以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(及びその変形例)に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
また、以下実施の形態での説明及び図面中において、蓄電素子が有する一対の電極端子の並び方向、一対の集電体の並び方向、電極体の両端部(一対の活物質層非形成部)の並び方向、電極体の巻回軸方向、または、容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。また、容器の長側面の対向方向、容器の短側面の短手方向、または、容器の厚さ方向をY軸方向と定義する。また、蓄電素子の容器本体と蓋体との並び方向、容器の短側面の長手方向、集電体の脚部の延設方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向やZ軸方向についても同様である。
(実施の形態)
[1 蓄電素子10の全般的な説明]
まず、図1及び図2を用いて、本実施の形態における蓄電素子10の全般的な説明を行う。図1は、本実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。また、図2は、本実施の形態に係る蓄電素子10が備える各構成要素を示す斜視図である。具体的には、図2は、蓄電素子10から容器本体120及び液栓400を分離した状態での構成を示す斜視図である。
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車用電源や、電子機器用電源、電力貯蔵用電源などに使用される。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子10は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。また、本実施の形態では、直方体形状(角型)の蓄電素子10を図示しているが、蓄電素子10の形状は、直方体形状には限定されず、円柱形状や長円柱形状等であってもよいし、ラミネート型の蓄電素子とすることもできる。
図1に示すように、蓄電素子10は、蓋体110と容器本体120とを有する容器100と、正極端子200と、負極端子300とを備えている。また、図2に示すように、容器100内方には、電極体130と、正極集電体140と、負極集電体150とが収容されている。
なお、蓋体110と正極端子200との間、及び蓋体110と正極集電体140との間には、絶縁性及び気密性を高めるためにガスケット等が配置されているが、同図では省略して図示している。負極側についても、同様である。また、容器100の内部には、電解液(非水電解質)が封入されているが、図示は省略する。なお、当該電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。また、上記の構成要素の他、正極集電体140及び負極集電体150の側方に配置されるスペーサ、容器100内の圧力が上昇したときに当該圧力を開放するためのガス排出弁、または、電極体130等を包み込む絶縁フィルムなどが配置されていてもよい。
容器100は、矩形筒状で底を備える容器本体120と、容器本体120の開口を閉塞する板状部材である蓋体110とで構成された直方体形状(箱型)のケースである。具体的には、蓋体110は、X軸方向に延設された平板状かつ矩形状の壁部であり、容器本体120のZ軸方向プラス側に配置されている。容器本体120は、Z軸方向マイナス側に平板状かつ矩形状の底壁部、Y軸方向両側の側面に平板状かつ矩形状の長側壁部、及び、X軸方向両側の側面に平板状かつ矩形状の短側壁部の5つの壁部を有している。また、容器100は、電極体130等を容器本体120の内方に収容後、蓋体110と容器本体120とが溶接等されることにより、組み立てられたものとなっている。なお、蓋体110及び容器本体120の材質は特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能な金属であるのが好ましい。
また、図2に示すように、蓋体110には、電解液の液口111が形成されている。液口111は、蓄電素子10の製造時に電解液を注液するために、蓋体110に形成された例えば円形状の貫通孔(注液口)である。本実施の形態では、液口111は、蓋体110のX軸方向マイナス側寄り及びY軸方向マイナス側寄りに配置されている。なお、液口111は、蓋体110のどの位置に配置されていてもよい。
また、図1及び図2に示すように、蓋体110には、液口111を塞ぐ液栓400が配置されている。つまり、蓄電素子10の製造時に、液口111から容器100内に電解液を注液し、液栓400を蓋体110に溶接等接合して液口111を塞ぐことで、電解液が容器100内に収容される。この蓋体110の液口111まわりの構成、及び、液栓400の構成の詳細な説明については、後述する。
電極体130は、正極板と負極板とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる長尺帯状の集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成された極板である。負極板は、銅や銅合金などからなる長尺帯状の集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成された極板である。セパレータは、樹脂等からなる微多孔性のシートである。そして、電極体130は、正極板と負極板との間にセパレータが配置され巻回されて形成されている。なお、本実施の形態では、電極体130の断面形状として長円形状を図示しているが、楕円形状、円形状、多角形状などでもよい。また、電極体130の形状は巻回型に限らず、平板状極板を積層した積層型であってもよい。
正極端子200は、電極体130の正極板に電気的に接続された電極端子であり、負極端子300は、電極体130の負極板に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体130に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体130に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。また、正極端子200及び負極端子300は、電極体130の上方に配置された蓋体110に取り付けられている。
正極集電体140及び負極集電体150は、電極体130と容器100の壁面との間に配置され、正極端子200及び負極端子300と、電極体130の正極板及び負極板とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体140の材質は限定されないが、例えば、電極体130の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。また、負極集電体150についても、材質は限定されないが、例えば、電極体130の負極基材層と同様、銅または銅合金などで形成されている。
[2 蓋体110の液口111まわり及び液栓400の構成の説明]
次に、蓋体110の液口111まわりの構成、及び、液栓400の構成について、詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る蓋体110の液口111まわりの構成、及び、液栓400の構成を示す斜視図である。具体的には、図3は、図2における蓋体110の液口111まわり及び液栓400の構成を拡大して示す斜視図である。また、図4は、本実施の形態に係る蓋体110の液口111まわりの構成、及び、液栓400の構成を示す平面図及び断面図である。具体的には、図4の(a)は、図1における蓋体110及び液栓400をZ軸方向プラス側から見た場合の構成を拡大して示す平面図であり、図4の(b)は、図4の(a)における蓋体110及び液栓400をIVb−IVb断面で切断した場合の構成を示す断面図である。
[2.1 液栓400の構成の説明]
まず、液栓400の構成について、詳細に説明する。液栓400は、液口111を塞いだ状態で、蓋体110に溶接等によって接合される部材(注液栓)である。なお、液栓400の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など蓋体110に溶接可能な金属で形成されている。ここで、図3及び図4に示すように、液栓400は、本体部410と、突出部420とを有している。
本体部410は、液口111上に配置されて液口111を覆う液栓400の本体部分である。具体的には、本体部410は、液栓400の上部に配置される上面視円形状の部位(鍔部)であり、液口111を覆った状態で蓋体110に接合される。さらに具体的には、本体部410は、内面(Z軸方向マイナス側の面)が蓋体110の外面113と当接した状態で外面113上に載置されて、外周部分(外周縁)が全周に亘って外面113に接合される。これにより、本体部410の外周部分と外面113とが接合された上面視円環状の接合部430が形成される。具体的には、接合部430は、本体部410の外周部分と外面113とがレーザ溶接、抵抗溶接または超音波溶接等により溶接されて形成された溶接部である。なお、上面視とは、Z軸方向プラス側から見た場合のことであり、例えば上面視円環状とは、Z軸方向プラス側から見た場合に円環状の形状を有していることをいう。
また、本体部410の外面(Z軸方向プラス側の面)の中央位置には、Z軸方向マイナス側に向けて凹んだ略円錐状の凹部である本体部外面凹部411が形成されている。この本体部外面凹部411は、例えば、蓋体110の外面113に液栓400を接合する際の目印として用いられる。つまり、本体部外面凹部411によって、本体部410の位置を把握することができるため、液栓400を、外面113上の正確な位置に配置して、外面113に接合することができる。
突出部420は、液栓400の本体部410から突出して形成され、後述の蓋体110の被挿入部112に挿入される部位である。具体的には、突出部420は、突出部420の突出方向(Z軸方向)から見て(つまり、上面視で)、本体部410の中央位置に配置され、当該中央位置からZ軸方向マイナス側に延設されて配置される円柱状の部位(軸部)である。本実施の形態では、突出部420は、上面視で、本体部410の中心位置に配置されている。なお、本体部410の中央位置とは、本体部410の中心と外周縁との中間点(中点)を全周に亘って結んで形成される領域内の位置をいう。つまり、突出部420が本体部410の中央位置に配置されるとは、突出部420の中心が、本体部410の中心と外周縁との中間点よりも内側(中心側)に配置されることをいう。
ここで、突出部420は、本体部外面凹部411のZ軸方向マイナス側に配置される柱部421と、柱部421からZ軸方向マイナス側に向けて徐々に縮径する縮径部422と、縮径部422からZ軸方向マイナス側に延設された先端部423とを有している。
柱部421は、突出部420のZ軸方向プラス側の円柱形状の部位である。縮径部422は、XZ平面で切断した断面形状において、柱部421のZ軸方向マイナス側の端部から、Z軸方向マイナス側に向けてX軸方向の幅(直径)が徐々に小さくなるような外縁形状が曲線で形成された部位である。先端部423は、縮径部422のZ軸方向マイナス側の端部から、Z軸方向マイナス側に向けて延設された円柱形状の部位であり、突出部420の先端部分である。このように、突出部420は、蓋体110の被挿入部112に挿入しやすいように、先端部分が細くなった形状を有している。
[2.2 蓋体110の液口111まわりの構成の説明]
次に、蓋体110の液口111まわりの構成について、詳細に説明する。液口111は、電解液の注液時に用いられる上面視円形状の貫通孔であり、液口111を介して電解液が容器100の内方に注液される。ここで、液口111の側方(隣り合う位置)には、被挿入部112が配置されている。
被挿入部112は、液口111に並んで配置された凹部である。本実施の形態では、被挿入部112は、液口111のX軸方向プラス側に並んで配置されている。つまり、被挿入部112は、全体が液口111の側方(隣り合う位置)に配置、または、全体が液口111と並んで配置(一方向に並んで配置)されている。言い換えれば、単一の被挿入部112は、液口111の周囲を囲む位置には配置されず、液口111の周囲の一部のみに対応する位置に配置されている。つまり、被挿入部112は、単一の被挿入部112の外縁で囲まれる領域内に液口111が配置されることはなく、単一の被挿入部112の外縁で囲まれる領域外に液口111が配置されている。このように、液口111と被挿入部112とは、一方が単一で他方の周囲を囲むような関係にはなく、一方向(X軸方向)に配列されて配置されている。
ここで、被挿入部112は、液栓400の突出部420が挿入される上面視円形状の凹部である。具体的には、被挿入部112は、蓋体110の外面113からZ軸方向マイナス側に凹んだ凹部であり、上面視で、突出部420の柱部421の外周形状とほぼ同一の内周形状を有している。つまり、液栓400の突出部420は、被挿入部112に挿入されて、被挿入部112と嵌合される。なお、被挿入部112の凹部の深さは、特に限定されないが、突出部420の突出高さよりも少し深い程度、つまり、当該凹部の底面(Z軸方向マイナス側の面)に突出部420の先端部423が当接しない程度の深さであるのが好ましい。
以上のように、液栓400及び容器100のいずれか一方は、他方に向けて突出する突出部420を有し、当該他方は、突出部420が挿入される被挿入部112を有している。本実施の形態では、液栓400が突出部420を有し、容器100が被挿入部112を有している。そして、このような構成において、液栓400は、突出部420が被挿入部112に挿入(嵌合)されることで、蓋体110に対して位置決めされる。そして、液栓400の本体部410が蓋体110の外面113に当接して液口111を塞いだ状態で、本体部410の外周部分(外周縁)が外面113に溶接等接合されて、接合部430が形成される。
これにより、液栓400が蓋体110に固定(接合)された状態(突出部420が被挿入部112に挿入された状態)においては、突出部420及び被挿入部112は、液口111に並んで配置されることとなる。また、突出部420及び被挿入部112は、突出部420の突出方向(Z軸方向)から見て(つまり、上面視で)、本体部410の中央位置に配置されることとなる。
[3 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10によれば、液栓400は液口111を覆う本体部410を有し、液栓400及び容器100のいずれか一方は、他方に向けて突出する突出部420を有し、他方は、突出部420が挿入される被挿入部112を有しており、突出部420及び被挿入部112は、液口111に並んで配置されている。つまり、液栓400の本体部410で液口111を覆って液口111を塞ぐとともに、液口111に並んだ位置で突出部420を被挿入部112に挿入して液栓400の位置決めを行う。これにより、突出部420が液口111内に配置されないため、突出部420を伝って液口111内を電解液が這い上がることがなく、液口111から電解液が這い上がってくるのを抑制することができる。このように、液口111からの電解液の這い上がりを抑制することで、液栓400と容器100との接合作業を容易にすることができる。
また、液口111に並んだ位置に突出部420及び被挿入部112を配置するように突出部420及び被挿入部112を形成するという簡易な構成で、液栓400の位置決めをして接合作業を行うことができる。さらに、容器100に、液口111と被挿入部112との2箇所の特徴点があるため、容器100の位置や容器100の姿勢を容易に把握することができ、容易に液栓400を容器100に配置して接合作業を行うことができる。このように、簡易な構成で、容易に接合作業を行うことができる。
また、容器100に、被挿入部112としての凹部を形成し、液栓400に、当該凹部に挿入される突出部420を形成する。ここで、液栓400は小さい部材であるため、突出部420及び被挿入部112も小さく形成する必要がある。このため、容器100に小さな突出部を形成するよりも、小さな凹部を形成する方が、容器100を容易に製造することができる。そして、容器100に、被挿入部112として凹部を形成した場合には、当該凹部から電解液が這い上がってくることがないため、電解液の容器100表面への這い上がりを抑制することができ、液栓400と容器100との接合作業が容易になる。また、容器100に凹部を形成した場合には、突出部420を当該凹部に挿入する際にコンタミ(コンタミネーション、金属粉)が発生しても、当該コンタミが容器100内部に混入するのを抑制することができるため、液栓400と容器100との接合作業が容易になる。このように、製造が容易な容器100を用いた構成において、液栓400と容器100との接合作業を容易に行うことができる。
また、突出部420及び被挿入部112は、液栓400の本体部410の中央位置に配置されているため、容易に液栓400を製造することができる。つまり、本体部410の中央位置に突出部420を形成する構成であるため、従来の構成の液栓400の突出部420を、容器100の被挿入部112に挿入することで、液栓400を容器100に位置決めすることができる。このため、特別な液栓を製造することなく、従来の液栓を活用して、液口111内を電解液が這い上がるのを抑制することができる。このように、製造が容易な液栓400を用いた構成において、液栓400と容器100との接合作業を容易に行うことができる。
[4 実施の形態の変形例の説明]
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。図5は、本実施の形態の変形例1に係る蓋体110の液口111まわりの構成、及び、液栓400aの構成を示す平面図及び斜視図である。具体的には、図5の(a)は、蓋体110の液口111まわりの構成を示す平面図であり、図5の(b)は、液栓400aの構成を示す斜視図である。
図5に示すように、本変形例における液栓400aは、上記実施の形態における液栓400の突出部420に代えて、突出部420aを有している。突出部420aは、突出部420aの突出方向(Z軸方向)から見て、本体部410の端部に配置されている。ここで、本体部410の端部とは、本体部410の中央位置よりも外側の部分(本体部410の中心と外周縁との中間点(中点)を全周に亘って結んで形成される領域外の部分)をいう。つまり、突出部420aが本体部410の端部に配置されるとは、突出部420aの中心が、本体部410の中心と外周縁との中間点よりも外側(外周縁側)に配置されることをいう。なお、突出部420aの中心が、本体部410の中心と外周縁との中間点に配置される場合も、突出部420aが本体部410の端部に配置されることに含めることとする。蓋体110の構成等、本変形例のその他の構成については、上記実施の形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
以上のように、本変形例に係る蓄電素子によれば、突出部420aが被挿入部112に挿入された状態で、突出部420a及び被挿入部112は、突出部420aの突出方向から見て、本体部410の端部に配置され、これによって、本体部410の中央位置に液口111が配置される。つまり、液口111と突出部420a及び被挿入部112とは、並んで配置されるため、本体部410の端部に突出部420aまたは被挿入部112を配置することで、液栓400aを容器100に配置する際に、本体部410の中央位置に液口111を配置することができる。これにより、本体部410の外周部分が液口111から離れることとなり、液口111から離れた位置で本体部410と容器100とを接合することができるため、本体部410と容器100との接合箇所に電解液が付着するのを抑制することができる。これによって、液栓400aと容器100との接合作業を容易にすることができる。
なお、突出部420aは、本体部410の中央位置よりも外周側であれば、どの位置に配置されてもよく、例えば、本体部410の端縁(外周縁)上に配置されていてもよい。また、液口111が配置される位置は、本体部410の中央位置ではなく、当該中央位置から少し離れた位置に液口111が配置されることにしてもよい。
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。図6は、本実施の形態の変形例2に係る蓋体110の液口111まわりの構成、及び、液栓400bの構成を示す平面図及び斜視図である。具体的には、図6の(a)は、蓋体110の液口111まわりの構成を示す平面図であり、図6の(b)は、液栓400bの構成を示す斜視図である。
図6に示すように、本変形例における液栓400bは、上記変形例1における液栓400aの本体部410に代えて、本体部410bを有している。本体部410bは、突出部420aの突出方向(Z軸方向)から見て、非円形状である。具体的には、本体部410bは、X軸方向に延びる長尺な形状(同図では、上面視略長円形状)を有している。また、これにより、本体部410bの外周形状に応じた上面視略長円の環状の接合部430bが形成されている。本変形例のその他の構成については、上記変形例1と同様であり、詳細な説明は省略する。
以上のように、本変形例に係る蓄電素子によれば、液栓400bの本体部410bは、上面視非円形状である。つまり、液口111と突出部420a及び被挿入部112とは、並んで配置されるため、液口111と本体部410bとの位置関係によっては、本体部410bが円形でなくても良い。本変形例では、液口111と被挿入部112とがX軸方向に並んで配置されるため、本体部410bはX軸方向に長くする必要はあるが、Y軸方向には短くてもよい。このため、本体部410bをY軸方向に短い非円形状に形成することができ、本体部410bの外周部分の長さを短くすることができるため、本体部410bと容器100との接合の距離(接合部430bの長さ)を短くすることができる。これにより、本体部410bと容器100との接合作業を容易にすることができる。
また、本体部410bが非円形状の場合には、液栓400bを蓋体110に対して正確な位置及び姿勢で配置する必要があるが、蓋体110に、液口111と被挿入部112との2箇所の特徴点があることで、液口111の位置や蓋体110の姿勢を容易に把握することができるため、容易に液栓400bを蓋体110に配置することができる。これにより、本体部410bと容器100との接合作業を容易にすることができる。
なお、本体部410bは、図6に示すような上面視非円形状には限定されず、例えば上面視で楕円形状または多角形状などの上面視非円形状であってもよい。また、接合部430bも同様に、本体部410bの外周形状に応じた形状であればよい。
(変形例3)
次に、上記実施の形態の変形例3について、説明する。図7は、本実施の形態の変形例3に係る蓋体110の液口111まわりの構成、及び、液栓400cの構成を示す断面図及び斜視図である。具体的には、図7の(a)は、蓋体110の液口111まわりの構成を示す断面図であり、図7の(b)は、液栓400cの構成を示す斜視図である。
図7に示すように、本変形例における液栓400cは、上記実施の形態における液栓400の本体部410に代えて、本体部410cを有している。本体部410cには、突出部420の周囲に、内面412から凹んだ上面視円環状の凹部である本体部内面凹部413が形成されている。つまり、突出部420が被挿入部112に挿入された状態で、本体部410cの内面412における突出部420及び被挿入部112の周囲に、本体部内面凹部413が形成されている。これにより、本体部410cの液口111との対向面に、本体部内面凹部413が配置される(上面視で、本体部内面凹部413の内部に液口111が配置される)こととなる。本変形例のその他の構成については、上記変形例1と同様であり、詳細な説明は省略する。
以上のように、本変形例に係る蓄電素子によれば、液栓400cの本体部410cの内面412における突出部420及び被挿入部112の周囲に、本体部内面凹部413が形成されている。つまり、液口111と突出部420及び被挿入部112とは、並んで配置されるため、本体部410cの内面412における突出部420及び被挿入部112の周囲に本体部内面凹部413を形成することで、本体部内面凹部413を液口111に対向する位置に配置することができる。これにより、本体部410cが液口111の端縁に直接触れるのを抑制することができるため、電解液が液口111から這い上がってくるのを抑制することができる。これによって、本体部410cと容器100との接合作業を容易にすることができる。
なお、本体部内面凹部413は、上面視円環状の凹部には限定されず、例えば、上面視で楕円環状、長円環状または多角環状等、どのような形状の凹部であってもよい。また、本体部内面凹部413は、内面412からZ軸方向プラス側に向けて径が徐々に小さくなるテーパ形状の凹部であるが、当該テーパ形状を有していなくてもよい。また、本体部内面凹部413は、上記実施の形態以外の構成にも適用することができる。
(変形例4)
次に、上記実施の形態の変形例4について、説明する。図8は、本実施の形態の変形例4に係る蓋体110aの液口111まわりの構成を示す斜視図及び断面図である。具体的には、図8の(a)は、蓋体110aの液口111まわりの構成を示す斜視図であり、図8の(b)は、図8の(a)における蓋体110aをVIIIb−VIIIb断面で切断した場合の構成を示す断面図である。
図8に示すように、本変形例における蓋体110aには、外面113から凹んだ上面視円形状の凹部である蓋体凹部114が形成され、この蓋体凹部114に、上記実施の形態における上面視円形状の液口111が配置されている。つまり、蓋体凹部114の底面を貫通するように、液口111が形成されている。言い換えれば、蓋体110aは、液口111の入口側(Z軸方向プラス側)の周囲に、上面視円環状の底面部と、当該底面部の外周縁から立ち上がる円筒状の側面部とによって形成された階段状の段差部を有している。また、蓋体110aは、上記実施の形態における被挿入部112に代えて、被挿入部112aを有している。被挿入部112aは、底面に近づくほど径が小さくなるテーパ形状の内周面を有する凹部である。本変形例のその他の構成については、上記実施の形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
以上のように、本変形例に係る蓄電素子によれば、蓋体凹部114内に液口111が配置されているため、電解液が液口111を這い上がってきても、蓋体110aの外面113にまで電解液が這い上がってくるのを抑制することができる。また、蓋体凹部114内に液口111が配置されているため、液栓の本体部が液口111の端縁に直接触れるのを抑制することができ、電解液が液口111から這い上がってくるのを抑制することができる。また、被挿入部112aがテーパ形状の内周面を有しているため、液栓の突出部を被挿入部112aに容易に挿入することができる。これらにより、液栓の本体部と容器との接合作業を容易にすることができる。
なお、蓋体110aに蓋体凹部114が形成されておらず、被挿入部112aがテーパ形状の内周面を有していてもよいし、被挿入部112aがテーパ形状の内周面を有しておらず、蓋体110aに蓋体凹部114が形成されていてもよい。また、蓋体凹部114は、上面視円形状の凹部には限定されず、例えば、上面視で楕円形状、長円形状または多角形状等、どのような形状の凹部であってもよい。または、蓋体凹部114は、外面113からZ軸方向マイナス側に向けて径が徐々に小さくなるテーパ形状の凹部等であってもよい。また、被挿入部112aの形状も特に限定されず、例えば、入口部分が段差形状になっていてもよい。また、蓋体凹部114及び被挿入部112aは、上記実施の形態以外の構成にも適用することができる。
(変形例5)
次に、上記実施の形態の変形例5について、説明する。図9は、本実施の形態の変形例5に係る蓋体110bの液口111まわりの構成、及び、液栓400dの構成を示す斜視図である。具体的には、図9の(a)は、液栓400dを斜め下方から見た場合の構成を示す斜視図であり、図9の(b)は、蓋体110bの液口111まわりを斜め上方から見た場合の構成を示す斜視図である。
本変形例においては、液栓400d及び容器の蓋体110bの一方は、複数の突出部420dを有し、他方は、複数の突出部420dが挿入される複数の被挿入部112bを有している。具体的には、図9に示すように、液栓400dは、複数の突出部420dを有しており、蓋体110bには、当該複数の突出部420dが挿入される複数の被挿入部112bが形成されている。さらに具体的には、液口111の周囲に4つの上面視円弧形状の被挿入部112bが配置され、液栓400dには、当該4つの被挿入部112bに対応した外形状の4つの突出部420dが配置されている。つまり、突出部420dは、突出部420dの突出方向(Z軸方向)から見て、非円形状である。本変形例のその他の構成については、上記実施の形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
以上のように、本変形例に係る蓄電素子によれば、液栓400d及び蓋体110bの一方は、複数の突出部420dを有し、他方は、複数の突出部420dが挿入される複数の被挿入部112bを有している。つまり、液口111内に突出部420dが挿入される構成ではなく、液口111と突出部420d及び被挿入部112bとが並んで配置される構成であるため、複数の突出部420dが複数の被挿入部112bに挿入される構成とすることができる。これにより、液栓400dが蓋体110bに対して回転するのを抑制することができ、また、液栓400dを蓋体110bにしっかりと固定することができる。これによって、本体部410と蓋体110bとの接合作業を容易にすることができる。
なお、複数の突出部420d(及び複数の被挿入部112b)の配置位置は、上記には限定されず、例えば、液口111の側方に一列に配列されていてもよいし、規則性がなく不規則に配列されていてもよい。また、複数の突出部420d(及び複数の被挿入部112b)の個数についても、特に限定されない。また、液栓400dの突出部420dの形状は、図9に示す形状には限定されず、例えば円柱状、楕円柱状、長円柱状または角柱状などであってもよい。また、被挿入部112bも、図9に示す形状には限定されず、例えば上面視で円形状、楕円形状、長円形状または多角形状の凹部などであってもよく、突出部420dの外周形状と異なる内周形状や異なる大きさであってもよい。
また、上記実施の形態及び他の変形例のように、1つの突出部及び1つの被挿入部が設けられた構成についても、当該突出部は、図9に示す形状や、例えば楕円柱状、長円柱状または角柱状などの上面視非円形状であってもよい。また、被挿入部も、図9に示す形状や、例えば上面視で楕円形状、長円形状または多角形状などの上面視非円形状の凹部であってもよく、突出部の外周形状と異なる内周形状や異なる大きさであってもよい。
このように、上記実施の形態及び他の変形例についても、液栓の突出部及び被挿入部は、突出部の突出方向から見て、非円形状であってもよい。つまり、液口と当該突出部及び被挿入部とは、並んで配置されるため、液栓の本体部が突出部及び被挿入部まわりに回転した場合、本体部と液口との位置関係が大きく変わってしまう。これにより、本体部で液口を塞ぐことができなくなってしまったり、本体部と容器との接合作業が困難になってしまったりする等の不具合が生じる。このため、突出部及び被挿入部を非円形状に形成して、突出部及び被挿入部まわりに本体部が回転するのを規制する。これにより、本体部と容器との接合作業を容易にすることができる。なお、上記実施の形態及びその変形例において、突出部と被挿入部とが嵌合されることなく突出部が被挿入部に挿入される構成であってもよい。
(変形例6)
次に、上記実施の形態の変形例6について、説明する。図10は、本実施の形態の変形例6に係る蓋体110cの液口111cまわりの構成、及び、液栓400の構成を示す斜視図である。具体的には、図10は、図3に対応する図である。
本変形例においては、容器の蓋体110cは、突出部420及び被挿入部112の周囲に、複数の液口111cを有している。具体的には、図10に示すように、蓋体110cには、被挿入部112の周囲に、4つの上面視円弧形状の液口111cが環状に配置されて形成されている。つまり、液口111cは、上面視で非円形状を有している。本変形例のその他の構成については、上記実施の形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
以上のように、本変形例に係る蓄電素子によれば、容器の蓋体110cは、突出部420及び被挿入部112の周囲に、複数の液口111cを有している。つまり、蓋体110cに複数の液口111cを形成すると、液口111cの総面積を大きくすることができたり、一部の液口111cを容器内の空気排出用(真空引き用)として用いたりすることにより、注液性を向上させることができる。しかし、突出部420を被挿入部112に挿入する構成において、例えば、突出部420及び被挿入部112と複数の液口111cとを一列に並べて配置したりすると、本体部410の形状が長くなるため、本体部410と蓋体110cとの接合部分の長さが長くなる。このため、突出部420及び被挿入部112の周囲に複数の液口111cを配置することで、本体部410の外周部分の長さを短くすることができるため、本体部410と蓋体110cとの接合部分の長さを短くすることができる。これにより、本体部410と蓋体110cとの接合作業を容易にすることができる。また、複数の液口111cの中央位置に突出部420及び被挿入部112を配置することで、複数の液口111cの中央位置で液栓400を蓋体110cに固定することができるため、バランスよく複数の液口111cを塞ぐことができる。
なお、複数の液口111cの配置位置は、上記には限定されず、例えば、被挿入部112の側方に一列に配列されていてもよいし、規則性がなく不規則に配列されていてもよい。また、複数の液口111cの個数についても、特に限定されない。また、液口111cの形状は、図10に示す形状には限定されず、例えば上面視で円形状、楕円形状、長円形状または多角形状などであってもよい。なお、上記実施の形態及び他の変形例のように、1つの液口が設けられた構成についても、当該液口は、図10に示す形状や、例えば上面視で楕円形状、長円形状または多角形状などの上面視非円形状であってもよい。
(その他の変形例)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、液栓が突出部を有し、容器の蓋体が被挿入部を有していることとした。しかし、蓋体が突出部を有し、液栓が被挿入部を有していることにしてもよい。ただし、上述の通り、液栓の本体部の中央位置に突出部を形成する構成にすれば、従来の液栓を活用することができるため、液栓が突出部を有する構成の方が、効果が高く、好ましい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、被挿入部は、容器に形成された凹部であり、突出部は、当該凹部に挿入されることとした。しかし、被挿入部は、容器に形成された貫通孔であり、突出部は、当該貫通孔に挿入されることにしてもよい。この構成により、容器に貫通孔を形成するという簡易な加工によって、容器を容易に製造することができる。また、容器に、被挿入部として貫通孔を形成した場合には、突出部の被挿入部への挿入深さを深くすることができるため、液栓を容器にしっかりと固定することができ、液栓と容器との接合作業が容易になる。ただし、容器に、被挿入部として凹部を形成した場合には、上述の通り、電解液の容器表面への這い上がりを抑制することができたり、突出部を当該凹部に挿入する際にコンタミが容器内部に混入するのを抑制することができる。このため、容器に、被挿入部として貫通孔を形成するよりも、凹部を形成する方が、効果が高く、好ましい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、液栓と容器との接合部は、液栓の本体部の外周部分(外周縁)に形成されることとした。しかし、接合部は、本体部の外周部分以外の部分に形成されて、本体部を容器に接合することにしてもよい。この場合には、接合部の形状は、本体部の外周形状に応じた形状でなくてもよく、どのような形状であってもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、液栓の突出部は、先端部分が細くなった中実の部位であることとした。しかし、液栓の突出部は、先端部分が細くなっていない柱状の部位であってもよいし、内方に空間(凹部)が形成された中空の構造を有していてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、接合部は、液栓の本体部と容器の蓋体とが溶接によって接合された溶接部であることとした。しかし、本体部と蓋体との接合方法は、溶接には限定されず、例えば、接合部は、液栓の本体部と容器の蓋体とが接着剤等によって接着、熱溶着等によって溶着、または、かしめ等によって機械的に接合された部位であることにしてもよい。この場合でも、液口から電解液が這い上がってくるのを抑制することで、液栓と蓋体との接合作業を容易にすることができる。
また、上記実施の形態及びその変形例では、容器の蓋体に液口が形成され、当該液口を塞ぐように、容器の蓋体に液栓が配置されることとした。しかし、容器本体120のいずれかの壁部に液口が形成され、当該液口を塞ぐように、容器本体120の当該壁部に液栓が配置されることにしてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
また、本発明は、蓄電素子として実現することができるだけでなく、当該蓄電素子が備える、電解液の液口が形成された容器及び液栓としても実現することができる。