限定されない。一般的なエッチング処理装置においては、処理槽の処理液に基板を浸漬させて、処理液貯留部の上部が蓋(バスリッド)によって閉じられた状態で、基板のエッチング処理が行われる。エッチング処理中においては、温度を安定させる観点から、通常、バスリッドを閉じておく必要がある。当該バスリッドは、通常閉じられており、基板を処理液に浸漬させる際にのみ開かれることが一般的である。この点、例えば図7に示すように、処理中ではない処理間のインターバル期間においても、バスリッド150を開けることにより、バスリッド150が閉じている場合と比較して水の蒸発量を上げることができる。このことにより、処理液の濃度上昇を促進し、処理液の濃度変更(詳細には、濃度を上昇させる場合の濃度変更)をより適切に行うことができる。
また、上述した実施形態では、濃度上昇促進部に係る構成として、水溶液供給部43のバルブ62の開閉を切り替えることにより、通常の濃度の燐酸水溶液だけでなく、高濃度の燐酸水溶液についても容易に処理液貯留部38に供給する構成を説明したが、高濃度の燐酸水溶液を供給する構成はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、処理液貯留部38の外部に、高濃度の燐酸水溶液を貯留する高濃度処理液貯留部170を備え、該高濃度処理液貯留部170から流路160を介して、処理液貯留部38に、濃度が高められた処理液が供給される構成を採用してもよい。このような構成を採用する場合においても、高濃度の燐酸水溶液を適切に供給し、濃度を適切に上昇させながら、液面の下降(すなわち、温度調整機能の低下)を抑制することができる。なお、図8に示す高濃度処理液貯留部170は、供給する燐酸水溶液を加熱することにより常に高温に維持するように構成されていてもよい。これにより、処理液貯留部38に高温且つ高濃度の燐酸水溶液が供給されることになり、処理液の加熱時間を短縮することができる。なお、上述した実施形態では、処理液排出部41を処理液貯留部38に設けたが、処理液排出部は、それに限らず、処理液循環部40から分岐して設けてもよい。また、処理液貯留部38を、処理槽34と外槽42とで構成したが、処理液貯留部の構成はこれには限定されない。例えば、処理槽34に処理液供給、水供給部及び排出部を接続して、処理液供給部とし、外槽を設けない構成にしてもよい。
〔高濃度処理液貯留部を備える構成の具体例〕
ここで、上記高濃度処理液貯留部170を有する濃度上昇促進部の構成をより詳細に説明する。図9に示す濃度上昇促進部39Aは、処理液と、処理液への浸漬対象の基板とを収容する液処理部(例えば上記処理液貯留部38)に、高濃度の処理液を供給する。例えば濃度上昇促進部39Aは、高濃度処理液貯留部170と、処理液補充部210と、希釈液補充部220と、ガス供給部230と、加熱部240と、処理液供給部250と、濃度センサー260とを備える。
上述のように、高濃度処理液貯留部170(供給液貯留部)は、処理液貯留部38に供給するための処理液を貯留する。高濃度処理液貯留部170は、処理液貯留部38から離れた位置に設けられている。
処理液補充部210は、高濃度処理液貯留部170に処理液(例えば上記燐酸水溶液)を補充する。例えば処理液補充部210は、処理液供給源211と、バルブ212とを有する。処理液供給源211は、例えば補充用の処理液のタンク(不図示)と、タンクから高濃度処理液貯留部170に処理液を圧送するポンプ(不図示)とを有する。バルブ212は、処理液供給源211から高濃度処理液貯留部170に送られる処理液の流路を制御指令に従って開閉する。
希釈液補充部220は、処理液補充部210が高濃度処理液貯留部170に補充する処理液よりも濃度の低い希釈液(例えば純水、脱イオン水等)を高濃度処理液貯留部170に補充する。処理液よりも濃度が低いとは、当該処理液が目的とする処理内容に寄与する成分の濃度が低いことを意味する。例えば希釈液補充部220は、希釈液供給源221と、バルブ222とを有する。希釈液供給源221は、例えば補充用の希釈液のタンク(不図示)と、タンクから高濃度処理液貯留部170に希釈液を圧送するポンプ(不図示)とを有する。バルブ222は、希釈液供給源221から高濃度処理液貯留部170に送られる希釈液の流路を制御指令に従って開閉する。
ガス供給部230は、水分蒸発促進用の不活性ガス(例えば窒素ガス)を高濃度処理液貯留部170の下部において処理液中に供給する。ガス供給部230が不活性ガスを供給すると、処理液中に気泡が発生し、これにより処理液とガスとの接触面積が増大する。このため、処理液中の水分の蒸発が促進される。例えばガス供給部230は、ガス供給源231と、バルブ232とを有する。ガス供給源231は、例えば圧縮された不活性ガスのタンク(不図示)を有する。バルブ232は、ガス供給源231から高濃度処理液貯留部170に送られる不活性ガスの流路を制御指令に従って開閉する。
加熱部240は、高濃度処理液貯留部170の処理液を加熱する。加熱部240は、高濃度処理液貯留部170の下部から導出した処理液を加熱して高濃度処理液貯留部170の上部に戻すように構成されていてもよい。例えば加熱部240は、流路245と、ポンプ241と、フィルター242と、ヒーター243とを有する。流路245は、高濃度処理液貯留部170の下部から処理液を導出して高濃度処理液貯留部170の上部に導く。ポンプ241、フィルター242及びヒーター243は流路245に設けられている。ポンプ241は処理液を高濃度処理液貯留部170の下部側から上部側に圧送する。フィルター242は処理液中の異物等を除去する。ヒーター243は処理液を加熱する。
処理液供給部250は、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38に処理液を供給する。例えば処理液供給部250は、流路252とバルブ251,253とを有する。流路252は、ポンプ241、フィルター242及びヒーター243よりも下流側(高濃度処理液貯留部170の上部側)において流路245から分岐しており、流路245から処理液貯留部38に処理液を導く。バルブ251は、制御指令に従って流路252を開閉する。バルブ253は、流路252と高濃度処理液貯留部170の上部との間において流路245を開閉する。バルブ251が流路252を閉じ、上記バルブ253が流路245を開いた状態においては、ポンプ241が圧送する処理液は高濃度処理液貯留部170の下部から上部に還流する。以下、この状態を「循環状態」という。一方、バルブ251が流路252を開き、バルブ253が流路245を閉じた状態においては、ポンプ241が圧送する処理液は処理液貯留部38に供給される。以下、この状態を「供給状態」という。
濃度センサー260は、高濃度処理液貯留部170の処理液の濃度に関する情報を検出する。濃度センサー260は、処理液の濃度に関する情報として、高濃度処理液貯留部170の処理液の液面の高さに関する情報を検出してもよい。例えば、処理液の液面の高さは、処理液補充部210による処理液の補充と、希釈液補充部220による希釈液の補充と、処理液中の水分の揮発と、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38への処理液の供給とによって変動する。そこで、処理液補充部210による処理液の補充を停止し、上記循環状態を維持した状態においては、処理液の液面低下の主要因が水分揮発となるので、処理液の液面の低下と処理液の濃度上昇とが相関する。同様に、処理液補充部210による処理液の補充を停止し、上記循環状態を維持した状態においては、処理液の液面上昇の主要因が希釈液補充となるので、処理液の液面の上昇と処理液の濃度低下とが相関する。このように、処理液補充部210による処理液の補充を停止し、上記循環状態を維持した状態においては、処理液の液面の高さが処理液の濃度に関する情報となり得る。
図10に示すように、例えば濃度センサー260は、制御用センサー261と、モニタ用センサー262とを有する。制御用センサー261は、処理液補充部210、希釈液補充部220及び処理液供給部250等の制御用の情報を検出するセンサーである。モニタ用センサー262は、高濃度処理液貯留部170の処理液の濃度を監視・記録するためのセンサーである。
制御用センサー261は、互いに高さの異なる複数の測定対象高さと処理液の液面との上下関係をそれぞれ検出する複数の液面センサーを有する。例えば制御用センサー261は、互いに高さの異なる四つの測定対象高さH1,H2,H3,H4と処理液の液面との上下関係をそれぞれ検出する四つの液面センサー263,264,265,266を有する。測定対象高さH1は、高濃度処理液貯留部170において許容される液面高さ上限値である。測定対象高さH2(第一高さ)は、処理液補充部210による処理液の補充において液面高さの目標とされる高さである。測定対象高さH3(第二高さ)は、処理液の濃縮過程において液面高さの目標とされる高さである。測定対象高さH4は、高濃度処理液貯留部170において許容される液面高さ下限値である。
液面センサー263,264,265,266は、例えば、測定用の不活性ガス(例えば窒素ガス)を測定対象高さH1,H2,H3,H4に供給するための圧力に基づいて、測定対象高さH1,H2,H3,H4と処理液の液面との上下関係をそれぞれ検出する。例えば、測定対象高さH1,H2,H3,H4のそれぞれについて、液面が測定対象高さよりも上にある場合の圧力と、液面が測定対象高さよりも下にある場合の圧力との間に閾値を設定しておくことで、当該圧力が当該閾値を上回るか否かに基づいて当該測定対象高さと液面との上下関係を検出することができる。なお、上述した液面センサー263,264,265,266の構成はあくまで一例である。液面センサー263,264,265,266は、測定対象高さH1,H2,H3,H4と処理液の液面との上下関係を検出し得る限りいかなるものであってもよい。例えば液面センサー263,264,265,266は、静電容量式の液面センサーであってもよい。
モニタ用センサー262は、例えば、測定用の不活性ガス(例えば窒素ガス)を高濃度処理液貯留部170の下部において処理液中に供給するための圧力(以下、単に「供給圧力」という。)に基づいて、液面の高さの推定値を導出する。ここで、供給圧力は、処理液の液面高さの他の要因によっても変動し得る。他の要因の具体例としては、処理液の沸騰レベルが挙げられる。そこで、モニタ用センサー262は、沸騰レベルの影響を軽減して液面高さの検出精度を向上させる構成を更に含んでいてもよい。液面高さの変動が小さい状況下においては、測定用の不活性ガスの供給圧力に基づいて沸騰レベルを検出することが可能である。そこで、液面高さが大きく変動し得ない期間において、供給圧力に基づき沸騰レベルを検出し、その検出結果を用いて沸騰レベルの影響を軽減することが可能である。また、沸騰レベルと処理液の濃度とは相関関係を有するため、沸騰レベルの検出値から処理液の濃度を算出することも可能である。なお、沸騰レベルの違いによる供給圧力の変動レンジと、液面の高さの変動による供給圧力の変動レンジとは異なるので、液面の高さの変動検出用と、沸騰レベルの変動検出用とで供給圧力の測定系を分け、それぞれの測定レンジを個別に調節してもよい。
なお、上述した濃度センサー260の構成はあくまで一例である。濃度センサー260は、処理液の濃度に関する情報を検出し得る限りいかなるものであってもよい。例えば濃度センサー260は、モニタ用センサー262を有しなくてもよい。また、濃度センサー260は、処理液の液面の高さによらずに処理液の濃度を検出するものであってもよい。処理液の液面の高さによらずに処理液の濃度を検出するセンサーの具体例としては、例えば超音波式又は光学式の濃度センサー等が挙げられる。
以上に例示した濃度上昇促進部39Aは、例えば制御部7により制御可能である。例えば制御部7は、高濃度処理液貯留部170の処理液の濃度が処理液貯留部38の処理液の濃度よりも高い供給濃度に調整される第3制御を更に実行する。例えば制御部7は、供給前濃度調節部75を更に有する。供給前濃度調節部75は、第3制御において、高濃度処理液貯留部170に処理液を補充するように処理液補充部210を制御することと、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38に処理液を供給するように処理液補充部210を制御することと、高濃度処理液貯留部170の処理液の濃度が、処理液補充部210により補充される処理液の濃度よりも高い供給濃度に達するまで、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38への処理液の供給を禁止するように処理液供給部250を制御することと、を実行する。
例えば供給前濃度調節部75は、処理液補充制御部76と、加熱制御部79と、供給制御部78と、希釈液補充制御部77とを含む。処理液補充制御部76は、高濃度処理液貯留部170に処理液を補充するように処理液補充部210を制御する。例えば供給前濃度調節部75は、高濃度処理液貯留部170に処理液が入っていない状態で処理液の補充を開始し、処理液の液面の高さが測定対象高さH2に達したときに処理液の補充を停止するように処理液補充部210を制御する。より具体的に、供給前濃度調節部75は、高濃度処理液貯留部170に処理液が入っていない状態でバルブ212を開くように処理液補充部210を制御する。その後供給前濃度調節部75は、処理液の液面の高さが測定対象高さH2に達したか否かを示す情報を液面センサー264から繰り返し取得し、液面の高さが測定対象高さH2に達したと判定したときにバルブ212を閉じるように処理液補充部210を制御する。
加熱制御部79は、処理液補充部210により高濃度処理液貯留部170に補充された処理液を加熱するように加熱部240を制御する。例えば加熱制御部79は、高濃度処理液貯留部170の下部から導出した液体をポンプ241によりヒーター243に圧送するように加熱部240を制御する。
供給制御部78は、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38に処理液を供給するように処理液供給部250を制御する。例えば供給制御部78は、上記第2制御の実行において処理液貯留部38の処理液の濃度上昇を促進させる際に、上記循環状態(上記バルブ253が開いて上記バルブ251が閉じた状態)を上記供給状態(上記バルブ253が閉じて上記バルブ251が開いた状態)に切り替えるように処理液供給部250を制御する。
ただし、供給制御部78は、高濃度処理液貯留部170の処理液の濃度が、処理液補充部210により補充される処理液の濃度よりも高い供給濃度に達するまで、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38への処理液の供給を禁止するように処理液供給部250を制御する。例えば供給制御部78は、測定対象高さH2に達した高濃度処理液貯留部170の処理液の液面が測定対象高さH3に低下するまでは、上記循環状態から上記供給状態への切り替えを禁止するように処理液供給部250を制御する。
希釈液補充制御部77は、高濃度処理液貯留部170の処理液の濃度が上記供給濃度に達した後、処理液の濃度が更に上昇したときに、当該濃度を上記供給濃度に近付ける量で希釈液を高濃度処理液貯留部170に補充するように希釈液補充部220を制御する。例えば希釈液補充制御部77は、測定対象高さH2に達した処理液の液面が測定対象高さH3に低下した後、当該液面が更に低下したときに、当該液面を測定対象高さH3に近付ける量で希釈液を高濃度処理液貯留部170に補充するように希釈液補充部220を制御する。より具体的に、希釈液補充制御部77は、処理液の液面が測定対象高さH3に達するまでバルブ222を開くように希釈液補充部220を制御する。
続いて、供給前濃度調節部75を有する制御部7が実行する制御手順をより詳細に例示する。図11に示すように、制御部7は、まずステップS21,S22,S23を実行する。ステップS21では、処理液補充制御部76が、高濃度処理液貯留部170に処理液が入っていない状態で処理液の補充を開始するように処理液補充部210を制御する。ステップS22では、処理液の液面の高さが測定対象高さH2に達したことを液面センサー264が検出するまで、処理液補充制御部76が処理液補充部210による処理液の補充を継続させる。ステップS23では、処理液補充制御部76が、処理液の補充を停止するように処理液補充部210を制御する。
次に、制御部7はステップS24,S25,S26,S27を実行する。ステップS24では、供給制御部78が、処理液供給部250による上記循環状態から上記供給状態への切り替えを禁止する。以後、上記循環状態から上記供給状態への切り替えが許可されるまでは、処理液供給部250によって上記循環状態が維持される。ステップS25では、加熱制御部79が、ポンプ241による処理液の圧送を開始し、処理液の加熱を開始するように加熱部240を制御する。ステップS26では、処理液の液面の高さが測定対象高さH3まで低下したことを液面センサー265が検出するまで、供給制御部78が循環状態から供給状態への切り替えの禁止を維持する。ステップS27では、供給制御部78が、循環状態から供給状態への切り替えを許可する。以後、必要に応じて循環状態を供給状態に切り替えることが可能となる。
次に、制御部7はステップS28を実行する。ステップS28では、供給制御部78が、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38への処理液の供給が必要であるか(例えば上記第2制御の実行において処理液貯留部38の処理液の濃度上昇を促進させることが必要であるか)を確認する。
ステップS28において、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38への処理液の供給は不要であると判定した場合、制御部7はステップS29を実行する。ステップS29では、測定対象高さH3からの更なる液面低下が液面センサー265により検出されているか否かを希釈液補充制御部77が確認する。ステップS29において、測定対象高さH3からの更なる液面低下は検出されていないと判定した場合、制御部7は処理をステップS28に戻す。
ステップS29において、測定対象高さH3からの更なる液面低下が検出されていると判定した場合、制御部7はステップS31,S32,S33を実行する。ステップS31では、希釈液補充制御部77が、バルブ222を開いて高濃度処理液貯留部170への希釈液の補充を開始するように希釈液補充部220を制御する。ステップS32では、測定対象高さH3への液面復帰が液面センサー265により検出されるまで、希釈液補充制御部77が希釈液補充部220による希釈液の補充を継続させる。ステップS33では、希釈液補充制御部77が、希釈液の補充を停止するように希釈液補充部220を制御する。その後、制御部7は処理をステップS28に戻す。以後、必要に応じ希釈液を補充しながら、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38への処理液供給の要否確認が繰り返される。
ステップS28において、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38への処理液の供給は必要であると判定した場合、制御部7はステップS34,S35を実行する。ステップS34では、供給制御部78が、上記循環状態を上記供給状態に切り替えて、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38に処理液を供給するように処理液供給部250を制御する。ステップS35では、ポンプ241による処理液の圧送を停止し、処理液の加熱を停止するように加熱部240を制御する。以上で高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38に処理液を供給するための制御手順が完了する。なお、ステップS34とステップS35は、この順序で実行しなくてもよく、順序を入れ替えてもよい。
以上に例示した構成は、処理液貯留部38に供給するための処理液を貯留する高濃度処理液貯留部170と、高濃度処理液貯留部170に処理液を補充する処理液補充部210と、高濃度処理液貯留部170の処理液を加熱する加熱部240と、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38に処理液を供給する処理液供給部250と、を備える。
この構成によれば、処理液貯留部38への処理液の供給タイミングに先立って、高濃度処理液貯留部170において予め処理液の濃度を高めておくことで、上記供給タイミングにおいて高濃度の処理液を処理液貯留部38に迅速に供給することができる。また、高濃度処理液貯留部170における処理液の濃度上昇を加熱により促進する構成によれば、処理液貯留部38に加熱済みの処理液を供給することができるので、処理液貯留部38における処理液の加熱時間を短縮することもできる。従って、処理液貯留部38における処理液の濃度調節の迅速化に有効である。
濃度上昇促進部39Aは、高濃度処理液貯留部170の処理液の濃度に関する情報を検出する濃度センサー260を更に備えてもよい。この場合、上記供給タイミングに先立つ処理液の濃度調節をより高い精度で実行することができる。従って、処理液貯留部38における処理液の濃度調節の更なる迅速化に有効である。
濃度センサー260は、処理液の濃度に関する情報として、高濃度処理液貯留部170の処理液の液面の高さに関する情報を検出してもよい。この場合、濃度自体を計測するセンサーに比較して、濃度センサー260の構成の簡易化が可能である。
濃度センサー260は、互いに高さの異なる複数の測定対象高さと液面との上下関係をそれぞれ検出する複数の液面センサー263,264,265,266を有してもよい。この場合、濃度センサー260の構成の更なる簡易化が可能である。また、異なる複数の測定対象高さと液面との上下関係は、二値的に判定可能であるため、ノイズ等の測定誤差要因の影響を受け難い。このため、測定対象高さと液面との上下関係を検出する構成は、濃度に関する情報の信頼性向上にも有効である。
濃度上昇促進部39Aは、高濃度処理液貯留部170が処理液貯留部38に補充する処理液よりも濃度の低い希釈液を高濃度処理液貯留部170に補充する希釈液補充部220を更に備えてもよい。この場合、処理液の濃度を適切な高さに容易に維持することができる。
加熱部240は、高濃度処理液貯留部170の下部から導出した処理液を加熱して高濃度処理液貯留部170の上部に戻すように構成されていてもよい。この場合、高濃度処理液貯留部170内における処理液の温度の均一性を向上させることで、濃度上昇の偏りを抑制することができる。
制御部7は、高濃度処理液貯留部170に処理液を補充するように処理液補充部210を制御することと、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38に処理液を供給するように処理液供給部250を制御することと、高濃度処理液貯留部170の処理液の濃度が、処理液補充部210により補充される処理液の濃度よりも高い供給濃度に達するまで、高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38への処理液の供給を禁止するように処理液供給部250を制御することと、を実行するように構成されていてもよい。この場合、上記供給タイミングに先立って処理液の濃度を調節することを自動的に実行することができる。
制御部7は、高濃度処理液貯留部170の処理液の液面が測定対象高さH2に達するまで処理液を補充するように処理液補充部210を制御した後、高濃度処理液貯留部170の処理液の液面が測定対象高さH3に低下するまで高濃度処理液貯留部170から処理液貯留部38への処理液の供給を禁止するように処理液供給部250を制御してもよい。この場合、液面の高さに基づく濃度の調節中には、液面の高さと濃度との相関関係が概ね維持される。このため、液面の高さに基づく簡易的な濃度の調節を高い信頼性で行うことができる。
制御部7は、高濃度処理液貯留部170の処理液の濃度を上記供給濃度に近付ける量で希釈液を高濃度処理液貯留部170に補充するように希釈液補充部220を制御することを更に実行するように構成されていてもよい。この場合、処理液の濃度の維持を自動的に継続することができる。
なお、上述した具体例は、以下の構成を含んでいる。
(付記1)
処理液と、処理液への浸漬対象の基板とを収容する液処理部と、
前記液処理部に供給するための前記処理液を貯留する供給液貯留部と、
前記供給液貯留部に前記処理液を補充する処理液補充部と、
前記供給液貯留部の前記処理液を加熱する加熱部と、
前記供給液貯留部から前記液処理部に前記処理液を供給する処理液供給部と、を備える基板液処理装置。
(付記2)
前記供給液貯留部の前記処理液の濃度に関する情報を検出する濃度センサーを更に備える、付記1記載の基板液処理装置。
(付記3)
前記濃度センサーは、前記処理液の濃度に関する情報として、前記供給液貯留部の前記処理液の液面の高さに関する情報を検出する、付記2記載の基板液処理装置。
(付記4)
前記濃度センサーは、互いに高さの異なる複数の測定対象高さと液面との上下関係をそれぞれ検出する複数の液面センサーを有する、付記3記載の基板液処理装置。
(付記5)
前記処理液補充部が前記供給液貯留部に補充する前記処理液よりも濃度の低い希釈液を前記供給液貯留部に補充する希釈液補充部を更に備える、付記1〜4のいずれか一項記載の基板液処理装置。
(付記6)
前記加熱部は、前記供給液貯留部の下部から導出した前記処理液を加熱して前記供給液貯留部の上部に戻すように構成されている、付記1〜4のいずれか一項記載の基板液処理装置。
(付記7)
前記供給液貯留部に前記処理液を補充するように前記処理液補充部を制御することと、
前記供給液貯留部から前記液処理部に前記処理液を供給するように前記処理液供給部を制御することと、
前記供給液貯留部の前記処理液の濃度が、前記処理液補充部により補充される前記処理液の濃度よりも高い供給濃度に達するまで、前記供給液貯留部から前記液処理部への前記処理液の供給を禁止するように前記処理液供給部を制御することと、を実行するように構成された制御部を更に備える、付記1〜6のいずれか一項記載の基板液処理装置。
(付記8)
前記供給液貯留部に前記処理液を補充するように前記処理液補充部を制御することと、
前記供給液貯留部から前記液処理部に前記処理液を供給するように前記処理液供給部を制御することと、
前記供給液貯留部の前記処理液の濃度が、前記処理液補充部により補充される前記処理液の濃度よりも高い供給濃度に達するまで、前記供給液貯留部から前記液処理部への前記処理液の供給を禁止するように前記処理液供給部を制御することと、を実行するように構成された制御部を更に備え、
前記複数の測定対象高さは、第一高さと、第一高さよりも低い第二高さとを含み、
前記制御部は、前記供給液貯留部の前記処理液の液面が前記第一高さに達するまで前記処理液を補充するように前記処理液補充部を制御した後、前記供給液貯留部の前記処理液の液面が前記第二高さに低下するまで前記供給液貯留部から前記液処理部への前記処理液の供給を禁止するように前記処理液供給部を制御する、付記4記載の基板液処理装置。
(付記9)
前記供給液貯留部に前記処理液を補充するように前記処理液補充部を制御することと、
前記供給液貯留部から前記液処理部に前記処理液を供給するように前記処理液供給部を制御することと、
前記供給液貯留部の前記処理液の濃度が、前記処理液補充部により補充される前記処理液の濃度よりも高い供給濃度に達するまで、前記供給液貯留部から前記液処理部への前記処理液の供給を禁止するように前記処理液供給部を制御することと、
前記供給液貯留部の前記処理液の濃度を前記供給濃度に近付ける量で前記希釈液を前記供給液貯留部に補充するように前記希釈液補充部を制御することと、を実行するように構成された制御部を更に備える、付記5記載の基板液処理装置。