JP2018053058A - 遮熱フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 遮熱性と可視光線の透過性とのいずれにも優れ、かつ、耐加水分解性にも優れた遮熱フィルムを提供する。【解決手段】 単層構造を有している自立膜としての遮熱フィルムであって、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)と酸発生剤(C)と赤外線吸収剤(D)とを含んだ樹脂組成物の硬化物からなり、前記赤外線吸収剤(D)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して0.1乃至0.5質量部の範囲内にある遮熱フィルムが提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、遮熱フィルムに関する。
遮熱フィルムは、例えば、太陽光などに含まれる赤外線を遮断する。遮熱フィルムには、基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された遮熱層とを備えるものがある。このような遮熱フィルムの一例としては、フィルム基材上に、アルミナなどの反射材を蒸着加工したものが挙げられる。しかしながら、このような遮熱フィルムは、遮熱効果を上げるために、その表面が鏡面となるくらいまで多量のアルミナを蒸着加工すると、十分な可視光線の透過率が得られないという問題があった。一方で、アルミナの蒸着量が少ないと、赤外線の遮断が不十分になり、満足な遮熱性を得ることができないという問題があった。
このような問題に対する技術として、特許文献1には、フィルムを構成するポリエチレンテレフタレート中に、赤外線吸収剤を含有させた遮熱フィルムが記載されている。この遮熱フィルムは、遮熱性と可視光線の透過性との双方に優れている。
特開2005−157011号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の遮熱フィルムを高温高湿度環境下で使用すると、ポリエチレンテレフタレート分子鎖中のエステル結合部位で加水分解が起こり、機械的特性が低下するという問題があった。それゆえ、この遮熱フィルムの使用は、室内での使用に限られていた。
そこで、本発明は、遮熱性と可視光線の透過性とのいずれにも優れ、かつ、耐加水分解性にも優れた遮熱フィルムを提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、単層構造を有している自立膜としての遮熱フィルムであって、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)と酸発生剤(C)と赤外線吸収剤(D)とを含んだ樹脂組成物の硬化物からなり、前記赤外線吸収剤(D)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して0.1乃至0.5質量部の範囲内にある遮熱フィルムが提供される。
本発明によると、遮熱性と可視光線の透過性とのいずれにも優れ、かつ、耐加水分解性にも優れた遮熱フィルムが提供される。
本発明の一実施形態に係る遮熱フィルムを概略的に示す断面図。 フィルム製造装置の一例を概略的に示す図。
<遮熱フィルム>
図1は、本発明の一実施形態に係る遮熱フィルムを概略的に示す断面図である。
この遮熱フィルム1は、単層構造を有している透明な自立膜である。ここで使用する用語「自立膜」とは、基板などの支持体によって支持されなくとも、それ自体を単独で取り扱うことができるフィルムを意味している。また、ここで使用する用語「フィルム」は、薄層形状及び可撓性を有している物品を意味し、厚さの概念は含まない。
遮熱フィルム1は、後述する樹脂組成物の硬化物からなる。即ち、遮熱フィルム1は、ガラス、金属、炭素、タンパク質、セルロース、及び合成樹脂等の各種材料からなる織布又は不織布や、そのような材料からなる多孔質層を含んでいない。
この遮熱フィルム1は、波長域が360乃至760nmの可視光線領域での平均透過率が、40%以上であることが好ましい。
また、この遮熱フィルム1は、波長域が800乃至1200nmの赤外線領域での平均吸収率が20%以上であることが好ましい。
更に、この遮熱フィルム1は、波長域が280乃至360nmの紫外線領域での平均透過率が20%以下であることが好ましい。
このような遮熱フィルム1の可視光線領域での平均透過率、赤外線領域での平均吸収率及び紫外線領域での平均透過率は、例えば、島津製作所社製の分光光度計UV−3100を用いて求めることができる。
また、このような遮熱フィルム1の可視光線領域での平均透過率、赤外線領域での平均吸収率及び紫外線領域での平均透過率は、後述する赤外線吸収剤(D)の種類及び含有量を適宜調整することにより達成できる。
<樹脂組成物>
樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)と、ポリオール化合物(B)と、酸発生剤(C)と、赤外線吸収剤(D)とを含んでいる。以下に、各成分について説明する。
[脂環式エポキシ化合物(A)]
脂環式エポキシ化合物(A)は、1分子内に脂環(脂肪族環)構造とエポキシ基とを含んだ化合物である。エポキシ基は、脂環において互いに隣り合った2つの炭素原子と酸素原子とで構成されていてもよく(以下、そのようなエポキシ基を「脂環エポキシ基」と称する)、脂環に単結合で直接結合していてもよい。
脂環式エポキシ化合物(A)が1分子内に含む脂環構造の数は、1であってもよく、2以上であってもよい。また、脂環式エポキシ化合物(A)が1分子内に含むエポキシ基の数は、1であってもよく、2以上であってもよい。一例によれば、脂環式エポキシ化合物(A)は、1分子内に、2つの脂環構造と、2つのエポキシ基とを含み、それらエポキシ基は別々の脂環構造の炭素原子を含んだ脂環エポキシ基である。
脂環エポキシ基を有する化合物としては、公知乃至慣用のものの中から任意に選択して使用することができる。脂環エポキシ基を有する化合物は、シクロヘキサン環において互いに隣り合った2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有すること、即ち、シクロヘキセンオキシド基を有する化合物であることが好ましい。
脂環エポキシ基を有する化合物としては、特に、耐熱性、耐光性、及び透明性の点で、下記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)が好ましい。一般的に、エポキシ化合物は耐熱性に優れている。しかしながら、ビスフェノールA型エポキシ化合物等のベンゼン環を有するエポキシ化合物は、共役二重結合を有しているため、共役二重結合を有していないエポキシ化合物と比較して透明性の点で劣る。下記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物を使用した場合、特に高い透明性を達成できる。
上記一般式(I)において、R乃至R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。
有機基としては、例えば、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子とともに、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。ハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子等が挙げられる。
有機基としては、炭化水素基と、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基と、ハロゲン化炭化水素基と、炭素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基と、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基とが好ましい。有機基が炭化水素基である場合、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも、脂肪族炭化水素基でも、芳香族骨格と脂肪族骨格とを含む基でもよい。
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−n−プロペニル基(アリル基)、1−n−ブテニル基、2−n−ブテニル基、及び3−n−ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;並びに、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基の具体例としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、及び4−ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、及び4−フルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基;並びに、2−クロロフェニルメチル基、3−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、2−ブロモフェニルメチル基、3−ブロモフェニルメチル基、4−ブロモフェニルメチル基、2−フルオロフェニルメチル基、3−フルオロフェニルメチル基、及び4−フルオロフェニルメチル基等のハロゲン化アラルキル基が挙げられる。
炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、及び4−ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4−ヒドロキシシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基、2,4−ジヒドロキシフェニル基、2,5−ジヒドロキシフェニル基、2,6−ジヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、及び3,5−ジヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基;2−ヒドロキシフェニルメチル基、3−ヒドロキシフェニルメチル基、及び4−ヒドロキシフェニルメチル基等のヒドロキシアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−n−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1−n−ブテニルオキシ基、2−n−ブテニルオキシ基、及び3−n−ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、α−ナフチルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、ビフェニル−4−イルオキシ基、ビフェニル−3−イルオキシ基、ビフェニル−2−イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α−ナフチルメチルオキシ基、β−ナフチルメチルオキシ基、α−ナフチルエチルオキシ基、及びβ−ナフチルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n
−プロピルオキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロピルオキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、3−エトキシ−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、4−エトキシ−n−ブチル基、及び4−n−プロピルオキシ−n−プチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n−プロピルオキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−プロピルオキシエトキシ基、3−メトキシ−n−プロピルオキシ基、3−エトキシ−n−プロピルオキシ基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピルオキシ基、4−メトキシ−n−ブチルオキシ基、4−エトキシ−n−ブチルオキシ基、及び4−n−プロピルオキシ−n−ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、及び4−メトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、及び4−メトキシフェノキシ基等のアルコキシアリールオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、α−ナフトイル基、及びβ−ナフトイル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、及びn−デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、α−ナフトキシカルボニル基、及びβ−ナフトキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;並びに、ベンゾイルオキシ基、α−ナフトイルオキシ基、及びβ−ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基が挙げられる。
乃至R18は、特に硬化性組成物を用いて得られる硬化物の硬度の観点から、全てが水素原子であることがより好ましい。
また、上記一般式(I)において、Xは、単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)である。
上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル基(エーテル結合)、チオエーテル基(チオエーテル結合)、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、アミド基(アミド結合)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数が1乃至18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、及び、2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1乃至18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、及びトリメチレン基が挙げられる。2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、及びシクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)が挙げられる。
上記連結基Xとしては、酸素原子を含有する連結基が好ましい。そのような連結基Xとしては、例えば、−CO−(カルボニル基)、−O−CO−O−(カーボネート基)、−COO−(エステル基)、−O−(エーテル基)、−CONH−(アミド基)、これらの基が複数個連結した基、及びこれらの基の1又は2以上と2価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基が挙げられる。2価の炭化水素基としては、例えば、上記で例示したものが挙げられる。
上記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物としては、例えば、商品名「セロキサイド2021P」及び「セロキサイド2081」(何れも(株)ダイセル製)等の市販品を使用することもできる。また、一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物のうちXが単結合であるものとして、例えば、商品名「セロキサイド8000」((株)ダイセル製)などの市販品を用いることもできる。
脂環式エポキシ化合物(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記の中でも、脂環式エポキシ化合物(A)としては、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名「セロキサイド2021P」)及びε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの少なくとも一方を使用することが特に好ましい。
脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)との合計量に占める脂環式エポキシ化合物(A)の量の割合は、50乃至80質量%の範囲内にあることが好ましく、70乃至75質量%の範囲内にあることがより好ましい。この割合が小さすぎると、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が低くなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。この割合が大きすぎると、樹脂組成物の硬化物は、硬く脆い性状となり、高い可撓性が得られない可能性がある。
[ポリオール化合物(B)]
樹脂組成物にポリオール化合物(B)を含めることにより、高い可撓性を有している硬化物を形成でき、また、樹脂組成物の硬化物のみで自立することができるシートの製造が可能となる。
ポリオール化合物(B)とは、1分子内に2個以上の水酸基を有し、数平均分子量が例えば200以上の重合体(オリゴマー又はポリマー)である。ポリオール化合物(B)には、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオールが含まれる。なお、ポリオール化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリオール化合物(B)が有する水酸基(2個以上の水酸基)は、アルコール性水酸基であってもよいし、フェノール性水酸基であってもよい。また、ポリオール化合物(B)が1分子内に有する水酸基の数は、2以上であればよく、特に限定されない。
ポリオール化合物(B)における水酸基(2個以上の水酸基)の位置は、特に限定されないが、硬化剤との反応性の観点で、ポリオール分子の少なくとも一方の末端(重合体主鎖の末端)に存在することが好ましく、ポリオール分子の少なくとも両末端に存在することが特に好ましい。
ポリオール化合物(B)は、その他の成分と配合した後に液状の樹脂組成物を形成できればよく、それ自体は、固体であってもよいし、液体であってもよい。
ポリオール化合物(B)の数平均分子量は、特に限定されないが、例えば200以上であり、200乃至100000の範囲内にあることが好ましく、300乃至1000の範囲内にあることがより好ましい。数平均分子量が小さすぎると、樹脂組成物を塗工する基材から樹脂組成物の硬化物であるフィルムを剥離する際に、フィルムに破断やクラックが発生する場合がある。一方、数平均分子量が大きすぎると、液状の樹脂組成物においてポリオール化合物が析出するか、又は、ポリオール化合物を他の成分中に溶解させることができない場合がある。なお、ポリオール化合物(B)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
ポリオール化合物(B)は、水酸基価が190乃至550KOHmg/gの範囲内にあることが好ましい。水酸基価が小さすぎると、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が低くなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。水酸基価が大きすぎると、エポキシ基の量に対し、水酸基の量が過剰となり、反応に寄与しない浮遊モノマーが硬化物中に発生する可能性がある。その結果、熱重量変化が大きくなり、耐熱性の低下、更には吸湿性の増加を生じる可能性がある。
ポリオール化合物(B)としては、例えば、分子内にエステル骨格(ポリエステル骨格)を有するポリエステルポリオール(ポリエステルポリオールオリゴマーを含む)、分子内にエーテル骨格(ポリエーテル骨格)を有するポリエーテルポリオール(ポリエーテルポリオールオリゴマーを含む)、及び分子内にカーボネート骨格(ポリカーボネート骨格)を有するポリカーボネートポリオール(ポリカーボネートポリオールオリゴマーを含む)などが挙げられる。ポリオール化合物(B)には、その他化合物、例えば、フェノキシ樹脂、エポキシ当量が1000g/eq.を超えるビスフェノール型高分子エポキシ樹脂、水酸基を有するポリブタジエン類、及びアクリルポリオールも含まれる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリオールと、ポリカルボン酸(多塩基酸)又はヒドロキシカルボン酸との縮合重合(例えば、エステル交換反応)により得られるポリエステルポリオールや、ラクトン類の開環重合により得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
上記ポリエステルポリオールを得るための縮合重合に使用するポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,12−ドデカンジオール、ポリブタジエンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ジヒドロキシアセトン、ヘキシレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジトリメチロールプロパン、マンニトール、ソルビトール、及びペンタエリスリトールが挙げられる。
上記ポリエステルポリオールを得るための縮合重合に使用するポリカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、クエン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シトラコン酸、1,10−デカンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、無水ピロメリット酸、及び無水トリメリット酸が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールを得るための縮合重合に使用するヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、りんご酸、グリコール酸、ジメチロールプロピオン酸、及びジメチロールブタン酸が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールを得るための開環重合に使用するラクトン類としては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、及びγ−ブチロラクトンが挙げられる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、商品名「プラクセル205」、「プラクセル205H」、「プラクセル205U」、「プラクセル205BA」、「プラクセル208」、「プラクセル210」、「プラクセル210CP」、「プラクセル210BA」、「プラクセル212」、「プラクセル212CP」、「プラクセル220」、「プラクセル220CPB」、「プラクセル220NP1」、「プラクセル220BA」、「プラクセル220ED」、「プラクセル220EB」、「プラクセル220EC」、「プラクセル230」、「プラクセル230CP」、「プラクセル240」、「プラクセル240CP」、「プラクセル210N」、「プラクセル220N」、「プラクセルL205AL」、「プラクセルL208AL」、「プラクセルL212AL」、「プラクセルL220AL」、「プラクセルL230AL」、「プラクセル305」、「プラクセル308」、「プラクセル312」、「プラクセルL312AL」、「プラクセル320」、「プラクセルL320AL」、「プラクセルL330AL」、「プラクセル410」、「プラクセル410D」、「プラクセル610」、「プラクセルP3403」、及び「プラクセルCDE9P」(何れも(株)ダイセル製)等の市販品を使用することができる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオール類への環状エーテル化合物の付加反応により得られるポリエーテルポリオール、及びアルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、より具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,12−ドデカンジオール、ポリブタジエンジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ジヒドロキシアセトン、ヘキシレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジトリメチロールプロパン、マンニトール、ソルビトール、及びペンタエリスリトールなどのポリオール類の多量体;上記ポリオール類と、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、及びエピクロロヒドリン等のアルキレンオキサイドとの付加物;並びにテトラヒドロフラン類などの環状エーテルの開環重合体(例えば、ポリテトラメチレングリコール)が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、商品名「PEP−101」(フロイント産業(株)製)、商品名「アデカプルロニックL」、「アデカプルロニックP」、「アデカプルロニックF」、「アデカプルロニックR」、「アデカプルロニックTR」、及び「アデカPEG」(何れもアデカ(株)製);商品名「PEG#1000」、「PEG#1500」、及び「PEG#11000」(何れも日油(株)製);商品名「ニューポールPE−34」、「ニューポールPE−61」、「ニューポールPE−78」、「ニューポールPE−108」、「PEG−200」、「PEG−600」、「PEG−2000」、「PEG−6000」、「PEG−10000」、及び「PEG−20000」(何れも三洋化成工業(株)製);商品名「PTMG1000」、「PTMG1800」、及び「PTMG2000」(何れも三菱化学(株)製);並びに「PTMGプレポリマー」(三菱樹脂(株)製)等の市販品を使用することができる。
上記ポリカーボネートポリオールとは、分子内に2個以上の水酸基を有するポリカーボネートである。中でも、上記ポリカーボネートポリオールとしては、分子内に2個の末端水酸基を有するポリカーボネートジオールが好ましい。
上記ポリカーボネートポリオールは、通常のポリカーボネートポリオールを製造する方法と同じく、ホスゲン法、又は、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートのようなジアルキルカーボネート又はジフェニルカーボネートを用いるカーボネート交換反応(特開昭62−187725号公報、特開平2−175721号公報、特開平2−49025号公報、特開平3−220233号公報、及び特開平3−252420号公報等)などにより合成される。上記ポリカーボネートポリオールにおけるカーボネート結合は熱分解を受けにくいため、ポリカーボネートポリオールを含む樹脂組成物の硬化物は高温高湿下でも優れた安定性を示す。
上記ジアルキルカーボネート又はジフェニルカーボネートと共にカーボネート交換反応で用いられるポリオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,12−ドデカンジオール、ブタジエンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、及びプロピレングリコールが挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、商品名「プラクセルCD205PL」、「プラクセルCD205HL」、「プラクセルCD210PL」、「プラクセルCD210HL」、「プラクセルCD220PL」、及び「プラクセルCD220HL」(何れも(株)ダイセル製);商品名「UH−CARB50」、「UH−CARB100」、「UH−CARB300」、「UH−CARB90(1/3)」、「UH−CARB90(1/1)」、及び「UC−CARB100」(何れも宇部興産(株)製);並びに、商品名「PCDL T4671」、「PCDL T4672」、「PCDL T5650J」、「PCDL T5651」、及び「PCDL T5652」(何れも旭化成ケミカルズ(株)製)等の市販品を使用することができる。
上記ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオール以外のポリオールとしては、例えば、商品名「YP−50」、「YP−50S」、「YP−55U」、「YP−70」、「ZX−1356−2」、「YPB−43C」、「YPB−43M」、「FX−316」、「FX−310T40」、「FX−280S」、「FX−293」、「YPS−007A30」、及び「TX−1016」(何れも新日鐵化学(株)製)や、商品名「jER1256」、「jER4250」、及び「jER4275」(何れも三菱化学(株)製)などのフェノキシ樹脂;商品名「エポトートYD−014」、「エポトートYD−017」、「エポトートYD−019」、「エポトートYD−020G」、「エポトートYD−904」、「エポトートYD−907」、及び「エポトートYD−6020」(何れも新日鐵化学(株)製)や、商品名「jER1007」、「jER1009」、「jER1010」、「jER1005F」、「jER1009F」、「jER1006FS」、及び「jER1007FS」(何れも三菱化学(株)製)などのエポキシ当量が1000g/eq.を超えるビスフェノール型高分子エポキシ樹脂;商品名「Poly bd R−45HT」、「Poly bd R−15HT」、「Poly ip」、及び「KRASOL」(何れも出光興産(株)製)や、商品名「α−ωポリブタジエングリコール G−1000」、「α−ωポリブタジエングリコール G−2000」、及び「α−ωポリブタジエングリコール G−3000」(何れも日本曹達(株)製)などの水酸基を有するポリブタジエン類;並びに、商品名「ヒタロイド3903」、「ヒタロイド3904」、「ヒタロイド3905」、「ヒタロイド6500」、「ヒタロイド6500B」、及び「ヒタロイド3018X」(何れも日立化成工業(株)製)や、商品名「アクリディックDL−1537」、「アクリディックBL−616」、「アクリディックAL−1157」、「アクリディックA−322」、「アクリディックA−817」、「アクリディックA−870」、「アクリディックA−859−B」、「アクリディックA−829」、及び「アクリディックA−49−394−IM」(何れもDIC(株)製)、商品名「ダイヤナールSR−1346」、「ダイヤナールSR−1237
」、及び「ダイヤナールAS−1139」(何れも三菱レイヨン(株)製)などのアクリルポリオール等の市販品を使用することができる。
なお、上記ポリオール化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ポリオール化合物(B)は、ポリエステルポリオール、例えば商品名「プラクセル305」及び「プラクセル308」(何れも(株)ダイセル製)などのポリカプロラクトントリオール、並びに、商品名「プラクセルCD205PL」((株)ダイセル製)などのカーボネートジオールの少なくとも一方であることが特に好ましい。
脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)との合計量に占めるポリオール化合物(B)の量の割合は、20乃至50質量%の範囲内にあることが好ましく、25乃至30質量%の範囲内にあることがより好ましい。この割合が小さすぎると、樹脂組成物の硬化物は、硬く脆い性状となり、高い可撓性が得られない可能性がある。この割合が大きすぎると、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が低くなり、エポキシ基の量に対して水酸基の量が過剰となり、樹脂組成物を十分に硬化させることができない可能性がある。
[酸発生剤(C)]
酸発生剤(C)は、樹脂組成物中のエポキシ基を有する化合物の重合を開始させる働きを有する。酸発生剤(C)としては、紫外線照射などの電離放射線照射又は加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して、脂環式エポキシ化合物(A)の重合を開始させるカチオン重合開始剤が好ましい。酸発生剤(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電離放射線照射によりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩、トリアリルスルホニウム塩及びその誘導体、並びに、ジアリルヨウドニウム塩及びその誘導体を挙げることができる。
トリアリルスルホニウム塩及びその誘導体としては、例えば、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩及びその誘導体、並びに、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩及びその誘導体が挙げられる。
ジアリルヨウドニウム塩及びその誘導体としては、例えば、ジアリルヨウドニウムヘキサフルオロホスフェート塩及びその誘導体、並びに、ジアリルヨウドニウムテトラフルオロボレート塩及びその誘導体が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤(カチオン触媒)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
このようなカチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・サイテック(株)製);商品名「CD−1010」、「CD−1011」、及び「CD−1012」(何れも米国サートマー社製);商品名「イルガキュア264」及び「イルガキュア250」(何れもチバ・ジャパン(株)製);商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製);商品名「CPI−101A」、「CPI−100P」、「CPI−210S」、及び「CPI−110A」(何れもサンアプロ(株)製);商品名「アデカオプトマーSP−170」、「アデカオプトマーSP−172」、及び「アデカオプトマーSP−150」(何れも(株)ADEKA製);並びに、商品名「シリコリース UV CATA211」(荒川化学工業(株)製)等の市販品を使用できる。好ましくは、商品名「SP−170」及び「SP−172」(何れも(株)ADEKA製)、並びに、商品名「CPI−210S」、「CPI−101A」及び「CPI−110A」(何れもサンアプロ(株)製)の1以上である。
加熱処理を施すことによりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、及びアレン−イオン錯体が挙げられる。
このようなカチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「PP−33」、「CP−66」、及び「CP−77」(何れもADEKA(株)製);商品名「FC−509」(スリーエム(株)製);商品名「UVE1014」(G.E.(株)製);商品名「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」、「サンエイド SI−100L」、「サンエイド SI−110L」、及び「サンエイド SI−150L」(何れも三新化学工業(株)製);並びに、商品名「CG−24−61」(チバ・ジャパン(株)製)等の市販品を使用できる。
更に、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物も、上記カチオン重合開始剤として使用できる。
酸発生剤(C)の量は、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して、0.05乃至0.5質量部の範囲内にあることが好ましく、0.05乃至0.1質量部の範囲内にあることがより好ましい。酸発生剤(C)の量が少なすぎると、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が小さくなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。酸発生剤(C)の量が多すぎると、高い透明性を有する硬化物を得られない可能性がある。
[赤外線吸収剤(D)]
赤外線吸収剤(D)としては、樹脂内に均一に分散し得るものであれば、任意のものを使用できる。赤外線吸収剤(D)は、フタロシアニン化合物を含んでいることが好ましい。ここで、フタロシアニン化合物とは、フタロシアニン骨格を有する化合物を意味している。フタロシアニン化合物は、銅、鉄、ニッケル、コバルトなどの金属に配位していることが好ましい。フタロシアニン化合物は、赤外線領域のうち、特定の波長域の赤外線に対して、特に高い吸収率を示す。それゆえ、赤外線領域において高い吸収率を示す波長域が異なる複数種のフタロシアニン化合物を適宜混合することにより、所望の波長域で高い赤外線吸収率を有する遮熱フィルム1を得ることができる。
このようなフタロシアニン化合物としては、たとえば、富士フイルム社製の「PRO−JET(登録商標)」と称されているものを好適に使用することができる。たとえば、同社製の「PRO−JET(登録商標) 830NP」は、およそ700乃至900nmの波長域で高い吸収率を示す赤外線吸収剤であり、「PRO−JET(登録商標) 900NP」は、およそ800乃至1000nmの波長域で高い吸収率を示す赤外線吸収剤であり、「PRO−JET(登録商標) 925NP」は、およそ900乃至1200nmの波長域で高い吸収率を示す赤外線吸収剤である。
また、フタロシアニン化合物は、DMF(ジメチルホルムアミド)、MEK(メチルエチルケトン)、トルエン又はキシレンなどの溶剤への溶解性に優れている。したがって、このフタロシアニン化合物を溶剤に溶解させた溶液を用いて遮熱フィルム1を製造すると、赤外線吸収剤(D)が、均一に分散した遮熱フィルム1を得ることができる。このような遮熱フィルム1は、安定した製膜性と高い可視光線透過率とを備えている。
赤外線吸収剤(D)の量は、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して、0.1乃至0.5質量部の範囲内にあることが好ましい。赤外線吸収剤(D)の量を過剰に少なくすると、所望の赤外線吸収作用を得られにくくなる。また、赤外線吸収剤(D)の量を過剰に多くすると、赤外線吸収率は高くなるが、可視光線透過率が著しく低下する。また、赤外線吸収剤(D)の量を過剰に多くすると、赤外線吸収剤(D)が遮熱フィルム1中に均一に分散されにくくなり、遮熱フィルム1の品質が低下しやすい。
赤外線吸収剤(D)としては、本発明の効果を奏する範囲内で、無機系赤外線吸収剤、フタロシアニン化合物以外の有機系赤外線吸収剤又はこれらの混合物を含んでもよい。このような無機系赤外線吸収剤の具体例としては、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アンチモン酸亜鉛、6硼化ランタン(LaB6)、セシウム含有酸化タングステン(Cs0.33WO3)、アルミニウム系無機化合物、又はこれらの混合物が挙げられる。フタロシアニン化合物以外の有機系赤外線吸収剤としては、例えば、有機金属錯体、ジイモニウム系化合物、アルミニウム系有機化合物、シアニン系化合物、アゾ化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物又はこれらの混合物が挙げられる。
<樹脂組成物の調製>
上記の樹脂組成物は、上述した成分を均一に混合することにより得る。この混合には、特に限定されないが、ディスパーミキサ、ウルトラミキサ、ホモジナイザ、及び遊星攪拌脱泡機等の攪拌機を用いることができる。この混合は、酸発生剤の活性化を防止するため、電離放射線が照射されない環境下で行うことが好ましい。また、上記の樹脂組成物を調製する際には、赤外線吸収剤(D)を溶剤に溶解させた溶液と、他の成分とを混合することが好ましい。
<遮熱フィルムの製造>
図1に示す遮熱フィルム1は、例えば、上記の樹脂組成物からなる塗膜を支持体上に形成し、この塗膜に電離放射線を照射し、更に、塗膜をポストベークに供して、塗膜を硬化させ、その後、硬化した膜を支持体から剥離することにより得る。遮熱フィルム1の製造には、例えば、図2に示す装置を利用することができる。
図2は、フィルム製造装置の一例を概略的に示す図である。
このフィルム製造装置100は、ロール・ツー・ロール式のダイコータである。このフィルム製造装置は、巻出ロール110と、キャリアフィルム120と、ガイドロール130a乃至130eと、バックアップロール140と、ダイヘッド150と、電離放射線照射機160と、ヒータ170と、剥離ロール180と、巻取ロール190a及び190bとを含んでいる。
巻出ロール110には、キャリアフィルム120が巻かれている。巻出ロール110は、キャリアフィルム120を巻き出す。
キャリアフィルム120は、ベルト形状を有している。キャリアフィルム120上には、上述した樹脂組成物を塗布し、このキャリアフィルム120上で樹脂組成物からなる塗膜の硬化を行う。
キャリアフィルム120は、樹脂組成物の硬化物を剥離可能に支持し得るものである。キャリアフィルム120としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム(CAPフィルム)、セルローストリアセテート及びセルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム、及びポリアリレート系フィルムを挙げることができる。
キャリアフィルム120の厚さは、制限を設けるわけではないが、6乃至700μmの範囲内にあることが好ましく、40乃至250μmの範囲内にあることがより好ましく、50乃至150μmの範囲内にあることが更に好ましい。
ガイドロール130a乃至130eは、巻出ロール110から巻き出されたキャリアフィルム120を、ダイヘッド150とバックアップロール140との間の領域、電離放射線照射機160の正面の領域、ヒータ170、及び巻取ロール190aへと順次案内する。
バックアップロール140は、ダイヘッド150と向き合うように設置されている。バックアップロール140は、ダイヘッド150とバックアップロール140との間を通過するキャリアフィルム120の裏面上を転動して、キャリアフィルム120とダイヘッド150との距離を一定に保つ役割を果たす。
ダイヘッド150は、ダイヘッド150とバックアップロール140との間を通過するキャリアフィルム120の表面上に樹脂組成物を供給する。これにより、キャリアフィルム120の表面上に、樹脂組成物からなる塗膜を形成する。
ここでは、樹脂組成物の塗工にダイヘッド150を利用するダイコート法について説明しているが、樹脂組成物の塗工には他の方法を利用してもよい。樹脂組成物の塗工には、例えば、ディッピング法、ワイヤーバーを使用する方法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、カーテン法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、及びグラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。
樹脂組成物からなる塗膜の硬化後の厚さ、即ち、遮熱フィルム1の厚さは、遮熱フィルムを貼り付けるときの施工時の作業性や、フィルムコストなどを勘案すると、50乃至300μmとすることが好ましく、50乃至150μmとすることがさらに好ましい。薄すぎる場合、遮熱フィルム1の強度が低く、破断してしまう可能性が高い。厚すぎる場合、反応熱が高くなることで硬化物の貯蔵弾性率が非常に高くなり、その結果、遮熱フィルム1は、硬く脆い性状となり、可撓性が不十分となる可能性がある。
電離放射線照射機160は、キャリアフィルム120の表面と向き合うように設置されている。キャリアフィルム120上の塗膜に対して、電離放射線を照射する。キャリアフィルム120が電離放射線を透過させるものである場合、電離放射線照射機160は、キャリアフィルム120の裏面と向き合うように設置してもよい。
ここで、用語「電離放射線」は、樹脂組成物が含む成分、具体的には酸発生剤を分解(電離)させて、樹脂組成物中に酸を発生させ得る高エネルギーな放射線、例えば、X線又は紫外線を意味している。電離放射線としては、典型的には、紫外線を利用する。
電離放射線照射機160は、塗膜に電離放射線を照射することにより、樹脂組成物が含んでいる酸発生剤を活性化させる。即ち、酸発生剤を分解(電離)させて、樹脂組成物中に酸を発生させる。酸は、樹脂組成物中での重合や架橋を促進する触媒としての役割を果たす。従って、塗膜への電離放射線照射により、樹脂組成物では重合や架橋が進行し、その結果、塗膜は硬化する。
電離放射線照射機160の光源としては、(C)酸発生剤の分解に適した波長の光を放射するものを適宜選択する。この光源としては、400nm以下の波長を放射するランプが好ましい。そのようなランプとしては、例えば、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、及び可視光ハロゲンランプが挙げられる。
電離放射線照射は、空気中で行ってもよいし、窒素及びアルゴン等の不活性ガス中で行ってもよい。
電離放射線の積算光量は、10乃至3000mJ/cmの範囲内とすることが好ましく、100乃至1000mJ/cmの範囲内とすることがより好ましく、200乃至500mJ/cmの範囲内とすることが更に好ましい。
ヒータ170は、電離放射線を照射した塗膜に対してポストベークを行う。ポストベークを行うことにより、樹脂組成物中での上記反応を完結させる。ポストベークを行うと、遮熱フィルム1における架橋密度を高めることができ、耐熱性が高まる。
ヒータ170による加熱には、例えば、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、及び赤外線照射等の加熱方法を、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。加熱温度は、80乃至160℃の範囲内とすることが好ましい。加熱時間は、30乃至600秒の範囲内とすることが好ましい。
剥離ロール180は、キャリアフィルム120に支持された遮熱フィルム1上を転動するように設置されている。剥離ロール180は、キャリアフィルム120の移動方向に対して、遮熱フィルム1の移動方向を急激且つ大きく異ならしめ、これにより、遮熱フィルム1をキャリアフィルム120から剥離する。
巻取ロール190aは、遮熱フィルム1を剥離したキャリアフィルム120を巻き取る。また、巻取ロール190bは、キャリアフィルム120から剥離した遮熱フィルム1を巻き取る。
巻取ロール190aは、キャリアフィルム120に張力を与える。巻取ロール190aがキャリアフィルム120に与える張力は、キャリアフィルム120の厚さや材質によって異なるが、10乃至500N/mの範囲内とすることが好ましい。
遮熱フィルム1は、例えば、以上のようにして製造する。
上記の通り、この遮熱フィルム1は、ガラス繊維布などの基材を含んでいない。従って、この遮熱フィルム1は、ガラス繊維布などの基材を含んだフィルムと比較して、透明性やコストの点で有利である。また、この遮熱フィルム1は、上述した樹脂組成物から得られる。このような遮熱フィルム1は、耐加水分解性、遮熱性、透明性、耐熱性及び可撓性に優れている。即ち、この遮熱フィルム1は、安価に製造することができ、耐加水分解性、遮熱性、透明性、耐熱性及び可撓性に優れた自立膜としてのフィルムである。
以上のように、この遮熱フィルム1は、遮熱性と可視光線の透過性とのいずれにも優れ、かつ、耐加水分解性にも優れている。したがって、この遮熱フィルム1は、屋外又は高温高湿度条件下においても、機械的強度が低下することなく、長期間にわたって使用することができる。それゆえ、この遮熱フィルム1は、屋外で、例えばビニールハウス及び屋根材の一部として好適に用いることが可能であり、太陽光による室内の温度上昇を防止できる。
次に、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明する。なお、下記の実施例・比較例における各物性の評価は、次のようにして行った。
(1)平均可視光線透過率(%)
島津製作所社製の分光光度計UV−3100を用いて、遮熱フィルム1について平均可視光線透過率を測定した。なお、この測定にあたっては、360nmから760nmまでの波長領域を、各々の最長波長と最短波長との差が20nmの複数のサブ領域へと分割し、これらサブ領域の各々に対して測定を行った。そして、全サブ領域の透過率の相加平均値を求めて、平均可視光線透過率とした。
そして、遮熱フィルム1の透明性を、以下の基準で判定した。平均可視光線透過率が40%以上の場合を「○」、40%未満の場合を「×」と判定した。
(2)平均赤外線吸収率(%)
島津製作所社製の分光光度計UV−3100を用いて、遮熱フィルム1について赤外線の反射率と透過率とを測定し、下記式から赤外線吸収率を求めた。
赤外線吸収率(%)=100−[赤外線反射率(%)+赤外線透過率(%)]
なお、この測定にあたっては、800nmから1200nmまでの波長領域を、各々の最長波長と最短波長との差が20nmの複数のサブ領域へと分割し、これらサブ領域の各々に対して測定を行った。そして、全サブ領域の赤外線吸収率の相加平均値を求めて、平均赤外線吸収率とした。
そして、遮熱フィルム1の平均赤外線吸収率を、以下の基準で判定した。平均赤外線吸収率が20%以上の場合を「〇」、20%未満の場合を「×」と判定した。
(3)引張伸度保持率(%)
先ず、島津製作所社製の卓上形精密万能試験機AGS−Xを用いて、遮熱フィルム1の流れ方向(Machine Direction;MD)の引張特性試験を行い、引張伸度を得た。なお、試験片の寸法は、幅が15mmであり、長さが150mmであった。また、この試験は、チャック間距離を100mmとし、引張速度を300mm/minとして行った。
次に、遮熱フィルム1について、エスペック社製の高度加速寿命試験装置EHS−211を用いてプレッシャークッカー試験(以下、PCTという)を行った。PCTは、温度が105℃であり、相対湿度が100%である条件で、96時間にわたって行った。
次いで、PCT後の遮熱フィルム1について、上記と同様の方法で引張伸度を測定した。以上のようにして得られた値と下記式とから、引張伸度保持率を得た。
引張伸度保持率(%)=引張伸度(PCT後)/引張伸度(PCT前)×100
そして、遮熱フィルム1の耐加水分解性を、以下の基準で判定した。引張伸度保持率が95%以上の場合を「〇」、95%未満の場合を「×」と判定した。
(実施例1)
図1に示す遮熱フィルム1を以下の手順で作製した。
先ず、赤外線吸収剤(D)をMEKに溶解させて、溶液を調製した。そして、この溶液と、80質量部の脂環式エポキシ化合物(A)と、20質量部のポリオール化合物(B)と、0.05質量部の酸発生剤(C)とを、遊星攪拌脱泡機(マゼルスターKK5000、KURABO製)を用いて15分間攪拌して、塗液を調製した。なお、赤外線吸収剤(D)を含んだ上記溶液は、赤外線吸収剤(D)の含有量が、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して0.1質量部となるように、他の成分と混合した。ここで、脂環式エポキシ化合物(A)としては、セロキサイド2021P((株)ダイセル製)を使用した。また、ポリオール化合物(B)としては、プラクセル305((株)ダイセル製)を使用した。そして、酸発生剤(C)としては、アデカオプトマーSP−170((株)ADEKA)を使用した。さらに、赤外線吸収剤(D)としては、富士フイルム社製のフタロシアニン化合物である、PRO−JET(登録商標)830NP、PRO−JET(登録商標)900NP及びPRO−JET(登録商標)925NPの混合物を使用した。この混合物における上記成分の質量比は、1:1:1であった。
次に、この塗液を用いて、図2を参照しながら説明した方法により、厚さが50μmの遮熱フィルム1を製造した。ここでは、キャリアフィルム120として、厚さが250μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製シート(メリネックスS、帝人(株)製)を使用した。電離放射線照射機160の光源としては、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス(株)製)を使用した。露光は、積算光量が500mJ/cm2となるように行った。また、ポストベークは、150℃にて180秒間にわたって行った。なお、キャリアフィルム120は、50N/mの張力で巻き取った。
(実施例2)
赤外線吸収剤(D)の添加量を、0.1質量部から0.5質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、遮熱フィルム1を得た。
(比較例1)
赤外線吸収剤(D)の添加量を、0.1質量部から0.01質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、遮熱フィルム1を得た。
(比較例2)
赤外線吸収剤(D)の添加量を、0.1質量部から1.0質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、遮熱フィルム1を得た。
(比較例3)
先ず、ポリエチレンテレフタレート(日本エステル社製 UTC−BR、相対粘度ηr=1.38)に対して、含有率が0.1質量%となるように赤外線吸収剤(D)を添加して、原料を調製した。なお、赤外線吸収剤(D)としては、実施例1で使用したものと同じものを用いた。次いで、Tダイスを装着した一軸押し出し機(日本製鋼社製 L/D =24)を用いて、押し出し温度270℃の条件下で、この原料を溶融押し出しした。次いで、これを15℃に冷却したキャストロールにて急冷して、厚み250μmの未延伸フィルムを得た。その後、予熱90℃、延伸80℃、セット温度200°の条件下で、3×3.3倍の延伸倍率で同時二軸延伸を実施して、厚み50μmの遮熱フィルム1を得た。
上述した評価方法にしたがって、これら遮熱フィルム1を評価した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1及び2に係る遮熱フィルム1は、平均可視光線透過率、平均赤外線吸収率及び引張伸度保持率のすべてについて優れた性能を示した。これに対し、比較例1乃至3に係る遮熱フィルム1は、平均可視光線透過率、平均赤外線吸収率及び引張伸度保持率の少なくとも1つの性能が不十分であった。
1…遮熱フィルム、100…フィルム製造装置、110…巻出ロール、120…キャリアフィルム、130a乃至130e…ガイドロール、140…バックアップロール、150…ダイヘッド、160…電離放射線照射機、170…ヒータ、180…剥離ロール、190a及び190b…巻取ロール。

Claims (9)

  1. 単層構造を有している自立膜としての遮熱フィルムであって、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)と酸発生剤(C)と赤外線吸収剤(D)とを含んだ樹脂組成物の硬化物からなり、前記赤外線吸収剤(D)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して0.1乃至0.5質量部の範囲内にある遮熱フィルム。
  2. 前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量に占める前記脂環式エポキシ化合物(A)の量の割合は50乃至80質量%の範囲内にあり、前記酸発生剤(C)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して0.05乃至0.5質量部の範囲内にある請求項1に記載の遮熱フィルム。
  3. 前記脂環式エポキシ化合物(A)は、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及びε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの少なくとも一方である請求項1又は2に記載の遮熱フィルム。
  4. 前記ポリオール化合物(B)は、ポリカプロラクトントリオール及びポリカーボネートジオールの少なくとも一方である請求項1乃至3の何れか1項に記載の遮熱フィルム。
  5. 前記酸発生剤(C)はスルホニウム塩を含んだ請求項1乃至4の何れか1項に記載の遮熱フィルム。
  6. 前記赤外線吸収剤(D)は、フタロシアニン化合物を含んでいる請求項1乃至5の何れか1項に記載の遮熱フィルム。
  7. 前記ポリオール化合物(B)は、数平均分子量が200乃至100000g/molの範囲内にあり、水酸基価が190乃至550KOHmg/gの範囲内にある請求項1乃至6の何れか1項に記載の遮熱フィルム。
  8. 波長域が360乃至760nmの可視光線領域での平均透過率が40%以上であり、波長域が800乃至1200nmの赤外線領域での平均吸収率が20%以上である請求項1乃至7の何れか1項に記載の遮熱フィルム。
  9. 105℃の温度及び100%の相対湿度の条件下で、96時間にわたってプレッシャークッカー試験を行い、その後、引張特性試験を行うことにより得られる引張伸度は、前記プレッシャークッカー試験を行う前に、前記引張特性試験を行うことにより得られる引張伸度に対して、95%以上である請求項1乃至8の何れか1項に記載の遮熱フィルム。
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