JP2019030936A - 工作機械用シール部材 - Google Patents
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Abstract
Description
工作機械用シール部材は、例えば、支持部材と弾性部材とからなり、弾性部材を工作機械の所定の部材と摺接させて使用する。
このとき、工作機械用シール部材と摺接する工作機械側の部材は、屈曲した面など、様々な形状を有している。工作機械用シール部材は、工作機械側の摺動面の形状に合わせて隙間が生じないように工作機械に取り付ける必要がある。
その他、90度に屈曲したコーナー部に使用する工作機械用シール部材として、図7(a)、(b)に示したような、L字状の支持部材51に弾性部材52を一体成形した工作機械用シール部材50が市販されている。工作機械の摺動面の形状に合わせて作製された工作機械用シール部材は、工作機械への取付けが容易である。また、複数の工作機械用シール部材を組み合わせて使用する場合に比べて、シール性に優れる傾向にある。
そこで、上記弾性部材をより摩耗しにくくするために、弾性部材と工作機械の摺動面と接触面積を大きくすることを検討した。
一方、工作機械の摺動面の形状に対応した形状を有する非直線状の工作機械用シール部材は、上記摺動面との接触面積が大きくなるように弾性部材の形状を設計すると、使用時に、上記摺動面における屈曲部分(コーナー部)と適切に摺接することができず、上記摺動面の屈曲部分の形状に対応する弾性部材の角部に早期に亀裂が発生し、その結果、シール性が損なわれる等の不具合が生じることがあった。
板状の支持部材と板状の弾性部材とを備え、
上記弾性部材が工作機械の取付部と上記支持部材とで挟まれるように工作機械に取り付けられ、上記弾性部材が工作機械の摺動面と摺接する工作機械用シール部材であって、
上記弾性部材は、上記支持部材の縁部から上記工作機械の摺動面側に突出する突出部を含み、上記突出部の片面側が上記工作機械の摺動面と摺接するように構成され、
上記突出部の先端縁は、複数の直線部と、前記複数の直線部のうちの隣接する2つの直線部に挟まれた角部とを有し、
上記突出部は、上記角部から上記支持部材側に向かって切り込みが設けられている
ことを特徴とする。
また、上記工作機械用シール部材は、上記弾性部材が有する突出部で工作機械の摺動面と摺接し、このとき、突出部の片面側が工作機械の摺動面と摺接する、いわゆる面あたりで摺接する。そのため、弾性部材がより摩耗しにくくなっている。
更に、上記突出部は、先端縁が直線部と角部を有し、かつ上記角部から上記支持部材側に向かって切り込みが設けられている。そのため、屈曲した摺動面を1つの工作機械用シール部材で確実にシールしつつ、かつ上記角部に亀裂が発生することを回避することができる。そのため、角部を起点とする破損によりシール性が損なわれることもない。
この場合、熱硬化性ポリウレタンが有する優れた耐摩耗性と、低μ化剤を含有させることによる摩擦係数を低減させる効果とが相まって、上記弾性部材は特に摩耗しにくくなる。
この場合、上記直線部における工作機械の摺動面との接触状態を面あたりとし、かつ工作機械の摺動面との摺動時に上記突出部が反転してしまうことを確実に回避することができる。そのため、優れたシール性と、摩耗しにくさとを両立するのにより適している。
この場合、角部における亀裂や、角部から直線部に繋がる破損がより発生しにくくなる。
(第1実施形態)
図1(a)は、第1実施形態に係る工作機械用シール部材を示す平面図であり、(b)は、図1(a)のA−A線端面図である。図2は、図1に示した工作機械用シール部材を構成する支持部材と弾性部材とを別々に示す平面図である。図3は、図1に示した工作機械用シール部材の要部拡大平面図である。図4は、図1に示した工作機械用シール部材の使用時における工作機械の摺動面との接触状態を説明する斜視図である。図5は、工作機械用シール部材の取付け状態を説明するための、図4のB−B線断面における要部拡大図である。
弾性部材12は、支持部材11の縁部111から工作機械の摺動面側に突出する突出部12aを含み、突出部12aの支持部材11側と反対側(図1(b)中、右側)の面が工作機械の摺動面と摺接するように支持部材11に接着剤層13を介して固定されている。
工作機械用シール部材10は、複数のボルト穴15を備えている。工作機械用シール部材10は、このボルト穴15を使用して、工作機械の所定の位置に取付けられる。
更に、突出部12aには、角部112Bから支持部材11側に向かって切り込み(スリット)14が設けられている。
このような構成の工作機械用シール部材10は、工作機械の取付部に取付けた際に、突出部12aの一方側の面で工作機械の摺動面と摺接する(面あたりする)ことができる押付け代を確保しつつ、かつ角部112Bにおける工作機械の摺動面との摺接状態を適切な接触状態とすることができる。
このように取付けられた工作機械用シール部材10は、図4に示したように、工作機械用シール部材10の弾性部材12が、90°に屈曲した2つの摺動面40A、40Bを摺動面とする工作機械内の相手部材40と接触した場合、弾性部材12の突出部12aが面あたりで、各摺動面40A、40Bと接触しつつ、2つの直線部112Aで挟まれた角部112Bの切り込み14が開き、切り込み14が開くことにより弾性部材12の突出部12aが相手部材40の摺動面40A、40Bと隙間なく接触することができる。
まず、上記突出部の上記直線部における押付け代について、図2、3を参照しながら説明する。突出部12aの直線部112Aにおける押付け代は、図3中、X1で示される部分の距離であり、工作機械用シール部材10を工作機械に取付けた際に、工作機械の摺動面と押付け代無しで接することとなる仮想部分(図2、3中、A参照)から直線部112Aまでの距離である。
一方、突出部12aの角部112Bにおける押付け代は、図3中、X2で示される部分の距離であり、突出部12aに設けられた切り込み14の支持部材11側の端部14Aと、上記仮想部分Aの角部A′との距離である。
上記押付け代X1は、3mm以上がより好ましい。上記押付け代X1を3mm以上とすることにより、突出部12aが工作機械の摺動面との摺動時に反転してしまうことを確実に回避することができる。
上記押付け代X1の好ましい上限は、15mmである。上記押付け代X1が15mmを超えると、工作機械用シール部材10の使用時の摺動抵抗が大きくなりすぎてしまうことがある。また、弾性部材12の先端側のエッジ部分(図1(b)中、B参照)の押圧が小さくなるため、弾性部材と工作機械の摺動面との間に切粉などが挟まる等の不具合が生じることがある。
上記押付け代X2は、1.5mm以下がより好ましい。長期間に亘って上記亀裂がより発生しにくくなるからである。また、角部112Bの押圧が大きくなりすぎで、角部112Bが摩耗しやすくなる。
一方、上記押付け代X2は、0mm以上であればよい。
なお、押付け代X2の寸法は、切り込み14の長さを変更することによって調整することができる。
また、切り込み14は、角部112Bから上記仮想部分Aの角部A′に向かって設けられている。本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材において、上記切り込みはこの向きに設けられていることが好ましい。一方、上記切り込みは、上記角部から上記支持部材側に向かって設けられていれば、必ずしもこの向きに設けられていなくても良い。
弾性部材12の厚さが5.0mmを超えると、弾性部材12の押圧が大きくなりすぎ、その結果、弾性部材12と工作機械の摺動面との摺動抵抗が大きくなりすぎることがある。一方、上記厚さが0.5mm未満では、弾性部材12の押圧が小さくなりすぎることがあり、その場合、十分なシール性を得られないことがある。
工作機械用シール部材10は3箇所の角部112Bを有しているが、本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材において、上記角部の数は特に限定されず、1箇所以上あれば良い。上記直線部は2箇所以上あれば良い。
本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材において、上記直線部の数や寸法、上記角部の数や角度などはそれぞれ、工作機械の摺動面の形状に応じて適宜選択すれば良い。
本実施形態に係る工作機械用シール部材は、弾性部材の突出部における角部付近の構成が異なる以外は、第1実施形態の工作機械用シール部材と同様である。
図6は、第2実施形態に係る工作機械用シール部材を示す部分平面図である。
本実施形態に係る工作機械用シール部材30は、図6に示すように、支持部材31に接着剤層(図示せず)を介して固定された弾性部材32の突出部32aに、貫通孔36が設けられている。
貫通孔36は、突出部32aにおいて、角部132Bとこの角部132Bより支持部材31側に位置する仮想部分Aの角部A′との間に位置するように設けられている。
また、貫通孔36は、切り込み34の角部132Bと反対側の端部と繋がるように設けられている。
そのため、貫通孔36を備えた工作機械用シール部材30は、突出部32aを工作機械の摺動面に押し付けた際に、角部132Bがより広がりやすくなっている。その結果、工作機械用シール部材30は、角部132Bにおける亀裂や、角部132Bから直線部132Aに繋がる破損等がより発生しにくくなる。
また、貫通孔36は、壁面が円柱状であるため、使用時に特定の箇所に応力が集中しにくく、より破損を回避しやすくなっている。
なお、上記貫通孔の断面形状(弾性部材に厚さ方向に垂直な方向の形状)は、円に限定されず、多角形や楕円形、その他任意の形状であれば良い。これらのなかでは、特定の箇所に応力が集中しにくい点から、曲線のみで囲まれた形状が好ましい。
貫通孔36の開口径は、X1の寸法に応じて適宜調整すれば良く、例えば、1〜10mmが好ましい。
本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材は、必ずしも接着剤層を備えている必要はない。すなわち、上記工作機械用シール部材は、支持部材と弾性部材とが接着剤層を介在することなく直接重ね合わせられていても良く、この状態で工作機械の取付部に取り付けられても良い。
本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材は、上述したように、ボルトとナットとを使用し、弾性部材が工作機械の取付部と支持部材とで挟まれるように、上記工作機械の取付部に取付けられる。そのため、上記接着剤層が無くても上記支持部材及び上記弾性部材を所定の状態で工作機械に取付けることができる。
このような接着剤層を介することなく、支持部材と弾性部材とが直接重ね合わせられた工作機械用シール部材は、弾性部材のみの交換や、支持部材の再利用が容易である。
上記低μ化剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、シリカ等の金属酸化物や、銅、ニッケル、鉄、アルミ等の金属等からなる粒子;ガラスバルーンやフライアッシュバルーン等のシリカを主成分とする中空粒子;アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属製の短繊維や、ポリアミド等の樹脂製の短繊維などが挙げられる。
上記低μ化剤としては、ゴム成分(エラストマー成分)となじみやすく化学的安定であることから、金属酸化物粒子が好ましく、酸化セリウム粒子がより好ましい。
上記弾性部材が低μ化剤を面方向全体に分散した状態で含有する場合、上記低μ化剤の配合量はゴム成分(エラストマー成分)100重量部に対して1.8〜15重量部が好ましい。
上記低μ化剤の配合量が1.8重量部未満では、低μ化剤を含有させる効果(摺動抵抗の低減効果)があまり得られない。一方、15重量部を超えると、摺動時に弾性部材から低μ化剤が脱落しやすくなり、その結果、耐久性が低下することがある。
上記低μ化剤のより好ましい配合量は、ゴム成分(エラストマー成分)100重量部に対して1.8〜9.5重量部である。
(支持部材)
上記支持部材は、上記弾性部材を支持しつつ、上記工作機械用シール部材を工作機械に確実に取り付けるための板状の部材である。
上記支持部材の材質としては、耐久性や強度の点から一般にスチールやアルミニウム等の金属材料が適当であるが、セラミックや剛性プラスチック等であっても良い。
上記支持部材には、表面無処理の鋼板、リン酸亜鉛処理やクロメート処理や錆止め樹脂処理等の表面処理の施された鋼板、りん青銅やばね鋼などの弾性金属板等も使用することができる。
上記弾性部材は、工作機械用シールの使用時に、工作機械の摺動面と摺接する板状の部材であり、少なくとも上記突出部の片面側で工作機械内の摺動面と接触する。
上記弾性部材の材質としては、その使用対象が工作機械であり、耐油性が求められることから、例えば、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、ウレタンエラストマー、フッ素ゴム、シリコーンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)等が挙げられる。
これらのなかでは、ウレタンエラストマーが好ましい。耐久性(耐摩耗性)に優れるため、長期間に亘って所望の性能を維持することができるからである。
上記ポリオールは、数平均分子量が1000〜3000であることが好ましい。上記範囲内のポリオールを用いることにより、使用時に切り粉やクーラント等の侵入を確実に防止することができる。
上記数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)測定によるポリスチレン換算の測定値である。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、触媒の存在下で低分子量グリコールを開始剤としてε−カプロラクトンを開環付加させることにより得られるものが挙げられる。
上記熱硬化性ウレタン組成物は、上記ポリオール成分がポリエチレンアジペートエステルポリオール(PEA)である熱硬化性ウレタン組成物が特に好ましい。
ポリオール成分がPEAである熱硬化性ウレタン組成物の硬化物からなる弾性部材を備えた工作機械用シール部材は、クーラントによる膨潤や溶出が発生しにくい。そのため、クーラントを使用する工作機械に使用した際に、クーラントに晒されたとしても長期間に亘って、その要求特性を満足することができる。
上記PEAの数平均分子量は、使用時に切り粉やクーラント等の侵入をより確実に防止することができる点から、1000〜3000であることが好ましい。
上記イソシアネート成分としては特に限定されず、例えば、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート等が挙げられる。
上記脂環族イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
これらのイソシアネート成分は、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
上記イソシアネート成分としては、MDIやNDIが好ましい。芳香族イソシアネートの中でも特に良好な耐摩耗性を発現するからである。
これらのなかでは、適切なゴム硬度、ゴム剛性を発現させやすいことから、1,4−ブタンジオール、TMP、BHEBが好ましい。また、1,4−ブタンジオール、TMP、BHEBを含む熱硬化性ウレタン組成物は、ポットライフが比較的長く、手注型でも成形することができる。
上記架橋剤は、単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
上記イソシアネート基濃度(重量%)とは、イソシアネート成分、ポリオール成分、及び、架橋剤の合計量中に含まれるイソシアネート基の重量割合をいう。
また、上記条件で硬化処理を行い、金型等から脱型した後、例えば、100〜160℃で3〜48時間の条件で後硬化を行っても良い。
なお、上記熱硬化性ウレタン組成物に含まれるイソシアネート成分及びポリオール成分は、上記熱硬化性ウレタン組成物を所定の条件で硬化させる前に、予め反応させてプレポリマーとしておいても良い。
これらのなかでは、遠心成形、連続回転成形が好ましい。
また、遠心成形等で弾性部材を成形する場合には、熱硬化性ウレタン組成物等の原料組成物を複数回に分けて投入しても良い。
特に、上記低μ化剤を含有する弾性部材を作製する場合には、成形時に低μ化剤が遠心力や自重により片面側に偏在するが、複数回に分けて原料組成物を投入することにより、低μ化剤の偏在状態を調整することができる。
上記弾性部材の硬度が55°未満では、摺動時に変形してしまい、切り粉等の侵入を充分に防止することができないことがある。一方、上記硬度が、90°を超えると弾性部材が硬すぎるため、摺動時に破損してしまうことがある。上記弾性部材のより好ましい硬度は、60〜75°である。
上記JIS A 硬度は、JIS K 7312に準じて、スプリング式タイプA硬さ試験機により測定される値である。
また、上記弾性部材として、上記熱硬化性ウレタン組成物の硬化物を採用する場合、クーラントに対する耐性を確保する観点からは、上記JIS−A硬さは、67゜以上が好ましく、70〜85°がより好ましい。
上記接着剤層としては特に限定されず、各部材の材質を考慮して適宜選択すれば良い。
上記接着剤層としては、例えば、EVA系、ポリアミド系又はポリウレタン系のホットメルト接着剤や、硬化型接着剤等により形成されたもの、更には両面テープにより形成されたもの等が挙げられる。
上記接着剤層の厚さは特に限定されないが、50〜500μmが好ましい。
このような接着剤層を備えた工作機械用シール部材は、支持部材と弾性部材との間を通ったクラートの侵入がより発生しにくくなる。また、上記工作機械用シール部材は、工作機械への取付け時の位置合わせが容易になる。
上記工作機械用シール部材は、図2に示したような支持部材11と弾性部材12とを別々に作製した後、接着剤層13を介して両者を所定の位置関係で貼り合わせることにより製造することができる。
支持部材11は、鋼板等を所定の形状に裁断することにより作製することができる。
弾性部材12は、熱硬化性ポリウレタン等からなるシート状物を所定の形状に裁断することにより作製することができる。なお、弾性部材12における切り込みは、弾性部材12を支持部材11と貼り合わせる前に設けても良いし、貼り合わせた後に設けても良い。
支持部材の作製
厚さ0.8mmの鋼板((株)神戸製鋼所製、グリーンコートGX−K2)をタレットパンチで裁断し、図2に示した形状の支持部材11を作製した。
下記の方法により、ウレタンシートA及びBを作製した。
(ウレタンシートAの作製)
110℃に加温したMDI−PEAプレポリマー(三洋化成工業社製、商品名「サンプレンP−6814」)100.00重量部に、1,4−BD(1,4−ブタンジオール、三菱化学社製)6.36重量部と、TMP(トリメチロールプロパン、三菱ガス社製)0.20重量部と、酸化セリウム粉末(太陽鉱工社製、セリコCH−BS302)5.00重量部とを加えて撹拌混合してウレタン組成物を調製した。
次に、得られたウレタン組成物を遠心成形機に投入し、金型温度150℃、回転数900rpm、架橋時間50分間の条件で架橋させ、厚さ1.6mmで円筒状の硬化物を成型した後、脱型した。その後、円筒状の硬化物の一か所を切断して板形に展開し、送風オーブン内にて110℃、24時間の条件で後架橋を行い、ウレタンシートAを作製した。
従って、酸化セリウム粉末が偏在した上記一方側の面の動摩擦係数は、上記他方側の面の動摩擦係数に対する比で、0.5である。
[測定条件]
移動速度:25mm/sec
相手材:アルマイト処理鋼板
角度:25゜
当て方向:トレーリング
サンプル当接部長さ:10mm
垂直加重:100g
摺擦時の水平加重を測定、(水平加重/垂直加重)を摩擦係数とする
静摩擦係数:摺擦開始時の最大値
動摩擦係数:最大値を越えて定常状態になった時の値
ウレタン組成物の投入量を変更した以外は、ウレタンシートAの作製と同様にして、厚さ0.7mmのウレタンシートを作製した。
次に、2枚のウレタンシートの酸化セリウム粉末の量が少ない側の面(遠心成形金型内において空気側の面)同士が対向するように重ね合わせて、厚さ1.4mmのウレタンシートBとした。
上述した方法で作製したウレタンシートAを所定の外形寸法で裁断し、更に所定の切り込みを設けて、弾性部材Aとした。
次に、上述した方法で作製した支持部材と弾性部材Aとを互いに位置合わせしながら、5mm幅の両面テープ(日東電工社製、No.500)を用いて所定の向きで貼り合わせ、図1に示した形状の工作機械用シール部材10を作製した。
ここで、弾性部材Aは、直線部における押付け代X1が6mm、角部における押付け代X2が0.5mmになるように設計した。
上述した方法で作製したウレタンシートBを所定の外形寸法で裁断して、弾性部材Bとした。
次に、上述した方法で作製した支持部材と弾性部材Bとを互いに位置合わせしながら、5mm幅の両面テープ(日東電工社製、No.500)を用いて貼り合わせ、図1に示した形状の工作機械用シール部材10を作製した。
但し、弾性部材Bは、直線部における押付け代X1が0.7mm、角部における押付け代X2が0.5mmになるように設計した。
なお、弾性部材Bの角部には切り込みは設けていない。
図7(b)に示したような断面形状を有するスライドシール(バンドー化学社製、C−R−3S−R)を評価用の工作機械用シール部材とした。
実施例1及び比較例1、2の工作機械用シール部材を工作機械(津根精機社製、切断機)に取り付けて評価した。ここでは、ソーヘッドを備えた角型の摺動ガイド部の1か所に工作機械用シール部材を取付けた後、切断機を下記の条件で駆動させ、そのときの工作機械用シール部材の状態を観察した。結果を表1に示した。
(切断機の駆動条件)
鋸刃のサイズ及び回転数:φ400mm、100rpm
ソーヘッド前進速度:25mm/sec
ソーヘッド後退速度:200mm/sec
ソーヘッドの1往復タイム:9.0sec
(観察条件)
工作機械用シール部材の走行距離が、10km、15km、20km、30km、40km、50km、75km、100km、150kmに達した時点で切断機を停止して、工作機械用シール部材の外観観察と、押付け代の測定とを行った。
なお、比較例1の工作機械用シール部材は30kmで、比較例2の工作機械用シール部材は20kmで観察を終了した。
11、31 支持部材
12、32 弾性部材
12a、32a 突出部
13 接着剤層
14、34 切り込み
15 ボルト穴
20 取付部
21 ボルト
22 ナット
36 貫通孔
40 相手部材
112 先端縁
112A、132A 直線部
112B、132B 角部
L 突出長さ
X1 押付け代
X2 押付け代
X3 押付け代
この場合、上記直線部における工作機械の摺動面との接触状態を面あたりとし、かつ工作機械の摺動面との摺動時に上記突出部が反転してしまうことを確実に回避することができる。そのため、優れたシール性と、摩耗しにくさとを両立するのにより適している。
上記押付け代X2は、1.5mm以下がより好ましい。長期間に亘って上記亀裂がより発生しにくくなるからである。
一方、上記押付け代X2は、0mm以上であればよい。
なお、押付け代X2の寸法は、切り込み14の長さを変更することによって調整することができる。
また、切り込み14は、角部112Bから上記仮想部分Aの角部A′に向かって設けられている。本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材において、上記切り込みはこの向きに設けられていることが好ましい。一方、上記切り込みは、上記角部から上記支持部材側に向かって設けられていれば、必ずしもこの向きに設けられていなくても良い。
上記接着剤層としては特に限定されず、各部材の材質を考慮して適宜選択すれば良い。
上記接着剤層としては、例えば、EVA系、ポリアミド系又はポリウレタン系のホットメルト接着剤や、硬化型接着剤等により形成されたもの、更には両面テープにより形成されたもの等が挙げられる。
上記接着剤層の厚さは特に限定されないが、50〜500μmが好ましい。
このような接着剤層を備えた工作機械用シール部材は、支持部材と弾性部材との間を通ったクーラントの侵入がより発生しにくくなる。また、上記工作機械用シール部材は、工作機械への取付け時の位置合わせが容易になる。
Claims (4)
- 板状の支持部材と板状の弾性部材とを備え、
前記弾性部材が工作機械の取付部と前記支持部材とで挟まれるように工作機械に取り付けられ、前記弾性部材が工作機械の摺動面と摺接する工作機械用シール部材であって、
前記弾性部材は、前記支持部材の縁部から前記工作機械の摺動面側に突出する突出部を含み、前記突出部の片面側が前記工作機械の摺動面と摺接するように構成され、
前記突出部の先端縁は、複数の直線部と、前記複数の直線部のうちの隣接する2つの直線部に挟まれた角部とを有し、
前記突出部は、前記角部から前記支持部材側に向かって切り込みが設けられている
ことを特徴とする工作機械用シール部材。 - 前記弾性部材は、熱硬化性ポリウレタンと低μ化剤とを含有する請求項1に記載の工作機械用シール部材。
- 前記突出部は、前記直線部おける押付け代が3mm以上になるように設けられている請求項1又は2に記載の工作機械用シール部材。
- 前記突出部には、前記切り込みの前記角部と反対側の端部に繋がった貫通孔が設けられている請求項1〜3の何れかに記載の工作機械用シール部材。
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