JP2024024591A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2024024591A
JP2024024591A JP2023102208A JP2023102208A JP2024024591A JP 2024024591 A JP2024024591 A JP 2024024591A JP 2023102208 A JP2023102208 A JP 2023102208A JP 2023102208 A JP2023102208 A JP 2023102208A JP 2024024591 A JP2024024591 A JP 2024024591A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
value
fixing
heating member
image forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023102208A
Other languages
English (en)
Inventor
昂平 生松
Kohei Haematsu
高広 内山
Takahiro Uchiyama
桂介 望月
Keisuke Mochizuki
洋彦 相場
Hirohiko Aiba
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to US18/364,608 priority Critical patent/US20240053696A1/en
Publication of JP2024024591A publication Critical patent/JP2024024591A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Control Or Security For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】簡易な構成で、定着装置の状態に応じた制御を行うことを可能とする。【解決手段】制御手段は、記録材に画像を形成するジョブが投入された場合に、1枚目の記録材が定着装置に搬送される前の期間に加熱部材を所定の目標温度まで加熱する立上げ処理を実行する。前記立上げ処理において前記加熱部材を加熱している期間中の第1タイミングにおける前記加熱部材の温度を第1温度とし、前記期間中で且つ前記第1タイミングよりも後の第2タイミングにおける第2温度とし、前記第1タイミング及び前記第2タイミングとは異なるタイミングにおける前記加熱部材の温度を第3温度とした場合に、前記制御手段は、温度検知部によって検知した前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて、前記ジョブ中の定着条件を変更する。【選択図】図5

Description

本発明は、記録材に画像を形成する画像形成装置に関する。
画像形成装置に用いられる定着装置として、記録材上の画像を加熱することで画像を記録材に定着させる熱定着方式の装置が知られている。熱定着方式は、定着部材として薄膜の定着フィルムを用いるフィルム加熱方式や、定着部材として円筒状のローラを用いるローラ加熱方式などがある。
熱定着方式の定着装置において、定着部材の表層の摩耗が進行すると、熱容量又は熱伝導率の変化によりホットオフセットと呼ばれる画像不良や、非通紙部昇温による定着部材又は周辺部材の熱ダメージが発生する可能性がある。特許文献1には、第三実施形態として、ヒータが所定温度になるように温度制御を行っているときの定着フィルムの表面温度の検知結果に基づいて、定着フィルムの表層の膜厚が十分厚いか否かを判断することが記載されている。
特開2017-90754号公報
定着部材が摩耗した場合や、電源電圧の違い又はヒータの製造公差等の理由でヒータの消費電力が変動する場合等に、簡易な構成で、定着装置の状態に応じた制御を行うことが求められていた。しかしながら、上記文献では、定着フィルムの厚みに関する制御を行うために、ヒータの温度を検知するサーミスタとは別に、定着フィルムの表面温度を検知する温度検知部材を設けている分、装置の構成が複雑となっていた。
そこで、本発明は、簡易な構成で、定着装置の状態に応じた制御を行うことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、記録材に画像を形成する画像形成手段と、回転する定着部材と、通電されることで前記定着部材を加熱する加熱部材と、前記加熱部材の温度に応じた検知信号を発する温度検知部と、を有し、前記定着部材で前記画像を前記記録材に定着させる定着装置と、記録材に画像を形成するジョブが投入された場合に、1枚目の記録材が前記定着装置に搬送される前の期間に前記加熱部材を所定の目標温度まで加熱する立上げ処理を実行する制御手段と、を備えた画像形成装置であって、前記立上げ処理において前記加熱部材を加熱している期間中の第1タイミングにおける前記加熱部材の温度を第1温度とし、前記期間中で且つ前記第1タイミングよりも後の第2タイミングにおける第2温度とし、前記第1タイミング及び前記第2タイミングとは異なるタイミングにおける前記加熱部材の温度を第3温度とした場合に、前記制御手段は、前記温度検知部によって検知した前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて、前記ジョブ中の定着条件を変更する、ことを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、簡易な構成で、定着装置の状態に応じた制御を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
実施例1に係る画像形成装置の概略図。 実施例1に係る定着装置の概略図。 実施例1に係る制御を示すフローチャート。 実施例1に係る制御を示すフローチャート。 実施例1に係る立上げ温度カーブの例(a)及び通電Dutyの例(b)を示すグラフ。 定着フィルムの表層の膜厚及び定着温度の設定値に対する画像不良の有無を示す表。 実施例2に係る制御を示すフローチャート。 実施例2に係る立上げ温度カーブの例(a)及び通電Dutyの例(b)を示すグラフ。 変形例に係る通電Dutyの例(a、b)を示すグラフ。 実施例3に係る制御を示すフローチャート。 実施例3に係るヒータの構成を示す図(a、b)。 実施例3に係るサブサーミスタの検知温度と加圧ローラの表面温度との関係を示すグラフ(a)、並びにサブサーミスタの検知温度及び加圧ローラの表面温度と定着装置の使用可能温度との関係を示す表(b)。 実施例4に係る制御を示すフローチャート。 実施例4に係る制御を示すフローチャート。 実施例4に係る立上げ温度カーブの例(a)及び通電Dutyの例(b)を示すグラフ。 実施例4に係る立上げ温度カーブと給送許可温度の例を示すグラフ(a、b)。 実施例4における給送許可温度の設定値に対する画像不良の有無を示す表。 実施例5に係る制御を示すフローチャート。 実施例5におけるスループットの設定値に対する画像不良の有無を示す表。 実施例6に係る制御を示すフローチャート。 実施例6に係る立上げ温度カーブの例(a)及び通電Dutyの例(b)を示すグラフ。 実施例6の通電Duty補正量の設定値に対する画像不良の有無を示す表。
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
《実施例1》
(1)画像形成装置
まず、図1を用いて実施例1に係る画像形成装置1の構成について説明を行う。図1は、実施例1に係る画像形成装置1の概略図である。画像形成装置1は、電子写真方式を利用して記録材Pに画像を形成するレーザプリンタである。記録材Pとしては、普通紙及び厚紙等の紙、プラスチックフィルム、布、コート紙のような表面処理が施されたシート材、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート材等、サイズ及び材質の異なる多様なシート材を使用可能である。
画像形成装置1は、プロセスカートリッジ10、レーザスキャナ11及び転写ローラ12を含む画像形成部1Aと、画像形成装置1の動作を制御する制御手段としての制御部40と、を備える。画像形成部1Aは、記録材Pに現像剤(トナー)を用いて画像(トナー像)を形成する画像形成手段(トナー像形成手段)として機能する。
プロセスカートリッジ10は、像担持体(電子写真感光体)としての感光ドラム19、帯電手段としての帯電ローラ16、現像手段としての現像ローラ17、クリーニング手段としてのクリーニングブレード18を有する。本実施例のプロセスカートリッジ10は、感光ドラム19、帯電ローラ16及び現像ローラ17を含む現像ユニットと、クリーニングブレード18を含むクリーニングユニットとによって構成される。プロセスカートリッジ10は、画像形成装置1の装置本体に対して着脱可能に構成される。
レーザスキャナ11は、像担持体を露光する露光手段の例である。転写ローラ12は、像担持体から記録材Pに画像を転写する転写手段の例である。
感光ドラム19は、ドラム状(円筒状)に成型された感光体であり、画像形成時には図中反時計回り方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。帯電ローラ16は、感光ドラム19の周面を所定の極性・電位に一様に帯電処理(一次帯電)する。一次帯電された感光ドラム19の周面にレーザスキャナ11からレーザ光が照射されることで、感光ドラム19の周面に静電潜像が形成される。なお、制御部40は外部機器から記録材Pに形成すべき画像情報を受信し、レーザスキャナ11に画像情報に基づくビデオ信号を送信する。レーザスキャナ11は、ビデオ信号に応じてオン/オフ変調したレーザ光を出力することで、感光ドラム19の周面に静電潜像を形成する露光処理を行う。現像ローラ17は、トナーを含む現像剤を担持して感光ドラム19にトナーを供給することで、感光ドラム19の周面に形成された静電潜像をトナー像として現像する。
また、画像形成装置1は、給送トレイ21、給送ローラ22、搬送ローラ対23、トップセンサ24、定着装置13、排出ローラ対26、モータ20を備える。
モータ20は、像担持体や記録材Pの搬送を担う部材に駆動力を供給する駆動源である。本実施例では、給送ローラ22、搬送ローラ対23、感光ドラム19、定着装置13、排出ローラ対26等の複数の部材の駆動力を、モータ20によってまかなう。
給送トレイ21は、画像形成装置1の装置本体に対して着脱可能である。給送トレイ21は、積載された状態の記録材Pを内部に収納する。給送トレイ21内の記録材Pは、制御部40の給送スタート信号に基づいて給送ローラ22が駆動されることで一枚ずつ分離されながら給送され、搬送ローラ対23へと搬送される。記録材Pは、更に搬送ローラ対23によって、感光ドラム19と転写ローラ12との間に形成される転写部としての転写ニップTへ導入される。
トップセンサ24は、搬送ローラ対23と転写ニップTとの間の搬送経路上に設置されており、搬送ローラ対23から送られてくる記録材Pの先端の通過タイミングを検知する。制御部40は、トップセンサ24で検知した記録材Pの先端タイミングに応じて、レーザスキャナ11による静電潜像の書き出しタイミングを調整する。即ち、記録材Pの先端部が転写ニップTに到達する時に合わせて、感光ドラム19上のトナー像の先端部が転写ニップTに到達するように、書き出しタイミングを制御する。
転写ニップTに導入された記録材Pは、転写ニップTにおいて感光ドラム19及び転写ローラ12に挟持搬送される。その間、転写ローラ12には不図示の電源からトナーの正規帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されることで、感光ドラム19の周面に担持されているトナー像が記録材Pの表面へと静電的に転写される。トナー像が転写された記録材Pは、転写ニップTから定着装置13へと搬送される。なお、転写ニップTを通過した感光ドラム19の周面は、クリーニングブレード18にて転写残トナーや紙粉等が除去され、再び一次帯電されることで次の画像形成に供される。
定着装置13は、定着部材としての定着フィルム14と、加圧部材としての加圧ローラ15とを有する。定着装置13の詳細は後述する。定着装置13は、定着ニップFで記録材Pを挟持搬送しながら、所定の温度(定着温度)になるよう制御された定着フィルム14によって記録材Pの画像(トナー像)を加熱することで画像の定着処理を行う。定着装置13を通過した記録材Pは、排出ローラ対26によって画像形成装置1の上部に設けられた排出トレイに排出され積載される。以上の一連の動作により、1枚の記録材Pに対する画像形成が完了する。
なお、両面印刷の場合、転写ニップT及び定着ニップFを通過することで第1面に画像形成された記録材Pは、排出ローラ対26に送られた後、排出ローラ対26が所定のタイミングで逆回転することで画像形成装置1内に引き戻される。引き戻された記録材Pは、両面搬送路33に設けられた両面搬送ローラ対34,35によって、第1面とその反対の第2面を入れ替えた状態で、再び画像形成部1Aに向けて搬送される。そして、再び搬送ローラ対23から転写ニップT及び定着ニップFを経由して搬送されることで第2面に画像形成された記録材Pは、排出ローラ対26によって排出トレイに排出される。
以上の動作を繰り返すことで、複数枚の記録材Pに対して次々と画像形成を行うことができる。なお、本実施例の画像形成装置1は、A4サイズ[210mm×297mm]の普通紙に対し、230mm/secの搬送速度で毎分約43枚の白黒画像を形成することが可能である。
なお、画像形成装置は、これに限らず、カラー印刷や多色印刷が可能であってもよい。また、画像形成手段は、像担持体に形成した画像(トナー像)を中間転写ベルト等の中間転写体に一次転写し、更に中間転写体から記録材に二次転写する中間転写方式であってもよい。
また、本実施例の画像形成装置1は、記録材の種類に応じてプリント動作(画像形成動作)の条件や制御が最適化したプリントモードとして、普通紙モード、薄紙モード、厚紙モードを実行可能である。普通紙モードは、坪量75g/m以上90g/m未満の普通紙に対する画像形成に最適化したモードである。薄紙モードは、坪量60g/m以上75g/m未満の薄紙に対する画像形成に最適化したモードである。厚紙モードは、坪量90g/m以上200g/m以下の厚紙に対する画像形成に最適化したモードである。各モードでは、転写ローラ12に印可する転写電圧の値や、定着温度、複数枚プリントする際の搬送間隔などを変更する。
制御部40は、CPU41、ROM41a、RAM41bを有する。CPU41は、ROM41aに記憶された各種のプログラムを実行することにより、RAM41bを作業領域として用いながら、画像形成に係わる各種の動作を制御する。ROM41a及びRAM41bは、画像形成装置1の制御に用いられる情報を記憶する記憶部の例である。また、ROM41aは、画像形成装置1の制御プログラムを格納した非一過性記憶媒体の例である。
(2)定着装置
次に、図2を用いて定着装置13の構成について説明を行う。図2は、実施例1に係る定着装置13の断面構成を示す概略図である。定着装置13は、定着フィルム14と、加圧ローラ15と、ヒータ60及びヒータホルダ61を有するニップ形成部材60Aと、加圧ステー63と、を備える。
定着フィルム14は、定着部材の例である。定着フィルム14は、可撓性を有する筒状(エンドレス)のフィルム状部材である。定着フィルム14は、熱容量を小さくしてウェイトタイム(ファーストプリントアウトタイム:FPOT)を短縮するために、膜厚20μm以上450μm以下のフィルムで形成することが好ましい。定着フィルム14としては、耐熱性のあるPTFE、PFA、FEP等の単層フィルムを用いることができる。また、定着フィルム14としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等のフィルム基層にPTFE、PFA、FEP等を表層としてコーティングした複層フィルムを用いることができる。
本実施例では、厚み約60μmのポリイミドフィルムの外周面にPFAをコーティングしたものを用いた。表層の厚み(膜厚)は約14μmとした。定着フィルム14の外径は24mmとした。定着フィルム14の基層は、上記の樹脂材料だけでなく、ステンレス鋼(SUS)等の金属材料を用いることもできる。さらに、画質向上のために、基層とコート層の間にシリコーンゴム等の耐熱ゴムを弾性層として形成する場合もある。
加圧ローラ15は、定着部材と当接された回転する加圧部材の例である。加圧ローラ15は、定着フィルム14を挟んでヒータ60と対向するように配置される。加圧ローラ15は、芯金151、弾性体層152、最外層の表層153から構成される。本実施例では、芯金151はアルミ芯金を、弾性体層152はシリコーンゴムを、表層153は厚み約50μmのPFAのチューブを用いた。加圧ローラ15の外径は25mm、弾性体層152の厚みは約3mmとした。
ヒータ60は、定着部材を加熱する加熱部材(発熱体)の例である。ヒータ60は、定着フィルム14の内周面と接触しながら定着フィルム14を急速加熱する板状発熱部材である。具体的にはヒータ60は、低熱容量のプレート形状であり、アルミナや窒化アルミなどの絶縁性セラミックス基板上に、Ag/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2Nなどの通電により発熱する発熱抵抗層が、スクリーン印刷などにより形成される。また、発熱抵抗層の上には、絶縁保護層としてガラス層が設けてある。ヒータ60の温度は、基板の裏面に当接された温度検知手段(温度検知部)としてのサーミスタ62により検知される。
ヒータホルダ61は、ヒータ60を保持し、定着フィルム14の内部空間に配置される。つまり、ヒータ60及びヒータホルダ61は、フィルムを加熱する発熱体を有しフィルムの内側に配置されたニップ形成部材60Aとして機能する。
加圧ステー63は、金属等の剛性を有する部材で構成され、不図示のバネ等の加圧手段から受けた加圧力を、ヒータホルダ61を介して加圧ローラ15に付与する。この加圧力により、定着フィルム14を挟んで圧接されたニップ形成部材60Aと加圧ローラ15との間に所定幅のニップ部として定着ニップFが形成される。
なお、本実施例の定着装置13では、ヒータ60が定着フィルム14の内周面に直接接触するが、ヒータ60と定着フィルム14との間に、熱伝導性が高い板状又はシート状の部材(例えば材質が合金鉄やアルミのシート状の部材)を配置してもよい。つまり、ヒータ60が、定着フィルム14の内周面と摺動する摺動部材を介して定着フィルム14を加熱する構成のニップ形成部材60Aを用いてもよい。
定着装置13では、イメージスキャナやホストコンピュータ等の外部入力機器からのプリント信号が入力されると、制御部40で制御された図1のモータ20により加圧ローラ15が矢印R1方向(時計回り)に回転駆動される。定着ニップFにおける加圧ローラ15と定着フィルム14の外周面との摩擦力で加圧ローラ15から定着フィルム14に回転力が伝達される。これにより、定着ニップFにおいて定着フィルム14の内周面がヒータ60に摺動させられつつ、定着フィルム14が従動回転させられる。このようにして定着フィルム14は、加圧ローラ15の周面の移動速度とほぼ同じ速度で、ニップ形成部材60Aの周囲を矢印R2方向(反時計回り)に回転する。
また、定着装置13では、交流電源30(コンセント)に接続された制御部40からヒータ60の給電用電極に電力が供給されることにより、ヒータ60の発熱抵抗層が発熱する。制御部40は、サーミスタ62から出力されるヒータ60の温度に応じた検知信号に基づいて、制御部40に設けられた図示しないトライアックでヒータ60への通電を制御することにより、ヒータ60の温度制御を行う。即ち、サーミスタ62の検知信号に基づいて取得した温度情報が制御目標温度(後述の立上げ温度Tc1、定着温度Tc2等)に比べて低い時は、ヒータ60へ供給する電力量を増加させる。反対に、サーミスタ62の検知信号に基づいて取得した温度情報が制御目標温度に比べて高い時は、ヒータ60への供給する電力量を減らす。電力量の制御は、後述する通電Duty(通電率)の制御によって行う。このように、制御部40は、サーミスタ62の検知信号に基づき、ヒータ60の温度を制御目標温度に近づけるべく、加熱部材としてのヒータ60への電力供給を制御する。
そして、加圧ローラ15により定着フィルム14が従動回転し、且つ、ヒータ60が所定の温度まで暖められた状態で、トナー像が転写された記録材Pが転写部から定着ニップFに搬送されてくる。すると、記録材Pが定着フィルム14と加圧ローラ15の間に挟持されて定着ニップFを搬送されながら、ヒータ60からの熱伝導によって加熱された定着フィルム14が記録材P上の未定着トナー像を加熱する。これにより、画像が記録材Pに定着される。定着ニップFを通った記録材Pは、定着フィルム14から分離され、さらに搬送される。
(3)制御目標温度の設定フロー
次に、図3のフローチャートを用いて実施例1における定着装置13の制御目標温度の設定に関わる動作について説明する。以下、図3のフローチャートの各工程は、制御部40のCPU41がプログラムを実行することによって実施される。図4以降のフローチャートについても同様である。
画像形成装置1にプリント信号が入力されると、制御部40は、プリントジョブ(画像形成ジョブ。以下、単に「ジョブ」ともいう)の実行を開始する。プリントジョブは、記録材Pを1枚ずつ搬送しながら記録材Pに画像を形成する一連のプリント動作(画像形成動作、通紙動作)と、プリント動作の準備動作と、プリント動作終了後の調整動作と、を含む一連のタスクである。制御部40は、プリント動作の準備動作の一部として、定着立上げシーケンスS100を開始する。定着立上げシーケンスS100は、定着装置13を定着動作に適した温度まで温める一連の動作(立上げ処理)である。
定着立上げシーケンスS100では、まず、制御部40は定着立上げシーケンスにおける制御目標温度(以下、立上げ温度Tc1とする)を設定する(S101)。S101において、制御部40は、プリントモード毎に予め設定されてROM41aに保存されている立上げ温度Tc1の基準値情報を読み出す。制御部40は、この基準値に対して、画像形成装置1の設置場所の温度情報(環境温度)に応じた補正を施すことで、定着立上げシーケンスにおける立上げ温度Tc1を決定する。環境温度が低い場合には記録材Pの温度も低いため、未定着トナー像を記録材Pに定着させるためにより多くの熱量が必要になる。そのため、環境温度が低いほど立上げ温度Tc1が高くなるように補正を行う。本実施例では、画像形成装置1の内部に不図示の温度センサを設置し、その温度センサの値を元に環境温度を予測する。
立上げ温度Tc1の設定(S101)が終わると、加圧ローラ15の回転駆動が開始されるのと同時に、ヒータ60への電力供給が開始され、定着装置13が暖まり始める(S102)。その後、サーミスタ62の検知温度が、予め設定されてROM41aに保存されている給送許可温度に達すると(S103)、給送トレイ21から記録材Pの搬送が開始される(S104)。記録材Pの搬送開始S104から所定時間が経過した後に(S105)、後述する定着装置の状態の判断を行い(S106)、定着立上げシーケンスS100を終了する。ここでS105の所定時間は、搬送開始S104で搬送を開始された記録材Pの先端が、正常に搬送された場合に定着ニップFに到達する予定時間に設定される。
定着立上げシーケンスS100の後に、通紙時シーケンスS200が開始される。通紙時シーケンスS200は、定着装置13を定着動作に適した温度に維持するシーケンスである。
通紙時シーケンスS200では、まず、制御部40は通紙時シーケンスにおける制御目標温度(画像の定着時のヒータ60の目標温度。以下、定着温度Tc2とする)を設定する(S201)。S201において、制御部40は、プリントモード毎に予め設定されROM41aに保存される定着温度Tc2の基準値情報を読み出す。制御部40は、この基準値に対して、環境温度に応じた補正と、S106で判定した定着装置の状態に応じた補正を施すことで、通紙時シーケンスにおける定着温度Tc2を決定する。環境温度に応じた補正は、S101と同様に環境温度が低いほど定着温度Tc2が高くなるように実施する。定着装置の状態に応じた補正の詳細については後述する。
その後、S201で設定された定着温度Tc2を維持するようにヒータ60への電力供給を調整しつつ、記録材Pを定着ニップFで挟持搬送させ、記録材P上の未定着トナー像を記録材Pに定着させる。2枚目以降の記録材Pがある場合(S202)は、所定の時間間隔で給送トレイ21から記録材Pの搬送を行い(S203)、すべての記録材Pの定着を終えると通紙時シーケンスS200を終了する。
(4)定着装置の状態の判断と定着温度の補正
図4のフローチャートを用いて定着装置の状態の判断S106について説明する。
定着装置の状態の判断S106は、ヒータ60への電力供給を開始してから所定時間が経過するまでの所定期間(以後、判定期間Per1と称する)における立上げ温度カーブに基づいて行われる。本実施例では、ヒータ60への電力供給を開始してから2.5秒後までの期間を判定期間Per1と設定する。
定着装置の状態の判断S106では、まず、制御部40は判定期間Per1の通電Dutyが所定の値(所定の通電率)であったかを判断する(S301)。本実施例では、通電Dutyが100%であったかどうかを判断する。判定期間Per1の通電Dutyが100%であった場合は、消費電力判定S302とフィルム厚み判定S303を行い、S303で求めた定着フィルム14の表層の厚み(表層の膜厚)が薄いほど定着装置13が使用され寿命に近くなっていると判断する。
次に、消費電力判定S302の方法について、図5(a、b)を用いて詳細を説明する。図5(a)は、定着立上げシーケンスS100における、サーミスタ62の検知温度の時間推移(以降、立上げ温度カーブと称する)を示したものであり、定着装置13を常温から動作させた場合の例を示す。また、図5(b)は図5(a)の立上げ温度カーブに対応する通電Duty(通電率)である。通電率は、交流電源30からの交流電圧を用いて単位時間あたりにヒータ60へ通電する時間の割合である。通電率は、ヒータ60に印加された電圧波形の実効電圧(平均電圧)が、交流電源30の電圧に対して何%であるかを示す。位相制御を行う場合、通電率は、交流電源の電圧波形の半周期に対してトライアックをONにしてヒータ60に通電した時間の比率を表す。交流電源の電圧波形の半波ごとにトライアックをON/OFF制御する場合(ハーフサイクルデューティ制御)、周期的に表れるON/OFFパターンの周期に対応する半波の数に対するトライアックONの半波の数の比率である。定着装置13を常温から動作させた場合は、通常、定着立上げシーケンスS100内の通電開始から終盤に至るまで、通電Dutyは100%となる。
図5(a)の実線は、定着装置13が新品の状態で画像形成装置1を100Vの交流電源30に接続した際の立上げ温度カーブである。また、破線は、同じ定着装置13を用いて画像形成装置1を120Vの交流電源30に接続した際の立上げ温度カーブである。この新品の定着装置13における定着フィルム14の表層の膜厚は14μmであった。
また、比較のため、定着装置13を寿命の80%まで使用した状態での立上げ温度カーブを示す。図5(a)の二点鎖線は、定着装置13を寿命の80%まで使用した状態で画像形成装置1を100Vの交流電源30に接続した際の立上げ温度カーブである。また、一点鎖線は、同じ定着装置13を用いて画像形成装置1を120Vの交流電源30に接続した際の立上げ温度カーブである。定着装置13を寿命の80%まで使用した状態において、定着フィルム14の表層の膜厚は、使用に伴い摩耗したことで初期と比べ薄くなっており、2μmであった。
図5(a)で示したように、定着装置13の状態が同じ場合、交流電源30の電圧が高いほど、立上げ温度カーブの傾きの最大値が大きくなる。また、定着装置13の状態が同じ場合、交流電源30の電圧が高いほど、同一時点における温度は高くなる。これは、電圧が高いほどヒータ60の発熱抵抗層で消費される電力が多くなり、発熱量が増えるためである。なお、ヒータ60の発熱抵抗層の抵抗値の製造ばらつきによっても消費される電力が変化し、発熱量が変わる。交流電源30の電圧が同じ場合、ヒータ60の発熱抵抗層の抵抗値が小さいほど消費電力が大きくなり、立上げ温度カーブの傾きの最大値及び同一時点における温度は高くなる。
このように、立上げ温度カーブはヒータ60の発熱抵抗層で消費される電力(加熱部材の消費電力)によって変化するため、立上げ温度カーブの情報を元にヒータ60の発熱抵抗層で消費される電力を推定することができる。本実施例の消費電力判定S302では、ヒータ60の発熱抵抗層で消費される電力(以下、消費電力Pw[W]とする)を、図5の立上げ温度カーブ内の期間Per2(第2の所定期間)の温度情報から下記の式1に従い推定する。
式1:Pw=k×(Th2e-Th2s)+k
式1において、Th2eは期間Per2の終了タイミング(図5(a)のt2e)におけるサーミスタ62の検知温度である。Th2sは期間Per2の開始タイミング(図5(a)のt2s)におけるサーミスタ62の検知温度である。期間Per2は、例えばヒータ60への電力供給を開始してから0.8秒後から開始し、1.3秒後に終了するものとする。kとkは係数および定数項であり、k=38.46[W/℃]、k=-219.0[W]とする。
温度Th2sは、定着装置13の立上げ処理(定着立上げシーケンス)において加熱部材を加熱している期間中の第1タイミング(t2s)における加熱部材の温度である第1温度の例である。温度Th2eは、前記期間中で且つ前記第1タイミングよりも後の第2タイミング(t2e)における加熱部材の温度である第2温度の例である。
消費電力Pwの判定精度を高めるためには、消費電力Pwの差による立上げ温度カーブの変化が大きいところで判定することが望ましい。従って、期間Per2は、立上げ温度カーブの傾き(温度上昇速度)が最大となる期間を含むように設定することが望ましい。言い換えると、前記第1タイミング及び前記第2タイミングは、前記加熱部材の温度が室温である状態から前記立上げ処理を実行した場合に前記加熱部材の単位時間当たりの温度上昇値が最大となる期間を含むように、予め設定される。
続いて、フィルム厚み判定S303の方法について、図5(a、b)を用いて詳細を説明する。図5(a)で示したように、交流電源30の電圧が同じ場合、定着フィルム14の表層が薄いほど立上げ温度カーブの同一時点における温度は低くなる。これは、表層が薄いと、ヒータ60の熱がフィルム表面に伝わりやすくなるからである。つまり、定着装置13が同一で交流電源30の電圧が同じ場合、ヒータ60の発熱量が一定となる一方で、定着フィルム14の表層が薄いほどフィルム表面からの放熱(加圧ローラ15への熱伝導を含む)が大きくなる。そのため、定着フィルム14の表層が薄い場合(2μm)は、表層が厚い場合(14μm)に比べて、立上げ温度カーブの同一時点における温度は相対的に低くなる。
そこで、例えば期間Per2の終了タイミング(t2e、第2の所定期間の終了時)から判定期間Per1の終了タイミング(t1e、所定タイミング)までの温度上昇値に基づいて、定着フィルム14の表層の膜厚を精度よく推定することができる。
このように、立上げ温度カーブは定着フィルム14の表層の厚みによって変化するため、立上げ温度カーブの情報を元に定着フィルム14の表層の厚みを推定することができる。本実施例のフィルム厚み判定S303では、定着フィルム14の表層の膜厚D[μm]を下記の式2に従い推定する。
式2:D=k×Pw+k×(Th1e-Th2e)+k
式2において、Pwは消費電力判定S302によって求めたヒータ60の発熱抵抗層で消費される消費電力である。Th1eは、判定期間Per1の終了タイミング(図5(a)のt1e)におけるサーミスタ62の検知温度である。判定期間Per1の終了タイミング(t1e)は、例えばヒータ60への電力供給を開始してから2.4秒後に設定する。kからkは係数および定数項であり、本実施例の構成においては、k=-0.139[μm/W]、k=3.15[μm/℃]、k=-27.4[μm]とする。
温度Th1eは、前記第1タイミング及び前記第2タイミングとは異なるタイミング(t1e)における前記加熱部材の温度である第3温度の例である。実施例1及び後述の実施例2、3では、第3温度として、定着装置13の立上げ処理において加熱部材を加熱している期間中且つ前記第2タイミングよりも後の第3タイミング(t1e)における加熱部材の温度を用いる。これにより、定着フィルム14の膜厚に応じた制御が可能となる。また、本実施例では、立上げ温度カーブの情報(Th2s、Th2e、Th1e)に基づいて、定着条件の一例である定着温度を変更する。
定着フィルム14の表層の厚みの差による立上げ温度カーブの変化は、立上げ温度カーブの傾きが最大となる期間を過ぎてから徐々に大きくなる。これは、放熱量の差によって生まれたヒータ60及びその周辺の蓄熱量の差分が、時間経過に伴い累積していくためである。従って、判定期間Per1の終了タイミングは、定着立上げシーケンスにおいて、立上げ温度カーブの傾きが最大となる期間を過ぎた後のできるだけ遅いタイミングとすることが望ましい。
なお、温度Th1eを取得するタイミング(所定タイミング)は時間軸上の1点である必要はなく、例えばヒータ60への電力供給の開始を基準として2.3秒から2.5秒までの期間の平均温度をTh1eとしても構わない。
以上説明したように、本実施例における定着装置の状態の判断S106では、立上げ温度カーブの情報に基づいて定着フィルム14の表層の膜厚Dを推定し、膜厚Dが薄いほど定着装置13が使用され寿命が近づいていると判断する。
ここで、極端に交流電源30の電圧が高い場合等は、判定期間Per1が終了する前にヒータ60の温度が立上げ温度Tc1に到達し、通電Dutyが100%より少なくなる場合がある。また、定着立上げシーケンスS100の直前に別のプリント動作を行っていた場合は、定着装置13が予め温まった状態である。そのため、この場合も判定期間Per1が終了する前にヒータ60の温度が立上げ温度Tc1に到達し、通電Dutyが100%より少なくなる場合がある。
これらの場合、定着フィルム14の表層の厚みの差によって立上げ温度カーブが変化しているのか、それとも通電Duty差によって立上げ温度カーブが変化しているのかの区別が難しく、フィルム厚み判定S303の計算が正確ではなくなる。従って、判定期間Per1の少なくとも一部で通電Dutyが100%ではなかった場合は、S301の条件分岐によって、今回の立上げ温度カーブを用いた消費電力判定S302及びフィルム厚み判定S303を行わない。この場合、前回の定着装置の状態の判断(S106)を実行した時のフィルム厚み判定の結果を採用する(S304)。
言い換えると、前記制御手段は、今回のジョブにおける前記立上げ処理中の所定期間に亘って前記加熱部材の通電率が前記所定の値である場合は、前記立上げ処理において検出された前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて前記今回のジョブにおける前記定着条件を設定する。また、前記制御手段は、前記所定期間の少なくとも一部において前記加熱部材の通電率が前記所定の値でない場合は、記憶部に格納されている設定値を用いて今回のジョブにおける前記定着条件を設定する。これにより、定着装置13の予熱による立上げ温度カーブの変化によって定着条件が不適切に変化する可能性を低減することができる。
続いて、S106で判定した定着装置の状態に応じて、通紙時シーケンスにおける定着温度Tc2を補正する方法について説明する。先に述べたように、S201において、制御部40は定着温度Tc2の基準値情報を読み出し、さらに、環境温度に応じた補正と定着装置の状態に応じた補正を施す。
本実施例では、S106の中で判定した膜厚Dの値が小さいほど(定着フィルム14の表層が薄くなっているほど)、定着温度Tc2が低くなるように、下記の式3に従って温度補正量ΔTを算出する。
式3: ΔT=k×(D-14)
ここで、kは係数であり、本実施例の構成においてはk=1.0[℃/μm]とする。
定着温度Tc2は、定着温度の基準値(又は基準値を環境温度に応じて補正した値)と、温度補正量ΔTの和である。
定着温度Tc2を実験的に強制指定して画像不良の発生有無を確認した結果を、図6に示す。実験は温度23℃(室温、常温)の環境において行った。画像不良の発生が無かった場合は丸印、熱が過剰でありホットオフセットが発生した場合は白三角印、熱が不足し定着不良が発生した場合は黒三角印で表す。
本実施例の定着温度Tc2の基準値は192℃と設定しており、温度23℃における環境温度補正量は0℃である。従って、式3による定着装置の状態に応じた補正を加えた通紙時シーケンスにおける定着温度Tc2は、定着フィルム14の表層の膜厚D=14μmのとき192℃、D=10μmのとき188℃、D=6μmのとき184℃、D=2μmのとき180℃である。図6からわかるように、式3に基づいて定着温度Tc2を制御することにより、定着フィルム14の表層の膜厚に関わらず画像不良の発生はなかった。
比較のため、定着装置の状態に応じた定着温度Tc2の補正をしなかった場合について、比較例1として説明する。比較例1では、通紙時シーケンスにおける定着温度Tc2は、定着フィルム14の表層の膜厚に依らず192℃である。そのため図6に示したように、定着フィルム14の表層の膜厚が2μmの場合に熱が過剰となりホットオフセットが発生してしまう。
(5)本実施例のまとめ
以上説明したように、本実施例の制御手段は、前記温度検知部によって検知した前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて、前記ジョブ中の定着条件の例としての定着温度Tc2を変更する。これにより、追加の温度検知部等を要しない簡易な構成で、定着装置13の状態に応じたより適切な定着条件(定着温度Tc2)を設定することができ、画像形成装置1の性能を向上させることができる。なお、下記の実施例2~6で説明するように、制御手段が変更する定着条件は定着温度Tc2に限らない。
また、本実施例では、前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて前記定着部材の厚みを判定し、前記定着部材の厚みの判定結果に応じて前記ジョブ中の定着条件を変更する。これにより、簡易な構成で、定着部材の摩耗に応じた定着条件の変更を行うことができ、画像形成装置1の性能を向上させることができる。
本実施例においては、ヒータ60の立上げ温度カーブから定着装置13の状態(定着フィルム14の表層の膜厚D)を判断し、その結果に基づいて定着温度Tc2の補正を行う。式2に示すように、膜厚Dの判定は、ヒータ60の消費電力Pwと、判定期間Per1内(所定期間内)の所定タイミング(t1e)におけるヒータ60の温度(Th1e)と、に依存する。つまり、前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力と、前記記録材が前記定着装置に到達する前の所定期間に亘って所定の通電率で前記加熱部材に通電した場合に、前記所定期間内の所定タイミングで前記温度検知部によって検出した前記加熱部材の検出温度と、に応じて前記画像の定着時の前記加熱部材の目標温度を変更するように構成されている。言い換えると、前記制御手段は、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値を用いて前記加熱部材の消費電力を判定し、前記消費電力の判定結果と前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値とを用いて前記定着部材の厚みを判定する。これにより、定着部材の摩耗度合いをより適切に判定できる。
本実施例では、前記制御手段は、前記定着部材の厚みが第1の厚さである場合の前記定着温度の値に比べ、前記定着部材の厚みが前記第1の厚さより薄い第2の厚さである場合の前記定着温度の値が低くなるように、前記定着温度を変更する。
これにより、定着装置13の寿命を通じてホットオフセットの発生を低減することができる。したがって、本実施例によれば、簡易な構成で、定着部材の摩耗に適切に対応可能な画像形成装置を提供することができる。また、比較例1と比べて定着性を良好に保ちつつ定着温度Tc2を下げることができる場合があるため、省エネルギー性に優れる。
式2から分かるように、ヒータ60の消費電力Pwが同じであれば、判定期間Per1内(所定期間内)の所定タイミング(t1e)におけるヒータ60の温度(Th1e)が低い方が、膜厚Dがより薄いと判定され、定着温度Tc2は低く設定される。つまり、前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力が同じである場合において、前記加熱部材の検出温度が第1の値であるときは、前記目標温度を第1の温度に設定する。また、前記制御手段は、前記加熱部材の検出温度が前記第1の値より低い第2の値であるときは、前記目標温度を前記第1の温度より低い第2の温度に設定する。
これにより、膜厚Dの違いに応じた定着フィルム14の伝熱性の変化を利用して膜厚Dを適切に判定し、ホットオフセットの発生を効果的に低減することができる。
また、式2から分かるように、判定期間Per1内(所定期間内)の所定タイミング(t1e)におけるヒータ60の温度(Th1e)が同じであれば、ヒータ60の消費電力Pwが低い方が、膜厚Dがより薄いと判定され、定着温度Tc2は低く設定される。つまり、前記制御手段は、前記加熱部材の検出温度が同じである場合において、前記加熱部材の消費電力が第1の電力であるときは、前記目標温度を第1の温度に設定する。また、前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力が前記第1の電力より小さい第2の電力であるときは、前記目標温度を前記第1の温度より低い第2の温度に設定する。
これにより、電源電圧の違い等によって定着立上げシーケンスにおけるヒータ60の発熱量が異なる場合であっても、膜厚Dを適切に判定し、ホットオフセットの発生を効果的に低減することができる。
本実施例では、期間Per2での温度上昇値が同じであれば、期間Per2の終了時から判定期間Per1の終了時までの温度上昇値が低い方が膜厚Dが薄いと判定され、定着温度Tc2が低く設定される。また、期間Per2の終了時から判定期間Per1の終了時までの温度上昇値が同じであれば、期間Per2での温度上昇値が低い方が、膜厚Dが薄いと判定され、定着温度Tc2が低く設定される。言い換えると、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が第2の値であるときの前記定着温度を第1の定着温度値とする。前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第3の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が前記第2の値であるときの前記定着温度を第2の定着温度値とする。前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第2の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が前記第2の値よりも低い第4の値であるときの前記定着温度を第3の定着温度値とする。このとき、前記制御手段は、前記第1の定着温度値よりも前記第2の定着温度値が低く、且つ前記第1の定着温度値よりも前記第3の定着温度値が低くなるように、前記定着温度を変更する。これにより、ヒータ60の消費電力の違いを加味しつつ、定着フィルム14の摩耗度合いに応じた適切な定着温度を設定することができる。
ところで、本実施例は、上記のように電源電圧の違いに応じて膜厚Dを適切に判定するように構成されている。つまり、前記制御手段は、前記画像形成装置が接続される電源の電源電圧と、前記記録材が前記定着装置に到達する前の所定期間に亘って所定の通電率で前記加熱部材に通電した場合に、前記所定期間内の所定タイミングで前記温度検知部によって検出した前記加熱部材の検出温度と、に応じて前記画像の定着時の前記加熱部材の目標温度を変更するように構成されている、と言える。
これにより、電源電圧の違いによって定着立上げシーケンスにおけるヒータ60の発熱量が異なる場合であっても、膜厚Dを適切に判定し、ホットオフセットの発生を効果的に低減することができる。
《実施例2》
続いて、実施例2を説明する。実施例2では、定着立上げシーケンスにおいて、期間Per2が終了してから加圧ローラ15の回転駆動を開始する。画像形成装置の構成及び基本的な動作は、実施例1と同様である。以下、実施例1と共通の参照符号を付した要素は、特に断らない限り実施例1で説明したものと実質的に同じ構成及び作用を有するものとする。
図7のフローチャートおよび図8(a、b)を用いて実施例2の動作について説明する。図8(a)は、定着立上げシーケンスS100における立上げ温度カーブを示したものであり、定着装置13を常温から動作させた場合の例を示す。また、図8(b)はその時の通電Dutyである。実施例2の定着立上げシーケンスS100では、実施例1のS102(図3)の代わりにS107からS109を実行する。
立上げ温度Tc1の設定S101が終わると、ヒータ60への通電が開始され、定着装置13が暖まり始める(S107)。このとき、立上げ温度Tc1に対してヒータ60の温度を近づけるように通電Dutyを調整する制御の代わりに、通電Dutyを50%の固定値とする。
通電開始から所定時間が経過した後に(S108)、加圧ローラ15の回転駆動が開始される(S109)。実施例2では、ヒータ60への電力供給が開始された後1.1秒後に回転駆動を開始する。また、50%の固定値であった通電Dutyを、立上げ温度Tc1に対してヒータ60の温度を近づけるように通電Dutyを調整する制御に切り替える。定着装置13を常温から動作させた場合、S109以降の通電Dutyは100%である。
S109の実行後、サーミスタ62の検知温度が給送許可温度に達したか否かの判断を行い(S103)、以降は実施例1と同様の動作を実行する。
実施例2では、ヒータ60への電力供給を開始してから2.4秒までを判定期間Per1として設定する。また、ヒータ60への電力供給を開始後0.7秒から1.1秒までを期間Per2として設定する。
ヒータ60の消費電力Pw[W]は、実施例1と同様に式1から推定しており、k=37.25[W/℃]、k=-221.3[W]とする。また、定着フィルム14の表層の膜厚D[μm]は、実施例1と同様に式2から推定しており、k=-0.102[μm/W]、k=3.31[μm/℃]、k=-15.2[μm]とする。このようにして推定した膜厚Dを使い、実施例1と同様に、式3に従って定着温度Tc2の補正を行う。
実施例2では、期間Per2が終了するまでは加圧ローラ15が停止しているので、定着フィルム14の表層の膜厚の違いによるフィルム表面からの放熱量の差が立上げ温度カーブの差に表れにくい。そのため、立上げ温度カーブの傾きは主にヒータ60の発熱量で決まる。そのため、期間Per2の温度検知結果に基づいて、ヒータ60の消費電力Pwを精度よく推定することができる。一方、期間Per2の終了後は加圧ローラ15を回転させるので、フィルム表面からの放熱が促進され、結果として定着フィルム14の表層の膜厚の違いが立上げ温度カーブの差として顕在化する。そのため、期間Per2の終了タイミング(t2e)から判定期間Per1の終了タイミング(t1e)までの温度上昇値に基づいて、定着フィルム14の表層の膜厚を精度よく推定することができる。
つまり、本実施例の制御手段は、前記立上げ処理における前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの期間において前記定着部材を回転させず、前記第2タイミングよりも後に前記定着部材の回転を開始させる。これにより、定着部材の厚みの判定精度を高めることができる。
以上説明したように、期間Per2が終了してから回転駆動を開始する構成においても、実施例1と同様に、定着装置13の寿命を通じてホットオフセットの発生を低減することができる。また、比較例1と比べて定着温度Tc2を下げることができるため、省エネルギー性に優れる。
なお、回転停止状態でヒータ60への電力供給を開始し、所定時間経過後に回転駆動を開始したうえで、期間Per2を回転駆動開始後に設定するような制御にすることもできる。
《実施例3》
続いて、実施例3を説明する。実施例3は、S106で判定した定着装置の状態に応じて、非通紙部昇温を抑制するための制御(非通紙部昇温抑制制御)を実施する閾値温度Tthを補正する。画像形成装置の構成及び定着装置の基本的な構成及び動作は、実施例1と同様である。以下、実施例1と共通の参照符号を付した要素は、特に断らない限り実施例1で説明したものと実質的に同じ構成及び作用を有するものとし、実施例1と異なる部分を主に説明する。
図11は本実施例に係るヒータ60の長手方向の構成、及びメインサーミスタ62m及びサブサーミスタ62s1,62s2の長手方向の配置を示す図である。ヒータ60の長手方向とは、定着フィルム14及び加圧ローラ15の回転軸線方向である。メインサーミスタ62mは、ヒータ60を制御目標温度に維持するための通電制御に用いられる温度検知部(第1の温度検知部)の例である。サブサーミスタ62s1,62s2は、非通紙部昇温抑制制御に用いられる第2の温度検知部である。
本実施例におけるヒータ60は基板上の定着フィルム摺動面に、抵抗発熱体として長手幅220mmの発熱抵抗層601が形成される。発熱抵抗層601は、長手方向中央の搬送基準Cから左右方向にそれぞれ110mmの長さで形成される。搬送基準Cは、記録材幅方向(ヒータ60の長手方向)における記録材の通過位置の基準であり、記録材のサイズによらず記録材の中央が搬送基準Cに一致した状態で記録材が搬送されるように、画像形成装置は構成されている。
メインサーミスタ62m及びサブサーミスタ62s1,62s2は、ヒータ60の基板上の発熱抵抗層601とは反対側の面と接触するように配置される。メインサーミスタ62mは、記録材のサイズによらず、記録材が通過する領域内でヒータ60の温度を検知する。
サブサーミスタ62s1,62s2(第2の温度検知部)は、ヒータ60の長手方向(定着フィルム14の回転軸線方向)においてメインサーミスタ62m(第1の温度検知部)よりも外側に配置される。サブサーミスタ62s1,62s2は、例えばA5縦通紙(長辺送り)の場合のように幅が狭い記録材が通過しない端部領域(非通紙領域)に位置する。サブサーミスタ62s1,62s2は、非通紙領域において定着フィルム14等が過昇温することによる弊害(非通紙部昇温)を抑制するための制御に用いられる。
図示した例において、メインサーミスタ62mは、搬送基準Cから長手方向に23mm離れた位置に、サブサーミスタ62s1,62s2は搬送基準Cからそれぞれ99mm離れた位置に配置される。
(1)非通紙部昇温抑制制御の閾値温度の設定フロー
次に、図10のフローチャートを用いて実施例3における非通紙部昇温抑制制御の設定に関わる動作について説明する。
画像形成装置1にプリント信号が入力されると、制御部40は、定着立上げシーケンスS100を開始する。定着立上げシーケンスS100及びその中で行う定着装置の状態の判断(S106)の内容は、実施例1(図3、図4)と同様である。
定着立上げシーケンスS100の後に、非通紙部昇温抑制シーケンスS300が開始される。非通紙部昇温抑制シーケンスS300は、幅の狭い記録材に対するプリントを実行する場合に、非通紙領域の部材温度を許容温度以下に維持するためのシーケンスである。
例えば、図11に示すように発熱抵抗層601の長手幅220mmより幅が狭いA5サイズの記録材を縦通紙(通紙幅148mm)で連続的に通紙した場合、記録材が通過しない非通紙領域においては定着フィルム14及び加圧ローラ15の温度が上昇する。本実施例では、加圧ローラ15の耐熱性及び硬度変化を考慮して、加圧ローラ15の許容温度を200℃に設定し、連続プリント動作中に加圧ローラ15が200℃以下で維持されるようにする。つまり、プリント動作中の加圧ローラ15の表面温度の上限は、200℃に設定される。なお、定着フィルム14等、定着装置の他の部材の耐熱性を考慮して許容温度を設定してもよい。
非通紙部昇温抑制シーケンスS300では、まず、制御部40はサブサーミスタの非通紙昇温抑制制御を実行する閾値温度Tthを設定する(S301)。S301において制御部40は、ROM41aに保存されている閾値温度Tthの基準値(すなわち基準閾値温度)の情報を読み出す。制御部40は、この基準値に対してS106で判定した定着装置の状態に応じた補正を施すことで、非通紙部昇温抑制シーケンスにおける閾値温度Tthを設定する。定着装置の状態に応じた補正の詳細については後述する。
その後、S302において、サブサーミスタ62s1,62s2の検出温度とS301において設定した閾値温度を比較する(S302)。サブサーミスタ62s1,62s2の検出温度がいずれも閾値温度Tth以下の場合は、S304に移行しプリント終了を判断し、プリントが終了していなければS302の判断を継続して行う。
また、サブサーミスタ62s1,62s2のいずれかの検出温度が閾値温度Tth以上の場合は、S303に移行し、非通紙昇温抑制制御としてスループットダウン制御を行う。
本実施例において、A5サイズ縦通紙は40枚/分のスループットでプリントが開始される。S303のスループットダウン制御に移行すると、定着装置における記録材の通過間隔(通紙間隔)を広げることで20枚/分にスループットが低下される(S303)。本実施例では、記録材Pの搬送速度は変えずに、給送トレイ21からの記録材Pの搬送を開始するタイミングの間隔を調整することで、スループットダウン制御を行う。
以上のようにスループットダウン制御を行い記録材の通紙間隔が広がることで、通紙間隔の間に非通紙領域の熱が通紙領域に分散し、長手方向における加圧ローラ15の温度分布が緩和(均熱化)される。その結果、非通紙領域における加圧ローラ15の過昇温を抑制することができる。
その後、S304においてプリント終了を判断し、プリントを継続している間はS302の判断を継続し、すべてのプリントを終えると非通紙部昇温抑制シーケンスS300を終了する。
(2)定着装置状態の判断と閾値温度の補正
図10のフローチャートにおける定着装置の状態の判断S106については実施例1と同等であり説明は省略する。実施例1で説明したように、定着装置の状態の判断S106では、立上げ温度カーブの情報に基づいて定着フィルム14の表層の膜厚Dを推定し、膜厚Dが薄いほど定着装置13が使用され寿命が近づいていると判定する。
次にサブサーミスタ62s1,62s2の検知温度と加圧ローラ15の表面温度との関係について、図12を用いて説明する。前述したように、本実施例においては加圧ローラ15の表面温度を200℃以下に維持してプリント動作を行うようにする。ただし、非通紙部昇温抑制制御(スループットダウン)が始まってから非通紙領域の昇温が抑制されるまでには遅延が存在する。そのため、プリント動作中の加圧ローラ15の表面温度を200℃以下に維持するには、加圧ローラ15の表面温度が190℃に到達した時点で非通紙部昇温抑制制御が有効になるようにする。
図12(a)の実線は、定着装置の初期状態(定着フィルム14の表層の膜厚14μm)におけるサブサーミスタ62s1,62s2の検知温度と加圧ローラ15の表面温度との関係を示す。この場合、加圧ローラ15の表面温度が190℃となるのはサブサーミスタ62s1,62s2の検知温度が238℃のときであった。
図12(a)の最も上の破線は、定着装置を寿命の80%まで使用した状態(定着フィルム14の表層の膜厚2μm)におけるサブサーミスタ62s1,62s2の検知温度と加圧ローラ15の表面温度との関係を示す。この場合、加圧ローラ15の表面温度が190℃となるのはサブサーミスタ62s1,62s2の検知温度が232℃のときであった。
定着フィルム14の表層の膜厚が10μm、6μmの場合、加圧ローラ15の表面温度が190℃となるのは、サブサーミスタ62s1,62s2の検知温度がそれぞれ236℃、234℃のときであった。
以上のように定着フィルム14の表層の膜厚が薄くなるほど、加圧ローラ15の同じ表面温度に対応するサブサーミスタ62s1,62s2の検知温度は低くなる。これは、定着フィルムの厚みが減少することにより、ヒータ60から加圧ローラ15へ熱が伝わりやすくなるから(熱抵抗が減少するから)である。
そこで、加圧ローラ15の表面温度を所定温度以下に維持するためには、定着フィルム14の表層の膜厚に応じて、非通紙部昇温抑制制御に関するサブサーミスタ62s1,62s2の検知温度に対する閾値温度Tthを補正する。
S106で判定した定着装置の状態に応じて閾値温度Tthを補正する方法について説明する。本実施例では、S106の中で判定した膜厚Dが小さいほど(定着フィルム14の表層が薄くなるほど)閾値温度Tthが低くなるように、温度補正量ΔTを以下の式4で算出する。
式4: ΔT=ktd×(D-14)
式4において、ktdは係数であり、本実施例の構成においてはktd=0.5[℃/μm]とする。閾値温度Tthは、閾値温度Tthの基準値(基準閾値温度とする)と、温度補正量ΔTの和である。
本実施例において、基準閾値温度は238℃である。よって、定着フィルム14の表層の膜厚14μmにおける閾値温度Tthは238℃、表層の膜厚10μmにおける閾値温度Tthは236℃、表層の膜厚6μmにおける閾値温度Tthは234℃、表層の膜厚2μmにおける閾値温度Tthは232℃となる。
図12(b)にサブサーミスタ62s1,62s2の検知温度及び加圧ローラ15の表面温度と、本実施例における定着装置の使用可能温度との関係を示す。図に示すように、定着フィルム14の表層の膜厚Dに応じて非通紙部昇温抑制制御の閾値温度Tthを変更することで、膜厚Dが薄くなるほど閾値温度Tthが低くなることが分かる。
上述したように、サブサーミスタ62s1,62s2の検知温度が閾値温度Tth以上になると、非通紙部昇温抑制制御(スループットダウン)が開始される。非通紙部昇温抑制制御の開始後も加圧ローラ15の表面温度は若干上昇するが(制御マージン領域)、非通紙部昇温の弊害が顕在化する温度(使用不可温度、本実施例では200℃以上)に到達することは避けられる。
(本実施例のまとめ)
本実施例では、定着フィルム14の膜厚Dが薄くなる程、非通紙部昇温抑制制御の閾値温度Tthが低くなるように制御される。前記制御手段は、前記定着部材の厚みが第1の厚さである場合の前記閾値温度の値に比べ、前記定着部材の厚みが前記第1の厚さより薄い第2の厚さである場合の前記閾値温度の値が低くなるように、前記閾値温度を変更する。これにより、簡易な構成で、定着条件の一例である閾値温度を定着部材の摩耗に応じて変更することができ、画像形成装置1の性能を向上させることができる。
本実施例においては、立上げ温度カーブから定着装置13の状態(定着フィルム14の膜厚)を判断し、その結果に基づいて非通紙部昇温抑制制御の閾値温度Tthの補正を行う。つまり、前記制御手段は、前記第2の温度検知部の検知信号によって検出した前記加熱部材の温度が閾値温度を超えた場合に前記加熱部材の端部の昇温を抑制する制御を実行するように構成される。また、前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力と、前記記録材が前記定着装置に到達する前の所定期間に亘って所定の通電率で前記加熱部材に通電した場合に、前記所定期間内の所定タイミングで前記第1の温度検知部によって検出した前記加熱部材の検出温度と、に応じて、前記閾値温度を変更するように構成されている。
これにより、加圧ローラ15の表面温度を所定の許容温度以下で維持し、非通紙部昇温の弊害の発生を抑制することができる。したがって、本実施例によっても、簡易な構成で、定着部材の摩耗に適切に対応可能な画像形成装置を提供することができる。
前述の式2から分かるように、ヒータ60の消費電力Pwが同じであれば、判定期間Per1内(所定期間内)の所定タイミング(t1e)におけるヒータ60の温度(Th1e)が低い方が、膜厚Dがより薄いと判定され、閾値温度Tthは低く設定される。つまり、前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力が同じである場合において、前記加熱部材の検出温度が第1の値であるときは、前記閾値温度を第1の温度に設定する。また、前記制御手段は、前記加熱部材の検出温度が前記第1の値より低い第2の値であるときは、前記閾値温度を前記第1の温度より低い第2の温度に設定する。
これにより、膜厚Dの違いに応じた定着フィルム14の伝熱性の変化を利用して膜厚Dを適切に判定し、ホットオフセットの発生を効果的に低減することができる。
また、式2から分かるように、判定期間Per1内(所定期間内)の所定タイミング(t1e)におけるヒータ60の温度(Th1e)が同じであれば、ヒータ60の消費電力Pwが低い方が、膜厚Dがより薄いと判定され、閾値温度Tthは低く設定される。つまり、前記制御手段は、前記加熱部材の検出温度が同じである場合において、前記加熱部材の消費電力が第1の電力であるときは、前記閾値温度を第1の温度に設定する。また、前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力が前記第1の電力より小さい第2の電力であるときは、前記閾値温度を前記第1の温度より低い第2の温度に設定する。
これにより、電源電圧の違い等によって定着立上げシーケンスにおけるヒータ60の発熱量が異なる場合であっても、膜厚Dを適切に判定し、ホットオフセットの発生を効果的に低減することができる。
本実施例では、期間Per2での温度上昇値が同じであれば、期間Per2の終了時から判定期間Per1の終了時までの温度上昇値が低い方が膜厚Dが薄いと判定され、閾値温度Tthは低く設定される。また、期間Per2の終了時から判定期間Per1の終了時までの温度上昇値が同じであれば、期間Per2での温度上昇値が高い方が膜厚Dが薄いと判定され、閾値温度Tthは低く設定される。言い換えると、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が第2の値であるときの前記閾値温度を第1の閾値温度値とする。前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第3の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が前記第2の値であるときの前記閾値温度を第2の閾値温度値とする。前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第2の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が前記第2の値よりも低い第4の値であるときの前記閾値温度を第3の閾値温度値とする。このとき、前記制御手段は、前記第1の閾値温度値よりも前記第2の閾値温度値が低く、且つ前記第1の閾値温度値よりも前記第3の閾値温度値が低くなるように、前記閾値温度を変更する。これにより、ヒータ60の消費電力の違いを加味しつつ、定着フィルム14の摩耗度合いに応じた適切な定着温度を設定することができる。
ところで、本実施例は、実施例1と同様に、電源電圧の違いに応じて膜厚Dを適切に判定するように構成されている。つまり、前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力と、前記記録材が前記定着装置に到達する前の所定期間に亘って所定の通電率で前記加熱部材に通電した場合に、前記所定期間内の所定タイミングで前記第1の温度検知部によって検出した前記加熱部材の検出温度と、に応じて、前記閾値温度を変更するように構成されている、と言える。
これにより、電源電圧の違いによって定着立上げシーケンスにおけるヒータ60の発熱量が異なる場合であっても、膜厚Dを適切に判定し、非通紙部昇温による弊害の発生を効果的に低減することができる。
なお、本実施例では加圧ローラ15の表面温度を基準に非通紙部昇温抑制制御を行うが、定着フィルム14又は他の部材の表面温度を基準としてもよい。
また、S303の非通紙部昇温抑制制御としては、記録材の搬送速度を維持しつつ搬送間隔を広げてスループットを低下させる方法に限らず、通常の搬送速度230mm/secから搬送速度を低下させる(例えば115mm/sec)ようにしてもよい。これにより、非通紙領域の加圧ローラ15の昇温が低減されるため、非通紙部昇温による弊害の発生を低減することができる。
本実施例で説明した、定着フィルム14の表層の膜厚の判定結果に応じた非通紙部昇温抑制制御の閾値温度Tthの変更は、実施例1、2で説明した定着フィルム14の表層の膜厚の判定結果に応じた定着温度の変更と、同時に実施可能である。
《実施例4》
続いて、実施例4を説明する。実施例4では、定着装置の消費電力の判定結果に応じて、ジョブにおける1枚目の記録材の給送を許可する温度閾値である給送許可温度を補正する。画像形成装置の構成及び定着装置の基本的な構成及び動作は、実施例1と同様である。以下、実施例1と共通の参照符号を付した要素は、特に断らない限り実施例1で説明したものと実質的に同じ構成及び作用を有するものとし、実施例1と異なる部分を主に説明する。
(1)給送許可温度の補正フロー
図13のフローチャートを用いて、実施例4における給送許可温度について説明する。画像形成装置1にプリント信号が入力されると、制御部40は、定着立上げシーケンスS800を開始する。
定着立上げシーケンスS800では、まず、制御部40は定着立上げシーケンスにおける制御目標温度を設定する(S801)。制御目標温度(立上げ温度)の設定方法は、実施例1(S101)と同様である。制御目標温度の設定(S801)が終わると、加圧ローラ15の回転駆動が開始されるのと同時に、ヒータ60への電力供給が開始され(S802)、定着装置13が暖まり始める。
ヒータ60への給電開始から所定時間が経過した後に(S803)、制御部40は定着装置の消費電力判定を行う(S900)。本実施例において、S803の所定時間は1.5秒に設定した。
その後、制御部40は予め設定されてROM41aに格納されている給送許可温度の基準値を読み出す。制御部40は、この基準値に対して定着装置の消費電力判定S900の結果に応じた給送許可温度を設定する(S804)。定着装置の消費電力に応じた給送許可温度の設定の詳細については後述する。
サーミスタ62の検知温度が給送許可温度以上になる(S805)と、給送トレイ21から1枚目の記録材Pの搬送が開始され(S806)、定着立上げシーケンスS800を終了する。
(2)定着装置の消費電力判定
図14のフローチャートを用いて定着装置の消費電力判定S900について説明する。定着装置の消費電力とは、交流電源30から給電した際に、定着装置13におけるヒータ60で消費される電力(加熱部材の消費電力)である。
定着装置の消費電力判定S900は、ヒータ60への電力供給を開始してから所定時間後の区間(以後、判定期間Per1と称する)の立上げ温度カーブ情報から計算を行う。本実施例では、ヒータ60での電力供給を開始してから1.4秒後までの区間を判定期間Per1とする。
定着装置の消費電力判定S900では、まず、制御部40はヒータ60への電力供給を開始してから、判定期間Per1の通電Dutyが所定の値だったかを判断する(S901)。本実施例では、通電Dutyが100%だったかどうかを判断している。電力供給の開始から期間Per1終了までの通電Dutyが100%であった場合は、消費電力の計算を行う(S902)。
ただし、極端に交流電源30の電圧が高い場合、もしくは定着装置13の予熱温度が高い場合には、判定期間Per1が終了する前に制御目標温度に到達し、通電Dutyが100%より低くなる場合がある。その場合は、S901の条件分岐によって消費電力の計算(S902)を行わず、前回ジョブ実行時の消費電力の判定結果を読み込む(S903)。
次に、消費電力の計算(S902)の方法について、図15(a、b)を用いて詳細を説明する。図15(a)は、定着立上げシーケンスS800における、サーミスタ62の検知温度の時間推移(以降、立上げ温度カーブと称する)を示したものであり、ヒータ60の通電開始時を0秒としている。また、図15(b)は図15(a)の立上げ温度カーブに対応する通電Dutyである。
図15(a)の実線は、定着装置13が常温(室温、例えば23℃)の状態である画像形成装置1を120Vの交流電源30に接続した際の立上げ温度カーブである。また、破線は、同じ定着装置13を用いて画像形成装置1を100Vの交流電源30に接続した際の立上げ温度カーブである。
また、比較のため、定着装置13を常温よりも15℃高い状態(予熱ありの状態)から立ち上げた際の温度カーブを示す。図15(a)の一点鎖線は、定着装置13が常温よりも15℃高い状態の画像形成装置1を120Vの交流電源30に接続した際の立上げ温度カーブである。また、二点鎖線は、同じ定着装置13を用いて画像形成装置1を100Vの交流電源30に接続した際の立上げ温度カーブである。
図15(a)で示したように、定着装置13の状態(予熱の有無)が同じ場合、交流電源30の電圧が高いほど立上げ温度カーブの温度は高くなる。これは、電圧が高いほどヒータ60の発熱抵抗層で消費される電力が多くなり、発熱量が増えるためである。
また、直前のプリント動作の有無等により定着装置13の予熱状態が変化した場合にも、立上げ温度カーブは変化する。図15(a)に示したように、定着装置13が予め温まった状態では、立上げ温度カーブの傾きは小さくなる。これは、常温に比べて外気との温度差が大きいことで、放熱量が増加するからである。定着装置の予熱状態は、ヒータ60への電力供給を開始する前の温度から検出することができる。
本実施例の消費電力の計算(S902)では、ヒータ60の発熱抵抗層で消費される電力Pw[W]を、立上げ温度カーブにおける3つの温度Th2e、Th2s、Th3sを用いて、下記の式5に従い推定している。
式5:Pw=k×Th2e+k×Th2s+k×Th3s+k10
式5において、Th2eは期間Per2の終了タイミング(t2e)におけるサーミスタ62の検知温度である。Th2sは期間Per2の開始タイミング(t2s)におけるサーミスタ62の検知温度である。Th3sは期間Per3の開始タイミング(t3s)におけるサーミスタ62の検知温度である。本実施例では期間Per2は、ヒータ60への電力供給開始から0.8秒後から開始し、1.3秒後に終了する。また、期間Per3は電力供給開始の0.5秒前から開始し、電力供給開始時に終了する。k、k、k、k10は係数および定数項であり、k=16.20[W/℃]、k=-6.628[W/℃]、k=-0.6134[W/℃]、k10=-1.980[W]としている。
温度Th2sは、定着装置13の立上げ処理(定着立上げシーケンス)において加熱部材を加熱している期間中の第1タイミング(t2s)における加熱部材の温度である第1温度の例である。温度Th2eは、前記期間中で且つ前記第1タイミングよりも後の第2タイミング(t2e)における加熱部材の温度である第2温度の例である。温度Th3sは、前記第1タイミング及び前記第2タイミングとは異なるタイミング(t3s)における前記加熱部材の温度である第3温度の例である。
実施例4及び後述の実施例5、6では、第3温度として、定着装置13の立上げ処理により加熱部材の加熱を開始する前(期間Per3)の第4タイミング(t3s)における加熱部材の温度を用いる。これにより、定着装置13の予熱状態を加味した消費電力の判定が可能となる。また、本実施例において、前記制御手段は、前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて、前記加熱部材の消費電力を判定し、前記消費電力の判定結果に基づいて前記ジョブ中の定着条件を変更する。これにより、消費電力に応じてより適切な定着条件を設定することができる。
消費電力Pwの判定精度を高めるためには、消費電力Pwの差による立上げ温度カーブの変化が大きいところで判定を行うことが望ましい。従って、期間Per2は、立上げ温度カーブの傾きが最大となる区間を含むように設定することが望ましい。また、期間Per3は、定着装置13の予熱状態を判定できればよいため、例えば、給電開始の0.1秒後から0.3秒後のように、サーミスタ62の検知温度がほぼ給電前と同じになる区間としてもよい。また、検知温度のバラつきを抑えるために、例えばTh3sを給電前0.1秒から給電後0.1秒の時間区間における平均値としてもよい。
(3)給送許可温度の補正
続いて、定着装置の消費電力判定(S900)の結果に応じて、給送許可温度を補正する方法について図16(a、b)を用いて説明する。図16(a)の実線は、ヒータ60の消費電力Pwが1100Wだった際の立上げ温度カーブである。また図16(b)の破線は、同じ定着装置13を用いて、交流電源30を変更することで、消費電力Pwを900Wに設定した際の立上げ温度カーブである。消費電力Pwが低いほど、発熱量は減少し、立上げ温度カーブは低くなる。また、記録材Pが給送トレイ21から給送され、定着装置13に突入するまでの時間T1は搬送速度によって決定され、交流電源30やヒータ60の抵抗によらない。
本実施例においてはヒータ60の温度が200℃の時に記録材Pを定着装置13へ突入させることで良好な定着性が得られる。消費電力Pwが基準値である1100Wの場合、給送許可温度を基準値である160℃に設定する。この場合、サーミスタ62の検知温度が給送許可温度に達したことに基づいて給送トレイ21から1枚目の記録材Pの搬送を開始した場合に、1枚目の記録材Pが定着装置13に突入する時のヒータ60の温度が狙いとなる200℃に到達する。一方、消費電力が900Wである場合、給送許可温度を160℃に設定すると、1枚目の記録材Pが定着装置13に突入する時のヒータ60の温度が200℃未満となって定着不良が発生する場合がある。
そこで、本実施例では、定着装置の消費電力判定(S900)で判定した消費電力Pwが小さいほど給送許可温度が高くなるように、下記の式6に従って給送許可温度Tfdを設定する(S804)。
式6:Tfd=Tfd_0+kth×(Pw-1100)
式6において、kthは係数であり、本実施例においてはkth=-0.05[℃/W]とする。また、Tfd_0は給送許可温度の基準値であり、本実施例においてはTfd_0=160[℃]とする。
本実施例について、定着立上げシーケンスにおける給送許可温度を実験的に強制指定し、1枚目の定着不良の発生有無を確認した結果を図17に示す。実験は常温(室温)である温度23℃の環境において行った。画像不良の発生がなかった場合は丸印、熱が不足し定着不良が発生した場合は黒三角印で表現している。
本実施例の給送許可温度の基準値は160℃と設定されており、式6に従って消費電力Pwに応じた補正を加えた給送許可温度は、ヒータ60の消費電力Pwが1100[W]のときに160℃、900[W]のときに170℃である。図17からわかるように、消費電力Pwに応じて給送許可温度を設定することで、消費電力Pwが1100[W]の場合及び900[W]の場合のいずれにおいても、1枚目の記録材Pにおいて定着不良は発生しなかった。
なお、消費電力Pwの値に関わらず給送許可温度を170℃に設定した場合、定着不良は発生しないものの、消費電力Pwが1100[W]の場合に本実施例に比べて1枚目の記録材Pの給送開始が遅れる。したがって、本実施例によれば、良好な定着性を得ながら、プリントジョブにおける1枚目の画像が出力されるまでの待ち時間(First Print-Out Time:FPOT)を短縮することができる。
(本実施例のまとめ)
以上説明したように、立上げ温度カーブからヒータ60の消費電力Pwを判定し、その結果から給送許可温度の補正を行うことで、消費電力Pwのバラつきに関わらず、1枚目の記録材Pについて良好な定着性を得ることができる。また、本実施例によれば、1枚目の記録材Pについての良好な定着性とFPOTの短縮の両立を図ることができる。
本実施例では、ヒータ60の消費電力Pwが小さいほど、1枚目の記録材Pの給送開始は遅いタイミングに設定される。つまり、前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力が第1の電力値である場合に、前記ジョブにおける1枚目の記録材の給送が開始されるタイミングに比べて、前記消費電力が第1の電力値より少ない第2の電力値である場合に、前記ジョブにおける1枚目の記録材の給送が開始されるタイミングが遅くなるように、記録材の給送を制御する。これにより、簡易な構成で、消費電力Pwに応じて、定着条件の一例としての給送タイミングをより適切に設定することができ、画像形成装置1の性能を高めることができる。
式5、式6から分かるように、本実施例では、定着立上げシーケンス開始前の温度Th3sが同じであれば、期間Per2での温度上昇値が低い方が消費電力Pwは小さいと判定され、給送許可温度は高く設定される。また、期間Per2での温度上昇量が同じであれば、定着立上げシーケンス開始前の温度Th3sが高い方が消費電力Pwは小さいと判定され、給送許可温度は高く設定される。言い換えると、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり、且つ前記第3温度が第1の温度値である場合の前記給送許可温度の値を第1の給送許可温度値とする。前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第2の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値である場合の前記給送許可温度の値を第2の給送許可温度値とする。前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値よりも高い第2の温度値であるときの前記給送許可温度の値を第3の給送許可温度値とする。このとき、前記制御手段は、前記第1の給送許可温度値よりも前記第2の給送許可温度値が高く、且つ前記第1の給送許可温度値よりも前記第3の給送許可温度値が高くなるように、前記給送許可温度を変更する。これにより、前記第1温度、前記第2温度、及び前記第3温度に基づいて給送許可温度をより適切な値に設定することができ、画像形成装置1の性能を高めることができる。
(実施例4の変形例)
なお、本実施例では消費電力Pwに応じて給送許可温度の設定値を変更したが、変形例として、消費電力Pwが低いほど、プリントジョブにおける1枚目の記録材Pの給送を開始する時間を遅くするように給送開始タイミングの設定値を変更してもよい。つまり、前記制御手段は、前記立上げ処理を開始した後、前記加熱部材の加熱開始から所定の待機時間が経過したことに基づいて、前記ジョブにおける1枚目の記録材の給送開始を許可するように構成されてもよい。この場合、消費電力Pwが小さいほど待機時間を長く設定することで、本実施例と同様の利点が得られる。
さらに他の変形例として、サーミスタ62の検知温度が予め設定された給送許可温度に到達してから1枚目の記録材Pの給送を開始するまでの間に、消費電力Pwが低いほど長くなるように設定された遅延時間を設けてもよい。
(実施例4の他の変形例)
また、実施例4では、定着立上げシーケンスによるヒータ60の加熱開始前の温度と立上げ温度カーブの情報とを使用して消費電力Pwを推定する方法を例示した。変形例として、定着装置13を製造する際の情報を用いることで、各部材の寸法や特性値のバラつきを加味することができる。本変形例では、定着装置13を製造する際に、予め定められた消費電力で給電を行った際の立上げ温度カーブを記憶し、式5の推定式を調整することで、各部材の寸法や特性値のバラつきによらず、消費電力Pwをより高い精度で推定することができる。本実施例では、定着装置13を製造する際に、消費電力を基準値に設定した状態で立上げ温度カーブを予め測定し、その情報を装置に記憶させる。
具体的に、定着装置13を製造する際に、ヒータ60の消費電力Pwが基準値である1100Wになる条件で立上げ温度カーブを測定し、前述の温度Th2s、Th2e、Th3sに相当する基準温度Th2s_s、Th2e_s、Th3s_sを取得する。そして、基準温度Th2s_s、Th2e_s、Th3s_sの情報を、ROM41a等の記憶部に予め格納する。
そして、定着装置13の製造後、制御部40は定着立上げシーケンスS800を実行した際に取得した温度Th2s、Th2e、Th3sと、基準温度Th2s_s、Th2e_s、Th3s_sとの比を用いて、式7のように消費電力Pwを推定する。
式7:Pw=k11×Th2e/Th2e_s+k12×Th2s/Th2s_s
+k13×Th3s/Th3s_s+k14
式7において、Th2e_sは消費電力を基準値に設定した場合の期間Per2の終了タイミングにおけるサーミスタ62の検知温度である。Th2s_sは消費電力を基準値に設定した場合の期間Per2の開始タイミングにおけるサーミスタ62の検知温度である。Th3s_sは消費電力を基準値に設定した場合の期間Per3の開始タイミングにおけるサーミスタ62の検知温度である。本実施例では期間Per2は、ヒータ60への電力供給を開始してから0.8秒後から開始し、1.3秒後に終了する。また、期間Per3は電力供給開始の0.5秒前から開始し、電力供給開始時に終了する。k11、k12、k13は係数、k14は定数項である。例えば、k11=2430[W/℃]、k12=-994.0[W/℃]、k13=-92.00[W/℃]、k14=-297.0[W]とする。
他の変形例として、定着装置13の製造時に取得した基準温度Th2s_s、Th2e_s、Th3s_sと、定着装置13の製造後の定着立上げシーケンスS800で検知された温度Th2s、Th2e、Th3sとの差を用いてもよい。この場合、下の式8を用いて消費電力Pwを推定することができる。
式8:Pw=k15×(Th2e-Th2e_s)+k16×(Th2s-Th2s_s)+k17×(Th3s-Th3s_s)+k18
式8において、k15~k17は係数、k18は定数項である。この変形例によっても、各部材の寸法や特性値のバラつきによらず、消費電力Pwをより高い精度で推定することができる。
《実施例5》
続いて、実施例5を説明する。実施例5では、定着装置の消費電力の判定結果に応じて、連続プリント時のスループットを変更する。画像形成装置の構成及び定着装置の基本的な構成及び動作は、実施例1と同様である。以下、実施例1と共通の参照符号を付した要素は、特に断らない限り実施例1で説明したものと実質的に同じ構成及び作用を有するものとし、実施例1と異なる部分を主に説明する。
(1)連続プリント時の搬送間隔
図18のフローチャートを用いて実施例5におけるスループットの変更について説明する。画像形成装置1にプリント信号が入力されると、制御部40は、定着立上げシーケンスS1000を開始する。
定着立上げシーケンスS1000では、まず、制御部40は定着立上げシーケンスにおける制御目標温度を設定する(S1001)。制御目標温度(立上げ温度)の設定方法は、実施例1(S101)と同様である。制御目標温度の設定(S1001)が終わると、加圧ローラ15の回転駆動が開始されると共に、ヒータ60への電力供給が開始され(S1002)、定着装置13が暖まり始める。
ヒータ60への給電開始から所定時間が経過した後に(S1003)、定着装置の消費電力判定を行う(S900)。消費電力判定の方法は実施例4で説明したもの(図14)と同様である。本実施例において、S1003の所定時間は1.5秒に設定される。
その後、サーミスタ62の検知温度が、予め設定されてROM41aに保存されている給送許可温度に達すると(S1004)、給送トレイ21から1枚目の記録材Pの搬送が開始され(S1005)、定着立上げシーケンスS1000は終了する。
定着立上げシーケンスS1000の後に、スループット変更シーケンスS1100が開始される。スループット変更シーケンスS1100では、定着装置の消費電力の判定結果に応じてスループット(プリント生産性)を変更することで、定着装置13を定着動作に適した温度に維持するシーケンスである。スループットとは、単位時間(例えば1分)当たりに定着装置13が画像の定着を行う記録材Pの枚数である。
スループット変更シーケンスS1100では、まず、制御部40はROM41aに保存されている電力閾値を読み出し、消費電力判定(S900)で得た消費電力Pwを電力閾値と比較する(S1101)。本実施例では電力閾値を900Wに設定する。消費電力Pwが電力閾値未満の場合はS1102に移行し、スループットダウン制御を行う。スループットダウン制御は、連続プリント時のスループットを通常よりも低下させる処理である。
本実施例においてA4サイズの普通紙のスループット値は、通常、43枚/分に設定される。S1102のスループットダウン制御により、通紙間隔を延長することで、スループット値が30枚/分に低下される。通紙間隔とは、定着装置における記録材の通過間隔である。本実施例では、記録材Pの搬送速度は変えずに、給送トレイ21からの記録材Pの搬送を開始するタイミングの間隔を調整することで、スループットダウン制御を行う。通紙間隔を延長することによって、記録材Pが定着ニップF(図2)を通過していない時間が増加する。このとき、定着フィルム14への蓄熱量は増加するため、次の記録材Pが定着ニップFに到達するまでに、画像を記録材Pに定着させるのに適した熱量を確保しやすくなる。
その後、2枚目以降の記録材Pがある場合(S1103)は、所定の通紙間隔で給送トレイ21から次の記録材Pの搬送を行い(S1104)、すべての記録材Pの定着を終えるとスループット変更シーケンスS1100を終了する。
本実施例について、スループット値を実験的に強制指定し定着不良の発生有無を確認した結果を図19に示す。実験は温度23℃(室温、常温)の環境において行った。図19の表は、スループット値と消費電力Pwを変化させたときの定着不良の発生有無を示す。画像不良の発生がなかった場合は丸印、熱が不足し定着不良が発生した場合は黒三角印で表現している。
図19に示す通り、消費電力Pwが900Wのときに通常と同じ43枚/分のスループット値で連続プリント動作を実行させた場合、画像(記録材P上のトナー)に供給される熱が不足し定着不良が発生してしまった。これに対し、本実施例では、消費電力Pwの判定結果が900Wの場合は、消費電力Pwが閾値電力(1100W)未満であるためスループットダウン制御(S1102)が実行され、スループット値が30枚/分に変更される。これにより、通紙間隔が延長されるので、定着不良が生じにくくなる。
また、消費電力Pwに関わらずスループット値を30枚/分に設定した場合は、定着不良は発生しないものの、消費電力Pwが1100Wの場合に43枚/分のスループット値が可能であるにも関わらずスループット値を低く設定することになる。本実施例によれば、消費電力Pwが1100Wの場合にはスループット値を43枚/分に設定するので、定着不良の発生を回避しながらプリント生産性を向上させることができる。
(本実施例のまとめ)
以上説明したように、立上げ温度カーブからヒータ60の消費電力Pwを判定し、その結果からスループットの補正を行うことで、消費電力Pwのバラつきに関わらず、連続プリント時の良好な定着性を得ることができる。また、本実施例によれば、連続プリント時の良好な定着性とプリント生産性の両立を図ることができる。
本実施例では、ヒータ60の消費電力Pwが小さいほど、スループットの値は低く設定される。つまり、前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力が第1の電力値である場合の前記スループットの値に比べ、前記消費電力が第1の電力値より少ない第2の電力値である場合の前記スループットの値が小さくなるように、前記スループットを変更する。これにより、簡易な構成で、消費電力Pwに応じて、定着条件の一例としてのスループットをより適切に設定することができ、画像形成装置1の性能を高めることができる。
式5、式6から分かるように、本実施例では、定着立上げシーケンス開始前の温度Th3sが同じであれば、期間Per2での温度上昇値が低い方が消費電力Pwは小さいと判定され、スループットの値は低く設定される。また、期間Per2での温度上昇量が同じであれば、定着立上げシーケンス開始前の温度Th3sが高い方が消費電力Pwは小さいと判定され、スループットの値は低く設定される。言い換えると、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり、且つ前記第3温度が第1の温度値である場合の前記スループットの値を第1のスループット値とする。前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第2の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値である場合の前記スループットの値を第2のスループット値とする。前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値よりも高い第2の温度値であるときの前記スループットの値を第3のスループット値とする。このとき、前記制御手段は、前記第1のスループット値よりも前記第2のスループット値が小さく、且つ前記第1のスループット値よりも前記第3のスループット値が小さくなるように、前記スループットを変更する。これにより、前記第1温度、前記第2温度、及び前記第3温度に基づいてスループットをより適切な値に設定することができ、画像形成装置1の性能を高めることができる。
なお、スループットダウン制御(S1102)として、本実施例では、記録材Pの通紙間隔(給送間隔)を延長する方法を例示した。これに代えて、スループットダウン制御(S1102)として、プリント動作における記録材Pの搬送速度(プロセス速度)を通常の搬送速度(例えば230mm/sec)よりも低い速度(例えば115mm/sec)に設定してもよい。この場合でも、記録材Pが定着ニップFを通過する時間が長くなって記録材P上のトナーに供給される熱量が多くなるため、定着不良が生じにくくなる。つまり、この変形例でも、実施例5と同様の利点を得ることができる。
《実施例6》
続いて、実施例6を説明する。実施例6では、定着装置の消費電力判定(S900)の結果に応じて、ヒータ60に供給する電力量(通電率)を補正する。画像形成装置の構成及び定着装置の基本的な構成及び動作は、実施例1と同様である。以下、実施例1と共通の参照符号を付した要素は、特に断らない限り実施例1で説明したものと実質的に同じ構成及び作用を有するものとし、実施例1と異なる部分を主に説明する。
(1)ヒータへの供給電力の補正フロー
図20のフローチャートを用いて本実施例におけるヒータ60への供給電力の補正について説明する。画像形成装置1にプリント信号が入力されると、制御部40は、定着立上げシーケンスS1200を開始する。
定着立上げシーケンスS1200では、まず、制御部40は定着立上げシーケンスにおける制御目標温度を設定する(S1201)。制御目標温度(立上げ温度)の設定方法は、実施例1(S101)と同様である。
制御目標温度の設定(S1201)が終わると、加圧ローラ15の回転駆動が開始されると共に、ヒータ60への電力供給が開始され(S1202)、定着装置13が暖まり始める。ヒータ60への給電開始から所定時間が経過した後に(S1203)、定着装置の消費電力判定を行う(S900)。消費電力判定の方法は実施例4で説明したもの(図14)と同様である。本実施例において、S1203の所定時間は1.5秒に設定されている。
その後、予め設定されてROM41aに保存されている通電Duty補正量の基準値を読み出す。本実施例では、供給電力補正量(通電Duty補正量)の基準値を1.00としている。
制御部40は、この基準値に対して、消費電力判定(S900)で判定した消費電力Pwに応じた補正を行う(S1204)。制御部40は、通紙時シーケンスにおいて、補正後の供給電力補正量(通電Duty補正量)を用いてヒータ60の通電率を制御する。通紙時シーケンスにおける通電率の制御については後述する。
その後、サーミスタ62の検知温度が給送許可温度に達すると(S1205)、給送トレイ21から1枚目の記録材Pの搬送が開始され(S1206)、定着立上げシーケンスS1200が終了する。
(2)定着装置の消費電力判定と通電Dutyの補正
図21を用いてヒータ60への供給電力の補正について説明する。実施例1で説明したように、定着装置13では、交流電源30に接続された制御部40からヒータ60の給電用電極に電力が供給されることにより、ヒータ60の発熱抵抗層が発熱する(図1、図2)。制御部40は、サーミスタ62から出力されたヒータ60の温度に関する情報に基づいて、制御部40に設けられた図示しないトライアックでヒータ60への通電率を制御することにより、ヒータ60の温度制御を行う。
本実施例における温度制御では、サーミスタ62が出力する現在温度と、目標温度(定着温度)との差分(温度偏差)を用いたPI制御により、ヒータ60への通電率を設定する。また、PI制御におけるP値とI値は、定着装置13の消費電力Pwが基準値である1100Wの場合に、温度制御が最も安定するように設定される。
図21(a)の実線は、定着装置13の消費電力Pwを1100Wに設定した時の温度カーブである。また、破線は、同じ定着装置13を用いて、交流電源30の電圧を変更することで、消費電力Pwを1300Wに設定した時の温度カーブ、一点鎖線は消費電力Pwを900Wに設定した時の温度カーブである。また、図21(b)は図21(a)の立上げ温度カーブに対応する通電Dutyである。
図21(a)の温度カーブを比較すると、消費電力Pwが基準値の1100Wよりも大きい場合には、温度カーブが目標温度よりも高いことがわかる。これは、通電Dutyの値が同じであった場合、消費電力Pwが基準値よりも高い場合は、消費電力Pwが基準値である場合に比べて、ヒータ60の発熱量が大きいためである。
本実施例では、S900の消費電力判定で判定した消費電力Pwが大きくなるほど投入電力比率が低くなるように、下記の式9に従って通電Duty補正量Bを決定する。
式9:B=Pw0/Pw
式9において、Pw0は消費電力Pwの基準値であり、本実施例では1100Wとする。PI制御によって計算された通電Dutyの値(温度偏差に基づく通電Dutyの基本値)をX[%]とする。本実施例では、式9で決定した補正量Bを用いて、式10のように補正した値Xの通電Dutyを用いてヒータ60の発熱制御を行う。
式10:X=X×B
消費電力Pwと通電Duty補正量Bを実験的に強制指定して連続プリントを行った際の、1~5枚目の記録材Pにおける定着不良の発生有無を確認した結果を図22に示す。実験は温度23度(室温、常温)の環境において行った。画像不良の発生がなかった場合は丸印、ホットオフセットが発生した場合は白三角印、熱が不足し定着不良が発生した場合は黒三角印で表現している。
本実施例を適用した場合、消費電力Pwと通電Duty補正量Bの対応関係は、Pw=900[W]のときにB=1.22、Pw=1100[W]のときにB=1.00、Pw=1300[W]のときにB=0.86である。図22からわかるように、本実施例を適用した場合は、消費電力Pwが変動しても画像不良の発生はなかった。
比較のため、消費電力Pwに応じた通電Dutyの補正を行わなかった場合を比較例として説明する。比較例では、定着立上げシーケンスにおける通電Duty補正量Bを、消費電力に関わらず1.00とした。この場合、図22に示したように、消費電力Pwが1300Wの場合には発熱体の温度が安定するのに時間がかかるため(図21(a)の破線)、1~5枚目の画像にホットオフセットまたは定着不良が発生するケースがあった。また、消費電力Pwが900Wの場合には熱が不足するため、画像不良が発生してしまうことがあった。他の比較例として、定着立上げシーケンスにおける通電Duty補正量Bを消費電力に関わらず0.86又は1.22とした場合でも、ホットオフセット又は定着不良が発生した。
(本実施例のまとめ)
このように、本実施例では、立上げ温度カーブから定着装置13の消費電力Pwを判定し、その結果に基づいて通電Dutyに補正を行うことで、消費電力Pwのバラつきに関わらず、安定した温度制御を行うことができ、良好な定着性が得られる。
本実施例では、定着温度Tc2とサーミスタ62の検知温度の差が同じである場合、消費電力判定で判定された消費電力Pwが小さいほど補正後の通電率のXが大きくなるように、通電Duty補正量Bが設定される。つまり、前記制御手段は、前記温度偏差が同じである場合において、前記消費電力が第1の電力値であるときの前記通電率の値に比べ、前記消費電力が前記第1の電力値より少ない第2の電力値であるときの前記通電率の値が高くなるように、前記通電率の補正値を変更する。これにより、簡易な構成で、消費電力Pwに応じて、定着条件の一例としての通電率の補正値をより適切に設定することができ、画像形成装置1の性能を高めることができる。
式5、式6から分かるように、本実施例では、定着立上げシーケンス開始前の温度Th3sが同じであれば、期間Per2での温度上昇値が低い方が消費電力Pwは小さいと判定され、通電Duty補正量Bは高く設定される。また、期間Per2での温度上昇量が同じであれば、定着立上げシーケンス開始前の温度Th3sが高い方が消費電力Pwは小さいと判定され、通電Duty補正量Bは高く設定される。言い換えると、前記温度偏差が第1の温度偏差値であり、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり、且つ前記第3温度が第1の温度値である場合の前記通電率の値を第1の通電率値とする。前記温度偏差が第1の温度偏差値であり、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第2の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値である場合の前記通電率の値を第2の通電率値とする。前記温度偏差が第1の温度偏差値であり、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値よりも高い第2の温度値であるときの前記通電率の値を第3の通電率値とする。このとき、前記制御手段は、前記第1の通電率値よりも前記第2の通電率値が高く、且つ前記第1の通電率値よりも前記第3の通電率値が高くなるように、前記補正値を変更する。これにより、前記第1温度、前記第2温度、及び前記第3温度に基づいて通電率をより適切に設定することができ、画像形成装置1の性能を高めることができる。
《その他の実施例》
上述した各実施例では、立上げ温度カーブの情報を用いて消費電力判定S302を行ったが、ヒータ60に流れる電力を検知する回路を設置し、消費電力Pwを直接求めても構わない。また、ヒータ60に流れる電流を検知する回路を設置し、ヒータ60の発熱抵抗層の抵抗値を予め測定しておくことで、抵抗値と電流の関係から消費電力Pwを計算しても構わない。
また、消費電力Pwを求めることなくフィルム厚み判定S303を行っても良い。その場合、例えば、式1を式2に代入し展開した下記式11を使うことで、フィルム厚み判定S303を行うことができる。
式11:D=k×(Th2e-Th2s)+k×(Th1e-Th2e)+k
ここで、k=k×k、k=k+k×kである。
また、実施例1では、S301の通電Dutyが所定値(所定の通電率)であったかの判断において、判定期間Per1の通電Dutyが100%であったか否かを判断する。この場合において、判定期間Per1中の立上げ温度カーブに影響を与えない範囲であれば、通電Dutyに多少のばらつきを許容することができる。例えば、実施例1の構成においては、判定期間Per1の2.4秒間における通電Dutyの平均値が99.8%から100%であり、かつ、判定期間Per1中の通電Dutyの0.3秒間の移動平均が98.5%から100%であればよい。この場合、立上げ温度カーブはほとんど変化しないため、許容することができる。同様に、実施例2においても立上げ温度カーブに影響を与えない範囲であれば、S301の通電Dutyの判断に対して多少のばらつきを許容することができる。
また、通電Dutyのばらつきが無いようにしたうえで、S301の判断を行わない構成を採用しても構わない。例えば、立上げ温度Tc1に対してヒータ60の温度を近づけるように通電Dutyを調整する制御の代わりに、図9(a)に示すように判定期間Per1中の通電Dutyを60%の固定値とする構成にしても構わない。また、例えば、図9(b)に示すように判定期間Per1の中で期間Per2が終了するまでは通電Dutyを100%の固定値とし、その後の通電Dutyを50%の固定値とする構成にしても構わない。
また、実施例中では、立上げ温度カーブの情報のみを使用して消費電力Pwの推定を行う構成(式1)や膜厚Dの推定を行う構成(式2)を示したが、その他の情報(以後、情報Aと称する)が立上げ温度カーブの形状に影響を与える場合もある。その場合、情報Aに応じて、適宜、推定式を調整することができる。情報Aとしては、例えば、画像形成装置1の設置場所の温度情報(環境温度)や、定着立上げシーケンスS100開始時における定着装置13の予熱状態などを利用することができる。
また、例えば、加圧ローラ15の表面の硬度や、ヒータ60の電気抵抗特性といった定着装置13の各部材の寸法や特性値の製造ばらつき(製造公差)が立上げ温度カーブの形状に影響を与える場合がある。その場合、定着装置13を製造する際に、これら各部材の寸法や特性値の製造ばらつきを測定しておき、CPU41が読取可能なデータとしてROM41aその他の記憶媒体に記憶させておくことで、上記情報Aとして利用することができる。各種製造ばらつきを組み合わせた定着装置13の総合的な熱伝達特性を情報Aとして利用しても良い。
推定式の調整は、例えば、式1や式2に対し、kからkの係数および定数項をそれぞれ複数用意しておき、情報Aの値に応じてそれらの係数および定数項を変更することで実施できる。
また、例えば、情報Aに係数k、k10を掛けた項を式1や式2にそれぞれ追加した式1’、式2’を用いることで、ヒータ60の消費電力Pw[W]や、定着フィルム14の表層の膜厚D[μm]を推定するようにしても良い。
式1’:Pw=k×(Th2e-Th2s)+k+k×A
式2’:D=k×Pw+k×(Th1e-Th2e)+k+k10×A
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、定着部材として無端状のフィルム部材を用いるフィルム加熱方式の定着装置を備えた構成について説明した。定着装置はこれに限らず、例えば定着部材は複数のローラに張架された無端状の部材(定着ベルト)であってもよい。また、加熱部材は、例えば放射熱を発するハロゲンランプや、定着部材に設けられた導電層を電磁誘導により発熱させるコイル等の磁界発生手段であってもよい。
また、上述した実施形態では、定着部材の表層の膜厚の判定結果に応じて、定着時の目標温度(定着温度Tc2)又は非通紙部昇温抑制制御の閾値温度Tthを変更する構成を説明した。これに限らず、定着部材の表層の膜厚の判定結果に基づいてプリント動作の他の設定条件や画像形成装置の動作を変更するようにしてもよい。例えば、定着部材の表層の膜厚の判定結果に基づいて定着装置の残り寿命を予測し、残り寿命が閾値以下となった場合にユーザに対して定着装置の交換を促す報知等を行うようにしてもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
(本開示のまとめ)
本開示には、少なくとも以下の構成が含まれる。
(構成1)
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
回転する定着部材と、通電されることで前記定着部材を加熱する加熱部材と、前記加熱部材の温度に応じた検知信号を発する温度検知部と、を有し、前記定着部材で前記画像を前記記録材に定着させる定着装置と、
記録材に画像を形成するジョブが投入された場合に、1枚目の記録材が前記定着装置に搬送される前の期間に前記加熱部材を所定の目標温度まで加熱する立上げ処理を実行する制御手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記立上げ処理において前記加熱部材を加熱している期間中の第1タイミングにおける前記加熱部材の温度を第1温度とし、前記期間中で且つ前記第1タイミングよりも後の第2タイミングにおける第2温度とし、前記第1タイミング及び前記第2タイミングとは異なるタイミングにおける前記加熱部材の温度を第3温度とした場合に、
前記制御手段は、前記温度検知部によって検知した前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて、前記ジョブ中の定着条件を変更する、
ことを特徴とする画像形成装置。
(構成2)
前記第3温度は、前記立上げ処理において前記加熱部材を加熱している前記期間中かつ前記第2タイミングよりも後の第3タイミングにおける前記加熱部材の温度である、
ことを特徴とする構成1に記載の画像形成装置。
(構成3)
前記制御手段は、前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて前記定着部材の厚みを判定し、前記定着部材の厚みの判定結果に応じて前記ジョブ中の定着条件を変更する、
ことを特徴とする構成2に記載の画像形成装置。
(構成4)
前記制御手段は、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値を用いて前記加熱部材の消費電力を判定し、前記消費電力の判定結果と前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値とを用いて前記定着部材の厚みを判定する、
ことを特徴とする構成3に記載の画像形成装置。
(構成5)
前記制御手段は、前記立上げ処理における前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの期間において前記定着部材を回転させず、前記第2タイミングよりも後に前記定着部材の回転を開始させる、
ことを特徴とする構成4に記載の画像形成装置。
(構成6)
記録材に画像を定着させるときの前記加熱部材の目標温度を定着温度として、
前記制御手段は、前記定着部材の厚みが第1の厚さである場合の前記定着温度の値に比べ、前記定着部材の厚みが前記第1の厚さより薄い第2の厚さである場合の前記定着温度の値が低くなるように、前記定着温度を変更する、
ことを特徴とする構成2から5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成7)
記録材に画像を定着させるときの前記加熱部材の目標温度を定着温度として、
前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が第2の値であるときの前記定着温度を第1の定着温度値とし、
前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第3の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が前記第2の値であるときの前記定着温度を第2の定着温度値とし、
前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第2の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が前記第2の値よりも低い第4の値であるときの前記定着温度を第3の定着温度値とするとき、
前記制御手段は、前記第1の定着温度値よりも前記第2の定着温度値が低く、且つ前記第1の定着温度値よりも前記第3の定着温度値が低くなるように、前記定着温度を変更する、
ことを特徴とする構成6に記載の画像形成装置。
(構成8)
前記定着部材の回転軸線方向における前記加熱部材の端部領域の温度に応じた検知信号を発する第2の温度検知部をさらに備え、
前記制御手段は、前記第2の温度検知部の検知信号に基づいて、前記端部領域の温度が閾値温度を超えた場合に、前記端部領域の過昇温を抑制する制御を実行するように構成され、
前記制御手段は、前記定着部材の厚みが第1の厚さである場合の前記閾値温度の値に比べ、前記定着部材の厚みが前記第1の厚さより薄い第2の厚さである場合の前記閾値温度の値が低くなるように、前記閾値温度を変更する、
ことを特徴とする構成2から7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成9)
前記定着部材の回転軸線方向における前記加熱部材の端部領域の温度に応じた検知信号を発する第2の温度検知部をさらに備え、
前記制御手段は、前記第2の温度検知部の検知信号に基づいて、前記端部領域の温度が閾値温度を超えた場合に、前記端部領域の過昇温を抑制する制御を実行するように構成され、
前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が第2の値であるときの前記閾値温度を第1の閾値温度値とし、
前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第3の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が前記第2の値であるときの前記閾値温度を第2の閾値温度値とし、
前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第2の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が前記第2の値よりも低い第4の値であるときの前記閾値温度を第3の閾値温度値とするとき、
前記制御手段は、前記第1の閾値温度値よりも前記第2の閾値温度値が低く、且つ前記第1の閾値温度値よりも前記第3の閾値温度値が低くなるように、前記閾値温度を変更する、
ことを特徴とする構成8に記載の画像形成装置。
(構成10)
前記第3温度は、前記立上げ処理により前記加熱部材の加熱を開始する前の第4タイミングにおける前記加熱部材の温度である、
ことを特徴とする構成1に記載の画像形成装置。
(構成11)
前記制御手段は、前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて、前記加熱部材の消費電力を判定し、前記消費電力の判定結果に基づいて前記ジョブ中の定着条件を変更する、
ことを特徴とする構成10に記載の画像形成装置。
(構成12)
前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力が第1の電力値である場合に、前記ジョブにおける1枚目の記録材の給送が開始されるタイミングに比べて、前記消費電力が第1の電力値より少ない第2の電力値である場合に、前記ジョブにおける1枚目の記録材の給送が開始されるタイミングが遅くなるように、記録材の給送を制御する、
ことを特徴とする構成10又は11に記載の画像形成装置。
(構成13)
前記制御手段は、前記立上げ処理を開始した後、前記加熱部材の温度が給送許可温度に到達したことに基づいて、前記ジョブにおける1枚目の記録材の給送開始を許可するように構成される、
ことを特徴とする構成12に記載の画像形成装置。
(構成14)
前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり、且つ前記第3温度が第1の温度値である場合の前記給送許可温度の値を第1の給送許可温度値とし、
前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第2の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値である場合の前記給送許可温度の値を第2の給送許可温度値とし、
前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値よりも高い第2の温度値であるときの前記給送許可温度の値を第3の給送許可温度値とするとき、
前記制御手段は、前記第1の給送許可温度値よりも前記第2の給送許可温度値が高く、且つ前記第1の給送許可温度値よりも前記第3の給送許可温度値が高くなるように、前記給送許可温度を変更する、
ことを特徴とする構成13に記載の画像形成装置。
(構成15)
前記制御手段は、前記立上げ処理を開始した後、前記加熱部材の加熱開始から所定の待機時間が経過したことに基づいて、前記ジョブにおける1枚目の記録材の給送開始を許可するように構成される、
ことを特徴とする構成12に記載の画像形成装置。
(構成16)
前記画像形成装置が複数枚の記録材に対して連続的に画像を形成する場合において、単位時間当たりに画像を形成される記録材の枚数をスループットとして、
前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力が第1の電力値である場合の前記スループットの値に比べ、前記消費電力が第1の電力値より少ない第2の電力値である場合の前記スループットの値が小さくなるように、前記スループットを変更する、
ことを特徴とする構成10から15のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成17)
前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり、且つ前記第3温度が第1の温度値である場合の前記スループットの値を第1のスループット値とし、
前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第2の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値である場合の前記スループットの値を第2のスループット値とし、
前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値よりも高い第2の温度値であるときの前記スループットの値を第3のスループット値とするとき、
前記制御手段は、前記第1のスループット値よりも前記第2のスループット値が小さく、且つ前記第1のスループット値よりも前記第3のスループット値が小さくなるように、前記スループットを変更する、
ことを特徴とする構成16に記載の画像形成装置。
(構成18)
記録材に画像を定着させるときの前記加熱部材の目標温度を定着温度とし、単位時間当たりに前記加熱部材に通電する時間の割合を通電率とし、前記定着温度と前記温度検知部によって検知した前記加熱部材の温度との差を温度偏差とするとき、
前記制御手段は、前記温度偏差に基づく前記通電率の基本値と、前記基本値を補正する補正値とに基づいて、前記通電率の値を決定し、
前記制御手段は、前記温度偏差が同じである場合において、前記加熱部材の消費電力が第1の電力値であるときの前記通電率の値に比べ、前記消費電力が前記第1の電力値より少ない第2の電力値であるときの前記通電率の値が高くなるように、前記補正値を変更する、
ことを特徴とする構成10から17のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成19)
前記温度偏差が第1の温度偏差値であり、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり、且つ前記第3温度が第1の温度値である場合の前記通電率の値を第1の通電率値とし、
前記温度偏差が第1の温度偏差値であり、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第2の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値である場合の前記通電率の値を第2の通電率値とし、
前記温度偏差が第1の温度偏差値であり、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値よりも高い第2の温度値であるときの前記通電率の値を第3の通電率値とするとき、
前記制御手段は、前記第1の通電率値よりも前記第2の通電率値が高く、且つ前記第1の通電率値よりも前記第3の通電率値が高くなるように、前記補正値を変更する、
ことを特徴とする構成18に記載の画像形成装置。
(構成20)
前記第1タイミング及び前記第2タイミングは、前記加熱部材の温度が室温である状態から前記立上げ処理を実行した場合に前記加熱部材の単位時間当たりの温度上昇値が最大となる期間を含むように、予め設定される、
ことを特徴とする構成1から19のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成21)
前記制御手段は、
今回のジョブにおける前記立上げ処理中の所定期間に亘って前記加熱部材の通電率が前記所定の値である場合は、前記立上げ処理において検出された前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて前記今回のジョブにおける前記定着条件を設定し、
前記所定期間の少なくとも一部において前記加熱部材の通電率が前記所定の値でない場合は、記憶部に格納されている設定値を用いて今回のジョブにおける前記定着条件を設定する、
ことを特徴とする構成1から20のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成22)
前記定着部材は、筒状のフィルムであり、
前記加熱部材は、通電により発熱する抵抗発熱体を有し、前記フィルムの内部空間に配置され、
前記定着装置は、前記フィルムを挟んで前記加熱部材と対向するように配置され且つ前記フィルムとの間にニップ部を形成する加圧ローラを更に有し、前記ニップ部で記録材を挟持して搬送しながら、前記加熱部材からの熱伝導で加熱された前記フィルムによって画像を加熱する、
ことを特徴とする構成1から21のいずれか1つに記載の画像形成装置。
1A…画像形成手段(画像形成部)/13…定着装置/14…定着部材(定着フィルム)/40…制御手段(制御部)/60…加熱部材(ヒータ)/62…温度検知部(サーミスタ)/62m…第1の温度検知部(メインサーミスタ)/62s1,62s2…第2の温度検知部(サブサーミスタ)

Claims (22)

  1. 記録材に画像を形成する画像形成手段と、
    回転する定着部材と、通電されることで前記定着部材を加熱する加熱部材と、前記加熱部材の温度に応じた検知信号を発する温度検知部と、を有し、前記定着部材で前記画像を前記記録材に定着させる定着装置と、
    記録材に画像を形成するジョブが投入された場合に、1枚目の記録材が前記定着装置に搬送される前の期間に前記加熱部材を所定の目標温度まで加熱する立上げ処理を実行する制御手段と、
    を備えた画像形成装置であって、
    前記立上げ処理において前記加熱部材を加熱している期間中の第1タイミングにおける前記加熱部材の温度を第1温度とし、前記期間中で且つ前記第1タイミングよりも後の第2タイミングにおける第2温度とし、前記第1タイミング及び前記第2タイミングとは異なるタイミングにおける前記加熱部材の温度を第3温度とした場合に、
    前記制御手段は、前記温度検知部によって検知した前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて、前記ジョブ中の定着条件を変更する、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記第3温度は、前記立上げ処理において前記加熱部材を加熱している前記期間中かつ前記第2タイミングよりも後の第3タイミングにおける前記加熱部材の温度である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて前記定着部材の厚みを判定し、前記定着部材の厚みの判定結果に応じて前記ジョブ中の定着条件を変更する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御手段は、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値を用いて前記加熱部材の消費電力を判定し、前記消費電力の判定結果と前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値とを用いて前記定着部材の厚みを判定する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御手段は、前記立上げ処理における前記第1タイミングから前記第2タイミングまでの期間において前記定着部材を回転させず、前記第2タイミングよりも後に前記定着部材の回転を開始させる、
    ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 記録材に画像を定着させるときの前記加熱部材の目標温度を定着温度として、
    前記制御手段は、前記定着部材の厚みが第1の厚さである場合の前記定着温度の値に比べ、前記定着部材の厚みが前記第1の厚さより薄い第2の厚さである場合の前記定着温度の値が低くなるように、前記定着温度を変更する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  7. 記録材に画像を定着させるときの前記加熱部材の目標温度を定着温度として、
    前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が第2の値であるときの前記定着温度を第1の定着温度値とし、
    前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第3の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が前記第2の値であるときの前記定着温度を第2の定着温度値とし、
    前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第2の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が前記第2の値よりも低い第4の値であるときの前記定着温度を第3の定着温度値とするとき、
    前記制御手段は、前記第1の定着温度値よりも前記第2の定着温度値が低く、且つ前記第1の定着温度値よりも前記第3の定着温度値が低くなるように、前記定着温度を変更する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記定着部材の回転軸線方向における前記加熱部材の端部領域の温度に応じた検知信号を発する第2の温度検知部をさらに備え、
    前記制御手段は、前記第2の温度検知部の検知信号に基づいて、前記端部領域の温度が閾値温度を超えた場合に、前記端部領域の過昇温を抑制する制御を実行するように構成され、
    前記制御手段は、前記定着部材の厚みが第1の厚さである場合の前記閾値温度の値に比べ、前記定着部材の厚みが前記第1の厚さより薄い第2の厚さである場合の前記閾値温度の値が低くなるように、前記閾値温度を変更する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  9. 前記定着部材の回転軸線方向における前記加熱部材の端部領域の温度に応じた検知信号を発する第2の温度検知部をさらに備え、
    前記制御手段は、前記第2の温度検知部の検知信号に基づいて、前記端部領域の温度が閾値温度を超えた場合に、前記端部領域の過昇温を抑制する制御を実行するように構成され、
    前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が第2の値であるときの前記閾値温度を第1の閾値温度値とし、
    前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第3の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が前記第2の値であるときの前記閾値温度を第2の閾値温度値とし、
    前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第2の値であり且つ前記第2温度から前記第3温度への温度上昇値が前記第2の値よりも低い第4の値であるときの前記閾値温度を第3の閾値温度値とするとき、
    前記制御手段は、前記第1の閾値温度値よりも前記第2の閾値温度値が低く、且つ前記第1の閾値温度値よりも前記第3の閾値温度値が低くなるように、前記閾値温度を変更する、
    ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記第3温度は、前記立上げ処理により前記加熱部材の加熱を開始する前の第4タイミングにおける前記加熱部材の温度である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  11. 前記制御手段は、前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて、前記加熱部材の消費電力を判定し、前記消費電力の判定結果に基づいて前記ジョブ中の定着条件を変更する、
    ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力が第1の電力値である場合に、前記ジョブにおける1枚目の記録材の給送が開始されるタイミングに比べて、前記消費電力が第1の電力値より少ない第2の電力値である場合に、前記ジョブにおける1枚目の記録材の給送が開始されるタイミングが遅くなるように、記録材の給送を制御する、
    ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  13. 前記制御手段は、前記立上げ処理を開始した後、前記加熱部材の温度が給送許可温度に到達したことに基づいて、前記ジョブにおける1枚目の記録材の給送開始を許可するように構成される、
    ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり、且つ前記第3温度が第1の温度値である場合の前記給送許可温度の値を第1の給送許可温度値とし、
    前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第2の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値である場合の前記給送許可温度の値を第2の給送許可温度値とし、
    前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値よりも高い第2の温度値であるときの前記給送許可温度の値を第3の給送許可温度値とするとき、
    前記制御手段は、前記第1の給送許可温度値よりも前記第2の給送許可温度値が高く、且つ前記第1の給送許可温度値よりも前記第3の給送許可温度値が高くなるように、前記給送許可温度を変更する、
    ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
  15. 前記制御手段は、前記立上げ処理を開始した後、前記加熱部材の加熱開始から所定の待機時間が経過したことに基づいて、前記ジョブにおける1枚目の記録材の給送開始を許可するように構成される、
    ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  16. 前記画像形成装置が複数枚の記録材に対して連続的に画像を形成する場合において、単位時間当たりに画像を形成される記録材の枚数をスループットとして、
    前記制御手段は、前記加熱部材の消費電力が第1の電力値である場合の前記スループットの値に比べ、前記消費電力が第1の電力値より少ない第2の電力値である場合の前記スループットの値が小さくなるように、前記スループットを変更する、
    ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  17. 前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり、且つ前記第3温度が第1の温度値である場合の前記スループットの値を第1のスループット値とし、
    前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第2の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値である場合の前記スループットの値を第2のスループット値とし、
    前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値よりも高い第2の温度値であるときの前記スループットの値を第3のスループット値とするとき、
    前記制御手段は、前記第1のスループット値よりも前記第2のスループット値が小さく、且つ前記第1のスループット値よりも前記第3のスループット値が小さくなるように、前記スループットを変更する、
    ことを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
  18. 記録材に画像を定着させるときの前記加熱部材の目標温度を定着温度とし、単位時間当たりに前記加熱部材に通電する時間の割合を通電率とし、前記定着温度と前記温度検知部によって検知した前記加熱部材の温度との差を温度偏差とするとき、
    前記制御手段は、前記温度偏差に基づく前記通電率の基本値と、前記基本値を補正する補正値とに基づいて、前記通電率の値を決定し、
    前記制御手段は、前記温度偏差が同じである場合において、前記加熱部材の消費電力が第1の電力値であるときの前記通電率の値に比べ、前記消費電力が前記第1の電力値より少ない第2の電力値であるときの前記通電率の値が高くなるように、前記補正値を変更する、
    ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  19. 前記温度偏差が第1の温度偏差値であり、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が第1の値であり、且つ前記第3温度が第1の温度値である場合の前記通電率の値を第1の通電率値とし、
    前記温度偏差が第1の温度偏差値であり、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値よりも低い第2の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値である場合の前記通電率の値を第2の通電率値とし、
    前記温度偏差が第1の温度偏差値であり、前記第1温度から前記第2温度への温度上昇値が前記第1の値であり、且つ前記第3温度が前記第1の温度値よりも高い第2の温度値であるときの前記通電率の値を第3の通電率値とするとき、
    前記制御手段は、前記第1の通電率値よりも前記第2の通電率値が高く、且つ前記第1の通電率値よりも前記第3の通電率値が高くなるように、前記補正値を変更する、
    ことを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
  20. 前記第1タイミング及び前記第2タイミングは、前記加熱部材の温度が室温である状態から前記立上げ処理を実行した場合に前記加熱部材の単位時間当たりの温度上昇値が最大となる期間を含むように、予め設定される、
    ことを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  21. 前記制御手段は、
    今回のジョブにおける前記立上げ処理中の所定期間に亘って前記加熱部材の通電率が前記所定の値である場合は、前記立上げ処理において検出された前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて前記今回のジョブにおける前記定着条件を設定し、
    前記所定期間の少なくとも一部において前記加熱部材の通電率が前記所定の値でない場合は、記憶部に格納されている設定値を用いて今回のジョブにおける前記定着条件を設定する、
    ことを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  22. 前記定着部材は、筒状のフィルムであり、
    前記加熱部材は、通電により発熱する抵抗発熱体を有し、前記フィルムの内部空間に配置され、
    前記定着装置は、前記フィルムを挟んで前記加熱部材と対向するように配置され且つ前記フィルムとの間にニップ部を形成する加圧ローラを更に有し、前記ニップ部で記録材を挟持して搬送しながら、前記加熱部材からの熱伝導で加熱された前記フィルムによって画像を加熱する、
    ことを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の画像形成装置。
JP2023102208A 2022-08-09 2023-06-22 画像形成装置 Pending JP2024024591A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US18/364,608 US20240053696A1 (en) 2022-08-09 2023-08-03 Image forming apparatus

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022127345 2022-08-09
JP2022127345 2022-08-09

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024024591A true JP2024024591A (ja) 2024-02-22

Family

ID=89940040

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023102208A Pending JP2024024591A (ja) 2022-08-09 2023-06-22 画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024024591A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4635783B2 (ja) 定着装置、画像形成装置
JP6436812B2 (ja) 定着装置
US8755705B2 (en) Image heating apparatus
JP4795039B2 (ja) 定着装置
JP2001324892A (ja) 像加熱装置及びそれを有する画像形成装置
JP6827726B2 (ja) 画像形成装置
US10649376B2 (en) Image heating apparatus and image forming apparatus
JP2009282335A (ja) 定着装置およびそれを備えた画像形成装置
JP6614966B2 (ja) 画像形成装置
JP2014178469A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2017072781A (ja) 画像加熱装置及び画像形成装置
US6862416B2 (en) Image heating apparatus and image forming apparatus
JP2011107447A (ja) 画像形成装置
JP7039375B2 (ja) 画像加熱装置及び画像形成装置
JP2006301110A (ja) 画像形成装置
JP2001222180A (ja) 像加熱用ヒータ、像加熱装置及び画像形成装置
JP2020003615A (ja) 像加熱装置及び画像形成装置
JP2002214961A (ja) 加熱定着装置及びそれを有する画像形成装置
JP2024024591A (ja) 画像形成装置
JP2006010943A (ja) 加熱装置
US20240053696A1 (en) Image forming apparatus
JP2010282054A (ja) 画像形成装置
JP2009186752A (ja) 画像形成装置
JP2008040082A (ja) 像加熱装置
JP4387657B2 (ja) 加熱定着装置