JP2018053963A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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洋斗 須間
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暢克 内山
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Abstract

【課題】キャップ部材を圧入する際に圧力が上昇しない車輪用軸受装置を提供するものである。ひいては、内方部材の回転抵抗が増加しない車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】車輪用軸受装置1において、キャップ部材11は、外方部材2のインナー側内周面に嵌合する嵌合部11aを有しており、この嵌合部11aの先端側から圧入されて取り付けられるものとされ、嵌合部11aの外周には、先端側から軸方向に沿って空気溝11eが形成され、空気溝11eよりもインナー側で外方部材2とキャップ部材11が密閉されている、としたものである。【選択図】図7

Description

本発明は、車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置は、懸架装置を構成するナックルに外方部材が固定される。また、車輪用軸受装置は、外方部材の内側に内方部材が配置され、外方部材と内方部材の間に転動体が介装されている。こうして、車輪用軸受装置は、転がり軸受構造を構成し、内方部材に取り付けられた車輪を回転自在としているのである。
ところで、このような車輪用軸受装置は、外方部材の内部空間に泥水や砂塵が侵入すると、転動体等が損傷して軸受寿命が短くなる。また、外方部材の内部空間に封入されているグリースが漏出しても、転動体等が損傷して軸受寿命が短くなる。このため、車輪用軸受装置は、泥水や砂塵の侵入を防止するとともにグリースの漏出を防止すべく、外方部材のアウター側端部にシール部材を装着している。また、外方部材のインナー側端部にキャップ部材を装着している。例えば特許文献1に記載の如くである。
特許文献1に記載の車輪用軸受装置は、外方部材と、内方部材と、外方部材と内方部材の間に介装される転動体と、外方部材のアウター側端部に装着されるシール部材と、外方部材のインナー側端部に装着されるキャップ部材と、を備えている。しかし、かかる車輪用軸受装置は、キャップ部材の圧入に起因して内部空間の圧力が上昇してしまうという問題があった。具体的に説明すると、キャップ部材は、外方部材のインナー側内周面に嵌合する嵌合部を有しており、この嵌合部の先端側から圧入されて取り付けられる。従って、嵌合部が外方部材のインナー側内周面に沿うように押し込まれると、その押込距離と断面積から算出される容積の空気が圧縮されることとなり、内部空間の圧力が上昇してしまうのである。その結果、シール部材のシールリップに内側から荷重がかかり、内方部材の回転抵抗が増加してしまう場合があった。具体的に説明すると、シール部材は、シールゴムにシールリップが形成されており、このシールリップが内方部材に対して所定の角度で接触している。従って、キャップ部材の圧入に起因して内部空間の圧力が上昇すると、シールリップに内側から荷重がかかって内方部材に押し付けられることとなり、内方部材の回転抵抗が増加してしまう場合があったのである(図13参照)。
特許第5438532号公報
本発明は、キャップ部材の圧入に起因して内部空間の圧力が上昇しない車輪用軸受装置を提供するものである。ひいては、内方部材の回転抵抗が増加しない車輪用軸受装置を提供するものである。
第一の発明は、
内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
複数のハブボルトが圧入される車輪取り付けフランジを有するとともに軸方向に延びた小径段部を有するハブ輪、およびこのハブ輪の前記小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に介装される複列の転動体と、
前記外方部材の内部空間を密封するために当該外方部材のアウター側端部に装着されるシール部材と、
前記外方部材の内部空間を密封するために当該外方部材のインナー側端部に装着されるキャップ部材と、を備えた車輪用軸受装置において、
前記キャップ部材は、前記外方部材のインナー側内周面に嵌合する嵌合部を有しており、この嵌合部の先端側から圧入されて取り付けられるものとされ、
前記嵌合部の外周には、先端側から軸方向に沿って空気溝が形成され、
前記空気溝よりもインナー側で前記外方部材と前記キャップ部材が密閉されている、ものである。
第二の発明は、第一の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記キャップ部材は、前記外方部材のインナー側端面に当接する止板部を有しており、前記空気溝が先端側から前記止板部まで軸方向に沿って形成されている、ものである。
第三の発明は、第一又は第二の発明に係る車輪用軸受装置において、
前記空気溝は、前記嵌合部の先端側における断面積が大きく、後端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている、ものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
本発明に係る車輪用軸受装置において、キャップ部材は、外方部材のインナー側内周面に嵌合する嵌合部を有しており、この嵌合部の先端側から圧入されて取り付けられる。また、嵌合部の外周には、先端側から軸方向に沿って空気溝が形成され、空気溝よりもインナー側で外方部材とキャップ部材が密閉されている。かかる構成によれば、キャップ部材を圧入しているときに空気溝から内部空間の空気が排出される。従って、キャップ部材の圧入に起因して内部空間の圧力が上昇するのを防ぐことができる。ひいては、シール部材のシールリップに内側から荷重がかかるのを防いで内方部材の回転抵抗が増加するのを防ぐことができる。更に、キャップ部材の圧入を完了したときには、隙間なく密封されることとなる。
本発明に係る車輪用軸受装置において、キャップ部材は、外方部材のインナー側端面に当接する止板部を有しており、空気溝が先端側から止板部まで軸方向に沿って形成されている。かかる構成によれば、キャップ部材を圧入しているときに空気溝から内部空間の空気が排出される。従って、キャップ部材の圧入に起因して内部空間の圧力が上昇するのを防ぐことができる。ひいては、シール部材のシールリップに内側から荷重がかかるのを防いで内方部材の回転抵抗が増加するのを防ぐことができる。更に、キャップ部材の圧入を完了したときには、隙間なく密封されることとなる。
本発明に係る車輪用軸受装置において、空気溝は、嵌合部の先端側における断面積が大きく、後端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている。かかる構成によれば、嵌合部の先端側においては、空気溝が弾性変形しやすく嵌合部の剛性が低下しているので、キャップ部材を圧入する際の押込荷重が小さくなる。また、嵌合部の後端側においては、空気溝が弾性変形しにくく嵌合部の剛性が保たれているので、キャップ部材の圧入を完了したときの密封性を損なわない。従って、キャップ部材の圧入を容易としつつ圧入を完了したときには、隙間なく密封することができる。
車輪用軸受装置の全体構成を示す斜視図。 車輪用軸受装置の全体構成を示す断面図。 車輪用軸受装置の一部構造を示す拡大断面図。 車輪用軸受装置の一部構造を示す拡大断面図。 第一実施形態に係るキャップ部材の形状を示す図。 第一実施形態に係るキャップ部材を圧入する工程を示す図。 第二実施形態に係るキャップ部材の形状を示す図。 第二実施形態に係るキャップ部材を圧入する工程を示す図。 第三実施形態に係るキャップ部材の形状を示す図。 第三実施形態に係るキャップ部材を圧入する工程を示す図。 第四実施形態に係るキャップ部材の形状を示す図。 第五実施形態に係るキャップ部材の形状を示す図。 キャップ部材の圧入と内方部材の回転抵抗が増加することの関係を示す図。
図1から図4を用いて、本発明に係る車輪用軸受装置1について説明する。図1は、車輪等軸受装置1の斜視図である。図2は、図1におけるA−A断面図である。図3および図4は、図2における一部領域の拡大図である。
車輪用軸受装置1は、車輪を回転自在に支持するものである。車輪用軸受装置1は、外方部材2と、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)と、転動体6と、リング部材7と、シール部材8と、を具備する。以下において、インナー側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、アウター側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。
外方部材2は、転がり軸受構造の外輪部分を構成するものである。外方部材2は、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。外方部材2のインナー側端部には、拡径部2aが形成されている。また、外方部材2のアウター側端部には、拡径部2bが形成されている。更に、拡径部2aと拡径部2bの間には、環状に外側転走面2cと外側転走面2dが互いに平行となるように形成されている。なお、外側転走面2cと外側転走面2dには、高周波焼入れが施され、表面硬さが58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。外方部材2の外周には、ナックル取り付けフランジ2eが一体的に形成されている。ナックル取り付けフランジ2eには、ボルト穴2fが設けられている。
内方部材3は、転がり軸受構造の内輪部分を構成するものである。内方部材3は、ハブ輪4と内輪5で構成されている。
ハブ輪4は、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。ハブ輪4のインナー側端部には、小径段部4aが形成されている。小径段部4aには、その端部を径方向外側へ折り曲げることで内輪5を固定するカシメ部分4bが形成されている。また、ハブ輪4のアウター側端部には、開口部4cが形成されている。更に、ハブ輪4の外周には、環状に内側転走面4dが形成されている。内側転走面4dは、外方部材2の外側転走面2dに対向する。なお、ハブ輪4は、小径段部4aから内側転走面4dを経てシールランド部(後述する軸面部4eと曲面部4fと側面部4gで構成される)まで高周波焼入れが施され、表面硬さが58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。ハブ輪4の外周には、車輪取り付けフランジ4hが一体的に形成されている。車輪取り付けフランジ4hには、内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転軸Lを中心とする同心円上に周方向等配置にボルト穴4iが設けられ、それぞれのボルト穴4iにハブボルト40が圧入されている。
内輪5は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成されている。内輪5の外周には、環状に内側転走面5aが形成されている。つまり、内輪5は、ハブ輪4の小径段部4aに嵌装され、小径段部4aの外周に内側転走面5aを構成している。内側転走面5aは、外方部材2の外側転走面2cに対向する。なお、内輪5は、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。本車輪用軸受装置1は、一つの内輪5を嵌装した第3世代構造であるが、一対の内輪5を嵌装した第2世代構造であっても良い。
転動体6は、転がり軸受構造の転動部分を構成するものである。転動体6は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼で構成されている。インナー側のボール列6aは、複数の転動体6が保持器によって環状に配置されたものである。ボール列6aは、内輪5に形成されている内側転走面5aと、それに対向する外方部材2の外側転走面2cと、の間に転動自在に収容されている。一方で、アウター側のボール列6bも、複数の転動体6が保持器によって環状に配置されたものである。ボール列6bは、ハブ輪4に形成されている内側転走面4dと、それに対向する外方部材2の外側転走面2dと、の間に転動自在に収容されている。なお、ボール列6aとボール列6bを構成しているそれぞれの転動体6には、いわゆるズブ焼入れが施され、芯部まで58〜64HRCの範囲となるように硬化処理されている。
リング部材7は、グリースの流動を抑制するものである。リング部材7は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。リング部材7は、円環状に切り出された鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面が直角に折り曲げられた形状に形成されている。これにより、図3に示すように、リング部材7は、円筒状の嵌合部7aと、その一端から内方部材3(内輪5)に向かって延びる円板状の側板部7bと、が形成されている。嵌合部7aと側板部7bは、互いに垂直に交わっており、嵌合部7aは、外方部材2の拡径部2aの内周面に沿って圧入嵌合している。また、側板部7bは、内方部材3(内輪5)に向かって延び、その先端が内輪5の外周面に近接している。これにより、リング部材7は、グリースのインナー側への流動を抑制しているのである。
シール部材8は、外方部材2のアウター側端部に装着されるものである。シール部材8は、芯金9とシールゴム10で構成されている。
芯金9は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。芯金9は、円環状に切り出された鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面が複雑に折り曲げられた形状に形成されている。これにより、図4に示すように、芯金9は、円筒状の嵌合部9aと、その一端から内方部材3(ハブ輪4)に向かって延びる円板状の側板部9bと、が形成されている。嵌合部9aと側板部9bは、互いに湾曲しながら交わっており、嵌合部9aは、外方部材2の拡径部2bの内周面に沿って圧入嵌合している。また、側板部9bは、内方部材3(ハブ輪4)に向かって延び、ハブ輪4の曲面部4fおよび側面部4gに対向している。なお、嵌合部9aと側板部9bには、弾性部材であるシールゴム10が加硫接着されている。
シールゴム10は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性、耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等の合成ゴムで構成されている。シールゴム10には、シールリップであるラジアルリップ10a、内側アキシアルリップ10bおよび外側アキシアルリップ10cが形成されている。また、シールゴム10には、外方部材2の拡径部2bの内周面に接するように端縁シール部10dが形成されている。
このように、シール部材8は、芯金9とシールゴム10で構成され、シールゴム10は、三つのシールリップを有している。ラジアルリップ10aは、油膜を介してハブ輪4の軸面部4eに接触する。アキシアルリップ10bは、油膜を介してハブ輪4の曲面部4fに接触する。そして、外側アキシアルリップ10cは、油膜を介してハブ輪4の側面部(後述する他側フランジ部4iの側面)4gに接触する。これにより、シール部材8は、泥水や砂塵の侵入を防止するとともにグリースの漏出を防止している。なお、端縁シール部10dを形成したのは、外方部材2と芯金9の嵌合部分(外方部材2と芯金9が接している部分を指す)に水が侵入して腐食しないように考慮したものである。
更に、車輪用軸受装置1は、キャップ部材11を具備している。
以下に、第一実施形態に係るキャップ部材11について説明する。図5の(A)は、キャップ部材11の正面図であり、図5の(B)は、キャップ部材11の側面図である。また、図5の(C)は、(A)における領域Rの拡大図であり、図5の(D)は、(A)におけるC−C断面図である。
キャップ部材11は、外方部材2のインナー側端部に装着されるものである(図1から図3参照)。キャップ部材11は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。あるいは、冷間圧延鋼板で形成した後にカチオン電着塗装によって防錆皮膜を形成したもので構成されていても良い。キャップ部材11は、円板状に切り出された鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面が複数の曲点を経て直角に折り曲げられた形状に形成されている。これにより、キャップ部材11は、円筒状の嵌合部11aと、その一端から径方向内側に向かって斜めに延びる円錐状の面取部11gと、その一端から径方向内側に向かって延びる円板状の蓋板部11cと、が形成されている。嵌合部11aと蓋板部11cは、面取部11gを介して交わっており、嵌合部11aは、外方部材2の拡径部2aの内周面(インナー側内周面)に沿って圧入嵌合している。また、蓋板部11cは、外方部材2のインナー側開口端を隙間なく密閉している。これにより、キャップ部材11は、泥水や砂塵の侵入を防止するとともにグリースの漏出を防止している。更に、面取部11gは、その外周に拡径部2aの内周面(インナー側内周面)に接するようにゴムシール部11dが設けられている。これは、外方部材2とキャップ部材11の嵌合部分(外方部材2とキャップ部材11が接している部分を指す)に水が侵入して腐食しないように考慮したものである。ここで、「隙間なく密閉」とは、嵌合状態において泥水や砂塵の侵入を防止し、かつグリースの漏出を防止している状態をいう。
ここで、外方部材2にキャップ部材11を圧入した状態における嵌合部11aのアウター側を「先端側」と定義し、嵌合部11aのインナー側を「後端側」と定義した場合、キャップ部材11は、嵌合部11aの先端側から圧入されて後端側まで内方部材2の内側に収まることとなる。また、キャップ部材11の特徴点として、嵌合部11aの外周には、先端側から軸方向に沿って空気溝11eが形成され、空気溝11eよりもインナー側で外方部材2とキャップ部材11が密閉されている。空気溝11eは、軸方向から見ると円弧形状となっており、先端側から後端側に向かうにつれて溝断面が徐々に小さくなっている。換言すると、空気溝11eは、嵌合部11aの先端側における断面積が大きく、他端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている。なお、空気溝11eの長さ寸法Gは、キャップ部材11の圧入を完了したときの内部空間Sの圧力やキャップ部材11の密封性などを対象とした実験を行い、その結果から見出された値となっている。内部空間Sの圧力の上昇を防ぐ観点からは、空気溝11eが嵌合部11aの外周に複数設けられているほうが好ましい。このとき、それぞれの空気溝11eは、周方向等配置であることが好ましい。空気溝11eは、プレス加工によって簡単に形成することができる。
次に、第一実施形態に係るキャップ部材11を圧入する工程について説明する。図6の(A)は、キャップ部材11を圧入している状況を示す断面図であり、図6の(B)は、キャップ部材11の圧入が完了した状況を示す断面図である。
図6の(A)に示すように、キャップ部材11は、嵌合部11aの先端側から圧入される(図中の矢印P参照)。具体的に説明すると、キャップ部材11は、嵌合部11aの先端側を外方部材2の拡径部2aに嵌め込み、嵌合部11aが拡径部2aの内周面(インナー側内周面)に沿うように圧入される。このとき、嵌合部11aの外周には、先端側から軸方向に沿って空気溝11eが形成され、空気溝11eよりもインナー側で外方部材2とキャップ部材11が密閉されているので、この空気溝11eから内部空間Sの空気が排出されることとなる(図中の矢印F参照)。従って、キャップ部材11が圧入されていき、空気溝11eが拡径部2aの内周面(インナー側内周面)によって塞がれるまでは、キャップ部材11の押込距離と断面積から算出される容積の空気が空気溝11eから排出されることとなる。なお、嵌合部11aの先端側においては、空気溝11eの断面積が大きいので、溝幅が狭まるように弾性変形しやすい(図5の(C)における矢印D参照)。従って、嵌合部11aの先端側は、その剛性が低下しているといえる。このため、キャップ部材11を圧入する際の押込荷重は、従来よりも小さくなっている。
その後、図6の(B)に示すように、キャップ部材11は、押込距離が所定の値となるまで圧入される(図中の矢印P参照)。具体的に説明すると、空気溝11eが拡径部2aの内周面(インナー側内周面)によって塞がれてからも押し込まれていき、全体の押込距離が所定の値となるまで圧入される。このとき、キャップ部材11の嵌合部11aと外方部材2の拡径部2aは、互いに隙間なく接しているので、内部空間Sを隙間なく密封することができる。従って、キャップ部材11が圧入されていき、全体の押込距離が所定の値となるまでは、キャップ部材11の押込距離と断面積から算出される容積の空気が圧縮されることとなる。但し、内部空間Sの圧力の上昇は、従来の車輪用軸受装置に比べると僅かな値である。なお、嵌合部11aの後端側においては、空気溝11eの断面積が小さいので、溝幅が狭まるように弾性変形しにくい。従って、嵌合部11aの後端側は、その剛性が保たれているといえる。このため、キャップ部材11の圧入を完了したときの密封性は、従来と同じ程度となっている。
以上のように、第一実施形態に係るキャップ部材11は、外方部材2のインナー側内周面(拡径部2aの内周面)に嵌合する嵌合部11aを有しており、この嵌合部11aの先端側から圧入されて取り付けられる。また、嵌合部11aの外周には、先端側から軸方向に沿って空気溝11eが形成され、空気溝11eよりもインナー側で外方部材2とキャップ部材11が密閉されている。かかる構成によれば、キャップ部材11を圧入しているときに空気溝11eから内部空間Sの空気が排出される。従って、キャップ部材11の圧入に起因して内部空間Sの圧力が上昇するのを防ぐことができる。ひいては、シール部材8のシールリップ(ラジアルリップ10a)に内側から荷重がかかるのを防いで内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転抵抗が増加するのを防ぐことができる。更に、キャップ部材11の圧入を完了したときには、隙間なく密封されることとなる。
加えて、空気溝11eは、嵌合部11aの先端側における断面積が大きく、後端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている。かかる構成によれば、嵌合部11aの先端側においては、空気溝11eが弾性変形しやすく嵌合部11aの剛性が低下しているので、キャップ部材11を圧入する際の押込荷重が小さくなる。また、嵌合部11aの後端側においては、空気溝11eが弾性変形しにくく嵌合部11aの剛性が保たれているので、キャップ部材11の圧入を完了したときの密封性を損なわない。従って、キャップ部材11の圧入を容易としつつ圧入を完了したときには隙間なく密封することができる。
以下に、第二実施形態に係るキャップ部材11について説明する。図7の(A)は、キャップ部材11の正面図であり、図7の(B)は、キャップ部材11の側面図である。また、図7の(C)は、(A)における領域Rの拡大図であり、図7の(D)は、(A)におけるC−C断面図である。
キャップ部材11は、第一実施形態に係るキャップ部材11と同様に、外方部材2のインナー側端部に装着されるものである。キャップ部材11は、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。あるいは、冷間圧延鋼板で形成した後にカチオン電着塗装によって防錆皮膜を形成したもので構成されていても良い。キャップ部材11は、円板状に切り出された鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面が複数の曲点を経て一部が径方向外側へ張り出すように形成されている。これにより、キャップ部材11は、円筒状の嵌合部11aと、その一端から径方向外側に向かって延びる円環状の止板部11bと、その一端から径方向内側に向かって延びる円板状の蓋板部11cと、が形成されている。嵌合部11aと蓋板部11cは、止板部11bを介して交わっており、嵌合部11aは、外方部材2の拡径部2aの内周面(インナー側内周面)に沿って圧入嵌合している。また、蓋板部11cは、外方部材2のインナー側開口端を隙間なく密閉している。これにより、キャップ部材11は、泥水や砂塵の侵入を防止するとともにグリースの漏出を防止している。更に、止板部11bは、その端面が拡径部2aの端面(インナー側端面)に沿って平行に当接する。これにより、キャップ部材11の押込距離を制限しているのである。また、外方部材2とキャップ部材11の嵌合部分(外方部材2とキャップ部材11が接している部分を指す)に水が侵入して腐食しないようにしているのである。ここで、「隙間なく密閉」とは、嵌合状態において泥水や砂塵の侵入を防止し、かつグリースの漏出を防止している状態をいう。
ここで、外方部材2にキャップ部材11を圧入した状態における嵌合部11aのアウター側を「先端側」と定義し、嵌合部11aのインナー側を「後端側」と定義した場合、キャップ部材11は、嵌合部11aの先端側から圧入されて後端側まで内方部材2の内側に収まることとなる。また、キャップ部材11の特徴点として、嵌合部11aの外周には、先端側から軸方向に沿って空気溝11eが形成され、空気溝11eよりもインナー側で外方部材2とキャップ部材11が密閉されている。空気溝11eは、軸方向から見ると円弧形状となっており、先端側から後端側に向かうにつれて溝断面が徐々に小さくなっている。換言すると、空気溝11eは、嵌合部11aの先端側における断面積が大きく、他端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている。なお、空気溝11eの長さ寸法Gは、キャップ部材11の圧入を完了したときの内部空間Sの圧力やキャップ部材11の密封性などを対象とした実験を行い、その結果から見出された値となっている。内部空間Sの圧力の上昇を防ぐ観点からは、空気溝11eが嵌合部11aの外周に複数設けられているほうが好ましい。このとき、それぞれの空気溝11eは、周方向等配置であることが好ましい。加えて、密封性の観点からは、拡径部2aの内周面(インナー側内周面)と側面(インナー側側面)をつなぐ面取部分2gまで、空気溝11eが形成されていないことが好ましい。空気溝11eは、プレス加工によって簡単に形成することができる。
次に、第二実施形態に係るキャップ部材11を圧入する工程について説明する。図8の(A)は、キャップ部材11を圧入している状況を示す断面図であり、図8の(B)は、キャップ部材11の圧入が完了した状況を示す断面図である。
図8の(A)に示すように、キャップ部材11は、嵌合部11aの先端側から圧入される(図中の矢印P参照)。具体的に説明すると、キャップ部材11は、嵌合部11aの先端側を外方部材2の拡径部2aに嵌め込み、嵌合部11aが拡径部2aの内周面(インナー側内周面)に沿うように圧入される。このとき、嵌合部11aの外周には、先端側から軸方向に沿って空気溝11eが形成され、空気溝11eよりもインナー側で外方部材2とキャップ部材11が密閉されている。この空気溝11eから内部空間Sの空気が排出されることとなる(図中の矢印F参照)。従って、キャップ部材11が圧入されていき、空気溝11eが拡径部2aの内周面(インナー側内周面)によって塞がれるまでは、キャップ部材11の押込距離と断面積から算出される容積の空気が空気溝11eから排出されることとなる。なお、嵌合部11aの先端側においては、空気溝11eの断面積が大きいので、溝幅が狭まるように弾性変形しやすい(図7の(C)における矢印D参照)。従って、嵌合部11aの先端側は、その剛性が低下しているといえる。このため、キャップ部材11を圧入する際の押込荷重は、従来よりも小さくなっている。
その後、図8の(B)に示すように、キャップ部材11は、止板部11bが拡径部2aの端面(インナー側端面)に当接するまで圧入される(図中の矢印P参照)。具体的に説明すると、空気溝11eが拡径部2aの内周面(インナー側内周面)によって塞がれてからも押し込まれていき、止板部11bが拡径部2aの端面(インナー側端面)に当接するまで圧入される。このとき、キャップ部材11の嵌合部11aと外方部材2の拡径部2aは、互いに隙間なく接しているので、内部空間Sを隙間なく密封することができる。従って、キャップ部材11が圧入されていき、止板部11bが拡径部2aの端面(インナー側端面)に当接するまでは、キャップ部材11の押込距離と断面積から算出される容積の空気が圧縮されることとなる。但し、内部空間Sの圧力の上昇は、従来の車輪用軸受装置に比べると僅かな値である。なお、嵌合部11aの後端側においては、空気溝11eの断面積が小さいので、溝幅が狭まるように弾性変形しにくい。従って、嵌合部11aの後端側は、その剛性が保たれているといえる。このため、キャップ部材11の圧入を完了したときの密封性は、従来と同じ程度となっている。
以上のように、第二実施形態に係るキャップ部材11は、外方部材2のインナー側内周面(拡径部2aの内周面)に嵌合する嵌合部11aを有しており、この嵌合部11aの先端側から圧入されて取り付けられる。また、嵌合部11aの外周には、先端側から軸方向に沿って空気溝11eが形成され、空気溝11eよりもインナー側で外方部材2とキャップ部材11が密閉されている。かかる構成によれば、キャップ部材11を圧入しているときに空気溝11eから内部空間Sの空気が排出される。従って、キャップ部材11の圧入に起因して内部空間Sの圧力が上昇するのを防ぐことができる。ひいては、シール部材8のシールリップ(ラジアルリップ10a)に内側から荷重がかかるのを防いで内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転抵抗が増加するのを防ぐことができる。更に、キャップ部材11の圧入を完了したときには、隙間なく密封されることとなる。
加えて、空気溝11eは、嵌合部11aの先端側における断面積が大きく、後端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている。かかる構成によれば、嵌合部11aの先端側においては、空気溝11eが弾性変形しやすく嵌合部11aの剛性が低下しているので、キャップ部材11を圧入する際の押込荷重が小さくなる。また、嵌合部11aの後端側においては、空気溝11eが弾性変形しにくく嵌合部11aの剛性が保たれているので、キャップ部材11の圧入を完了したときの密封性を損なわない。従って、キャップ部材11の圧入を容易としつつ圧入を完了したときには隙間なく密封することができる。
以下に、第三実施形態に係るキャップ部材11について説明する。図9の(A)は、キャップ部材11の正面図であり、図9の(B)は、キャップ部材11の側面図である。また、図9の(C)は、(A)における領域Rの拡大図であり、図9の(D)は、(A)におけるC−C断面図である。
キャップ部材11は、第一実施形態および第二実施形態に係るキャップ部材11と同様に、外方部材2のインナー側端部に装着されるものである。キャップ部材11は、その一部分がフェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)やオーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、あるいは防錆処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)で構成されている。また、その他の部分がポリアミド樹脂(JIS規格のPA系等)やポリカーボネート樹脂(JIS規格のPC系等)、あるいはポリエステル樹脂(JIS規格のTP系等)で構成されている。キャップ部材11は、円環状に切り出された鋼板がプレス加工によって屈曲され、軸方向断面が曲点を経て径方向外側へ張り出すように形成されている。そして、キャップ部材11は、円盤状に形成された樹脂板が径方向外側へ張り出された部分を覆うように接合(インサート成形)されている。これにより、キャップ部材11は、円筒状の嵌合部11aと、その一端から径方向外側に向かって延びる円環状の掛止部11fと、その掛止部11fを覆って径方向内側に向かって延びる円板状の蓋板部11cと、が形成されている。嵌合部11aと蓋板部11cは、掛止部11fを介して接合されており、嵌合部11aは、外方部材2の拡径部2aの内周面(インナー側内周面)に沿って圧入嵌合している。また、蓋板部11cは、外方部材2のインナー側開口端を隙間なく密閉している。これにより、キャップ部材11は、泥水や砂塵の侵入を防止するとともにグリースの漏出を防止している。更に、蓋板部11cは、その外縁部分に止板部11bが形成されており、その端面が拡径部2aの端面(インナー側端面)に沿って平行に当接する。これにより、キャップ部材11の押込距離を制限しているのである。また、外方部材2とキャップ部材11の嵌合部分(外方部材2とキャップ部材11が接している部分を指す)に水が侵入して腐食しないようにしているのである。ここで、「隙間なく密閉」とは、嵌合状態において泥水や砂塵の侵入を防止し、かつグリースの漏出を防止している状態をいう。
ここで、外方部材2にキャップ部材11を圧入した状態における嵌合部11aのアウター側を「先端側」と定義し、嵌合部11aのインナー側を「後端側」と定義した場合、キャップ部材11は、嵌合部11aの先端側から圧入されて後端側まで内方部材2の内側に収まることとなる。また、キャップ部材11の特徴点として、嵌合部11aの外周には、先端側から軸方向に沿って空気溝11eが形成され、空気溝11eよりもインナー側で外方部材2とキャップ部材11が密閉されている。空気溝11eは、軸方向から見ると円弧形状となっており、先端側から後端側に向かうにつれて溝断面が徐々に小さくなっている。換言すると、空気溝11eは、嵌合部11aの先端側における断面積が大きく、他端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている。なお、空気溝11eの長さ寸法Gは、キャップ部材11の圧入を完了したときの内部空間Sの圧力やキャップ部材11の密封性などを対象とした実験を行い、その結果から見出された値となっている。内部空間Sの圧力の上昇を防ぐ観点からは、空気溝11eが嵌合部11aの外周に複数設けられているほうが好ましい。このとき、それぞれの空気溝11eは、周方向等配置であることが好ましい。加えて、密封性の観点からは、拡径部2aの内周面(インナー側内周面)と側面(インナー側側面)をつなぐ面取部分2gまで、空気溝11eが形成されていないことが好ましい。空気溝11eは、プレス加工によって簡単に形成することができる。
次に、第三実施形態に係るキャップ部材11を圧入する工程について説明する。図10の(A)は、キャップ部材11を圧入している状況を示す断面図であり、図10の(B)は、キャップ部材11の圧入が完了した状況を示す断面図である。
図10の(A)に示すように、キャップ部材11は、嵌合部11aの先端側から圧入される(図中の矢印P参照)。具体的に説明すると、キャップ部材11は、嵌合部11aの先端側を外方部材2の拡径部2aに嵌め込み、嵌合部11aが拡径部2aの内周面(インナー側内周面)に沿うように圧入される。このとき、嵌合部11aの外周には、先端側から後端側に至る中途部分まで軸方向に沿って空気溝11eが形成されているので、この空気溝11eから内部空間Sの空気が排出されることとなる(図中の矢印F参照)。従って、キャップ部材11が圧入されていき、空気溝11eが拡径部2aの内周面(インナー側内周面)によって塞がれるまでは、キャップ部材11の押込距離と断面積から算出される容積の空気が空気溝11eから排出されることとなる。なお、嵌合部11aの先端側においては、空気溝11eの断面積が大きいので、溝幅が狭まるように弾性変形しやすい(図9の(C)における矢印D参照)。従って、嵌合部11aの先端側は、その剛性が低下しているといえる。このため、キャップ部材11を圧入する際の押込荷重は、従来よりも小さくなっている。
その後、図10の(B)に示すように、キャップ部材11は、止板部11bが拡径部2aの端面(インナー側端面)に当接するまで圧入される(図中の矢印P参照)。具体的に説明すると、空気溝11eが拡径部2aの内周面(インナー側内周面)によって塞がれてからも押し込まれていき、止板部11bが拡径部2aの端面(インナー側端面)に当接するまで圧入される。このとき、キャップ部材11の嵌合部11aと外方部材2の拡径部2aは、互いに隙間なく接しているので、内部空間Sを隙間なく密封することができる。従って、キャップ部材11が圧入されていき、止板部11bが拡径部2aの端面(インナー側端面)に当接するまでは、キャップ部材11の押込距離と断面積から算出される容積の空気が圧縮されることとなる。但し、内部空間Sの圧力の上昇は、従来の車輪用軸受装置に比べると僅かな値である。なお、嵌合部11aの後端側においては、空気溝11eの断面積が小さいので、溝幅が狭まるように弾性変形しにくい。従って、嵌合部11aの後端側は、その剛性が保たれているといえる。このため、キャップ部材11の圧入を完了したときの密封性は、従来と同じ程度となっている。
以上のように、第三実施形態に係るキャップ部材11は、外方部材2のインナー側内周面(拡径部2aの内周面)に嵌合する嵌合部11aを有しており、この嵌合部11aの先端側から圧入されて取り付けられる。また、嵌合部11aの外周には、先端側から後端側に至る中途部分まで軸方向に沿って空気溝11eが形成されている。かかる構成によれば、キャップ部材11を圧入しているときに空気溝11eから内部空間Sの空気が排出される。従って、キャップ部材11の圧入に起因して内部空間Sの圧力が上昇するのを防ぐことができる。ひいては、シール部材8のシールリップ(ラジアルリップ10a)に内側から荷重がかかるのを防いで内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転抵抗が増加するのを防ぐことができる。更に、キャップ部材11の圧入を完了したときには、隙間なく密封されることとなる。
加えて、空気溝11eは、嵌合部11aの先端側における断面積が大きく、後端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている。かかる構成によれば、嵌合部11aの先端側においては、空気溝11eが弾性変形しやすく嵌合部11aの剛性が低下しているので、キャップ部材11を圧入する際の押込荷重が小さくなる。また、嵌合部11aの後端側においては、空気溝11eが弾性変形しにくく嵌合部11aの剛性が保たれているので、キャップ部材11の圧入を完了したときの密封性を損なわない。従って、キャップ部材11の圧入を容易としつつ圧入を完了したときには隙間なく密封することができる。
次に、第四実施形態および第五実施形態に係るキャップ部材11について説明する。図11の(A)は、第四実施形態に係るキャップ部材11の正面図である。図11の(B)は、(A)におけるC−C断面図である。また、図12の(A)は、第五実施形態に係るキャップ部材11の正面図である。図12の(B)は、(A)におけるC−C断面図である。なお、以下において、上述したキャップ部材11と同様の構成部分については、同じ符号を付すものとし、簡単のために当該部分の説明を省略する。
まず、第四実施形態に係るキャップ部材11について説明する。第四実施形態に係るキャップ部材11は、第二実施形態に係るキャップ部材11とほぼ同様である。しかし、第四実施形態に係るキャップ部材11においては、嵌合部11aの先端側から止板部11bまで軸方向に沿って空気溝11eが形成されている。つまり、空気溝11eが途中で途切れることなく止板部11bまで形成されている。そして、空気溝11eは、嵌合部11aの先端側における断面積が大きく、他端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている。
キャップ部材11は、嵌合部11aの先端側を外方部材2の拡径部2aに嵌め込み、嵌合部11aが拡径部2aの内周面(インナー側内周面)に沿うように圧入される。このとき、嵌合部11aの外周には、先端側から止板部11bまで軸方向に沿って空気溝11eが形成されているので、この空気溝11eから内部空間Sの空気が排出されることとなる。そして、止板部11bが拡径部2aの端面(インナー側端面)に当接するまで圧入されると、空気溝11eが塞がるので内部空間Sを隙間なく密封することができる。
以上のように、第四実施形態に係るキャップ部材11は、外方部材2のインナー側内周面(拡径部2aの内周面)に嵌合する嵌合部11aと外方部材2のインナー側端面(拡径部2aの側面)に当接する止板部11bを有しており、この嵌合部11aの先端側から圧入されて取り付けられる。また、嵌合部11aの外周には、先端側から止板部11bまで軸方向に沿って空気溝11eが形成されている。かかる構成によれば、キャップ部材11を圧入しているときに空気溝11eから内部空間Sの空気が排出される。従って、キャップ部材11の圧入に起因して内部空間Sの圧力が上昇するのを防ぐことができる。ひいては、シール部材8のシールリップ(ラジアルリップ10a)に内側から荷重がかかるのを防いで内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転抵抗が増加するのを防ぐことができる。更に、キャップ部材11の圧入を完了したときには、隙間なく密封されることとなる。
加えて、空気溝11eは、嵌合部11aの先端側における断面積が大きく、後端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている。かかる構成によれば、嵌合部11aの先端側においては、空気溝11eが弾性変形しやすく嵌合部11aの剛性が低下しているので、キャップ部材11を圧入する際の押込荷重が小さくなる。また、嵌合部11aの後端側においては、空気溝11eが弾性変形しにくく嵌合部11aの剛性が保たれているので、キャップ部材11の圧入を完了したときの密封性を損なわない。従って、キャップ部材11の圧入を容易としつつ圧入を完了したときには隙間なく密封することができる。
次に、第五実施形態に係るキャップ部材11について説明する。第五実施形態に係るキャップ部材11は、第三実施形態に係るキャップ部材11とほぼ同様である。しかし、第五実施形態に係るキャップ部材11においては、嵌合部11aの先端側から止板部11b(蓋板部11cの外縁部分)まで軸方向に沿って空気溝11eが形成されている。つまり、空気溝11eが途中で途切れることなく止板部11b(蓋板部11cの外縁部分)まで形成されている。そして、空気溝11eは、嵌合部11aの先端側における断面積が大きく、他端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている。
キャップ部材11は、嵌合部11aの先端側を外方部材2の拡径部2aに嵌め込み、嵌合部11aが拡径部2aの内周面(インナー側内周面)に沿うように圧入される。このとき、嵌合部11aの外周には、先端側から蓋板部11cまで軸方向に沿って空気溝11eが形成されているので、この空気溝11eから内部空間Sの空気が排出されることとなる。そして、止板部11b(蓋板部11cの外縁部分)が拡径部2aの端面(インナー側端面)に当接するまで圧入されると、空気溝11eが塞がるので内部空間Sを隙間なく密封することができる。
以上のように、第五実施形態に係るキャップ部材11は、外方部材2のインナー側内周面(拡径部2aの内周面)に嵌合する嵌合部11aと外方部材2のインナー側端面(拡径部2aの側面)に当接する止板部11bを有しており、この嵌合部11aの先端側から圧入されて取り付けられる。また、嵌合部11aの外周には、先端側から止板部11bまで軸方向に沿って空気溝11eが形成されている。かかる構成によれば、キャップ部材11を圧入しているときに空気溝11eから内部空間Sの空気が排出される。従って、キャップ部材11の圧入に起因して内部空間Sの圧力が上昇するのを防ぐことができる。ひいては、シール部材8のシールリップ(ラジアルリップ10a)に内側から荷重がかかるのを防いで内方部材3(ハブ輪4と内輪5)の回転抵抗が増加するのを防ぐことができる。更に、キャップ部材11の圧入を完了したときには、隙間なく密封されることとなる。
加えて、空気溝11eは、嵌合部11aの先端側における断面積が大きく、後端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている。かかる構成によれば、嵌合部11aの先端側においては、空気溝11eが弾性変形しやすく嵌合部11aの剛性が低下しているので、キャップ部材11を圧入する際の押込荷重が小さくなる。また、嵌合部11aの後端側においては、空気溝11eが弾性変形しにくく嵌合部11aの剛性が保たれているので、キャップ部材11の圧入を完了したときの密封性を損なわない。従って、キャップ部材11の圧入を容易としつつ圧入を完了したときには隙間なく密封することができる。
1 車輪用軸受装置
2 外方部材
2c 外側転走面
2d 外側転走面
3 内方部材
4 ハブ輪
4a 小径段部
4d 内側転走面
4h 車輪取り付けフランジ
5 内輪
5a 内側転走面
6 転動体
6a ボール列
6b ボール列
7 リング部材
8 シール部材
9 芯金
10 シールゴム
11 キャップ部材
11a 嵌合部
11b 止板部
11c 蓋板部
11d ゴムシール部
11e 空気溝
11f 掛止部
11g 面取部
S 空間

Claims (3)

  1. 内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
    複数のハブボルトが圧入される車輪取り付けフランジを有するとともに軸方向に延びた小径段部を有するハブ輪、およびこのハブ輪の前記小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    前記外方部材と前記内方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に介装される複列の転動体と、
    前記外方部材の内部空間を密封するために当該外方部材のアウター側端部に装着されるシール部材と、
    前記外方部材の内部空間を密封するために当該外方部材のインナー側端部に装着されるキャップ部材と、を備えた車輪用軸受装置において、
    前記キャップ部材は、前記外方部材のインナー側内周面に嵌合する嵌合部を有しており、この嵌合部の先端側から圧入されて取り付けられるものとされ、
    前記嵌合部の外周には、先端側から軸方向に沿って空気溝が形成され、
    前記空気溝よりもインナー側で前記外方部材と前記キャップ部材が密閉されている、ことを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記キャップ部材は、前記外方部材のインナー側端面に当接する止板部を有しており、前記空気溝が先端側から前記止板部まで軸方向に沿って形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記空気溝は、前記嵌合部の先端側における断面積が大きく、後端側に向かうにつれて断面積が徐々に小さくなっている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輪用軸受装置。
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