JP2019048950A - 樹脂組成物およびそれを用いた成形物、樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物およびそれを用いた成形物、樹脂組成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019048950A
JP2019048950A JP2017174336A JP2017174336A JP2019048950A JP 2019048950 A JP2019048950 A JP 2019048950A JP 2017174336 A JP2017174336 A JP 2017174336A JP 2017174336 A JP2017174336 A JP 2017174336A JP 2019048950 A JP2019048950 A JP 2019048950A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
thermoplastic resin
resin
graphene
thermal conductivity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017174336A
Other languages
English (en)
Inventor
渋谷 光夫
Mitsuo Shibuya
光夫 渋谷
上利 泰幸
Yasuyuki Agari
泰幸 上利
寛 平野
Hiroshi Hirano
寛 平野
門多 丈治
Joji Kadota
丈治 門多
哲周 岡田
Tetsushu Okada
哲周 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd, Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology filed Critical Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2017174336A priority Critical patent/JP2019048950A/ja
Publication of JP2019048950A publication Critical patent/JP2019048950A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】少ないグラフェン含有量であっても高い熱伝導性を有する樹脂組成物の提供。【解決手段】疎水性熱可塑性樹脂(A)、親水性熱可塑性樹脂(B)およびグラフェン(C)を含有する樹脂組成物であって、グラフェン(C)の含有量が樹脂組成物全体に対して5〜30重量%であることを特徴とする樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性に優れた樹脂組成物、およびその成形物、樹脂組成物の製造方法に関する。
燃料電池車用に代表される水素用タンクについては、ガソリン車並みの高速充填が可能なタンクが求められており、タンクに高圧水素を3分以内の高速で充填することが想定されている。また車載用の水素タンクは軽量化の為、内側のライナーの樹脂化が進められているが、高圧の水素を高速で充填すると水素ガスの温度が高くなり、場合によってはタンク内に蓄熱して、タンクの材料が変形したり、溶融する危険性がある。その為、充填前の高圧水素ガスを−40℃まで冷却(プレクール)して、充填時にタンク内の温度を一定以上高くならない様にしているが、プレクールを行うと余分なエネルギーが必要となり、装置面や維持経費からコスト高となってしまう。また、−40℃域で使用できるシール材等の材質も限られるという問題がある。
そこでプレクールを行わない、もしくは−20〜−30℃程度のプレクールで高圧、高速のガス充填を行った場合でも、タンク内部の熱を効率よく拡散でき、タンク内の温度上昇を抑制できる樹脂材料が求められている。
そこで放熱性に優れた高圧タンクとして、例えば特許文献1にはタンク内部に金属製のフィンを挿入することで、放熱性が向上する方法が開示されている。
しかしながら、タンク内部にそのようなフィンを挿入することは、タンク製造時の工程を複雑にし、また少しでもタンクの重量あたりのガスの充填量を上げたいところ、フィンの分の重量が増し、ガスの充填量が減少するという問題があった。
樹脂材料そのものの熱伝導性を向上させた組成物としては、例えば特許文献2にはマトリクス成分に対しピッチ系黒鉛化短繊維と黒鉛粒子が添加された熱伝導性組成物が開示されている。しかしながら、マトリクス成分に熱可塑性樹脂を用いた場合、十分な熱伝導性を発現するには熱可塑性樹脂に対して、30重量%を超える多量の炭素材料を用いる必要があり、タンクの費用が高くなること、またタンクへの成形が難しくなり、樹脂材料の強度の低下、耐ブリスター性等の高圧水素耐性の低下、更には樹脂ライナーの低温力学的特性の低下等も考えられることから、少量の炭素材料の使用で高い熱伝導性を有する樹脂組成物が求められてる。
また、単純に炭素材料の使用量を減らすと、溶融状態、特に定常時の低伸長粘度が小さくなってしまうことから、溶融成形時の膜厚の制御が難しくなり、押出ブロー成形等での溶融成形性が低下するという問題もあり、少量の炭素材料を使用した場合でも、溶融成形性が良好な樹脂組成物が求められている。
特開2012−087918号公報 特開2012−171986号公報
そこで本発明は、高い熱伝導性を有し溶融成形性が良好な樹脂組成物、およびそれを用いた成形物、および樹脂組成物の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、疎水性熱可塑性樹脂と親水性熱可塑性樹脂およびグラフェンを含有する樹脂組成物であって、グラフェンの含有量が樹脂組成物全体に対して5〜30重量%である樹脂組成物が上記課題を解決できることを見出した。
即ち本発明は、疎水性熱可塑性樹脂(A)と、親水性熱可塑性樹脂(B)とグラフェン(C)を含有する樹脂組成物であって、グラフェン(C)の含有量が樹脂組成物全体に対して5〜30重量%の樹脂組成物である。本発明の樹脂組成物は、さらに相溶化剤(D)を含有する樹脂であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は少量のグラフェン含有量であっても熱伝導性に優れた樹脂組成物であり、その樹脂組成物を水素用タンクのライナーに用いると、プレクールなしに水素ガスが高圧で高速充填された場合でも放熱性が高く、ライナーの溶融、強度低下が起こらず優れた水素用タンクが得られる。
本発明の樹脂組成物が少量のグラフェン含有量であっても熱伝導性、特に厚み方向の熱伝導性に優れる理由は明らかでないが、疎水性熱可塑性樹脂に親水性熱可塑性樹脂を複合化することで疎水性樹脂の連続層にグラフェンが局在化し、且つ疎水性熱可塑性樹脂と親水性熱可塑性樹脂の界面付近にグラフェンが配列することで、効率的な熱の通り道が形成され、グラフェンを通じた熱の移行がスムーズとなる為と推定される。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物は疎水性熱可塑性樹脂(A)、親水性熱可塑性樹脂(B)およびグラフェン(C)を含有する。
<疎水性熱可塑性樹脂(A)>
本発明で用いられる疎水性熱可塑性樹脂(A)は、溶解度パラメータ―(SP値(単位は(MPa)1/2)(SP値=CED1/2(CED=内部エネルギー変化/モル容積)より算出)が20以下の熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリオレフィン系樹脂(SP値:17〜16)、ポリ酢酸ビニル(SP値:19.2)、ポリスチレン系樹脂(SP値:17.5〜19.8)、ポリ塩化ビニル系樹脂(SP値:19.4〜19.8)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、炭素数2〜22のオレフィン系の重合体が好ましく、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンプロピレン共重合体や、酢酸ビニル、アクリル酸ビニル、ブテン、ヘキセンまたは4−メチル−1−ペンテン等と共重合したポリエチレンや、エチレン、ブテン、ヘキセンまたは4−メチル−1−ペンテン等と共重合したポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリヘキセン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、アイオノマー樹脂、あるいは上記のポリオレフィンの酸化ポリオレフィン等が挙げられる。
上記ポリスチレン系樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
なかでもポリオレフィン系樹脂が溶融成形性、耐水性、軽量化、低温特性等の点で好ましく、ポリオレフィン系樹脂のなかでもポリエチレンが軽量化、低温特性、耐水性の点で好ましく、高密度ポリエチレンが結晶化度が高く、高圧水素耐性の点で最も好ましい。
疎水性熱可塑性樹脂(A)の溶融粘度としては、MFRが0.2〜4g/10分(190℃ 2160g)であることが好ましい。
<親水性熱可塑性樹脂(B)>
本発明で用いられる親水性熱可塑性樹脂(B)は、溶解度パラメータ―(SP値(単位は(MPa)1/2)(SP値=CED1/2(CED=内部エネルギー変化/モル容積)より算出)が20より大きい熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリビニルアルコールやその共重合体ないしは架橋体、ポリビニルピロリドンやその共重合体などのポリビニル系樹脂;2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基などのヒドロキシアルキル基を有するアクリル酸、メタクリル酸ないしはマレイン酸のエステルの重合体ないしはそれらの架橋体、ポリアクリルアミドやその重合体、アクリルニトリルの重合体や架橋重合体の加水分解物、アクリル酸やメタクリル酸の重合体やその共重合体などのポリアクリル系樹脂やその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、1〜4級アンモニウム塩など)、酢酸ビニルとメタクリル酸メチルの共重合体の加水分解物;ウレタン系樹脂(すなわち、水溶性ポリウレタン、高吸水性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン);ポリエチレンオキシドやその重合体、ポリプロピレンオキシドやその重合体などのポリアルキレンオキシド系樹脂;ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド;ポリビニルアミン、ポリアリルアミンやその重合体;ポリアミド系樹脂などを挙げることができる。中でもガスバリア性、耐熱性、グラフェンの疎水性熱可塑性樹脂側への局在化効果の点でポリアミド系樹脂が好ましく、ポリアミド系樹脂としてはポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)等のホモポリマーが挙げられる。また、共重合ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン12/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)等の脂肪族共重合ポリアミドや、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドや、ポリ−p−フェニレン・3−4’ジフェニルエーテルテレフタルアミド等の芳香族共重合ポリアミド、非晶性ポリアミド、上記のポリアミド系樹脂をメチレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等のカルボキシル基やアミノ基で末端を変性した末端変性ポリアミド等が挙げられる。中でも水素ガスバリア性の点や耐熱性等のでポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)が好ましく、また、水素ガスバリア性、0℃〜−30℃域の低温力学的特性、柔軟性や耐候性の点でポリウンデカンアミド(ナイロン11)が好ましい。
<グラフェン(C)>
本発明で用いられるグラフェン(C)としては、グラフェン構造を有する炭素材料が好ましい。グラフェン構造を有する炭素材料は、グラファイト、多層グラフェン及び単層グラフェンから選択される少なくとも1種を含んでいればよい。
グラファイトは、天然黒鉛であってもよく、人造黒鉛(例えば、高配向性熱分解黒鉛(HOPG)など)であってもよい。グラファイトの形状は、特に限定されず、例えば、繊維状、粒状などであってもよい。粒状の形状としては、例えば、球状、楕円球状、多角方形状(四角方形状など)、板状(扁平、鱗片又は薄片状、薄層状など)、ロッド状、無定形状などが挙げられる。これらの形状のうち、板状(扁平、鱗片又は薄片状、薄層状など)が好ましい。
単層グラフェンは、前記グラフェン構造1層のみからなるシート状の構造体であり、多層グラフェンは、単層グラフェンが所定の間隔をおいて、複数積層した構造を有している。積層数は、例えば、2〜10層程度の範囲から選択でき、好ましくは2〜5層、さらに好ましくは2〜3層程度であってもよい。多層グラフェン及び単層グラフェンは、市販品を使用してもよく、慣用の方法により調製してもよい。慣用の方法としては、例えば、化学気相成長法(CVD法)や物理的(又は化学的)剥離法(例えば、特許文献1に記載の方法など)が挙げられ、なかでも、結晶中の構造欠陥の増加を抑制する観点から、強酸や強酸化剤を使用しない方法で調製したものが好ましい。
これらのグラフェン構造を有する炭素材料は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのグラフェン構造を有する炭素材料のうち、電気伝導性、熱伝導性及び作業性の観点から、多層グラフェン又は単層グラフェン(特に多層グラフェン)を含むのが好ましい。
多層グラフェンとしては特開2015−841号公報に記載された製造方法で作製されたグラフェンが好ましい。同公報に記載の炭素同素体の製造方法は、接触工程と、気化工程とを備える。接触工程は、黒鉛へ超臨界状態のインターカラント又は亜臨界状態のインターカラントを接触させる工程である。気化工程は、黒鉛がインターカラントと接触した後にそのインターカラントを気化させる工程である。この炭素同素体の製造方法は、加熱工程をさらに備える。加熱工程は、黒鉛を加熱する工程等からなる。本手法で製造されるグラフェンとして具体的には、少数の層のグラフェンシートが重なった「複層構造」を有した株式会社アイテック製のアイグラフェン(粒子径10〜100μm、厚さ10nm)が、疎水性熱可塑性樹脂に配合する際の作業性やコスト等の面で好ましく、例えば、iGurafen−αや粒子表面が有機化合物で処理されたiGurafen−Σなどがあげられる。
<相溶化剤(D)>
本発明の樹脂組成物には、更に疎水性熱可塑性樹脂(A)と親水性熱可塑性樹脂(B)の相溶化剤(D)を含有することが、樹脂組成物の分散状態が安定化する点で好ましい。相溶化剤(D)としては、例えば疎水性熱可塑性樹脂(A)と親水性熱可塑性樹脂(B)とのブロック共重合樹脂、疎水性熱可塑性樹脂(A)に親水性熱可塑性樹脂(B)と反応性または結合性を示す官能基有する化合物をグラフト化した樹脂、疎水性熱可塑性樹脂(A)に親水性熱可塑性樹脂(B)と相溶性を示す側鎖をグラフト化した樹脂が挙げられる。具体的にはポリオレフィンに無水マレイン酸をグラフトさせて得られる接着性ポリオレフィンに代表されるポリオレフィン酸変性物及びこのポリオレフィン酸変性物にナイロンなどを反応させたポリアミドグラフト化物などが挙げられる。中でも、無水マレイン酸がグラフト化されたポリエチレンがポリアミド系樹脂の末端アミンとの反応性や汎用性の点で好ましい。溶融粘度としては、MFRが0.2〜8g/10分(190℃ 2160g)であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は疎水性熱可塑性樹脂(A)、親水性熱可塑性樹脂(B)およびグラフェン(C)を含有する。疎水性熱可塑性樹脂(A)と親水性熱可塑性樹脂(B)の混合比としては20/80〜80/20((A)/(B))がグラフェンを疎水性熱可塑性樹脂に局在化させ、熱伝導性が高くなる点で好ましい。特には30/70〜70/30が好ましく、更には40/60〜60/40が好ましい。
本発明の樹脂組成物中のグラフェン(C)の含有量としては5〜30重量%であることが、熱伝導性に優れ、タンク用材料として十分な強度を保てる点で好ましい。特には10〜25重量%が好ましく、更には15〜20重量%が好ましい。
本発明の樹脂組成物は相溶化剤(D)を含有することが好ましく、樹脂組成物中の相溶化剤(D)の含有量としては2〜20重量%が樹脂組成物の分散状態および溶融粘度が安定する点で好ましく、特には5〜15重量%が好ましく、更には7〜12重量%が好ましい。
本発明の樹脂組成物は上記の各成分を含有するものであるが、各成分を含有、混合する方法については特に限定されないが、疎水性熱可塑性樹脂(A)および親水性熱可塑性樹脂(B)が溶融している状態でグラフェン(C)と混練されることが好ましい。
溶融混練には、押出機、バンパリーミキサー、ニーダールーダー、ミキシングロール、ブラストミル等の公知の混練機を用いることができる。例えば、押出機を用いる場合、単軸又は二軸の押出機等を用いることができる。なかでも生産性、分散性が良好となる点で二軸押出機が好ましい。溶融混練後、ホットカット、アンダーウォーターカット、ストランドカットなど既知の方法でペレット形状に加工する方法が採用され得る。上記の溶融混練温度は、100〜300℃の範囲から選ぶことができ、通常190〜250℃であり、好ましくは190〜245℃、特に好ましくは200〜240℃、更に好ましくは200〜235℃である。押出機内での滞留時間としては20秒〜5分が好ましく、特には30秒〜2分が好ましい。
かかる溶融混練は、疎水性熱可塑性樹脂(A)、親水性熱可塑性樹脂(B)、グラフェン(C)を同時に混練機に供給し、溶融混練してもよいし、疎水性熱可塑性樹脂(A)、親水性熱可塑性樹脂(B)を溶融混練した後、溶融状態の樹脂にグラフェン(C)を添加し混練してもよい。得られる樹脂組成物の熱伝導性が良好となる点で、溶融状態の疎水性熱可塑性樹脂(A)にグラフェン(C)を添加し混練した後、親水性熱可塑性樹脂(B)を添加し混練することが好ましい。
さらに相溶化剤(D)を加えて溶融混練することが樹脂組成物の熱伝導性が良好となる点、樹脂組成物の分散状態が安定する点で好ましい。相溶化剤(D)を混合する方法については特に限定されないが、疎水性熱可塑性樹脂(A)、親水性熱可塑性樹脂(B)、グラフェン(C)、相溶化剤(D)を同時に混練機に供給し、溶融混練してもよいし、疎水性熱可塑性樹脂(A)、親水性熱可塑性樹脂(B)、相溶化剤(D)を溶融混練した後、溶融状態の樹脂にグラフェン(C)を添加し混練してもよい。得られる樹脂組成物の分散状態がより安定する点で、溶融状態の疎水性熱可塑性樹脂(A)にグラフェン(C)を添加し混練した後、親水性熱可塑性樹脂(B)、相溶化剤(D)を添加し混練することが好ましい。更に溶融状態の疎水性熱可塑性樹脂(A)にグラフェン(C)を1軸乃至2軸押出機のサイドより添加することでグラフェンの破砕を防ぐことができ、熱伝導性が良好となる点でより好ましい。
溶融混練された樹脂組成物は、ホットカット、アンダーウォーターカット、ストランドカットなど既知の方法でペレット形状に加工され、成形物を作成する原料となる。
得られた本発明の樹脂組成物の成形物の原料は、再度、成形機で溶融され、成形物に成形される。その成形方法については特に限定されないが、押出成形、射出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形などの方法を採りえるが、特に本発明の樹脂組成物については熱伝導性に優れ、高圧水素ガスを高速充填した際の発熱を拡散できることから、ガスタンクの形状に成形することができる。ガスタンクの形状に成形する方法としては、半球状または有底円筒状に成形品を射出成形で2個、成形し、互いの開口部をレーザー融着等の方法で貼り合わせることでガスタンクの形状に成形する方法、押出ブロー成形でタンクの形状に成形する方法、射出成形で試験管状に成形した後、再加熱して空気を吹き込むことでタンクの形状に成形する方法、押出成形でシート状に成形した後、再加熱して(真空)圧空形成でカップ状に2個、成形した後、カップの開口部を貼り合わせることでガスタンクの形状の成形する方法などが挙げられる。なかでも後処理が不要で、成形サイクルが速く、生産効率が良好である点で押出ブロー成形が好ましい。
押出ブロー成形では丸ダイスから円筒形に下向きに押出された溶融状態の樹脂(パリソンと呼ばれる)を、周りから金型で挟み込み、中に空気を吹き込むことでタンクに成形するのだが、低伸長速度での伸長粘度が小さいとパリソンが自重で伸びてしまい、タンクの樹脂厚みのコントロールが難しくなる。よって、押出ブロー成形される樹脂は低伸長速度で十分な伸長粘度を有することが好ましい。
特に水素用タンクの様な大型のタンクをブロー成形する場合はパリソンも大きくなるため、より高い伸長粘度が必要であり、伸長速度が3sec−1において、伸長粘度は1×10Pa・s以上が好ましく、3×10Pa・s以上がより好ましく、5×10Pa・s以上が特に好ましい。
得られた成形品については、水素ガスを高圧で高速充填した際に発生する熱を拡散する必要があり、熱の拡散方向としては成形品の面方向だけでなく、厚み方向にも効率よく拡散する必要がある。面方向の熱伝導率をT1、厚み方向の熱伝導率をT2とした時の比T1/T2が30以下となることが好ましい。厚み方向の熱伝導率を大きくする方法としては、樹脂組成物が疎水性熱可塑性樹脂(A)、親水性熱可塑性樹脂(B)、グラフェン(C)を含有させ、グラフェン(C)の樹脂組成物中の含有量を調整する方法、樹脂組成物に相溶化剤(D)を含有させる方法、疎水性熱可塑性樹脂(A)とグラフェン(C)を溶融混合した後、親水性熱可塑性樹脂(B)および相溶化剤(D)を溶融混合する方法等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて他の樹脂や添加物が配合されていても良く、更に添加される他の樹脂や添加物を配合し、溶融混練することにより調製することができる。他の樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレンビニルアルコール系樹脂、側鎖1,2―ジオールを有する低結晶性のポリビニルアルコール系樹脂、側鎖に1,2―ジオールを有するエチレンビニルアルコールや1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパンなどと酢酸ビニルを共重合及びケン化反応経て得られるポリビニルアルコール系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。添加剤としては、例えば、可塑剤、フィラー、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等の公知の添加剤が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「%」とあるのは重量基準を意味する。
〔実施例1〜3、比較例1〕
以下に示す疎水性熱可塑性樹脂(A)、親水性熱可塑性樹脂(B)、グラフェン(C)および相溶化剤(D)を原料として、実施例1〜3及び比較例1の樹脂組成物を調製した。
(原料)
<疎水性熱可塑性樹脂(A)>
・高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、ノバテックHD HY540、SP値16.5)
<親水性熱可塑性樹脂(B)>
・ポリアミド11(ARKEMA社製、Rilsan P−20、SP値20.8)
・ポリアミド6/66(DSM社製、ノバミッド 2420J、SP値25.8)
<グラフェン(C)>
・多層グラフェン(アイテック社製 iGrafen−αS)
<相溶化剤(D)>
・無水マレイン酸変性VLDPE(三井化学社製、タフマーMA8510)
・無水マレイン酸変性高密度ポリエチレン(LyondellBasell社製 Plexar PX2250)
〔樹脂組成物の調製〕
上記原料を用いて、表1に記載の配合にて樹脂組成物を調製した。二軸押出機((株)テクノベル社製KZW15TW−45TMG)を用いて、疎水性熱可塑性樹脂(A)をホッパーからグラフェン(C)をC3の位置のサイドから押出機に供給し、下記条件1で混練し、ストランド状に冷却した後、ペレットにカットした。得られたペレットと親水性熱可塑性樹脂(B)と相溶化剤(D)をドライブレンドして、同じく二軸押出機のホッパーに供給し、下記条件2で混練し、ストランド状に冷却した後、ペレットにカットして、本発明の樹脂組成物を得た。
条件1
スクリュー径:15mmφ
L/D=45
回転方向:同方向
スクリューパターン: ニーディング3箇所(C2、C3、C4)
スクリーンメッシュ:60メッシュ
スクリュー回転数:160rpm
温度パターン:C1/C2/C3/C4/C5/C6/D=180/200/230/230/230/230/230℃
樹脂温度:230−235℃
条件2
スクリュー径:15mmφ
L/D=45
回転方向:同方向
スクリューパターン: ニーディング3箇所(C2、C3、C4)
スクリーンメッシュ:60メッシュ
スクリュー回転数:55rpm
温度パターン:C1/C2/C3/C4/C5/C6/D=180/200/220/220/220/220/220℃
樹脂温度:240−250℃
〔熱伝導度の測定〕
上記で得られた樹脂組成物を、ホットプレス(神籐金属(株)製)を用いて、プレス圧力:6MPa、プレス温度:200℃、時間:5分の条件でプレス成形を行い、厚み0.5mmの試料を得た。厚み方向の熱拡散率は、この成形品から直径10 mmの円盤状の試料を切り出し、アルバック理工(株)製の熱定数測定装置(型番TC7000)で、レーザーフラッシュ法でJIS R1611にしたがって測定した。また、面方向の熱拡散率は、20mm×20mm×0.5mmの矩形の試料を切り出し、アルバック理工(株)製の熱定数測定装置(型番TC7000)で、レーザーフラッシュ法の基盤測定法で測定した。また、比熱はセイコー電子(株)製のDSC(型番DSC−50)を用いて、JIS K7123にしたがって測定し、密度は水中置換法によってJIS K7112A法にしたがって測定し、厚み方向または面方向の熱拡散率にそれらを掛け合わせて、熱伝導率を計算した。さらに得られた樹脂組成物について、面方向の熱伝導率T1(W/(m・K))と厚み方向の熱伝導率T2(W/(m・K))の比(T1/T2)を熱伝導率の比とし、その結果を表1に示す。
上記で得られた樹脂組成物の低伸長速度下での伸長粘度として、Goettfert社製のツインキャピラリーレオメーターRG50を用いて、Cogswell法により220℃における定常時の伸長速度と伸長粘度の関係を求め、伸長速度が3sec−1での伸長粘度を求めた。
Figure 2019048950
表1に示すように、実施例1〜3の樹脂組成物は、30%以下のグラフェン含有量であっても、熱伝導度が高く、また面方向の熱伝導度と厚み方向の熱伝導度の比(T1/T2)が小さく、厚み方向へ効率よく熱伝導度できていることから、タンクに成形した際に放熱性に優れていることがわかる。親水性熱可塑性樹脂および相溶化剤を含有しない比較例1の樹脂組成物はグラフェン含有量が30%より大きい為、面方向の熱伝導度は高いものの、厚み方向の熱伝導度は実施例と大差なく、熱伝導度の比が大きく、グラフェン含有量が多い割に効率的に放熱できていないことがわかる。
また、実施例1〜3の樹脂組成物はいずれも伸長速度が3sec−1での伸長粘度が5×10Pa・s以上であり、ブロー成形性が良好な樹脂組成物であることがわかる。
本発明の樹脂組成物は、主に水素ガスの高圧ガスタンク等の燃料タンクのライナー用樹脂材料として利用することができるが、その他にも電気機器の放熱筐体、放熱フィン等に利用ですることも出来る。また、炭素繊維は、CFRPのマトリックス樹脂に比べ誘電率が高く、導電性を有する故、CFRPに照射されたマイクロ波を選択的に吸収し、加熱される。それ故、CFRP内部から加熱が引き起こされ、マトリックス樹脂の高速溶融を経て高速成形が期待される。この様な系であっても本発明の樹脂組成物には熱が蓄積することがないので熱可塑性樹脂の劣化を引き起こすことなく成形加工が可能なため、炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)からなるシート等のマイクロ波成形加工にも利用出来る。

Claims (6)

  1. 疎水性熱可塑性樹脂(A)、親水性熱可塑性樹脂(B)およびグラフェン(C)を含有する樹脂組成物であって、グラフェン(C)の含有量が樹脂組成物全体に対して5〜30重量%であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 疎水性熱可塑性樹脂(A)と親水性熱可塑性樹脂(B)との相溶化剤(D)を含有することを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載の樹脂組成物を押出成形又は射出成形で成形された成形物。
  4. シート状又は筒状の成形物であって、面方向の熱伝導率(T1)と厚み方向の熱伝導率(T2)の比(T1/T2)が30以下である請求項3記載の成形物。
  5. 溶融状態の疎水性熱可塑性樹脂(A)とグラフェン(C)を混合した後、親水性熱可塑性樹脂(B)を溶融混合することを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. 溶融状態の疎水性熱可塑性樹脂(A)とグラフェン(C)を混合した後、親水性熱可塑性樹脂(B)と相溶化剤(D)を溶融混合することを特徴とする請求項2記載の樹脂組成物の製造方法。
JP2017174336A 2017-09-11 2017-09-11 樹脂組成物およびそれを用いた成形物、樹脂組成物の製造方法 Pending JP2019048950A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017174336A JP2019048950A (ja) 2017-09-11 2017-09-11 樹脂組成物およびそれを用いた成形物、樹脂組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017174336A JP2019048950A (ja) 2017-09-11 2017-09-11 樹脂組成物およびそれを用いた成形物、樹脂組成物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019048950A true JP2019048950A (ja) 2019-03-28

Family

ID=65905742

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017174336A Pending JP2019048950A (ja) 2017-09-11 2017-09-11 樹脂組成物およびそれを用いた成形物、樹脂組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019048950A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021015098A1 (ja) * 2019-07-24 2021-01-28 東レ株式会社 樹脂組成物およびその樹脂組成物からなる樹脂成形品
JP2021123702A (ja) * 2020-02-10 2021-08-30 東亞合成株式会社 熱伝導性組成物およびその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021015098A1 (ja) * 2019-07-24 2021-01-28 東レ株式会社 樹脂組成物およびその樹脂組成物からなる樹脂成形品
JP2021123702A (ja) * 2020-02-10 2021-08-30 東亞合成株式会社 熱伝導性組成物およびその製造方法
JP7484203B2 (ja) 2020-02-10 2024-05-16 東亞合成株式会社 熱伝導性組成物およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN100540297C (zh) 抗冲改性聚酰胺膜
CN103260849B (zh) 燃料阻隔性优异的成型加工品
TWI660003B (zh) 導電性聚醯胺模製材料
CN103717372B (zh) 直接吹塑容器的制造方法以及包装体
KR101516026B1 (ko) 열수축성 부재로 사용하는 수지 조성물, 상기 수지 조성물로 이루어지는 열수축성 튜브, 및 상기 튜브로 피복된 부재
CN1211434C (zh) 树脂结构体及其用途
JP5842910B2 (ja) ポリエチレン系構造体
CN110951142B (zh) 一种高导热辐射交联聚乙烯管材及其制备方法和应用
JP2007204674A (ja) ブロー成形用組成物
CN101831110A (zh) 一种可高频焊接的聚丙烯复合材料及其制备方法
WO2015037459A1 (ja) ポリオレフィン系構造体の製造方法
JP2020041132A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP6527010B2 (ja) 熱伝導性樹脂成形体およびその製造方法
JP2012204292A (ja) 導電性フィルム及びその製造方法
EP2940064A1 (en) Polyethylene-based structure
JP4697392B2 (ja) バリア性に優れた熱可塑性樹脂組成物及びそれからなる成形体
JP2019048950A (ja) 樹脂組成物およびそれを用いた成形物、樹脂組成物の製造方法
JP2011162684A (ja) 中空容器の製造方法及び中空容器
WO2016052480A1 (ja) ガスインジェクション成形用樹脂組成物およびそれを用いて得られた中空成形体、並びにその中空成形体の製法
JP5700074B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物並びにそれからなる成形品及び吸気系部品
JP2012245742A (ja) ダイレクトブロー容器
KR20160117652A (ko) 열전도성 폴리아미드 수지 조성물 및 이를 이용한 성형품
JP2010254823A (ja) ポリアミド樹脂組成物並びにそれからなる成形品及び吸気系部品
JP4671023B2 (ja) バリア性に優れた熱可塑性樹脂組成物及びそれからなる成形体
JP2016222903A (ja) ブロー成形用樹脂組成物及び多層構造体

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20190426