JP2019035887A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】適切な位置で加圧領域の圧力を最大にする定着装置を提供する。【解決手段】定着装置は、軸周りに回転しながらシート上のトナーを加熱する定着ベルト21と、軸周りに回転しながら定着ベルト21との間に加圧領域Nを形成し、加圧領域Nを通過するシート上のトナーを加圧する加圧ローラー22と、定着ベルト21を挟んで加圧領域Nに対応して設けられ、定着ベルト21を加熱するヒーター23と、を備え、ヒーター23は、基材30上に積層され、定着ベルト21側に突出する凸部31Aを有する断熱層31と、凸部31Aを含む断熱層31上に積層され、定着ベルト21の内面に接触して定着ベルト21を加熱する発熱接触部32と、を含み、凸部31Aは、積層された発熱接触部32を定着ベルト21側に突出させ、加圧領域Nでの圧力を最大にする。【選択図】図4
Description
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、媒体上のトナーを定着させる定着装置を備えている。
例えば、特許文献1に記載の定着装置は、基板上に発熱抵抗層を有する加熱体と、加熱体を保持する樹脂製のホルダーと、加熱体およびホルダーと接触しつつ移動する定着フィルムと、定着フィルムを介して加熱体およびホルダーとニップ部を形成する弾性ローラーと、を有している。弾性ローラーに対する加熱体の侵入量は、記録材移動方向上流側から下流側端部に向かって徐々に大きくなっている。また、ニップ部の圧力は、加熱体の下流側端部と隣り合うホルダーの部分で最大ピークになっている。最大ピーク部分よりも記録材移動方向下流側には加熱体は存在せず、ニップ部はホルダーと弾性ローラーによってのみ形成されている。この定着装置では、ニップ部の圧力の最大ピークの位置までに圧力が降下する領域がないため、出力画像のグロスむらが低減可能となっている。
しかしながら、上記した定着装置では、樹脂製のホルダーに僅かな凸形状を形成することが難しく、凸形状の記録材移動方向の位置やその突出量を精度良く設定することが容易ではなかった。また、例えば、トナーの動的粘弾性特性によっては、ニップ部の記録材移動方向下流側以外(上流側や中流部)に、その圧力の最大ピークを設定したい場合があるが、上記した定着装置では、圧力の最大ピークの位置を容易に変更することができなかった。
本発明は、上記課題を解決するために、適切な位置で加圧領域の圧力を最大にする定着装置および画像形成装置を提供する。
上記した目的を達成するため、本発明の定着装置は、軸周りに回転しながら媒体上のトナーを加熱する定着部材と、軸周りに回転しながら前記定着部材との間に加圧領域を形成し、前記加圧領域を通過する前記媒体上のトナーを加圧する加圧部材と、前記定着部材を挟んで前記加圧領域に対応して設けられ、前記定着部材を加熱する熱源と、を備え、前記熱源は、基材上に積層され、前記定着部材側に突出する凸部を有する断熱層と、前記凸部を含む前記断熱層上に積層され、前記定着部材の内面に接触して前記定着部材を加熱する発熱接触部と、を含み、前記凸部は、積層された前記発熱接触部を前記定着部材側に突出させ、前記加圧領域での圧力を最大にする。
この場合、前記凸部は、前記加圧領域を通過中に前記媒体上の前記トナーの貯蔵弾性率G’が4200Pa以下、且つ損失弾性率G’’が60000Pa以下になる区間において前記断熱層に形成されていることが好ましい。
この場合、前記凸部の突出量は、0.1mm以上1.0mm以下に設定されていることが好ましい。
この場合、前記凸部の媒体通過方向の長さは、前記加圧領域の媒体通過方向の長さの15%以上20%以下に設定されていることが好ましい。
この場合、前記基材は、電気絶縁性を有する材料で形成され、前記断熱層は、電気絶縁性を有すると共に熱伝導率の低い材料で前記基材上に形成され、前記発熱接触部は、導電性を有する材料で前記断熱層上に形成され、給電されることで発熱する発熱部と、導電性を有する材料で前記断熱層上に形成され、前記発熱部の媒体通過方向両側に電気的に接続されている電極部と、電気絶縁性を有すると共に前記定着部材に対して滑り摩擦力の小さな材料で形成され、前記発熱部および前記電極部を被覆するコート層と、を含んでいることが好ましい。
上記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、上記のいずれかに記載の定着装置を備えている。
本発明によれば、定着装置において、適切な位置で加圧領域の圧力を最大にすることができる。
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、各図に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。
[プリンターの全体構成]
図1を参照して、画像形成装置の一例としてのプリンター1について説明する。図1はプリンター1を示す概略図(正面図)である。
図1を参照して、画像形成装置の一例としてのプリンター1について説明する。図1はプリンター1を示す概略図(正面図)である。
プリンター1は、略直方体状の外観を構成する装置本体2を備えている。装置本体2の下部には、例えば、普通紙等のシートS(媒体)を収容する給紙カセット3が設けられている。装置本体2の上面には、排紙トレイ4が設けられている。なお、シートSは、紙製に限らず、樹脂製等であってもよい。
また、プリンター1は、給紙装置5と、作像装置6と、定着装置7と、を備えている。給紙装置5は、給紙カセット3から排紙トレイ4まで延びた搬送路8の上流端部に設けられている。作像装置6は搬送路8の中間部に設けられ、定着装置7は搬送路8の下流側に設けられている。
作像装置6は、トナーコンテナ10と、ドラムユニット11と、光走査装置12と、を含んでいる。トナーコンテナ10は、例えば、黒色のトナー(現像剤)を収容している。ドラムユニット11は、感光体ドラム13と、帯電装置14と、現像装置15と、転写ローラー16と、を含んでいる。転写ローラー16は、下側から感光体ドラム13に接触して転写ニップを形成している。なお、トナーは、トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤であってもよいし、磁性トナーから成る一成分現像剤であってもよい。
プリンター1の制御装置(図示せず)は各装置を適宜制御し、以下のように画像形成処理を実行する。帯電装置14は、感光体ドラム13の表面を帯電させる。感光体ドラム13は、光走査装置12から出射された走査光を受け、静電潜像を担持する。現像装置15は、トナーコンテナ10から供給されたトナーを用いて感光体ドラム13上の静電潜像をトナー像に現像する。シートSは給紙装置5によって給紙カセット3から搬送路8に送り出され、感光体ドラム13上のトナー像は転写ニップを通過するシートSに転写される。定着装置7は、トナー像をシートSに定着させる。その後、シートSは、排紙トレイ4に排出される。
[定着装置]
次に、図2ないし図6を参照して、定着装置7について説明する。図2は定着装置7を模式的に示す断面図である。図3はヒーター23を模式的に示す底面図である。図4は、図3のIV−IV断面図である。図5はトナーの動的粘弾性と画像の光沢度との変化を示すグラフである。図6は定着装置7における加圧領域Nの圧力とトナーの動的粘弾性との変化を示すグラフである。なお、以下の説明において、「通過方向(媒体通過方向)」とは、シートSが定着装置7の加圧領域N(後述する)を通過する方向(搬送される方向)を指す。また、「上流」および「下流」並びにこれらに類する用語は、通過方向における「上流」および「下流」並びにこれらに類する概念を指す。
次に、図2ないし図6を参照して、定着装置7について説明する。図2は定着装置7を模式的に示す断面図である。図3はヒーター23を模式的に示す底面図である。図4は、図3のIV−IV断面図である。図5はトナーの動的粘弾性と画像の光沢度との変化を示すグラフである。図6は定着装置7における加圧領域Nの圧力とトナーの動的粘弾性との変化を示すグラフである。なお、以下の説明において、「通過方向(媒体通過方向)」とは、シートSが定着装置7の加圧領域N(後述する)を通過する方向(搬送される方向)を指す。また、「上流」および「下流」並びにこれらに類する用語は、通過方向における「上流」および「下流」並びにこれらに類する概念を指す。
図2に示すように、定着装置7は、定着ベルト21と、加圧ローラー22と、ヒーター23と、を備えている。定着ベルト21および加圧ローラー22は、筐体20(図1参照)の内部に設けられている。ヒーター23は、定着ベルト21を加熱するための熱源である。
<定着ベルト>
定着部材の一例としての定着ベルト21は、無端状のベルトであって、前後方向(軸方向)に長い略円筒状に形成されている。定着ベルト21の表層は、例えば、ポリイミド樹脂等の耐熱性および弾性を有する合成樹脂材料等で構成されている。定着ベルト21は、筐体20の内部上方に配置されている。定着ベルト21の軸方向両端部には、略円筒状の一対のキャップ(図示せず)が装着されている。なお、定着ベルト21の内部には、定着ベルト21の略円筒形状を保持するためのベルトガイド(図示せず)が設けられてもよい。
定着部材の一例としての定着ベルト21は、無端状のベルトであって、前後方向(軸方向)に長い略円筒状に形成されている。定着ベルト21の表層は、例えば、ポリイミド樹脂等の耐熱性および弾性を有する合成樹脂材料等で構成されている。定着ベルト21は、筐体20の内部上方に配置されている。定着ベルト21の軸方向両端部には、略円筒状の一対のキャップ(図示せず)が装着されている。なお、定着ベルト21の内部には、定着ベルト21の略円筒形状を保持するためのベルトガイド(図示せず)が設けられてもよい。
定着ベルト21の内部には、押圧部材24が設けられている。押圧部材24は、例えば、金属材料によって軸方向に長い略角筒状に形成されている。押圧部材24は、定着ベルト21(およびキャップ)を軸方向に貫通して筐体20に支持されている。上記した定着ベルト21は、押圧部材24に対して回転可能に支持されている。
<加圧ローラー>
加圧部材の一例としての加圧ローラー22は、前後方向(軸方向)に長い略円筒状に形成されている。加圧ローラー22は、筐体20の内部下方に配置されている。加圧ローラー22は、金属製の芯金22Aと、その外周面に積層されたシリコーンスポンジ等の弾性層22Bと、を含んでいる。芯金22Aの軸方向両端部は、筐体20に回転可能に支持されている。芯金22Aにはギア列等を介して駆動モーター(図示せず)が接続され、加圧ローラー22は駆動モーターによって回転駆動される。なお、定着装置7は、加圧ローラー22を昇降させて定着ベルト21に対する加圧ローラー22の接触圧を調整する圧力調整部(図示せず)を備えている。加圧ローラー22が定着ベルト21に押し付けられることで、定着ベルト21と加圧ローラー22との間に加圧領域Nが形成される。また、加圧領域Nとは、圧力が0Paである上流側の位置から最大圧力となる位置を経由して再び圧力が0Paとなる下流側の位置までの領域を指している。
加圧部材の一例としての加圧ローラー22は、前後方向(軸方向)に長い略円筒状に形成されている。加圧ローラー22は、筐体20の内部下方に配置されている。加圧ローラー22は、金属製の芯金22Aと、その外周面に積層されたシリコーンスポンジ等の弾性層22Bと、を含んでいる。芯金22Aの軸方向両端部は、筐体20に回転可能に支持されている。芯金22Aにはギア列等を介して駆動モーター(図示せず)が接続され、加圧ローラー22は駆動モーターによって回転駆動される。なお、定着装置7は、加圧ローラー22を昇降させて定着ベルト21に対する加圧ローラー22の接触圧を調整する圧力調整部(図示せず)を備えている。加圧ローラー22が定着ベルト21に押し付けられることで、定着ベルト21と加圧ローラー22との間に加圧領域Nが形成される。また、加圧領域Nとは、圧力が0Paである上流側の位置から最大圧力となる位置を経由して再び圧力が0Paとなる下流側の位置までの領域を指している。
<ヒーター>
熱源の一例としてのヒーター23は、前後方向(軸方向)に長い略矩形板状に形成されている。(図3参照)ヒーター23は、保持部材25を介して押圧部材24の下面に固定されている。保持部材25は、例えば、耐熱樹脂材料によって軸方向に長い略半円筒状に形成されている。保持部材25は、定着ベルト21の下側内面に沿うように湾曲している。
熱源の一例としてのヒーター23は、前後方向(軸方向)に長い略矩形板状に形成されている。(図3参照)ヒーター23は、保持部材25を介して押圧部材24の下面に固定されている。保持部材25は、例えば、耐熱樹脂材料によって軸方向に長い略半円筒状に形成されている。保持部材25は、定着ベルト21の下側内面に沿うように湾曲している。
図3および図4に示すように、ヒーター23は、基材30と、断熱層31と、発熱接触部32と、を含んでいる。基材30は、保持部材25の下面に固定されている。発熱接触部32は、断熱層31を介して基材30上に形成されている。
図4に示すように、ヒーター23は、発熱接触部32を加圧ローラー22に向けた姿勢で保持部材25の下面に保持され、発熱接触部32を定着ベルト21の内面に接触させている。ヒーター23が加圧ローラー22に押し付けられた定着ベルト21を受け止めることで、定着ベルト21と加圧ローラー22との接触部分に加圧領域Nが形成されている。ヒーター23は、定着ベルト21を挟んで加圧領域Nに対応して設けられ(図2も参照)、定着ベルト21を加熱する機能を有している。なお、筐体20には、定着ベルト21の表面温度またはヒーター23の温度を検知するための温度センサー(図示せず)が設けられている。
図3および図4に示すように、基材30は、例えば、セラミック等の電気絶縁性を有する材料で軸方向に長い略矩形板状に形成されている。基材30の上下両面は、略平滑に形成されている。
断熱層31は、基材30の一面(下面全域)上に積層(成膜)されている。断熱層31は、例えば、セラミック(ガラス)等の電気絶縁性を有すると共に熱伝導率の低い材料で基材30上に形成されている。断熱層31は、発熱接触部32で発生した熱が基材30側に伝達することを規制する機能を有している。
図4に示すように、断熱層31は、定着ベルト21側(下方)に突出する凸部31Aを有している。凸部31Aは、断熱層31の一面(下面)から隆起し、前後方向に延びた略半円柱状に形成されている。凸部31Aは、断熱層31の一面の前後方向略全域に亘って延びた状態に形成されている。凸部31Aは、断熱層31の通過方向中央よりも下流側に形成されている。凸部31Aの突出量H(断熱層31の一面から凸部31Aの頂部までの高さ)は、例えば、約0.3mmに設定されている。凸部31Aの通過方向の長さ(隆起幅W2)は、例えば、加圧領域Nの通過方向の長さ(加圧幅W1)の約16%に設定されている。なお、凸部31Aの突出量Hは、上記の例示に限らず、0.1mm以上1.0mm以下に設定されていればよい。また、凸部31Aの通過方向の長さ(隆起幅W2)は、上記の例示に限らず、加圧領域Nの通過方向の長さ(加圧幅W1)の15%以上20%以下に設定されていればよい。
図3および図4に示すように、発熱接触部32は、凸部31Aを含む断熱層31の一面(下面)上に積層されている。発熱接触部32は、複数(例えば5つ)の発熱部41〜45と、複数(例えば6つ)の電極部51〜56と、コート層60と、を含んでいる。
複数の発熱部41〜45は、例えば、電極部51〜56よりも抵抗値の高い金属等の導電性を有する材料で断熱層31上に形成されている。図3に示すように、複数の発熱部41〜45は、軸方向に一列に並べられている。また、各々の発熱部41〜45は、軸方向に一列に並べられた複数の抵抗発熱体40で構成されている。複数の抵抗発熱体40は、それぞれ、通過方向に細長い略長方形状に形成されている。全ての抵抗発熱体40は、略同じ大きさに形成されている。
軸方向中央に配置された発熱部41は、加圧領域Nを通過する小サイズ(例えばA5サイズ)のシートSの前後幅に対応する範囲に並べられた複数の抵抗発熱体40によって構成されている。発熱部41の軸方向両側に配置された2つの発熱部42,43は、加圧領域Nを通過する中サイズ(例えばB5サイズ)のシートSの前後幅に対応する範囲に並べられた複数の抵抗発熱体40によって構成されている。発熱部42,43の軸方向両側に配置された2つの発熱部44,45は、加圧領域Nを通過する通常サイズ(例えばA4サイズ)のシートSの前後幅に対応する範囲に並べられた複数の抵抗発熱体40によって構成されている。
複数の電極部51〜56は、例えば、金属等の導電性を有する材料(抵抗発熱体40よりも抵抗値の低い)で断熱層31上に形成されている。複数の電極部51〜56は、各々の発熱部41〜45の通過方向両側に電気的に接続されている。詳細には、電極部51は、軸方向中央の発熱部41を構成する各抵抗発熱体40の下流端部(右端部)に接続されている。これと同様に、その他の電極部52〜55は、それぞれ、発熱部42〜45を構成する各抵抗発熱体40の下流端部に接続されている。一方、電極部56は、全ての抵抗発熱体40の通過方向上流端部(左端部)に接続されている。各々の電極部51〜56は、発熱部41〜45に接続された部分から発熱部41〜45よりも軸方向外側の位置まで延びた先端部に電極端末部51A〜56Aを有している。
図4に示すように、コート層60は、発熱部41〜45および電極部51〜56を被覆している。コート層60は、例えば、セラミック等の電気絶縁性を有すると共に定着ベルト21に対して滑り摩擦力の小さな材料で形成されている。コート層60は、定着ベルト21の内面に接触する面を構成している。なお、発熱部41〜45や電極部51〜56が積層されない部分には、断熱層31やコート層60等の電気絶縁性を有する材料が積層されている。
以上説明したヒーター23の製造には、例えば、スパッタリング等の成膜技術、プリント基板の製造技術、またはスクリーン印刷技術、若しくはこれらの技術の組み合せを用いることができる。例えば、断熱層31(凸部31A)および発熱接触部32(発熱部41〜45、電極部51〜56、コート層60)がスパッタリングによって基材30上に成膜されてもよい。スパッタリングでは膜層の厚さをマイクロメートルオーダーで調整することができるため、高度な寸法精度をもって凸部31Aを断熱層31に形成することができる。また、例えば、断熱層31および発熱接触部32は、プリント基板の製造技術であるフォトマスクを用いた露光、現像、エッチング、剥離、積層等の工程を繰り返すことによって基材30上に形成されてもよい。また、例えば、断熱層31および発熱接触部32は、電気絶縁性塗料または導電性塗料を基材30上に塗布(スクリーン印刷)することによって形成されてもよい。これらの製法であっても、スパッタリングと同様に、精度良く凸部31Aを断熱層31に形成することができる。また、何れの製法であっても、発熱部41〜45(抵抗発熱体40)は、略同一の層厚(膜層の厚さ)に形成される。また、電極部51〜56およびコート層60もこれと同様である。
以上のように製造されたヒーター23では、発熱接触部32(発熱部41〜45、電極部51〜56、コート層60)が凸部31A上に形成されるため、凸部31Aは、積層された発熱接触部32を定着ベルト21側(加圧領域N側)に突出させることになる(図4参照)。したがって、凸部31Aを形成した位置が加圧領域Nの中で最も加圧ローラー22側に突き出し、加圧領域Nの中で最も圧力の高い領域を作り出している。つまり、凸部31Aが加圧領域Nでの圧力を最大にする機能を有している。
なお、ヒーター23の電極部51〜56や駆動モーター等は、各種の駆動回路(図示せず)を介して電源(図示せず)に電気的に接続されている。また、ヒーター23(電極部51〜56)、駆動モーターおよび温度センサー等は、各種の回路を介してプリンター1の制御装置に電気的に接続されている。制御装置は、接続された装置等を制御する。
[定着装置の作用]
ここで、主に図2を参照して、定着装置7の作用(定着処理)について説明する。
ここで、主に図2を参照して、定着装置7の作用(定着処理)について説明する。
まず、制御装置は、駆動モーターやヒーター23を駆動制御する。加圧ローラー22は駆動モーターの駆動力を受けて回転し、定着ベルト21は加圧ローラー22に従動して回転する(図2の実線細矢印参照)。発熱部41〜45の各抵抗発熱体40(図3参照)は、発熱部41〜45を挟む複数の電極部の間で通過方向に電流を流す(給電される)ことで発熱し、定着ベルト21を加熱する。
この際、制御装置は、シートSのサイズに応じて発熱させる発熱部41〜45(図3参照)を変更する。例えば、通常サイズのシートSが加圧領域Nを通過する場合、制御装置は、全ての発熱部41〜45に電力を供給し、全ての発熱部41〜45を発熱させる。また、例えば、制御装置は、中サイズのシートSが加圧領域Nを通過する場合には発熱部41〜43を発熱させ、小サイズのシートSが加圧領域Nを通過する場合には発熱部41を発熱させる。これにより、シートSのサイズに合せて定着ベルト21(加圧領域N)の必要な部分のみを加熱することができる。その結果、定着ベルト21の軸方向両端部の過昇温を抑制することができる。
温度センサーは、定着ベルト21の表面温度を検出し、入力回路を介して検出信号を制御装置に送信する。制御装置は、温度センサーから設定温度(例えば150〜200℃)に達したことを示す検出信号を受信すると、その設定温度を維持するようにヒーター23を制御しながら、既に説明した画像形成処理の実行を開始する。トナー像が転写されたシートSは筐体20内に進入し、定着ベルト21は、軸周りに正回転しながら加圧領域Nを通過するシートS上のトナー(トナー像)を加熱する。加圧ローラー22は、軸周りに回転しながら加圧領域Nを通過するシートS上のトナーを加圧する。すると、トナー像がシートSに定着する。そして、トナー像が定着したシートSは、筐体20の外部に送り出されて排紙トレイ4に排出される。
このような定着装置7では、シートS上のトナー(トナー像)は、加圧されながら加熱されることで、溶融してシートSと親和して定着する。図5に示すように、シートSが加圧領域Nを通過する過程で、トナーが溶融し始めると、そのトナーの動的粘弾性は低下し始める。また、画像の光沢度は、動的粘弾性を十分に低下させたトナーに大きな圧力をかけることで上昇することが知られている。そこで、本実施形態に係る定着装置7では、加圧領域Nでの圧力を最大にするための凸部31Aが、加圧領域Nを通過中にシートS上のトナーの動的粘弾性が低下する区間において断熱層31に形成されている。
ここで、一例として、シートS上のトナーが加圧領域Nを通過する過程で、トナーの動的粘弾性が、図6に一点鎖線で示すように変化する場合について考える。
図6に示すように、加圧領域Nの上流端から通過方向中間付近までの区間では、トナーの動的粘弾性は急激に低下する。シートSが加圧領域Nの通過方向中間付近を過ぎると、トナーの動的粘弾性の下降がなだらかになる。つまり、加圧領域Nの通過方向中間付近から下流端までの区間では、トナーの動的粘弾性の変動が少なくなる。トナーの動的粘弾性の下降がなだらかになる区間において加圧領域Nの圧力を最大にすることで、トナーがシートSに確りと定着し、且つ光沢度の高い画像が得られる。つまり、画像品質を安定させることができる。
画像品質を安定させるトナーの動的粘弾性(以下、「設定値V」ともいう。)は、例えば、加圧領域Nの通過方向の加圧幅W1、加圧領域Nでの圧力、加圧領域Nでの温度、トナーの溶融温度等の特性等、様々な要因によって異なる。本実施形態に係る定着装置7では、設定値Vを以下のような基準で設定している。例えば、設定値Vは、トナーの貯蔵弾性率G’(弾性成分)が4200Pa以下、且つトナーの損失弾性率G’’(粘性成分)が60000Pa以下になるように設定されている。貯蔵弾性率G’および損失弾性率G’’は、レオメーター(例えば、アントンパール社製 MCR−301)を用いて測定することができる。動的粘弾性測定の一例として、本実施形態では、上記のレオメーターを使用し、周波数10Hz、昇温速度4℃/分、測定温度40〜200℃、ひずみ1%の条件で貯蔵弾性率G’および損失弾性率G’’を測定している。また、加圧領域Nの温度は、加圧領域Nの上流側および下流側(進入側と出口側)の温度を測定することで確認し、上記した動的粘弾性特性を得られる温度を設定する。
そして、凸部31Aは、加圧領域Nの通過方向中央から下流端までの間において、設定値Vに対応する位置に形成されている。なお、「設定値Vに対応する位置」とは、トナーの動的粘弾性が設定値Vになった時に、加圧領域Nの圧力が最大値になる位置を意味する。また、「トナーの動的粘弾性が設定値Vになった時」とは、設定値Vと完全に一致することを要求するものではなく、僅かな誤差を許容する意味である。
以上説明した本実施形態に係る定着装置7では、断熱層31に形成された凸部31Aが、発熱接触部32をも突出させ、加圧領域Nにおいて最大圧力となる領域を構成していた。この構成によれば、断熱層31の一部分を厚くした凸部31Aを、スパッタリング等の成膜技術を利用して加圧領域Nにおいて通過方向の何れの位置であっても凸部31Aを形成することができる。また、この凸部31Aをスパッタリング等の成膜技術を利用して簡単且つ高精度に形成することができる。これにより、適切な位置で加圧領域Nの圧力を最大にすることができる。例えば、図7に示すように、設定値Vが加圧領域Nの通過方向中央よりも上流側にある場合、図8に示すように、この設定値Vに対応するように凸部31Aを断熱層31に形成することができる。
また、本実施形態に係る定着装置7では、凸部31Aが、加圧領域Nを通過中にシートS上のトナーの貯蔵弾性率G’が4200Pa以下、且つ損失弾性率G’’が60000Pa以下になる区間において断熱層31に形成される構成とした。この構成によれば、動的粘弾性を十分に低下させたトナーを、加圧領域Nの中で最大圧力となる部分に通過させることができる。これにより、ホットオフセットが発生しない程度に溶けたトナーを適切にシートS上に熱定着させることができ、シートS上に熱定着した後のトナーの表面を平滑にすることができる。その結果、光沢度の高い画像を得ることができる。
また、本実施形態に係る定着装置7では、凸部31Aの突出量Hが0.1mm以上1.0mm以下の範囲とされ、凸部31Aの隆起幅W2が加圧領域Nの加圧幅W1の15%以上20%以下の範囲とされる構成とした。この構成によれば、加圧領域Nの中の凸部31Aによって、シートS上のトナーを適切に加圧しながら加熱することができる。これにより、適正な熱定着の実施を担保することができ、光沢の良い画像を形成することができる。
また、本実施形態に係る定着装置7によれば、発熱部41〜45がコート層60を介して定着ベルト21の内面に接触しているため、定着ベルト21の円滑な回転を担保することができる。また、発熱部41〜45が定着ベルト21の加圧領域Nに対向する部分を直接加熱することができるため、定着ベルト21の加熱に用いられずに放散する熱を減少させ、入力された電気を有効活用することができる。
なお、本実施形態に係る定着装置7では、発熱部41〜45が、それぞれ、複数の抵抗発熱体40で構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、発熱部41〜45は単一の抵抗発熱体40で構成されていてもよい(図示せず)。また、本実施形態に係る定着装置7では、発熱部41〜45が、3種類のシートSのサイズに対応していたが、本発明はこれに限定されない。発熱部(抵抗発熱体40)は、2種類以上のシートSのサイズに対応するように形成されていればよい。また、本実施形態に係る定着装置7では、加圧領域Nの軸方向中央をシートSが通過するように構成されていたが、これに限らず、加圧領域Nの軸方向一方に寄った位置をシートSが通過するように構成されていてもよい。
また、本実施形態に係る定着装置7では、加圧ローラー22を回転駆動させ、定着ベルト21を従動回転させていたが、これに限らず、定着ベルト21を回転駆動させ、加圧ローラー22を従動回転させてもよい。
また、本実施形態に係る定着装置7では、定着ベルト21に対して加圧ローラー22を昇降(接近または離間する方向に移動)させていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、加圧ローラー22に対して定着ベルト21を接近または離間する方向に移動させる構成としてもよい。
また、本実施形態の説明では、一例として、本発明をモノクロのプリンター1に適用した場合を示したが、これに限らず、例えば、カラープリンター、複写機、ファクシミリまたは複合機等に本発明を適用してもよい。
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る定着装置および画像形成装置における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
1 プリンター(画像形成装置)
7 定着装置
21 定着ベルト(定着部材)
22 加圧ローラー(加圧部材)
23 ヒーター(熱源)
30 基材
31 断熱層
32 発熱接触部
41〜45 発熱部
51〜56 電極部
60 コート層
N 加圧領域
S シート(媒体)
7 定着装置
21 定着ベルト(定着部材)
22 加圧ローラー(加圧部材)
23 ヒーター(熱源)
30 基材
31 断熱層
32 発熱接触部
41〜45 発熱部
51〜56 電極部
60 コート層
N 加圧領域
S シート(媒体)
Claims (6)
- 軸周りに回転しながら媒体上のトナーを加熱する定着部材と、
軸周りに回転しながら前記定着部材との間に加圧領域を形成し、前記加圧領域を通過する前記媒体上のトナーを加圧する加圧部材と、
前記定着部材を挟んで前記加圧領域に対応して設けられ、前記定着部材を加熱する熱源と、を備え、
前記熱源は、
基材上に積層され、前記定着部材側に突出する凸部を有する断熱層と、
前記凸部を含む前記断熱層上に積層され、前記定着部材の内面に接触して前記定着部材を加熱する発熱接触部と、を含み、
前記凸部は、積層された前記発熱接触部を前記定着部材側に突出させ、前記加圧領域での圧力を最大にすることを特徴とする定着装置。 - 前記凸部は、前記加圧領域を通過中に前記媒体上の前記トナーの貯蔵弾性率G’が4200Pa以下、且つ損失弾性率G’’が60000Pa以下になる区間において前記断熱層に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記凸部の突出量は、0.1mm以上1.0mm以下に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
- 前記凸部の媒体通過方向の長さは、前記加圧領域の媒体通過方向の長さの15%以上20%以下に設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記基材は、電気絶縁性を有する材料で形成され、
前記断熱層は、電気絶縁性を有すると共に熱伝導率の低い材料で前記基材上に形成され、
前記発熱接触部は、
導電性を有する材料で前記断熱層上に形成され、給電されることで発熱する発熱部と、
導電性を有する材料で前記断熱層上に形成され、前記発熱部の媒体通過方向両側に電気的に接続されている電極部と、
電気絶縁性を有すると共に前記定着部材に対して滑り摩擦力の小さな材料で形成され、前記発熱部および前記電極部を被覆するコート層と、を含んでいることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の定着装置。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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