JP2019031596A - フィルム - Google Patents

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克弘 蓑毛
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盛昭 新崎
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【課題】本発明は、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ、布等に対する密着性とハンドリング性に優れるフィルムを提供することを目的とする。【解決手段】 基材層、粘着層、及び粒子がこの順に位置し、少なくとも片側の最表面が粘着層と粒子によって形成され、少なくとも片側の最表面に占める粒子の面積が30%以上60%以下であり、粒子表面の高さが10μm以上130μm以下であり、粘着層が粘着性付与樹脂を含み、粘着性付与樹脂が、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、及び石油系樹脂より選択される少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする、フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、布や不織布のように表面に凹凸を有する材料に対する密着性に優れ、かつハンドリング性に優れるフィルムに関する。
近年、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備えた上で、さらに別の機能を有する単体のフィルムが要求されている。例えば、医療・衛生材料の分野では、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ凹凸形状、伸縮性、及び柔軟性を有する、布や不織布のような材料(以下、布等ということがある。)に対する密着性とハンドリング性を兼ね備えるフィルムが望まれている。
これまでに、布等に対して密着性を有し、かつハンドリング性に優れるフィルムとして、種々の開発がなされている。例えば、特許文献1には、特定の大きさの粒子を含有する層を有する積層フィルムが開示されている。また、特許文献2には、背面層に特定の樹脂を用いることにより密着性と巻き出し特性を向上させたフィルムが示されている。
特開2017−2252号公報 特開2015−172203号公報
しかしながら、特許文献1や2の技術では、いずれもある程度布等に対する密着性を高めることができるものの、ハンドリング性の向上は困難であった。具体的には、特許文献1や2に記載のフィルムは、粘着層が表面に露出しているために布等以外の物にも貼り付いてしまうため、ハンドリング性に劣るという課題があった。
本発明は係る従来技術の欠点を改良し、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ、布等に対する密着性とハンドリング性に優れるフィルムを提供することを、その課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。
(1) 基材層、粘着層、及び粒子がこの順に位置し、少なくとも片側の最表面が粘着層と粒子によって形成され、少なくとも片側の最表面に占める粒子の面積が30%以上60%以下であり、粒子表面の高さが10μm以上130μm以下であり、粘着層が粘着性付与樹脂を含み、粘着性付与樹脂が、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、及び石油系樹脂より選択される少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする、フィルム。
(2) JIS L 022:2001で定義される不織布を被着体として、JIS Z 0237:2009に規定する方法で測定した90度剥離強度が30mN/cm以上320mN/cm以下であり、JIS B 0601:2001に規定する方法で測定した算術平均粗さが0.01μm以上0.1μm以下であるポリエチレンテレフタレートフィルムを被着体として、JIS Z 0237:2009に規定する方法で測定した90度剥離強度が0.01N/cm以上0.2N/cm以下であることを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) ヤング率の最大値が10MPa以上100MPa以下であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフィルム。
(4) 前記粘着層がスチレン系エラストマーを含有することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム。
(5) 前記粘着層における前記粘着性付与樹脂の含有量が、前記基材層における前記粘着性付与樹脂の含有量よりも多く、かつ前記粘着層を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときに、合計で10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルム。
(6) 前記粒子が有機粒子であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルム。
本発明により、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ、布等に対する密着性とハンドリング性に優れるフィルムを提供することができる。
本発明の一実施態様に係るフィルムを示す拡大上面図(A)、及びAにおけるI−I’断面矢視図(B)である。 ヤング率の測定方向を示す模式図である。
本発明のフィルムは、基材層、粘着層、及び粒子がこの順に位置し、少なくとも片側の最表面が粘着層と粒子によって形成され、少なくとも片側の最表面に占める粒子の面積が30%以上60%以下であり、粒子表面の高さが10μm以上130μm以下であり、粘着層が粘着性付与樹脂を含み、粘着性付与樹脂が、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、及び石油系樹脂より選択される少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする。なお、ここで「少なくとも片側の最表面が粘着層と粒子によって形成され、少なくとも片側の最表面に占める粒子の面積が30%以上60%以下であり、粒子表面の高さが10μm以上130μm以下である」とは、粘着層と粒子によって形成されており、面全体に占める粒子の面積が30%以上60%以下であり、かつ粒子表面の高さが10μm以上130μm以下である最表面を少なくとも1つ有することを意味する。
(フィルムの構成)
本発明のフィルムは、機械特性を維持しつつ布等に対する密着性とハンドリング性を向上させる観点から、基材層、粘着層、及び粒子がこの順に位置することが重要である。「基材層、粘着層、及び粒子がこの順に位置する」とは、基材層と粘着層を有するフィルムの粘着層表面に粒子が存在することをいう。基材層はフィルムとしての機械特性の維持に、粘着層は布等に対する密着性の向上に、そして粒子はハンドリング性の向上にそれぞれ寄与するものであり、その詳細は後述する。そのため、このような態様とすることにより、フィルムの機械特性を維持しつつ布等に対する密着性とハンドリング性を向上させることができる。このとき、基材層と粘着層との間には、本発明の効果を損なわない範囲で別の層が存在していてもよい。
(基材層)
本発明のフィルムにおける基材層は、フィルムとしての機械特性を維持する機能を担う層である。基材層の組成は、本発明の効果を損なわない程度に機械特性を維持することができる限り特に制限されず、任意に定めることができる。但し、フィルムの機械特性を維持しつつ柔軟性を向上させる観点から、熱可塑性樹脂を主成分とすることが好ましい。ここで熱可塑性樹脂を主成分とするとは、層を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときに、基材層中に熱可塑性樹脂が50質量%より多く含まれることをいう。本発明のフィルムの基材層には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂を単独で又は複数組み合わせて用いることができる。中でも、得られるフィルムのヤング率を容易に後述する好ましい範囲とする観点から、本発明のフィルムにおける基材層は、ポリエチレンを主成分とすることが好ましい。
本発明のフィルムにおける基材層は、その効果を損なわない限り充填剤を含んでもよい。充填剤とは、諸性質を改善するために加えられる物質、あるいは増量、増容、又は製品のコスト低減などを目的として添加する不活性物質をいう。充填剤の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、無機の充填剤及び/又は有機の充填剤を使用することができる。また、充填剤は1種類であっても複数種類を混合したものであってもよい。得られるフィルムのヤング率を容易に後述する好ましい範囲とする観点から、充填剤は無機充填剤であることが好ましく、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの金属硫酸塩、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、酸化ケイ素(シリカ)、アルミノシリケート、マイカ、タルク、カオリン、クレー、及びモンモリロナイト等の複合酸化物のうち少なくとも1種類を用いることがより好ましく、汎用性やコストの観点から炭酸カルシウムを単独で又は他の充填剤と組み合わせて用いることがさらに好ましい。
基材層における充填剤の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、得られるフィルムのヤング率を容易に後述する好ましい範囲とする観点から、基材層の樹脂全体を100質量部としたときに、5質量部以上200質量部以下であることが好ましく、15質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましい。
(粘着層)
本発明のフィルムにおける粘着層は、布等との接着を担う層である。そして、この粘着層は、粘着性付与樹脂(ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、及び石油系樹脂より選択される少なくとも一種の樹脂)を含む。粘着性樹脂は高分子材料に配合されると可塑化作用により粘着性を出す働きを有するため、粘着層が粘着性付与樹脂を含有することによりフィルムと布等との密着性が向上する。
ロジン系樹脂とは、ロジン酸(アビエチン酸、パラストリン酸、イソピマール酸等)を主成分とする天然樹脂をいう。本発明のフィルムに用いることができるロジン系樹脂は、例えば、マツ科の植物の樹液である松脂等のバルサム類を集めてテレピン精油を蒸留した後に残る残留物として得ることができる。ロジン系樹脂の具体的としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン、これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合、その他の化学的修飾等により変性させた変性ロジン等が挙げられる。
石油系樹脂とは、ナフサ分解の副生油の一部(不飽和性の高いジエン類等)を重合して樹脂状としたものをいう。本発明のフィルムに用いることができる石油系樹脂としては、例えば、脂肪族系石油系樹脂、芳香族系石油系樹脂、脂肪族/芳香族共重合系石油系樹脂、及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
テルペン系樹脂とは、テルペンモノマーの重合体、テルペンモノマーと他のモノマーの共重合体、及びこれらの誘導体をいう。テルペン系樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、及びジペンテン重合体等の他、テルペンフェノール樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、及び水素添加テルペン樹脂等の変性テルペン樹脂等が挙げられる。
本発明のフィルムにおいては、布等との密着性の観点から、粘着性付与樹脂が石油系樹脂であることがより好ましい。
本発明のフィルムは、粘着層における粘着性付与樹脂の含有量が、基材層における粘着性付与樹脂の含有量よりも多いことが好ましい。ここで、「粘着層における粘着性付与樹脂の含有量が、基材層における粘着性付与樹脂の含有量よりも多い」とは、粘着層を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときの粘着層における粘着性付与樹脂の含有量(質量%)が、基材層を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときの基材層における粘着性付与樹脂の含有量(質量%)よりも大きいことを意味する。粘着性付与樹脂は、布等への粘着性を向上させることができる反面、前述した基材層において用いることができる樹脂に比べて機械強度の面で劣る。そのため、このような態様とすることにより、フィルムの機械特性と布等との密着性を容易に両立することができる。
本発明のフィルムは、粘着層における粘着性付与樹脂の含有量が、粘着層を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときに、合計で10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、合計で30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。粘着層における粘着性付与樹脂の含有量が、粘着層を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときに、合計で10質量%以上であることにより、フィルムは布等との密着性に優れたものとなる。一方、粘着層を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときに、合計で50質量%以下であることにより、密着性の向上を、ハンドリング性を損なわない程度に留めることが容易となる。
本発明のフィルムにおける粘着層は、粘着性付与樹脂以外の樹脂を含む。粘着性付与樹脂以外の樹脂は、粘着層の機能を損なわない限り一種類でも複数種類でもよく、また、その種類も任意に選定することができる。但し、得られるフィルムのヤング率を容易に後述する好ましい範囲とする観点から、粘着層が熱可塑性エラストマーを含有することが好ましい。
ここで熱可塑性エラストマーとは、ハードセグメント相とソフトセグメント相を有することにより、25℃でゴム弾性を有する一方で、一般的な熱可塑性の成形温度領域である100℃〜300℃の温度領域ではハードセグメント相に流動性が発現することにより、一般の熱可塑性樹脂と同様の成形加工が可能となる高分子量体のことを指す。粘着層における熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、及びポリアクリル系エラストマーなどを単独で又は複数組み合わせて用いることができる。中でも、得られるフィルムの布等に対する密着性の観点から、粘着層がスチレン系エラストマーを含有することがより好ましい。
スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレンプロピレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体、及びスチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。前記共重合体の中でも、密着性及びハンドリング性の観点から、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体がさらに好ましい。
(粒子)
本発明のフィルムにおいて、粒子はハンドリング性の向上を担う。より具体的には、平坦なフィルムや凹凸を有さない材料(以下、平坦物ということがある。)へ粒子を有する面を接触させた際に、粒子が形成するフィルム表面の凹凸形状により平坦物と粘着層との接触面積を小さくすることができる。その結果、フィルムは平坦物への粘着が低いものとなり、フィルムのハンドリング性が向上する。一方で、布等に対する密着性については、粒子に起因するフィルム表面の凹凸形状が布等の凹凸形状とかみ合うため、平坦物への密着性ほど低下しない。
本発明のフィルムにおける粒子としては、ハンドリング性を向上させるものであれば本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではなく、無機粒子、有機粒子のいずれであっても、両者を混合したものであってもよい。但し、布等に対する密着性低下軽減の観点から有機粒子であることが好ましい。本発明のフィルムに用いることができる無機粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等が挙げられる。また、本発明のフィルムに用いることができる有機粒子としては、ポリエチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂等が挙げられる。なお、これらの粒子は本発明の効果を損なわない限り、一種類であっても複数種類を混合したものであってもよい。
また、本発明のフィルムにおける粒子の形状に関しても、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、球状、塊状、棒状、及び扁平状等のいずれの形状であってもよく、必要に応じて異なる形状のものを併用することもできる。
(フィルムの表面構造)
本発明のフィルムは、布等に対する密着性とハンドリング性を両立する観点から、少なくとも片側の最表面が粘着層と粒子によって形成されていることが重要である。ここで、「最表面が粘着層と粒子によって形成されている」とは、フィルム最表面において、フィルム面積に占める粘着層と粒子の合計面積が90%以上100%以下であることをいう。なお、上記要件を満たす面が一つあれば、他方の面については特に制限されない。後述する最表面に占める粒子の面積や粒子表面の高さについても同様である。
このような態様とするための手段は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば基材層と粘着層を有し、かつ粘着層が少なくとも一方の最表層に位置する積層フィルムの粘着層上に粒子を付着させる方法が挙げられる。
上記のような積層フィルムを得る方法としては、例えば、基材層を得るための組成物と粘着層を得るための組成物とを積層状態でTダイより冷却ドラム上にシート状に吐出して冷却固化する方法、基材層に相当するシートにTダイ等を用いて粘着層を得るための組成物を押出して粘着層を形成させる方法、公知の溶剤等で溶液化した粘着層を得るための組成物を基材層に塗布して乾燥する方法、基材層に相当するシートと粘着層を得るためのシートを個別に製膜してから熱ラミネートする方法等が挙げられる。また、粒子を粘着層に付着させる方法としては、例えば、搬送中の積層フィルムの粘着層上に粒子を自由落下又はエアースプレーする方法等が挙げられる。
本発明のフィルムは、布等に対する密着性とハンドリング性を両立する観点から、少なくとも片側の最表面に占める粒子の面積が30%以上60%以下であることが重要である。最表面に占める粒子の面積を30%以上とすることにより、フィルム面に十分な凹凸が形成されてハンドリング性が向上する。一方、最表面に占める粒子の面積を60%以下とすることにより、布等に対する密着性を損なわない程度に粘着層が最表面に位置することとなり、布等に対する密着性の低下を軽減することができる。上記観点から、少なくとも片側の最表面に占める粒子の面積が40%以上50%以下であることが好ましい。
少なくとも片側の最表面に占める粒子の面積を30%以上60%以下又は上記の好ましい範囲とするための方法としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、前述の粒子を粘着層に付着させる方法において、積層フィルムの搬送速度や単位時間当たりに自由落下させる又は噴き付ける粒子の量を調節する方法が挙げられる。より具体的には、単位時間当たりに自由落下させる又は噴き付ける粒子の量を一定に保ちつつ積層フィルムの搬送速度を遅くすることや、積層フィルムの搬送速度を一定に保ちつつ単位時間当たりに自由落下させる又は噴き付ける粒子の量を多くすることにより、最表面に占める粒子の面積を大きくすることができる。
最表面に占める粒子の面積の割合は、以下のようにして求めることができる。まず、フィルムの粒子を有する面を、観察視野全体にフィルムが含まれるように走査型電子顕微鏡で50倍に拡大して観察し、観察視野内の粒子の個数を数える。次いで、得られた粒子の個数と粒子の平均粒径から算出した粒子面積(粒子半径の2乗と円周率との積)との積を求め、これを観察視野に占める粒子の面積とする。得られた粒子の面積を観察視野全体の面積で除して得られる値を百分率で表し、これを最表面に占める粒子の面積の割合とする。
なお、粒子の平均粒径は以下の方法で測定する。まず、ミクロトームを用いてナイフ傾斜角度3°でフィルム面に垂直な方向(以下、厚み方向ということがある。)にフィルムを切断する。次いで、走査型電子顕微鏡を用いて、10個の粒子が観察できる倍率で拡大して断面(以下、厚み方向断面ということがある。)を観察し、10個の粒子それぞれについて粒子を完全に囲みかつ面積が最も小さくなるように正方形又は長方形を描いて、正方形の場合は1辺の長さ、長方形の場合は長辺と短辺の長さの平均値を該粒子の粒子径とする。サンプリング位置を変えて同様の測定を10回行い、得られた100個の粒子の粒子径の平均値を粒子の平均粒径とする。このとき、走査型電子顕微鏡の仕様により「10個の粒子が観察できる倍率」への調整が不可能な場合は、少なくとも10個の粒子が観察できる最も低い倍率で観察し、視野の中央に近いものから10個の粒子を選定することができる。
本発明のフィルムは、布等に対する密着性とハンドリング性を両立する観点から、粒子表面の高さが10μm以上130μm以下であることが重要である。粒子表面の高さを10μm以上とすることにより、フィルム面にハンドリング性を向上させるのに十分な高さの凹凸が形成され、かつフィルムの凹凸と布等の凹凸がかみ合うことによる密着性向上効果も得られる。一方、粒子表面の高さを130μm以下とすることにより、フィルム表面を布等と接触させたときに布等と粘着層が接するため、布等に対する密着性の低下を軽減することができる。上記観点から、粒子表面の高さは10μm以上80μm以下が好ましく、20μm以上75μm以下がより好ましい。
粒子表面の高さの測定方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施態様に係るフィルムを示す拡大上面図(A)、及びAにおけるI−I’断面矢視図(B)である。まず、粒子の平均粒径の測定時と同様に走査型電子顕微鏡により10個の粒子が観察できる倍率でフィルム1の厚み方向断面を観察し、粒子が存在しない部分において厚み方向の位置データを取得したときに、その分布が最も多い位置をベースラインとする。例えば、図1Bにおいては、符号2で示す線がベースラインとなる。次いで、個々の粒子について走査型電子顕微鏡の測長機能等により粒子表面の高さを測定する。粒子表面の高さとは、ベースラインと粒子の頂部との厚み方向の位置の差をいう(図1Bにおいては符号3に相当)。同様の測定を、サンプリング位置を変えて10回、すなわち100個の粒子について行い、得られた値の平均値を粒子表面の高さとする。
(フィルムの特性)
本発明のフィルムは、フィルムの機械特性を維持し、かつフィルムを布等に密着させたときの布等に対する追従性を確保するために、ヤング率の最大値が10MPa以上100MPa以下であることが好ましい。フィルムのヤング率を調整する方法としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、基材層における充填剤の含有量を調節する方法、基材層と粘着層の厚み比(基材層の厚み/粘着層の厚み)を調節する方法、基材層や粘着層の樹脂組成を調節する方法等が挙げられる。より具体的には、基材層の厚み/粘着層の厚みを大きくすること等によりヤング率の値を大きくすることができる。一方、基材層や粘着層に熱可塑性エラストマーのように弾性の高い樹脂を加えたり、その含有量を多くしたりすること等により、ヤング率の値を小さくすることができる。
フィルムのヤング率の最大値の測定方法について、ヤング率の測定方向を示す模式図である図2を用いて説明する。先ず、100mm(幅方向)×10mm(長手方向)の試料を用意し、引張り強度200mm/分、温度23℃、湿度65%RHの条件で、ASTM−D882:1990に準拠して幅方向(図2における4−4’)のヤング率を測定する。同様の測定を5回繰り返し、得られた値の平均値を幅方向のヤング率とする。続いて、幅方向からフィルム面内で時計回りに15°回転させた方向(図2における5−5’)が測定方向となるように同様に試料を切り出して同様に測定を行う。以後、図2に記載のように時計回りに15°ずつ測定方向をずらし(図2における6−6’→10−10’(長手方向))、同様にヤング率を測定する。こうして得られた7方向のヤング率の値を比較し、最も大きい値をフィルムのヤング率の最大値とする。なお、幅方向や長手方向を特定できない場合においては、最初の測定方向を任意に定め、同様の手順によりフィルムのヤング率の最大値を決定することができる。
本発明のフィルムの厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、フィルムを布等に密着させたときの布等に対する追従性の観点から、3μm以上200μm以下であることが好ましい。ここでいうフィルムの厚みとは、粒子が存在しない部分におけるフィルムの厚みをいう。フィルムの厚みは、以下のようにして測定することができる。まず、粒子の平均粒径の測定と同様にフィルムの厚み方向断面サンプルを得る。これを走査型電子顕微鏡により画像撮影し、得られた画像を用いて、顕微鏡の測長機能により最表面に有機粒子がない部分の厚みを測定する。
本発明のフィルムは、JIS L 022:2001で定義される不織布を被着体として、JIS Z 0237:2009に規定する方法で測定した90度剥離強度が30mN/cm以上320mN/cm以下であることが好ましい。以下「JIS L 022:2001で定義される不織布を被着体として、JIS Z 0237:2009に規定する方法で測定した90度剥離強度」を、布等に対する90度剥離強度ということがある。布等に対する90度剥離強度は、布等に対する密着性の強さを表すものであり、その値が大きいほど密着性が強いことを意味する。
布等に対する90度剥離強度が30mN/cm以上であれば、布等にフィルムを密着させた後の自然剥離を軽減することができる。また、布等に対する90度剥離強度が320mN/cm以下であれば、被着体である布等を破壊せずにフィルムを剥がすことが容易となる。上記観点から、布等に対する90度剥離強度は、120mN/cm以上320mN/cm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは、150mN/cm以上320mN/cm以下、特に好ましくは200mN/cm以上320mN/cm以下である。
本発明のフィルムは、JIS B 0601:2001に規定する方法で測定した算術平均粗さが0.01μm以上0.1μm以下であるポリエチレンテレフタレートフィルムを被着体として、JIS Z 0237:2009に規定する方法で測定した90度剥離強度が0.01N/cm以上0.2N/cm以下であることが好ましい。以下「JIS B 0601:2001に規定する方法で測定した算術平均粗さが0.01μm以上0.1μm以下であるポリエチレンテレフタレートフィルムを被着体として、JIS Z 0237:2009に規定する方法で測定した90度剥離強度」を、平坦物に対する90度剥離強度ということがある。平坦物に対する90度剥離強度は、平坦物に対する密着性の強さを表すものであり、その値が大きいほど密着性が強いことを意味する。
平坦物に対する90度剥離強度が0.01N/cm以上であれば、フィルムに適度な滑り性が付与されるためロール搬送が容易となる。また、平坦物に対する90度剥離強度が0.2mN/cm以下であれば、フィルムが表面粗さの低い物体に付着するのを軽減でき、ハンドリング性が向上する。上記観点から、平坦物に対する90度剥離強度は0.01N/cm以上0.1N/cm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.01N/cm以上0.05N/cm以下である。
布等に対する90度剥離強度は、以下の方法により測定することができる。まず、フィルムを100mm×10mmの短冊形に切り出し、評価用サンプルを得る。評価用サンプルをJIS L 022:2001で定義される不織布にラミネートローラーを用いて貼り付け、引張速度を300mm/分としてJIS Z 0237:2009に規定する方法でフィルムと不織布との剥離強度を測定する。サンプリング及び測定は各フィルムについて5回ずつ行い、得られた5つの値の平均値を該フィルムの布等に対する90度剥離強度とする。剥離強度の測定に用いる引張試験機は特に限定されないが、例えば、オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)UCT−100等を用いることができる。なお、平坦物に対する90度剥離強度についても、被着体を変更する以外は同様にして測定することができる。
このとき、JIS L 022:2001で定義される不織布としては、例えば、“ハイゼ”(登録商標)ガーゼ NT−4(旭化成株式会社製)を、JIS B 0601:2001に規定する方法で測定した算術平均粗さが0.01μm以上0.1μm以下であるポリエチレンテレフタレートフィルムとしては、例えば、“ルミラー”(登録商標)S10(東レ株式会社製)を用いることができる。
布等に対する90度剥離強度を調節する方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、フィルムの最表面に占める粒子の面積を調節する方法や、粘着層中の粘着性付与樹脂の含有量を調節する方法等が挙げられる。具体的には、フィルムの最表面に占める粒子の面積を小さくすることや、粘着層中の粘着性付与樹脂の含有量を大きくすること等により、布等に対する90度剥離強度を大きくすることができる。
また、平坦物に対する90度剥離強度を調節する方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、フィルムの粒子表面の高さを調節する方法や、粘着層中の粘着性付与樹脂の含有量を調節する方法等が挙げられる。具体的には、フィルムの粒子表面の高さを小さくすることや、粘着層中の粘着性付与樹脂の含有量を大きくすること等により、平坦物に対する90度剥離強度を大きくすることができる。
(フィルムの製造方法)
以下に本発明のフィルムを製造する方法について具体的に説明する。但し、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
本発明のフィルムを構成する各層(基材層、粘着層等)を得るための溶融樹脂組成物を得る方法としては、各成分を溶融混練することにより組成物を製造する溶融混練法を用いることが好ましい。溶融混練を行うための混合機については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸又は二軸押出機などの公知の混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸又は二軸押出機の使用が好ましい。
次に、上記した方法により得られた溶融樹脂組成物を公知の積層装置により積層させ、インフレーション法、チューブラー法、Tダイキャスト法などの公知の製膜法により、無配向フィルムを製造することができる。さらに、機械特性向上、軽量化、及び透湿性向上の観点から、必要に応じて得られた無配向フィルムを一軸又は二軸延伸してもよい。
基材層と粘着層を有するフィルム製膜した後に、搬送中の積層フィルムの粘着層上に粒子を自由落下又はエアースプレーすることにより、粘着層表面に粒子を付着させて本発明のフィルムを得ることができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定及び評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)フィルムの厚み
フィルムの幅方向のセンター部からサンプル片を切り出し、ウルトラミクロトームを用いて該サンプル片の機械方向−厚み方向断面(以下、フィルム断面ということがある。)を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。次いで、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 S−3400N)を用いて倍率500倍でフィルム断面の写真を撮影し、顕微鏡の測長機能を用いてフィルムの最表面に有機粒子がない部分の厚みを測定した。測定は、観察箇所を変えて10回行い、得られた値の平均値をフィルムの厚み(μm)とした。
(2)ヤング率の最大値
フィルムのヤング率の最大値の測定方法について、ヤング率の測定方向を示す模式図である図2を用いて説明する。先ず、100mm(幅方向)×10mm(長手方向)の試料を用意し、オリエンテック社製引張試験機(テンシロンタイプ)を用いて、引張り強度200mm/分、温度23℃、湿度65%RHの条件で、ASTM−D882:1990に準拠して幅方向(図2における4−4’)のヤング率を測定した。同様の測定を5回繰り返し、得られた値の平均値を幅方向のヤング率とした。続いて、幅方向からフィルム面内で時計回りに15°回転させた方向(図2における5−5’)が測定方向となるように同様に試料を切り出して同様に測定を行った。以後、図2に記載のように時計回りに15°ずつ測定方向をずらし(図2における6−6’→10−10’(長手方向))、同様にヤング率を測定した。こうして得られた7方向のヤング率の値を比較し、最も大きい値をフィルムのヤング率の最大値とした。
(3)最表面に占める粒子の面積の割合
まず、フィルムの粒子を有する面を、観察視野全体にフィルムが含まれるように走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 S−3400N)で50倍に拡大して観察し、観察視野内の粒子の個数を数えた。次いで、得られた粒子の個数と粒子の平均粒径から算出した粒子面積(粒子半径の2乗と円周率との積)との積を求め、これを観察視野に占める粒子の面積とした。得られた粒子の面積を観察視野全体の面積で除して得られる値を百分率で表し、これを最表面に占める粒子の面積の割合とした。
なお、粒子の平均粒径は以下の方法で測定した。まず、ミクロトームを用いてナイフ傾斜角度3°で厚み方向にフィルムを切断した。次いで、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 S−3400N)を用いて、10個の粒子が観察できる倍率で拡大して厚み方向断面を観察し、10個の粒子それぞれについて粒子を完全に囲みかつ面積が最も小さくなるように正方形又は長方形を描いて、正方形の場合は1辺の長さ、長方形の場合は長辺と短辺の長さの平均値を該粒子の粒子径とした。サンプリング位置を変えて同様の測定を10回行い、得られた100個の粒子の粒子径の平均値を粒子の平均粒径とした。
(4)粒子表面の高さ
まず、粒子の平均粒径の測定時と同様に走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 S−3400N)により10個の粒子が観察できる倍率でフィルムの厚み方向断面を観察し、粒子が存在しない部分において厚み方向の位置データを取得したときに、その分布が最も多い位置をベースラインとした。次いで、個々の粒子について走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 S−3400N)の測長機能等により、ベースラインと粒子の頂部との厚み方向の位置の差を測定し、これを該粒子表面の高さとした。同様の測定を、サンプリング位置を変えて10回、すなわち100個の粒子について行い、得られた値の平均値を粒子表面の高さとした。
(5)布等に対する90度剥離強度
まず、フィルムを100mm×10mmの短冊形に切り出し、評価用サンプルとした。評価用サンプルをJIS L 022:2001で定義される不織布(“ハイゼ”(登録商標)ガーゼ NT−4(旭化成株式会社製))にラミネートローラーを用いて貼り付け、引張速度を300mm/分としてJIS Z 0237:2009に規定する方法でフィルムと不織布との剥離強度を測定した。サンプリング及び測定は各フィルムについて5回ずつ行った。得られた5つの値の平均値を該フィルムの布等に対する90度剥離強度とした。
(6)平坦物に対する90度剥離強度
被着体をJIS B 0601:2001に規定する方法で測定した算術平均粗さが0.01μm以上0.1μm以下であるポリエチレンテレフタレートフィルム(“ルミラー”(登録商標)S10(東レ株式会社製))とした以外は布等に対する90度剥離強度と同様に測定した。
[基材層の熱可塑性樹脂]
(A1)
低密度ポリエチレン(商品名:“スミカセン”(登録商標)F200、住友化学株式会社製)
[基材層の充填剤]
(B1)
炭酸カルシウム粒子(商品名:PO−100−B−10、白石カルシウム株式会社製)
[粘着層の熱可塑性樹脂(粘着性付与樹脂以外の樹脂)]
(C1)
スチレン系エラストマー(スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体)(商品名:“セプトン”(登録商標)2063、クラレ(株)製)
(C2)
エチレン−アクリル酸エチル−コポリマー(商品名:“レクスパール”(登録商標)、A4250、日本ポリエチレン株式会社製)
[粘着性付与樹脂]
(D1)
石油系樹脂(商品名:“アルコン”(登録商標)M−100、荒川化学工業株式会社製)
(D2)
ロジン系樹脂(商品名:A−100、荒川化学工業株式会社製)
(D3)
テルペン系樹脂(商品名:PX1000、ヤスハラケミカル株式会社製)
[粒子]
有機粒子としてE1〜E5、無機粒子としてE6〜E7を使用した。
(E1)オレフィン系エラストマー粒子(商品名:OE−90、エムテック株式会社製)
(E2)オレフィン系エラストマー粒子(商品名:OE−10、エムテック株式会社製)
(E3)変性ポリオレフィン系粒子(商品名:A−600、東京インキ(株)製)。
(E4)ポリエチレン粒子(商品名:“ミペロン”(登録商標)240M、三井化学(株)製)。
(E5)エチレンビニルアルコール系粒子(商品名:8050C、東京インキ(株)製)。
(E6)炭酸カルシウム粒子(商品名:“ホワイトン”(登録商標)P−70、白石カルシウム工業株式会社製)
(E7)炭酸カルシウム粒子(商品名:“ホワイトン”(登録商標)PO220、白石カルシウム工業株式会社製)
(実施例1)
基材層及び粘着層の原料をそれぞれ表1に記載の処方とし、シリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給して溶融混練し、均質化した後にペレット化した。得られたペレットをそれぞれ単軸押出機(L/D=30 Lはスクリュー長さ、Dはスクリュー径を表す。)に供給し、供給部温度150℃、それ以降の温度を200℃で溶融し、ダイの上部に設置したフィードブロック内にて基材層/粘着層となるように積層した後、Tダイ(リップ間隙:1mm)より、30℃に温度制御した鏡面ドラム(表面粗さ:0.2s)上にシート状に吐出した。その際、シリコーンロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、厚み40μmの基材層及び粘着層からなるフィルムを得た。得られたフィルムの粘着層側に、表1に記載の粒子を150メッシュのふるいを用いて振りかけた後、フィルムを垂直に引き上げて余分な粒子を落とし、表面に粒子を有するフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示す。
(実施例2〜14、比較例1〜5)
基材層及び粘着層の原料、粒子を表1に記載の通りとしたこと以外は実施例1に記載の方法で表面に有機粒子を有するフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示す。
(比較例6)
粒子を振りかける工程を省略した以外は実施例1に記載の方法と同様にして、基材層及び粘着層からなるフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示す。
(比較例7)
原料を、基材層を得るためのもののみとし、フィードブロック内にて基材層/粘着層となるように積層する工程を省略した以外は、実施例1に記載の方法と同様にして基材層のみからなるフィルムを得た。得られたフィルムに対して、表1に記載の粒子を150メッシュのふるいを用いて振りかけた後、熱ラミネーター((株)エム・シー・ケー製、MRK−600)で、150度、1m/min、0.5MPaの条件でラミネートし、表面に粒子を有するフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示す。
Figure 2019031596
各層の樹脂含有量(質量%)は、層中の樹脂成分全体を100質量%として算出した。基材層の充填剤含有量(質量部)は、層中の樹脂成分全体を100質量部として算出した。
本発明により、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ、布等に対する密着性及びハンドリング性に優れるフィルムを提供することができる。本発明のフィルムは、布等に対する密着性及びハンドリング性を必要とする用途、例えば、ベッド用シーツ、枕カバー、衛生ナプキンや紙おむつなどの吸収性物品のバックシートといった医療・衛生材料、雨天用衣類、手袋などの衣料材料、ゴミ袋や堆肥袋、野菜や果物などの食品用袋、各種工業製品の袋などの包装材料、ビル、住宅、化粧板といった建材、鉄道車両、船舶、航空機といった輸送機内での内装材料、建築用材料等に好ましく用いることができる。
1:フィルム
2:ベースライン
3:粒子表面の高さ
4−4’:幅方向
5−5’:フィルム面内で幅方向に対して時計回りに15°回転した方向
6−6’:フィルム面内で5−5’に対して時計回りに15°回転した方向
7−7’:フィルム面内で6−6’に対して時計回りに15°回転した方向
8−8’:フィルム面内で7−7’に対して時計回りに15°回転した方向
9−9’:フィルム面内で8−8’に対して時計回りに15°回転した方向
10−10’:長手方向

Claims (6)

  1. 基材層、粘着層、及び粒子がこの順に位置し、
    少なくとも片側の最表面が粘着層と粒子によって形成され、
    少なくとも片側の最表面に占める粒子の面積が30%以上60%以下であり、
    粒子表面の高さが10μm以上130μm以下であり、
    粘着層が粘着性付与樹脂を含み、
    粘着性付与樹脂が、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、及び石油系樹脂より選択される少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする、フィルム。
  2. JIS L 022:2001で定義される不織布を被着体として、JIS Z 0237:2009に規定する方法で測定した90度剥離強度が30mN/cm以上320mN/cm以下であり、
    JIS B 0601:2001に規定する方法で測定した算術平均粗さが0.01μm以上0.1μm以下であるポリエチレンテレフタレートフィルムを被着体として、JIS Z 0237:2009に規定する方法で測定した90度剥離強度が0.01N/cm以上0.2N/cm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
  3. ヤング率の最大値が10MPa以上100MPa以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記粘着層がスチレン系エラストマーを含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
  5. 前記粘着層における前記粘着性付与樹脂の含有量が、前記基材層における前記粘着性付与樹脂の含有量よりも多く、かつ前記粘着層を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときに、合計で10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
  6. 前記粒子が有機粒子であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
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