JP2004039569A - 電極用添加剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】、リチウムイオン電池の電極内、特に負極近傍でのリチウムとの接触、及び電気化学的反応により、バインダーとして機能低下、それに伴う電極膜の集電体からの剥離や電極抵抗の増加が少ない電極を作製するために好適な電極用添加剤を提供することにある。
【解決手段】本発明の電極用添加剤は、界面活性剤を含む含フッ素ポリマーの水性分散体からなり、そのポリマー分子構造中のフッ素含有率の上限値が67.0以下、かつフッ素含有率の下限値が45.0以上となる場合に、特に負極での電気化学的安定性に優れ、良好な電池初期特性、電池充放電特性を発現する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の電極用添加剤は、界面活性剤を含む含フッ素ポリマーの水性分散体からなり、そのポリマー分子構造中のフッ素含有率の上限値が67.0以下、かつフッ素含有率の下限値が45.0以上となる場合に、特に負極での電気化学的安定性に優れ、良好な電池初期特性、電池充放電特性を発現する。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池またはキャパシターの電極を作製する時に用いる電極用添加剤に関する。この電極用添加剤は、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、キャパシターの結着剤として用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン電池、及びリチウムポリマー電池用のバインダーは、添加量のほとんどが電極中に存在するため、二次電池では充放電挙動中に電気化学的な反応の影響を受けやすく、更に、含フッ素ポリマーバインダーにとっては、正極と負極では優位性が正反対の関係にある。すなわち、正極では耐酸化性が要求されるため、バインダーとしてのポリマー中に、C−F結合をより多く含んだ構造が安定である。代表的にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)があげられる。一方、負極では、耐還元性が必要となるため、フッ素を含まない構造、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ブタジエン系ゴム、EPDMゴム、カルボキシルメチルセルロース(CMC)などが知られている(特開平4−342966号公報、特開平5−21068号公報、特開平5−74461号公報参照)。また、耐薬品性、耐熱性、耐汚染性などのバランスがとれた材料選択をするため、フッ素樹脂のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという)をN−メチルピロリドン(以下、NMPという)などの有機溶剤に溶解させたPVDFバインダー溶液も一般的に使用されている(特開平9−289023号参照)。このように、PVDFを負極用途で使用する際には、接着性を向上するためカルボキシル基などの極性基を側鎖に導入できるマレイン酸エステルなどの有機酸系コモノマーを共重合することも紹介されている。(特開平6−172452号参照)。
更に、PVDFは、ポリマー電池用ゲル電解質膜としても利用できることが知られるが(米国特許4384047号参照)、ポリマー電池特性向上のため、PVDFを、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)などの含フッ素モノマーと共重合させ、結晶性を低下させることにより電解液で膨潤しやすいように工夫してかつ、電導性を向上させた上で使用されている(特表平8−507407号参照)。上記のように、PVDFもしくは、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(以下、P(VDF−HFP)という)は、フッ素樹脂の中でもリチウムイオン電池、及びリチウムポリマー電池用途として、両極で使用適性のあるユニークな材料であるが、使用上の課題も存在する。リチウムイオン電池負極用バインダーとして、PVDFを含フッ素モノマーの共重合により変成することは、PVDF以上にポリマー構造中にフッ素原子の化学結合を増やすことになるため、リチウムと直接的に接触、反応する可能性の高い負極内で使用されるバインダー、及び負極と界面接触するゲル電解質膜では、耐還元性の点から好ましくない。
また、PVDFを電極用バインダーとして使用する際は、一般的にNMPに溶解してから使用するタイプの乾燥粉末、もしくは既にポリマー濃度が8重量%〜12重量%のポリマー溶液を購入使用するしか手段はないのが現状であった。また、負極材料調整をSBRやCMCなどのように、水性ペースト状で行う場合には、PVDFでは、均一分散や水溶性ポリマーとの併用は困難であった。更に、NMPなどの有機溶剤で使用の形態で、PVDFの高分子量体を使用することが紹介されているが(特開平9−289023号公報参照)、やはり、溶解温度範囲や使用方法にノウハウが必要であり、容易に使用できるものでないことは明かである。更には、NMPペーストはNMPが塩基性成分を含むために水分存在化で脱フッ酸反応が起こり、ペーストが増粘、ゲル化するなどの問題がある(特開平9−180725号公報参照)。それを解決するため、ペースト中に有機酸を添加したり(特開平9−306502号公報参照)、pH調整が必要であったり(特開平9−180725号公報参照)、水分管理が必要であったりと、使用上ノウハウが必要であることも実際の使用者にとっては、扱いづらい使用形態であった。更に、バインダーとしての機能を複合化させるため、他のポリマーとのブレンド使用も検討されたようであるが、実際の使用には、NMPに溶解し、かつ、NMP溶液中でPVDF層と他のブレンドポリマー層とに相分離しないことが必要であり、ここでもポリマーブレンドの組み合わせの制限も小さくない(特開平9−199133号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、リチウムイオン電池の電極内、特に負極近傍でのリチウムとの接触、及び電気化学的反応により、バインダーとして機能低下、それに伴う電極膜の集電体からの剥離や電極抵抗の増加が少ない電極を作製するために好適な電極用添加剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明では、電極用バインダー、及びポリマー電池用ゲル電解質膜として、特に負極での電気化学的安定性の保持を目指し、含フッ素ポリマーを種々検討した。その結果、ポリマー分子構造中のフッ素の重量%(以後、含F率)、がPVDFおよび、P(VDF―HFP)と同等レベル、好ましくはそれ以下となる場合に、その含フッ素ポリマーをバインダーとして使用した電池が、優れた電池初期特性、電池充放電特性をすることを発見し、さらに検討を重ねた結果、本発明に至った。
本発明は、以下の電極用添加剤、電池、またはキャパシター用の電極、リチウムイオン電池、またはリチウムポリマー電池を提供するものである。
項1. 界面活性剤を含む含フッ素ポリマーの水性分散体からなる電極用添加剤であって、含フッ素ポリマーの一般式(1)で示されるフッ素含有率の上限値が67.0以下、かつフッ素含有率の下限値が45.0以上となることを特徴とする電極用添加剤。
【0005】
【数2】
【0006】
項2. 負極用添加剤である、項1に記載の電極用添加剤。
項3. 界面活性剤の主成分が、一般式(2)で示される非イオン性界面活性剤であり、かつ、ポリマー固形分に対して0.1〜25重量%使用する項1又は2に記載の電極用添加剤。
【0007】
【化2】
【0008】
(式中A1は −CH(CH3)CH2O− または −CH(CH3)−CH2CH2O− を示す。
【0009】
R1、R2は水素原子、炭素数1〜20の分岐、もしくは直鎖状アルキル基、または炭素数3〜20の分岐もしくは直鎖状アルケニル基を示す。
pは0〜400の整数、qは1〜400の整数、rは0〜400の整数であり、5≦p+q+r≦1000 及び 1≦(q+r)/p≦800(pが0でないとき)である。
ただし、p=0の時はr=0;
1≦p≦400の時は、0≦r≦400である。)
項4. 含フッ素ポリマーが、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/α(α:フッ化ビニリデン及びテトラフルオロエチレンと共重合しうる1種類以上の単量体)=100〜80/0〜20/0〜20 (モル%)である項1〜3のいずれかに記載の電極用添加剤。
項5. 含フッ素ポリマーが、エチレン/テトラフルオロエチレン/β(β:エチレン及びテトラフルオロエチレンと共重合しうる1種類以上の単量体)=40〜50/40〜50/0〜10 (モル%) である項1〜3のいずれかに記載の電極用添加剤。
項6. 含フッ素ポリマーが、乳化重合により得られたポリフッ化ビニリデン微粒子であり、かつ、その平均粒子径が0.02μm〜1.0μmであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(溶媒はN−メチルピロリドン、ポリスチレン換算)で測定した重量平均分子量が15万以上、好ましくは30万以上であることを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の電極用添加剤。
項7. 含フッ素ポリマーを、少なくとも2種類以上ブレンドしたものである項1〜6のいずれかに記載の電極用添加剤。
項8. 項1〜7のいずれかに記載の電極用添加剤を使用した電池、またはキャパシター用の電極。
項9. 項1〜7のいずれかに記載の電極用添加剤を電極用結着剤として使用したリチウムイオン電池、またはリチウムポリマー電池。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において使用することができる含フッ素ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体エラストマーなどが挙げられる。
【0011】
また、上記ポリマーに、共重合可能な単量体を0〜10モル%の範囲で適宜共重合させることにより、柔軟性や、電解液への膨潤性、電極基板への接着性、膜強度を制御することができる。共重合可能な単量体は、特に制限されないが、α及びβとして以下に例示される単量体が好ましい。
特に、共重合可能な単量体の好ましい具体例であるαとしては、特開平10−233217号に記載の単量体が挙げられる。中でも特に、負極での電気的安定性の面からは、不飽和炭化水素系モノマー、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2‐ブテンや、その他アルキルビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、酢酸ビニルなどのビニルエステル、フッ化ビニルなどが好ましいものとして挙げられるが、これに共重合可能であり、電池特性に悪影響を与えない範囲であれは限定されるものではない。
また、βとしては、前記αとほぼ同様なモノマーが適しているが、それに加えて、フッ化ビニルやフッ化ビニリデンが好ましい。
また、ポリフッ化ビニリデンやエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体を第一セグメントとし、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体やフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体を第二セグメントとするセグメント化ポリマーなども使用可能である。
本発明の含フッ素ポリマーは、乳化重合、懸濁重合、分散重合、溶液重合、超臨界重合、及びその乾燥微粒子を乳化剤で再分散したディスパージョンを水性分散体として使用することも可能であるが、重合後に既に微粒子の水性分散体(ディスパージョン)になっている乳化重合での作製が好ましい。なお、分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。分析条件は、溶剤にNMP(臭化リチウム 5mmol/L入り)を使用、測定温度40℃、サンプル濃度は0.15重量%、打ちこみ量500μLで行い、ポリスチレン換算でデータ解析を行った。PVDFを例に挙げると、通常バインダーとして市販されているDMF固有粘度で1.1(dl/g)のものをGPC測定すると約25万前後である。本発明で使用可能な範囲の分子量は、電極塗布乾燥、圧延後の強度、接着性が保持できるレベルの分子量以上であれば実質的に使用できるが、好ましくは下限約15万以上、さらに好ましくは30万以上、最も好ましくは40万以上であり、上限は100万〜1000万の範囲、例えば、NMPなどの溶剤には分散不可能な架橋高分子に近い領域のポリマーまで使用可能である。要するに、水性ペースト化して塗布乾燥した際に、溶融接着が可能な物性を示すポリマー粒子であれば使用可能なのであるが、あまり高分子量でも電極塗膜が接着しにくくなるので、分子量上限は好ましくは500万以下、より好ましくは350万以下、更に好ましくは200万以下が望ましい。
【0012】
次に、本発明のポリマーを、特に負極用の電池バインダーに使用する場合には、上記紹介した含フッ素ポリマー中のフッ素含有率(以下、「含F率」と略記することがある)を示す一般式(1)の計算値が、正極使用の場合は67.0以下、好ましくは62.0以下、さらに好ましくは60.0以下になることが必要であり、かつ、含F率の下限値は45.0以上、好ましくは50.0以上である。下限値45.0未満では、フッ素樹脂の耐熱性、耐溶剤性、などが劣るためである。
なお、含F率(単位は重量%)は以下の方法で規定される。
【0013】
【数3】
【0014】
なお、繰り返し単位の平均分子量の計算は、繰り返し単位を構成する分子式から、各元素の原子量を積算して行う。
(繰り返し単位の平均分子量の計算例)
ポリフッ化ビニリデンの繰り返し単位の平均分子量
炭素原子量12、水素原子量1、フッ素原子量19として、炭素数2、水素数2、フッ素数2より、繰り返し単位の平均分子量=12×2+1×2+19×2=64 となる。
以下、各種ポリマー毎の、含F率計算例を示す。
計算例(i) ポリフッ化ビニリデン: ―(C2H2F2)n―
繰り返し単位の平均分子量 64
含F率:100×(2×19)/64=59.4重量%
計算例(ii) エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体: ―(C2H4)m(C2F4)n―
繰り返し単位の平均分子量 64(m=nの場合)
含F率:100×(0.50×(0×19)+0.50×(4×19))/64=59.4重量%
計算例(iii) フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体:
フッ化ビニリデン95重量%、ヘキサフルオロプロピレン5重量%
フッ化ビニリデン97.8モル%、ヘキサフルオロプロピレン2.2モル%
繰り返し単位の平均分子量:65.9
含F率:100×(0.978×(2×19)+0.022×(6×19))/65.9=60.2重量%
計算例(iv) フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体
(フッ化ビニリデン60モル%、テトラフルオロエチレン40モル%)
繰り返し単位の平均分子量:78.4
含F率:100×(0.6×(2×19)+0.4×(4×19))/78.4=67.9重量%
計算例(v) ポリテトラフルオロエチレン: ―(C2F4)n―
繰り返し単位の平均分子量:100
含F率=100×(4×19)/100=76.0重量%
上記のように、計算例(i)〜(iii)が本発明の結着剤として正極、負極両方の使用で良好なポリマー例であり、計算例(iv)、計算例(v)は、両極での使用に適さないポリマー例である。計算例(iv)、計算例(v)は、含F率が67.0より大きなポリマーであるため、耐還元性に劣り、負極での劣化が激しく、ポリマー硬化、結着機能の低下が生じ、電池特性的にはサイクル劣化が起こるものと思われる。
次に、本発明の含フッ素ポリマー水性分散体の作製方法について記述する。一般的に、適当なポリマー固形分濃度に濃縮処理される。濃縮方法は、逆浸透膜濃縮法、電気泳動法、及び含フッ素ポリマーディスパージョンに非イオン性界面活性剤を加えた後、界面活性剤の曇点まで上昇させてポリマー粒子を沈殿濃縮させる方法、蒸発もしくは真空により水分を除去する乾燥濃縮などが挙げられる。また、ディスパージョンの保存安定性に問題はあるが、乳化重合により得られたポリマーの水性分散体を、非イオン性界面活性剤の存在しない状態で、必要に応じて濃縮、希釈することにより得られたディスパージョン状態で使用することも、もちろん可能である。
次に、上記のように、一般的に行われる濃縮過程では、ポリマー粒子同士の凝集、沈殿などを防止する目的で、色々な界面活性剤が使用される。本発明の電極用添加剤として適している、界面活性剤としては、以下に示すような非イオン性界面活性剤を挙げることができる。なお、必要に応じてアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記非イオン性界面活性剤は、含フッ素ポリマーのディスパージョンからなる電池またはキャパシターの電極用添加剤として保存し得るに十分な程度に、ディスパージョンを安定化させる性能を有する。
このような界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、下記式(2)で表される界面活性剤が例示される。
【0015】
【化3】
【0016】
(式中、R1、R2,A1,p、q及びrは、前記に定義されたとおりである)R1,R2は、好ましくは水素原子、炭素数1〜20の分岐、もしくは直鎖状アルキル基、または炭素数3〜20の分岐、もしくは直鎖状アルケニル基であり、pは0〜400の整数、qは1〜400の整数、rは0〜400の整数であり、5≦p+q+r≦1000 及び 1≦(q+r)/p≦800(pが0でないとき)である。
ただし、p=0の時はr=0;
1≦p≦400の時は、0≦r≦400である。
R1,R2は、好ましくは水素原子、炭素数1〜20の分岐、もしくは直鎖状アルキル基、より好ましくは炭素数1〜16の分岐、もしくは直鎖状アルキル基、更に好ましくは炭素数1〜7の分岐、特に好ましくは、1〜3の分岐、もしくは直鎖状アルキル基である。炭素数1〜20の分岐、もしくは直鎖状アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アイコシルなどの直鎖又は分枝を有する炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜7のアルケニル基としては、アリル基(2−プロペニル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基が挙げられる。
A1は、好ましくは−CH(CH3)CH2O−である。
pは好ましくは0〜80の整数、より好ましくは0〜40の整数が挙げられる。
【0017】
qは好ましくは1〜200の整数、より好ましくは1〜100の整数が挙げられる。
rは好ましくは0〜200の整数、より好ましくは0〜100の整数が挙げられる。
また、上記の式(2)のA1と(CH2CH2O)が入れ替わった構造をした界面活性剤、
R1−O−(A1)q−(CH2CH2O)p−(A1)r−R2
例えば、 HO−(CH(CH3)CH2O)5−(CH2CH2O)15−(CH(CH3)CH2O) 5−H
のような界面活性剤も使用可能である。
上記のような界面活性剤は、また、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ユニオンカーバイド社製: トライトンX−100)などと比べ、主鎖中にベンゼン環などの分解しにくく、かつ環境的にも有害な物質を含まないものであり、更に熱分解性が良好であるため、電極乾燥過程での分解飛散性がよく、電池用途には適している。
これら界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(日本油脂(株)製:ディスパノールTOC)、日本油脂株式会社製の、プロノン102,プロノン104,プロノン108,プロノン204,プロノン208などのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが挙げられる。
ただし、電池物性をそこなわない程度に限り、下記に列記した界面活性剤も併用可能である。
併用可能な界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ユニオンカーバイド社製: トライトンX−100)、高級アルコール硫酸エステル塩(例:ラウリル硫酸ナトリウム)、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(日本油脂(株)製:ディスパノールTOC)、ポリオキシエチレンオキシプロピレントリデシルエーテルなど、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリンエステル類、などが例示されるがこれらに限定されない。
アニオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基、特にパーフルオロアルキル基またはクロロフルオロアルキル基、特にパークロロフルオロアルキル基を有する含フッ素カルボン酸系または、含フッ素スルホン酸系界面活性剤を挙げることができる。市販品としては、例えば、パーフルオロオクタン酸アンモニウムの水溶液であるダイキン工業株式会社製 ユニダインDS101を挙げることができる。
アミンオキサイド類からなる界面活性剤としては、ジヒドロキシエチルアルキルアミンオキシド、ジメチルアルキルアミンオキシド、ジメチルアルキルエトキシアミンオキシドがある。市販品としては、例えば、日本油脂株式会社製のジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド(ユニセーフA−LE)、ジメチルラウリルアミンオキシド(ユニセーフA−LM)、ジメチルラウリルエトキシアミンオキシド(ユニセーフA−LY)などが挙げられる。
本発明の含フッ素ポリマー水性分散体を電池用バインダーとして使用する方法としては、通常は塗布する電極構成材料ペーストとして電極活物質、導電剤、結着剤に更に水溶性高分子からなる増粘剤、例えばカルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシドなどの水溶液を使用するのが一般的である。キャパシター電極用結着剤として使用する場合も同様に、カーボン、結着剤を水溶性高分子(例えばセルロース系)からなる増粘剤でペースト化し塗布、乾燥することにより作製が可能である。
【0018】
ここで言う電極構成材料としては、たとえば、コバルト、ニッケル、マンガン、リチウムなどの酸化物もしくは水酸化物または水素吸蔵合金などの電極(正極または負極)活物質、カーボン(黒鉛、アセチレンブラックなど)等の導電剤が例示され、キャパシタの電極構成材料としては、カーボン(活性炭、アセチレンブラックなど)が例示される。
なお、本発明では、電極用バインダーとしての使用を、含フッ素ポリマーを水性分散体として水性ペーストに添加混合する方法を主な使用形態としているが、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、超臨界重合などで得られたポリマーの乾燥粉末を、従来のPVDFのNMP溶液のように有機溶剤に溶解、もしくは分散が可能な場合は、そのような有機溶剤ペーストの塗布乾燥工程での使用も可能である。
本発明に係る含フッ素ポリマーをポリマー電池用ゲル電解質膜として使用する場合は、ポリマー単体を溶媒キャスト法や、溶融成形法などで製膜する。その際、多孔膜化することも可能。多孔膜化の手法は問わない。また、ゲル膜の強度、耐熱性能などを向上するために、無機系、有機系材料を問わず粉末、繊維状物質の添加、複合膜化、積層膜化、架橋膜化などの補強を施すこともできる。
電池またはキャパシターの電極を作製するときに用いる電極用結着剤として有用であるが、電極用撥水剤、及びその負極での電気的安定性を利用して、リチウムポリマー電池のゲル電解質としても使用可能である。
【0019】
また、電極用途でなくても、一般の含フッ素ポリマーディスパージョンが使用される水性塗料やコーティング剤、ガラスクロス含浸用塗料などに使用することもできる。
【0020】
また、一般の含フッ素水性ディスパージョンが使用される用途、たとえば水性塗料としてガラス繊維やカーボン繊維等の耐熱繊維織物の基材に被覆し搬送用ベルト、膜構築材料(テント膜)、グランドパッキン、バグフィルター等に用いる用途等に好適に用いることができる。更には、非粘着性を利用してエポキシ樹脂、ウレタンフォーム、硬質ウレタンゴム等の合成樹脂・ゴム成形金型や製紙乾燥ロール・シリンダーロールにコーティングする用途、耐薬品性を利用して反応釜、ダクト、配管、バルブ、ポンプ等の耐食コーティング用途、その他前述の膜構築材料(テント膜)の接着剤用途や電気絶縁用キャストフィルムにも応用できる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、含フッ素ポリマーの水性分散体をリチウムイオン電池の電極用結着剤に使用する際、接着性良好でかつ、正極、負極両方での使用を可能とし、特に負極での使用が良好である含フッ素ポリマーの開発を目的とした。
通常、PTFEなどはその耐酸化性良好な特性の反面、負極では耐還元性が劣り、正極のみの使用となり、負極と正極で、異なる電極用バインダーを使用する必要があった。また、含フッ素ポリマー結着剤でPVDFは唯一、両極での使用が可能な樹脂であったが、一般的な電極製造方法であるNMP溶剤ペースト塗布工程の採用により、NMP溶剤ペーストの粘度適性化のために分子量の使用制限範囲があったり、PVDFの分子構造上、塩基に弱い構造であったりと、改良すべき問題点も多い材料であった。実際に、高分子量PVDFを電極にした際には、電極の柔軟性が高い、強度のある電極が作製できる。
本発明では、PVDF、ETFE、及びそれらの微量変成ポリマーなど、ポリマー中の含フッ素重量%がPVDF相当、もしくはそれ以下となるポリマーを、乳化重合することにより得られたポリマー微粒子を非イオン性界面活性剤で安定化した水性分散体を結着剤とし、カルボキシルメチルセルロースなどの水溶性高分子により増粘した水溶性ペーストを塗布する方法を採用した。それにより、PVDFではこれまで、塗布不可能なまでNMPペースト粘度が上昇するため、使用できないでいた高分子量PVDFや、そのコポリマーなどを、ペースト粘度を上昇させることなく必要量使用することができ、かつ電極材料中への均一分散が可能となった。
【0022】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明する。
参考例1〜12:含フッ素ポリマーディスパージョンの作製
常法に従い、6L−ステンレス製オートクレーブ中で含フッ素ポリマーの乳化重合を行い、以下の表1に示される融点及び固形分濃度を有する含フッ素ポリマーのディスパージョンを得た。
いずれも、重合温度は80℃、開始剤はアンモニウムパーサルフェート(APS)、乳化剤にパーフルオロオクタン酸アンモニウム塩(PFOA)水溶液(商品名:DS101、ダイキン工業製)、連鎖移動剤にイソプロピルアルコール(IPA)を使用して重合を行った。分子量調整は、重合圧力と、連鎖移動剤、開始剤の量により調節した。
【0023】
【表1】
【0024】
注) VdF: フッ化ビニリデン、TFE: テトラフルオロエチレン、 HFP: ヘキサフルオロエチレン、 Et: エチレン、 PVDF: ポリフッ化ビニリデン、 PTFE: ポリテトラフルオロエチレン、 MMME: マレイン酸モノメチルエステル、 PVF: ポリフッ化ビニル
ディスパノールTOC: ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(日本油脂(株)製)
プロノン104、プロノン204:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(日本油脂(株)製)
Mw: GPC (NMP溶剤、ポリスチレン換算)の重量平均分子量
参考: PVDFのDMFの固有粘度 1.1dl/g のもので Mw 25万程度を示す。
【0025】
PVDFのDMFの固有粘度 1.3dl/g のもので Mw 29万程度を示す。
製造例1: 界面活性剤を使用して安定化された含フッ素ポリマーディスパージョンの調製
参考例で示された含フッ素ポリマーディスパージョンの適した濃縮方法として、重合後のディスパージョンに本発明に係る界面活性剤を加え一次安定化させた後、界面活性剤の曇点以上で一昼夜恒温にすることで濃縮されたディスパージョンを得る相分離法や、その他にも、膜分離法、電気濃縮法などの一般に知られた方法が挙げられる。このようにして、固形分濃度を40〜65重量%程度に濃縮した後、保存もしくは運搬時の分散安定性確保のため、仕上げに本発明に係る界面活性剤を追加添加し、安定性や液の粘性など取り扱い性を考慮した調整を施すなどして、最終的にポリマー固形分濃度55重量%の含フッ素ポリマーディスパージョンが得られた。
実施例1〜9及び比較例1〜3: ディスパージョンを電極用結着剤として用いて作製したコイン電池の電池物性測定
表1に示される含フッ素ポリマーディスパージョンを結着剤として用いて電池用電極を作製した。電池作製の処方としては、以下の方法で行った。
正極には、分子量25万のPVDFを固形分濃度を6重量%に調整したポリフッ化ビニリデンのNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液に、コバルト酸リチウム92重量部、アセチレンブラック3重量部、PVDFポリマー5重量部になるよう、添加し、均一混合し、スラリー化し、正極ペーストとした。
この正極ペーストをアルミニウム箔の表面にドクターブレード法により塗布し、120℃で30分乾燥させた後、100℃で真空乾燥を約10時間行い、水分除去したものを正電極とした。
負極には、1.5%カルボキシメチルセルロース水溶液を用い、黒鉛90重量部に対して、表1記載のポリマーディスパージョンのポリマー固形分濃度を10重量部相当量を、均一なスラリー化し、適宜、1.5%カルボキシメチルセルロース水溶液を追添加することにより、ドクターブレードで塗布可能な粘度に調整したペーストを、負極ペーストとした。
この負極ペーストを銅箔の表面にドクターブレード法により塗布し、まず、120℃で水分のみ乾燥した後、表1記載のポリマー融点近傍で、約5〜30分程度加熱し、ポリマー融着による集電体への接着を施した。その後、再び、120℃で10時間真空乾燥を行い、水分を除去し負電極とした。
【0026】
2016コイン型電池用部品を準備し、あらかじめ同コイン型電池の内径と同様の径に打ち抜いた正極板、負極板、さらにセパレータとしてポリプロピレンを用いた微多孔膜を準備した。
電解液としては電解質を1モル・dm−3のLiPF6として、EC(炭酸エチレン)とEMC(炭酸エチルメチル)の1:2体積比混合溶媒を用いて作製した。以上の部品を用いることにより2016コイン型電池を作製した。
作製された電池は内部の幾何面積に対して電流密度が0.5A・cm−2となるように電流値をセットし、電池電圧が4.2Vから3Vの間で充放電を実施した。この際、初期容量を5サイクル目の容量とし、50サイクル後の容量と比較することで、容量の保持率が90%以上(A)、または90%未満(B)の基準により電池の優劣を判定することとした。
電池測定結果:
実施例及び比較例全ての電池ともに電極塗膜の結着性は良好であった。しかし、電池特性においては、実施例1〜9までは、ほぼ問題ないレベルであったが、比較例1〜3は50サイクル後の放電容量は初期の90%未満となっており、実施例と比べ劣るものであった。特に、比較例3のPTFEを負極バインダーで使用した場合、途中で充電できなくなった。結果を表2に示した。
【0027】
【表2】
【0028】
表2のような結果になったのは、他のポリマーと比べ含F率が高く、更に、TFE連鎖部分も多く存在しているため、負極でのフッ素引き抜き反応がより多く起こり、電極内でのポリマー劣化が進行していったため、電極抵抗が上昇したためと考えられる。また、PVDFの中で、分子量が極端に大きなものになるほど、電極の結着性能が向上しているためと考えられる。
実施例10: ディスパージョンを電極用結着剤として用いて作製したコイン電池の電池物性測定
表1で示される含フッ素ポリマーディスパージョンのうち、参考例1と参考例7の2種類のディスパージョンを、重量比で50/50になるよう、ディスパージョンブレンドしたものを用いて、実施例1〜9と同様の処方で、正極と、負極とを作製し、実施例1〜9と同様に電池特性を測定した。ただし、負極作製時の乾燥温度は、ブレンドポリマーのうち、低い方の融点を持つ、参考例7のポリマー融点である148℃で行った。
【0029】
結果は、表3にあるように、50サイクル後の放電容量は良好な結果となり、特にブレンドしたことによる電極作製条件の違いからサイクル特性劣化へ悪影響を与えることなかった。電極作製条件の違いとは、使用ポリマー融点が168℃と148℃と異なるためにポリマーの融点が低い方の148℃で乾燥し、参考例7のポリマーの融解接着のみで電極作製を行ったことである。当初の懸念要因は、電極の集電体への接着性が各々ポリマーを単体で使用した実施例1、実施例7の場合と比べて劣ることであったが、前述のように問題なかった。
【0030】
【表3】
【0031】
実施例11及び比較例4
(実施例11): 参考例3で使用した濃縮ディスパージョンを使用して、CMC1.5%水溶液にコバルト酸リチウム92重量部、アセチレンブラック3重量部、PVDFポリマー5重量部になるよう、均一混合しスラリー化したものを、ドクターブレードでアルミ箔に塗布し乾燥した。接着性良好な正電極が作製できた。また、実施例1〜9の正極用バインダーとして使用した分子量25万のPVDFで作製した電極と比較してみたところ、参考例3のPVDFが高分子量タイプであっためか、電極を手で90度に約5回程度折り曲げた際に、粉落ちが少なく、柔軟性の優れた電極であった。
(比較例4): 同様に、参考例3で使用したPVDFの重合上がりのポリマーを凝析、乾燥したものを、NMPに固形分濃度を6重量%になるように調整したポリフッ化ビニリデンのNMP溶液に、コバルト酸リチウム92重量部、アセチレンブラック3重量部、PVDFポリマー5重量部になるよう添加し、均一混合し、スラリー化したところ、ペーストが増粘してうまく増粘できなかった。また、粘度を下げるため、NMPを増量して再度スラリー化したが、添加したNMP量が多すぎたためか、ドクターブレードでアルミ塗布した際に、塗布ペースト膜のはしが流れてしまい、均一な膜厚制御ができなかった。
これは、PVDFの分子量が、従来より非常に高いため、NMPペースト粘度が上がりすぎてしまうことが原因である。一方、実施例11では、PVDFが溶剤である水に溶解せず、分散している状態であり、ペースト粘度は分子量に伴って上昇することがないことを表している。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池またはキャパシターの電極を作製する時に用いる電極用添加剤に関する。この電極用添加剤は、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、キャパシターの結着剤として用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン電池、及びリチウムポリマー電池用のバインダーは、添加量のほとんどが電極中に存在するため、二次電池では充放電挙動中に電気化学的な反応の影響を受けやすく、更に、含フッ素ポリマーバインダーにとっては、正極と負極では優位性が正反対の関係にある。すなわち、正極では耐酸化性が要求されるため、バインダーとしてのポリマー中に、C−F結合をより多く含んだ構造が安定である。代表的にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)があげられる。一方、負極では、耐還元性が必要となるため、フッ素を含まない構造、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ブタジエン系ゴム、EPDMゴム、カルボキシルメチルセルロース(CMC)などが知られている(特開平4−342966号公報、特開平5−21068号公報、特開平5−74461号公報参照)。また、耐薬品性、耐熱性、耐汚染性などのバランスがとれた材料選択をするため、フッ素樹脂のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという)をN−メチルピロリドン(以下、NMPという)などの有機溶剤に溶解させたPVDFバインダー溶液も一般的に使用されている(特開平9−289023号参照)。このように、PVDFを負極用途で使用する際には、接着性を向上するためカルボキシル基などの極性基を側鎖に導入できるマレイン酸エステルなどの有機酸系コモノマーを共重合することも紹介されている。(特開平6−172452号参照)。
更に、PVDFは、ポリマー電池用ゲル電解質膜としても利用できることが知られるが(米国特許4384047号参照)、ポリマー電池特性向上のため、PVDFを、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)などの含フッ素モノマーと共重合させ、結晶性を低下させることにより電解液で膨潤しやすいように工夫してかつ、電導性を向上させた上で使用されている(特表平8−507407号参照)。上記のように、PVDFもしくは、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(以下、P(VDF−HFP)という)は、フッ素樹脂の中でもリチウムイオン電池、及びリチウムポリマー電池用途として、両極で使用適性のあるユニークな材料であるが、使用上の課題も存在する。リチウムイオン電池負極用バインダーとして、PVDFを含フッ素モノマーの共重合により変成することは、PVDF以上にポリマー構造中にフッ素原子の化学結合を増やすことになるため、リチウムと直接的に接触、反応する可能性の高い負極内で使用されるバインダー、及び負極と界面接触するゲル電解質膜では、耐還元性の点から好ましくない。
また、PVDFを電極用バインダーとして使用する際は、一般的にNMPに溶解してから使用するタイプの乾燥粉末、もしくは既にポリマー濃度が8重量%〜12重量%のポリマー溶液を購入使用するしか手段はないのが現状であった。また、負極材料調整をSBRやCMCなどのように、水性ペースト状で行う場合には、PVDFでは、均一分散や水溶性ポリマーとの併用は困難であった。更に、NMPなどの有機溶剤で使用の形態で、PVDFの高分子量体を使用することが紹介されているが(特開平9−289023号公報参照)、やはり、溶解温度範囲や使用方法にノウハウが必要であり、容易に使用できるものでないことは明かである。更には、NMPペーストはNMPが塩基性成分を含むために水分存在化で脱フッ酸反応が起こり、ペーストが増粘、ゲル化するなどの問題がある(特開平9−180725号公報参照)。それを解決するため、ペースト中に有機酸を添加したり(特開平9−306502号公報参照)、pH調整が必要であったり(特開平9−180725号公報参照)、水分管理が必要であったりと、使用上ノウハウが必要であることも実際の使用者にとっては、扱いづらい使用形態であった。更に、バインダーとしての機能を複合化させるため、他のポリマーとのブレンド使用も検討されたようであるが、実際の使用には、NMPに溶解し、かつ、NMP溶液中でPVDF層と他のブレンドポリマー層とに相分離しないことが必要であり、ここでもポリマーブレンドの組み合わせの制限も小さくない(特開平9−199133号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、リチウムイオン電池の電極内、特に負極近傍でのリチウムとの接触、及び電気化学的反応により、バインダーとして機能低下、それに伴う電極膜の集電体からの剥離や電極抵抗の増加が少ない電極を作製するために好適な電極用添加剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明では、電極用バインダー、及びポリマー電池用ゲル電解質膜として、特に負極での電気化学的安定性の保持を目指し、含フッ素ポリマーを種々検討した。その結果、ポリマー分子構造中のフッ素の重量%(以後、含F率)、がPVDFおよび、P(VDF―HFP)と同等レベル、好ましくはそれ以下となる場合に、その含フッ素ポリマーをバインダーとして使用した電池が、優れた電池初期特性、電池充放電特性をすることを発見し、さらに検討を重ねた結果、本発明に至った。
本発明は、以下の電極用添加剤、電池、またはキャパシター用の電極、リチウムイオン電池、またはリチウムポリマー電池を提供するものである。
項1. 界面活性剤を含む含フッ素ポリマーの水性分散体からなる電極用添加剤であって、含フッ素ポリマーの一般式(1)で示されるフッ素含有率の上限値が67.0以下、かつフッ素含有率の下限値が45.0以上となることを特徴とする電極用添加剤。
【0005】
【数2】
【0006】
項2. 負極用添加剤である、項1に記載の電極用添加剤。
項3. 界面活性剤の主成分が、一般式(2)で示される非イオン性界面活性剤であり、かつ、ポリマー固形分に対して0.1〜25重量%使用する項1又は2に記載の電極用添加剤。
【0007】
【化2】
【0008】
(式中A1は −CH(CH3)CH2O− または −CH(CH3)−CH2CH2O− を示す。
【0009】
R1、R2は水素原子、炭素数1〜20の分岐、もしくは直鎖状アルキル基、または炭素数3〜20の分岐もしくは直鎖状アルケニル基を示す。
pは0〜400の整数、qは1〜400の整数、rは0〜400の整数であり、5≦p+q+r≦1000 及び 1≦(q+r)/p≦800(pが0でないとき)である。
ただし、p=0の時はr=0;
1≦p≦400の時は、0≦r≦400である。)
項4. 含フッ素ポリマーが、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/α(α:フッ化ビニリデン及びテトラフルオロエチレンと共重合しうる1種類以上の単量体)=100〜80/0〜20/0〜20 (モル%)である項1〜3のいずれかに記載の電極用添加剤。
項5. 含フッ素ポリマーが、エチレン/テトラフルオロエチレン/β(β:エチレン及びテトラフルオロエチレンと共重合しうる1種類以上の単量体)=40〜50/40〜50/0〜10 (モル%) である項1〜3のいずれかに記載の電極用添加剤。
項6. 含フッ素ポリマーが、乳化重合により得られたポリフッ化ビニリデン微粒子であり、かつ、その平均粒子径が0.02μm〜1.0μmであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(溶媒はN−メチルピロリドン、ポリスチレン換算)で測定した重量平均分子量が15万以上、好ましくは30万以上であることを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の電極用添加剤。
項7. 含フッ素ポリマーを、少なくとも2種類以上ブレンドしたものである項1〜6のいずれかに記載の電極用添加剤。
項8. 項1〜7のいずれかに記載の電極用添加剤を使用した電池、またはキャパシター用の電極。
項9. 項1〜7のいずれかに記載の電極用添加剤を電極用結着剤として使用したリチウムイオン電池、またはリチウムポリマー電池。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において使用することができる含フッ素ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体エラストマーなどが挙げられる。
【0011】
また、上記ポリマーに、共重合可能な単量体を0〜10モル%の範囲で適宜共重合させることにより、柔軟性や、電解液への膨潤性、電極基板への接着性、膜強度を制御することができる。共重合可能な単量体は、特に制限されないが、α及びβとして以下に例示される単量体が好ましい。
特に、共重合可能な単量体の好ましい具体例であるαとしては、特開平10−233217号に記載の単量体が挙げられる。中でも特に、負極での電気的安定性の面からは、不飽和炭化水素系モノマー、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2‐ブテンや、その他アルキルビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、酢酸ビニルなどのビニルエステル、フッ化ビニルなどが好ましいものとして挙げられるが、これに共重合可能であり、電池特性に悪影響を与えない範囲であれは限定されるものではない。
また、βとしては、前記αとほぼ同様なモノマーが適しているが、それに加えて、フッ化ビニルやフッ化ビニリデンが好ましい。
また、ポリフッ化ビニリデンやエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体を第一セグメントとし、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体やフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体を第二セグメントとするセグメント化ポリマーなども使用可能である。
本発明の含フッ素ポリマーは、乳化重合、懸濁重合、分散重合、溶液重合、超臨界重合、及びその乾燥微粒子を乳化剤で再分散したディスパージョンを水性分散体として使用することも可能であるが、重合後に既に微粒子の水性分散体(ディスパージョン)になっている乳化重合での作製が好ましい。なお、分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。分析条件は、溶剤にNMP(臭化リチウム 5mmol/L入り)を使用、測定温度40℃、サンプル濃度は0.15重量%、打ちこみ量500μLで行い、ポリスチレン換算でデータ解析を行った。PVDFを例に挙げると、通常バインダーとして市販されているDMF固有粘度で1.1(dl/g)のものをGPC測定すると約25万前後である。本発明で使用可能な範囲の分子量は、電極塗布乾燥、圧延後の強度、接着性が保持できるレベルの分子量以上であれば実質的に使用できるが、好ましくは下限約15万以上、さらに好ましくは30万以上、最も好ましくは40万以上であり、上限は100万〜1000万の範囲、例えば、NMPなどの溶剤には分散不可能な架橋高分子に近い領域のポリマーまで使用可能である。要するに、水性ペースト化して塗布乾燥した際に、溶融接着が可能な物性を示すポリマー粒子であれば使用可能なのであるが、あまり高分子量でも電極塗膜が接着しにくくなるので、分子量上限は好ましくは500万以下、より好ましくは350万以下、更に好ましくは200万以下が望ましい。
【0012】
次に、本発明のポリマーを、特に負極用の電池バインダーに使用する場合には、上記紹介した含フッ素ポリマー中のフッ素含有率(以下、「含F率」と略記することがある)を示す一般式(1)の計算値が、正極使用の場合は67.0以下、好ましくは62.0以下、さらに好ましくは60.0以下になることが必要であり、かつ、含F率の下限値は45.0以上、好ましくは50.0以上である。下限値45.0未満では、フッ素樹脂の耐熱性、耐溶剤性、などが劣るためである。
なお、含F率(単位は重量%)は以下の方法で規定される。
【0013】
【数3】
【0014】
なお、繰り返し単位の平均分子量の計算は、繰り返し単位を構成する分子式から、各元素の原子量を積算して行う。
(繰り返し単位の平均分子量の計算例)
ポリフッ化ビニリデンの繰り返し単位の平均分子量
炭素原子量12、水素原子量1、フッ素原子量19として、炭素数2、水素数2、フッ素数2より、繰り返し単位の平均分子量=12×2+1×2+19×2=64 となる。
以下、各種ポリマー毎の、含F率計算例を示す。
計算例(i) ポリフッ化ビニリデン: ―(C2H2F2)n―
繰り返し単位の平均分子量 64
含F率:100×(2×19)/64=59.4重量%
計算例(ii) エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体: ―(C2H4)m(C2F4)n―
繰り返し単位の平均分子量 64(m=nの場合)
含F率:100×(0.50×(0×19)+0.50×(4×19))/64=59.4重量%
計算例(iii) フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体:
フッ化ビニリデン95重量%、ヘキサフルオロプロピレン5重量%
フッ化ビニリデン97.8モル%、ヘキサフルオロプロピレン2.2モル%
繰り返し単位の平均分子量:65.9
含F率:100×(0.978×(2×19)+0.022×(6×19))/65.9=60.2重量%
計算例(iv) フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体
(フッ化ビニリデン60モル%、テトラフルオロエチレン40モル%)
繰り返し単位の平均分子量:78.4
含F率:100×(0.6×(2×19)+0.4×(4×19))/78.4=67.9重量%
計算例(v) ポリテトラフルオロエチレン: ―(C2F4)n―
繰り返し単位の平均分子量:100
含F率=100×(4×19)/100=76.0重量%
上記のように、計算例(i)〜(iii)が本発明の結着剤として正極、負極両方の使用で良好なポリマー例であり、計算例(iv)、計算例(v)は、両極での使用に適さないポリマー例である。計算例(iv)、計算例(v)は、含F率が67.0より大きなポリマーであるため、耐還元性に劣り、負極での劣化が激しく、ポリマー硬化、結着機能の低下が生じ、電池特性的にはサイクル劣化が起こるものと思われる。
次に、本発明の含フッ素ポリマー水性分散体の作製方法について記述する。一般的に、適当なポリマー固形分濃度に濃縮処理される。濃縮方法は、逆浸透膜濃縮法、電気泳動法、及び含フッ素ポリマーディスパージョンに非イオン性界面活性剤を加えた後、界面活性剤の曇点まで上昇させてポリマー粒子を沈殿濃縮させる方法、蒸発もしくは真空により水分を除去する乾燥濃縮などが挙げられる。また、ディスパージョンの保存安定性に問題はあるが、乳化重合により得られたポリマーの水性分散体を、非イオン性界面活性剤の存在しない状態で、必要に応じて濃縮、希釈することにより得られたディスパージョン状態で使用することも、もちろん可能である。
次に、上記のように、一般的に行われる濃縮過程では、ポリマー粒子同士の凝集、沈殿などを防止する目的で、色々な界面活性剤が使用される。本発明の電極用添加剤として適している、界面活性剤としては、以下に示すような非イオン性界面活性剤を挙げることができる。なお、必要に応じてアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記非イオン性界面活性剤は、含フッ素ポリマーのディスパージョンからなる電池またはキャパシターの電極用添加剤として保存し得るに十分な程度に、ディスパージョンを安定化させる性能を有する。
このような界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、下記式(2)で表される界面活性剤が例示される。
【0015】
【化3】
【0016】
(式中、R1、R2,A1,p、q及びrは、前記に定義されたとおりである)R1,R2は、好ましくは水素原子、炭素数1〜20の分岐、もしくは直鎖状アルキル基、または炭素数3〜20の分岐、もしくは直鎖状アルケニル基であり、pは0〜400の整数、qは1〜400の整数、rは0〜400の整数であり、5≦p+q+r≦1000 及び 1≦(q+r)/p≦800(pが0でないとき)である。
ただし、p=0の時はr=0;
1≦p≦400の時は、0≦r≦400である。
R1,R2は、好ましくは水素原子、炭素数1〜20の分岐、もしくは直鎖状アルキル基、より好ましくは炭素数1〜16の分岐、もしくは直鎖状アルキル基、更に好ましくは炭素数1〜7の分岐、特に好ましくは、1〜3の分岐、もしくは直鎖状アルキル基である。炭素数1〜20の分岐、もしくは直鎖状アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アイコシルなどの直鎖又は分枝を有する炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜7のアルケニル基としては、アリル基(2−プロペニル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基が挙げられる。
A1は、好ましくは−CH(CH3)CH2O−である。
pは好ましくは0〜80の整数、より好ましくは0〜40の整数が挙げられる。
【0017】
qは好ましくは1〜200の整数、より好ましくは1〜100の整数が挙げられる。
rは好ましくは0〜200の整数、より好ましくは0〜100の整数が挙げられる。
また、上記の式(2)のA1と(CH2CH2O)が入れ替わった構造をした界面活性剤、
R1−O−(A1)q−(CH2CH2O)p−(A1)r−R2
例えば、 HO−(CH(CH3)CH2O)5−(CH2CH2O)15−(CH(CH3)CH2O) 5−H
のような界面活性剤も使用可能である。
上記のような界面活性剤は、また、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ユニオンカーバイド社製: トライトンX−100)などと比べ、主鎖中にベンゼン環などの分解しにくく、かつ環境的にも有害な物質を含まないものであり、更に熱分解性が良好であるため、電極乾燥過程での分解飛散性がよく、電池用途には適している。
これら界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(日本油脂(株)製:ディスパノールTOC)、日本油脂株式会社製の、プロノン102,プロノン104,プロノン108,プロノン204,プロノン208などのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが挙げられる。
ただし、電池物性をそこなわない程度に限り、下記に列記した界面活性剤も併用可能である。
併用可能な界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ユニオンカーバイド社製: トライトンX−100)、高級アルコール硫酸エステル塩(例:ラウリル硫酸ナトリウム)、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(日本油脂(株)製:ディスパノールTOC)、ポリオキシエチレンオキシプロピレントリデシルエーテルなど、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリンエステル類、などが例示されるがこれらに限定されない。
アニオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基、特にパーフルオロアルキル基またはクロロフルオロアルキル基、特にパークロロフルオロアルキル基を有する含フッ素カルボン酸系または、含フッ素スルホン酸系界面活性剤を挙げることができる。市販品としては、例えば、パーフルオロオクタン酸アンモニウムの水溶液であるダイキン工業株式会社製 ユニダインDS101を挙げることができる。
アミンオキサイド類からなる界面活性剤としては、ジヒドロキシエチルアルキルアミンオキシド、ジメチルアルキルアミンオキシド、ジメチルアルキルエトキシアミンオキシドがある。市販品としては、例えば、日本油脂株式会社製のジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド(ユニセーフA−LE)、ジメチルラウリルアミンオキシド(ユニセーフA−LM)、ジメチルラウリルエトキシアミンオキシド(ユニセーフA−LY)などが挙げられる。
本発明の含フッ素ポリマー水性分散体を電池用バインダーとして使用する方法としては、通常は塗布する電極構成材料ペーストとして電極活物質、導電剤、結着剤に更に水溶性高分子からなる増粘剤、例えばカルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシドなどの水溶液を使用するのが一般的である。キャパシター電極用結着剤として使用する場合も同様に、カーボン、結着剤を水溶性高分子(例えばセルロース系)からなる増粘剤でペースト化し塗布、乾燥することにより作製が可能である。
【0018】
ここで言う電極構成材料としては、たとえば、コバルト、ニッケル、マンガン、リチウムなどの酸化物もしくは水酸化物または水素吸蔵合金などの電極(正極または負極)活物質、カーボン(黒鉛、アセチレンブラックなど)等の導電剤が例示され、キャパシタの電極構成材料としては、カーボン(活性炭、アセチレンブラックなど)が例示される。
なお、本発明では、電極用バインダーとしての使用を、含フッ素ポリマーを水性分散体として水性ペーストに添加混合する方法を主な使用形態としているが、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、超臨界重合などで得られたポリマーの乾燥粉末を、従来のPVDFのNMP溶液のように有機溶剤に溶解、もしくは分散が可能な場合は、そのような有機溶剤ペーストの塗布乾燥工程での使用も可能である。
本発明に係る含フッ素ポリマーをポリマー電池用ゲル電解質膜として使用する場合は、ポリマー単体を溶媒キャスト法や、溶融成形法などで製膜する。その際、多孔膜化することも可能。多孔膜化の手法は問わない。また、ゲル膜の強度、耐熱性能などを向上するために、無機系、有機系材料を問わず粉末、繊維状物質の添加、複合膜化、積層膜化、架橋膜化などの補強を施すこともできる。
電池またはキャパシターの電極を作製するときに用いる電極用結着剤として有用であるが、電極用撥水剤、及びその負極での電気的安定性を利用して、リチウムポリマー電池のゲル電解質としても使用可能である。
【0019】
また、電極用途でなくても、一般の含フッ素ポリマーディスパージョンが使用される水性塗料やコーティング剤、ガラスクロス含浸用塗料などに使用することもできる。
【0020】
また、一般の含フッ素水性ディスパージョンが使用される用途、たとえば水性塗料としてガラス繊維やカーボン繊維等の耐熱繊維織物の基材に被覆し搬送用ベルト、膜構築材料(テント膜)、グランドパッキン、バグフィルター等に用いる用途等に好適に用いることができる。更には、非粘着性を利用してエポキシ樹脂、ウレタンフォーム、硬質ウレタンゴム等の合成樹脂・ゴム成形金型や製紙乾燥ロール・シリンダーロールにコーティングする用途、耐薬品性を利用して反応釜、ダクト、配管、バルブ、ポンプ等の耐食コーティング用途、その他前述の膜構築材料(テント膜)の接着剤用途や電気絶縁用キャストフィルムにも応用できる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、含フッ素ポリマーの水性分散体をリチウムイオン電池の電極用結着剤に使用する際、接着性良好でかつ、正極、負極両方での使用を可能とし、特に負極での使用が良好である含フッ素ポリマーの開発を目的とした。
通常、PTFEなどはその耐酸化性良好な特性の反面、負極では耐還元性が劣り、正極のみの使用となり、負極と正極で、異なる電極用バインダーを使用する必要があった。また、含フッ素ポリマー結着剤でPVDFは唯一、両極での使用が可能な樹脂であったが、一般的な電極製造方法であるNMP溶剤ペースト塗布工程の採用により、NMP溶剤ペーストの粘度適性化のために分子量の使用制限範囲があったり、PVDFの分子構造上、塩基に弱い構造であったりと、改良すべき問題点も多い材料であった。実際に、高分子量PVDFを電極にした際には、電極の柔軟性が高い、強度のある電極が作製できる。
本発明では、PVDF、ETFE、及びそれらの微量変成ポリマーなど、ポリマー中の含フッ素重量%がPVDF相当、もしくはそれ以下となるポリマーを、乳化重合することにより得られたポリマー微粒子を非イオン性界面活性剤で安定化した水性分散体を結着剤とし、カルボキシルメチルセルロースなどの水溶性高分子により増粘した水溶性ペーストを塗布する方法を採用した。それにより、PVDFではこれまで、塗布不可能なまでNMPペースト粘度が上昇するため、使用できないでいた高分子量PVDFや、そのコポリマーなどを、ペースト粘度を上昇させることなく必要量使用することができ、かつ電極材料中への均一分散が可能となった。
【0022】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明する。
参考例1〜12:含フッ素ポリマーディスパージョンの作製
常法に従い、6L−ステンレス製オートクレーブ中で含フッ素ポリマーの乳化重合を行い、以下の表1に示される融点及び固形分濃度を有する含フッ素ポリマーのディスパージョンを得た。
いずれも、重合温度は80℃、開始剤はアンモニウムパーサルフェート(APS)、乳化剤にパーフルオロオクタン酸アンモニウム塩(PFOA)水溶液(商品名:DS101、ダイキン工業製)、連鎖移動剤にイソプロピルアルコール(IPA)を使用して重合を行った。分子量調整は、重合圧力と、連鎖移動剤、開始剤の量により調節した。
【0023】
【表1】
【0024】
注) VdF: フッ化ビニリデン、TFE: テトラフルオロエチレン、 HFP: ヘキサフルオロエチレン、 Et: エチレン、 PVDF: ポリフッ化ビニリデン、 PTFE: ポリテトラフルオロエチレン、 MMME: マレイン酸モノメチルエステル、 PVF: ポリフッ化ビニル
ディスパノールTOC: ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(日本油脂(株)製)
プロノン104、プロノン204:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(日本油脂(株)製)
Mw: GPC (NMP溶剤、ポリスチレン換算)の重量平均分子量
参考: PVDFのDMFの固有粘度 1.1dl/g のもので Mw 25万程度を示す。
【0025】
PVDFのDMFの固有粘度 1.3dl/g のもので Mw 29万程度を示す。
製造例1: 界面活性剤を使用して安定化された含フッ素ポリマーディスパージョンの調製
参考例で示された含フッ素ポリマーディスパージョンの適した濃縮方法として、重合後のディスパージョンに本発明に係る界面活性剤を加え一次安定化させた後、界面活性剤の曇点以上で一昼夜恒温にすることで濃縮されたディスパージョンを得る相分離法や、その他にも、膜分離法、電気濃縮法などの一般に知られた方法が挙げられる。このようにして、固形分濃度を40〜65重量%程度に濃縮した後、保存もしくは運搬時の分散安定性確保のため、仕上げに本発明に係る界面活性剤を追加添加し、安定性や液の粘性など取り扱い性を考慮した調整を施すなどして、最終的にポリマー固形分濃度55重量%の含フッ素ポリマーディスパージョンが得られた。
実施例1〜9及び比較例1〜3: ディスパージョンを電極用結着剤として用いて作製したコイン電池の電池物性測定
表1に示される含フッ素ポリマーディスパージョンを結着剤として用いて電池用電極を作製した。電池作製の処方としては、以下の方法で行った。
正極には、分子量25万のPVDFを固形分濃度を6重量%に調整したポリフッ化ビニリデンのNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液に、コバルト酸リチウム92重量部、アセチレンブラック3重量部、PVDFポリマー5重量部になるよう、添加し、均一混合し、スラリー化し、正極ペーストとした。
この正極ペーストをアルミニウム箔の表面にドクターブレード法により塗布し、120℃で30分乾燥させた後、100℃で真空乾燥を約10時間行い、水分除去したものを正電極とした。
負極には、1.5%カルボキシメチルセルロース水溶液を用い、黒鉛90重量部に対して、表1記載のポリマーディスパージョンのポリマー固形分濃度を10重量部相当量を、均一なスラリー化し、適宜、1.5%カルボキシメチルセルロース水溶液を追添加することにより、ドクターブレードで塗布可能な粘度に調整したペーストを、負極ペーストとした。
この負極ペーストを銅箔の表面にドクターブレード法により塗布し、まず、120℃で水分のみ乾燥した後、表1記載のポリマー融点近傍で、約5〜30分程度加熱し、ポリマー融着による集電体への接着を施した。その後、再び、120℃で10時間真空乾燥を行い、水分を除去し負電極とした。
【0026】
2016コイン型電池用部品を準備し、あらかじめ同コイン型電池の内径と同様の径に打ち抜いた正極板、負極板、さらにセパレータとしてポリプロピレンを用いた微多孔膜を準備した。
電解液としては電解質を1モル・dm−3のLiPF6として、EC(炭酸エチレン)とEMC(炭酸エチルメチル)の1:2体積比混合溶媒を用いて作製した。以上の部品を用いることにより2016コイン型電池を作製した。
作製された電池は内部の幾何面積に対して電流密度が0.5A・cm−2となるように電流値をセットし、電池電圧が4.2Vから3Vの間で充放電を実施した。この際、初期容量を5サイクル目の容量とし、50サイクル後の容量と比較することで、容量の保持率が90%以上(A)、または90%未満(B)の基準により電池の優劣を判定することとした。
電池測定結果:
実施例及び比較例全ての電池ともに電極塗膜の結着性は良好であった。しかし、電池特性においては、実施例1〜9までは、ほぼ問題ないレベルであったが、比較例1〜3は50サイクル後の放電容量は初期の90%未満となっており、実施例と比べ劣るものであった。特に、比較例3のPTFEを負極バインダーで使用した場合、途中で充電できなくなった。結果を表2に示した。
【0027】
【表2】
【0028】
表2のような結果になったのは、他のポリマーと比べ含F率が高く、更に、TFE連鎖部分も多く存在しているため、負極でのフッ素引き抜き反応がより多く起こり、電極内でのポリマー劣化が進行していったため、電極抵抗が上昇したためと考えられる。また、PVDFの中で、分子量が極端に大きなものになるほど、電極の結着性能が向上しているためと考えられる。
実施例10: ディスパージョンを電極用結着剤として用いて作製したコイン電池の電池物性測定
表1で示される含フッ素ポリマーディスパージョンのうち、参考例1と参考例7の2種類のディスパージョンを、重量比で50/50になるよう、ディスパージョンブレンドしたものを用いて、実施例1〜9と同様の処方で、正極と、負極とを作製し、実施例1〜9と同様に電池特性を測定した。ただし、負極作製時の乾燥温度は、ブレンドポリマーのうち、低い方の融点を持つ、参考例7のポリマー融点である148℃で行った。
【0029】
結果は、表3にあるように、50サイクル後の放電容量は良好な結果となり、特にブレンドしたことによる電極作製条件の違いからサイクル特性劣化へ悪影響を与えることなかった。電極作製条件の違いとは、使用ポリマー融点が168℃と148℃と異なるためにポリマーの融点が低い方の148℃で乾燥し、参考例7のポリマーの融解接着のみで電極作製を行ったことである。当初の懸念要因は、電極の集電体への接着性が各々ポリマーを単体で使用した実施例1、実施例7の場合と比べて劣ることであったが、前述のように問題なかった。
【0030】
【表3】
【0031】
実施例11及び比較例4
(実施例11): 参考例3で使用した濃縮ディスパージョンを使用して、CMC1.5%水溶液にコバルト酸リチウム92重量部、アセチレンブラック3重量部、PVDFポリマー5重量部になるよう、均一混合しスラリー化したものを、ドクターブレードでアルミ箔に塗布し乾燥した。接着性良好な正電極が作製できた。また、実施例1〜9の正極用バインダーとして使用した分子量25万のPVDFで作製した電極と比較してみたところ、参考例3のPVDFが高分子量タイプであっためか、電極を手で90度に約5回程度折り曲げた際に、粉落ちが少なく、柔軟性の優れた電極であった。
(比較例4): 同様に、参考例3で使用したPVDFの重合上がりのポリマーを凝析、乾燥したものを、NMPに固形分濃度を6重量%になるように調整したポリフッ化ビニリデンのNMP溶液に、コバルト酸リチウム92重量部、アセチレンブラック3重量部、PVDFポリマー5重量部になるよう添加し、均一混合し、スラリー化したところ、ペーストが増粘してうまく増粘できなかった。また、粘度を下げるため、NMPを増量して再度スラリー化したが、添加したNMP量が多すぎたためか、ドクターブレードでアルミ塗布した際に、塗布ペースト膜のはしが流れてしまい、均一な膜厚制御ができなかった。
これは、PVDFの分子量が、従来より非常に高いため、NMPペースト粘度が上がりすぎてしまうことが原因である。一方、実施例11では、PVDFが溶剤である水に溶解せず、分散している状態であり、ペースト粘度は分子量に伴って上昇することがないことを表している。
Claims (9)
- 負極用添加剤である、請求項1に記載の電極用添加剤。
- 界面活性剤の主成分が、一般式(2)で示される非イオン性界面活性剤であり、かつ、ポリマー固形分に対して0.1〜25重量%使用する請求項1又は2に記載の電極用添加剤。
R1、R2は水素原子、炭素数1〜20の分岐、もしくは直鎖状アルキル基、または炭素数3〜20の分岐もしくは直鎖状アルケニル基を示す。
pは0〜400の整数、qは1〜400の整数、rは0〜400の整数であり、5≦p+q+r≦1000 及び 1≦(q+r)/p≦800(pが0でないとき)である。
ただし、p=0の時はr=0;
1≦p≦400の時は、0≦r≦400である。) - 含フッ素ポリマーが、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/α (α:フッ化ビニリデン及びテトラフルオロエチレンと共重合しうる1種類以上の単量体)=100〜80/0〜20/0〜20 (モル%)である請求項1〜3のいずれかに記載の電極用添加剤。
- 含フッ素ポリマーが、エチレン/テトラフルオロエチレン/β(β:エチレン及びテトラフルオロエチレンと共重合しうる1種類以上の単量体)=40〜50/40〜50/0〜10 (モル%) である請求項1〜3のいずれかに記載の電極用添加剤。
- 含フッ素ポリマーが、乳化重合により得られたポリフッ化ビニリデン微粒子であり、かつ、その平均粒子径が0.02μm〜1.0μmであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(溶媒はN−メチルピロリドン、ポリスチレン換算)で測定した重量平均分子量が15万以上、好ましくは30万以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電極用添加剤。
- 含フッ素ポリマーを、少なくとも2種類以上ブレンドしたものである請求項1〜6のいずれかに記載の電極用添加剤。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電極用添加剤を使用した電池、またはキャパシター用の電極。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電極用添加剤を電極用結着剤として使用したリチウムイオン電池、またはリチウムポリマー電池。
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