JP2018149783A - セルフクリーニングフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチックフィルムや表面層等との接着性を阻害せずに耐光性を向上し、かつプラスチックフィルムの耐加水分解性を向上させた、耐久性に優れるセルフクリーニングフィルムを提供すること。
【解決手段】プラスチックフィルムの一方の表面に、少なくとも紫外線吸収性樹脂を含有する紫外線吸収層と、自浄性表面層とをこの順に設けてなるセルフクリーニングフィルムであって、前記プラスチックフィルムが、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)と酸発生剤(C)とを含む樹脂組成物の硬化物からなるセルフクリーニングフィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、その表面を高度に親水化することによって自浄性を有するセルフクリーニ
ングフィルムに関し、特にその耐久性に優れるセルフクリーニングフィルムに関する。
近年、自浄性を有するセルフクリーニングフィルムと呼ばれるものが開発されている。このようなセルフクリーニングフィルムとは、表面に親水化剤を含有する表面層や二酸化チタン等の光触媒を含む光触媒含有層を設けることによって、その表面を高度に親水化することで、非常に水に濡れ易くし、塵埃等の汚れが付き難い性質を発現させ、且つ汚れが一時的に付着しても雨水等により容易に洗い流されるという、いわゆる自浄性と呼ばれる性質を発揮するような表面層を有するものである。(例えば、下記特許文献1、特許文献2を参照。)
このようなセルフクリーニングフィルムは、一般に屋外で使用されることによって雨水等が表面に被膜化することで塵埃等の汚れが付き難い性質を発現させ、且つ汚れが一時的に付着しても容易に洗い流されるものであるため、極めて耐候(久)性を要求されるもの
である。しかし、従来ベースフィルムとして使用されるポリエチレンテレフタレートは、耐光性に乏しいため、何らかの方法で耐光性を向上させる手段をとらないと、ベースフィルムが短期間で劣化してしまうことによって、セルフクリーニングフィルムとしては、その自浄性能を維持できなくなるという問題がある。
そこで、低分子量の紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層をベースフィルムと自浄性を有する表面層との間に設けることによってポリエチレンテレフタレートフィルムの耐光性を向上させる方法が考えられるが、この方法でも、紫外線吸収剤が経時的にブリーディング(材料の一部が層内で分離して遊離してしまう現象)することにより紫外線吸収層のプラスチックフィルムや表面層等に対する接着性が阻害され、最終的な耐久性が乏しいものとなってしまう問題があった。
さらに、ポリエチレンテレフタレートは、高温高湿度環境で使用すると、分子鎖中のエステル結合部位の加水分解が起こり、機械的特性が劣化してしまうことによって、耐候性に乏しいものになってしまう。
特開2000−071377号公報 特開2001−316634号公報
そこで本発明は、プラスチックフィルムや表面層等との接着性を阻害せずに耐光性を向上し、かつプラスチックフィルムの耐加水分解性を向上させた、耐久性に優れるセルフクリーニングフィルムを提供することを目的とする。
すなわち、本発明のセルフクリーニングフィルムは、
プラスチックフィルムの一方の表面に、少なくとも紫外線吸収性樹脂を含有する紫外線吸
収層と、自浄性表面層とをこの順に設けてなるセルフクリーニングフィルムであって、
前記プラスチックフィルムが、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)と酸発生剤(C)とを含む樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とするセルフクリーニングフィルムである。
また、本発明のセルフクリーニングフィルムにおいては、
前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量に占める前記脂環式エポキシ化合物(A)の量の割合は50〜80質量%の範囲内にあり、かつ、前記酸発生剤(C)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して0.05〜0.5質量部の範囲内にあるものでもよい。
また、本発明のセルフクリーニングフィルムにおいては、
前記脂環式エポキシ化合物(A)は、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及びε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの少なくとも一方であってもよい。
また、本発明のセルフクリーニングフィルムにおいては、
前記ポリオール化合物(B)は、ポリカプロラクトントリオール及びポリカーボネートジオールの少なくとも一方であるものでもよい。
また、本発明のセルフクリーニングフィルムにおいては、
前記酸発生剤(C)はカチオン重合開始剤を含むものでもよい。
また、本発明のセルフクリーニングフィルムにおいては、
前記ポリオール化合物(B)は、数平均分子量が200〜100000g/molの範囲内にあり、水酸基価が190〜550KOHmg/gの範囲内にあるものでもよい。
本発明のセルフクリーニングフィルムは、ベースフィルムにエポキシ化合物を含むプラスチックフィルム(以降エポキシフィルムとも呼ぶ)を使用しているので、従来のポリエチレンテレフタレートと比較して耐加水分解性に優れ、また、ベースフィルムとセルフクリーニング層との間に紫外線吸収層を設けることにより、極めて耐久性に優れるセルフクリーニングフィルムを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るセルフクリーニングフィルムの層構成を概略的に示す断面図。 エポキシフィルム製造装置の一例を概略的に示す図。
本発明の実施の形態について、図1を用いて説明する。
本発明のセルフクリーニングフィルム1は、図1(a)に示すように、ベースフィルムであるエポキシフィルム2の一方の表面に、紫外線吸収層4と自浄性表面層3とをこの順に積層して設けてなる。
また、必要に応じて、自浄性表面層3と紫外線吸収層4との間に中間層5を設けてもよい。この中間層5は、自浄性表面層3と紫外線吸収層4との間の接着性を向上させる目的で挿入するものであり、特に自浄性表面層3が紫外線照射によってその表面が親水化されるよう場合には有用なものである。
またさらに、本発明のセルフクリーニングフィルム10は、図1(b)に示すように前記エポキシフィルム2の自浄性表面層3のある側と反対側の面に、粘着層6及びセパレートフィルム7をこの順に積層してもよい。このようなセルフクリーニングフィルム10は、セパレートフィルム7を剥離して粘着層6を露出させて、被対象物に貼り付けることができる。
<エポキシフィルム>
エポキシフィルム2は、脂環式エポキシ化合物(A)と、ポリオール化合物(B)と、酸発生剤(C)とを含んでいる。以下に、エポキシフィルム2の各成分について説明する。
[脂環式エポキシ化合物(A)]
脂環式エポキシ化合物(A)は、1分子内に脂環(脂肪族環)構造とエポキシ基とを含んだ化合物である。エポキシ基は、脂環において互いに隣り合った2つの炭素原子と酸素原子とで構成されていてもよく(以下、そのようなエポキシ基を「脂環エポキシ基」と称する)、脂環に単結合で直接結合していてもよい。
脂環式エポキシ化合物(A)が1分子内に含む脂環構造の数は、1であってもよく、2以上であってもよい。また、脂環式エポキシ化合物(A)が1分子内に含むエポキシ基の数は、1であってもよく、2以上であってもよい。一例によれば、脂環式エポキシ化合物(A)は、1分子内に2つの脂環構造と2つのエポキシ基とを含み、それらエポキシ基は別々の脂環構造の炭素原子を含んだ脂環エポキシ基である。
脂環エポキシ基を有する化合物としては、公知または慣用のものの中から任意に選択して使用することができる。脂環エポキシ基を有する化合物は、シクロヘキサン環において互いに隣り合った2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有すること、即ち、シクロヘキセンオキシド基を有する化合物であることが好ましい。
脂環エポキシ基を有する化合物としては、特に、耐熱性、耐光性、及び透明性の点で、下記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)が好ましい。一般的に、エポキシ化合物は耐熱性に優れている。しかしながら、ビスフェノールA型エポキシ化合物等のベンゼン環を有するエポキシ化合物は、共役二重結合を有しているため、共役二重結合を有していないエポキシ化合物と比較して透明性の点で劣る。下記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物を使用した場合、特に高い透明性を達成できる。
Figure 2018149783
上記一般式(I)において、R1〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。
有機基としては、例えば、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子とともに、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、及びケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。ハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子等が挙げられる。
有機基としては、炭化水素基と、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基と、ハロゲン化炭化水素基と、炭素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基と、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基とが好ましい。有機基が炭化水素基である場合、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも、脂肪族炭化水素基でも、芳香族骨格と脂肪族骨格とを含む基でもよい。
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−n−プロペニル基(アリル基)、1−n−ブテニル基、2−n−ブテニル基、及び3−n−ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;並びに、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基の具体例としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、及び4−ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、及び4−フルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基;並びに、2−クロロフェニルメチル基、3−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、2−ブロモフェニルメチル基、3−ブロモフェニルメチル基、4−ブロモフェニルメチル基、2−フルオロフェニルメチル基、3−フルオロフェニルメチル基、及び4−フルオロフェニルメチル基等のハロゲン化アラルキル基が挙げられる。
炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、及び4−ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4−ヒドロキシシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基、2,4−ジヒドロキシフェニル基、2,5−ジヒドロキシフェニル基、2,6−ジヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、及び3,5−ジヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基;2−ヒドロキシフェニルメチル基、3−ヒドロキシフェニルメチル基、及び4−ヒドロキシフェニルメチル基等のヒドロキシアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−n−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1−n−ブテニルオキシ基、2−n−ブテニルオキシ基、及び3−n−ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、α−ナフチルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、ビフェニル−4−イルオキシ基、ビフェニル−3−イルオキシ基、ビフェニル−2−イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α−ナフチルメチルオキシ基、β−ナフチルメチルオキシ基、α−ナフチルエチルオキシ基、及びβ−ナフチルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロピルオキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロピルオキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、3−エトキシ−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、4−エトキシ−n−ブチル基、及び4−n−プロピルオキシ−n−プチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n−プロピルオキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−プロピルオキシエトキシ基、3−メトキシ−n−プロピルオキシ基、3−エトキシ−n−プロピルオキシ基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピルオキシ基、4−メトキシ−n−ブチルオキシ基、4−エトキシ−n−ブチルオキシ基、及び4−n−プロピルオキシ−n−ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、及び4−メトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、及び4−メトキシフェノキシ基等のアルコキシアリールオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、α−ナフトイル基、及びβ−ナフトイル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、及びn−デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、α−ナフトキシカルボニル基、及びβ−ナフトキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;並びに、ベンゾイルオキシ基、α−ナフトイルオキシ基、及びβ−ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基が挙げられる。
R1〜R18は、特に硬化性組成物を用いて得られる硬化物の硬度の観点から、全てが水素原子であることがより好ましい。
また、上記一般式(I)において、Xは、単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)である。
上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル基(エーテル結合)、チオエーテル基(チオエーテル結合)、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、アミド基(アミド結合)、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、及び、2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、及びトリメチレン基が挙げられる。2価の脂
環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、及びシクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)が挙げられる。
上記連結基Xとしては、酸素原子を含有する連結基が好ましい。そのような連結基Xとしては、例えば、−CO−(カルボニル基)、−O−CO−O−(カーボネート基)、−COO−(エステル基)、−O−(エーテル基)、−CONH−(アミド基)、これらの基が複数個連結した基、及びこれらの基の1又は2以上と2価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基が挙げられる。2価の炭化水素基としては、例えば、上記で例示したものが挙げられる。
上記一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物としては、例えば、商品名「セロキサイド2021P」及び「セロキサイド2081」(何れも(株)ダイセル製)等の市販品を使用することもできる。また、一般式(I)で表される脂環式エポキシ化合物のうちXが単結合であるものとして、例えば、商品名「セロキサイド8000」((株)ダイセル製)などの市販品を用いることもできる。
脂環式エポキシ化合物(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記の中でも、脂環式エポキシ化合物(A)としては、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名「セロキサイド2021P」)及びε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの少なくとも一方を使用することが特に好ましい。
脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)との合計量に占める脂環式エポキシ化合物(A)の量の割合は、50〜80質量%の範囲内にあることが好ましく、70〜75質量%の範囲内にあることがより好ましい。この割合が小さすぎると、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が低くなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。この割合が大きすぎると、樹脂組成物の硬化物は、硬く脆い性状となり、高い可撓性が得られない可能性がある。
[ポリオール化合物(B)]
樹脂組成物にポリオール化合物(B)を含めることにより、高い可撓性を有している硬化物を形成でき、また、樹脂組成物の硬化物のみで自立することができるシートの製造が可能となる。
ポリオール化合物(B)とは、1分子内に2個以上の水酸基を有し、数平均分子量が例えば200以上の重合体(オリゴマー又はポリマー)である。ポリオール化合物(B)には、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオールが含まれる。なお、ポリオール化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリオール化合物(B)が有する水酸基(2個以上の水酸基)は、アルコール性水酸基であってもよいし、フェノール性水酸基であってもよい。また、ポリオール化合物(B)が1分子内に有する水酸基の数は、2以上であればよく、特に限定されない。
ポリオール化合物(B)における水酸基(2個以上の水酸基)の位置は、特に限定されないが、硬化剤との反応性の観点で、ポリオール分子の少なくとも一方の末端(重合体主鎖の末端)に存在することが好ましく、ポリオール分子の少なくとも両末端に存在するこ
とが特に好ましい。
ポリオール化合物(B)は、その他の成分と配合した後に液状の樹脂組成物を形成できればよく、それ自体は、固体であってもよいし、液体であってもよい。
ポリオール化合物(B)の数平均分子量は、特に限定されないが、例えば200以上であり、200〜100000の範囲内にあることが好ましく、300〜1000の範囲内にあることがより好ましい。数平均分子量が小さすぎると、樹脂組成物を塗工する基材から樹脂組成物の硬化物であるフィルムを剥離する際に、フィルムに破断やクラックが発生する場合がある。一方、数平均分子量が大きすぎると、液状の樹脂組成物においてポリオール化合物が析出するか、又は、ポリオール化合物を他の成分中に溶解させることができない場合がある。なお、ポリオール化合物(B)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
ポリオール化合物(B)は、水酸基価が190〜550KOHmg/gの範囲内にあることが好ましい。水酸基価が小さすぎると、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が低くなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。水酸基価が大きすぎると、エポキシ基の量に対し、水酸基の量が過剰となり、反応に寄与しない浮遊モノマーが硬化物中に発生する可能性がある。その結果、熱重量変化が大きくなり、耐熱性の低下、更には吸湿性の増加を生じる可能性がある。
ポリオール化合物(B)としては、例えば、分子内にエステル骨格(ポリエステル骨格)を有するポリエステルポリオール(ポリエステルポリオールオリゴマーを含む)、分子内にエーテル骨格(ポリエーテル骨格)を有するポリエーテルポリオール(ポリエーテルポリオールオリゴマーを含む)、及び分子内にカーボネート骨格(ポリカーボネート骨格)を有するポリカーボネートポリオール(ポリカーボネートポリオールオリゴマーを含む)などが挙げられる。ポリオール化合物(B)には、その他化合物、例えば、フェノキシ樹脂、エポキシ当量が1000g/eq.を超えるビスフェノール型高分子エポキシ樹脂、水酸基を有するポリブタジエン類、及びアクリルポリオールも含まれる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリオールと、ポリカルボン酸(多塩基酸)又はヒドロキシカルボン酸との縮合重合(例えば、エステル交換反応)により得られるポリエステルポリオールや、ラクトン類の開環重合により得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
上記ポリエステルポリオールを得るための縮合重合に使用するポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,12−ドデカンジオール、ポリブタジエンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ジヒドロキシアセトン、ヘキシレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジトリメチロールプロパン、マンニトール、ソルビトール、及びペンタエリスリトールが挙げられる。
上記ポリエステルポリオールを得るための縮合重合に使用するポリカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アゼライン酸、クエン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シトラコン酸、1,10−デカンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、無水ピロメリット酸、及び無水トリメリット酸が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールを得るための縮合重合に使用するヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、りんご酸、グリコール酸、ジメチロールプロピオン酸、及びジメチロールブタン酸が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールを得るための開環重合に使用するラクトン類としては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、及びγ−ブチロラクトンが挙げられる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、商品名「プラクセル205」、「プラクセル205H」、「プラクセル205U」、「プラクセル205BA」、「プラクセル208」、「プラクセル210」、「プラクセル210CP」、「プラクセル210BA」、「プラクセル212」、「プラクセル212CP」、「プラクセル220」、「プラクセル220CPB」、「プラクセル220NP1」、「プラクセル220BA」、「プラクセル220ED」、「プラクセル220EB」、「プラクセル220EC」、「プラクセル230」、「プラクセル230CP」、「プラクセル240」、「プラクセル240CP」、「プラクセル210N」、「プラクセル220N」、「プラクセルL205AL」、「プラクセルL208AL」、「プラクセルL212AL」、「プラクセルL220AL」、「プラクセルL230AL」、「プラクセル305」、「プラクセル308」、「プラクセル312」、「プラクセルL312AL」、「プラクセル320」、「プラクセルL320AL」、「プラクセルL330AL」、「プラクセル410」、「プラクセル410D」、「プラクセル610」、「プラクセルP3403」、及び「プラクセルCDE9P」(何れも(株)ダイセル製)等の市販品を使用することができる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオール類への環状エーテル化合物の付加反応により得られるポリエーテルポリオール、及びアルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、より具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,12−ドデカンジオール、ポリブタジエンジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ジヒドロキシアセトン、ヘキシレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジトリメチロールプロパン、マンニトール、ソルビトール、及びペンタエリスリトールなどのポリオール類の多量体;上記ポリオール類と、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、及びエピクロロヒドリン等のアルキレンオキサイドとの付加物;並びにテトラヒドロフラン類などの環状エーテルの開環重合体(例えば、ポリテトラメチレングリコール)が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、商品名「PEP−101」(フロイント産業(株)製)、商品名「アデカプルロニックL」、「アデカプルロニックP」、「アデカプルロニックF」、「アデカプルロニックR」、「アデカプルロニックTR」、及び「アデカPEG」(何れも(株)ADEKA製);商品名「PEG#1000」、「PEG#1500」、及び「PEG#11000」(何れも日油(株)製);商品名「ニューポールPE−34」、「ニューポールPE−61」、「ニューポールPE−78」、「ニューポールPE−108」、「PEG−200」、「PEG−600」、「PEG−2000」、「PEG−6000」、「PEG−10000」、及び「PEG−20000」(何れも三洋化成工業(株)製);商品名「PTMG1000」、「PTMG1800」、及び「PTMG2000」(何れも三菱化学(株)製);並びに「PTMGプレポリマー」(三菱樹脂(株)製)等の市販品を使用することができる。
上記ポリカーボネートポリオールとは、分子内に2個以上の水酸基を有するポリカーボネートである。中でも、上記ポリカーボネートポリオールとしては、分子内に2個の末端水酸基を有するポリカーボネートジオールが好ましい。
上記ポリカーボネートポリオールは、通常のポリカーボネートポリオールを製造する方法と同じく、ホスゲン法、又は、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートのようなジアルキルカーボネート又はジフェニルカーボネートを用いるカーボネート交換反応(特開昭62−187725号公報、特開平2−175721号公報、特開平2−49025号公報、特開平3−220233号公報、及び特開平3−252420号公報等)などにより合成される。上記ポリカーボネートポリオールにおけるカーボネート結合は熱分解を受けにくいため、ポリカーボネートポリオールを含む樹脂組成物の硬化物は高温高湿下でも優れた安定性を示す。
上記ジアルキルカーボネート又はジフェニルカーボネートと共にカーボネート交換反応で用いられるポリオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,12−ドデカンジオール、ブタジエンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、及びプロピレングリコールが挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、商品名「プラクセルCD205PL」、「プラクセルCD205HL」、「プラクセルCD210PL」、「プラクセルCD210HL」、「プラクセルCD220PL」、及び「プラクセルCD220HL」(何れも(株)ダイセル製);商品名「UH−CARB50」、「UH−CARB100」、「UH−CARB300」、「UH−CARB90(1/3)」、「UH−CARB90(1/1)」、及び「UC−CARB100」(何れも宇部興産(株)製);並びに、商品名「PCDL T4671」、「PCDL T4672」、「PCDL T5650J」、「PCDL T5651」、及び「PCDL T5652」(何れも旭化成ケミカルズ(株)製)等の市販品を使用することができる。
上記ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオール以外のポリオールとしては、例えば、商品名「YP−50」、「YP−50S」、「YP−55U」、「YP−70」、「ZX−1356−2」、「YPB−43C」、「YPB−43M」、「FX−316」、「FX−310T40」、「FX−280S」、「FX−293」、「YPS−007A30」、及び「TX−1016」(何れも新日鐵化学(株)製)や、商品名「jER1256」、「jER4250」、及び「jER4275」(何れも三菱化学(株)製)などのフェノキシ樹脂;商品名「エポトートYD−014」、「エポトートYD−017」、「エポトートYD−019」、「エポトートYD−020G」、「エポトートYD−904」、「エポトートYD−907」、及び「エポトートYD−6020」(何れも新日鐵化学(株)製)や、商品名「jER1007」、「jER1009」、「jER1010」、「jER1005F」、「jER1009F」、「jER1006FS」、及び「jER1007FS」(何れも三菱化学(株)製)などのエポキシ当量が1000g/eq.を超えるビスフェノール型高分子エポキシ樹脂;商品名「Poly bd R−45HT」、「Poly bd R−15HT」、「Poly ip」、及び「KRASOL」(何れも出光興産(株)製)や、商品名「α−ωポリブタジエングリコール G−1000」、「α−ωポリブタジエングリコール G−2000」、及び「α−ωポリブタジエングリコール G−3000」(何れも日本曹達(株)製)などの水酸基を有するポリブタジエン類;並びに、商品名「ヒタロイド3903」、「ヒタロイド3904」、「ヒタロイド3905」、「ヒタロイド6500」、「ヒタロイド6500B」、及び「ヒタロイド3018X」(何れも日立化成工業(株)製)や、商品名「アクリディックDL−1537」、「アクリディックBL−616」、「アクリディックAL−1157」、「アクリディックA−322」、「アクリディックA−817」、「アクリディックA−870」、「アクリディックA−859−B」、「アクリディックA−829」、及び「アクリディックA−49−394−IM」(何れもDIC(株)製)、商品名「ダイヤナールSR−1346」、「ダイヤナールSR−1237」、及び「ダイヤナールAS−1139」(何れも三菱レイヨン(株)製)などのアクリルポリオール等の市販品を使用することができる。
なお、上記ポリオール化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ポリオール化合物(B)は、ポリエステルポリオール、例えば商品名「プラクセル305」及び「プラクセル308」(何れも(株)ダイセル製)などのポリカプロラクトントリオール、並びに、商品名「プラクセルCD205PL」((株)ダイセル製)などのカーボネートジオールの少なくとも一方であることが特に好ましい。
脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)との合計量に占めるポリオール化合物(B)の量の割合は、20〜50質量%の範囲内にあることが好ましく、25〜30質量%の範囲内にあることがより好ましい。この割合が小さすぎると、樹脂組成物の硬化物は、硬く脆い性状となり、高い可撓性が得られない可能性がある。この割合が大きすぎると、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が低くなり、エポキシ基の量に対して水酸基の量が過剰となり、樹脂組成物を十分に硬化させることができない可能性がある。
[酸発生剤(C)]
酸発生剤(C)は、樹脂組成物中のエポキシ基を有する化合物の重合を開始させる働きを有する。酸発生剤(C)としては、紫外線照射などの電離放射線照射又は加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して、脂環式エポキシ化合物(A)の重合を開始させるカチオン重合開始剤が好ましい。酸発生剤(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電離放射線照射によりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩、トリアリルスルホニウム塩及びその誘導体、並びに、ジアリルヨウドニウム塩及びその誘導体を挙げることができる。
トリアリルスルホニウム塩及びその誘導体としては、例えば、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩及びその誘導体、並びに、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩及びその誘導体が挙げられる。
ジアリルヨウドニウム塩及びその誘導体としては、例えば、ジアリルヨウドニウムヘキサフルオロホスフェート塩及びその誘導体、並びに、ジアリルヨウドニウムテトラフルオロボレート塩及びその誘導体が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤(カチオン触媒)は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
このようなカチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・サイテック(株)製);商品名「CD−1010」、「CD−1011」、及び「CD−1012」(何れも米国サートマー社製);商品名「イルガキュア264」及び「イルガキュア250」(何れもチバ・ジャパン(株)製);商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製);商品名「CPI−101A」、「CPI−100P」、「CPI−210S」、及び「CPI−110A」(何れもサンアプロ(株)製);商品名「アデカオプトマーSP−170」、「アデカオプトマーSP−172」、及び「アデカオプトマーSP−150」(何れも(株)ADEKA製);並びに、商品名「シリコリース UV CATA211」(荒川化学工業(株)製)等の市販品を使用できる。
好ましくは、商品名「SP−170」及び「SP−172」(何れも(株)ADEKA製)、並びに、商品名「CPI−210S」、「CPI−101A」及び「CPI−110A」(何れもサンアプロ(株)製)のうち1種以上である。
加熱処理を施すことによりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、及びアレン−イオン錯体が挙げられる。
このようなカチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「PP−33」、「CP−66」、及び「CP−77」(何れもADEKA(株)製);商品名「FC−509」(スリーエム(株)製);商品名「UVE1014」(G.E.(株)製);商品名「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」、「サンエイド SI−100L」、「サンエイド SI−110L」、及び「サンエイド SI−150L」(何れも三新化学工業(株)製);並びに、商品名「CG−24−61」(チバ・ジャパン(株)製)等の市販品を使用できる。
更に、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物も、上記カチオン重合開始剤として使用できる。
酸発生剤(C)の量は、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して、0.05〜0.5質量部の範囲内にあることが好ましく、0.05〜0.1質量部の範囲内にあることがより好ましい。酸発生剤(C)の量が少なすぎると、樹脂組成物の硬化物において架橋密度が小さくなり、高い耐熱性が得られない可能性がある。酸発生剤(C)の量が多すぎると、高い透明性を有する硬化物を得られない可能性がある。
<樹脂組成物の調製>
上記の樹脂組成物は、上述した成分を均一に混合することにより得る。この混合には、特に限定されないが、ディスパーミキサ、ウルトラミキサ、ホモジナイザ、及び遊星攪拌
脱泡機等の攪拌機を用いることができる。この混合は、酸発生剤の活性化を防止するため、電離放射線が照射されない環境下で行うことが好ましい。
<エポキシフィルムの製造>
図1に示すエポキシフィルム2は、例えば、上記の樹脂組成物からなる塗膜を支持体(キャリアフィルム)上に形成し、この塗膜に電離放射線を照射し、更に、塗膜をポストベークに供して、塗膜を硬化させ、その後、硬化した膜を支持体から剥離することにより得る。エポキシフィルム2の製造には、例えば、図2に示す装置を利用することができる。
図2は、フィルム製造装置の一例を概略的に示す図である。
このフィルム製造装置100は、ロール・ツー・ロール式のダイコータである。このフィルム製造装置は、巻出ロール110と、キャリアフィルム120と、ガイドロール130a〜130eと、バックアップロール140と、ダイヘッド150と、電離放射線照射機160と、ヒータ170と、剥離ロール180と、巻取ロール190a及び190bとを含んでいる。
巻出ロール110には、キャリアフィルム120が巻かれている。巻出ロール110は、キャリアフィルム120を巻き出す。
キャリアフィルム120は、ベルト形状を有している。キャリアフィルム120上には、上述した樹脂組成物を塗布し、このキャリアフィルム120上で樹脂組成物からなる塗膜の硬化を行う。
キャリアフィルム120は、樹脂組成物の硬化物を剥離可能に支持し得るものである。キャリアフィルム120としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム(CAPフィルム)、セルローストリアセテート及びセルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム、及びポリアリレート系フィルムを挙げることができる。
キャリアフィルム120の厚さは、制限を設けるわけではないが、6〜700μmの範囲内にあることが好ましく、40〜250μmの範囲内にあることがより好ましく、50〜150μmの範囲内にあることが更に好ましい。
ガイドロール130a〜130eは、巻出ロール110から巻き出されたキャリアフィルム120を、ダイヘッド150とバックアップロール140との間の領域、電離放射線照射機160の正面の領域、ヒータ170、及び巻取ロール190aへと順次案内する。
バックアップロール140は、ダイヘッド150と向き合うように設置されている。バックアップロール140は、ダイヘッド150とバックアップロール140との間を通過するキャリアフィルム120の裏面上を転動して、キャリアフィルム120とダイヘッド150との距離を一定に保つ役割を果たす。
ダイヘッド150は、ダイヘッド150とバックアップロール140との間を通過するキャリアフィルム120の表面上に樹脂組成物を供給する。これにより、キャリアフィルム120の表面上に、樹脂組成物からなる塗膜を形成する。
ここでは、樹脂組成物の塗工にダイヘッド150を利用するダイコート法について説明しているが、樹脂組成物の塗工には他の方法を利用してもよい。樹脂組成物の塗工には、例えば、ディッピング法、ワイヤーバーを使用する方法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、カーテン法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、及びグラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。
樹脂組成物からなる塗膜の硬化後の厚さ、即ち、エポキシフィルム2の厚さは、フィルムを貼り付けるときの施工時の作業性や、フィルムコストなどを勘案すると、10〜500μm、好ましくは50〜100μmが好適である。薄すぎる場合、セルフクリーニングフィルム1の強度が低く、破断してしまう可能性が高い。厚すぎる場合、反応熱が高くなることで硬化物の貯蔵弾性率が非常に高くなり、その結果、セルフクリーニングフィルム1は、硬く脆い性状となり、可撓性が不十分となる可能性がある。
電離放射線照射機160は、キャリアフィルム120の表面と向き合うように設置されている。キャリアフィルム120上の塗膜に対して、電離放射線を照射する。キャリアフィルム120が電離放射線を透過させるものである場合、電離放射線照射機160は、キャリアフィルム120の裏面と向き合うように設置してもよい。
ここで、用語「電離放射線」は、樹脂組成物が含む成分、具体的には酸発生剤を分解(電離)させて、樹脂組成物中に酸を発生させ得る高エネルギーな放射線、例えば、X線又は紫外線を意味している。電離放射線としては、典型的には、紫外線を利用する。
電離放射線照射機160は、塗膜に電離放射線を照射することにより、樹脂組成物が含んでいる酸発生剤を活性化させる。即ち、酸発生剤を分解(電離)させて、樹脂組成物中に酸を発生させる。酸は、樹脂組成物中での重合や架橋を促進する触媒としての役割を果たす。従って、塗膜への電離放射線照射により、樹脂組成物では重合や架橋が進行し、その結果、塗膜は硬化する。
電離放射線照射機160の光源としては、(C)酸発生剤の分解に適した波長の光を放射するものを適宜選択する。この光源としては、400nm以下の波長を放射するランプが好ましい。そのようなランプとしては、例えば、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、及び可視光ハロゲンランプが挙げられる。
電離放射線照射は、空気中で行ってもよいし、窒素及びアルゴン等の不活性ガス中で行ってもよい。
電離放射線の積算光量は、10〜3000mJ/cmの範囲内とすることが好ましく、100〜1000mJ/cmの範囲内とすることがより好ましく、200〜500mJ/cmの範囲内とすることが更に好ましい。
ヒータ170は、電離放射線を照射した塗膜に対してポストベークを行う。ポストベークを行うことにより、樹脂組成物中での上記反応を完結させる。ポストベークを行うと、エポキシフィルム2における架橋密度を高めることができ、耐熱性が高まる。
ヒータ170による加熱には、例えば、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、及び赤
外線照射等の加熱方法を、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。加熱温度は、80〜160℃の範囲内とすることが好ましい。加熱時間は、30〜600秒の範囲内とすることが好ましい。
剥離ロール180は、キャリアフィルム120に支持されたエポキシフィルム2上を転動するように設置されている。剥離ロール180は、キャリアフィルム120の移動方向に対して、エポキシフィルム2の移動方向を急激且つ大きく異ならしめ、これにより、エポキシフィルム2をキャリアフィルム120から剥離する。
巻取ロール190aは、エポキシフィルム2を剥離したキャリアフィルム120を巻き取る。また、巻取ロール190bは、キャリアフィルム120から剥離したエポキシフィルム2を巻き取る。
巻取ロール190aは、キャリアフィルム120に張力を与える。巻取ロール190aがキャリアフィルム120に与える張力は、キャリアフィルム120の厚さや材質によって異なるが、10〜500N/mの範囲内とすることが好ましい。
エポキシフィルム2は、例えば、以上のようにして製造する。なおエポキシフィルム2の製造方法は以上の方法に限定するものではなく、他の方法を用いても良い。
このエポキシフィルム2は、上述した樹脂組成物から得られる。このようなエポキシフィルム2は、耐加水分解性、遮熱性、透明性、耐熱性及び可撓性に優れている。即ち、このエポキシフィルム2は、安価に製造することができ、耐加水分解性、遮熱性、透明性、耐熱性及び可撓性に優れた自立膜としてのフィルムである。
次に、エポキシフィルム2の一方の面上に積層する自浄性表面層3及び紫外線吸収層4について説明する。
<自浄性表面層>
自浄性表面層3は、表面を高度に親水化することで、非常に水に濡れ易くなり、塵埃等の汚れが付き難い性質を発現し、且つ汚れが一時的に付着しても雨水等により容易に洗い流されるという、自浄性を発揮する性質を有する層のことである。このような自浄性を発揮できる層であれば特に限定されず、常にその表面が親水化されているものであってもよいし、光触媒作用によって紫外線が照射されると活性化してその表面が親水化するものであってもよい。ここで親水化の目安としては、その表面の純水に対する接触角が25°未満、好ましくは15°未満であることが望ましい。
このように常に親水化されている自浄性表面層3として、例えば一般式R1nSi(OR2)4-n〔n=0〜3の整数、R1、R2は1価の炭化水素基〕で表されるオルガノシランの加水分解縮重合物においてそのSiの側鎖にOH基を含有させて極度に親水性を高めたシラノール基含有シリコーンレジンを主成分とする親水性無機系塗料から形成される塗布硬化被膜、あるいは、ペルヒドロポリシラザンに硬化触媒を含有させたキシレン溶
液を塗布し、120℃60分加熱硬化によりポリマー化させた後、95℃、80%RH雰囲気中、3時間でシロキサン結合(-SiO-)のシリカ塗膜に転移させた膜などを挙げることができる。
また光触媒作用によって紫外線が照射されると活性化してその表面が親水化する自浄性表面層3としては、光触媒を含む光触媒含有層が挙げられる。ここで用いられる光触媒としては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化第二鉄、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。この光触媒を保持するためのバインダー成分としては、無機系バインダーを主成分とするものであることが好ましい。この無機系バインダーとしては、ジルコニウム原子を含む無機系バインダー、ケイ素原子を含む無機系バインダー、アルミニウム原子を含む無機系バインダー、チタン原子を含む無機系バインダーを用いることができ、それぞれの原子のアルコキシドやキレート化合物や酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、オキシ硝酸塩、オキシ炭酸塩、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩などや、それらの加水分解縮重合物などを用いることができる。
自浄性表面層3として光触媒作用によって紫外線が照射されると活性化してその表面が親水化されてなるものを採用する場合には、自浄性表面層3と紫外線吸収層4との間に無機系材質から形成されてなる中間層5を設けることが好ましく、また、自浄性表面層3がこのような光触媒作用を示す態様でない時であっても、自浄性表面層3と紫外線吸収層4との接着性をより向上させる観点から、自浄性表面層3と紫外線吸収層4との間に中間層5を設けることが好ましい。
このような中間層5としては、シリカ、アルミナ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム等の無機系材質からなる真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等による真空製膜法によって得られる真空堆積膜、又はこれらの無機系材質からなるアルコキシド化合物などを主成分とする湿式塗布法によって得られる塗布膜などを用いることができる。
ここで特に無機系材質からなるものとしては、紫外線吸収層を形成する紫外線吸収性アクリル系樹脂との接着性を極めて向上させる点で、シリカ系、シリコーン系等のケイ素化合物からなるものであることが好ましい。このようなケイ素系化合物としては、真空製膜法によるシリカ膜の他、ケイ素原子を含む化合物の加水分解縮重合反応または該加水分解縮重合反応の一部の反応を利用した化合物を主成分とした塗布膜などが好適に用いられる。このようなケイ素原子を含む化合物としては、加水分解性シラン誘導体、あるいは加水分解性シラン誘導体の部分加水分解及び脱水縮重合、または加水分解シラン誘導体の部分加水分解物とテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトシシラン等の部分加水分解物との脱水縮重合により調整したもの等を利用することができる。
紫外線吸収層4は、紫外線吸収性樹脂を含有することによって紫外線吸収効果を発揮してなるものであって、その紫外線吸収性樹脂単独で形成されているものであってもよいし、他の樹脂、プレポリマー、モノマー等と混合して必要に応じて架橋反応させて形成したものであってもよい。このように紫外線吸収効果を発揮させるために低分子量の紫外線吸収剤ではなく紫外線吸収性樹脂を用いることによって、紫外線吸収剤が紫外線吸収層4とエポキシフィルム2や自浄性表面層3等との界面に経時的にブリーディングすることによって生じるような接着阻害を防止することができ、セルフクリーニングフィルム1としての耐久性を極めて向上させることができるようになる。
このような紫外線吸収性樹脂としては、具体的には紫外線吸収性アクリル系樹脂が挙げられ、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性モノマー及び(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合体である紫外線吸収性アクリル系樹脂であることが好ましい。また、活性プロトンを持つエチレン性不飽和二重結合モノマーをも含む共重合体からなる硬化型紫外線吸収性アクリル系樹脂であることがより好ましい。このように紫外線吸収性樹脂を硬化型紫外線吸収性アクリル系樹脂とすることにより、紫外線吸収層4を形成する際に他に混合した樹脂等とも架橋反応させることができるようになり、エポキシフィルム2や自浄性表面層3等に対する接着性をより向上させることができるようになる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性モノマーとしては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。このベンゾトリアゾール系紫外線吸収性モノマーを、紫外線吸収性アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分に対して60重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下に、1重量%以上、好ましくは2重量%以上、より好ましくは3重量%以上にすることにより、紫外線吸収効果を十分に発揮することができ、かつ他の樹脂等との相溶性などにおいても支障をきたさないものにすることができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら(メタ)アクリル酸エステルのうち、特に炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを1種以上含むことが好ましい。炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含有せしめることにより、プラスチックフィルム2や自浄性表面層3等に対する接着性を向上させることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルとして、具体的にはブチルアクリレート、ブチルメタクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。
活性プロトンを持つエチレン性不飽和二重結合モノマーとしては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセトキシエチル基等の官能基含有モノマーが好ましい。このようなモノマーとしては、例えば、水酸基を有するモノマーとして2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール等、カルボキシル基を含有するモノマーとしてβ−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等、アミノ基含有モノマーとしてアミノメチル(メタ)アクリレート、メチルアミノメチル(メタ)アクリレート、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド等、アセトアセトキシエチル基を含有するモノマーとしてアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
更に、紫外線吸収性アクリル系樹脂には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、スチレン、(メタ)アクリロニトリル等の他のモノマーを共重合させたり、シリコーンとアクリレートを複合化したものやブロック共重合させたものとすることもできる。
また、紫外線吸収層4には上述したように紫外線吸収性樹脂の他に樹脂等を混合することも可能であり、そのような他の樹脂等としては、紫外線吸収層4の性能を阻害しない範囲内のものであれば特に限定されないが、特にプラスチックフィルム2や自浄性表面層3等に対する接着性をより向上させる上では、活性プロトンを有する樹脂やポリイソシアネートプレポリマー等が好適に用いられる。ここでいう活性プロトンを有する樹脂とは、(不飽和)ポリエステルポリオール樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂、アクリルポリオール樹脂、ウレタンポリオール樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂などの末端あるいは側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の活性プロトンを有する樹脂をいう。なかでも、耐光性、耐熱性に優れている点でアクリルポリオール樹脂が好ましい。特に、アクリルポリオール樹脂は、モノマー成分として炭素数が1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び水酸基、カルボキシル基を含有するモノマーを含む共重合体であることが好ましい。また、ポリイソシアネートプレポリマーとしては、通常、常温硬化系で用いられるものであって、原料のイソシアネートによりトリレンジイソシアネート系、キシリレンジイソシアネート系、イソホロンジイソシアネート系、ヘキサメチレンジイソシアネート系などがあり、特に、無黄変性、耐光性の観点からキシリレンジイソシアネート系、イソホロンジイソシアネート系、ヘキサメチレンジイソシアネート系のものが好適に用いられる。
粘着層6は、セルフクリーニングフィルム1を例えば屋外で使用されることが多い看板、標識、窓ガラス等の被着体に貼り付けることができる性能を有する層であり、そのような性能を阻害しないものであれば特に限定されるものではない。従ってこの粘着層6としては、一般に使用されるアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤などを使用することができ、好ましくは紫外線吸収剤や紫外線吸収性樹脂を含有させることによって耐光性を向上させたものを使用することが好ましい。尚、粘着層6には、その取り扱い性を損なわないようにセパレートフィルム7を貼り合わせておくことも適宜行い得る。
以上のようなエポキシフィルム2、自浄性表面層3、紫外線吸収層4、中間層5、粘着層6、セパレートフィルム7の厚みは、各層の性能を阻害しない範囲であれば特に限定されるものではないが、以下にその好適な対応について示す。エポキシフィルム2の厚みとしては、10〜500μm、好ましくは50〜100μmが好適である。
自浄性表面層3の厚みとしては、0.01〜5.0μm、好ましくは0.03〜1.0μm、より好ましくは0.05〜0.5μmが好適である。自浄性表面層3の厚みを、0.01μm以上にすることにより表面を十分に親水化させることができ、5.0μm以下にすることにより塗膜欠陥を発生しにくくできる。
紫外線吸収層4の厚みとしては、0.3〜10μm、好ましくは0.5〜5.0μm、より好ましくは1.0〜3.0μmが好適である。紫外線吸収層4の厚みを、0.3μm以上にすることにより十分な紫外線吸収効果を発揮することができ、10μm以下にすることにより塗膜欠陥を発生しにくくできる。
中間層5の厚みとしては、湿式塗布法によって製膜する際には0.01〜5.0μm、好ましくは0.03〜4.0μm、より好ましくは0.05〜3.0μmが好適であり、真空製膜法によって製膜する際には1〜30nm、好ましくは2〜20nm、より好ましくは3〜15nmが好適である。中間層5を、それぞれの下限以上にすることにより紫外線吸収層を保護する効果や接着性を向上させる効果を十分なものとすることができ、上限以下にすることにより塗膜欠陥を発生しにくくできる。
粘着層6の厚みとしては、3〜50μm、好ましくは10〜40μmが好適である。セパレートフィルム7の厚みとしては、10〜100μm、好ましくは25〜75μmが好適である。
以上のような自浄性表面層3、紫外線吸収層4、中間層5、粘着層6をエポキシフィルム2の表面に設ける方法としては、例えば上記各層を構成する材料を、適宜必要に応じて添加剤や希釈溶剤等を加えて塗布液として調整して、当該塗布液をエポキシフィルム2の表面に従来公知のコーティング方法によって適当な順序で塗布などすることにより設けることができる。また、このような湿式塗布法の他に、中間層5等を設ける方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空製膜法などによって設ける方法も採用できる。
以下、本発明の実施例について説明する。尚、「部」「%」は特記しない限り重量基準である。
(1 エポキシフィルム2の製造)
(1−1 調液)
70質量部の脂環式エポキシ化合物(A)と、30質量部のポリオール化合物(B)と、0.1質量部の酸発生剤(C)とを、遊星攪拌脱泡機(マゼルスターKK5000、KURABO製)を用いて15分間攪拌して、塗液を調製した。ここで、脂環式エポキシ化合物(A)としては、セロキサイド2021P((株)ダイセル製)を使用した。また、ポリオール化合物(B)としては、プラクセル305((株)ダイセル製)を使用した。そして、酸発生剤(C)としては、アデカオプトマーSP−170((株)ADEKA)を使用した。
(1−2 製膜)
次に、この塗液を用いて、図2を参照しながら説明した方法により、厚さが50μmのエポキシフィルム2を製膜した。ここでは、キャリアフィルム120として、厚さが250μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製シート(メリネックスS、帝人(株)製)を使用した。電離放射線照射機160の光源としては、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス(株)製)を使用した。露光は、積算光量が500mJ/cmとなるように行った。また、ポストベークは、150℃にて180秒間にわたって行った。キャリアフィルムから剥離したエポキシフィルム2は、50N/mの張力で巻き取った。
(2 塗布液の準備)
予め各層を形成するための塗布液として以下のものを準備した。
(2−1 自浄性表面層用塗布液A及びB)
[自浄性表面層用塗布液A]
親水性無機コーティング材(フレッセラR:松下電工社)を溶剤で希釈して塗布液とした。
[自浄性表面層用塗布液B]
光触媒用酸化チタンコーティング剤(TKC-304:テイカ社) を溶剤で希釈して塗布液とした。
(1−2.紫外線吸収層用塗布液C〜G)
[紫外線吸収層用塗布液C]
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性モノマーを含む共重合体である紫外線吸収性アクリル系樹脂(PUVA-30M:大塚化学社) を溶剤で希釈して塗布液とした。
[紫外線吸収層用塗布液D]
下記で製造した硬化型紫外線吸収性アクリル系樹脂、ポリイソシアネートプレポリマー(タケネートD-110N:武田薬品工業社)を溶剤で混合希釈して塗布液とした。
[紫外線吸収層用塗布液E]
下記で製造した紫外線吸収性アクリル系樹脂、下記で製造した活性プロトンを有する樹脂、ポリイソシアネートプレポリマー(タケネートD-110N:武田薬品工業社)を溶剤で混合希釈して塗布液とした。
[紫外線吸収層用塗布液F]
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性モノマーを含む共重合体である硬化型紫外線吸収性シリコンアクリル系樹脂(アルファコートUV-S:アルファ化研社) を溶剤で希釈して塗布液とした。
[紫外線吸収層用塗布液G]
熱可塑性アクリル樹脂(アクリディックA-195:大日本インキ化学工業社)、ポリエステル樹脂(アクリットER20:大成化工社)、低分子量の紫外線吸収剤(ケミソーブ79:ケミプロ化成社)を溶剤で混合希釈して塗布液とした。
<紫外線吸収層用塗布液Dの硬化型紫外線吸収性アクリル系樹脂の製造>
攪拌機、コンデンサー、温度計および窒素導入管を備えた反応容器に、ブチルアクリレートモノマー13.5部、メチルメタクリレートモノマー66部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートモノマー6部、メタクリル酸モノマー0.5部、酢酸エチル30部、α、α’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.15部を混合し、窒素を通じながら攪拌して75℃ に加熱した。前記混合溶液の滴下中に、2−(2’ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの粉体14部を10分おきに10回に分けて反応容器内に添加した。この間、反応溶液を70℃に保ち攪拌し続けた。その後さらに7時間30分反応溶液を75℃に保ち攪拌しながら反応を完結させて、硬化型紫外線吸収性アクリル系樹脂を得た。
<紫外線吸収層用塗布液Eの紫外線吸収性アクリル系樹脂の製造>
攪拌機、コンデンサー、温度計および窒素導入管を備えた反応容器に酢酸エチル9部、メチルエチルケトン12部、トルエン9部を加え窒素を通じながら攪拌し80℃に加熱した。別の容器でブチルアクリレートモノマー24部、メチルメタクリレートモノマー51部、酢酸エチル6部、メチルエチルケトン8部、トルエン6部、α、α’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.15部を混合し、これを1時間30分かけて反応容器に滴下した。前記混合溶液の滴下中に、2−(2’ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの粉体25部を10分おきに10回に分けて反応容器内に添加した。この間、反応溶液を80℃に保ち攪拌し続けた。その後さらに6時間30分反応溶液を80℃に保ち攪拌しながら反応を完結させて、紫外線吸収性アクリル系樹脂を得た。
<紫外線吸収層用塗布液Eの活性プロトンを有する樹脂の製造>
攪拌機、コンデンサー、温度計および窒素導入管を備えた反応容器に、メチルメタクリレートモノマー50部、スチレンモノマー35.1部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートモノマー13.9部、メタクリル酸モノマー1部、トルエン100部、α、α’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.15部を混合し、窒素を通じながら攪拌して80℃ に加熱した。反応容器を80℃に保ち続け、7時間30分攪拌しながら反応を完結させ、活性プロトンを有する樹脂(水酸基価30、酸価3)を得た。
(1−3.中間層用塗布液H)
[中間層塗布液H]
シリコーン系樹脂溶液(フレッセラNA改2液混合タイプ:松下電工社) を溶剤で希釈して塗布液とした。
(1−4.粘着層用塗布液I)
[粘着層用塗布液I]
アクリル系粘着剤(アロンタックSCL-200:東亞合成化学社)を溶剤で希釈して塗布液とした。
(3 セルフクリーニングフィルムの製造)
[実施例1]
厚み50μmの透明なエポキシフィルム2の一方の表面に、紫外線吸収層用塗布液Cを塗布、乾燥することにより膜厚約2μmの紫外線吸収層4を形成し、次いで自浄性表面層用塗布液Aを積層塗布、乾燥、硬化することにより膜厚約0.1μmの自浄性表面層3を形成し、さらにフィルム2の反対面には粘着層用塗布液Iを塗布、乾燥することにより膜厚約25μmの粘着層6を形成して、透明なセルフクリーニングフィルム1を作製した。粘着層6には、取り扱いを良くするために厚み25μmのセパレートフィルム7(MRB:三菱化学ポリエステルフィルム社)を貼り合わせた。
[実施例2]
厚み50μmの透明なエポキシフィルム2の一方の表面に、紫外線吸収層用塗布液Dを塗布、乾燥、硬化することにより膜厚約2μmの紫外線吸収層4を形成し、次いで中間層用塗布液Hを積層塗布、乾燥、硬化することにより膜厚約1μmのシリコーン系樹脂の中間層5を形成し、次いで自浄性表面層用塗布液Aを積層塗布、乾燥、硬化することにより膜厚約0.1μmの自浄性表面層3を形成し、さらにフィルム2の反対面には粘着層用塗布液Iを塗布、乾燥することにより膜厚約25μmの粘着層6を形成して、透明なセルフクリーニングフィルム1を作製した。粘着層6には、取り扱いを良くするために厚み25μmのセパレートフィルム7(MRB:三菱化学ポリエステルフィルム社)を貼り合わせた。
[実施例3]
厚み50μmの透明なエポキシフィルム2の一方の表面に、紫外線吸収層用塗布液Eを塗布、乾燥、硬化することにより膜厚約2μmの紫外線吸収層4を形成し、次いでスパッタリング法により膜厚約10nmのシリカ膜からなる中間層5を形成し、次いで自浄性表面層用塗布液Bを積層塗布、乾燥することにより膜厚約0.1μmの自浄性表面層3を形成し、さらにフィルム2の反対面には粘着層用塗布液Iを塗布、乾燥することにより膜厚約25μmの粘着層6を形成して、透明なセルフクリーニングフィルム1を作製した。粘着層6には、取り扱いを良くするために厚み25μmのセパレートフィルム7(MRB:三菱化学ポリエステルフィルム社)を貼り合わせた。
[実施例4]
厚み50μmの透明なエポキシ2の一方の表面に、紫外線吸収層用塗布液Fを塗布、乾燥、硬化することにより膜厚約2μmの紫外線吸収層4を形成し、次いで中間層用塗布液Hを積層塗布、乾燥、硬化することにより膜厚約1μmのシリコーン系樹脂の中間層5を形成し、次いで自浄性表面層用塗布液Bを積層塗布、乾燥することにより膜厚約0.1μmの自浄性表面層3を形成し、さらにフィルム2の反対面には粘着層用塗布液Iを塗布、乾燥することにより膜厚約25μmの粘着層6を形成して、透明なセルフクリーニングフィルム1を作製した。粘着層6には、取り扱いを良くするために厚み25μmのセパレートフィルム7(MRB:三菱化学ポリエステルフィルム社)を貼り合わせた。
[比較例1]
実施例1においてエポキシフィルムの代わりにポリエチレンテレフタレートフィルム(50QV04:東レ社)を用いた以外は、実施例1と同様にしてセルフクリーニングフィルムを作製した。
[比較例2]
実施例1において紫外線吸収層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にしてセルフクリーニングフィルムを作製した。
[比較例3]
実施例2において紫外線吸収層を形成しなかった以外は、実施例2と同様にしてセルフクリーニングフィルムを作製した。
[比較例4]
実施例2において用いた塗布液Dの代わりに塗布液Gを用いた以外は、実施例3と同様にしてセルフクリーニングフィルムを作製した。
[比較例5]
実施例4において紫外線吸収層を形成しなかった以外は、実施例4と同様にしてセルフクリーニングフィルムを作製した。
(4 セルフクリーニングフィルムの評価)
以上の実施例1〜4及び比較例1〜5で得られたセルフクリーニングフィルムからセパレートフィルム7を剥離して露出した粘着層6を用いて、厚さ約2mmのソーダガラス板にセルフクリーニングフィルムを貼りつけ、以下の耐候性促進試験を行った。
[耐候性促進試験]
サンシャインカーボンアークウェザーメーター(スガ試験機社)によって一定時間(500、1000、1500、2000、2500[時間])、自浄性表面層側から光を照射すると共に、一定間隔で水の霧を吹き付けた(JIS-K5400)。
これら耐候性促進試験後のセルフクリーニングフィルムについて、その外観の評価、自浄性表面層の純水接触角の評価、プラスチックフィルムに対する自浄性表面層から紫外線吸収層までの接着性の評価を以下のように行った。評価結果を下記の表1に示す。
[外観の評価]
耐候性促進試験後のセルフクリーニングフィルムについて、フィルムの割れ、白化、黄変及び塗膜の剥離などの異常の有無を、目視によって以下のように評価した。
○:異常が全く見られない
△:異常が見られる
×:異常がかなり見られる
[純水接触角の評価]
耐候性促進試験後のセルフクリーニングフィルムを20℃、65%RH雰囲気で6時間放置した後、接触角測定器(エルマ社)を用いて自浄性表面層上に純水を約0.5μl滴下して、1分後のその接触角を以下のように評価した。
◎:純水接触角が15°未満
○:純水接触角が15°以上30°未満
△:純水接触角が30°以上50°未満
×:純水接触角が50°以上
−:促進試験による異常が酷かったために測定せず
[接着性の評価]
耐候性促進試験後のセルフクリーニングフィルムを20℃、65%RH雰囲気で6時間放置した後、自浄性表面層面に対して碁盤目テープ法(JIS-K5400)による接着試験を行い、プラスチックフィルムに対する自浄性表面層から紫外線吸収層までの付着状態を、以下の基準で評価した。
◎:碁盤目部分において90%以上の面積で全ての層が残っている
○:碁盤目部分において90%未満70%以上の面積で全ての層が残っている
△:碁盤目部分において70%未満50%以上の面積で全ての層が残っている
×:碁盤目部分において全ての層が残っているのが50%未満の面積しかない
−:促進試験による異常が酷かったために評価せず
Figure 2018149783
表1の結果から、実施例で得られたセルフクリーニングフィルムは、耐候性促進試験の後においても優れた親水性を有しており、極めて耐久性に優れるものであることが明らかである。
特に実施例2〜4で得られたセルフクリーニングフィルムは、自浄性表面層3と紫外線吸収層4との間に中間層5を設けてなるものであることにより、その耐久性が更に優れるものになっていることが明らかである。
一方、比較例1で得られたセルフクリーニングフィルムは、ベースフィルムとしてポリエチレンテレフタレートを使用しているため、耐久性に劣るものであった。
また、比較例2、3及び4で得られたセルフクリーニングフィルムは、プラスチックフィルムと自浄性表面層との間に紫外線吸収層が設けられていないため、極めて耐久性に劣るものであった。
さらに、比較例3で得られたセルフクリーニングフィルムは、プラスチックフィルムと自浄性表面層との間に紫外線吸収層を設けてなるものであるが、その紫外線吸収層に低分子量の紫外線吸収剤を使用しているために、やはり耐久性に劣るものであった。
1、10…セルフクリーニングフィルム、2…プラスチックフィルム(エポキシフィルム)、3…自浄性表面層、
4…紫外線吸収層、5…中間層、6…粘着層、7…セパレートフィルム、
100…フィルム製造装置、110…巻出ロール、120…キャリアフィルム、130a〜130e…ガイドロール、140…バックアップロール、150…ダイヘッド、160…電離放射線照射機、170…ヒータ、180…剥離ロール、190a及び190b…巻取ロール

Claims (6)

  1. プラスチックフィルムの一方の表面に、少なくとも紫外線吸収性樹脂を含有する紫外線吸収層と、自浄性表面層とをこの順に設けてなるセルフクリーニングフィルムであって、前記プラスチックフィルムが、脂環式エポキシ化合物(A)とポリオール化合物(B)と酸発生剤(C)とを含む樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とするセルフクリーニングフィルム。
  2. 前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量に占める前記脂環式エポキシ化合物(A)の量の割合は50〜80質量%の範囲内にあり、かつ、前記酸発生剤(C)の量は、前記脂環式エポキシ化合物(A)と前記ポリオール化合物(B)との合計量100質量部に対して0.05〜0.5質量部の範囲内にあることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のセルフクリーニングフィルム。
  3. 前記脂環式エポキシ化合物(A)は、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及びε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルフクリーニングフィルム。
  4. 前記ポリオール化合物(B)は、ポリカプロラクトントリオール及びポリカーボネートジオールの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のセルフクリーニングフィルム。
  5. 前記酸発生剤(C)はカチオン重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のセルフクリーニングフィルム。
  6. 前記ポリオール化合物(B)は、数平均分子量が200〜100000g/molの範囲内にあり、水酸基価が190〜550KOHmg/gの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のセルフクリーニングフィルム。
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