JP2019044873A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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隼人 谷口
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Abstract

【課題】外輪の重量の増加を抑制しつつ、転走面の弾性変形を低減することができる車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】車体取り付けフランジ2eを一体に有し、複列の外側転走面2c・2dが一体に形成された外輪2と、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ3bを一体に有し、軸方向に延びる小径段部3aが形成されたハブ輪3、およびこのハブ輪3の小径段部3aに圧入された少なくとも一つの内輪4からなり、複列の外側転走面2c・2dに対向する複列の内側転走面3c・4aが形成された内方部材と、それぞれの転走面間に転動自在に収容された複列のボール列5a・5bと、を備えた車輪用軸受装置13において、前記外方部材を形成している材料よりも剛性が高い材料からなる円環状部材8が、車輪取り付けフランジ3b側の外方部材開口部の外周に圧入されている。【選択図】図3

Description

本発明は車輪用軸受装置に関する。詳しくは外方部材の転動疲労寿命を向上させた車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置は、車輪に接続されるハブ輪が転動体を介して外輪に回転自在に支持されている。車輪用軸受装置は、外輪が車両のナックルに固定され、外輪によってハブ輪を回転自在に支持している。車輪用軸受装置には、所望の軸受剛性を有し、燃費向上の観点から回転トルクが小さい複列アンギュラ玉軸受が多用されている。車輪用軸受装置の外輪には、ハブ輪の車輪取り付けフランジ側(アウター側)の開口部近傍と外輪の取り付けフランジ側(インナー側)の開口部近傍とに転動体列の転走面が形成されている。外輪は、ハブ輪を支持している転動体を介して車輪からの荷重を転走面で支持している。
このような車輪用軸受装置において、車両が旋回した場合、旋回方向の反対側の車輪に加わるラジアル荷重やアキシアル荷重が増大する。このため、車輪用軸受装置は、車輪からの荷重を支持している外輪が弾性変形し、転走面の真円度が低下し、回転トルクの上昇や転動疲労寿命の悪化が生じる。従って、車輪用軸受装置には、外輪のアウター側の剛性を高めて弾性変形を抑制し、回転トルクの上昇や転動疲労寿命の悪化を防止しているものがある。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特開2008−155837号公報
特許文献1に記載の車輪用軸受装置は、複列の転動体列のうちアウター側の転動体列のピッチ円直径をインナー側の転動体列のピッチ円直径よりも大きくすることでアウター側の転動体列の転動体の数が増加し、転動体列の剛性が高められている。さらに、車輪用軸受装置は、アウター側の転動体列のピッチ円直径に合わせて外輪の外径を大きくすることで外輪自体の剛性も向上し、転走面の弾性変形が抑制されている。しかし、車輪用軸受装置は、外輪の外径を大きくすることによって重量が増加し、車両の燃費を悪くする可能性があった。一方、車輪用軸受装置は、外輪の重量増加を抑制するために肉厚を薄くすると転走面の弾性変形が増加し、転動疲労寿命が低下する可能性があった。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、外輪の重量の増加を抑制しつつ、転走面の弾性変形を低減することができる車輪用軸受装置の提供を目的とする。
即ち、車輪用軸受装置においては、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、軸方向一側に軸方向に延びる小径段部が形成され、軸方向他側に車輪取付フランジが形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪を有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、前記内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置において、前記外方部材を形成している材料よりも剛性が高い材料からなる円環状部材が、前記車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周に圧入されているものである。
車輪用軸受装置においては、前記円環状部材は、その少なくとも一部が前記外側転走面の少なくとも一部と径方向に重複するように配置されているものである。
車輪用軸受装置においては、前記円環状部材は、前記外側転走面のうち前記外方部材の外周面に最も近接している部分と径方向に重複するように配置されているものである。
車輪用軸受装置においては、前記円環状部材は、外周面と軸方向両側面とが保護部材で覆われているものである。
車輪用軸受装置においては、前記円環状部材は、前記車輪取付フランジに設けられているハブボルトの数の整数倍の数の切欠き部が、外周面に等ピッチで形成されているものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、外方部材を形成している材料よりも剛性が高い材料からなる円環状部材が圧入されているので、外方部材と同じ材料で形成した円環状部材が圧入された車輪用軸受装置と比べて、円環状部材の径方向の肉厚を薄くしたり軸方向の幅を狭くしたりしても車輪用軸受装置の剛性を同等以上にすることができる。これにより、外輪の重量の増加を抑制しつつ、転走面の弾性変形を低減することができる。
本発明によれば、車輪からの荷重が加わる外側転走面に径方向で重なるように円環状部材が圧入されているので、車輪からの荷重が直接的に円環状部材に受け止められる。これにより、外輪の重量の増加を抑制しつつ、転走面の弾性変形を低減することができる。
本発明によれば、外側転走面において剛性が最も低い部分に径方向で重なるように円環状部材が圧入されているので、外側転走面部分において最も変形し易い部分の剛性が高くなる。これにより、外輪の重量の増加を抑制しつつ、転走面の弾性変形を低減することができる。
本発明によれば、円環状部材の表面が保護部材によって覆われているので、障害物等の衝突による破損損傷を考慮した形状にする必要がない。これにより、外輪の重量の増加を抑制しつつ、転走面の弾性変形を低減することができる。
本発明によれば、円環状部材の最大外径部分が軸方向からみてハブボルトの一部と重複していても切欠き部を用いてハブボルトが設けられるので、円環状部材の径方向厚さが制限されない。これにより、転走面の弾性変形を低減することができる。
車輪用軸受装置の第一実施形態における全体構成を示す斜視図。 車輪用軸受装置の第一実施形態における全体構成を示す断面図。 車輪用軸受装置の第一実施形態における外輪と円環状部材との形状を示す拡大部分断面図。 (a)図2におけるA矢視断面図、(b)円環状部材の拡大部分断面図。 車輪用軸受装置の第二実施形態における外輪と円環状部材との形状を示す拡大部分断面図。 車輪用軸受装置の第三実施形態における外輪と円環状部材との形状を示す拡大部分断面図。
以下に、図1と図2を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第一実施形態である車輪用軸受装置1について説明する。
図1と図2に示すように、車輪用軸受装置1は、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外方部材である外輪2、内方部材であるハブ輪3、内輪4、転動列である二列のインナー側ボール列5a、アウター側ボール列5b、シール部材であるインナー側シール部材6、シール部材であるアウター側シール部材7、円環状部材8(薄墨部分)を具備する。インナー側シール部材6およびアウター側シール部材7は、車輪用軸受シールである。本明細書において、インナー側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、アウター側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。
図2に示すように、外方部材である外輪2は、ハブ輪3と内輪4を支持するものである。外輪2は、略円筒状に形成され、例えばS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。外輪2において、車載時に車体側に配置される外輪2のインナー側端部には、インナー側シール部材6が嵌合可能なインナー側開口部2aが形成されている。外輪2において、車載時に車輪側に配置されるアウター側端部には、アウター側シール部材7が嵌合可能なアウター側開口部2bが形成されている。
外輪2の内周面には、環状に形成されているインナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dとが周方向に互いに平行になるように形成されている。アウター側の外側転走面2dは、インナー側の外側転走面2cよりもピッチ円直径が大きくなるように形成されている。なお、インナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dとのピッチ円直径が同等であってもよい。インナー側の外側転走面2cとアウター側の外側転走面2dとには、例えば高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲とする硬化層が形成されている。外輪2の外周面には、図示しない懸架装置のナックルに取り付けるための車体取り付けフランジ2eがインナー側開口部2aの近傍に一体に形成されている。また、外輪2のアウター側開口部2bの外周面には、円環状部材8が圧入される円環嵌合部2fが形成されている。円環嵌合部2fは、外輪2のアウター側端からインナー側に向かって幅waの範囲に形成されている。つまり、円環嵌合部2fは、外輪2において、アウター側開口部2bの形成により肉厚がアウター側の外側転走面2dよりも薄く形成されている部分に径方向で重複するように設けられている。
内方部材を構成するハブ輪3は、図示しない車両の車輪を回転自在に支持するものである。ハブ輪3は、有底円筒状に形成され、例えばS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。ハブ輪3において、車載時に車体側に配置されるインナー側端部には、外周面に縮径された小径段部3aが形成されている。ハブ輪3において、車載時に車輪側に配置されるアウター側端部には、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ3bが一体的に形成されている。車輪取り付けフランジ3bには、円周等配位置にハブボルト3eが設けられている。また、ハブ輪3の外周面には、アウター側に内側転走面3cが形成されている。内側転走面3cは、外輪2のアウター側の外側転走面2dに対向するように配置されている。
ハブ輪3は、インナー側の小径段部3aからアウター側の内側転走面3cまでを、例えば高周波焼入れにより表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、ハブ輪3は、車輪取り付けフランジ3bに付加される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、ハブ輪3の耐久性が向上する。ハブ輪3には、小径段部3aに内輪4が設けられる。ハブ輪3の内周は、トルク伝達用のセレーション(またはスプライン)が形成されている。
内輪4は、転動列であって車載時に車体側に配置されるインナー側ボール列5aと車載時に車輪側に配置されるアウター側ボール列5bとに予圧を与えるものである。内輪4は、円筒状に形成されている。内輪4は、例えば、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼から構成され、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。内輪4の外周面には、周方向に環状の内側転走面4aが形成されている。内輪4は、ハブ輪3に圧入され、所定の予圧が付与された状態で、ハブ輪3のインナー側端部にかしめ加工により固定されている。つまり、ハブ輪3のインナー側には、内輪4によって内側転走面4aが構成されている。ハブ輪3は、インナー側端部の内輪4の内側転走面4aが外輪2のインナー側の外側転走面2cに対向し、アウター側の内側転走面3cが外輪2のアウター側の外側転走面2dに対向するように配置されている。
転動列であるインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、ハブ輪3を回転自在に支持するものである。インナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、転動体である複数のボールが保持器によって環状に保持されている。インナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、例えば、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼から構成され、ズブ焼入れにより芯部まで62〜67HRCの範囲で硬化処理されている。インナー側ボール列5aは、内輪4の内側転走面4aと、外輪2のインナー側の外側転走面2cとの間に転動自在に挟まれている。アウター側ボール列5bは、ハブ輪3の内側転走面3cと、外輪2のアウター側の外側転走面2dとの間に転動自在に挟まれている。つまり、インナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとは、外輪2に対してハブ輪3と内輪4とを回転自在に支持している。
車輪用軸受装置1は、外輪2とハブ輪3と内輪4とインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとから複列アンギュラ玉軸受が構成されている。なお、本実施形態において、車輪用軸受装置1には、複列アンギュラ玉軸受が構成されているがこれに限定されるものではなく、複列円錐ころ軸受等で構成されていてもよい。
インナー側シール部材6は、外輪2と内輪4との隙間を塞ぐものである。インナー側シール部材6は、略円筒状のシール板と略円筒状のスリンガとを具備する。インナー側シール部材6は、シール板に、例えばNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなる複数のシールリップが加硫接着されている。インナー側シール部材6は、シール板が外輪2のインナー側開口部2aに嵌合され、スリンガの円筒部分が内輪4に嵌合され、パックシールを構成している。スリンガは、その鍔部分が外側(インナー側)に向くようにして内輪4に固定されている。インナー側シール部材6は、シール板のシールリップが油膜を介してスリンガと接触または近接することでスリンガに対して摺動可能に構成されている。これにより、インナー側シール部材6は、外輪2のインナー側開口部2aからの潤滑グリースの漏れ、および外部からの雨水や粉塵等の異物の入り込みを防止する。なお、インナー側シール部材6は、様々な仕様が存在しており、本実施形態の仕様に限定するものではない。
アウター側シール部材7は、外輪2とハブ輪3との隙間を塞ぐものである。アウター側シール部材7は、略円筒状に形成された芯金に、例えばNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなる複数のシールリップが加硫接着されている。アウター側シール部材7は、外輪2のアウター側開口部2bに円筒部分が嵌合され、ハブ輪3のシール摺動面3dに複数のシールリップが油膜を介して接触または近接することでハブ輪3に対して摺動可能に構成されている。これにより、アウター側シール部材7は、外輪2のアウター側開口部2bからの潤滑グリースの漏れ、および外部からの雨水や粉塵等の異物の入り込みを防止する。なお、アウター側シール部材7は、様々な仕様が存在しており、本実施形態の仕様に限定するものではない。
このように構成される車輪用軸受装置1には、ハブ輪3と内輪4とがインナー側ボール列5aとアウター側ボール列5bとを介して外輪2に回転自在に支持されている。また、車輪用軸受装置1は、外輪2のインナー側開口部2aと内輪4との隙間をインナー側シール部材6で塞がれ、外輪2のアウター側開口部2bとハブ輪3との隙間をアウター側シール部材7で塞がれている。これにより、車輪用軸受装置1は、内部からの潤滑グリースの漏れおよび外部からの雨水や粉塵等の異物の入り込みを防止しつつ、外輪2に支持されているハブ輪3と内輪4とが回転する。
次に、図3と図4とを用いて、円環状部材8について詳細に説明する。本実施形態において、外輪2は、炭素0.53wt%を含む高炭素鋼であるS53Cで構成されているものとする。
図3に示すように、円環状部材8は、外輪2の外周面を圧入によって締め付けて外輪2の剛性を向上させるものである。円環状部材8は、外輪2を形成している材料よりも剛性が高い材料から構成されている。材料における剛性は、縦弾性係数(ヤング率)が一つの指標として用いられる。円環状部材8は、外輪2を形成している材料よりも縦弾性係数が1.2倍以上であることが望ましい。外輪2を構成している密度7.87g/cm、縦弾性係数206GPaのS53Cに対して、円環状部材8は、例えば、密度3.85g/cm、縦弾性係数が308GPaのアルミナセラミックスや、密度1.80g/cm、縦弾性係数が280GPaのカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)等から構成されている。アルミナセラミックスやカーボン繊維強化プラスチックは、S53Cよりも縦弾性係数が大きいためS53Cよりも剛性が高い材料である。本実施形態において、円環状部材8は、アルミナセラミックスから構成されているものとする。
円環状部材8は、外輪2の円環嵌合部2fの外径D1よりも小さい内径d1で円環嵌合部2fに圧入可能な精度を有するように形成されている。円環状部材8は、径方向の厚さである高さh1、軸方向の厚さである幅w1からなる矩形状の断面を有する部材が環状に形成されている。円環状部材8の幅w1は、外輪2の円環嵌合部2fの幅waよりも小さくなるように構成されている。さらに、円環状部材8の幅w1は、外輪2のアウター側端から外側転走面2dのアウター側の縁までの軸方向の長さである転走面端長さwbよりも小さくなるように構成されている。円環状部材8は、高さh1が増大するほど径方向の曲げに対する断面係数が増大する。すなわち、円環状部材8は、高さh1が増大するつれて径方向の変形に対する剛性が向上する。
図4(a)に示すように、円環状部材8の外周面には、ハブ輪3の車輪取り付けフランジ3bに設けられてるハブボルト3eのヘッド外径よりも大きい内径の円弧状に形成されている切欠き部8aが形成されている。切欠き部8aは、ハブボルト3eの数の整数倍の数だけ円環状部材8に形成されている。また、切欠き部8aは、円周上に等ピッチで形成されている。つまり、円環状部材8は、外輪2に圧入された状態において、一の切欠き部8aと一のハブボルト3eとを軸方向で重複させることで、全てのハブボルト3eと切欠き部8aとが軸方向で重複する。これにより、車輪用軸受装置1は、円環状部材8が軸方向でハブボルト3eと重複する高さh1であってもハブボルト3eを着脱することができる。なお、切欠き部8aの形状は円弧状に限定されるものではなく、ハブボルト3eのヘッドと干渉しない形状であればよい。
図4(b)に示すように、円環状部材8は、飛び石等の外部からの衝撃によるアルミナセラミックスの欠損や割れを防止するため表面に保護部材8bが設けられている。円環状部材8は、外周面と軸方向の両側面とに保護部材8bである樹脂材料によって覆われている。つまり、円環状部材8は、衝撃が加わる可能性がある外部に露出している面に保護部材8bとして樹脂材料による被膜が構成されている。樹脂材料は、例えば、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、HNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、ACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、シリコンゴム等の合成ゴムや、PVC(ポリ塩化ビニル)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)等のプラスチック等から構成されている。これにより、円環状部材8は、飛び石等の衝突による外部からの衝撃を表面の保護部材8bが受け止めるので、脆性が高いアルミナセラミックスやカーボン繊維強化プラスチック等の材料でも欠損や割れを防止することができる。
図3に示すように、円環状部材8は、外側転走面2dと径方向で重複する区間を有さない状態で外輪2の円環嵌合部2fに圧入されている。円環状部材8は、その内径d1よりも大きい外径D1に形成されている円環嵌合部2fによって押し広げられ、弾性変形している。同時に、円環状部材8は、弾性変形よる周長の伸び量、断面形状および縦弾性係数から定まる力でアウター側開口部2bを締め付けている(黒塗矢印参照)。円環状部材8の内周面と円環嵌合部2fの外周面との間には、円環状部材8の締め付け力に応じた摩擦力が発生している。これにより、円環状部材8は、ハブ輪3からの外力によって弾性変形しやすいアウター側開口部2bの弾性変形時における円環嵌合部2fとのずれが抑制され、外輪2と一体的に弾性変形する状態になる。
S53Cよりも剛性が高いアルミナセラミックスからなる円環状部材8は、外輪2と一体的に構成されることで、外側転走面2dの近傍であって外側転走面2dよりも肉厚が薄いアウター側開口部2bの剛性を高める作用を有する。つまり、円環状部材8は、外輪2と同じS53Cで構成した場合よりも高さh1や幅w1を小さくしても同等の剛性を備えるように構成することができる。また、円環状部材8は、外輪2よりも密度が低いため、円環状部材8を外輪2に設けたことによる車輪用軸受装置1の重量の増加量を抑制する作用を有する。つまり、円環状部材8は、外輪2と同じS53Cで構成した場合に比べて重量が軽くなる。従って、円環状部材8は、外輪2の外周面に肉盛りを形成してアウター側開口部2bの肉厚を増大させる場合や、外輪2と同じS53Cで形成した円環状部材を外輪2に圧入する場合に比べて、外輪2のアウター側開口部2bの剛性を高めつつ、重量の増加量を小さくすることができる。
このように構成される車輪用軸受装置1は、車体取り付けフランジ2eを介して図示しない車両のナックルに固定されているので、外輪2のインナー側開口部2aからインナー側の外側転走面2cを含む範囲の剛性が確保されている。一方、外輪2には、円環状部材8が嵌合されているので、外輪2のアウター側開口部2b近傍の剛性が確保されている。車輪用軸受装置1は、ラジアル荷重やアキシアル荷重が増加しても、円環状部材8の締め付けによってアウター側開口部2b近傍の外側転走面2dを含む範囲の弾性変形が抑制される。これにより、車輪用軸受装置1は、円環状部材8をアウター側開口部2bに設けることで、全体重量の増加量を抑制されつつアウター側開口部2bの弾性変形による外側転走面2dの転走面真円度の劣化が抑制され、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
次に、図5を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第二実施形態である車輪用軸受装置9について説明する。車輪用軸受装置9は、円環状部材10を具備している。なお、以下の実施形態に係る車輪用軸受装置9は、図1から図4に示す車輪用軸受装置1において、車輪用軸受装置1に替えて適用されるものとして、その説明で用いた名称、図番、符号を用いることで、同じものを指すこととし、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
図5に示すように、外輪2は、略円筒状に形成され、炭素0.53wt%を含むS53Cで構成されている。外輪2のアウター側端から外側転走面2dのアウター側の縁までの軸方向の長さである転走面端長さwbは、外輪2のアウター側端から外側転走面2dのうち最もアウター側の外側転走面2dまでの幅である。
外輪2のアウター側開口部2bの外周面には、円環状部材10が圧入される円環嵌合部2gが形成されている。円環嵌合部2gは、外輪2のアウター側側端から、転走面端長さwbよりも大きい幅wcの範囲に形成されている(wb<wc)。つまり、円環嵌合部2gは、外輪2の外周面に、径方向で外側転走面2dと対向する部分の少なくとも一部を含むように形成されている。
円環状部材10は、外輪2の外周面を圧入によって締め付けて外輪2の剛性を向上させるものである。円環状部材10は、S53Cよりも剛性が高いアルミナセラミックスから構成されている。円環状部材10は、外輪2のアウター側端から転走面端長さwbよりも大きく円環嵌合部2gの幅wcよりも小さい軸方向幅w2の矩形状の断面を有する部材が環状に形成されている。円環状部材10は、外側転走面2dと径方向で重複する区間R1を有するように圧入されている。つまり、円環状部材10は、円環嵌合部2gにおいて、径方向で外側転走面2dと対向する部分の少なくとも一部を含むように配置されている。
円環状部材10は、区間R1を含むアウター側開口部2bを締め付けている(黒塗矢印参照)。これにより、車輪用軸受装置9は、弾性変形し易い外側転走面2d近傍の剛性が高くなる。従って、車輪用軸受装置9は、ハブ輪3からのラジアル荷重やアキシアル荷重を受ける外側転走面2dの弾性変形による外側転走面2dの転走面真円度の劣化が抑制され、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
次に、図6を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の第三実施形態である車輪用軸受装置11について説明する。車輪用軸受装置11は、円環状部材12を具備している。
図6に示すように、外輪2は、略円筒状に形成され、炭素0.53wt%を含むS53Cで構成されている。ここで、外輪2のアウター側端から外側転走面2dの最大内径d2の位置までの軸方向の長さを転走面中心長さwdとする。転走面中心長さwdは、外輪2のアウター側端から外側転走面2dのうち外輪2の外周面側に最も近接している外側転走面2dの底までの軸方向の幅である。
外輪2のアウター側開口部2bの外周面には、円環状部材12が圧入される円環嵌合部2hが形成されている。円環嵌合部2hは、外輪2のアウター側側端から、転走面中心長さwdよりも大きい幅weの範囲に形成されている(wd<we)。つまり、円環嵌合部2hは、外輪2の外周面に、径方向で外側転走面2dの底部である最大内径d2の位置と対向する部分を含むように形成されている。
円環状部材12は、外輪2の外周面を圧入によって締め付けて外輪2の剛性を向上させるものである。円環状部材12は、S53Cよりも剛性が高いアルミナセラミックスから構成されている。円環状部材12は、外輪2のアウター側端から転走面中心長さwdよりも大きく円環嵌合部2hの幅weよりも小さい幅w3の矩形状の断面を有する部材が環状に形成されている。円環状部材12は、外側転走面2dのうち外輪2の外周面側に最も近接している部分である底部を含んで径方向で重複する区間R2を有するように圧入されている。つまり、円環状部材12は、円環嵌合部2hにおいて、径方向で外側転走面2dのうち外輪2の外周面側に最も近接している部分を覆うように配置されている。円環状部材12は、区間R2を含むアウター側開口部2bを締め付けている(黒塗矢印参照)。これにより、車輪用軸受装置11は、弾性変形し易い外側転走面2dの底の近傍の剛性が向上する。従って、車輪用軸受装置11は、ハブ輪3からのラジアル荷重やアキシアル荷重を受ける外側転走面2dの弾性変形による外側転走面2dの転走面真円度の劣化が抑制され、転動疲労寿命の低下を防ぐことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。また、本実施形態において、車輪用軸受装置1・9・11・13は、ハブ輪3の外周にインナー側ボール列5aの内側転走面3cが直接形成されている第3世代構造の車輪用軸受装置として構成されているがこれに限定するものではなく、ハブ輪3に一対の内輪4が圧入固定された第2世代構造、または外輪2と一対の内輪4から構成されている第1世代構造であってもよい。また、車輪用軸受装置1・9・11・13は、駆動輪用の車輪用軸受装置として説明したが従動輪用の車輪用軸受装置でもよい。
1・9・11・13 車輪用軸受装置
2 外輪(外方部材)
2b アウター側開口部(外方部材開口部)
3 ハブ輪(内方部材)
3e ハブボルト
4 内輪(内方部材)
5a インナー側ボール列(転動体)
5b アウター側ボール列(転動体)
8・10・12・14 円環状部材

Claims (5)

  1. 内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    軸方向一側に軸方向に延びる小径段部が形成され、軸方向他側に車輪取付フランジが形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪を有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    前記内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置において、
    前記外方部材を形成している材料よりも剛性が高い材料からなる円環状部材が、前記車輪取り付けフランジ側の外方部材開口部の外周に圧入されている車輪用軸受装置。
  2. 前記円環状部材は、その少なくとも一部が前記外側転走面の少なくとも一部と径方向に重複するように配置されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記円環状部材は、前記外側転走面のうち前記外方部材の外周面に最も近接している部分と径方向に重複するように配置されている請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記円環状部材は、外周面と軸方向両側面とが保護部材で覆われている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記円環状部材は、前記車輪取付フランジに設けられているハブボルトの数の整数倍の数の切欠き部が、外周面に等ピッチで形成されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車輪用軸受装置。
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