JP2018140558A - バリア性フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素ガス及び水蒸気に対するバリア性に優れ、さらに耐熱性、可撓性、透明性および耐加水分解性に優れたバリア性フィルムを提供する。【解決手段】本発明のバリア性フィルム1は、脂環式エポキシ化合物(A)と、ポリオール化合物(B)と、酸発生剤(C)と、シランカップリング剤(D)を含んだ樹脂組成物の硬化物からなる支持体層2の上に、少なくともアンカーコート層3と、無機酸化物からなる蒸着薄膜層4と、ガスバリア被覆層5を備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、ガスバリア性を有するフィルムに関して、酸素ガスおよび水蒸気に対するバリア性に優れ、さらに耐熱性、可撓性、透明性、耐加水分解性に優れたバリア性フィルムに関するものである。
従来、飲食品、医薬品、化学薬品、日用品、その他等の種々物品を包装するために、種々の包装用材料が開発、提案されている。これら包装材料は内容物の変質を防止することが求められており、内容物の変質は、酸素や水蒸気などのガスが包装材料を透過して内容物と反応して生じている。したがって、酸素や水蒸気などのガスを透過させない性質を備えていることが求められている。このために、例えば温度および湿度に影響されないアルミニウムなどの金属箔やアルミニウムを真空蒸着してなるアルミニウム蒸着フィルムが用いられてきた。
ところが、アルミニウムなどの金属箔やアルミニウム蒸着フィルムを用いた包装材料はガスバリア性に優れるが、包装材料を透視して内容物を確認することができないだけでなく、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならない。また包装後の内容物の検査の際に金属探知機が使用できないなどの欠点を有していた。
そこで、これらの問題を解決する方法として、無機酸化物を透明なプラスチック基材上に蒸着したフィルムが提案されている。これらの蒸着フィルムは、金属箔などでは得ることができない透明性、ガスバリア性の両方を有する包装材料として好適とされる。
さらに近年では、エレクトロニクス分野でも透明性、ガスバリア性の要求が高まっている。特にエレクトロニクス部材の包装用途のみならず、有機EL阻止や液晶部材、太陽電池部材の構成材料として使用されるなど広く使用されている。エレクトロニクス用途では食品包装用途よりも過酷な条件での使用が想定され、かつガスバリア性の要求も高くなっており、従来はガラス基板で使用されていた分野へのフレキシブルフィルム基板が展開されつつある。
上記の用途に適した包装材料として、例えば特許文献1には、透明なプラスチックフィルムからなる基材層に、透明な酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの無機酸化物の蒸着薄膜層をガスバリア層とし、その上に適宜のガスバリア性被膜層とを積層してなる積層フィルムが開示されている。
さらにフレキシブル用途に適した包装材料として、例えば特許文献2では、プラスチックフィルム等の基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の薄膜の1層または2層以上の多層膜を設け、その上に熱硬化性エポキシ樹脂と硬化剤を含む樹脂組成物によるコーティング膜を設けて、透明性と柔軟性に優れたフィルムが開示されている。
本発明者は、上述した技術には、以下の問題点があることを見出している。即ち、上述した技術の何れも、支持体層に耐熱性がないため、無機酸化物を蒸着した後、バリア被覆層を積層する際、被覆層の溶媒を乾燥するための熱により支持体層が寸法変化を起こし、無機酸化物の蒸着層にクラックが発生し、バリア性が低下する問題点がある。また支持体層に耐加水分解性がないため、高温高湿の環境条件下では、支持体層の加水分解による劣化によって支持体層と無機酸化物の蒸着層との密着性が不十分になりバリア性が低下するという問題点もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、耐熱性、可撓性、透明性および耐加水分解性に優れたバリア性フィルムを提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、脂環式エポキシ化合物(A)と、ポリオール化合物(B)と、酸発生剤(C)と、シランカップリング剤(D)を含んだ樹脂組成物の硬化物からなる支持体層と、少なくともアンカーコート層と、無機酸化物からなる蒸着薄膜層と、ガスバリア被覆層を設けたバリア性フィルムが提供される。
本発明のバリア性フィルムは、上記の構成であることにより、高い耐熱性や耐光性、透明性、可撓性、さらに耐加水分解性を有するものとなる。
前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量に占める前記脂環式エポキシ化合物(A)の量の割合は55〜85質量部の範囲内にあってもよい。
これにより、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が大きく高い耐熱性を有する。
これにより、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が大きく高い耐熱性を有する。
また、前記脂環式エポキシ化合物(A)は、分子内に2以上のエポキシ基を有していてもよい。
前記脂環式エポキシ化合物(A)は、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、及びε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの少なくとも一方であってもよい。
前記ポリオール化合物(B)は、ポリカプロラクトントリオール又はポリカーボネートジオールの少なくとも一方であってもよい。
前記ポリオール化合物(B)は、数平均分子量が200〜100000g/molの範囲内にあり、水酸基価が190〜550KOHmg/gの範囲内にあってもよい。
前記酸発生剤(C)はカチオン重合開始剤を含んでいてもよい。
前記酸発生剤(C)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲内にあってもよい。
前記酸発生剤(C)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲内にあってもよい。
前記シランカップリング剤(D)はアミノ基、メルカプト基、エポキシ基の少なくともいずれか一つを含むものであってもよい。
前記シランカップリング剤(D)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)と前記酸発生剤(C)の合計量100質量部に対して0.05〜10質量部の範囲内にあってもよい。
前記シランカップリング剤(D)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)と前記酸発生剤(C)の合計量100質量部に対して0.05〜10質量部の範囲内にあってもよい。
前記支持体層の膜厚は10〜100μmの範囲内にあってもよい。
前記バリア性フィルムは波長400nmにおける光線透過率が30〜95%の範囲内にあってもよい。
前記アンカーコート層はアクリルポリオールとイソシアネートとシランカップリング剤を含むものであってもよい。
前記蒸着薄膜層は少なくとも酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムおよびこれら混合物のいずれかからなる1層または2層以上の多層膜であってもよい。
前記ガスバリア被覆層は少なくとも水溶性高分子、金属アルコキシド、金属アルコキシドの加水分解物、塩化錫のうちの1つ以上を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合液の組成物であってもよい。
本発明によると、耐熱性、可撓性、透明性および耐加水分解性に優れたバリア性フィルムが提供される。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同様又は類似した機能を有する要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
<バリア性フィルム>
図1は、本発明の一実施形態に係るバリア性フィルムの層構成を概略的に示す断面図である。本発明に係るバリア性フィルム1は、樹脂組成物の硬化物からなる支持体層2上に、アンカーコート層3と、無機酸化物からなる蒸着薄膜層4と、ガスバリア被覆層5とを積層してなる。
図1は、本発明の一実施形態に係るバリア性フィルムの層構成を概略的に示す断面図である。本発明に係るバリア性フィルム1は、樹脂組成物の硬化物からなる支持体層2上に、アンカーコート層3と、無機酸化物からなる蒸着薄膜層4と、ガスバリア被覆層5とを積層してなる。
このバリア性フィルム1は、多層構造を有している自立膜である。ここで使用する用語「自立膜」とは、基板などの支持体によって支持されなくとも、それ自体を単独で取り扱うことができる膜を意味している。
バリア性フィルム1は、単独で使用してもよいが、他の1以上の層を更に含んだ多層フィルムの形態で使用することもできる。この多層フィルムについては、後で説明する。
支持体層2は、以下に説明する樹脂組成物の硬化物からなる。
<樹脂組成物>
樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)と、ポリオール化合物(B)と、酸発生剤(C)と、シランカップリング剤(D)を含んでいる。以下に、各成分について説明する。
樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物(A)と、ポリオール化合物(B)と、酸発生剤(C)と、シランカップリング剤(D)を含んでいる。以下に、各成分について説明する。
[脂環式エポキシ化合物(A)]
脂環式エポキシ化合物(A)は、1分子内に脂環(脂肪族環)構造とエポキシ基とを含んだ化合物である。エポキシ基は、脂環において互いに隣り合った2つの炭素原子と酸素原子とで構成されていてもよく(以下、そのようなエポキシ基を「脂環エポキシ基」と称する)、脂環に単結合で直接結合していてもよい。
脂環式エポキシ化合物(A)は、1分子内に脂環(脂肪族環)構造とエポキシ基とを含んだ化合物である。エポキシ基は、脂環において互いに隣り合った2つの炭素原子と酸素原子とで構成されていてもよく(以下、そのようなエポキシ基を「脂環エポキシ基」と称する)、脂環に単結合で直接結合していてもよい。
脂環式エポキシ化合物(A)が1分子内に含む脂環構造の数は、1であってもよく、2以上であってもよい。また、脂環式エポキシ化合物(A)が1分子内に含むエポキシ基の数は、1であってもよく、2以上であってもよい。一例によれば、脂環式エポキシ化合物(A)は、1分子内に、2つの脂環構造と、2つのエポキシ基とを含み、それらエポキシ基は別々の脂環構造の炭素原子を含んだ脂環エポキシ基である。
脂環エポキシ基を有する化合物としては、公知または慣用のものの中から任意に選択して使用することができる。脂環エポキシ基を有する化合物は、シクロヘキサン環において互いに隣り合った2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有すること、即ち、シクロヘキセンオキシド基を有する化合物であることが好ましい。
脂環エポキシ基を有する化合物としては、特に、耐熱性、耐光性、及び透明性の点で、下記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)が好ましい。一般的に、エポキシ化合物は耐熱性に優れている。しかしながら、ビスフェノールA型エポキシ化合物等のベンゼン環を有するエポキシ化合物は、共役二重結合を有しているため、共役二重結合を有していないエポキシ化合物と比較して透明性の点で劣る。下記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物を使用した場合、特に高い透明性を達成できる。
上記一般式(I)において、R1〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。
有機基としては、例えば、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子とともに、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。ハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子、及びフッ素原子等が挙げられる。
有機基としては、炭化水素基と、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基と、ハロゲン化炭化水素基と、炭素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基と、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基とが好ましい。有機基が炭化水素基である場合、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも、脂肪族炭化水素基でも、芳香族骨格と脂肪族骨格とを含む基でもよい。
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−n−プロペニル基(アリル基)、1−n−ブテニル基、2−n−ブテニル基、及び3−n−ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;並びに、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基の具体例としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、及びパーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、及び4−ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、及び4−フルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基;並びに、2−クロロフェニルメチル基、3−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、2−ブロモフェニルメチル基、3−ブロモフェニルメチル基、4−ブロモフェニルメチル基、2−フルオロフェニルメチル基、3−フルオロフェニルメチル基、及び4−フルオロフェニルメチル基等のハロゲン化アラルキル基が挙げられる。
炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、及び4−ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4−ヒドロキシシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基、2,4−ジヒドロキシフェニル基、2,5−ジヒドロキシフェニル基、2,6−ジヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、及び3,5−ジヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基;2−ヒドロキシフェニルメチル基、3−ヒドロキシフェニルメチル基、及び4−ヒドロキシフェニルメチル基等のヒドロキシアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−n−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1−n−ブテニルオキシ基、2−n−ブテニルオキシ基、及び3−n−ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、α−ナフチルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、ビフェニル−4−イルオキシ基、ビフェニル−3−イルオキシ基、ビフェニル−2−イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α−ナフチルメチルオキシ基、β−ナフチルメチルオキシ基、α−ナフチルエチルオキシ基、及びβ−ナフチルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロピルオキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロピルオキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、3−エトキシ−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、4−エトキシ−n−ブチル基、及び4−n−プロピルオキシ−n−プチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n−プロピルオキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−プロピルオキシエトキシ基、3−メトキシ−n−プロピルオキシ基、3−エトキシ−n−プロピルオキシ基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピルオキシ基、4−メトキシ−n−ブチルオキシ基、4−エトキシ−n−ブチルオキシ基、及び4−n−プロピルオキシ−n−ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、及び4−メトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、及び4−メトキシフェノキシ基等のアルコキシアリールオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、α−ナフトイル基、及びβ−ナフトイル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、及びn−デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、α−ナフトキシカルボニル基、及びβ−ナフトキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;並びに、ベンゾイルオキシ基、α−ナフトイルオキシ基、及びβ−ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基が挙げられる。
R1〜R18は、特に硬化性組成物を用いて得られる硬化物の硬度の観点から、全てが水素原子であることがより好ましい。
また、上記一般式(I)において、Xは、単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)である。
上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル基(エーテル結合)、チオエーテル基(チオエーテル結合)、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、アミド基(アミド結合)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、及び、2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、及びトリメチレン基が挙げられる。2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、及びシクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)が挙げられる。
上記連結基Xとしては、酸素原子を含有する連結基が好ましい。そのような連結基Xとしては、例えば、−CO−(カルボニル基)、−O−CO−O−(カーボネート基)、−COO−(エステル基)、−O−(エーテル基)、−CONH−(アミド基)、これらの基が複数個連結した基、及びこれらの基の1又は2以上と2価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基が挙げられる。2価の炭化水素基としては、例えば、上記で例示したものが挙げられる。
上記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物としては、例えば、商品名「セロキサイド2021P」及び「セロキサイド2081」(何れも(株)ダイセル製)等の市販品を使用することもできる。また、一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物のうち
Xが単結合であるものとして、例えば、商品名「セロキサイド8000」((株)ダイセル製)などの市販品を用いることもできる。
Xが単結合であるものとして、例えば、商品名「セロキサイド8000」((株)ダイセル製)などの市販品を用いることもできる。
脂環エポキシ基を含んだ脂環式エポキシ化合物は、シクロヘキセンオキサイド骨格を含んだ化合物に限られない。例えば、脂環式エポキシ化合物は、シクロペンテンオキサイド骨格を含んでいてもよい。
シクロヘキセンオキサイド骨格及びシクロペンテンオキサイド骨格などのシクロアルケンオキサイド骨格を有する脂環式エポキシ化合物は、例えば、シクロヘキセン及びシクロペンテン骨格などのシクロアルキル骨格を有する化合物を、過酸化水素や過酸化物などの適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる。
脂環式エポキシ化合物(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記の中でも、脂環式エポキシ化合物(A)としては、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名「セロキサイド2021P」)及びε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの少なくとも一方を使用することが特に好ましい。
脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)との合計量に占める脂環式エポキシ化合物(A)の量の割合は、55〜85質量部の範囲内にある。この割合は、60〜80質量部の範囲内にあることが好ましい。この割合が55質量部より小さい場合は、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が小さくなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。一方でこの割合が85質量部より大きい場合は、樹脂組成物の硬化物において硬く脆い性状となり、可撓性に優れる硬化物が得られない可能性がある。
[ポリオール化合物(B)]
樹脂組成物にポリオール化合物(B)を含めることにより、高い可撓性を有している硬化物を形成できる。
樹脂組成物にポリオール化合物(B)を含めることにより、高い可撓性を有している硬化物を形成できる。
ポリオール化合物(B)とは、分子内に2個以上の水酸基を有し、数平均分子量が例えば200以上の重合体(オリゴマー又はポリマー)である。ポリオール化合物(B)には、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオールが含まれる。なお、ポリオール化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリオール化合物(B)が有する水酸基(2個以上の水酸基)は、アルコール性水酸基であってもよいし、フェノール性水酸基であってもよい。また、ポリオール化合物(B)が1分子内に有する水酸基の数は、2以上であればよく、特に限定されない。
ポリオール化合物(B)における水酸基(2個以上の水酸基)の位置は、特に限定されないが、硬化剤との反応性の観点で、ポリオール分子の少なくとも一方の末端(重合体主鎖の末端)に存在することが好ましく、ポリオール分子の少なくとも両末端に存在することが特に好ましい。
ポリオール化合物(B)は、その他の成分と配合した後に液状の樹脂組成物を形成できればよく、それ自体は、固体であってもよいし、液体であってもよい。
ポリオール化合物(B)の数平均分子量は、特に限定されないが、例えば200以上であり、200〜100000の範囲内にあることが好ましく、300〜50000の範囲
内にあることがより好ましく、400〜40000の範囲内にあることが更に好ましい。数平均分子量が200より小さいと、樹脂組成物を塗工する基材から樹脂組成物の硬化物である多孔質膜2を剥離する際に、多孔質膜2に破断やクラックが発生する場合がある。一方、数平均分子量が100000より大きいと、液状の樹脂組成物においてポリオール化合物が析出するか、又は、ポリオール化合物を他の成分中に溶解させることができない場合がある。なお、ポリオール化合物(B)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
内にあることがより好ましく、400〜40000の範囲内にあることが更に好ましい。数平均分子量が200より小さいと、樹脂組成物を塗工する基材から樹脂組成物の硬化物である多孔質膜2を剥離する際に、多孔質膜2に破断やクラックが発生する場合がある。一方、数平均分子量が100000より大きいと、液状の樹脂組成物においてポリオール化合物が析出するか、又は、ポリオール化合物を他の成分中に溶解させることができない場合がある。なお、ポリオール化合物(B)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
ポリオール化合物(B)は、水酸基価が190〜550KOHmg/gの範囲内にあることが好ましい。水酸基価が190KOHmg/gより小さいと、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が低くなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。一方水酸基価が550KOHmg/gより大きいと、エポキシ基の量に対し、水酸基の量が過剰となり、反応に寄与しない浮遊モノマーが硬化物中に発生する可能性がある。その結果、熱重量変化が大きくなり、耐熱性の低下、更には吸湿性の増加を生じる可能性がある。
ポリオール化合物(B)としては、例えば、分子内にエステル骨格(ポリエステル骨格)を有するポリエステルポリオール(ポリエステルポリオールオリゴマーを含む)、分子内にエーテル骨格(ポリエーテル骨格)を有するポリエーテルポリオール(ポリエーテルポリオールオリゴマーを含む)、及び分子内にカーボネート骨格(ポリカーボネート骨格)を有するポリカーボネートポリオール(ポリカーボネートポリオールオリゴマーを含む)などが挙げられる。ポリオール化合物(B)には、その他の化合物、例えば、フェノキシ樹脂、エポキシ当量が1000g/eq.を超えるビスフェノール型高分子エポキシ樹脂、水酸基を有するポリブタジエン類、及びアクリルポリオールも含まれる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸(多塩基酸)又はヒドロキシカルボン酸との縮合重合(例えば、エステル交換反応)により得られるポリエステルポリオールや、ラクトン類の開環重合により得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
上記ポリエステルポリオールを得るための縮合重合に使用するポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,12−ドデカンジオール、ポリブタジエンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ジヒドロキシアセトン、ヘキシレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジトリメチロールプロパン、マンニトール、ソルビトール、及びペンタエリスリトールが挙げられる。
上記ポリエステルポリオールを得るための縮合重合に使用するポリカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、クエン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シトラコン酸、1,10−デカンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、無水ピロメリット酸、及び無水トリメリット酸が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールを得るための縮合重合に使用するヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、りんご酸、グリコール酸、ジメチロールプロピオン酸、及びジメチロールブタン酸が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールを得るための開環重合に使用するラクトン類としては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、及びγ−ブチロラクトンが挙げられる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、商品名「プラクセル205」、「プラクセル205H」、「プラクセル205U」、「プラクセル205BA」、「プラクセル208」、「プラクセル210」、「プラクセル210CP」、「プラクセル210BA」、「プラクセル212」、「プラクセル212CP」、「プラクセル220」、「プラクセル220CPB」、「プラクセル220NP1」、「プラクセル220BA」、「プラクセル220ED」、「プラクセル220EB」、「プラクセル220EC」、「プラクセル230」、「プラクセル230CP」、「プラクセル240」、「プラクセル240CP」、「プラクセル210N」、「プラクセル220N」、「プラクセルL205AL」、「プラクセルL208AL」、「プラクセルL212AL」、「プラクセルL220AL」、「プラクセルL230AL」、「プラクセル305」、「プラクセル308」、「プラクセル312」、「プラクセルL312AL」、「プラクセル320」、「プラクセルL320AL」、「プラクセルL330AL」、「プラクセル410」、「プラクセル410D」、「プラクセル610」、「プラクセルP3403」、及び「プラクセルCDE9P」(何れも(株)ダイセル製)等の市販品を使用することができる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオール類への環状エーテル化合物の付加反応により得られるポリエーテルポリオール、及びアルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、より具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,12−ドデカンジオール、ポリブタジエンジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ジヒドロキシアセトン、ヘキシレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジトリメチロールプロパン、マンニトール、ソルビトール、及びペンタエリスリトールなどのポリオール類の多量体;上記ポリオール類と、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、及びエピクロロヒドリン等のアルキレンオキサイドとの付加物;並びにテトラヒドロフラン類などの環状エーテルの開環重合体(例えば、ポリテトラメチレングリコール)が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、商品名「PEP−101」(フロイント産業(株)製)、商品名「アデカプルロニックL」、「アデカプルロニックP」、「ア
デカプルロニックF」、「アデカプルロニックR」、「アデカプルロニックTR」、及び「アデカPEG」(何れもアデカ(株)製);商品名「PEG#1000」、「PEG#1500」、及び「PEG#11000」(何れも日油(株)製);商品名「ニューポールPE−34」、「ニューポールPE−61」、「ニューポールPE−78」、「ニューポールPE−108」、「PEG−200」、「PEG−600」、「PEG−2000」、「PEG−6000」、「PEG−10000」、及び「PEG−20000」(何れも三洋化成工業(株)製);商品名「PTMG1000」、「PTMG1800」、及び「PTMG2000」(何れも三菱化学(株)製);並びに「PTMGプレポリマー」(三菱樹脂(株)製)等の市販品を使用することができる。
デカプルロニックF」、「アデカプルロニックR」、「アデカプルロニックTR」、及び「アデカPEG」(何れもアデカ(株)製);商品名「PEG#1000」、「PEG#1500」、及び「PEG#11000」(何れも日油(株)製);商品名「ニューポールPE−34」、「ニューポールPE−61」、「ニューポールPE−78」、「ニューポールPE−108」、「PEG−200」、「PEG−600」、「PEG−2000」、「PEG−6000」、「PEG−10000」、及び「PEG−20000」(何れも三洋化成工業(株)製);商品名「PTMG1000」、「PTMG1800」、及び「PTMG2000」(何れも三菱化学(株)製);並びに「PTMGプレポリマー」(三菱樹脂(株)製)等の市販品を使用することができる。
上記ポリカーボネートポリオールとは、分子内に2個以上の水酸基を有するポリカーボネートである。中でも、上記ポリカーボネートポリオールとしては、分子内に2個の末端水酸基を有するポリカーボネートジオールが好ましい。
上記ポリカーボネートポリオールは、通常のポリカーボネートポリオールを製造する方法と同じく、ホスゲン法、又は、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートのようなジアルキルカーボネート、又はジフェニルカーボネートを用いるカーボネート交換反応(特開昭62−187725号公報、特開平2−175721号公報、特開平2−49025号公報、特開平3−220233号公報、特開平3−252420号公報等)などにより合成される。上記ポリカーボネートポリオールにおけるカーボネート結合は熱分解を受けにくいため、ポリカーボネートポリオールを含む樹脂組成物の硬化物は高温高湿下でも優れた安定性を示す。
上記ジアルキルカーボネート又はジフェニルカーボネートと共にカーボネート交換反応で用いられるポリオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,12−ドデカンジオール、ブタジエンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、及びプロピレングリコールが挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、商品名「プラクセルCD205PL」、「プラクセルCD205HL」、「プラクセルCD210PL」、「プラクセルCD210HL」、「プラクセルCD220PL」、及び「プラクセルCD220HL」(何れも(株)ダイセル製);商品名「UH−CARB50」、「UH−CARB100」、「UH−CARB300」、「UH−CARB90(1/3)」、「UH−CARB90(1/1)」、及び「UC−CARB100」(何れも宇部興産(株)製);並びに、商品名「PCDL T4671」、「PCDL T4672」、「PCDL T5650J」、「PCDL T5651」、及び「PCDL T5652」(何れも旭化成ケミカルズ(株)製)等の市販品を使用することができる。
上記ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオール以外のポリオールとしては、例えば、商品名「YP−50」、「YP−50S」、「YP−55U」、「YP−70」、「ZX−1356−2」、「YPB−43C」、「YPB−43M」、「FX−316」、「FX−310T40」、「FX−280S」、「FX−293」、「YPS−007A30」、及び「TX−1016」(何れも新日鐵化学(株)製)や、商品名「jER1256」、「jER4250」、及び「jER4275」(何れも三菱化学(株)製)などのフェノキシ樹脂;商品名「エポトートYD−014」、「エポトートYD−017」、「エポトートYD−019」、「エポトートYD−020G」、「エポトートYD−904」、「エポトートYD−907」、及び「エポトートYD−6020」(何れも新日鐵化学(株)製)や、商品名「jER1007」、「jER1009」、「jER1010」、「jER1005F」、「jER1009F」、「jER1006FS」、及び「jER1007FS」(何れも三菱化学(株)製)などのエポキシ当量が1000g/eq.を超えるビスフェノール型高分子エポキシ樹脂;商品名「Poly bd R−45HT」、「Poly bd R−15HT」、「Poly ip」、及び「KRASOL」(何れも出光興産(株)製)や、商品名「α−ωポリブタジエングリコール G−1000」、「α−ωポリブタジエングリコール G−2000」、及び「α−ωポリブタジエングリコール G−3000」(何れも日本曹達(株)製)などの水酸基を有するポリブタジエン類;並びに、商品名「ヒタロイド3903」、「ヒタロイド3904」、「ヒタロイド3905」、「ヒタロイド6500」、「ヒタロイド6500B」、及び「ヒタロイド3018X」(何れも日立化成工業(株)製)や、商品名「アクリディックDL−1537」、「アクリディックBL−616」、「アクリディックAL−1157」、「アクリディックA−322」、「アクリディックA−817」、「アクリディックA−870」、「アクリディックA−859−B」、「アクリディックA−829」、及び「アクリディックA−49−394−IM」(何れもDIC(株)製)、商品名「ダイヤナールSR−1346」、「ダイヤナールSR−1237」、及び「ダイヤナールAS−1139」(何れも三菱レイヨン(株)製)などのアクリルポリオール等の市販品を使用することができる。
なお、上記ポリオール化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ポリオール化合物(B)は、ポリエステルポリオール、例えば商品名「プラクセル305」及び「プラクセル308」(何れも(株)ダイセル製)などのポリカプロラクトントリオール、並びに、商品名「プラクセルCD205PL」((株)ダイセル製)などのポリカーボネートジオールの少なくとも一方であることが特に好ましい。
脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)との合計量に占めるポリオール化合物(B)の量の割合は、15〜45質量部の範囲内にある。この割合は、20〜40質量部の範囲内にあることが好ましい。
この割合が15質量部より小さいと、樹脂組成物の硬化物は、硬く脆い性状となり、高い可撓性が得られない可能性がある。一方この割合が45質量部より大きいと、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が小さくなり、エポキシ基の量に対して水酸基の量が過剰となり、樹脂組成物を十分に硬化させることができない可能性がある。
この割合が15質量部より小さいと、樹脂組成物の硬化物は、硬く脆い性状となり、高い可撓性が得られない可能性がある。一方この割合が45質量部より大きいと、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が小さくなり、エポキシ基の量に対して水酸基の量が過剰となり、樹脂組成物を十分に硬化させることができない可能性がある。
[酸発生剤(C)]
酸発生剤(C)は、樹脂組成物中のエポキシ基を有する化合物の重合を開始させる働きを有する。酸発生剤(C)としては、紫外線照射などの電離放射線照射又は加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して、脂環式エポキシ化合物(A)の重合を開始させるカチオン重合開始剤が好ましい。酸発生剤(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸発生剤(C)は、樹脂組成物中のエポキシ基を有する化合物の重合を開始させる働きを有する。酸発生剤(C)としては、紫外線照射などの電離放射線照射又は加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して、脂環式エポキシ化合物(A)の重合を開始させるカチオン重合開始剤が好ましい。酸発生剤(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電離放射線照射によりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩、トリアリルスルホニウム塩及びその誘導体、並びに、ジアリルヨウドニウム塩及びその誘導体を挙げることができる。
トリアリルスルホニウム塩及びその誘導体としては、例えば、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩及びその誘導体、並びに、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩及びその誘導体が挙げられる。
ジアリルヨウドニウム塩及びその誘導体としては、例えば、ジアリルヨウドニウムヘキ
サフルオロホスフェート塩及びその誘導体、並びに、ジアリルヨウドニウムテトラフルオロボレート塩及びその誘導体が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤(カチオン触媒)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ジアリルヨウドニウム塩及びその誘導体としては、例えば、ジアリルヨウドニウムヘキ
サフルオロホスフェート塩及びその誘導体、並びに、ジアリルヨウドニウムテトラフルオロボレート塩及びその誘導体が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤(カチオン触媒)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
このようなカチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・サイテック(株)製);商品名「CD−1010」、「CD−1011」、及び「CD−1012」(何れも米国サートマー社製);商品名「イルガキュア264」及び「イルガキュア250」(何れもチバ・ジャパン(株)製);商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製);商品名「CPI−101A」、「CPI−100P」、「CPI−210S」、及び「CPI−110A」(何れもサンアプロ(株)製);商品名「アデカオプトマーSP−170」、「アデカオプトマーSP−172」、及び「アデカオプトマーSP−150」(何れも(株)ADEKA製);並びに、商品名「シリコリース UV CATA211」(荒川化学工業(株)製)等の市販品を使用できる。
好ましくは、商品名「SP−170」及び「SP−172」(何れも(株)ADEKA製)、並びに、商品名「CPI−210S」、「CPI−101A」及び「CPI−110A」(何れもサンアプロ(株)製)のうちの1以上である。
好ましくは、商品名「SP−170」及び「SP−172」(何れも(株)ADEKA製)、並びに、商品名「CPI−210S」、「CPI−101A」及び「CPI−110A」(何れもサンアプロ(株)製)のうちの1以上である。
加熱処理を施すことによりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、及びアレン−イオン錯体が挙げられる。
このようなカチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「PP−33」、「CP−66」、及び「CP−77」(何れもADEKA(株)製);商品名「FC−509」(スリーエム(株)製);商品名「UVE1014」(G.E.(株)製);商品名「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」、「サンエイド SI−100L」、「サンエイド SI−110L」、及び「サンエイド SI−150L」(何れも三新化学工業(株)製);並びに、商品名「CG−24−61」(チバ・ジャパン(株)製)等の市販品を使用できる。
更に、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物も、上記カチオン重合開始剤として使用できる。
酸発生剤(C)の量は、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内にあることが好ましく、0.05〜5質量部の範囲内にあることがより好ましく、0.05〜1質量部の範囲内にあることが更に好ましく、0.05〜0.5質量部の範囲内にあることが更に好ましく、0.05〜0.1質量部の範囲内にあることが特に好ましい。
酸発生剤(C)の量が少なすぎると、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が小さくなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。酸発生剤(C)の量が多すぎると、硬化物が着色するか、又は、高い透明性を有する硬化物を得られない可能性がある。
酸発生剤(C)の量が少なすぎると、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が小さくなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。酸発生剤(C)の量が多すぎると、硬化物が着色するか、又は、高い透明性を有する硬化物を得られない可能性がある。
[シランカップリング剤(D)]
シランカップリング剤(D)は、樹脂組成物中の耐加水分解性を向上させる働きを有する。シランカップリング剤(D)としては、置換基の種類が加水分解速度に影響を与えることから、エポキシ樹脂と反応性が高いアミノ基、メルカプト基、エポキシ基等を有するものが好ましい。シランカップリング剤(D)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
シランカップリング剤(D)は、樹脂組成物中の耐加水分解性を向上させる働きを有する。シランカップリング剤(D)としては、置換基の種類が加水分解速度に影響を与えることから、エポキシ樹脂と反応性が高いアミノ基、メルカプト基、エポキシ基等を有するものが好ましい。シランカップリング剤(D)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
このようなシランカップリング剤としては、例えば、3− アミノプロピルトリエトキシシラン、3− アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2− アミノエチル )-3- アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2− アミノエチル )−3− アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N− フェニル ) アミノプロピルトリメトキシシラン、3− メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3− メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3− オクタノイルチオ−1− プロピルトリエトキシシラン、2−(3,4− エポキシシクロへキシル ) エチルトリメトキシシラン、3- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3− グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、単独、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
シランカップリング剤(D)の量は、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)と酸発生剤(C)の合計量100質量部に対して、0.05〜10質量部の範囲内にあることが好ましく、0.1〜5質量部の範囲内にあることがより好ましく、0.1〜3質量部の範囲内にあることが更に好ましい。
シランカップリング剤(D)の量が少なすぎると、反応性が不十分であり耐加水分解性が得られない可能性がある。シランカップリング剤(D)の量が多すぎると、シランカップリング剤が析出するか、又は、高い透明性を有する硬化物を得られない可能性がある。
シランカップリング剤(D)の量が少なすぎると、反応性が不十分であり耐加水分解性が得られない可能性がある。シランカップリング剤(D)の量が多すぎると、シランカップリング剤が析出するか、又は、高い透明性を有する硬化物を得られない可能性がある。
[その他の成分(E)]
樹脂組成物は、必要に応じて、他の成分(E)を更に含有することができる。例えば、樹脂組成物は、硬化性調整のためにビニルエーテル化合物のようなカチオン反応性化合物を更に含有していてもよい。また、樹脂組成物は、その低粘度化や反応速度調整のためにオキセタン化合物を更に含有していてもよい。また、樹脂組成物は、基材と樹脂組成物を硬化してなる層との密着性調整のためにラジカル反応性化合物を更に含有していてもよい。
樹脂組成物は、必要に応じて、他の成分(E)を更に含有することができる。例えば、樹脂組成物は、硬化性調整のためにビニルエーテル化合物のようなカチオン反応性化合物を更に含有していてもよい。また、樹脂組成物は、その低粘度化や反応速度調整のためにオキセタン化合物を更に含有していてもよい。また、樹脂組成物は、基材と樹脂組成物を硬化してなる層との密着性調整のためにラジカル反応性化合物を更に含有していてもよい。
樹脂組成物は、その他の成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤(HALS等)、つや消し剤(シリカ、ガラス粉、金属酸化物等)、着色剤(染料、顔料等)、光拡散剤、低収縮剤、沈降防止剤、消泡剤、帯電防止剤、防曇剤、分散剤、増粘剤、タレ止め剤、乾燥剤、レベリング剤、付着促進剤、防錆顔料、熱安定剤、皮膜物質改質剤、スリップ剤、スリキズ剤、可塑剤、防菌剤、防カビ剤、防汚剤、難燃剤、重合防止剤、光重合促進剤、増感剤、熱開始剤(熱カチオン重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤)、及び離型剤等の添加剤の1以上を更に含有していてもよい。
成分(E)の量は、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して、1質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以下であることがより好ましい。
<樹脂組成物の調製>
上記の樹脂組成物は、上述した成分を均一に混合することにより得る。この混合には、例えば、特に限定されないが、ディスパーミキサ、ウルトラミキサ、ホモジナイザ、及び遊星攪拌脱泡機等の攪拌機を用いることができる。この混合は、酸発生剤の活性化を防止するため、電離放射線が照射されない環境下で行うことが好ましい。
上記の樹脂組成物は、上述した成分を均一に混合することにより得る。この混合には、例えば、特に限定されないが、ディスパーミキサ、ウルトラミキサ、ホモジナイザ、及び遊星攪拌脱泡機等の攪拌機を用いることができる。この混合は、酸発生剤の活性化を防止するため、電離放射線が照射されない環境下で行うことが好ましい。
<支持体層の製造>
図1に示す支持体層2は、例えば、上記の樹脂組成物からなる塗膜をキャリアフィルム上に形成し、この塗膜に電離放射線を照射し、更に、塗膜をプリベークに供して、塗膜を硬化させ、その後、硬化した膜をキャリアフィルムから剥離することにより得る。
図1に示す支持体層2は、例えば、上記の樹脂組成物からなる塗膜をキャリアフィルム上に形成し、この塗膜に電離放射線を照射し、更に、塗膜をプリベークに供して、塗膜を硬化させ、その後、硬化した膜をキャリアフィルムから剥離することにより得る。
樹脂組成物の塗工には特に制限はないが、例えば、ダイコーティング法、ディッピング法、ワイヤーバーを使用する方法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、カーテン法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、及びグラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。
前記キャリアフィルムは、樹脂組成物の硬化物を剥離可能に支持し得るものであればよい。キャリアフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム(CAPフィルム)、セルローストリアセテート及びセルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム、及びポリアリレート系フィルムを挙げることができる。
前記キャリアフィルムの厚さは、制限を設けるわけではないが、6〜700μmの範囲内にあることが好ましく、40〜250μmの範囲内にあることがより好ましく、50〜150μmの範囲内にあることが更に好ましい。
樹脂組成物からなる塗膜の硬化後の厚さ、即ち、支持体層2の厚さは、10〜100μmの範囲内にあることが好ましい。
この厚さが薄すぎる場合、支持体層2の強度が低く、支持体層2がキャリアフィルムから剥離する際に破断してしまう可能性が高い。厚すぎる場合、反応熱が高くなることで硬化物の貯蔵弾性率が非常に高くなり、その結果、支持体層2は、硬く脆い性状となり、可撓性が不十分となる可能性がある。
この厚さが薄すぎる場合、支持体層2の強度が低く、支持体層2がキャリアフィルムから剥離する際に破断してしまう可能性が高い。厚すぎる場合、反応熱が高くなることで硬化物の貯蔵弾性率が非常に高くなり、その結果、支持体層2は、硬く脆い性状となり、可撓性が不十分となる可能性がある。
前記電離放射線は、樹脂組成物が含む成分、具体的には酸発生剤(C)を分解(電離)させて、樹脂組成物中に酸を発生させ得る高エネルギーな放射線、例えば、X線又は紫外線を意味している。電離放射線としては、典型的には、紫外線を利用する。
塗膜に電離放射線を照射することにより、樹脂組成物が含んでいる酸発生剤を活性化させる。即ち、酸発生剤を分解(電離)させて、樹脂組成物中に酸を発生させる。酸は、樹脂組成物中での重合や架橋を促進する触媒としての役割を果たす。従って、塗膜への電離放射線照射により、樹脂組成物では重合や架橋が進行し、その結果、塗膜は硬化する。
前記電離放射線の光源としては、酸発生剤(C)の分解に適した波長の光を放射するものを適宜選択する。この光源としては、400nm以下の波長を放射するランプが好ましい。そのようなランプとしては、例えば、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、及び可視光ハロゲンランプが挙げられる。
電離放射線照射は、空気中で行ってもよいし、窒素及びアルゴン等の不活性ガス中で行ってもよい。
前記電離放射線の積算光量は、10〜3000mJ/cm2の範囲内とすることが好ましく、100〜1000mJ/cm2の範囲内とすることがより好ましく、200〜500mJ/cm2の範囲内とすることが更に好ましい。
次に電離放射線を照射した塗膜に対してポストベークを行う。ポストベークを行うことにより、樹脂組成物中での上記反応を完結させる。ポストベークを行うと、支持体層2における架橋密度を高めることができ、耐熱性が高まる。
支持体層2の加熱には、例えば、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、及び赤外線照射等の加熱方法を、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。加熱温度は、80〜160℃の範囲内とすることが好ましい。加熱時間は、30〜600秒の範囲内とすることが好ましい。
<アンカーコート層>
前記アンカーコート層3は、次工程の蒸着薄膜層4と支持体層2の密着性向上と、蒸着薄膜層4の均一製膜とにより、さらに高いバリア性を発現することを目的としている。
前記アンカーコート層3は、次工程の蒸着薄膜層4と支持体層2の密着性向上と、蒸着薄膜層4の均一製膜とにより、さらに高いバリア性を発現することを目的としている。
前記アンカーコート層3として、例えば、アクリルポリオール、ポリビニルアセタール、ポリエステルポリオールおよびポリウレタンポリオール等から選択されるポリオール類と、イソシアネート化合物との2液反応によって得られる有機高分子、またはポリイソシアネート化合物および水との反応によりウレア結合を有する有機化合物、ポリエチレンイミンまたはその誘導体、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノール、また有機変性コロイダルシリカのような無機シリカ、シランカップリング剤およびその加水分解物のような有機シラン化合物を主剤とするものなどが挙げられる。特に、アクリルポリオールとイソシアネート化合物とシランカップリング剤の組み合わせが好ましい。この組み合わせからなるアンカーコート層3を用いると、支持体層2と蒸着薄膜層4の間に、安定したさらに高い密着性を得ることができる。
前記アンカーコート層塗液の塗布方法としては、例えば、ダイコーティング法、ディッピング法、ワイヤーバーを使用する方法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、カーテン法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、及びグラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。
アンカーコート層3の乾燥後の厚さは、0.005μm〜1μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.01μm〜0.5μmの範囲内である。0.01μm未満の場合は塗工技術の点から均一な塗膜が得られ難く、逆に0.5μmより大きい場合はコストが高くなり、経済的にデメリットになる。
<蒸着薄膜層>
蒸着薄膜層4は、バリア性の高い材料として酸化アルミニウム(AlOx)、酸化珪素(SiOx)、酸化マグネシウム(MgO)又はこれらの混合物を用いることができる。材料コスト、バリア性能、透明性から無機酸化物である酸化アルミニウムもしくは酸化珪素が好ましい。 さらに蒸着薄膜層4は1層または2層以上の多層膜であってもよい。
蒸着薄膜層4は、バリア性の高い材料として酸化アルミニウム(AlOx)、酸化珪素(SiOx)、酸化マグネシウム(MgO)又はこれらの混合物を用いることができる。材料コスト、バリア性能、透明性から無機酸化物である酸化アルミニウムもしくは酸化珪素が好ましい。 さらに蒸着薄膜層4は1層または2層以上の多層膜であってもよい。
蒸着薄膜層4の厚さは、1nm〜300nmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは5nm〜250nmの範囲内であり、特に好ましくは10nm〜200nm以下である。1nm以下では薄膜の連続性に問題があり、また300nmを越えるとカールやクラックが発生しやすく、バリア性能に悪影響を与え、かつ可撓性が低下する。
蒸着薄膜層4の成膜は、真空成膜手段によって作成できる。バリア性能や膜均一性の観点から好ましい。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)などの公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから真空蒸着法が好ましい。また真空蒸着法の中でも、特に電子ビーム加熱による成膜手段は、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流などで制御し易いことや蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることから有効である。
<ガスバリア被覆層>
ガスバリア被覆層5は、蒸着薄膜層4を保護するとともに、蒸着薄膜層4との相乗効果により高いガスバリア性を発現させることができる。
例えば、水溶性高分子、並びに、1種以上の金属アルコキシド、1種以上の金属アルコキシドの加水分解物、または塩化錫の少なくとも1つ以上を含む水溶液、あるいは、水/アルコール混合溶液の組成物からなるガスバリア被覆液を、蒸着薄膜層4上に塗布し、加熱乾燥して形成することができる。
ガスバリア被覆層5は、蒸着薄膜層4を保護するとともに、蒸着薄膜層4との相乗効果により高いガスバリア性を発現させることができる。
例えば、水溶性高分子、並びに、1種以上の金属アルコキシド、1種以上の金属アルコキシドの加水分解物、または塩化錫の少なくとも1つ以上を含む水溶液、あるいは、水/アルコール混合溶液の組成物からなるガスバリア被覆液を、蒸着薄膜層4上に塗布し、加熱乾燥して形成することができる。
前記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。この中では、特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)は、得られるガスバリア被覆層4のガスバリア性が最も優れたものとなるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものであり、例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分鹸化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等を用いることができる。
前記金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH3,C2H5等のアルキル基)で表される化合物であり、テトラエトキシシラン{Si(OC2H5)4}、トリイソプロポキシアルミニウム{Al(O−2´−C3H7)3}等が具体例として挙げられる。中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムは加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定で好ましい。
上記組成物からなるガスバリア被覆液には、ガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤等の公知の添加剤を必要に応じて適宜加えることも可能である。
前記ガスバリア被覆液の塗布方法としては特に制限はないが、例えば、ダイコーティング法、ディッピング法、ワイヤーバーを使用する方法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、カーテン法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、及びグラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。
ガスバリア被覆層5の厚さは、特に限定されるものではない。使用用途により適宜決めればよい。乾燥後の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一な塗膜が得られ難く、十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は、塗膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。好ましくは0.01〜50μmの範囲である。
バリア性フィルム1は、例えば、高い光線透過率を有している。一例によれば、バリア性フィルム1の波長400nmにおける光線透過率は、30〜95%の範囲内にあることが好ましく、40〜95%の範囲内にあることがより好ましく、50〜95%の範囲内にあることが更に好ましく、70〜95%の範囲内にあることが特に好ましい。
このバリア性フィルム1は、耐熱性、透明性に優れているため、内容物の確認が必要な食品包装材料に使用でき、特にレトルト食品等の加熱食品包装材料にも使用できる。また、可撓性に優れているため、フレキシブルなエレクトロニクス商材の構成部材にも適している。さらに、耐加水分解性に優れているため、高温多湿な環境下においてもバリア性の低下を生じにくい。従って、このバリア性フィルム1は、外部環境などの厳しい環境下においても、長期にわたって高いバリア性を発揮し得る。
<多層膜>
上述したバリア性フィルム1は、アンカーコート層3と蒸着薄膜層4とバリア被覆層5を1つの構成として順次積層された2層以上の多層構造を含んでいてもよい。即ち、バリア性フィルム1は、多層膜であってもよい。
上述したバリア性フィルム1は、アンカーコート層3と蒸着薄膜層4とバリア被覆層5を1つの構成として順次積層された2層以上の多層構造を含んでいてもよい。即ち、バリア性フィルム1は、多層膜であってもよい。
以下に、本発明の実施例を記載する。但し、本発明は、以下に記載する事項に限定されるわけではない。
<実施例1>
図1に示すバリア性フィルム1を以下の手順で作製した。
具体的には、先ず、以下の組成を有する樹脂組成物を遊星攪拌脱泡機(マゼルスターKK5000、KURABO製)を用いて15分間攪拌して、塗液を調製した。
脂環式エポキシ化合物(A):セロキサイド2021P 85質量部
ポリオール化合物(B): プラクセルCD205PL 15質量部
酸発生剤(C): SP−170 0.1質量部
シランカップリング剤(D):Z−6044(3- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 東レ・ダウコーニング社製) 1質量部
図1に示すバリア性フィルム1を以下の手順で作製した。
具体的には、先ず、以下の組成を有する樹脂組成物を遊星攪拌脱泡機(マゼルスターKK5000、KURABO製)を用いて15分間攪拌して、塗液を調製した。
脂環式エポキシ化合物(A):セロキサイド2021P 85質量部
ポリオール化合物(B): プラクセルCD205PL 15質量部
酸発生剤(C): SP−170 0.1質量部
シランカップリング剤(D):Z−6044(3- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 東レ・ダウコーニング社製) 1質量部
次に、この塗液を用いて、厚さが250μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製シート(メリネックスS、帝人(株)製)にダイコーティング法にて膜厚が50μmとなるように塗布した。電離放射線の光源としては、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス(株)製)を使用した。露光は、積算光量が500mJ/cm2となるように行った。また、ポストベークは、150℃にて180秒間にわたって行い、支持体層2を得た。
次に、アンカーコート層3は、希釈溶媒(酢酸エチル)中、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランを1質量部に対し、アクリルポリオールを5質量部量りとり、混合し、撹拌した。次に、トリイジルイソシアネートをアクリルポリオールのOH基に対しNCO基が等量となるように加えた混合溶液を2%の濃度に希釈し、乾燥後の膜厚が0.1μmになるようにグラビアコート法を用いて塗布し、120℃で1分間加熱してアンカーコート層3を支持体層2上に形成した。
次に、蒸着薄膜層4は、上記アンカーコート層面に酸化珪素材料(大阪チタニウム社製)からなる蒸着材料を電子ビーム加熱法で加熱し、膜厚が20nmとなるように蒸着薄膜層4を形成した。
次に、ガスバリア被覆層5は、上記蒸着薄膜層面に、テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌して加水分解させた固形分3質量部(SiO2換算)の加水分解溶液と、ポリビニルアルコールの3質量部と水/イソプロピルアルコール溶液{水:イソプロピルアルコール=90:10(質量比)}を混合して得られた液を、乾燥後の膜厚が0.3μmになるようにグラビアコート法を用いて塗布し、120度で1分間加熱してガスバリア被覆層5を形成し、実施例1のバリア性フィルム1を得た。
<実施例2〜4及び比較例1〜4>
以下の表1に示すように樹脂組成物の組成をそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2〜4及び比較例1〜4のフィルムを作製した。
以下の表1に示すように樹脂組成物の組成をそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2〜4及び比較例1〜4のフィルムを作製した。
<評価>
上述した方法により製造したバリア性フィルムの各々について耐熱性、可撓性、透明性、耐加水分解性の評価を、以下の方法で行った。
上述した方法により製造したバリア性フィルムの各々について耐熱性、可撓性、透明性、耐加水分解性の評価を、以下の方法で行った。
(耐熱性)
熱重量測定−示差熱分析装置(TG−DTA6200、(株)日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、フィルムの熱重量変化を測定した。ここでは、サンプル量:10mg、測定温度:25〜300℃、昇温速度:10℃/min、サンプリングピッチ:3秒、測定雰囲気:N2パージ下とした。
熱重量測定−示差熱分析装置(TG−DTA6200、(株)日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、フィルムの熱重量変化を測定した。ここでは、サンプル量:10mg、測定温度:25〜300℃、昇温速度:10℃/min、サンプリングピッチ:3秒、測定雰囲気:N2パージ下とした。
そして、フィルムの耐熱性を、以下の基準で判定した。即ち、初期の質量に対する270℃における質量の変化が2%以下であり、且つ、フィルム形状を維持しているものを「〇」と判定した。そして、初期の質量に対する270℃における質量の変化が2%を超えたか、又は、溶融等でフィルム形状を維持しなかったものを「×」と判定した。
(可撓性)
マンドレル試験機を用い、径が0.4mmの円筒に巻きつけた。そして、割れが生じたものを「〇」と判定し、割れが生じなかったものを「×」と判定した。
マンドレル試験機を用い、径が0.4mmの円筒に巻きつけた。そして、割れが生じたものを「〇」と判定し、割れが生じなかったものを「×」と判定した。
(透明性)
分光透過率計(UV−VISIBLE SPECTROPHOTOMETER UV2450、SHIMADZU製)を用い、測定波長400nmで、フィルムの透過率を測定した。
分光透過率計(UV−VISIBLE SPECTROPHOTOMETER UV2450、SHIMADZU製)を用い、測定波長400nmで、フィルムの透過率を測定した。
そして、フィルムの透明性を、以下の基準で判定した。即ち、透過率が90%以上である場合を「〇」と判定した。そして、透過率が90%未満である場合を「×」と判定した。
(耐加水分解性)
加速寿命試験装置(EHS−211、エスペック社製)を用いて、サンプルのプレッシャークッカー試験を実施した(100℃、96時間)。その後モダンコントロール社製の酸素透過度計(MOCON OX−TRAN 2/21)により、30℃−70%RH雰囲気下での酸素透過度(cc/m2・24h・MPa)を測定した。また、モダンコントロール社製の水蒸気透過度計(MOCON PERMATRAN−W 3/31)により、40℃−90%RH雰囲気下での水蒸気透過度(g/m2・24h)を測定した。
加速寿命試験装置(EHS−211、エスペック社製)を用いて、サンプルのプレッシャークッカー試験を実施した(100℃、96時間)。その後モダンコントロール社製の酸素透過度計(MOCON OX−TRAN 2/21)により、30℃−70%RH雰囲気下での酸素透過度(cc/m2・24h・MPa)を測定した。また、モダンコントロール社製の水蒸気透過度計(MOCON PERMATRAN−W 3/31)により、40℃−90%RH雰囲気下での水蒸気透過度(g/m2・24h)を測定した。
そして、フィルムの耐加水分解性を、以下の基準で判定した。即ち、プレッシャークッカー試験後の酸素透過度と水蒸気透過度の値が初期値の50%以内に収まるものを「〇」、50%以上高くなるものを「×」と判定した。
評価結果を、以下の表2に纏める。
評価結果を、以下の表2に纏める。
上記表2に示すように、実施例1〜4に係るバリア性フィルムは、低い酸素透過度および水蒸気透過度と、耐熱性、可撓性、透明性、耐加水分解性を兼ね備えている。
一方、比較例1は、脂環式エポキシ化合物(A)の組成が50部と少なく、耐熱性に劣るため、製膜時の熱の影響で寸法変化を起こし、実施例1〜4と比較して初期の酸素透過度と水蒸気透過度が劣っていた。
さらに、比較例2は、脂環式エポキシ化合物(A)の組成が90部と多く、実施例1〜4と比較して初期の酸素透過度と水蒸気透過度は変わらないが、可撓性が劣っていた。
比較例3は、酸発生剤(C)の組成が1質量部とやや多く、実施例1〜4と比較して初期の酸素透過度と水蒸気透過度は変わらないが、透明性が劣っていた。
比較例4は、シランカップリング剤(D)の組成が0.01質量部と少なく、実施例1〜4と比較して初期の酸素透過度と水蒸気透過度は変わらないが、プレッシャークッカー試験後の酸素透過度と水蒸気透過度が劣っており、耐加水分解性が劣っていた。
さらに、比較例2は、脂環式エポキシ化合物(A)の組成が90部と多く、実施例1〜4と比較して初期の酸素透過度と水蒸気透過度は変わらないが、可撓性が劣っていた。
比較例3は、酸発生剤(C)の組成が1質量部とやや多く、実施例1〜4と比較して初期の酸素透過度と水蒸気透過度は変わらないが、透明性が劣っていた。
比較例4は、シランカップリング剤(D)の組成が0.01質量部と少なく、実施例1〜4と比較して初期の酸素透過度と水蒸気透過度は変わらないが、プレッシャークッカー試験後の酸素透過度と水蒸気透過度が劣っており、耐加水分解性が劣っていた。
1…バリア性フィルム
2…支持体層
3…アンカーコート層
4…蒸着薄膜層
5…バリア被覆層
2…支持体層
3…アンカーコート層
4…蒸着薄膜層
5…バリア被覆層
Claims (15)
- 脂環式エポキシ化合物(A)と、ポリオール化合物(B)と、酸発生剤(C)と、シランカップリング剤(D)を含んだ樹脂組成物の硬化物からなる支持体層に、少なくともアンカーコート層と、無機酸化物からなる蒸着薄膜層と、ガスバリア被覆層とを設けたことを特徴とするバリア性フィルム。
- 前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量に占める前記脂環式エポキシ化合物(A)の量の割合は55〜85質量部の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のバリア性フィルム。
- 前記脂環式エポキシ化合物(A)は、分子内に2以上のエポキシ基を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のバリア性フィルム。
- 前記脂環式エポキシ化合物(A)は、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、及びε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバリア性フィルム。
- 前記ポリオール化合物(B)は、ポリカプロラクトントリオール又はポリカーボネートジオールの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のバリア性フィルム。
- 前記ポリオール化合物(B)は、数平均分子量が200〜100000g/molの範囲内にあり、水酸基価が190〜550KOHmg/gの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のバリア性フィルム。
- 前記酸発生剤(C)はカチオン重合剤を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のバリア性フィルム。
- 前記酸発生剤(C)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のバリア性フィルム。
- 前記シランカップリング剤(D)はアミノ基、メルカプト基、エポキシ基の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のバリア性フィルム。
- 前記シランカップリング剤(D)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)と前記酸発生剤(C)の合計量100質量部に対して0.05〜10質量部の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のバリア性フィルム。
- 前記支持体層の膜厚は10〜100μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のバリア性フィルム。
- 前記バリア性フィルムは波長400nmにおける光線透過率が30〜95%の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のバリア性フィルム。
- 前記アンカーコート層はアクリルポリオールとイソシアネートとシランカップリング剤を含むことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載のバリア性フィルム。
- 前記蒸着薄膜層は少なくとも酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムおよびこれら混合物のいずれかからなる1層または2層以上の多層膜からなることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載のバリア性フィルム。
- 前記ガスバリア被覆層は少なくとも水溶性高分子、1種以上の金属アルコキシド、1種以上の金属アルコキシドの加水分解物の水溶液、塩化錫のうちの1つ以上を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合液の組成物から形成されていることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載のバリア性フィルム。
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2017
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