JP2019044125A - 樹脂組成物、フィルム、光学部材、および電子デバイス - Google Patents

樹脂組成物、フィルム、光学部材、および電子デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、可撓性、耐熱性、透明性に優れるエポキシ樹脂フィルムを提供することを目的とする。【解決手段】3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、または、ε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、またはその混合物などの脂環式エポキシ化合物(A)と末端基としてフェノール性水酸基を有するポリエーテルスルホンなどの芳香族ポリスルホン(B)と酸発生剤(C)とを必須成分とする樹脂組成物などを提供する。【選択図】図1

Description

可撓性、耐熱性、透明性に優れるフィルム、その製造に用いる樹脂組成物、およびそのフィルムを用いた光学部材、および電子デバイスに関するものである。
有機ELデバイス(有機エレクトロルミネッセンスデバイス)、ディスプレイ(例えば、液晶表示デバイスやタッチパネル等)、太陽電池部材等の電子デバイスにおける部材や、シートレンズ、光導波路等の光学部材を構成する材料として、各種樹脂材料が使用されている。
エポキシ樹脂は優れた熱的特性、機械的特性、及び電気的特性を有するため、接着剤、塗料、電気電子材料、構造材料などの各種用途に使用されている。このようなエポキシ樹脂に要求される特性は年々高まっており、近年では特に、高い透明性と耐熱性を兼ね備えた材料が求められている。
エポキシ樹脂の中でも脂環式エポキシ樹脂は、透明性と耐熱性に優れた材料として知られている。しかしながら、脂環式エポキシ樹脂は脆いため、ロール・ツー・ロールなどの連続生産工程において可撓性が求められる用途に使用する場合には添加剤の配合等により、可撓性を改質する必要があった。
特許文献1には脂環式エポキシ樹脂に、改質剤(希釈剤)としてポリエステルポリオールのようなポリオールを配合し、硬化物の架橋密度を低下させる手段が記載されているが、耐熱性を著しく低下させ、熱処理などの行程でエポキシ基材が破断してしまったり、うねり等の加工上の障害を発生させる要因となっていた。
上記課題を解決するため、例えば、特許文献2には、ラジカル重合性化合物と、脂環式エポキシ化合物と、酸無水物又はカチオン硬化剤を含む硬化性樹脂組成が記載されている。しかしながら、脂環式エポキシが本来持つ透明性が損なわれ、光学物品用途としては機能に欠けるものとなる。
特開2007−308683号公報 特開2014−542137号公報
可撓性、耐熱性、透明性に優れるフィルム、その製造に用いる樹脂組成物、およびそのフィルムを用いた光学部材、および電子デバイスを提供する事を目的とする。
本発明の第1側面によると、脂環式エポキシ化合物(A)と芳香族ポリスルホン(B)と酸発生剤(C)とを必須成分とする樹脂組成物が提供される。
本発明の第2側面によると、前記脂環式エポキシ化合物(A)は、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及びε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキ
サンカルボキシレートの少なくとも一方である第1側面に係わる樹脂組成物が提供される。
本発明の第3側面によると、前記芳香族ポリスルホン(B)が、ポリエーテルスルホンであることを特徴とする第1側面または第2側面に記載の樹脂組成物が提供される。
本発明の第4側面によると、前記ポリエーテルスルホンが、その末端基としてフェノール性水酸基を有することを特徴とする第3側面の樹脂組成物が提供される。
本発明の第5側面によると、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記芳香族ポリスルホン(B)との合計量に占める前記脂環式エポキシ化合物(A)の量の割合は50質量%以上90質量%以下の範囲内にあり、前記酸発生剤(C)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記芳香族ポリスルホン(B)との合計量100質量部に対して0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内にあることを特徴とする第1側面〜第4側面の何れかに記載の樹脂組成物が提供される。
本発明の第6側面によると、第1側面〜第5側面のいずれかに記載の樹脂組成物を用いたフィルムが提供される。
本発明の第7側面によると、第6側面のフィルムを用いた光学部材が提供される。
本発明の第8側面によると、第6側面のフィルムを用いた電子デバイスが提供される。
本発明に係る樹脂組成物及びそれを用いたフィルムは可撓性、透明性、耐熱性に優れ、連続産業用基材に用いられ、その透明性ゆえに有機ELデバイス(有機エレクトロルミネッセンスデバイス)、ディスプレイ(例えば、液晶表示デバイスやタッチパネル等)、太陽電池部材等の電子デバイスにおける部材や、シートレンズ、光導波路等の光学部材を構成する材料に好適に用いられる。
フィルム製造装置の一例を概略的に示す概略側面図である。 実施例1、比較例1および2の弾性率の測定結果のグラフを示した図である。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
<樹脂組成物>
樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)と、芳香族ポリスルホン(B)と、酸発生剤(C)とを含んでいる。以下に、各成分について説明する。
[脂環式エポキシ化合物(A)]
脂環式エポキシ化合物(A)は、1分子内に脂環(脂肪族環)構造とエポキシ基とを含んだ化合物である。エポキシ基は、脂環において互いに隣り合った2つの炭素原子と酸素原子とで構成されていてもよく(以下、そのようなエポキシ基を「脂環エポキシ基」と称する)、脂環に単結合で直接結合していてもよい。
脂環式エポキシ化合物(A)が1分子内に含む脂環構造の数は、1であってもよく、2
以上であってもよい。また、脂環式エポキシ化合物(A)が1分子内に含むエポキシ基の数は、1であってもよく、2以上であってもよい。一例によれば、脂環式エポキシ化合物(A)は、1分子内に、2つの脂環構造と、2つのエポキシ基とを含み、それらエポキシ基は別々の脂環構造の炭素原子を含んだ脂環エポキシ基である。
脂環エポキシ基を有する化合物としては、公知乃至慣用のものの中から任意に選択して使用することができる。脂環エポキシ基を有する化合物は、シクロヘキサン環において互いに隣り合った2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有すること、即ち、シクロヘキセンオキシド基を有する化合物であることが好ましい。
脂環エポキシ基を有する化合物としては、特に、耐熱性、耐光性、及び透明性の点で、下記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)が好ましい。一般的に、エポキシ化合物は耐熱性に優れている。しかしながら、ビスフェノールA型エポキシ化合物等のベンゼン環を有するエポキシ化合物は、共役二重結合を有しているため、共役二重結合を有していないエポキシ化合物と比較して透明性の点で劣る。下記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物を使用した場合、特に高い透明性を達成できる。
Figure 2019044125
上記一般式(I)において、R〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。
有機基としては、例えば、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子とともに、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。ハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子、及びフッ素原子等が挙げられる。
有機基としては、炭化水素基と、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基と、ハロゲン化炭化水素基と、炭素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基と、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基とが好ましい。有機基が炭化水素基である場合、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも、脂肪族炭化水素基でも、芳香族骨格と脂肪族骨格とを含む基でもよい。
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−n−プロペニル基(アリル基)、1−n−ブテニル基、2−n−ブテニル基、及び3−n−ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;並びに、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基の具体例としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチ
ル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、及びパーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、及び4−ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、及び4−フルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基;並びに、2−クロロフェニルメチル基、3−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、2−ブロモフェニルメチル基、3−ブロモフェニルメチル基、4−ブロモフェニルメチル基、2−フルオロフェニルメチル基、3−フルオロフェニルメチル基、及び4−フルオロフェニルメチル基等のハロゲン化アラルキル基が挙げられる。
炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、及び4−ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4−ヒドロキシシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基、2,4−ジヒドロキシフェニル基、2,5−ジヒドロキシフェニル基、2,6−ジヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、及び3,5−ジヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基;2−ヒドロキシフェニルメチル基、3−ヒドロキシフェニルメチル基、及び4−ヒドロキシフェニルメチル基等のヒドロキシアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−n−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1−n−ブテニルオキシ基、2−n−ブテニルオキシ基、及び3−n−ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、α−ナフチルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、ビフェニル−4−イルオキシ基、ビフェニル−3−イルオキシ基、ビフェニル−2−イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α−ナフチルメチルオキシ基、β−ナフチルメチルオキシ基、α−ナフチルエチルオキシ基、及びβ−ナフチルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロピルオキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロピルオキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、3−エトキシ−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、4−エトキシ−n−ブチル基、及び4−n−プロピルオキシ−n−プチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n−プロピルオキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−プロピルオキシエトキシ基、3−メトキシ−n−プロピルオキシ基、3−エトキシ−n−プロピルオキシ基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピルオキシ基、4−メトキシ−n−ブチルオキシ基、4−エトキシ−n−ブチルオキシ基、及び4−n−プロピルオキシ−n−ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、及び4−メトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、及び4−メトキシフェノキシ基等のアルコキシアリールオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、α−ナフトイル基、及びβ−ナフトイル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、及びn−デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、α−ナフトキシカルボニル基、及びβ−ナフトキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;並びに、ベンゾイルオキシ基、α−ナフトイルオキシ基、及びβ−ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基が挙げられる。
乃至R18は、特に硬化性組成物を用いて得られる硬化物の硬度の観点から、全てが水素原子であることがより好ましい。
また、上記一般式(I)において、Xは、単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)である。
上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル基(エーテル結合)、チオエーテル基(チオエーテル結合)、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、アミド基(アミド結合)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数が1乃至18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、及び、2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1乃至18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、及びトリメチレン基が挙げられる。2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、及びシクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)が挙げられる。
上記連結基Xとしては、酸素原子を含有する連結基が好ましい。そのような連結基Xとしては、例えば、−CO−(カルボニル基)、−O−CO−O−(カーボネート基)、−COO−(エステル基)、−O−(エーテル基)、−CONH−(アミド基)、これらの基が複数個連結した基、及びこれらの基の1又は2以上と2価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基が挙げられる。2価の炭化水素基としては、例えば、上記で例示したものが挙げられる。
上記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物としては、例えば、商品名「セロキサイド2021P」及び「セロキサイド2081」(何れも(株)ダイセル製)等の市販品を使用することもできる。また、一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物のうちXが単結合であるものとして、例えば、商品名「セロキサイド8000」((株)ダイセル製)などの市販品を用いることもできる。
脂環式エポキシ化合物(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記の中でも、脂環式エポキシ化合物(A)としては、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名「セロキサイド2021P」)及びε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの少なくとも一方を使用することが特に好ましい。
[芳香族ポリスルホン(B)]
樹脂組成物に芳香族ポリスルホン(B)を含めることにより、可撓性、耐熱性、透明性を両立する硬化物を形成できる。
芳香族ポリスルホン(B)とは、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等の公知のものを挙げることができる。この中でも、効果的に硬化物を形成できることからポリエーテルスルホンが好ましい。
また、芳香族ポリスルホン樹脂としては、その末端が、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノール性水酸基等のものが知られているが、その末端が、硬化物の耐熱性の観点からは、ハロゲン原子であることが好ましい。硬化物の耐溶剤性、靭性の観点からはフェノール性水酸基であることが好ましく、その場合、両末端の両方がフェノール性水酸基であるのがより好ましい。
また芳香族ポリスルホン樹脂は、分子量が1000以上100000以下であることが好ましい。1000未満のものは十分な強靭性を示さず脆い傾向がある。また、100000を超えるものは前記脂環式エポキシ化合物(A)に溶けにくく扱いづらくなる。かかるポリスルホン樹脂は、公知の方法に準拠して製造されたものであっても良いし、市販品、例えば商品名「スミカエクセル」(住友化学工業(株)製)、商品名「REDEL、UDEL P−1700」(Amoco製)、商品名「ウルトラソンE」(BASF製)等を使用することもできる。
樹脂組成物における脂環式エポキシ化合物(A)と芳香族ポリスルホン(B)との合計量に占める脂環式エポキシ化合物(A)の量の割合は、50質量%以上90質量%以下の範囲内にあることが好ましく、60質量%以上80質量%以下の範囲内にあることがより好ましい。この割合が小さすぎると、透明性、耐熱性が低下し、大きすぎると可撓性が低下する可能性がある。
[酸発生剤(C)]
酸発生剤(C)は、樹脂組成物中のエポキシ基を有する化合物の重合を開始させる働きを有する。酸発生剤(C)としては、紫外線照射などの電離放射線照射又は加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して、脂環式エポキシ化合物(A)の重合を開始させるカチオン重合開始剤が好ましい。酸発生剤(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電離放射線照射によりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩、トリアリルスルホニウム塩及びその誘導体、並びに、ジアリルヨウドニウム塩及びその誘導体を挙げることができる。
トリアリルスルホニウム塩及びその誘導体としては、例えば、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩及びその誘導体、並びに、トリアリルスルホニウムヘキサ
フルオロアンチモネート塩及びその誘導体が挙げられる。
ジアリルヨウドニウム塩及びその誘導体としては、例えば、ジアリルヨウドニウムヘキサフルオロホスフェート塩及びその誘導体、並びに、ジアリルヨウドニウムテトラフルオロボレート塩及びその誘導体が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤(カチオン触媒)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
このようなカチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・サイテック(株)製);商品名「CD−1010」、「CD−1011」、及び「CD−1012」(何れも米国サートマー社製);商品名「イルガキュア264」及び「イルガキュア250」(何れもチバ・ジャパン(株)製);商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製);商品名「CPI−101A」、「CPI−100P」、「CPI−210S」、及び「CPI−110A」(何れもサンアプロ(株)製);商品名「アデカオプトマーSP−170」、「アデカオプトマーSP−172」、及び「アデカオプトマーSP−150」(何れも(株)ADEKA製);並びに、商品名「シリコリース UV CATA211」(荒川化学工業(株)製)等の市販品を使用できる。好ましくは、商品名「SP−170」及び「SP−172」(何れも(株)ADEKA製)、並びに、商品名「CPI−210S」、「CPI−101A」及び「CPI−110A」(何れもサンアプロ(株)製)の1以上である。
加熱処理を施すことによりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、及びアレン−イオン錯体が挙げられる。
このようなカチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「PP−33」、「CP−66」、及び「CP−77」(何れもADEKA(株)製);商品名「FC−509」(スリーエム(株)製);商品名「UVE1014」(G.E.(株)製);商品名「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」、「サンエイド SI−100L」、「サンエイド SI−110L」、及び「サンエイド SI−150L」(何れも三新化学工業(株)製);並びに、商品名「CG−24−61」(チバ・ジャパン(株)製)等の市販品を使用できる。
更に、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物も、上記カチオン重合開始剤として使用できる。
酸発生剤(C)の量は、脂環式エポキシ化合物(A)と芳香族ポリスルホン(B)との合計量100質量部に対して、0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内にあることが好ましく、0.05質量部以上0.1重量部以下の範囲内にあることがより好ましい。酸発生剤(C)の量が少なすぎると、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が小さくなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。酸発生剤(C)の量が多すぎると、高い透明性を有する硬化物を得られない可能性がある。
[その他の成分(D)]
樹脂組成物は、必要に応じて、他の成分(D)を更に含有することができる。例えば、樹脂組成物は、硬化性調整のためにビニルエーテル化合物のようなカチオン反応性化合物を更に含有していてもよい。また、樹脂組成物は、その低粘度化や反応速度調整のために
オキセタン化合物を更に含有していてもよい。また、樹脂組成物は、基材と樹脂組成物を硬化してなる層との密着性調整のためにラジカル反応性化合物を更に含有していてもよい。
樹脂組成物は、その他の成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤(HALS等)、つや消し剤(シリカ、ガラス粉、金属酸化物等)、着色剤(染料、顔料等)、光拡散剤、低収縮剤、沈降防止剤、消泡剤、帯電防止剤、防曇剤、分散剤、増粘剤、タレ止め剤、乾燥剤、レベリング剤、カップリング剤、付着促進剤、防錆顔料、熱安定剤、皮膜物質改質剤、スリップ剤、スリキズ剤、可塑剤、防菌剤、防カビ剤、防汚剤、難燃剤、重合防止剤、光重合促進剤、増感剤、熱開始剤(熱カチオン重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤)、及び離型剤等の添加剤の1以上を更に含有していてもよい。
成分(D)の量は、脂環式エポキシ化合物(A)と芳香族ポリスルホン(B)との合計量100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、1重量部以下であることがより好ましい。
<樹脂組成物の調製>
上記の樹脂組成物は、上述した成分を均一に混合することにより得る。この混合には、例えば、特に限定されないが、ディスパーミキサ、ウルトラミキサ、ホモジナイザ、及び遊星攪拌脱泡機等の攪拌機を用いることができる。溶解性の観点から、100℃以上に過熱した脂環式エポキシ化合物(A)に少量ずつ芳香族ポリスルホン(B)を混合攪拌するのがより好ましい。さらに、この混合は、酸発生剤の活性化を防止するため、電離放射線が照射されない環境下で行うことが好ましい。
<フィルム>
透明なエポキシ樹脂自立膜である。ここで使用する用語「自立膜」とは、基板などの支持体によって支持されなくとも、それ自体を単独で取り扱うことができるフィルムを意味している。また、ここで使用する用語「フィルム」は、薄層形状及び可撓性を有している物品を意味し、厚さの概念は含まない。また、ガラス、金属、炭素、タンパク質、セルロース、及び合成樹脂等の各種材料からなる織布又は不織布や、そのような材料からなる多孔質層を含んでいない。
<フィルムの製造>
例えば、上記の樹脂組成物からなる塗膜を支持体上に形成し、この塗膜に電離放射線を照射し、更に、塗膜をプリベークに供して、塗膜を硬化させ、その後、硬化した膜を支持体から剥離することにより得る。フィルムの製造には、例えば、図1に示す装置を利用することができる。
このフィルム製造装置100は、ロール・ツー・ロール式のダイコータである。このフィルム製造装置は、巻出ロール110と、キャリアフィルム120と、ガイドロール130a、ガイドロール130bと、ガイドロール130cと、ガイドロール130dと、ガイドロール130eと、バックアップロール140と、ダイヘッド150と、電離放射線照射機160と、ヒータ170と、剥離ロール180と、巻取ロール190a及び巻取ロール190bとを含んでいる。
巻出ロール110には、キャリアフィルム120が巻かれている。巻出ロール110は、キャリアフィルム120を巻き出す。
キャリアフィルム120は、ベルト形状を有している。キャリアフィルム120上には、上述した樹脂組成物を塗布し、このキャリアフィルム120上で樹脂組成物からなる塗膜の硬化を行う。
キャリアフィルム120は、樹脂組成物の硬化物を剥離可能に支持し得るものである。キャリアフィルム120としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム(CAPフィルム)、セルローストリアセテート及びセルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム、及びポリアリレート系フィルムを挙げることができる。
キャリアフィルム120の厚さは、制限を設けるわけではないが、6μm以上700μm以下の範囲内にあることが好ましく、40μm以上250μm以下の範囲内にあることがより好ましく、50μm以上150μm以下の範囲内にあることが更に好ましい。
ガイドロール130a乃至130eは、巻出ロール110から巻き出されたキャリアフィルム120を、ダイヘッド150とバックアップロール140との間の領域、電離放射線照射機160の正面の領域、ヒータ170、及び巻取ロール190aへと順次案内する。
バックアップロール140は、ダイヘッド150と向き合うように設置されている。バックアップロール140は、ダイヘッド150とバックアップロール140との間を通過するキャリアフィルム120の裏面上を転動して、キャリアフィルム120とダイヘッド150との距離を一定に保つ役割を果たす。
ダイヘッド150は、ダイヘッド150とバックアップロール140との間を通過するキャリアフィルム120の表面上に樹脂組成物を供給する。これにより、キャリアフィルム120の表面上に、樹脂組成物からなる塗膜を形成する。
ここでは、樹脂組成物の塗工にダイヘッド150を利用するダイコート法について説明しているが、樹脂組成物の塗工には他の方法を利用してもよい。樹脂組成物の塗工には、例えば、ディッピング法、ワイヤーバーを使用する方法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、カーテン法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、及びグラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。
樹脂組成物からなる塗膜の硬化後の厚さ、即ち、フィルム1の厚さは、1μm以上250μm以下の範囲内にあることが好ましい。薄すぎる場合、フィルム1の強度が低く、フィルム1がキャリアフィルム120から剥離する際に破断してしまう可能性が高い。厚すぎる場合、反応熱が高くなることで硬化物の貯蔵弾性率が非常に高くなり、その結果、フィルム1は、硬く脆い性状となり、可撓性が不十分となる可能性がある。
電離放射線照射器160は、キャリアフィルム120の表面と向き合うように設置されている。キャリアフィルム120上の塗膜に対して、電離放射線を照射する。キャリアフィルム120が電離放射線を透過させるものである場合、電離放射線照射器160は、キャリアフィルム120の裏面と向き合うように設置してもよい。
ここで、用語「電離放射線」は、樹脂組成物が含む成分、具体的には酸発生剤を分解(電離)させて、樹脂組成物中に酸を発生させ得る高エネルギーな放射線、例えば、X線又は紫外線を意味している。電離放射線としては、典型的には、紫外線を利用する。
電離放射線照射器160は、塗膜に電離放射線を照射することにより、樹脂組成物が含んでいる酸発生剤を活性化させる。即ち、酸発生剤を分解(電離)させて、樹脂組成物中に酸を発生させる。酸は、樹脂組成物中での重合や架橋を促進する触媒としての役割を果たす。従って、塗膜への電離放射線照射により、樹脂組成物では重合や架橋が進行し、その結果、塗膜は硬化する。
電離放射線照射器160の光源としては、酸発生剤(C)の分解に適した波長の光を放射するものを適宜選択する。この光源としては、400nm以下の波長を放射するランプが好ましい。そのようなランプとしては、例えば、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、及び可視光ハロゲンランプが挙げられる。
電離放射線照射は、空気中で行ってもよいし、窒素及びアルゴン等の不活性ガス中で行ってもよい。
電離放射線の積算光量は、10mJ/cm以上3000mJ/cm以下の範囲内とすることが好ましく、100mJ/cm以上1000mJ/cm以下の範囲内とすることがより好ましく、200J/cm以上500mJ/cm以下の範囲内とすることが更に好ましい。
ヒータ170は、電離放射線を照射した塗膜に対してポストベークを行う。ポストベークを行うことにより、樹脂組成物中での上記反応を完結させる。ポストベークを行うと、エポキシフィルム1における架橋密度を高めることができ、耐熱性が高まる。
ヒータ170による加熱には、例えば、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、及び赤外線照射等の加熱方法を、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。加熱温度は、80℃以上160℃以下の範囲内とすることが好ましい。加熱時間は、30秒以上600秒以下の範囲内とすることが好ましい。
剥離ロール180は、キャリアフィルム120に支持されたエポキシフィルム1上を転動するように設置されている。剥離ロール180は、キャリアフィルム120の移動方向に対して、エポキシフィルム1の移動方向を急激且つ大きく異ならしめ、これにより、エポキシフィルム1をキャリアフィルム120から剥離する。
巻取ロール190aは、フィルム1を剥離したキャリアフィルム120を巻き取る。また、巻取ロール190bは、キャリアフィルム120から剥離したエポキシフィルム1を巻き取る。
巻取ロール190aは、キャリアフィルム120に張力を与える。巻取ロール190aがキャリアフィルム120に与える張力は、キャリアフィルム120の厚さや材質によって異なるが、10N/m以上500N/m以下の範囲内とすることが好ましい。
以下に、本発明の実施例を記載する。但し、本発明は、以下に記載する事項に限定されるわけではない。
<実施例1>
図1に示す多層フィルム1を以下の手順で作製した。
脂環式エポキシ化合物(A)としては、セロキサイド2021P((株)ダイセル製)を使用した。また、芳香族ポリスルホン(B)としては、スミカエクセル(住友化学工業(株)製)を使用した。そして、酸発生剤(C)としては、アデカオプトマーSP−170((株)ADEKA)を使用した。70質量部の脂環式エポキシ化合物(A)と、30質量部の芳香族ポリスルホン(B)と、0.05質量部の酸発生剤(C)とをディスパーミキサを用いて15分間攪拌して調製した塗液を用いた。
次に、この塗液を用いて、図1を参照しながら説明した方法により、厚み50μmのフィルムを製造した。ここでは、キャリアフィルム120として、厚さが250μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製シート(メリネックスS、帝人(株)製)を使用した。電離放射線照射器160の光源としては、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス(株)製)を使用した。露光は、積算光量が500mJ/cmとなるように行った。また、ポストベークは、150℃にて180秒間にわたって行った。なお、キャリアフィルム120は、50N/mの張力で巻きとられ、剥離されたフィルム1のロールを得た。
<比較例1>
実施例1の樹脂組成比を100質量部の脂環式エポキシ化合物(A)と、0.05質量部の酸発生剤(C)とした以外は実施例1と同様の方法により膜厚50μmのフィルムを作製した。
<比較例2>
実施例1の樹脂組成において、芳香族ポリスルホン(B)の代わりにポリオール化合物プラクセル305((株)ダイセル製)を用いた事以外は実施例1と同様の方法により膜厚50μmのフィルムを作製した。
<評価方法>
(耐熱性)
実施例1および比較例1と2で得られたフィルムを寸法が40mm×10mmのサンプルを切り出し、動的粘弾性測定装置DMS6100(日立ハイテクサイエンス社製)を用いて弾性率の変化を表1の条件で測定した。
(可撓性)
実施例1および比較例1と2で得られたフィルムをマンドレル試験機を用い、径が0.4mmの円筒に巻きつけた。そして、割れが生じたものを「〇」と判定し、割れが生じなかったものを「×」と判定した。
(透明性)
実施例1および比較例1と2で得られたフィルムの全光線透過率をHazeメーター(NDH7000SP 日本電色工業(株)製)を用い、JISK7361−1に準拠して測定した。
図2に弾性率の測定結果を示し、以下の表2に、評価結果を纏める。
表2の結果を踏まえると、上記樹脂組成物を用いる事により、他のフィルムより可撓性、耐熱性、透明性を両立させる事ができる。
Figure 2019044125
Figure 2019044125
本発明に係るフィルムは、可撓性、透明性、耐熱性に優れ、産業用基材に用いられ、その透明性ゆえに有機ELデバイス(有機エレクトロルミネッセンスデバイス)、ディスプレイ(例えば、液晶表示デバイスやタッチパネル等)、太陽電池部材等の電子デバイスにおける部材や、シートレンズ、光導波路等の光学部材を構成する材料に好適に用いる事ができる。
1…フィルム
L1…上層
L2…中間層
L3…下層
100…フィルム製造装置
110…巻出ロール
120…キャリアフィルム
130a乃至130e…ガイドロール
140…バックアップロール
150…ダイヘッド
160…電離放射線照射機
170…ヒータ
180…剥離ロール
190a、190b…巻取ロール。

Claims (8)

  1. 脂環式エポキシ化合物(A)と芳香族ポリスルホン(B)と酸発生剤(C)とを必須成分とする樹脂組成物。
  2. 前記脂環式エポキシ化合物(A)が、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、または、ε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、またはその混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記芳香族ポリスルホン(B)が、ポリエーテルスルホンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリエーテルスルホンが、その末端基としてフェノール性水酸基を有することを特徴とする請求項3記載の樹脂組成物。
  5. 前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記芳香族ポリスルホン(B)との合計量に占める前記脂環式エポキシ化合物(A)の量の割合は50質量%以上90質量%以下の範囲内にあり、前記酸発生剤(C)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記芳香族ポリスルホン(B)との合計量100質量部に対して0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の樹脂組成物を平面状に硬化したことを特徴とするフィルム。
  7. 請求項6記載のフィルムを用いた光学部材。
  8. 請求項6記載のフィルムを用いた電子デバイス。
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