JP2019048546A - 作業車両のキャビン制振システム - Google Patents

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Abstract

【課題】作業車両のキャビンの振動を的確に抑制する。【解決手段】キャビン制振システム100は、トラクタ1のフレーム2とキャビン6との間に設けられ、キャビン6の振動を減衰する減衰力を変更自在な緩衝部10と、少なくともキャビン6の振動方向におけるキャビン6の加速度αを検出する加速度センサ62と、加速度センサ62で検出されたキャビン6の加速度α及びキャビン6の共振周波数fmに基づいて、緩衝部10が生じる減衰力の大きさを制御する制御装置60と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、作業車両のキャビンの振動を抑制するキャビン制振システムに関するものである。
特許文献1には、コイルばね及びオイルダンパを介してキャビンがフレーム上に設置された作業車両が開示されている。この作業車両では、コイルばね及びオイルダンパによってキャビンの振動が抑制される。
特開2010−260460号公報
一般的に作業車両が走行する圃場等の不整地は、舗装路面と比較し起伏に富むため、作業者の乗り心地を向上させるには、ダンパの減衰力を小さくし、フレームからキャビンに振動が伝わらないようにすることが好ましい。一方で、段差等に乗り上げたり段差等から降りたりする際の衝撃によって、キャビンが共振周波数で振動し始めると、ダンパの減衰力が小さい場合、キャビンの振動を抑制することができず、結果として乗り心地を悪化させるおそれがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、作業車両のキャビンの振動を的確に抑制することを目的とする。
第1の発明は、作業車両のキャビンの振動を抑制するキャビン制振システムが、作業車両のフレームとキャビンとの間に設けられ、振動を減衰する減衰力を変更自在な緩衝部と、少なくとも振動の方向におけるキャビンの加速度を検出する加速度検出部と、加速度検出部で検出されたキャビンの加速度及びキャビンの共振周波数に基づいて、緩衝部が生じる減衰力の大きさを制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
第1の発明では、加速度検出部で検出されたキャビンの振動方向の加速度及びキャビンの共振周波数に基づいて、緩衝部が生じる減衰力の大きさが制御される。このように、キャビンの振動状況に応じて、緩衝部が生じる減衰力の大きさを変更することで、キャビンの振動を的確に抑制することができる。
第2の発明は、制御部が、加速度検出部によって検出された加速度からキャビンの共振周波数におけるパワースペクトル密度を算出し、パワースペクトル密度が所定値以上のとき、または、パワースペクトル密度が高くなるにつれて、緩衝部が生じる減衰力の大きさを大きくすることを特徴とする。
第2の発明では、キャビンの共振周波数におけるパワースペクトル密度が大きく、キャビンが共振周波数で振動している場合には、緩衝部が生じる減衰力を大きくすることでキャビンの振動が抑制される。一方、キャビンの共振周波数におけるパワースペクトル密度が小さく、キャビンが共振周波数で振動していない場合には、緩衝部が生じる減衰力を小さくすることでフレームからキャビンに振動が伝達されることが抑制される。この結果、キャビンの振動が的確に抑制され、不整地を走行する作業車両の乗り心地を向上させることができる。
第3の発明は、制御部が、加速度検出部によって検出された加速度に基づいてキャビンの共振周波数を中心周波数としたオクターブバンドの実効値を算出し、オクターブバンドの実効値が所定値以上のときに、または、オクターブバンドの実効値が大きくなるにつれて、緩衝部が生じる減衰力の大きさを大きくすることを特徴とする。
第3の発明では、キャビンの共振周波数を中心周波数としたオクターブバンドの実効値が大きく、キャビンが共振周波数で振動している場合には、緩衝部が生じる減衰力を大きくすることでキャビンの振動が抑制される。一方、キャビンの共振周波数を中心周波数としたオクターブバンドの実効値が小さく、キャビンが共振周波数で振動していない場合には、緩衝部が生じる減衰力を小さくすることでフレームからキャビンに振動が伝達されることが抑制される。この結果、キャビンの振動が的確に抑制され、不整地を走行する作業車両の乗り心地を向上させることができる。
第4の発明は、緩衝部が、一端がフレームに連結され内部に作動流体が封入されるシリンダチューブと、シリンダチューブ内に摺動自在に配置されシリンダチューブ内を第一流体室及び第二流体室に区画するピストンと、ピストンに一端が結合され他端がキャビンに連結されるピストンロッドと、第一流体室と第二流体室とを連通する連通路と、を有する流体圧シリンダと、連通路を流れる作動流体に抵抗を付与する減衰力切換弁と、を有し、制御部が、減衰力切換弁を制御し作動流体に付与される抵抗を変化させることにより緩衝部が生じる減衰力の大きさを調整することを特徴とする。
第4の発明では、緩衝部が生じる減衰力の大きさは、第一流体室と第二流体室とを連通する連通路を流れる作動流体に付与される抵抗を変化させることで変更される。このように、流体圧シリンダの伸縮に伴って第一流体室と第二流体室との間を行き来する作動流体の流れを制御することで緩衝部が生じる減衰力の大きさを容易に変更することができる。
第5の発明は、緩衝部が、第一流体室に接続されるアキュムレータをさらに有することを特徴とする。
第5の発明では、第一流体室にアキュムレータが接続されることで、第一流体室は、アキュムレータとともに流体ばねとして機能する。このため、流体圧シリンダをフレームとキャビンとの間に設けるだけで、フレーム及びキャビンの振動を流体圧シリンダにより減衰ないし吸収することが可能となる。この結果、キャビン制振システムをコンパクト化することができる。
第6の発明は、緩衝部が、フレームとキャビンとの間に圧縮された状態で介装される弾性部材をさらに有することを特徴とする。
第6の発明では、フレームとキャビンとの間に設けられる流体圧シリンダと弾性部材とによりフレーム及びキャビンの振動が減衰ないし吸収される。このように、従来から緩衝装置として用いられている流体圧シリンダや弾性部材がキャビンの制振に用いられているため、キャビン制振システムの製造コストを低減させることができる。
第7の発明は、緩衝部が、一端がフレームに連結され内部に作動流体が封入されるシリンダチューブと、シリンダチューブ内に摺動自在に配置されシリンダチューブ内を第一流体室と第二流体室とに区画するピストンと、ピストンに一端が結合され他端がキャビンに連結されるピストンロッドと、を有する流体圧シリンダと、流体圧シリンダに接続通路を通じて接続されるアキュムレータと、接続通路を流れる作動流体に抵抗を付与する減衰力切換弁と、を有し、制御部が、減衰力切換弁を制御し作動流体に付与される抵抗を変化させることにより緩衝部が生じる減衰力の大きさを調整することを特徴とする。
第7の発明では、緩衝部が生じる減衰力の大きさは、流体圧シリンダとアキュムレータとを連通する接続通路を流れる作動流体に付与される抵抗を変化させることで変更される。このように、流体圧シリンダの伸縮に伴って接続通路を行き来する作動流体の流れを制御することで緩衝部が生じる減衰力の大きさを容易に変更することができる。
第8の発明は、キャビン制振システムが、フレームとキャビンとの相対距離を検出する距離検出部と、第一流体室に対して作動流体を給排することによりフレームとキャビンとの相対距離を調整可能なキャビン高さ調整部と、をさらに備え、制御部が、距離検出部により検出された相対距離が所定の大きさとなるように、キャビン高さ調整部を制御し、フレームとキャビンとの相対距離を調整することを特徴とする。
第8の発明では、第一流体室に対して作動流体を給排することによりフレームとキャビンとの相対距離を調整し、キャビンの高さを所望の高さとすることが可能である。このため、キャビンにおける視界の確保が容易になり作業車両の作業性を向上させることができる。
第9の発明は、キャビン制振システムが、フレームの傾斜を検出する傾斜検出部をさらに備え、制御部が、傾斜検出部により検出された傾斜に応じてキャビン高さ調整部を制御し、フレームとキャビンとの相対距離を調整することを特徴とする。
第9の発明では、フレームの傾斜に応じてフレームとキャビンとの相対距離が調整される。このため、走行路面の傾斜に関わらず、キャビンを水平な状態に維持することが可能となり作業車両の作業性を向上させることができる。
本発明によれば、作業車両のキャビンの振動を的確に抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係るキャビン制振システムが適用されるトラクタの側面図である。 本発明の第1実施形態に係るキャビン制振システムが適用されるトラクタを後方から見た背面図である。 本発明の第1実施形態に係るキャビン制振システムの油圧回路図である。 本発明の第1実施形態に係るキャビン制振システムの緩衝部を拡大して示した拡大図である。 本発明の第1実施形態に係るキャビン制振システムの制御部が実行する処理のフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係るキャビン制振システムの油圧回路図である。 本発明の第3実施形態に係るキャビン制振システムの油圧回路図である。 本発明の第3実施形態に係るキャビン制振システムの緩衝部を拡大して示した拡大図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態に係るキャビン制振システム100が適用されるトラクタ1について説明する。図1には、トラクタ1の側面図が示されており、図2には、トラクタ1を後方から見た背面図が示される。
図1及び図2に示されるトラクタ1は、圃場等の不整地を走行する作業車両である。トラクタ1は、車両の前後方向に延びるフレーム2と、フレーム2に支持される前輪3及び後輪4と、後述の油圧シリンダ20等を介してフレーム2に設置されるキャビン6と、を備える。フレーム2の前方には図示しないエンジンが搭載され、エンジンを覆うようにしてボンネット5がフレーム2に取り付けられる。トラクタ1は、図示しないギアケースを介してエンジンの動力が前輪3及び後輪4に伝達されることで走行する。
キャビン6は、車両の前方側において、車両の幅方向両端部に設けられる一対の円筒状のゴムブッシュマウント7を介してフレーム2に連結される。ゴムブッシュマウント7は、その支持軸が車両の幅方向に延びるように配置される。つまり、キャビン6は、図1の矢印Aで示されるように、ゴムブッシュマウント7を中心として車両のピッチ方向に揺動可能に支持される。
キャビン6とフレーム2とは、車両の幅方向に一対設けられた油圧シリンダ20を介して連結されるとともに、車両の幅方向に延びるように配置されたラテラルロッド8を介して連結される。このため、キャビン6はフレーム2に対して、車両の上下方向に変位することは許容されるが、車両の幅方向に変位することが制限される。
次に、図3及び図4を参照し、キャビン制振システム100について説明する。
キャビン制振システム100は、キャビン6の振動を減衰する減衰力を変更自在な緩衝部10と、緩衝部10に対して作動流体としての作動油を給排するキャビン高さ調整部50と、緩衝部10が生じる減衰力の大きさを制御する制御部としての制御装置60と、を備える。
緩衝部10は、キャビン6とフレーム2との間において、車両の右側と左側とにそれぞれ設けられる一対の流体圧シリンダとしての油圧シリンダ20を有する。一対の油圧シリンダ20は、同じ構成を有するため、以下では、一方の構成についてのみ説明する。
油圧シリンダ20は、一端がフレーム2に連結され内部に作動油が封入されるシリンダチューブ21と、シリンダチューブ21内に摺動自在に配置されシリンダチューブ21内を第一流体室としてのピストン側室24及び第二流体室としてのロッド側室25に区画するピストン22と、ピストン22に一端が結合され他端がキャビン6に連結されるピストンロッド23と、を有する
油圧シリンダ20は、ピストン側室24に作動油が供給されることによって伸長し、ピストン側室24から作動油が排出されることによって収縮するいわゆる単動形流体圧シリンダである。油圧シリンダ20は、シリンダチューブ21の基端部が連結部26を介してフレーム2に連結され、ピストンロッド23の先端部が連結部27を介してキャビン6に連結される。
また、油圧シリンダ20のピストン22の内部には、伸側減衰バルブ29a及び圧側減衰バルブ29bが設けられる。
伸側減衰バルブ29aは、ピストン側室24とロッド側室25とを連通する連通路22aに設けられ、油圧シリンダ20が伸長する際に開弁して連通路22aを開放するとともに、連通路22aを通過してロッド側室25からピストン側室24へ移動する作動油の流れに抵抗を与えるものである。
圧側減衰バルブ29bは、ピストン側室24とロッド側室25とを連通する連通路22bに設けられ、油圧シリンダ20が収縮する際に開弁して連通路22bを開放するとともに、連通路22bを通過してピストン側室24からロッド側室25へ移動する作動油の流れに抵抗を与えるものである。
緩衝部10は、図4に示すように、ピストンロッド23の内部に設けられる減衰力切換弁30をさらに有する。
減衰力切換弁30は、ピストン側室24とロッド側室25とを連通するピストンロッド23に形成された連通路28上に設けられる電磁式2位置切換弁である。減衰力切換弁30は、制御装置60から供給される電流により駆動するソレノイド33と、伝達部材34を介してソレノイド33の付勢力が付与される弁体31と、ソレノイド33の付勢力に対向する付勢力を弁体31に付与するばね32と、を有する。
弁体31は、流路面積が大きく連通路28を流れる作動油にほとんど抵抗を付与しない第1位置31aと、流路面積が小さく連通路28を流れる作動油に比較的大きい抵抗を付与する第2位置31bと、を有する。
弁体31の位置は、ばね32の付勢力とソレノイド33の付勢力とによって切り換えられる。具体的には、ソレノイド33に電流が印加されない状態では、ばね32の付勢力によって、第1位置31aに保持され、ソレノイド33に電流が印加され伝達部材34を介して弁体31に付与されるソレノイド33の付勢力がばね32の付勢力を上回ると第2位置31bに切り換えられる。なお、減衰力切換弁30は、弁体31の位置を、ソレノイド33に電流が印加されていないときに第2位置31bとし、ソレノイド33に電流が印加されたときに第1位置31aとする構成のものであってもよい。
減衰力切換弁30の位置が第1位置31aにあると、油圧シリンダ20が伸縮する際、作動油はピストン側室24とロッド側室25との間を比較的抵抗なく行き来できるため、緩衝部10が生じる減衰力は最小となる。一方、減衰力切換弁30の位置が第2位置31bにあると、油圧シリンダ20が伸縮する際、ピストン側室24とロッド側室25との間の作動油の行き来が制限されるため、緩衝部10が生じる減衰力は最大となる。
このように、緩衝部10は、減衰力を生じることによって振動を減衰させる振動減衰機能を有する。
緩衝部10は、接続通路42を通じて油圧シリンダ20に接続されるアキュムレータ40をさらに有する。
アキュムレータ40は、図3に示すように、接続通路42を通じてピストン側室24に接続される油室41aと、油室41aに圧力を付与するバネ室41bと、を内部に有する。
バネ室41bは、加圧された窒素等のガスが封入されたガス室であり、油室41aとの境界面である液面にガス圧を付与している。なお、油室41aとバネ室41bとを区画するフリーピストンをアキュムレータ40内に収装するようにしてもよい。また、油室41aとバネ室41bとを区画するフリーピストンをアキュムレータ40内に収装すると共に、バネ室41b内に金属製のバネを収装するようにしてもよい。つまり、加圧されたガスに代わり、バネを用いて油室41aに圧力を付与するようにしてもよい。
アキュムレータ40の特性は、バネ室41b内のガス圧、アキュムレータ40の容積等を調整することによって設定される。
油室41aとピストン側室24とは、接続通路42を通じて常時連通しているため、ピストン側室24は、油室41aの圧力によって常時加圧された状態となっている。
ここで、アキュムレータ40の油室41aに接続されるピストン側室24は、油圧シリンダ20を収縮させる方向に作用する荷重が大きいほど圧縮される。ピストン側室24が圧縮されることでシリンダチューブ21から排出される作動油は、接続通路42を通じて油室41aへ移動し、バネ室41b内の圧力を高める。このようにバネ室41b内に蓄えられたエネルギーは、ピストン側室24を拡張させる復元力となる。つまり、アキュムレータ40が接続されることによって、ピストン側室24は、圧縮される際に蓄えられたエネルギーを拡張する際に解放する流体ばねとして機能することになる。
このように、緩衝部10は、振動減衰機能を有するとともに、衝撃をエネルギーとして蓄積する衝撃吸収機能も有している。
キャビン高さ調整部50は、油圧シリンダ20のピストン側室24に対して作動油を給排することによりフレーム2とキャビン6との相対距離を変化させ、走行路面に対するキャビン6の高さを調整するものである。
キャビン高さ調整部50は、作動油を供給する油圧ポンプ51と、油圧ポンプ51と油圧シリンダ20との間に設けられ、油圧シリンダ20の伸縮方向を切り換える方向切換弁52と、油圧シリンダ20から排出される作動油が導かれるタンクTと、油圧シリンダ20と方向切換弁52とを接続する給排通路56と、を有する。なお、キャビン高さ調整部50では、作動流体として作動油が用いられているが、作動油に代えて、例えば水溶性代替液等の作動液が作動流体として用いられてもよいし、ガスが作動流体として用いられてもよい。
油圧ポンプ51は、エンジンもしくは図示しない電動モータによって駆動され、タンクT内に貯留された作動油を油圧シリンダ20のピストン側室24へと供給する。
方向切換弁52は、制御装置60によって位置が切り換えられる電磁切換弁であり、油圧シリンダ20に作動油を供給し油圧シリンダ20を伸長させる伸長位置52aと、油圧シリンダ20から作動油を排出させ油圧シリンダ20を収縮させる収縮位置52bと、油圧シリンダ20に対する作動油の給排を停止させる停止位置52cと、の3つの位置を有する。
給排通路56は、一端が方向切換弁52に接続され、他端側は分岐されて、ピストン側室24と油室41aとを接続する接続通路42にそれぞれ接続される。給排通路56の分岐点よりも方向切換弁52側には、オペレートチェック弁53が介装される。
方向切換弁52には、給排通路56が接続されるとともに、油圧ポンプ51から吐出される作動油を導く供給通路55と、タンクTに作動油を戻す排出通路57と、オペレートチェック弁53のパイロット圧室に連通するオペレート通路59と、が接続される。供給通路55と排出通路57とは、リリーフ通路58により接続されており、リリーフ通路58には、供給通路55の油圧が設定圧を超えた場合に開弁するリリーフ弁54が設けられる。
方向切換弁52が伸長位置52aに切り換えられると、排出通路57とオペレート通路59とが連通するとともに、給排通路56と供給通路55とが連通する。油圧ポンプ51から吐出される作動油は、供給通路55と給排通路56とを通じて一対の油圧シリンダ20のピストン側室24に流入する。これにより、一対の油圧シリンダ20が同期して伸長し、フレーム2とキャビン6との間の距離が大きくなり、走行路面に対するキャビン6の高さが高くなる。
方向切換弁52が収縮位置52bに切り換えられると、供給通路55とオペレート通路59とが連通するとともに、給排通路56と排出通路57とが連通する。油圧ポンプ51から吐出される作動油は、オペレート通路59を介してオペレートチェック弁53にパイロット圧として導かれるので、オペレートチェック弁53が開弁し、ピストン側室24の作動油が給排通路56、排出通路57を通じてタンクTに戻される。これにより、一対の油圧シリンダ20が同期して収縮し、フレーム2とキャビン6との間の距離が小さくなり、走行路面に対するキャビン6の高さが低くなる。
方向切換弁52が停止位置52cに切り換えられると、供給通路55、排出通路57、オペレート通路59、及び給排通路56のすべてが連通する。これにより、油圧ポンプ51から供給通路55を通じて供給される作動油は、全てタンクTに戻される。このとき、オペレート通路59の圧力は、タンクTと等しくなるため、オペレートチェック弁53は、ばねの付勢力によって閉弁する。これにより、一対の油圧シリンダ20の伸縮作動が停止し、フレーム2に対するキャビン6の高さが保持される。
このように、フレーム2に対するキャビン6の高さ、すなわち、走行路面に対するキャビン6の高さは、油圧シリンダ20を伸縮させることによって調節することができる。
キャビン制振システム100は、キャビン6の加速度αを検出する加速度検出部としての加速度センサ62と、フレーム2とキャビン6との相対距離を検出する距離検出部としてのストロークセンサ64と、フレーム2の傾斜度を検出する傾斜検出部としての傾斜センサ66と、をさらに備える。
加速度センサ62は、キャビン6に取り付けられ、キャビンの振動方向、すなわち、キャビン6の上下方向または油圧シリンダ20が伸縮する方向におけるキャビン6の加速度αを検出する。加速度センサ62で検出された加速度αは、制御装置60に入力される。なお、キャビン6は、ピッチ方向に揺動することから、加速度センサ62により検出される加速度αの方向は、ピッチ方向であってもよい。
ストロークセンサ64は、油圧シリンダ20に取り付けられ、油圧シリンダ20のピストンロッド23のストローク量を検出する。ストロークセンサ64で検出されたストローク量は、制御装置60に入力される。なお、フレーム2とキャビン6との相対距離を検出する距離検出部としては、ストロークセンサ64に限定されず、フレーム2とキャビン6との相対的な距離を検出することができればどのような形式の距離検出センサであってもよく、例えば、光や磁界、音波などを用いた変位センサや近接センサであってもよい。また、フレーム2に対するキャビン6の位置が、中立的な位置から上下方向にどの程度変位しているかを検出するものであってもよい。
傾斜センサ66は、フレーム2に取り付けられ、フレーム2の傾斜度、すなわち、走行路面の傾斜度を検出する。傾斜センサ66で検出された傾斜度は、制御装置60に入力される。
制御装置60は、上述の各種センサ62,64,66で検出された値に基づいて、緩衝部10及びキャビン高さ調整部50を制御する。制御装置60は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。なお、制御装置60は、エンジンや車両を制御する制御装置内に組み込まれていてもよい。以降に制御装置60により行われる制御について具体的に説明する。
まず、図5を参照し、制御装置60により行われる減衰力調整制御について説明する。図5は、制御装置60により行われる減衰力調整制御の制御手順を示すフローチャートである。
最初のステップS10では、加速度センサ62によってキャビン6の振動方向における加速度αを検出する。検出された加速度αは制御装置60に送信される。
次に、ステップS11では、制御装置60が受信した加速度αにFFT処理を施し、各周波数におけるパワースペクトル密度を算出する。パワースペクトル密度とは、波形の各周波数成分をパワーの大きさとして表したものである。
ステップS12では、ステップS11で算出されたパワースペクトル密度の中から、キャビン6の共振周波数fmにおけるパワースペクトル密度Pxを算出する。
続いて、ステップS13では、ステップS12で算出されたキャビン6の共振周波数fmにおけるパワースペクトル密度Pxが、所定値としての閾値Pc以上であるか否かを判定する。パワースペクトル密度Pxが閾値Pc以上である場合には、ステップS14に進み、パワースペクトル密度Pxが閾値Pc未満である場合には、ステップS15に進む。
ステップS14では、制御装置60は減衰力切換弁30のソレノイド33に電流を印加する。ソレノイド33に電流を印加されると、減衰力切換弁30の位置は、流路面積が小さい第2位置31bに切り換えられる。このように連通路28の流路面積が絞られることにより、連通路28を流れる作動油に付与される抵抗が大きくなる。この結果、緩衝部10が生じる減衰力が大きくなり、キャビン6のピッチ方向の振動は緩衝部10により抑制される。
一方、ステップS15では、制御装置60は減衰力切換弁30のソレノイド33に電流を印加しない。ソレノイド33に電流が印加されないため、減衰力切換弁30の位置は、ばね32の付勢力によって流路面積が大きい第1位置31aに保持される。この場合、連通路28の流路面積は絞られないため、連通路28を流れる作動油にはほとんど抵抗が付与されない。この結果、緩衝部10が生じる減衰力は小さくなる。しかし、キャビン6では抑制が必要なほどの振動が生じていないため、緩衝部10が生じる減衰力を小さくしても影響はなく、むしろ緩衝部10が生じる減衰力を小さくすることで、走行路面からフレーム2に伝わる上下動や振動がそのままキャビン6に伝達されることを抑制することができる。
このように、キャビン制振システム100では、キャビン6の共振周波数fmにおけるパワースペクトル密度Pxが大きいとき、つまり、キャビン6が共振周波数fmで振動しているときには、緩衝部10が生じる減衰力を大きくし、キャビン6の共振周波数fmにおけるパワースペクトル密度Pxが小さいとき、つまり、キャビン6が共振周波数fmで振動していないときには、緩衝部10が生じる減衰力を小さくする。以下に、このように減衰力を切り換える理由について具体的な例を挙げて説明する。
まず、トラクタ1が圃場のように比較的緩やかな凹凸が繰り返される路面を走行する場合を例に説明する。トラクタ1が圃場を走行すると、圃場の凹凸によってフレーム2は上下方向に連続的に変位する。一方で、キャビン6は慣性により上下方向における高さを維持しようとする。このとき、緩衝部10が生じる減衰力が大きく油圧シリンダ20が伸縮しにくいと、フレーム2の変位がキャビン6に伝わりやすくなる。このため、キャビン6もフレーム2と同様に圃場の凹凸に合せて上下方向に変位してしまうおそれがある。
このため、キャビン制振システム100では、トラクタ1が比較的緩やかな凹凸路面を走行するような場合には、減衰力切換弁30のソレノイド33に電流を印加せず、連通路28を流れる作動油に付与される抵抗を小さくして、緩衝部10が生じる減衰力を小さくしている。これにより、連通路28を通じてピストン側室24とロッド側室25との間を作動油が比較的スムーズに行き来し易くなり、油圧シリンダ20が伸縮し易くなることでフレーム2の変位がキャビン6へと伝わりにくくなる。
このように、キャビン制振システム100では、キャビン6が共振周波数fmで振動していないと判定される場合には、連通路28を流れる作動油に付与される抵抗を小さくして緩衝部10が生じる減衰力を小さくし、フレーム2の変位を油圧シリンダ20によって往なすことにより、フレーム2の振動がキャビン6に伝わることを抑制している。
次に、トラクタ1が比較的大きな段差に乗り上げる場合を例に説明する。トラクタ1が段差に乗り上げると、フレーム2は急激に上方へと移動する。一方で、キャビン6は慣性によりその位置にとどまろうとする。このため、キャビン6の慣性力によって油圧シリンダ20のピストンロッド23が急速に押し込まれ、油圧シリンダ20は収縮する。このように油圧シリンダ20が急速に収縮すると、圧縮されたピストン側室24の圧力が急激に高まり、高まったピストン側室24の圧力は、ピストンロッド23をキャビン6に向けて押し返す力、いわゆる復元力となる。このとき、連通路28を流れる作動油に付与される抵抗が小さいと、連通路28を通じてロッド側室25からピストン側室24へと作動油が流入しやすい状態となるため、ピストン側室24の復元力はほとんど減衰されることなくピストンロッド23を介してキャビン6に伝達される。このため、キャビン6は、ピストン側室24の圧力によって、上方、すなわちフレーム2から離れる方向へと押し上げられることになる。
キャビン6がフレーム2から離れる方向へと変位するにつれて油圧シリンダ20も伸長する。油圧シリンダ20が伸長するとピストン側室24の圧力が徐々に低下するため、やがてキャビン6は重力によって、下方、すなわちフレーム2に近づく方向へと変位し始める。油圧シリンダ20のピストンロッド23がキャビン6の重量によって押し込まれることで、ピストン側室24は再び圧縮される。
圧縮されたピストン側室24の圧力が再び上昇することで、ピストン側室24ではキャビン6を押し上げる復元力が再び生じる。この繰り返しによって、キャビン6は上下方向に所定の周期で振動することになる。このようにして生じる振動は、ピストン側室24及びアキュムレータ40を流体ばねとみなした場合のばね定数とキャビン6の質量とから決まる共振周波数fmで振動する持続的な振動となるため、抑制することが困難である。
このため、キャビン制振システム100では、キャビン6が共振周波数fmで振動していると判定されると、連通路28を流れる作動油に付与される抵抗を大きくして緩衝部10が生じる減衰力を大きくし、キャビン6がピストンロッド23を押し込む力とピストン側室24において生じる復元力との両方の力を減衰させることでキャビン6の振動を抑制している。
次に、図3を参照し、制御装置60により行われるキャビン高さ調整制御について説明する。
制御装置60は、ストロークセンサ64で検出された油圧シリンダ20のピストンロッド23のストローク量からフレーム2とキャビン6との相対距離を算出し、算出された実際の相対距離が予め定められた目標相対距離となるように、キャビン高さ調整部50を制御する。
実際の相対距離が目標相対距離よりも小さい場合、制御装置60は、キャビン高さ調整部50の方向切換弁52の位置を伸長位置52aに切り換える。方向切換弁52が伸長位置52aに切り換えられると、油圧ポンプ51から吐出される作動油は、供給通路55と給排通路56とを通じて一対の油圧シリンダ20のピストン側室24に流入する。これにより、一対の油圧シリンダ20が同期して伸長し、実際の相対距離は目標相対距離に近づく。
実際の相対距離が目標相対距離よりも大きい場合、制御装置60は、キャビン高さ調整部50の方向切換弁52の位置を収縮位置52bに切り換える。方向切換弁52が収縮位置52bに切り換えられると、ピストン側室24の作動油が給排通路56、排出通路57を通じてタンクTに戻される。これにより、一対の油圧シリンダ20が同期して収縮し、実際の相対距離は目標相対距離に近づく。
そして、実際の相対距離と目標相対距離とが一致した場合、制御装置60は、キャビン高さ調整部50の方向切換弁52の位置を停止位置52cに切り換える。方向切換弁52が停止位置52cに切り換えられると、ピストン側室24への作動油の供給が遮断されるとともにピストン側室24からの作動油の排出が停止される。これにより、一対の油圧シリンダ20の伸縮作動が停止される。
このように制御装置60は、キャビン高さ調整部50を制御し、実際の相対距離と目標相対距離との値が一致するように一対の油圧シリンダ20の伸縮量を調整する。なお、目標相対距離は、フレーム2とキャビン6との相対距離が目標相対距離となったときに、シリンダチューブ21内においてピストン22の位置がシリンダチューブ21の上端または下端の近傍とならないように設定される。このように目標相対距離を設定することで、振動によってフレーム2とキャビン6との相対距離が変化した場合であってもピストン22がシリンダチューブ21の上端または下端に当たりにくくなるため、油圧シリンダ20により振動を減衰または振動の伝達を抑制することができる。また、目標相対距離は、作業者がダイヤル等を操作することにより変更可能なものであってもよい。この場合、キャビン6からの視界が確保されるようにキャビン6の高さを適宜調整することでトラクタ1の作業性を向上させることができる。
また、制御装置60は、傾斜センサ66により検出されるフレーム2の傾斜度、すなわち、走行路面の傾斜度に応じて目標相対距離を変更する。具体的には、制御装置60は、上り坂を登坂中である場合には、目標相対距離を大きくし、下り坂を降坂中である場合には、目標相対距離を小さくすることによって、キャビン6が水平な状態となるようにキャビン高さ調整部50を制御する。なお、傾斜センサ66は、キャビン6に設けられていてもよく、この場合は、傾斜センサ66の検出値が水平状態を示すように、制御装置60は、キャビン高さ調整部50を制御する。
このように、走行路面の傾斜度に関わらず、キャビン6を水平な状態に維持することが可能となることでトラクタ1の作業性を向上させることができる。なお、キャビン6の高さを調整するキャビン高さ調整部50は、キャビン制振システム100に対して必要に応じて付加可能な機能であり、必ずしも組み込まれる必要はない。また、キャビン高さ調整制御は、ストロークセンサ64等を用いることなく、フレーム2に対するキャビン6の位置が、上下方向において常に中立的な位置となるように制御するものであってもよい。また、キャビン高さ調整制御は、ストロークセンサ64の検出値に応じてフレーム2に対するキャビン6の高さを調整する自動調整モードの他に、図示しないキャビン高さ調整レバーが作業者により操作されることによってフレーム2に対するキャビン6の高さが調整される手動調整モードを備えていてもよい。
以上の第1実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
キャビン制振システム100では、加速度センサ62で検出されたキャビン6の振動方向の加速度α及びキャビン6の共振周波数fmに基づいて、減衰力切換弁30が連通路28を流れる作動油に付与する抵抗を制御する。このように、キャビン6の振動状況に応じて、緩衝部10が生じる減衰力を切り換えることで、キャビン6の振動を的確に抑制することができる。
また、キャビン制振システム100では、キャビン6が共振周波数fmで振動しているときには、緩衝部10が生じる減衰力を大きくしてキャビン6の振動を抑制し、キャビン6が共振周波数fmで振動していないときには、緩衝部10が生じる減衰力を小さくしてフレーム2からキャビン6に振動が伝達されることを抑制している。この結果、不整地を走行するトラクタ1のような作業車両の乗り心地を向上させることができる。
また、キャビン制振システム100では、油圧シリンダ20をフレーム2とキャビン6との間に配置するだけで、フレーム2及びキャビン6の振動を油圧シリンダ20により減衰ないし吸収させることが可能である。このため、フレーム2とキャビン6との間にあまりスペースがないトラクタ1へもキャビン制振システム100を搭載することが可能である。
次に上記第1実施形態の変形例について説明する。なお、後述の変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、後述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明される構成同士を組み合わせることも可能である。
上記第1実施形態では、キャビン6が共振周波数fmで振動しているか否かを共振周波数fmにおけるパワースペクトル密度Pxの値の大きさで判定している。これに代えて、オクターブバンドの実効値Xrの大きさでキャビン6が共振周波数fmで振動しているか否かを判定してもよい。以下にオクターブバンドの実効値Xrについて具体的に説明する。
オクターブバンドは、キャビン6の共振周波数fmを中心周波数としたとき、1/1オクターブの周波数領域である。具体的には、上限周波数をfu1、下限周波数をfd1とすると、1/1オクターブの上限周波数fu1及び下限周波数fd1は、以下の式(1),(2)により求まる。
fu1 = √2 ×fm ≒ 1.4142 × fm ・・・式(1)
fd1 = fm/√2 ≒fm÷ 1.4142 ・・・式(2)
なお、オクターブバンドの周波数領域を1/3オクターブとしてもよい。1/3オクターブの上限周波数fu2及び下限周波数fd2は、以下の式(3),(4)により求まる。
fu2 = 6√2 × fm ≒ 1.1225 × fm ・・・式(3)
fd2 = fm/6√2 ≒ fm ÷ 1.1225 ・・・式(4)
オクターブバンドの実効値Xrは、パワースペクトル密度Pxを上限周波数fu及び下限周波数fdの範囲で積分することにより求められる。制御装置60は、このようにして求められたオクターブバンドの実効値Xrが所定の閾値Xc以上となったときに、キャビン6が共振周波数fmで振動していると判定し、減衰力切換弁30を第2位置31bに切り換えて連通路28を流れる作動油に付与される抵抗を大きくする。これにより、上記第1実施形態による効果と同様の効果を奏する。
また、上記第1実施形態では、減衰力切換弁30は、2位置切換弁であり、連通路28の流路面積を2段階で切り換えている。これに代えて、減衰力切換弁30は、連通路28の流路面積を多段階または連続的に変化させるものであってもよい。この場合、弁体31は、軸方向に変位することで連通開度を変更可能なスプール弁であってもよいし、周方向に変位することで連通開度を変更可能なロータリ弁であってもよい。また、ソレノイド33としては比例ソレノイドが用いられてもよいしステッピングモータが用いられてもよい。
また、このように、連通路28の流路面積を多段階または連続的に変化させることが可能である場合には、パワースペクトル密度Pxの値の大きさやオクターブバンドの実効値Xrの大きさに応じて、連通路28の流路面積を比例的に変化させることで、より細かく緩衝部10が生じる減衰力の大きさを制御することが可能となる。また、連通路28の流路面積を二段階で切り換える場合と比較し、減衰力を変化させた際に生じる油圧シリンダ20の伸縮速度の変化等を緩やかにすることもできる。
<第2実施形態>
次に、図6を参照して、本発明の第2実施形態に係るキャビン制振システム200について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態のキャビン制振システム100と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
キャビン制振システム200の基本的な構成は、第1実施形態に係るキャビン制振システム100と同様である。第1実施形態に係るキャビン制振システム100では、ピストン側室24とロッド側室25とを連通する連通路28の流路面積を減衰力切換弁30で変えることにより緩衝部10が生じる減衰力の大きさを変更しているのに対して、キャビン制振システム200では、ピストン側室124とアキュムレータ40の油室41aとを接続する接続通路42の流路面積を減衰力切換弁130で変えることにより緩衝部110が生じる減衰力の大きさを変更している点で相違する。
図6に示されるように、キャビン制振システム200は、第1実施形態のキャビン制振システム100と同様に、キャビン6の振動を減衰する減衰力を変更自在な緩衝部110と、緩衝部110に対して作動油を給排するキャビン高さ調整部50と、緩衝部110が生じる減衰力を制御する制御装置60と、を備える。
緩衝部110は、第1実施形態の緩衝部10と同様に、一対の油圧シリンダ120を有する。
油圧シリンダ120は、一端がフレーム2に連結され内部に作動油が封入されるシリンダチューブ121と、シリンダチューブ121内に摺動自在に配置されシリンダチューブ121内を第一流体室としてのピストン側室124及び第二流体室としてのロッド側室125に区画するピストン122と、ピストン122に一端が結合され他端がキャビン6に連結されるピストンロッド123と、を有する。ピストン122には、ピストン側室124とロッド側室125との間で作動油の行き来を許容する流路122cが形成される。油圧シリンダ120は、シリンダチューブ121の基端部が連結部126を介してフレーム2に連結され、ピストンロッド123の先端部が連結部127を介してキャビン6に連結される。
また、緩衝部110は、ピストン側室124とアキュムレータ40の油室41aとを接続する接続通路42に設けられる減衰力切換弁130をさらに有する。
減衰力切換弁130は、電磁式2位置切換弁であり、弁体131と、制御装置60から供給される電流により駆動し弁体131に付勢力を付与するソレノイド133と、ソレノイド133の付勢力に対向する付勢力を弁体131に付与するばね132と、を有する。
弁体131は、流路面積が大きく接続通路42を流れる作動油にほとんど抵抗を付与しない第1位置131aと、流路面積が小さく接続通路42を流れる作動油に比較的大きい抵抗を付与する第2位置131bと、を有する。
弁体131の位置は、ばね132の付勢力とソレノイド133の付勢力とによって切り換えられる。具体的には、ソレノイド133に電流が印加されない状態では、ばね132の付勢力によって、第1位置131aに保持され、ソレノイド133に電流が印加され弁体31に付与されるソレノイド133の付勢力がばね132の付勢力を上回ると第2位置131bに切り換えられる。なお、減衰力切換弁130は、弁体131の位置を、ソレノイド133に電流が印加されていないときに第2位置131bとし、ソレノイド133に電流が印加されたときに第1位置131aとする構成のものであってもよい。
減衰力切換弁130の位置が第1位置131aにあると、油圧シリンダ120が伸縮する際、作動油はピストン側室124と油室41aとの間を比較的抵抗なく行き来できるため、緩衝部110が生じる減衰力は最小となる。一方、減衰力切換弁130の位置が第2位置131bにあると、油圧シリンダ120が伸縮する際、ピストン側室124と油室41aとの間の作動油の行き来が制限されるため、緩衝部110が生じる減衰力は最大となる。
ソレノイド133への電流の供給は、制御装置60によって行われ、緩衝部110が生じる減衰力の大きさは、上記第1実施形態と同様に、制御装置60によって制御される。
キャビン高さ調整部50及び制御装置60の構成は、上記第1実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
上記構成のキャビン制振システム200では、上記第1実施形態のキャビン制振システム100と同様に、図5に示されるフローに沿って、制御装置60によって減衰力調整制御が行われる。
減衰力調整制御において制御装置60により制御されるのは、上述の減衰力切換弁130である。このため、キャビン制振システム200では、キャビン6が共振周波数fmで振動していると判定されると、接続通路42を流れる作動油に付与される抵抗を大きくして緩衝部110が生じる減衰力を大きくし、キャビン6がピストンロッド123を押し込む力とピストン側室124において生じる復元力との両方の力を減衰させることでキャビン6の振動を抑制している。
一方、キャビン6が共振周波数fmで振動していないと判定されると、接続通路42を流れる作動油に付与される抵抗を小さくして緩衝部110が生じる減衰力を小さくし、フレーム2の変位を油圧シリンダ120によって往なすことにより、フレーム2の振動がキャビン6に伝わることを抑制している。
このように、キャビン制振システム200では、上記第1実施形態のキャビン制振システム100と同様に、キャビン6の振動状況に応じて緩衝部110が生じる減衰力を変更することでキャビン6の振動が抑制される。
キャビン制振システム200の制御装置60により行われるキャビン高さ調整制御については、上記第1実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
以上の第2実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
キャビン制振システム200では、加速度センサ62で検出されたキャビン6の振動方向の加速度α及びキャビン6の共振周波数fmに基づいて、減衰力切換弁130が接続通路42を流れる作動油に付与する抵抗を制御する。このように、キャビン6の振動状況に応じて、緩衝部110が生じる減衰力を切り換えることで、キャビン6の振動を的確に抑制することができる。
また、キャビン制振システム200では、油圧シリンダ120をフレーム2とキャビン6との間に配置するだけで、フレーム2及びキャビン6の振動を油圧シリンダ120により減衰ないし吸収させることが可能である。このため、フレーム2とキャビン6との間にあまりスペースがないトラクタ1へもキャビン制振システム200を搭載することが可能である。
<第3実施形態>
次に、図7及び図8を参照して、本発明の第3実施形態に係るキャビン制振システム300について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態のキャビン制振システム100と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態に係るキャビン制振システム100では、緩衝部10が油圧シリンダ20とアキュムレータ40と有しているのに対して、キャビン制振システム300では、緩衝部210が油圧ダンパ220とコイルスプリング240とを有している点で相違する。
図7に示されるように、キャビン制振システム300は、キャビン6の振動を減衰する減衰力を変更自在な緩衝部210と、緩衝部210が生じる減衰力を制御する制御装置60と、を備える。
緩衝部210は、キャビン6とフレーム2との間において、車両の右側と左側とにそれぞれ設けられる一対の流体圧シリンダとしての油圧ダンパ220を有する。一対の油圧ダンパ220は、同じ構成を有するため、以下では、一方の構成についてのみ説明する。
油圧ダンパ220は、一端がフレーム2に連結され内部に作動油が封入されるシリンダチューブ221と、シリンダチューブ221内に摺動自在に配置されシリンダチューブ221内を第一流体室としてのピストン側室224及び第二流体室としてのロッド側室225に区画するピストン222と、ピストン222に一端が結合され他端がキャビン6に連結されるピストンロッド223と、を有する。
また、図8に示すように、ピストン222は、ピストン側室224とロッド側室225とを連通する通路222a,222bを有する。通路222aには、油圧ダンパ220が伸長する際に開弁して通路222aを開放するとともに、通路222aを通過してロッド側室225からピストン側室224に移動する作動油の流れに抵抗を与える伸側減衰弁229aが設けられる。通路222bには、油圧ダンパ220が収縮する際に開弁して通路222bを開放するチェック弁229bが設けられる。
また、油圧ダンパ220は、シリンダチューブ221の外周側に設けられ、作動油を貯留するリザーバ271と、リザーバ271とピストン側室224とを連通する通路273,274が形成されるベースバルブ272と、をさらに有する。通路273には、油圧ダンパ220が伸長する際に開弁して通路273を開放するチェック弁275が設けられる。通路274には、油圧ダンパ220が収縮する際に開弁して通路274を開放するとともに、通路274を通過してピストン側室224からリザーバ271に移動する作動油の流れに抵抗を与える圧側減衰弁276が設けられる。
このように、油圧ダンパ220は、伸長する際にはピストン222に設けられた伸側減衰弁229aにより減衰力を発生させ、収縮する際にはベースバルブ272に設けられた圧側減衰弁276により減衰力を発生させる、いわゆる複筒式ダンパである。油圧ダンパ220は、シリンダチューブ221の基端部が連結部226を介してフレーム2に連結され、ピストンロッド223の先端部が連結部227を介してキャビン6に連結される。
また、緩衝部210は、図8に示すように、ピストンロッド23の内部に設けられる減衰力切換弁30をさらに有する。減衰力切換弁30は、ピストン側室224とロッド側室225とを連通するピストンロッド223に形成された連通路228上に設けられる電磁式2位置切換弁である。減衰力切換弁30の構成は、上記第1実施形態と同じであるため、その説明を省略する。なお、ソレノイド33への電流の供給は、制御装置60によって行われ、緩衝部210が生じる減衰力の大きさは、上記第1実施形態と同様に、制御装置60によって制御される。
緩衝部210は、フレーム2とキャビン6との間に圧縮された状態で介装される弾性部材としてのコイルスプリング240をさらに有する。減衰力切換弁30によって連通路228を流れる作動油に抵抗が付与されず、緩衝部210が生じる減衰力が小さい場合、フレーム2に対してキャビン6は、コイルスプリング240によって弾性支持され、緩衝部210が受ける衝撃は弾性エネルギーとしてコイルスプリング240に蓄積される。
このように緩衝部210は、上記第1実施形態における緩衝部10と同様に、振動減衰機能を有するとともに、衝撃吸収機能も有している。
制御装置60の構成は、上記第1実施形態と同じであるため、その説明を省略する。
上記構成のキャビン制振システム300では、上記第1実施形態のキャビン制振システム100と同様に、図5に示されるフローに沿って、制御装置60によって減衰力調整制御が行われる。
減衰力調整制御において制御装置60により制御されるのは、上述の減衰力切換弁30である。このため、キャビン制振システム300では、キャビン6が共振周波数fmで振動していると判定されると、連通路228を流れる作動油に付与される抵抗を大きくして油圧ダンパ220が生じる減衰力を大きくし、キャビン6がピストンロッド223を押し込む力とコイルスプリング240が生じる復元力との両方の力を減衰させることでキャビン6の振動を抑制している。
一方、キャビン6が共振周波数fmで振動していないと判定されると、連通路228を流れる作動油に付与される抵抗を小さくして油圧ダンパ220が生じる減衰力を小さくし、フレーム2の変位をコイルスプリング240によって往なすことにより、フレーム2の振動がキャビン6に伝わることを抑制している。
このように、キャビン制振システム300では、上記第1実施形態のキャビン制振システム100と同様に、キャビン6の振動状況に応じて緩衝部210が生じる減衰力を変更することでキャビン6の振動が抑制される。
以上の第3実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
キャビン制振システム300では、加速度センサ62で検出されたキャビン6の振動方向の加速度α及びキャビン6の共振周波数fmに基づいて、減衰力切換弁30が連通路228を流れる作動油に付与する抵抗を制御する。このように、キャビン6の振動状況に応じて、緩衝部210が生じる減衰力を切り換えることで、キャビン6の振動を的確に抑制することができる。
また、キャビン制振システム300では、フレーム2とキャビン6との間に設けられる油圧ダンパ220とコイルスプリング240とによってフレーム2及びキャビン6の振動が減衰ないし吸収される。このように、キャビン制振システム300では、従来から緩衝装置として用いられているダンパやスプリングがキャビン6の制振に用いられているため、キャビン制振システム300の製造コストを低減させることができる。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
キャビン制振システム100,200,300は、トラクタ1のフレーム2とキャビン6との間に設けられ、キャビン6の振動を減衰する減衰力を変更自在な緩衝部10,110,210と、少なくともキャビン6の振動方向におけるキャビン6の加速度αを検出する加速度センサ62と、加速度センサ62で検出されたキャビン6の加速度α及びキャビン6の共振周波数fmに基づいて、緩衝部10,110,210が生じる減衰力の大きさを制御する制御装置60と、を備える。
この構成では、加速度センサ62で検出されたキャビン6の振動方向の加速度α及びキャビン6の共振周波数fmに基づいて、緩衝部10,110,210が生じる減衰力の大きさが制御される。このように、キャビン6の振動状況に応じて、緩衝部10,110,210が生じる減衰力の大きさを制御することで、キャビン6の振動を的確に抑制することができる。
また、制御装置60は、加速度センサ62によって検出された加速度αからキャビン6の共振周波数fmにおけるパワースペクトル密度Pxを算出し、パワースペクトル密度Pxが閾値Pc以上のとき、または、パワースペクトル密度Pxが高くなるにつれて、緩衝部10,110,210が生じる減衰力の大きさを大きくする。
この構成では、キャビン6の共振周波数fmにおけるパワースペクトル密度Pxが大きく、キャビン6が共振周波数fmで振動していると判定される場合には、緩衝部10,110,210が生じる減衰力を大きくすることでキャビン6の振動が抑制される。一方、キャビン6の共振周波数fmにおけるパワースペクトル密度Pxが小さく、キャビン6が共振周波数fmで振動していないと判定される場合には、緩衝部10,110,210が生じる減衰力を小さくすることでフレーム2からキャビン6に振動が伝達されることが抑制される。この結果、キャビン6の振動が的確に抑制され、不整地を走行するトラクタ1の乗り心地を向上させることができる。
また、制御装置60は、加速度センサ62によって検出された加速度αに基づいてキャビン6の共振周波数fmを中心周波数としたオクターブバンドの実効値Xrを算出し、オクターブバンドの実効値Xrが閾値Xc以上のときに、または、オクターブバンドの実効値Xrが大きくなるにつれて、緩衝部10,110,210が生じる減衰力の大きさを大きくする。
この構成では、キャビン6の共振周波数fmを中心周波数としたオクターブバンドの実効値Xrが大きく、キャビン6が共振周波数fmで振動していると判定される場合には、緩衝部10,110,210が生じる減衰力を大きくすることでキャビン6の振動が抑制される。一方、キャビン6の共振周波数fmを中心周波数としたオクターブバンドの実効値Xrが小さく、キャビン6が共振周波数fmで振動していないと判定される場合には、緩衝部10,110,210が生じる減衰力を小さくすることでフレーム2からキャビン6に振動が伝達されることが抑制される。この結果、キャビン6の振動が的確に抑制され、不整地を走行するトラクタ1の乗り心地を向上させることができる。
また、緩衝部10,210は、一端がフレーム2に連結され内部に作動油が封入されるシリンダチューブ21,221と、シリンダチューブ21,221内に摺動自在に配置されシリンダチューブ21,221内をピストン側室24,224及びロッド側室25,225に区画するピストン22,222と、ピストン22,222に一端が結合され他端がキャビン6に連結されるピストンロッド23,223と、ピストン側室24,224とロッド側室25,225とを連通する連通路28,228と、を有する流体圧シリンダ(油圧シリンダ20,油圧ダンパ220)と、連通路28,228を流れる作動油に抵抗を付与する減衰力切換弁30と、を有し、制御装置60は、減衰力切換弁30を制御し作動油に付与される抵抗を変化させることにより緩衝部10,210が生じる減衰力の大きさを調整する。
この構成では、緩衝部10,210が生じる減衰力の大きさは、ピストン側室24,224とロッド側室25,225とを連通する連通路28,228を流れる作動油に付与される抵抗を変化させることで変更される。このように、流体圧シリンダ(油圧シリンダ20,油圧ダンパ220)の伸縮に伴ってピストン側室24,224とロッド側室25,225との間を行き来する作動油の流れを制御することで緩衝部10,210が生じる減衰力の大きさを容易に変更することができる。
また、緩衝部10は、ピストン側室24に接続されるアキュムレータ40をさらに有する。
この構成では、ピストン側室24にアキュムレータ40が接続されることで、ピストン側室24は、アキュムレータ40とともに流体ばねとして機能する。このため、油圧シリンダ20をフレーム2とキャビン6との間に設けるだけで、フレーム2及びキャビン6の振動を油圧シリンダ20により減衰ないし吸収することが可能となる。この結果、キャビン制振システム100をコンパクト化することができる。
また、緩衝部210は、フレーム2とキャビン6との間に圧縮された状態で介装されるコイルスプリング240をさらに有する。
この構成では、フレーム2とキャビン6との間に設けられる油圧ダンパ220とコイルスプリング240とによってフレーム2及びキャビン6の振動が減衰ないし吸収される。このように、キャビン制振システム300では、従来から緩衝装置として用いられているダンパやスプリングがキャビン6の制振に用いられているため、キャビン制振システム300の製造コストを低減させることができる。
また、緩衝部110は、一端がフレーム2に連結され内部に作動油が封入されるシリンダチューブ121と、シリンダチューブ121内に摺動自在に配置されシリンダチューブ121内をピストン側室124及びロッド側室125とに区画するピストン22と、ピストン22に一端が結合され他端がキャビン6に連結されるピストンロッド123と、を有する油圧シリンダ120と、油圧シリンダ120に接続通路42を通じて接続されるアキュムレータ40と、接続通路42を流れる作動油に抵抗を付与する減衰力切換弁130と、を有し、制御装置60は、減衰力切換弁130を制御し作動油に付与される抵抗を変化させることにより緩衝部110が生じる減衰力の大きさを調整する。
この構成では、緩衝部110が生じる減衰力の大きさは、油圧シリンダ120とアキュムレータ40とを連通する接続通路42を流れる作動油に付与される抵抗を変化させることで変更される。このように、油圧シリンダ120の伸縮に伴って接続通路42を行き来する作動油の流れを制御することで緩衝部110が生じる減衰力の大きさを容易に変更させることができる。
また、キャビン制振システム100,200は、フレーム2とキャビン6との相対距離を検出するストロークセンサ64と、ピストン側室24,124に対して作動油を給排することによりフレーム2とキャビン6との相対距離を調整可能なキャビン高さ調整部50と、をさらに備え、制御装置60は、ストロークセンサ64により検出された相対距離が所定の大きさとなるように、キャビン高さ調整部50を制御し、フレーム2とキャビン6との相対距離を調整する。
この構成では、ピストン側室24,124に対して作動油を給排することによりフレーム2とキャビン6との相対距離を調整し、キャビン6の高さを所望の高さとすることが可能である。このため、キャビン6における視界の確保が容易になりトラクタ1の作業性を向上させることができる。
また、キャビン制振システム100,200は、フレーム2の傾斜を検出する傾斜センサ66をさらに備え、制御装置60は、傾斜センサ66により検出された傾斜に応じてキャビン高さ調整部50を制御し、フレーム2とキャビン6との相対距離を調整する。
この構成では、フレーム2の傾斜に応じてフレーム2とキャビン6との相対距離が調整される。このため、走行路面の傾斜に関わらず、キャビン6を水平な状態に維持することが可能となりトラクタ1の作業性を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
100,200,300・・・キャビン制振システム、1・・・トラクタ(作業車両)、2・・・フレーム、10,110,210・・・緩衝部、20,120・・・油圧シリンダ(流体圧シリンダ)、220・・・油圧ダンパ(流体圧シリンダ)、21,121,221・・・シリンダチューブ、22,122,222・・・ピストン、23,123,223・・・ピストンロッド、24,124,224・・・ピストン側室(第1流体室)、25,125,225・・・ロッド側室(第2流体室)、28,228・・・連通路、30,130・・・減衰力切換弁、40・・・アキュムレータ、42・・・接続通路、50・・・キャビン高さ調整部、60・・・制御装置(制御部)、62・・・加速度センサ(加速度検出部)、64・・・ストロークセンサ(距離検出部)、66・・・傾斜センサ(傾斜検出部)、240・・・コイルスプリング(弾性部材)

Claims (9)

  1. 作業車両のキャビンの振動を抑制するキャビン制振システムであって、
    前記作業車両のフレームと前記キャビンとの間に設けられ、前記振動を減衰する減衰力を変更自在な緩衝部と、
    少なくとも前記振動の方向における前記キャビンの加速度を検出する加速度検出部と、
    前記加速度検出部で検出された前記キャビンの前記加速度及び前記キャビンの共振周波数に基づいて、前記緩衝部が生じる前記減衰力の大きさを制御する制御部と、を備えることを特徴とする作業車両のキャビン制振システム。
  2. 前記制御部は、前記加速度検出部によって検出された前記加速度から前記キャビンの共振周波数におけるパワースペクトル密度を算出し、
    前記パワースペクトル密度が所定値以上のとき、または、前記パワースペクトル密度が高くなるにつれて、前記緩衝部が生じる前記減衰力の大きさを大きくすることを特徴とする請求項1に記載の作業車両のキャビン制振システム。
  3. 前記制御部は、前記加速度検出部によって検出された前記加速度に基づいて前記キャビンの共振周波数を中心周波数としたオクターブバンドの実効値を算出し、
    前記オクターブバンドの前記実効値が所定値以上のときに、または、前記オクターブバンドの前記実効値が大きくなるにつれて、前記緩衝部が生じる前記減衰力の大きさを大きくすることを特徴とする請求項1に記載の作業車両のキャビン制振システム。
  4. 前記緩衝部は、
    一端が前記フレームに連結され内部に作動流体が封入されるシリンダチューブと、前記シリンダチューブ内に摺動自在に配置され前記シリンダチューブ内を第一流体室及び第二流体室に区画するピストンと、前記ピストンに一端が結合され他端が前記キャビンに連結されるピストンロッドと、前記第一流体室と前記第二流体室とを連通する連通路と、を有する流体圧シリンダと、
    前記連通路を流れる作動流体に抵抗を付与する減衰力切換弁と、を有し、
    前記制御部は、前記減衰力切換弁を制御し作動流体に付与される前記抵抗を変化させることにより前記緩衝部が生じる前記減衰力の大きさを調整することを特徴とする請求項1から3の何れか1つに記載の作業車両のキャビン制振システム。
  5. 前記緩衝部は、前記第一流体室に接続されるアキュムレータをさらに有することを特徴とする請求項4に記載の作業車両のキャビン制振システム。
  6. 前記緩衝部は、前記フレームと前記キャビンとの間に圧縮された状態で介装される弾性部材をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の作業車両のキャビン制振システム。
  7. 前記緩衝部は、
    一端が前記フレームに連結され内部に作動流体が封入されるシリンダチューブと、前記シリンダチューブ内に摺動自在に配置され前記シリンダチューブ内を第一流体室と第二流体室とに区画するピストンと、前記ピストンに一端が結合され他端が前記キャビンに連結されるピストンロッドと、を有する流体圧シリンダと、
    前記流体圧シリンダに接続通路を通じて接続されるアキュムレータと、
    前記接続通路を流れる作動流体に抵抗を付与する減衰力切換弁と、を有し、
    前記制御部は、前記減衰力切換弁を制御し作動流体に付与される前記抵抗を変化させることにより前記緩衝部が生じる前記減衰力の大きさを調整することを特徴とする請求項1から3の何れか1つに記載の作業車両のキャビン制振システム。
  8. 前記フレームと前記キャビンとの相対距離を検出する距離検出部と、
    前記第一流体室に対して作動流体を給排することにより前記フレームと前記キャビンとの相対距離を調整可能なキャビン高さ調整部と、をさらに備え、
    前記制御部は、前記距離検出部により検出された前記相対距離が所定の大きさとなるように、前記キャビン高さ調整部を制御し、前記フレームと前記キャビンとの相対距離を調整することを特徴とする請求項4から7の何れか1つに記載の作業車両のキャビン制振システム。
  9. 前記フレームの傾斜を検出する傾斜検出部をさらに備え、
    前記制御部は、前記傾斜検出部により検出された前記傾斜に応じて前記キャビン高さ調整部を制御し、前記フレームと前記キャビンとの相対距離を調整することを特徴とする請求項8に記載の作業車両のキャビン制振システム。
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