JP2019039063A - 熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法および熱伝導性グリース用表面処理粉末 - Google Patents

熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法および熱伝導性グリース用表面処理粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導性を維持したまま絶縁性及び耐水性を有し、有機樹脂との反応性を抑制しながら濡れ性を向上させることが可能な熱伝導性グリース用表面処理粉の製造方法を提供する。【解決手段】大気圧下でプラズマ化された反応ガスと、キャリアガスを介して供給された有機ケイ素化合物とを混合し、有機ケイ素化合物をラジカル化させて、ラジカル化有機ケイ素化合物を得るラジカル化工程S1と、ラジカル化有機ケイ素化合物を無機粉末の表面と反応させることにより、表面にポリシロキサンからなる被覆膜を形成する被覆膜形成工程S3とを有し、被覆膜形成工程によって、平均膜厚が1nm以上100nm以下であり、かつ平均膜厚に対する膜厚のばらつきが20%以下である被覆膜を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法および熱伝導性グリース用表面処理粉末に関する。
LED等に代表される発光素子は発熱に伴う素子の酸化の進行により寿命に至るため、長寿命化を実現するためには、放熱による温度の低下が必要である。この発光素子と放熱部材を接合する熱伝導性材料には、樹脂と金属およびその金属酸化物などとを混合しシート状にしたものや、シリコンオイルおよびグリース類に添加し、半固体状で接合する熱伝導性ペーストと呼ばれる製品群がある。これらの熱伝導性材料は、有機材料に熱伝導性のフィラーを加えたものと表現することができるが、熱伝導性フィラーにはフィラーそのものの熱伝導性の高さのみならず、熱伝導率はフィラー充填量と比例することから、有機材料との親和性の良さが求められる。さらに、熱伝導性材料は、高電圧近傍での使用も多く、絶縁性を求める場合が多い。これらの特性の要求を充足するため、熱伝導性フィラーとしてはセラミック系のBN、Al、ZnOなどが用いられることが多い。
一方、多くの金属粉末は、熱伝導性が高いものの、その金属粉末が有する触媒活性や有機樹脂材料との濡れ性の悪さ、さび、腐食、酸化、硫化などに対する安定性の悪さから使用できない場合が多い。そこで、従来から金属材料の触媒活性抑制、濡れ性の改善、さびや腐食などの耐候性を改善する方法として、物理蒸着法(PVD法)や化学蒸着法(CVD法)による金属粉末の表面を改質する方法が多く報告されている。例えば、特許文献1では、有機ケイ素化合物を真空容器内で銅粉末と共に配置し、減圧下、40℃以上150℃以下かつ1時間以上200時間以下で保持することにより、防錆性、撥水性、耐食性を有する銅粉末が得られることが開示されている。
上述した例も含め、近年、半導体デバイスのパワー密度上昇に伴い、放熱材料にはより高度な放熱特性が求められている。デバイスの放熱を実現する材料としては、サーマルインターフェースマテリアルと呼ばれる材料があり、その使用量は急速に拡大している。
サーマルインターフェースマテリアルとは、半導体素子の発生する熱をヒートシンクまたは筐体等に逃がす経路の熱抵抗を緩和するための材料であり、シート、ゲル、グリース、放熱基板、半導体封止材など多様な形態が用いられている。一般に、このサーマルインターフェースマテリアルは熱伝導性のフィラーを、エポキシ、シリコーンの様な樹脂に分散した複合材料で、フィラーとしてはシリカやアルミナが多く用いられている。しかし、シリカ、アルミナの熱伝導率は各々1W/mK、30W/mK程度であり、アルミナを用いた複合材料でも、その熱伝導率は1〜3W/mK程度に留まっている。このように近年の半導体デバイスのパワー密度上昇により、サーマルインターフェースマテリアルには、より高い熱伝導率が求められるようになって来た。
このため近年では、熱伝導率の高い窒化アルミニウムをフィラーとするサーマルインターフェースマテリアルが開発されつつある。しかし、窒化アルミニウムには、その表面が水と反応して加水分解するという問題がある
このような問題を解決するための手段として、例えば、特許文献2には、酸化アルミニウム被膜もしくはリン酸系被膜を有する窒化アルミニウム粉末を、有機珪素系カップリング剤、有機燐酸系カップリング剤またはホスフェート基含有の有機チタン系カップリング剤で処理する方法が提案されている。
また、特許文献3には、リン酸、リン酸の金属塩又は炭素数が12以下の有機基を有する有機リン酸で窒化アルミニウム粉末を処理する方法が提案されている。
さらに、特許文献4には窒化アルミニウム粉末を、炭素含量が一定の範囲となるように、アルキルホスホン酸を用いて表面処理することにより、耐水性向上させると同時に、リンの溶出量をより少なく抑制できる方法が提案されている。
また、近年、大気圧プラズマCVD法を用いた表面処理が、低コストで、緻密な被覆膜を形成することができるため注目を集めている。例えば、特許文献5には、有機ケイ素化合物からなる噴霧液体コーティング形成材料を大気圧プラズマ放電中に導入し、金属などの基板をこの噴霧コーティング形成材料に晒すことにより、基板の表面に、ポリジメチルシロキサンなどからなるコーティング(被覆膜)を形成する方法が開示されている。
特開2016−172922号公報 特開平7−33415号公報 国際公開第2012/147999号 国際公開第2015/137263号 特表2004−510571号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、気相と固相との接触による高温不均質反応であるため、銅粒子表面に被覆膜を均一に形成するのは困難であり、膜厚の制御も難しい。
また、特許文献2、3、4の方法では、液相と固相との接触による不均質反応であるため、窒化アルミニウム粒子表面に被覆膜を均一に形成するのは困難であり、膜厚の制御も難しい。さらにこれらの処理方法では耐水性を向上しながらも、リンを含む以上、完全に溶出を抑制することは困難であった。さらに、特許文献5の大気圧プラズマCVD法では、窒化アルミニウムからなる基板の表面にポリメチルジシロキサンのコーティング膜を形成することで耐侯性が向上できることが記載されているが、有機樹脂との反応性を抑制し、濡れ性を向上させ、耐侯性を向上させるために、コーティング膜を形成した金属粉末が記載されていない。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて考案されたものであり、熱伝導性を維持したまま絶縁性及び耐水性を有し、有機樹脂との反応性を抑制しながら濡れ性を向上させることが可能な、新規かつ改良された熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法および熱伝導性グリース用表面処理粉末を提供することを目的とする。
すわなち、本発明の一態様では、無機粉末の表面に被覆膜が形成される熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法であって、大気圧下でプラズマ化された反応ガスと、キャリアガスを介して供給された有機ケイ素化合物とを混合し、該有機ケイ素化合物をラジカル化させて、ラジカル化有機ケイ素化合物を得るラジカル化工程と、前記ラジカル化有機ケイ素化合物を前記無機粉末の表面と反応させることにより、該表面にポリシロキサンからなる前記被覆膜を形成する被覆膜形成工程とを有し、前記被覆膜形成工程によって、平均膜厚が1nm以上100nm以下であり、かつ該平均膜厚に対する膜厚のばらつきが20%以下である前記被覆膜を形成する。
また、本発明の一態様では、前記ラジカル化工程後に、螺旋状のガス流によって画定され、前記ラジカル化有機ケイ素化合物が均一に分散した反応領域を形成する反応領域形成工程をさらに有し、前記被覆膜形成工程において、前記反応領域内に前記無機粉末を供給し、前記ラジカル化有機ケイ素化合物を前記無機粉末の表面と反応させることにより、該表面にポリシロキサンからなる前記被覆膜を形成することが好ましい。
また、本発明の一態様では、前記螺旋状のガス流は、酸素または空気を用いることで形成されることが好ましい。
また、本発明の一態様では、前記ラジカル化工程において、前記金属粉末1gに対して、前記有機ケイ素化合物を0.006g以上0.3g以下で供給することが好ましい。
また、本発明の一態様では、前記無機粉末は、アルミおよび窒化アルミニウムから選択される群のうち少なくとも1種の元素を含み、かつ熱伝導率が100W/mK以上であることが好ましい。
さらに、本発明の他の態様では、金属粉末と該金属粉末の表面がポリシロキサンで形成される被覆膜とを含み、前記被覆膜の平均膜厚が1nm以上100nm以下であり、かつ該平均膜厚に対する膜厚のばらつきが20%以下であることを特徴とする。
また、本発明の他の態様では、示差熱・熱重量測定により下記関係式がR=1.25倍以上であることが好ましい。
(関係式) R=Tc/Tb
[式中、Rは、耐酸化性改善度を示し、Tbは、金属粉末の酸化による発熱ピーク温度を示し、Tcは、表面処理粉末の酸化による発熱ピーク温度を示す。]
本発明の他の態様では、前記無機粉末は金属粉末とすることができる。
或いは、本発明の他の態様では、前記無機粉末は、アルミおよび窒化アルミニウムから選択される群のうち少なくとも1種の元素を含み、かつ熱伝導率が100W/mK以上であるとすることができる。
本発明によれば、熱伝導性を維持したまま絶縁性及び耐水性を有し、有機樹脂との反応性を抑制しながら濡れ性を向上させる熱伝導性グリース用表面処理粉末が得られる。
本発明の一形態に係る熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法の概略を示すフロー図である。 実施例1で得られた表面処理粉末の断面TEM像である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
[1.表面処理粉末の製造方法]
まず、本発明の一実施形態に係る熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法(以下、「表面処理粉末の製造方法」ともいう。)について図面を使用して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法の概略を示すフロー図である。本実施形態に係る表面処理粉末の製造方法は、無機粉末と、無機粉末の表面がポリシロキサンで形成される被覆膜とを含むものであり、図1に示すように、有機シラン化合物をラジカル化するラジカル化工程S1と、反応領域を形成する反応領域形成工程S2と、被覆膜を形成する被覆膜形成工程S3とを有する。以下、各工程S1〜S3をそれぞれ説明する。なお、市販の大気圧プラズマ重合処理装置(以下、「装置」ともいう。)を用いている。また、本実施形態において、無機粉末とは、金属単体粉末および合金粉末、さらに窒化アルミニウムのような金属の無機化合物を総称したものである。
ラジカル化工程S1は、大気圧プラズマ重合処理により大気圧下でプラズマ化された反応ガスと、キャリアガスを介して導入された有機ケイ素化合物とを混合し、有機ケイ素化合物をラジカル化することにより、ラジカル化有機ケイ素化合物を得る工程である。
プラズマ重合処理は従来から広く知られた技術であるが、本実施形態で利用する大気圧プラズマ重合処理は、常態では進行しない化学反応を、大気圧プラズマによる反応粒子の活性化により進行させるものである。このような大気圧プラズマ重合処理は、連続処理に向いているため生産性が高く、真空装置が不要であるため処理コストが低く、簡単な装置構成で済むといった利点もある。
本発明者らは、本実施形態で使用される大気圧プラズマ重合処理において、予めプラズマ化した反応ガス中に、キャリアガスを介して導入された有機ケイ素化合物を混合噴霧することにより、有機ケイ素化合物を瞬時にラジカル化させることができるため、有機ケイ素化合物の基本骨格を維持したまま、ラジカル化した有機ケイ素化合物と無機粉末とを反応させることにより、ポリシロキサンからなる緻密な被覆膜を無機粉末の表面全体にわたって均一に形成することが可能となるとの知見を得た。
これに対して、従来技術の大気圧プラズマCVD法を利用した被覆膜の形成方法では、反応ガスと、キャリアガスと、被覆材料とを装置内に供給した後、反応ガスのプラズマ化と被覆材料の活性化(ラジカル化)が同時に行われるため、被覆材料の活性化が不均一なものとなる。この結果、被覆膜は緻密なものとならず、また、熱伝導性フィラー粒子の表面全体に被覆膜を均一に形成することも困難となる。
このように、本実施形態では、ポリシロキサンからなる緻密な被覆膜を無機粉末の表面全体にわたって均一に形成するため、反応ガスのプラズマ化と被覆材料の活性化とを同時に行わず、反応ガスのプラズマ化した後、被覆材料の活性化を行うことが重要である。
また、大気圧プラズマとしては、コロナ放電、誘電体バリア放電、RF放電、マイクロ波放電、アーク放電などを挙げることができるが、本実施形態では、特に制限されることなく、いずれも適用可能である。このため、プラズマ化するために使用する装置としては、大気圧下で反応ガスをプラズマ化することができるものであれば、特に制限されることなく、公知のプラズマ発生装置を使用することができる。なお、本実施形態において、大気圧とは、大気圧(1013.25hPa)およびその近傍の気圧を含み、通常の大気圧の変化の範囲内の気圧も含まれる。
反応ガスとしては、プラズマ化が容易なものであれば特に制限されることはなく、たとえば、Ar(アルゴン)、He(ヘリウム)、N(窒素)、O(酸素)、および空気などの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。これらの反応ガスは、単独で使用してもよく、2種類以上を、所定の割合で混合して使用してもよい。なお、生産コストの観点から、N、O、または空気を使用することが好ましい。また、反応ガスの流速は、特に限定されない。
反応ガスをプラズマ化するための条件としては、使用するプラズマ装置や、目的とする被覆膜の厚さなどにより適宜選択されるべきものであるが、有機ケイ素化合物を効率よくラジカル化し、高品質の被覆膜を形成する観点から、ジェネレータ出力電圧を150V以上350V以下とするのが好ましく、200V以上330V以下の範囲とするのがより好ましい。ジェネレータ出力電圧が150V以上であれば、反応ガスが十分にプラズマ化することができ、有機ケイ素化合物を十分にラジカル化することができる。また、350V以下であれば、装置の破損といった問題が生じにくい。
キャリアガスとしては、気化した有機ケイ素化合物を搬送することができるものであれば特に制限されることはない。たとえば、Ar、He、およびNなどの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。これらのキャリアガスは、単独で使用してもよく、2種類以上を所定の割合で混合して使用してもよい。なお、生産コストの観点から、Nを使用することが好ましい。また、キャリアガスの流速は、特に限定されない。
被覆膜を形成するための被覆材料として、常温で液体であり、且つ有機置換基としてアルコキシ基、アルキル基、フルオロアルキル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基、ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基の群から選択される少なくとも1種を有する有機ケイ素化合物を使用することができる。具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート基同士が結合したトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、4−トリメトキシシリルプロピルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、ヘプタデカフルオロデシルメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ペンタフルオロブチルトリプロポキシシラン、パーフルオロヘキシルエチルメトキシシラン、パーフルオロペンチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロヘキシルエチルエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロペンチルエチルメチルジエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルメチルジエトキシシラン、パーフルオロペンチルエチルメチルジプロポキシシラン、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、オクタメチルトリシロキサン(OMTSO)、デカメチルテトラシロキサン(DMTSO)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(HMCTSO)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTSO)、デカメチルシクロペンタシロキサン(DMCPSO)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTSO)から選ばれる少なくとも1種の有機ケイ素化合物を使用することができる。この中でも、下記の化学式(1)によって表されるヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)は、沸点が99.5℃で、無色かつ無臭の液体であり、空気中において高い安定性を示し、その取扱いが容易であるため、好適に使用することができる。また、形成された被覆膜の表面にはHMDSOの置換基である複数のメチル基が存在するので、表面処理粉末は、有機材料との濡れ性や耐酸化性の改善度が高いものとなる。
Figure 2019039063
有機ケイ素化合物の導入量は、原料となる無機粉末の粒径や被覆膜の厚さ、プラズマ化条件などによっても異なるが、例えば、TEMで測定した100個の平均粒径9μmの銅粉を対象とした場合、銅粉1gに対する有機ケイ素化合物の導入量を0.006g以上0.3g以下とすることが好ましい。有機ケイ素化合物の導入量が0.006g以上であれば、被覆膜の平均膜厚が1nm以上で均一に表面全体を被覆することができる。一方、有機ケイ素化合物の導入量が0.3g以下であれば、被覆膜の平均膜厚を100nm以下とすることができる。すなわち、本実施形態では、薄膜かつ均一に無機粉末の表面を被覆するため、無機粉末1gに対して、有機ケイ素化合物を0.006g以上0.3g以下で供給することが好ましい。
また、本実施形態では、作業効率上の観点から、コート回数が1回であることが好ましいが、コート回数を増やすことで無機粉末の表面に形成される被覆膜の平均膜厚を累積的に厚くすることができる。なお、無機粉末と有機ケイ素化合物との割合にもよるが、被覆膜の平均膜厚が厚すぎると、無機粉末由来の熱伝導性が低下するため、コート回数は5回以下がよい。
次に、反応領域形成工程S2は、螺旋状のガス流によって画定され、ラジカル化工程S1で得られたラジカル化有機ケイ素化合物が均一に分散した反応領域を形成する工程である。本実施形態では、ラジカル化した有機ケイ素化合物が均一に分散し、有機ケイ素化合物が無機粉末と反応可能な反応領域を予め形成しておくことが好ましい。なお、この反応領域内における有機ケイ素化合物はラジカル化している限り、その状態が制限されることはなく、単量体、半重合体、および重合体のうちのいずれの状態であってもよい。
反応領域では、ラジカル化有機ケイ素化合物が均一に分散した螺旋状のガス流内で、原料の無機粉末とラジカル化有機ケイ素化合物との反応が、同時かつ同程度の反応速度で進行する。そのため、本実施形態で作製される表面処理粉末は、得られる被覆膜を極めて均一に形成することができる。このような表面処理粉末は、緻密な被覆膜であるため、酸化性や接合性などの特性が良好なものとなる。
上記反応領域を形成する方法は、特に制限されることはない。たとえば、装置内に、予めガス流を導入し、上述したラジカル化工程S1で生成したラジカル化有機ケイ素化合物を、この螺旋状のガス流と混合することにより形成することができる。また、装置外でラジカル化工程S1を行い、生成したラジカル化有機ケイ素化合物を、キャリアガスを用いて螺旋状のガス流として装置内に導入してもよい。ただし、ラジカル化有機ケイ素化合物は不安定であり、すぐに通常の有機ケイ素化合物と戻ってしまうことを考慮すると、前者の方法が好ましい。
螺旋状のガス流は、例えば、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素、および空気の群から選択される少なくとも1種、すなわち、上述したキャリアガスと同種のガス、または、これらのガスに装置外で生成したラジカル炭化水素化合物を混合したものを螺旋状に流れるように、装置内に導入することで、形成することができる。さらに、被覆膜を薄く形成する場合には、酸素や空気(特に乾燥空気)を用いて螺旋状のガス流を形成することが好ましい。これは、酸素や空気を用いることで被覆膜中の酸素導入量を増加させることでき、その結果、被覆膜の緻密性や平滑性を向上させることが可能となるからである。
螺旋状のガス流は、その断面積が、被覆対象となる無機粉末の直径よりも大きくなるように形成することが必要となる。また、螺旋状のガス流の流速(進行方向に対する速度および周方向に対する速度)は、目的とする被覆膜の厚さや無機粉末の性状(有機ケイ素化合物との反応性)に応じて、適宜選択することが必要となる。このため、予備試験を実施した上で、螺旋状のガス流の速度を設定することが好ましい。
次に、被覆膜形成工程S3は、反応領域に原料となる無機粉末を供給し、ラジカル化有機ケイ素化合物を無機粉末の表面と反応させることにより、この無機粉末の表面に被覆膜を形成する工程である。これにより、ラジカル化した有機ケイ素化合物をプラズマ重合させながら、被覆膜の平均膜厚が1nm以上100nm以下であり、かつ平均膜厚に対する膜厚のばらつきが20%以下である表面処理粉末を得ることができる。なお、本実施形態において、平均膜厚とは、表面処理粉末に備わる被覆膜の断面を任意に選択した50ヶ所について透過型電子顕微鏡(TEM)により観察して、平均値を算出したものをいう。また、ばらつきが20%以下とは、任意に選択した50ヶ所のいずれかの膜厚を平均膜厚で差し引いた絶対値を、平均膜厚で除算した百分率として表した際に、±20%以下の状態をいう。
熱伝導性グリース用表面処理粉末の原料としては、高い熱伝導率を有する金属単体粉末または合金粉末(金属粉末)が挙げられる。表面処理技術により、金属粉末の表面に被覆膜を形成し、高い熱伝導性を維持しつつ、絶縁性を付与することができる。この表面処理粉末に含まれる金属粉末としては、グリースの使用可能な温度範囲を広げるため、例えば、アルミ、金、銀、および銅などの群のうち少なくとも1種の上記元素を含むことが好ましい。中でも、銅は熱伝導率が約390W/mKと高くコストも比較的安価であるので、金属粉末としては銅がより好ましい。
無機粉末は、銅やアルミ等の金属単体粉末およびこれらの金属を含む合金粉末、または窒化アルミニウムのような金属の無機化合物が用いられる。熱伝導性グリース用の無機粉末としては製法により熱伝導率は変化するが熱伝導率が100W/mK以上であることが好ましい。本発明の一実施形態に係る熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法を適用することにより、100W/mK以上といった高い熱伝導率を有する表面処理粉末を得ることが可能となる。
無機粉末の形状は特に限定されないが、球状、紡錘形状、偏平形状、不定形状が挙げられる。中でも、無機粉末の表面を覆う被覆膜の厚みを均一にする場合、球状が好ましい。
無機粉末の平均粒径は特に限定されないが、材料内部に熱が流れる伝熱路を確保するため、1.5μm以上20μm以下であることが好ましい。なお、平均粒径とは、レーザー回折法で得られる体積基準の粒度分布を示すものである。
熱伝導性グリース用として、最密充填や接触点の観点から2つのピークを持つ(大小2種類の粒径)ものを用いても良いし、数種類の粒径のものを混ぜても良い。
被覆膜は、ポリシロキサン膜から構成される。ポリシロキサン膜を構成するポリシロキサンの種類は任意であるが、無機粉末表面の酸化の進行を抑制する観点から、その主鎖に、シロキサン結合(Si−O−Si)を有し、かつ、単位Siあたりに、アルキル基(R)が1個〜3個結合しているポリアルキルシロキサンRSiO−(RSi−O)−SiR(n=1、2、3・・・)が好ましく、特に、単位Siあたりに、メチル基が2個〜3個結合しているポリジメチルポリシロキサン(CHSiO−((CHSi−O)−Si(CH(n=1、2、3・・・)がより好ましい。
このようなポリシロキサンからなる被覆膜は、所定条件の大気圧プラズマ重合処理によって、無機粉末の表面全体に形成することができる。このポリシロキサンからなる被覆膜の平均膜厚は1nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは8nm以上30nm以下とする。得られる表面処理粉末は、無機粉末の表面を上記数値範囲にある薄膜で覆うことにより、所望とする電気絶縁性や熱伝導性を有し、コア部の無機粉末の酸化も抑制される。ポリシロキサンからなる被覆膜の平均膜厚が1nm未満である場合、十分な電気絶縁性を得ることができない。また、保管時及び実装時においても無機粉末粒子表面の酸化を抑制できず、熱伝導性の低下を抑制することができない。一方、この平均膜厚が100nmを越える場合、ポリシロキサンからなる被覆膜が無機粉末粒子間の熱伝導経路網を遮断することがなく、熱伝導性の低下を抑制することができない。なお、被覆膜の厚さは、上記表面処理粉末を樹脂に埋包した後、表面処理粉末の断面を露出させ、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより求めることができる。
また、被覆膜形成工程S3では、反応領域形成工程S2でラジカル化有機ケイ素化合物が均一に分散した反応領域に、無機粉末を搬送することにより、平均膜厚に対する膜厚のばらつきが20%以下といった膜厚の均一性の高い表面処理粉末が得られる。
無機粉末の表面に形成される被覆膜の平均膜厚が1nm〜100nmの範囲に調整する。このような被覆膜の平均膜厚の数値範囲は、被覆材料として導入する有機ケイ素化合物の量や螺旋状のガス流の速度の他、無機粉末の搬送速度によっても制御することができる。具体的には、被覆膜形成工程S2では、無機粉末の搬送速度を1g/分〜100g/分とすることが好ましく、5g/分〜50g/分とすることがより好ましく、8g/分〜20g/分とすることがさらに好ましい。無機粉末の搬送速度が1g/分未満では、被覆膜が厚くなりすぎるおそれがあるばかりでなく、生産性が著しく低下するおそれがある。一方、搬送速度が100g/分を超えると、被覆膜の平均膜厚が1nm以下になったり、被覆膜の厚さにばらつきが生じたりするおそれがある。
[2.表面処理粉末]
次に、上述した表面処理粉末の製造方法により作製された熱伝導性グリース用表面処理粉末(以下、「表面処理粉末」ともいう。)を説明する。本発明の一実施形態に係る熱伝導性グリース用表面処理粉末は、無機粉末とこの無機粉末の表面に形成される被覆膜とを含む。そして、被覆膜の平均膜厚が1nm以上100nm以下であり、かつ平均膜厚に対する膜厚のばらつきが20%以下であることを特徴とする。なお、本実施形態では、上述した表面処理粉末の製造方法における重複する説明を割愛する。
本実施形態に係る表面処理粉末は、この無機粉末の表面に薄膜かつ均一である被覆膜が形成されることにより、無機粉末が有する高い熱伝導率を維持している。さらに、この表面処理粉末は、ポリシロキサンからなる被覆膜により、絶縁性も有している。
また、本実施形態に係る表面処理粉末は、熱伝導フィラーとして使用する際にグリースの使用可能な温度範囲を広げるため、示差熱・熱重量測定(TG−DTA)により下記関係式がR=1.25倍以上であることが好ましく、R=1.50倍以上がより好ましい。
(関係式) R=Tc/Tb
[式中、Rは、耐酸化性改善度を示し、Tbは、金属粉末の酸化による発熱ピーク温度を示し、Tcは、表面処理粉末の酸化による発熱ピーク温度を示す。]
このTG−DTAの測定条件は、大気下で、測定温度範囲として室温〜500℃まで昇温速度10℃/分で昇温する。
[3.まとめ]
以上より、本実施形態に係る熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法は、大気圧下でプラズマ化された反応ガスと、キャリアガスを介して供給された有機ケイ素化合物とを混合し、有機ケイ素化合物をラジカル化させて、ラジカル化有機ケイ素化合物を得るラジカル化工程と、ラジカル化有機ケイ素化合物を無機粉末の表面と反応させることにより、この表面にポリシロキサンからなる被覆膜を形成する被覆膜形成工程とを有し、被覆膜形成工程によって、平均膜厚が1nm以上100nm以下であり、かつ平均膜厚に対する膜厚のばらつきが20%以下である被覆膜を形成する。
本実施形態によれば、無機粉末に対して、1回の処理で、含ケイ素化合物を主に含む緻密な被覆膜を薄くかつ均一に形成することができるため、その生産性を飛躍的に向上させることができる。また、この製造方法は、被覆材料として、常態で液体である有機ケイ素化合物を使用し、かつ、被覆膜を乾式の方法により形成しているため、取扱いが容易であるだけでなく、安全性にも優れている。さらに、このように作製された表面処理粉末は、熱伝導性、電気絶縁性及び耐水性に優れ、有機樹脂との反応性を抑制しながら濡れ性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る熱伝導性グリース用表面処理粉末は、無機粉末とこの無機粉末の表面に形成される被覆膜とを含み、被覆膜の平均膜厚が1nm以上100nm以下であり、かつ平均膜厚に対する膜厚のばらつきが20%以下である。
この表面処理粉末は、無機粉末の表面がポリシロキサンからなる膜で被覆されることにより、この無機粉末が空気と直接接触しない。そのため、上記表面処理粉末は、ポリシロキサンからなる被覆膜を備えない無機粉末と比べ、耐酸化性が向上する。具体的には、上記表面処理粉末は、被覆膜を備えない無機粉末と比べ、示差熱・熱重量測定により求められる酸化開始温度が1.25倍以上高いものである。そのため、基油とこの表面処理粉末とを混合したグリースは、電子材料として使用温度域が広がるので、有用である。
以下、本発明の実施例を示して具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではない。なお、実施例では、上述した本発明の一形態に係る熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法の概略を示すフロー図(図1参照)および実施例1で得られた表面処理粉末の断面TEM像(図2参照)を使用しながら説明する。
[銅粉を用いた表面処理粉末]
実施例1では、被覆膜を有する銅粉を作製するため、平均粒径が5μmの銅粉の表面に大気圧重合処理装置(日本プラズマトリート株式会社製、プラズマポリマーラボシステム PAD−1型)を用いて、含ケイ素化合物からなる被覆膜を形成した。
はじめに、大気圧下でプラズマ化された反応ガス(N)に、キャリガス(N)を介して導入したヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、東京化成株式会社製)を混合し、ヘキサメチルジシロキサンをラジカル化することにより、ラジカル化ヘキサメチルジシロキサンを得た(ラジカル化工程S1)。なお、プラズマ化条件を以下に示す。
<プラズマ化条件>
・プラズマ発生装置の発信周波数:21kHz
・ジェネレータの出力電圧 :280V
・圧力 :大気圧(1013.25hPa)
一方、装置内にNを螺旋状のガス流として導入し、この螺旋状のガス流に対して、大気圧重合処理装置のノズルからラジカル化ヘキサメチルジシロキサンを噴霧し、螺旋状のガス流とラジカル化ヘキサメチルジシロキサンが混合した反応領域を形成した(反応領域形成工程S2)。
この状態で、反応領域に銅粉を上方から供給して落下させ、反応領域の略中心部を通過させることにより、この銅粉の表面に被覆膜を形成した(被覆膜形成工程S3)。この際、銅粉1gあたりのラジカル化有機ケイ素化合物の反応量を0.015g、銅粉の搬送速度を10g/分に調整した。これにより、表面処理粉末を得た。
また、得られた表面処理粉末をステンレス板の上に盛り、水(体積4μL)を滴下して接触角測定装置(協和界面科学(株)製、CA−X150)を用いて濡れ性を測定した。その結果、接触角は90°以上であった。
実施例2では、ラジカル化工程においてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)をテトラメチルジシロキサン(TMDSO)に変更したこと以外、実施例1と同様にして、表面処理粉末を得た。
実施例3では、ラジカル化工程においてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)をテトラエトキシシラン(TEOS)に変更したこと以外、実施例1と同様にして、表面処理粉末を得た。
実施例4では、コート回数について1回を5回に変更したこと以外、実施例1と同様にして、表面処理粉末を得た。
比較例1では、実施例1の原料である銅粉末を表面改質しなかった。
比較例2では、銅粉1gあたりのラジカル化有機ケイ素化合物の反応量を0.5gで供給したこと以外、実施例1と同様にして、表面処理粉末を得た。
比較例3では、銅粉1gあたりのラジカル化有機ケイ素化合物の反応量を0.005gで供給したこと以外は、実施例1と同様にして、表面処理粉末を得た。
実施例1〜4および比較例1〜3で得られた表面処理粉末の作製条件を表1に示す。
Figure 2019039063
次いで、実施例1〜4および比較例1〜3に示す作製条件にて得られた表面処理粉末について、以下の評価方法により確認した。なお、得られた表面処理銅粉の特性を評価した結果を表2に示す。
<評価方法>
(1)被膜膜の平均膜厚と膜厚のばらつき
表面処理粉末を樹脂に埋包し、表面処理粉末の断面を露出させた。その後、表面処理粉末の断面を任意に選択した50ヶ所について透過型電子顕微鏡(TEM:日立社製 HF−2200)により観察して、被覆膜の平均膜厚を測定した。また、上記50ヶ所について、膜厚のばらつきを算出した。なお、被覆膜の厚さは、実施例1で得られた表面処理粉末を樹脂に埋包した後、表面処理粉末の断面を露出させ、図2に示すように、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。
(2)絶縁性
表面処理粉末を治具に入れて圧縮することで作製された圧粉成形体について四端子法による抵抗測定装置を用いて、絶縁性を測定した。
(3)熱伝導率
上述した圧粉成形体について、レーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定した。
(4)溶出試験(反応性)
表面処理粉末0.5gとオレイン酸3.0gを混合し、室温で1日静置した。静置後、目視で確認し、溶出の有無を評価した。表面処理粉末がオレイン酸に溶出されない場合には「○」で示し、表面処理粉末がオレイン酸に溶出された場合には「×」と表2に示した。
(5)耐酸化性改善度(Tc/Tb)
示差熱・熱重量測定(TG−DTA)により、得られた表面処理粉末の酸化による発熱ピーク温度(Tc)を測定した。この測定では、示差熱−熱重量分析装置(ブルカーエイエックスエス社製、TG−DTA2010SA)を用いて、測定雰囲気が大気下で、測定温度範囲として室温〜500℃まで昇温速度10℃/分で昇温した。その結果、耐酸化性改善度(Tc/Tb)が1.50倍以上を「◎」、1.25倍以上1.50倍未満を「○」、1.05倍以上1.25倍未満を「△」、1.05倍未満を「×」と表2に示した。なお、Tbとは、TG−DTAで測定される銅粉末の酸化によるピーク温度をいう。
Figure 2019039063
(実施例による考察)
実施例1〜4で得られた表面処理粉末は、大気圧プラズマCVD法によりコーティングされた被覆膜が薄くかつ均一であった。そのため、これらの表面処理粉末の圧粉成形体は、熱伝導率が100W/mK以上であり、かつ絶縁性が2000V/cm以上であった。すなわち、これらの表面処理粉末は、原料粉末である銅由来の熱伝導率を維持しつつ、絶縁性にも優れていた。また、これらの表面処理粉末は、ポリシロキサン膜の単量体である有機ケイ素化合物の置換基であるアルキル基の存在により、有機材料に対する溶出試験が優れていた。
また、これらの表面処理粉末では、被覆膜として形成されたポリシロキサン膜により、熱による酸化を抑制することも確認された。中でも、実施例1,4では、有機ケイ素化合物がHMDSOであるため、実施例2,3で使用した有機ケイ素化合物と比べ、より複数のメチル基が置換されているため、耐酸化性改善度について優れていることが確認された。
さらに、図2に示したTEM像を観察したところ、ラジカル化有機ケイ素化合物を銅粉末の表面と反応させることにより、表面にポリシロキサンからなる被覆膜は、薄膜かつ均一であることが確認された。
一方、比較例1の銅粉末は、大気圧プラズマCVD法により表面を被覆膜でコーティングされていないので、実施例1と比べ、絶縁性が低かった。また、比較例2で得られた表面処理粉末は、実施例1〜4と比べ、被覆膜の平均膜厚が厚かったため、熱伝導率が低かった。さらに、比較例3で得られた表面処理粉末は、実施例1〜4と比べ、被覆膜の平均膜厚が薄かったため、絶縁性が低かった。
[窒化アルミニウム粉を用いた表面処理粉末]
実施例5では、被覆膜を有する窒化アルミニウム粉を作製するため、平均粒径が10μmの窒化アルミニウム粉の表面に大気圧重合処理装置(日本プラズマトリート株式会社製、プラズマポリマーラボシステム PAD−1型)を用いて、含ケイ素化合物からなる被覆膜を形成した。
はじめに、大気圧下でプラズマ化された反応ガス(N)に、キャリガス(N)を介して導入したヘキサメチルジシロキサン(HMDSO、東京化成株式会社製)を混合し、ヘキサメチルジシロキサンをラジカル化することにより、ラジカル化ヘキサメチルジシロキサンを得た(ラジカル化工程S1)。なお、プラズマ化条件を以下に示す。
<プラズマ化条件>
・プラズマ発生装置の発信周波数:21kHz
・ジェネレータの出力電圧 :280V
・圧力 :大気圧(1013.25hPa)
一方、装置内にNを螺旋状のガス流として導入し、この螺旋状のガス流に対して、大気圧重合処理装置のノズルからラジカル化ヘキサメチルジシロキサンを噴霧し、螺旋状のガス流とラジカル化ヘキサメチルジシロキサンが混合した反応領域を形成した(反応領域形成工程S2)。
この状態で、反応領域に窒化アルミニウム粉を上方から供給して落下させ、反応領域の略中心部を通過させることにより、この窒化アルミニウム粉の表面に被覆膜を形成した(被覆膜形成工程S3)。この際、窒化アルミニウム粉1gあたりのラジカル化有機ケイ素化合物の反応量を0.015g、窒化アルミニウム粉の搬送速度を10g/分に調整した。これにより、表面処理粉末を得た。
実施例6では、ラジカル化工程においてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)をテトラメチルジシロキサン(TMDSO)に変更したこと以外、実施例5と同様にして、表面処理粉末を得た。
実施例7では、ラジカル化工程においてヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)をテトラエトキシシラン(TEOS)に変更したこと以外、実施例5と同様にして、表面処理粉末を得た。
実施例8では、コート回数について1回を5回に変更したこと以外、実施例5と同様にして、表面処理粉末を得た。
比較例4では、実施例5の原料である窒化アルミニウム粉末を表面改質しなかった。
比較例5では、窒化アルミニウム粉1gあたりのラジカル化有機ケイ素化合物の反応量を0.5gで供給したこと以外、実施例5と同様にして、表面処理粉末を得た。
比較例6では、窒化アルミニウム粉1gあたりのラジカル化有機ケイ素化合物の反応量を0.005gで供給したこと以外、実施例5と同様にして、表面処理粉末を得た。
実施例5〜8および比較例4〜6で得られた表面処理粉末の作製条件を表3に示す。
Figure 2019039063
次いで、実施例5〜8および比較例4〜6に示す作製条件にて得られた表面処理粉末について、以下の評価方法により確認した。なお、得られた表面処理窒化アルミニウム粉の特性を評価した結果を表4に示す。
<評価方法>
(1)被膜膜の平均膜厚と膜厚のばらつき
表面処理粉末を樹脂に埋包し、表面処理粉末の断面を露出させた。その後、表面処理粉末の断面を任意に選択した50ヶ所について透過型電子顕微鏡(TEM:日立社製 HF−2200)により観察して、被覆膜の平均膜厚を測定した。また、上記50ヶ所について、膜厚のばらつきを算出した。
(2)熱伝導率
上述した圧粉成形体について、レーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定した。
(3)接触角
得られた表面処理粉末をステンレス板の上に盛り、水(体積4μL)を滴下して接触角測定装置(協和界面科学(株)製、CA−X150)を用いて接触角を測定した。接触角が45度未満のものを「×」、45度以上90度未満のものを「△」、90度以上のものを「○」の3段階に分類し、評価した。
(4)濡れ性(耐水性改善度)
表面処理粉末2gおよびイオン交換水100gを容量120mLのポリテトラフルオロエチレン製密封容器(PFA耐圧ジャー、フロン工業(株)製)に入れ、120℃で静置し、6時間後、12時間後、24時間後及び36時間後の水のpHをpH試験紙にて測定した。このとき、pHの値が8.5以上となったことをもって耐水性が失われたと判断した。耐水性喪失までの時間が6時間未満のものを「×」、6時間以上12時間未満のものを「△」、12時間以上24時間未満のものを「・」、24時間以上36時間未満のものを「〇」、36時間以上のものを「◎」の5段階に分類し、これを耐水性改善度の評価とした。
Figure 2019039063
(実施例による考察)
実施例5〜8で得られた表面処理粉末は、大気圧プラズマCVD法によりコーティングされた被覆膜が薄くかつ均一であった。また、実施例5〜8で得られた表面処理粉末は、いずれも接触角が90度以上であり、上述の耐水性試験においても24時間以上(実施例8は36時間以上)の優れた結果を示した。そのため、これらの表面処理粉末は、原料粉末である窒化アルミニウム由来の熱伝導率を維持しつつ、耐水性にも優れていた。
一方、比較例4の窒化アルミニウム粉末は、大気圧プラズマCVD法により表面を被覆膜でコーティングされていないので、実施例5と比べ、耐水性が低いものであった。また、比較例5の窒化アルミニウム粉末は、実施例5〜8と比べ、被覆膜の平均膜厚が厚かったため、熱伝導率が低かった。さらに、比較例6の窒化アルミニウム粉末は、実施例5〜8と比べ、被覆膜の平均膜厚が薄かったため、耐水性に劣るものであった。
S1 ラジカル化工程、S2 反応領域形成工程、S3 被覆膜形成工程

Claims (9)

  1. 無機粉末の表面に被覆膜が形成される熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法であって、
    大気圧下でプラズマ化された反応ガスと、キャリアガスを介して供給された有機ケイ素化合物とを混合し、該有機ケイ素化合物をラジカル化させて、ラジカル化有機ケイ素化合物を得るラジカル化工程と、
    前記ラジカル化有機ケイ素化合物を前記無機粉末の表面と反応させることにより、該表面にポリシロキサンからなる前記被覆膜を形成する被覆膜形成工程とを有し、
    前記被覆膜形成工程によって、平均膜厚が1nm以上100nm以下であり、かつ該平均膜厚に対する膜厚のばらつきが20%以下である前記被覆膜を形成する、熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法。
  2. 前記ラジカル化工程後に、螺旋状のガス流によって画定され、前記ラジカル化有機ケイ素化合物が均一に分散した反応領域を形成する反応領域形成工程をさらに有し、
    前記被覆膜形成工程では、前記反応領域内に前記無機粉末を供給し、前記ラジカル化有機ケイ素化合物を前記無機粉末の表面と反応させることにより、該表面にポリシロキサンからなる前記被覆膜を形成する、請求項1に記載の熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法。
  3. 前記螺旋状のガス流は、酸素または空気を用いることで形成される、請求項2に記載の熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法。
  4. 前記ラジカル化工程では、前記無機粉末1gに対して、前記有機ケイ素化合物を0.006g以上0.3g以下で供給する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法。
  5. 前記無機粉末は、アルミおよび窒化アルミニウムから選択される群のうち少なくとも1種の元素を含み、かつ熱伝導率が100W/mK以上である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の熱伝導性グリース用表面処理粉末の製造方法。
  6. 無機粉末と該無機粉末の表面がポリシロキサンで形成される被覆膜とを含み、
    前記被覆膜の平均膜厚が1nm以上100nm以下であり、かつ該平均膜厚に対する膜厚のばらつきが20%以下である、熱伝導性グリース用表面処理粉末。
  7. 示差熱・熱重量測定により下記関係式がR=1.25倍以上である、請求項6に記載の熱伝導性グリース用表面処理粉末。
    (関係式) R=Tc/Tb
    [式中、Rは、耐酸化性改善度を示し、Tbは、無機粉末の酸化による発熱ピーク温度を示し、Tcは、表面処理粉末の酸化による発熱ピーク温度を示す。]
  8. 前記無機粉末は金属粉末である、請求項6又は請求項7に記載の熱伝導性グリース用表面処理粉末。
  9. 前記無機粉末は、アルミおよび窒化アルミニウムから選択される群のうち少なくとも1種の元素を含み、かつ熱伝導率が100W/mK以上である、請求項6又は請求項7に記載の熱伝導性グリース用表面処理粉末。
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