JP2019045708A - 投写光学系および投写型画像表示装置 - Google Patents

投写光学系および投写型画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】温度変化に起因して劣化した非点収差を補正できる投写光学系を提供すること。
【解決手段】投写光学系3Aは、ズーム機能により投写倍率を変化させる際に移動しない第1レンズ群LG1のなかに、光軸L方向に移動して非点収差の劣化を補正する補正レンズ群LG11を備える。投写光学系3Aは、液晶パネル18が表示する画像の画素ピッチをP、レンズ全系のFナンバーをFNO、温度が20℃変動した時に変動した収差を補正する移動量(ΔM20)だけ補正レンズ群LG11を移動させたときのバックフォーカスの移動量をΔBF、レンズ全系の焦点距離をf、補正レンズ群LG11の焦点距離をf1としたときに、次の条件式(1)、(2)を満足する。
|ΔBF20| < P×FNO×√2 ・・・(1)
1.5 < |f1/f| ・・・(2)
【選択図】図2

Description

本発明は、温度変化に起因して発生する収差を補正することが容易な投写光学系、および、かかる投写光学系を備える投写型画像表示装置に関する。
プロジェクターなどの投写型画像表示装置では、高輝度化に伴って、投写光学系を通過する光線密度が上昇している。従って、画像投写時に投写光学系を構成するレンズの温度が上昇して、投写光学系の光学特性が変化する場合がある。
特許文献1には、投写光学系を構成する複数のレンズ群のうち、少なくとも2つのレンズ群を光軸方向に移動させることにより、温度変化に起因する光学特性の変化を補正する技術が開示されている。2つのレンズ群のうちの一方のレンズ群は、光軸方向に移動することにより、温度変化に起因して劣化した投写画像の像面湾曲を補正する。他方のレンズ群は、光軸方向に移動することにより温度に起因して変動した投写光学系のバックフォーカスの位置を補正する。
特開2016−80823号公報
ここで、画像投写時に投写光学系を構成するレンズの温度が上昇した場合には、投写光学系の光学特性のうち非点収差が劣化する場合がある。
本発明の課題は、このような点に鑑みて、温度変化に起因して劣化した非点収差を補正できる投写光学系を提供することにある。また、このような投写光学系を組み込んだ投写型画像表示装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は、画像表示素子に表示された所定の画素ピッチの画像をスクリーンに投写するとともに、投写倍率を変化させるズーム機能を備える投写光学系において、最も前記スクリーンの側に位置し、前記ズーム機能により投写倍率を変化させる際に光軸方向に移動しない第1レンズ群を有し、前記第1レンズ群は、前記光軸方向への移動により温度変化に応じて発生する収差の変動を補正する補正レンズ群と、前記補正レンズ群の前記スクリーンとは反対の側で前記光軸方向に移動することがない固定レンズ群と、を備え、前記補正レンズ群は、前記スクリーンの側から1枚または複数枚のレンズからなり、前記画像の画素ピッチをP、レンズ全系のFナンバーをFNO、レンズ全系の焦点距離をf、前記補正レンズ群の焦点距離をf1、温度が20℃変動した時に変動した収差を補正する移動量だけ前記補正レンズ群を移動させたときのバックフォーカスの移動量をΔBFとしたときに、次の条件式(1)、(2)を満足することを特徴とする。
|ΔBF20| < P×FNO×√2 ・・・(1)
1.5 < |f1/f| ・・・(2)
本発明は、最もスクリーンに近い位置にある補正レンズ群を移動させて光学特性の劣化を補正する。従って、非点収差の劣化を補正しやすい。また、補正レンズ群の焦点距離とレンズ全系の焦点距離との関係が条件式(2)を満たすので、補正レンズ群を光軸方向に移動させたときに非点収差を補正しやすい。
ここで、条件式(1)は、温度が20℃変動した時に劣化(変動)した非点収差を補正する移動量だけ補正レンズ群を移動させたときに、バックフォーカスの移動量が投写光学系の焦点深度よりも小さいことを規定するものである。従って、条件式(1)を満たす本発明では、温度が20℃変動した時に変動した非点収差を補正する移動量だけ補正レンズ群を移動させたときのバックフォーカスの移動量が、投写画像の画質に影響がでることを回避できるほどに僅かなものとなる。ここで、温度変化に起因して発生する投写光学系のバックフォーカスの変動は設計によって抑制することができる。従って、補正レンズ群を移動させたときのバックフォーカスの移動量が投写光学系の焦点深度より小さければ、補正レンズ群とは別にバックフォーカスの位置を補正するための第2の補正レンズ群を備える必要がない。よって、温度変化に起因する非点収差の劣化を補正するために光軸方向に移動させるレンズ群の数を少なくすることができる。
本発明において、前記固定レンズ群の最も前記スクリーンの側に位置する固定レンズ群第1レンズは、負レンズであり、前記固定レンズ群第1レンズの焦点距離をf2としたときに、次の条件式(3)を満足することが望ましい。
0.1 < |f2/f1| < 0.9 ・・・(3)
条件式(3)の上限および下限を超える場合には、補正レンズ群を移動させて温度変化に起因して発生した非点収差を補正したときに、歪曲収差が大きくなる場合がある。これに対して、負レンズである固定レンズ群第1レンズの焦点距離f2と、補正レンズ群の焦点距離f1との関係が条件式(3)を満たせば、歪曲収差が大きくなることを抑制できるまた、条件式(3)を満たせば、像面湾曲の増大を抑制できる。
本発明において、前記補正レンズ群が1枚のレンズからなる場合には、当該レンズの屈折率をnd1、アッベ数をνd1としたときに、次の条件式(4)、(5)を満足し、前記補正レンズ群が複数枚のレンズからなる場合には、前記補正レンズ群のなかで最も前記固定レンズ群の側に位置する補正レンズ群最終レンズの屈折率をnd1、アッベ数をνd1としたときに、次の条件式(4)、(5)を満足することが望ましい。
1.45 < nd1 < 1.60 ・・・(4)
50 < νd1 < 85 ・・・(5)
条件式(4)を満たせば、補正レンズ群が光軸方向に移動したときに像面湾曲が増大することを抑制できる。また、条件式(5)を満たせば、補正レンズ群が光軸方向に移動したときに、倍率色収差が増大することを抑制できる。
本発明において、レンズ全系を保持する鏡筒と、前記鏡筒の内部の温度を検出する温度センサーと、前記補正レンズ群を前記光軸方向に移動させる移動機構と、前記温度センサーからの出力に基づいて前記移動機構を駆動する補正制御部と、を備えることが望ましい。このようにすれば、温度センサーからの出力に基づいて制御部が移動機構を駆動することにより、温度変化に起因する非点収差の劣化を自動で補正することができる。
次に、本発明の投写型画像表示装置は、上記の投写光学系と、前記所定の画素ピッチを備え、前記投写光学系のバックフォーカスの位置に配置された画像表示素子を有することを特徴とする。
本発明の投写型画像表示装置によれば、投写光学系の一つの補正レンズ群を光軸方向に移動させるだけで、温度変化に起因した非点収差を補正できる。従って、温度変化に起因した非点収差の補正が容易である。また、補正レンズ群を移動させて温度変化に起因した非点収差を補正したときの投写光学系のバックフォーカスの位置の変動が投写光学系の焦点深度よりも小さい。従って、バックフォーカスの変動によって、ピントがずれるのを回避できる。
また、本発明の投写型画像表示装置は、投写する光の光束が20klm以上のものとすることができる。かかる明るさを備える投写型画像表示装置では、画像投写時に投写光学系を構成するレンズの温度が上昇して非点収差などが発生しやすい。これに対して、本発明では、投写光学系の一つの補正レンズ群を光軸方向に移動させるだけで、温度変化に起因した非点収差を補正できる。従って、投写画像の画質を維持できる。なお、lm(ルーメン)とは、光束を表す単位であり、全ての方向に対して1カンデラの光度を持つ標準の点光源が1ステラジアンの立体角内に放出する光束である。
本発明の投写光学系を備える投写型画像表示装置の概略構成を示す図である。 各レンズがワイド位置にある場合の実施例1の投写光学系の構成図である。 各レンズがテレ位置にある場合の実施例1の投写光学系の構成図である。 実施例1の投写光学系のレンズデータを示す図である。 各レンズがワイド位置にある場合の実施例1の投写光学系の収差図である。 各レンズがテレ位置にある場合の実施例1の投写光学系の収差図である。 各レンズがワイド位置にある場合の実施例2の投写光学系の構成図である。 各レンズがテレ位置にある場合の実施例2の投写光学系の構成図である。 実施例2の投写光学系のレンズデータを示す図である。 各レンズがワイド位置にある場合の実施例2の投写光学系の収差図である。 各レンズがテレ位置にある場合の実施例2の投写光学系の収差図である。 各レンズがワイド位置にある場合の実施例2の投写光学系の構成図である。 各レンズがテレ位置にある場合の実施例3の投写光学系の構成図である。 実施例3の投写光学系のレンズデータを示す図である。 各レンズがワイド位置にある場合の実施例3の投写光学系の収差図である。 各レンズがテレ位置にある場合の実施例3の投写光学系の収差図である。
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係る投写光学系、および、これを備える投写型画像表示装置について詳細に説明する。
(投写型画像表示装置)
図1は本発明の投写光学系を備えるプロジェクターの概略構成図である。図1に示すように、プロジェクター1(投写型画像表示装置)は、スクリーンSに投写する画像光を生成する画像光生成光学系2と、画像光を拡大して投写する投写光学系3と、制御部4とを備える。プロジェクター1は、投写する光の光束が20klm以上である。
(画像光生成光学系および制御部)
画像光生成光学系2は、光源10、第1インテグレーターレンズ11、第2インテグレーターレンズ12、偏光変換素子13、重畳レンズ14を備える。光源10は、例えば、超高圧水銀ランプ、固体光源等で構成される。第1インテグレーターレンズ11および第2インテグレーターレンズ12は、アレイ状に配列された複数のレンズ素子をそれぞれ有する。第1インテグレーターレンズ11は、光源10からの光束を複数に分割する。第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子は、光源10からの光束を第2インテグレーターレンズ12の各レンズ素子の近傍に集光させる。
偏光変換素子13は、第2インテグレーターレンズ12からの光を所定の直線偏光に変換させる。重畳レンズ14は、第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子の像を、第2インテグレーターレンズ12を介して、後述する液晶パネル18R、液晶パネル18G、および、液晶パネル18Bの表示領域上で重畳させる。
また、画像光生成光学系2は、第1ダイクロイックミラー15、反射ミラー16およびフィールドレンズ17R、および、液晶パネル18Rを備える。第1ダイクロイックミラー15は、重畳レンズ14から入射した光線の一部であるR光を反射させ、重畳レンズ14から入射した光線の一部であるG光およびB光を透過させる。第1ダイクロイックミラー15で反射されたR光は、反射ミラー16およびフィールドレンズ17Rを経て、液晶パネル18Rへ入射する。液晶パネル18RはR光を画像信号に応じて変調することにより、赤色の画像を形成する。
さらに、画像光生成光学系2は、第2ダイクロイックミラー21、フィールドレンズ17G、および、液晶パネル18Gを備える。第2ダイクロイックミラー21は、第1ダイクロイックミラー15からの光線の一部であるG光を反射させ、第1ダイクロイックミラー15からの光線の一部であるB光を透過させる。第2ダイクロイックミラー21で反射されたG光は、フィールドレンズ17Gを経て、液晶パネル18Gへ入射する。液晶パネル18GはG光を画像信号に応じて変調することにより、緑色の画像を形成する。
また、画像光生成光学系2は、リレーレンズ22、反射ミラー23、リレーレンズ24、反射ミラー25、およびフィールドレンズ17B、および、液晶パネル18Bを備える。第2ダイクロイックミラー21を透過したB光は、リレーレンズ22、反射ミラー23、リレーレンズ24、反射ミラー25、およびフィールドレンズ17Bを経て、液晶パネル18Bへ入射する。液晶パネル18BはB光を画像信号に応じて変調することにより、青色の画像を形成する。
液晶パネル18R、液晶パネル18G、および、液晶パネル18Bは、それぞれ所定の画素ピッチPを備える画像表示素子である。液晶パネル18R、液晶パネル18G、および、液晶パネル18Bは、クロスダイクロイックプリズム19を3方向から囲んでいる。クロスダイクロイックプリズム19は、光合成用のプリズムであり、各液晶パネル18R、18G、18Bで変調された光を合成して画像光を生成する。
ここで、クロスダイクロイックプリズム19は投写光学系3の一部分を構成する。投写光学系3は、クロスダイクロイックプリズム19が合成した画像光(各液晶パネル18R、18G、18Bが形成した画像)をスクリーンSに拡大して投写する。投写光学系3は投写倍率を変化させるズーム機能を備える。投写光学系3は鏡筒30に収容されている。
また、投写光学系3は、投写光学系3の温度変化に応じて発生する収差の変動を補正する収差補正機構31を備える。収差補正機構31は、鏡筒30の内部の温度を検出する温度センサー32と、投写光学系3を構成する複数のレンズ群のうち最もスクリーンの側に位置する補正レンズ群LG11(図1、図3、図7、図8、図12、図13参照)を光軸L方向に移動させる移動機構33を備える。移動機構33は、不図示の支持機構によって光軸L方向に移動可能に支持された補正レンズ群LG11をスクリーンSの側、或いは、スクリーンSとは反対側に移動させる。移動機構33はモーターなどの駆動源を備える。また、収差補正機構31は、温度センサー32からの出力に基づいて移動機構33を駆動して補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させる補正制御部34を備える。投写光学系3の具体的な構成例は後述する。
制御部4は、ビデオ信号等の外部画像信号が入力される画像処理部6と、画像処理部6から出力される画像信号に基づいて液晶パネル18R、液晶パネル18Gおよび液晶パネル18Bを駆動する表示駆動部7とを備える。
画像処理部6は、外部の機器から入力された画像信号を各色の諧調等を含む画像信号に変換する。表示駆動部7は、画像処理部6から出力された各色の画像信号に基づいて液晶パネル18R、液晶パネル18Gおよび液晶パネル18を動作させる。これにより、画像処理部6は、画像信号に対応した画像を液晶パネル18R、液晶パネル18Gおよび液晶パネル18Gに表示する。
(投写光学系)
次に、投写光学系3を説明する。以下では、プロジェクター1に搭載される投写光学系3の構成例として実施例1〜3を説明する。
(実施例1)
図2および図3は実施例1の投写光学系の構成図である。図2では、実施例1の投写光学系を構成する各レンズは焦点距離を最短とするワイド位置に配置されている。図3では実施例1の投写光学系を構成する各レンズは、焦点距離を最長とするテレ位置に配置されている。図4は実施例1の投写光学系のレンズデータを示す図である。図5は実施例1の投写光学系がワイド位置にある場合の収差図(球面収差、非点収差および歪曲収差)である。図6は実施例1の投写光学系がテレ位置にある場合の収差図(球面収差、非点収差および歪曲収差)である。図5および図6では、投写光学系が基準温度である場合(温度変化前)の収差図と、投写光学系が基準温度よりも20℃上昇した温度状態となった場合(温度変化後)の収差図と、補正レンズ群LG11を基準位置から補正位置に移動させて、温度変化に起因して劣化した非点収差を補正した場合(補正後)の収差図を示す。
図2および図3に示すように、本例の投写光学系3Aは、第1レンズL1〜第16レンズL16の16枚のレンズを備える。投写光学系3Aは、スクリーンSの側から液晶パネル18の側に向かって、順に、第1レンズ群LG1、第2レンズ群LG2、第3レンズ群LG3、第4レンズ群LG4、第5レンズ群LG5、第6レンズ群LG6、および、第7レンズ群LG7を備える。液晶パネル18は、投写光学系3Aのバックフォーカスの位置にある。第7レンズ群LG7と液晶パネル18との間には、クロスダイクロイックプリズム19が位置する。
第1レンズ群LG1と第7レンズ群LG7とは、ズーム機能により投写倍率を変化させる際に、光軸L方向に移動しないレンズ群である。すなわち、第1レンズ群LG1と第7レンズ群LG7とは、変倍に際して、動かないレンズ群である。第1レンズ群LG1は、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3の3枚のレンズからなる。第1レンズ群LG1は、光軸L方向への移動により温度変化に応じて発生する非点収差の劣化を補正する補正レンズ群LG11と、補正レンズ群LG11のスクリーンSとは反対の側で光軸L方向に移動することがない固定レンズ群LG12と、を備える。補正レンズ群LG11は第1レンズL1からなる。固定レンズ群LG12は第2レンズL2および第3レンズL3からなる。第1レンズL1はスクリーンSの側および液晶パネル18の側の両面が非球面である。固定レンズ群LG12において最もスクリーンSの側に位置する第2レンズL2(固定レンズ群第1レンズ)は負レンズである。第7レンズ群LG7は第16レンズL16からなる。
第2レンズ群LG2、第3レンズ群LG3、第4レンズ群LG4、第5レンズ群LG5、および、第6レンズ群LG6は、ズーム機能により投写倍率を変化させる際に(すなわち、変倍に際して)、それぞれが光軸L方向に移動するレンズ群である。第2レンズ群LG2は、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6の3枚のレンズからなる。第4レンズL4と第5レンズL5とは互いに接合された接合レンズである。第3レンズ群LG3は、第7レンズL7からなる。第4レンズ群LG4は、第8レンズL8と第9レンズL9とからなる。第5レンズ群LG5は第10レンズL10、第11レンズL11、第12レンズL12の3枚のレンズからなる。第6レンズ群LG6は第13レンズL13、第14レンズL14、第15レンズL15の3枚のレンズからなる。第13レンズL13と第14レンズL14とは互いに接合された接合レンズである。
投写光学系3Aのデータは以下のとおりである。本例では、基準波長λを587.56nmとする。
ズーム比:1.34
焦点距離:71.11mm(ワイド位置) / 95.62mm(テレ位置)
Fナンバー:1.96(ワイド位置) / 2.29(テレ位置)
バックフォーカス(in air):90.16mm
有効像円径:φ70mm
最大画角(半画角):26.5°(ワイド位置) / 20.2°(テレ位置)
また、投写光学系3Aを構成する各レンズL1〜L16のレンズデータは図4に示すとおりである。図4において、厚み・間隔の欄のOBJは、第1レンズL1からスクリーンSまでの軸上面間距離(m)を表す。厚み・間隔の欄の間隔Aは、温度変化に起因して発生した収差を補正した場合に変化する値である。間隔Aは補正レンズ群LG11と固定レンズ群LG12との間の軸上面間距離(mm)である。厚み・間隔の欄の間隔B、間隔C、間隔D、間隔E、間隔F、間隔Gは、各レンズL1〜L16がワイド位置に配置された場合と、各レンズL1〜L16がテレ位置に配置された場合とで変化する値である。間隔B、間隔C、間隔D、間隔E、間隔F、間隔Gは、隣り合うレンズ群の軸上面間距離(mm)である。ndは各レンズL1〜L16の屈折率である。νdは各レンズL1〜L16のアッベ数である。
なお、非球面とされている第1レンズL1の第1面および第2面の非球面係数は、以下のとおりである。
第1面 第2面
曲率半径 216.922 128.975
コーニック定数(K) −1.467 −1.719
4次の係数(A) 9.66234E−08 5.66419E−09
6次の係数(B) −5.13267E−12 −2.31131E−11
8次の係数(C) −2.19282E−15 2.68541E−15
10次の係数(D) 9.21819E−19 4.12250E−20
12次の係数(E) 8.65528E−23 1.68220E−22
14次の係数(F) −8.21895E−27 4.96701E−26
16次の係数(G) 2.01043E−30 −2.61118E−30
また、OBJ、間隔B、間隔C、間隔D、間隔E、間隔F、間隔Gの値は、以下のとおりである。
OBJ 7.5 (ワイド位置) 10.125(テレ位置)
間隔B 37.982(ワイド位置) 15.581(テレ位置)
間隔C 18.787(ワイド位置) 16.376(テレ位置)
間隔D 3.524(ワイド位置) 21.455(テレ位置)
間隔E 53.109(ワイド位置) 22.849(テレ位置)
間隔F 10.109(ワイド位置) 10.629(テレ位置)
間隔G 0.200(ワイド位置) 36.820(テレ位置)
(補正レンズ群)
ここで、補正レンズ群LG11について、詳細に説明する。図5および図6の上段に位置する温度変化前の収差図と、中段に位置する温度変化後(温度が20℃上昇した状態)の収差図を比較すれば分かるように、画像投写時に投写光学系3Aの温度が予め想定された基準温度から20℃上昇した場合には、投写光学系3Aの光学特性が変化し、非点収差が劣化(変動)する。このような問題に対して、投写光学系3Aでは、ズーム機能により投写倍率を変化させる際に移動しない第1レンズ群LG1のなかに非点収差の劣化を補正するための補正レンズ群LG11を備え、この補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させて、非点収差の劣化を補正する。
補正レンズ群LG11は基準位置と補正位置との間で移動する。基準位置は、投写光学系3Aの温度が予め想定した基準温度の場合に補正レンズ群LG11が配置されている位置である。図5および図6の温度変化前の収差図および温度変化後の収差図は、補正レンズ群LG11が基準位置に配置されている状態におけるものである。補正位置は、投写光学系3Aの温度が基準温度から20℃上昇したときに、補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させて温度変化に起因する非点収差の劣化を補正した状態における補正レンズ群LG11の位置である。補正レンズ群LG11が補正位置に配置された状態では、図5および図6の下段に位置する補正後の収差図に示すように、非点収差の劣化(変動)は補正され、温度変化前の収差図に近い状態となる。
ここで、図4における厚み・間隔の欄の間隔Aは、補正レンズ群LG11が基準位置に配置されている場合と、補正レンズ群LG11が補正位置に配置されている場合とで変化する。間隔Aの値は、以下の通りである。
基準位置 補正位置
間隔A(ワイド位置) 36.061 36.761
間隔A(テレ位置) 36.061 36.761
本例では、温度が20℃上昇した時に劣化した非点収差を補正する補正レンズ群LG11の移動量(基準位置と補正位置との間の距離)をΔM20としたときに、ワイド位置、テレ位置ともに、ΔM20=+0.7mmである。ΔM20は、投写光学系3Aにおいて実際に補正レンズ群LG11を移動させた実験、或いは、シミュレーションにより求められる。なお、基準位置から補正位置に移動する際に補正レンズ群LG11がスクリーンSの側に移動する場合にはΔM20はプラスの値となる。基準位置から補正位置に移動する際に補正レンズ群LG11がスクリーンSとは反対側に移動する場合にはΔM20はマイナスの値となる。
また、本例では、補正レンズ群LG11を基準位置と補正位置との間で移動させたときのバックフォーカスの移動量をΔBFとしたときに、ワイド位置およびテレ位置のそれぞれにおいて、ΔBFは以下のとおりである。
ΔBF 0.01(ワイド位置) / 0.018(テレ位置)
なお、投写光学系3Aの温度として、各レンズL1〜L16を保持する鏡筒30の内部の温度を用いることができる。すなわち、温度センサー32により検出される温度を、投写光学系3Aの温度とすることができる。
ここで、補正レンズ群LG11の焦点距離をf1としたときに、f1=−636.811である。また、第2レンズL2の焦点距離をf2としたときに、f2=−338.014である。
次に、投写光学系3Aは、液晶パネル18が表示する画像の画素ピッチをP、レンズ全系のFナンバーをFNO、温度が20℃変動した時に変動した収差を補正する移動量(ΔM20)だけ補正レンズ群LG11を移動させたときのバックフォーカスの移動量をΔBFとしたときに、次の条件式(1)を満足する。条件式(1)は、温度が20℃変動した時に劣化した収差を補正する移動量(ΔM20=+0.7mm)だけ補正レンズ群LG11を移動させたときに、バックフォーカスの移動量ΔBFが、投写光学系3Aの焦点深度よりも小さいことを規定している。
|ΔBF20| < P×FNO×√2 ・・・(1)
具体的に、本例では、P=0.010mmである。ワイド位置において、FNO=1.96である。テレ位置において、FNO=2.29である。また、ワイド位置において、ΔBF=0.01である。テレ位置において、ΔBF=0.018である。従って、投写光学系3Aは、以下のとおり、条件式(1)を満足する。
(ワイド位置) |0.010| < 0.010×1.96×√2=0.028
(テレ位置) |0.018| < 0.010×2.29×√2=0.032
また、投写光学系3Aは、レンズ全系の焦点距離をf、補正レンズ群LG11の焦点距離をf1としたときに、以下の条件式(2)を満足する。
1.5 < |f1/f| ・・・(2)
具体的に、本例では、ワイド位置においてf=71.11である。テレ位置においてf=95.62である。また、f1=−636.811である。よって、投写光学系3Aは、以下のとおり、条件式(2)を満足する。
(ワイド位置) 1.5 < |−636.811/71.11|=9.0
(テレ位置) 1.5 < |−636.811/95.62|=6.7
ここで、本例では、最もスクリーンSに近い位置にある補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させて光学特性の劣化を補正する。従って、非点収差の劣化を補正しやすい。また、本例は、補正レンズ群LG11の焦点距離f1とレンズ全系の焦点距離fとの関係が条件式(2)を満たすので、補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させることにより、温度変化に起因して劣化した非点収差を補正しやすい。
さらに、投写光学系3Aは条件式(1)を満たすので、温度が20℃変動した時に変動した収差を補正する移動量ΔM20だけ補正レンズ群LG11を移動させたときのバックフォーカスの移動量ΔBF20が、投写光学系3Aの焦点深度以下である。換言すれば、投写光学系3Aは条件式(1)を満たすので、補正レンズ群LG11を基準位置から補正位置に移動させたときのバックフォーカスの移動量ΔBF20は、投写画像の画質に影響がでることを回避できるほどに僅かなものとなる。換言すれば、補正レンズ群LG11を基準位置から補正位置に移動させたときのピントずれを回避できる。ここで、温度変化に起因して発生する投写光学系3Aのバックフォーカスの変動は設計によって抑制できる。従って、補正レンズ群LG11を移動させたときのバックフォーカスの移動量ΔBF20が投写光学系3Aの焦点深度より小さければ、補正レンズ群LG11を移動させたときに、バックフォーカスの位置を補正するための第2の補正レンズ群を備える必要がない。よって、温度変化に起因する非点収差の劣化を補正するために光軸L方向に移動させるレンズ群の数を少なくすることができる。
次に、本例は、固定レンズ群LG12の最もスクリーンSの側に位置する第2レンズL2は、負レンズであり、第2レンズL2の焦点距離をf2としたときに、次の条件式(3)を満足する。
0.1 < |f2/f1| < 0.9 ・・・(3)
具体的に、本例では、f1=−636.811であり、f2=−338.014である。よって、投写光学系3Aは、以下のとおり、本例は条件式(3)を満足する。
0.1 < |−338.014/−636.811|=0.5 < 0.9
ここで、条件式(3)の上限および下限を超える場合には、補正レンズ群LG11を移動させて温度変化に起因して発生した非点収差を補正したときに、歪曲収差が大きくなる場合がある。これに対して、負レンズである第2レンズL2の焦点距離f2と、補正レンズ群LG11の焦点距離f1との関係が条件式(3)を満たせば、歪曲収差が大きくなることを抑制できる。また、条件式(3)を満たせば、像面湾曲の増大を抑制できる。
さらに、本例は、補正レンズ群LG11を構成する第1レンズL1の屈折率をnd1、第1レンズL1のアッベ数をνd1としたときに、次の条件式(4)、(5)を満足する。
1.45 < nd1 < 1.60 ・・・(4)
50 < νd1 < 85 ・・・(5
すなわち、本例では、図4に示すように、nd1=1.509415であり、νd1=55.9である。従って、本例は条件式(4)および条件式(5)を満足する。ここで、条件式(4)を満たせば、補正レンズ群LG11が光軸L方向に移動したときに像面湾曲が増大することを抑制できる。また、条件式(5)を満たせば、補正レンズ群LG11が光軸L方向に移動したときに、倍率色収差が増大することを抑制できる。
また、投写光学系3Aは、レンズ全系を保持する鏡筒30と、鏡筒30の内部の温度を検出する温度センサー32と、補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させる移動機構33と、温度センサー32からの出力に基づいて移動機構33を駆動する補正制御部34を備える。従って、温度センサー32からの出力に基づいて補正制御部34が移動機構33を駆動することにより、温度変化に起因する非点収差の劣化を自動で補正できる。
ここで、本例では、予め、鏡筒30の内部の温度変化(基準温度からの上昇温度)と、温度変化に起因して発生する非点収差を補正できる補正レンズ群LG11の光軸L上の位置(補正位置)との関係を、実験、或いは、シミュレーションにより求めている。また、投写光学系3Aの補正制御部34は、基準温度からの上昇温度と補正位置との関係を、テーブル等の形態で記憶保持している。従って、補正制御部34は、基準温度からの上昇温度に基づいて記憶部を参照して移動機構33を駆動して、補正レンズ群LG11を補正位置に配置する。
また、本例では、投写光学系3Aにおいて、温度変化に起因する非点収差の劣化を容易に補正できるので、プロジェクター1の投写する光の光束が20klm以上であり、画像投写時に投写光学系3Aを構成する各レンズL1〜L16の温度が上昇しやすく、非点収差が劣化しやすい場合でも、投写画像の画質を維持できる。
なお、補正レンズ群LG11は、手動によって、基準位置から補正位置に移動させてもよい。
また、上記の例では、温度変化に起因して非点収差が劣化した場合に補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させているが、投写倍率を変化させるのに伴って非点収差が劣化した場合などに、補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させて、非点収差を補正してすることもできる。
(実施例2)
図7および図8は実施例2の投写光学系の構成図である。図7では、実施例2の投写光学系を構成する各レンズは焦点距離を最短とするワイド位置に配置されている。図8では実施例2の投写光学系を構成する各レンズは、焦点距離を最長とするテレ位置に配置されている。図9は実施例2の投写光学系のレンズデータを示す図である。図10は実施例2の投写光学系がワイド位置にある場合の収差図(球面収差、非点収差および歪曲収差)である。図11は実施例2の投写光学系がテレ位置にある場合の収差図(球面収差、非点収差および歪曲収差)である。図10および図11では、投写光学系が基準温度である場合(温度変化前)の収差図と、投写光学系が基準温度よりも20℃上昇した温度状態となった場合(温度変化後)の収差図と、補正レンズ群LG11を基準位置から補正位置に移動させて、温度変化に起因して劣化した非点収差を補正した場合(補正後)の収差図を示す。
図7および図8に示すように、本例の投写光学系3Bは、第1レンズL1〜第18レンズL18の18枚のレンズを備える。投写光学系3Bは、スクリーンSの側から液晶パネル18の側に向かって、順に、第1レンズ群LG1、第2レンズ群LG2、第3レンズ群LG3、第4レンズ群LG4、第5レンズ群LG5、第6レンズ群LG6、および、第7レンズ群LG7を備える。液晶パネル18は、投写光学系3Bのバックフォーカスの位置にある。第7レンズ群LG7と液晶パネル18との間には、クロスダイクロイックプリズム19が位置する。
第1レンズ群LG1、第2レンズ群LG2および第7レンズ群LG7は、ズーム機能により投写倍率を変化させる際に、光軸L方向に移動しないレンズ群である。すなわち、第1レンズ群LG1、第2レンズ群LG2および第7レンズ群LG7は、変倍に際して、動かないレンズ群である。第1レンズ群LG1は、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5の5枚のレンズからなる。第1レンズ群LG1は、光軸L方向への移動により温度変化に応じて発生する非点収差の劣化を補正する補正レンズ群LG11と、補正レンズ群LG11のスクリーンSとは反対の側で光軸L方向に移動することがない固定レンズ群LG12と、を備える。補正レンズ群LG11は第1レンズL1と第2レンズL2からなる。固定レンズ群LG12は第3レンズL3、第4レンズL4および第5レンズL5からなる。第2レンズL2はスクリーンSの側および液晶パネル18の側の両面が非球面である。固定レンズ群LG12において最もスクリーンSの側に位置する第3レンズL3(固定レンズ群第1レンズ)は負レンズである。
第2レンズ群LG2は、第6レンズL6および第7レンズL7の2枚のレンズからなる。第7レンズ群LG7は第18レンズL18からなる。
第3レンズ群LG3、第4レンズ群LG4、第5レンズ群LG5、および、第6レンズ群LG6は、ズーム機能により投写倍率を変化させる際に(すなわち、変倍に際して)、それぞれが光軸L方向に移動するレンズ群である。第3レンズ群LG3は、第8レンズL8からなる。第4レンズ群LG4は、第9レンズL9と第10レンズL10とからなる。第5レンズ群LG5は、第11レンズL11、第12レンズL12、第13レンズL13、および、第14レンズL14の4枚のレンズからなる。第6レンズ群LG6は第15レンズL15、第16レンズL16、第17レンズL17の3枚のレンズからなる。
投写光学系3Bのデータは以下のとおりである。本例では、基準波長λを587.56nmとする。
ズーム比:1.20
焦点距離:29.87mm(ワイド位置) / 35.83mm(テレ位置)
Fナンバー:2.40(ワイド位置) / 2.62(テレ位置)
バックフォーカス(in air):70.98mm
有効像円径:φ50mm
最大画角(半画角):40.2°(ワイド位置) / 35.1°(テレ位置)
また、投写光学系3Bを構成する各レンズL1〜L18のレンズデータは図9に示すとおりである。図9において、厚み・間隔の欄のOBJは、第1レンズL1からスクリーンSまでの軸上面間距離(m)を表す。厚み・間隔の欄の間隔Aは、温度変化に起因して発生した収差を補正した場合に変化する値である。間隔Aは補正レンズ群LG11と固定レンズ群LG12との間の軸上面間距離(mm)である。厚み・間隔の欄の間隔B、間隔C、間隔D、間隔E、間隔F、間隔Gは、各レンズL1〜L18がワイド位置に配置された場合と、各レンズL1〜L18がテレ位置に配置された場合とで変化する値である。間隔B、間隔C、間隔D、間隔E、間隔F、間隔Gは、隣り合うレンズ群の軸上面間距離(mm)である。ndは各レンズL1〜L18の屈折率である。νdは各レンズL1〜L18のアッベ数である。
なお、非球面とされている第2レンズL2の両面(第3面および第4面)の非球面係数は、以下のとおりである。
第1面 第2面
曲率半径 84.350 57.275
コーニック定数(K) −1.002 −0.335
4次の係数(A) 6.17595E−07 2.32600E−07
6次の係数(B) −6.93154E−11 −2.39935E−10
8次の係数(C) −1.54068E−14 1.46172E−13
10次の係数(D) −1.64525E−18 −2.18608E−16
12次の係数(E) 8.98913E−22 1.01396E−19
14次の係数(F) −6.43365E−25 −2.50322E−23
16次の係数(G) 7.00618E−29 2.65938E−27
また、OBJ、間隔B、間隔C、間隔D、間隔E、間隔Fの値は、以下のとおりである。
OBJ 3.9 (ワイド位置) 3.9(テレ位置)
間隔B 114.535(ワイド位置) 85.282(テレ位置)
間隔C 18.675(ワイド位置) 28.296(テレ位置)
間隔D 10.934(ワイド位置) 12.857(テレ位置)
間隔E 0.640(ワイド位置) 2.506(テレ位置)
間隔F 16.560(ワイド位置) 32.404(テレ位置)
(補正レンズ群)
ここで、補正レンズ群LG11について、詳細に説明する。図10および図11の上段に位置する温度変化前の収差図と、中段に位置する温度変化後(温度が20℃上昇した状態)の収差図を比較すれば分かるように、画像投写時に投写光学系3Bの温度が予め想定された基準温度から20℃上昇した場合には、投写光学系3Bの光学特性が変化し、非点収差が劣化(変動)する。このような問題に対して、投写光学系3Bでは、ズーム機能により投写倍率を変化させる際に移動しない第1レンズ群LG1のなかに非点収差の劣化を補正するための補正レンズ群LG11を備え、この補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させて、非点収差の劣化を補正する。
補正レンズ群LG11は基準位置と補正位置との間で移動する。基準位置は、投写光学系3Bの温度が予め想定した基準温度の場合に補正レンズ群LG11が配置されている位置である。図10および図11の温度変化前の収差図および温度変化後の収差図は、補正レンズ群LG11が基準位置に配置されている状態におけるものである。補正位置は、投写光学系3Bの温度が基準温度から20℃上昇したときに、補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させて温度変化に起因する非点収差の劣化を補正した状態における補正レンズ群LG11の位置である。補正レンズ群LG11が補正位置に配置された状態では、図10および図11の下段に位置する補正後の収差図に示すように、非点収差の劣化(変動)は補正され、温度変化前の収差図に近い状態となる。
ここで、図9における厚み・間隔の欄の間隔Aは、補正レンズ群LG11が基準位置に配置されている場合と、補正レンズ群LG11が補正位置に配置されている場合とで変化する。間隔Aの値は、以下の通りである。
基準位置 補正位置
間隔A(ワイド位置) 10.333 10.476
間隔A(テレ位置) 10.333 10.524
本例では、温度が20℃上昇した時に劣化した非点収差を補正する補正レンズ群LG11の移動量(基準位置と補正位置との間の距離)をΔM20としたときに、ワイド位置において、ΔM20=+0.143mmであり、テレ位置において、ΔM20=+0.191mmである。ΔM20は、投写光学系3Bにおいて実際に補正レンズ群LG11を移動させた実験、或いは、シミュレーションにより求められる。なお、基準位置から補正位置に移動する際に補正レンズ群LG11がスクリーンSの側に移動する場合にはΔM20はプラスの値となる。基準位置から補正位置に移動する際に補正レンズ群LG11がスクリーンSとは反対側に移動する場合にはΔM20はマイナスの値となる。
また、本例では、補正レンズ群LG11を基準位置と補正位置との間で移動させたときのバックフォーカスの移動量をΔBFとしたときに、ワイド位置およびテレ位置のそれぞれにおいて、ΔBFは以下のとおりである。
ΔBF −0.0005(ワイド位置) / −0.0005(テレ位置)
なお、投写光学系3Bの温度として、各レンズL1〜L18を保持する鏡筒30の内部の温度を用いることができる。すなわち、温度センサー32により検出される温度を、投写光学系3Bの温度とすることができる。
ここで、補正レンズ群LG11の焦点距離をf1としたときに、f1=−568.733である。また、第3レンズL3の焦点距離をf2としたときに、f2=−102.670である。
次に、投写光学系3Bは、液晶パネル18が表示する画像の画素ピッチをP、レンズ全系のFナンバーをFNO、温度が20℃変動した時に変動した収差を補正する移動量(ΔM20)だけ補正レンズ群LG11を移動させたときのバックフォーカスの移動量をΔBFとしたときに、次の条件式(1)を満足する。条件式(1)は、温度が20℃変動した時に劣化した収差を補正する移動量(ΔM20=+0.147mmまたは+0.191mm)だけ補正レンズ群LG11を移動させたときに、バックフォーカスの移動量ΔBFが、投写光学系3Bの焦点深度よりも小さいことを規定している。
|ΔBF20| < P×FNO×√2 ・・・(1)
具体的に、本例では、P=0.010mmである。ワイド位置において、FNO=2.40である。テレ位置において、FNO=2.62である。また、ワイド位置において、ΔBF=−0.0005である。テレ位置において、ΔBF=−0.0005である。従って、投写光学系3Bは、以下のとおり、条件式(1)を満足する。
(ワイド位置) |−0.0005| < 0.010×2.40×√2=0.034
(テレ位置) |−0.0010| < 0.010×2.62×√2=0.037
また、投写光学系3Bは、レンズ全系の焦点距離をf、補正レンズ群LG11の焦点距離をf1としたときに、以下の条件式(2)を満足する。
1.5 < |f1/f| ・・・(2)
具体的に、本例では、ワイド位置においてf=29.87である。テレ位置においてf=35.83である。また、f1=−568.733である。よって、投写光学系3Bは、以下のとおり、条件式(2)を満足する。
(ワイド位置) 1.5 < |−568.733/29.87|=19.1
(テレ位置) 1.5 < |−568.733/35.83|=15.9
ここで、本例では、最もスクリーンSに近い位置にある補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させて光学特性の劣化を補正する。従って、非点収差の劣化を補正しやすい。また、本例は、補正レンズ群LG11の焦点距離f1とレンズ全系の焦点距離fとの関係が条件式(2)を満たすので、補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させることにより、温度変化に起因して劣化した非点収差を補正しやすい。
さらに、投写光学系3Bは条件式(1)を満たすので、温度が20℃変動した時に変動した収差を補正する移動量ΔM20だけ補正レンズ群LG11を移動させたときのバックフォーカスの移動量ΔBF20が、投写光学系3Bの焦点深度以下である。換言すれば、投写光学系3Bは条件式(1)を満たすので、補正レンズ群LG11を基準位置から補正位置に移動させたときのバックフォーカスの移動量ΔBF20は、投写画像の画質に影響がでることを回避できるほどに僅かなものとなる。換言すれば、補正レンズ群LG11を基準位置から補正位置に移動させたときのピントずれを回避できる。ここで、温度変化に起因して発生する投写光学系3Bのバックフォーカスの変動は設計によって抑制できる。従って、補正レンズ群LG11を移動させたときのバックフォーカスの移動量ΔBF20が投写光学系3Bの焦点深度より小さければ、補正レンズ群LG11を移動させたときに、バックフォーカスの位置を補正するための第2の補正レンズ群を備える必要がない。よって、温度変化に起因する非点収差の劣化を補正するために光軸L方向に移動させるレンズ群の数を少なくすることができる。
次に、本例は、固定レンズ群LG12の最もスクリーンSの側に位置する第2レンズL2は、負レンズであり、第2レンズL2の焦点距離をf2としたときに、次の条件式(3)を満足する。
0.1 < |f2/f1| < 0.9 ・・・(3)
具体的に、本例では、f1=−568.733であり、f2=−102.670である。よって、投写光学系3Bは、以下のとおり、本例は条件式(3)を満足する。
0.1 < |−102.670/−563.733|=0.2< 0.9
ここで、条件式(3)の上限および下限を超える場合には、補正レンズ群LG11を移動させて温度変化に起因して発生した非点収差を補正したときに、歪曲収差が大きくなる場合がある。これに対して、負レンズである第2レンズL2の焦点距離f2と、補正レンズ群LG11の焦点距離f1との関係が条件式(3)を満たせば、歪曲収差が大きくなることを抑制できる。また、条件式(3)を満たせば、像面湾曲の増大を抑制できる。
さらに、本例は、補正レンズ群LG11の最も固定レンズ群LG12の側に位置する第2レンズL2の屈折率をnd1、第2レンズL2のアッベ数をνd1としたときに、次の条件式(4)、(5)を満足する。
1.45 < nd1 < 1.60 ・・・(4)
50 < νd1 < 85 ・・・(5
すなわち、本例では、図9に示すように、nd1=1.53116であり、νd1=56.0である。従って、本例は条件式(4)および条件式(5)を満足する。ここで、条件式(4)を満たせば、補正レンズ群LG11が光軸L方向に移動したときに像面湾曲が増大することを抑制できる。また、条件式(5)を満たせば、補正レンズ群LG11が光軸L方向に移動したときに、倍率色収差が増大することを抑制できる。
また、投写光学系3Bは、レンズ全系を保持する鏡筒30と、鏡筒30の内部の温度を検出する温度センサー32と、補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させる移動機構33と、温度センサー32からの出力に基づいて移動機構33を駆動する補正制御部34を備える。従って、温度センサー32からの出力に基づいて補正制御部34が移動機構33を駆動することにより、温度変化に起因する非点収差の劣化を自動で補正できる。
ここで、本例においても、予め、鏡筒30の内部の温度変化(基準温度からの上昇温度)と、温度変化に起因して発生する非点収差を補正できる補正レンズ群LG11の光軸L上の位置(補正位置)との関係を、実験、或いは、シミュレーションにより求めている。また、投写光学系3Bの補正制御部34は、基準温度からの上昇温度と補正位置との関係を、テーブル等の形態で記憶保持している。従って、補正制御部34は、基準温度からの上昇温度に基づいて記憶部を参照して移動機構33を駆動して、補正レンズ群LG11を補正位置に配置する。
また、本例では、投写光学系3Bにおいて、温度変化に起因する非点収差の劣化を容易に補正できるので、プロジェクター1の投写する光の光束が20klm以上であり、画像投写時に投写光学系3Bを構成する各レンズL1〜L18の温度が上昇しやすく、非点収差が劣化しやすい場合でも、投写画像の画質を維持できる。
なお、補正レンズ群LG11は、手動によって、基準位置から補正位置に移動させてもよい。
また、上記の例では、温度変化に起因して非点収差が劣化した場合に補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させているが、投写倍率を変化させるのに伴って非点収差が劣化した場合などに、補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させて、非点収差を補正してすることもできる。
(実施例3)
図12および図13は実施例3の投写光学系の構成図である。図12では、実施例3の投写光学系を構成する各レンズは焦点距離を最短とするワイド位置に配置されている。図13では実施例3の投写光学系を構成する各レンズは、焦点距離を最長とするテレ位置に配置されている。図14は実施例3の投写光学系のレンズデータを示す図である。図15は実施例3の投写光学系がワイド位置にある場合の収差図(球面収差、非点収差および歪曲収差)である。図16は実施例3の投写光学系がテレ位置にある場合の収差図(球面収差、非点収差および歪曲収差)である。図15および図16では、投写光学系が基準温度である場合(温度変化前)の収差図と、投写光学系が基準温度よりも20℃上昇した温度状態となった場合(温度変化後)の収差図と、補正レンズ群LG11を基準位置から補正位置に移動させて、温度変化に起因して劣化した非点収差を補正した場合(補正後)の収差図を示す。
図12および図13に示すように、本例の投写光学系3Cは、第1レンズL1〜第14レンズL14の14枚のレンズを備える。投写光学系3Cは、スクリーンSの側から液晶パネル18の側に向かって、順に、第1レンズ群LG1、第2レンズ群LG2、第3レンズ群LG3、第4レンズ群LG4、第5レンズ群LG5、第6レンズ群LG6、および、第7レンズ群LG7を備える。液晶パネル18は、投写光学系3Cのバックフォーカスの位置にある。第7レンズ群LG7と液晶パネル18との間には、クロスダイクロイックプリズム19が位置する。
第1レンズ群LG1と第7レンズ群LG7とは、ズーム機能により投写倍率を変化させる際に、光軸L方向に移動しないレンズ群である。すなわち、第1レンズ群LG1と第7レンズ群LG7とは、変倍に際して、動かないレンズ群である。第1レンズ群LG1は、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3の3枚のレンズからなる。第1レンズ群LG1は、光軸L方向への移動により温度変化に応じて発生する非点収差の劣化を補正する補正レンズ群LG11と、補正レンズ群LG11のスクリーンSとは反対の側で光軸L方向に移動することがない固定レンズ群LG12と、を備える。補正レンズ群LG11は第1レンズL1および第2レンズL2からなる。固定レンズ群LG12は第3レンズL3からなる。第1レンズL1はスクリーンSの側および液晶パネル18の側の両面が非球面(奇数次非球面)である。第2レンズは負レンズである。第7レンズ群LG7は第14レンズL14からなる。
第2レンズ群LG2、第3レンズ群LG3、第4レンズ群LG4、第5レンズ群LG5、および、第6レンズ群LG6は、ズーム機能により投写倍率を変化させる際に(すなわち、変倍に際して)、それぞれが光軸L方向に移動するレンズ群である。第2レンズ群LG2は、第4レンズL4、第5レンズL5および第6レンズL6の3枚のレンズからなる。第4レンズL4と第5レンズL5とは互いに接合された接合レンズである。第3レンズ群LG3は、第7レンズL7および第8レンズL8からなる。第7レンズL7と第8レンズL8とは互いに接合された接合レンズである。第4レンズ群LG4は、第9レンズL9からなる。第5レンズ群LG5は、第10レンズL10からなる。第10レンズL10はスクリーンSの側および液晶パネル18の側の両面が非球面である。第6レンズ群LG6は、第11レンズL11、第12レンズL12および第13レンズL13の3枚のレンズからなる。第11レンズL11と第12レンズL12とは互いに接合された接合レンズである。
投写光学系3Cのデータは以下のとおりである。本例では、基準波長λを587.56nmとする。
ズーム比:1.59
焦点距離:18.51mm(ワイド位置) / 29.39mm(テレ位置)
Fナンバー:1.50(ワイド位置) / 1.98(テレ位置)
バックフォーカス(in air):29.82mm
有効像円径:φ22.1mm
最大画角(半画角):31.0°(ワイド位置) / 20.5°(テレ位置)
また、投写光学系3Cを構成する各レンズL1〜L14のレンズデータは図14に示すとおりである。図14において、厚み・間隔の欄のOBJは、第1レンズL1からスクリーンSまでの軸上面間距離(m)を表す。厚み・間隔の欄の間隔Aは、温度変化に起因して発生した収差を補正した場合に変化する値である。間隔Aは補正レンズ群LG11と固定レンズ群LG12との間の軸上面間距離(mm)である。厚み・間隔の欄の間隔B、間隔C、間隔D、間隔E、間隔F、間隔Gは、各レンズL1〜L14がワイド位置に配置された場合と、各レンズL1〜L14がテレ位置に配置された場合とで変化する値である。間隔B、間隔C、間隔D、間隔E、間隔F、間隔Gは、隣り合うレンズ群の軸上面間距離(mm)である。ndは各レンズL1〜L14の屈折率である。νdは各レンズL1〜L14のアッベ数である。
なお、奇数次非球面とされている第1レンズL1の第1面および第2面の非球面係数は、以下のとおりである。
第1面 第2面
Y曲率半径 −52.187 −47.248
正規化半径 0 0
コーニック定数(K) 2.160 2.049
3次の非球面係数(C4) 5.850395E−06 1.008325E−07
4次の非球面係数(C5) 2.916604E−05 2.755164E−05
5次の非球面係数(C6) 2.784228E−08 1.157410E−08
6次の非球面係数(C7) −4.929371E−08 −4.701720E−08
7次の非球面係数(C8) −2.032565E−11 −5.322946E−11
8次の非球面係数(C9) 9.028234E−11 9.406703E−11
9次の非球面係数(C10) −3.206681E−15 −3.616954E−14
10次の非球面係数(C11) −1.140366E−13 −1.214511E−13
11次の非球面係数(C12) 2.354084E−17 −1.220552E−18
12次の非球面係数(C13) 9.714881E−17 1.285790E−16
13次の非球面係数(C14) 5.963628E−21 6.336274E−21
14次の非球面係数(C15) −8.972642E−21 −2.112134E−20
15次の非球面係数(C16) −3.153100E−23 −3.166408E−23
16次の非球面係数(C17) −2.951592E−23 −6.248856E−23
17次の非球面係数(C18) −6.727139E−26 −2.036477E−25
18次の非球面係数(C19) −3.241867E−26 −3.482153E−26
19次の非球面係数(C20) −8.604023E−30 −1.850030E−28
20次の非球面係数(C21) 6.808065E−29 1.604326E−28
また、非球面とされている第10レンズLG10の第17面および第18面の非球面係数は、以下のとおりである。
S17面 S18面
曲率半径 68.259 −24.277
コーニック定数(K) 15.848 −0.267
4次の係数(A) −1.28555E−05 3.05938E−06
6次の係数(B) −6.41978E−09 −2.48006E−08
8次の係数(C) −5.40488E−12 3.36996E−10
10次の係数(D) −2.92973E−12 −3.63281E−12
12次の係数(E) 1.52239E−14 7.31354E−15
14次の係数(F) −3.35705E−17 −8.46287E−17
16次の係数(G) 5.22138E−20 1.35021E−18
18次の係数(H) −2.87241E−21 −7.02776E−21
また、OBJ、間隔B、間隔C、間隔D、間隔E、間隔F、間隔Gの値は、以下のとおりである。
OBJ 1.63 (ワイド位置) 1.63 (テレ位置)
間隔B 9.652(ワイド位置) 3.111(テレ位置)
間隔C 19.842(ワイド位置) 1.200(テレ位置)
間隔D 3.475(ワイド位置) 18.980(テレ位置)
間隔E 6.198(ワイド位置) 2.458(テレ位置)
間隔F 1.514(ワイド位置) 5.168(テレ位置)
間隔G 4.967(ワイド位置) 14.649(テレ位置)
(補正レンズ群)
ここで、補正レンズ群LG11について、詳細に説明する。図15および図16の上段に位置する温度変化前の収差図と、中段に位置する温度変化後(温度が20℃上昇した状態)の収差図を比較すれば分かるように、画像投写時に投写光学系3Cの温度が予め想定された基準温度から20℃上昇した場合には、投写光学系3Cの光学特性が変化し、非点収差が劣化(変動)する。このような問題に対して、投写光学系3Cでは、ズーム機能により投写倍率を変化させる際に移動しない第1レンズ群LG1のなかに非点収差の劣化を補正するための補正レンズ群LG11を備え、この補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させて、非点収差の劣化を補正する。
補正レンズ群LG11は基準位置と補正位置との間で移動する。基準位置は、投写光学系3Cの温度が予め想定した基準温度の場合に補正レンズ群LG11が配置されている位置である。図15および図16の温度変化前の収差図および温度変化後の収差図は、補正レンズ群LG11が基準位置に配置されている状態におけるものである。補正位置は、投写光学系3Cの温度が基準温度から20℃上昇したときに、補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させて温度変化に起因する非点収差の劣化を補正した状態における補正レンズ群LG11の位置である。補正レンズ群LG11が補正位置に配置された状態では、図15および図16の下段に位置する補正後の収差図に示すように、非点収差の劣化(変動)は補正され、温度変化前の収差図に近い状態となる。
ここで、図14における厚み・間隔の欄の間隔Aは、補正レンズ群LG11が基準位置に配置されている場合と、補正レンズ群LG11が補正位置に配置されている場合とで変化する。間隔Aの値は、以下の通りである。
基準位置 補正位置
間隔A(ワイド位置) 13.81 13.73
間隔A(テレ位置) 13.81 13.76
本例では、温度が20℃上昇した時に劣化した非点収差を補正する補正レンズ群LG11の移動量(基準位置と補正位置との間の距離)をΔM20としたときに、ワイド位置において、ΔM20=−0.080mmであり、テレ位置において、ΔM20=−0.050mmである。ΔM20は、投写光学系3Cにおいて実際に補正レンズ群LG11を移動させた実験、或いは、シミュレーションにより求められる。なお、基準位置から補正位置に移動する際に補正レンズ群LG11がスクリーンSの側に移動する場合にはΔM20はプラスの値となる。基準位置から補正位置に移動する際に補正レンズ群LG11がスクリーンSとは反対側に移動する場合にはΔM20はマイナスの値となる。
また、本例では、補正レンズ群LG11を基準位置と補正位置との間で移動させたときのバックフォーカスの移動量をΔBFとしたときに、ワイド位置およびテレ位置のそれぞれにおいて、ΔBFは以下のとおりである。
ΔBF 0.0128(ワイド位置) / 0.0200(テレ位置)
なお、投写光学系3Cの温度として、各レンズL1〜L14を保持する鏡筒30の内部の温度を用いることができる。すなわち、温度センサー32により検出される温度を、投写光学系3Cの温度とすることができる。
ここで、補正レンズ群LG11の焦点距離をf1としたときに、f1=−47.071ある。固定レンズ群LG12において最もスクリーンSの側に位置する第3レンズL3の焦点距離をf2としたときに、f2=−41.071である。
次に、投写光学系3Cは、液晶パネル18が表示する画像の画素ピッチをP、レンズ全系のFナンバーをFNO、温度が20℃変動した時に変動した収差を補正する移動量(ΔM20)だけ補正レンズ群LG11を移動させたときのバックフォーカスの移動量をΔBFとしたときに、次の条件式(1)を満足する。条件式(1)は、温度が20℃変動した時に劣化した収差を補正する移動量(ワイド位置において、ΔM20=−0.080mmであり、テレ位置において、ΔM20=−0.050mmである。)だけ補正レンズ群LG11を移動させたときに、バックフォーカスの移動量ΔBFが、投写光学系3Cの焦点深度よりも小さいことを規定している。
|ΔBF20| < P×FNO×√2 ・・・(1)
具体的に、本例では、P=0.010mmである。ワイド位置において、FNO=1.50ある。テレ位置において、FNO=1.98である。また、ワイド位置において、ΔBF=0.0128である。テレ位置において、ΔBF=0.0200である。従って、投写光学系3Cは、以下のとおり、条件式(1)を満足する。
(ワイド位置) |0.0128| < 0.010×1.50×√2=0.021
(テレ位置) |0.0200| < 0.010×1.98×√2=0.028
また、投写光学系3Cは、レンズ全系の焦点距離をf、補正レンズ群LG11の焦点距離をf1としたときに、以下の条件式(2)を満足する。
1.5 < |f1/f| ・・・(2)
具体的に、本例では、ワイド位置においてf=18.51である。テレ位置においてf=29.39である。また、f1=−47.071である。よって、投写光学系3Cは、以下のとおり、条件式(2)を満足する。
(ワイド位置) 1.5 < |−47.071/18.51|=2.5
(テレ位置) 1.5 < |−47.071/29.39|=1.6
ここで、本例では、最もスクリーンSに近い位置にある補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させて光学特性の劣化を補正する。従って、非点収差の劣化を補正しやすい。また、本例は、補正レンズ群LG11の焦点距離f1とレンズ全系の焦点距離fとの関係が条件式(2)を満たすので、補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させることにより、温度変化に起因して劣化した非点収差を補正しやすい。
さらに、投写光学系3Cは条件式(1)を満たすので、温度が20℃変動した時に変動した収差を補正する移動量ΔM20だけ補正レンズ群LG11を移動させたときのバックフォーカスの移動量ΔBF20が、投写光学系3Cの焦点深度以下である。換言すれば、投写光学系3Cは条件式(1)を満たすので、補正レンズ群LG11を基準位置から補正位置に移動させたときのバックフォーカスの移動量ΔBF20は、投写画像の画質に影響がでることを回避できるほどに僅かなものとなる。換言すれば、補正レンズ群LG11を基準位置から補正位置に移動させたときのピントずれを回避できる。ここで、温度変化に起因して発生する投写光学系3Cのバックフォーカスの変動は設計によって抑制できる。従って、補正レンズ群LG11を移動させたときのバックフォーカスの移動量ΔBF20が投写光学系3Cの焦点深度より小さければ、補正レンズ群LG11を移動させたときに、バックフォーカスの位置を補正するための第2の補正レンズ群を備える必要がない。よって、温度変化に起因する非点収差の劣化を補正するために光軸L方向に移動させるレンズ群の数を少なくすることができる。
次に、本例は、固定レンズ群LG12の最もスクリーンSの側に位置する第3レンズL3は、負レンズであり、第3レンズL3の焦点距離をf2としたときに、次の条件式(3)を満足する。
0.1 < |f2/f1| < 0.9 ・・・(3)
具体的に、本例では、f1=−47.071であり、f2=−41.071である。よって、投写光学系3Cは、以下のとおり、本例は条件式(3)を満足する。
0.1 < |−41.071/−47.071|=0.88 < 0.9
ここで、条件式(3)の上限および下限を超える場合には、補正レンズ群LG11を移動させて温度変化に起因して発生した非点収差を補正したときに、歪曲収差が大きくなる場合がある。これに対して、負レンズである第3レンズL3の焦点距離f2と、補正レンズ群LG11の焦点距離f1との関係が条件式(3)を満たせば、歪曲収差が大きくなることを抑制できる。また、条件式(3)を満たせば、像面湾曲の増大を抑制できる。
さらに、本例は、補正レンズ群LG11のうち最も固定レンズ群LG12に近い第2レンズL2(補正レンズ群最終レンズ)の屈折率をnd1、第2レンズL2のアッベ数をνd1としたときに、次の条件式(4)、(5)を満足する。
1.45 < nd1 < 1.60 ・・・(4)
50 < νd1 < 85 ・・・(5
すなわち、本例では、図14に示すように、nd1=1.49700であり、νd1=81.5である。従って、本例は条件式(4)および条件式(5)を満足する。ここで、条件式(4)を満たせば、補正レンズ群LG11が光軸L方向に移動したときに像面湾曲が増大することを抑制できる。また、条件式(5)を満たせば、補正レンズ群LG11が光軸L方向に移動したときに、倍率色収差が増大することを抑制できる。
また、投写光学系3Cは、レンズ全系を保持する鏡筒30と、鏡筒30の内部の温度を検出する温度センサー32と、補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させる移動機構33と、温度センサー32からの出力に基づいて移動機構33を駆動する補正制御部34を備える。従って、温度センサー32からの出力に基づいて補正制御部34が移動機構33を駆動することにより、温度変化に起因する非点収差の劣化を自動で補正できる。
ここで、本例では、予め、鏡筒30の内部の温度変化(基準温度からの上昇温度)と、温度変化に起因して発生する非点収差を補正できる補正レンズ群LG11の光軸L上の位置(補正位置)との関係を、実験、或いは、シミュレーションにより求めている。また、投写光学系3Cの補正制御部34は、基準温度からの上昇温度と補正位置との関係を、テーブル等の形態で記憶保持している。従って、補正制御部34は、基準温度からの上昇温度に基づいて記憶部を参照して移動機構33を駆動して、補正レンズ群LG11を補正位置に配置する。
また、本例では、投写光学系3Cにおいて、温度変化に起因する非点収差の劣化を容易に補正できるので、プロジェクター1の投写する光の光束が20klm以上であり、画像投写時に投写光学系3Cを構成する各レンズL1〜L14の温度が上昇しやすく、非点収差が劣化しやすい場合でも、投写画像の画質を維持できる。
なお、補正レンズ群LG11は、手動によって、基準位置から補正位置に移動させてもよい。
また、上記の例では、温度変化に起因して非点収差が劣化した場合に補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させているが、投写倍率を変化させるのに伴って非点収差が劣化した場合などに、補正レンズ群LG11を光軸L方向に移動させて、非点収差を補正してすることもできる。
1…プロジェクター(投写型画像表示装置)、2…画像光生成光学系、3・3A・3B・3C…投写光学系、4…制御部、6…画像処理部、7…表示駆動部、10…光源、11…第1インテグレーターレンズ、12…第2インテグレーターレンズ、13…偏光変換素子、14…重畳レンズ、15…ダイクロイックミラー、16…反射ミラー、17R・17G・17B…フィールドレンズ、18・18R・18G・18B…液晶パネル、19…クロスダイクロイックプリズム、21…ダイクロイックミラー、22…リレーレンズ、23…反射ミラー、24…リレーレンズ、25…反射ミラー、30…鏡筒、31…収差補正機構、32…温度センサー、33…移動機構、34…補正制御部、L…光軸、L1〜L16…レンズ、LG1〜LG7…レンズ群、LG11…補正レンズ群、LG12…固定レンズ群、S…スクリーン。

Claims (6)

  1. 画像表示素子に表示された所定の画素ピッチの画像をスクリーンに投写するとともに、投写倍率を変化させるズーム機能を備える投写光学系において、
    最も前記スクリーンの側に位置し、前記ズーム機能により投写倍率を変化させる際に光軸方向に移動しない第1レンズ群を有し、
    前記第1レンズ群は、前記光軸方向への移動により温度変化に応じて発生する収差の変動を補正する補正レンズ群と、前記補正レンズ群の前記スクリーンとは反対の側で前記光軸方向に移動することがない固定レンズ群と、を備え、
    前記補正レンズ群は、前記スクリーンの側から1枚または複数枚のレンズからなり、
    前記画像の画素ピッチをP、レンズ全系のFナンバーをFNO、レンズ全系の焦点距離をf、前記補正レンズ群の焦点距離をf1、温度が20℃変動した時に変動した収差を補正する移動量だけ前記補正レンズ群を移動させたときのバックフォーカスの移動量をΔBFとしたときに、次の条件式(1)、(2)を満足することを特徴とする投写光学系。
    |ΔBF20| < P×FNO×√2 ・・・(1)
    1.5 < |f1/f| ・・・(2)
  2. 前記固定レンズ群の最も前記スクリーンの側に位置する固定レンズ群第1レンズは、負レンズであり、
    前記固定レンズ群第1レンズの焦点距離をf2としたときに、次の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1に記載の投写光学系。
    0.1 < |f2/f1| < 0.9 ・・・(3)
  3. 前記補正レンズ群が1枚のレンズからなる場合には、当該レンズの屈折率をnd1、アッベ数をνd1としたときに、次の条件式(4)、(5)を満足し、
    前記補正レンズ群が複数枚のレンズからなる場合には、前記補正レンズ群のなかで最も前記固定レンズ群の側に位置する補正レンズ群最終レンズの屈折率をnd1、アッベ数をνd1としたときに、次の条件式(4)、(5)を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の投写光学系。
    1.45 < nd1 < 1.60 ・・・(4)
    50 < νd1 < 85 ・・・(5)
  4. レンズ全系を保持する鏡筒と、
    前記鏡筒の内部の温度を検出する温度センサーと、
    前記補正レンズ群を前記光軸方向に移動させる移動機構と、
    前記温度センサーからの出力に基づいて前記移動機構を駆動する補正制御部と、
    を備えることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の投写光学系。
  5. 請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の投写光学系と、
    前記所定の画素ピッチを備え、前記投写光学系のバックフォーカスの位置に配置された画像表示素子と、を有することを特徴とする投写型画像表示装置。
  6. 投写する光の光束が20klm以上であることを特徴とする請求項5に記載の投写型画像表示装置。
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