JP2019043853A - 経皮吸収促進剤、経皮吸収促進助剤、及び経皮製剤 - Google Patents

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佳季 宮本
上山 博幸
Hiroyuki Kamiyama
博幸 上山
健人 桑原
Kento Kuwahara
健人 桑原
昂平 藪内
Kohei Yabuuchi
昂平 藪内
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Abstract

【課題】 様々な活性成分の経皮吸収性に優れ、且つ、皮膚刺激性を抑制できる、経皮吸収促進剤及び経皮吸収促進助剤を提供すること。【解決手段】 pKaが1.5以下、LogPが1.0〜7.3である、酸性官能基含有化合物(a1)と、pKaが7.5以上、Mwが500以下である、塩基性官能基含有化合物(b1)とからなる塩を含む、経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤であって、前記塩は、前記塩を15質量%及び水を85質量%含む組成物におけるpHが、4.0〜9.0である塩である、経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。【選択図】なし

Description

本発明は、経皮吸収促進剤、経皮吸収促進助剤、及び経皮製剤に関する。
薬物の人への投与方法としては、経口、注射が一般的であったが、近年は経皮の研究開発が盛んである。経皮製剤は、経口製剤に対して、肝臓での初回通過効果によるバイオアベイラビリティの低下の回避や、嚥下障害のある高齢者や小児のコンプライアンスの向上等の利点を有し、注射製剤に対して、侵襲性の低減、長期に渡り薬剤の血中濃度を一定にできる等の利点を有しているためである。
従来、多くの薬物の活性成分(以下単に「活性成分」ともいう。)は、経口や注射に比べ、皮膚からの吸収性が著しく低く、特に水溶性の活性成分の場合にはその傾向が顕著である。この原因は、皮膚の角質層が親油性であるために、水溶性の活性成分の浸透に対し、バリヤー機能を示すためである。そこで、経皮製剤の分野においては、活性成分の角質層への経皮吸収性を高めることが検討されている。
例えば、特許文献1には、分子量が50〜120、融点が50〜350℃である塩基性官能基含有化合物と、LogP(水と1−オクタノールとの間の分配係数Pの常用対数)が−4〜7.3である酸性官能基含有化合物との等モル塩を含む、経皮吸収促進剤及び経皮吸収促進助剤が、活性成分と混合することにより該活性成分の経皮吸収を実現することができ、活性成分の水への溶解性にかかわらず、経皮吸収性に優れた経皮製剤を容易に製造できることが開示されている。
国際公開第2016/068336号
経皮製剤の分野においては、経皮吸収性に優れることに加え、さらなる機能性の向上が求められている。例えば、皮膚への刺激性が低いことによる、使用感の向上が必要とされている。
そこで、本発明は、経皮製剤としたときに、様々な活性成分の経皮吸収性に優れ、且つ、皮膚刺激性を抑制できる、経皮吸収促進剤及び経皮吸収促進助剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題について鋭意検討した結果、特定の塩基性官能基含有化合物と特定の酸性官能基含有化合物との組み合わせからなる塩を含む、経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤は、経皮製剤に含有させたとき、様々な活性成分の経皮吸収を発現させ、且つ、皮膚刺激性を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、下記のとおりである。
[1]
pKaが1.5以下、LogPが1.0〜7.3である、酸性官能基含有化合物(a1)と、
pKaが7.5以上、Mwが500以下である、塩基性官能基含有化合物(b1)と
からなる塩を含む、経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤であって、
前記塩は、前記塩を15質量%及び水を85質量%含む組成物におけるpHが、4.0〜9.0である塩である、経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[2]
前記塩は、前記塩を15質量%及び水を85質量%含む組成物におけるpHが、4.0〜7.0である塩である、[1]に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[3]
前記酸性官能基含有化合物(a1)中の酸性官能基が、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[4]
前記酸性官能基含有化合物(a1)が、置換基を有していてもよい炭素数10〜20の鎖状炭化水素基を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[5]
前記酸性官能基含有化合物(a1)が、置換基を有していてもよい炭素数10〜20のアルケニル基を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[6]
前記酸性官能基含有化合物(a1)が、下記式(1)で表される、[1]〜[5]のいずれかに記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
(式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数10〜20の鎖状炭化水素基である。)
[7]
前記塩基性官能基含有化合物(b1)の塩基性官能基が、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、四級アンモニウム基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[6]のいずれかに記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[8]
pKaが2.0〜5.0、LogPが1.0〜7.3である、酸性官能基含有化合物(a2)と、
pKaが7.5〜11.0、Mwが500以下である、塩基性官能基含有化合物(b2)と
からなる塩を含む、経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤であって、
前記塩が、酸性官能基含有化合物(a2)と塩基性官能基含有化合物(b2)とを配合してなる塩であり、前記塩の酸性官能基含有化合物(a2)と塩基性官能基含有化合物(b2)との配合モル比率が、下記式(2)又は下記式(3)を満たし、
1/1.01≧(a2)/(b2)≧1/1.20・・・式(2)
1.20/1≧(a2)/(b2)≧1.01/1・・・式(3)
前記塩は、前記塩を15質量%及び水を85質量%含む組成物におけるpHが、4.0〜9.0である塩である、経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[9]
前記塩は、前記塩を15質量%及び水を85質量%含む組成物におけるpHが、4.0〜8.0である塩である、[8]に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[10]
前記酸性官能基含有化合物(a2)中の酸性官能基が、カルボキシル基である、[8]又は[9]に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[11]
前記酸性官能基含有化合物(a2)が、置換基を有していてもよい炭素数10〜20の鎖状炭化水素基を有する、[8]〜[10]のいずれかに記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[12]
前記酸性官能基含有化合物(a2)が、置換基を有していてもよい炭素数10〜20のアルケニル基を有する、[8]〜[11]のいずれかに記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[13]
前記酸性官能基含有化合物(a2)が、pKaが2.0〜5.0、LogPが3.0〜7.3である酸性官能基化合物である、[8]〜[12]のいずれかに記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[14]
前記塩基性官能基含有化合物(b2)の塩基性官能基が、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、四級アンモニウム基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[8]〜[13]のいずれかに記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[15]
前記塩基性官能基含有化合物(b2)の塩基性官能基が、三級アミノ基である、[14]に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
[16]
活性成分、及び、[1]〜[15]のいずれかに記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤を含む、経皮製剤。
本発明の経皮吸収促進剤及び経皮吸収促進助剤は、経皮製剤としたときに、様々な活性成分の経皮吸収性に優れ、且つ、皮膚への刺激を抑制できる。
以下に本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
(経皮吸収促進剤、経皮吸収促進助剤)
本実施形態の経皮吸収促進剤とは、活性成分と共存させることによって、該活性成分の経皮吸収性を向上させることのできるものである。また、本実施形態の経皮吸収促進助剤とは、経皮吸収促進剤と共に使用され、該経皮吸収促進剤の経皮吸収性向上効果を高めることができるものである。
本実施形態の経皮吸収促進剤及び経皮吸収促進助剤の一つは、酸性官能基含有化合物(a1)と、塩基性官能基含有化合物(b1)とからなる塩を含む。
酸性官能基含有化合物(a1)は、pKaが1.5以下であり、LogPが1.0〜7.3である。
塩基性官能基含有化合物(b1)は、pKaが7.5以上であり、Mwが500以下である。
また、酸性官能基含有化合物(a1)と、塩基性官能基含有化合物(b1)とからなる塩は、15質量%及び水を85質量%含む組成物におけるpHが、4.0〜9.0である。
本実施形態の経皮吸収促進剤及び経皮吸収促進助剤の一つは、酸性官能基含有化合物(a2)と、塩基性官能基含有化合物(b2)とからなる塩を含む。
酸性官能基含有化合物(a2)は、pKaが2.0〜5.0であり、LogPが1.0〜7.3である。
塩基性官能基含有化合物(b2)は、pKaが7.5〜11.0であり、Mwが500以下である。
また、酸性官能基含有化合物(a2)と、塩基性官能基含有化合物(b2)とからなる塩は、15質量%及び水を85質量%含む組成物におけるpHが、4.0〜9.0である。
またさらに、酸性官能基含有化合物(a2)と、塩基性官能基含有化合物(b2)とからなる塩は、酸性官能基含有化合物(a2)と塩基性官能基含有化合物(b2)とを配合してなる塩であり、前記塩の酸性官能基含有化合物(a2)と塩基性官能基含有化合物(b2)との配合モル比率が、下記式(2)又は下記式(3)を満たす。
1/1.01≧(a2)/(b2)≧1/1.20・・・式(2)
1.20/1≧(a2)/(b2)≧1.01/1・・・式(3)
経皮吸収促進剤及び経皮吸収促進助剤が、酸性官能基含有化合物(a1)と、塩基性官能基含有化合物(b1)とからなる塩、あるいは、酸性官能基含有化合物(a2)と、塩基性官能基含有化合物(b2)とからなる塩を含むことにより、様々な活性成分の経皮吸収を発現させ、且つ、皮膚刺激性を抑制できる。
本実施形態における塩は、当該塩を15質量%及び水を85質量%含む組成物(以下、塩の組成物ともいう。)におけるpHが、4.0〜9.0である塩であり、好ましくはpHが4.0〜8.0である塩であり、より好ましくはpHが4.0〜7.0である塩である。
本実施形態における塩15質量%及び水を85質量%含む組成物におけるpHが4.0〜9.0であることにより、皮膚刺激性を抑制することができる。
酸性官能基含有化合物(a1)のpKaの範囲は、塩基性官能基含有化合物(b1)との塩を形成し、かかる塩の組成物のpHが4.0〜9.0となるpKaの範囲である。酸性官能基含有化合物(a1)のpKaは、1.5以下であり、好ましくは1.3以下であり、より好ましくは1.0以下である。
酸性官能基含有化合物(a1)におけるpKaは、例えば、公知の酸性官能基からpKaが小さい酸性官能基(すなわち、一般に強酸性を示すとされている官能基)を選択することにより、1.5以下に調整することができる。
酸性官能基含有化合物(a1)中の酸性官能基としては、例えば、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基(−OP(O)(OH)2)、スルホン酸(−SO3H)基等が挙げられる。酸性官能基含有化合物(a1)は1以上の酸性官能基を有していればよい。これらの酸性官能基は、1種又は2種以上であってもよい。
上記の酸性官能基の中でも、好ましくは、リン酸基、もしくはスルホン酸基である。
酸性官能基含有化合物(a2)のpKaの範囲は、塩基性官能基含有化合物(b2)との塩を形成し、かかる塩の組成物のpHが4.0〜9.0となるpKaの範囲である。酸性官能基含有化合物(a2)は、pKaが2.0〜5.0である。
酸性官能基含有化合物(a2)におけるpKaは、公知の酸性官能基からpKaが2.0〜5.0程度の酸性官能基(すなわち、一般に弱酸性を示すとされている官能基)を選択することにより、2.0〜5.0に調整することができる。
酸性官能基含有化合物(a2)中の酸性官能基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。酸性官能基含有化合物(a2)は1以上の酸性官能基を有していればよい。これらの酸性官能基は、1種又は2種以上であってもよい。
上記の酸性官能基の中でも、好ましくは、カルボキシル基である。
本実施形態におけるpKaは、UV−visスペクトル等を用いる分光法によって測定によって求めることができる。また、酸性官能基含有化合物及び塩基性官能基含有化合物が公知の化合物である場合、MSDS等のデータに基づく値であってもよい。
酸性官能基含有化合物(a1)及び酸性官能基含有化合物(a2)は、LogP(水と1−オクタノールとの間の分配係数Pの常用対数)が1〜7.3であり、好ましくは2〜7.3、より好ましくは3.0〜7.3である。
酸性官能基含有化合物のLogPは、塩と皮膚との親和性に関係し、より水和が進んでいる皮膚ほど、最適なLogPは低くなる傾向にある。また、LogPが7.3を超えると、皮膚の水和の程度によらず、活性成分の皮膚透過性は著しく低下する傾向にある。これは、LogPが大きくなりすぎると、活性成分が皮膚へ分配されなくなるためと考えられるが、機序はこれによらない。
酸性官能基含有化合物(a1)及び酸性官能基含有化合物(a2)は、置換基を有していてもよい炭素数10〜20の鎖状炭化水素基を有することが好ましい。
炭素数10〜20の鎖状炭化水素基としては、例えば、炭素数10〜20のアルキル基、炭素数10〜20のアルケニル基、炭素数10〜20のアルキニル基が挙げられる。アルケニル基、及びアルキニル基における、二重結合や三重結合の不飽和結合は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
炭素数10〜20のアルキル基としては、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基が挙げられる。
炭素数10〜20のアルケニル基としては、例えば、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基が挙げられる。これらのアルケニル基における二重結合の位置は任意である。
炭素数10〜20のアルキニル基としては、例えば、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基、イコシニル基が挙げられる。これらのアルキニル基における三重結合の位置は任意である。
置換基を有していてもよい炭素数10〜20の鎖状炭化水素基における置換基としては、以下のものに制限ないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;水酸基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のC6〜C10のアリール基;等を挙げることができる。
炭素数10〜20の鎖状炭化水素基の中でも、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数10〜20のアルケニル基である。炭素数10〜20のアルケニル基であることで、皮膚中の角質層のラメラ構造が大きくなる結果、けい皮吸収促進性をより向上させることができる傾向にある。
本実施形態における酸性官能基含有化合物(a1)は、炭素数10〜20の鎖状炭化水素基に、酸性官能基が、有機基を介して又は介さずに結合した化合物であることが好ましい。
本実施形態における酸性官能基含有化合物(a1)は、好ましくは以下の式(1)で表される化合物である。
(式(1)中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数10〜20の鎖状炭化水素基である。)
本実施形態における酸性官能基含有化合物(a1)は、具体的には、以下の化合物を挙げることができる。
アルキルリン酸エステル類;
モノラウリルリン酸エステル、ジラウリルリン酸エステル、モノミリスチルリン酸エステル、ジミリスチルリン酸エステル、モノセチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル、モノパルミチルリン酸エステル、ジパルミチルリン酸エステル、モノステアリルリン酸エステル、ジステアリルリン酸エステル、モノ(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)リン酸エステル、ジ(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)リン酸エステル、モノ(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)リン酸エステル、ジ(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)リン酸エステル、モノ(ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル)リン酸エステル、ジ(ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル)リン酸エステル、モノ(ポリオキシエチレンステアリルフェニルエーテル)リン酸エステル、ジ(ポリオキシエチレンステアリルフェニルエーテル)リン酸エステル等。
アルキル硫酸エステル類;
ラウリル硫酸エステル、ミリスチル硫酸エステル、パルミチル硫酸エステル、ステアリル硫酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンパルミチル硫酸エステル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸エステル、オレイル硫酸エステル等。
アルキルベンゼンスルホン酸類;
直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸、分岐鎖ドデシルベンゼンスルホン酸等。
タウリン誘導体;
下記酸性官能基含有化合物(a2)とタウリンとの付加縮合体等。
本実施形態における酸性官能基含有化合物(a2)は、好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数が10〜20の長鎖脂肪酸(ここで、炭素数10〜20は脂肪酸の主鎖の炭素数であり、カルボキシル基の炭素数は除く。)である。
本実施形態における酸性官能基含有化合物(a2)は、具体的には、以下の化合物を挙げることができる。
飽和脂肪酸;
カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンダデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ノナデシル酸等。
不飽和脂肪酸;
α−リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサペンタエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ネルボン酸、サピエン酸等。
本実施形態における塩基性官能基含有化合物(b1)は、pKaが7.5以上であり、Mwが500以下である化合物である。
塩基性官能基含有化合物(b1)におけるpKaの範囲は、酸性官能基含有化合物(a1)との塩を形成し、かかる塩の組成物のpHが4.0〜9.0となるpKaの範囲である。塩基性官能基含有化合物(b1)のpKaは、7.5以上であり、好ましくは7.8以上であり、より好ましくは8.0以上である。
塩基性官能基含有化合物(b1)のpKaの上限値は、特に制限されないが、通常14以下であり、好ましくは14より小さい。
酸性官能基含有化合物(b1)におけるpKaは、例えば、公知の官能基から、pKaが塩基性を示す官能基を選択することにより、7.5以上に調整することができる。
本実施形態における塩基性官能基含有化合物(b2)は、pKaが7.5〜11.0であり、Mwが500以下である化合物である。
塩基性官能基含有化合物(b2)におけるpKaの範囲は、酸性官能基含有化合物(a2)との塩を形成し、かかる塩の組成物のpHが4.0〜9.0となるpKaの範囲である。塩基性官能基含有化合物(b2)のpKaは、7.5〜11.0であり、好ましくは7.5〜10.5であり、より好ましくは7.5〜10.0である。
pKaの低い塩基性官能基含有化合物(b2)を用いることで、より皮膚刺激性の低い塩の組成物が得られる傾向がある。
塩基性官能基含有化合物(b2)におけるpKaは、例えば、公知の官能基からpKaが7.5〜11.0程度を示す官能基を選択することにより、7.5〜11.0に調整することができる。
塩基性官能基含有化合物(b1)及び塩基性官能基含有化合物(b1)における分子量(Mw)は、500以下であり、好ましくは250以下であり、より好ましくは150以下である。Mwが500以下であることにより、水溶性活性成分と前記塩との親和性が向上し、薬物が皮膚を透過するラグタイムが短くなる傾向にある。
Mwの下限値は、特に制限されないが、通常20以上であり、好ましくは50以上である。
塩基性官能基含有化合物(b1)及び塩基性官能基含有化合物(b2)における塩基性官能基としては、好ましくは、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、四級アンモニウム基である。塩基性官能基含有化合物は、1以上の塩基性官能基を有していればよい。これらの塩基性官能基は、1種又は2種以上であってもよい。
塩基性官能基含有化合物(b2)における塩基性官能基は、より好ましくは三級アミノ基である。
塩基性官能基含有化合物(b1)及び塩基性官能基含有化合物(b2)におけるLogPは、特に限定されないが、例えば、酸性官能基含有化合物と同等、又は、酸性官能基含有化合物のそれより小さい値のものとすることができる。
塩基性官能基含有化合物(b1)及び塩基性官能基含有化合物(b2)としては、具体的には、コリン又はその誘導体、ヒスタミン又はその誘導体、グアニジン又はその誘導体等が挙げられる。この中でも、生体内に存在する物質(すなわち、生体内に摂取可能な物質、或いは、摂取可能な物質が生体内で異化あるいは同化作用の結果として新たに生体内で産生される物質)であることが安全性の観点から好ましい。これら塩基性官能基含有化合物は、核酸、タンパク、糖、脂質、ビタミン、ホルモンなどの構成要素であり、生体内に必要な合成及び代謝経路等に関与する物質である。
以上の中でも、とりわけ、コリン、ヒスタミン、及び、グアニジンが、活性成分の経皮吸収性促進効果の観点から好ましい。
また、塩基性官能基含有化合物(b1)及び塩基性官能基含有化合物(b2)としては、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
脂肪族第一アミン;
メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等。
芳香族第一アミン;
アニリン、トルイジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等。
脂肪族第二アミン;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペリドン、モルホリン等。
芳香族第二アミン;
ジフェニルアミン、フェニルメチルアミン、フェニルエチルアミン等。
脂肪族第三アミン;
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等。
第三級アミノアルコール及びそのエステル類;
2−ジメチルアミノエタノール、1−メチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−フェノキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ブトキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−β−ヒドロキシエチルモルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−ジメチルアミノエチルアセテート等。
アミノフェノール類;
2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等。
イミダゾール類;
2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等。
イミダゾリン類;
1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン、2−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ベンジルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−(o−トリル)−イミダゾリン、テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,2−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,3−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−4−メチルイミダゾリン等。
三級アミノアミン類;
ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、N−メチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、ジエチルアミノエチルピペラジン等。
アミノメルカプタン類;
2−ジメチルアミノエタンチオール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン等。
アミノカルボン酸類;
N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸等。
アミノヒドラジド類;
N,N−ジメチルグリシンヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド等。
本実施形態における酸性官能基含有化合物と塩基性官能基含有化合物との塩は、室温(23℃)において液体であると取扱い上好ましいが、必ずしも液体でなくてもよい。
経皮吸収促進剤、経皮吸収促進助剤は、本実施形態における塩以外に、使用する塩基性官能基含有化合物や酸性官能基含有化合物由来の不純物を含んでいてもよい。
本実施形態の経皮吸収促進助剤及び経皮吸収促進剤は、酸性官能基含有化合物(a1)と塩基性官能基含有化合物(b1)とを配合することにより、又は、酸性官能基含有化合物(a2)と塩基性官能基含有化合物(b2)とを配合することにより、製造することができる。
本実施形態の経皮吸収促進助剤及び経皮吸収促進剤には、酸性官能基含有化合物と塩基性官能基含有化合物とを配合することにより塩が形成され、かかる塩を含む。
酸性官能基含有化合物(a1)と塩基性官能基含有化合物(b1)とを配合する場合、酸性官能基含有化合物(a1)と塩基性官能基含有化合物(b1)との配合比は、等モルであってもよく、酸性官能基含有化合物(a1)及び塩基性官能基含有化合物(b1)のどちらか一方が過剰量であってもよい。
酸性官能基含有化合物(a2)と塩基性官能基含有化合物(b2)とを配合する場合、酸性官能基含有化合物(a2)と塩基性官能基含有化合物(b2)との配合モル比率が、下記式(2)又は下記式(3)を満たす。
1/1.01≧(a2)/(b2)≧1/1.20・・・式(2)
1.20/1≧(a2)/(b2)≧1.01/1・・・式(3)
式(2)を満たすことで、皮膚の角質層と前記塩との相互作用が良好になる結果けい皮吸収性がより良好になる傾向があり、また、式(3)を満たすことで、水溶性活性成分と前記塩との親和性がより向上する結果、薬物が皮膚を透過するラグタイムが短くなる傾向がある。ただし式(2)及び式(3)の効果による機序はこれによらない。
酸性官能基含有化合物(a1)と塩基性官能基含有化合物(b1)との具体的な組み合わせとしては、
(a1)がオレイン酸とタウリンとの付加縮合体、ステアリン酸とタウリンとの付加縮合体、イソステアリン酸とタウリンとの付加縮合体、ラウリン酸とタウリンとの付加縮合体、カプリン酸とタウリンとの付加縮合体、及びモノラウリルリン酸エステルからなる群から選択される1種であり、(b1)がコリン、グアニジン、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、N−メチルモルホリン、ジイソプロパノールアミン及びトリイソプロパノールアミンからなる群から選択される1種である塩である。
より具体的には、オレイン酸とタウリンとの付加縮合体−コリン塩、オレイン酸とタウリンとの付加縮合体−グアニジン塩、オレイン酸とタウリンとの付加縮合体−トリエチルアミン塩、オレイン酸とタウリンとの付加縮合体−2−ジメチルアミノエタノール塩、オレイン酸とタウリンとの付加縮合体−N−メチルモルホリン塩、オレイン酸とタウリンとの付加縮合体−ジイソプロパノールアミン塩、オレイン酸とタウリンとの付加縮合体−トリイソプロパノールアミン塩、ステアリン酸とタウリンとの付加縮合体−コリン塩、イソステアリン酸とタウリンとの付加縮合体−コリン塩、ラウリン酸とタウリンとの付加縮合体−コリン塩、カプリン酸とタウリンとの付加縮合体−コリン塩、モノラウリルリン酸エステル−コリン塩等が挙げられる。
酸性官能基含有化合物(a2)と塩基性官能基含有化合物(b2)との具体的な組み合わせとしては、
(a1)がオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、及びラウリン酸からなる群から選択される1種であり、(b1)が2−ジメチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエチルアセテート、N−メチルモルホリン、ジイソプロパノールアミン、及びトリイソプロパノールアミンからなる群から選択される1種である塩である。
より具体的には、オレイン酸−2−ジメチルアミノエタノール塩、ステアリン酸−2−ジメチルアミノエタノール塩、イソステアリン酸−2−ジメチルアミノエタノール塩、ラウリン酸−2−ジメチルアミノエタノール塩、オレイン酸−2−ジメチルアミノエチルアセテート塩、オレイン酸−N−メチルモルホリン塩、オレイン酸−ジイソプロパノールアミン塩、及びオレイン酸−トリイソプロパノールアミン塩等が挙げられる。
(経皮製剤)
本実施形態の経皮製剤は、少なくとも、本実施形態の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤と、活性成分とを含む。
活性成分に限定はなく、本実施形態の経皮吸収促進剤、経皮吸収促進助剤は、難溶性のもの、水溶性のものいずれに対しても経皮吸収促進効果があるが、特に、これまで経皮吸収製剤化の難しかった水溶性活性成分に対しても経皮吸収促進効果を発揮するという点で有利である。ここで、水溶性活性成分とは、20℃での水に対する溶解度が0.5mg/mL以上である活性成分をいい、10mg/mL以上が好ましく、30mg/mL以上がさらに好ましい。特に好ましくは、100mg/mL以上である。
また、2つ以上の酸解離定数(pKa)を有する水溶性活性成分が好ましい。
水溶性活性成分の分子量は10,000以下であることが好ましい。
水溶性活性成分は、さらに、水と1−オクタノールとの間の分配係数Pの常用対数LogPが3.5以下であることが好ましく、さらに好ましくは2未満である。特に好ましくは0.5以下である。
LogPが0の場合、活性成分は水と1−オクタノールとに等分に分配される。LogPが3.5以下になると、活性成分の水溶性が高くなり経皮吸収性が低下するので、本実施形態の経皮吸収促進剤、経皮吸収促進助剤の効果がより顕著になる。
本実施形態の経皮製剤において、水溶性活性成分は、塩の状態であってもよいし、塩でない遊離の状態でもよい。
LogPが低い場合、例えば、LogPが3.5以下の場合、活性成分は塩ではない、すなわち、硫酸塩、塩酸塩、乳酸塩、リン酸塩といった塩を形成していないものであることが好ましい。
ここで、LogPは、一般的に化合物の親水−疎水性の指標として使用される値であり、フラスコ振盪法((1)水と1−オクタノールを24時間以上混合して飽和する。(2)測定対象物質と共にフラスコに取り振盪する。(3)遠心分離により相分離する。(4)各相に含まれる対象物質を定量する。)により得られる1−オクタノール/水(pH7.4緩衝溶液)で実測される分配係数の対数である。LogPは、ソフトウェア「XLogP」(Shanghai Institute of Organic Chemistry,Chinese Academy of Sciences, http://WWW.sio−ccbg.ac.cn/software/xlogp3/から入手できる)で計算することもでき、計算結果は、PubChem(http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/#)のデータベースに収載されており、これを活用できる。
本実施形態の経皮吸収剤、経皮吸収促進助剤は、水溶性活性成分に対しても有効であり、医薬品や、化粧品、医薬部外品等の活性成分等に広く適用できる。
医薬品に用いられる水溶性活性成分としては、例えば、解熱鎮痛消炎薬(アセトアミノフェン、LogP=0.5、アスピリン、LogP=1.2、イソプロピルアンチピリン、LogP=1.7等)、催眠鎮静薬(抱水クロラール、LogP=1、ブロムワレリル尿素、LogP=1.1等)、眠気防止薬(カフェイン、LogP=−0.1等)、鎮暈薬、ステロイド(プレドニゾロン、LogP=1.6、メチルプレドニゾロン、LogP=1.9、ベタメタゾン、LogP=1.9、)、小児鎮痛薬、健胃薬(ヒヨスチアミン、LogP=1.7、アミノ安息香酸エチル、LogP=1.9等)、制酸薬(ファモチジン、LogP=−0.6、ラニチジン、LogP=0.3、シメチジン、LogP=0.4、ラフチジン、LogP=1.4、ニザチジン、LogP=1.6、オメプラゾール、LogP=2.2、エソメプラゾール、LogP=2.2、ランソプラゾール、LogP=2.8等)、消化薬が挙げられる。
また、強心薬(ドパミン、LogP=−1、メチルキサンチン、LogP=−0.7、イソプレナリン、LogP=−0.6、アムリノン、LogP=−0.2、ミルノリン、LogP=0、ジゴキシン、LogP=1.3、デノパミン、LogP=1.8、メチルジゴキシン、LogP=1.8、ジギトキシン、LogP=2.3、ベスナリノン、LogP=2.1、ドカルパミン、LogP=2.9等)、不整脈用薬(ATP、LogP=−5.7、ソタロール、LogP=0.2、アテノロール、LogP=0.2、プロカインアミド、LogP=0.9、ニフェカラント、LogP=1.1、ビソプロロール、LogP=1.9、メキシレチン、LogP=2.1、リドカイン、LogP=2.3、ピルジカイニド、LogP=2.7等)、降圧薬(リシノプリル、LogP=−2.9、メチルドパ、LogP=−1.9、イミダプリル、LogP=−0.7、エナラプリル、LogP=−0.1、カプトプリル、LogP=0.3、シラザプリル、LogP=0.6、ペリンドプリル、LogP=0.9、テモカプリル、LogP=1、キナプリル、LogP=1.2、ベナゼプリル、LogP=1.3、テラゾシン、LogP=1.4、ウラピジル、LogP=1.5、クロニジン、LogP=1.6、デラプリル、LogP=1.7、プラゾシン、LogP=2、トランドラプリル、LogP=2、グアンファシン、LogP=2、アラセプリル、LogP=2.1、ブナゾシン、LogP=2.2、ニフェジピン、LogP=2.2、アロチノロール、LogP=2.3、ドキサゾシン、LogP=2.5、フェントラミン、LogP=2.6、トラゾリン、LogP=2.6、アムロジピン、LogP=3、ベバントロール、LogP=3)、血管拡張薬(ヒドララジン、LogP=0.7、ロニテン、LogP=1.2、ペンスリット、LogP=1.4等)、利尿薬(イソソルビド、LogP=−1.4、アセタゾラミド、LogP=−0.3、ヒドロクロロチアジド、LogP=−0.1、メチクラン、LogP=0.5、トリクロルメチアジド、LogP=0.6、クロルタリドン、LogP=0.9、メスルフィド、LogP=0.9、トリアムテレン、LogP=1、エプレレノン、LogP=1.4、フロセミド、LogP=2、トラセミド、LogP=2.7等)が挙げられる。
また、抗潰瘍薬(ピレンゼピン、LogP=0.1、臭化ブチルスコポラミン、LogP=0.9、レバミピド、LogP=2.4等)、整腸薬(グアイアコール、LogP=1.3等)、骨粗鬆症治療薬(パラトルモン、LogP=−18.7、エルシトニン、LogP=−13.3、アレンドロネート、LogP=−6.5、リセドロネート、LogP=−3.5、エチドロネート酸、LogP=−3.7等)、抗リューマチ薬(ミゾリビン、LogP=−1.9、D−ペニシラミン、LogP=−1.8、メトトレキサート、LogP=−1.8、アクタリット、LogP=0.4、エピリゾール、LogP=1.3、レフルノミド、LogP=2.6、タクロリムス、LogP=2.7)鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤などが挙げられる。
化粧品、医薬部外品に用いられる水溶性活性成分としては、美白剤、抗老化剤、抗酸化剤、保湿剤、育毛剤、細胞賦活剤、ビタミン類、アミノ酸類などが挙げられる。具体的には、アルブチン(LogP=−0.6)、L−アスコルビン酸(LogP=−1.6)、ハイドロキノン(LogP=−0.6)、グルタチオン(LogP=−4.5)、胎盤抽出物、パントテン酸(LogP=−1.1)、トラネキサム酸(LogP=−2)、コウジ酸(LogP=−0.9)、L−システイン(LogP=−2.5)、エラグ酸(LogP=1.1)、ルシノール(LogP=2.4)、レゾルシン(LogP=0.8)、アスタキサンチン及びその誘導体、ルチン(LogP=−1.3)、コレステロール及びその誘導体、トリプトファン(LogP=−1.1)、ヒスチジン(LogP=−3.2)、クエルセチン(LogP=1.5)やクエルシトリン(LogP=0.9)などのフラボノイド類、カテキン(LogP=0.4)及びその誘導体、没食子酸(LogP=0.7)及びその誘導体、カイネチン(LogP=1)、α−リポ酸(LogP=1.7)、エリソルビン酸(LogP=−1.6)及びその誘導体、チオタウリン(LogP=−0.1)、尿素(LogP=−1.4)、ニコチン(LogP=1.2)及びその誘導体、ニコチン酸(LogP=0.4)、ヒドロキシプロリン(LogP=−3.3)、セリン(LogP=−3.1)、グルタミン酸(LogP=−3.7)、アルギニン(LogP=−4.2)、アラニン(LogP=−3)、ミノキシジル(LogP=1.2)、D−グルコサミン(LogP=−2.8)、N−アセチル−D−グルコサミン(LogP=−1.7)、ヒアルロン酸(LogP=−7.4)、ラフィノース(LogP=−5.8)、アゼライン酸(LogP=1.6)、γ−アミノ酪酸(LogP=−3.2)、アラントイン(LogP=−2.2)、L−カルニチン(LogP=−0.2)、ビオチン(LogP=0.3)が挙げられる。
(本実施形態の経皮吸収促進助剤と組み合わせて使用される経皮吸収促進剤)
生体バリヤーである皮膚の角質層を透過させるために、本実施形態の経皮吸収促進助剤は、本実施形態の経皮吸収促進剤とは異なる他の経皮吸収促進剤(以下、単に「他の経皮吸収促進剤」ということがある。)と組み合わせて使用することができる。
このような他の経皮吸収促進剤としては、皮膚を透過する23℃で液状の化合物が好ましく、公知のものであれば特に限定されないが、例えば医薬品添加物事典の吸収促進剤として記載のある化合物を使用することができ、また、一日最大投与量が知られている化合物であることが好ましい。
具体例としては、ポリエチレングリコール、例えばPEG400,アルコール類、例えばエタノールやイソプロパノールやベンジルアルコールやオクチルドデカノール、多価アルコール類、例えばエチレングリコールやプロピレングリコールやブチレングリコールやグリセリンやジエチレングリコールモノエチルエーテル、脂肪酸、例えばオレイン酸やカプリン酸やリノール酸、エステル類、例えば酢酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、モノオレイン酸グリセリン、グリセリントリカプリラート(トリカプリリン)、テトラヒドロファルネシル酢酸グリセリル、多価カルボン酸エステル、例えばアジピン酸ジエチルやアジピン酸ジイソプロピルやセバシン酸ジエチル、α−ヒドロキシ酸、例えば乳酸やグリコール酸、界面活性剤、例えばショ糖オレイン酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやポリオキシエチレン−2−オレイルエーテルやTween80、テルペン類、例えばd−リモネンやl−メントールやハッカ油、ラウロカプラム、ピロチオデカン、尿素とその誘導体、例えば尿素や1,3−ジフェニル尿素や環状尿素誘導体、サリチル酸、チオグリコール酸類、例えばチオグリコール酸カルシウム、ピロリドン類、例えばN−メチル−2−ピロリドンやピロリドンカルボン酸、スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシドやデシルメチルスルホキシド、アルキルーN,N−2置換アミノ酢酸類、例えばドデシルN,N−ジメチルアミノアセテート、ドデシル2−メチル−2−(N,N−ジメチルアミノアセテート)、ドデシルアミノアセテート誘導体、シクロデキストリン類、例えばβ−シクロデキストリンやジメチルシクロデキストリン、流動パラフィンが、あげられる。
より好ましくは、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エタノール、界面活性剤、オレイン酸、リノール酸等の脂肪酸、トリカプリリン、IPM等の脂肪酸エステル、アジピン酸ジイソプロピル等の多価カルボン酸エステル、流動パラフィン等が挙げられる。
本実施形態の経皮吸収促進助剤と組み合わせて使用する他の経皮吸収促進剤は、水と1−オクタノールとの間の分配係数Pの常用対数LogPが−5〜40であることが好ましい。より好ましくは7〜40、さらに好ましくは7〜20、特に好ましくは8〜20である。特に好ましい他の経皮吸収促進剤としては、IPM、トリカプリリン、オクチルドデカノール等が挙げられる。
本実施形態において、経皮製剤は、特に、水溶性活性成分を含む場合、該水溶性活性成分の分子量は10,000以下であることがさらに好ましい。
本実施形態において、経皮製剤中の活性成分の含有量に限定はない。しかしながら、経皮製剤に含まれる活性成分が皮膚透過後、新たに皮膚透過されるべき活性成分が枯渇しないように、活性成分は、経皮吸収促進剤(本実施形態の経皮吸収促進剤や他の経皮吸収促進剤)への溶解度以上に過剰に存在していることが好ましい。非溶解状態で存在している活性成分が順次、経皮吸収促進剤に溶解して皮膚透過するサイクルが繰り返され、トータルの皮膚透過量を大きくすることができる。
本実施形態において、経皮製剤は、人間やその他の動物の皮膚を通して活性成分を吸収(経皮吸収)させる製剤をいい、例えば、医薬品、化粧品、医薬部外品の用途において、塗布又は貼付等により活性成分を経皮吸収させるパッチ製剤の他、パップ剤、乳液、クリーム、ローション、エッセンス、ムース、スプレー、ジェル、油等の形態であっても良い。
塗布剤の場合、本実施形態の経皮吸収促進剤を含むことにより、経皮製剤の展延性が良くなり、皮膚に塗布しやすくなるという効果も期待できる。
本実施形態において、経皮製剤は、水溶性活性成分と、本実施形態の経皮吸収促進剤又は経皮吸収促進助剤を含有していればよく、本実施形態の経皮吸収促進剤又は経皮吸収促進助剤の含有量に限定はないが、好ましくは、経皮製剤の質量に対して本実施形態の本実施形態の経皮吸収促進剤又は経皮吸収促進助剤の含有量が1〜99.9質量%である。
本実施形態の本実施形態の経皮吸収促進剤又は経皮吸収促進助剤の含有量が1質量%以上であれば、経皮吸収性向上効果が十分に発揮される。より好ましくは、水溶性活性成分に対して等モル以上あればよく、効果の程度を見て増減できる。一方、本実施形態の経皮吸収促進剤又は経皮吸収促進助剤の含有量が99.9質量%以下であれば、活性成分の十分な効能が得られうる。
さらに、本実施形態において、経皮製剤は、本実施形態の本実施形態の経皮吸収促進剤又は経皮吸収促進助剤の他に、必要に応じて、上述した他の経皮吸収促進剤を含むこともできる。他の経皮吸収促進剤の量は、質量基準で水溶性活性成分の0.01〜10倍量であることが好ましい。
経皮製剤には、さらに、必要に応じて、多価アルコール、流動パラフィン、スクワラン、植物油、高級脂肪酸、高級アルコール等の油分、クエン酸、乳酸等の有機酸類、界面活性剤類、顔料、染料、防腐剤、樹脂、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、増粘剤、保湿剤、アルコール、水、香料等の他の添加剤を含有することも自由である。
本実施形態において、経皮製剤は、好ましくは界面活性剤を含まない。界面活性剤は皮膚刺激性が強く、これらを含まない製剤設計が望ましい。
経皮製剤が貼付等により活性成分を経皮吸収させる貼付剤(パッチ製剤)である場合においては、支持体上に経皮製剤を含む層が積層された構成とすることができる。この場合、さらに、経皮製剤を含む層の上に粘着剤層を設けたり、経皮製剤を含む層に粘着剤を添加しても良い。粘着剤としては、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエステル系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤等が挙げられ、皮膚刺激性、皮膚接触性等の制御が容易なものが好ましい。これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、二種以上が積層されて使用されてもよい。さらに、軟化剤、充填剤、抗酸化剤等を含んでいても良い。
合成ゴム系粘着剤としては、例えばポリイソブチレン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエンゴム−スチレンブロック共重合体、ポリブテン、ブチルゴム、シリコンゴム等が挙げられる。アクリル系粘着剤としては、例えばアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリ酸アルキルエステル等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を実施例に制限することを意図したものではない。
(製造例1)オレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とトリエチルアミン(b1)との塩の合成
ナスフラスコにオレイン酸20g(1.2eq)、トルエン200mL、トリエチルアミン12.3mL(1.5eq)を加えて撹拌溶解させ、そこにクロロギ酸エチル7.4mL(1.3eq)をゆっくり滴下し反応させた。反応液を0.22μmフィルターでろ過した後、ろ液をエバポレーターで濃縮しトルエンを留去し活性エステルを得た。この活性エステルをTHF370mLに再溶解させ、タウリン7.46g(1.0eq)とトリエチルアミン 8.2mL(1.0eq)を水30mLに溶解させた水溶液を添加し室温で18時間撹拌した。エバポレーターで反応液を濃縮後、ヘキサンで再沈殿させ、ろ過、減圧乾燥することで目的のオレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とトリエチルアミン(b1)との塩を得た。用いた原材料の性状、及び得られた塩のpH測定を以下に記載した方法で実施し、結果を表1にまとめた。
<pH測定>
得られた塩0.6gを水3.4gと混合し、超音波洗浄装置(アズワン株式会社製、VS−F100)を用いて30分間超音波処理をおこなった。得られた15質量%の塩を含む組成物を撹拌しながらpH測定器(HORIBA社製)を用いて測定した。pHの測定値が4.0以上7.0未満である場合は◎、7.0以上8.0未満である場合は〇、8.0以上9.0未満である場合は△、9.0以上である場合は×とした。
(製造例2)オレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とコリン(b1)との塩の合成
ナスフラスコに製造例1で得られたオレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とトリエチルアミン(b1)との塩5g、エタノール250mLを加えて撹拌溶解させた。そこに重炭酸コリン水溶液を等モル量となるように添加し、1時間撹拌後にエバポレーターで反応液を濃縮、減圧乾燥を実施した。得られた生成物のNMR測定結果よりトリエチルアミンが完全に留去していることを確認し、目的のオレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とコリン(b1)との塩を得た用いた原材料の性状、及び製造例1と同様にして得られた塩のpH測定結果を表1にまとめた。
(製造例3〜製造例6、製造例8、比較製造例3)
オレイン酸、もしくは重炭酸コリンを表1に記載の他の化合物とした以外は同様にして各種の酸性官能基化合物(a1)と塩基性官能基化合物(b1)との塩を得た。用いた原材料の性状、及び製造例1と同様にして得られた塩のpH測定結果を表1にまとめた。
(製造例7)ラウリルリン酸(a1)−コリン(b1)の塩の合成
ラウリルリン酸(東邦化学工業社製、フオスフアノール MS−200)5gをエタノール100mL中に溶解させ、ここに重炭酸コリン水溶液を等モル量となるように添加した。1時間撹拌後にエバポレーターで反応液を濃縮、減圧乾燥を実施することで目的のラウリルリン酸(a1)−コリン(b1)の塩を得た。用いた原材料の性状、及び製造例1と同様にして得られた塩のpH測定結果を表1にまとめた。
(製造例9〜12)
製造例1で得られたオレイン酸−タウリン付加体とトリエチルアミンとのイオン塩5gをエタノール250mL中に溶解させ、表1に記載の塩基性官能基化合物(b1)を10eq添加し1時間撹拌した。その後減圧留去により余剰の塩基性官能基化合物(b1)及びトリエチルアミンを留去した。上記操作をNMR測定においてトリエチルアミンが完全に留去されていることが確認できるまで繰り返すことで各種酸性官能基化合物(a1)と塩基性官能基化合物(b1)との塩を得た。用いた原材料の性状、及び製造例1と同様にして得られた塩のpH測定結果を表1にまとめた。
(製造例13)オレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とコリン(b1)、オレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とトリエチルアミン(b1)との混合塩の合成
ナスフラスコに製造例1で得られたオレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とトリエチルアミン(b1)との塩5g(1.05eq)、エタノール250mLを加えて撹拌溶解させた。そこに重炭酸コリン水溶液を1.00eqとなるように添加し、1時間撹拌後にエバポレーターで反応液を濃縮、減圧乾燥を実施した。得られた生成物のNMR測定結果より、目的のオレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とコリン(b1)、オレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とトリエチルアミン(b1)との混合塩を得た。用いた原材料の性状、及び製造例1と同様にして得られた塩のpH測定結果を表1にまとめた。
(製造例14〜製造例25)
表1に記載の酸性官能基化合物(a2)と塩基性官能基化合物(b2)を、表1に記載の当量比で添加することで目的の酸性官能基化合物(a2)と塩基性官能基化合物(b2)塩を得た。用いた原材料の性状、及び製造例1と同様にして得られた塩のpH測定を実施した結果を表1にまとめた。
(比較製造例1)
ナスフラスコに製造例1で得られたオレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とトリエチルアミン(b1)との塩5g(1.00eq)、エタノール250mLを加えて撹拌溶解させた。そこに重炭酸コリン水溶液を1.30eqとなるように添加し、1時間撹拌後にエバポレーターで反応液を濃縮、減圧乾燥を実施した。得られた生成物のNMR測定結果より、目的のオレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とコリン(b1)の塩を得た。用いた原材料の性状、及び製造例1と同様にして得られた塩のpH測定結果を表1にまとめた。
(比較製造例2)
ナスフラスコにオレイン酸(a2)5g(1.00eq)とエタノール250mLを加えて撹拌溶解させた。そこに重炭酸コリン水溶液を1.00eqとなるように添加し、1時間撹拌した。さらに製造例2で得られたオレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とコリン(b1)の塩(1.00eq)を添加1時間撹拌後にエバポレーターで反応液を濃縮、減圧乾燥を実施した。得られた生成物のNMR測定結果より、目的のオレイン酸−タウリン縮合体付加体(a1)とコリン(b1)とオレイン酸(a2)とコリン(b1)との塩を得た。用いた原材料の性状、及び製造例1と同様にして得られた塩のpH測定結果を表1にまとめた。
(比較製造例4〜6)
表1に記載の酸性官能基化合物と塩基性官能基化合物を、表1に記載の当量比で添加することで目的の塩を得た。用いた原材料の性状、及び製造例1と同様にして得られた塩のpH測定結果を表1にまとめた。
[実施例1〜25、比較例1〜6]
製造例1〜25、及び比較例1〜6で得られた塩を用いて以下に記載した皮膚刺激性の評価、及びけい皮吸収性の評価をおこなった。結果を表2にまとめた。
皮膚刺激性の評価、及びけい皮吸収性の評価は以下の方法に従って行った。
<皮膚刺激性の評価>
a)被験物質の調製
実施例1〜25、及び比較例1〜6に記載したイオン塩、もしくはイオン塩を含む混合物を4.5g、ココナードRK(花王ケミカルズ社製)25.5gを試験管内に入れ、ミキサー(AUTOMATIC LAB−MIXER、HM−10型、回転数2600rpm、アズワン(株)製)で1分間分散後、超音波洗浄装置(アズワン株式会社製、VS−F100)を用いて30分間超音波処理を実施し、被験物質とした。
b)皮膚刺激性試験
18週齢の日本白色種ウサギ(Jla:JW)の雌の背部を投与前日に電気バリカンを用いて刈毛し、一般状態観察及び皮膚状態が良好(スムーススキン)であったものを試験に供試した。投与当日、ウサギの背部をその中心に対して上下、正中線を挟んで左右対称となる6か所に投与部位を設けた。投与量は0.5mL/部位とし、上記の処置物質を、油紙(日油亜麻仁油紙:株式会社日油)を裏打ちした2.5×2.5cmのリント布(西尾衛生材料株式会社)に均一に塗布した後、3個体ずつ貼付した。貼付後、その上から自着性弾力包帯(3M Coban Self−Adhernt Wrap:3M Health Care)を胴体に巻き付け、ポリエチレンフィルムのテープ(キープポアA:ニチバン株式会社)で固定し、ジャケットを装着させた。貼付24時間後にパッチを除去し、注射用水(株式会社大塚製薬工場製)を湿らせた脱脂綿で投与部位を清拭した。
c)皮膚刺激性の観察と採点、評価
投与24時間、及び72時間後(投与24時間後は清拭30分後)に皮膚反応を肉眼的に観察し、紅斑及び痂皮の形成と浮腫の形成を表3に従って採点及び記録し、供試した3個体の平均値で評価した。
<けい皮吸収性の評価>
a)被験物質の調製
免疫抑制剤のミゾリビン(MZR);25mg、ココナードRK(花王ケミカルズ社製、他のけい皮吸収促進剤として使用);3000g、実施例1〜25、及び比較例1〜6に記載した処置物質;25mgを試験管内に入れ、ミキサー(AUTOMATIC LAB−MIXER、HM−10型、回転数2600rpm、アズワン株式会社製)で1分間分散後、超音波洗浄装置(アズワン株式会社製、VS−F100)を用いて30分間超音波処理を実施し、被験物質とした。
b)フランツセル試験
装置はハンソンリサーチ社製、Microette Plusを使用した。垂直拡散セル(容量7mL)にレセプター液としてPBS(−)(和光純薬工業製)を温度(設定値)32.5℃で導入し、ヘアレスマウス皮膚(星野試験動物飼育所、ラボスキン、10分間流水に浸して解凍後に使用、有効面積:0.75cm×0.75cm×3.14=1.766cm2)をセットした後、上記調製した各被験物質を皮膚上に均一に塗布して評価をそれぞれn=2で実施した。サンプリングは塗布後0.5、1、1.5、2、4、6、12、24時間後に実施した。各サンプリング時に1.5mLの新たなレシーバー液によって押し出し置換されることにより、サンプリング液1.5mLを取得した。なお、この置換操作は2回行われ、1回目はリンス液として切り捨てた。
皮膚透過量は下記式を用いて算出した。
皮膚透過量=(CnV+Σ(i=1,n−1)CiS)/A
Cn:n番目にサンプリングされた薬物濃度[μg/mL]
V:フランツセル容量[mL]
Σ(i=1,n−1)Ci:サンプリング1回目からn−1回目(nは最終回)までの薬物濃度の合計[μg/mL]
S:サンプリングした液の容量[mL]
A:膜の有効面積[cm2
HPLC測定条件
高速液体クロマトグラフ(島津製作所製、LC−20AD)
カラム(ナカライテスク製、COSMOSIL 5C18−PAQ、カラム径4.6mm×150mm)
キャリア液:0.067%リン酸水溶液
温度:30℃
流速:0.5mL/min
検出:UV(280nm)
保持時間:3.0〜4.0min
c)けい皮透過量評価とラグタイム測定の判定
けい皮透過量:6時間後に測定した薬物透過量が200μg/cm2を超えている場合は〇、超えていない場合は×とした。
ラグタイム:経過時間に対する薬物透過量の結果をグラフにプロットし、単位時間当たりの薬物透過量が定常状態となった(傾きが一定となった)直線を作成し、この定常状態の直線部分を補外して、時間軸と接する点をラグタイムとした。ラグタイムが2h未満であった場合を◎、2h以上4h未満であった場合を〇、4h以上6h未満であった場合を△、6h以上であった場合を×とした。
本発明の経皮吸収促進剤及び経皮吸収促進助剤は、医薬品、化粧品、医薬部外品等の用途において使用できる。

Claims (16)

  1. pKaが1.5以下、LogPが1.0〜7.3である、酸性官能基含有化合物(a1)と、
    pKaが7.5以上、Mwが500以下である、塩基性官能基含有化合物(b1)と
    からなる塩を含む、経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤であって、
    前記塩は、前記塩を15質量%及び水を85質量%含む組成物におけるpHが、4.0〜9.0である塩である、経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  2. 前記塩は、前記塩を15質量%及び水を85質量%含む組成物におけるpHが、4.0〜7.0である塩である、請求項1に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  3. 前記酸性官能基含有化合物(a1)中の酸性官能基が、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  4. 前記酸性官能基含有化合物(a1)が、置換基を有していてもよい炭素数10〜20の鎖状炭化水素基を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  5. 前記酸性官能基含有化合物(a1)が、置換基を有していてもよい炭素数10〜20のアルケニル基を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  6. 前記酸性官能基含有化合物(a1)が、下記式(1)で表される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
    (式中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数10〜20の鎖状炭化水素基である。)
  7. 前記塩基性官能基含有化合物(b1)の塩基性官能基が、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、四級アンモニウム基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  8. pKaが2.0〜5.0、LogPが1.0〜7.3である、酸性官能基含有化合物(a2)と、
    pKaが7.5〜11.0、Mwが500以下である、塩基性官能基含有化合物(b2)と
    からなる塩を含む、経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤であって、
    前記塩が、酸性官能基含有化合物(a2)と塩基性官能基含有化合物(b2)とを配合してなる塩であり、前記塩の酸性官能基含有化合物(a2)と塩基性官能基含有化合物(b2)との配合モル比率が、下記式(2)又は下記式(3)を満たし、
    1/1.01≧(a2)/(b2)≧1/1.20・・・式(2)
    1.20/1≧(a2)/(b2)≧1.01/1・・・式(3)
    前記塩は、前記塩を15質量%及び水を85質量%含む組成物におけるpHが、4.0〜9.0である塩である、経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  9. 前記塩は、前記塩を15質量%及び水を85質量%含む組成物におけるpHが、4.0〜8.0である塩である、請求項8に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  10. 前記酸性官能基含有化合物(a2)中の酸性官能基が、カルボキシル基である、請求項8又は9に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  11. 前記酸性官能基含有化合物(a2)が、置換基を有していてもよい炭素数10〜20の鎖状炭化水素基を有する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  12. 前記酸性官能基含有化合物(a2)が、置換基を有していてもよい炭素数10〜20のアルケニル基を有する、請求項8〜11のいずれか1項に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  13. 前記酸性官能基含有化合物(a2)が、pKaが2.0〜5.0、LogPが3.0〜7.3である酸性官能基化合物である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  14. 前記塩基性官能基含有化合物(b2)の塩基性官能基が、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、四級アンモニウム基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8〜13のいずれか1項に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  15. 前記塩基性官能基含有化合物(b2)の塩基性官能基が、三級アミノ基である、請求項14に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤。
  16. 活性成分、及び、請求項1〜15のいずれか1項に記載の経皮吸収促進助剤又は経皮吸収促進剤を含む、経皮製剤。
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