JP2019040665A - 非水電解質二次電池用正極の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】正極合材ペーストが大気暴露された際の正極合材ペーストの粘度増加の抑制と、抵抗成分の形成の抑制とが両立された、非水電解質二次電池用正極の製造方法を提供すること。【解決手段】非水電解質二次電池用正極の製造方法は、正極活物質と、導電材と、結着材と、溶媒とを含む非水電解質二次電池用正極の製造方法であり、正極活物質、導電材および結着材を溶媒に分散させることにより正極合材ペーストを調製する工程と、正極合材ペーストを正極集電体に塗布する工程と、正極集電体に塗布された正極合材ペーストを乾燥させる工程とを含み、溶媒はエチルメチルカーボネートであり、正極合材ペーストを乾燥させる工程は、溶媒が乾燥しきらない条件で乾燥を行う工程である。【選択図】図1

Description

本開示は、非水電解質二次電池用正極の製造方法に関する。
特開2009−193805号公報(特許文献1)には、非水電解質二次電池(以下、単に「電池」とも記される)用の正極合材層を含む正極を製造する際に、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが開示されている。正極合材層の製造に用いる溶媒(以下、「正極溶媒」とも記される)としてNMPが用いられる理由の一つは、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の結着剤を均一に分散するのにNMPが適しているためである。
特開2009−193805号公報
しかしながらNMPは、大気中の水分(HO)を吸湿する性質を有している。したがって、特許文献1に開示されている非水電解質二次電池用正極(以下単に「正極」とも記される)の製造方法では、ペースト状の正極合材(以下、「正極合材ペースト」とも記される)が大気暴露された際に、正極合材ペーストがゲル化することにより粘度が増加し、正極の形成が困難になる懸念がある。具体的には、NMPが大気中の水分(HO)を吸湿し、正極活物質表面に余剰リチウム(LiOH)が形成されると考えられる。当該余剰リチウム(LiOH)がPVdF等の結着剤と反応することにより、正極合材ペーストがゲル化し、正極合材ペーストの粘度が増加すると考えられる。加えて、当該余剰リチウム(LiOH)と大気中の二酸化炭素(CO)とが反応し、炭酸リチウム(LiCO)が形成されると考えられる。当該炭酸リチウム(LiCO)がPVdF等の結着剤と反応することにより、正極合材ペーストがゲル化し、正極合材ペーストの粘度が更に増加するおそれがある。加えて、LiCOは電池抵抗を増加させる抵抗成分であるため、LiCOが含まれる正極を用いた電池は、電池抵抗の増加抑制に改善の余地があるものと考えられる。
本開示の目的は、正極合材ペーストが大気暴露された際の正極合材ペーストの粘度増加の抑制と、抵抗成分の形成の抑制とが両立された、非水電解質二次電池用正極の製造方法を提供することにある。
以下、本開示の技術的構成および作用メカニズムが説明される。ただし本開示の作用メカニズムは推定を含んでいる。作用メカニズムの正否により、本開示の範囲が限定されるべきではない。
本開示は、正極活物質と、導電材と、結着材と、溶媒とを含む非水電解質二次電池用正極の製造方法に係る。本製造方法は、正極活物質、導電材および結着材を溶媒に分散させることにより正極合材ペーストを調製する工程(ペースト調製工程)と、正極合材ペーストを正極集電体に塗布する工程(ペースト塗布工程)と、正極集電体に塗布された正極合材ペーストを乾燥させる工程(ペースト乾燥工程)とを含む。上記溶媒はエチルメチルカーボネート(EMC)であり、上記正極合材ペーストを乾燥させる工程は、上記溶媒が乾燥しきらない条件で乾燥を行う工程である。なお、本明細書において「溶媒が乾燥しきらない条件」とは、正極合材ペーストの乾燥を行った際に、たとえば製造された正極の集電体を除く部分(すなわち、正極合材層)における残留溶媒量が、正極合材層の質量に対して少なくとも300ppm以上であることを意味する。正極合材層における残留溶媒量が、正極合材層の質量に対して少なくとも300ppm以上である場合、正極活物質を覆う溶媒は乾燥しきらず、残留しているものと考えられる。正極合材層における残留溶媒量の上限は、正極を形成できる限り特に制限は無いが、正極合材層の質量に対してたとえば2500ppmであってもよい。正極合材層中の残留溶媒量の定量は、たとえばガスクロマトグラフィーにより行ってもよい。EMCは後述するように非水電解質に含まれる非水溶媒であり得るため、正極中に残留していても、電池抵抗を上昇させないものと考えられる。
本開示においては、正極合材ペーストを調製する溶媒として吸湿性の低いEMCを用い、ペースト乾燥工程において溶媒が乾燥しきらない条件で乾燥が行われる。製造された正極の正極合材層における残留溶媒量が、正極合材層の質量に対して少なくとも300ppm以上である場合には、正極活物質を覆う溶媒は乾燥しきらず、正極活物質は溶媒にて覆われているものと考えられる。そのため、正極合材ペーストが大気暴露された際においても、正極合材ペースト中の正極活物質による大気中水分の吸湿が抑制されると考えられる。これにより、正極活物質表面における余剰リチウム(LiOH)の形成が抑制され、正極合材ペーストの粘度増加が抑制されるものと考えられる。また、正極活物質表面における余剰リチウム(LiOH)の形成が抑制されるため、余剰リチウム(LiOH)と大気中の二酸化炭素(CO)とが反応し、抵抗成分である炭酸リチウム(LiCO)が形成されることが抑制されると期待される。すなわち、正極合材ペーストが大気暴露された際の正極合材ペーストの粘度増加の抑制と、抵抗成分の形成の抑制とが両立された、正極の製造方法が提供されると期待される。
本開示における、正極の製造方法の一例を示す図である。 実施例および比較例で製造された正極合材層中の残留溶媒量に対する、実施例および比較例で製造された電池の初期抵抗比を示す図である。 実施例1および比較例1において製造された正極合材ペーストの、大気暴露時間と粘度との関係を示す図である。
以下、本開示の実施形態(以下「本実施形態」と記される)が説明される。ただし、以下の説明は、特許請求の範囲を限定するものではない。
<非水電解質二次電池の構成>
本開示の非水電解質二次電池は、以下で説明する正極を備える限り、従来公知の構成を備えることができる。従来公知の構成とは、たとえば正極と、負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータとを有する電極群を備え、この電極群が非水電解質と共に電池ケースに配置される構成などをいう。電極群は、扁平に巻回した形態(巻回電極群)とすることができる。
<非水電解質二次電池正極の製造方法>
本開示の正極の製造方法は、正極活物質、導電材および結着材を溶媒に分散させることにより正極合材ペーストを調製するペースト調製工程と、正極合材ペーストを正極集電体に塗布するペースト塗布工程と、正極集電体に塗布された正極合材ペーストを乾燥させるペースト乾燥工程とを含む。以下、それぞれの工程について説明する。
《ペースト調製工程(S1)》
図1に示すように本工程(S1)は、正極活物質、導電材および結着材を溶媒(EMC)に分散させることにより、正極合材ペーストを調製する工程である。正極合材ペーストの調製には、たとえばボールミル、ロールミル、ニーダ、ホモジナイザー、プラネタリミキサ等の従来公知の攪拌・混合装置を用いることができる。また、上記材料を混合する順序は特に限定されず、たとえば一度に全ての材料を溶媒中に投入してもよく、何度かに分けて行ってもよい。たとえば溶媒中に正極活物質および導電材を添加して均質に分散させた混合液を得た後、この混合液に結着材を添加して分散させてもよい。
正極合材ペーストは、たとえば80〜98質量%の正極活物質、1〜15質量%の導電材および1〜5質量%の結着材を含んでもよい。正極合材ペーストの固形分率(NV)は、後述するペースト塗布工程(S2)において正極合材ペーストの塗布を安定的に行う観点から、70質量%以上が好ましい。NVが70質量%未満の場合、正極合材ペーストの塗布が困難となる懸念がある。
(正極活物質、導電材および結着材)
正極活物質、導電材および結着材は特に限定されるべきではない。正極活物質は、たとえばLiCoO、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(NCM)、LiNi0.8Co0.15Al0.05(NCA)、LiMnO、LiMn、LiFePO等であってもよい。導電材は、たとえばアセチレンブラック(AB)、ファーネスブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、黒鉛等であってもよい。結着材は、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等であってもよい。
(溶媒)
本開示に係る非水電解質二次電池用正極の製造方法において、溶媒としてEMCが用いられる。EMCは吸湿性が低いため、大気中の水分(HO)を吸湿することが抑制されると考えられる。加えて、EMCは非水電解質に含まれる非水溶媒であり得る。そのため、正極中にEMCが残留していても、当該正極中に残留しているEMCに起因した、電池抵抗の上昇が発生する懸念は低いものと考えられる。
《ペースト塗布工程(S2)》
図1に示すように本工程(S2)は、正極集電体にペースト調製工程で調製された正極合材ペーストを塗布する工程である。これにより、正極集電体上に正極活物質、導電材、結着材、および溶媒を含む塗膜が形成される。正極合材ペーストの塗布には、たとえばダイコーター、スリットコーター、グラビアコーター、ディップコーター等の従来公知の塗布装置を用いることができる。正極集電体は、たとえばアルミニウム(Al)箔等であってもよい。正極集電体は、たとえば10〜30μmの厚さを有してもよい。
《ペースト乾燥工程(S3)》
図1に示すように本工程(S3)は、正極集電体に塗布された正極合材ペーストを乾燥させる工程である。本工程においては、正極合材ペーストに含まれるEMCが乾燥しきらない条件で正極合材ペーストの乾燥が行われる。具体的には、正極合材ペーストが塗布された正極集電体を真空乾燥装置内に配置し、たとえば80℃〜130℃の温度で所定時間、正極集電体に塗布された正極合材ペーストを乾燥させてもよい。乾燥時間は乾燥温度に応じて適宜調整すればよいが、たとえば乾燥温度が80℃の際には乾燥時間は10〜20秒であってもよい。
<非水電解質二次電池用負極>
非水電解質二次電池用負極(以下単に「負極」とも記される)は、負極合材層および負極集電体を含む。負極集電体は、たとえば銅(Cu)箔等でよい。負極集電体は、たとえば5〜20μm程度の厚さを有してもよい。負極合材層は、負極集電体の表面に形成されている。負極合材層は、たとえば10〜150μm程度の厚さを有してもよい。負極合材層は、負極活物質および結着材等を含有する。負極合材層は、たとえば95〜99質量%の負極活物質、および1〜5質量%の結着材を含有する。
負極活物質および結着材は特に限定されるべきではない。負極活物質は、たとえば黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、珪素、酸化珪素、錫、酸化錫等であってもよい。結着材は、たとえばカルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等であってもよい。
<セパレータ>
セパレータは、電気絶縁性の多孔質膜である。セパレータは、正極と負極とを電気的に隔離する。セパレータは、たとえば5〜30μmの厚さを有してもよい。セパレータは、たとえば多孔質ポリエチレン(PE)膜、多孔質ポリプロピレン(PP)膜等により構成され得る。セパレータは、多層構造を含んでもよい。たとえば、セパレータは、多孔質PP膜、多孔質PE膜、および多孔質PP膜がこの順序で積層されることにより構成されていてもよい。セパレータは、その表面に耐熱層を含んでいてもよい。耐熱層は、耐熱材料を含む。耐熱材料としては、たとえばアルミナ等の金属酸化物粒子、ポリイミド等の高融点樹脂等が挙げられる。
<非水電解質>
非水電解質は、非水溶媒および支持塩を含む。非水溶媒は、たとえばエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の環状あるいは鎖状の炭酸エステル類でよい。支持塩は、たとえばヘキサフルオロ燐酸リチウム(LiPF)、テトラフルオロ硼酸リチウム(LiBF)等のLi塩でよい。Li塩の濃度は、たとえば0.5〜2.0mоl/L程度でよい。非水電解質は、ビニレンカーボネート(VC)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等の添加剤を含んでいてもよい。
<電池ケース>
電池ケースは、たとえば角形(扁平直方体)であってもよいし、円筒形であってもよいし、袋状であってもよい。たとえば、アルミニウム(Al)、Al合金等の金属が電池ケースを構成する。ただし、電池ケースが所定の密閉性を有する限り、たとえば金属および樹脂の複合材が電池ケースを構成してもよい。金属および樹脂の複合材としては、たとえばアルミラミネートフィルム等が挙げられる。電池ケースは、外部端子、注液孔、ガス排出弁、電流遮断機構(CID)等を備えていてもよい。
<用途>
本開示に係る製造方法により製造された正極を含む電池は、たとえばハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等の動力電源として用いられる。ただし、本開示に係る非水電解質二次電池の用途は、車載用途に限定されるべきではなく、あらゆる用途に適用可能である。
以下、本開示の実施例が説明される。ただし以下の例は、特許請求の範囲を限定するものではない。
<実施例1>
1.正極合材ペーストの調製(ペースト調製工程(S1))
以下の材料が準備された。
正極活物質:NCA
導電材:AB
結着材:PVdF
正極溶媒:EMC
NCAとABとが1分間混合され、NCAとABとを含む混合物が形成された。当該混合物にNMPが添加され、プラネタリミキサにより、50rpmの条件で50分間混合され、NCA、ABおよびNMPを含む混合液が形成された。当該混合液にPVdFが添加され、5分間混合された。これにより、正極合材ペーストを得た。正極合材ペーストの固形分組成は、正極合材ペーストの固形分を100質量部としたとき、NCA93質量部、AB6質量部、PVdF1質量部であった。また、正極合材ペーストの固形分率(NV)は、75質量%であった。
2.正極合材ペーストの塗布(ペースト塗布工程(S2))
正極集電体であるAl箔(厚さ15μm)に、ペースト調製工程(S1)にて調製された正極合材ペーストがダイコーターによって塗布された。
3.正極合材ペーストの乾燥(ペースト乾燥工程(S3))
ペースト塗布工程(S2)にて正極合材ペーストが塗布された正極集電体が、乾燥炉にて乾燥された。乾燥条件は、正極合材層中の正極溶媒(EMC)の残留量が、正極合材層の質量に対して300ppmとなるよう、乾燥温度130℃、乾燥時間20秒とされた。以上より、正極が形成された。当該乾燥条件では正極合材層に含まれるEMCが乾燥しきらないため、正極にはEMCが残留している。正極に残留しているEMCの少なくとも一部は、正極活物質であるNCAを被覆しているものと考えられる。正極は圧延され、帯状に裁断された。
4.負極の製造
以下の材料が準備された。
負極活物質:粉末黒鉛
増粘材:CMC
結着材:SBR
溶媒:水
負極集電箔:Cu箔(厚さ10μm)
攪拌装置の攪拌槽に、粉末黒鉛、CMC、SBRおよび水を投入し、攪拌することにより、ペースト状の負極合材(以下、「負極合材ペースト」と記載する)が調製された。負極合材ペーストにおいて固形分の配合は、質量比で「粉末黒鉛:CMC:SBR=98:1:1」とされた。負極合材層用ペーストが、負極集電体の表面に塗布され、乾燥された。これにより負極合材層が形成された。以上により、負極が形成された。負極は圧延され、帯状に裁断された。
5.非水電解質の準備
以下の組成を有する非水電解質が準備された。
溶媒組成:[EC:DMC:EMC=3:4:3(体積比)]
支持塩:LiPF6(1.1mоl/L)
6.非水電解質二次電池の製造
帯状の正極、帯状の負極および帯状のセパレータ(PP/PE/PPの三層構造)がそれぞれ準備された。セパレータを挟んで、正極と負極とが対向するように、正極、セパレータ、負極、セパレータの順で積層され、さらに渦巻状に巻回された。これにより電極群が構成された。正極および負極に端子がそれぞれ接続された。アルミニウムからなり、内側表面に、膨張黒鉛層が配置され、当該膨張黒鉛層上に高熱伝導層が配置されている電池ケースに電極群が収納された。電池ケースに非水電解質が注入され、電池ケースが密閉された。以上より、非水電解質二次電池が製造された。非水電解質二次電池は、2.5〜4.1Vの電圧範囲で1.0Ahの容量を有するように設計されている。以上により、表1に記載の実施例1に係る非水電解質二次電池を得た。
<実施例2>
正極合材層中の正極溶媒(EMC)の残留量が、正極合材層の質量に対して1000ppmとなるよう、乾燥条件を乾燥温度80℃、乾燥時間20秒としたことを除いては、実施例1と同様にして正極が製造され、当該正極を含む非水電解質二次電池が作製された。
<実施例3>
正極合材層中の正極溶媒(EMC)の残留量が、正極合材層の質量に対して2500ppmとなるよう、乾燥条件を乾燥温度80℃、乾燥時間10秒としたことを除いては、実施例1と同様にして正極が製造され、当該正極を含む非水電解質二次電池が作製された。
<比較例1>
正極の製造において用いる正極溶媒をNMPとし、正極合材層中の正極溶媒(NMP)の残留量が、正極合材層の質量に対して300ppmとなるようにしたことを除いては、実施例1と同様にして正極が製造され、当該正極を含む非水電解質二次電池が作製された。
<比較例2>
正極の製造において用いる正極溶媒をNMPとし、正極合材層中の正極溶媒(NMP)の残留量が、正極合材層の質量に対して1000ppmとなるよう、乾燥条件を乾燥温度80℃、乾燥時間20秒としたことを除いては、実施例1と同様にして正極が製造され、当該正極を含む非水電解質二次電池が作製された。
<比較例3>
正極の製造において用いる正極溶媒をNMPとし、正極合材層中の正極溶媒(NMP)の残留量が、正極合材層の質量に対して2500ppmとなるよう、乾燥条件を乾燥温度80℃、乾燥時間10秒としたことを除いては、実施例1と同様にして正極が製造され、当該正極を含む非水電解質二次電池が作製された。
<正極合材層中の残留溶媒量の測定>
ガスクロマトグラフィーにより、製造された正極の集電体を除く部分(すなわち、正極合材層)における残留溶媒量が確認された。結果は下記表1の「正極合材層中の残留溶媒量」の欄に示されている。
<初期抵抗測定試験>
製造された各実施例および比較例に係る電池に対して、初期抵抗測定試験を行った。初期状態の各実施例および比較例に係る電池を温度25℃の環境下で充電を行い、SOC50%の充電状態に調整した。その後、25℃において5Cの電流で10秒間のパルス充電を行い、充電開始から10秒後の電圧上昇量から初期抵抗値(mΩ)が算出された。結果は下記表1の「初期抵抗比」の欄に示されている。表1中、「初期抵抗比」に示される値は、実施例1における初期抵抗値を100%として、その他の実施例および比較例の初期抵抗値を相対評価したものである。値が小さい程、初期抵抗値が小さいことを示している。
<大気暴露試験>
実施例1および比較例1においてペースト調製工程(S1)を経て調製された正極合材ペーストが準備された。実施例1において調製された正極合材ペースト、および比較例1において調製された正極合材ペーストの、調製直後(調整後0時間)、2時間の大気暴露後、および4時間の大気暴露後の粘度を測定した。結果は下記表1の「正極合材ペースト粘度」の欄に示されている。
Figure 2019040665
<結果>
上記表1および図2の結果から、正極活物質、導電材および結着材を溶媒(EMC)に分散させることにより正極合材ペーストを調製する工程(ペースト調製工程(S1))と、正極合材ペーストを正極集電体に塗布する工程(ペースト塗布工程(S2))と、正極集電体に塗布された正極合材ペーストを乾燥させる工程(ペースト乾燥工程(S3))とを含み、正極合材ペーストを乾燥させる工程を、溶媒(EMC)が乾燥しきらない条件で行うことにより、正極合材ペーストが大気暴露された際の正極合材ペーストの粘度増加の抑制と、抵抗成分の形成の抑制とが両立された正極が得られることが示された。
実施例1〜3と比較例1〜3との比較から、溶媒としてEMCを用いず、NMPを用いた場合には、初期抵抗比に改善の余地があることが示されている。
実施例1〜3においては、正極合材層中の残留溶媒(EMC)が増加すれば、初期抵抗比が減少する傾向を示した。正極合材層中の残留溶媒(EMC)の増加に伴い、正極活物質を覆うEMCの量が増加したものと考えられる。EMCは吸湿性が低いため、正極合材層中の残留溶媒(EMC)の増加(すなわち、正極活物質を覆うEMCの量の増加)に伴い、正極活物質表面に余剰リチウム(LiOH)が形成されることがより抑制されたためであると考えられる。対して比較例1〜3においては、正極合材層中の残留溶媒(NMP)が増加すれば、初期抵抗比が増加する傾向を示した。比較例においては、正極合材層中の残留溶媒(NMP)が大気中の水分(HO)を吸湿し、正極活物質表面に余剰リチウム(LiOH)が形成され、当該余剰リチウム(LiOH)と大気中の二酸化炭素(CO)とが反応し、製造された正極中に抵抗成分である炭酸リチウム(LiCO)が形成され、電池の抵抗増加を招いたものと考えられる。正極合材層中の残留溶媒(NMP)が増加すれば、NMPが吸着可能な大気中の水分(HO)量が増加するため、電池抵抗が正極合材層中の残留溶媒(NMP)の増加に伴い増加したものと考えられる。
実施例1と比較例1との比較から、溶媒としてEMCを用いず、NMPを用いた場合には、正極合材ペーストが大気暴露された際の、正極合材ペーストの粘度増加の抑制に改善の余地があることが示されている。なお、実施例2および3において製造された正極合材ペーストの大気暴露試験については実施例1と同様の傾向を示す結果が得られると考えられ、比較例2、3において製造された正極合材ペーストの大気暴露試験については比較例1と同様の傾向を示す結果が得られるものと考えられる。
実施例1においては、正極合材ペーストを調製するための溶媒として、吸湿性の低いEMCが用いられている。そのため、正極合材ペーストが大気暴露された際に、正極活物質表面における余剰リチウム(LiOH)の形成および炭酸リチウム(LiCO)の形成が抑制されたものと考えられる。対して比較例1においては、正極合材ペーストを調製するための溶媒として、NMPが用いられている。そのため、正極合材ペーストが大気暴露された際には正極活物質表面に余剰リチウム(LiOH)が形成され、正極合材ペーストの粘度が増加したものと考えられる。加えて、余剰リチウム(LiOH)と大気中の二酸化炭素(CO)とが反応し、炭酸リチウム(LiCO)が形成されることにより、正極合材ペーストの粘度が更に増加したものと考えられる。
上記の実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。特許請求の範囲によって定められる技術的範囲は、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。

Claims (1)

  1. 正極活物質と、導電材と、結着材と、溶媒とを含む非水電解質二次電池用正極の製造方法であって、
    前記正極活物質、前記導電材および前記結着材を前記溶媒に分散させることにより、正極合材ペーストを調製する工程と、
    前記正極合材ペーストを正極集電体に塗布する工程と、
    前記正極集電体に塗布された前記正極合材ペーストを乾燥させる工程とを含み、
    前記溶媒はエチルメチルカーボネートであり、
    前記正極合材ペーストを乾燥させる工程は、前記溶媒が乾燥しきらない条件で乾燥を行う工程である、
    非水電解質二次電池用正極の製造方法。
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