JP2019032966A - 二次電池負極集電体用材 - Google Patents

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Abstract

【課題】クロメート処理による不動態膜形成以外の方法により、十分な防錆効果を備えた二次電池負極集電体用材を提供する。【解決手段】この二次電池負極集電体用材は、CuまたはCu合金により構成された板状のCu材52を備え、Cu材52はCuOの結晶相およびCu2Oの結晶相を含む表面層53を有し、表面層53におけるCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積)により求まる面積比A1(百分率)は22.0%以上である。この二次電池負極集電体用材は、金属により構成された芯材層154に接合され、CuまたはCu合金により構成されたCu層155および156を備える板状のクラッド材を備えるものでもよい。【選択図】図2

Description

この発明は、二次電池負極集電体用材に関し、Cu(銅)またはCu合金からなる層(材)を備える二次電池負極集電体用材に関する。
従来、CuまたはCu合金からなる層(材)を備える二次電池負極集電体用材が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、CuまたはCu合金からなり、表面がCu2Oにより被覆された負極集電体(二次電池負極集電体用材)が開示されている。
特開2003−132894号公報
しかしながら、本願発明者は、上記特許文献1に記載の負極集電体では、防錆が十分でなく、大気中で酸化が進行して、負極集電体と活物質との間の接触抵抗が増加して、負極集電体を用いた電池セルにおける抵抗も増加するという問題点があった。
ここで、防錆のために、CuまたはCu合金からなる二次電池負極集電体用材を、6価のCr(クロム)を含む溶液に浸漬させることによって表面に不動態膜を形成するクロメート処理を行うことが考えられる。しかしながら、処理後の溶液に含まれる6価のCrは環境負荷が大きいため、クロメート処理を行うことは、環境負荷の点から好ましくない。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、クロメート処理による不動態膜形成以外の方法により、十分な防錆効果を備えた二次電池負極集電体用材を提供することである。
本願発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、Cu材(Cu層)の表面層にCu2O(酸化銅(I))ではなくCuO(酸化銅(II))の結晶相が所定の割合以上含まれることによって、酸化の進行が抑制されて防錆効果が生じることを見出した。このような知見に基づいて、本発明を完成させた。
すなわち、この発明の第1の局面による二次電池負極集電体用材は、CuまたはCu合金により構成された板状のCu材を備え、Cu材は少なくとも板面にCuOの結晶相およびCu2Oの結晶相を含む表面層を有し、表面層におけるCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積)により求まる面積比(百分率)は、22.0%以上である。ここで、「CuOの結晶相の面積」とは、X線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)を用いてCu2pのナロースキャンスペクトルを取得した際のCu2p3/2のピークにおいて、CuOおよびCu2Oのピークに基づくCuOの結晶相とCu2Oの結晶相との合計面積に対するCuOの結晶相の面積の割合(面積比)である。同様に、「Cu2Oの結晶相の面積」とは、XPSによる上記のCuOおよびCu2Oのピークに基づいて求まる、CuOの結晶相とCu2Oの結晶相との合計面積に対するCu2Oの結晶相の面積の割合(面積比)である。また、「Cu合金」とは、Cu(銅)を50質量%以上含む合金を意味する。
この発明の第1の局面による二次電池負極集電体用材では、上記のように、面積比が22.0%以上であるCuOの結晶相を含む表面層を板状のCu材の少なくとも板面に有することにより、CuまたはCu合金により構成されるCu材の表面層よりも内側の領域に酸化が進行するのを抑制することができる。これにより、クロメート処理により不動態膜を形成しなくても十分な防錆効果を生じさせることができるので、クロメート処理による不動態膜形成以外の方法により、十分な防錆効果を備えた二次電池負極集電体用材を提供することができる。この結果、大気中で酸化が進行して、板状のCu材を備える二次電池負極集電体用材からなる負極集電体と、その負極集電体の表面(板状のCu材の板面)に結着される負極活物質層との間の接触抵抗が増加するのを抑制することができる。なお、CuOの結晶相により、Cu材の表面層よりも内側の領域に酸化が進行するのを抑制することができる点は、後述する実験により確認済みである。
また、この発明の第2の局面による二次電池負極集電体用材は、金属により構成された芯材層と、芯材層に接合され、CuまたはCu合金により構成されたCu層とを備える板状のクラッド材を備え、クラッド材は少なくともCu層の芯材層と接合される面と厚み方向において反対側の表面にCuOの結晶相およびCu2Oの結晶相を含む表面層を有し、表面層におけるCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積)により求まる面積比(百分率)は、22.0%以上である。
この発明の第2の局面による二次電池負極集電体用材では、芯材層とCu層とのクラッド材に適用した場合にも、上記第1の局面による二次電池負極集電体用材と同様に、面積比が22.0%以上であるCuOの結晶相を含む表面層を少なくとqもCu層の芯材層と接合される面と厚み方向において反対側の表面に有することにより、CuまたはCu合金により構成されるCu層の表面層よりも内側の領域に酸化が進行するのを抑制することができる。これにより、クロメート処理により不動態膜を形成しなくても十分な防錆効果を生じさせることができるので、クロメート処理による不動態膜形成以外の方法により、十分な防錆効果を備えたクラッド材からなる二次電池負極集電体用材を提供することができる。
上記第2の局面による二次電池負極集電体用材において、好ましくは、芯材層は、Ni、Ni合金、FeまたはFe合金により構成されている。このように構成すれば、芯材層とCu層とのクラッド材において、機械的強度がCu層よりも大きい芯材層を用いることができる。これにより、たとえば、二次電池負極集電体用材をリチウムイオン二次電池の負極集電体として用いた場合には、負極集電体上に配置される負極活物質の膨張収縮に起因する応力に確実に抗することができる。この結果、負極集電体に皺や破れなどの不具合が生じるのを抑制することができる。なお、「Ni合金」および「Fe合金」とは、それぞれ、Ni(ニッケル)およびFe(鉄)を50質量%以上含む合金を意味する。
上記第1または第2の局面による二次電池負極集電体用材において、好ましくは、表面層におけるCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積)により求まる面積比(百分率)は、30.0%以上である。このように構成すれば、表面層におけるCuOの結晶相の面積が大きくなるので、CuOの結晶相の面積が増えた分だけ、Cu材の表面層よりも内側の領域に酸化が進行するのを確実に抑制することができる。
上記第1または第2の局面による二次電池負極集電体用材において、好ましくは、表面層は、Cu(OH)2の結晶相をさらに含み、表面層におけるCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積+Cu(OH)2の結晶相の面積)により求まる面積比(百分率)は、15.0%以上である。このように構成すれば、CuOの結晶相およびCu2Oの結晶相だけでなくCu(OH)2の結晶相を含む表面層において、表面層に面積比が15.0%以上のCuOの結晶相を有することにより、Cu材の表面層よりも内側の領域に酸化が進行するのを抑制することができる。また、Cu(OH)2(水酸化銅)は、比較的不安定であり、たとえば、二次電池負極集電体用材上に樹脂材を介して負極活物質を結着させる際の熱などにより、Cu(OH)2をCuOに変化させることが可能である。つまり、表面層がCu(OH)2の結晶相をさらに含むことによって、加熱などによりCuOの結晶相の面積比をより大きくすることができる。
上記第1または第2の局面による二次電池負極集電体用材において、好ましくは、表面層における十点平均粗さは、0.30μm以上である。このように構成すれば、ある程度粗化されて凹凸が形成された表面層上に、負極活物質を確実に配置することができる。
この場合、好ましくは、負極活物質を接着するための樹脂材が表面上に設けられる。このように構成すれば、表面層に形成された凹凸と、表面層における表面積の増大とにより、表面層上に樹脂材を確実に密着させることができる。これにより、樹脂材により、二次電池負極集電体用材の表面上に負極活物質を確実に結着させることができる。
本発明によれば、上記のように、クロメート処理による不動態膜形成以外の方法により、十分な防錆効果を備えた二次電池負極集電体用材を提供することができる。
本発明の第1実施形態による二次電池負極集電体用材を用いた負極を備えるリチウムイオン二次電池を示した模式的な断面斜視図である。 本発明の第1実施形態による二次電池負極集電体用材を用いた負極を示した断面図である。 本発明の第1実施形態による二次電池負極集電体用材(負極集電体)の表面層周辺を示した拡大断面図である。 本発明の第2実施形態による二次電池負極集電体用材を用いた負極を示した断面図である。 本発明の効果を確認するために行った表面層解析における試験材2のスペクトルを示したグラフである。 本発明の効果を確認するために行った表面層解析における試験材7のスペクトルを示したグラフである。 本発明の効果を確認するために行った剥離試験を説明するための模式的な斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態による二次電池負極集電体用材(負極集電体50)を用いたリチウムイオン二次電池100(以降、電池100と称する)および負極集電体50の構成について説明する。
(リチウムイオン二次電池)
電池100は、図1に示すように、円筒状の筐体1と、筐体1の開口を封止する蓋材2と、筐体1内に配置される蓄電要素3とを備える。筐体1は、Niめっき鋼板から構成されており、電池100の負極端子を兼ねている。
筐体1内には、蓄電要素3と電解液(図示せず)とが収容されている。蓋材2は、アルミニウム合金等から構成されており、電池100の正極端子を兼ねている。蓄電要素3は、正極4と、負極5と、正極4と負極5との間に配置された絶縁性のセパレータ6とが巻回されることによって形成されている。正極4は、アルミニウム箔により構成される正極集電体(図示せず)と、正極集電体の表面上に配置される正極活物質層(図示せず)とを含む。正極活物質層は、マンガン酸リチウムなどの正極活物質と、樹脂材により構成されるバインダとを有する。
電池100は、正極4と正極端子(蓋材2)とを接続するための正極用リード材7と、負極5と負極端子(筐体1)とを接続するための負極用リード材8とをさらに備える。正極用リード材7は、アルミニウム箔により構成され、正極4の正極集電体と蓋材2とに抵抗溶接などにより接合されている。負極用リード材8は、銅箔により構成され、負極5の負極集電体50(図2参照)と筐体1とに抵抗溶接などにより接合されている。
(負極)
負極5は、図2に示すように、負極集電体50と、負極集電体50の表面50a上に配置される負極活物質層51とを含む。
負極活物質層51は、C(炭素)、Si(ケイ素)、酸化ケイ素、Sn(スズ)、または酸化スズなどにより構成される負極活物質(図示せず)と、負極活物質を負極集電体50の表面50a上に接着するためのバインダとを有する。
負極活物質は、充放電に伴いLi+(リチウムイオン)を吸蔵または放出することにより、体積が増減する。このため、充放電に伴い負極集電体50に繰り返し応力が加えられる。
バインダは、樹脂材により構成されている。バインダは、たとえば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂またはフッ素樹脂(たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF))により構成されている。ここで、アクリル樹脂により構成されるバインダは、水系のスラリーを用いることが可能で、容易に塗布により合剤層(負極活物質層51)を設けることが可能である。また、ポリイミド樹脂により構成されるバインダは、機械的特性に優れており合剤層が崩壊しにくい。
負極集電体50は、CuまたはCu合金により構成された、板状(箔状)のCu材52を備える二次電池負極集電体用材からなる。なお、Cu(純銅)としては、いわゆる、C1000系(JIS規格)の無酸素銅、りん脱酸銅、タフピッチ銅などがある。また、Cu合金としては、C2000系(JIS規格)などがある。なお、負極集電体50の厚みt1は、電池100内において蓄電要素3(図1参照)の一部として巻回すために、より小さい方が好ましい。
ここで、第1実施形態では、Cu材52は、防錆処理としての酸化処理によって形成された、CuOの結晶相、Cu2Oの結晶相、およびCu(OH)2の結晶相を含む表面層53を有する。そして、表面層53におけるCuOの結晶相の面積比(面積比A1と呼ぶ)、すなわちCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積)により求まる面積比A1(百分率)は、22.0%以上である。なお、上記の面積比A1は、より大きい30.0%以上、さらには40.0%以上であるのが好ましく、CuOの結晶相の面積がCu2Oの結晶相の面積と同等以上になる50.0%以上であるのがより好ましい。
また、表面層53において、別の観点におけるCuOの結晶相の面積比(面積比B1と呼ぶ)、すなわちCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積+Cu(OH)2の結晶相の面積)により求まる面積比B1(百分率)は、15.0%以上であるのが好ましい。なお、上記の面積比B1は、より大きい30.0%以上、さらには35.0%以上であるのがより好ましく、CuOの結晶相の面積がCu2Oの結晶相とCu(OH)2の結晶相との合計面積と同等以上になる50.0%以上であるのが一層好ましい。
なお、表面層53におけるCuOの結晶相の面積比、Cu2Oの結晶相の面積比およびCu(OH)2の結晶相の面積比は、表面層53に対してXPS(別称ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を行うことによって取得される。具体的には、XPS(ESCA)を用いてCu2pのナロースキャンスペクトルを取得する。そして、Cu2p3/2の結合エネルギーのピーク周辺のスペクトルからCuOの結晶相のピーク(933.6eV)と、Cu2Oの結晶相のピーク(932.5eV)と、Cu(OH)2の結晶相のピーク(935.1eV)とを分離し、CuO、Cu2O、およびCu(OH)2の各々の結晶相の面積比を取得する。
その後、CuOおよびCu2Oの各々の結晶相のピークの面積の総和(合計面積A0と呼ぶ)を求める。そして、合計面積A0に対するCuOの結晶相のピークの面積の比率、すなわちCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積)により求まる値(百分率)を求め、その値を上記の面積比A1とする。同様に、合計面積A0に対するCu2Oの結晶相のピークの面積の比率、すなわちCu2Oの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積)により求まる値(百分率)を求め、その値を面積比A2とする。
また、CuO、Cu2O、およびCu(OH)2の各々の結晶相のピークの面積の総和(合計面積B0と呼ぶ)を求める。そして、合計面積B0に対するCuOの結晶相のピークの面積の比率、すなわちCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積+Cu(OH)2の結晶相の面積)により求まる値(百分率)を求め、その値を上記の面積比B1とする。同様に、合計面積B0に対するCu2Oの結晶相のピークの面積の比率、すなわちCu2Oの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積+Cu(OH)2の結晶相の面積)により求まる値(百分率)を求め、その値を面積比B2とする。同様に、合計面積B0に対するCu(OH)2のピークの面積の比率、すなわちCu(OH)2の結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積+Cu(OH)2の結晶相の面積)により求まる値(百分率)を求め、その値を面積比B3とする。
なお、Cu(OH)2は、比較的不安定であり、負極集電体50上にバインダを介して負極活物質を配置させる際の熱などにより、CuOに変化させることが可能である。これによって、CuOの結晶相の面積比をさらに大きくすることが可能である。
また、表面層53には、CuOの結晶相、Cu2Oの結晶相およびCu(OH)2の結晶相以外の結晶相が含まれていてもよい。
また、表面層53は、Cu材52の略全面に亘ってCu材52を覆うように形成されている。なお、表面層53は、少なくともCu材52の負極活物質層51が結着される表面(板面)に形成されていればよく、Cu材の厚み方向(Z方向)に沿う端面(図2においてはCu材52の左面および右面)の表面には形成されていなくてもよい。また、表面層53の厚みt2は、50nm以下であり、Cu材52と比べて十分に小さい。この結果、負極用リード材8に接合される際に、表面層53により接触抵抗が増加するのを抑制することが可能である。また、表面層53の厚みt2は、20nm以下であるのが好ましい。この結果、表面層53の厚みt2が非常に小さいので、負極集電体50の外観としては、表面層53を構成する結晶相の色(たとえば、CuOの黒色やCu2Oの赤茶色)はほとんど観察されずに、Cu材52を構成するCuまたはCu合金の色(たとえば、Cuの場合には、赤橙色)が観察される。なお、図2では、理解しやすく表現するため、表面層53の厚みt2を誇張して図示している。
また、負極集電体50の表面層53側の表面50a(図2においては表面層53の負極活物質層51が固着された部分および外部に露出する部分)は、Cu材52に対する粗化処理により微細な凹凸が形成されている。また、Cu材52に形成された凹凸の少なくとも一部は、表面層53の厚みt2よりも大きくなることにより、表面層53は、実際には図2に示すように一様な層状ではなく、図3に拡大かつ誇張して示すように、Cu材52の凹凸の各々を覆うように形成される。そして、Cu材52に形成された凹凸に負極活物質層51が入り込むことによって、負極集電体50と負極活物質層51との密着性が向上している。
なお、粗化処理により荒らされた負極集電体50において、JIS B 0601:1994に基づく表面層53側の算術平均粗さRaは、0.06μm以上であるのが好ましく、0.075μm以上であるのがより好ましい。また、JIS B 0601:1994に基づく表面層53側の十点平均粗さRzは、0.30μm以上であるのが好ましく、0.35μm以上であるのがより好ましい。さらに、表面層53側の十点平均粗さRzは、0.40μm以上であるのが特に好ましい。これにより、負極集電体50に対する負極活物質層51の固着状態が好ましいものとなる。
(負極集電体の製造方法)
次に、本発明の第1実施形態による負極集電体50(二次電池負極集電体用材)の製造方法について簡単に説明する。
まず、CuまたはCu合金により構成された、箔状のCu材52を準備する。そして、Cu材52に対して粗化処理を行う。粗化処理では、硫酸カリウムを含む弱酸性水溶液を用いていわゆるソフトエッチングを行う。これにより、Cu材52の表面に微細な凹凸が形成される。なお、ソフトエッチングを行うことにより、エッチング(溶解)を緩やかに進行させることができるので、厚みの小さい箔状のCu材52が急速にエッチングされて過度に溶解するのを抑制することが可能である。
そして、粗化処理が行われたCu材52に対して中和処理を行った後、防錆処理としての酸化処理を行う。防錆処理では、過酸化水素水を用いて、粗化処理が行われたCu材52の表面を酸化させる。この際、過酸化水素水中の過酸化水素の割合(濃度)を増加させると、CuOの結晶相が形成されやすい。具体的には、質量パーセント濃度で0.5%以上の過酸化水素水を用いることによって、CuOの結晶相の面積比を15.0%以上にすることが可能である。なお、CuOの結晶相の面積比を大きくするためには、質量パーセント濃度で1.0%以上の過酸化水素水を用いるのが好ましい。これにより、Cu材52の表面に、CuOの結晶相およびCu2Oの結晶相を含み、CuOの結晶相の面積比が15.0%以上である表面層53が形成される。この結果、負極集電体50が作製される。
その後、作製された負極集電体50の表面層53上に負極活物質層51を形成する。具体的には、負極活物質とバインダとを含むスラリーを、負極集電体50の厚み方向(Z方向)の両表面層53上に塗布して、乾燥させて硬化させる。これにより、負極集電体50の表面層53上に負極活物質層51が固着され、負極5が作製される。
<第1実施形態の効果>
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、表面層53におけるCuOの結晶相の面積比(面積比A1)が22.0%以上であることによって、CuまたはCu合金により構成されるCu材52の表面層53よりも内側の領域に酸化が進行するのを抑制することができる。これにより、クロメート処理により不動態膜を形成しなくても十分な防錆効果を生じさせることができるので、クロメート処理による不動態膜形成以外の方法により、十分な防錆効果を有する板状のCu材を備える二次電池負極集電体用材(負極集電体50)を提供することができる。この結果、大気中で酸化が進行して、二次電池負極集電体用材からなる負極集電体50と、負極集電体50に結着される負極活物質層51との間の接触抵抗が増加するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、好ましくは、表面層53におけるCuOの結晶相の面積比(面積比A1)が50.0%以上、つまり、表面層53におけるCuOの結晶相の面積がCu2Oの結晶相の面積の同等以上である。このように構成すれば、CuOの結晶相の面積がCu2Oの結晶相の面積より大きい表面層53を有することができるので、CuOの結晶相の面積が大きい分だけ、Cu材52の表面層53よりも内側の領域に酸化が進行するのを確実に抑制することができる。
また、第1実施形態では、好ましくは、表面層53におけるCuOの結晶相の面積比(面積比B1)が、15.0%以上である。このように構成すれば、CuOの結晶相およびCu2Oの結晶相だけでなくCu(OH)2の結晶相を含む表面層53において、表面層53に面積比B1が15.0%以上のCuOの結晶相を有することにより、Cu材52の表面層53よりも内側の領域に酸化が進行するのを抑制することができる。また、表面層53が負極活物質層51を結着させる際の熱などによりCuOに変化させることが可能なCu(OH)2の結晶相をさらに含むことによって、CuOの結晶相の面積比(面積比B1)をより大きくすることができるので、Cu材52の表面層53よりも内側の領域に酸化が進行するのを確実に抑制することができる。
また、第1実施形態では、好ましくは、表面層53における十点平均粗さは、0.30μm以上である。このように構成すれば、ある程度粗化されて凹凸が形成された表面層53上に、負極活物質層51を確実に固着させることができる。
また、第1実施形態では、負極活物質を接着するためのバインダが表面50a上に配置される。これにより、表面層53に形成された凹凸と、表面層53における表面積の増大とにより、表面層53上にバインダを確実に結着させることができる。この結果、バインダにより、負極集電体50の表面50a上に負極活物質を確実に結着することができる。したがって、充放電に伴い負極集電体50に繰り返し応力が加えられた場合であっても皺の発生が抑制され、負極集電体50の表面50a上から負極活物質(負極活物質層51)が脱落するのを確実に抑制することができる。
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態による負極105について説明する。第2実施形態による負極105では、第1実施形態による負極5とは異なり、負極集電体150がクラッド材157から構成される例について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
(負極)
負極105は、図4に示すように、負極集電体150と、負極集電体150の表面150a上に配置される負極活物質層51とを含む。
負極集電体150は、金属により構成された芯材層154と、芯材層154にそれぞれ接合され、CuまたはCu合金により構成された一対のCu層155および156とを備える3層構造の板状のクラッド材157を備える二次電池負極集電体用材からなる。Cu層155は、芯材層154のZ1側の面に接合されているとともに、Cu層156は、芯材層154のZ2側の面に接合されている。そして、クラッド材157では、芯材層154とCu層155との界面および芯材層154とCu層156との界面において、互いの層が拡散焼鈍により原子間接合を形成して強固に接合している。なお、負極集電体150の厚みt11は、電池内において蓄電要素の一部として巻回すためにより小さい方が好ましい。
芯材層154は、Cu層155および156よりも機械的強度が大きい金属により構成されている。たとえば、芯材層154は、Ni、Ni合金、FeまたはFe合金により構成されるのが好ましい。なお、Ni(純ニッケル)としては、いわゆる、NW2200系(JIS規格)などがある。また、Ni合金としては、Ni−Nb合金およびNi−Ta合金などがある。なお、Fe(純鉄)としては、いわゆる、SPCC(JIS規格)などがある。また、Fe合金としては、ステンレス鋼(フェライト系、オーステナイト系、析出硬化系、およびマルテンサイト系)などがある。たとえば、析出硬化系のステンレス鋼として、17質量%のCrと、7質量%のNiと、1質量%のAlと、その他添加物および不可避不純物と、残部Feとにより構成されるSUS631(JIS規格)がある。
ここで、第2実施形態では、Cu層155およびCu層156は、それぞれ、表面層158および159を有する。表面層158および159は、共に、上記第1実施形態の表面層53と同様に、防錆処理としての酸化処理によって形成された、CuOの結晶相、Cu2Oの結晶相、およびCu(OH)2の結晶相を含んでいる。そして、表面層158および159におけるCuOの結晶相の面積比(面積比A1)、すなわちCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積)により求まる面積比A1(百分率)は、22.0%以上である。なお、上記の面積比A1は、より大きい30.0%以上、さらには40.0%以上であるのが好ましく、CuOの結晶相の面積がCu2Oの結晶相の面積と同等以上になる50.0%以上であるのがより好ましい。
また、表面層158および159において、別の観点におけるCuOの結晶相の面積比(面積比B1)、すなわちCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu(OH)2の結晶相の面積)により求まる面積比B1(百分率)は、15.0%以上であるのが好ましい。なお、上記の面積比B1は、より大きい30.0%以上、さらには35.0%以上であるのがより好ましく、CuOの結晶相の面積がCu2OおよびCu(OH)2の結晶相の合計面積と同等以上になる50.0%以上であるのが一層好ましい。
また、表面層158および159には、CuOの結晶相、Cu2Oの結晶相、およびCu(OH)2の結晶相以外の結晶相が含まれていてもよい。
また、表面層158および159は、それぞれ、Cu層155および156の芯材層154と接合される面以外の表面に形成されている。具体的には、表面層158は、Cu層155の芯材層154と接合されるZ2側の面以外の、Z1側の面および側面に形成されている。同様に、表面層159は、Cu層156の芯材層154と接合されるZ1側の面以外の、Z2側の面および側面に形成されている。つまり、表面層158および159は、それぞれ、Cu層155および156の芯材層154に覆われない位置に形成されている。なお、表面層158および159は、少なくともCu層155および156の負極活物質層51が結着される表面に形成されていればよく、クラッド材157(負極集電体150)の厚み方向(Z方向)に沿う端面(図4においてはCu層155および156の左面および右面)の表面には形成されていなくてもよい。また、表面層158の厚みt12aおよび表面層159の厚みt12bは、共に、50nm以下である。この結果、表面層158の厚みt12aおよび表面層159の厚みt12bが非常に小さいので、負極集電体150の外観としては、表面層158および159を構成する結晶相の色(たとえば、CuOの黒色やCu2Oの赤茶色)はほとんど観察されずに、Cu層155および156を構成するCuまたはCu合金の色(たとえば、Cuの場合には、赤橙色)が観察される。なお、図4では、理解しやすく表現するため、表面層158の厚みt12aおよび表面層159の厚みt12bを誇張して図示している。
また、負極集電体150の表面層158側に位置するZ1側の表面150a(図4においては表面層158の負極活物質層51が固着された部分および外部に露出する部分)および負極集電体150の表面層159側に位置するZ2側の表面150a(図4においては表面層159の負極活物質層51が固着された部分および外部に露出する部分)は、それぞれ、Cu層155および156に対する粗化処理により微細な凹凸が形成されている。具体的には、JIS B 0601:1994に基づく表面150a側の算術平均粗さRaは、0.06μm以上であるのが好ましく、0.075μm以上であるのがより好ましい。また、JIS B 0601:1994に基づく表面150a側の十点平均粗さRzは、0.30μm以上であるのが好ましく、0.35μm以上であるのがより好ましい。さらに表面150a側の十点平均粗さRzは、0.40μm以上であるのが特に好ましい。
また、芯材層154の厚みt13、Cu層155の厚みt14およびCu層156の厚みt15の比率(t14:t13:t15)は、適宜調整可能である。たとえば、Cu層155および156における十分な電気伝導度の確保と、芯材層154における高い機械的強度の確保とを両立するために、厚みの比率(t14:t13:t15)は(1:8:1)乃至(3:4:3)程度の範囲にするのが好ましい。つまり、芯材層154の厚みt13は、クラッド材157(負極集電体150)の厚みt11の40%以上80%以下程度の範囲にするのが好ましく、Cu層155の厚みt14およびCu層156の厚みt15は、それぞれ、クラッド材157(負極集電体150)の厚みt11の10%以上30%以下程度の範囲にするのが好ましい。したがって、芯材層154の厚みt13は、Cu層155の厚みt14およびCu層156の厚みt15よりも大きい方が好ましい。この場合、負極集電体150の機械的強度をより向上させる場合には、機械的強度の高い芯材層154の厚みの比率を大きくするのが好ましい。また、負極集電体150の電気伝導度をより向上させる場合には、体積抵抗率の小さいCu層155および156の厚みの比率を大きくするのが好ましい。
また、クラッド圧延において容易に圧延可能にするために、Cu層155の性質とCu層156の性質とを近づけるのが好ましい。つまり、Cu層155とCu層156とを同一組成のCuまたはCu合金するとともに、Cu層155の厚みt14とCu層156の厚みt15とを略等しくするのが好ましい。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態の構成と同様である。
(負極集電体の製造方法)
次に、本発明の第2実施形態による負極集電体150(二次電池負極集電体用材)の製造方法について簡単に説明する。
まず、冷間圧延(クラッド圧延)および拡散焼鈍を経て形成された芯材層154と、芯材層154にそれぞれ接合された一対のCu層155および156とを備える3層構造のクラッド材157を準備する。そして、上記第1実施形態と同様に、クラッド材157(一対のCu層155および156)に対して粗化処理を行う。粗化処理では、硫酸カリウムを含む弱酸性水溶液を用いていわゆるソフトエッチングを行う。なお、このソフトエッチングでは、芯材層154に比べてCu層155および156が選択的にエッチングされる。これにより、一対のCu層155および156の芯材層154と接合された面以外の表面に微細な凹凸が形成される。
そして、粗化処理が行われたクラッド材157に対して中和処理を行った後、防錆処理としての酸化処理を行う。防錆処理では、上記第1実施形態と同様に、過酸化水素水を用いて、粗化処理が行われた一対のCu層155および156の芯材層154と接合された面以外の表面を酸化させる。これにより、一対のCu層155および156の芯材層154と接合される面以外の表面に、CuOの結晶相およびCu2Oの結晶相を含み、CuOの結晶相の面積比(面積比A1)が22.0%以上である表面層158および159がそれぞれ形成される。別の観点においては、CuOの結晶相の面積比(面積比B1)が15.0%以上である表面層158および159がそれぞれ形成される。この結果、負極集電体150が作製される。
その後、作製された負極集電体150の表面層158および159上に負極活物質層51を形成する。これにより、負極105が作製される。
<第2実施形態の効果>
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、表面層158および159におけるCuOの結晶相の面積比(面積比A1)が22.0%以上であることによって、上記第1実施形態と同様に、CuまたはCu合金により構成されるCu層155の表面層158およびCu層156の表面層159よりも内側の領域に酸化が進行するのを抑制することができる。これにより、クロメート処理により不動態膜を形成しなくても十分な防錆効果を生じさせることができるので、クロメート処理による不動態膜形成以外の方法により、十分な防錆効果を有する板状のクラッド材157を備える二次電池負極集電体用材(負極集電体150)を提供することができる。この結果、大気中で酸化が進行して、二次電池負極集電体用材からなる負極集電体150と、負極集電体150に結着される負極活物質層51との間の接触抵抗が増加するのを抑制することができる。
また、第2実施形態では、好ましくは、芯材層154を、Ni、Ni合金、FeまたはFe合金により構成する。このように構成すれば、芯材層154とCu層155および156とのクラッド材157において、機械的強度がCu層155および156よりも大きい芯材層154を用いることができる。これにより、負極集電体150上に配置される負極活物質の膨張収縮に起因する応力に確実に抗することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態の構成と同様である。
[実施例]
次に、本発明の効果を確認するために行った実験(実施例)について説明する。本発明例では、防錆処理(酸化処理)の条件を異ならせて複数の二次電池負極集電体用材を作製した。そして、作製した複数の二次電池負極集電体用材に対して、表面層解析、腐食試験、表面粗さ測定および剥離試験を行った。
(第1実施例)
第1実施例では、素材として、図4に示す第2実施形態の3層構造の板状のクラッド材157を用いた。この際、芯材層154として5質量%のNbを含むNi−Nb合金を用いた。また、Cu層155および156として、無酸素銅(C1020、JIS規格)を用いた。なお、クラッド材157の厚みt11を、10μmにした。また、Cu層155の厚みt14と、芯材層154の厚みt13と、Cu層156の厚みt15との比率(t14:t13:t15)を、1:3:1にした。
そして、クラッド材157に対して、粗化処理および防錆処理(酸化処理)を行わない試験材1と、粗化処理のみを行い、防錆処理を行わない試験材2と、粗化処理および防錆処理を行う試験材3〜7とを作製した。なお、粗化処理では、硫酸カリウムを質量パーセント濃度で5%含有する30℃の温度条件に保った弱酸性水溶液を用いていわゆるソフトエッチングを行った。
また、防錆処理では、粗化処理を行ったクラッド材157に対して、過酸化水素水を用いて、粗化処理が行われたクラッド材157のCu層155および156の芯材層154と接合される面以外の表面を酸化させた。具体的には、試験材3では、H22(過酸化水素)を質量パーセント濃度で0.1%含有する過酸化水素水中に、クラッド材157を15秒浸漬した。この際、過酸化水素水を20℃の温度条件に保った。試験材4では、H22を質量パーセント濃度で0.5%含有する過酸化水素水を用いた点以外は、試験材3と同様の条件とした。試験材5では、H22を質量パーセント濃度で1.0%含有する過酸化水素水を用いた点以外は、試験材3と同様の条件とした。
試験材6では、試験材2〜5よりも2倍の時間で粗化処理を行った点と、40℃の温度条件に保たれた過酸化水素水を用いた点と以外は、試験材5と同様の条件とした。試験材7では、H22を質量パーセント濃度で5.0%含有する過酸化水素水を用いた点以外は、試験材6と同様の条件とした。粗化処理条件および防錆条件を表1に示す。なお、表1に示す濃度は質量パーセント濃度である。
Figure 2019032966
(表面層解析)
そして、試験材1〜7の各々において、Cu層155および156の芯材層154と接合される面以外の試験材の厚み方向(Z方向)に沿う端面を除く表面における表面層の結晶相を、XPS(ESCA)により解析した。そして、試験材1〜7の各々のCuOの結晶相の面積比(面積比A1、面積比B1)、Cu2Oの結晶相の面積比(面積比A2、面積比B2)、およびCu(OH)2の結晶相の面積比(面積比A3、面積比B3)を取得した。具体的には、第1実施形態で記載したように、XPS(ESCA)を用いてCu2pのナロースキャンスペクトルを取得した。その後、Cu2p3/2の結合エネルギーのピーク周辺のスペクトルからCuOの結晶相のピーク(933.6eV)と、Cu2Oの結晶相のピーク(932.5eV)と、Cu(OH)2の結晶相のピーク(935.1eV)とを分離した。そして、CuO、Cu2O、およびCu(OH)2の各々の結晶相の面積比(面積比A1〜A3、面積比B1〜B3)を取得した。一例として、試験材2および試験材7のスペクトルをそれぞれ図5および図6に示す。なお、図5および図6では、横軸を結合エネルギー(eV)とし、縦軸を1秒あたりのカウント数(c/s)とし、実測したスペクトルと、CuO、Cu2O、およびCu(OH)2の各々の結晶相に対応するスペクトルと、それらの合成スペクトルを示している。
(腐食試験)
また、試験材1〜7の各々において腐食試験を行った。具体的には、試験材1〜7の各々を、温度60℃、相対湿度85%に保たれた恒温恒湿器内に配置して、40時間保持した。そして、試験材1〜7のCu層155および156の芯材層154と接合される面以外の試験材の厚み方向(Z方向)に沿う端面を除く表面の腐食度合を観察することによって、防錆評価を行った。
なお、防錆評価は、試験材の表面の色合いの変化を目視で観察して行った。具体的には、粗化処理および防錆処理を行っていないCu材(無酸素銅)の表面の色(赤橙色)および粗化処理および過酸化水素水による防錆処理を行っているCu材(無酸素銅)の表面の色(ピンク色)を評価基準色とし、CuOの結晶相の色(黒色)およびCu2Oの結晶相の色(赤茶色)に着目した。試験材を目視で観察し、評価基準色と同等な色合いで実質的な変化が認められない場合は実質的な腐食(酸化)が進行していないと判断し、所望以上の高い防錆効果を奏するとして丸印(○)を付けた。また、評価基準色から赤茶色の色合いに僅かに変化が認められる場合は腐食(酸化)が僅かに進行しているものの実用的に影響がないと判断し、所望の防錆効果を奏するものとして三角印(△)を付けた。また、評価基準色から黒茶色の色合いに明瞭な変化が認められる場合は腐食(酸化)が進行していると判断し、所望の防錆効果に満たないものとしてバツ印(×)を付けた。また、評価基準色から黒茶色の色合いに顕著な変化が認められる場合は腐食(酸化)が顕著に進行していると判断し、防錆効果を奏さないものとして二重のバツ印(××)を付けた。
表面層解析および腐食試験の結果を表2に示す。
Figure 2019032966
表面層解析および腐食試験の結果としては、表面層における面積比A1について、粗化処理および防錆処理を行った表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1が22.0%以上である試験材4(55.1%)〜試験材7(90.5%)において、所望の防錆効果を奏することが確認できた。特に、CuOの結晶相の面積比A1が62.0%以上である試験材6(74.8%)および試験材7(90.5%)において、高い防錆効果を奏することが確認できた。一方、粗化処理および防錆処理を行った表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1が22.0%未満である試験材3(21.9%)においては、所望の防錆効果に満たないことが確認できた。特に、CuOの結晶相の面積比A1が小さい試験材2(9.9%)においては、防錆効果を奏さないことが確認できた。
また、表面層における面積比B1について、粗化処理および防錆処理を行った表面層におけるCuOの結晶相の面積比B1が15.0%以上である試験材4(32.9%)〜試験材7(49.4%)において、所望の防錆効果を奏することが確認できた。特に、CuOの結晶相の面積比B1が39.0%以上である試験材6(46.4%)および試験材7(49.4%)において、高い防錆効果を奏することが確認できた。一方、粗化処理および防錆処理を行った表面層におけるCuOの結晶相の面積比B1が15.0%未満である試験材3(14.9%)においては、所望の防錆効果に満たないことが確認できた。特に、CuOの結晶相の面積比B1が小さい試験材2(8.3%)においては、防錆効果を奏さないことが確認できた。
また、表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1を22.0%以上にして、好ましくは、表面層におけるCuOの結晶相の面積比B1を15.0%以上にして、試験材4〜7のような防錆効果を得るためには、防錆処理において、H22を質量パーセント濃度で0.5%以上含有する過酸化水素水を用いて室温(20℃)以上の温度条件下で所定の試験時間(15秒)以上行う必要があることが判明した。
なお、粗化処理および防錆処理を行っていない試験材1は、防錆効果を奏した。これは、試験材1では、粗化処理および防錆処理に伴い一般的に行われる強力な脱脂を行っていないため圧延時の潤滑油が表面に残存しており、表面に残存する潤滑油により腐食(酸化)の進行が抑制されたと考えられる。
また、試験材3〜5の結果から、防錆処理時の過酸化水素の濃度を高くすることによって、表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1および面積比B1をより大きくすることができることが確認できた。さらに、試験材5および6の結果から、防錆処理時の温度を上昇させることによって、表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1および面積比B1をより大きくすることができることが確認できた。なお、試験時間をより長くすることによって、ある程度低い濃度(たとえば、試験材3の質量パーセント濃度で0.5%の濃度)であっても、表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1を22.0%以上にすることが可能であると考えられ、表面層におけるCuOの結晶相の面積比B1を15.0%以上にすることが可能であると考えられるものの、二次電池負極集電体用材の製造に要する時間(タクトタイム)が増長するのは好ましくない。
また、表面層における面積比A1、A2、面積比B1およびB2について、CuOの結晶相の面積比A1(B1)がCu2Oの結晶相の面積比A2(B2)よりも大きい試験材4〜7では、表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1(B1)がCu2Oの結晶相の面積比A2(B2)に満たない試験材2および3と比べて、より高い防錆効果を奏することが確認できた。また、表面層における面積比B1およびB3について、CuOの結晶相の面積比B1がCu(OH)2の結晶相の面積比B3よりも大きい試験材5〜7では、表面層におけるCuOの結晶相の面積比B1がCu2Oの結晶相の面積比B3に満たない試験材2および3と比べて、より高い防錆効果を奏することが確認できた。
また、Cu(OH)2は、二次電池負極集電体用材上にバインダを介して負極活物質を配置させる際の熱などにより、CuOに変化させることが可能であると考えられる。そのため、負極集電体作成後にはCuOの結晶相の面積比がより大きくなり、防錆効果が高まると考えられる。
(表面粗さ測定)
次に、試験材1〜7の各々において、Cu層155および156の芯材層154と接合される面以外の試験材の厚み方向に沿う端面を除く表面における表面粗さを、表面粗さ測定機を用いて測定した。なお、表面粗さとして、JIS B 0601:1994に基づく算術平均粗さRaおよび十点平均粗さRzを測定した。なお、株式会社東京精密の表面粗さ測定装置(Surfcom480A、触針半径2μm、走査速度0.3mm/秒)を使用し、カットオフ値を0.25mmとし、走査距離(測定長さ)を1.25mmとした。
(剥離試験)
また、試験材1〜7の各々において、Cu層155および156の芯材層154と接合される面以外の負極活物質層51が結着される表面を対象とし、バインダとの密着性を測定した。具体的には、図7に示すように、試験材1〜7の各々のCu層155の芯材層154と接合される面以外の表面に、バインダ(樹脂材)としてのアクリル樹脂を配置した。具体的には、試験材1〜7の各々のCu層155の芯材層154と接合されるZ2側の面と厚み方向(Z方向)において反対側のZ1側の表面に、ポリアクリル酸水溶液を、塗工器を用いて200μmの厚みになるように塗布した。そして、塗布後の試験材1〜7を、150℃の温度条件に設定した乾燥機内で5分間保持することによって、乾燥させ硬化させた。これにより、Cu層155の芯材層154と接合される面以外のZ1側の表面に、5μmの厚みのアクリル樹脂層を形成した。
その後、アクリル樹脂層の表面上に、樹脂テープを貼り付けた。そして、樹脂テープを引張試験機(図示せず)を用いて垂直、すなわちクラッド材157の厚み方向(Z方向)に引っ張った。そして、試験材1〜7において剥離が生じた際に引張試験機により印加していた荷重を取得し、その荷重(N)を樹脂テープの幅L(mm)で除することによって、試験材1〜7における密着強度(N/mm)を求めた。
表面粗さ測定および剥離試験の結果を表3に示す。なお、表3に示す「箔/樹脂」はクラッド材とアクリル樹脂層の間を意味し、「樹脂/テープ」はアクリル樹脂層と樹脂テープの間を意味する。
Figure 2019032966
表面粗さ測定および剥離試験の結果としては、粗化処理を行わなかった試験材1では、クラッド材とアクリル樹脂層との間で剥離が生じた。また、密着強度も小さく0.03N/mmであった。これは、試験材1では粗化処理を行っていないことにより、クラッド材のアクリル樹脂層が配置される表面層側において、算術平均粗さRaおよび十点平均粗さRzが、共に小さかったからであると考えられる。一方、粗化処理を行った試験材2〜7では、アクリル樹脂層と樹脂テープの間で剥離が生じた。つまり、クラッド材とアクリル樹脂層との間の密着強度が、アクリル樹脂層と樹脂テープの間の密着強度(0.24N/mm程度)と比べて大きかった。これは、試験材2〜7では粗化処理を行ったことにより、クラッド材のアクリル樹脂層が配置される表面における算術平均粗さRaおよび十点平均粗さRzが、十分に大きかったからであると考えられる。特に、クラッド材の表面層側における十点平均粗さRzが0.30μm以上である試験材2〜7では、クラッド材とアクリル樹脂層との間の密着強度が十分に高いと考えられる。さらに、クラッド材の表面層側における十点平均粗さRzが0.35μm以上である試験材4〜7では、クラッド材とアクリル樹脂層との間の密着強度がより十分に高いと考えられる。
(第2実施例)
第2実施例では、芯材層154としてSUS631を用いた点以外は、上記第1実施例と同様のクラッド材157を用いた。そして、クラッド材157に対して、粗化処理および防錆処理(酸化処理)を行わない試験材11と、粗化処理および防錆処理を行う試験材12〜14とを作製した。なお、粗化処理では、上記第1実施例の試験材1〜5と同様の条件でソフトエッチングを行った。
また、防錆処理では、粗化処理を行ったクラッド材157に対して、上記第1実施例と同様に、過酸化水素水を用いて、粗化処理が行われたクラッド材157のCu層155および156の芯材層154と接合される面以外の表面を酸化させた。具体的には、試験材12では、H22(過酸化水素)を質量パーセント濃度で1.0%含有する過酸化水素水中に、クラッド材157を15秒浸漬した。この際、過酸化水素水を15℃の温度条件に保った。試験材12では、H22を質量パーセント濃度で3.0%含有する過酸化水素水を用いた点以外は、試験材11と同様の条件とした。試験材14では、H22を質量パーセント濃度で5.0%含有する過酸化水素水を用いた点以外は、試験材11と同様の条件とした。粗化処理条件および防錆条件を表4に示す。なお、表4に示す濃度は質量パーセント濃度である。
Figure 2019032966
そして、第1実施例と同様にして、表面層解析および腐食試験を行った。表面層解析および腐食試験の結果を表5に示す。
Figure 2019032966
表面層解析および腐食試験の結果としては、表面層における面積比A1について、粗化処理および防錆処理を行った表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1が22.0%以上である試験材12(22.3%)〜試験材14(64.8%)において、所望の防錆効果を奏することが確認できた。特に、CuOの結晶相の面積比A1が、25.0%以上になっていない試験材13(23.8%)よりも、30.0%以上である試験材14(60.0%以上の64.8%)において、高い防錆効果を奏することが確認できた。
また、表面層における面積比B1について、粗化処理および防錆処理を行った表面層におけるCuOの結晶相の面積比B1が15.0%以上である試験材12(19.6%)〜試験材14(43.4%)において、所望の防錆効果を奏することが確認できた。特に、CuOの結晶相の面積比B1が21.0%以上である試験材14(40.0%以上の43.4%)において、高い防錆効果を奏することが確認できた。
なお、粗化処理および防錆処理を行っていない試験材11は、防錆効果を奏した。これは、上記第1実施例と同様に、試験材11では、粗化処理および防錆処理に伴い一般的に行われる強力な脱脂を行っていないため圧延時の潤滑油が表面に残存しており、表面に残存する潤滑油により腐食(酸化)の進行が抑制されたと考えられる。
また、試験材12〜14の結果から、上記第1実施例と同様に、防錆処理時の過酸化水素の濃度を高くすることによって、表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1および面積比B1をより大きくすることができることが確認できた。
また、表面層における面積比A1、2、面積比B1およびB2について、CuOの結晶相の面積比A1(B1)がCu2Oの結晶相の面積比A2(B2)よりも大きい試験材14では、表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1(B1)がCu2Oの結晶相の面積比A2(B2)に満たない試験材12および13と比べて、より高い防錆効果を奏することが確認できた。また、表面層における面積比B1およびB3について、CuOの結晶相の面積比B1がCu(OH)2の結晶相の面積比B3よりも大きい試験材14では、表面層におけるCuOの結晶相の面積比B1がCu2Oの結晶相の面積比B3に満たない試験材12および13と比べて、より高い防錆効果を奏することが確認できた。
また、第1実施例と同様にして、表面粗さ測定および剥離試験を行った。表面粗さ測定および剥離試験の結果を表6に示す。なお、表6に示す「箔/樹脂」はクラッド材とアクリル樹脂層の間を意味し、「樹脂/テープ」はアクリル樹脂層と樹脂テープの間を意味する。
Figure 2019032966
表面粗さ測定および剥離試験の結果としては、上記第1実施例と同様に、粗化処理を行わなかった試験材11では、クラッド材とアクリル樹脂層との間で剥離が生じた。また、密着強度も小さく0.02N/mmであった。一方、粗化処理を行った試験材12〜14では、アクリル樹脂層と樹脂テープの間で剥離が生じた。つまり、クラッド材とアクリル樹脂層との間の密着強度が、アクリル樹脂層と樹脂テープの間の密着強度(0.24N/mm程度)と比べて大きかった。特に、クラッド材の表面層側における十点平均粗さRzが0.35μm以上である試験材12〜14では、クラッド材とアクリル樹脂層との間の密着強度が十分に高いと考えられる。
第1実施例および第2実施例の結果から、芯材層の材質に拘わらず、表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1が22.0%以上であるクラッド材では、十分な防錆効果を奏することが確認できた。また、芯材層の材質に拘わらず、表面層におけるCuOの結晶相の面積比B1が15.0%以上であるクラッド材では、十分な防錆効果を奏することが確認できた。この結果、芯材層を有さない上記第1実施形態のCu材52により構成される二次電池負極集電体用材であっても、表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1が22.0%以上であれば、十分な防錆効果を奏すると推測できる。また、芯材層を有さない上記第1実施形態のCu材52により構成される二次電池負極集電体用材であっても、表面層におけるCuOの結晶相の面積比B1が15.0%以上であれば、十分な防錆効果を奏すると推測できる。
また、上記第1実施例では、芯材層としてNi−Nb合金を用い、上記第2実施例では、芯材層としてSUS631を用いたものの、芯材層として、Ni、Ni−Nb合金以外のNi合金、FeまたはSUS631以外のFe合金を用いても、二次電池負極集電体用材の表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1が22.0%以上であれば、十分な防錆効果を奏すると推測できる。また、芯材層として、Ni、Ni−Nb合金以外のNi合金、FeまたはSUS631以外のFe合金を用いても、二次電池負極集電体用材の表面層におけるCuOの結晶相の面積比B1が15.0%以上であれば、十分な防錆効果を奏すると推測できる。
また、上記第1および第2実施例では、Cu層として無酸素銅を用いたものの、無酸素銅以外のCuまたはCu合金を用いても、二次電池負極集電体用材の表面層におけるCuOの結晶相の面積比A1が22.0%以上であれば、十分な防錆効果を奏すると推測できる。また、無酸素銅以外のCuまたはCu合金を用いても、二次電池負極集電体用材の表面層におけるCuOの結晶相の面積比B1が15.0%以上であれば、十分な防錆効果を奏すると推測できる。
また、上記第1および第2実施例では、バインダとしてアクリル樹脂を用いたものの、その他の樹脂材(たとえば、ポリイミド樹脂またはフッ素樹脂など)であっても、アクリル樹脂と同様に、本発明のクラッド材との密着強度は大きくなると考えられる。特にポリイミド樹脂は、アクリル樹脂と比べて、クラッド材との密着強度は大きくなる傾向にあるので、本発明のクラッド材との密着強度は十分に大きくなると考えられる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1実施形態では、二次電池負極集電体用材が、表面層53が形成されたCu材52により構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、二次電池負極集電体用材は、Cu材以外の層(めっき層など)を含んでいてもよい。
また、上記第2実施形態では、二次電池負極集電体用材が、表面層158および159が形成された3層構造のクラッド材157により構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、二次電池負極集電体用材は、1層の芯材層と、表面層を有する1層のCu層とのみにより構成される2層構造のクラッド材により構成されてもよい。また、芯材層、および、表面層を有するCu層以外の層を含むクラッド材から構成されてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、粗化処理として硫酸カリウムを用いたソフトエッチングを行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、表面を粗化することが可能であれば、硫酸カリウムを用いたソフトエッチング以外の方法により粗化処理を行ってもよい。なお、二次電池負極集電体は十分に厚みが小さいため、Cu材およびCu層を急速に腐食するエッチング液を用いると、Cu材およびCu層の厚みが過度に小さくなりやすい。このため、粗化処理において、Cu材およびCu層を急速に腐食するエッチング液は用いない方が好ましい。
また、上記第1実施形態では、表面層53がCu材52の略全面に亘ってCu材52を覆うように形成された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、表面層はCu材の略全面に亘って形成されなくてもよい。たとえば、錆の発生(酸化)に起因する溶接性の低下などの不都合が生じやすいCu材の厚み方向の両面にのみ、表面層を形成してもよい。
また、上記第2実施形態では、クラッド材157において、表面層158がCu層155のZ1側の面(接合される面とは反対側の表面)および側面に形成されるとともに、表面層159がCu層156のZ2側の面(接合される面とは反対側の表面)および側面に形成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、クラッド材において、表面層はCu層の側面に形成されなくてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、二次電池負極集電体用材を円筒型のリチウムイオン二次電池(電池100)に用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、二次電池負極集電体用材をリチウムイオン二次電池以外の二次電池に用いてもよい。また、図1に示すような円筒状の筐体1を用いる缶型ではなく、たとえばラミネート型の二次電池に二次電池負極集電体用材を用いてもよい。
52 Cu材
53、158、159 表面層
154 芯材層
155、156 Cu層
157 クラッド材

Claims (7)

  1. CuまたはCu合金により構成された板状のCu材を備え、
    前記Cu材は少なくとも板面にCuOの結晶相およびCu2Oの結晶相を含む表面層を有し、前記表面層におけるCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積)により求まる面積比(百分率)は、22.0%以上である、二次電池負極集電体用材。
  2. 金属により構成された芯材層と、前記芯材層に接合され、CuまたはCu合金により構成されたCu層とを備える板状のクラッド材を備え、
    前記クラッド材は少なくとも前記Cu層の前記芯材層と接合される面と厚み方向において反対側の表面にCuOの結晶相およびCu2Oの結晶相を含む表面層を有し、前記表面層におけるCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積)により求まる面積比(百分率)は、22.0%以上である、二次電池負極集電体用材。
  3. 前記芯材層は、Ni、Ni合金、FeまたはFe合金により構成されている、請求項2に記載の二次電池負極集電体用材。
  4. 前記表面層におけるCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積)により求まる面積比(百分率)は、30.0%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池負極集電体用材。
  5. 前記表面層は、Cu(OH)2の結晶相をさらに含み、
    前記表面層におけるCuOの結晶相の面積/(CuOの結晶相の面積+Cu2Oの結晶相の面積+Cu(OH)2の結晶相の面積)により求まる面積比(百分率)は、15.0%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池負極集電体用材。
  6. 前記表面層側における十点平均粗さは、0.30μm以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池負極集電体用材。
  7. 負極活物質を接着するための樹脂材が表面上に設けられる、請求項6に記載の二次電池負極集電体用材。
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