JP2019032523A - 像加熱装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板305の長手方向に分割された複数の発熱ブロックを選択的に発熱可能なヒータ300を有する定着装置200において、通電制御部400は、定着動作を行った際における、複数の加熱領域のそれぞれにおける累積発熱量と、加圧ローラ208の累積回転時間と、定着ニップ部を通過する記録材の情報と、を取得し、取得した情報に基づいて、発熱体302a、302bの通電を制御することを特徴とする。
【選択図】図7
Description
基板及び前記基板上に設けられた前記基板の長手方向に並ぶ複数の発熱体を有するヒータと、内面が前記ヒータと接触しつつ回転する筒状のフィルムと、前記フィルムの外面と接触して回転する加圧部材と、を有し、前記フィルムと前記加圧部材との間のニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材に形成された画像を前記ヒータの熱を利用して加熱する像
加熱部と、
前記画像の情報に応じて、複数の加熱領域を選択的に加熱すべく、前記複数の発熱体の通電を選択的に制御する通電制御部と、
を備える像加熱装置において、
前記複数の加熱領域のそれぞれにおける前記発熱体の累積発熱量と、前記加圧部材の累積回転時間と、前記ニップ部を通過する記録材の情報と、を取得する取得部を備え、
前記通電制御部は、前記取得部が取得した情報に基づいて、前記複数の発熱体の通電を制御することを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、
記録材に画像を形成する画像形成部と、
記録材に形成された画像を記録材に定着する定着部と、
を有する画像形成装置において、
前記定着部が上記像加熱装置であることを特徴とする。
1.画像形成装置の構成
図1は、本発明の実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を利用して記録材上に画像を形成するレーザビームプリンタ
である。
図2は、本実施例の像加熱装置としての定着装置200の断面図である。定着装置200は、定着フィルム202と、定着フィルム202の内面に接触するヒータ300と、定着フィルム202を介してヒータ300と共に定着ニップNを形成する加圧ローラ208と、金属ステー204と、を有する。定着フィルム202は、エンドレスベルトやエンドレスフィルムとも称される筒状に形成された複層構成の高耐熱性定着フィルムであり、ポリイミド等の耐熱樹脂、またはステンレス等の金属を基層としている。また、定着フィルム202の表面は、耐熱性に優れ、トナーの付着防止のため、PFA等の離型性に優れた高機能フッ素樹脂を被覆した離型層としている。更に、特にカラー画像を形成する装置では、画質向上のため、上記基層と離型層の間にシリコーンゴム等の高耐熱性ゴムを弾性層として形成することがある。加圧ローラ208は、鉄やアルミニウム等の材質の芯金209と、シリコーンゴム等の高耐熱性のゴム材質からなる弾性層210を有する構成となっている。かかる構成の加圧ローラ208として適切な硬度のものを用いることで定着装置200に応じた定着ニップNを得るものとする。
N内の加熱領域A1〜A7(詳細は後述する)を加熱することで、定着フィルム202を加熱する。ヒータ保持部材201は、定着フィルム202の回転を案内するガイド機能も有している。ヒータ300には、定着ニップNの反対側に電極Eが設けられており、電気接点Cより電極Eに給電を行っている。金属ステー204は、不図示の加圧力を受けて、ヒータ保持部材201を加圧ローラ208に向けて押圧する。また、ヒータ300の異常発熱により作動してヒータ300に供給する電力を遮断するサーモスイッチや温度ヒューズ等の安全素子212が、ヒータ300に直接、もしくはヒータ保持部材201を介して間接的に当接している。
図3を用いて、本実施例に係るヒータ300の構成を説明する。図3(A)はヒータ300の断面図、図3(B)はヒータ300の各層の平面図、図3(C)はヒータ300への電気接点Cの接続方法を説明する図である。図3(B)には、本実施例の画像形成装置100における記録材Pの搬送基準位置Xを示してある。本実施例における搬送基準は中央基準となっており、記録材Pはその搬送方向に直交する方向における中心線が搬送基準位置Xを沿うように搬送される。また、図3(A)は、搬送基準位置Xにおけるヒータ300の断面図となっている。
303−1〜303−7の7つの領域に分割されている。本実施例の発熱範囲は、発熱ブロックHB1の図中左端から発熱ブロックHB7の図中右端までの範囲であり、その全長は220mmである。また、各発熱ブロックの長手方向長さは、すべて同じ約31mmとしているが、長さを異ならせても構わない。
ータ保持部材201の間に設けられた不図示の導電材料を介して、後述するヒータ300の制御回路400と接続されている。
図4は、実施例1のヒータ300の制御回路400の回路図を示す。画像形成装置100には商用の交流電源401が接続されている。ヒータ300の電力制御は、トライアック411〜トライアック417の通電/遮断により行われる。トライアック411〜417は、それぞれ、CPU420からのFUSER1〜FUSER7信号に従って動作する。トライアック411〜417の駆動回路は省略して示してある。ヒータ300の制御回路400は、7つのトライアック411〜417を選択的に制御することによって、長手方向に分割された7つの発熱ブロックHB1〜HB7を個々に独立に制御可能な回路構成となっている。ゼロクロス検知部421は、交流電源401のゼロクロスを検知する回路であり、CPU420にゼロクロス信号を出力している。ゼロクロス信号は、トライアック411〜417の位相制御や波数制御のタイミングの検出等に用いている。
図5は、本実施例における加熱領域A1〜A7を示す図であり、A4サイズの記録材幅と対比して表示している。加熱領域A1〜A7は、定着ニップN内の、発熱ブロックHB1〜HB7に対応した領域であり、発熱ブロックHBi(i=1〜7)の発熱により、加熱領域Ai(i=1〜7)がそれぞれ加熱される。加熱領域A1〜A7の全長は220mmであり、各領域はこれを均等に7分割したものである(L=31.4mm)。
上述したように、像加熱装置全体の低熱容量化や部材の高熱伝導化を進めるに伴い、定着部材の表層摩耗や加圧部材の硬度変化といった像加熱装置の変化に起因する印字品質低下や耐久性が課題となる。以下、具体的に説明する。
してしまうことになる。
加熱領域Aiの分類に沿った本実施例のヒータ300の制御方法、すなわち各発熱ブロックHBi(i=1〜7)の発熱量制御方法を説明する。発熱ブロックHBiの発熱量は、発熱ブロックHBiへの供給電力によって決まる。発熱ブロックHBiへの供給電力を大きくすることで、発熱ブロックHBiの発熱量は大きくなり、発熱ブロックHBiへの供給電力を小さくすることで、発熱ブロックHBiの発熱量が小さくなる。発熱ブロックHBiへの供給電力は、発熱ブロック毎に設定される定着制御温度TGTi(i=1〜7)と、サーミスタTH1−1〜TH1−4、TH2−5〜TH2−7の検知温度に基づき算出される。本実施例では、各サーミスタTH1−1〜TH1−4、TH2−5〜TH2−7の検知温度が各発熱ブロックHBiの制御温度TGTiと等しくなるよう、PI制御(比例積分制御)によって供給電力が算出される。
ここで、TAIは画像加熱領域の基準温度であり、未定着トナー像を記録材Pに定着させるために適切な温度として設定されている。TAFi(i=1〜7)は、発熱ブロックHBi毎の累積発熱履歴情報の補正項(Accumulation Fever History Information Revision)である。TARは、定着装置200の累積回転時間情報の補正項(Accumulation Rotation Time Information Revision)である。
ここで、TAPは非画像加熱領域の基準温度であり、基準温度TAIより低い温度として設定することで、非画像加熱領域APにおける発熱ブロックHBiの発熱量を画像加熱領域AIより下げ、画像形成装置100の省電力化を図っている。
補正項TAFiの演算の基となる定着フィルム202について説明する。定着フィルム202の表層は、記録材Pの通紙により摩耗するものである。その理由は、記録材Pと定着フィルム202の間に極めて微小ながら速度差が生じるからである。定着フィルム方式の定着装置200では、加圧ローラ208が回転駆動することで、加圧ローラ208が記録材Pを搬送し、その記録材Pと定着フィルム202の間の摩擦力により定着フィルム202が従動回転する構成となっている。定着フィルム202の表面は、離型性を得るためにPFA、PTFEなどのフッ素樹脂で形成されているため、摩擦係数は低い。また、定着フィルム202の内面はヒータ300やヒータ保持部材201と摺擦しながら従動回転しているため、定着フィルム202の周速は、記録材Pの搬送速度よりも極僅かであるが遅くなっている。記録材Pは、記録材P自身を白く不透明とするための填料として炭酸カルシウムやカオリンなどの無機物を含んでいる。これらの填料が定着フィルム202の表層に対して研磨剤として作用してしまい、定着フィルム202の表層を削ってしまうことになる。
、先述したように基準温度TAIは220[℃]としている。なお、定着制御温度は、定着装置200を生産するうえで生じる部品のばらつきや使用条件、等々によって定着性が厳しくなる場合であっても確実な定着性能が得られるように設定されるものである。すなわち、基準温度TAI220[℃]は、定着性が厳しくなる条件も考慮して決定している。
基準温度TAI*t1+基準温度TAI*t2+基準温度TAI*t3+基準温度TAI*t4+基準温度TAI*t5から、
220[℃]*0.3[秒]+220[℃]*0.3[秒]+220[℃]*0.3[秒]+220[℃]*0.3[秒]+220[℃]*0.08[秒]=281.6となる。
CAFi=(220[℃]*0.3[秒]*4+0.08[秒]*1)*3[枚]=844.8、を1000で除し0.8448、切り上げることで1として算出している。
補正項TARの演算の基となる加圧ローラ208について説明する。加圧ローラ208は、定着フィルム202を介してヒータ300に対して一定の押圧で加圧されるため、硬度が小さい(柔らかい)方が定着ニップNの幅が太くなる。定着ニップNの幅が太くなると、定着ニップNを記録材Pが通過する時間が長くなり、定着フィルム202から記録材Pとトナーに伝えられる熱量が多くなり、よりトナーを溶融できることになる。一方、硬度が大きい(硬い)と定着ニップNの幅が細くなる。定着ニップNの幅が細くなると、定着ニップNを記録材Pが通過する時間が短くなり、定着フィルム202から記録材Pとトナーに伝えられる熱量が少なくなり、トナーの溶融が不足することになる。加圧ローラ208の硬度は、加圧ローラ208を生産するうえで生じる硬度のばらつき(公差)や、定着を繰り返し実行することで小さく(柔かく)もなる。これら硬度の変化幅を考慮し、硬度の公差の規格上下限において確実な定着性能が得られるものとして設定する必要がある。
圧ローラ208の外径が細くなると、記録材Pの搬送速度は遅くなる。本発明の画像形成装置100では、定着ニップNに存在する記録材Pは、定着ニップNの上流側のローラ対として感光ドラム19と転写ローラ20からなる転写ニップ、および下流側のローラ対である排出ローラ対26によっても、狭持搬送されている。このなかで記録材Pの搬送に与える影響が大きいローラ対は、加圧力がもっとも大きい定着ニップNである。そのため、定着ニップNでの搬送速度のばらつき(振れ)は小さい方が望ましく、加圧ローラ208の外径公差は、量産が可能な範囲で小さいことが求められる。そこで、外径公差を小さく安定させるために、加圧ローラ208を製造する段階で、弾性層210の外径よりも小さな内径のPFAチューブを弾性層210に被覆し、PFAチューブで弾性層210を締めつける構成をとっている。
時間Tsumは、加圧ローラ208の長手で同じ時間であるので、本実施例では発熱ブロックHBi毎に補正項TARを分割することはしていない。ただし、発熱ブロックHBi毎に補正項TARiを算出してもよい。
時間Tsumは、加圧ローラ208が回転駆動した時間と定義している。
・前回転:感光ドラム19の電位を安定させるとともに、レーザースキャナ21の回転を
安定させる作像工程の準備工程と、感光ドラム19上への作像、及び、感光ドラム19上の画像を転写した記録材Pを、像加熱装置100まで搬送する工程を含む。この工程中に、定着フィルム202と加圧ローラ208を昇温させる工程も含む。
・通紙 :定着ニップNに、未定着トナーを載せた記録材Pを通過させて定着を行う工程である。
・紙間 :連続通紙を行う場合に記録材Pと次の記録材Pが搬送される間の工程である。・後回転:記録材Pを装置外に排出、画像形成装置100を待機状態に移行させる工程である。
各工程における、所要時間は以下である。
前回転:4.3[秒]
通紙 :1.28[秒](A4サイズ 297[mm])
紙間 :0.145[秒]
後回転:0.97[秒]
(表2)
続いて、定着制御温度TGTiの補正について説明する。各発熱ブロックHBiに画像がある場合はTGTi=TAI−TAFi−TARとして制御(S1007)し、各発熱ブロックHBiに画像がない場合はTGTi=TAP−TAFi−TAR(S1008)として制御する。一方、各発熱ブロックHBiに記録材Pがない場合は、定着制御温度TGTiを補正項TAFiと補正項TARで補正すると、定着制御温度TGTiが下がり過ぎてしまう。その結果、先述したように、定着フィルム202内面とヒータ300の間の摺動性が低下し、記録材Pの搬送が不安定になるため、TGTi=TAN(S1009)として制御するものとする。
Ti=220[℃]−4[℃]−3[℃]=213[℃]として制御される。発熱ブロックHBiに画像がない場合は、非画像加熱領域の基準温度が補正され、TGTi=162[℃]−4[℃]−3[℃]=155[℃]として制御される。発熱ブロックHBiを記録材Pが通過しない場合は、TGTi=128[℃]として制御される。
CAFi=((220[℃]*(区間T1〜T3の通過時間))+(162[℃]*(区間T4〜T5の通過時間))
=(220[℃]*0.3*[秒]*3[区間]))+(162[℃]*(0.3[秒]+0.08[秒])
=198+61.56
=259.56
となる。連続3枚の通紙では259.56*3=778.68となり、CPUの演算の都合上1000で除し778.68/1000=0.77868、切り上げて1となる。
32743枚では、CAFi(32743)=0.77868*(32743/3)=8498.77、切り上げて8499、
32744枚では、CAFi(32744)=0.77868*(32744/3)=8499.033、切り上げて8500、
32744枚が通紙されたタイミングでカウント値CAFiが8500
となり、補正項TAFiは−2[℃]の補正となる。
CAFi=非基準温度TAP*区間Tiの所要時間から、
CAFi=162℃*(0.3*4+0.08*1)=207.36
となる。連続3枚通紙では207.36*3=622.08となり、CPUの演算の都合上1000で除し622.08/1000=0.62208、切り上げて1となる。1枚の通紙では先の画像加熱領域AI部がある加熱領域A2〜A5と違わないが、通紙を繰り返すことで加熱領域A1、A6、A7のカウント値CAFiは、
40986枚では、CAFi(40986)=0.62208*(40986/3)=8498.857、切り上げて8499、
40987枚では、CAFi(40987)=0.62208*(40987/3)=8499.064、切り上げて8500、
となり、
画像加熱領域AI部に比べて8243枚遅れた40987枚のタイミングでカウント値CAFiが8500
となり、補正項TAFiは−2[℃]の補正となる。
AIは、定着制御温度TGTiを下げる補正を大きくすることで、定着フィルム202の表層摩耗を考慮した最適な補正としている。
4.3+1.28+0.145+1.28+0.145+1.28+0.97=4.3+1.28*3+0.145*2+0.97=9.4[秒]となる。
これが繰り返されることで、
574枚では、Tsum(564)=9.4*[574/3]=1798.53[秒]=1798.53/3600[秒]=0.49959[時間]
575枚では、Tsum(575)=9.4*[575/3]=1801.67[秒]=1801.67/3600[秒]=0.500463[時間]
となり、
加圧ローラ208の硬度変化にともなう補正項TARは、575枚以降で−1[℃]の補正となる。
1148枚では、Tsum(1148)=9.4*[1148/3]=3597.07[秒]=3597.07/3600[秒]=0.999[時間]
1149枚では、Tsum(1149)=9.4*[1149/3]=3600.2[秒]=3600.2/3600[秒]=1.000056[時間]
となり、
1149枚以降の補正項TARは−2[℃]の補正となる。
9192枚では、Tsum(9192)=9.4*[9192/3]=28801.6[秒]=28801.6/3600=8.00044[時間]
となり、
9192枚以降の補正項TARは−3[℃]の補正となる。
45958枚では、Tsum(45958)=9.4*[45958/3]=144001.73[秒]=144001.73/3600=40.00048[時間]
となり、
45958枚以降は最終補正の補正項TARとなり、−4[℃]の補正となる。
(表3)
575枚から1148枚までは、補正項TARが−1[℃]の補正となり、定着制御温度TGTiは、TGTi=基準温度−1[℃]となる。
1149枚から9191枚までは、補正項TARが−2[℃]の補正となり、定着制御温度TGTiは、TGTi=基準温度−2[℃]となる。
9192枚から32743枚までは、補正項TARが−3[℃]の補正となり、定着制御温度TGTiは、TGTi=基準温度−3[℃]となる。
32744枚からは加熱領域Aiに画像がある場合は、補正項TAFiの補正−2[℃]と、補正項TARの補正−3[℃]により定着制御温度TGTiは、TGTi=基準温度−2−3[℃]=基準温度−5[℃]となる。加熱領域Aiに画像がない場合は、補正項TARのみの補正となり、定着制御温度TGTiは、TGTi=基準温度−3[℃]となる。
45958枚からは、補正項TARが−4[℃]の補正となることで、加熱領域Aiに画像がある場合は補正項TAFi−2[℃]により定着制御温度TGTiは、TGTi=基準温度−2−4[℃]=−6[℃]となる。加熱領域Aiに画像がない場合は、補正項TARのみの補正となり、定着制御温度TGTiは、TGTi=基準温度−4[℃]となる。
このタイミングで補正項TARの補正は最大となり、これ以降の通紙においては補正項TAFiが、先述した計算式に則り演算され、定着制御温度TGTiが補正されることになる。
本実施例の効果を説明する。比較例の対象は、各発熱ブロックHBiの定着制御温度TGTiを、使用量によらず一定値として制御する定着装置である。効果は、図12(A)に示した画像パターンを、先の説明と同様に、A4サイズの記録材Pで連続3枚通紙−待機状態というセット、を50000枚まで繰り返すことで確認した。図12(A)の画像パターンでは、画像のある加熱領域A2、A3、A4、A5の定着制御温度TGTiは高く、画像のない加熱領域A1、A6、A7の定着制御温度TGTiは低いものとして制御される。この状態で通紙を続けることで、加熱領域A2、A3、A4、A5に相当する定着フィルム202の表層摩耗量は多くなり、加熱領域A1、A6、A7に相当する表層摩耗量は少なくなる。
(表4)
(表5)
3、A4、A5に相当する発熱ブロックHB2、HB3、HB4、HB5の発熱量を減らす補正を加える。これにより、高温オフセットの発生が抑制できている。
記録材Pの端部に相当する加熱領域Aiの摩耗が多くなるような画像パターンが通紙された場合は、記録材Pの端部に相当する加熱領域Aiにおいて供給される熱量が過多となる。その結果、画像形成装置100の機外に排出される記録材Pの搬送方向に直行する両端部が丸まり変形するカール現象が課題となる場合もある。
このようなケースにおいても本実施例によれば、記録材Pの端部に相当する加熱領域Aiの発熱ブロックHBiの発熱量を下げる補正が行われることで、記録材Pの端部に供給される熱量が適切なものとなり、カール現象を抑えることが可能となる。
本発明の実施例2について説明する。実施例2は、実施例1の応用例として、累積発熱量が多くなった加熱領域Aiに相当する定着フィルム202の表層の摩耗を抑制する制御に関するものである。実施例2において実施例1と共通する構成については同じ符号を付し、再度の説明は省略する。実施例2において特に説明しない事項は実施例1と同様である。図13で説明したように、累積発熱量が多くなった発熱ブロックHBi(多)に対応する定着フィルム202表層のPFA樹脂層は薄くなる。累積発熱量が少ない発熱ブロックHBi(少)に対応するPFA樹脂層は摩耗が少なく、発熱ブロックHBi(多)のPFA樹脂層に比べると厚い。このようにPFA樹脂層の厚みが異なると、PFA樹脂層の熱容量も異なるものとなる。定着フィルム202のPFA樹脂層の熱容量が異なっていると下記の課題が生じる場合がある。
(表6)
ント値CAF1、CAF6〜7はそれぞれ20736である。その差は5220である。カウント値CAFiの差5220での、通電開始タイミングの遅延時間は表6に沿って0.4[秒]となり、発熱ブロックHB2〜5への通電開始タイミングを0.4[秒]遅らせる。
本発明の実施例3について説明する。実施例1で説明した様に、通紙に伴う加圧ローラ208の硬度変化は初期が大きくなる。その条件で同様なパターンを大量に通紙を行った場合、加圧ローラ208の長手方向において局所的に弾性層の硬度が下がり、定着ニップ
Nが加圧ローラの長手方向において不均等になってしまう。実施例3は、これを対策するために、発熱履歴が多くなった発熱ブロックと少ない発熱ブロックに位置する加圧ローラ208の硬度の差を抑制するものである。これにより安定した記録材Pの搬送を実現する。
しかしながら、発熱量の補正を行うことで加圧ローラ208の部分的な硬度低下を抑制するものの、発熱履歴の多い発熱ブロックと発熱履歴の少ない発熱ブロックの加圧ローラ208の硬度の差を少なくすることはできない。このような、加圧ローラ208の長手方向で部分的な硬度差が所定硬度差以上生じた場合は以下のことが発生する。
発熱体を分割していないヒータは、ヒータ長手方向において均等な発熱をするので、加圧ローラ208の硬度変化は長手方向において均等なものになり、寿命を通して図17(
A)のような定着ニップNの形状を維持できる。しかしながら、発熱体が分割されたヒー
タは、各発熱体を独立に制御するため、加圧ローラの部分的な硬度低下が発生することになり、その結果、図17(A)のような定着ニップNの形状を維持できない可能性もある。
また、図18(B)のような片側にのみトナー像がある場合は、トナー像が存在する側の長手端部(以後、画像側端部)の発熱ブロックHB1、HB2の発熱量が多くなる。その結果、加圧ローラの画像側端部の硬度低下量が、中央部の発熱ブロックHB3、HB4、HB5と画像が存在しない反対側の長手端部(以後、反画像側端部)の発熱ブロックHB6、HB7よりも大きくなる。その結果、図17(C)のように、定着ニップNの幅は、画像側端部>反画像側端部>中央部となり、長手で不均等な定着ニップNになってしまう。このような定着ニップNで挟持搬送される記録材Pの速度は、反画像側端部よりも画像側端部の方が速くなってしまい、定着ニップ内で記録材Pが捩れることになる。
このように、記録材Pが定着ニップNと定着ニップN前の転写ニップで捩れて挟持搬送されている場合、記録材Pが転写ニップを抜けると記録材Pの画像側端部の後端は、定着ニップNに侵入する直前に定着フィルム202側に跳ね上がってしまう。そのため、トナー像の形成された記録材Pは定着ニップNに対して捩れた片ループ状態で定着ニップNに搬送されるため、定着フィルム202と摺擦し、未定着トナー像が乱されてしまい、そのまま定着されることで“画像擦れ”現象が発生する。
Pのシワ、画像擦れを確認した。
この時、加圧ローラ208の硬度は、Asker−C硬度計(9.8N加重、各発熱ブロックHBiに位置する加圧ローラ208の周方向4箇所を測定した測定値の平均値とした)での測定値である。
定着ニップNの幅の測定方法は、まず、全面にトナー像のある記録材Pの印字面側を加圧ローラ208側になるようにして通紙し、定着ニップNで挟持搬送しているときに通紙を止め、記録材に定着ニップNの光沢跡を残す。その定着ニップNの光沢跡の幅(記録材搬送方向の幅)を各発熱ブロックHBiに対応する位置毎に測定する。
これらの結果を画像パターン(A)の場合を表7、画像パターン(B)の場合を表8に示す。表中の「○」は記録材Pの搬送性に問題がなく、記録材Pシワ、画像擦れが発生していないことを示している。
実施例1で説明した様に、表中の発熱ブロックHB1〜HB7は、図5の加熱領域A1〜A7に対応した位置に設けられた発熱ブロックHBiである。
以上の結果に基づいて、長手端部の発熱ブロックHB1、HB2と反対側の長手端部の発熱ブロックHB6、HB7、長手中央部の発熱ブロックHB3、HB4、HB5のそれぞれの位置に対応する、加圧ローラ208の硬度の平均値を算出する。さらに、定着ニップNの幅の平均値も算出する。算出した端部の定着ニップNの幅から中央部の定着ニップNの幅を引いた時の平均定着ニップN幅と、算出した端部の定着ニップNの硬度から中央部の定着ニップNの硬度を引いた時の平均加圧ローラ208硬度を算出する。その結果と記録材Pシワと画像擦れの発生状況をまとめて表9に示す。
表中の「○」は記録材Pの搬送性に問題がなく、記録材Pシワ、画像擦れが発生していないことを示している。
実施例3は、定着ニップNの形状を長手端部に比べ中央部を細い形状に寿命を通して維持するように、分割された発熱ブロックの発熱量を制御することで、記録材Pシワや画像擦れの発生しない安定した記録材Pの搬送性を実現するものである。
安定した記録材Pの搬送性を実現する制御方法は、まず、各発熱ブロックHBiの累積発熱履歴情報の補正項TARと累積発熱履歴情報の補正項TAFiの和から補正値を求める。その補正値の各発熱ブロック間の最大値と最小値の差から算出した値によって、発熱履歴の少ない発熱ブロックHBi(少)の発熱の仕方を制御し、発熱履歴の差を小さくする。
表9の結果と各発熱ブロック間の補正値の最大差をまとめた結果を表10に示す。補正項TARと補正項TAFiに関しては実施例1で説明した計算方法を用いる。
HBi(少)の累積発熱量を増やす制御を行えば、補正値の差を2以下に抑えることができる。
その結果、発熱ブロックHBi(少)と発熱ブロックHBi(大)との間の発熱量の差を、所定値以下にすることができる。
発熱履歴の少ない発熱ブロックHBi(少)が非画像加熱領域APと分類された場合、発熱ブロックHBi(少)の定着制御温度TGTiは画像加熱領域の基準温度TAI=220℃よりも高い温度に設定される。これにより、発熱履歴の少ない発熱ブロックHBi(少)の発熱履歴を増やす制御を実行する。その際、発熱ブロックHBi(少)の温度を上げすぎると、トナー像のある画像加熱領域AIの定着フィルム202に熱が伝わることで高温オフセットが発生する可能性がある。発明者等の実験によると、本実施例の像加熱装置200においては、非画像加熱領域APの制御温度TGTiが230℃以下であれば、画像に高温オフセットを発生させないことが分かった。本実施例では非画像加熱領域APの定着制御温度TGTiを230℃に設定した(S2008)。
最後に、発熱履歴の少ない発熱ブロックHBi(少)が非通紙加熱領域ANと分類された場合(S2006)について説明する。発熱ブロックHBi(少)の温度を実施例1の設定値よりも上げることで、発熱履歴の少ない発熱ブロックHBi(少)の発熱履歴を増やす制御を実行する。その際、発熱履歴の少ない発熱ブロックHBi(少)の設定温度を上げすぎると、この領域は記録材Pに熱が奪われないので定着フィルム202や加圧ローラ208の温度が上ってしまう。この温度上昇は画像加熱領域AIにも影響を与えてしまう。定着フィルム202や加圧ローラ208の温度が上った状態で未定着トナー像が乗った記録材Pが通紙された場合、トナーに熱を与えすぎて高温オフセットが発生する。発明者等の実験によると、本実施例の像加熱装置200においては、発熱ブロックHBi(少) の非通紙加熱領域ANの制御温度TGTiが160℃以下であれば、記録材Pの画像に高温オフセットを発生させないことが分かった。このため、発熱ブロックHBi(少)
の非通紙加熱領域ANの制御温度をTGTi=160[℃]と設定した(S2009)。
同時に、記録材Pのシワが発生しやすい条件である高温高湿環境(30℃/80%)に2日間放置した記録材Pを連続で50枚通紙して記録材Pのシワと画像擦れを確認した。
本実施例の結果を比較するために実施例1を比較例として用い、それぞれの結果を表11に示す。表中の「○」は記録材Pの搬送性に問題がなく、記録材Pシワ、画像擦れが発生していないことを示している。
一方、実施例3では、発熱履歴の少ない発熱ブロックHB1、HB2、HB6、HB7の発熱量を増やし発熱履歴の多い発熱ブロックHB3、HB4、HB5との差を小さくし、所定値以下とすることで記録材Pシワの発生を抑えることができた。
効果の検証として、先に説明したのと同様の条件で耐久試験を行った。本実施例の結果を比較するために実施例1を比較例として用い、それぞれの結果を表12に示す。
表中の「○」は記録材Pの搬送性に問題がなく、記録材Pシワ、画像擦れが発生していないことを示している。
このように、実施例3では、ユーザの使用条件によって生じた加圧ローラ208の硬度の変化に適した定着制御温度の補正を実行することで、ユーザの使用条件によらず常に安定した搬送性能が得られる像加熱装置とすることができる。
Claims (12)
- 基板及び前記基板上に設けられた前記基板の長手方向に並ぶ複数の発熱体を有するヒータと、内面が前記ヒータと接触しつつ回転する筒状のフィルムと、前記フィルムの外面と接触して回転する加圧部材と、を有し、前記フィルムと前記加圧部材との間のニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材に形成された画像を前記ヒータの熱を利用して加熱する像加熱部と、
前記画像の情報に応じて、複数の加熱領域を選択的に加熱すべく、前記複数の発熱体への通電を選択的に制御する通電制御部と、
を備える像加熱装置において、
前記複数の加熱領域のそれぞれにおける前記発熱体の累積発熱量と、前記加圧部材の累積回転時間と、前記ニップ部を通過する記録材の情報と、を取得する取得部を備え、
前記通電制御部は、前記取得部が取得した情報に基づいて、前記複数の発熱体への通電を制御することを特徴とする像加熱装置。 - 前記通電制御部は、前記複数の発熱体への通電を制御する際の前記複数の加熱領域のそれぞれの制御目標温度を、前記累積発熱量と前記累積回転時間とに基づいて、それぞれ補正することを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記取得部は、前記制御目標温度と、記録材が前記ニップ部を通過する時間と、の積を累積した値を前記累積発熱量として取得することを特徴とする請求項2に記載の像加熱装置。
- 前記ヒータの温度を検知する温度検知部をさらに備え、
前記取得部は、前記温度検知部が検知した温度と、記録材が前記ニップ部を通過する時間と、の積を累積した値を前記累積発熱量として取得することを特徴とする請求項2に記載の像加熱装置。 - 前記取得部は、前記複数の発熱体に供給された電力と、記録材が前記ニップ部を通過する時間と、の積を累積した値を前記累積発熱量として取得することを特徴とする請求項2に記載の像加熱装置。
- 前記通電制御部は、前記複数の加熱領域のそれぞれを、前記画像の情報及び前記記録材の情報に基づいて、記録材及び画像を加熱する画像加熱領域、記録材は加熱するが画像は加熱しない非画像加熱領域、記録材も画像も加熱しない非通紙加熱領域、のいずれかに分類し、前記分類に応じて前記制御目標温度を設定することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の像加熱装置。
- 前記記録材の情報は、少なくとも、記録材のサイズ、記録材の種類のいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の像加熱装置。
- 前記通電制御部は、前記複数の加熱領域の間の前記累積発熱量の差が所定値以上の場合に、前記複数の加熱領域がそれぞれ所定の温度に昇温するタイミングの差が小さくなるように、前記複数の加熱領域ごとに前記発熱体への通電のタイミングを異ならせることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の像加熱装置。
- 前記通電制御部は、前記複数の加熱領域の間の前記累積発熱量の差が所定値以下になるように、前記複数の発熱体の発熱量を夫々制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の像加熱装置。
- 前記通電制御部は、前記複数の加熱領域の間の前記累積発熱量の差が所定値以下になるように、前記累積発熱量が少ない加熱領域の発熱量を多くする制御を行うことを特徴とする請求項9に記載の像加熱装置。
- 前記累積発熱量及び前記累積回転時間を記憶する記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の像加熱装置。
- 記録材に画像を形成する画像形成部と、
記録材に形成された画像を記録材に定着する定着部と、
を有する画像形成装置において、
前記定着部が請求項1〜11のいずれか1項に記載の像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
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