JP2019030033A - モータ制御装置及びプリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】脱調の危険性を低減しつつ、プリホールドの期間の短縮を図る。【解決手段】 実施形態のモータ制御装置は、モータドライバ及びモータ制御手段を備える。モータドライバは、ステッピングモータへと駆動電流を供給する。モータ制御手段は、開始指示に応じてステッピングモータへの駆動電流の供給を開始するとともに、予め定められた期間において、駆動電流を予め定められた電流値まで徐々に増加させ、さらにその後に駆動力を生じさせるように予め定められたパターンで駆動電流の電流値を変化するようモータドライバを制御する。【選択図】 図4

Description

本発明の実施形態は、モータ制御装置及びプリンタに関する。
画像を構成する複数のラスタの一部を一度に印刷する印刷ヘッドを用い、印刷媒体及び印刷ヘッドの少なくとも一方を移動機構により移動させることによる副走査を行いながら2次元の画像を印刷するプリンタは知られている。そして、移動機構は、駆動源としてステッピングモータを備える。
ステッピングモータは、非通電状態においては、停止位置が不定である。このため、ステッピングモータの起動時には、実際の回転駆動を開始するのに先立つ一定期間において、予め定めた電流値の電流を供給し、通電状態における停止状態を形成することが行われる。この動作は、例えばプリホールドと呼ばれ、上記の電流はプリホールド電流と呼ばれる。
しかしながら、非通電状態から、いきなりプリホールド電流を供給すると、ロータの回転に振動が生じる。そしてこの振動が残った状態で回転駆動を開始すると、脱調する恐れがあった。そこで、脱調を防止するためには、上記の振動が十分に収束するのに十分な時間に渡りプリホールドを続ける必要があった。このプリホールドの期間が長くなるほど、印刷を開始できるまでの待ち時間が長くなってしまう。
このような事情から、脱調の危険性を低減しつつ、プリホールドの期間の短縮を図ることが望まれていた。
特開平7−164706号公報
本発明が解決しようとする課題は、脱調の危険性を低減しつつ、プリホールドの期間の短縮を図ることができるモータ制御装置及びプリンタを提供することである。
実施形態のモータ制御装置は、モータドライバ及びモータ制御手段を備える。モータドライバは、ステッピングモータへと駆動電流を供給する。モータ制御手段は、開始指示に応じてステッピングモータへの駆動電流の供給を開始するとともに、予め定められた期間において、駆動電流を予め定められた電流値まで徐々に増加させ、さらにその後に駆動力を生じさせるように予め定められたパターンで駆動電流の電流値を変化するようモータドライバを制御する。
一実施形態に係るプリンタの一部の機構の構成と要部回路のブロック構成とを示す図。 図1中のメモリに記憶された設定テーブルの内容を模式的に示す図。 図1中のCPUの情報処理のフローチャート。 図1中のタイマ・カウンタの動作に伴うプリンタの動作のタイミング図。 最初にコンペアマッチイベントが発生するタイミング以降のタイミング図。 スローアップ開始以降の図1中のステッピングモータの回転速度の時間変化を示す図。
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係るプリンタの一部の機構の構成と要部回路のブロック構成とを示す図である。なお、本実施の形態では、サーマルプリンタを例に説明する。
図1に示すようにプリンタ100は、サーマルヘッド1、ステッピングモータ2、搬送機構3、カッタユニット4、モータドライバ5、駆動制御部6、プリンタ制御部7、メモリ8、バス9及びD/A(digital/analog)コンバータ10を含む。
サーマルヘッド1は、印刷ヘッドの一種であり、複数の発熱素子のそれぞれの発熱により印刷媒体200を変色させることにより印刷媒体200に任意の画像を印刷する。サーマルヘッド1は、複数の発熱素子それぞれの発熱温度を個別に、かつ複数段階で変更可能であり、多階調画像を印刷可能である。複数の発熱素子は、図1中の奥行き方向に沿って直線状に一定の間隔で並ぶ。本実施形態では、発熱素子は1列のみであることとするが、複数列であっても良い。なお、印刷媒体200の材質は、典型的には紙である。しかしながら、紙以外の材質よりなる印刷媒体200が使用されてもよい。
ステッピングモータ2は、印刷媒体200を搬送するための駆動力としての回転力を発生する。ステッピングモータ2としては、既存の様々なタイプのデバイスを適宜に用いることができるが、永久磁石型(PM型)のような分解能が比較的低いタイプを用いることが想定される。
搬送機構3は、ギア31,32,33,34、プラテンローラ35及びガイドローラ36をさらに含む。ギア31は、ステッピングモータ2の回転軸(以下、第1の回転軸と称する。)に固定され、ステッピングモータ2の回転力により回転する。ギア32は、第1の回転軸にほぼ平行する別の回転軸(以下、第2の回転軸と称する。)に固定され、ギア31に噛み合う。ギア33は、ギア32と第2の回転軸に固定される。ギア34は、第2の回転軸にほぼ平行する別の回転軸(以下、第3の回転軸と称する。)に固定され、ギア33に噛み合う。プラテンローラ35は、図1中の奥行き方向に沿った軸心を持ち、この軸心を第3の回転軸の軸心にほぼ一致させる状態で第3の回転軸に固定される。プラテンローラ35の軸心方向に沿った幅は、印刷媒体200の最大幅よりも大きい。ガイドローラ36は、プラテンローラ35にほぼ並行する姿勢で回転自在に軸支される。この搬送機構3は、印刷媒体200を移動させることによって、印刷媒体200とサーマルヘッド1とのラスタ方向に交差する方向への相対位置を変化させているのであり、移動機構の一例である。搬送機構3に代えて、サーマルヘッド1を移動させる移動機構を設けて、固定された印刷媒体200に対してサーマルヘッド1の位置を変化させることによって副走査を行ってもよい。あるいは、搬送機構3に加えて、サーマルヘッド1を移動させる移動機構を設けて、印刷媒体200の搬送とサーマルヘッド1の移動との双方により副走査を行ってもよい。この場合は、搬送機構3とサーマルヘッド1を移動させる移動機構との組み合わせにより、印刷媒体200とサーマルヘッド1とのラスタ方向に交差する方向への相対位置を変化させる移動機構が構成される。
カッタユニット4は、可動片4aを備え、この可動片4aを図示しないソレノイドにより移動させることによって印刷媒体200を切断する。カッタユニット4としては、ロータリカッタを用いたもの等の別のタイプのユニットが用いられてもよい。またカッタユニット4は、設けられなくてもよい。
モータドライバ5は、外部から与えられる駆動パルスに同期して、マイクロステップ駆動方式によりステッピングモータ2を駆動する。なお本実施形態においては、2W1−2相励磁を適用することとする。
駆動制御部6は、サーマルヘッド1及びモータドライバ5を同期的に動作させて、サーマルヘッド1による主走査と、印刷媒体200の搬送による副走査とによる2次元画像の印刷を実現する。駆動制御部6は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はASIC(application specific integrated circuit)を用いて構成され、カウンタ/レジスタ61、駆動パルス生成部62、DMA(direct memory access)リクエスタ63、割込み制御部64、ヘッドコントローラ65及びインタフェース66としての機能を備える。
カウンタ/レジスタ61は、所定のクロックをカウントすることにより経過時間を計測するカウンタ機能と、このカウンタ機能によるカウント値と比較するための比較値を記憶するレジスタ機能とを持つ。なお、レジスタ機能は、いわゆるコンペアマッチレジスタとしての機能である。カウンタ/レジスタ61は、カウント値及び比較値を駆動パルス生成部62へと出力する。
駆動パルス生成部62は、カウンタ/レジスタ61から出力されたカウント値及び比較値が互いに一致したときに、駆動パルスを出力する。この駆動パルスは、モータドライバ5へと与えられるほか、DMAリクエスタ63及び割込み制御部64へと与えられる。
DMAリクエスタ63は、駆動パルスが入力されたときに、プリンタ制御部7へとDMAリクエストを出力する。なおDMAリクエスタ63は、ディセーブル状態にあっては、DMAリクエストを出力しない。
割込み制御部64は、駆動パルスが予め定められた数だけ入力される毎に、ラスタパルスを出力する。ラスタパルスは、ヘッドコントローラ65に与えられるほか、割込み信号としてプリンタ制御部7に与えられる。
ヘッドコントローラ65は、プリントデータに含まれるラスタデータに応じてサーマルヘッド1を駆動する。ラスタデータは、画像の1ラスタ分を表したデータである。
インタフェース66は、プリンタ制御部7とのバス9を介した通信のための周知の処理を行う。
プリンタ制御部7は、割込みコントローラ71、CPU(central processing unit)72、DMAコントローラ73、インタフェース74、タイマ・カウンタ75及びSPI(serial/parallel interface)コントローラ76を含む。
割込みコントローラ71は、割込み制御部64から出力されたラスタパルスを割込み信号の1つとして入力する。割込みコントローラ71は、タイマ・カウンタ75から後述のように出力される増加パルスを割込み信号の1つとして入力する。割込みコントローラ71には、プリンタ100内の図示しない他部から出力される割込み信号も入力される。割込みコントローラ71は、割込み信号が入力されると、CPU72に割込みを通知する。割込みコントローラ71は、複数の割込み信号が競合した場合には、それらの割込みを、予め定められた優先順位に従って順次にCPU72に通知する。
CPU72は、メモリ8に記憶されたプログラムに基づいて、プリンタ100を総括的に制御するための情報処理を行う。
DMAコントローラ73は、DMAリクエスタ63からのDMAリクエストに応じて、メモリ8に記憶されている設定テーブルに示されている比較値を、バス9及びインタフェース66を介してカウンタ/レジスタ61のレジスタ機能にセットする。
インタフェース74は、駆動制御部6とのバス9を介した通信のための周知の処理を行う。
タイマ・カウンタ75は、プリホールド期間において、予め定められた時間間隔で、割込みコントローラ71に対して増加パルスを出力する。
SPIコントローラ76は、タイマ・カウンタ75が出力する増加パルスに応じての割込みコントローラ71による割込み制御の下でCPU72がパラレル出力する設定電流値をシリアル通信によりD/Aコンバータ10へと送出する。
メモリ8は、前述のプログラムを記憶する。またメモリ8は、プリンタ100の動作に関わる各種のデータを記憶する。当該データには、初期比較値及び上記の設定テーブルを含む。初期比較値は、ステッピングモータ2のプリホールド期間の時間に応じて定められた値である。具体的には、プリホールド期間の時間をTpと表し、カウンタ/レジスタ61のカウンタ機能によりカウントするクロックパルスの時間間隔をTclkと表すならば、[Tp/Tclk]として求まる値である。
バス9は、例えば周知の16ビットバスであり、駆動制御部6とプリンタ制御部7との間で授受される各種のデータを伝送する。
D/Aコンバータ10は、SPIコントローラ76から送出された設定電流値に応じた電圧値を基準電圧としてモータドライバ5へと出力する。
図2はメモリ8に記憶された設定テーブルの内容を模式的に示す図である。
設定テーブルは、連続する番号のそれぞれに関連付けて1つずつの比較値C1,C2,C3,…を示している。
比較値C13は、ステッピングモータ2を予め定めた目標速度で回転させるためにモータドライバ5へと連続的に供給する駆動パルスの時間間隔T13に応じて定められた値である。具体的に比較値C13は、[T13/Tclk]として求まる値である。
ステッピングモータ2を静止状態から目標速度まで加速する、いわゆるスローアップにおいては、連続する2つの駆動パルスの時間間隔をT13よりも十分に長いT1から漸減させることが一般的に行われている。このときの各時間間隔をT1,T2,…,T12と表すこととする。つまり時間間隔T1,T2,…,T12は、T1が最大であり、T1,T2,…,T12の順で漸減して、T12が最小となる。
比較値C1〜C12は、その多くは時間間隔T1〜T12を、時間間隔Tclkで除して求まる値である。しかし、比較値C1〜C12のうちの少なくとも1つは、対応する時間間隔に予め定められた時間ΔTを付加した時間を時間間隔Tclkで除した値とする。本実施形態では、比較値C6,C10を、[(T6+ΔT)/Tclk]及び[(T10+ΔT)/Tclk]でそれぞれ求まる値とする。そして比較値C1〜C5,C7〜C9,C11,C12は、T1〜T5,T7〜T9,T11,T12をそれぞれ時間間隔Tclkで除して求まる値とする。なお、比較値C6に関するΔTの値と、比較値C10に関するΔTの値とは、同一値であってもよいし、別々の値であってもよい。ただしΔTは、比較値C6が比較値C5よりも大きくなり、また比較値C10が比較値C9よりも大きくなるように定められる。
本実施形態においては、12回の駆動パルス供給によりステッピングモータ2をスローアップする例としている。しかしながらこれは、説明及び図示の簡略化を考慮したものである。一般的には、スローアップは、もっと多くの駆動パルスの供給により実現される。ただし、より少ない駆動パルスの供給によりスローアップが終了してもよい。
設定テーブルには、比較値C1〜C13の他に、ステッピングモータ2のスローダウンのための比較値が含まれるが、これの図示は省略している。設定テーブルに示される比較値のそれぞれは、例えばプリンタ100の設計者などによって定められる。
次に以上のように構成されたプリンタ100の動作について説明する。なお、このプリンタ100において特徴的なのはステッピングモータ2のスローアップに際しての動作であるので、以下においてはその点を中心に説明する。そして、同種の既存のプリンタにおいて行われるのと同様な動作についての説明は省略する。
図3はメモリ8に記憶されたプログラムに基づくCPU72の情報処理のフローチャートである。
印刷の開始が必要となる予め定められたイベントが発生すると、CPU72は図3に示す情報処理を開始する。
Act1としてCPU72は、タイマ・カウンタ75を起動する。
図4はタイマ・カウンタ75の動作に伴うプリンタ100の動作のタイミング図である。
タイマ・カウンタ75は起動されると、まず増加パルスを出力する(T1時点)。タイマ・カウンタ75はこの増加パルスを始めとして、予め定められた数の増加パルスを一定の時間間隔で繰り返し出力する。タイマ・カウンタ75が出力する増加パルスの数は、プリホールド期間の長さとして予め定められた時間を上記の時間間隔で除して求まる数である。図4は、プリホールド期間の長さが20msに、また増加パルスの時間間隔が1msにそれぞれ定められた場合の例を示している。このため、タイマ・カウンタ75は、増加パルスを20回出力する。
Act2としてCPU72は、増加割込みが発生したか否かを確認する。そしてCPU72は、増加パルスが出力されたことに応じての割込みコントローラ71からの割込み通知がなされていないならばNoと判定し、Act3へと進む。
Act3としてCPU72は、プリホールド期間が終了したか否かを確認する。そしてCPU72は、Act1にてタイマ・カウンタ75を起動してから20msが経過していなければNoと判定し、Act2へと戻る。
かくしてCPU72は、Act2及びAct3として、増加割込みが生じるか、あるいはプリホールド期間が終了するのを待ち受ける。
上述のようにタイマ・カウンタ75が増加パルスを出力すると、このことが割込みコントローラ71によりCPU72に通知される。そうするとCPU72はAct2にてYesと判定し、Act4へと進む。
Act4としてCPU72は、設定電流値を、その現在の値に、予め定められた増加値ΔIを加算した値に更新する。なお、設定電流値は、図3に示す情報処理の開始時において、CPU72によりクリアされる。増加値ΔIは、プリホールド期間におけるステッピングモータ2への最大供給電流値をタイマ・カウンタ75が増加パルスを出力する数で除して求まる値として定められる。例えば最大供給電流値が0.5Aであり、増加パルスの出力数が20であれば、増加値ΔIは0.025mAに定められる。
Act5としてCPU72は、上記の更新後の設定電流値に応じたパラレルデータをSPIコントローラ76へと出力する。CPU72はこののち、Act2及びAct3の待受状態に戻る。SPIコントローラ76は、設定電流値をシリアルデータに変換した上でD/Aコンバータ10へと出力する。D/Aコンバータ10は、上記のように与えられた設定電流値に応じた大きさの電圧を基準電圧としてモータドライバ5へと与える。モータドライバ5は、ステッピングモータ2の駆動電圧を基準電圧に近付けるように調整することにより、設定電流値の駆動電流をステッピングモータ2に供給する。
かくして、ステッピングモータ2の駆動電流が、図6にも示すように一定の時間間隔で一定の増分ΔIずつ増加される。そしてタイマ・カウンタ75が、予め定められた数の増加パルスを出力し終えると、ステッピングモータ2の駆動電流はプリホールド期間におけるステッピングモータ2への最大供給電流値となる。そしてこの状態において、プリホールド期間が終了することになる。
CPU72は、プリホールド期間が終了したならばAct3にてYesと判定し、Act6へと進む。
Act6としてCPU72は、初期比較値を、メモリ8からカウンタ/レジスタ61のレジスタ機能にセットする。
Act7としてCPU72は、変数Nの値を1つ増加させる。変数Nは、次に記録するラスタの番号を管理するためのものである。なお、CPU72は、図3に示す情報処理を開始すると、変数Nを0に初期化しておく。
Act8としてCPU72は、印刷すべき画像のN番目のラスタデータを、次のストローブ期間における印刷対象としてサーマルヘッド1にセットする。
Act9としてCPU72は、割込みコントローラ71から、当該情報処理に対する割込みがなされるのを待ち受ける。
さて、カウンタ/レジスタ61のカウンタ機能は、レジスタ機能に比較値がセットされた時点からのクロック数をカウントする。駆動パルス生成部62は、カウンタ/レジスタ61が出力する比較値及びカウント値が互いに一致したならば、駆動パルスを1回出力する。なお、以下においては、比較値とカウント値とが一致することを、「コンペアマッチイベントの発生」と称する。
図5は最初にコンペアマッチイベントが発生するタイミング以降のタイミング図である。
プリホールドの期間が終了したことに応じて最初のコンペアマッチングイベントが発生し、駆動パルスDP1が出力されている。この駆動パルスDP1に同期してモータドライバ5は、ステッピングモータ2を2W1−2相励磁による1ステップ分だけ駆動する。
駆動パルスDP1に同期して割込み制御部64は、ラスタパルスRP1を出力する。ヘッドコントローラ65は、ラスタパルスRP1に同期して始まり、予め定められた条件に従って周知のように決まる長さのストローブ期間PS1において、上記のようにセットされたラスタデータによりサーマルヘッド1を駆動する。これにより、記録すべき画像の1ラスタ分が印刷媒体200に印刷される。
駆動パルスDP1に同期してDMAリクエスタ63は、DMAリクエストRQ1を出力する。DMAコントローラ73は、DMAリクエストRQ1を受けると、設定テーブルの1番目の比較値C1を、メモリ8からカウンタ/レジスタ61のレジスタ機能にセットする。
割込みコントローラ71は、ラスタパルスRP1を割込み信号として受けると、これよりも優先順位の高い割込みが生じていなければ、CPU72に割込みを通知する。そしてこの通知を受けるとCPU72は、図3中のAct9にてYesと判定し、Act10へと進む。
Act10としてCPU72は、変数Nが、記録すべき画像に含まれるラスタ数以上であるか否かを確認する。そしてCPU72は、変数Nがラスタ数に至っていないならばNoと判定し、Act7へと戻る。
駆動パルスDP1が出力されてから時間T1が経過すると、駆動パルス生成部62では新たなコンペアマッチイベントが発生する。そして駆動パルス生成部62は、図5に示すように、次の駆動パルスDP2を出力する。
DMAリクエスタ63は、駆動パルスが得られる毎にDMAリクエストを出力する。従ってDMAリクエスタ63は、駆動パルスDP2に同期してDMAリクエストRQ2を出力する。DMAコントローラ73は、DMAリクエストRQ2を受けると、設定テーブルの2番目の比較値C2を、メモリ8からカウンタ/レジスタ61のレジスタ機能にセットする。
以後同様に、新たなコンペアマッチイベントが発生する毎に、駆動パルスとDMAリクエストとが出力される。そしてDMAリクエストが出力される毎に、DMAコントローラ73の制御の下にメモリ8からカウンタ/レジスタ61のレジスタ機能に、設定テーブルの比較値が番号順に順次にセットされる。これにより、駆動パルスの間隔は順次に短くされて、ステッピングモータ2がスローアップされる。
割込み制御部64は、ラスタパルスを一度出力すると、その後の駆動パルス数をカウントする。そして、カウント値が4になるまでは、駆動パルスに同期してラスタパルスを出力しない。つまり割込み制御部64は、2番目〜4番目の駆動パルスDP2〜DP4が出力されるとき、上記のカウント値は1〜3であるためにラスタパルスを出力しない。そして割込み制御部64は、5番目の駆動パルスDP5を受けると、上記のカウント値が4となるためにラスタパルスRP2を出力する。
カウンタ/レジスタ61のレジスタ機能には、6番目の駆動パルスDP6に応じて比較値C6がセットされる。前述のように、比較値C6は、[(T6+ΔT)/Tclk]でそれぞれ求まる値とされている。このため駆動パルス生成部62は、7番目の駆動パルスDP7のタイミングを、スローアップのための本来のタイミングTAからΔTだけ遅らせる。これにより、駆動パルスDP6から駆動パルスDP7までの間隔が、駆動パルスDP5から駆動パルスDP6までの間隔よりも長くなる。この結果、駆動パルスDP7は、いわゆるダンピングパルスとして機能し、ステッピングモータ2の回転の加速が一時的に抑圧される。
こののち、カウンタ/レジスタ61のレジスタ機能にセットされる比較値は、C7,C8,C9と徐々に減らされて、駆動パルスDP7と駆動パルスDP8,駆動パルスDP8と駆動パルスDP9,駆動パルスDP9と駆動パルスDP10のそれぞれの間隔は、徐々に短縮される。これにより、ステッピングモータ2のスローアップが進められる。
このようにCPU72は、印刷の開始指示に応じてステッピングモータ2への駆動電流の供給を開始するとともに、予め定められたプリホールド期間において、駆動電流を予め定められた最大供給電流値まで徐々に増加させるようにモータドライバ5を制御する。さらにCPU72は、その後にスローアップにより駆動力を生じさせるように予め定められたパターンで駆動電流の電流値を変化するようモータドライバ5を制御する。かくしてCPU72は、モータ制御手段として機能する。そしてプリンタ100は、モータドライバ5とモータ制御手段としての機能とを備えているのであり、それらを備えたモータ制御装置としての機能を備えている。
割込み制御部64は、9番目の駆動パルスDP9を受けると、上記のカウント値が4となるためにラスタパルスRP3を出力する。このようにして、スローアップ中にあっても、ステッピングモータ2が2W1−2相励磁による4ステップ分駆動されるごとに、1ラスタ分の印刷が行われてゆく。なお、本実施形態において、ステッピングモータ2のステップ角度だけの回転による印刷媒体200の搬送量が、印刷すべき画像におけるラスタ間隔と一致する場合である。かくして割込み制御部64は、印刷媒体200の位置の変化に同期して印刷を行うようにサーマルヘッド1を制御しているのであり、印刷制御手段としての機能を備える。
次にカウンタ/レジスタ61のレジスタ機能には、比較値C10がセットされる。前述のように、比較値C10は、[(T10+ΔT)/Tclk]でそれぞれ求まる値とされている。このため11番目の駆動パルスDP11のタイミングは、駆動パルスDP7の場合と同様に、スローアップのための本来のタイミングTBからΔTだけ遅れる。これにより、駆動パルスDP10から駆動パルスDP11までの間隔が、駆動パルスDP9から駆動パルスDP10までの間隔よりも長くなる。この結果、駆動パルスDP11は、ダンピングパルスとして機能し、ステッピングモータ2の回転の加速が一時的に抑圧される。
このようにして、ステッピングモータ2の回転速度が目標速度に到達する前に、ステッピングモータ2の駆動間隔を少なくとも1度、その前の間隔よりも長くするように搬送機構が制御される。
こののち、カウンタ/レジスタ61のレジスタ機能にセットされる比較値は、C11,C12と徐々に減らされて、駆動パルスDP11と駆動パルスDP12,駆動パルスDP12と駆動パルスDP13のそれぞれの間隔は、徐々に短縮される。これにより、ステッピングモータ2のスローアップが進められる。
カウンタ/レジスタ61のレジスタ機能に、ステッピングモータ2を目標速度で回転させるための比較値C13がセットされると、DMAリクエスタ63はディセーブルとなる。これにより、以後において駆動パルスが駆動パルス生成部62から出力されても、DMAリクエスタ63はDMAリクエストを出力しない。これにより、カウンタ/レジスタ61のレジスタ機能は比較値C13がセットされた状態で固定され、コンペアマッチイベントは時間T13の間隔で周期的に発生するようになる。つまり、駆動パルス生成部62が、一定の時間間隔で周期的に駆動パルスを出力するようになる。この結果、ステッピングモータ2は、2W1−2相励磁による1ステップ分の駆動を一定の時間間隔で受け、やがて一定速度で回転するようになる。このような状態でも、割込み制御部64は、駆動パルスが4回出力される毎に、ラスタパルスを出力する。これにより、ステッピングモータ2が2W1−2相励磁による4ステップ分駆動されるごとに、1ラスタ分の印刷が行われる状態が維持される。
印刷すべき画像の全てのラスタの印刷が終了したとき、変数Nは当該画像のラスタ数に到達している。そこでCPU72はこのとき、Act10にてYesと判定し、A6へと進む。
Act11としてCPU72は、DMAリクエスタ63をイネーブルとする。そしてCPU72は、図3に示す情報処理を終了する。
DMAリクエスタ63がイネーブルになると、DMAリクエスタ63及びDMAコントローラ73により、ステッピングモータ2のスローダウンのための比較値がメモリ8からカウンタ/レジスタ61のレジスタ機能に順次にセットされるようになる。そしてこれにより、周知のようにスローダウンするように駆動パルス生成部62及びモータドライバ5によりステッピングモータ2が駆動される。そして、スローダウンのための比較値の全てをセットし終えて、スローダウンが終了したならば、ステッピングモータ2の回転は停止する。
以上のようにプリンタ100は、プリホールド期間において、ステッピングモータ2の駆動電流を予め定められた最大供給電流値まで徐々に増加させ、さらにその後にスローアップに移行する。これにより、プリホールドにより生じるステッピングモータ2の振動を小さく抑えることができ、プリホールド期間における振動収束のための期間を最小限に抑えることができる。これにより、起動後、短期間のうちにスローアップに移行することが可能である。そして、このようにプリホールド期間を短くしても、ステッピングモータ2の振動が少ない状態でスローアップを開始できることから、スローアップを所期の状態で進めることができ、脱調が生じる可能性を低減できる。
図6はスローアップ開始以降のステッピングモータ2の回転速度の時間変化を示す図である。
図6に示すように、ダンピングパルスを挿入しない場合に比べて、ダンピングパルスによるブレーキ作用により、ステッピングモータ2の回転速度の上昇が緩やかになるため、オーバーシュートが小さくなる。この結果、ステッピングモータ2の回転速度が一定速度に安定するまでの速度変動が小さくなり、この期間において印刷されるラスタの間隔の変動が小さくなる。すなわちプリンタ100によれば、ラスタの間隔がばらつくことに因る画質の低下が抑えられる。なお、プリンタ100では、ステッピングモータ2をスローアップする期間が、ダンピングパルスを挿入しない場合に比べて長くなる。しかしながらこの期間におけるラスタの印刷は、ステッピングモータ2が4ステップ分回転する毎に、すなわち印刷媒体200が一定量搬送される毎に行われるので、ラスタの間隔は、ダンピングパルスの挿入により変動することはない。かくしてプリンタ100によれば、副走査を開始してから副走査の速度が安定するまでの期間においても画質の低下なく画像を印刷できる。
しかも、前述したように、プリホールドによる振動が非常に少ない状態でスローアップを開始することにより、当該振動の影響がダンピングパルスの挿入による効果に及ぶことがなく、ダンピングパルスの挿入の効果を安定的に達成することができる。
なお、ラスタの間隔がばらつくことに因る画質の低下は、2値画像に比べて、多階調画像において顕著となる傾向がある。サーマルヘッド1は、多階調での画像印刷を可能とするものであるから、多階調画像を印刷する場合において、画質低下を抑える効果がより大きい。
スローアップ中に少なくとも1つのダンピングパルスを挿入すれば、オーバーシュートを抑圧することができ、上記のように画質の低下が抑えられる。しかしながら、ダンピングパルスを挿入する回数と、その挿入タイミングとによって、オーバーシュートを抑圧できる効果の大きさは変化し得る。何回のダンピングパルスをどのタイミングで挿入することにより、オーバーシュートを抑圧できる効果が最大となるかは、ステッピングモータ2の特性などに応じて変化する。そこで、シミュレーション又は実験などによって、オーバーシュートを抑圧できる効果がより大きくなるような挿入回数及び挿入タイミングを見つけ、それに従ってダンピングパルスを挿入するように設定テーブルを定めることが望ましい。
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
プリホールド期間における駆動電流の変化パターンは、その電流値が徐々に増加するのであれば、どのようなパターンであってもよい。また、駆動電流が最大供給電流値に到達したのち、暫くの間をおいてからスローアップに移行してもよい。
スローアップは、ダンピングパルスを挿入せずに行ってもよい。
設定テーブルは、ΔTを加味することなく定めた比較値を表すものとしてもよい。この場合、ダンピングパルスを挿入すべきタイミングにおいて、設定テーブルから読み出した比較値にΔTに相当する補正値を加算した比較値を、カウンタ/レジスタ61のレジスタ機能にセットする。
モータドライバ5は、例えば4W1−2相励磁などの別の励磁方式によりステッピングモータ2を駆動してもよい。なお、モータドライバ5を、4W1−2相励磁を行うように変更するならば、割込み制御部64は、駆動パルスが8回入力される毎にラスタパルスを出力する。
上記の実施形態は、ステッピングモータ2のステップ角度だけの回転による印刷媒体200の搬送量が、印刷すべき画像におけるラスタ間隔と一致する場合の例である。ステッピングモータ2のステップ角度だけの回転による印刷媒体200の搬送量と、印刷すべき画像におけるラスタ間隔との関係により、割込み制御部64がラスタパルスを出力するタイミングは、周知のように変更される。
熱転写プリンタ又はLED(light emitting diode)プリンタなどのような、他のタイプのプリンタにおいても、上記の実施形態と同様に実施が可能である。
制御処理によりCPU72が実現する各機能は、その一部または全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…サーマルヘッド、2…ステッピングモータ、3…搬送機構、4…カッタユニット、5…モータドライバ、6…駆動制御部、7…プリンタ制御部、8…メモリ、9…バス、D/Aコンバータ10、61…カウンタ/レジスタ、62…駆動パルス生成部、63…DMAリクエスタ、64…割込み制御部、65…ヘッドコントローラ、66…インタフェース、71…割込みコントローラ、72…CPU、73…DMAコントローラ、74…インタフェース、75…タイマ・カウンタ、76…SPIコントローラ、100…プリンタ、200…印刷媒体。

Claims (5)

  1. ステッピングモータへと駆動電流を供給するモータドライバと、
    開始指示に応じて前記ステッピングモータへの駆動電流の供給を開始するとともに、予め定められた期間において、前記駆動電流を予め定められた電流値まで徐々に増加させ、さらにその後に駆動力を生じさせるように予め定められたパターンで前記駆動電流の電流値を変化するよう前記モータドライバを制御するモータ制御手段と、
    を具備したモータ制御装置。
  2. 画像を印刷媒体に印刷する印刷ヘッドと、
    ステッピングモータを含み、前記印刷媒体と前記印刷ヘッドとの相対位置を変化させるように前記印刷媒体及び前記印刷ヘッドの少なくとも一方を移動させる移動機構と、
    開始指示に応じて前記ステッピングモータへの駆動電流の供給を開始するとともに、予め定められた期間において、前記駆動電流を予め定められた電流値まで徐々に増加させ、さらにその後に駆動力を生じさせるように予め定められたパターンで前記駆動電流の電流値を変化するモータ制御手段と、
    前記移動機構による前記印刷媒体と前記印刷ヘッドとの相対位置の変化に同期して印刷を行うように前記印刷ヘッドを制御する印刷制御手段と、
    を具備したプリンタ。
  3. 前記モータ制御手段は、一定の時間毎に前記電流値を増加させる、
    請求項2に記載のプリンタ。
  4. 前記モータ制御手段は、一定の増分で繰り返し前記電流値を増加させる、
    請求項2又は請求項3に記載のプリンタ。
  5. 前記印刷ヘッドは、前記画像をラスタ単位で前記印刷媒体に印刷し、
    前記移動機構は、前記印刷媒体と前記印刷ヘッドとのラスタ方向に交差する方向への相対位置を変化させ、
    前記モータ制御手段は、前記ステッピングモータの回転速度が、予め定められた目標速度に到達する前に、前記ステッピングモータの駆動間隔を少なくとも1度、その前の駆動間隔よりも長くし、
    前記印刷制御手段は、前記移動機構により前記印刷媒体と前記印刷ヘッドとの相対位置が前記ラスタの間隔分だけ変化される毎に1ラスタ分の印刷を行うように前記印刷ヘッドを制御する、
    請求項2−請求項4のいずれか一項に記載のプリンタ。
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