JP2019026486A - 結晶育成装置及び単結晶の製造方法 - Google Patents

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敏男 東風谷
Toshio Kochiya
敏男 東風谷
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Abstract

【課題】本発明は、低コストで歩留まりが高く、かつ固化率が高く育成結晶の長尺化に対応できる結晶育成装置及び単結晶の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】単結晶の育成を行う結晶育成装置であって、単結晶の原料融液を貯留保持可能なルツボと、該ルツボの周囲を取り囲み、単結晶育成時の雰囲気を保持するためのチャンバーと、該チャンバーの底部上面と前記ルツボの底面との間の距離を350mm以上に保って前記ルツボを支持可能なルツボ支持部材と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、結晶育成装置及び単結晶の製造方法に関する。
単結晶の製造方法としては、原料を充填したルツボを加熱し原料を溶融した後に、原料融液表面から種結晶を接触させ、種結晶を上昇させながら結晶育成を行うチョクラルスキー法が広く普及している。
結晶育成では、投入した原料からできるだけ長尺の単結晶を育成して固化率(投入した原料重量に対する育成された単結晶の重量比)を大きくした方が経済的であり、生産性が高くなる。しかし、長尺単結晶を育成すると、結晶育成中の急激な融液面の低下や育成結晶の重量が急激に軽くなる現象が見られ、最悪の場合、育成結晶が落下する。このため、結晶の形状制御性の悪化や結晶落下による結晶育成の中止が発生し歩留まりが低下する。
これらの現象は、融液中で発生する異常な固化現象(以下、「融液固化現象」と記す)が原因と考えられる(例えば、特許文献1参照)。融液面の急激な低下は、ルツボ底の原料融液が固化することで、固体と液体の密度差により融液面の急激な低下が起こる。また、結晶重量が急激に軽くなる現象は、結晶に上向きの力が作用するためである。結晶に上向きの力が作用する融液固化現象としては、以下の2つの現象が考えられる。一つ目は、結晶成長面の中央部が下方向に肥大化することにより、ルツボ底に単結晶が接触することで結晶に上向きの力が作用する現象である。二つ目は、育成中の単結晶とは別に、ルツボの底から晶出した多結晶が結晶育成とともに肥大化し、育成中の単結晶の下端に接触することにより、育成中の単結晶に上向きの力が作用する現象である。
上記の原因による単結晶の歩留まり低下や落下を防止する単結晶の製造方法が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の単結晶の製造方法では、結晶重量およびその時間変化に着目し、融液固化現象を予測してその対策を打つことで、融液固化現象の発生を防止する。具体的には、結晶重量およびその時間変化から、融液固化現象を予測し、ヒータ供給電力の増加、ルツボと結晶の回転速度変化による融液の強制対流の緩和もしくは停止、および引き上げ速度の増加を行う。これらを各々単独で行うか、組み合わせることにより、融液固化現象を解消することが可能となる。融液固化現象が解消した後には、条件を元に戻して正常な結晶育成を継続する。この方法により結晶落下を防止し、かつ固化率の上昇に成功している。
特開平6−271390号公報 特許第2681114号公報 特公平3−29752号公報
しかしながら、特許文献1に記載の単結晶の製造方法では、融液固化現象の解消のために急激な結晶成長条件の変動が伴う。そのため、成長結晶と融液の接触面(固液界面)の形状が変動し、欠陥が発生する。そのため、固化率は向上するが、歩留まりは向上しないという問題があった。
融液固化現象の発生原因は、融液下部の温度低下が原因である。そのため、ルツボ底の保温性を上げることが融液固化現象の発生を遅らせるために有効であり、結果的に固化率を上昇させることができる。また、融液固化現象を回避するための育成条件の急激な変更が無いため、安定した結晶育成が可能となり、歩留まりが向上する。
ルツボ底の保温性を向上させるため、例えば、抵抗加熱方式では、ルツボ側面に加えて底面にもヒータを配置することが行われている(例えば、特許文献2参照)。また、L字型又はカップ型のヒータを用いて、ルツボ底を積極的に加熱する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、これらの方法では新たなヒータ用電源が必要になる。また、高周波誘導加熱では、L字型又はカップ型のヒータを適用することが出来なかった。そのため、従来技術では、固化率は0.3〜0.5程度となっていた。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、低コストで歩留まりが高く、かつ固化率が高く育成結晶の長尺化に対応できる結晶育成装置及び単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る結晶育成装置は、単結晶の育成を行う結晶育成装置であって、
単結晶の原料融液を貯留保持可能なルツボと、
該ルツボの周囲を取り囲み、単結晶育成時の雰囲気を保持するためのチャンバーと、
該チャンバーの底部上面と前記ルツボの底面との間の距離を350mm以上に保って前記ルツボを支持可能なルツボ支持部材と、を有する。
本発明によれば、低コストで歩留まりが高く、かつ固化率が高く育成結晶の長尺化に対応できる結晶育成装置及び単結晶の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る結晶育成装置の一例を示した概要図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
本発明の実施形態に係るチョクラルスキー法を用いた結晶育成装置は、酸化・還元雰囲気または不活性ガス雰囲気中で育成される単結晶の製造に用いる結晶育成装置である。チョクラルスキー法は、ある結晶方位に従って切り出された種結晶と呼ばれる単結晶の先端を、原料融液に接触させ、回転しながら徐々に引上げることによって、種結晶の性質を伝播しながら大口径化して単結晶を製造する方法である。
図1は、本発明の実施形態に係る結晶育成装置の一例を示した概要図である。図1に示されるように、本実施形態に係る結晶育成装置は、ルツボ10と、支持台20と、耐火物30と、高周波誘導コイル40と、引き上げ軸50と、チャンバー60とを備える。なお、加熱手段は、ルツボを加熱する高周波誘導コイル40である。また、チャンバー60の外部には、高周波誘導コイル40に高周波電力を供給するための電源70と、結晶育成装置を制御するための制御部80とが設けられている。引き上げ軸50の下端には、種結晶110が保持される。また、ルツボ10内には、原料融液120が貯留保持される。
図1に示されるように、ルツボ10は、支持台20の上に設置され、底面11が支持台20の上面と接触する。また、ルツボ10の周囲を耐火物30が取り囲んでいる。耐火物30の周囲には、高周波誘導コイル40が設けられている。耐火物30の上面の中心には、耐火物30の上面を貫通するように開口31が設けられ、引き上げ軸50が開口31内に挿入されるように設けられている。また、耐火物30及び高周波誘導コイル40を、チャンバー60が取り囲んでいる。チャンバー60の底部上面61に支持台20が載置されている。そして、チャンバー60の外部に電源70及び制御部80が設けられている。
次に、個々の構成要素について説明する。
ルツボ10は、原料融液120を貯留保持し、単結晶を育成するための容器である。結晶原料は、結晶化する金属等が溶融した原料融液120の状態で保持される。ルツボ10の材質は、結晶原料の種類にもよるが、例えば、耐熱性のある白金やイリジウム等で作製される。
支持台20は、ルツボ10を支持するルツボ支持部材として機能する。支持台20の上面にルツボ10が載置されることにより、ルツボ10がチャンバー60内に設置される。即ち、支持台20は、ルツボ10を下方から支持する。支持台20は、高周波誘導コイル40の加熱に耐え得る十分な耐熱性及びルツボ10を支持する耐久性を有すれば、種々の材料から構成されてよい。但し、支持台20は、伝熱性が低い材料から構成されることが好ましいが、この点の詳細については後述する。図1に示される通り、支持台20は、ルツボ10の他、耐火物30も支持するように構成されてもよい。
支持台20は、チャンバー60の底部上面61に載置され、自身の上面にルツボ10及び耐火物30が載置される。よって、支持台20の高さが、ルツボ10の底面11とチャンバー60の底部上面61との間の距離dを定める。本実施形態に係る結晶育成装置の支持台20は、350mm以上の高さを有する。これは、チャンバー60が水冷式であり、チャンバー60とルツボ10の底面との距離が短いと、ルツボ10がチャンバー60の水冷の影響を受けるおそれがあるため、チャンバー60との距離を十分に確保することにより、ルツボ10内の原料融液120の保温性を高め、単結晶の長尺化を可能とすることを意図している。なお、この点の詳細については後述する。
耐火物30は、ルツボ10の高周波誘導コイル40による発熱を内部に保持し、外部への放出を防ぐ役割を果たす。耐火物30は、耐熱性の高い材料で構成される。よって、耐火物30は、ルツボ10を取り囲むように設けられる。耐火物30も、支持台20上に載置されて設けられてよい。また、耐火物30は、天井面に開口31を有し、引き上げ軸50を挿入可能に構成される。
高周波誘導コイル40は、ルツボ10を誘導加熱するための手段であり、ルツボ10及び耐火物30の周囲を囲むように配置される。高周波誘導コイル40は、ルツボ10を誘導加熱できればその種類や形態は問わない。誘導加熱コイル40は、交流電流によりルツボ10に渦電流を発生させ、そのジュール熱でルツボ10を加熱する。図1に示されるように、高周波誘導コイル40は、ルツボ10を十分に加熱すべく、ルツボ10の全長を高さ方向において総て包含するように設けられることが好ましい。
電源70は、高周波誘導コイル40に高周波電力を供給する高周波電源として構成される。電源80は、高周波誘導コイル40のみならず、結晶育成装置全体に電源供給を行う。
引き上げ軸50は、種結晶110を保持し、ルツボ10に保持された原料融液120の表面に種結晶110を接触させ、回転しながら単結晶を引き上げるための手段である。引き上げ軸50は、種結晶110を下端部に保持するとともに、回転機構であるモーター51を備える。なお、モーター51は、単結晶の引き上げの際、単結晶を回転させながら引き上げる動作を行うための回転駆動機構である。
チャンバー60は、ルツボ10及び高周波誘導コイル40の高熱を遮断するとともに、これらを収容し、内部の雰囲気を保持する機能を有する。チャンバー60は、熱を外部に逃さないため、図示しない水冷ジャケットが壁面の内部に設けられており、水冷ジャケットを水が循環することにより冷却される。よって、支持台20のチャンバー60の底部上面61に接触している部分は、つまり支持台20の底面は、チャンバー60により若干冷却されるとともに、支持台20から熱を放出し易い状態となっている。
制御部80は、結晶育成装置全体の制御を行うための手段であり、結晶育成プロセスを含めて結晶育成装置全体の動作を制御する。制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、及びROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを備え、プログラムにより動作するマイクロコンピュータから構成されてもよいし、特定の用途のために開発されたASIC(Application Specified Integra Circuit)等の電子回路から構成されてもよい。
本実施形態に係る結晶育成装置は、種々の結晶原料に適用することができ、結晶原料の種類は問わないが、例えば、タンタル酸リチウム原料を用いてもよい。その他、種々の酸化物単結晶を育成するための結晶原料を用いることができる。
なお、単結晶の製造では、単結晶原料を充填したルツボ10を、高周波誘導コイル40を用いた高周波誘導加熱により加熱し、原料融液120を得る。その後、引上げ軸50に連結された種結晶110を原料融液120表面に接触させ、単結晶の製造を行う。結晶育成方法は特に限定されず、公知の技術が利用できる。
ここで、育成する単結晶を長尺化する場合に発生する問題について説明する。即ち、単結晶を長尺化しない場合には発生しないが、単結晶を長尺化させる場合に発生する問題について以下説明する。
結晶育成は、原料融液120の融液温度を徐々に低下させながら行う。そのため、融液温度がある温度以下になると融液固化現象が発生する。融液固化現象により、ルツボ底面11の原料融液120が固化する。そのため、液体と固体の密度差により融液面が急激に低下する。育成単結晶は、径方向への広がりが終了する前に融液面が低下し、結晶直径が急激に小さくなる。この様な急激な直径変動により、所望の直径の結晶が得られない。また、急激な形状変化により発生する欠陥により多結晶化が起こる。
また、結晶育成に伴う温度低下とともに、原料融液120内の固化部分が肥大化し、育成結晶と衝突する。最悪の場合、育成結晶へ上向きに力が生じ、種結晶110が破断することで、結晶が落下する。
融液固化現象の発生を抑制するためには、融液固化現象がルツボ10の底部で発生するため、ルツボ底部の保温性を上げることが有効である。ルツボ底部からの熱は、支持台20を介してチャンバー60の底部に向かって逃げる。チャンバー60は、例えば、冷却水により冷却されている場合、冷却水温度付近で保持されている。また、積極的な冷却が無い場合にも、室温付近の温度で保持されている。そのため、チャンバー60の底部は、原料融液120と比較すると相当に温度が低い。
以上の理由から、ルツボ底部の保温性を上げて融液固化現象の発生を抑制するために、ルツボ10の底面11とチャンバー60の底部上面61との距離dを、所定距離以上に設定することが有効となる。所定距離は、具体的には350mmであり、ルツボ10の底面11とチャンバー60の底部上面61との距離dを、350mm以上離すことが有効である。支持台20を介した伝導伝熱によりルツボ底面11の熱が移動すると考えると、高温の原料融液120(ルツボ底)と低温のチャンバー60の底部上面61との距離dが離れているほど、温度勾配(℃/cm)が小さくなり、ルツボ底面11からの熱流出量が小さくなる。そのため、ルツボ底面11とチャンバー60の底部上面61との間の距離dは、離れているほど良く、350mm以上離せば良い。距離の上限は特に定めないが、ルツボ上部に設置する耐火物30を含めるとチャンバー全体の高さが必要となるため、使用するチャンバーサイズと耐火物構成を考慮して上限は自由に定めることが出来る。例えば、距離dの上限は、450mm、好ましくは420mm、より好ましくは400mmに設定してもよい。
ルツボ10の底面11からチャンバー60の底部上面61までの距離dが350mmよりも小さい場合には、ルツボ底面11からの熱流出量が多くなり、融液固化現象が発生し易くなる。
一方、支持台20を熱伝導率が小さい材料で作製することにより、熱流出量削減は可能である。そのため、そのような熱伝導率が小さい材料で支持台20を形成した場合には、ルツボ底面11からチャンバー60の底部上面61までの距離dを350mmよりも小さくすることが可能であると考えられる。しかし、現段階では、原料を充填したルツボの重量を支えるための強度を持つ適当な材料が見付かっていないため、融液固化現象の発生を抑制するためには、ルツボ底面11からチャンバー60の底部上面61までの距離dを350mm以上とすることが現実的な対応である。
なお、ルツボ10の底面からチャンバー60の底部上面61までの距離dを300mmとした場合には固化率が0.5程度であったのに対し、ルツボ10の底面からチャンバー60の底部上面61までの距離dを370mmとした場合には、固化率が0.7に向上した。固化率向上の原因は、融液固化現象発生の時期が遅くなったことにも依存し、ルツボ10の底面11からチャンバー60の底部上面61までの距離dを大きくすることにより、ルツボ底部からの熱流出量が減少したためであると考えられる。
また、融液固化現象の発生は、ルツボ底面11からの熱流出が支持台20を介した伝導伝熱により起こるため、融液固化現象の発生を抑制するためには、支持台20の熱伝導率を5W/m・K以下とすることが好ましく、2W/m・K以下とすることが更に好ましい。ルツボ底面11とチャンバー60の底部上面61との距離dを350mm以上離した場合でも、支持台20を熱伝導度が大きい金属(例えば、ステンレス(SUS304、熱伝導率:約17W/m・K)で作製すると、ルツボ底面11からチャンバー60の底部への熱流出量が大きくなる。そのため、熱伝導率が小さい材質で支持台20を作製することが好ましい。例えば、具体的な材料としては、アルミナやジルコニア等のセラミックス部材の支持台20への適用が考えられる。また、支持台20を中空として、熱流出断面積を小さくしかつ、中空部が炉内雰囲気ガスで満たされた構造でも良い。ガスの熱伝導率は固体と比較して、1〜2桁程度小さいため、伝導伝熱による熱流出を遮蔽する効果がある。
例えば、ルツボ底面11からチャンバー60の底部上面61までの距離dを370mmとし、チャンバー60の底部上面61から60mmの高さまで支持台20をステンレス製とし、ステンレス製の支持台20からルツボ底面11までの間をジルコニア製の支持台20とした構成でも固化率は0.5であった。これは、ステンレス製の支持台20の熱伝導率が大きいため、ステンレス製の支持台20の上端温度がチャンバー底部の温度と同程度になったことが原因と考えられる。そのため、ルツボ底面11からチャンバー底部と同程度の温度となったステンレス製の支持台20までの距離が(370mm−60mm=)310mmと近いため、ルツボ底面11からの放熱量が大きくなって融液固化現象が発生し、固化率が0.5になったと考えられる。つまり、ステンレス製の支持台20の高さを可変として、ルツボ底面11をチャンバー底部から遠ざける操作を行ったとしても、固化率向上は期待できない。
そこで、上述の構成のステンレス製の支持台20の部分をジルコニア製に変更し、支持台20の材質を全てジルコニア製に変更した。そして、ルツボ底面11からチャンバー底部までの距離を370mmとした。その結果、固化率を0.7まで向上させることが出来た。これは、支持台20の材質を変更し、低熱伝導率とすることで、ルツボ底部からの熱流出量を削減し、融液固化現象の発生を抑制した効果であると考えられる。
なお、上述のように、ルツボ支持部材として機能する支持台20の材料は、ジルコニアの他、熱伝導率が低い種々の材料を用いることができ、例えば熱伝導率が5W/m・K以下であるアルミナ等を含むセラミックス材料も用いることができる。
[実施例]
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。以下の説明では、一例としてタンタル酸リチウムの単結晶育成方法について説明する。なお、理解の容易のため、今まで説明した構成要素に対応する要素には、今までと同一の参照符号を付してその説明を省略する。
イリジウム製のルツボ10にタンタル酸リチウムの原料が充填され、ルツボ10を銅製の高周波誘導コイル40によって加熱した。ルツボ10内のタンタル酸リチウム原料を融解し、原料融液120を得た。イリジウム製の引上げ軸50を1〜20rpmで回転させながら、1〜5mm/hの速度で垂直に引き上げることによって、種結晶110から連続的に単結晶を得た。
ここで、ルツボ10を支持するためのジルコニア製セラミックス部材(熱伝導率:約1W/m・K)にて支持台20を作製した。支持台20の高さを調整し、ルツボ底面11からチャンバー60の底部上面61までの距離dを350mmとした。
結晶育成の結果、固化率(投入した原料重量に対する育成された単結晶の重量比)が00.7まで融液固化現象は発生せず、長尺化した単結晶が得られた。
[比較例1]
ルツボ底面11とチャンバー60の底部上面61からの距離dを300mmとしたこと以外は、実施例と同じ操作を行った。育成の結果、固化率0.5で融液固化現象が発生し、融液面の急激な低下が発生した。融液面の急激な低下により、結晶直径が細くなり欠陥が導入されたことによる多結晶化が発生した。
[比較例2]
ルツボ底面11からチャンバー60の底部上面61までの距離dを350mmとし、支持台20をチャンバー60の底部上面61から50mmの部分までステンレス製(SUS304、熱伝導率:約17W/m・K)とし、ステンレス製の支持台20(50mmの高さ)からルツボ底面11までの間をジルコニア製セラミックス部材(熱伝導率:約1W/m・K)にて支持台20を2分割で作製した。それ以外は、実施例と同じ操作を行った。
育成の結果、固化率0.5で融液固化現象が発生し、融液面の急激な低下が発生した。融液面の急激な低下により、結晶直径が細くなり欠陥が導入されたことによる多結晶化が発生した。
このように、実施例に係る結晶育成装置及び単結晶の製造方法によれば、ルツボ10の底面とチャンバー60の底部上面61との距離dを350mm以上に設定し、熱伝導率が5W/K・m以下の材料でルツボ支持部材(支持台20)を構成することにより、溶融固化現象の発生を防止し、良好な固化率を得ることができた。
なお、本実施形態及び実施例においては、距離dを370mmと比較的小さな距離に設定しているため、熱伝導率が5W/K・m以下の材料を用いることが必要であったが、距離dを大きく離せば、材料の熱伝導率の制約は不要である。よって、ルツボ10の底面とチャンバー60の底部上面61との距離dを十分に大きく離間させることにより、溶融固化現象の発生を防止し、良好な固化率を得ることは可能であり、材料の熱伝導率の制約は必須ではない。
また、本実施形態においては、ルツボ10を支持するルツボ支持部材として、ルツボ10を下方から支持する支持台20を例に挙げて説明したが、ルツボ10の底面11とチャンバー60の底部上面61との間の距離dを350mm以上離した状態でルツボ10を保持することができれば、他の形態のルツボ支持部材を用いてもよい。例えば、ルツボ10を側面から挟み込むようにして支持するルツボ支持部材や、ルツボ10を吊り下げ支持するルツボ支持部材も理論的には可能である。このように、ルツボ支持部材は、ルツボ10の底面11とチャンバー60の底部上面61との距離dを350mm以上に保った状態で単結晶成長を行うことができる限り、支持台20以外の態様であってもよい。ただし、チャンバー底部上面61を介さずにルツボ10を支持した場合には、ルツボ支持部材を介してチャンバー60からルツボ10の熱が流出する可能性がある。その際には、ルツボ支持部材とルツボ支持部材を保持するチャンバー60までの距離、すなわち熱流出経路を350mm以上に保つ必要がある。また、支持部材の熱伝導率は5W/K・m以下が望ましい。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
10 ルツボ
11 ルツボ底面
20 支持台
30 耐火物
40 高周波誘導コイル
50 引き上げ軸
60 チャンバー
61 底部上面
70 電源
80 制御部
110 種結晶
120 原料融液

Claims (9)

  1. 単結晶の育成を行う結晶育成装置であって、
    単結晶の原料融液を貯留保持可能なルツボと、
    該ルツボの周囲を取り囲み、単結晶育成時の雰囲気を保持するためのチャンバーと、
    該チャンバーの底部上面と前記ルツボの底面との間の距離を350mm以上に保って前記ルツボを支持可能なルツボ支持部材と、を有する結晶育成装置。
  2. 前記ルツボ支持部材は、前記ルツボを下方から支持し、前記チャンバー上に設置された支持台である請求項1に記載の結晶育成装置。
  3. 前記ルツボ支持部材は、熱伝導率は5W/K・m以下である材料からなる請求項1又は2に記載の結晶育成装置。
  4. 前記ルツボ支持部材は、セラミック部材からなる請求項3に記載の結晶育成装置。
  5. 単結晶の原料融液を貯留保持可能なルツボと、該ルツボの周囲を取り囲み、単結晶育成時の雰囲気を保持するためのチャンバーとを有する結晶育成装置を用いた単結晶の製造方法であって、
    前記チャンバーの底部上面と前記ルツボの底面との間の距離を350mm以上に保った状態で、前記ルツボから前記原料融液に接触させた種結晶を回転させながら引き上げ、単結晶を育成する工程、を有する単結晶の製造方法。
  6. 前記チャンバーの底部上面と前記ルツボの底面との間の距離は、前記ルツボをルツボ支持部材により支持することにより350mm以上に保つ請求項5に記載の単結晶の製造方法。
  7. 前記ルツボ支持部材には、前記ルツボを下方から支持する支持台を用いる請求項6に記載の単結晶の製造方法。
  8. 前記ルツボ支持部材には、熱伝導率が5W/K・m以下である材料を用いる請求項6又は7に記載の単結晶の製造方法。
  9. 前記ルツボ支持部材には、セラミック部材を用いる請求項8に記載の単結晶の製造方法。
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