JP2018141470A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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桜井 良
Makoto Sakurai
良 桜井
泰孝 楠見
Yasutaka Kusumi
泰孝 楠見
禎之 久保田
Yoshiyuki Kubota
禎之 久保田
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Abstract

【課題】環状空間に封入されているグリースの漏出を防止する機能を向上させた車輪用軸受装置の提供を目的とする。ひいては、転動体の損傷を防いで軸受寿命の向上を実現させた車輪用軸受装置の提供を目的とする。【解決手段】車輪用軸受装置1において、シール部材(インナー側シール部材5)がスリンガ51とシールリング52とを含む構成とされ、更にシールリング52が芯金53とシールゴム54とを含む構成とされ、シールゴム54のグリースリップ54aと、スリンガ51の嵌合部51aとの間に植毛繊維体13を設けた、ものである。【選択図】図5

Description

本発明は、車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置は、内周に外側転走面が形成された外方部材と、外周に内側転走面が形成された内方部材と、外方部材と内方部材のそれぞれの転走面間に介装される複数の転動体と、で転がり軸受構造を構成している。
ところで、このような車輪用軸受装置においては、外方部材と内方部材の間に形成された環状空間に封入されているグリースの漏出を防止するために、環状空間の端部にシール部材を装着する技術が用いられている(例えば特許文献1を参照)。
特開2012−067821号公報
近年、車輪用軸受装置において、環状空間に封入されているグリースの漏出を防止する機能を向上させることにより、転動体の損傷を防いで軸受寿命を延ばすことが求められている。本発明は、グリース漏出の防止性能の向上を実現することで、軸受寿命の向上を実現させた車輪用軸受装置の提供を目的とする。
第一の発明は、
内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪を有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの転走面間に介装される複列の転動体と、
前記外方部材と前記内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシール部材と、を備えた車輪用軸受装置において、
前記シール部材は、それぞれ環状に形成されるスリンガ及びシールリングで構成され、
前記スリンガは、前記内方部材に外嵌される円筒状の嵌合部と、該嵌合部における軸受外側端部から径方向外側に延びる円板状の側板部と、を有し、
前記シールリングは、前記外方部材に内嵌される芯金と、該芯金に一体的に接合されるシールゴムと、を有し、
前記シールゴムは、前記スリンガの前記嵌合部、又は、前記側板部に摺接する少なくとも一個のサイドリップと、前記サイドリップよりも軸受内側に形成されるとともに軸受内側に傾斜して延びるグリースリップと、を有し、
前記スリンガの前記嵌合部と、前記グリースリップと、の間に植毛繊維体を設けたものである。
第二の発明は、第一の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記植毛繊維体は、前記スリンガの前記嵌合部と、前記グリースリップの内周端部と、の一方又は双方に固定されるものである。
第三の発明は、第一又は第二の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記植毛繊維体が静電吹き付け加工によって植毛されるものである。
第四の発明は、第一から第三の発明の何れかに係る車輪用軸受装置において、
前記側板部の外周端部と、前記シールゴムのうち前記芯金を被覆する部分と、の間に第二の植毛繊維体を設けたものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
本発明に係る車輪用軸受装置は、スリンガの嵌合部と、グリースリップと、の間に植毛繊維体を設けたものである。かかる車輪用軸受装置によれば、植毛繊維体にグリースを保持することによって、外方部材と内方部材の間に形成された環状空間からのグリース漏出の防止性能を向上させることができる。従って、転動体の損傷を防いで軸受寿命の向上を実現できる。
本発明に係る車輪用軸受装置において、植毛繊維体は、スリンガの嵌合部と、グリースリップの内周端部と、の一方又は双方に固定される。かかる車輪用軸受装置によれば、シールリングにおけるシールゴムの形状等に応じて、植毛繊維体を適切に配設することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置において、植毛繊維体は、例えば、静電吹き付け加工によって植毛される。かかる車輪用軸受装置によれば、グリースの保持力及び保持量が安定する。
本発明に係る車輪用軸受装置において、側板部の外周端部と、シールゴムのうち芯金を被覆する部分と、の間に第二の植毛繊維体が設けられている。かかる車輪用軸受装置によれば、環状空間からのグリース漏出の防止性能がより向上する。
第一実施形態に係る車輪用軸受装置の全体構成を示す斜視図。 車輪用軸受装置の全体構成を示す断面図。 車輪用軸受装置の一部構造を示す拡大断面図。 車輪用軸受装置の一部構造を示す拡大断面図。 インナー側シール部材の構造を示す拡大断面図。 第二実施形態に係る車輪用軸受装置におけるインナー側シール部材の構造を示す拡大断面図。 第三実施形態に係る車輪用軸受装置におけるインナー側シール部材の構造を示す拡大断面図。
以下に、図1から図5を用いて、本発明の第一実施形態に係る車輪用軸受装置1について説明する。図1は、車輪用軸受装置1の全体構成を示す斜視図である。図2は、車輪用軸受装置1の全体構成を示す断面図である。図3及び図4は、車輪用軸受装置1の一部構造を示す断面図である。図5は、インナー側シール部材5の構造を示す拡大断面図である。
車輪用軸受装置1は、車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外方部材2と、内方部材3と、転動体4と、インナー側シール部材5と、アウター側シール部材6と、を備える。なお、本明細書において、「インナー側」とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、「アウター側」とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。また、「径方向外側」とは、内方部材3の回転軸Lから遠ざかる方向を表し、「径方向内側」とは、内方部材3の回転軸Lに近づく方向を表す。また、「軸受外側」とは、内方部材3の回転軸Lの軸心方向において車輪用軸受装置1の中央部から環状空間Sの端部に近づく方向を表し、「軸受内側」とは、内方部材3の回転軸Lの軸心方向において環状空間Sの端部から車輪用軸受装置1の中央部に近づく方向を表す。
外方部材2は、転がり軸受構造の外輪部分を構成するものである。外方部材2は、例えばS53C等の中高炭素鋼で構成されている。外方部材2のインナー側端部には、封止面2aが形成されている。また、外方部材2のアウター側端部には、封止面2bが形成されている。更に、外方部材2の内周には、二つの外側転走面2c・2dが形成されている。外側転走面2cは、後述する内側転走面3cに対向する。外側転走面2dは、後述する内側転走面3dに対向する。なお、外側転走面2c・2dには、高周波焼入れが施され、表面硬さが58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。加えて、外方部材2の外周には、ナックル取り付けフランジ2eが一体的に形成されている。ナックル取り付けフランジ2eには、複数のボルト穴2fが設けられている。
内方部材3は、転がり軸受構造の内輪部分を構成するものである。内方部材3は、ハブ輪31と内輪32で構成されている。
ハブ輪31は、例えばS53C等の中高炭素鋼で構成されている。ハブ輪31には、そのインナー側端部から軸方向中央部まで小径段部3aが形成されている。小径段部3aは、ハブ輪31の外径が小さくなった部分を指し、その外周面が回転軸Lを中心とする円筒形状となっている。内輪32は、圧入により所定の予圧が付与された状態でハブ輪31のインナー側端部に固定されている。更に、ハブ輪31の外周には、内側転走面3cが形成されている。内側転走面3cは、前述した外側転走面2cに対向する。なお、ハブ輪31は、小径段部3aから内側転走面3cを経てシールランド部(後述する軸面部3eと曲面部3fと側面部3gで構成される)まで高周波焼入れが施され、表面硬さが58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。加えて、ハブ輪31の外周には、車輪取り付けフランジ3hが一体的に形成されている。車輪取り付けフランジ3hには、複数の貫通穴3iが設けられ、それぞれの貫通穴3iにハブボルト33が圧入されている。
内輪32は、例えばSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成されている。内輪32の外周には、封止面3jが形成されている。また、内輪32の外周には、内側転走面3dが形成されている。内輪32は、ハブ輪31の小径段部3aに外嵌されることにより、ハブ輪31の外周に内側転走面3dを構成する。内側転走面3dは、前述した外側転走面2dに対向する。なお、内輪32は、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。
転動体4は、転がり軸受構造の転動部分を構成するものである。転動体4は、例えばSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成されている。インナー側の転動体列4Rは、複数の転動体4が保持器によって環状に配置されたものである。それぞれの転動体4は、外方部材2の外側転走面2dと内方部材3の内側転走面3dの間に転動自在に介装されている。一方で、アウター側の転動体列4Rも、複数の転動体4が保持器によって環状に配置されたものである。それぞれの転動体4は、外方部材2の外側転走面2cと内方部材3の内側転走面3cの間に転動自在に介装されている。なお、転動体4は、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで62〜67HRCの範囲となるように硬化処理されている。
インナー側シール部材5は、外方部材2と内方部材3の間に形成された環状空間Sのインナー側端部を密封するものである。インナー側シール部材5は、それぞれ環状に形成されたスリンガ51とシールリング52で構成されている。
スリンガ51は、内輪32の封止面3jに外嵌される。スリンガ51は、例えばフェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。スリンガ51は、円環状の鋼板がプレス加工によって変形され、軸方向断面が直角に折り曲げられた形状となっている。これにより、スリンガ51には、内輪32の封止面3jに外嵌される円筒状の嵌合部51aと、その軸受外側端部から径方向外側に向かって延びる円板状の側板部51bと、が形成される。なお、スリンガ51の側板部51bに磁気エンコーダを配設する構成とすることも可能である。
シールリング52は、外方部材2の封止面2aに内嵌される。シールリング52は、芯金53とシールゴム54で構成されている。芯金53は、例えばフェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。芯金53は、円環状の鋼板がプレス加工によって変形され、軸方向断面が直角に折り曲げられた形状となっている。これにより、芯金53は、外方部材2の封止面2aに内嵌される円筒状の嵌合部53aと、その端部から径方向内側に向かって延びる円板状の側板部53bと、が形成されている。なお、嵌合部53aと側板部53bには、弾性部材であるシールゴム54が加硫接着により一体的に接合されている。
シールゴム54は、例えばNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムで構成されている。シールゴム54は、径方向外側に傾斜して延びるとともにスリンガ51の側板部51bに摺接する二個のサイドリップ54b・54cを有している。また、シールゴム54は、径方向内側のサイドリップ54bよりも軸受内側に形成されるとともに軸受内側に傾斜して延びるグリースリップ54aを有している。サイドリップ54b・54cは、その先端部分がスリンガ51の側板部51bに摺接している。このようにして、インナー側シール部材5は、泥水や砂塵が環状空間Sに侵入するのを防いでいるのである。なお、サイドリップはスリンガ51の嵌合部51aに摺接する構成としても差し支えない。
アウター側シール部材6は、外方部材2と内方部材3の間に形成された環状空間Sのアウター側端部を密封するものである。アウター側シール部材6は、環状に形成されたシールリング61で構成されている。
シールリング61は、外方部材2の封止面2bに内嵌される。シールリング61は、芯金62とシールゴム63で構成されている。芯金62は、例えばフェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。芯金62は、円環状の鋼板がプレス加工によって変形され、軸方向断面が複雑に折り曲げられた形状となっている。これにより、芯金62は、外方部材2の封止面2bに内嵌される円筒状の嵌合部62aと、その端部から径方向内側に向かって延びる円板状の側板部62bと、が形成されている。なお、嵌合部62aと側板部62bには、弾性部材であるシールゴム63が加硫接着されている。
シールゴム63は、例えばNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムで構成されている。シールゴム63に形成されたシールリップ63aは、その先端部分がハブ輪31の軸面部3eに接触している。また、シールリップ63bは、その先端部分がハブ輪31の曲面部3fに接触している。更に、シールリップ63cは、その先端部分がハブ輪31の側面部3gに接触している。このようにして、アウター側シール部材6は、泥水や砂塵が環状空間Sに侵入するのを防ぐとともに、グリースが環状空間Sから漏出するのを防いでいるのである。
次に、第一実施形態に係る車輪用軸受装置1の特徴点について、図5を用いて説明する。図5は、スリンガ51の嵌合部51aとグリースリップ54aとの間に、多数の繊維材を植毛してなる植毛繊維体13を設けたインナー側シール部材5を示している。図5においては、植毛繊維体13にグリースGが保持された状況を示している。本実施形態において、植毛繊維体13は図5中の拡大図に示す如く、スリンガ51の嵌合部51aにおけるグリースリップ54aと対向する部分に固定されている。そして、グリースリップ54aの先端部が植毛繊維体13に摺接している。
このような構造により、本実施形態に係る車輪用軸受装置1は、植毛繊維体13のラビリンス効果(複雑に入り組んだ流路を流体が通過することにより、流体の圧力損失を大きくしてシール性を高める効果)により、植毛繊維体13にグリースGが浸潤して保持される(図5の拡大図を参照)ので、スリンガ51の嵌合部51aとグリースリップ54aとの間を通るグリースGの量を低減させることができる。これにより、インナー側シール部材5による環状空間Sに封入されているグリースGの漏出を防止する機能を、植毛繊維体13を備えない構成と比較して向上させることができる。即ち、環状空間Sからのグリース漏出の防止性能の向上を実現することで、軸受寿命の向上を実現させ、車輪用軸受装置1のメンテナンス頻度を減らすことができるのである。加えて、車輪用軸受装置1における環状空間SへのグリースGの封入量を減らすことができ、低トルク化を図ることが可能となる。
植毛繊維体13に用いられる繊維材は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンテフタレートなどのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、ビニロンなどの合成樹脂繊維、若しくはカーボン繊維、グラス繊維などの無機繊維、若しくはレーヨン、アセテートなどの再生繊維、若しくは綿、絹、麻、羊毛などの天然繊維で構成されている。但し、繊維材は、グリースGによる膨潤や溶解などが生じにくく化学的に安定であり、均質かつ安価で多量に生産することができる合成樹脂繊維が好ましい。また、繊維材の形状は、長さ0.5〜2.0mm、太さ0.5〜50デシテックスのものが好ましく、単位面積あたりに繊維材の占める割合が10〜30%であることが好ましい。更に、繊維材の形状は、ストレート繊維ではなく、ベンド繊維(先端部が湾曲した形状の繊維)であることが好ましい。繊維材が入り組み、隙間が生じにくく密度が一定になるからである。これにより、植毛繊維体13における表面積が増えるので、グリースGの保持力及び保持量が安定するという効果を奏する。
繊維材は、静電吹き付け加工によって植毛されている。静電吹き付け加工は、任意の領域に接着剤を塗布し、接着剤塗布面に対して帯電させた多数の繊維材を吹き付ける植毛方法であり、乾燥工程・仕上工程を経て完了する。静電吹き付け加工によれば、繊維材が基材表面(嵌合部51aの表面)に対して傾き、一定の角度で固定されるという特徴を有する。また、繊維材の方向が不規則となり、隙間が生じにくく密度が一定になるという特徴も有する。これにより、植毛繊維体13における表面積が増えるので、グリースGの保持力及び保持量が安定するという効果を奏する。なお、本実施形態においては、繊維材を静電吹き付け加工によって植毛する構成としているが、スリンガの嵌合部におけるグリースリップと対向する部分に、繊維材が植毛されたシートを接着する構成とすることも可能である。
接着剤は、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などを主成分とする接着剤が挙げられる。具体的に説明すると、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、エポキシ樹脂溶剤系接着剤、酢酸ビニル樹脂溶剤系接着剤、アクリル樹脂系エマルジョン接着剤、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン接着剤、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤、ウレタン樹脂系エマルジョン接着剤、エポキシ樹脂系エマルジョン接着剤、ポリエステル系エマルジョン接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤などが挙げられる。
本実施形態において、植毛繊維体13はスリンガ51の嵌合部51aにおけるグリースリップ54aと対向する部分に固定されている。これにより、静電吹き付け加工を行う際に、嵌合部51aの径方向外側の平面に接着剤を塗布し、多数の繊維材を吹き付けることになる。このため、形状が複雑な部分に植毛繊維体を固定する構成と比較して、静電吹き付け加工を容易に行うことができる。即ち、本実施形態における車輪用軸受装置1によれば、シールゴム54の形状等に応じて、植毛繊維体13を適切に配設することができる。
また、本実施形態において、植毛繊維体13を静電吹き付け加工によって植毛された繊維材で構成しているが、グリースGを保持するために、植毛繊維体13に替えて大小の孔が無数に形成された多孔質の樹脂材を用いる構成とすることも可能である。
この場合、樹脂材として、例えばポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィン、フェノール、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、スチレンブタジエンゴムなどの合成ゴム、若しくは天然ゴム、を用いることができる。但し、樹脂材は、油による膨潤や溶解などが生じにくく化学的に安定であり、均質かつ安価で多量に生産することができる合成樹脂又は合成ゴムが好ましい。また、樹脂材の形状は、厚さ0.5〜2.0mmのものが好ましい。
次に、第二実施形態に係る車輪用軸受装置の特徴点について、図6を用いて説明する。本実施形態以降で説明する車輪用軸受装置については、第一実施形態に係る車輪用軸受装置1と共通する構成については同符号を付して詳細な説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
図6は、スリンガ51の嵌合部51aとグリースリップ54aとの間に、多数の繊維材を植毛してなる植毛繊維体113を設けたインナー側シール部材5を示している。図6においては、植毛繊維体113にグリースGが保持された状況を示している。本実施形態において、植毛繊維体113は図6中の拡大図に示す如く、グリースリップ54aの内周端部(スリンガ51の嵌合部51aと対向する部分)に固定されている。そして、植毛繊維体113の先端部が嵌合部51aに摺接している。
このような構造により、本実施形態に係る車輪用軸受装置は、植毛繊維体113のラビリンス効果により、植毛繊維体113にグリースGが浸潤して保持される(図6の拡大図を参照)ので、スリンガ51の嵌合部51aとグリースリップ54aとの間を通るグリースGの量を低減させることができる。これにより、インナー側シール部材5による環状空間Sに封入されているグリースGの漏出を防止する機能を向上させることができる。即ち、環状空間Sからのグリース漏出の防止性能の向上を実現することで、軸受寿命の向上を実現させ、車輪用軸受装置のメンテナンス頻度を減らすことができるのである。
本実施形態において、植毛繊維体13はグリースリップ54aの内周端部に固定されている。これにより、インナー側シール部材5を車輪用軸受装置に組付ける際にグリースリップ54aの変形量が大きく、スリンガ51の嵌合部51aに対するグリースリップ54aの内周端部の位置決めが困難な場合でも、植毛繊維体13をグリースリップ54aと嵌合部51aとの間に確実に配設することができる。即ち、本実施形態における車輪用軸受装置によれば、シールゴム54の形状等に応じて、植毛繊維体113を適切に配設することができる。また、本実施形態においても、グリースリップにおけるスリンガの嵌合部と対向する部分に、繊維材が植毛されたシートを接着する構成とすることが可能である。
なお、スリンガ51の嵌合部51aと、グリースリップ54aの内周端部と、の双方に植毛繊維体を固定する構成とすることも可能である。この場合、インナー側シール部材5による環状空間Sに封入されているグリースGの漏出を防止する機能をより向上させることができる。この場合においても、スリンガの嵌合部と、グリースリップの内周端部と、の双方に、繊維材が植毛されたシートを接着する構成とすることが可能である。
次に、第三実施形態に係る車輪用軸受装置の特徴点について、図7を用いて説明する。図7は、スリンガ51における側板部51bの外周端部と、シールゴム54のうち芯金53を被覆する部分と、の間に第二の植毛繊維体123を設けたインナー側シール部材5を示している。本実施形態において、植毛繊維体123はシールゴム54における側板部51bの外周端部と対向する部分に固定されている。
このような構造により、本実施形態に係る車輪用軸受装置は、グリースがグリースリップ54a及びサイドリップ54b・54cを通過して環状空間Sから漏出した場合でも、植毛繊維体123のラビリンス効果により、植毛繊維体123にグリースが浸潤して保持されるので、インナー側シール部材5による環状空間に封入されているグリースの外部への漏出を防止することができる。また、インナー側シール部材5は植毛繊維体123により、泥水や砂塵の環状空間への侵入防止効果を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内のすべての変更を含む。
加えて、本発明に係るシール部材を備える車輪用軸受装置1は、内方部材3として一つの内輪32が嵌合されたハブ輪31を備え、外方部材2と内方部材3である内輪4とハブ輪3の嵌合体で構成された内輪回転仕様の第3世代構造としているが、これに限定するものではない。例えば、主に外方部材である外輪と内方部材である一対の内輪で構成された第1世代構造であってもよい。また、取付フランジを有している外方部材である外輪と内方部材である一対の内輪で構成され、この一対の内輪がハブ輪の外周に嵌合される内輪回転仕様の第2世代構造であってもよい。更に、外方部材である外輪がハブ輪として形成されており、このハブ輪と内方部材である一対の内輪で構成された外輪回転仕様の第2世代構造であってもよい。また、内方部材として一つの内輪が嵌合された取付フランジを有している支持軸を備え、外方部材である外輪がハブ輪として形成されており、このハブ輪と内方部材である内輪と支持軸の嵌合体で構成された外輪回転仕様の第3世代構造であってもよい。更に、内方部材としてハブ輪と自在継手が連結されており、取付フランジを有している外方部材である外輪と内方部材であるハブ輪と自在継手の嵌合体で構成された第4世代構造であってもよい。加えて、本発明に係るシール部材は、インナー側だけでなく、アウター側のシールとしても使用でき、また、インナー側とアウター側との両方に使用することも可能である。
1 車輪用軸受装置
2 外方部材
2c 外側転走面
2d 外側転走面
3 内方部材
3c 内側転走面
3d 内側転走面
4 転動体
5 インナー側シール部材
13 植毛繊維体
51 スリンガ
51a 嵌合部
51b 側板部
52 シールリング
53 芯金
54 シールゴム
54a グリースリップ
54b サイドリップ
54c サイドリップ
G グリース
S 環状空間

Claims (4)

  1. 内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪を有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの転走面間に介装される複列の転動体と、
    前記外方部材と前記内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシール部材と、を備えた車輪用軸受装置において、
    前記シール部材は、それぞれ環状に形成されるスリンガ及びシールリングで構成され、
    前記スリンガは、前記内方部材に外嵌される円筒状の嵌合部と、該嵌合部における軸受外側端部から径方向外側に延びる円板状の側板部と、を有し、
    前記シールリングは、前記外方部材に内嵌される芯金と、該芯金に一体的に接合されるシールゴムと、を有し、
    前記シールゴムは、前記スリンガの前記嵌合部、又は、前記側板部に摺接する少なくとも一個のサイドリップと、前記サイドリップよりも軸受内側に形成されるとともに軸受内側に傾斜して延びるグリースリップと、を有し、
    前記スリンガの前記嵌合部と、前記グリースリップと、の間に植毛繊維体を設けたことを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記植毛繊維体は、前記スリンガの前記嵌合部と、前記グリースリップの内周端部と、の一方又は双方に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記植毛繊維体が静電吹き付け加工によって植毛されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記側板部の外周端部と、前記シールゴムのうち前記芯金を被覆する部分と、の間に第二の植毛繊維体を設けたことを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車輪用軸受装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112303128A (zh) * 2019-07-31 2021-02-02 舍弗勒技术股份两合公司 密封装置

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