以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において、同一の要素同士、または、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
図1は、本実施形態に係る光モジュールを示す斜視図である。図2は、図1に示された光モジュールの平面図である。図3は、図2におけるIII−III線に沿っての模式的な断面図である。図5は、磁石部及びパッケージを示す図である。図1〜3,5に示される光モジュール100は、ミラーユニット40と、磁石部50と、パッケージ60と、を備えている。ミラーユニット40は、電磁駆動方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー1と、MEMSミラー1を収容するミラーパッケージ41を有している。ミラーパッケージ41は、ベース42と、側壁43と、窓材44と、を有している。
ベース42は、例えば、窒化アルミニウム又は酸化アルミニウム等の非磁性材料によって矩形板状に形成されている。側壁43は、例えば、窒化アルミニウム又は酸化アルミニウム等の非磁性材料によって矩形筒状に形成されている。窓材44は、例えば、ガラス等の透光性材料によって形成された矩形板状の基材の両表面に反射防止膜が形成されることで、構成されている。窓材44は、側壁43の一方の開口を気密に封止するように、例えば低融点ガラスによって側壁43に接合されている。ベース42は、側壁43の他方の開口を気密に封止するように、例えば低融点ガラスによって側壁43に接合されている。窓材44及び側壁43の一方の開口(すなわち、窓材44によって封止される開口)は、ベース42に対している。ベース42と側壁43とは、非磁性材料によって一体的に形成されていてもよい。
MEMSミラー1が有する支持部2は、例えば樹脂によってベース42の内側表面42a(ベース42の表面のうちミラーパッケージ41の内面を構成する面)に取り付けられている。磁石部50は、例えば樹脂によってベース42の外側表面42b(ベース42の表面のうちミラーパッケージ41の外面を構成する面)に取り付けられている。磁石部50は、ベース42を介して、MEMSミラー1が有する第1可動部3と対向している。磁石部50については、後に詳述する。
図4は、図1に示されるMEMSミラーの平面図である。図4に示されるように、MEMSミラー1は、支持部2と、第1可動部(可動部)3、第2可動部(可動部)4、一対の第1連結部5、一対の第2連結部6、及び、ミラー7を含む可動ミラー部10と、を有している。支持部2、第1可動部3、第2可動部4、一対の第1連結部5及び一対の第2連結部6は、例えばシリコンによって一体的に形成されている。
第1可動部3は、例えば矩形板状に形成されている。第2可動部4は、光軸方向Aから見た場合に隙間を介して第1可動部3を囲むように、例えば矩形環状に形成されている。支持部2は、光軸方向Aから見た場合に隙間を介して第2可動部4を囲むように、例えば矩形枠状に形成されている。つまり、支持部2は、光軸方向Aから見た場合に第1可動部3及び第2可動部4を囲むように枠状に形成されている。
第1可動部3は、第1軸線X1周りに揺動可能となるように、一対の第1連結部5を介して第2可動部4に連結されている。つまり、第1可動部3は、支持部2において第1軸線X1周りに揺動可能となるように支持されている。第1可動部3は、第1部分31と、第2部分32と、を含んでいる。第1部分31は、光軸方向Aから見た場合に例えば円形状に形成されている。第2部分32は、光軸方向Aから見た場合に例えば矩形環状に形成されている。第1部分31は、光軸方向Aから見た場合に第2部分32に囲まれており、複数(ここでは2つ)の接続部分33を介して第2部分32と接続されている。つまり、第1部分31と第2部分32との間には、複数の接続部分33を除いて隙間が形成されている。
接続部分33は、例えば、矩形状の第2部分32の内縁のうち第2軸線X2に交差する2辺の中央部に位置している。すなわち、接続部分33は、ここでは、第2軸線X2上に位置している。第1部分31は、少なくとも第2軸線X2に沿った方向において第2部分32に接続されていればよい。第2可動部4は、第2軸線X2周りに揺動可能となるように、一対の第2連結部6を介して支持部2に連結されている。つまり、第2可動部4は、支持部2において第2軸線X2周りに揺動可能となるように支持されている。第1軸線X1及び第2軸線X2は、光軸方向Aに垂直であり、互いに交差している(ここでは、互いに直交している)。なお、第1部分31は、光軸方向Aから見た場合に矩形状又は多角形状に形成されていてもよい。また、第1部分31は、光軸方向Aから見た場合に、円形状(例えば楕円形状)に形成されていてもよい。第2部分32は、光軸方向Aから見た場合に五角形以上の多角形環状又は円環状に形成されていてもよい。
一対の第1連結部5は、第1可動部3の第2部分32と第2可動部4との間の隙間において、第1可動部3を挟むように第1軸線X1上に配置されている。各第1連結部5は、トーションバーとして機能する。一対の第2連結部6は、第2可動部4と支持部2との間の隙間において、第2可動部4を挟むように第2軸線X2上に配置されている。各第2連結部6は、トーションバーとして機能する。
ミラー7は、第1可動部3の第1部分31に設けられている。ミラー7は、第1軸線X1と第2軸線X2との交点を含むように、第1部分31の一方の表面(窓材44側の表面)に形成されている。ミラー7は、例えば、アルミニウム、アルミニウム系合金、金又は銀等の金属材料によって、円形、楕円形又は矩形の膜状に形成されており、ミラー7の中心は、光軸方向Aから見た場合に、第1軸線X1と第2軸線X2との交点に一致している。このように、複数の接続部分33を介して第2部分32と接続された第1部分31にミラー7が設けられているため、第1可動部3が共振周波数レベルで第1軸線X1周りにおいて揺動しても、ミラー7に撓み等の変形が生じることが抑制される。
更に、MEMSミラー1は、第1駆動用コイル(コイル)11と、第2駆動用コイル(コイル)12と、配線15a,15bと、配線16a,16bと、電極パッド21a,21bと、電極パッド22a,22bと、を有している。なお、図2では、説明の便宜上、第1駆動用コイル11及び第2駆動用コイル12を一点鎖線で示し、配線15a,15b及び配線16a,16bを実線で示す。
第1駆動用コイル11は、第1可動部3の第2部分32に設けられている。第1駆動用コイル11は、光軸方向Aから見た場合におけるミラー7の外側の領域(すなわち、第2部分32)においてスパイラル状(渦巻き状)に複数回巻かれている。第1駆動用コイル11には、磁石部50によって発生させられる磁界が作用する。
第1駆動用コイル11は、第1可動部3の表面に形成された溝内に配置されている。つまり、第1駆動用コイル11は、第1可動部3に埋め込まれている。第1駆動用コイル11の一端は、配線15aを介して電極パッド21aに接続されている。配線15aは、第1可動部3から、一方の第1連結部5、第2可動部4及び一方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。配線15a及び電極パッド21aは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、第1駆動用コイル11と配線15aとは、互いに接続されている。
第1駆動用コイル11の他端は、配線15bを介して電極パッド21bに接続されている。配線15bは、第1可動部3から、他方の第1連結部5、第2可動部4及び他方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。配線15b及び電極パッド21bは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、第1駆動用コイル11と配線15bとは、互いに接続されている。
第2駆動用コイル12は、第2可動部4に設けられている。第2駆動用コイル12は、第2可動部4においてスパイラル状(渦巻き状)に複数回巻かれている。第2駆動用コイル12には、磁石部50によって発生させられる磁界が作用する。第2駆動用コイル12は、第2可動部4の表面に形成された溝内に配置されている。つまり、第2駆動用コイル12は、第2可動部4に埋め込まれている。
第2駆動用コイル12の一端は、配線16aを介して電極パッド22aに接続されている。配線16aは、第2可動部4から、一方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。配線16a及び電極パッド22aは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、第2駆動用コイル12と配線16aとは、互いに接続されている。
第2駆動用コイル12の他端は、配線16bを介して電極パッド22bに接続されている。配線16bは、第2可動部4から、他方の第2連結部6を介して、支持部2に延在している。配線16b及び電極パッド22bは、例えば、タングステン、アルミニウム、金、銀、銅又はアルミニウム系合金等の金属材料によって一体的に形成されている。なお、第2駆動用コイル12と配線16bとは、互いに接続されている。
以上のMEMSミラー1における可動ミラー部10の動作の例を挙げる。第1例としては、第1駆動用コイル11に高周波数の駆動電流が印加される。このとき、第1駆動用コイル11には、磁石部50によって発生させられた磁界が作用しているため、第1駆動用コイル11にローレンツ力が発生する。これにより、第1可動部3は、例えば、共振周波数レベルで第1軸線X1周りにおいて揺動させられる。
また、第2駆動用コイル12には、一定の大きさの駆動電流が印加される。このとき、第2駆動用コイル12には、磁石部50によって発生させられた磁界が作用しているため、第2駆動用コイル12にローレンツ力が発生する。これにより、第2可動部4は、例えば、駆動電流の大きさに応じて第2軸線X2周りにおいて回動させられ、その状態で停止させられる。これにより、MEMSミラー1によれば、所定の光源からの光をミラー7により反射させつつ走査することが可能とされている。この第1例では、第1可動部3が共振周波数で揺動されると共に第2可動部4が静的に用いられる。
第2例としては、第1例の第1可動部3の動作と同様に、第1駆動用コイル11に高周波数の駆動電流が印加されることによって第1可動部3が共振周波数に応じて揺動されると共に、第2駆動用コイル12に高周波数の駆動電流が印加されることによって第2可動部4が共振周波数に応じて揺動される。このように、この第2例では、第1可動部3及び第2可動部4の両方が、共振周波数で揺動される。
第3例としては、第1例の第2可動部4の動作と同様に、第1駆動用コイル11に対して一定の大きさの駆動電流が印加されることによって、第1可動部3が駆動電流の大きさに応じて第1軸線X1周りにおいて回動させられて停止させられると共に、第2駆動用コイル12に対して一定の大きさの駆動電流が印加されることによって、第2可動部4が駆動電流の大きさに応じて第2軸線X2周りにおいて回動させられて停止させられる。このように、この第3例では、第1可動部3及び第2可動部4の両方が、静的に用いられる。
第4例としては、例えば第2可動部4が設けられていない場合等であって、第1駆動用コイル11に高周波数の駆動電流が印加されることにより、第1可動部3のみが共振周波数に応じて揺動される。さらに、第5例としては、同様の場合であって、第1駆動用コイル11に対して一定の大きさの駆動電流が印加されることによって、第1可動部3が駆動電流の大きさに応じて第1軸線X1周りにおいて回動させられて停止させられる。これらの第4例及び第5例では、第1可動部3のみが揺動または静的に用いられる。 なお、図3に示されるように、ベース42の内側表面42aには、第1可動部3及び第2可動部4と対向するように凹部42cが形成されている。第1可動部3及び第2可動部4は、この凹部42cによって、ベース42に干渉することなく揺動可能とされている。
再び図1〜3,5を参照する。磁石部50は、ミラーユニット40(MEMSミラー1)に作用する磁界を発生させる。磁石部50は、上面50fと、上面50fの反対側の底面50bと、上面50fから底面50bに延びて上面50fと底面50bとを互いに接続する側面50sと、を有している。磁石部50は、多角形柱状を呈している。ここでは、磁石部50は、六角柱状である。したがって、上面50f及び底面50bは、六角形状であり、側面50sは六角形環状である。上面50fと底面50bとは、互いに略平行である。
磁石部50は、複数の磁石が組み合わせられて構成されている。ここでは、磁石部50は、第1磁石51と、第1磁石を挟むように配置された一対の第2磁石52,53と、を含む。第1磁石51は、上面50fから底面50bに至るように延びる多角形柱状(ここでは四角柱状)である。したがって、第1磁石51は、その端面が、上面50f及び底面50bの一部のエリアを構成する。より具体的には、第1磁石51は、上面50fにおけるエリア51aと、底面50bにおけるエリア(第1エリア)51bと、を含む。
第2磁石52,53は、それぞれ、上面50fから底面50bに至るように延びる多角形柱状(ここでは三角柱状)である。したがって、第2磁石52,53は、その端面が、上面50f及び底面50bの一部のエリアを構成する。より具体的には、第2磁石52は、上面50fにおけるエリア(第2エリア)52aと、底面50bにおけるエリア52bと、を含む。また、第2磁石53は、上面50fにおけるエリア(第2エリア)53aと、底面50bにおけるエリア53bと、を含む。ここでは、上面50fは、エリア51a,52a,53aから構成されており、底面50bは、エリア51b,52b,53bから構成されている。
第2磁石52,53のエリア52a,53aは、ここでは、それぞれ三角形状を呈している。したがって、第2磁石52のエリア52aは、磁石部50の外側に臨む第1辺部分52p及び第2辺部分52rを含む。また、第2磁石53のエリア53aは、磁石部50の外側に臨む第3辺部分53p及び第4辺部分53rを含む。
第1磁石51及び第2磁石52,53は、それぞれの磁極がハルバッハ配列となるように配列されている(すなわち、磁石部50は、ハルバッハ構造を有している)。ここでは、第2磁石52は、その第1磁極(例えばN極)が底面50b側に位置し、且つ、その第2磁極(例えばS極)が上面50f側に位置するように配置されている。第2磁石53は、第2磁石52と逆向きに配置されている。すなわち、第2磁石53は、その第1磁極が上面50f側に位置し、且つ、その第2磁極が底面50b側に位置するように配置されている。一方、第1磁石51は、第2磁石53側に第1磁極が位置し、且つ、第2磁石52側に第2磁極が位置するように配置されている。
第1磁石51、第2磁石52,53は、以上のような磁極の配列となるように配置されて組み合わされている。このため、磁極同士の引力及び斥力によって、第1磁石51には、上面50fから底面50bに向かう第1方向D1に沿って力が作用する。一方、第2磁石52,53には、底面50bから上面50fに向かう第2方向D2に沿って力が作用する。したがって、磁石部50を一体的に保持するための構成が必要となる。本実施形態においては、パッケージ60がその機能を有する。
パッケージ60は、磁石部50を収容している。底壁部61、側壁部62、及び規制部63を備えている。底壁部61、側壁部62、及び規制部63は、互いに一体的に形成されている。パッケージ60は、全体として直方体状を呈している。底壁部61は、矩形の平板状を呈している。底壁部61は、磁石部50の底面50bに接触して底面50bを支持している。すなわち、底壁部61は、第1磁石51のエリア51b、第2磁石52のエリア52b、及び、第2磁石53のエリア53bを支持している。
側壁部62は、底壁部61の外縁に沿って立設されている。したがって、ここでは、側壁部62は、矩形環状となっている。側壁部62は、磁石部50の側面50sに接触して側面50sを支持している。
規制部63は、側壁部62における底壁部61と反対側の端部に設けられている。規制部63は、側壁部62の端部の一部に設けられており、側壁部62に沿った方向からみて略U字の枠状に形成されている。規制部63は、側壁部62から上面50f上に張り出すように延在している。これにより、規制部63は、上面50fの少なくとも一部に接触し、上面50fを支持している。より具体的には、規制部63は、六角形状の上面50fの3つの辺部分を覆っている。特に、規制部63は、第2磁石52のエリア52aの第1辺部分52pの大部分(例えば全体(以下同様))を覆って支持すると共に、第2辺部分52rの大部分を覆って支持している。
さらに、規制部63は、第2磁石53のエリア53aの第3辺部分53pの大部分を覆って支持している。ただし、規制部63は、第2磁石53のエリア53aの第4辺部分53rを解放しており(覆っておらず)、露出させている。この規制部63の解放部分63pは、後述するように配線部の引出部を形成している。なお、ここでは、規制部63は、第1磁石51のエリア51aの4つの角部のうちの3つを覆っている。
このように、パッケージ60においては、底壁部61、側壁部62、及び、規制部63が、磁石部50の各面を支持することにより、磁石部50を機械的に一体的に保持している。上述したように、第1磁石51には、上面50fから底面50bに向かう第1方向D1に沿って力が作用している。これに対して、パッケージ60においては、側壁部62によって、第1磁石51及び第2磁石52,53の第1方向D1に交差(直交)する面内における移動が規制される共に、底壁部61によって第1磁石51の第1方向D1への移動が規制されている。
一方、第2磁石52,53には、底面50bから上面50fに向かう第2方向D2に沿って力が作用している。これに対して、パッケージ60においては、規制部63によって、第2磁石52,53のエリア52a,53aの一部(第1辺部分52p、第2辺部分52r、第3辺部分53p)が支持されている。これにより、規制部63は、第2磁石52,53の第2方向D2への移動を規制している。これらの結果、磁石部50を構成する第1磁石51及び第2磁石52,53の分離が抑制され、磁石部50が一体的に保持される。
なお、以上のパッケージ60は、例えばインサート成型により磁石部50を収容した状態において一体成型される。具体的には、この例では、パッケージ60は、磁石部50を金型に配置した後に第1磁石51及び第2磁石52,53が互いに分離しないように保持しながら、金型に樹脂を導入することにより一体成型される。このため、この例では、第1磁石51及び第2磁石52,53を保持するための複数の切り欠きCが生じている。
すなわち、パッケージ60は、インサート成型により複数の切り欠き又は複数の孔等の貫通部を有する。このように、パッケージ60(底壁部61、側壁部62、及び、規制部63)が一体形成されている場合には、例えば別体に構成した部材をねじ止め等により固定する場合よりも、磁石部50を位置精度よくパッケージ60に固定できる。なお、パッケージ60の材料は、例えばスーパーエンジニアリングプラスチックやエンジニアリングプラスチックに分類される樹脂が好ましく、例えばPPS(ポリフェニレンスルファイド)、LCP(液晶ポリマー)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等である。更にパッケージ60の材料は、機械的強度や耐熱性を向上させるためにフィラー強化されていても良い。
ここで、ミラーユニット40(すなわち可動ミラー部10)は、磁石部50の上面50fと規制部63とによって形成された空間SPに配置されている。より具体的には、磁石部50の上面50fは、上面50fに交差(直交)する方向からみて、規制部63に重複する部分以外は露出されている。これにより、上面50fの露出部分と規制部63とによって空間SPが形成されており、ミラーユニット40はその空間SPに配置されている。その状態において、ミラーユニット40は、接着樹脂Rにより、ベース42の外側表面42bが上面50fに接着されている。また、ここでは、ミラーユニット40は、規制部63に接触していない。このため、上面50fに交差する方向からみて、ミラーユニット40と規制部63との間には、間隙Gが形成されている。
また、ミラーユニット40が磁石部50上に配置された状態において、上面50fに交差(直交)する方向からみて、少なくとも、MEMSミラー1の可動ミラー部10が、第1磁石51のエリア51a上に位置するようにされている。また、上面50fに沿った可動ミラー部10(すなわち可動部)の幅は、上面50fに沿った第1磁石51の幅よりも小さい。より具体的には、ここでは、上面50fに沿った可動ミラー部10(ここでは第2可動部4(可動部))の寸法の最大値が、エリア51aの寸法の最小値よりも小さい。このため、可動ミラー部10の全体が、エリア51a上に位置する。これにより、第1駆動用コイル11及び第2駆動用コイル12に対して、比較的平坦な強度分布の磁界を作用させることが可能となる。また、可動部(第1可動部3及び第2可動部4)の幅が第1磁石51の幅よりも小さいことで、比較的平坦な強度分布の磁界となるため、可動部を磁石部50に位置合わせすることが容易になる。さらに、可動ミラー部10の幅が第1磁石51の幅よりも小さいことで、強度分布が平坦となる領域が広がるため、さらに位置合わせが容易になる。
また、光モジュール100は、コネクタ70と、コネクタ70に接続された配線部71と、をさらに備えている。コネクタ70は、パッケージ60の側壁部62内に埋設されている。配線部71は、コネクタ70から延び、規制部63の解放部分63pを通じて空間SP内に導入され、光モジュール100(例えばベース42)に接続されている。これにより、配線部71には、MEMSミラー1とは、例えばワイヤWによって電気的に接続されている。このように、パッケージ60の解放部分63pは、配線部71の引出部を形成している。
引き続いて、光モジュール100の製造方法について説明する。この製造方法においては、まず、ミラーユニット40と、パッケージ60と、パッケージ60に収容された磁石部50と、を用意する(第1工程)。続いて、磁石部50上にミラーユニット40を配置する(第2工程)。このとき、ミラーユニット40を配置する工程においては、磁石部50の上面50fとパッケージ60の規制部63とによって形成された空間SPにミラーユニット40を配置する。また、このとき、ミラーユニット40を、規制部63に接触しないようにする(すなわち、ミラーユニット40と規制部63との間に間隙Gが形成されるようにする)。そして、ミラーユニット40を磁石部50に接着することにより、光モジュール100が構成される。
以上説明したように、光モジュール100においては、パッケージ60に収容された磁石部50により可動ミラー部10(第1駆動用コイル11及び第2駆動用コイル12)に作用する磁界が発生される。磁石部50は、第1磁石51と第2磁石52,53とを含むハルバッハ構造を有している。第1磁石51には、例えば第2磁石52,53との磁界の相互作用により、磁石部50の上面50fから底面50bに向かう第1方向D1に力が作用している。第2磁石52,53には、同様にして、磁石部50の底面50bから上面50fに向かう第2方向D2に力が作用している。
これに対して、パッケージ60は、底壁部61によって、少なくとも、磁石部50の底面50bを構成する第1磁石51のエリア51bを支持し、且つ、規制部63によって、磁石部50の上面50fを構成する第2磁石52,53のエリア52a,53aを覆うことによりその移動を規制している。また、パッケージ60は、側壁部62によって、磁石部50の側面を支持している。つまり、第1磁石51及び第2磁石52,53においては、それぞれに作用する力による相対移動が、パッケージ60により規制されている。このため、第1磁石51と第2磁石52,53とが分離することなく維持され、信頼性が向上する。また、第1磁石51と第2磁石52,53とを組み合わせるに際して、接着樹脂が必須となる構成が避けられる。したがって、コストの低減が可能となる。
なお、光モジュール100においては、可動ミラー部10を、磁石部50の上面50fと規制部63とによって形成される空間SPに配置することにより、磁石部50の上面50fに近接させることができ、磁石部50の磁力を効率よく利用することが可能である。また、第1駆動用コイル11及び第2駆動用コイル12が当該空間SP内に配置されることにより、磁石部50の磁力をより効率よく利用可能である。なお、第1駆動用コイル11及び第2駆動用コイル12は、空間SP内に配置されていなくてもよい。また、可動ミラー部10が空間SP内に配置される際には、可動部が磁石部50の上面50f側へ最大変位(振れ角)となったときに可動部の一部が空間SP内にあればよい。
また、光モジュール100においては、磁石部50は、第1磁石51を挟むように配置された一対の第2磁石52,53を有し、一対の第2磁石52,53のうちの一方の第2磁石52は、エリア52aの第1辺部分52p及び第2辺部分52rを含む。そして、規制部63は、第1辺部分52p及び第2辺部分52rのうちの少なくとも一部を覆っている。このように、必要最低限の規制部63の構成によって、一対の第2磁石52,53のうちの一方の移動を規制して信頼性を向上可能である。
また、光モジュール100においては、一対の第2磁石52,53のうちの他方の第2磁石53は、エリア53aの第3辺部分53p及び第4辺部分53rを含む。そして、規制部63は、第3辺部分53pのうちの少なくとも一部を覆うと共に、第4辺部分53rの少なくとも一部を露出することにより配線部71の引出部を形成している。このように、必要最低限の規制部63の構成によって、一対の第2磁石52,53のうちの他方の移動を規制して信頼性を向上可能である。また、規制部63を配線部71の引出部として機能させることができる。
また、光モジュール100においては、規制部63は、磁石部50の上面50fの2つの辺部分(例えば第1辺部分52p及び第3辺部分53p)のそれぞれの少なくとも一部を覆っている。このため、簡単な構成により第2磁石52,53の移動を規制して信頼性を向上可能である。
また、光モジュール100においては、上面50fに交差する方向からみて、ミラーユニット40と規制部63との間には間隙Gが形成されている。このため、例えばパッケージ60(規制部63)に生じる膨張・収縮や衝撃等の影響がミラーユニット40に及び難くなる。また、例えば、樹脂を用いてミラーユニット40を磁石部50の上面50f上に接着する際に、余剰の樹脂を当該間隙Gに逃すことが可能になる。このため、ミラーユニット40と磁石部50の上面50fとの間に介在する樹脂層の厚みを高精度に制御可能となる。
さらに、光モジュール100においては、底壁部61、側壁部62、及び、規制部63は、互いに一体的に形成されている。このため、確実に、信頼度が向上されると共にコストが低減可能となる。
以上の実施形態は、本発明に係る光モジュール及びその製造方法の一実施形態について説明したものである。したがって、本発明に係る光モジュール及びその製造方法は、上述したものに限定されず、任意に変更することができる。
例えば、パッケージ60は、図6に示されるパッケージ60Aとすることができる。パッケージ60Aにおいては、規制部63が、第2磁石52のエリア52aの第1辺部分52pの大部分(ここでは全体)を覆って支持すると共に、第2辺部分52rを解放しており、露出させている。また、ここでは、規制部63は、第2磁石53のエリア53aの第3辺部分53pの大部分(ここでは全体)を覆って支持すると共に、第4辺部分53rを解放しており、露出させている。
また、パッケージ60は、図7に示されるパッケージ60Bとすることができる。パッケージ60Bにおいては、規制部63が、第2磁石52のエリア52aの第1辺部分52p及び第2辺部分52rの大部分(ここでは全体)を覆って支持すると共に、第2磁石53のエリア53aの第3辺部分53p及び第4辺部分53rの大部分(ここでは全体)を覆って支持している。つまり、ここでは、規制部63は、エリア52a,53aの外側に臨む全ての辺部分を支持している。これにより、ここでは、規制部63は、磁石部50の上面50fの4つの辺部分を覆っている。このため、第2磁石52,53の移動を確実に規制して信頼性を向上可能である。
また、パッケージ60は、図8の(a)に示されるパッケージ60Cとすることができる。パッケージ60Cは、底壁部61から外側に突設された板状の第1フランジ部64と、側壁部62から外側に突設された板状の第2フランジ部65と、をさらに備えている。第1フランジ部64には、複数の貫通孔64hが形成されており、第2フランジ部65には、複数の貫通孔65hが形成されている。この場合には、貫通孔64h,65hを利用することにより、光モジュール100を他の装置に取り付けることが容易となる。
また、パッケージ60は、図8の(b)に示されるパッケージ60Dとすることができる。このパッケージ60Dは、上述したパッケージ60Bと同様の規制部63の構成を有しており、且つ、側壁部62に複数の配線部73が埋設されている構成を有する。配線部73は、規制部63の頂面に露出してパッド74とされている。
さらに、パッケージ60は、図9に示されるパッケージ60E,60Fとすることができる。これらのパッケージ60E,60Fは、一体成型によらず、底壁部61及び側壁部62のユニットと規制部63とが別体に構成されている。パッケージ60Eにおいては、ねじ等の締結部材66によって、矩形環状の規制部63が側壁部62に締結されている。パッケージ60Fにおいては、矩形環状の規制部63に設けられた係止爪67が側壁部62に係止されることにより、規制部63が側壁部62に固定される。
以上のパッケージ60〜60Fにおいては、規制部63は、上面50fの各辺部分(例えば、第1辺部分52p、第2辺部分52r、第3辺部分53p、及び、第4辺部分53r)の一部を覆っていればよい。すなわち、規制部63は、上面50fの少なくとも一部を覆っていればよいし、さらには、上面50fのうちの各辺部分の少なくとも一部を覆っていればよい。
一方、パッケージ60〜60Fの底壁部61は、第1磁石51のエリア51bのみを支持していてもよいし、さらには、エリア51bの一部のみを支持していてもよい。すなわち、底壁部61は、エリア51bの少なくとも一部を支持していればよい。また、パッケージ60〜60Fの側壁部62は、磁石部50の側面50sの少なくとも一部を支持していればよい。
なお、上記実施形態においては、ミラーユニット40が磁石部50の上面50fに接着樹脂Rによって直接的に接着される場合について説明した。しかしながら、ミラーユニット40と上面50fとの間には、別の層が介在してもよい。例えば、パッケージ60が、上面50fの全体を覆う被覆部を備えており、上面50f及び被覆部の上にミラーユニット40が配置されてもよい。
また、磁石部50の構成は、上記の構成に限らず、4つ以上の磁石を含んでもよいし、2つの磁石からなってもよい。さらに、磁石同士は、パッケージ60によって機械的に分離が抑制されている状態において、さらに、接着樹脂により互いに接着されていてもよい。
また、図1,3において、光モジュール100の窓材44が、第2磁石52から第2磁石53に向かうにつれてベース42に近づくように傾斜しているが、窓材44の傾斜方向はこれに限定されず任意の方向とすることができる。
また、図1等においては、パッケージ60の底壁部61が側壁部62よりも下方に位置した状態において光モジュール100を図示している。しかしながら、光モジュール100は、側壁部62を下方にして用いることもできる。すなわち、上記実施形態における「底壁部」及び「側壁部」の文言は、鉛直方向に対する光モジュール100の姿勢を限定するものではない。
また、上記実施形態においては、可動ミラー部の一例としてMEMSミラー1の可動ミラー部10を示したが、この例示は可動ミラー部のサイズを限定するものではない(。
さらに、可動ミラー部は、上記実施形態における可動ミラー部10の構成に限らず、1軸・2軸、トーションバーによる片側支持・両側支持など、可動のものであれば任意の構成であってよい。