JP2019048928A - 酸基含有(メタ)アクリレート樹脂、硬化性樹脂組成物、絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材 - Google Patents

酸基含有(メタ)アクリレート樹脂、硬化性樹脂組成物、絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材 Download PDF

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Abstract

【課題】高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材を提供する。【解決手段】フェノール性水酸基含有樹脂(A)と、環状カーボネート化合物(B1)または環状エーテル化合物(B2)と、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)と、アルカノールアミン化合物(D)と、酸無水物(E)とを必須の反応原料とすることを特徴とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、光感度が高く、アルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材に関する。
プリント配線基板用のソルダーレジスト用樹脂材料には、エポキシ樹脂をアクリル酸でアクリレート化した後、酸無水物を反応させて得られる酸基含有エポキシアクリレート樹脂が広く用いられている。ソルダーレジスト用樹脂材料に対する要求性能は、少ない露光量で硬化すること、アルカリ現像性に優れること等が挙げられる。
従来知られているソルダーレジスト用樹脂材料として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とアクリル酸と無水フタル酸とを反応させて得られる中間体に、更にテトラヒドロ無水フタル酸を反応させて得られる酸基含有エポキシアクリレート樹脂が知られているが(例えば、特許文献1参照。)、光感度及びアルカリ現像性が十分でなく、昨今ますます高まる要求性能を満足するものではなかった。
また、前記酸基含有エポキシアクリレート樹脂は、原料とするエポキシ樹脂がすでに塩素イオンを多く含有していることから、長期間の使用に伴い塩素イオンが遊離し、回路をイオン化することで、エレクトロマイグレーションによる絶縁破壊を起こす場合があるなど、絶縁信頼性が十分ではなかった。
そこで、高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に優れた材料が求められていた。
特開平8−259663号公報
本発明が解決しようとする課題は、高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、フェノール性水酸基含有樹脂(A)と、環状カーボネート化合物(B1)または環状エーテル化合物(B2)と、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)と、アルカノールアミン化合物(D)と、酸無水物(E)とを必須の反応原料とした酸基含有(メタ)アクリレート樹脂を用いることによって、樹脂中の塩素イオン含有量を低減でき、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、フェノール性水酸基含有樹脂(A)と、環状カーボネート化合物(B1)または環状エーテル化合物(B2)と、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)と、アルカノールアミン化合物(D)と、酸無水物(E)とを必須の反応原料とすることを特徴とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材に関するものである。
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂は、高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に優れることから、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂と、光重合開始剤とを含有した硬化性樹脂組成物は、絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料、及び前記ソルダーレジスト用樹脂からなるレジスト部材に好適に用いることができる。
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂は、フェノール性水酸基含有樹脂(A)と、環状カーボネート化合物(B1)または環状エーテル化合物(B2)と、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)と、アルカノールアミン化合物(D)と、酸無水物(E)とを必須の反応原料とすることを特徴とする。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート樹脂」とは、分子中にアクリロイル基及びメタクリロイル基の一方または両方を有する樹脂のことをいう。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の一方または両方のことをいい、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方また両方をいう。
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が含有する酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられる。これらの中でも優れたアルカリ現像性が発現することから、カルボキシル基が好ましい。
前記フェノール性水酸基含有樹脂(A)とは、分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する樹脂をいい、例えば、芳香族ポリヒドロキシ化合物や、分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物(a1)の1種または2種以上を反応原料とするノボラック型フェノール樹脂や、前記フェノール性水酸基を有する化合物(a1)と下記構造式(x−1)〜(x−5)の何れかで表される化合物(x)とを必須の反応原料とする反応生成物等が挙げられる。
Figure 2019048928
[式中hは、0または1である。Rは、それぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基の何れかであり、iは、0または1〜4の整数である。Zは、ビニル基、ハロメチル基、ヒドロキシメチル基、アルキルオキシメチル基の何れかである。Yは、炭素原子数1〜4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基の何れかである。jは1〜4の整数である。]
前記芳香族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、トリヒドロキシアントラセン、テトラヒドロキシアントラセン、ビフェノール、テトラヒドロキシビフェニル、ビスフェノール等の他、これらの芳香核上に1つまたは複数の置換基を有する化合物などが挙げられる。また、芳香核上の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等の脂肪族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等が置換したアリール基;フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等が置換したアリールオキシ基;フェニルメチル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等が置換したアラルキル基などが挙げられる。これらの芳香族ポリヒドロキシ化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。これらの中でも、高い絶縁信頼性を有する酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、ハロゲンを含有しない化合物が好ましい。
前記分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物(a1)としては、芳香核上に水酸基を1つ有する芳香族化合物であれば何れの化合物でもよく、例えば、フェノール或いはフェノールの芳香核上に1つまたは複数の置換基を有するフェノール化合物、ナフトール或いはナフトールの芳香核上に1つまたは複数の置換基を有するナフトール化合物、アントラセノール或いはアントラセノールの芳香核上に1つまたは複数の置換基を有するアントラセノール化合物等が挙げられる。また、芳香核上の置換基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基等が挙げられ、其々の具体例は前述の通りである。これらのフェノール性水酸基を1つ有する化合物(a1)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。これらの中でも、高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、フェノール化合物が好ましく、フェノールまたはこれらの芳香核上に前記置換基を1つまたは2つ有する化合物が好ましい。芳香核上の置換基としては、炭素原子数1〜6の脂肪族炭化水素基またはアラルキル基が好ましい。
前記分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物(a1)と前記化合物(x)との反応は、酸触媒条件下、80〜200℃程度の温度条件下で加熱撹拌する方法により行うことができる。前記分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物(a1)と前記化合物(x)との反応割合は、前記化合物(x)1モルに対して、前記分子内にフェノール性水酸基を有する化合物(a1)が、0.5〜5モルとなる割合であることが好ましい。
前記環状カーボネート化合物(B1)としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート等が挙げられる。これらの環状カーボネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、エチレンカーボネート、またはプロピレンカーボネートが好ましい。
前記環状エーテル化合物(B2)としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの環状エーテル化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、エチレンオキサイド、またはプロピレンオキサイドが好ましい。
前記N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)としては、例えば、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらのN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
前記アルカノールアミン化合物(D)としては、例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン等のモノアルカノールアミン;ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジブタノールアミン、ジペンタノールアミン、ジヘキサノールアミン等のジアルカノールアミンなどが挙げられる。これらのアルカノールアミン化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、絶縁信頼性、光感度および現像性に優れる理由から、ジアルカノールアミンが好ましく、特にジエタノールアミンが好ましい。
前記酸無水物(E)としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、オクテニル無水コハク酸、テトラプロぺニル無水コハク酸等が挙げられる。これらの酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、テトラヒドロ無水フタル酸、または無水コハク酸が好ましい。
前記N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)と、前記アルカノールアミン化合物(D)との当量比[(C)/(D)]は、光感度及びアルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、2.5〜20の範囲が好ましく、3.3〜20の範囲がより好ましい。
また、前記N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)と、前記酸無水物(E)との当量比[(C)/(E)]は、光感度及びアルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、2〜20の範囲が好ましく、2、5〜20の範囲がより好ましい。
また、前記N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)と、前記アルカノールアミン化合物(D)と、前記酸無水物(E)との当量比[(C):(D):(E)]は、光感度及びアルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、1:0.05〜0.4:0.05〜0.5の範囲が好ましく、1:0.05〜0.3:0.05〜0.4の範囲がより好ましい。
本発明の酸価含有(メタ)アクリレート樹脂の製造方法は、特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、先に前記フェノール性水酸基含有樹脂(A)と、前記環状カーボネート化合物(B1)または前記環状エーテル化合物(B2)とを反応させて、次いで、前記N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)を反応させ、次いで、前記アルカノールアミン化合物(D)を反応させた後、前記酸無水物(E)を反応させる方法が好ましい。該反応は、例えば、前記フェノール性水酸基含有樹脂(A)と前記前記環状カーボネート化合物(B1)または前記環状エーテル化合物(B2)とを塩基性触媒の存在下、100〜200℃の温度範囲で反応させた後、酸触媒の存在下、前記N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)を80〜140℃の温度範囲で反応させ、次いで、前記アルカノールアミン化合物(D)を加えた後、前記酸無水物(E)を加え、60〜140℃の温度範囲で反応させる方法等により行うことができる。
前記塩基性触媒としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のリン化合物;トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物などが挙げられる。これらの塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸などが挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、該反応は、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよい。前記有機溶剤としては例えば、メチルエチルケトン、アセトン、イソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記有機溶剤の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計質量に対して、0.1〜5倍量程度の範囲で用いることが好ましい。
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の具体的構造特に限定されず、フェノール性水酸基含有樹脂(A)と、環状カーボネート化合物(B1)または環状エーテル化合物(B2)と、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)と、アルカノールアミン化合物(D)と、酸無水物(E)とを必須の反応原料とし、樹脂中に酸基及び(メタ)アクリロイル基を有するものであればよいが、得られる前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、下記構造式(1)で表される構造部位(I)と下記構造式(2)で表される構造部位(II)と下記構造式(3)で表される(III)を繰り返し構造単位とする樹脂構造を有するものが挙げられる。
Figure 2019048928
[式中Rは、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基である。Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の炭化水素基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子の何れかであり、nは、それぞれ独立に1または2である。Rは、それぞれ独立にメチレン基または下記構造式(x’−1)〜(x’−5)の何れかで表される構造部位である。R、R、Rは、それぞれ独立に炭素原子数1〜12の炭化水素基である。R、R10は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基である。また、RとR10とが、連結して飽和または不飽和の環を形成してもよい。R11は、水素原子または炭素原子数1〜12のヒドロキシアルキル基である。R12は、水素原子またはメチル基である。xは、前記Rで表される構造部位、或いは、構造式(1)で表される構造部位(I)、構造式(2)で表される構造部位(II)、または構造式(3)で表される構造部位(III)とが、*印が付されたRを介して連結する結合点である。]
Figure 2019048928
[式中hは、0または1である。R13は、それぞれ独立して脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかであり、iは、0または1〜4の整数である。R14は、水素原子またはメチル基である。Wは、下記構造式(w−1)、(w−2)または(w−3)である。Yは、炭素原子数1〜4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基の何れかである。jは、1〜4の整数である。]
Figure 2019048928
[式中R15は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基である。R16、R17、R18は、それぞれ独立に炭素原子数1〜12の炭化水素基である。R19、R20は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基である。また、R19とR20とが、連結して飽和または不飽和の環を形成してもよい。R21は、水素原子または炭素原子数1〜12のヒドロキシアルキル基である。R22は、水素原子またはメチル基である。
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の酸価は、高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、30〜150mgKOH/gが好ましく、40〜100mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本発明において、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法に基づいて測定される値である。
また、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂中の重合性不飽和結合基濃度は、高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に優れた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、200〜700g/eqが好ましく、250〜600g/eqの範囲がより好ましい。
さらに、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂中の塩素イオン含有量は、高い絶縁信頼性を有する酸基含有(メタ)アクリレート樹脂が得られることから、100ppm未満であることが好ましく、樹脂中に塩素イオンを含まないことがより好ましい。なお、塩素イオン含有量が100ppm以上であると、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂をソルダーレジスト用樹脂材料として用いた場合、長期間の使用に伴い、塩素イオンが遊離し、回路をイオン化することで、エレクトロマイグレーションによる絶縁破壊を起こす可能性がある。
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂は、分子構造中に重合性の(メタ)アクリロイル基を有することから、例えば、光重合開始剤を添加することにより硬化性樹脂組成物として用いることができる。
前記光重合開始剤は、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。
前記光重合開始剤の市販品としては、例えば、「イルガキュア−184」、「イルガキュア−149」、「イルガキュア−261」、「イルガキュア−369」、「イルガキュア−500」、「イルガキュア−651」、「イルガキュア−754」、「イルガキュア−784」、「イルガキュア−819」、「イルガキュア−907」、「イルガキュア−1116」、「イルガキュア−1664」、「イルガキュア−1700」、「イルガキュア−1800」、「イルガキュア−1850」、「イルガキュア−2959」、「イルガキュア−4043」、「ダロキュア−1173」(BASFジャパン株式会社製)、「ルシリンTPO」(BASF社製)、「カヤキュア−DETX」、「カヤキュア−MBP」、「カヤキュア−DMBI」、「カヤキュア−EPA」、「カヤキュア−OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア−10」、「バイキュア−55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア−PDO」、「クオンタキュア−ITX」、「クオンタキュア−EPD」(ワードブレンキンソップ社製)等が挙げられる。
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、前記硬化性樹脂組成物100質量部に対し、1〜20質量部の範囲で用いる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂以外のその他の樹脂成分を含有しても良い。前記その他の樹脂成分としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸、ジカルボン酸無水物、必要に応じて不飽和モノカルボン酸無水物等を反応させて得られる、樹脂中にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂、各種の(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
前記(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環型モノ(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物:前記各種のモノ(メタ)アクリレートモノマーの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した4官能以上の(ポリ)オキシアルキレン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入した4官能以上のラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、塗工粘度調節等の目的で有機溶剤を含有してもよく、その種類や添加量は、所望の性能に応じて適宜選択及び調整される。
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、イソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物は、高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に優れることから、例えば、半導体デバイス用途における、ソルダーレジスト、層間絶縁材料、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や、集積回路素子と回路基板の接着層として好適に用いることができる。また、LCD、OELDに代表される薄型ディスプレイ用途における、薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルタ保護膜、カラーフィルタ用顔料レジスト、ブラックマトリックス用レジスト、スペーサー等に好適に用いることができる。
本発明のソルダーレジスト用樹脂材料は、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂及び前記光重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物に、必要に応じて、例えば、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤等を用いることができる。
前記硬化剤としては、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂中のカルボキシル基と反応し得る官能基を有するものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、硬化物における耐熱性に優れることから、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、軟化点が50〜120℃の範囲であるものが特に好ましい。
前記硬化促進剤とは、前記硬化剤の硬化反応を促進するものであり、前記硬化剤としてエポキシ樹脂を用いる場合には、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記硬化促進剤の添加量は、例えば、前記硬化剤100質量部に対して1〜10質量部の範囲で用いることが好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、イソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
本発明のレジスト部材は、例えば、前記ソルダーレジスト用樹脂材料を基材上に塗布し、60〜100℃程度の温度範囲で有機溶剤を揮発乾燥させた後、所望のパターンが形成されたフォトマスクを通して活性エネルギー線にて露光させ、アルカリ水溶液にて未露光部を現像し、更に140〜180℃程度の温度範囲で加熱硬化させて得ることができる。
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
(合成例1:フェノール性水酸基含有樹脂(A−1)の合成)
温度計、攪拌機、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート70.3質量部を入れ、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製「PHENOLITE KA−1165」、水酸基当量;119g/eq、軟化点;125℃)120質量部を溶解させた。次いで、エチレンカーボネート88質量部、トリフェニルフォスフィン0.6質量部を添加し、窒素雰囲気下において160℃で8時間反応を行いフェノール性水酸基含有樹脂(A−1)を得た。
(合成例2:フェノール性水酸基含有樹脂(A−2)の合成)
温度計、攪拌機、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート63.9質量部を入れ、フェノールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製「PHENOLITE TD−2093」、水酸基当量;104g/eq、軟化点;100℃)105質量部を溶解させた。次いで、エチレンカーボネート88質量部、トリフェニルフォスフィン0.5質量部を添加し、窒素雰囲気下において160℃で8時間反応を行いフェノール性水酸基含有樹脂(A−2)を得た。
(実施例1:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)の調製)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート44.2質量部を入れ、合成例(1)234.3質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.1質量部加えた後、N−メトキシメチルアクリルアミド115質量部、シュウ酸1.2質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃、150Torrの減圧下で10時間反応を行なった。次に、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート67.5質量部、ジエタノールアミン26.8質量部を添加し、60℃で3時間反応させた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸73.7質量部を加え110℃で5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)の固形分酸価は80mgKOH/gであった。
(実施例2:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(2)の調製)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート44.2質量部を入れ、合成例(1)234.3質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.1質量部加えた後、N−メトキシメチルアクリルアミド115質量部、シュウ酸1.2質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃、150Torrの減圧下で10時間反応を行なった。次に、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート49.9質量部、ジエタノールアミン18質量部を添加し、60℃で3時間反応させた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸49.6質量部を加え110℃で5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(2)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(2)の固形分酸価は、60mgKOH/gであった。
(実施例3:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(3)の調製)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート44.2質量部を入れ、合成例(1)234.3質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.1質量部加えた後、N−メトキシメチルアクリルアミド115質量部、シュウ酸1.2質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃、150Torrの減圧下で10時間反応を行なった。次に、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート50.2質量部、ジエタノールアミン24.3質量部を添加し、60℃で3時間反応させた。その後、無水コハク酸44質量部を加え110℃で5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(3)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(3)の固形分酸価は、80mgKOH/gであった。
(実施例4:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(4)の調製)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート44.2質量部を入れ、合成例(1)234.3質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.1質量部加えた後、N−メトキシメチルアクリルアミド115.0質量部、シュウ酸1.2質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃、150Torrの減圧下で10時間反応を行なった。次に、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート39.1質量部、ジエタノールアミン17質量部を添加し、60℃で3時間反応させた。その後、無水コハク酸30.7質量部を加え110℃で5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(4)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(4)の固形分酸価は、60mgKOH/gであった。
(実施例5:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(5)の調製)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート49.2質量部を入れ、合成例(2)212.9質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.1質量部加えた後、N−メトキシメチルアクリルアミド115質量部、シュウ酸1.2質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃、150Torrの減圧下で10時間反応を行なった。次に、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート62.5質量部、ジエタノールアミン25.1質量部を添加し、60℃で3時間反応させた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸69.1質量部を加え110℃で5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(5)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(5)の固形分酸価は80mgKOH/gであった。
(実施例6:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(6)の調製)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート49.2質量部を入れ、合成例(2)212.9質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.1質量部加えた後、N−メトキシメチルアクリルアミド115質量部、シュウ酸1.2質量部を添加し、空気を吹き込みながら100℃、150Torrの減圧下で10時間反応を行なった。次に、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート46質量部、ジエタノールアミン16.9質量部を添加し、60℃で3時間反応させた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸46.6質量部を加え110℃で5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(6)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(6)の固形分酸価は、60mgKOH/gであった。
(比較例1:酸基含有エポキシアクリレート樹脂の調製)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート101質量部を入れ、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−680」、エポキシ基当量;214g/eq)428質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン4質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.4質量部加えた後、アクリル酸144質量部、トリフェニルフォスフィン1.6質量部を添加し、空気を吹き込みながら120℃で10時間エステル化反応を行なった。その後、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート311質量部、テトラヒドロ無水フタル酸160質量部を加え110℃で2.5時間反応させて、酸基含有エポキシアクリレート樹脂を得た。この酸基含有エポキシアクリレート樹脂の固形分酸価は85mgKOH/gであった。
(実施例7:硬化性樹脂組成物(1)の調製)
実施例1で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)100質量部、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−680」)24質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10質量部、光重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア907」)5質量部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.5質量部、有機溶剤としてジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート13質量部、顔料としてフタロシアニングリーン0.65質量部を配合し、ロールミルにより混錬して硬化性樹脂組成物(1)を得た。
(実施例8〜12:硬化性樹脂組成物(2)〜(6)の調製)
実施例7で用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)の代わりに、実施例2〜6で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(2)〜(6)をそれぞれ用いた以外は、実施例7と同様にして硬化性樹脂組成物(2)〜(6)を得た。
(比較例2:硬化性樹脂組成物(C1)の調製)
実施例7で用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)の代わりに、比較例1で得た酸基含有エポキシアクリレート樹脂を用いた以外は、実施例7と同様にして硬化性樹脂組成物(C1)を得た。
上記の実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を用いて、下記の評価を行った。
[光感度の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜上にコダック社製「ステップタブレットNo.2」を乗せ、メタルハライドランプを用いて500mJ/cmの紫外線を照射した。これを1%の炭酸ナトリウム水溶液で30℃180秒間現像し、ステップタブレット法に基づきステップタブレットの残存段数にて評価した。なお、残存段数が多いほど光感度が高いことを示す。
[アルカリ現像性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布した後、80℃でそれぞれ30分間、40分間、50分間、60分間、70分間、80分間、90分間、100分間乾燥させ、乾燥時間が異なるサンプルを作成した。これらを1%炭酸ナトリウム水溶液で30℃180秒間現像し、基板上に残渣が残らなかったサンプルの80℃での乾燥時間を乾燥管理幅として評価した。なお、乾燥管理幅が長いほどアルカリ現像性が優れていることを示す。
[絶縁信頼性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、クシ型電極基板(ラインアンドスペースは100μm/100μm)上に以下の条件にて、硬化物を作製した。硬化性樹脂組成物を塗布し、80℃で30分乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cmの紫外線を照射し、160℃で1時間後硬化し、硬化膜を作製した。前記硬化膜を温度120℃、湿度85%に設定した恒温恒湿槽器内に入れ、DC100Vのバイアス電圧を印加し、240時間後のマイグレーションの有無を目視にて下記の評価基準で評価した。
○:全く変化なし
×:マイグレーションが発生する
[塩素含有量の測定方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物0.3gを200ml共栓付三角フラスコに精秤し、1−ブタノール20mlを加え、120℃の油浴中で還流溶解した。さらに、金属ナトリウム1gを加え油浴中で1時間還流した。放冷後、純水5mlおよび硝酸5mlを加え、この溶液を電位差滴定装置(京都電子工業製「AT−310J」)を用いて生成したNaClを0.01モル/リットルの硝酸銀水溶液で滴定することによって求めた。
実施例7〜12で作製した硬化性樹脂組成物(1)〜(6)及び比較例2で作製した硬化性樹脂組成物(C1)の評価結果を表1に示す。
Figure 2019048928
表1中の「ND」は、不検出を示す。
表1に示した実施例7〜12は、本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂を用いた硬化性樹脂組成物の例であり、この硬化性樹脂組成物を用いて得られた硬化物は、塩素イオンを含有せず高い絶縁信頼性を有し、光感度及びアルカリ現像性に極めて優れることが確認できた。
一方、比較例2は、酸基含有エポキシアクリレートを用いた硬化性樹脂組成物の例であるが、この硬化性樹脂組成物を用いて得られた硬化物は、光感度には優れるものの、アルカリ現像性及び絶縁信頼性は著しく不十分であることが確認できた。

Claims (10)

  1. フェノール性水酸基含有樹脂(A)と、環状カーボネート化合物(B1)または環状エーテル化合物(B2)と、N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)と、アルカノールアミン化合物(D)と、酸無水物(E)とを必須の反応原料とすることを特徴とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂。
  2. 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の酸価が、30〜150mgKOH/gの範囲である請求項1記載の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂。
  3. 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂中の重合性不飽和結合基当量が、200〜700g/eqの範囲である請求項1または2記載の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂。
  4. 前記N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(C)と、アルカノールアミン化合物(D)と、酸無水物(E)との当量比[(C):(D):(E)]が、1:0.05〜0.5:0.05〜0.8である請求項1〜3のいずれか1項記載の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂。
  5. 前記アルカノールアミン化合物(D)が、ジエタノールアミンである請求項1〜4のいずれか1項記載の酸基含有(メタ))アクリレート樹脂。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂と、光重合開始剤とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項6記載の硬化性樹脂組成物の硬化反応物であることを特徴とする硬化物。
  8. 請求項6載の硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする絶縁材料。
  9. 請求項6記載の硬化性樹脂組成物からなることを特徴とするソルダーレジスト用樹脂材料。
  10. 請求項9記載のソルダーレジスト用樹脂材料からなることを特徴とするレジスト部材。
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