JP2015224688A - 車輪支持用軸受ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】外輪の軸方向内端開口を塞ぐキャップの脱落を防止して、軸受寿命の急激な低下を抑制した車輪支持用軸受ユニットを提供する。【解決手段】径方向に円筒部20を貫通する貫通孔22が形成されたキャップ5aが、外輪1の内端部内周面に嵌合固定され、組立時においては、貫通孔22の外径側開口は外輪1の内周面により密封されている。内部空間11の温度が上昇して内圧が上昇すると、圧力を受けるキャップ5aが軸方向内側に移動して、貫通孔22の外径側開口が外輪1の内端部端面よりも軸方向内側に達すると、貫通孔22の外径側開口を密封していた外輪1の内周面(封止部材)による密封状態が解除され、貫通孔22により内部空間11と外部空間とが連通した状態となる。【選択図】図1
Description
本発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為の車輪支持用軸受ユニットの改良に関するものである。
従来より、自動車の車輪は、懸架装置に対して車輪支持用軸受ユニットにより回転自在に支持している。図13は、この様な車輪支持用軸受ユニットの従来構造の1例として、特許文献1に記載された従動輪用の車輪支持用軸受ユニットを示している。この車輪支持用軸受ユニット10は、外輪1と、ハブ2と、複数個の転動体3、3と、シールリング4と、キャップ5とを備えている。このうちの外輪1は、内周面に複列の外輪軌道6、6を、外周面の軸方向内端寄り部分に、懸架装置を構成するナックルに結合固定する為の固定側フランジ7を、それぞれ有している。尚、軸方向に関して「内」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向中央側を言い、各図の右側となる。反対に、自動車への組み付け状態で車両の幅方向外側となる、各図の左側を、軸方向に関して「外」と言う。
又、前記ハブ2は、外周面の軸方向外端寄り部分に、車輪及びブレーキディスクを支持固定する為の回転側フランジ8を、同じく軸方向中間部乃至内端寄り部分に複列の内輪軌道9、9を、それぞれ有している。又、前記各転動体3、3は、前記両外輪軌道6、6と前記両内輪軌道9、9との間に、両列毎にそれぞれ複数個ずつ、転動自在に設けられている。又、前記シールリング4は、前記外輪1の軸方向外端部内周面と前記ハブ2の軸方向中間部外周面との間に、この間部分を塞ぐ状態で設けられている。又、前記キャップ5は、金属板に塑性加工を施す事によりシャーレ状に造られたもので、外周部を構成する円筒部20を、前記外輪1の軸方向内端部に締り嵌めで嵌合(圧入)している。そして、この状態で、この外輪1の軸方向内端開口を底板部19で塞いでいる。
上述の様に構成する車輪支持用軸受ユニット10は、前記外輪1に形成された固定側フランジ7の軸方向内側面を懸架装置を構成するナックル(不図示)に当接させると共に、固定側フランジ7よりも軸方向内側に突出した部分をナックルにより覆われた状態で、懸架装置に固定されている。又、前記外輪1の内周面と前記ハブ2の外周面との間には円環状の内部空間11が形成され、この内部空間11の軸方向両端部は、前記シールリング4と前記キャップ5とによりそれぞれ気密性を保った状態で塞がれている。この様にして、各転動体3、3が設置される前記内部空間11から、封入されたグリースが外部に流出することを防止すると共に、外部空間から泥水及び塵埃が内部空間11内に侵入することを防止している。
ところで、特許文献2に記載されている様に、軸受組立時においては前記シールリング4を装着した状態で前記キャップ5を外輪1に圧入嵌合する為、前記内部空間11の圧力が上昇し、内部空間11の内圧は大気圧と比較して高い状態にある。さらに、自動車の走行により車輪支持用軸受ユニット10のハブ2が回転して内部空間11の温度が上昇すると、ボイルシャルルの法則により内圧が上昇する為に、上述した軸受組立時の内圧上昇分に加えて内部空間11の内圧がさらに高くなる。通常の自動車走行時における軸受自体の発熱による内圧上昇分に更に加えて、長くて急な下り坂又は過剰な制動動作により、回転側フランジ8に支持固定されたブレーキディスクか異常に高温になると、その熱がハブ2に伝導して、内部空間11が高温状態となり内圧が急激に高まり、前記キャップ5が外輪1から抜け落ちる虞がある。
キャップ5が外輪1から外れる時は、キャップ5が外部空間側に移動する(外れる)に伴い内部空間11の内圧は低下するが、外輪1とキャップ5との摩擦が静止摩擦から動摩擦に変わり摩擦係数が低下すること、キャップ5の底板部19の影響により円筒部20は底板部19側の剛性が高くて嵌合力が高い為にキャップ5の移動に伴って嵌合力の低下も進行することから、キャップ全体が一気に抜け落ちてしまう場合が多い。このキャップ5が外れると、転動体3が設置された軸受の内部空間11が外界に晒され、多量の泥水又は塵埃等が侵入すると共に、グリースが外部に流出する為に、車輪支持用軸受ユニット1の寿命が急激に低下してしまう。
本発明は、上述したような問題を解決する為になされており、外輪の軸方向内端開口を塞ぐキャップの脱落を防止して、軸受寿命の急激な低下を抑制した車輪支持用軸受ユニットを提供することを目的とする。
本発明の車輪支持用軸受ユニットは、内周面に複列の外輪軌道を有して懸架装置に支持固定される外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有して前記外輪の内径側に前記外輪と同心に配置されるハブと、前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に両列毎にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体と、前記外輪の軸方向外端開口を塞ぐ状態で前記外輪の軸方向外端開口部に装着されるシールリングと、前記外輪の軸方向内端開口全体を塞ぐ状態で前記外輪の軸方向内端開口部に装着されるキャップとを備えている。そして、前記ハブの外周面のうちで前記外輪の軸方向外端部よりも軸方向外方に突出した部分に車輪を支持する為の回転側フランジを設け、前記外輪の内周面と前記ハブの外周面とにより形成される内部空間が前記シールリングと前記キャップとにより気密状態に保たれている。
特に、本発明の車輪支持用軸受ユニットに於いては、前記内部空間と外部空間とを連通する貫通孔を設けると共に、この貫通孔は封止部材により密封されており、前記内部空間の内圧上昇時に前記封止部材による密封状態が解除されて前記内部空間と外部空間とが連通状態となる。
また、内圧上昇により前記キャップが外部空間側に移動することで、前記貫通孔が連通状態となる。
また、温度上昇により前記内部空間の内圧が上昇し、前記封止部材が溶融することで、前記貫通孔が連通状態となる。
また、前記貫通孔よりも前記内部空間側に、前記内部空間を仕切るシールリングを設けている。
また、温度上昇により前記内部空間の内圧が上昇し、前記封止部材が溶融することで、前記貫通孔が連通状態となる。
また、前記貫通孔よりも前記内部空間側に、前記内部空間を仕切るシールリングを設けている。
本発明によれば、外輪の軸方向内端開口を塞ぐキャップの脱落を防止して、軸受寿命の急激な低下を抑制した車輪支持用軸受ユニットを提供することができる。
即ち、温度上昇等により内部空間の内圧が上昇した場合、貫通孔が内部空間と外部空間とを連通して圧力を逃がすことでキャップを外部空間側に押す力を除去し、キャップが外輪の内端開口部から抜け落ちることを防止している。これにより、内部空間の軸方向内端開口の全体が外部に晒されることがないので、多量の異物混入、グリースの流出等による軸受寿命の急激な低下を防止している。
即ち、温度上昇等により内部空間の内圧が上昇した場合、貫通孔が内部空間と外部空間とを連通して圧力を逃がすことでキャップを外部空間側に押す力を除去し、キャップが外輪の内端開口部から抜け落ちることを防止している。これにより、内部空間の軸方向内端開口の全体が外部に晒されることがないので、多量の異物混入、グリースの流出等による軸受寿命の急激な低下を防止している。
[実施の形態の第1例]
図1は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、外輪1の軸方向内端開口を塞ぐキャップ5aの構造、並びに、この外輪1の軸方向内端開口部に対するこのキャップ5aの装着部の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図13に示した従来構造の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
図1は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、外輪1の軸方向内端開口を塞ぐキャップ5aの構造、並びに、この外輪1の軸方向内端開口部に対するこのキャップ5aの装着部の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図13に示した従来構造の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合、前記キャップ5aは、円板状の底板部19と、この底板部19の外周縁の全周を内径側に折り返した鍔部21と、この鍔部21の内径端から軸方向外側に向け直角に折れ曲がって延在する円筒部20とから成り、圧延鋼板或いはステンレス鋼板等の金属板に塑性加工を施すことにより、全体をシャーレ状に造られ、必要に応じて電着塗装等により防錆処理されている。この様な構成を有するキャップ5aは、前記円筒部20を前記外輪1の内端部内周面に圧入嵌合されると共に、前記鍔部21の軸方向外側面を前記外輪1の内端部端面に当接する事により、前記外輪1の軸方向内端開口の全体を塞ぐ状態で、この外輪1の軸方向内端開口部に装着されている。
又、前記円筒部20の前記鍔部21側には径方向に円筒部20を貫通する貫通孔22が形成されており、キャップ5aの組立完了時においては、貫通孔22の外径側開口は外輪1の内周面により密封されている(外輪1の内周面が請求項における封止部材に相当する)。この状態においては、前記貫通孔22を通じて内部空間11と外部空間とは連通しておらず、キャップ5aにより内部空間11は気密状態に保たれている。
激しい制動動作等によるブレーキディスクの発熱が軸受に伝播することで、内部空間11が高温状態となり内圧が異常に上昇した場合、圧力を受けるキャップ5aが軸方向内側に移動して外れ始めるが、前記貫通孔22の外径側開口が外輪1の内端部端面よりも軸方向内側に達すると、貫通孔22の外径側開口を密封していた外輪1の内周面(封止部材)による密封状態が解除され、貫通孔22により内部空間11と外部空間とが連通した状態となる。これにより、内部空間11内の空気が外部に排出されて減圧され、キャップ5aを軸方向内側へ移動させる力が除去されることでキャップ5aの移動が停止するので、キャップ5aは外輪1から抜け落ちることなく、外輪1の内端開口部に嵌合された状態を維持することができる。
上述の様に構成する本例の車輪支持用軸受ユニットの場合には、外輪1の軸方向内端開口を塞ぐキャップ5aの脱落を防止して、軸受寿命の急激な低下を抑制した車輪支持用軸受ユニットを提供することができる。
即ち、温度上昇等により内部空間11の内圧が上昇した場合、密封状態が解除された貫通孔22が内部空間11と外部空間とを連通して圧力を逃がすことで、キャップ5aが外輪1の内端開口部から抜け落ちることを防止することができる。これにより、内部空間11の軸方向内端側は貫通孔22において外部空間と連通してはいるが、その全体が外部に晒されることがないので、多量の異物混入、グリースの流出等による軸受寿命の急激な低下を防止している。キャップ5aを外輪1に圧入する軸受組立時においても、貫通孔22は内部空間11内の空気を外部に逃がす排気口として作用するので、組立時における内圧上昇を抑制することができる。また、熱による内圧上昇により軸方向内側に移動したキャップ5aは、内圧が減少しても元の位置に戻ることは無いので、キャップ5aの状態を調べることで過去に軸受が異常な高温状態になったことを事後確認することができる。
即ち、温度上昇等により内部空間11の内圧が上昇した場合、密封状態が解除された貫通孔22が内部空間11と外部空間とを連通して圧力を逃がすことで、キャップ5aが外輪1の内端開口部から抜け落ちることを防止することができる。これにより、内部空間11の軸方向内端側は貫通孔22において外部空間と連通してはいるが、その全体が外部に晒されることがないので、多量の異物混入、グリースの流出等による軸受寿命の急激な低下を防止している。キャップ5aを外輪1に圧入する軸受組立時においても、貫通孔22は内部空間11内の空気を外部に逃がす排気口として作用するので、組立時における内圧上昇を抑制することができる。また、熱による内圧上昇により軸方向内側に移動したキャップ5aは、内圧が減少しても元の位置に戻ることは無いので、キャップ5aの状態を調べることで過去に軸受が異常な高温状態になったことを事後確認することができる。
尚、貫通孔22の個数は任意であり、周方向に複数の貫通孔22を形成することもできる。また、貫通孔22を形成する周方向の位相に関しては、図1に示す様に鉛直方向において上側に設けることもできるが、水平方向または下側に形成すれば内部空間11内への浸水を抑制でき、下側に形成すれば内部空間11内に侵入した泥水等の排出口として作用させることもできる。また、キャップは鍔部21を設けない形状とする事もできるが、鍔部21には貫通孔22からの異物侵入を抑制するのラビリンスシールとしての効果がある。キャップ5aの製造時に於いては、貫通孔22はブランクの状態で孔明け加工により形成し、孔の明いた板材をバーリング加工等でプレス成形する為、新たな工程を追加する必要がなく、コストアップすることなく製造できる。
図2は、本発明の実施の形態の第1例の第1変形例を示している。本例の場合には、キャップ5bの鍔部21を、ワッシャ24を介してボルト23により外輪1の内端部端面に締結している。ワッシャ24は、はんだ等の低融点金属または樹脂の様な、高温で溶解する材料により造られている。また、ワッシャ24の厚さは、キャップ5bが軸方向内側に移動して、貫通孔22が内部空間11と外部空間とを連通するのに必要な最小限の移動距離と同じ長さに設定している。この様な構成においては、軸受が高温になるとワッシャ24が溶融して脱落するので、キャップ5bが抜け出す場合の抜け出し量を、貫通孔22による減圧可能な最小量に抑えることができる。また、通常の(高温でない)状態においては、キャップ5bはボルト23により強固に外輪に固定されていながら、高温の状態においては、キャップ5bはボルト23により抜け落ちることを防止されているので、軸受寿命の低下をより確実に抑制することができる。尚、ワッシャ24を省略して、ワッシャ24の厚さと同等の隙間を設けた状態でボルト23を固定することもできる。その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
図3は、本発明の実施の形態の第1例の第2変形例を示している。本例の場合には、外輪1cの軸方向内端寄り部分で、前記キャップ5の円筒部20が圧入される嵌合面の鉛直方向上側に、径方向に外輪1cを貫通する貫通孔22gが形成されている。キャップ5の組立完了時においては、貫通孔22gの内径側開口は円筒部20の外周面により密封されており、(円筒部20が請求項における封止部材に相当する)この状態においては、前記貫通孔22gを通じて内部空間11と外部空間とは連通しておらず、キャップ5により内部空間11は気密状態に保たれている。
この様な構成においては、軸受が高温になり内圧が異常に上昇した場合、圧力を受けるキャップ5が軸方向内側に移動して外れ始めるが、前記円筒部20の軸方向外端部が外輪1cに形成した前記貫通孔22gよりも軸方向内側に達すると、貫通孔22gの内径側開口を密封していた円筒部20の外周面(封止部材)による密封状態が解除され、貫通孔22gにより内部空間11と外部空間とが連通した状態となる。これにより、内部空間11内の空気が外部に排出されて減圧され、キャップ5を軸方向内側へ移動させる力が除去されることでキャップ5の移動が停止するので、キャップ5は外輪1cから抜け落ちることなく、外輪1cの内端開口部に嵌合された状態を維持することができる。
外輪1cに貫通孔22gを設ける本例の構成は、板金製のキャップ5に貫通孔を形成する場合と比較して、貫通孔の位置精度が向上する為、内部の空気が排出される位置(キャップ5の軸方向移動量)をより細かく設定することができる。さらに、貫通孔22gは、前記固定側フランジ7の近傍で、図示しないナックルにより覆われた奥側に形成されているので、円筒部20による封止状態が解除された後、外部空間と連通した状態となった貫通孔22gを通して、泥水や塵埃等が内部空間11に侵入する事が抑制される。
外輪1cに貫通孔22gを設ける本例の構成は、板金製のキャップ5に貫通孔を形成する場合と比較して、貫通孔の位置精度が向上する為、内部の空気が排出される位置(キャップ5の軸方向移動量)をより細かく設定することができる。さらに、貫通孔22gは、前記固定側フランジ7の近傍で、図示しないナックルにより覆われた奥側に形成されているので、円筒部20による封止状態が解除された後、外部空間と連通した状態となった貫通孔22gを通して、泥水や塵埃等が内部空間11に侵入する事が抑制される。
[実施の形態の第2例]
図4は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、キャップ5cを構成する底板部19に、軸方向に貫通して内部空間11と外部空間とを連通する貫通孔22aを形成すると共に、この貫通孔22aは封止部材であるゴム栓25を外部空間側から挿入することで密封されている。軸受が高温状態となり内圧が上昇すると、ゴム栓25が外部空間側に抜け落ちることで、密封状態が解除されて内部空間11は減圧される。また、キャップ5cを外輪1に嵌合固定後にゴム栓25をキャップ25に挿入するので、組立時において内部空間11の内圧が上昇することはない。貫通孔22aの個数及び形成する位置は任意であり、複数の貫通孔の形成が可能である。本例の場合、貫通孔22aの形成位置を鉛直方向下側として、ゴム栓25が抜け落ちた後の異物の侵入を抑制しながら排出口として作用させ、キャップ5cの内部に異物が貯留することを防止している。その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
図4は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、キャップ5cを構成する底板部19に、軸方向に貫通して内部空間11と外部空間とを連通する貫通孔22aを形成すると共に、この貫通孔22aは封止部材であるゴム栓25を外部空間側から挿入することで密封されている。軸受が高温状態となり内圧が上昇すると、ゴム栓25が外部空間側に抜け落ちることで、密封状態が解除されて内部空間11は減圧される。また、キャップ5cを外輪1に嵌合固定後にゴム栓25をキャップ25に挿入するので、組立時において内部空間11の内圧が上昇することはない。貫通孔22aの個数及び形成する位置は任意であり、複数の貫通孔の形成が可能である。本例の場合、貫通孔22aの形成位置を鉛直方向下側として、ゴム栓25が抜け落ちた後の異物の侵入を抑制しながら排出口として作用させ、キャップ5cの内部に異物が貯留することを防止している。その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
図5は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、外輪1aの外周面の軸方向中間部分に全周に亙り溝30を形成し、この溝30と径方向に重畳する位置に、外輪1を径方向に貫通して内部空間11と外部空間とを連通する貫通孔22bを設けている。溝30には封止部材であるOリング26を外嵌することで、前記貫通孔22bを密封している。軸受が高温状態となり内圧が上昇すると、前記Oリングが径方向外側に弾性変形することで、密封状態が解除されて内部空間11は減圧される。そして、減圧が完了するとOリング26は元の位置に戻り、貫通孔22bは再び密封状態となる。Oリング26は外輪1aの外周面へ弾性力により外嵌されており、Oリング26の円周応力と飛び散った泥水の水圧とが作用する方向が同じ(貫通孔22bにOリング26を押し付ける方向)であるため、外部から内部空間11へ異物が侵入することを防止している。また、キャップ5を外輪1aに嵌合固定後にOリング26を溝30に固定するので、組立時において内部空間11の内圧が上昇することはない。貫通孔22bの個数及び形成する位置は任意であり、複数の貫通孔の形成が可能であり、貫通孔22bの形成位置を鉛直方向下側とすれば、異物の侵入を抑制することができる。その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
図5は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、外輪1aの外周面の軸方向中間部分に全周に亙り溝30を形成し、この溝30と径方向に重畳する位置に、外輪1を径方向に貫通して内部空間11と外部空間とを連通する貫通孔22bを設けている。溝30には封止部材であるOリング26を外嵌することで、前記貫通孔22bを密封している。軸受が高温状態となり内圧が上昇すると、前記Oリングが径方向外側に弾性変形することで、密封状態が解除されて内部空間11は減圧される。そして、減圧が完了するとOリング26は元の位置に戻り、貫通孔22bは再び密封状態となる。Oリング26は外輪1aの外周面へ弾性力により外嵌されており、Oリング26の円周応力と飛び散った泥水の水圧とが作用する方向が同じ(貫通孔22bにOリング26を押し付ける方向)であるため、外部から内部空間11へ異物が侵入することを防止している。また、キャップ5を外輪1aに嵌合固定後にOリング26を溝30に固定するので、組立時において内部空間11の内圧が上昇することはない。貫通孔22bの個数及び形成する位置は任意であり、複数の貫通孔の形成が可能であり、貫通孔22bの形成位置を鉛直方向下側とすれば、異物の侵入を抑制することができる。その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第4例]
図6(a)は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、外輪1の内端開口を塞ぐキャップ5dの底板部19に、軸方向に貫通して内部空間11と外部空間とを連通する貫通孔22cを形成すると共に、この貫通孔22cは封止部材である低温溶融材27により密封されている。軸受が高温状態になると内圧が上昇するが、低温溶融材27が溶融して外部空間側に抜け落ちることで、密封状態が解除されて内部空間11は減圧される。封止部材としては高温で溶融する材料であれば特に限定されず、はんだ等の低温溶融金属、ポリエチレン等の樹脂、蝋等を使用することができる。また、キャップ5dを外輪1に嵌合固定後に、低温溶融材27により貫通孔22cを密封するので、組立時において内部空間11の内圧が上昇することはない。本例の場合にも、貫通孔22cを鉛直方向下側に形成して、封止部材が溶融した後は異物の排出口として作用させている。
図6(a)は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、外輪1の内端開口を塞ぐキャップ5dの底板部19に、軸方向に貫通して内部空間11と外部空間とを連通する貫通孔22cを形成すると共に、この貫通孔22cは封止部材である低温溶融材27により密封されている。軸受が高温状態になると内圧が上昇するが、低温溶融材27が溶融して外部空間側に抜け落ちることで、密封状態が解除されて内部空間11は減圧される。封止部材としては高温で溶融する材料であれば特に限定されず、はんだ等の低温溶融金属、ポリエチレン等の樹脂、蝋等を使用することができる。また、キャップ5dを外輪1に嵌合固定後に、低温溶融材27により貫通孔22cを密封するので、組立時において内部空間11の内圧が上昇することはない。本例の場合にも、貫通孔22cを鉛直方向下側に形成して、封止部材が溶融した後は異物の排出口として作用させている。
図6(b)は、本発明の実施の形態の第4例の変形例を示している。本例の場合には、外輪1の内端開口を塞ぐキャップ5eの底板部19に、切り起こし28を設けることにより、軸方向に貫通して内部空間11と外部空間とを連通する貫通孔22dを形成している。この貫通孔22dは封止部材である低温溶融材27aにより密封されているが、軸受が高温状態となり内圧が上昇すると、低温溶融材27aが溶融、脱落することで、密封状態が解除されて内部空間11は減圧される。切り起こし28は、溝底部19から内部空間側に向かって突出させ、下側のスリット部分を円筒部20に対向させることにより、防水効果を得ている。
図6(c)は、本発明の実施の形態の第4例における別の変形例を示している。本例の場合には、外輪1の内端開口を塞ぐキャップ5fの底板部19に、軸方向に貫通する状態で中空円筒状の管29を設けることにより、軸方向に貫通して内部空間11と外部空間とを連通する貫通孔22eを形成している。管29は、底板部19に固定された後、内部空間側を鉛直方向上側に向かって曲げ、外部空間側を鉛直方向上側に向かって曲げた後に鉛直方向下側に折り返している。そして、管29の内部には封止部材である低温溶融材27bを充填することで密封されている。軸受が高温になると内部空間11の内圧が上昇するが、前記低温溶融材27bが溶融して前記管29の内部を空気が通過して外部空間に排出されることで、密封状態が解除されて内部空間11は減圧される。この時、低温溶融材27bは外部に流出することなく管29の内部に残留するので、軸受の温度が低下すると低温溶融材27bは再度凝固し、貫通孔22eを再び密封状態にする。尚、図6(c)に於いて、外部空間側の管29は軸方向(図の右側)に折り返されているが、底板部19に沿って径方向(図の表裏方向)に折り返すことで、管29がキャップ5fから突出することを抑制できる。
図7は、本発明の実施の形態の第4例における別の変形例を示している。本例の場合には、外輪1bの軸方向中間部で鉛直方向下側に、径方向に貫通して内部空間11と外部空間とを連通する貫通孔22fを形成すると共に、この貫通孔22fに低温溶融材27cを充填することで密封している。その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第5例]
図8は、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合、キャップ5gは、円板状の底板部19と、この底板部19の外周縁から軸方向外側に向け直角に折れ曲がって延在する円筒部20aとから成り、圧延鋼板或いはステンレス鋼板等の金属板に塑性加工を施すことにより、全体を有底円筒状に造られている。この様な構成を有するキャップ5gは、円筒部20aを外輪1cの軸方向内端部の内周面に圧入嵌合される事により、外輪1cの軸方向内端開口の全体を塞いでいる。円筒部20aの軸方向外端部分には、径方向内方に折り曲げられた段差部31を介在させた状態で、外輪1cの軸方向内端部の内周面よりも小径である円筒状の小径段部32を設けている。この小径段部32の外周面及び円筒部20aの内周面は、ゴムの如きエラストマー等の弾性を有するシール材33を、全周に亙って被覆している。このシール材33の自由状態での外径寸法は、外輪1cの軸方向内端部の内径寸法よりも大きくしている。この様なシール材33を、小径段部32の外周面と外輪1cの軸方向内端部の内周面との間で、全周に亙って径方向に弾性的に圧縮した状態で挟持する事で、外輪1cの軸方向内端開口に対するカバー5gの嵌合部のシール性向上を図っている。
図8は、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合、キャップ5gは、円板状の底板部19と、この底板部19の外周縁から軸方向外側に向け直角に折れ曲がって延在する円筒部20aとから成り、圧延鋼板或いはステンレス鋼板等の金属板に塑性加工を施すことにより、全体を有底円筒状に造られている。この様な構成を有するキャップ5gは、円筒部20aを外輪1cの軸方向内端部の内周面に圧入嵌合される事により、外輪1cの軸方向内端開口の全体を塞いでいる。円筒部20aの軸方向外端部分には、径方向内方に折り曲げられた段差部31を介在させた状態で、外輪1cの軸方向内端部の内周面よりも小径である円筒状の小径段部32を設けている。この小径段部32の外周面及び円筒部20aの内周面は、ゴムの如きエラストマー等の弾性を有するシール材33を、全周に亙って被覆している。このシール材33の自由状態での外径寸法は、外輪1cの軸方向内端部の内径寸法よりも大きくしている。この様なシール材33を、小径段部32の外周面と外輪1cの軸方向内端部の内周面との間で、全周に亙って径方向に弾性的に圧縮した状態で挟持する事で、外輪1cの軸方向内端開口に対するカバー5gの嵌合部のシール性向上を図っている。
外輪1cの軸方向内端寄り部分で、キャップ5gの円筒部20aが圧入される嵌合面の鉛直方向上方に、径方向に外輪1cを貫通する貫通孔22gが形成されている。キャップ5gの組立完了時においては、貫通孔22gの内径側開口は円筒部20aの外周面により密封されており、(円筒部20aが請求項における封止部材に相当する)この状態においては、貫通孔22gを通じて内部空間11と外部空間とは連通しておらず、キャップ5gにより内部空間11は気密状態に保たれている。又、車輪支持用軸受ユニットを自動車に組み付けた状態においては、貫通孔22gの外径側開口は懸架装置を構成するナックル12と径方向に重畳しており、この状態において、貫通孔22gと外部空間とは、外輪1cとナックル12との間に存在する隙間を介して連通している。
この様な構成においては、軸受が高温になり内圧が異常に上昇した場合、圧力を受けるキャップ5gが軸方向内側に移動して外れ始めるが、円筒部20aの軸方向外端部(シール材33)が貫通孔22gよりも軸方向内側に達すると、密封状態が解除され、貫通孔22gにより内部空間11と外部空間とが連通した状態となる。これにより、キャップ5gの移動が停止するので、キャップ5gは外輪1cから抜け落ちることなく、外輪1cの内端開口部に嵌合された状態を維持することができる。
又、キャップ5gを外輪1cに圧入する際においては、円筒部20aのシール材33が外輪1cの軸方向内端部に接触(圧入)してから、シール材33が貫通孔22gに達するまでは、貫通孔22gにより内部空間11と外部空間とは連通した状態にある。従って、内部空間11の空気を外部空間に排出する事により、キャップ5gを外輪1cに圧入する組立工程における内圧上昇を抑制することができる。
又、キャップ5gを外輪1cに圧入する際においては、円筒部20aのシール材33が外輪1cの軸方向内端部に接触(圧入)してから、シール材33が貫通孔22gに達するまでは、貫通孔22gにより内部空間11と外部空間とは連通した状態にある。従って、内部空間11の空気を外部空間に排出する事により、キャップ5gを外輪1cに圧入する組立工程における内圧上昇を抑制することができる。
貫通孔22gは、固定側フランジ7の軸方向内側で、ナックル12により覆われた部分に形成されているので、円筒部20aによる封止状態が解除された後、外部空間と連通する貫通孔22gを通して、泥水や塵埃等が内部空間11に侵入する事が抑制される。或いは、外輪1cをナックル12に組み付けた状態で、貫通孔22gを外輪1cの鉛直方向下方に設ければ、排水性を向上することで貫通孔22gからの浸水を防止する事ができる。
又、円筒部20aの内周面を被覆するシール材33は、キャップ5gの底板部19まで延在している。これにより、シール材33をキャップ5gに加硫成型する際には、底板部19の軸方向外側面でシール材33の流れを止める事により、シール材33の成型を容易としている。
尚、キャップ5gの底板部19の径方向中央部を、軸方向外側(内部空間11側)に凹ませた凹部を形成したり、軸方向内側に突出した凸部を形成する事もできる。底板部19の径方向中央部に凹部または凸部を形成すると、底板部19の平坦度を向上させる事ができる。従って、底板部19を介してハブ2に係止した磁気エンコーダの磁束密度をセンシングする場合、磁気エンコーダとセンサのエアギャップを狭める事ができ、センシングの信頼性が向上する。その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
又、円筒部20aの内周面を被覆するシール材33は、キャップ5gの底板部19まで延在している。これにより、シール材33をキャップ5gに加硫成型する際には、底板部19の軸方向外側面でシール材33の流れを止める事により、シール材33の成型を容易としている。
尚、キャップ5gの底板部19の径方向中央部を、軸方向外側(内部空間11側)に凹ませた凹部を形成したり、軸方向内側に突出した凸部を形成する事もできる。底板部19の径方向中央部に凹部または凸部を形成すると、底板部19の平坦度を向上させる事ができる。従って、底板部19を介してハブ2に係止した磁気エンコーダの磁束密度をセンシングする場合、磁気エンコーダとセンサのエアギャップを狭める事ができ、センシングの信頼性が向上する。その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
図9は、本発明の実施の形態の第5例における第1変形例を示している。本例の場合には、外輪1dをナックル(不図示)に結合固定する為の固定側フランジ7aは、外輪1dの軸方向内端部に形成されると共に、径方向に外輪1cを貫通する貫通孔22gは、外輪1dの外周面で、固定側フランジ7aよりも軸方向外側部分に開口して形成されている。
図10は、本発明の実施の形態の第5例における第2変形例を示している。本例の場合には、キャップ5hは、円板状の底板部19と、この底板部19の外周縁の全周を内径側に折り返した鍔部21と、この鍔部21の内径端から軸方向外側に向け直角に折れ曲がって延在する円筒部20aとから成り、全体をシャーレ状に造られている。この様なキャップ5hは、円筒部20aを外輪1cの軸方向内端部の内周面に圧入嵌合されると共に、鍔部21の軸方向外側面を外輪1cの内端部端面に当接する事により、外輪1cの軸方向内端開口部に装着されている。
図10は、本発明の実施の形態の第5例における第2変形例を示している。本例の場合には、キャップ5hは、円板状の底板部19と、この底板部19の外周縁の全周を内径側に折り返した鍔部21と、この鍔部21の内径端から軸方向外側に向け直角に折れ曲がって延在する円筒部20aとから成り、全体をシャーレ状に造られている。この様なキャップ5hは、円筒部20aを外輪1cの軸方向内端部の内周面に圧入嵌合されると共に、鍔部21の軸方向外側面を外輪1cの内端部端面に当接する事により、外輪1cの軸方向内端開口部に装着されている。
[実施の形態の第6例]
図11は、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合、キャップ5aよりも軸方向外側(内部空間11a側)で、外輪1の軸方向内端寄り部分の内周面と、ハブ2の軸方向内端部の外周面との間にシールリング35を設けている。このシールリング35は、芯金36とシール部材37とを備えており、心金36の外周縁部分にシール部材37を加硫接着している。芯金36は、板材をプレス加工する事により、全体を円環状で断面L字に形成したものであり、その円筒状部分をハブ2の軸方向内端部の外周面に外嵌固定している。シール部材37は、メインリップ38と、このメインリップ38よりも薄肉として剛性を低くし、さらに締め代を小さくしたサブリップ39とを備えている。メインリップ38は、芯金36の外周縁から、径方向外方に向かうに従い軸方向外側(内部空間11a側)に向かって延出し、その先端縁を外輪1の内周面に全周に亘り摺接させている。サブリップ39は、芯金36の外周縁から、径方向外方に向かうに従い軸方向内側(キャップ5a側)に向かって延出し、その先端縁を外輪1の内周面に全周に亘り摺接させている。この状態において、内部空間11aの軸方向内側にはシールリング35により仕切られたキャップ空間40が存在し、キャップ5aにより両空間共に気密状態に保たれている。
図11は、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合、キャップ5aよりも軸方向外側(内部空間11a側)で、外輪1の軸方向内端寄り部分の内周面と、ハブ2の軸方向内端部の外周面との間にシールリング35を設けている。このシールリング35は、芯金36とシール部材37とを備えており、心金36の外周縁部分にシール部材37を加硫接着している。芯金36は、板材をプレス加工する事により、全体を円環状で断面L字に形成したものであり、その円筒状部分をハブ2の軸方向内端部の外周面に外嵌固定している。シール部材37は、メインリップ38と、このメインリップ38よりも薄肉として剛性を低くし、さらに締め代を小さくしたサブリップ39とを備えている。メインリップ38は、芯金36の外周縁から、径方向外方に向かうに従い軸方向外側(内部空間11a側)に向かって延出し、その先端縁を外輪1の内周面に全周に亘り摺接させている。サブリップ39は、芯金36の外周縁から、径方向外方に向かうに従い軸方向内側(キャップ5a側)に向かって延出し、その先端縁を外輪1の内周面に全周に亘り摺接させている。この状態において、内部空間11aの軸方向内側にはシールリング35により仕切られたキャップ空間40が存在し、キャップ5aにより両空間共に気密状態に保たれている。
内部空間11aの圧力が異常に上昇した場合、内部空間11a内の空気がメインリップ38及びサブリップ39の摺接部分を通過してキャップ空間40に移動する事により、内部空間11aは減圧される。そして、内部空間11aの空気が流入したキャップ空間40の内圧が上昇するが、圧力を受けたキャップ5aが軸方向内側に移動して、貫通孔22が外部空間に開口して密封状態が解除される。キャップ空間40と外部空間とは連通した状態となり、キャップ空間40の圧力は、外部空間と同等になる。
上述のように構成する本例の場合には、キャップ5aの貫通孔22が外部空間と連通した状態となった後でも、軸受寿命の低下を抑制している。
即ち、キャップ空間40の軸方向内端側は貫通孔22により外部空間と連通しているが、内部空間11aはシールリング35により密封されているので、内部空間11aの内部には、異物が侵入したり、封入されたグリースが外部空間に流出することはない。
尚、空気を外部空間に排出する為の貫通孔22は小さな孔であり、この貫通孔22からの異物の侵入は僅かである。従って、内部空間11aへの異物の侵入を阻止するサブリップ39は、薄肉として剛性を下げ、締め代も小さくすることにより、回転トルクの上昇を抑制している。一方、メインリップ38は、厚肉として剛性を高め、締め代も大きくすることにより、温度上昇によって上昇した内部空間11aの圧力をある程度維持する様にして、内部空間11aとキャップ空間40との間に圧力差が発生する(内部空間11aの圧力>キャップ空間40の圧力)構成としている。これにより、内部空間11aの圧力が大きく上昇しても、キャップ空間40の圧力上昇を緩和して、キャップ5aの移動を抑制している。
また、貫通孔22は、外輪1の鉛直方向下側(道路側)に設けることにより、キャップ空間40に侵入した異物を排出容易とし、キャップ空間40の内部に異物が貯留することを防止している。その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
即ち、キャップ空間40の軸方向内端側は貫通孔22により外部空間と連通しているが、内部空間11aはシールリング35により密封されているので、内部空間11aの内部には、異物が侵入したり、封入されたグリースが外部空間に流出することはない。
尚、空気を外部空間に排出する為の貫通孔22は小さな孔であり、この貫通孔22からの異物の侵入は僅かである。従って、内部空間11aへの異物の侵入を阻止するサブリップ39は、薄肉として剛性を下げ、締め代も小さくすることにより、回転トルクの上昇を抑制している。一方、メインリップ38は、厚肉として剛性を高め、締め代も大きくすることにより、温度上昇によって上昇した内部空間11aの圧力をある程度維持する様にして、内部空間11aとキャップ空間40との間に圧力差が発生する(内部空間11aの圧力>キャップ空間40の圧力)構成としている。これにより、内部空間11aの圧力が大きく上昇しても、キャップ空間40の圧力上昇を緩和して、キャップ5aの移動を抑制している。
また、貫通孔22は、外輪1の鉛直方向下側(道路側)に設けることにより、キャップ空間40に侵入した異物を排出容易とし、キャップ空間40の内部に異物が貯留することを防止している。その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
図12は、本例の変形例を示している。本変形例の場合、内周部にシールリップを有するシールリング35aを外輪1の内周面に固定している。このシールリング35aは、芯金36aとシール部材37aとを備えており、心金36aの内外周縁部分及び軸方向内側面にシール部材37aを加硫接着している。芯金36aは、全体を円環状で断面略L字に形成している。シール部材37aは、メインリップ38aと、このメインリップ38aよりも薄肉として剛性を低くし、さらに締め代を小さくしたサブリップ39aとを備えている。メインリップ38aは、芯金36aの内周縁から、径方向内方に向かうに従い軸方向外側(内部空間11a側)に向かって延出し、その先端縁をハブ2の外周面に全周に亘り摺接させている。サブリップ39aは、芯金36aの内周縁から、径方向内方に向かうに従い軸方向内側(キャップ5a側)に向かって延出し、その先端縁をハブ2の外周面に全周に亘り摺接させている。シール部材37aの外周部分を、外輪1の内周面に形成した板溝41に係止することにより、シールリング35aを外輪1に内嵌固定している。
上述の様に構成する本変形例の場合には、板溝41にシールリング35aのシール部材37aを圧入すると共に、サブリップ39aの摺接面を貫通孔22よりも鉛直方向上側に位置させることにより、キャップ空間40内に水などが溜まった場合でも、シールリング35aの嵌合部及び摺接部から異物が内部空間11aに侵入することを防止している。また、メインリップ38a及びサブリップ39aの摺接面をハブ2の外周面とし、摺接径を小さくして、回転トルクの低減を図っている。更に、板溝41にシールリング35aを係止する構造としているので、係止部分の軸方向寸法を小さくすることが可能である。
本発明を実施する場合、キャップの形状は鍔部を有するシャーレ形状に限定されるものではなく、軸受端部を気密状態に保つキャップであれば、鍔部を有しない形状、底板部の一部を軸方向に膨出させた形状等の各種の構造を採用することができる。又、上述した実施の形態の第3例及び第4例の変形例(図7)に示した形態は、従動輪用の車輪支持用軸受ユニットに限らず、駆動輪用の車輪支持用軸受ユニットにも適用する事ができる。本発明を駆動輪用の車輪支持用軸受ユニットに適用する場合、外輪の軸方向内端開口を塞ぐキャップの代わりに、円環状のシールリングを設け、その内径側に駆動軸部材の中間部を挿通可能とする。又、上記各実施例では転動体として玉を例示しているが、特に重量が嵩む自動車に用いられる車輪支持用軸受ユニットには転動体として円すいころが使用される。円すいころ軸受は、玉軸受と比較して回転による発熱が大きい為、本発明をより好適に使用できる。
本発明の車輪支持用軸受ユニットは、自動車の車輪を回転自在に支持する軸受ユニットとして好適に使用することができる。
1、1a〜1d 外輪
2 ハブ
3 転動体
4 シールリング
5、5a〜5h キャップ
6 外輪軌道
7,7a 固定側フランジ
8 回転側フランジ
9 内輪軌道
10 車輪支持用軸受ユニット
11,11a 内部空間
12 ナックル
19 底板部
20,20a 円筒部
21 鍔部
22、22a〜22g 貫通孔
23 ボルト
24 ワッシャ
25 ゴム栓
26 Oリング
27、27a〜27c 低温溶融材
28 切り起こし
29 管
30 溝
31 段差部
32 小径円筒部
33 シール材
35,35a シールリング
36,36a 芯金
37,37a シール部材
38,38a メインリップ
39,39a サブリップ
40 キャップ空間
41 板溝
2 ハブ
3 転動体
4 シールリング
5、5a〜5h キャップ
6 外輪軌道
7,7a 固定側フランジ
8 回転側フランジ
9 内輪軌道
10 車輪支持用軸受ユニット
11,11a 内部空間
12 ナックル
19 底板部
20,20a 円筒部
21 鍔部
22、22a〜22g 貫通孔
23 ボルト
24 ワッシャ
25 ゴム栓
26 Oリング
27、27a〜27c 低温溶融材
28 切り起こし
29 管
30 溝
31 段差部
32 小径円筒部
33 シール材
35,35a シールリング
36,36a 芯金
37,37a シール部材
38,38a メインリップ
39,39a サブリップ
40 キャップ空間
41 板溝
Claims (4)
- 内周面に複列の外輪軌道を有して懸架装置に支持固定される外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有して前記外輪の内径側に前記外輪と同心に配置されるハブと、前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に両列毎にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体と、前記外輪の軸方向外端開口を塞ぐ状態で前記外輪の軸方向外端開口部に装着されるシールリングと、前記外輪の軸方向内端開口全体を塞ぐ状態で前記外輪の軸方向内端開口部に装着されるキャップとを備え、前記ハブの外周面のうちで前記外輪の軸方向外端部よりも軸方向外方に突出した部分に車輪を支持する為の回転側フランジを設け、前記外輪の内周面と前記ハブの外周面とにより形成される内部空間が前記シールリングと前記キャップとにより気密状態に保たれた車輪支持用転がり軸受ユニットに於いて、
前記内部空間と外部空間とを連通する貫通孔を設けると共に、この貫通孔は封止部材により密封されており、前記内部空間の内圧上昇時に前記封止部材による密封状態が解除されて前記内部空間と外部空間とが連通状態となることを特徴とする車輪支持用軸受ユニット。 - 内圧上昇により前記キャップが外部空間側に移動することで、前記貫通孔が連通状態となることを特徴とする請求項1に記載の車輪支持用軸受ユニット。
- 温度上昇により前記内部空間の内圧が上昇し、前記封止部材が溶融することで、前記貫通孔が連通状態となることを特徴とする請求項1に記載の車輪支持用軸受ユニット。
- 前記貫通孔よりも前記内部空間側に、前記内部空間を仕切るシールリングを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車輪支持用軸受ユニット。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014109057A JP2015224688A (ja) | 2014-05-27 | 2014-05-27 | 車輪支持用軸受ユニット |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101814597B1 (ko) | 2016-06-10 | 2018-01-04 | 주식회사 일진글로벌 | 휠 베어링용 실링 캡 |
JP2018053963A (ja) * | 2016-09-27 | 2018-04-05 | Ntn株式会社 | 車輪用軸受装置 |
JP2020034305A (ja) * | 2018-08-27 | 2020-03-05 | 横河電機株式会社 | フィールド機器 |
-
2014
- 2014-05-27 JP JP2014109057A patent/JP2015224688A/ja active Pending
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JP2020034305A (ja) * | 2018-08-27 | 2020-03-05 | 横河電機株式会社 | フィールド機器 |
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