JP2019026954A - ポリエチレンスパンボンド不織布 - Google Patents

ポリエチレンスパンボンド不織布 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性に優れ、かつ欠点が少なく均一性に優れたポリエチレンスパンボンド不織布の提供。【解決手段】密度が0.930〜0.965g/cm3で、平均単繊維径が8.0〜16.5μmのポリエチレン繊維からなる不織布であり、温度が230℃で6.23rad/secにおける複素粘度が90Pa・sec以下であるポリエチレンスパンボンド不織布。【選択図】なし

Description

本発明は、柔軟性に優れ、かつ欠点が少なく均一性に優れたポリエチレンスパンボンド不織布に関するものである。
ポリオレフィンからなるスパンボンド不織布、特にポリプロピレンスパンボンド不織布は低コストで柔軟性に優れているため、衛生材料用途を中心に幅広く用いられている。
ポリオレフィンスパンボンド不織布の特徴である柔軟性をより高める技術もこれまでに多くの検討がなされており、その中で弾性率や摩擦係数がポリプロピレンよりも低い、ポリエチレンを用いる検討がなされている。
ポリエチレンスパンボンド不織布は柔軟性に優れているものの、シート(ポリエチレンスパンボンド不織布)の加工性に劣るという課題がある。この原因の一つは、従来のポリエチレンは、製糸性が悪く紡糸中に糸切れが生じやすいためシート(ポリエチレンスパンボンド不織布)欠点が多くなり、加工時にこの欠点を起点としてゴム製のニップローラー等に巻き付いてしまうためである。このような課題があるため、実用性能を満足するポリエチレンスパンボンド不織布は、工業的には未だ得られていない。
さらに、柔軟性向上と風合い向上のために、単繊維繊度を小さくしようとすると、ポリエチレンでは製糸性がより悪化する傾向にあるため、欠点がさらに増え、加工性がより悪化するという課題もある。
一方、衛生材料用不織布に対しては、柔軟性向上および風合いの向上の要望があり、これらの要望を達成するため細繊度化が望まれているが、上述のとおり、従来のポリエチレンを用いた場合は、紡糸安定性が低く、細繊度繊維の不織布が安定して得られないのが現状である。また、衛生材料用不織布には、使い捨て用品であるが故に、低コストであることが求められるが、細繊度繊維不織布を得ようとした場合、紡糸性悪化の観点から安定生産できず欠点が著しく増加する状況であり、生産性が低いために低コスト化が達成できていない。
このような背景から、繊維の細繊度化による不織布の柔軟化、ドレープ性向上および機械的物性の向上を目的に、密度が0.940g/cmより大きく、多分散度Mw/Mnが1.8〜3.5で、メルトインデックスが4〜1000g/10分であり、Mz/Mwが2.2未満のポリエチレン繊維およびその製造方法が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案は、担持メタロセン触媒を使用して得られたポリエチレンを使用し製糸性を向上させる技術であるが、得られたスパンボンド不織布を構成するポリエチレン繊維の繊維径は、最も細いものでも29.4μmであり、さらに繊維径を細くした際の効果については何ら言及されていてない。
また別に、可紡性の向上および不織布欠点の減少を目的に、原料にオクテン−1を実質的に1〜10重量%含有し、密度が0.900〜0.940g/cmで、メルトインデックス5〜45g/10分であり、DSCでの融解熱量が25g/cal以上の線状低密度ポリエチレンからなる繊維の集合体が熱接着された不織布が提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、この提案は、共重合成分量、密度、メルトインデックスおよび結晶性を制御し、製糸性や熱接着性を向上させる技術であるが、得られた不織布を構成する繊維の単繊維繊度は1.9デニール(繊維径として約16.9μm)であり、さらに繊維径を細くした際の効果について言及されていない。加えて、この提案では、メルトインデックスが5〜45g/10分のポリエチレンを用いているため原料の溶融粘度が高く、繊維径をさらに細くしようとした場合、紡糸性悪化により糸切れが発生するという課題が生じる。
特表平10−510013号公報 特開昭64−6161号公報
そこで、本発明の目的は、柔軟性に優れ、かつ欠点が少なく均一性に優れたポリエチレンスパンボンド不織布を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、本発明のポリエチレンスパンボンド不織布は、密度が0.930〜0.965g/cmで、平均単繊維径が8.0〜16.5μmのポリエチレン繊維からなる不織布であり、前記の不織布の、温度が230℃で6.28rad/secにおける複素粘度が90Pa・sec以下であることを特徴とするスパンボンド不織布である。
本発明によれば、不織布を構成するポリエチレン繊維が細繊度であるため、高い柔軟性を有することに加え、従来技術では困難であった細繊度化と欠点削減の両立が可能となることにより、欠点が少なく均一性に優れたポリエチレンスパンボンド不織布が得られる。
次に、本発明のポリエチレンスパンボンド不織布について詳細に説明する。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布は、密度が0.930〜0.965g/cmで、平均単繊維径が8.0〜16.5μmのポリエチレン繊維からなる不織布であり、前記の不織布の、温度が230℃で6.28rad/secにおける複素粘度が90Pa・sec以下のスパンボンド不織布である。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布は、ポリエチレン樹脂の繊維からなる。ポリエチレン樹脂とは、繰り返し単位としてエチレン単位を有するポリマーを意味する。ポリエチレン樹脂を用いることにより、柔軟性に優れたポリエチレンスパンボンド不織布とすることができる。
本発明で用いられるポリエチレン樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、他のオレフィン類モノマーやスチレン類モノマーが共重合されていることが許容される。共重合成分としては、ヘプテンやオクテンが、不織布の欠点低減と細繊度の観点から好ましく、オクテンがより好ましく用いられる。また、共重合比率は、高強度化の観点から3.0mol%以下とすることが好ましく、1.0mol%以下とすることがより好ましい態様である。
本発明で用いられるポリエチレン樹脂としては、0.930g/cm以上の中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、または線状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと略すことがある。)などが挙げられ、紡糸性が優れているという観点から、LLDPEが好ましく用いられる。
本発明で用いるポリエチレン樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、他成分ポリマーをブレンドさせることができる。他成分ポリマーとしては、融点がポリエチレンに近いポリプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのポリオレフィン系ポリマーの他、低融点ポリエステル、および低融点ポリアミドが挙げられる。ただし、ポリエチレンの特性を十分に発現させるため、ブレンド物の質量比率は5%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下である。また、ポリエチレン樹脂には、着色のための顔料、酸化防止剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、および耐熱安定剤等を添加することができる。
本発明で用いられるポリエチレン樹脂のメルトインデックスは、70〜300g/10分であることが好ましく、より好ましくは80〜250g/10分である。メルトインデックスを70g/10分以上とすることにより、ポリエチレン樹脂の流動性が高くなるため、紡糸性が向上する。一方、メルトインデックスが300g/10分を超えた場合は、粘度が低くなりすぎることにより溶融紡糸が困難となる。そのため、メルトインデックスは300g/10分以下にすることが好ましい。
本発明におけるメルトインデックスとは、ASTM D1238に準拠して、190℃の温度で、荷重2.16kgで測定した値を指す。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布を構成するポリエチレン繊維は、ポリエチレン単成分の繊維であることが好ましい。ポリエチレンの繊維化においては、他ポリマーとの複合(芯鞘、海島およびサイドバイサイド)も可能であるが、本発明ではポリエチレン樹脂の特性を十分に発現させ、かつ複合紡糸では到達しがたい細繊度化を達成するため、ポリエチレン単成分であることが好ましい態様である。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布を構成するポリエチレン繊維の密度は、0.930〜0.965g/cmであることが重要である。ポリエチレン繊維の密度は、好ましくは0.930〜0.955g/cmであり、より好ましくは0.930〜0.950g/cmである。密度を0.930g/cm以上とすることにより、結晶化度が高く優れた機械的強度を有する繊維となる。また、密度を0.965g/cm以下とすることにより、熱接着性が向上しエンボスやカレンダー加工時の加工性が向上する。本発明におけるポリエチレン繊維の密度とは、実施例に記載の方法により測定された値を指す。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布を構成するポリエチレン繊維の平均単繊維径は8.0〜16.5μmであることが重要である。ポリエチレン繊維の平均単繊維径は、好ましくは9.0〜15.5μmであり、より好ましくは10.0〜14.5μmである。
繊維径を16.5μm以下にすることにより、ポリエチレン繊維から得られるスパンボンド不織布の表面に触れたときの触感が滑らかとなる。加えて、平均単繊維径が細いことによる断面2次モーメントの低下も発現することにより、柔軟性がさらに向上する。一方、平均単繊維径が8.0μm未満の場合には、後加工時の加工性が低下するため、ポリエチレンスパンボンド不織布の欠点数が多くなり生産性が低下する。本発明におけるポリエチレン繊維の平均単繊維径とは、実施例に記載の方法により測定された値を指す。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布を構成する繊維の断面形状は、丸断面であることが好ましい。断面形状が扁平断面や異形断面では、同一断面積の断面2次モーメントが丸断面よりも大きくなる曲げ方向があることから、スパンボンド不織布とした際に高剛性となりポリエチレン樹脂の持つ柔軟性を損なう可能性がある。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の、温度が230℃で6.28rad/secにおける複素粘度は90Pa・sec以下であることが重要である。複素粘度は、好ましくは80Pa・sec以下であり、より好ましくは60Pa・sec以下である。
上記条件における複素粘度を90Pa・sec以下とすることにより、熱と応力を印加した際の流動性が向上するため、エンボスやカレンダー加工による熱接着性が向上し、優れた機械的強度を有したスパンボンド不織布となる。一方、ポリエチレンスパンボンド不織布を低粘度化することによる弊害として、スパンボンド不織布の低強度化が懸念されるため、複素粘度の下限としては、5Pa・sec以上であることが好ましく、より好ましくは10Pa・sec以上であり、さらに好ましくは20Pa・sec以上である。本発明における複素粘度とは、実施例に記載の方法により測定された値を指す。
さらに、本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の課題は、平均単繊維径を細くしようとした際に製糸性が悪化し、糸切れが生じるために安定生産ができず、かつスパンボンド不織布の欠点が増加することにある。本発明者らは鋭意検討の結果、ポリエチレンスパンボンド不織布の、温度が230℃で6.28rad/secにおける複素粘度を90Pa・sec以下とした場合、紡糸時の糸切れが顕著に改善され生産安定性が向上し、またそれに伴いポリエチレンスパンボンド不織布の欠点が低減することを見出した。このメカニズムについては明らかでないものの、本発明のポリエチレンスパンボンド不織布を得るためのポリエチレン樹脂が、必然的に低粘度であることにより樹脂の流動性が向上し、紡糸工程中の細化挙動における樹脂の変形追従性が向上したため、糸切れが著しく改善したことが挙げられる。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の融点は、100〜132℃であることが好ましく、より好ましくは110〜128℃である。ポリエチレンの融点は、分岐と他種モノマーの共重合量により決定され、一般的に分岐や他種モノマー量が増加するほど、結晶性が低下して融点が低下する。本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の融点が上記の範囲にある場合、ポリエチレン繊維が適切な結晶性を有することに加えて、エンボスやカレンダー加工時の熱接着性も良好であるため、スパンボンド不織布としての強度が向上する。本発明における融点とは、実施例に記載の方法より求めた値を指す。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の結晶融解熱量は、90〜160J/gであることが好ましく、より好ましくは100〜150J/gである。結晶融解熱量も融点と同様に、分岐と他種モノマーの共重合により結晶性が低下し、結晶融解熱量も低下する。本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の結晶融解熱量が上記の範囲にある場合、スパンボンド不織布を構成する繊維が適切な結晶性を有することに加えて、エンボスやカレンダー加工時の熱接着性も良好であるため、スパンボンド不織布としての強度が向上する。本発明における結晶融解熱量とは、実施例に記載の方法より求めた値を指す。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の目付けは、5〜50g/mとすることが好ましく、10〜30g/mとすることがより好ましい態様である。目付が前記の範囲であることにより、スパンボンド不織布の柔軟性を好適に発現させることができる。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布は、医療衛生材料、生活資材および工業資材等に幅広く用いることができるが、柔軟性に優れ、触感も良好であり、さらに製品欠点も少ないため加工性が良好であることから、特に衛生材料に好適に用いることができる。具体的には、使い捨ておむつ、生理用品および湿布材の基布等である。
次に、本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の製造方法について、具体例に説明する。
本発明で用いられる原料は、ポリエチレン樹脂であり、その他共重合種およびメルトインデックス等は、前記したとおりである。また、ポリエチレン樹脂の密度および融点は、ポリエチレンスパンボンド不織布の密度および融点とほぼ同一であり、密度は0.930〜0.965g/cmであり、融点は100℃〜132℃であることが好ましい。
ポリエチレン樹脂は特に乾燥等を行うことなく、溶融紡糸に供される。溶融紡糸では、単軸や2軸エクストルーダー型などの押出機を用いた溶融紡糸手法を適用することができる。押し出されたポリマー(ポリエチレン樹脂)は配管を経由し、ギアーポンプなどの計量装置により計量され、異物除去のフィルターを通過した後、口金へと導かれる。このときポリマー配管から口金までの温度(紡糸温度)は、流動性を高めるため160〜250℃程度とすることが好ましい。
吐出において使用する口金は、口金孔の孔径Dを0.10mm以上0.60mm以下とすることが好ましく、また、口金孔のランド長L(口金孔の孔径と同一の直管部の長さ)を孔径で除した商で定義されるL/Dは、1.0以上10.0以下であることが好ましい。
口金孔から吐出された糸条は、空気を吹き付けることにより冷却固化される。冷却風の温度は、冷却効率の観点から冷却風速とのバランスで決定することができるが、繊度の均一性の観点から50℃以下であることが好ましい。また、冷却気体は、糸条にほぼ垂直方向に流すことにより、糸条を冷却させる。その際、冷却風の速度は冷却効率および繊度の均一性の観点から5m/分以上であることが好ましく、製糸安定性の点から100m/分以下であることが好ましい。また、口金から好ましくは20mm以上500mm以内で冷却を開始し、冷却固化することが好ましい。20mm未満の距離で冷却を開始すると、口金表面温度が低下し吐出が不安定となることがあり、また、500mm以内で冷却を開始しない場合には、細化挙動の安定性が維持できず、安定した紡糸ができないことがある。
口金孔から吐出された糸条は、口金から好ましくは400mm以上7,000mm以内の位置で加速した空気流により牽引される。加速空気流は、冷却風を吹かせる領域を密閉とし、紡糸線下流に向かうにしたがって、徐々に密閉領域の断面積を小さくすることにより空気流速を加速させるようにすることができるが、より高い空気流速を得るためにはエジェクターを用いることが好ましい態様である。この空気流速によって糸条は加速され、繊維の走行速度である紡糸速度も空気流速と近い速度に到達する。紡糸速度は、次の式により算出する値を指す。
・紡糸速度(km/分)=Q・1000/((W/2)×π×ρ)
(式中、Qは単孔吐出量(g/分)、Wは繊維径(μm)、ρは密度(g/cmを表す。)
紡糸速度は3.0km/分以上であることが、細繊度と高強度化のためには好ましく、より好ましくは4.0km/分である。また、空気流速も同様に、3.0km/分以上であることが好ましい。また、紡糸速度の上限は、10.0km/分程度である。
空気牽引された糸条は、周囲の空気流速を減じるような開繊部を通過することにより開繊され、その後、裏面から空気吸引されるネットコンベアーに着地し、繊維ウェブとして捕集される。捕集された繊維ウェブは10〜1200m/分でコンベアー搬送され、熱接着加工を行うことによりスパンボンド不織布が得られる。
上記の繊維ウェブを熱接着により一体化する方法としては、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど、各種ロールにより熱接着する方法が挙げられる。
熱接着時のエンボス接着面積率は、5〜30%であることが好ましい。接着面積を好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上とすることにより、スパンボンド不織布として実用に供し得る強度を得ることができる。一方、接着面積を好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下とすることにより、特に衛生材料用のスパンボンド不織布として用いる場合に、十分な柔軟性を得ることができる。
本発明における接着面積とは、一対の凹凸を有するロールにより熱接着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって繊維ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合のことを言う。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱接着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が繊維ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合のことを言う。
熱エンボスロールに施される彫刻の形状としては、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形などを用いることができる。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の製造においてプロセス上の重要なポイントは、高速紡糸による細繊度化およびその安定生産が可能な点にある。このメカニズムについては明らかでないものの、本発明のポリエチレンスパンボンド不織布は、原料として必然的に低粘度ポリエチレンが用いられるため、紡糸工程中の細化挙動におけるポリエチレン樹脂の変形追従性が向上することにより、糸切れ欠点が著しく減少する。
また、本発明では、ポリエチレンスパンボンド不織布を構成する繊維の構造形成に関与する結晶性を反映するパラメーターである密度を制御しており、結晶化に起因する固化までの間で十分な応力を付与して分子鎖を配向させ、かつ十分結晶化することで構造を固定できるため、衛材用スパンボンド不織布に使用するのに十分な機械的物性を有する。
次に、実施例により本発明のポリエチレンスパンボンド不織布について、より具体的に説明する。実施例中の各特性値は、次の方法で求めた。
A.密度:
水−エタノール混合液系を用いて浮沈法により密度を求め、1水準につき5回測定を実施し、平均値を繊維の密度(g/cm)とした。測定に供した繊維はスパンボンド不織布から少量切り出し、繊維表面に付着した不純物を取り除くために予めエタノールに浸して洗浄した後、大気中で乾燥したものを用いた。
B.平均単繊維径および紡糸速度:
スパンボンド不織布を構成する繊維の側面の顕微鏡観察から繊維の直径を求め、1水準につき10回測定を行い、平均値を繊維径(μm)とした。測定に供した繊維はスパンボンド不織布から少量切り出し、エンボス接着部以外の部分で顕微鏡観察を実施した。また、得られた繊維径から紡糸速度(km/分)を求めた。
C.複素粘度:
回転式レオメーター(UBM社製Rheosol−G3000)を用い、20mmパラレルプレート、ギャップ0.5mm、ひずみ34.9%、温度230℃、角周波数6.28rad/secにおける不織布の複素粘度(Pa・sec)を測定した。
D.融点および結晶融解熱量:
示差走査熱量計(TA Instruments社製DSCQ1000)で窒素下、昇温速度16℃/分の条件で示差走査熱量測定を行い、吸熱ピークの温度を融点Tm(℃)とし、Tmでの結晶融解熱量をΔHm(J/g)とした。
E.スパンボンド不織布の欠点:
スパンボンド不織布の幅(CD)方向の中心で10cm角の領域をルーペで目視観察し、糸切れに起因して繊維径が平均の繊維直径よりも3倍以上太くなっているもの、また繊維の切れ端が丸くなって平均の繊維直径よりも3倍以上太く見えるものを欠点として扱い、その個数を数えた。この観察を不織布の長手(MD)方向に5回繰り返し、合計の個数をスパンボンド不織布の欠点数(個)とした。
F.スパンボンド不織布の柔軟性:
スパンボンド不織布の触感の官能評価を行い、柔軟性に優れるものを5点、劣るものを1点として絶対評価で点数をつけた。これを10名で行い平均点を柔軟性(点)とした。
G.スパンボンド不織布の加工性:
スパンボンド不織布を、ゴム製のニップローラーを用いて20m/分で5分間走行させた。このときのロール付着物と、スパンボンド不織布の状態を観察し、次の基準で点数付けを行い加工性(点)とした。
5点:ロールに繊維付着物がなく、不織布の毛羽、破れも見られない。
4点:ロールに繊維付着物があるが、不織布の毛羽、破れは見られない。
3点:ロールに繊維付着物があり、不織布の毛羽もあるが、破れは見られない。
2点:ロールに繊維付着物があり、不織布の毛羽もあり、破れがある。
1点:シートの破れによりロールに不織布が巻きつく。
〔実施例1〕
ポリエチレン種がLLDPE(線状低密度ポリエチレン)で、密度が0.933g/cmであり、メルトインデックス(以下、MIと略すことがある。)が100g/10分のポリエチレン樹脂を、単軸エクストルーダーによって溶融押出しし、ギアーポンプで計量しつつ紡糸口金に樹脂を供給した。紡糸温度(口金温度)は230℃とし、孔径Dが0.30mmで、ランド長Lが0.75mmの口金孔から、単孔吐出量0.6g/分の条件でポリエチレン樹脂を吐出した。口金孔の直上に位置する導入孔はストレート孔とし、導入孔と口金孔の接続部分はテーパーとした口金を用いた。吐出された繊維状樹脂に、糸条(繊維状樹脂)の外側から空気流を当てて冷却固化した後、矩形エジェクターによって牽引し、移動するネット上に捕集してポリエチレン繊維からなる繊維ウェブを得た。
引き続き、上記のようにして得られた繊維ウェブを、上ロールに金属製で水玉柄の彫刻がなされた接着面積率16%のエンボスロールを用い、下ロールに金属製フラットロールで構成される上下一対の熱エンボスロールを用いて、120℃の温度で熱接着し、目付が18g/mのポリエチレンスパンボンド不織布を得た。得られたスパンボンド不織布の評価結果を、表1に示す。表1より、得られたスパンボンド不織布の複素粘度は48Pa・secであり、不織布欠点が少なく、平均単繊維径が15.2μmと細いため柔軟性に優れることが分かる。
〔実施例2、比較例1〕
エジェクターの流入エア圧力を変えて、紡糸速度を、実施例2では6.8km/分とし、比較例1では2.5km/分と変更したこと以外は、実施例1と同じ方法でポリエチレンスパンボンド不織布を得た。
結果を、表1に示す。表1より、実施例2で得られたポリエチレンスパンボンド不織布の複素粘度は47Pa・secであり、不織布欠点が少なく、平均単繊維径が11.0μmと細いため柔軟性に優れていることが分かる。一方、比較例1で得られたポリエチレンスパンボンド不織布の複素粘度は50Pa・secであり、不織布欠点は少ないものの、平均単繊維径が18.2μmと太いため柔軟性に劣ることが分かる。
〔実施例3〕
使用するポリエチレン樹脂のメルトインデックスを170g/10分とし、紡糸速度を3.6km/分と変更したこと以外は、実施例1と同じ方法でポリエチレンスパンボンド不織布を得た。
結果を表1に示す。表1より、得られたポリエチレンスパンボンド不織布は複素粘度が33Pa・secであり、不織布欠点が少なく、平均単繊維径が15.0μmと細いため柔軟性に優れることが分かる。
〔比較例2〕
使用するポリエチレン樹脂の密度を0.955g/cmに、そしてメルトインデックスを30g/10分とし、紡糸速度を3.4km/分と変更したこと以外は、実施例1と同じ方法でポリエチレンスパンボンド不織布を得た。
結果を表1に示す。表1より、得られたポリエチレンスパンボンド不織布は、平均単繊維径が15.3μmと細いため柔軟性に優れるものの、複素粘度が178Pa・secと高く、不織布欠点が多く加工性に劣ることが分かる。
〔比較例3〕
エジェクターの流入エア圧力を変えて、紡糸速度を2.4km/分に変更したこと以外は、比較例2と同じ方法でポリエチレンスパンボンド不織布を得た。
結果を、表1に示す。表1より、比較例3で得られたポリエチレンスパンボンド不織布は不織布欠点が少ないものの、複素粘度が182Pa・secと高く、平均単繊維径が18.3μmと太いため柔軟性に劣ることが分かる。
Figure 2019026954
実施例1〜3は、スパンボンド不織布の複素粘度が低く、不織布欠点が少ないことにより優れた加工性を有しており、かつスパンボンド不織布を構成する繊維の平均単繊維径が細いため柔軟性に優れている。
一方、比較例1および3で示すように、スパンボンド不織布を構成する繊維の平均単繊維径が太い場合は、スパンボンド不織布の柔軟性に劣る。また、比較例2で示すように、スパンボンド不織布の複素粘度が高く、かつ平均単繊維径が細い場合は、不織布欠点の増加により加工性が悪化する。

Claims (1)

  1. 密度が0.930〜0.965g/cmで、平均単繊維径が8.0〜16.5μmのポリエチレン繊維からなる不織布であり、前記不織布の、温度が230℃、で6.23rad/secにおける複素粘度が90Pa・sec以下であることを特徴とするポリエチレンスパンボンド不織布。
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