JP2019044185A - 改質ポリプロピレン系樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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岡本 卓治
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Abstract

【課題】架橋構造又は長鎖分岐構造を有する改質ポリプロピレン系樹脂を生産性良く提供する。【解決手段】示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下であるポリプロピレン系樹脂(A)を、ラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)の存在下で改質処理する工程を含む、改質ポリプロピレン系樹脂の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、改質ポリプロピレン系樹脂及びその製造方法に関し、詳しくは架橋構造又は長鎖分岐構造を有する改質ポリプロピレン系樹脂及びその製造方法に関する。
ポリプロピレンは、機械的性質、耐薬品性等に優れ、また経済性とのバランスにおいて極めて有用なため各成形分野に広く用いられている。しかしながら、溶融張力が小さいことから中空成形、発泡成形、押し出し成形等の成形性に劣っている。この改良のため、ポリプロピレンの架橋体や長鎖分岐を導入した材料や、この材料を通常のポリプロピレンに添加することによりポリプロピレンの成形性を向上することが提案されている。
例えば、特許文献1には、溶融張力が高く、剛性及び成形性に優れた改質ポリプロピレンを製造する方法を提供することを目的として、直鎖状のポリプロピレンに対し架橋助剤を添加混合した後、該混合物に電離性放射線を照射し、引き続いて加熱処理する改質ポリプロピレンの製法が開示されている。特許文献2には、押出発泡性が良好であるとともに、得られた発泡体を熱成形する際のドローダウンを小さくでき、しかも発泡シートの再生利用が可能な押出発泡用ポリプロピレン系樹脂を提供することを目的として、微架橋されているが実質的にゲル分率が0%であり、かつメルトテンション(MT)の自然対数値とメルトフローレイト(MFR)の自然対数値との間に特定の関係が成り立つ、押出発泡用ポリプロピレン系樹脂が開示されている。また、特許文献3には、高い溶融張力を有する改質ポリプロピレン系樹脂を提供することを目的として、特定のポリプロピレン系樹脂(a)を溶媒に溶解した状態で過酸化物及び架橋剤の存在下、加熱処理することにより溶融張力(MT)を2倍以上に増大させてなる改質ポリプロピレン系樹脂(a’)の製造方法が開示されている。
特開平7−292024号公報 特開平11−80262号公報 特開2008−163065号公報
特許文献1に記載の技術では、大線量の電子線照射が必要であった。特許文献2に記載の押出発泡用ポリプロピレン系樹脂の製造方法では、水系分散体中にポリプロピレン粒子と過酸化物と主鎖切断防止剤とを混合し微架橋させている。しかしながら、ポリプロピレン粒子の結晶性が高いために、過酸化物及び主鎖切断防止剤のポリプロピレン粒子への浸透度が低く、架橋の程度が低いという課題があった。また、特許文献3に記載の技術では、高結晶性で高融点のポリプロピレン系樹脂を使用しているために、溶解温度を高くせざるを得ず、生産性が低いという課題があった。また、得られたポリマーの融点が依然として高いため他の樹脂に添加し、溶融張力の増大による成形性の改質を行う際、その混練温度が高くなり、改質ポリプロピレンの分解反応により所望の成形性改良効果が得られないことがあった。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、架橋構造又は長鎖分岐構造を有する改質ポリプロピレン系樹脂を生産性良く提供することである。
本願開示は、以下に関する。
<1>示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下であるポリプロピレン系樹脂(A)を、ラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)の存在下で改質処理する工程を含む、改質ポリプロピレン系樹脂の製造方法。
<2>前記ポリプロピレン系樹脂(A)がメタロセン触媒により得られるポリプロピレン系樹脂である、上記<1>に記載の製造方法。
<3>前記改質処理を40〜120℃において行う、上記<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4>前記改質処理を有機溶媒又は非有機溶媒中で行う、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の製造方法。
<5>ポリプロピレン系樹脂(A)に対する前記ラジカル発生剤(B)の濃度が0.3〜3.0質量%である、上記<4>に記載の製造方法。
<6>ポリプロピレン系樹脂(A)に対する前記主鎖切断防止剤(C)の濃度が0.1〜20質量%である、上記<4>又は<5>に記載の製造方法。
<7>示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下であり、架橋構造又は長鎖分岐構造を有する、改質ポリプロピレン系樹脂。
<8>Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比(Mz/Mw)が1.85以上である、上記<7>に記載の改質ポリプロピレン系樹脂。
本発明によれば、架橋構造又は長鎖分岐構造を有する改質ポリプロピレン系樹脂を生産性良く提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、数値の記載に関する「A〜B」という用語は、「A以上B以下」(A<Bの場合)又は「A以下B以上」(A>Bの場合)を意味する。また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本発明の改質ポリプロピレン系樹脂の製造方法は、特定のポリプロピレン系樹脂(A)を、ラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)の存在下で改質処理を行う工程を含む。
<ポリプロピレン系樹脂(A)>
本実施形態で用いるポリプロピレン系樹脂(A)は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下である。融解吸熱量(ΔH−D)が80J/gを超えると、結晶性が高く非晶部分が少ないため、ラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)がポリプロピレン系樹脂(A)に浸入しにくく反応率が低下するため、生産性が低下する。このような観点から、融解吸熱量(ΔH−D)は、好ましくは70J/g以下、より好ましくは60J/g以下、更に好ましくは50J/g以下であり、そして、べたつきをより抑制する観点から、好ましくは10J/g以上、より好ましくは20J/g以上、更に好ましくは30J/g以上である。
上記融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、DSC測定により得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御することができる。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。本発明における「ポリプロピレン」という用語は、プロピレン単独重合体のみならず、重合体中にプロピレン単位以外のオレフィン単位を50質量%以下含んでいるプロピレン−オレフィンランダム共重合体及びプロピレン−オレフィンブロック共重合体も包含する。
ポリプロピレン系樹脂(A)が共重合体である場合、プロピレン単位の共重合比は、50モル%を超え、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上である。共重合可能なモノマーとしては、エチレン及び炭素数4〜30のα−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つであり、具体例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等の直鎖オレフィンや、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン等の分岐オレフィンが挙げられる。ポリプロピレン系樹脂(A)が共重合体である場合、ポリプロピレン系樹脂(A)は、エチレン及び炭素数4〜30のα−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つの構成単位を、0モル%を超え20モル%以下含むことが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、下記(1)を満たすことが好ましい。
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が、観測されないか又は0℃以上120℃以下である。
ポリプロピレン系樹脂(A)の融点(Tm−D)は、観測されないか又は0℃以上120℃以下であることが好ましい。融点が観測される場合には、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは35℃以上、より更に好ましくは40℃以上であり、そして、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下である。ポリプロピレン系樹脂(A)の融点(Tm−D)が120℃を超えると、反応温度を高くすることが必要となるため、生産性が低下する。それに加えて、得られる改質ポリプロピレン系樹脂の成形温度が高くなるため、分解によって所望の効果が得られなくなる。
なお、融点は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御可能である。
ポリプロピレン系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、ラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)との反応性の観点から、好ましくは30,000以上、より好ましくは35,000以上、更に好ましくは40,000以上であり、そして、好ましくは150,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは50,000以下である。
ポリプロピレン系樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、ラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)との反応性の観点から、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.8以下、更に好ましくは2.6以下、より更に好ましくは2.5以下であり、そして、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.6以上、更に好ましくは1.7以上、より更に好ましくは1.8以上である。
上記の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)測定により求められる。重量平均分子量は、下記の装置及び条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量であり、分子量分布は、同様にして測定した数平均分子量(Mn)及び上記重量平均分子量より算出した値である。
<GPC測定装置>
カラム :東ソー(株)製「TOSO GMHHR−H(S)HT」
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出 ウォーターズ・コーポレーション製「WATERS 150C」
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0mL/分
試料濃度 :5mg/10mL
注入量 :300μL
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
ポリプロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、ラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)との反応性の観点から、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは7g/10分以上、更に好ましくは10g/10分以上であり、そして、好ましくは5000g/10分以下、より好ましくは4000g/10分以下、更に好ましくは3000g/10分以下である。ポリプロピレン系樹脂(A)のMFRの測定方法は、ISO 1133:1997に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定される。
ポリプロピレン系樹脂(A)としては市販品を用いることができる。具体例としては、「L−MODU」(登録商標)(出光興産(株)製)の「S400」、「S600」、「S901」が挙げられる。非晶質ポリα−オレフィンの市販品として、REXtac,LLC社製の「APAO」、エボニック社製の「Vestoplast」、Eastman社製の「Eastoflex」等も挙げられる(いずれも商品名)。プロピレン系エラストマーの市販品として、三井化学(株)製の「タフマーXM」、「タフマーPN」、「タフマーSN」;住友化学(株)製の「タフセレン」;(株)プライムポリマー製の「プライムTPO」;ダウ・ケミカル(株)製の「Versify」;エクソンモービル社製の「Vistamaxx」、「Linxar」、クラリアント社製の「Licocene」;バセル社製の「Adflex」、Eastman社製の「Aerafin」等も挙げられる(いずれも商品名)。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、チーグラーナッタ型の触媒やメタロセン触媒等の重合触媒の存在下で単量体を重合させて得ることができる。中でも、ポリプロピレン系樹脂(A)は、メタロセン触媒により得られるポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。メタロセン触媒は均一系触媒の一種であり、得られる重合体は狭い分子量分布や狭い組成分布を有する均一な重合体となる。メタロセン触媒により得られるポリプロピレン系樹脂を用いることで、ラジカル発生剤(B)や主鎖切断防止剤(C)との反応が均一して発生するため、均一な製品が得られやすい。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、単一成分である必要は無く、2種以上のポリプロピレン系樹脂(A)を混合して用いることも可能である。さらに、本発明の目的に反しない範囲で、ポリエチレン系樹脂や、ポリブテン系樹脂をはじめとするポリオレフィン樹脂や他の熱可塑性樹脂を混合することもできる。
<ラジカル発生剤(B)>
本実施形態で用いるラジカル発生剤(B)としては、好適には過酸化物が挙げられる。
過酸化物としては、従来公知のラジカル開始剤、例えば各種有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物等の中から適宜選択して用いることができるが、これらの中で有機過酸化物が好適である。
この有機過酸化物としては、例えば、ジベンゾイルパーオキシド、ジ−(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ジデカノイルパーオキシド、ジ−(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオキシド等のジアシルパーオキシド類;t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類;ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等のジアルキルパーオキシド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート類等が挙げられる。これらの中では、ジアルキルパーオキシド類が好ましい。また、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの有機過酸化物の具体的な市販品としては、例えば、日油(株)製の「パーヘキシン25B」、「パーブチルD」、「パーブチルC」、「パーヘキサ25B」、「パークミルD」、「パーブチルP」、「パーブチルH」、「パーヘキシルH」、「パークミルH」、「パーオクタH」、「パークミルP」、「パーメンタH」、「パーブチルSM」、「パーメックN」、「ペロマーAC」、「パーヘキサV」、「パーヘキサ22」、「パーヘキサCD」、「パーテトラA」、「パーヘキサC」、「パーヘキサ3M」、「パーヘキサHC」、「パーヘキサTMH」、「パーブチルIF」、「パーブチルZ」、「パーブチルA」、「パーヘキシルZ」、「パーヘキサ25Z」、「パーブチルE」、「パーブチルL」、「パーヘキサ25MT」、「パーブチルI」、「パーブチル355」、「パーブチルMA」、「パーヘキシルI」、「パーブチルIB」、「パーブチルO」、「パーヘキシルO」、「パーシクロO」、「パーヘキサ250」、「パーオクタO」、「パーブチルPV」、「パーヘキシルPV」、「パーブチルND」、「パーヘキシルND」、「パーシクロND」、「パーオクタND」、「パークミルND」、「ダイパーND」、「パーロイルSOP」、「パーロイルOPP」、「パーロイルMBP」、「パーロイルEEP」、「パーロイルIPP」、「パーロイルNPP」、「パーロイルTCP」、「パーロイルIB」、「パーロイルSA」、「パーロイルS」、「パーロイルO」、「パーロイルL」、「パーロイル355」、「ナイパーBW」、「ナイパーBMT」、「ナイパーCS」等が挙げられる(いずれも商品名)。
ラジカル発生剤(B)としては特に制限はなく、改質ポリプロピレン系樹脂の所望物性に応じて適宜選定されるが、1分間半減期温度が原料ポリプロピレン系樹脂の融点以下のものを選択して用いることが好ましい。ここで、「1分間半減期温度」とは、ラジカル発生剤が分解して1分間で元の半分の量になるときの温度である。
上記ラジカル発生剤(B)は、水、不活性溶媒、又は不活性な無機化合物のエマルジョン溶液を用いて希釈して用いることもできる。不活性溶媒の具体例としては、オクタン、デカン、キシレン、シリコンオイル等がある。不活性無機化合物としては、シリカゲル、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等がある。この希釈を行うことでラジカル発生剤(B)の危険性を低減することができる。
ラジカル発生剤(B)の使用量としては、ポリプロピレン系樹脂(A)100質量%に対し、好ましくは0.3〜3質量%、より好ましくは0.5〜2質量%の範囲である。ラジカル発生剤(B)の使用量が上記範囲内であれば、改質ポリプロピレン系樹脂をより生産性良く製造することができる。
なお、改質ポリプロピレン系樹脂を製造するにあたり、ラジカル発生剤(B)を使用せずに、電離性放射線を照射することでラジカルを発生させることもできる。
電離性放射線としては、α線、β線、γ線、X線、電子線が挙げられるが好ましいのはγ線と電子線であり、実用上最も好ましいのは電子線である。これら電離性放射線の照射線量率は特に規定されないが、γ線の場合は照射線量率として約2.6×10-2〜2.6×102C・kg-1/h程度、また電子線の場合はγ線の500倍以上の照射線量率での照射条件が可能である。高線量率での照射が可能な電子線の場合には短時間で多量の改質ポリプロピレン系樹脂が得られるので経済的に好ましい。これら電離性放射線のポリプロピレン系樹脂(A)と主鎖切断防止剤(C)の混合物への照射は、吸収線量が0.1〜20kGyとなる範囲が適当であり、より好ましくは0.2〜15kGyであり、最も好ましくは0.5〜10kGyである。吸収線量が少ないと得られる改質ポリプロピレン系樹脂の溶融張力の向上が不十分であり、吸収線量が多いと得られる改質ポリプロピレン系樹脂中にゲルが発生する。ここで(Gy)とは通常、放射線源に無関係に被照射物1kg当り、1Jのエネルギーの吸収を生じる電離性放射線の量と定義される。本発明においては、ポリプロピレン系樹脂(A)と主鎖切断防止剤(C)の混合物の吸収線量は直接測定されないが、被照射混合物の表面に置かれた公知の通常の線量計が吸収し、測定表示された線量と等価であることを意味する。
ポリプロピレン系樹脂(A)と主鎖切断防止剤(C)の混合物への電離性放射線照射時の温度は−10〜80℃、好ましくは−5〜60℃、特に好ましくは0〜50℃の範囲で実施する。また、照射時の雰囲気としては空気中でも実施することが可能であるが、得られる改質ポリプロピレン系樹脂の固有粘度のコントロール性と溶融張力の向上の面から不活性ガス雰囲気下、例えば窒素雰囲気下において実施することがより好ましい。
なお、ラジカル発生剤(B)として電離性放射線を用いる場合、ポリプロピレン系樹脂(A)と主鎖切断防止剤(C)の混合物に電離性放射線を照射するが、照射前に混合物を溶融混練し、更に粒状にカットし、ペレットとした後、電離性放射線の照射をすることも可能である。
<主鎖切断防止剤(C)>
本実施形態で用いる主鎖切断防止剤(C)は、ラジカルによってポリプロピレン系樹脂(A)の主鎖が切断されるのを防止する役割を果たす。主鎖切断防止剤(C)としては、例えばジビニル芳香族化合物、(メタ)アクリレート化合物、シアヌレート化合物、ジアリル化合物、オキシム化合物、マレイミド化合物等が挙げられる。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種を意味する。
ジビニル芳香族化合物の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジ−i−プロペニルベンゼン等が挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、モノアクリレート化合物、モノメタクリレート化合物、ジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物、トリアクリレート化合物、トリメタクリレート化合物、テトラアクリレート化合物等が挙げられる。
モノアクリレート化合物の具体例としては、t−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート等が挙げられる。モノメタクリレート化合物の具体例としては、t−ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、メトキシエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
ジアクリレート化合物の具体例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられる。ジメタクリレート化合物の具体例としては、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
トリアクリレート化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。トリメタクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等が挙げられる。テトラアクリレート化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等が挙げられる。
シアヌレート化合物の具体例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。ジアリル化合物の具体例としては、ジアリルフタレート等が挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等が挙げられる。マレイミド化合物の具体例としては、フェニルマレイミド等が挙げられる。
上記の中でも、ビニル結合を1分子中に2つ有する反応性の高いジビニルベンゼンが主鎖切断防止剤(C)として好ましい。主鎖切断防止剤(C)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
主鎖切断防止剤(C)の使用量としては、ポリプロピレン系樹脂(A)100質量%に対し、好ましくは0.1〜20質量%である。主鎖切断防止剤(C)の使用量が上記範囲内であれば、改質ポリプロピレン系樹脂をより生産性良く製造することができる。
<溶媒(D)>
本発明の方法において、ポリプロピレン系樹脂(A)の改質処理は、溶媒(D)中で行ってもよい。溶媒(D)は、ポリプロピレン系樹脂(A)、ラジカル発生剤(B)及び/又は主鎖切断防止剤(C)を溶解するものであってもよいし、分散させるものであってもよい。溶媒(D)がポリプロピレン系樹脂(A)、ラジカル発生剤(B)及び/又は主鎖切断防止剤(C)を溶解するものである場合、得られる改質ポリプロピレン系樹脂のハンドリング性の観点から、ポリプロピレン系樹脂(A)のペレット形状を保持できることが好ましく、ポリプロピレン系樹脂(A)を膨潤する条件でラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)をポリプロピレン系樹脂(A)中に取り込む条件で使用することが好ましい。膨潤させる場合には、ポリプロピレン樹脂(A)と溶解度パラメータ(SP値)が近い物質を選定し、ポリプロピレン樹脂(A)が溶解せず、かつ、ポリプロピレン樹脂(A)の融点以下で実施することが好ましい。ここで、溶剤(D)として、好ましくは溶解度パラメータが6〜12(cal/cm31/2であることが好ましく、炭化水素系溶媒であることが更に好ましい。
溶媒(D)としては任意の溶媒を使用できるが、有機溶媒や、水等の非有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、石油エーテル、流動パラフィン、イソパラフィン系溶媒等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系溶媒;クロロホルム、トリクロロメタン等のハロゲン系溶媒;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル系溶媒等を挙げることができる。
<添加剤>
本発明の方法において、通常ポリオレフィンに使用される添加剤を使用してもよい。添加剤は、熱可塑性樹脂の成形性改良、物性改良、改質、機能性付与、安定化等の目的で用いられるものであり、特に限定されない。添加剤としては、例えば、成形性改良剤、物性改良剤、機能性付与剤及び安定化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
成形性改良剤としては、粘度調整剤(増粘剤、減粘剤)、可塑剤、結晶核剤、結晶化速度調整剤、滑剤、離型剤等が挙げられる。物性改良剤としては、強度向上剤、架橋剤、分解剤、柔軟化剤、難燃剤、難燃助剤、カップリング剤、感光剤、光重合開始剤、硬化剤等が挙げられる。機能性付与剤としては、摺動剤(スリップ剤)、防曇剤、導電剤、帯電防止剤、熱伝導剤、発泡剤、着色剤(染料、顔料)、蛍光剤、香料、消臭剤、界面活性剤、防虫剤、殺虫剤、防菌・防かび剤等が挙げられる。安定化剤としては、酸化防止剤、老化防止剤、耐候剤、光安定剤、熱や加水分解による主鎖切断等の分解防止剤、抗菌剤等が挙げられる。これらの添加剤は1種単独でも2種以上の組合せであってよい。
<改質処理>
本発明の改質ポリプロピレン系樹脂の製造方法においては、ポリプロピレン系樹脂(A)をラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)の存在下で、必要に応じて溶媒(D)を使用して、改質処理する。具体的には、ポリプロピレン系樹脂(A)と、ラジカル発生剤(B)と、主鎖切断防止剤(C)とを溶媒(D)中で撹拌する工程(i)、次に、ラジカル発生剤(B)が分解するのを極力抑え、少なくとも投入したラジカル発生剤(B)の全量の半分以上が残存するような温度と時間で、ポリプロピレン系樹脂(A)にラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)を含浸させる工程(ii)、その後、ラジカル発生剤(B)を分解させて、実質的にゲル分率が0%となるように反応を行う工程(iii)を経る方法が挙げられる。
上記工程(i)における撹拌は、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサー等の一般的に用いられる混合装置を用いて行うことができる。
ハンドリング性の観点から、ポリプロピレン系樹脂(A)は固体状であることが好ましい。ただし、完全な固体に限定されず、ゲル状であってもよい。ポリプロピレン系樹脂(A)の形態は、ハンドリング性の観点から、好ましくはペレット又はフレークであり、より好ましくはペレットである。この場合、上記工程(ii)における含浸としては、ポリプロピレン系樹脂(A)のペレット又はフレークをラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)又はそれらを含む溶媒(D)に浸漬させて、ラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)をポリプロピレン系樹脂(A)のペレット又はフレーク中に含浸させる工程を有する方法が好ましい。
上記工程(iii)における反応温度は、原料であるポリプロピレン系樹脂(A)の融点以上であっても融点未満であってもよい。ただし、ポリプロピレン系樹脂(A)の融点以上とする場合には、ポリプロピレン系樹脂(A)の粒子同士の融合又は融着を防ぐ観点から、水系分散体中での反応や界面活性剤の使用が好ましい。ポリプロピレン系樹脂(A)の融点未満で反応を行う場合には、ポリプロピレン系樹脂(A)を膨潤できる溶媒を添加することで、ラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)の浸透を加速し、反応を促進することもできる。
反応温度は、穏やかな条件で反応を行う観点から、好ましくは40〜120℃であり、溶媒(D)を使用する場合、より好ましくは40〜70℃である。
上記工程(iii)における反応時間は、生産性の観点から、好ましくは15分〜10時間であり、より好ましくは1〜4時間である。
上記工程(iii)における反応場に、不飽和カルボン酸やその誘導体を添加して、改質ポリプロピレン系樹脂を変性してもよい。
不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,イタコン酸,クロトン酸,シトラコン酸,ソルビン酸,メサコン酸,アンゲリカ酸等が挙げられる。また、その誘導体としては、酸物水物,エステル,アミド,イミド,金属塩等があり、例えば、無水マレイン酸,無水イタコン酸,無水シトラコン酸,アクリル酸メチル,メタクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,アクリル酸2−エチルヘキシル、マレイン酸モノエチルエステル,アクリルアミド,マレイン酸モノアミド,マレイミド,N−ブチルマレイミド,アクリル酸ナトリウム,メタクリル酸ナトリウム等を挙げることができる。これらの中で、特に無水マレイン酸、アクリル酸が好ましい。また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<改質ポリプロピレン系樹脂>
本発明の改質ポリプロピレン系樹脂は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下であり、架橋構造又は長鎖分岐構造を有する。
本発明の改質ポリプロピレン系樹脂は、架橋構造又は長鎖分岐構造を有することで、非ニュートン性が大きくなる。そして、溶融張力が増大し、押出成形や発泡成形、中空成形等、従来のポリプロピレンでは成形性が低く適用できなかった成形法において、本発明の改質ポリプロピレン系樹脂は成形性が向上する。本発明における改質ポリプロピレン系樹脂を通常のポリプロピレンに添加し、前記した成形性を向上させるための成形性向上剤(改質剤)として使用することもできる。
また、融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下であることで、従来のポリプロピレンよりも結晶性が低くなり、成形機中の加温によって従来のポリプロピレンよりも先に溶融することとなる。これにより、混練によって改質ポリプロピレン系樹脂が均一に分散しやすくなり、成形性向上剤としての効果の発現効率が向上する。
本発明の改質ポリプロピレン系樹脂は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)により測定したZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)が、好ましくは1.85以上、より好ましくは2.00以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。Mz/Mwの値が大きいことは、架橋構造又は長鎖分岐構造の含有量が多いことを示し、非ニュートン性が大きいことを示す。Mz/Mwの値が1.85未満であると、ほとんど分岐構造や架橋構造を有していないため所望の効果を得られず、20を超えるとゲル成分を生じるため、成形体に不溶物が発生し、表面特性の低下や機械強度の低下等が発生するため好ましくない。
本発明の改質ポリプロピレン系樹脂は、ゲル分を有しないことが好ましい。ゲル分は沸騰キシレン不溶分のことをいい、キシレンによるソックスレー抽出における不溶分である。ここで、ゲル分を有しないとは、沸騰キシレン不溶分が全体の質量の0.5%未満のものをいう。
本発明の改質ポリプロピレン系樹脂は、通常、ポリプロピレンに添加して成形性や物性を改良するために用いられるが、その他の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に配合することも可能である。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、シンジオタクティックポリスチレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ABS樹脂、スチレン系エラストマー樹脂、エチレンプロピレンジエン共重合体樹脂、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ゴム、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチレート樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリフェニレンスルファイドや液晶ポリマー等のスーパーエンプラ系樹脂、ロジン及びその誘導体、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環式系石油樹脂、水素化石油樹脂、アルキルフェノール樹脂等が挙げられる。
本発明の改質ポリプロピレン系樹脂は、ハンドリング性の観点から、固体状である。ただし、完全な固体に限定されず、ゲル状であってもよい。また、本発明の改質ポリプロピレン系樹脂の形態は、ハンドリング性の観点から、好ましくはペレット又はフレークであり、より好ましくはペレットである。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
ポリプロピレン(1):
商品名「エルモーデュ S400」、出光興産(株)製、融解吸熱量(ΔH−D)=36J/g、融点(Tm−D)=80℃、メタロセン触媒により得られたポリプロピレン系樹脂
ポリプロピレン(1)の融解吸熱量(ΔH−D)及び融点(Tm−D)は下記方法で測定した。
〔DSC測定〕
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、「DSC−7」)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから融解吸熱量(ΔH−D)として求めた。また、得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップから融点(Tm−D)を求めた。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、「DSC−7」)を用いた、DSC測定により得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。
〔重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、Z平均分子量(Mz)測定〕
ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)及び数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)及びZ平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比(Mz/Mw)を求めた。測定には、下記の装置及び条件を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量、Z平均分子量及び数平均分子量を得た。分子量分布(Mw/Mn)は、これらの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)より算出した値であり、Mz/MwはZ平均分子量(Mz)及び重量平均分子量(Mw)より算出した値である。
<GPC測定装置>
カラム :東ソー(株)製「TOSO GMHHR−H(S)HT」
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 ウォーターズ・コーポレーション製「WATERS 150C」
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0mL/分
試料濃度 :5mg/10mL
注入量 :300μL
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
実施例1
ポリプロピレン(1)のペレット25gを容量0.5リットルのセパラブルフラスコに入れ、窒素置換した。ここへn−ヘプタン240gを加えて、オイルバス(設定温度60℃)により加熱して、撹拌しつつ樹脂を完全に溶解した。主鎖切断防止剤(C)としてジビニルベンゼン4.8mLを加え、さらにラジカル発生剤(B)としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(日油(株)製、「パーロイルTCP」)0.39gを添加して反応を開始した。1時間撹拌して反応を行い、溶液をエタノールに添加して樹脂を析出させて回収した。回収した樹脂を110℃加熱下で6時間真空乾燥した。
実施例2
ポリプロピレン(1)のペレット50gを容積0.5リットルのセパラブルフラスコに入れ、窒素置換した。ここへ水125mL及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10mgからなる水性媒体を入れ、次いでラジカル発生剤(B)としてジラウロイルパーオキシド(日油(株)製、「パーロイルL」)0.30g、主鎖切断防止剤(C)としてジビニルベンゼン0.10mLを投入した。オイルバス(設定温度62℃)により加熱して、4時間撹拌した。濾過後、回収した樹脂を110℃加熱下で6時間真空乾燥した。
比較例1
ポリプロピレン(1)のペレット100gを容量1.0リットルのセパラブルフラスコに入れ、窒素置換した。この容器をオイルバスに浸け150℃に加熱しポリマーを溶解させた。ここへ2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油(株)製、「パーヘキサ25B」)0.1mLを添加し、5時間150℃で加熱、撹拌し反応を行った。反応終了後、放冷し樹脂を回収した。
実施例1及び2並びに比較例1で得られた樹脂のGPCの測定結果を表1に示す。また、参考例として、改質処理を行う前のポリプロピレン(1)のGPCの測定結果を表1に示す。
Figure 2019044185
表1から、改質処理によって、重量平均分子量Mwが低下する一方でZ平均分子量Mzが向上し、Mz/Mwの値が大きくなっていることが分かる。Mz/Mwの値が大きいことは、架橋構造又は長鎖分岐構造の含有量が多いことを示し、非ニュートン性が大きいことを示す。すなわち、実施例1及び2で得られた改質ポリプロピレン系樹脂は架橋構造又は長鎖分岐構造を有しており、本発明によれば、架橋構造又は長鎖分岐構造を有する改質ポリプロピレン系樹脂を生産性良く提供することができる。

Claims (8)

  1. 示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下であるポリプロピレン系樹脂(A)を、ラジカル発生剤(B)及び主鎖切断防止剤(C)の存在下で改質処理する工程を含む、改質ポリプロピレン系樹脂の製造方法。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂(A)がメタロセン触媒により得られるポリプロピレン系樹脂である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記改質処理を40〜120℃において行う、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記改質処理を有機溶媒又は非有機溶媒中で行う、請求項1〜3のいずれか1つに記載の製造方法。
  5. ポリプロピレン系樹脂(A)に対する前記ラジカル発生剤(B)の濃度が0.3〜3.0質量%である、請求項4に記載の製造方法。
  6. ポリプロピレン系樹脂(A)に対する前記主鎖切断防止剤(C)の濃度が0.1〜20質量%である、請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下であり、架橋構造又は長鎖分岐構造を有する、改質ポリプロピレン系樹脂。
  8. Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比(Mz/Mw)が1.85以上である、請求項7に記載の改質ポリプロピレン系樹脂。
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