JP2019048413A - 可動コアを備えた2色成形用金型 - Google Patents

可動コアを備えた2色成形用金型 Download PDF

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Abstract

【課題】1次成形の樹脂と2次成形用の樹脂が積層された複雑な形状の2色成形品を成形できる金型を提供する。【解決手段】金型(1)において進退する複数個の可動コア(15a、15b)と、段差プレート(16)を設ける。複数個の可動コア(15a、15b)のそれぞれの後端面と段差プレート(16)の表面に、帯状の山部(20a、20b、…)と帯状の谷部(21a、21b、…)を等ピッチで複数組並行に形成する。段差プレート(16)をスライドすると、可動コア(15a、15b)の後端面と段差プレート(16)のそれぞれの山部(20a)同士が当接したり、それぞれの山部(20a)と谷部(21a)とが噛み合い状態になる。これによって可動コア(15a、15b)を前進位置と後退位置とで維持する。山部(20a、21b)の高さは複数個の可動コア(15a、15b)のそれぞれによって変えて可動コア(15a、15b)の後退長さを変える。【選択図】 図2

Description

本発明は、キャビティ内で進退自在な可動コアを備え、1次成形で第1の樹脂を射出し、その後可動コアを後退させて2次成形用のキャビティを形成し、2次成形で第2の樹脂を射出して2種類の樹脂からなる2色成形品を成形する2色成形用金型に関するものである。
型締めされた金型に溶融樹脂を射出して成形品を得る射出成形は、色々な成形品を得ることができ、例えば2種類の樹脂からなる2色成形品を成形することができる。2色成形品を成形する成形方法は色々ある。例えば、予め第1の樹脂によって成形された1次成形品を所定の金型にインサートして第2の樹脂を射出して一体化するインサート成形によっても2色成形品を成形することができるし、スライド金型を使用するいわゆるダイ・スライド・インジェクション法によっても2色成形品を成形することができる。また特許文献1に記載されているように、進退自在な可動コアを備えた金型によっても2色成形品を成形することができる。
特開平5−347081号公報
進退自在な可動コアを備えた金型によって2色成形品を成形する方法を図6によって説明する。説明の対象とする2色成形品は、図6の(ア)、(イ)に示されている容器用の樹脂製の蓋50であり、蓋50は硬質材からなる蓋本体51と、軟質材からなるシール52とからなる。この2色成形品の蓋50の成形用金型53、54が、図6の(ウ)に示されている。固定盤55に設けられている固定側金型54には、パーティング面に蓋50の外周面が形成される円筒状の凹部56が形成されており、背面に第1、2の射出装置58、59のノズルがタッチしている。可動側金型53は可動盤60に設けられ、そのパーティング面には凸部61が形成されている。凸部61には、その中央に円筒状の穴が明けられており、この円筒状の穴内で可動コア63が摺動自在にスライドするようになっている。可動側金型53の内部には、可動コア63を駆動する油圧シリンダ64が設けられている。油圧シリンダ64を駆動して可動コア63を前進させ、図6の(エ)に示されているように、金型53、54を型締めする。そうするとコア63はその頭部が凹部56に当接し、金型53、54内に1次成形用のキャビティが形成される。第1の射出装置58から射出する。冷却固化を待って油圧シリンダ64を駆動してコア63を待避させる。可動コア63を待避したことにより2次成形用のキャビティが形成される。図6の(オ)に示されているように第2の射出装置59から射出する。そうすると、図6の(ア)、(イ)に示されている蓋50が得られる。
図6の(ウ)に示されているような、可動コアを備えた金型を使用すれば、2色成形品を成形することはできる。しかしながら成形できる2色成形品の形状には制約がある。形状の制約とは、可動コアを前進させた位置で実施する1次成形において可動コアに射出圧が作用しないようにしなければならないことから生じる。つまり1次成形において、図6の(エ)に示されているように、可動コア63を凹部56に当接させ、それによって可動コア63に射出圧が作用しないようにしなければならない。可動コア63に射出圧が作用すると、油圧によっては可動コア63の位置を維持できなくなるからである。そうすると1次成形により射出される樹脂には可動コア63によって必ず貫通孔が形成されることになる。この貫通孔は2次成形によって射出する樹脂によって塞ぐしかない。つまり成形できる2色成形品の形状には制約が生じる。例えば、図6の(ア)に示されている蓋50を変形して、硬質材からなる蓋本体51に貫通孔を形成させず、軟質材からなるシール52を蓋本体51に積層するような2色成形品を成形したいがこのような2色成形品は成形できない。さらには接合強度の問題もある。この成形方法で成形される2色成形品は、図6の(イ)において符号71で示されているように、1次成形によって形成される蓋本体51と、2次成形により形成されるシール52とが接合される面は高さの低い円柱面になる。円柱面の面積は蓋50の肉厚によって決まるので、面積は必然的に小さくなってしまう。そうすると接合強度に問題がある。もし、蓋本体51とシール52とを接合するとき、接合面を蓋50の上面と水平に形成すれば、接合部の面積を広く確保することができ強度は高くなるはずである。つまり蓋本体51に段部を形成すればよい。しかしながら蓋本体51において段部を形成するには可動コア63に段部を形成しなければならない。そうすると2点の問題がある。まず第1の問題は段部において可動コア63に射出圧が作用するので、可動コア63の位置を維持することができず成形することができないという問題である。第2の問題は、第1の問題が解決されたとしても生じる問題であるが、可動コア63に段部を形成することによって、必然的に2次成形において成形されるシール52にも段部が形成されてしまう点である。これによって得られる蓋50には、表面に段部が形成されて美観を損なってしまう。つまり成形できる形状に制約ができてしまう。
本発明は、上記したような問題点を解決した2色成形品の成形用金型を提供することを目的とし、1次成形の樹脂と2次成形用の樹脂とが積層されているような複雑な形状の2色成形品であっても成形でき、成形できる形状の制約がない、2色成形品の成形用金型を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するために、金型にキャビティ内において進退する複数個の可動コアと、該複数個の可動コアのそれぞれに対応する1枚または複数枚の段差プレートとを設ける。複数個の可動コアのそれぞれの後端面と対応する段差プレートの表面には、帯状の山部と帯状の谷部とを等ピッチで複数組並行に形成する。段差プレート所定のスライド位置にすると、可動コアの後端面と段差プレートのそれぞれの山部同士が当接して可動コアの後退が規制され、他のスライド位置にすると可動コアの後端面と段差プレートのそれぞれの山部と谷部とが噛み合い状態になって可動コアが後退するようする。そして本発明においては、山部の高さと谷部の深さは複数個の可動コアのそれぞれによって相違するように構成する。これによって可動コアの後退長さを相違させる。
かくして、請求項1記載の発明は、上記目的を達成するために、2色成形品を成形するようになっている金型であって、前記金型にはキャビティ内において進退する複数個の可動コアと、該複数個の可動コアのそれぞれに対応する1枚または複数枚の段差プレートとが設けられ、前記複数個の可動コアのそれぞれの後端面と対応する前記段差プレートの表面には、帯状の山部と帯状の谷部とが等ピッチで複数組並行に形成されており、前記段差プレートを所定のスライド位置にすると、前記可動コアの後端面と前記段差プレートのそれぞれの前記山部同士が当接して前記可動コアの後退が規制され、他のスライド位置にすると前記可動コアの後端面と前記段差プレートのそれぞれの前記山部と前記谷部とが噛み合い状態になって前記可動コアが後退するようになっており、前記山部の高さと前記谷部の深さは前記複数個の可動コアのそれぞれによって相違しており、それによって前記可動コアの後退長さが異なっていることを特徴とする、2色成形用金型として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の2色成形用金型において、前記段差プレートの前記山部と前記可動コアの前記山部は、断面形状が矩形または台形に形成されていることを特徴とする2色成形用金型として構成される。
以上のように、本発明は、2色成形品を成形するようになっている金型であって、金型にはキャビティ内において進退する複数個の可動コアと、該複数個の可動コアのそれぞれに対応する1枚または複数枚の段差プレートとが設けられている。そして複数個の可動コアのそれぞれの後端面と対応する段差プレートの表面には、帯状の山部と帯状の谷部とが等ピッチで複数組並行に形成されており、段差プレートを所定のスライド位置にすると、可動コアの後端面と段差プレートのそれぞれの山部同士が当接して可動コアの後退が規制され、他のスライド位置にすると可動コアの後端面と段差プレートのそれぞれの山部と谷部とが噛み合い状態になって可動コアが後退するようになっている。段差プレートのスライド位置によって可動コアの後退を確実に規制したり許容することができるので、可動コアに射出圧が作用しても可動コアの位置を維持することができる。これによって1次成形の樹脂と2次成形の樹脂とが積層されているような複雑な形状の2色成形品であっても成形できることになる。また、1次成形の樹脂と2次成形用の樹脂を接合する接合面を段部に形成することもでき高い接合強度を有する2色成形品を成形できることになる。そして本発明によると、山部の高さと谷部の深さは複数個の可動コアのそれぞれによって相違しており、それによって可動コアの後退長さが異なっている。つまり可動コア毎に後退長さを変えることができるので、成形できる成形品の形状に制約がなくなり、美観に優れた2色成形品を成形できる。
本発明の実施の形態に係る成形方法で成形される2色成形品を示す図で、その(ア)は2色成形品の斜視図、その(イ)は(ア)において断面X−X’で切断した2色成形品の側面断面図である。 本発明の実施の形態に係る金型と射出装置の一部を示す図で、金型はその断面を、射出装置はその一部を示す正面図である。 本発明の実施の形態に係る金型によって2色成形品を成形する方法を模式的に示す図で、その(ア)〜(ウ)は各工程における金型の正面断面図である。 本発明の実施の形態に係る金型によって2色成形品を成形する方法を模式的に示す図で、その(ア)〜(エ)は各工程における金型の正面断面図である。 本発明の実施の形態に係る金型によって2色成形品を成形する方法を模式的に示す図で、その(ア)、(イ)は各工程における金型の正面断面図である。 従来例を示す図で、その(ア)は成形対象である2色成形品を示す斜視図、その(イ)はその(ア)において断面Z−Z’で切断した2色成形品の断面図、その(ウ)は2色成形用金型の正面断面図、その(エ)、(オ)は2色成形品を成形する各段階を示す2色成形用金型の正面断面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態に係る成形方法によって成形する2色成形品は、スマートフォンのカバーCであり、図1の(ア)、(イ)に示されている。カバーCは第1の樹脂からなるカバー本体部C1と、色違いの第2の樹脂からなるカバー平板部C2とから構成されている。カバー本体部C1は、周縁部が一方向に所定高さで立上がって湾曲しており、この立上がり部Tがスマートフォンをその側部において把持するようになっている。この把持によってカバーCがスマートフォンに装着される。カバー本体部C1の中央は長方形状にくり抜かれており、くり抜かれた部分の近傍は薄肉に形成されている。つまり薄肉の段部Dが形成されている。カバー平板部C2は平板状に形成されているが、この比較的面積が大きい段部Dにおいて第1、2の樹脂が積層されており、これによってカバー本体部C1とカバー平板部C2とが強い接合強度で融着され、剥離しにくくなっている。ところでカバーCは、1次成形によりカバー本体部C1が形成され、2次成形によりカバー平板部C2が形成されるが、カバーCの表面についても裏面についても凹凸の無い滑らかな外観になっている。このように表面および裏面が滑らかに形成されているのは、後で詳しく説明するように金型に2個の可動コアが設けられ、それぞれの可動コアが後退するときに後退長さを変えているからである。
カバーCを成形する本実施の形態に係る2色成形品の成形用金型1を説明する。本実施の形態に係る金型1は、図2に示されているように、射出成形機2の固定盤3に設けられている固定側金型5と、可動盤6に設けられている可動側金型7とから構成されている。射出成形機2には第1、2の射出装置9、10が設けられており、それぞれから第1、2の樹脂が射出されるようになっている。第1、2の射出装置9、10の射出ノズルは、それぞれ固定側金型5の背面のスプルに当接している。
本実施の形態において可動側金型7は、可動側受板12と可動側型板13とからなる。図2には示されていないが可動側受板12と可動側型板13の間にはバネが設けられており、型開しているときはバネ付勢により可動側受板12に対して可動盤型板13は所定の間隔だけ浮上がり、型締めされるとバネが圧縮されて可動側受板12と可動側型板13とが密着するようになっている。このような可動側型板13には、中央部において貫通孔つまりくり抜きが形成され、このくり抜きに第1、2の可動コア15a、15bが設けられている。詳しく説明すると、可動側型板13に形成されているくり抜きに第1の可動コア1aが摺動自在に挿入され、この第1の可動コア15にも中央においてくり抜きが形成されている。この第1の可動コア15aのくり抜きに第2のコア15bが摺動自在に挿入されている。
本実施の形態に係る成形用金型1は、第1、2の可動コア15a、15bが前進・後退するようになっていて、前進位置および後退位置のそれぞれにおいて第1、2の可動コア15a、15bの位置が確実に維持される点に特徴がある。位置が確実に維持されるので可動コア15に射出圧が作用しても後退しない。このような第1、2の可動コア15a、15bの動作を可能にしている機構は、所定の段差プレート16と、第1、2のコア側段差部17a、17bと、段差プレート16をスライドするピストンシリンダユニット18とからなる。段差プレート16は板状を呈し、その裏面が可動側受板12に接してスライド自在になっている。つまり可動側金型7のパーティングラインと並行にスライドされるようになっている。この段差プレート16の表面には、図2の紙面の深さ方向に伸びる帯状の山部20a、20a、20b、20b、…と帯状の谷部21a、21a、21b、21b、…とが交互に等ピッチで複数組並行に形成されている。これらの山部20a、20b、…は断面形状が矩形になっている。第1、2のコア側段差部17a、17bは、それぞれ第1、2の可動コア15a、15bの後端部に固着されている部材である。第1、2の可動コア15a、15bの、段差プレート16と対向する面には、帯状の山部22a、22a、22b、22b、…と谷部23a、23a、23b、23b、…とが形成されている。つまり段差プレート16の山部20a、20b、…、谷部21a、21b、…と同一のピッチで山部22a、22b、…と谷部23a、23b、…とが形成されている。段差プレート16と第1、2のコア側段差部17a、17bのそれぞれの山部20a、20b、22a、22b、…同士が当接するとき、第1、2の可動コア15a、15bは前進位置で維持され、それ以上の後退が記載される。一方、段差プレート16をピッチの1/2だけスライドさせると段差プレート16と第1、2のコア側段差部17a、17bの山部20a、20b、22a、22b、…と谷部21a、21b、23a、23b、…とが対向する。この状態でこれらが噛み合うとき、第1、2の可動コア15a、15bは後退位置になる。ところで本実施の形態においては、第1のコア側段差部17aに形成されている山部22a、22a、…と、段差プレート16においてこの第1のコア側段差部17aに対応するように形成されている山部20a、20a、…の高さは若干低くなっている。これに対して第2のコア側段差部17bに形成されている山部22b、22b、…と、段差プレート16においてこの第2のコア側段差部17bに対応するように形成されている山部20b、20b、…の高さは若干高くなっている。このように山部20a、20b、…の高さが相違しているので、第1、2の可動コア15a、15bの前進位置と後退位置の距離、つまり後退長さは、第2の可動コア15bの方が第1の可動コア15aより長い。つまり第2の可動コア15bの方が第1の可動コア15aより大きく後退する。このように第1、2の可動コア15a、15bの後退長さが相違している点も本発明の特徴になっている。これによって、成形用金型1によって成形されるカバーCは、表面も裏面も凹凸がなく滑らかに形成されることになる。
第1のコア側段差部17aと第1の可動コア15aはバネ体25a、25aによって後退方向に付勢されている。また、第2のコア側段差部17bと第2の可動コア15bもバネ体25b、25bによって後退方向に付勢されている。ただし、可動側型板13には第1のコア側段差部17aを係止する係止部27が形成されているので、バネ付勢されていても第1のコア側段差部17aは係止部27に係止されて第1の可動コア15aが脱落することはない。図には示されていないが第2の可動コア15bについても所定の係止構造により脱落が防止されている。
可動側金型7のパーティングラインには、第1の可動コア15aの周囲に第1の凹部30が形成されている。この第1の凹部30に対応するように、固定側金型5のパーティングラインにも第2の凹部31が形成されている。これら第1、2の凹部30、31は1次成形によってカバー本体部C1を成形するための凹部である。なお図2には示されていないが、突出機構が固定側金型5に設けられ、成形品を突出すようになっている。
本実施の形態に係る成形用金型1によって、2色成形品であるカバーCを成形する方法を説明する。まず図3の(ア)に示されているように、成形用金型1を型開する。そうすると図に示されていないバネにより付勢されて可動側受板12から可動側型板13が所定の高さだけ浮く。第1、2のコア側段差部17a、17bと第1、2の可動コア15a、15bはバネ体25a、25bにより後退するが前述したように後退量は規制され脱落はしない。このとき、段差プレート16と第1、2のコア側段差部17a、17bは所定の隙間が確保された状態で離間する。ピストンシリンダユニット18を駆動して段差プレート16を第1のスライド位置にスライドする。第1のスライド位置においては、段差プレート16と第1、2のコア側段差部17a、17bのそれぞれの山部20a、20b、22a、22b、…同士が対向する。この状態で型締めする。そうすると、図3の(イ)に示されているように、固定側金型5と可動側金型7が型閉じし、可動側金型7の可動側受板12と可動側型板13が密着し、段差プレート16と第1、2のコア側段差部17a、17bのそれぞれの山部20a、22a、…同士が当接して第1、2のコア側段差部17a、17bと第1、2の可動コア15a、15bが前進する。第1の可動コア15aは前進しても固定側金型5の第2の凹部31とは所定の隙間を確保して当接しない。この隙間によって、1次成形品であるカバー本体部C1に段部Dが形成されることになる。一方第2の可動コア15bは第1の可動コア15aよりさらに前進して、その頂部が第2の凹部31に当接する。これによって1次成形用のキャビティ35が構成される。図3の(ウ)に示されているように、1次成形により第1の射出装置9から第1の樹脂を射出し、キャビティ35に充填する。このとき第1の可動コア15aの頂部に樹脂圧が作用するが、段差プレート16と第1のコア側段差部17aのそれぞれの山部20a、22a同士が当接しているので第1のコア側段差部17aと第1の可動コア15aの後退が規制される。第1の樹脂により1次成形品であるカバー本体部C1が成形される。
カバー本体部C1が冷却・固化したら、図4の(ア)に示されているように、成形用金型1をわずかに型開きする。わずかに型開きすると、固定側金型5と可動側型板13は型閉状態が維持されて、可動側受板12から可動側型板13が所定の間隔だけ浮く。そうすると段差プレート16と第1、2のコア側段差部17a、17bとが離間し、第1、2のコア側段差部17a、17bと第1、2の可動コア15a、15bがバネ体25a、25bの付勢により後退する。図4の(イ)に示されているように、ピストンシリンダユニット18を駆動して段差プレート16を第2のスライド位置にスライドする。そうすると、段差プレート16の山部20a、20b、…と第1、2のコア側段差部17a、17bの谷部23a、23b、…とが整合し、段差プレート16の谷部21a、21b、…と第1、2のコア側段差部17a、17bの山部22a、22b、…とが整合する。なお、第2のスライド位置は、第1のスライド位置に対して山部20a、20b、…のピッチの1/2だけずらすようにするのが最適であるが、ピッチの3/2、5/2等、ずらすようにしてもよい。
この状態で成形用金型1を型締めすると、図4の(ウ)に示されているように可動側金型7では可動側型板13が可動側受板12に密着する。このとき、段差プレート16と第1、2のコア側段差部17a、17bとがそれぞれ山部20a、20b、22a、22b、…と谷部21a、21b、23a、23b、…とが噛み合う。第1、2のコア側段差部17a、17bと第1、2の可動コア15a、15bは段差プレート16によって押されてわずかに前進する。これによって第1、2の可動コア15a、15bの頂部は、第1の凹部30と同じ高さになる。すなわち第1、2の可動コア15a、15bは後退位置を採り、2次成形用のキャビティ36が形成される。図4の(エ)に示されているように、2次成形を実施する。すなわち第2の射出装置10から第2の樹脂を射出して、カバー平板部C2を形成する。このとき射出圧が第1、2の可動コア15a、15bに作用するが、段差プレート16と第1、2のコア側段差部17a、17bとがそれぞれ山部20a、20b、22a、22b、…と谷部21a、21b、23a、23b、…において噛み合っているので第1、2の可動コア15a、15bの後退が規制される。カバー本体部C1とカバー平板部C2は融着してカバーCが形成される。
成形用金型1を型開きする。そうすると図5の(ア)に示されているように、カバーCが固定側金型5に残された状態で固定側金型5と可動側金型7が型開きされる。このとき図に示されていないバネによって、可動側受板12に対して可動側型板13が所定の間隔を空けて浮上がる。段差プレート16と第1、2のコア側段差部17a、17bの噛み合いが解除され、これらが離間し、そして第1、2のコア側段差部17a、17bと第1、2の可動コア15a、15bがバネ体25a、25bによる付勢で後退する。図に示されていない突出装置を駆動すると、図5の(イ)に示されているように、カバーCが固定側金型5から脱型される。以下同様にして2色成形品のカバーCを成形する。
本実施の形態に係る成形用金型1は色々な変形が可能である。例えば、段差プレート16や第1、2のコア側段差部17a、17bに形成されている山部20a、20b、22a、22b、…は断面形状が矩形であるように説明したが、台形状になっていてもよい。台形状になっていると、噛み合わせが滑らかになるという効果が得られる。他の変形も可能であり、第1のコア側段差部17aと第1の可動コア15a、および第2のコア側段差部17bと第2の可動コア15bは、それぞれ同一の部材から構成されていてもよい。段差プレート16についても変形が可能である。本実施の形態においては段差プレート16は1枚だけ設けられ、第1、2のコア側段差部17a、17bに対応しているが、第1、2のコア側段差部17a、17bのそれぞれに対応するように2枚設けるようにしてもよい。さらには、可動コアの個数も変形が可能であり、成形用金型1に可動コアを3個以上設けるようにしてもよい。
1 成形用金型 2 射出成形機
3 固定盤 5 固定側金型
6 可動盤 7 可動側金型
9 第1の射出装置 10 第2の射出装置
12 可動側受板 13 可動側型板
15a、15b 第1、2の可動コア
16 段差プレート
17a、17b 第1、2のコア側段差部
18 ピストンシリンダユニット
20a、20b、22a、22b 山部
21a、21b、23a、23b 谷部
25a、25b バネ体
35 キャビティ 36 キャビティ
C カバー C1 カバー本体部
C2 カバー平板部

Claims (2)

  1. 2色成形品を成形するようになっている金型であって、
    前記金型にはキャビティ内において進退する複数個の可動コアと、該複数個の可動コアのそれぞれに対応する1枚または複数枚の段差プレートとが設けられ、
    前記複数個の可動コアのそれぞれの後端面と対応する前記段差プレートの表面には、帯状の山部と帯状の谷部とが等ピッチで複数組並行に形成されており、前記段差プレートを所定のスライド位置にすると、前記可動コアの後端面と前記段差プレートのそれぞれの前記山部同士が当接して前記可動コアの後退が規制され、他のスライド位置にすると前記可動コアの後端面と前記段差プレートのそれぞれの前記山部と前記谷部とが噛み合い状態になって前記可動コアが後退するようになっており、
    前記山部の高さと前記谷部の深さは前記複数個の可動コアのそれぞれによって相違しており、それによって前記可動コアの後退長さが異なっていることを特徴とする、2色成形用金型。
  2. 請求項1に記載の2色成形用金型において、前記段差プレートの前記山部と前記可動コアの前記山部は、断面形状が矩形または台形に形成されていることを特徴とする2色成形用金型。
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