(1)概要
以下、本実施形態に係る電気錠制御システム及び電気錠システムの概要について説明する。本実施形態に係る電気錠システム10は、図1に示すように、電気錠制御システム1と、電気錠制御システム1によって制御される電気錠3と、を備えている。
本実施形態に係る電気錠制御システム1は、図2に示すように、開閉部材5を施錠又は解錠する電気錠3を制御するためのシステムである。開閉部材5は、建物4の開口部40に設けられ、開口部40を塞ぐ閉位置と開口部40を開放する開位置との間で開閉可能である。開閉部材5は、建物4の内(宅内41)と外(宅外42)とを隔てる扉又は窓であって、例えば、玄関扉、勝手口ドア、又は掃き出し窓等である。本実施形態では、開閉部材5は、玄関扉である。玄関扉は、開き戸であってもよいし、引き戸であってもよい。電気錠制御システム1及び電気錠3は、開閉部材5に設置されている。電気錠制御システム1は、鍵装置2と通信可能に構成されている。そして、電気錠制御システム1は、鍵装置2との通信によって、開閉部材5を施錠する施錠状態と、開閉部材5を解錠する解錠状態との切り替えを電気的に行うように構成されている。
鍵装置2は、電気錠制御システム1との通信機能を有している。本実施形態では、電気錠制御システム1と鍵装置2との間の通信方式は、電波を媒体とする無線通信である。また、本実施形態では、電気錠制御システム1及び鍵装置2は、いずれも電池駆動式である。また、本実施形態では、鍵装置2は、例えば電話機能を有する携帯電話端末である。本実施形態では、建物4が戸建て住宅である場合を例として説明する。したがって、ユーザ6は、建物4の住人のうち、鍵装置2を所有する人である。
電気錠3は、電気錠制御システム1の錠側制御部11(後述する)から出力される施錠信号又は解錠信号によって、電動で開閉部材5を施錠又は解錠する。すなわち、電気錠3は、錠側制御部11からの施錠信号又は解錠信号によって、開閉部材5を施錠する施錠状態、又は開閉部材5を解錠する解錠状態に切り替えられる。
ところで、特許文献1に記載の電気錠システムでは、上述したように、例えば住宅内であって、かつ第1通信部との通信圏内に携帯機が置かれている場合には、住人が外出時に携帯機を所持していなくても錠前が自動的に施錠される可能性があった。そして、錠前が自動的に施錠された場合には、住人であるにもかかわらず住宅内に入れなくなってしまうという問題があった。
本実施形態に係る電気錠制御システム1及び電気錠システム10では、上記問題を解決すべく、ユーザ6が鍵装置2を所持しないで外出する場合に電気錠3にて開閉部材5が施錠される可能性を低減できるように、以下のように構成されている。
本実施形態に係る電気錠制御システム1は、図1に示すように、錠側制御部11と、錠側通信部12と、推定部113と、を備える。錠側制御部11は、開閉部材5を施錠又は解錠する電気錠3を制御する。開閉部材5は、建物4の開口部40を開閉する。錠側通信部12は、開閉部材5の施錠操作及び解錠操作のうち少なくとも解錠操作を行うための鍵装置2との間で無線通信を行う。推定部113は、無線通信における無線信号Sig1の受信信号強度に基づいて開閉部材5から鍵装置2までの距離L1(図5A参照)を推定する。錠側制御部11は、開閉部材5が解錠された状態において、推定部113にて推定した距離L1が所定値以下である場合には開閉部材5が解除された状態を保持するように構成されている。錠側制御部11は、開閉部材5が解錠された状態において、距離L1が所定値よりも長い場合には電気錠3に開閉部材5を施錠させるように構成されている。また、本実施形態に係る電気錠システム10は、電気錠制御システム1と、電気錠制御システム1によって制御される電気錠3と、を備える。
この構成によれば、推定部113にて推定した、開閉部材5から鍵装置2までの距離L1が所定値よりも長い場合に、電気錠3にて開閉部材5が施錠される。つまり、ユーザ6が鍵装置2を所持していない場合、又は鍵装置2を所持したユーザ6が開閉部材5の近傍にいる場合には、電気錠3にて開閉部材5が施錠されない。すなわち、この構成によれば、ユーザ6が鍵装置2を所持しないで外出する場合に電気錠3にて開閉部材5が施錠される可能性を低減することができる。その結果、ユーザ6が鍵装置2を所持しないで外出した場合であっても建物4内に入ることができる。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る電気錠制御システム1及び電気錠システム10の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
(2.1)電気錠制御システム
まず、電気錠制御システム1の構成について説明する。電気錠制御システム1は、図1に示すように、錠側制御部11と、錠側通信部12と、検知部13と、センサ14と、錠側操作部15と、錠側記憶部16と、を備えている。本実施形態では、電気錠制御システム1は、錠側制御部11、錠側通信部12、検知部13、錠側操作部15及び錠側記憶部16が1つのケース17(図2参照)に収納されている。
錠側制御部11は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、錠側制御部11は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが錠側制御部11として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
錠側制御部11は、図1に示すように、認証部111と、計測部112と、推定部113と、を有している。
認証部111は、錠側通信部12が鍵装置2から受信した鍵情報を、錠側記憶部16が記憶する認証情報と照合することにより、鍵情報を送信してきた鍵装置2が、電気錠3の操作を許可された鍵装置2であるか否かを認証する。すなわち、認証部111は、鍵情報を送信してきた鍵装置2が、電気錠制御システム1に登録されている正規の鍵装置であるか否かを認証する。
計測部112は、鍵装置2から送信される無線信号Sig1の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を計測するように構成されている。計測部112は、鍵装置2からの無線信号Sig1を受信するたびに、無線信号Sig1の受信信号強度(電波強度)を計測する。
推定部113は、電気錠制御システム1と鍵装置2との間の無線通信における無線信号の受信信号強度に基づいて、開閉部材5から鍵装置2までの距離L1(図5A参照)を推定する(以下、「推定処理」ともいう)ように構成されている。本実施形態では、推定部113は、鍵装置2から電気錠制御システム1への無線信号Sig1の受信信号強度に基づいて距離L1を推定する。また、推定部113は、無線信号Sig1の大きさ(絶対値)ではなく、無線信号Sig1の相対値に基づいて距離L1を推定するように構成されている。このとき、推定部113は、所定期間において鍵装置2から受信した無線信号Sig1の受信信号強度に対する相対値に基づいて距離L1を推定する。言い換えると、推定部113は、所定期間において鍵装置2から受信した無線信号Sig1の受信信号強度と、現在位置での鍵装置2からの無線信号Sig1の受信信号強度との差分を求め、この差分に基づいて距離L1を推定する。
ここでいう「所定期間」とは、例えば、検知部13にて開閉部材5が閉じたことを検知したときを起点とする期間である。つまり、本実施形態では、推定部113は、開閉部材5が閉じてからの所定期間内に受信した鍵装置2からの無線信号Sig1の受信信号強度を基準とする相対値を求め、この相対値に基づいて距離L1を推定する。なお、推定部113の動作については、「(3)動作」の欄にて詳細に説明する。
図3は、鍵装置2から電気錠制御システム1への無線信号Sig1の受信信号強度dB1と、開閉部材5から鍵装置2までの距離L1との関係を表したグラフである。図3中の実線a1は、例えばユーザ6が鍵装置2を手に持っている状態を表し、破線a2は、例えばユーザ6が鍵装置2をカバンに入れている状態を表している。
ユーザ6が鍵装置2を手に持っている場合、距離L1がL11(例えば、0.5m)のときに受信信号強度dB1はdB11となり、距離L1がL11よりも長いL12(例えば、3m)のときに受信信号強度dB1はdB11より小さいdB12となる。また、鍵装置2がカバンに入っている場合、距離L1がL11のときに受信信号強度dB1はdB21(dB21<dB11)となり、距離L1がL12のときに受信信号強度dB1はdB21より小さいdB22(dB22<dB12)となる。このように、開閉部材5から鍵装置2までの距離L1が同じであっても、鍵装置2の状態によって受信信号強度dB1の大きさ(絶対値)が異なるため、受信信号強度dB1の絶対値から正確な距離L1を推定することは難しい。
一方、受信信号強度dB1は、実線a1及び破線a2に示すように、鍵装置2の状態にかかわらず距離L1の変化に応じて同じように変化する。すなわち、受信信号強度dB1を計測する2つの位置が同じ位置であれば、受信信号強度dB1の変化量は同じになる。ここでいう「変化量が同じ」とは、変化量が完全に一致する場合だけでなく、変化量の差分が所定値以下である場合も含まれる。例えば、ユーザ6が鍵装置2を手に持っている場合、距離L1がL11からL12に変化したときの変化量はΔdB1(=dB11−dB12)となる。また、鍵装置2がカバンに入っている場合、距離L1がL11からL12に変化したときの変化量はΔdB2(=dB21−dB22)となる。これらの変化量ΔdB1,ΔdB2は同じ大きさである。言い換えると、距離L1がL11のときの受信信号強度dB1に対する、距離L1がL12のときの受信信号強度dB1の相対値(差分)は同じ大きさである。したがって、推定部113は、受信信号強度dB1の大きさ(絶対値)ではなく、受信信号強度dB1の相対値に基づいて距離L1を推定することで、推定精度を高めることができる。
錠側制御部11は、推定部113にて推定した距離L1と所定値との大小に応じて電気錠3に開閉部材5を施錠させるように構成されている。言い換えると、錠側制御部11は、開閉部材5が解錠された状態において、距離L1が所定値以下である場合には開閉部材5が解錠された状態を保持し、距離L1が所定値よりも長い場合には電気錠3に開閉部材5を施錠させる。つまり、錠側制御部11は、距離L1が所定値以下である場合には、鍵装置2を所持したユーザ6が開閉部材5の近傍にいると判断して開閉部材5が解錠された状態を保持する。また、錠側制御部11は、距離L1が所定値よりも長い場合には、鍵装置2を所持したユーザ6が開閉部材5から離れていると判断して電気錠3に開閉部材5を施錠させる。
錠側通信部12は、例えば、アンテナと、通信回路と、を有し、電波を媒体とする無線通信を行う。錠側通信部12は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)の規格に準拠した近距離無線通信を行うように構成されている。ここで、「BLE」とは、無線PAN(Personal Area Network)技術であるBluetooth(登録商標)の仕様における、低消費電力仕様の呼称である。錠側通信部12は、錠側制御部11からの指令に従って、ビーコン信号を間欠的に送信する。また、錠側通信部12は、ビーコン信号に応答して鍵側通信部22(後述する)から送信されるビーコン応答を受信する。つまり、錠側通信部12は、信号の送信機能及び受信機能を有しており、鍵側通信部22との間で双方向の通信を行うように構成されている。
ここで、図2中の破線101は、鍵装置2との通信を可能にする錠側通信部12の通信エリアのうち、建物4の外(宅外42)に形成される通信エリアであり、図2中の一点鎖線102は、建物4の内(宅内41)に形成される通信エリアである。なお、通信エリア102は、錠側通信部13からの漏れ電波によって形成される通信エリアである。
検知部13は、開閉部材5の開閉を検知する。本実施形態では、検知部13は、開閉部材5としての玄関扉が閉じられたことを検知する。検知部13は、玄関扉の扉枠に取り付けられるマグネットと、玄関扉が閉じられた状態でマグネットと対向するように玄関扉に配置される磁気センサと、を備えている。検知部13は、磁気センサによる磁気の検出結果に基づいて玄関扉(開閉部材5)の開閉状態を検知し、その検知結果を錠側制御部11に出力する。
センサ14は、例えば、赤外線を用いた焦電型の人感センサである。センサ14は、建物4に取り付けられ、開閉部材5を含む所定範囲における人の存在を検知するように構成されている。センサ14は、開閉部材5を含むように検知範囲が設定されていることから、開閉部材5を通って建物4に出入りするユーザ6を検知することができる。なお、センサ14は、赤外線センサに限らず、例えば、超音波センサであってもよいし、赤外線と超音波とを組み合わせたセンサであってもよい。
錠側操作部15は、ユーザ6(つまり、人)による操作入力を受け付ける機能を有している。錠側操作部15は、例えば建物4の宅内41側及び宅外42側の各々に設けられた押釦スイッチからなる。その他、錠側操作部15は、例えば開閉部材5(玄関扉)に備わっているドアハンドル(取っ手)であってもよいし、ユーザ6がドアハンドルに触れる操作を検知するタッチセンサ等であってもよい。錠側操作部15は、ユーザ6による操作入力を受け付けると、操作入力に応じた操作信号を錠側制御部11に出力する。
錠側記憶部16は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read-Only Memory)のような電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを備える。錠側記憶部16は、電気錠3の制御を許可された1台以上の鍵装置2の鍵情報を認証情報として記憶する。本実施形態では、鍵装置2には固有の鍵情報が付与されている。このため、錠側記憶部16は、鍵装置2の識別情報と、鍵装置2に付与された鍵情報とを対応付けて記憶する。
(2.2)鍵装置
次に、鍵装置2の構成について説明する。鍵装置2は、例えばスマートフォンのような携帯端末である。鍵装置2は、図1に示すように、鍵側制御部21と、鍵側通信部22と、鍵側操作部23と、鍵側記憶部24と、表示部25と、を備えている。これらの鍵側制御部21、鍵側通信部22、鍵側操作部23、鍵側記憶部24及び表示部25は、携帯可能な1つのケースに収納されている。
鍵側制御部21は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、鍵側制御部21は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが鍵側制御部21として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
鍵側通信部22は、例えば、アンテナと、通信回路と、を有している。鍵側通信部22は、錠側通信部12との間で、例えばBLEの規格に準拠した近距離無線通信を行うように構成されている。鍵側通信部22は、鍵側制御部21からの指令に従って、応答信号を送信する。また、鍵側通信部22は、錠側通信部12から送信されるビーコン信号を受信する。鍵側通信部22は、ビーコン信号を受信すると、ビーコン信号を受信したことを通知するビーコン応答を電気錠制御システム1に送信する。つまり、鍵側通信部22は、信号の送信機能及び受信機能を有しており、錠側通信部12との間で双方向の通信を行うように構成されている。鍵装置2からのビーコン応答を電気錠制御システム1の錠側通信部12が受信することにより、鍵装置2の認証を行うための認証通信が電気錠制御システム1と鍵装置2との間で開始される。
鍵側操作部23は、ユーザ6(つまり、人)による操作入力を受け付ける機能を有している。鍵側操作部23は、例えば鍵装置2のケースに設けられた押釦スイッチで構成されていてもよいし、鍵装置2のケースに設けられたレバーで構成されていてもよい。本実施形態では、鍵側操作部23は、表示部25を構成するディスプレイ装置に設けられたタッチパネルを有している。タッチパネルは、静電容量方式、感圧式などのタッチセンサを有する。ユーザ6が表示部25のディスプレイ装置に触れる操作(タップ操作、スワイプ操作等)を行うと、鍵側操作部23は、操作に応じた信号を鍵側制御部21に出力する。
鍵側記憶部24は、例えばEEPROMのような電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを備える。鍵側記憶部24は、鍵装置2に割り当てられた個別の識別情報、及び電気錠制御システム1から付与された鍵情報等を記憶する。また、鍵側記憶部24には、鍵装置2のコンピュータが実行するプログラムが記憶されている。このプログラムは、予めメモリに記憶されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、本実施形態のように、鍵装置2がスマートフォンであれば、鍵側記憶部24には、ユーザ6が任意にインストールしたアプリケーションが記憶されていてもよい。
表示部25は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の薄型ディスプレイ装置である。表示部25は、鍵側制御部21によって表示内容が制御される。
(2.3)電気錠
次に、電気錠3の構成について説明する。電気錠3は、開閉部材5(ここでは、玄関扉)を解錠及び施錠する。電気錠3は、デッドボルトと、駆動部と、駆動回路と、を有している。駆動回路は、錠側制御部11から出力される制御信号(解錠信号又は施錠信号)に応じて駆動信号を作成し、この駆動信号を駆動部に出力する。駆動部は、電動モータと、電動モータの駆動力をデッドボルトに伝達する伝達機構と、を備えている。駆動部は、駆動回路から入力される駆動信号に従って駆動モータを駆動する。駆動モータの駆動力が伝達機構を介してデッドボルトに伝達されることによって、デッドボルトが施錠位置又は解錠位置に移動する。ここで、デッドボルトが施錠位置に移動した状態では、デッドボルトの少なくとも一部が、開閉部材5を支持する扉枠に設けられたボルト穴に挿入されており、この状態では開閉部材5が閉じた状態で保持される。デッドボルトが解錠位置に移動した状態では、デッドボルトの全体がボルト穴の外に出ており、この状態では開閉部材5の開閉が可能になる。
(3)動作
以下、本実施形態に係る電気錠制御システム1及び電気錠システム10の動作について、図4及び図5Aを参照して説明する。本実施形態では、ユーザ6が建物4から外出する場合を例として説明する。図5Aは、ユーザ6が建物4から出るときの動作を説明する説明図である。図5A中の破線201は、建物4の宅外42の解錠保持エリアであり、鍵装置2が解錠保持エリア201内にある場合には開閉部材5の解錠状態が保持される。言い換えると、錠側制御部11は、開閉部材5が解錠された状態において、鍵装置2が解錠保持エリア201内にある間は開閉部材5の解錠状態を保持する。
ユーザ6は、開閉部材5を解錠するために錠側操作部15を操作する(ステップS1)。錠側操作部15がユーザ6の操作入力を受け付けると、錠側制御部11は、ビーコン信号を錠側通信部12から鍵装置2に送信させる。鍵装置2の鍵側通信部22がビーコン信号を受信すると、鍵側制御部21は、ビーコン応答を鍵側通信部22から電気錠制御システム1に送信させる。そして、電気錠制御システム1の錠側通信部12がビーコン応答を受信すると、電気錠制御システム1と鍵装置2との間で認証通信が開始される。
電気錠制御システム1と鍵装置2との間で認証通信が開始されると、錠側制御部11は、鍵装置2の鍵情報を要求する要求信号を錠側通信部12から鍵装置2に送信させる。鍵装置2の鍵側通信部22が要求信号を受信すると、鍵側制御部21は、鍵側記憶部24に記憶されている鍵情報を含む応答信号を作成し、この応答信号を鍵側通信部22から電気錠制御システム1に送信させる。電気錠制御システム1の錠側通信部12が応答信号を受信すると、錠側制御部11の認証部111は、応答信号に含まれる鍵情報及び鍵装置2の識別情報を、錠側記憶部16が記憶している認証情報と照合することによって、鍵装置2の認証を行う。錠側制御部11は、認証部111の認証が成功すると、錠側操作部15からの操作信号に従って解錠信号を作成し、この解錠信号を電気錠3に出力する。電気錠3は、錠側制御部11からの解錠信号に従って開閉部材5を解錠する(ステップS2)。なお、錠側通信部12の通信エリア102(図2参照)内に鍵装置2が入った時点で鍵装置2の認証を行い、錠側操作部15に対するユーザ6の操作入力を待って開閉部材5を解錠するように構成されていてもよい。
開閉部材5が解錠されると、ユーザ6は、開閉部材5を開けて建物4の宅外42へ移動した後、開閉部材5を閉じる(ステップS3)。このとき、検知部13は、一旦開けられた開閉部材5が閉じられたことを検知する。錠側制御部11は、検知部13の検知結果から開閉部材5が閉じている場合、鍵装置2からの応答信号を要求する応答要求信号を錠側通信部12から鍵装置2に送信させる。鍵装置2の鍵側通信部22が応答要求信号を受信すると、鍵側制御部21は、応答信号を鍵側通信部22から間欠的に送信させる。電気錠制御システム1の錠側通信部12が応答信号を受信するごとに、錠側制御部11の計測部112は、応答信号の受信信号強度を計測する(ステップS4)。ここで、錠側制御部11の推定部113は、計測部112にて最初に計測した応答信号の受信信号強度を、距離L1を推定するための基準値とする。
推定部113は、計測部112にて計測した応答信号の受信信号強度の相対値(強度差)を求める。言い換えると、推定部113は、現在位置での鍵装置2からの応答信号の受信信号強度と上記基準値との強度差を求める。そして、推定部113は、この強度差が所定の閾値ΔdB以下である場合には(ステップS5のNo)、図5Aに示すように、鍵装置2が解錠保持エリア201内にあり、開閉部材5から鍵装置2までの距離L1が所定値以下であると推定する。錠側制御部11は、推定部113の推定結果に基づいて開閉部材5が解錠された状態を保持する。すなわち、この場合には、開閉部材5が施錠されない。
一方、推定部113は、強度差が所定の閾値ΔdBよりも大きい場合には(ステップS5のYes)、鍵装置2が解錠保持エリア201外にあり、開閉部材5から鍵装置2までの距離L1が所定値よりも長いと推定する。錠側制御部11は、推定部113の推定結果に基づいて、電気錠3に開閉部材5を施錠させる(ステップS6)。
ところで、鍵装置2は、上述のように、鍵装置2に個別に割り当てられた識別情報を含む無線信号Sig1を送信するように構成されている。そのため、推定部113は、上記識別情報に応じて上記閾値を変更するように構成されていることが好ましい。言い換えると、推定部113は、鍵装置2からの無線信号Sig1に含まれる識別情報に応じて、上記相対値と比較するための閾値を変更するように構成されていることが好ましい。この構成によれば、電気錠制御システム1に複数の鍵装置2が登録されている場合、鍵装置2ごとに上記閾値を設定することができる。言い換えると、鍵装置2を所持するユーザ6ごとに上記閾値を設定することができる。
また、電気錠3によって開閉部材5が正常に施錠された場合には、その旨を通知する通知信号を電気錠制御システム1から鍵装置2に送信するように構成されていることが好ましい。鍵装置2では、鍵側通信部22が上記通知信号を受信すると、鍵側制御部21は、例えば、「正常に施錠されました」等の表示を鍵装置2の表示部25に表示させたり、「正常に施錠されました」等の音声メッセージを鍵装置2のスピーカ等から出力させる。また、鍵装置2がブザーを備えている場合には、ブザーを鳴動させることによって開閉部材5が施錠されたことをユーザ6に通知してもよい。これらの構成によれば、開閉部材5が正常に施錠されたことをユーザ6に知らせることができる。
本実施形態に係る電気錠制御システム1及び電気錠システム10によれば、推定部113にて推定した、開閉部材5から鍵装置2までの距離L1が所定値よりも長い場合に、電気錠3にて開閉部材5が施錠される。つまり、ユーザ6が鍵装置2を所持していない場合、又は鍵装置2を所持したユーザ6が開閉部材5の近傍にいる場合には、電気錠3にて開閉部材5が施錠されない。すなわち、本実施形態によれば、ユーザ6が鍵装置2を所持しないで外出する場合に電気錠3にて開閉部材5が施錠される可能性を低減することができる。その結果、ユーザ6が鍵装置2を所持しないで外出した場合であっても建物4内に入ることができる。
また、上述した推定部113の推定処理が一定時間内に終了しない場合(つまり、タイムアウト)には、開閉部材5から鍵装置2までの距離L1の長さにかかわらず、電気錠3にて開閉部材5を施錠してもよいし、開閉部材5が解錠された状態を保持してもよい。
また、錠側制御部11は、ユーザ6が手動にて開閉部材5を解錠した場合には、推定部113の推定結果に基づいて電気錠3に開閉部材5を施錠させるように構成されていてもよいし、開閉部材5の解錠状態を保持するように構成されていてもよい。特に、錠側制御部11が開閉部材5の解錠状態を保持するように構成されている場合には、以下のような利点がある。
例えば、複数のユーザ6が建物4を利用しており、複数のユーザ6のうち少なくとも1人が外出する際に残りのユーザ6が見送る場合を想定する。この場合、建物4の内側から開閉部材5を解錠するため、手動でサムターンを回すことにより開閉部材5を解錠する状況も起こり得る。また、この場合には、残りのユーザ6が鍵装置2を所持していないことも想定されるため、電気錠3にて自動的に施錠してしまうと、残りのユーザ6が見送り後に建物4内に入れなくなる可能性がある。そのため、ユーザ6が開閉部材5を手動で解錠した場合には、錠側制御部11は、電気錠3に開閉部材5を施錠させないように構成されていることが好ましい。これにより、開閉部材5が手動で解錠された場合において、ユーザ6が鍵装置2を所持していなくても、ユーザ6が建物4内に入れなくなる可能性を低減することができる。
この場合、錠側操作部15が操作されて電気錠3にて開閉部材5を解錠する場合と、手動にて開閉部材5を解錠する場合とを区別できるように、サムターンが回されたことを検知する機能が設けられていることが好ましい。この機能は、例えばマイクロスイッチ等で構成される。そして、錠側制御部11は、電気錠3にて開閉部材5を解錠していないにもかかわらず、サムターンの位置が解錠位置にある場合に、手動にて開閉部材5が解錠されたと判断する。
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、電気錠制御システム1と同様の機能は、制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した記録媒体等で具現化されてもよい。
一態様に係る制御方法は、制御ステップと、通信ステップと、推定ステップと、を備えている。また、一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、制御ステップと、通信ステップと、推定ステップと、を実行させるためのプログラムである。
制御ステップは、開閉部材5を施錠又は解錠する電気錠3を制御するステップである。開閉部材5は、建物4の開口部40を開閉する。通信ステップは、開閉部材5の施錠操作及び解錠操作のうち少なくとも解錠操作を行うための鍵装置2との間で無線通信を行うステップである。推定ステップは、無線通信における無線信号Sig1の受信信号強度に基づいて開閉部材5から鍵装置2までの距離L1を推定するステップである。制御ステップでは、開閉部材5が解錠された状態において、推定ステップにて推定した距離L1が所定値以下である場合には開閉部材5が解除された状態を保持し、距離L1が所定値よりも長い場合には電気錠3に開閉部材5を施錠させる。
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における電気錠制御システム1の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における電気錠制御システム1又は制御方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
上述の実施形態では、推定部113が錠側制御部11に含まれているが、推定部113は錠側制御部11に含まれていなくてもよい。すなわち、推定部113は、錠側制御部11と別体であってもよい。
上述の実施形態では、錠側制御部11及び推定部113が1つの回路で実現されているが、2つ以上の回路で実現されていてもよい。例えば、錠側制御部11及び推定部113の機能が、2つ以上の回路に分散して設けられていてもよい。また、例えば、錠側制御部11及び推定部113の機能が、1つのケースに収まる1つの装置に設けられていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。さらに、錠側制御部11及び推定部113の少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されていてもよい。
上述の実施形態では、錠側制御部11、錠側通信部12及び検知部13が1つのケース17に収納されているが、これに限定する趣旨ではない。例えば、錠側制御部11、錠側通信部12及び検知部13は、2つ以上のケース17に分散して収納されていてもよい。
上述の実施形態では、所定期間が、検知部13にて開閉部材5が閉じている状態を検知したときを起点とする期間である場合を例として説明している。これに対して、所定期間は、検知部13にて開閉部材5が開いている状態を検知したときを起点とする期間であってもよい。さらに、所定期間は、開閉部材5が解錠されたときを起点とする期間であってもよい。また、本実施形態のように、電気錠制御システム1がセンサ14を備えている場合には、所定期間は、センサ14によってユーザ6(人)が検知されたときを起点とする期間であってもよい。いずれの場合であっても、開閉部材5から鍵装置2までの距離L1を推定することができる。
上述の実施形態では、推定部113が距離L1を推定する際に用いられる受信信号強度が鍵装置2からの無線信号Sig1の受信信号強度である場合を例として説明しているが、電気錠制御システム1からの無線信号の受信信号強度であってもよい。この場合、電気錠制御システム1からの無線信号の受信信号強度を鍵装置2で計測し、その計測結果を鍵装置2から電気錠制御システム1に送信する。そして、電気錠制御システム1の推定部113は、鍵装置2からの計測結果に基づいて距離L1を推定する。
また、鍵装置2に推定部が設けられていてもよい。この場合、推定部が距離L1を推定する際に用いられる受信信号強度は、鍵装置2から電気錠制御システム1への無線信号Sig1の受信信号強度であってもよいし、電気錠制御システム1から鍵装置2への無線信号の受信信号強度であってもよい。鍵装置2から電気錠制御システム1への無線信号Sig1の場合には、無線信号Sig1の受信信号強度を計測部112で計測し、その計測結果を電気錠制御システム1から鍵装置2に送信する。また、電気錠制御システム1から鍵装置2への無線信号の場合には、無線信号の受信信号強度を鍵装置2で計測する。そして、鍵装置2の推定部は、取得した受信信号強度に基づいて距離L1を推定する。鍵装置2の鍵側制御部21は、推定部の推定結果を含む無線信号Sig1を鍵側通信部22から電気錠制御システム1に送信させる。
上述の実施形態では、ユーザ6が建物4から出る場合を例として説明しているが、ユーザ6が建物4に入る場合であってもよい。図5Bは、ユーザ6が建物4に入る場合の動作を説明する説明図である。図5B中の破線202は、建物4の宅内41の解錠保持エリアであり、鍵装置2が解錠保持エリア202内にある場合には開閉部材5の解錠状態が保持される。言い換えると、錠側制御部11は、開閉部材5が解錠された状態において、鍵装置2が解錠保持エリア202内にある間は開閉部材5の解錠状態を保持する。
この場合、推定部113は、ユーザ6が建物4の宅内41に入ってから開閉部材5を閉じたときを起点とする所定期間内で錠側通信部12が受信した無線信号Sig1の受信信号強度を基準値とする受信信号強度の相対値を求める。そして、推定部113は、求めた受信信号強度の相対値から、開閉部材5から鍵装置2までの距離L1を推定する。錠側制御部11は、推定部113の推定結果から距離L1が所定値以下である場合、つまりユーザ6が開閉部材5の近傍にいる場合には、開閉部材5の解錠状態を保持する。また、錠側制御部11は、推定部113の推定結果から距離L1が所定値よりも長い場合、つまりユーザ6が建物4内へと移動した場合には、電気錠3に開閉部材5を施錠させる。このように、ユーザ6が建物4に入る場合であっても、ユーザ6が鍵装置2を所持していれば、距離L1が所定値よりも長くなったときに開閉部材5を自動的に施錠することができる。
上述の実施形態では、鍵装置2の鍵側通信部22は、電気錠制御システム1からの応答要求信号を受信すると、応答要求信号に対する応答信号を間欠的に送信している。これに対して、鍵側通信部22は、電気錠制御システム1の錠側通信部12から間欠的に送信される応答要求信号を受信するたびに応答信号を送信するように構成されていてもよい。すなわち、応答要求信号と応答信号とが一対一に対応するように構成されていてもよい。
上述の実施形態では、錠側制御部11は、開閉部材5から鍵装置2までの距離L1が所定値よりも長くなったときに、電気錠3に開閉部材5を施錠させるように構成されている。これに対して、錠側制御部11は、距離L1の大きさに応じて段階的に制御するように構成されていてもよい。例えば、距離L1が第1距離に達すると、錠側制御部11は、電気錠3により開閉部材5を施錠する旨の通知信号を錠側通信部12から鍵装置2に送信させる。鍵装置2の鍵側制御部21は、鍵側通信部22が上記通知信号を受信すると、例えば、「もうすぐ施錠されます」等の音声メッセージを鍵装置2のスピーカ等から出力させる。そして、距離L1が第1距離よりも長い第2距離に達すると、錠側制御部11は、電気錠3に開閉部材5を施錠させる。このとき、上述のように、開閉部材5が施錠された旨の表示を鍵装置2の表示部25に表示させたり、開閉部材5が施錠された旨の音声メッセージを鍵装置2のスピーカ等から出力させることが好ましい。
上述の実施形態では、鍵装置2は、例えばスマートフォンのような携帯端末であるが、他の構成であってもよい。例えば、鍵装置2は、コンピュータを電気錠制御システム1の鍵として動作させるためのプログラム(アプリケーション)を実行可能な携帯端末であれば、タブレット型のコンピュータ等であってもよい。また、鍵装置2は、ユーザ6が所持する鞄などに収納又は取付可能な電子タグ等であってもよい。
上述の実施形態では、鍵装置2は、開閉部材5の解錠操作及び施錠操作の両方を行うことができるが、他の構成であってもよい。例えば、鍵装置2は、開閉部材5の解錠操作だけを行う構成であってもよい。すなわち、鍵装置2は、開閉部材5の施錠操作及び解錠操作のうち少なくとも解錠操作を行うように構成されていればよい。
上述の実施形態では、無線信号Sig1の受信信号強度を計測する計測部112を錠側制御部11が備えている場合を例として説明している。これに対して、錠側通信部12が無線信号Sig1の受信信号強度を計測し、その計測結果を錠側通信部12から錠側制御部11に出力するように構成されていてもよい。
上述の実施形態では、開閉部材5は、建物4の内(宅内41)と外(宅外42)とを隔てる扉(開き戸又は引き戸)又は窓であるが、建物4の一部の区画の内と外とを隔てる扉であってもよい。例えば、建物4が複数の住戸を有する集合住宅、複数の店舗を有するテナントビル、及び複数の事務所を有するオフィスビルであれば、個々の区画(住戸、店舗、事務所)の内と外とを隔てる扉が開閉部材5となる。
上述の実施形態では、電気錠システム10は戸建て住宅に適用されているが、例えば集合住宅の各住戸に適用されてもよい。また、電気錠システム10は、集合住宅の共用部玄関に適用されてもよいし、事務所、店舗、工場などの非住宅用の建物4に適用されてもよい。
(まとめ)
以上述べた実施形態から明らかなように、第1の態様に係る電気錠制御システム(1)は、錠側制御部(11)と、錠側通信部(12)と、推定部(113)と、を備える。錠側制御部(11)は、開閉部材(5)を施錠又は解錠する電気錠(3)を制御する。開閉部材(5)は、建物(4)の開口部(40)を開閉する。錠側通信部(12)は、開閉部材(5)の施錠操作及び解錠操作のうち少なくとも解錠操作を行うための鍵装置(2)との間で無線通信を行う。推定部(113)は、無線通信における無線信号(Sig1)の受信信号強度に基づいて開閉部材(5)から鍵装置(2)までの距離(L1)を推定する。錠側制御部(11)は、開閉部材(5)が解錠された状態において、推定部(113)にて推定した距離(L1)が所定値以下である場合には開閉部材(5)が解除された状態を保持する。また、錠側制御部(11)は、開閉部材(5)が解錠された状態において、推定部(113)にて推定した距離(L1)が所定値よりも長い場合には電気錠(3)に開閉部材(5)を施錠させる。
第1の態様によれば、推定部(113)にて推定した、開閉部材(5)から鍵装置(2)までの距離(L1)が所定値よりも長い場合に、電気錠(3)にて開閉部材(5)が施錠される。つまり、ユーザ(6)が鍵装置(2)を所持していない場合、又は鍵装置(2)を所持したユーザ(6)が開閉部材(5)の近傍にいる場合には、電気錠(3)にて開閉部材(5)が施錠されない。すなわち、第1の態様によれば、ユーザ(6)が鍵装置(2)を所持しないで外出する場合に電気錠(3)にて開閉部材(5)が施錠される可能性を低減することができる。
第2の態様に係る電気錠制御システム(1)では、第1の態様において、推定部(113)は、所定期間における無線信号(Sig1)の受信信号強度を基準値とし、当該基準値に対する相対値に基づいて距離(L1)を推定する。
第2の態様によれば、基準となる受信信号強度に対する相対値に基づいて開閉部材(5)から鍵装置(2)までの距離(L1)を推定するので、受信信号強度の絶対値に基づいて距離(L1)を推定する場合と比較して推定精度を高めることができる。
第3の態様に係る電気錠制御システム(1)は、第1又は第2の態様において、開閉部材(5)の開閉を検知する検知部(13)を更に備える。所定期間は、検知部(13)にて開閉部材(5)が開いたことを検知したとき、又は検知部(13)にて開閉部材(5)が閉じたことを検知したときを起点とする期間である。
第3の態様によれば、推定部(113)は、ユーザ(6)が開閉部材(5)の近傍にいると推定される開閉部材(5)が開いたとき、又は開閉部材(5)が閉じたときの受信信号強度を基準とする相対値に基づいて距離(L1)を推定している。そのため、推定部(113)は、開閉部材(5)から鍵装置(2)までの距離(L1)を推定することができる。
第4の態様に係る電気錠制御システム(1)では、第1又は2の態様において、所定期間は、開閉部材(5)が解錠されたときを起点とする期間である。
第4の態様によれば、推定部(113)は、ユーザ(6)が開閉部材(5)の近傍にいると推定される開閉部材(5)が解錠されたときの受信信号強度を基準とする相対値に基づいて距離(L1)を推定している。そのため、推定部(113)は、開閉部材(5)から鍵装置(2)までの距離(L1)を推定することができる。
第5の態様に係る電気錠制御システム(1)は、第1又は2の態様において、開閉部材(5)を含む所定範囲における人(ユーザ(6))の存在を検知するセンサ(14)を更に備える。所定期間は、センサ(14)によって人が検知されたときを起点とする期間である。
第5の態様によれば、推定部(113)は、ユーザ(6)が開閉部材(5)の近傍にいると推定されるセンサ(14)にて人を検知したときの受信信号強度を基準とする相対値に基づいて距離(L1)を推定している。そのため、推定部(113)は、開閉部材(5)から鍵装置(2)までの距離(L1)を推定することができる。
第6の態様に係る電気錠制御システム(1)では、第2〜5のいずれかの態様において、鍵装置(2)は、鍵装置(2)に個別に割り当てられる識別情報を含む無線信号(Sig1)を送信する。推定部(113)は、鍵装置(2)からの無線信号(Sig1)に含まれる識別情報に応じて、相対値と比較するための閾値(ΔdB)を変更する。
第6の態様によれば、鍵装置(2)に応じて異なる閾値(ΔdB)を設定することができる。
第7の態様に係る電気錠システム(10)は、第1〜6のいずれかの態様の電気錠制御システム(1)と、電気錠制御システム(1)によって制御される電気錠(3)と、を備える。
第7の態様によれば、上述の電気錠制御システム(1)を用いることによって、ユーザ(6)が鍵装置(2)を所持しないで外出する場合に電気錠(3)にて開閉部材(5)が施錠される可能性を低減することができる。
第8の態様に係る制御方法は、制御ステップと、通信ステップと、推定ステップと、を備える。制御ステップは、開閉部材(5)を施錠又は解錠する電気錠(3)を制御するステップである。開閉部材(5)は、建物(4)の開口部(40)を開閉する。通信ステップは、開閉部材(5)の施錠操作及び解錠操作のうち少なくとも解錠操作を行うための鍵装置(2)との間で無線通信を行うステップである。推定ステップは、無線通信における無線信号(Sig1)の受信信号強度に基づいて開閉部材(5)から鍵装置(2)までの距離(L1)を推定するステップである。制御ステップでは、開閉部材(5)が解錠された状態において、推定ステップにて推定した距離(L1)が所定値以下である場合には開閉部材(5)が解除された状態を保持し、距離(L1)が所定値よりも長い場合には電気錠(3)に開閉部材(5)を施錠させる。
第8の態様によれば、専用の電気錠制御システム(1)を用いなくても、ユーザ(6)が鍵装置(2)を所持しないで外出する場合に電気錠(3)にて開閉部材(5)が施錠される可能性を低減することができる。
第9の態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、制御ステップと、通信ステップと、推定ステップと、を実行させる。制御ステップは、開閉部材(5)を施錠又は解錠する電気錠(3)を制御するステップである。開閉部材(5)は、建物(4)の開口部(40)を開閉する。通信ステップは、開閉部材(5)の施錠操作及び解錠操作のうち少なくとも解錠操作を行うための鍵装置(2)との間で無線通信を行うステップである。推定ステップは、無線通信における無線信号(Sig1)の受信信号強度に基づいて開閉部材(5)から鍵装置(2)までの距離(L1)を推定する。制御ステップでは、開閉部材(5)が解錠された状態において、推定ステップにて推定した距離(L1)が所定値以下である場合には開閉部材(5)が解除された状態を保持し、距離(L1)が所定値よりも長い場合には電気錠(3)に開閉部材(5)を施錠させる。
第9の態様によれば、専用の電気錠制御システム(1)を用いなくても、ユーザ(6)が鍵装置(2)を所持しないで外出する場合に電気錠(3)にて開閉部材(5)が施錠される可能性を低減することができる。
第2〜第6の態様に係る構成については、電気錠制御システム(1)の必須の構成ではなく、適宜省略可能である。