JP6174175B1 - 工作機械用シール部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 相手部材との摺動抵抗の低減を図りつつ、長期間に亘って優れたシール性能を維持することができる工作機械用シール部材を提供する。【解決手段】 支持部材と、上記支持部材に一体化された板状の弾性部材とを備え、上記板状の弾性部材は、厚さ方向で対向する2つの面のうちの少なくとも一方の面を、縁部が相手部材と当接する当接面とする工作機械用シール部材であって、上記弾性部材は、熱硬化性ポリウレタンと無機粒子とを含む組成物からなり、上記無機粒子は、上記弾性部材の厚さ方向において、上記当接面側に偏在していることを特徴とする工作機械用シール部材。【選択図】 図2

Description

本発明は、工作機械用シール部材に関する。
旋盤やマシニングセンタなどの工作機械では、駆動機構等を切屑やクーラント(切削油)等から保護するために、種々の工作機械用シール部材、例えば、リップシール、スライドシール、テレスコシール、カバーシール等が使用されている。
工作機械用シール部材としては、例えば、芯金と芯金に加硫接着されたニトリルゴム(NBR)等からなるシール材とを備えたものが知られている。
近年、工作機械の高速化に伴い、シール材と相手部材との摺動抵抗が高いことが問題となっている。例えば、工作機械用シール部材において、シール材が相手部材と高速摺動することによりシール材と相手部材との間に隙間が発生しやすくなり、その結果、工作機械用シール部材の性能が低下する(切屑やクーラントが漏れやすくなる)ことや、高速摺動によりシール材がめくれたり、ビビリ音が発生したりすることが問題となっている。
一方、シール材と相手部材との摺動抵抗を低減すべく、例えば、相手部材との摺動部に織布や編布を設けた工作機械用シール部材(例えば、特許文献1)や、相手部材との摺動部に有機繊維等の摩擦低減材を配合した工作機械用シール部材(例えば、特許文献2)が提案されている。
特開2000−354934号公報 特開2009−202074号公報
しかしながら、これらの工作機械用シール部材では、充分に摺動抵抗を低減することができなかったり、摺動抵抗は低減することができてもシール性能が早期に低下したりすることがあった。
本発明は、このような課題を解決するものであり、相手部材との摺動抵抗の低減を達成しつつ、シール性能を長期に亘って維持することができる工作機械用シール部材を提供することを目的とする。
(1)支持部材と、上記支持部材に一体化された板状の弾性部材とを備え、
上記板状の弾性部材は、厚さ方向で対向する2つの面のうちの少なくとも一方の面を、縁部が相手部材と当接する当接面とする工作機械用シール部材であって、
上記弾性部材は、熱硬化性ポリウレタンと無機粒子とを含む組成物からなり、
上記無機粒子は、上記弾性部材の厚さ方向において、上記当接面側に偏在していることを特徴とする工作機械用シール部材。
このような工作機械用シール部材では、弾性部材が熱硬化性ポリウレタンと無機粒子とを含む組成物(以下、ウレタン系組成物ともいう)からなる。そのため、熱硬化性ポリウレタンによって耐摩耗性を向上させるとともに、無機粒子によって相手部材との摺動抵抗を低くすることができる。このとき、上記無機粒子は、弾性部材の摺動面側に偏在しているため、確実に上記摺動抵抗を低減することができ、更には無機粒子によって弾性部材が硬くなり、上記弾性部材に要求される適切な弾性変形等の物性が損なわれることを回避することができる。
そのため、上記工作機械用シール部材は高速摺動条件下で使用した場合であっても、長期間に亘ってシール性能を維持することができるともに、ビビリ音の発生や、弾性部材のめくれ等を回避することができる。
また、上記弾性部材は、上記ウレタン系組成物からなるため、NBR等からなる弾性部材に比べてクーラント(切削液)により膨潤しにくく、耐クーラント性にも優れる。
(2)上記(1)の工作機械用シール部材において、上記板状の弾性部材は、当該弾性部材を厚さ方向において外側に位置する第1外側層及び第2外側層とこれらの外側層に挟まれた中間層とに3等分した際に、第1外側層における上記無機粒子の含有量が上記中間層における上記無機粒子の含有量よりも多くなるように構成されており、上記第1外側層の外側表面を上記当接面とすることが好ましい。
このような工作機械用シール部材では、無機粒子が当接面側に大きく偏在しているため、弾性部材における相手部材との摺動抵抗の低減を、弾性部材の特性(適切な弾性変形等)を損なうことなく達成することができる。そのため、相手部材との摺動抵抗の低減、及び、長期間に亘る優れたシール性の確保により適している。
(3)上記(1)又は(2)の上記工作機械用シール部材は、上記無機粒子として無機酸化物粒子又は無機バルーンを含むことが好ましい。
これらの無機粒子は、上記弾性部材内で偏在させるのに適している。また、熱硬化性ポリウレタンとの密着性も良好である。
(4)上記(1)又は(2)の上記工作機械用シール部材は、上記無機粒子として酸化セリウム粒子を含み、上記酸化セリウム粒子の含有量が、上記熱硬化性ポリウレタン100重量部に対して2〜20重量部であることが好ましい。
酸化セリウム粒子は、熱硬化性ポリウレタンとなじみやすく、化学的安定性に優れ、上記摺動抵抗の低減にも適している。また、上記酸化セリウム粒子は、弾性部材の当接面側に偏在させやすい点でも好適である。そのため、上記セリウム粒子を上述した含有量で含有させることで、相手部材との摺動抵抗を効果的に低減しつつ、より長期間に亘り優れたシール性能を確保することができる。
(5)上記(2)の上記工作機械用シール部材において、更に、上記第2外側層における上記無機粒子の含有量が上記中間層における上記無機粒子の含有量よりも多くなるように構成されており、上記第2外側層の外側表面を上記当接面とすることも好ましい。
このような工作機械用シール部材は、例えば、工作機械のドア部分等に取り付けるカバーシールのような、上記板状の弾性部材が有する厚さ方向において対向する2つの面の両方を相手部材との当接面とする工作機械用シール部材に好適に使用することができる。
(6)上記(5)の工作機械用シール部材は、上記無機粒子として、無機酸化物粒子、及び、無機バルーンを含み、上記第1外側層が上記中間層よりも多く含有する無機粒子が、無機酸化物粒子及び無機バルーンのいずれか一方であり、上記第2外側層が上記中間層よりも多く含有する無機粒子が、無機酸化物粒子及び無機バルーンのいずれか他方である、ことが好ましい。
このような2種類の無機粒子を含有することにより、上記弾性部材における第1外側層と第2外側層とのそれぞれに確実に無機粒子を偏在させることができ、それぞれの当接面における摺動抵抗を確実に低減させることができる。また、上記中間層は無機粒子の含有量が少ないため、シール性能も維持することができる。
本発明の工作機械用シール部材では、相手部材との摺動抵抗の低減を図りつつ、長期間に亘って優れたシール性能を維持することができる。
(a)は、第1実施形態の工作機械用シール部材を示す平面図であり、(b)は(a)の側面図である。 図1に示した工作機械用シール部材が備える弾性部材の要部を模式的に示す断面図である。 図1に示した工作機械用シール部材を取り付けたテレスコカバーの一部を模式的に示す断面図である。 (a)は、第2実施形態の工作機械用シール部材を示す側面図であり、(b)は、(a)に示した工作機械用シール部材が備える弾性部材の要部を模式的に示す断面図である。 (a)は、実施例1〜10及び比較例1の工作機械用シール部材の動摩擦係数を測定する方法を説明するための模式図であり、(b)は、比較例2、3の工作機械用シール部材の動摩擦係数を測定する方法を説明するための模式図である。
(第1実施形態)
以下、本実施形態に係る工作機械用シール部材について説明する。
本実施形態に係る工作機械用シール部材は、支持部材と上記支持部材に一体化された板状の弾性部材とを備える。
図1(a)は、第1実施形態の工作機械用シール部材を示す平面図であり、(b)は(a)の側面図である。図2は、図1に示した工作機械用シール部材が備える弾性部材の要部を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、工作機械用シール部材10は、略矩形状の金属板を長手方向に沿って屈曲させた加工金属板からなる支持部材11と、支持部材11の長手方向に沿って接着剤層13を介して固定された板状の弾性部材12とを備える。
弾性部材12は板状の部材であり、厚さ方向(図2中、上下方向)で対向する第1面14及び第2面15を有し、第1面14の縁部12a(弾性部材12の第1面14と先端面12cとがなすエッジ部の近傍)で相手部材と当接する。これにより工作機械の所定の箇所をシールすることができる。工作機械用シール部材10では、第1面14が当接面である。
弾性部材12は、熱硬化性ポリウレタンと無機粒子とを含む組成物からなり、無機粒子16が弾性部材12中に分散している。このとき無機粒子16は、図2に模式的に示すように、当接面14側に偏在している。
具体的には、弾性部材12を第1面(当接面)14側から第2面15側に向かって、第1外側層17A、中間層18及び第2外側層17Bに厚さ方向で3等分した際に、第1外側層17Aにほとんどの無機粒子16が含有され、中間層18はごくわずかに無機粒子を含有し、第2外側層17Bは無機粒子16を含有しないように、無機粒子16が偏在している。
また、第1外側層17A内では、中間層18側から当接面14側に向かって、無機粒子16の含有量が徐々に増加し、一部の無機粒子16は、当接面14側に露出している。
なお、本実施形態に係る工作機械用シール部材では、第1外側層17Aのみが無機粒子を含有して、第2外側層17B及び中間層18が全く無機粒子を含有していなくても良い。
このような弾性部材12を備えた工作機械用シール部材10は、熱硬化性ポリウレタンによって耐摩耗性が良好となるとともに、無機粒子16によって相手部材との摺動抵抗が低くなる。そのため、高速摺動条件下での使用であっても、長期間に亘って優れたシール性能を確保することができる。
工作機械用シール部材10は、例えば、テレスコシールとして使用することができる。
図3は、工作機械用シール部材10を取り付けたテレスコカバーの一部を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、工作機械用シール部材10は、テレスコカバー100を構成する各カバー部材110の外側先端部の下面に支持部材11をボルト締め(図示せず)することにより固定する。このとき、工作機械用シール部材10は、下側に位置するカバー部材110の外面110aと、弾性部材12の当接部とが確実に摺接する位置に取り付ける。
なお、支持部材11には、ボルト用の貫通孔(図示せず)を予め形成しておく。
このように各カバー部材110の外側先端部に工作機械用シール部材10を取り付けたテレスコカバーでは、当該テレスコカバーに伸縮時にテレスコカバーの外側に存在する切り粉等がカバー内へ入り込むのを防止することができる。
工作機械用シール部材10は、旋盤やマシニングセンタ等の種々の工作機械において、工作機械内の駆動機構等の各種部品を切り粉やクーラント等から保護するためのシール部材として使用することができる。具体的には、上述したテレスコシールのみならず、リップシール、スライドシール、カバーシール等としても使用することができる。
次に、本実施形態の工作機械用シール部材の構成部材について説明する。
(支持部材)
支持部材11は、上記弾性部材を工作機械に確実に取り付けるための部材である。その材質としては、耐久性や強度の点から一般にスチールやアルミニウム等の金属材料が適当であるが、セラミックや剛性プラスチック等であってもよい。
また、表面無処理の鋼板、リン酸亜鉛処理やクロメート処理や錆止め樹脂処理等の表面処理の施された鋼板、りん青銅やばね鋼などの弾性金属板等も使用することができる。
更に、上記支持部材には、接着剤層と密着性を向上させるべく、プライマーによる表面処理や、粗面化処理が施されていてもよい。
(弾性部材)
弾性部材12は、熱硬化性ポリウレタンと無機粒子とを含む組成物(ウレタン系組成物)からなる。
上記無機粒子としては、例えば、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄、シリカ等の無機酸化物からなる無機酸化物粒子や、銅、ニッケル、鉄、アルミ等の金属等からなる金属粉末;ガラスバルーンやフライアッシュバルーン等の無機バルーン等などが挙げられる。これらの無機粒子は単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
本発明において、無機バルーンとは、無機材料からなる粒子のうち中空構造のものをいう。また、無機酸化物粒子とは、酸化セリウム等の金属酸化物、酸化硅素等の半金属酸化物、又は、これらの複合物からなる粒子のことをいう。なお、上記無機酸化物粒子が中空構造を有する場合、それは無機バルーンであるとして無機酸化物粒子とは区別する。
これらの無機粒子の中では、弾性部材中で偏在させるのに適しており、また、熱硬化性ポリウレタンとの密着性も良好である点から無機酸化物粒子や無機バルーンが好ましい。
特に、熱硬化性ポリウレタンとなじみやすく、化学的安定性に優れ、摺動抵抗の低減に適していることから酸化セリウム粒子が好ましい。また、上記酸化セリウム粒子は、比重が熱硬化性ポリウレタンに比べて充分に重いため、弾性部材の当接面側に偏在させやすい点でも適している。
上記無機粒子の含有量は、無機粒子の種類に応じて適宜選択すればよい。
例えば、上記無機粒子が酸化セリウム粒子の場合には、熱硬化性ポリウレタン100重量部に対して2〜20重量部が好ましい。
上記酸化セリウム粒子の含有量が2重量部未満では、充分に摺動抵抗を低減させることができない場合がある。一方、20重量部を超えると、弾性部材が硬くなりシール性能に劣ることがある。また、上記含有量が20重量部を超えても摺動抵抗をさらに低減させることは難しい。上記酸化セリウム粒子の含有量は、熱硬化性ポリウレタン100重量部に対して3〜15重量部がより好ましい。
また、例えば、上記無機粒子が無機バルーンの場合には、熱硬化性ポリウレタン100重量部に対して0.1〜2.0重量部が好ましい。
上記無機バルーンの含有量が0.1重量部未満では、充分に摺動抵抗を低減させることができない場合がある。一方、2.0重量部を超えると、弾性部材が硬くなりシール性能に劣ることがある。また、上記含有量が2.0重量部を超えても摺動抵抗をさらに低減させることは難しい。上記無機バルーンの含有量は、熱硬化性ポリウレタン100重量部に対して0.2〜1.0重量部がより好ましい。
上記無機粒子の粒子径は、0.5〜100μmが好ましい。
上記粒子径は、上記無機粒子が無機酸化物粒子である場合には、0.5〜10μmが好ましく、上記無機粒子が無機バルーンの場合には、20〜80μmが好ましい。
上記無機粒子の粒子径が小さいと、無機粒子の比表面積が大きくなり、熱硬化性ポリウレタンとの流動抵抗が大きくなるため、弾性部材中で偏在させにくくなることがある。一方、上記粒子径が大きいと、摺動時に熱硬化性ポリウレタンから脱落しやすくなり、長期に亘って低い摺動抵抗を安定して維持することができない場合がある。
上記無機粒子の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、セイシン企業社製、LMS−2000e等)を用いて、体積測定法にて、累積粒度分布50%時の値d50(メディアン径)を測定したものである。
上記弾性部材では、このような無機粒子が厚さ方向に偏在している。上記無機粒子を偏在させる手法については後述する。
本発明において、熱硬化性ポリウレタンとは、ポリオール成分、イソシアネート成分及び架橋剤等を含有する熱硬化性ウレタン原料が硬化した硬化物をいう。
上記ポリオール成分としては特に限定されず、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
上記ポリオールは、数平均分子量が1000〜3000であることが好ましい。切粉やクーラント等の侵入を防止するのにより適しているからである。上記数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)測定によるポリスチレン換算の測定値である。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコールとを常法に従って反応させることにより得たもの等が挙げられる。
上記ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、それらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。これらのなかでは、耐摩耗性が良好な点から、アジピン酸が好ましい。
上記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、p−キシレンジオール等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。上記グリコールとしては、脂肪族グリコールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが更に好ましい。
ジカルボン酸及びグリコールの反応物であるポリエステルポリオールは、線状構造であるが、3価以上のエステル形成成分を用いた分枝状ポリエステルであってもよい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、それらの共重合体等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、耐摩耗性が良好な点から、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、触媒の存在下で低分子量グリコールを開始剤としてε−カプロラクトンを開環付加させることにより得られるものが挙げられる。
これらのポリオール成分は単独で用いても良いし、2種併用してもよい。
上記ポリオール成分は、ポリエチレンアジペートエステルポリオール(PEA)が好ましい。この場合、上記弾性部材は、耐クーラント性に特に優れることになる。そのため、上記弾性部材を備えた工作機械用シール部材は、より長期間に亘って性能を維持することができる。
上記ポリイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート等が挙げられる。これらのなかでは、耐摩耗性が良好な点から、芳香族イソシアネートが好ましい。
上記脂肪族イソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。また、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体の変性体等も挙げられる。
上記脂環族イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
上記芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、カルボジイミド変性のMDI、ウレタン変性のMDI等が挙げられる。
上記ポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、水等が挙げられる。これらのなかでは、耐油性が良好な点から、ブタンジオール、トリメチロールプロパンが好ましい。
上記架橋剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
熱硬化性ウレタン原料は、その他、鎖延長剤、架橋促進剤や架橋遅延剤等の反応助剤、加水分解防止剤、着色剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、防黴剤、難燃剤、増量剤等を含有していてもよい。
弾性部材12では、無機粒子16が当接面14側に偏在している。
このような構成を備えた弾性部材12は、例えば、下記の第1手法、第2手法等により作製することができる。
(第1手法)
上記熱硬化性ウレタン原料と上記無機粒子とを混合して原料組成物を調製する。
次に、得られた原料組成物を遠心成形機に投入し、所定に条件で熱硬化性ウレタン原料を熱硬化させることにより、円筒状のウレタン系組成物を成形する。
その後、ウレタン系組成物をシート状に展開し、所定のサイズに裁断することにより、弾性部材とする。
この第1手法では、熱硬化性ウレタン原料と無機粒子との比重差を利用して無機粒子を偏在させることができる。
上記第1手法では、熱硬化性ウレタン原料より比重の重い無機粒子(例えば、酸化セリウム粒子等)を配合した場合には、成型機の金型面側に無機粒子が偏在した弾性部材を作製することができる。一方、熱硬化性ウレタン原料より比重が軽い無機粒子(例えば、無機バルーン等)を配合した場合には、成型機の金型面と反対側(以下、エアー側ともいう)に無機粒子が偏在した弾性部材を作製することができる。
(第2手法)
上記熱硬化性ウレタン原料と上記無機粒子とを混合した原料組成物Aと、上記熱硬化性ウレタン原料のみからなる原料組成物Bとを別々に調製する。
次に、得られた原料組成物A及びBのいずれか一方の原料組成物を遠心成形機に投入し、所定に条件で熱硬化性ウレタン原料を半硬化させる。続いて、未投入であった他方の原料組成物を遠心成形機に投入し、所定の条件で硬化させることにより、円筒状のウレタン系組成物を成形する。
その後、ウレタン系組成物をシート状に展開し、所定のサイズに裁断することにより、弾性部材とする。
この第2手法では、熱硬化性ウレタン原料と無機粒子との比重差が小さい場合であっても無機粒子を偏在させることができる。
上記第2手法では、無機粒子として熱硬化性ウレタン原料より比重の重い無機粒子を配合する場合には、無機粒子を含有する原料組成物Aを先に投入する。一方、無機粒子として熱硬化性ウレタン原料より比重の軽い無機粒子を配合する場合には、無機粒子を含有しない原料組成物Bを先に投入する。これにより、金型面側又はエアー側のいずれかに無機粒子が偏在した弾性部材を作製することができる。
これらの第1、第2手法では、成形温度(硬化時間)や、成形機の回転速度等を調製することによって、無機粒子の偏在状態を調節することができる。
また、これらの第1、第2手法において、成形機に投入する前の熱硬化性ウレタン原料は、ポリオール成分及びイソシアネート成分を未反応のまま含んでいても良いし、両者が反応したウレタンプレポリマーとして含んでいてもよい。即ち、熱硬化性ウレタン原料の硬化は、ワンショット法で行ってもよいし、プレポリマー法で行ってもよい。
上記弾性部材の硬度(JIS A 硬度)は、55〜90°が好ましい。
上記弾性部材の硬度が55°未満では、工作機械の摺動面上を摺動する際に変形してしまい、切り粉等の侵入を確実に防止することができないことがあり、一方、90°を超えると弾性部材が硬すぎるため、摺動時に破損してしまうことがある。より好ましい弾性部材の硬度は、65〜80°である。
上記JIS A 硬度は、JIS K 7312に準じて、スプリング式タイプA硬さ試験機により測定される値である。
また、上記弾性部材の反発弾性は、10%〜50%が好ましい。
上記弾性部材の反発弾性を上記範囲とすることにより、摺動時に異音(ビビり音)の発生を抑制しやすくなる。より好ましい反発弾性は、20%〜40%である。
また、上記反発弾性は、JIS K 7312に準拠して測定された値である。
(接着剤層)
上記弾性部材と上記支持部材とを固定する接着剤層としては特に限定されず、各部材の材質を考慮して適宜選択すればよい。
上記接着剤層としては、例えば、EVA系、ポリアミド系又はポリウレタン系のホットメルト接着剤や、硬化型接着剤等により形成されたもの、更には両面テープにより形成されたもの等が挙げられる。
上記接着剤層の厚さは特に限定されないが、50〜500μmが好ましい。
(第2実施形態)
本実施形態に係る工作機械用シール部材は、板状の弾性部材における無機粒子の分散状態が第1実施形態とは異なる。
図4(a)は、第2実施形態の工作機械用シール部材を示す側面図であり、(b)は、(a)に示した工作機械用シール部材が備える弾性部材の要部を模式的に示す断面図である。
図4(a)に示すように、工作機械用シール部材20は、板状の支持部材21と、支持部材21の片面に接着剤層23を介して固定された弾性部材22とを備える。
弾性部材22は板状の部材であり、厚さ方向(図4(a)中、左右方向)で対向する第1面24及び第2面25を有し、第1面24の縁部22a(弾性部材22の第1面24と先端面22cとがなすエッジ部の近傍)で相手部材と当接するともに、第2面25の縁部22b(弾性部材22の第2面25と先端面22cとがなすエッジ部の近傍)でも相手部材と当接する。工作機械用シール部材20では、第1面24及び第2面25がともに相手部材との当接面となる。
弾性部材22は、熱硬化性ポリウレタンと無機粒子とを含む組成物からなり、無機粒子が弾性部材22中に分散している。このとき無機粒子は2種類の無機粒子26A,26Bからなり、図4(b)に示すように、当接面(第1面)24側には無機粒子26Aが偏在し、当接面(第2面)25側には、無機粒子26Bが偏在している。
具体的には、弾性部材22を第1面(当接面)24側から第2面(当接面)25側に向かって、第1外側層27A、中間層28及び第2外側層27Bに厚さ方向で3等分した際に、無機粒子26Aのほとんどは第1外側層27Aに含有され、無機粒子26Bのほとんどは第2外側層27Bに含有され、中間層28はごくわずかしか無機粒子を含有しないように、無機粒子26A,26Bが偏在している。
また、第1外側層27A内では、中間層28側から当接面24側に向かって無機粒子26Aの含有量が徐々に増加し、一部の無機粒子26Aは当接面24側に露出している。更に、第2外側層27B内では、中間層28側から当接面25側に向かって無機粒子26Bの含有量が徐々に増加し、一部の無機粒子26Bは、当接面25側に露出している。
なお、本実施形態において、中間層28は全く無機粒子を含有していなくてもよい。
このような弾性部材20を備えた工作機械用シール部材20は、熱硬化性ポリウレタンによって耐摩耗性を良好となるとともに、無機粒子26A、26Bによって相手部材との摺動抵抗が低くなる。そのため、長期間に亘って優れたシール性能を確保することができる。
加えて、工作機械用シール部材22は、第1面24及び第2面25がともに相手部材と摺動するのに適した面となっているため、例えば、工作機械のドア等に取り付けるカバーシールとして好適に使用することができる。
本実施形態の工作機械用シール部材の構成部材は、第1実施形態の工作機械用シール部材とほぼ同様であるが、弾性部材22において、第1面24側にも第2面25側にも無機粒子が偏在している点で異なる。
弾性部材22は、このような構成とするために無機粒子として2種類の無機粒子26A,26Bを含有している。
具体的には、熱硬化性ウレタンより比重の重い無機粒子(例えば、酸化セリウム粒子等)と、熱硬化性ウレタンより比重の軽い無機粒子(酸化バルーン等)とを含有している。そのうえで、比重の重い無機粒子が第1面24側又は第2面25側のいずれか一方に偏在し、比重の軽い無機粒子が他方に偏在している。
弾性部材22は、第1実施形態における第1手法と同様に方法により作製することができる。即ち、上記熱硬化性ウレタン原料と上記の2種類の無機粒子とを混合して原料組成物を調製した後、得られた原料組成物を第1手法と同様に成形して弾性部材を作製すればよい。
この場合、比重の重い無機粒子が成型機の金型面側に偏在し、比重の軽い粒子がエアー側に偏在した弾性部材を作製することができる。
また、弾性部材22は、例えば、下記の第3手法によっても作製することができる。
(第3手法)
上記熱硬化性ウレタン原料と上記熱硬化性ウレタン原料より比重の重い無機粒子とを混合した原料組成物Aと、上記熱硬化性ウレタン原料と上記熱硬化性ウレタン原料より比重の軽い無機粒子とを混合した原料組成物Bとを別々に調製する。
次に、得られた原料組成物Aを遠心成形機に投入し、所定に条件で熱硬化性ウレタン原料を半硬化させる。続いて、原料組成物Bを遠心成形機に投入し、所定に条件で硬化させることにより、円筒状のウレタン系組成物を成形する。
その後、ウレタン系組成物をシート状に展開し、所定のサイズに裁断することにより、弾性部材とする。
この第3手法でも、比重の重い無機粒子が成型機の金型面側に偏在し、比重の軽い粒子がエアー側に偏在した弾性部材を作製することができる。
工作機械用シール部材20は、工作機械において、上述したカバーシールのみならず、リップシール、スライドシール、テレスコシール等として使用することができる。
(他の実施形態)
本発明の実施形態は、これらの実施形態に限定されることなく特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更できるものである。
本発明において、工作機械用シール部材が備える弾性部材は、弾性部材を厚さ方向に2等分した際に、いずれか一方の無機粒子の含有量が他方の無機粒子の含有量よりも多くなっていればよい。
本発明の工作機械用シール部材は、必ずしも第1、第2実施形態の工作機械用シール部材のように、板状の弾性部材の当接面側の全体に無機粒子が存在している必要はなく、板状の弾性部材の当接部付近の領域(例えば、弾性部材の先端面から5〜10mmの領域)にのみ無機粒子が存在しており、この領域の厚さ方向において無機粒子が偏在していてもよい。
この場合も、相手部材との摺動抵抗の低減、及び、長期間に亘るシール性の維持を図ることができる。
このように構成された弾性部材の作製は、例えば、金型と2つの注型機を用意し、最初に熱硬化性ウレタン原料と上記無機粒子とを混合した原料組成物を、弾性部材の当接部及びその付近となる部分に注型し、次に、上記熱硬化性ウレタン原料のみからなる原料組成物を残りの部分に注型し、その後、硬化処理を行えばよい。
第1、第2実施形態の工作機械用シール部材では、弾性部材を遠心成形により一体的に作製していたが、上記弾性部材は、無機粒子の含有率(単位厚さあたりの含有量)が異なる熱硬化性ポリウレタンと無機粒子とを含むシートを複数枚作製し、これらを接着剤で貼り合わせたものであってもよい。しかしながら、複数枚のシートを貼りあわせた場合、適切な弾性変形や強度を確保することが難しく、弾性部材に反りが発生するおそれもあるため、上記弾性部材は、無機粒子を含有する1枚の板状体(硬化物)からなるものが好ましい。
以下、実施例によって本発明の実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ここでは、弾性部材を作製して特性を評価するとともに、作製した弾性部材を用いて工作機械用シールを製造して摩擦係数を測定した。
<弾性部材の作製>
(ウレタンプレポリマーの調製)
ポリエチレンアジペートエステルジオール(三洋化成工業(株)製、サンエスター2620、水酸基価56.1mgKOH/g)100重量部に、ピュアMDI(東ソー(株)製、ミリオネートMT)を30.5重量部添加し、70℃雰囲気下で、減圧脱泡し、撹拌しつつ8時間反応させて、プレポリマーAを得た。
(弾性部材Aの作製)
105℃に加温したプレポリマーA100重量部に、70℃の1,4−BD(三井化学社製、1,4−ブタンジオール)6.37重量部及びTMP(三菱瓦斯化学社製、トリメチロールプロパン)0.197重量部、並びに、70℃に加温した酸化セリウム粒子(太陽鉱工社製、セリコCH−601、粒子径2μm)5.32重量部を添加し、120秒間撹拌混合して原料組成物A1を調製した。
これとは別に、酸化セリウム粒子を配合しなかった以外は、原料組成物A1の調製と同様にして原料組成物A2を調製した。
原料組成物A1を155℃に加熱した遠心成形機の金型に注型し、15分間加熱して原料組成物A1を半硬化させた。続いて、原料組成物A2を遠心成型機に投入し、60分間加熱して円筒状の硬化物を得た。その後、円筒状の硬化物の一か所を切断して板形に展開し、送風オーブン内にて110℃、12時間の条件で後架橋を行った。最後に、所定のサイズに裁断し、弾性部材Aを作製した。
なお、弾性部材Aでは、原料組成物A1による硬化物の厚さを0.8mmとし、原料組成物A2による硬化物の厚さを0.7mmとした。
(弾性部材Bの作製)
酸化セリウム粒子として、セリコCH−601に代えて、セリコCH−BS302(太陽鉱工社製、粒子径3μm)を用いた以外は、原料組成物A1の調製と同様にして原料組成物B1を調製した。その後、この原料組成物B1を原料組成物A1に代えて使用した以外は、弾性部材Aの作製と同様にして弾性部材Bを作製した。
(弾性部材Cの作製)
酸化セリウム粒子の配合量を15.99重量部に変更した以外は、原料組成物A1の調製と同様にして原料組成物C1を調製した。その後、この原料組成物C1を原料組成物A1に代えて使用した以外は、弾性部材Aの作製と同様にして弾性部材Cを作製した。
(弾性部材Dの作製)
105℃に加温したプレポリマーA100重量部に、70℃の1,4−BD(三井化学社製)6.37重量部及びTMP(三菱瓦斯化学社製)0.197重量部、並びに、70℃に加温した酸化セリウム粒子(太陽鉱工社製、セリコCH−BS302)3.20重量部を添加し、120秒間撹拌混合して原料組成物Dを調製した。
その後、原料組成物Dを155℃に加熱した遠心成形機の金型に注型し、60分間加熱して円筒状の硬化物を得た。その後、円筒状の硬化物の一か所を切断して板形に展開し、送風オーブン内にて110℃、12時間の条件で後架橋を行った。最後に、所定のサイズに裁断し、弾性部材Dを作製した。なお、弾性部材Dの厚さは1.5mmとした。
(弾性部材Eの作製)
105℃に加温したプレポリマーA100重量部に、70℃の1,4−BD(三井化学社製)6.37重量部及びTMP(三菱瓦斯化学社製)0.197重量部、並びに、70℃に加温したガラスビーズバルーン(巴工業社製、ホウケイ酸ガラス Q−cel5020、粒子径60μm)0.266重量部を添加し、120秒間撹拌混合して原料組成物Eを調製した。
その後、原料組成物Eを155℃に加熱した遠心成形機の金型に注型し、60分間加熱して円筒状の硬化物を得た。その後、円筒状の硬化物の一か所を切断して板形に展開し、送風オーブン内にて110℃、12時間の条件で後架橋を行った。最後に、所定のサイズに裁断し、弾性部材Eを作製した。なお、弾性部材Eの厚さは1.5mmとした。
(弾性部材Fの作製)
ガラスビーズバルーンの配合量を0.139重量部に変更した以外は、原料組成物Eの調製と同様にして原料組成物Fを調製した。その後、この原料組成物Fを原料組成物Eに代えて使用した以外は、弾性部材Eの作製と同様にして弾性部材Fを作製した。
(弾性部材Gの作製)
ガラスビーズバルーンに代えて、フライアッシュバルーン(巴工業社製、セノライトFS150(20)、粒子径60μm)1.07重量部を配合した以外は、原料組成物Eの調製と同様にして原料組成物Gを調製した。その後、この原料組成物Gを原料組成物Eに代えて使用した以外は、弾性部材Eの作製と同様にして弾性部材Gを作製した。
(弾性部材Hの作製)
フライアッシュバルーンとして、セノライトFS150(20)に代えて、セノライトQK75(巴工業社製、粒子径30μm)を用いた以外は、原料組成物Gの調製と同様にして原料組成物Hを調製した。その後、この原料組成物Hを原料組成物Gに代えて使用した以外は、弾性部材Gの作製と同様にして弾性部材Hを作製した。
(弾性部材Iの作製)
105℃に加温したプレポリマーA100重量部に、70℃の1,4−BD(三井化学社製)6.37重量部及びTMP(三菱瓦斯化学社製)0.197重量部、並びに、70℃に加温したガラスビーズバルーン(Q−cel5020)0.266重量部及び酸化セリウム粒子(セリコCH−BS302)3.20重量部を添加し、120秒間撹拌混合して原料組成物Iを調製した。
その後、原料組成物Iを155℃に加熱した遠心成形機の金型に注型し、60分間加熱して円筒状の硬化物を得た。その後、円筒状の硬化物の一か所を切断して板形に展開し、送風オーブン内にて110℃、12時間の条件で後架橋を行った。最後に、所定のサイズに裁断し、弾性部材Iを作製した。なお、弾性部材Iの厚さは1.5mmとした。
(弾性部材Jの作製)
ガラスビーズバルーンに代えて、フライアッシュバルーン(セノライトQK75)1.07重量部を配合した以外は、原料組成物Iの調製と同様にして原料組成物Jを調製した。その後、この原料組成物Jを原料組成物Iに代えて使用した以外は、弾性部材Iの作製と同様にして弾性部材Jを作製した。
(弾性部材Kの作製)
無機粒子を含有しない上記原料組成物A2のみを用いて、厚さを1.5mmの弾性部材Kを作製した。
このとき、原料組成物A2は、原料組成物Dを用いた弾性部材Dの作製と同様の条件で成形し、弾性部材Kを作製した。
<弾性部材の評価>
(1)反りの評価
100mm×100mmに裁断された各弾性部材(厚さは1.5mm)を定盤上に、反りによって端面が浮き上がる向きで載置した。
この状態で端面の浮き上がりの最大値を、厚みゲージを用いて計測して反り量とした。
結果を表1に示した。なお、この評価で反り量が0.4mm以下であれば工作機械用シール部材として好適に使用することができる。
(2)耐クーラント性の評価
約10mm×20mmに裁断された各弾性部材(厚さは1.5mm)の重量を精秤し、その後、50℃のクーラント液(商品名「クリアカット R−H−10P」(ネオス社製)の10倍希釈品)に浸漬した。200時間経過後、弾性部材を取出し、付着したクーラント液を拭き取った後、再度重量を精秤して、浸漬による重量増加率(%)を算出した。
結果を表1に示した。なお、この評価では、重量増加率が10%未満であれば耐クーラント性が良好と判断することができる。
(3)無機粒子の含有状態の確認
各弾性部材をスライス機(フォーチュナ社製 スプリッティングマシンNAF470G)を用いて厚さ方向に3等分にスライスし、金型面側層(第1外側層)と、中間層と、エアー側層(第2外側層)とに切り分けた。次に、各層を約10mm×10mmに裁断して測定試料とした。
まず各試料の重量(重量A)を精秤した。その後、試料を計量済のるつぼにいれた状態で、高温オーブンにて600℃/1時間の条件で加熱した。これにより熱硬化性ポリウレタンを燃焼させた。冷却後、燃焼残渣の重量(重量B)を精秤し、無機粒子の重量とした。
上記重量A及びBに基づき、下記式(1)にて、各層における、熱硬化性ポリウレタン100重量部に対する無機粒子の含有量を算出した。算出値は、小数点以下1位に丸めた。結果は表1に示した。
無機粒子の含有量(PHR)=[B/(A−B)]×100・・・(1)
<工作機械用シール部材の製造と動摩擦係数の評価>
(実施例1〜10及び比較例1)
ここでは、図4に示した構造の工作機械用シール部材20を製造した。
まず、厚さ0.8mmの鋼板(神戸製鋼所製、グリーンコートGX−K2)を20mm×60mmに裁断し、板状の支持部材21を得た。
次に、30mm×60mm×1.5mmの弾性部材22(弾性部材A〜Kのいずれか)を、接着材層(両面テープ:日東電工社製、No.500)23を介して支持部材21に固定し、工作機械用シール部材20を製造した。このとき各弾性部材A〜Kについて、作製時に金型側に位置した面が、弾性部材22の第1面24となるように弾性部材22を支持部材21に固定した。
なお、各実施例/比較例で採用した弾性部材の種類は表1に示した通りである。
(比較例2)
市販の工作機械用シール部材(ニッタ社製、LP−22ST)を評価対象とした。
(比較例3)
市販の工作機械用シール部材(ニッタ社製、GW−LPV1)を評価対象とした。
実施例1〜10及び比較例1〜3の工作機械用シール部材について動摩擦係数を下記の方法により測定した。
上記動摩擦係数は、ヘイドン式表面性試験機(HEIDON−14DR型、新東化学社製)を用いて測定した。図5(a)は、実施例1〜10及び比較例1の工作機械用シール部材の動摩擦係数を測定する方法を示す模式図であり、図5(b)は、比較例2、3の工作機械用シール部材の動摩擦係数を測定する方法を示す模式図である。
実施例1〜10及び比較例1の工作機械用シール部材の動摩擦係数
(1)金型面側の動摩擦係数
図5(a)に示すように、工作機械用シール部材20の当接部22a(エッジ部)を、弾性部材22の第1面24と表面仕上げ鋼板60の表面60aとのなす角が25°となるように表面仕上げ鋼板60に接触させ、工作機械用シール部材20に、支持部材21の上側から鉛直方向下向きに、100g/20mm幅の垂直荷重をかけて当接部22aを表面仕上げ鋼板60に圧接させた。
その後、表面仕上げ鋼板60を、25mm/secの移動速度で水平移動させ(移動方向は、図5(a)中、左から右)、下記計算式に基づき、動摩擦係数を算出した。
動摩擦係数=摺動開始後0.3秒以降の水平荷重平均値/垂直荷重
結果を表1に示した。
(2)エアー側の動摩擦係数
工作機械用シール部材20の上下の向きを反転させた以外は、金型面側の動摩擦係数の測定と同様にしてエアー側の動摩擦係数を測定した。
即ち、工作機械用シール部材20の第2面25側の当接部22b(エッジ部)を、弾性部材22の第2面25と表面仕上げ鋼板60の表面60aとのなす角が25°となるように表面仕上げ鋼板60に接触させて測定を行った。
比較例2、3の工作機械用シール部材の動摩擦係数
図5(b)に示すように、工作機械用シール部材70のエッジ部74を、リップ部72の裏面と表面仕上げ鋼板60の表面60aとのなす角が25°となるように表面仕上げ鋼板60に接触させ、工作機械用シール部材70に、芯金71の上側から鉛直方向下向きに、100g/20mm幅の垂直荷重をかけてエッジ部74を表面仕上げ鋼板60に圧接させた。
その後、表面仕上げ鋼板60を、25mm/secの移動速度で水平移動させ(移動方向は、図5(b)中、左から右)、上記計算式に基づき動摩擦係数を算出した。結果を表1に示した。
動摩擦係数の測定は、いずれも温度20〜25℃、相対湿度40〜55%の環境下で行った。
また、各測定は、乾燥条件下及び湿潤条件下のそれぞれで行った。
乾燥条件下の測定は、表面仕上げ鋼板60の表面60aが清浄な状態にある乾式条件下で行った。
一方、湿式条件下の測定は、表面仕上げ鋼板60の表面60aがクーラントで濡れている状態で行った。具体的には、表面仕上げ鋼板の工作機械用シール部材の当接部との接触部分に「クリアカット R−H−10P」の10倍希釈品を約5ml滴下した状態で行った。
なお、動摩擦係数の測定結果については、○:0.50以下、△:0.50超え〜0.80以下、×:0.80超え、と判断し、表1に付記した。
表1に示したように、熱硬化性ポリウレタンと無機粒子とを含有し、無機粒子が偏在した弾性部材は、反りの発生がほとんどなく、耐クーラント性に優れ、この弾性部材を備えた工作機械用シール部材は、厚さ方向に対向する2つの面のうち、少なくとも一方の面の動摩擦係数が低いことも明らかとなった。
そのため、本発明の実施形態に係る工作機械用シール部材では、相手部材との摺動抵抗を低くすることができ、長期間に亘ってシール性能を確保することができる。
10、20 工作機械用シール部材
11、21 支持部材
12、22 弾性部材
12a、22a、22b 縁部(当接部)
12c、22c 先端面
13、23 接着剤層
14、24 第1面(当接面)
15、25 第2面
16、26A、26B 無機粒子
17A、27A 第1外側層
17B、27B 第2外側層
18、28 中間層
100 テレスコカバー

Claims (7)

  1. 支持部材と、前記支持部材に一体化された板状の弾性部材とを備え、
    前記板状の弾性部材は、厚さ方向で対向する2つの面のうちの少なくとも一方の面を、縁部が相手部材と当接する当接面とする工作機械用シール部材であって、
    前記弾性部材は、熱硬化性ポリウレタンと無機粒子とを含む組成物からなり、
    前記弾性部材は、当該弾性部材を厚さ方向において外側に位置する第1外側層及び第2外側層とこれらの外側層に挟まれた中間層とに3等分した際に、前記第1外側層及び前記第2外側層の少なくとも一方と前記中間層とが前記無機粒子を含み、
    前記無機粒子は、前記弾性部材の厚さ方向において前記当接面側に偏在していることを特徴とする工作機械用シール部材。
  2. 前記第1外側層における前記無機粒子の含有量が前記中間層における前記無機粒子の含有量よりも多くなるように構成されており、
    前記第1外側層の外側表面を前記当接面とする請求項1に記載の工作機械用シール部材。
  3. 前記無機粒子として、無機酸化物粒子、又は、無機バルーンを含む請求項1又は2に記載の工作機械用シール部材。
  4. 前記無機粒子として、酸化セリウム粒子を含み、
    前記酸化セリウム粒子の含有量は、前記熱硬化性ポリウレタン100重量部に対して2〜20重量部である請求項1又は2に記載の工作機械用シール部材。
  5. 前記第2外側層における前記無機粒子の含有量が前記中間層における前記無機粒子の含有量よりも多くなるように構成されており、
    前記第2外側層の外側表面を前記当接面とする請求項2に記載の工作機械用シール部材。
  6. 前記無機粒子として、無機酸化物粒子、及び、無機バルーンを含み、
    前記第1外側層が前記中間層よりも多く含有する無機粒子が、無機酸化物粒子及び無機バルーンのいずれか一方であり、
    前記第2外側層が前記中間層よりも多く含有する無機粒子が、無機酸化物粒子及び無機バルーンのいずれか他方である、請求項5に記載の工作機械用シール部材。
  7. 支持部材と、前記支持部材に一体化された板状の弾性部材とを備え、
    前記板状の弾性部材は、厚さ方向で対向する2つの面のうちの少なくとも一方の面を、縁部が相手部材と当接する当接面とする工作機械用シール部材であって、
    前記弾性部材は、熱硬化性ポリウレタンと酸化セリウム粒子とを含む組成物からなり、
    前記酸化セリウム粒子は、前記弾性部材の厚さ方向において、前記当接面側に偏在しており、
    前記酸化セリウム粒子の含有量は、前記熱硬化性ポリウレタン100重量部に対して2〜20重量部であることを特徴とする工作機械用シール部材。
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