JP2017177703A - 樹脂シート、基板、ディスプレイ及び有機エレクトロルミネッセンス装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バリア性と耐熱性とに優れ、破損を生じ難い樹脂シートを提供する。【解決手段】本発明の樹脂シート1は、脂環式エポキシ樹脂とポリカーボネートジオールとを含んだ第1樹脂組成物から各々がなる1以上の第1樹脂層11と、ビスフェノール型エポキシ樹脂とポリカーボネートジオールとを含んだ第2樹脂組成物から各々がなる2以上の第2樹脂層12であって、第1樹脂層11の各々が、第2樹脂層12の隣り合った2つの間に介在するように第1樹脂層11と交互に配置された2以上の第2樹脂層12と、第1樹脂組成物と第2樹脂組成物との混合物から各々がなる2以上の中間層13であって、第1樹脂層11の各々がその両側の第2樹脂層12と中間層13を介して隣接するように、第1樹脂層11と第2樹脂層12との隣り合った2つの間に各々が介在した2以上の中間層13とを備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂シート、これを含んだ基板、並びに、これを含んだディスプレイ及び有機エレクトロルミネッセンス装置に関する。
フラットパネルディスプレイは、テレビジョン受像機、コンピュータのモニタ、及び、携帯電話等の携帯端末などの様々な用途に利用されている。フラットパネルディスプレイとしては、液晶ディスプレイが広く利用されている。また、液晶ディスプレイに代わるフラットパネルディスプレイとして、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」という)装置が注目を集めている。有機EL装置には、広視野角、応答速度が速い、及び低消費電力などの利点がある。また、有機EL装置は、面発光光源、照明機器、及び発光型広告媒体においても利用可能である。
液晶ディスプレイや有機EL装置の薄型軽量化などの目的のため、エポキシ樹脂からなる樹脂シートを基板として使用することが検討されている。そのような目的で使用する樹脂シートには、透明性、耐熱性、耐溶剤性、及びガスバリア性(水蒸気バリア、酸素バリア)に優れていることが要求される。例えば、有機EL素子の電極が酸素ガス又は水蒸気に触れると、電極が酸化又は腐食等し、その結果、ダークスポットと呼ばれる非発光部が生じる。
有機EL素子や液晶素子を湿気から保護するために、樹脂シートに、水蒸気などのガスの透過を抑制するガスバリア層を設けることが知られている。しかしながら、ガスの透過を十分に抑えるべく、ガスバリア層の内部構造を緻密化すると、ガスバリア層は外部からの衝撃や屈曲に対して脆く割れやすくなってしまう。
また、樹脂シートは、運搬時やフラットパネルディスプレイなどの組み立て時に破断することがある。従って、高い強度を有している樹脂シートの開発が求められている。
これに関し、特許文献1には、ビスフェノールS型骨格を有するエポキシ樹脂を含有した樹脂層を樹脂シートに含ませることで強度を高くすること、ビスフェノールS型エポキシ樹脂と脂環式エポキシ樹脂とを同時に含有させることで耐熱性及び強度を高めること、並びに、樹脂層におけるビスフェノールS型骨格を有するエポキシ樹脂の割合は好ましくは3乃至60質量%とすることが記載されている。また、この文献には、樹脂シートにはハードコート層やガスバリア層が積層されていることが好ましいこと、上記樹脂シートのガラス転移温度(Tg)は好ましくは170℃以上であること、及び、光透過率は好ましくは88%以上であることが記載されている。
上記特許文献では、ビスフェノールS型骨格を有するエポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂との混合からなるエポキシ樹脂層を含んだ樹脂シート上に、その耐熱性、強靭性、及びガスバリア性を高めるべく、ハードコート層及びガスバリア層を積層している。そのような多層構造の製造においては、ハードコート層やガスバリア層の材料からなる塗膜を硬化させる際に、樹脂シートが熱負荷を受けて反ることがある。
そこで、本発明は、バリア性と耐熱性とに優れ、破損を生じ難い樹脂シートを提供することを目的とする。
そこで、本発明は、バリア性と耐熱性とに優れ、破損を生じ難い樹脂シートを提供することを目的とする。
本発明の第1側面によると、脂環式エポキシ樹脂とポリカーボネートジオールとを含んだ第1樹脂組成物から各々がなり、前記第1樹脂組成物において、前記脂環式エポキシ樹脂と前記ポリカーボネートジオールとの合計量に占める前記脂環式エポキシ樹脂の量の割合が60質量%より大きく且つ80質量%未満であり、各々の厚さが20μmより大きく且つ60μmよりも小さい1以上の第1樹脂層と、ビスフェノール型エポキシ樹脂とポリカーボネートジオールとを含んだ第2樹脂組成物から各々がなり、前記第2樹脂組成物において、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と前記ポリカーボネートジオールとの合計量に占める前記ビスフェノール型エポキシ樹脂の量の割合が60質量%より大きく且つ80質量%未満である2以上の第2樹脂層であって、前記1以上の第1樹脂層の各々が、前記2以上の第2樹脂層の隣り合った2つの間に介在するように前記第1樹脂層と交互に配置され、各々の厚さが5μmより大きく且つ20μmよりも小さい2以上の第2樹脂層と、前記第1樹脂組成物と前記第2樹脂組成物との混合物から各々がなる2以上の中間層であって、前記1以上の第1樹脂層の各々がその両側の前記第2樹脂層と前記中間層を介して隣接するように、前記1以上の第1樹脂層と前記2以上の第2樹脂層との隣り合った2つの間に各々が介在した2以上の中間層とを備えた樹脂シートが提供される。
本発明の第2側面によると、第1側面に係る樹脂シートを含んだディスプレイ用基板が提供される。
本発明の第3側面によると、第1側面に係る樹脂シートを含んだ有機エレクトロルミネッセンス装置用基板が提供される。
本発明の第3側面によると、第1側面に係る樹脂シートを含んだ有機エレクトロルミネッセンス装置用基板が提供される。
本発明の第4側面によると、第2側面に係るディスプレイ用基板を含んだディスプレイが提供される。
本発明の第5側面によると、第3側面に係る有機エレクトロルミネッセンス装置用基板を含んだ有機エレクトロルミネッセンス装置が提供される。
本発明の第5側面によると、第3側面に係る有機エレクトロルミネッセンス装置用基板を含んだ有機エレクトロルミネッセンス装置が提供される。
本発明によると、バリア性と耐熱性とに優れ、破損を生じ難い樹脂シートが提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<1>樹脂シート
本発明の実施形態に係る樹脂シートは、多層構造を有している透明なシートである。なお、ここで使用する用語「シート」は、薄層形状及び可撓性を有している物品を意味し、厚さの概念は含まない。
<1>樹脂シート
本発明の実施形態に係る樹脂シートは、多層構造を有している透明なシートである。なお、ここで使用する用語「シート」は、薄層形状及び可撓性を有している物品を意味し、厚さの概念は含まない。
本発明の実施形態に係る樹脂シートは、1以上の第1樹脂層と、2以上の第2樹脂層と、2以上の中間層とを含んでいる。第1樹脂層と第2樹脂層とは、第1樹脂層の各々が、第2樹脂層の隣り合った2つの間に介在するように交互に配置されている。中間層の各々は、第1樹脂層の各々がその両側の第2樹脂層と中間層を介して隣接するように、第1及び第2樹脂層の隣り合った2つの間に介在している。
なお、第1樹脂層の数をN1とした場合、第2樹脂層の数N2の数N3のN1+1であり、中間層の数N3は2×N1である。N1は、1以上の整数であればよい。N1は、1乃至7の範囲内にあることが好ましい。また、樹脂シートの厚さは、200μm程度であることが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートを概略的に示す断面図である。
図1に示す樹脂シート10は、第1樹脂層11と、第2樹脂層12と、中間層13とを含んでいる。なお、図1には、第1樹脂層11を1つのみ含んだ構造を描いているが、樹脂シート10は、2以上の第1樹脂層11を含んでいてもよい。
図1に示す樹脂シート10は、第1樹脂層11と、第2樹脂層12と、中間層13とを含んでいる。なお、図1には、第1樹脂層11を1つのみ含んだ構造を描いているが、樹脂シート10は、2以上の第1樹脂層11を含んでいてもよい。
<1.1>第1樹脂層
第1樹脂層11は、脂環式エポキシ樹脂とポリカーボネートジオールとを含んだ第1樹脂組成物からなる。第1樹脂組成物については、後で説明する。
第1樹脂層11は、脂環式エポキシ樹脂とポリカーボネートジオールとを含んだ第1樹脂組成物からなる。第1樹脂組成物については、後で説明する。
第1樹脂層11は、耐熱性及び透明性に優れている。また、第1樹脂層11は、高いバリア性及び強度を有するとともに、十分な可撓性を有している。
第1樹脂層11の厚さは、20μmより大きく且つ60μmより小さい。第1樹脂層11の厚さは、40乃至50μmの範囲内にあることが好ましい。第1樹脂層11が薄すぎると、高いバリア性を達成することが難しい。第1樹脂層11が厚すぎると、可撓性が不十分となり、樹脂シート1の破損を生じ易い。
<第1樹脂組成物>
第1樹脂組成物は、脂環式エポキシ樹脂(A)と、ポリカーボネートジオール(B)とを含んでいる。一例によれば、第1樹脂組成物は、酸発生剤(C)を更に含んでいる。以下に、各成分について説明する。
第1樹脂組成物は、脂環式エポキシ樹脂(A)と、ポリカーボネートジオール(B)とを含んでいる。一例によれば、第1樹脂組成物は、酸発生剤(C)を更に含んでいる。以下に、各成分について説明する。
[脂環式エポキシ樹脂(A)]
脂環式エポキシ樹脂(A)は、1分子内に脂環(脂肪族環)構造とエポキシ基とを含んだ化合物である(以下、「脂環式エポキシ樹脂」又は「脂環式エポキシ化合物」と表記する)。エポキシ基は、脂環において互いに隣り合った2つの炭素原子と酸素原子とで構成されていてもよく(以下、そのようなエポキシ基を「脂環エポキシ基」と称する)、脂環に単結合で直接結合していてもよい。
脂環式エポキシ樹脂(A)は、1分子内に脂環(脂肪族環)構造とエポキシ基とを含んだ化合物である(以下、「脂環式エポキシ樹脂」又は「脂環式エポキシ化合物」と表記する)。エポキシ基は、脂環において互いに隣り合った2つの炭素原子と酸素原子とで構成されていてもよく(以下、そのようなエポキシ基を「脂環エポキシ基」と称する)、脂環に単結合で直接結合していてもよい。
脂環式エポキシ化合物(A)が1分子内に含む脂環構造の数は、1であってもよく、2以上であってもよい。また、脂環式エポキシ化合物(A)が1分子内に含むエポキシ基の数は、1であってもよく、2以上であってもよい。一例によれば、脂環式エポキシ化合物(A)は、1分子内に、2つの脂環構造と、2つのエポキシ基とを含み、それらエポキシ基は別々の脂環構造の炭素原子を含んだ脂環エポキシ基である。
脂環エポキシ基を有する化合物としては、公知乃至慣用のものの中から任意に選択して使用することができる。脂環エポキシ基を有する化合物は、シクロヘキサン環において互いに隣り合った2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有すること、即ち、シクロヘキセンオキシド基を有する化合物であることが好ましい。
脂環エポキシ基を有する化合物としては、特に、耐熱性、耐光性、及び透明性の点で、下記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)が好ましい。一般的に、エポキシ化合物は耐熱性に優れている。しかしながら、ビスフェノールA型エポキシ化合物等のベンゼン環を有するエポキシ化合物は、共役二重結合を有しているため、共役二重結合を有していないエポキシ化合物と比較して透明性の点で劣る。下記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物を使用した場合、特に高い透明性を達成できる。
上記一般式(I)において、R1乃至R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。
有機基としては、例えば、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子とともに、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。ハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子、及びフッ素原子等が挙げられる。
有機基としては、炭化水素基と、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基と、ハロゲン化炭化水素基と、炭素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基と、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基とが好ましい。有機基が炭化水素基である場合、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも、脂肪族炭化水素基でも、芳香族骨格と脂肪族骨格とを含む基でもよい。
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−n−プロペニル基(アリル基)、1−n−ブテニル基、2−n−ブテニル基、及び3−n−ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;並びに、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基の具体例としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、及びパーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、及び4−ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、及び4−フルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基;並びに、2−クロロフェニルメチル基、3−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、2−ブロモフェニルメチル基、3−ブロモフェニルメチル基、4−ブロモフェニルメチル基、2−フルオロフェニルメチル基、3−フルオロフェニルメチル基、及び4−フルオロフェニルメチル基等のハロゲン化アラルキル基が挙げられる。
炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、及び4−ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4−ヒドロキシシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基、2,4−ジヒドロキシフェニル基、2,5−ジヒドロキシフェニル基、2,6−ジヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、及び3,5−ジヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基;2−ヒドロキシフェニルメチル基、3−ヒドロキシフェニルメチル基、及び4−ヒドロキシフェニルメチル基等のヒドロキシアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−n−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1−n−ブテニルオキシ基、2−n−ブテニルオキシ基、及び3−n−ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、α−ナフチルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、ビフェニル−4−イルオキシ基、ビフェニル−3−イルオキシ基、ビフェニル−2−イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α−ナフチルメチルオキシ基、β−ナフチルメチルオキシ基、α−ナフチルエチルオキシ基、及びβ−ナフチルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロピルオキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロピルオキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、3−エトキシ−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、4−エトキシ−n−ブチル基、及び4−n−プロピルオキシ−n−プチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n−プロピルオキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−プロピルオキシエトキシ基、3−メトキシ−n−プロピルオキシ基、3−エトキシ−n−プロピルオキシ基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピルオキシ基、4−メトキシ−n−ブチルオキシ基、4−エトキシ−n−ブチルオキシ基、及び4−n−プロピルオキシ−n−ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、及び4−メトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、及び4−メトキシフェノキシ基等のアルコキシアリールオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、α−ナフトイル基、及びβ−ナフトイル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、及びn−デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、α−ナフトキシカルボニル基、及びβ−ナフトキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;並びに、ベンゾイルオキシ基、α−ナフトイルオキシ基、及びβ−ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基が挙げられる。
R1乃至R18は、特に硬化性組成物を用いて得られる硬化物の硬度の観点から、全てが水素原子であることがより好ましい。
また、上記一般式(I)において、Xは、単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)である。
上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル基(エーテル結合)、チオエーテル基(チオエーテル結合)、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、アミド基(アミド結合)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数が1乃至18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、及び、2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1乃至18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、及びトリメチレン基が挙げられる。2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、及びシクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)が挙げられる。
上記連結基Xとしては、酸素原子を含有する連結基が好ましい。そのような連結基Xとしては、例えば、−CO−(カルボニル基)、−O−CO−O−(カーボネート基)、−COO−(エステル基)、−O−(エーテル基)、−CONH−(アミド基)、これらの基が複数個連結した基、及びこれらの基の1又は2以上と2価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基が挙げられる。2価の炭化水素基としては、例えば、上記で例示したものが挙げられる。
上記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物としては、例えば、商品名「セロキサイド2021P」及び「セロキサイド2081」(何れも(株)ダイセル製)等の市販品を使用することもできる。また、一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物のうちXが単結合であるものとして、例えば、商品名「セロキサイド8000」((株)ダイセル製)などの市販品を用いることもできる。
脂環式エポキシ化合物(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記の中でも、脂環式エポキシ化合物(A)としては、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、及び2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサンの少なくとも1つを使用することが好ましく、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを使用することがより好ましい。
脂環式エポキシ化合物(A)とポリカーボネートジオール(B)との合計量に占める脂環式エポキシ化合物(A)の量の割合は、60質量%より大きく且つ80質量%未満である。この割合は、65乃至75質量%の範囲内にあることが好ましい。この割合が小さすぎると、第1樹脂組成物の硬化物において架橋密度が低くなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。この割合が大きすぎると、第1樹脂組成物の硬化物は、硬く脆い性状となり、高い可撓性が得られない可能性がある。
[ポリカーボネートジオール(B)]
第1樹脂組成物にポリカーボネートジオール(B)を含めることにより、高い可撓性を有している硬化物を形成できる。
第1樹脂組成物にポリカーボネートジオール(B)を含めることにより、高い可撓性を有している硬化物を形成できる。
ポリカーボネートジオール(B)は、数平均分子量が例えば200以上の重合体(オリゴマー又はポリマー)である。ポリカーボネートジオールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリカーボネートジオール(B)が有する水酸基は、アルコール性水酸基であってもよいし、フェノール性水酸基であってもよい。
ポリカーボネートジオール(B)における水酸基の位置は、特に限定されないが、硬化剤との反応性の観点で、ポリカーボネートジオール分子の少なくとも一方の末端(重合体主鎖の末端)に存在することが好ましく、ポリカーボネートジオール分子の両末端に存在することが特に好ましい。
ポリカーボネートジオール(B)は、その他の成分と配合した後に液状の第1樹脂組成物を形成できればよく、それ自体は、固体であってもよいし、液体であってもよい。
ポリカーボネートジオール(B)の数平均分子量は、特に限定されないが、例えば200以上であり、200乃至100000の範囲内にあることが好ましく、300乃至1000の範囲内にあることがより好ましい。数平均分子量が小さすぎると、第1及び第2樹脂組成物を塗工する基材からそれらの硬化物である樹脂シートを剥離する際に、樹脂シートに破断やクラックが発生する場合がある。一方、数平均分子量が大きすぎると、液状の第1樹脂組成物においてポリカーボネートジオールが析出するか、又は、ポリカーボネートジオールを他の成分中に溶解させることができない場合がある。なお、ポリカーボネートジオール(B)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
ポリカーボネートジオール(B)は、水酸基価が190乃至550KOHmg/gの範囲内にあることが好ましい。水酸基価が小さすぎると、第1樹脂組成物の硬化物において架橋密度が低くなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。水酸基価が大きすぎると、エポキシ基の量に対し、水酸基の量が過剰となり、反応に寄与しない浮遊モノマーが硬化物中に発生する可能性がある。その結果、熱重量変化が大きくなり、耐熱性の低下、更には吸湿性の増加を生じる可能性がある。
ポリカーボネートジオールは、通常のポリカーボネートジオールを製造する方法と同じく、ホスゲン法、又は、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートのようなジアルキルカーボネート又はジフェニルカーボネートを用いるカーボネート交換反応(特開昭62−187725号公報、特開平2−175721号公報、特開平2−49025号公報、特開平3−220233号公報、特開平3−252420号公報等)などにより合成される。上記ポリカーボネートジオールにおけるカーボネート結合は熱分解を受けにくいため、ポリカーボネートジオールを含む第1樹脂組成物の硬化物は高温高湿下でも優れた安定性を示す。
上記ジアルキルカーボネート又はジフェニルカーボネートと共にカーボネート交換反応で用いられるジオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,12−ドデカンジオール、ブタジエンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、及びプロピレングリコールが挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、例えば、商品名「プラクセルCD205PL」、「プラクセルCD205HL」、「プラクセルCD210PL」、「プラクセルCD210HL」、「プラクセルCD220PL」、及び「プラクセルCD220HL」(何れも(株)ダイセル製);商品名「UH−CARB50」、「UH−CARB100」、「UH−CARB300」、「UH−CARB90(1/3)」、「UH−CARB90(1/1)」、及び「UC−CARB100」(何れも宇部興産(株)製);並びに、商品名「PCDL T4671」、「PCDL T4672」、「PCDL T5650J」、「PCDL T5651」、及び「PCDL T5652」(何れも旭化成ケミカルズ(株)製)等の市販品を使用することができる。
脂環式エポキシ樹脂(A)とポリカーボネートジオール(B)との合計量に占めるポリカーボネートジオール(B)の量の割合は、20質量%より大きく且つ40質量%未満である。この割合は、25乃至35質量%の範囲内にあることが好ましい。この割合が小さすぎると、第1樹脂組成物の硬化物は、硬く脆い性状となり、高い可撓性が得られない可能性がある。この割合が大きすぎると、第1樹脂組成物の硬化物において架橋密度が低くなり、エポキシ基の量に対して水酸基の量が過剰となり、第1樹脂組成物を十分に硬化させることができない可能性がある。
[酸発生剤(C)]
酸発生剤(C)は、第1樹脂組成物中のエポキシ基を有する化合物の重合を開始させる働きを有する。酸発生剤(C)としては、紫外線照射などの電離放射線照射又は加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して、脂環式エポキシ化合物(A)の重合を開始させるカチオン重合開始剤が好ましい。酸発生剤(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸発生剤(C)は、第1樹脂組成物中のエポキシ基を有する化合物の重合を開始させる働きを有する。酸発生剤(C)としては、紫外線照射などの電離放射線照射又は加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して、脂環式エポキシ化合物(A)の重合を開始させるカチオン重合開始剤が好ましい。酸発生剤(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電離放射線照射によりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩、トリアリルスルホニウム塩及びその誘導体、並びに、ジアリルヨウドニウム塩及びその誘導体を挙げることができる。
トリアリルスルホニウム塩及びその誘導体としては、例えば、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩及びその誘導体、並びに、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩及びその誘導体が挙げられる。
ジアリルヨウドニウム塩及びその誘導体としては、例えば、ジアリルヨウドニウムヘキサフルオロホスフェート塩及びその誘導体、並びに、ジアリルヨウドニウムテトラフルオロボレート塩及びその誘導体が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤(カチオン触媒)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ジアリルヨウドニウム塩及びその誘導体としては、例えば、ジアリルヨウドニウムヘキサフルオロホスフェート塩及びその誘導体、並びに、ジアリルヨウドニウムテトラフルオロボレート塩及びその誘導体が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤(カチオン触媒)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
このようなカチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・サイテック(株)製);商品名「CD−1010」、「CD−1011」、及び「CD−1012」(何れも米国サートマー社製);商品名「イルガキュア264」及び「イルガキュア250」(何れもチバ・ジャパン(株)製);商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製);商品名「CPI−101A」、「CPI−100P」、「CPI−210S」、及び「CPI−110A」(何れもサンアプロ(株)製);商品名「アデカオプトマーSP−170」、「アデカオプトマーSP−172」、及び「アデカオプトマーSP−150」(何れも(株)ADEKA製);並びに、商品名「シリコリース UV CATA211」(荒川化学工業(株)製)等の市販品を使用できる。好ましくは、商品名「SP−170」及び「SP−172」(何れも(株)ADEKA製)、並びに、商品名「CPI−210S」、「CPI−101A」及び「CPI−110A」(何れもサンアプロ(株)製)の1以上である。
加熱処理を施すことによりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、及びアレン−イオン錯体が挙げられる。
このようなカチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「PP−33」、「CP−66」、及び「CP−77」(何れもADEKA(株)製);商品名「FC−509」(スリーエム(株)製);商品名「UVE1014」(G.E.(株)製);商品名「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」、「サンエイド SI−100L」、「サンエイド SI−110L」、及び「サンエイド SI−150L」(何れも三新化学工業(株)製);並びに、商品名「CG−24−61」(チバ・ジャパン(株)製)等の市販品を使用できる。
更に、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物も、上記カチオン重合開始剤として使用できる。
酸発生剤(C)の量は、脂環式エポキシ化合物(A)とポリカーボネートジオール(B)との合計量100質量部に対して、0.05乃至1質量部の範囲内にあることが好ましく、0.3乃至0.7質量部の範囲内にあることがより好ましい。酸発生剤(C)の量が少なすぎると、第1樹脂組成物の硬化物において架橋密度が小さくなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。酸発生剤(C)の量が多すぎると、高い透明性を有する硬化物を得られない可能性がある。
[その他の成分(D)]
第1樹脂組成物は、必要に応じて、他の成分(D)を更に含有することができる。
例えば、第1樹脂組成物は、硬化性調整のためにビニルエーテル化合物のようなカチオン反応性化合物を更に含有していてもよい。また、第1樹脂組成物は、その低粘度化や反応速度調整のためにオキセタン化合物を更に含有していてもよい。また、第1樹脂組成物は、基材と第1樹脂組成物を硬化してなる層との密着性調整のためにラジカル反応性化合物を更に含有していてもよい。
第1樹脂組成物は、必要に応じて、他の成分(D)を更に含有することができる。
例えば、第1樹脂組成物は、硬化性調整のためにビニルエーテル化合物のようなカチオン反応性化合物を更に含有していてもよい。また、第1樹脂組成物は、その低粘度化や反応速度調整のためにオキセタン化合物を更に含有していてもよい。また、第1樹脂組成物は、基材と第1樹脂組成物を硬化してなる層との密着性調整のためにラジカル反応性化合物を更に含有していてもよい。
第1樹脂組成物は、その他の成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤(HALS等)、つや消し剤(シリカ、ガラス粉、金属酸化物等)、着色剤(染料、顔料等)、光拡散剤、低収縮剤、沈降防止剤、消泡剤、帯電防止剤、防曇剤、分散剤、増粘剤、タレ止め剤、乾燥剤、レベリング剤、カップリング剤、付着促進剤、防錆顔料、熱安定剤、皮膜物質改質剤、スリップ剤、スリキズ剤、可塑剤、防菌剤、防カビ剤、防汚剤、難燃剤、重合防止剤、光重合促進剤、増感剤、熱開始剤(熱カチオン重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤)、及び離型剤等の添加剤の1以上を更に含有していてもよい。
成分(D)の量は、脂環式エポキシ化合物(A)とポリカーボネートジオール(B)との合計量100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、1重量部以下であることがより好ましい。
<第1樹脂組成物の調製>
上記の第1樹脂組成物は、上述した成分を均一に混合することにより得る。この混合には、例えば、特に限定されないが、ディスパーミキサ、ウルトラミキサ、ホモジナイザ、及び遊星攪拌脱泡機等の攪拌機を用いることができる。この混合は、酸発生剤の活性化を防止するため、電離放射線が照射されない環境下で行うことが好ましい。
上記の第1樹脂組成物は、上述した成分を均一に混合することにより得る。この混合には、例えば、特に限定されないが、ディスパーミキサ、ウルトラミキサ、ホモジナイザ、及び遊星攪拌脱泡機等の攪拌機を用いることができる。この混合は、酸発生剤の活性化を防止するため、電離放射線が照射されない環境下で行うことが好ましい。
<1.2>第2樹脂層
第2樹脂層12は、第1樹脂層11を挟んでいる。第2樹脂層12は、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含んだ第2樹脂組成物からなる。第2樹脂組成物については、後で説明する。
第2樹脂層12は、第1樹脂層11を挟んでいる。第2樹脂層12は、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含んだ第2樹脂組成物からなる。第2樹脂組成物については、後で説明する。
第2樹脂層12は、第1樹脂層11と比較して、機械的強度に優れており、また、耐薬品性、例えば、酸、アルカリ及び塩などに対する安定性がより高い。更に、第2樹脂層12は、第1樹脂層11と比較して、他の物質に対する接着性に優れている。そして、第2樹脂層12は、十分な耐熱性を有している。
第2樹脂層12は、樹脂シート1に、高い形状安定性、機械的強度、及び耐薬品性を与える。また、第2樹脂層12は、樹脂シート1と他の物品とを接着した場合や、樹脂シート1上に層を形成した場合に、それらの間に高い密着力を与える。
第2樹脂層12の厚さは、5μmより大きく且つ20μmより小さい。第2樹脂層12の厚さは、13乃至17μmの範囲内にあることが好ましい。第2樹脂層12が薄すぎると、高いバリア性を達成することが難しい。第2樹脂層12が厚すぎると、可撓性が不十分となり、樹脂シート1の破損を生じ易い。
<第2樹脂組成物>
第2樹脂組成物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(E)とポリカーボネートジオール(F)とを含んでいる。一例によれば、第2樹脂組成物は酸発生剤(G)を更に含んでいる。以下に、各成分について説明する。
第2樹脂組成物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(E)とポリカーボネートジオール(F)とを含んでいる。一例によれば、第2樹脂組成物は酸発生剤(G)を更に含んでいる。以下に、各成分について説明する。
[ビスフェノール型エポキシ樹脂(E)]
ビスフェノール型エポキシ樹脂(E)は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、又は、それらの2以上の混合物である。ビスフェノール型エポキシ樹脂(E)としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。ビスフェノールS型エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と比べて、酸化、熱及び光に対して化学的な安定性が高いといった特徴を有している。その為、脂環式エポキシ樹脂と混合して使用することで耐熱性及び強靭性に優れた樹脂シートを得ることが可能となる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂(E)は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、又は、それらの2以上の混合物である。ビスフェノール型エポキシ樹脂(E)としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。ビスフェノールS型エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂と比べて、酸化、熱及び光に対して化学的な安定性が高いといった特徴を有している。その為、脂環式エポキシ樹脂と混合して使用することで耐熱性及び強靭性に優れた樹脂シートを得ることが可能となる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂(E)とポリカーボネートジオール(F)との合計量に占めるビスフェノール型エポキシ樹脂(E)の量の割合は、60質量%より大きく且つ80質量%未満である。この割合は、65乃至75重量%の範囲内にあることが好ましい。この割合が小さすぎると、第2樹脂組成物の硬化物において架橋密度が低くなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。この割合が大きすぎると、第2樹脂組成物の硬化物は、硬く脆い性状となり、高い可撓性が得られない可能性がある。
[ポリカーボネートジオール(F)]
ポリカーボネートジオール(F)としては、例えば、ポリカーボネートジオール(B)について例示したものを使用することができる。
ポリカーボネートジオール(F)としては、例えば、ポリカーボネートジオール(B)について例示したものを使用することができる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂(E)とポリカーボネートジオール(F)との合計量に占めるポリカーボネートジオール(F)の量の割合は、20質量%より大きく且つ40質量%未満である。この割合は、25乃至35重量%の範囲内にあることが好ましい。この割合が小さすぎると、第2樹脂組成物の硬化物は、硬く脆い性状となり、高い可撓性が得られない可能性がある。この割合が大きすぎると、第2樹脂組成物の硬化物において架橋密度が低くなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。
[酸発生剤(G)]
酸発生剤(G)としては、例えば、酸発生剤(C)について例示したものを使用することができる。
酸発生剤(G)としては、例えば、酸発生剤(C)について例示したものを使用することができる。
酸発生剤(G)の量は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(E)とポリカーボネートジオール(F)との合計量100質量部に対して、0.05乃至1質量部の範囲内にあることが好ましく、0.3乃至0.7質量部の範囲内にあることがより好ましい。酸発生剤(G)の量が少なすぎると、第2樹脂組成物の硬化物において架橋密度が小さくなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。酸発生剤(G)の量が多すぎると、高い透明性を有する硬化物を得られない可能性がある。
[その他の成分(H)]
第2樹脂組成物は、必要に応じて、他の成分(H)を更に含有することができる。他の成分(H)としては、例えば、上述した成分(D)と同様のものが挙げられる。
第2樹脂組成物は、必要に応じて、他の成分(H)を更に含有することができる。他の成分(H)としては、例えば、上述した成分(D)と同様のものが挙げられる。
成分(H)の量は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(E)とポリカーボネートジオール(F)との合計量100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、1重量部以下であることがより好ましい。
<第2樹脂組成物の調製>
上記の第2樹脂組成物は、上述した成分を均一に混合することにより得る。この混合には、例えば、特に限定されないが、ディスパーミキサ、ウルトラミキサ、ホモジナイザ、及び遊星攪拌脱泡機等の攪拌機を用いることができる。この混合は、酸発生剤の活性化を防止するため、電離放射線が照射されない環境下で行うことが好ましい。
上記の第2樹脂組成物は、上述した成分を均一に混合することにより得る。この混合には、例えば、特に限定されないが、ディスパーミキサ、ウルトラミキサ、ホモジナイザ、及び遊星攪拌脱泡機等の攪拌機を用いることができる。この混合は、酸発生剤の活性化を防止するため、電離放射線が照射されない環境下で行うことが好ましい。
<1.3>中間層
中間層13は、第1樹脂層11と第2樹脂層12との間に介在している。中間層13は、第1樹脂組成物と第2樹脂組成物との混合物からなる。中間層13は、第1樹脂層11と第2樹脂層12との密着性を高めるとともに、それらの線膨張係数の相違に起因して生じる歪みを緩和する。
中間層13は、第1樹脂層11と第2樹脂層12との間に介在している。中間層13は、第1樹脂組成物と第2樹脂組成物との混合物からなる。中間層13は、第1樹脂層11と第2樹脂層12との密着性を高めるとともに、それらの線膨張係数の相違に起因して生じる歪みを緩和する。
中間層13の厚さは、1乃至3μmの範囲内にあることが好ましい。中間層13が薄い場合、上述した効果が小さい。中間層13を厚くすると、樹脂シート1が厚くなる。
中間層13において、脂環式エポキシ樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂との混合比率は、膜厚方向で一定であってもよく、膜厚方向で変化していてもよい。後者の場合、第1樹脂層11側で脂環式エポキシ樹脂の比率がより高く、第2樹脂層12側でビスフェノール型エポキシ樹脂の比率がより高くてもよい。このような構造を有している中間層13は、脂環式エポキシ樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂との混合比率が膜厚方向で一定である中間層13と比較して、第1樹脂層11及び第2樹脂層12の双方に対してより高い密着性を示し得る。
なお、中間層13の第1樹脂層11との境界や、中間層13の第2樹脂層12との境界は、以下のように定める。
先ず、樹脂シート1をその厚さ方向に切断して、表面と裏面とが切断面からなる薄片状の試料を準備する。次いで、この試料について、AFM−IR(atomic force microscope infrared−spectroscopy)による分析を行う。この分析により、樹脂シート1の厚さ方向における組成の変化を、検出強度の変化として得る。なお、この分析には、例えば、ナノIR(nanoIR(登録商標)、Anasys Instruments社製)を使用することができる。また、ここで着目する検出強度は、脂環式エポキシ樹脂及びビスフェノール型エポキシ樹脂の一方のみが有している結合に対応した波数における強度、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂のベンゼン環における結合に対応した波数における強度である。
次に、第1樹脂層11の中心領域について得られた検出強度をI1とし、樹脂シート1の表面近傍の領域について得られた検出強度をI2とする。そして、検出強度Iが、以下の条件を満たしている領域を中間層13とする。
具体的には、
I1<I2の場合、検出強度Iが以下の条件:
0.9×I1+0.1×I2<I<0.1×I1+0.9×I2
を満たす領域を中間層13とする。
また、I1>I2の場合、検出強度Iが以下の条件:
0.9×I2+0.1×I1<I<0.1×I2+0.9×I1
を満たす領域を中間層13とする。
I1<I2の場合、検出強度Iが以下の条件:
0.9×I1+0.1×I2<I<0.1×I1+0.9×I2
を満たす領域を中間層13とする。
また、I1>I2の場合、検出強度Iが以下の条件:
0.9×I2+0.1×I1<I<0.1×I2+0.9×I1
を満たす領域を中間層13とする。
この樹脂シート1は、第1樹脂層11を第2樹脂層12で挟んだ構造を有している。従って、この樹脂シート1は反りを生じ難い。
また、脂環式エポキシ樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂とを含んだ混合物から得られる単層構造の樹脂シートでは、それら樹脂の一方によってもたらされる優れた性質が他方によって損なわれる。これに対し、上述した樹脂シート1によると、第1樹脂層11では、脂環式エポキシ樹脂によってもたらされる優れた性質がビスフェノール型エポキシ樹脂によって損なわれることがなく、第2樹脂層12では、ビスフェノール型エポキシ樹脂によってもたらされる優れた性質が脂環式エポキシ樹脂によって損なわれることがない。
更に、上述した樹脂シート1では、多層構造とすることによって生じ得る層間剥離を、中間層13を設けることによって抑制している。
加えて、この樹脂シート1では、第1樹脂層11及び第2樹脂層12の各々の厚さを所定の範囲内とするとともに、それらの原料である第1及び第2樹脂組成物に所定量のポリカーボネートジオールを含有させている。それ故、この樹脂シート1は、優れた可撓性を示し、割れなどを生じ難い。
従って、この樹脂シート1は、バリア性と耐熱性とに優れ、破損を生じ難い。
従って、この樹脂シート1は、バリア性と耐熱性とに優れ、破損を生じ難い。
<2>樹脂シートの製造
上述した樹脂シート1は、例えば、ダイコータを用いた同時多層塗布法によって製造することができる。
上述した樹脂シート1は、例えば、ダイコータを用いた同時多層塗布法によって製造することができる。
図2は、図1の樹脂シートの製造に利用可能な製造装置の一例を概略的に示す図である。図3は、図2の製造装置が含んでいるダイヘッドを概略的に示す断面図である。
図2に示す製造装置100は、ロール・ツー・ロール式のダイコータである。この製造装置100は、巻出ロール110と、キャリアフィルム120と、ガイドロール130a乃至130eと、バックアップロール140と、ダイヘッド150と、電離放射線照射機160と、ヒータ170と、剥離ロール180と、巻取ロール190a及び190bとを含んでいる。
巻出ロール110には、キャリアフィルム120が巻かれている。巻出ロール110は、キャリアフィルム120を巻き出す。
キャリアフィルム120は、ベルト形状を有している。キャリアフィルム120上には、上述した第1及び第2樹脂組成物を塗布し、このキャリアフィルム120上で第1及び第2樹脂組成物からなる塗膜の硬化を行う。
キャリアフィルム120は、第1及び第2樹脂組成物の硬化物を剥離可能に支持し得るものである。キャリアフィルム120としては、例えば、上述した支持フィルムを使用することができる。
キャリアフィルム120の厚さは、制限を設けるわけではないが、6乃至700μmの範囲内にあることが好ましく、40乃至250μmの範囲内にあることがより好ましく、50乃至150μmの範囲内にあることが更に好ましい。
ガイドロール130a乃至130eは、巻出ロール110から巻き出されたキャリアフィルム120を、ダイヘッド150とバックアップロール140との間の領域、電離放射線照射機160の正面の領域、ヒータ170、及び巻取ロール190aへと順次案内する。
バックアップロール140は、ダイヘッド150と向き合うように設置されている。バックアップロール140は、ダイヘッド150とバックアップロール140との間を通過するキャリアフィルム120の裏面上を転動して、キャリアフィルム120とダイヘッド150との距離を一定に保つ役割を果たす。
ダイヘッド150は、図3に示すように、3つのスロットが設けられている。ダイヘッド150は、1つのスロットから第1樹脂組成物R1を吐出し、残りの2つのスロットから第2樹脂組成物R2を吐出する。
ダイヘッド150は、ダイヘッド150とバックアップロール140との間を通過するキャリアフィルム120の表面上に、樹脂組成物R2と樹脂組成物R1と樹脂組成物R2とを順次供給する。これにより、キャリアフィルム120の表面上に、樹脂組成物R2からなる塗膜と樹脂組成物R1からなる塗膜と樹脂組成物R2からなる塗膜との積層構造を形成する。
図2に示すように、電離放射線照射機160は、キャリアフィルム120の表面と向き合うように設置されている。キャリアフィルム120上の塗膜に対して、電離放射線を照射する。キャリアフィルム120が電離放射線を透過させるものである場合、電離放射線照射機160は、キャリアフィルム120の裏面と向き合うように設置してもよい。
ここで、用語「電離放射線」は、第1及び第2樹脂組成物が含む成分、具体的には酸発生剤を分解させて、第1及び第2樹脂組成物中に酸を発生させ得る高エネルギーな放射線、例えば、X線又は紫外線を意味している。電離放射線としては、典型的には、紫外線を利用する。
電離放射線照射機160は、塗膜に電離放射線を照射することにより、第1及び第2樹脂組成物が含んでいる酸発生剤を活性化させる。即ち、酸発生剤を分解させて、第1及び第2樹脂組成物中に酸を発生させる。酸は、樹脂組成物中での重合や架橋を促進する触媒としての役割を果たす。従って、塗膜への電離放射線照射により、第1及び第2樹脂組成物では重合や架橋が進行し、その結果、塗膜は硬化する。
なお、第2樹脂組成物R2からなる塗膜と第1樹脂組成物R1からなる塗膜と第2樹脂組成物R2からなる塗膜との積層構造を形成してから、この積層構造に電離放射線を照射するまでの時間を十分に長くすると、樹脂組成物R1からなる塗膜と樹脂組成物R2からなる塗膜との界面近傍において、樹脂組成物R1と樹脂組成物R2との混合を生じる。その結果、第1樹脂層11と第2樹脂層12との間に、脂環式エポキシ樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂との混合比率が膜厚方向で変化し、第2樹脂層12側と比較して、第1樹脂層11側で脂環式エポキシ樹脂比率がより高い中間層13を生じる。
電離放射線照射機160の光源としては、酸発生剤の分解に適した波長の光を放射するものを適宜選択する。この光源としては、400nm以下の波長を放射するランプが好ましい。そのようなランプとしては、例えば、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、及び可視光ハロゲンランプが挙げられる。
電離放射線照射は、空気中で行ってもよいし、窒素及びアルゴン等の不活性ガス中で行ってもよい。
電離放射線の積算光量は、10乃至3000mJ/cm2の範囲内とすることが好ましく、100乃至1000mJ/cm2の範囲内とすることがより好ましく、200乃至500mJ/cm2の範囲内とすることが更に好ましい。
ヒータ170は、電離放射線を照射した塗膜に対してポストベークを行う。ポストベークを行うことにより、樹脂組成物中での上記反応を完結させる。ポストベークを行うと、樹脂シート1における架橋密度を高めることができ、耐熱性が高まる。
ヒータ170による加熱には、例えば、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、及び赤外線照射等の加熱方法を、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。加熱温度は、80乃至160℃の範囲内とすることが好ましい。加熱時間は、30乃至600秒の範囲内とすることが好ましい。
剥離ロール180は、キャリアフィルム120に支持された樹脂シート1上を転動するように設置されている。剥離ロール180は、キャリアフィルム120の移動方向に対して、樹脂シート1の移動方向を急激且つ大きく異ならしめ、これにより、樹脂シート1をキャリアフィルム120から剥離する。
巻取ロール190aは、樹脂シート1を剥離したキャリアフィルム120を巻き取る。また、巻取ロール190bは、キャリアフィルム120から剥離した樹脂シート1を巻き取る。
巻取ロール190aは、キャリアフィルム120に張力を与える。巻取ロール190aがキャリアフィルム120に与える張力は、キャリアフィルム120の厚さや材質によって異なるが、10乃至500N/mの範囲内とすることが好ましい。
以上のようにして、中間層13における脂環式エポキシ樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂との混合比率が、第2樹脂層12側と比較して、第1樹脂層11側でより高い樹脂シート1が得られる。
以上のようにして、中間層13における脂環式エポキシ樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂との混合比率が、第2樹脂層12側と比較して、第1樹脂層11側でより高い樹脂シート1が得られる。
<3>樹脂シートの応用例
上述した樹脂シート1は、例えば、有機EL装置において、基板として使用することができる。有機EL装置用基板は、樹脂シート1及びその上に形成された電極などを含んだ基板、即ち電極基板であってもよい。或いは、有機エレクトロルミネッセンス装置用基板は、封止基板であってもよい。
上述した樹脂シート1は、例えば、有機EL装置において、基板として使用することができる。有機EL装置用基板は、樹脂シート1及びその上に形成された電極などを含んだ基板、即ち電極基板であってもよい。或いは、有機エレクトロルミネッセンス装置用基板は、封止基板であってもよい。
なお、有機EL装置は、ディスプレイであってもよく、面発光光源であってもよく、照明機器であってもよく、発光型広告媒体であってもよい。有機EL装置は、フレキシブルであってもよく、フレキシブルでなくてもよい。
また、有機EL装置用基板は、樹脂シート1のみで構成されていてもよく、樹脂シート1に加え、低反射層、防眩層、ハードコート層、ガスバリア層、回路、及び電極などの他の層を含んでいてもよい。
樹脂シート1は、ディスプレイにおいて、基板として使用してもよい。ディスプレイ用基板は、TFT(thin−film transistor)基板などの回路基板であってもよく、カラーフィルタ基板であってもよく、対向基板であってもよい。
ディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、及び電気泳動ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイである。ディスプレイは、フレキシブルであってもよく、フレキシブルでなくてもよい。
また、ディスプレイ用基板は、樹脂シート1のみで構成されていてもよく、樹脂シート1に加え、低反射層、防眩層、ハードコート層、ガスバリア層、回路、電極、配向膜、及びカラーフィルタなどの他の層を含んでいてもよい。
以下に、本発明の実施例を記載する。但し、本発明は、以下に記載する事項に限定されるわけではない。
<比較例1>
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、100質量部の脂環式エポキシ樹脂と0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、下記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、下記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、100質量部の脂環式エポキシ樹脂と0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、下記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、下記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
また、100質量部のビスフェノール型エポキシ樹脂と0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第2樹脂組成物を調製した。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(EXA−1514、大日本インキ化学工業(株)製)を使用した。酸発生剤としては、下記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
次に、第1及び第2樹脂組成物を用いて、図2及び図3を参照しながら説明した同時多層塗布法により樹脂シートを製造した。
具体的には、キャリアフィルム120としては、幅が350mmであり、厚さが250μmであるポリエチレンテレフタレート製フィルム(ルミラーS10、東レ(株)製)を使用した。第1及び第2樹脂組成物は、それらの塗膜からなる多層構造において第1及び第2樹脂組成物の混合を生じなかった場合に、厚さが約45μmの第1樹脂層11と、各々の厚さが約15μmの第2樹脂層12とが形成されるように塗工した。電離放射線照射機160としては、紫外線照射装置を使用した。露光は、第1及び第2樹脂組成物の塗工を完了してから40秒経過後に行った。積算光量は500mJ/cm2とした。また、ポストベークは、150℃にて180秒間にわたって行った。なお、キャリアフィルム120は、100N/mの張力で巻き取った。
具体的には、キャリアフィルム120としては、幅が350mmであり、厚さが250μmであるポリエチレンテレフタレート製フィルム(ルミラーS10、東レ(株)製)を使用した。第1及び第2樹脂組成物は、それらの塗膜からなる多層構造において第1及び第2樹脂組成物の混合を生じなかった場合に、厚さが約45μmの第1樹脂層11と、各々の厚さが約15μmの第2樹脂層12とが形成されるように塗工した。電離放射線照射機160としては、紫外線照射装置を使用した。露光は、第1及び第2樹脂組成物の塗工を完了してから40秒経過後に行った。積算光量は500mJ/cm2とした。また、ポストベークは、150℃にて180秒間にわたって行った。なお、キャリアフィルム120は、100N/mの張力で巻き取った。
<比較例2>
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、80質量部の脂環式エポキシ樹脂と、20質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、下記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、80質量部の脂環式エポキシ樹脂と、20質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、下記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
また、80質量部のビスフェノール型エポキシ樹脂と、20質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第2樹脂組成物を調製した。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(EXA−1514、大日本インキ化学工業(株)製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、下記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
これら第1及び第2樹脂組成物を使用したこと以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
<実施例1>
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、75質量部の脂環式エポキシ樹脂と、25質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、75質量部の脂環式エポキシ樹脂と、25質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
また、75質量部のビスフェノール型エポキシ樹脂と、25質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第2樹脂組成物を調製した。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(EXA−1514、大日本インキ化学工業(株)製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
これら第1及び第2樹脂組成物を使用したこと以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
<比較例3>
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、70質量部の脂環式エポキシ樹脂と、30質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、70質量部の脂環式エポキシ樹脂と、30質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
また、70質量部のビスフェノール型エポキシ樹脂と、30質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第2樹脂組成物を調製した。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(EXA−1514、大日本インキ化学工業(株)製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
本例では、これら第1及び第2樹脂組成物を使用し、第1及び第2樹脂組成物の塗工条件を以下のように変更した。即ち、本例では、上記の第1及び第2樹脂組成物を、それらの塗膜からなる多層構造において第1及び第2樹脂組成物の混合を生じなかった場合に、厚さが約45μmの第1樹脂層11と、各々の厚さが約5μmの第2樹脂層12とが形成されるように塗工した。そして、第1及び第2樹脂組成物の塗工を完了してから15秒経過後に露光を行った。これ以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
<比較例4>
中間層13を省略したこと以外は図1に示す樹脂シート1と同様の構造を有する樹脂シートを、以下の方法により製造した。
先ず、比較例3において調製したのと同様の第1及び第2樹脂組成物を準備した。次に、これら第1及び第2樹脂組成物を用いて、ダイコート法により樹脂シートの製造を行った。
中間層13を省略したこと以外は図1に示す樹脂シート1と同様の構造を有する樹脂シートを、以下の方法により製造した。
先ず、比較例3において調製したのと同様の第1及び第2樹脂組成物を準備した。次に、これら第1及び第2樹脂組成物を用いて、ダイコート法により樹脂シートの製造を行った。
具体的には、先ず、ポリエチレンテレフタレートからなるキャリアフィルム上に、第2樹脂組成物を塗工して塗膜を形成し、この塗膜への紫外線照射及びポストベークを順次行うことにより、厚さが15μmの第2樹脂層を形成した。次に、この第2樹脂層上に、第1樹脂組成物を塗工して塗膜を形成し、この塗膜への紫外線照射及びポストベークを順次行うことにより、厚さが20μmの第1樹脂層を形成した。次いで、この第1樹脂層上に、第2樹脂組成物を塗工して塗膜を形成し、この塗膜への紫外線照射及びポストベークを順次行うことにより、厚さが15μmの第2樹脂層を形成した。これにより、3層構造の樹脂シートを得た。その後、この樹脂シートをキャリアフィルムから剥離した。以上のようにして、樹脂シートを製造した。
<実施例2>
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
即ち、本例では、比較例3において調製したのと同様の第1及び第2樹脂組成物を準備した。そして、これら第1及び第2樹脂組成物を用い、第1及び第2樹脂組成物の塗工を完了してから15秒経過後に露光を行ったこと以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
即ち、本例では、比較例3において調製したのと同様の第1及び第2樹脂組成物を準備した。そして、これら第1及び第2樹脂組成物を用い、第1及び第2樹脂組成物の塗工を完了してから15秒経過後に露光を行ったこと以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
<実施例3>
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
即ち、本例では、比較例3において調製したのと同様の第1及び第2樹脂組成物を準備した。そして、これら第1及び第2樹脂組成物を用い、第1及び第2樹脂組成物の塗工を完了してから40秒経過後に露光を行ったこと以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
即ち、本例では、比較例3において調製したのと同様の第1及び第2樹脂組成物を準備した。そして、これら第1及び第2樹脂組成物を用い、第1及び第2樹脂組成物の塗工を完了してから40秒経過後に露光を行ったこと以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
<比較例5>
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
即ち、本例では、比較例3において調製したのと同様の第1及び第2樹脂組成物を準備した。これら第1及び第2樹脂組成物を使用し、第1及び第2樹脂組成物の塗工条件を以下のように変更した。即ち、本例では、上記の第1及び第2樹脂組成物を、それらの塗膜からなる多層構造において第1及び第2樹脂組成物の混合を生じなかった場合に、厚さが約60μmの第1樹脂層11と、各々の厚さが約20μmの第2樹脂層12とが形成されるように塗工した。そして、第1及び第2樹脂組成物の塗工を完了してから40秒経過後に露光を行った。これ以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
即ち、本例では、比較例3において調製したのと同様の第1及び第2樹脂組成物を準備した。これら第1及び第2樹脂組成物を使用し、第1及び第2樹脂組成物の塗工条件を以下のように変更した。即ち、本例では、上記の第1及び第2樹脂組成物を、それらの塗膜からなる多層構造において第1及び第2樹脂組成物の混合を生じなかった場合に、厚さが約60μmの第1樹脂層11と、各々の厚さが約20μmの第2樹脂層12とが形成されるように塗工した。そして、第1及び第2樹脂組成物の塗工を完了してから40秒経過後に露光を行った。これ以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
<実施例4>
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、65質量部の脂環式エポキシ樹脂と、35質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、65質量部の脂環式エポキシ樹脂と、35質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
また、65質量部のビスフェノール型エポキシ樹脂と、35質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第2樹脂組成物を調製した。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(EXA−1514、大日本インキ化学工業(株)製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
これら第1及び第2樹脂組成物を使用したこと以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
<比較例6>
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、60質量部の脂環式エポキシ樹脂と、40質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、60質量部の脂環式エポキシ樹脂と、40質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
また、60質量部のビスフェノール型エポキシ樹脂と、40質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第2樹脂組成物を調製した。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(EXA−1514、大日本インキ化学工業(株)製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
これら第1及び第2樹脂組成物を使用したこと以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
<比較例7>
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、55質量部の脂環式エポキシ樹脂と、45質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、55質量部の脂環式エポキシ樹脂と、45質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
また、55質量部のビスフェノール型エポキシ樹脂と、45質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第2樹脂組成物を調製した。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(EXA−1514、大日本インキ化学工業(株)製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
これら第1及び第2樹脂組成物を使用したこと以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
<比較例8>
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、50質量部の脂環式エポキシ樹脂と、50質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
図1に示す樹脂シート1を、以下の方法により製造した。
先ず、50質量部の脂環式エポキシ樹脂と、50質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第1樹脂組成物を調製した。脂環式エポキシ樹脂としては、上記化学式(II)で表される3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
また、50質量部のビスフェノール型エポキシ樹脂と、50質量部のポリカーボネートジオールと、0.5質量部の酸発生剤とを混合して、第2樹脂組成物を調製した。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(EXA−1514、大日本インキ化学工業(株)製)を使用した。ポリカーボネートジオールとしては、上記一般式(IV)で表されるプラクセルCD2025PL((株)ダイセル製)を使用した。酸発生剤としては、上記化学式(III)で表されるSP−170((株)ADEKA製)を使用した。
これら第1及び第2樹脂組成物を使用したこと以外は、比較例1と同様の方法により、図1に示す樹脂シート1を製造した。
<評価>
実施例1乃至4及び比較例1乃至8に係る樹脂シートについて、剥離性、可撓性、耐熱性(Tg)、及びバリア性を、以下の方法で評価した。
実施例1乃至4及び比較例1乃至8に係る樹脂シートについて、剥離性、可撓性、耐熱性(Tg)、及びバリア性を、以下の方法で評価した。
(剥離性)
キャリアフィルムから剥離する前の樹脂シートを準備した。そして、樹脂シートを、キャリアフィルムから手で剥離した。樹脂シートに破断等を生じることなく容易に剥離できたものを「◎」と判定し、容易ではないが樹脂シートに破断等を生じることなく剥離できたものを「○」と判定し、一部剥離できなかったものを「△」と判定し、全く剥離できなかったものを「×」と判定した。
キャリアフィルムから剥離する前の樹脂シートを準備した。そして、樹脂シートを、キャリアフィルムから手で剥離した。樹脂シートに破断等を生じることなく容易に剥離できたものを「◎」と判定し、容易ではないが樹脂シートに破断等を生じることなく剥離できたものを「○」と判定し、一部剥離できなかったものを「△」と判定し、全く剥離できなかったものを「×」と判定した。
(可撓性)
円筒型マンドレル試験機を用い、径が0.4mmの円筒に樹脂シートを巻きつけ、この状態に5秒間保持したのち、元の平らな状態に戻した。そして、樹脂シートの屈曲させた部分を肉眼で及び倍率100倍の光学顕微鏡で観察した。肉眼で観察した場合及び光学顕微鏡で観察した場合の双方において割れがなかったものを「◎」と判定し、肉眼で観察した場合に割れはなかったものの光学顕微鏡で観察した場合に僅かな割れが見られたものを「○」と判定し、肉眼で観察した場合に僅かな割れが見られたものを「△」と判定し、肉眼で観察した場合に目立つ割れが見られたものを「×」と判定した。
円筒型マンドレル試験機を用い、径が0.4mmの円筒に樹脂シートを巻きつけ、この状態に5秒間保持したのち、元の平らな状態に戻した。そして、樹脂シートの屈曲させた部分を肉眼で及び倍率100倍の光学顕微鏡で観察した。肉眼で観察した場合及び光学顕微鏡で観察した場合の双方において割れがなかったものを「◎」と判定し、肉眼で観察した場合に割れはなかったものの光学顕微鏡で観察した場合に僅かな割れが見られたものを「○」と判定し、肉眼で観察した場合に僅かな割れが見られたものを「△」と判定し、肉眼で観察した場合に目立つ割れが見られたものを「×」と判定した。
(耐熱性)
動的粘弾性測定装置(DMS−600)を用いて動的粘弾性を測定し、tanδの最大値よりガラス転移温度Tgを求めた。なお、このガラス転移温度Tgは、第1樹脂層に関する値である。
動的粘弾性測定装置(DMS−600)を用いて動的粘弾性を測定し、tanδの最大値よりガラス転移温度Tgを求めた。なお、このガラス転移温度Tgは、第1樹脂層に関する値である。
(バリア性)
水蒸気透過率測定器(MOCON社製、AQUATRAN)を用いて、40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率(g/m2/day)を測定した。水蒸気透過率が0.0005g/m2/day未満のものを「◎」と判定し、0.0005g/m2/day以上0.001g/m2/day未満のものを「○」と判定し、0.001g/m2/day以上0.005g/m2/day未満のものを「△」と判定し、0.005g/m2/day以上のものを「×」と判定した。
上記の評価結果を、以下の表1に示す。
水蒸気透過率測定器(MOCON社製、AQUATRAN)を用いて、40℃、相対湿度90%における水蒸気透過率(g/m2/day)を測定した。水蒸気透過率が0.0005g/m2/day未満のものを「◎」と判定し、0.0005g/m2/day以上0.001g/m2/day未満のものを「○」と判定し、0.001g/m2/day以上0.005g/m2/day未満のものを「△」と判定し、0.005g/m2/day以上のものを「×」と判定した。
上記の評価結果を、以下の表1に示す。
比較例1、2、及び6乃至8並びに実施例1、3及び4から明らかなように、第1及び第2樹脂組成物におけるポリカーボネートジオールの含有量を高めると、樹脂シートの可撓性が向上したが、ポリカーボネートジオールの含有量が過剰量になると、耐熱性が低下した。
また、比較例3と実施例2との対比から明らかなように、第1及び第2樹脂層が薄すぎる場合にはバリア性が低かった。そして、実施例3と比較例5との対比から明らかなように、第1及び第2樹脂層が厚すぎる場合には可撓性が低下した。
更に、比較例4と実施例2との比較から明らかなように、中間層を設けることにより、剥離性、可撓性及びバリア性が改善した。そして、実施例2と実施例3との対比から明らかなように、中間層を厚くすることにより、剥離性、可撓性及びバリア性を更に改善させることができた。
1…樹脂シート、11…第1樹脂層、12…第2樹脂層、13…中間層、100…製造装置、110…巻出ロール、120…キャリアフィルム、130a乃至130e…ガイドロール、140…バックアップロール、150…ダイヘッド、160…電離放射線照射機、170…ヒータ、180…剥離ロール、190a及び190b…巻取ロール、R1…第1樹脂組成物、R2…第2樹脂組成物。
Claims (11)
- 脂環式エポキシ樹脂とポリカーボネートジオールとを含んだ第1樹脂組成物から各々がなり、前記第1樹脂組成物において、前記脂環式エポキシ樹脂と前記ポリカーボネートジオールとの合計量に占める前記脂環式エポキシ樹脂の量の割合が60質量%より大きく且つ80質量%未満であり、各々の厚さが20μmより大きく且つ60μmよりも小さい1以上の第1樹脂層と、
ビスフェノール型エポキシ樹脂とポリカーボネートジオールとを含んだ第2樹脂組成物から各々がなり、前記第2樹脂組成物において、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と前記ポリカーボネートジオールとの合計量に占める前記ビスフェノール型エポキシ樹脂の量の割合が60質量%より大きく且つ80質量%未満である2以上の第2樹脂層であって、前記1以上の第1樹脂層の各々が、前記2以上の第2樹脂層の隣り合った2つの間に介在するように前記第1樹脂層と交互に配置され、各々の厚さが5μmより大きく且つ20μmよりも小さい2以上の第2樹脂層と、
前記第1樹脂組成物と前記第2樹脂組成物との混合物から各々がなる2以上の中間層であって、前記1以上の第1樹脂層の各々がその両側の前記第2樹脂層と前記中間層を介して隣接するように、前記1以上の第1樹脂層と前記2以上の第2樹脂層との隣り合った2つの間に各々が介在した2以上の中間層と
を備えた樹脂シート。 - 前記第1樹脂組成物において、前記脂環式エポキシ樹脂と前記ポリカーボネートジオールとの合計量に占める前記脂環式エポキシ樹脂の量の割合は65乃至75質量%の範囲内にある請求項1に記載の樹脂シート。
- 前記第2樹脂組成物において、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と前記ポリカーボネートジオールとの合計量に占める前記ビスフェノール型エポキシ樹脂の量の割合は65乃至75質量%の範囲内にある請求項1又は2に記載の樹脂シート。
- 前記1以上の第1樹脂層の各々の厚さは40乃至50μmの範囲内にある請求項1乃至3の何れか1項に記載の樹脂シート。
- 前記2以上の第2樹脂層の各々の厚さは13乃至17μmの範囲内にある請求項1乃至4の何れか1項に記載の樹脂シート。
- 前記2以上の中間層の各々の厚さは1乃至3μmの範囲内にある請求項1乃至5の何れか1項に記載の樹脂シート。
- 前記2以上の中間層の各々において、前記脂環式エポキシ樹脂と前記ビスフェノール型エポキシ樹脂との混合比率が膜厚方向で変化しており、前記第2樹脂層側と比較して、前記第1樹脂層側で前記脂環式エポキシ樹脂の比率がより高い請求項1乃至6の何れか1項に記載の樹脂シート。
- 請求項1乃至7の何れか1項に記載の樹脂シートを含んだディスプレイ用基板。
- 請求項1乃至7の何れか1項に記載の樹脂シートを含んだ有機エレクトロルミネッセンス装置用基板。
- 請求項8に記載のディスプレイ用基板を含んだディスプレイ。
- 請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置用基板を含んだ有機エレクトロルミネッセンス装置。
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JP2016071760A JP2017177703A (ja) | 2016-03-31 | 2016-03-31 | 樹脂シート、基板、ディスプレイ及び有機エレクトロルミネッセンス装置 |
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JP7045511B1 (ja) * | 2020-11-25 | 2022-03-31 | 日東電工株式会社 | 積層体の製造方法及び積層体 |
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2016
- 2016-03-31 JP JP2016071760A patent/JP2017177703A/ja active Pending
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