JP2019025860A - 装飾体、装飾体製造装置及び装飾体製造方法 - Google Patents

装飾体、装飾体製造装置及び装飾体製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多様な視覚的状態を示す造形物・造形物展示体・造形物照明設備、その造形物を製造する造形物製造装置及び造形物製造方法を提供する。【解決手段】複数の溝部G以外の部分が透過性を有する造形物3の少なくとも一部において複数の溝部Gの少なくとも一部が互いに平行かつ一定ピッチであり、互いに平行かつ一定ピッチである複数の溝部Gの少なくとも一部において溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく、溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部Gの少なくとも一部の間に露出した複数の部分それぞれの少なくとも一部及び複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか、複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくともいずれかであり、複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有する。【選択図】図7

Description

本発明は、造形物、造形物展示体、造形物照明設備、並びにその造形物を製造する造形物製造装置及び造形物製造方法に関する。
従来、特許文献1及び特許文献2に記載の発明のように、互いに異なる色の複数の板や紙等を積層し、その積層の一部を除去することによって、断面に内部の着色層を表出させる、という造形方法や造形物が知られている。
特開平10−123933号公報 特開2005−179844号公報
上記の特許文献に記載の造形材料や装飾品では、表面と互いに平行でない面が露出した部分に表面とは異なる色が現れるものの、その視覚的特性は等方的であった。つまり、観察者が視点の位置や造形材料又は装飾品に相対する角度を変更しても、単に隠れたり現れたりする部分が異なるにすぎず、対象が全体として示す特徴に変化はなかった。すなわち、上記の特許文献では、造形物が見方によって別の様相を呈するような技術及び技術思想は開示されていない。
本発明は、上記各特許文献に記載の発明とは異なり、多様な視覚的状態を示す造形物・造形物展示体・造形物照明設備、その造形物を製造する造形物製造装置及び造形物製造方法の提供を課題とする。
本発明の1つの態様は、複数の溝部を有する造形物であって、該造形物の少なくとも一部において該複数の溝部以外の部分が透過性を有し、該複数の溝部以外の部分が透過性を有する該造形物の少なくとも一部において該複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行かつ一定ピッチであり、該互いに平行かつ一定ピッチである複数の溝部の少なくとも一部において溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく、該溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか、該複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくとも一方であり、該複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有することを特徴とする造形物である。
前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部が楔状でもよく、さらに前記造形物の少なくとも一部において、前記楔状の複数の溝部の少なくとも一部が前記複数の部分それぞれの少なくとも一部と直交し、該楔状の複数の溝部の少なくとも一部が該複数の部分それぞれの少なくとも一部と直交する該造形物の少なくとも一部における該楔状の複数の溝部の少なくとも一部以外の部分の屈折率をnとすると、該楔状の複数の溝部の少なくとも一部それぞれの対向する側面どうしのなす角度の絶対値が0以上2arcsin(1/n)未満でもよい。また、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部が不透明でもよく、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部が、該複数の溝部の少なくとも一部以外の部分とは色又は屈折率の少なくとも一方が異なる充填部を有してもよく、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部により画像・文字・ロゴ・図形・模様の少なくともいずれかを表示してもよい。また、前記造形物の少なくとも一部における前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部以外の部分の屈折率をnとすると、該屈折率がnである該造形物の少なくとも一部における該複数の溝部の少なくとも一部の少なくとも一方の側面が該側面に隣接する前記複数の部分それぞれの少なくとも一部に対する法線となす角度の絶対値が0以上arcsin(1/n)未満でもよい。
前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の側面が該側面に隣接する前記複数の部分それぞれの少なくとも一部に対する法線となす角度、該溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の方向・色・曲率・形状・ピッチ・幅・深さ・面粗さ・波長・波の振幅・位相、該溝部の有無・該溝部以外の部分の色又は屈折率の少なくともいずれかが前記造形物と該造形物を観察する観察者の想定される視点との関係に応じて調整されてもよい。また、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の一部が開口する面とは異なる面に前記複数の溝部の別の一部が開口してもよく、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の色が該複数の溝部の少なくとも一部の深さ方向で複数であり、該複数の色が該複数の溝部の少なくとも一部の深さの1/2から全体にかけて連続的に変化してもよく、前記造形物が複数の部分領域を有し、該複数の部分領域の少なくとも一部が前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の一部を有し、該複数の溝部の一部を有する複数の部分領域ごとに該複数の溝部の一部の方向・曲率・形状・ピッチ・幅・深さ・面粗さ・波長・波の振幅・位相の少なくともいずれか及び該複数の溝部の一部の色・該複数の溝部の一部以外の部分の色の少なくとも一方が異なってもよい。
本発明の別の態様は、前記造形物が複数の部分領域を有し、該造形物の少なくとも一部において該複数の部分領域ごとに前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分又は該複数の部分と向かい合う面の少なくとも一方の色が異なることを特徴とする造形物展示体である。また、本発明の別の態様は、前記造形物又は前記造形物展示体が複数であり、該複数の造形物又は該複数の造形物展示体がそれぞれの前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部が重なって観察されるように組み合わされたことを特徴とする造形物展示体である。
本発明の別の態様は、前記造形物又は前記造形物展示体と、該造形物又は該造形物展示体に照明を照射する照明器具とを具える造形物照明設備であって、該造形物又は該造形物展示体及び該照明器具によってなる位置・照射方向・照射範囲・各部に与える光量の各々の関係、並びに該照明器具の色・光の収束や拡散の特性の少なくともいずれかが該造形物・該造形物展示体又は該造形物照明設備と該造形物・該造形物展示体又は該造形物照明設備を観察する観察者の想定される視点との関係に応じて調整されたことを特徴とする造形物照明設備である。前記複数の部分それぞれの少なくとも一部又は該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面への前記照明の入射角の絶対値が90°未満でもよく、前記造形物及び前記照明器具によってなる照射方向の関係が出射可能入射角の範囲で調整されてもよい。本発明の別の態様は、前記造形物又は前記造形物展示体と該造形物又は該造形物展示体に照明を照射する照明器具とを具える造形物照明設備であって、該照明器具が複数であり、該複数の照明器具からの複数の照射方向が同一の平面に含まれ、前記複数の部分それぞれの少なくとも一部又は該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面への前記照明の入射角の絶対値が90°未満であることを特徴とする造形物照明設備である。前記複数の照明器具の色が複数でもよい。
本発明の別の態様は、画像を取得する画像取得部と、該画像に基づき材料を加工し、複数の溝部を有する造形物であって、該造形物の少なくとも一部において該複数の溝部以外の部分が透過性を有し、該複数の溝部以外の部分が透過性を有する該造形物の少なくとも一部において該複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行かつ一定ピッチであり、該互いに平行かつ一定ピッチである複数の溝部の少なくとも一部において溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく、該溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか、該複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくともいずれかであり、該複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有する造形物を製造する加工部とを具えることを特徴とする造形物製造装置である。
本発明の別の態様は、画像を取得する画像取得工程と、該画像に基づき材料を加工し、複数の溝部を有する造形物であって、該造形物の少なくとも一部において該複数の溝部以外の部分が透過性を有し、該複数の溝部以外の部分が透過性を有する該造形物の少なくとも一部において該複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行かつ一定ピッチであり、該互いに平行かつ一定ピッチである複数の溝部の少なくとも一部において溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく、該溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか、該複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくともいずれかであり、該複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有する造形物を製造する加工工程とを具えることを特徴とする造形物製造方法である。
本発明による造形物は、観察者が造形物を観察する方向を変更したり、その他の条件が変化したりすると造形物が異なって見える効果(以下、異方性視覚効果と記載する)を有し、観察者が造形物を見る方向や造形物に当たる光の方向等が変化することにより、多様な見え方を呈する。
造形物製造装置の構成を示す図である。 造形物製造方法のフローチャートである。 画像取得部が取得する画像及び画像処理部が変更した画像の例を示す図である。 造形物の溝部の断面図である。 造形物の溝部と視線との関係を示す断面図である。 造形物全体と視線との関係を示す側面図である。 溝部深間隔率及び溝部幅間隔率に係る部位を示す断面図である。 溝部狭長率に係る部位を示す等角図である。 造形物を見る視線の方向と見える部分の関係を示す等角図である。 造形物における光の屈折及び反射と溝部の角度との関係を示す断面図である。 造形物を見る視線の方向と見える部分の関係を示す別の等角図である。 複数の方向の万線によってなる画像を示す図である。 画像における複数の部分領域に異なる方向の万線を配置する2つの方法を示す図である。 複数の色からなる造形物を示す等角図である。 部分領域ごとに万線の位相が異なる画像を示す図である。 複数の色からなる溝部を示す正面図である。 造形物照明設備からの光と移動する観察者の関係を示す平面図である。 造形物照明設備の入射光と出射光の関係を示す側面図である。 造形物の別の溝部の断面図である。 第2の実施形態に係る、底面部が広い造形物を示す等角図である。 第4の実施形態に係るディスプレイを示す等角図である。 ディスプレイ製造装置の構成を示す図である。 ディスプレイ製造方法のフローチャートである。
[第1の実施形態]
《造形物製造装置の構成及び動作》
図1は、本発明の造形物製造装置10の構成を示す図である。図2は、造形物製造方法のフローチャートである。以下、図1及び図2を参照して、造形物製造装置10の構成及び動作を説明する。造形物製造装置10は画像取得部11・画像処理部12・材料取得部13・加工部14・仕上げ部15を具える。また造形物製造方法は、画像取得工程S11・画像処理工程S12・材料取得工程S13・加工工程S14・仕上げ工程S15よりなる。
画像取得部11は、加工に用いる平面的パターンのデータ等である画像1を取得又は生成する(S11)。画像取得部11は例えば公知のコンピュータを有し、記憶媒体に記憶されたデータを読み出して使用してもよく、加工のつど外部からデータを取得してもよく、取得したデータをもとに別のデータを生成してもよく、演算等によってデータを新たに生成してもよく、カメラやスキャナ等を具えデータ入力を受けてもよく、それらを合成してもよい。画像1は単純な平行線や格子柄や幾何学模様でもよく、図3aのような画像化された文字やロゴ、写真画像・イラスト・CG・各種図形・地図・模様等でもよく、CAD等による三次元画像データでもよく、数式等によって記述されてもよい。造形物製造装置10はアナログ工程処理もでき、その場合画像1はアナログ画像信号や、フィルム・紙焼き等の物理的媒体も含み、画像取得部11はそれらを扱うことができる。
画像処理部12はコンピュータ等により、画像取得部11から送られた画像1に適宜変更を加えることができる(S12)。例えば、画像処理部12は画像1をラスタ画像からベクタ画像に変換する等、加工に適した形式に変換したり、画像1のサイズを変倍したりする。画像処理部12は画像1に含まれる輪郭の抽出等により画像1を複数の部分領域に分割することができ、各部分領域にそれぞれ異なる万線を配置してもよい。画像処理部12は、図3aのような画像1を、各種加工方法に適したピッチ等の、例えば図3b・図3cのような万線画像に変換してもよく、画像取得部11がはじめから万線画像の状態で取得してもよい。画像処理部12は画像1を、図3dのように網点等の複数のドットによる画像・図3e・fのように複数の方向の線が集合した画像・自由な線による線画等に変換してもよい。また、画像処理部12は図3e等のように部分領域の一部に万線等を配置しなくてもよい。そして、画像処理部12は加工に最適化された画像1を加工部14に渡す。なお、本明細書では、画像取得部11が取得する画像と、画像処理部12が変更を加えた画像を区別せず、一律に画像1として扱う。
本明細書において万線画像とは、方向を伴う長さを有する複数の線が平面上で互いに略平行に配置された画像である。線は長さの方向に直交する幅を有してもよい。長さの方向に直交する方向を幅の方向とする。線の間にも幅及び幅の方向が適用される。線の間は線とは異なる色であってもよい。複数の線は、線の幅方向における数mm・数cm・数インチといった単位区間において複数本が配置されてもよく、その単位区間が複数反復されてもよい。その場合万線の最小数は4となる。複数の線のピッチが一定でもよい。また線は直線に限られず、図3gのような波線、曲線、平行曲線、同心円、螺線、連続しない点線・破線、放射状、あるいは図3fのXの文字部分のような入れ子状又は等高線状の図形の輪郭線等を含む。万線が波線で、線の方向が連続的に変化する個々の部分が全体として一定の方向に収斂している場合には、その一定の方向を波線の方向とする。万線が放射状の場合、均等な異方性視覚効果を得るためには、1つの線の幅や複数の線どうしの間隔の変化の度合が制限されることにより、平行線に近似した放射状である方がよい。例えば幅又は間隔が最も狭い部分と最も広い部分の比が1:4以下又は1:2以下であるか、両端の線がなす角度が30°以下又は15°以下が好ましい。上記様々な万線は自由に組み合わされてよい。なお、万線において線は単数でもよく、例えば螺旋状の万線は単数である。
材料取得部13は、加工に供する材料2を外部から取得又は製造する(S13)。以下、本明細書ではABS・EP・FRP・PC・PCL・PET・PLA・PMMA・PVC等の透明樹脂製の材料2を中心に記載するが、本発明にはそれ以外の材料、例えば金属・木材・紙・各種繊維・ガラス・セラミック・カーボン素材等の固形物及び固化する液状物や、それらをもとに材料取得部13が積層等を行って製造した、複数の色を有する材料2も採用可能である。
本発明が提供する造形物は立体物でもよく、表面が曲面でもよいが、本明細書では、説明の都合上、平面的板状造形物の製造を前提に説明する。また、本発明が提供する造形物の表面の形状は様々である。表面は平滑でもよい。造形物が凹凸を有する場合、表面は凸部の先端の平面をさすこともあり、複数の凸部の先端によってなる仮想的な平面又は平面の集合又は曲面をさすこともある。
加工部14は、機械加工・電気的加工・化学加工・砥粒吹付加工・光学的加工・溶断・ウォータージェット切断・接着・溶着・3Dプリンティング・印刷・射出成形及び多色成形等、材料の一部の除去又は破壊あるいは材料からの形成等による各種の材料加工の1つ以上を用いることができる。加工部14は画像1に基づき、上記加工設備等により、材料取得部13から送られた材料2に例えば断面が図4のような溝部Gを加工し、造形物3とする(S14)。溝部Gは、例えば厚さ10mmの透明板に彫刻された幅0.4mm深さ8mmの微細な溝であり、板を貫通してもよく、裏側から加工され、開口部の反対側から観察されてもよい。
溝部Gの幅wは、画像1における幅と同様、溝の長さ方向に直交し表面と平行な方向の長さで、図4a・b・cのように溝部Gの各部で太さが異なる場合には、最も広い部分の幅である。溝部Gの開口部の肩部は、図4aのように丸みを帯びて角ではないことがあるが、幅wは、図4b・cのような表面部Sと溝側面Fとが交わる仮想的位置を基準として測定される。また、溝部Gの深さは、表面部Sに直交する方向の深さである。加工部14が表面部Sに対して垂直に加工すれば、表面部Sと溝部Gのなす角度は略90°となる。溝部Gの両側の溝側面Fは図4dのように平行でもよいが、加工法によっては両側の溝側面Fに傾斜がつき、溝部Gがテーパー状になることがある。例えば射出成形では抜き勾配が必要となる。特に微細かつ深さの大きい溝部Gでは、図4a・b・cのような楔状の方が容易に生産性高く仕上がりよく加工可能である。両側の溝側面Fがなす二面角の角度を本明細書では溝部楔角θGと記載する。楔状の溝部Gでは0<θG≦10が好ましく、0.5≦θG≦7がより好ましく、1≦θG≦5がさらに好ましい。また、楔状の溝部Gの先端は、仔細に観察すると、図4aのような完全な二面角状ではなく、図4bのような曲面や、図4cのような凹凸が溝の方向につれて変化する乱雑な形状となりがちである。このような楔状の溝部Gの先端部分の幅weは無視できるほど狭い。なお、図4bの場合のweは溝部G断面の先端部分の曲線に近似した円の直径とする。溝部Gが鋭利なほど先端部分を二面角状に加工するのが難しく、楔の角度が広がれば幅に比して先端部分の幅を狭くする必要があるため、weとwの比率は溝部楔角θGに応じて変動する。本明細書ではwe/wを溝部楔率と記載する。楔状の溝部Gでは溝部楔率は0〜1/(3+θG)が好ましく、θGが5°なら0〜1/8、7°なら0〜1/10である。このような楔状の溝部Gにおいて、両側の溝側面Fがなす二面角を二等分する面はこの場合表面部Sに対し垂直であり、本明細書ではこれを溝部Gが表面部Sに直交すると記載する。加工部14は、この角度を垂直以外にしてもよい。
加工部14は、図4aのように溝側面Fを塗料等で溝部色CGに着色してもよく、さらに図4bのように溝部Gの全部又は一部を透明樹脂等で埋め充填部Fiとしてもよい。なお、本明細書において造形物の色には色相・明度・彩度・透過率・光沢といった視覚的特性が含まれ、無色透明も色の1つである。加工部14は、着色後に表面部Sの塗料等を拭き取る、表面を研磨して塗料等を除去する、着色時に一部を隠す等により造形物3の一部のみを選択的に着色することができる。加工部14は、図4cのように塗料等を充填部Fiとしてもよく、溝側面Fと充填部Fiの両方に着色してもよい。着色された充填部Fiに透過性があれば、溝部G各部の厚みの差により溝部色CGの明度が変化する。また図4aのように溝側面Fのみが着色された場合でも、溝部Gの開口部寄りの上部と奥の下部とで、塗料の厚さの差等により、溝部色CGの色味は同じ傾向ながら、明度が異なることがある。後述のように複数の溝部が並ぶ場合、斜め方向から見た時に、同じ溝部G中の深さ方向が異なる各部で溝部色CGの明度が異なることで、複数の溝部Gが波打つような独特の効果が得られる。明度の差はマンセル表色系において2〜10が好ましく、3〜10がより好ましく、4〜10がさらに好ましい。この効果は、溝部色CGが急に切り替わるのでは得られず、溝部Gの中でグラデーション状に徐々に移行することで得られる。複数の溝部色CGは溝部Gの深さ方向又は溝側面Fの面沿いの深さ方向の全体で変化するのが最も好ましいが、深さ方向の1/2までの変化でそれに準じた効果が得られる。すなわち複数の色が溝部Gの深さの1/2から全体にかけての範囲で連続的に変化してもよい。また、溝部G内に全く異なる色相、具体的にはマンセル色相環において近い側が25〜50歩度分離れた色相の溝部色CGが混在していれば、複数の溝の層が重なっているかのような別種の効果を呈する。測色には例えばコニカミノルタ株式会社製CM−5等の分光測色計やCR−5等の色彩色差計が用いられるが、測色範囲が狭い等の理由で測定が困難な場合には、目視比較が併用されてもよい。色を定量化した本明細書の他の記載でも同様である。溝側面Fと底面部Bの色又は色調が同じ、又は溝部Gの開口部を除く部分の色又は色調が同じでもよく、それらが異なってもよい。なお、溝側面F・底面部B・充填部Fiは溝部Gの一部である。
加工部14は、さらに図4dのように、充填部Fiの露出部分に溝部色CGと異なる充填露出部色CFiを重ねて溝部Gを目立たなくしてもよい。充填露出部色CFiは彩度の低いグレーか、溝部色CG等が透明の場合には溝部色CGの補色系が好適であり、後者の場合には、例えば正面からは溝部色CGと混色されることで溝部Gがグレーに近く見える。溝部色CGは鏡面状でもよく、蓄光塗料・可塑性発光体・電気的発光物等の充填部Fiにより溝部Gが光ってもよい。
図5V1のように、観察者が造形物3を充分な距離をとって正面から見た場合、溝部Gは幅が狭いため見えないか、又は略見えない。なお、この図は概念図であり、この図の溝部Gと同じスケールの造形物3と視点との距離はより大きいことが多い。以下の図面でも同様である。
次に図5V2のように、観察者が造形物3に対する視線方向を傾けて斜めから見ると、溝部Gの溝側面Fが見えるようになる。これにより、正面から見た場合とは色が変化して見える。
図5V3のように、観察者が造形物3に対する視線方向をより傾けて横に近い斜めから見ると、溝側面Fがより広く見えることでさらに色味が変化する。このように、溝部Gの見え方が視線方向で異なることにより、造形物3が示す色合が一変する。これが本発明の目的とする異方性視覚効果の一種、異方性カラーリング効果である。
画像1が図3bのような万線状である場合、これに基づき加工部14が加工した造形物3には、無数の互いに平行な(より正確には、両側の溝側面Fがなす二面角を二等分する面が互いに平行な)溝部Gが造形される。このような造形物3では、観察者の視点が図5V3のような位置にあると透明な部分が見えなくなり、一面溝部色CGに見えることがある。そのような溝部Gが多数並ぶことで、観察者が斜めから見た造形物3は、単なる溝部色CGの縞模様ではない、独特の幻覚感を醸成するひとかたまりの色の面として見える。
造形物3が平面的板状の場合、図6aに示すように、視点V4の観察者が造形物3を正面から見ている場合でも、視線が表面部Sに垂直であるのは造形物3の一点に対してのみであり、そこから遠い部分ほど視線の傾きは大きくなっていく。つまり、造形物3の中心を正面から見ているなら、造形物3の外周に近くなるほど溝側面Fが見える。これは、造形物と目の距離が大きければ無視できるが、近接すると目立つようになる。そして、前段落記載の効果と合わせて、造形物3の各部に複雑な色合が浮かび上がる。例えば、造形物3の中心部に比較的近い部分は略透明に見え、その周囲では一部が溝部色CGに、その間が透明に見え、その外側では溝部色CGのみが見え、さらに外側では前後の溝側面Fが重なって見え、溝部色CGの濃い部分と薄い部分が交互に見える、というように、位置によって見え方が変化する。加えて、観察者が視点V4を移動させたり造形物3を傾けたりすると、そのような異方性カラーリングの中心が造形物3の別の箇所へと移動し、その点を中心とした異方性カラーリングの関係が出現する。こうして各部の色合が微妙に変化することで、造形物3は特有の視覚的効果を発揮する。
加工部14は、溝側面Fが表面部Sとなす角度を、造形物3の各部で変更することができる。例えば加工部14は、ガルバノ式等のレーザヘッドが固定された加工機を用いることで、図6bのように、溝部Gが、造形物3の中心部では表面部Sと略直交するが、周辺部では表面部Sから奥に向かって放射状に広がるように加工できる。これにより、加工時にレーザ照射方向が交わっていた位置V5から観察者が見た時に、図6aとは異なり、造形物3全体の溝側面Fが見えないという効果が得られる。加工部14は、3Dプリンタを用いて、溝側面Fが表面部Sとなす角度を造形物3各部でより複雑に変更することもできる。
仕上げ部15は、表面等の研磨、別の部材との組合せ、追加着色、保護のための処理、加工後の洗浄、検品等を行い、造形物3を製品として完成させる(S15)。仕上げ部15は、照明光の拡散性の向上や色の変更・造形物の保護等の目的で、造形物3の裏面ないし表面に半透明樹脂板等を装着又は接着し、造形物展示体4とすることもできる。樹脂板はフィルム・シート・塗膜等の薄膜でもよく、その色は様々でよく、光を反射してもよく、この部分には溝が加工されなくてもよい。仕上げ部15は、造形物に照明器具等を装着又は組み合わせ造形物照明設備5としてもよい。
以上、造形物製造装置10が画像取得部11・画像処理部12・材料取得部13・加工部14・仕上げ部15の順に実行する形態を説明したが、造形物製造装置10がそれらを実行する順序は任意であり、ある処理を別の工程部が行ってもよく、ある処理を複数の工程部で分担して行ってもよく、ある工程部に進んだのちに元の工程部に戻ってもよい。例えば材料取得部13・仕上げ部15を加工部14が兼ねてもよい。
《造形物の実施形態の諸条件》
造形物3が異方性視覚効果を得るための条件を、溝部深間隔率・溝部幅間隔率・溝部狭長率等として以下に定式化する。
図7は万線状の画像1に基づく溝部Gの溝方向に直交する断面の図である。造形物3の溝部G以外の部分である基材部Mに透過性がある場合、溝部Gが深いほど溝部色CGが連続して見える視点の範囲が広くなり、異方性カラーリング効果が向上する。図7において、深さがdeで、表面部Sと直交し、隣接する溝部Gとの幅方向の中心どうしの間隔di及び溝部Gの幅wが一定で、溝側面Fが平面で、底面部Bの幅weが0で、互いに平行な複数の溝部Gを、充分な距離を隔てた観察者V6が溝方向に表面部S上で直交する方向から観察する場合を考える。基材部Mの屈折率をn、空気の屈折率を1とすると、表面部Sに対する法線と視線のなす角度(以下視線角度と記載)すなわち基材部Mへの入射角θVと、基材部M中の屈折角θrとの関係は、スネルの法則より1・sinθV=n・sinθrであるから、溝部Gの屈折像の表面部Sにおける見かけの深さdehは
Figure 2019025860
ここで、複数の溝部Gが隙間なくつながって見えるためには、dehがdi−w/2以上であればよく、
Figure 2019025860
となり、この時のde/(di−w/2)は、
Figure 2019025860
であり、de/(di−w/2)を本明細書では溝部深間隔率と記載する。溝部深間隔率が大きいほど所期の効果が高い。ソーダガラス等の一般的なガラスの屈折率は、波長にもよるが1.5前後、樹脂の屈折率は、PCで1.6、PMMAで1.49、PVCで1.54前後であるから、n=1.5とし、θV=45°とすれば、数3より溝部深間隔率が1.87083…以上であればよい。つまり、深さdeが間隔diから幅wの半分を減じた値の1.87倍以上であれば、表面方向において溝側面Fと視線が直交する場合に、視線角度が45°以上で、複数の溝側面Fが連続して見えることで、その部分の略全域が溝部色CGに見える。これは、その部分の基材部Mがそれのみでは見えず、必ず溝部Gを通して見えているということでもある。さらに視線角度θVが60°なら、溝部深間隔率が21/2以上で、造形物3に対してとりうる視線角度の範囲180°の1/3において、当該部分の一面が溝部色CGに見える。なお、we>0の場合には、溝部深間隔率はde/(di−w/2−we/2)である。
また、溝部Gが隙間なくつながって見えるための最小の溝部深間隔率は、θV=90の場合で、cot[arcsin(1/n)]である。造形物3の基材部Mの屈折率に応じて一意に定まるこの値を最小溝部深間隔率と記載する。n=1.5なら1.1180…である。ただしθV=90では実際には溝部Gは表面からは見えないので、ある部分が一面溝部色CGに見えるためには、溝部Gの深さは隣接する溝部Gとの幅方向の中心どうしの間隔から幅wの半分を減じた値と最小溝部深間隔率との積より大きくなければならない。
出願時点で加工可能な造形物3における最大の溝部深間隔率は、深さdeが28mm、幅wが0.2mm、間隔diが0.8mmであるから40であり、これが溝部深間隔率の上限である。ただし、今後の材料の改良や製造技術の向上等により、この上限値は改善される可能性がある。本発明の技術的範囲は出願時に実施可能な範囲に限定されないのであり、後述の溝部深間隔率・溝部狭長率の下限等においても同様に変更の可能性があるか、同じ理由から各種条件の上限又は下限が明示されないことがある。
なお、図7の造形物3外の2本の一点鎖線は同一視点V6からの視線を示し、実際の視点V6は図7に示すより遠方にあるので、各溝部Gに向かう視線は実用上略平行である。また、溝部Gが表面部Sに直交しない場合にも、見る方向によっては、同じ溝部深間隔率が適用できる。表面部S等に反射防止のためのコーティングやフィルム等の層が加工されている場合には、その部分の屈折率が基材部Mとは異なるが、その層の厚さが0.2mm程度以下で無色・平滑・高透過率・低ヘーズなら光路にはほとんど影響を与えないので、無視してよい。以下の記載でも同様である。
図7V6のように、観察者が造形物3への視線を傾ければ、溝部色CGで略埋め尽くされて見える。一方図7V7のように、観察者が造形物3を正面から見れば、溝部色CGがほとんど見えない。この対比によって異方性カラーリング効果が得られる。ここで、溝部Gの幅wが間隔diに対して充分に狭ければ、観察者が正面から見た時にその部分が略透明に見え、溝部色CGがほとんど見えない。そこでw/diを溝部幅間隔率と記載し、その値を溝部色CGが最も目立たない時とより目立つ時とを比較する尺度とする。この幅wは、後述の溝がない場合の溝部色CGの厚さにもあてはまる。また、溝部Gが表面部Sに直交しない場合にも、同様にw/diが適用できる。ところで、図4a・bのCrのように、溝部Gからさらに微細な溝ないしヒビが枝分かれしてもよい。この微細溝Crは溝部とは異なる角度の光を反射して装飾効果を付与する。微細溝Crが溝部Gの深さ方向とは異なる方向に延び、溝部Gと比較して長さや幅が短く具体的には1/5以下で、溝の位置・長さ等が不規則、の少なくともいずれかであれば、溝部Gと比較して全体への視覚的影響が小さいので、wやde等には含まない。
溝部幅間隔率は、溝部色CGが最も目立たない時とより目立つ時とを比較する尺度であるから、後述のように溝部Gの底面部Bが溝側面Fと異なる色の場合には、底面部Bの幅をwから差し引く必要がある。その場合、溝側面Fの幅、すなわち溝部Gの幅から底面部Bの幅を減じた値をwFとし、wF/diを溝側面幅間隔率とする。また、溝部幅間隔率と溝側面幅間隔率が一致する場合、それらを併せて溝幅間隔率とする。溝部幅間隔率についての記載は溝側面幅間隔率及び溝幅間隔率にも適用される。
溝部幅間隔率及び溝幅間隔率は小さいほどよい。基材部Mが不透明で、溝部Gの断面が等脚台形状で表面に近い部分の幅より底面に近い部分の幅の方が広い場合、wは0又は負の値となるが、いずれにせよ視点の位置によっては溝部色CGが全く見えないことがあるので、異方性カラーリング効果は高い。本願発明者による試験では、例えば6mm厚の透明板に直交する溝部Gにおいて、溝部Gの幅w約0.4mm、間隔diが4mmで、溝部幅間隔率が約1/10であったが、発明者が正面から観察して溝部色CGがあまり目につかず、良好な異方性カラーリング効果を得られた。別の例では、8mm厚の透明板に溝部Gの幅w約0.4mm、間隔diが6mmで溝部幅間隔率が約1/15、発明者が正面から観察して溝部色CGがほとんど目につかず、より良好な結果であった。また、アルミ板上に橙のアクリル塗料の層を重ねて0.6mm厚とし、その上に青のアクリル塗料をごく薄く重ねた材料では、間隔diが1.6mmに対し溝部深間隔率が約1/4で、正面から橙がやや見え、異方性カラーリング効果は限定的であった。発明者は、このような試作を多数積み重ね、いずれも異方性カラーリング効果というこれまでにない有利な効果を得られるものではあるが、溝部幅間隔率は1/6以下で所期の効果が認められ、1/8以下で差が明らかなので好ましく、1/10以下でより好ましいとの結論を得た。基材部Mに透過性がある場合、wを0にすることは難しいが、diは無制限に広げることができるので、溝部幅間隔率は0より大である。
図8は造形物3に含まれる溝部Gを示す。溝部Gの両側の溝側面Fがなす二面角を二等分する、又は溝部Gの両側の互いに平行な溝側面Fからの距離が等しい平面P1と、平面P1及び表面部Sを含む平面S1と直交する平面P2との交線において、溝部G及び平面S1で区切られた線分をL1、その長さをl1とし、平面P1に直交し2つの溝側面Fに区切られた線分のうち最も長い線分をL2、その長さをl2とする。溝側面Fが平面の場合、溝部狭長率はl2/l1の値である。溝側面Fが曲面の場合、溝方向の長さが無限小である溝部Gの連続を想定し、そのうちの最大のl2に上記を適用する。
溝部Gが表面と直交する場合、基材部Mの屈折率が1.5で視線角度が45°の場合に、溝部狭長率が溝部Gの幅が0.4mmに対して深さが4mm以上、すなわち溝部狭長率が1/10以下であれば溝部Gの屈折像の表面部Sにおける見かけの深さdehが幅wの10/1.87≒5.4倍に見える。深さが6mm以上、溝部狭長率が1/15であればdehが幅wの15/1.87≒8.0倍に見え、視線角度が45°の時の溝部Gの深さに比して、正面から見た時の溝部Gの幅が無視できる程度に狭く見え、所期の効果が得られる。溝部狭長率が1/19でdehが幅wのほぼ10倍に見え、より好ましい。他の条件が同一であれば溝部狭長率は低いほどよい。出願時に製造可能な溝部狭長率の下限は、大型の造形物3では1/140、微細な造形物3では1/200である。
造形物3が透過性を有する基材部Mによってなる場合、要求される異方性視覚効果はその用途次第で様々である。例えば店舗のショウウインドウに造形物3が使用され、正面のごく狭い範囲からのみ店内が見えて、それ以外の広い範囲からはブランドロゴが見えることが望ましい場合には、溝部深間隔率が大きく溝部狭長率が小さい方がよい。後述するエレベータの外装用で、広い範囲で外の景色が見え、昇降につれて時おり異方性視覚効果が発現することが求められる場合には、逆に溝部深間隔率が小さく溝部狭長率が大きい方がよい。いずれの場合にも、溝部幅間隔率が小さい方が正面から見た場合の透過率が上がるが、溝部深間隔率が大きければ異方性視覚効果は低下し、例えば正面から見た時にも、斜めから見た時ほどではないものの溝部Gが見える。表札や装身具等ではこれが好まれることもありうる。ただし、異方性視覚効果が発揮されるためには、造形物3の反対側が少なくとも溝部Gと同じ量見える必要がある。また、加工部14が溝部楔角θGが10°以下の溝部Gを加工するには、溝部Gの間は幅wと少なくとも同じだけ離れている必要があり、また強度上も溝部Gのピッチはdi≧2wの必要がある。よって溝部幅間隔率は1/2以下でなければならない。造形物製造装置10は、そのような造形物3の使用条件に応じて、溝部Gの幅・深さ・ピッチ・表面部Sとなす角度の関係を調整し、さらに断面形状・正面から見た場合の形状・方向・色・各部での位相・面粗さも併せて調整し、目的に適合した造形物3を製造することができる。より具体的には、画像処理部12及び加工部14は、造形物3のサイズ及び使用条件等のパラメータに応じた各種プリセット等を用いて、溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく実施可能な最大値までの範囲内で調整され、溝部幅間隔率が0以上1/2以下の範囲内で調整されることで、条件に合致した異方性視覚効果を発揮する造形物3を製造することができる。
造形物3は屋外設置も可能であるから、屋外も含む様々な環境下での耐久性が要求される。そこで最大の問題が耐光性である。ソーダガラス・PC・PMMA等は一般に紫外線を通しにくく、300nm以下の紫外線の透過率は0%に近い。そのためこれらによってなる基材部Mでは紫外線による劣化の懸念が少ない。しかし、溝部Gが着色されている場合、溝部色CGの褪色の可能性がある。この問題は、無機顔料等の紫外線に強い色材の採用により改善が見込まれるが、色の選択の幅が狭まり、また無機顔料でも長期の直射日光照射による劣化は避けられない。それゆえ、溝部色CGが直接露出する部分の縮小という対策も併用されなければならない。造形物3の開口部側を透明の被膜・保護層・保護板等で覆うという方法もあるが、コスト・板厚・透明の層の反射による溝部Gの見えづらさといった理由で、この方法が望ましくない局面もある。そのため、室内外を問わず、長期にわたり造形物3の装飾性を維持するためには、溝部狭長率を低く抑え、溝部Gの開口部を極力狭くする必要がある。また、それにより雨水等の影響を含む耐候性全般が向上する。図4cのように溝部Gに不透明の充填部Fiがあれば、著しい経年劣化は充填部Fiの開口部にとどまる。側面部Fは基材部Mにより紫外線から遮断される。図4aのように溝部Gに充填部Fiがない場合、あるいは図4bのように充填部Fiが透過性を有し、さらにその紫外線透過率が高い場合には、上部近辺の経年劣化が激しく、一方溝部Gの奥は紫外線の到達量が減るため元の色合いを維持する。紫外線及び短波長光は散乱して各方向から溝部Gに入射するが、特に影響が大きいのは溝側面Fの上部近辺に対し略45〜90°で入射する紫外線である。これにより、溝部G上部の、上端から幅と略同じ深さの部分が徐々に色褪せ、奥の元の色との対比で老朽感を醸す。この特に色褪せやすい部分が目立たないためには、溝部Gの幅wは深さdeの1/10以下がよく、1/20以下なら褪色部分が略目につかない。この点からも、溝部狭長率は1/10以下が好ましい。この効果は、溝部楔角θGが0.5〜15、好ましくは1〜8°より好ましくは2〜4°となることによっても、同様に開口部が狭くなることで得られる。
造形物3は、溝部Gを除き、又は裏面部Rと溝部Gを除き、少なくとも一部で略同じ色でもよい。略同じ色とは、一般的な使用において識別されない程度に近い色ということであり、例えば無色透明のPCに無色透明のPVCを貼り合わせた材料2では、それぞれの層の色は厳密には互いに異なるが、実用上同じと見なしてよい。この場合の色差を本明細書では許容色差と記載し、これはΔE*ab25.0以下が好ましく、ΔE*ab13.0以下又はそれと略同等のマンセル表色系における1歩度差以下がより好ましく、ΔE*ab6.5以下がさらに好ましい。下限は測定限界値であり、基材部Mが同一の材料からなる場合等には0である。
《造形物の実施形態の展開と条件》
図3bのような万線状の画像1に基づく溝部Gによってなる造形物3では、溝の方向と視線の方向の関係によって色の見え具合が多様に変化する。図9には、溝部Gと視線の表面上の方向が直交する視点V8と、溝部Gと視線が同一平面上にある視点V9とが示されている。V8では、V9と比較して、溝部Gが広く見え、無色透明に見える部分は狭い。V9では全体が無色透明に見え、溝部Gがあまり見えない。つまり、例えば、造形物3が垂直に壁にかけられている場合、正面から見た場合と斜めから見た場合とで色が異なって見えるだけでなく、横側の斜めから見た場合と下側の斜めから見た場合とでも色が異なって見える。
〈異方性ライティング効果〉
図9においてV8及びV9が視点ではなく光源位置であると考えると、V8に光源がある場合には溝部Gが明るく照らされるが、V9に光源がある場合には溝部Gにはあまり光が当たらないため、観察者が正面以外の視点、例えばV8から見た場合でも溝部色CGが見えにくい。一方、溝部Gが少なくとも一部の光を吸収するなら、前者では溝部Gの影が一部にできるが、後者ではほとんど影ができずにまんべんなく照明が当たる。このような、照明の方向等が異なると造形物3の形状等を反映して各部の明るさが異なる効果も、異方性視覚効果の一種であり、これを本明細書では異方性ライティング効果と記載する。
〈異方性反射効果〉
溝側面Fが光を反射する場合、異方性視覚効果の一種である異方性反射効果がさらに得られる。つまり、光が当たる角度や見る方向の差により各部で輝き具合が変化し、より意匠性が向上する。その反射は乱反射に近くてもよいが、正反射に近い方が効果が高い。よって研磨・塗装等により溝側面Fの反射率が改善されてもよい。この異方性反射効果は溝部色CGが無色透明でも得られるので、図4のような溝部Gが特に着色されず、基材部Mと同じ色又は略同じ色でもよい。溝側面Fが反射を起こすためには、それが界面である必要がある。溝部Gは充填部Fiのない空隙か、充填部Fiがあれば基材部Mと屈折率が大きく異なれば反射が起きやすい。つまり溝部Gの屈折率及び透過率により、透明度・反射効果・明度・コントラスト・遮蔽効果等が変化する。溝部Gは溝状でなくともよく、透明樹脂板やガラス板の内部にレーザ加工等で形成されたクラック・微小な破壊面等でもよい。溝部Gの一部に凹凸があればさらに細かく光って見える。溝部Gが万線に基づいていれば、複数の溝側面F間や表面部S及び裏面部Rと複雑に反射しあうことで、造形物3各部に多様な効果が発生する。
以下、溝部Gが反射を返すための条件を検討する。造形物3の表面部Sと裏面部Rとが互いに平行であり、溝部Gが表面部Sと直交し、充填部Fiがないものとし、媒材部Mの屈折率をnとする。図10は、xyz座標空間において、裏面部Rがyz平面と平行であり、溝部Gの両側の溝側面Fによってなる二面角を二等分する平面がzx平面と平行であるような造形物3の、xy平面と平行な断面の図である。x軸正方向が0°、時計回りが正の向き、矢印が光の進行方向で、光路は断面と平行である。溝部Gの上側の溝側面Fによる光の反射に着目する。
I 溝部Gの開口部の反対側から光が入射する場合(θG1≦0)
図10aにおいて、溝部楔角θG1・基材部Mへの光の入射角θ1・屈折角θ2・溝側面Fへの入射角θ3・反射角θ4・空気との界面への入射角θ5・出射角θ6の関係は、sinθ1=n・sinθ2、θ2−θ3+90−θG1/2=180、−θ3=θ4、θ4−θ5+90+θG1/2=180、n・sinθ5=sinθ6であるから、次の式が導かれる。
Figure 2019025860
(1)−2arcsin(1/n)<θG1≦0の場合(図10a・b)
光が上側の溝側面Fに反射するためにはθ2≧θG1/2、出射光が光源と反対側の観察者に見えるためにはθ6>−90であるから、観察者に反射が見えるθ1の範囲は
Figure 2019025860
となり、θG1が大きいほどθ1の範囲は溝側面Fの下側で広がり、上側で狭まることがわかる。θ1が数5の範囲を上回ればθ5≧arcsin(1/n)となり臨界角を超えるのでθ6の出射は起こらず基材部M内での全反射となり、観察者からは溝側面Fの反射が直接には見えない。θ1が数5の範囲を下回れば上側の溝側面Fにθ2の屈折角の光が届かない。またθ6のとりうる範囲は
Figure 2019025860
である。例えばn=1.5、θG1=−10であれば、−7,512…≦θ1<52.248…、−90<θ6≦−7,512…となり、光源(図示しない)からのある溝側面Fに対する入射光θ1がθ1>52.248となる位置に光源が置かれると、その溝側面Fには反射が見えない。また45≦θ1≦52といった範囲の時、θ6が水平方向に近ければ、視線が造形物3に正対する部分周辺では反射がほとんど見えず、後述のように奥の景色がよく見え、θ6が水平方向から遠ければ、視線方向と入射角が正面衝突に近い状態にならず、反射部分と光源が観察者の視野内で重なることが少ない。θG1=−3であれば、−2.250…≦θ1<70,071…、−90<θ6≦−2.250…という広い範囲から観察者が異方性反射効果を観察できる。特に造形物3が比較的周辺部から見られる時に反射が見える必要がある用途には有用である。観察者(図示しない)はθ6の反対の方向の視線によりθ1の入射角で入射した光の反射を観察することができる。
図10bのように、θG1が大きいほど全反射する範囲が広がり、外から反射を観察可能な範囲が狭くなる。数6の範囲の入射光は観察者に見えるが、その範囲は図10aより狭く、図10bの点線前後のわずか数度である。この条件では、観察者から見た光源と反射する部分の方向が正面衝突に近いために見づらい。また、反射面の溝側面Fが視線に対して平行に近い側に傾斜しているため溝側面Fが狭く見え、しかも溝側面Fへの入射角が大きいため反射光が暗く不鮮明である。
(2)2arcsin(1/n)−180<θG1≦−2arcsin(1/n)の場合(図10c)
溝側面Fからの反射光のすべてで空気との界面への入射角が臨界角を超え、基材部Mの内部で全反射を繰り返す。反射光が別の溝側面Fに当たれば、その角度によっては外から観察できることもあるが、光量の減衰等により所期の効果が得られないことが多い。n=1.5であればθG1≦−83.349…である。
(3)−180<θG1≦2arcsin(1/n)−180の場合(図10d)
溝側面Fで反射した光が裏面部R側に向かい、空気との界面への入射角の絶対値がarcsin(1/n)未満なら光源と同じ側に反射光が見え、それ以上なら基材部Mの内部で全反射する。溝部楔角θGが大きいため、得られる異方性視覚効果は限定的である。
なお、arcsin(1/n)≧45すなわちn≦2−2の場合には、(2)がなくθG1≦−2arcsin(1/n)で(3)となる。
II 溝部Gの開口部側から光が入射する場合(θG2≧0)
図10eにおいて、溝部楔角θG2・基材部Mへの光の入射角θ7・屈折角θ8・溝側面Fへの入射角θ9・反射角θ10・空気との界面への入射角θ11・出射角θ12の関係より、同様に次の式が導かれる。
Figure 2019025860
(4)0≦θG2<2arcsin(1/n)の場合(図10e)
光源の反対側の観察者に反射が見えるθ7の範囲は
Figure 2019025860
であり、θ12のとりうる範囲は
Figure 2019025860
である。なお
Figure 2019025860
の範囲の入射光θ7は上下いずれの溝側面Fにも当たらないので、開口部側から光が入射する実施形態は水平方向の入射光には不向きである。例えばn=1.5、θG2=10であれば、7,512…≦θ7<90、−52.248…<θ12≦7,512…となる。光源(図示しない)が例えば70<θ7<90になるような外側に置かれた場合、視線方向と入射角とがぶつかることがなく、反射部分と光源とが観察者の視野内で視覚的に干渉することが少ないので好ましい。また観察者(図示しない)は造形物3の中心部の比較的近くで反射を観察できる。θG2=3であれば、2.250…≦θ7<90、−70,071…<θ12≦2.250…となり、観察者が反射を観察可能な範囲がより広がる。この場合、反射面の溝側面Fは視線に対して直交する側に傾斜しているため、上記(1)より反射面が広く見えて有利である。
加工法によっては、溝部Gの底面部Bが微細な凹凸状等に荒れていることがある。溝部Gの開口部の反対側から見る場合には、その部分が目につきやすく、その部分に当たる光の角度次第では見栄えが下がる。この点では(1)の方が好ましい。
(5)2arcsin(1/n)≦θG2<180の場合(図10f)
裏面部Rから基材部Mに入射するあらゆる方向の光が、溝側面Fで反射することなく、表面部S側へ透過する。溝部Gに直接入射した光は、溝内部で反射するなどして光源と同じ側の観察者から見えることがある。
なお、基材部M内の入射角が臨界角未満の場合には、全反射は起こらず一部の光が溝部Gの外へ出射する。図fの溝側面Fでの反射でも一部の光は透過する。
したがって、溝側面Fの反射光が異方性反射効果を伴って見えるθGの範囲は−2arcsin(1/n)<θG<2arcsin(1/n)である。上記では溝部Gの上側の溝側面Fが表面部Sに対する法線となす角度θFをθG=2θFとしてθG1及びθG2に代えることができる。したがって、下側の溝側面Fの角度にかかわらず、−arcsin(1/n)<θF<arcsin(1/n)で上記の関係が数10等を除いて成り立ち、溝部Gが表面部Sと直交しなくてもよい。溝部Gの方向を考慮しない、つまり角の向きを考えず角度の絶対値をとらえるならば、上記範囲は0≦θG<2arcsin(1/n)又は0≦θF<arcsin(1/n)である。下側の溝側面Fの反射についても同様に扱うことができる。加工部14は、造形物3の使用目的・使用条件・サイズ等に応じてθG又はθF及び表面と裏面のうち加工する側を変更することで、所期の効果が得られる光の入射方向及び視線方向の範囲を調整することができる。加工部14は、造形物3の各部でθG又はθFを変更してもよい。上記(1)の場合の数5の範囲の光の入射角θ1及び上記(4)の場合の数8の範囲の入射角θ7を合わせて本明細書では出射可能入射角と記載する。
光路は図10のようにxy平面と平行でなくともよい。様々な方向からの入射光による光路は、例えば図10のようなxy平面への正射影及びzx平面への正射影の組合せで記述できる。前者には数4又は数7が適用できる。後者ではθ1=θ6、θ2=θ5、θ3=θ4であり、−90°より大きく90°未満の入射角の入射光が同じ出射角で出射される。
〈異方性屈折効果〉
透明の溝部Gは反射と透過の性質を併せ持つ。つまり、斜めから見た時、光源方向と視点方向に対応する部分の溝側面Fが光って見えるが、それ以外の溝側面Fは手前の風景を反射し、また向こうの背景を透過・反射する。その際、溝部G・基材部M・造形物3の外部で屈折率が異なるために屈折現象が発生し、背景が複雑かつ多様に変容して見える。これは、造形物3を正面から見た時に単なる透明ガラスを通したように見えるのとは異質の世界の見え方であり、異方性視覚効果の一種であるこの効果を、本明細書では異方性屈折効果と記載する。さらに視点の移動による変化や、条件によっては屈折に伴う分光による虹状の発色も加わり、これまでにない視覚的異化作用を発揮する。そのためには溝部幅間隔率が小さく、基材部Mの透過率及び溝側面Fの平滑度が高いと同時に、溝部Gの透明の度合も高い方がよい。
〈異方性透過効果〉
基材部Mが透明で溝部Gが不透明なら、例えば正面からは造形物3の背景が透過して見えるが、斜めからは不透明な溝部Gの連続により背景が見えず、溝部Gが透明なら、視線角度によっては背景からの光をほとんど透過しないか別の方向の光を反射することで背景が見えにくい、という効果が得られる。裏面部Rの一部が文字等の形状に着色されていれば、正面からはこの文字等が見え、斜めからは見えないか見えにくい。これも異方性視覚効果の一種であり、本明細書では異方性透過効果と記載する。
造形物3が異方性透過効果を得るためには、溝部Gどうしの間の表面部Sが幅を有し、溝部幅間隔率が小さく、基材部Mの透過率が高い必要がある。幅を有する複数の表面部Sが、裏面部Rと平行であるか、同一の平面に含まれることで、複数の表面部Sを通して背景がゆがまずに見える。前者では表面部Sと裏面部Rとの距離が各部で異なっても、すなわち造形物3の厚みが異なってもよい。その場合には正面から見た場合のみ背景がゆがまずに見え、やや斜めから見た場合には、それぞれの表面部Sを通して見える背景の屈折の度合いが異なることにより、表面部Sのつなぎ目で背景がデコボコして見える。後者では複数の表面部Sを含む平面と裏面部Rとが平行でなくともよい。その場合には背景はつながって見えるが、表面部Sと裏面部Rとがなす角度及び見る方向によっては背景が変形して見え、色収差が生じる。複数の表面部Sが裏面部Rと平行かつ1つの平面に含まれていれば、通常の板ガラスのように自然に背景が透過して見える。また、加工法によっては、表面部Sのうち溝側面Fに接する部分の近辺が図4aのように凹むか、逆に盛り上がっていることがあり、そのような部分では背景がややゆがんで見えることがある。表面部Sすなわち複数の溝部Gの間に、上記前後者の少なくともいずれかであるような部分が0より大きい幅を有していれば、少なくともその部分を通して見える背景だけはゆがまない。材料加工において端部にこのような設計上の形状又は理想的な形状からの誤差が生じるのは不可避であるから、表面部Sの幅はそれを見越した値に設定される必要があり、間隔diの1/2以上が好ましい。このような平坦で幅を有する表面部Sは、それを通して異方性反射等が見えるためにも必要である。それらが溝部Gを通して明瞭かつゆがみなく見えることは少ないからである。造形物3は円筒の一部のような曲面状でもよく、その場合には曲面の裏面部Rと各々の表面部Sとが平行である。
基材部Mの全光線透過率(以下JIS K 7375に準拠する。これに対応する国際規格は出願時点で未制定であるが、JIS K 7375はISO 13468−1と同じ規格を含み、さらに厚さが10mmを超える材料や不透明な材料等の測定も可能となっている。また、本発明の材料は本規格の対象に限定されるものではない。例えばガラスでも上記全光線透過率に相当する透過度を有していれば材料2として用いることができる)は、基材部Mが厚い場合でも70%以上がよく、基材部Mを通して見る背景が素抜けの状態と比較して見劣りしないために、PVC等の無色透明樹脂10〜30mm板に相当する80%以上が好ましく、よりクリアに見えるために、PC・PET等の無色透明樹脂厚板並の85%以上がより好ましく、90%以上ならソーダガラス等の一般的なガラス同様に見えるのでさらに好ましい。これは高いほどよく、上限は理想的には100%だが、実際には多層膜コート処理された特に透過性が高い材料でも高々99%台か98%程度である。同時に拡散性が低い方がいいので、基材部Mのヘーズ(ISO 14782)は0〜5%が好ましく、0〜2%がより好ましく、0〜1%がさらに好ましい。上記2点は基材部Mを通して溝部Gが鮮明に見え、また充分な反射や屈折が起きるための条件でもある。一方溝部Gは背景を透過しないほど異方性透過効果に寄与する。不透明な溝部Gは、光を透過しにくい金属等のスパッタリング等で薄膜形成された溝側面F、無機顔料等の不透明な色材を用いた製品や不透明塗料として供給される隠蔽性の高い製品で着色された充填部Fi等により実現される。溝部Gの幅が狭ければ100%の遮光は困難であり、また光の回り込みがあるのでその必要もなく、色材が特性として不透明であり、例えば可視光の平均の透過率が0〜10%で、実用上色材を通して向こう側が透けて見えなければよい。それにより、斜めから見た場合の遮蔽効率が向上し、正面から見た場合との差異が大きくなる。基材部M又は溝部Gが蛍光色を含む場合には、その影響分は除外される。
また、隣接する複数の溝部Gの溝部色CGが透明かつ互いに異なると、それらによる光の反射と透過が影響し合ってさらに複雑な効果が得られる。直接観察された光だけでなく、床等に投影された透過光も意匠性に富む。
上記各効果のためには、表面部S・裏面部R・溝側面Fは平坦又は平滑であることが望ましい。しかし、加工精度の限界等により、溝側面Fにわずかな凹凸や歪みが生じることがある。理想的な基準面からの溝側面Fの誤差、つまり溝部の方向と直交する溝部の断面における溝部の側面の全部が直線である場合からの前記側面のずれの量は、溝部Gの幅wの0〜1/4が好ましく、0〜1/8がより好ましく、0〜1/12がさらに好ましい。また表面部S・裏面部R・溝側面Fの表面粗さRzは200未満が好ましく、50未満がより好ましく、12.5未満がさらに好ましい。下限は測定限界値である。
〈複数の方向の溝部〉
画像1が図3eのように複数の方向の線を有する場合や図3bのように複数の方向の万線によってなる複数の部分領域を有する場合、これに基づく造形物3には複数の方向の溝部Gが造形される。このような造形物3では、1つの造形物の中で溝部色CGの見え具合が様々に異なる状態が同居し、さらに照明光の方向に応じて各部の明るさが変化する異方性ライティング効果等も働き、より複雑で変化に富んだ効果が得られる。図3bのように画像1の複数の部分領域の間で万線の方向が異なれば、異方性視覚効果により造形物3上で画像が表示される。溝部Gの方向が多いほど、視線を傾けた状態で360°どの方向から見ても、いずれかの部分で溝部色CGがはっきりと見え、別の部分では溝部色CGがそれほど見えない、というふうに各種異方性視覚効果の差を同時に観察可能なので好ましい。これは造形物3表面における複数の溝部Gの方向の対比によるので、そのためには溝部Gの方向の数が2以上である必要がある。溝部Gの方向の数が3以上であれば、反対側から見た場合も含めて6方向から、つまり平均して60°ごとに上記の効果が得られるので好ましい。溝部Gの異なる方向の数が4以上であれば、8方向から、平均して45°ごとに上記の効果が得られ、どの角度から見ても上記の効果が得られる状態に近くなるため、より好ましい。画像1の少なくとも一部が曲線であれば上記の効果が連続的に得られ、さらに例えば円のように360°すべての方向を有する曲線を含んでもよい。ただし、溝部Gが直線又は波線でも振幅が小さい等直線に近い線に基づいている方が、異方性カラーリング効果や異方性反射効果が強い。なお、溝部Gの方向の数は、造形物の拡大や複雑化に伴い無制限に増加する可能性があり、また溝側面Fが曲面の場合には無限と考えられるので、上限を定めない。
互いに異なる方向の溝部Gの組合せで最も有効なのは、それらが90°の角度をなす場合である。図11のように、溝部G1と溝部G2とが直交している場合、視点V10からの視線が溝部G1と略平行なら、溝部G1が最も見えない(なお本明細書において、例えば溝部Gでは、末尾に数字等を付さない符号は一般的な溝部Gを指し、溝部Gを区別する必要がある場合に末尾に数字等を付す)。同時に、同じ視線の表面上の方向が溝部G2と直交しており、溝部G2が最もよく見える。溝部Gの反射率が高ければ、異方性反射についても視点又は1つの光源に対して同様の関係が成り立つ。視点V11からは溝部G1及びG2との関係がそれぞれ逆になる。つまり、図9のV8及びV9と溝部Gとの関係が、1つの視点に対して同時に起こっていることになる。この際、溝部G1及びG2のなす角度は90°前後である88°から92°が効果的であり、85°から95°でもほとんど同等の効果が得られるが、80°から100°まではそれに準ずる効果が得られ、72°から108°まではそれに近似した効果が得られる。そのような角度をなす溝部Gの方向の組合せが、造形物3に複数含まれてもよい。このような90°前後の角度は本明細書の他の記載にも適用される。なお、後述のように溝部Gどうしが交差してもよいが、造形物3が互いに平行な溝部Gによってなる複数の部分領域を有し、それぞれの部分領域において前記溝部Gの方向が異なる場合、個々の溝部Gが図11のように交差しない方が上記の効果が高い。
図3bでは、Xの文字の部分領域に含まれる万線とその周囲の部分領域に含まれる万線とが90°の角度をなし、Y字の部分領域とその周囲の部分領域とが45°又は135°の角度をなしている。このような画像1に基づく造形物3では、Xの部分領域とその周囲の部分領域とは、観察者が造形物3を見る方向によってはその視認性が排他的関係にある。つまり、上から見た時にはXに対応する部分の溝部Gがほぼ見えずその周囲の溝部Gが見える。一方、Yの溝部Gとその周囲の溝部Gとはそのように排他的ではなく、上から見た場合にYの溝部もやや見えるが、左上方向から見た時ほど鮮明ではない。さらに、Zの部分領域の溝部Gの方向はYとも異なるため、見え方も異なる。ここで、画像1における水平方向を0°とすると万線のとりうる角度は0°以上180°未満である。3つの部分領域が互いに隣り合っている場合、それぞれの万線の方向を180°の範囲から分割する必要があるが、これを図12aのように0°・60°・120°と均等に割るべきか、それとも図12bのように0°・45°・90°と不均等かつ一部に重点的に振るべきかは、個々の場合ごとに判断される必要がある。画像処理部12は、各部分領域の面積比や形状の差や境界線長の割合等を踏まえ、用意された各種規準等に従って、万線が最終的に造形物3に加工された段階での各部の方向の関係を総合的に演算し、それぞれの万線の方向の組合せが最も効果的となるよう、隣接した又は離れた複数の部分領域の間で万線の方向を調整することができる(S12)。その規準の一例としては、同じ万線方向が複数の部分領域で重複せず、近接した部分領域間で万線方向が近くなりすぎないよう案配する、というものがある。また例えば、部分領域の外形の多くが直線からなる場合、画像処理部12は、画像内容に応じて、最も長い直線部分と万線がなす角度を、図12cのようにその境界線の片側で45°、もう片側で135°(又は−45°)に近づけることで万線と境界線との視覚的方向の干渉を低減してもよく、逆に、図12dのように主要部分で0°、背景で90°に近づけることで主要部分に動感を演出してもよい。
その際、画像処理部12は、画像やその意味内容を解析する機械学習アルゴリズム等により、画像1に含まれる図形的要素等を認識した上で、画像1に基づく各部分領域の万線の方向の関係を最適化できる。例えば、画像処理部12は、公知のOCR等によって、画像に含まれる図形的要素を、あらかじめ登録された各国語の文字形状と比較の上で文字として読み取り、複数の部分領域を一群の文字からなる1つのグループと判断する。あるいは画像1の中心付近に位置する横幅・線幅又は高さの少なくともいずれかが同等の複数の部分領域を同様に1つのグループと判断する。これに基づき、画像処理部12は、前掲の規準にかかわらず、図13cのように該グループで万線の方向を揃えてもよい。さらに画像処理部12は、該グループが重要な要素であると自動的に評価すれば、周囲の背景に対して最も目立つよう、図13cのように該グループと背景との万線のなす角度を90°又はその近辺の85〜95°等の上記の角度の範囲にしてもよい。画像処理部12は、図13aのci1のように内部に別の部分領域を含む部分領域が、別の2つの図形が重なった二重丸か、それとも数字の0であって内側の円は中窓か、あるいは大文字のOか、はたまた小文字のoか、さらには記号の白丸〇かを、周囲の部分領域との関係等から上記の機序によって判別可能である。そこから画像処理部12は、例えば二重丸であれば図13bのように背景bg1と内側の円ci2と外側の円ci3の万線方向をそれぞれ異なるものとし、文字又は記号であれば図13cのように背景bg2と内側の円ci4の万線方向を一致させ、外側の円ci5の万線方向のみを異なるものとしてもよい。画像処理部12は、図3fのように、文字形の部分領域を、少なくとも一部の輪郭に沿った入れ子状の形状の万線にしてもよい。また、図3hのX及びYの文字の部分のように、文字の周辺部と芯の部分とで万線方向を変更し、凹又は凸状に見えるようにしてもよい。文字の外側をこうしてもよい。文字形の部分領域の文字の輪郭の内側(図3hのz4)又は外側(図3hのz5)に、縁取りやドロップシャドウのような処理が施されてもよい。図3hの背景部分bgのように、部分領域の角部や突端に別の部分領域の線の延長線が接するか、別の部分領域の線が部分領域への接線と重なれば、部分領域の角部や突端から別の部分領域の線があたかも影のように伸びて見える。図3b・cのようにこれがずれていると、つながっているように見えない。ずれの幅が万線ピッチの1/4以下であれば略つながっているように見える。部分領域の突起部や輪郭の外側から線が伸びている状態に見えるように、万線ピッチや万線の位相が調整され、部分領域への接線に重ねられてもよい。ただし、図3hでは説明のために万線ピッチが部分によって大きく異なるが、溝部深間隔率等が過度にばらつかずほぼ一定の効果が保たれるよう、実際にはより小さな変更、具体的には万線ピッチの1/4又は1/8までの変更がよい。また、画像処理部12は、搭載する辞書を参照して、読み取った文字から文意を組立て、複数の部分領域を例えば単語ごと・文節ごと又は文脈上の区切りごとにまとめて、それぞれの万線方向を変更することもできる。画像1がフォントの属性を有する文字データを含む場合も上記と同様に処理可能である。
画像処理部12は各国の国旗等の著名図形を記憶し、あるいは取得した画像1に含まれる文字等の各種特徴から各企業のロゴ等を識別する機能を具え、それらの図形を識別して文字同様の扱いとすることもできる。
各万線方向の選定にあたっては、例えば設置された造形物3を通行人が見る時の効果が向上するよう、造形物3のサイズ・設置位置の高さ・光源との位置関係等の使用条件が加味されてもよい。例えば、造形物3が高さ3mで、地面から垂直に設置され、平均した目の高さ1.5mの通行人が造形物3と平行に移動しながら水平方向の視線で見ることが想定されるなら、元となる画像1の万線の方向はすべて垂直で、溝部Gの色が各部で変えられてもよい。また、造形物3が高さ3mに設置され、その斜め上方に照明が設置され、同様の通行人が下から仰ぎ見るなら、万線方向は45°及び135°をベースとして組立てられてもよい。いずれも溝部Gの表面部S上の方向と視線が直交し、所期の効果の最大化が見込まれる。
あるいは、部分領域の幅が狭い場合、万線の方向によって効果がまちまちである。例えば図3bにおいて、Yの左上の斜画部分y1と右上の斜画部分y2とでは、y1の方が個々の万線が短いために他の部分との区別が困難になる。文字のウェイトが細いほど万線が短くなるので、その回避のため、画像処理部12は、幅又は長さの少なくとも一方が所定値より短い、具体的には万線ピッチの数倍以下、さらに具体的には4倍から8倍程度以下の部分領域を検知した場合、1方向の万線とせずに、図3eのように該部分領域の輪郭としてもよく、図3fのように該輪郭に基づく複数の線にしてもよい。図3eや図3fのような場合の部分領域は、互いに平行な万線のみを含む複数の部分領域(図3fのZでは隣接する互いに平行な複数の万線よりなるz1・z2・z3の3つの部分領域)にさらに分割されるという扱いでもよい。また、図3eや図3fのような部分領域の太さ又はサイズの少なくとも一方は万線ピッチ程度の所定値分拡大又は縮小されてもよい。以上の各所定値は造形物3の用途やサイズ等に合わせて実験の上変更されてもよい。また図3fのYにおいて、左上の斜画部分y3・右上の斜画部分y4・縦画部分y5の交差する三角形の部分y6の線はy3とつながっているが、y4と線をつなげるのではなくこのようにするという決定も画像処理部12には可能である。画像処理部12は、万線ピッチ・加工部14の加工限界や加工所要時間等の条件との兼ね合いないし部分領域相互のバランス等の理由により、画像1から得た部分領域そのものに変形・単純化等の変更を施してもよい。
画像処理部12は、万線の方向と同様に、位置・ピッチ・線の形状等を調整することもできる。例えば、図3bのX字の部分領域の先端位置x1の溝部Gが短くなりすぎないように、あるいは隣接する部分領域の万線と接しないように万線を左右に動かして位相をずらしたりピッチを部分的に変更したりしてもよく、部分領域の細部が忠実に再現されるように、部分領域の形状に合わせて平行曲線としその曲線の曲率や図3gのような波線の波長・波の振幅を調整してもよい。加えて、加工部14は、上記のような画像処理部12による画像1の解析の結果を受けて、各部分領域の溝部色CGや溝部Gの幅・深さ・面粗さ・断面形状・溝部以外の部分の色等の様々なパラメータを調整できる。なお溝部Gの形状は画像1における線の形状に基づく溝部Gの形状及び溝部Gの断面形状を含む。
このように、画像1及び画像1から導かれた各部分領域に基づいて造形物3各部の溝部G及び場合により部分領域自体が調整されることで、次のような造形物3が、属人的能力に依存せず、効率的・迅速かつ安定した品質で製造可能となる。すなわちそれは、大量の画像1に含まれる千差万別の内容を反映した多様な形状の部分領域を有し、該部分領域がそれぞれの溝部Gの特徴から生じる異方性視覚効果によって明瞭に識別される多数の造形物3である。
なお、上記画像処理部12と同様の動作によって万線画像を生成する万線画像生成プログラム及び万線画像生成方法及び万線画像生成装置も提供可能である。
また、後述する造形物3に対して複数の色の照明を照射する造形物照明設備5では、図3bに基づく造形物3のYの部分領域に、例えば上から赤、左から緑の光が当たった場合、光の加色によりこの部分領域が黄に光って見える。図3bのZのように溝部Gの方向が少し異なれば、それに応じて2色の光の比率が変化するので色が変わる。これによって造形物3により複雑な色合いが生起する。
ここから、造形物3が基づく画像1は図3のような2階調化されたものばかりでなく、中間調を含む多階調画像であってもよい。階調数が3であれば、3つの方向の溝部Gによって表示可能である。つまり、例えば画像1の黒の部分領域が図3bの文字の周囲の部分のような水平方向の、白が図3bのX字部分のような垂直方向の、グレーが図3bのY字部分のような斜め45°方向の溝部Gによって表示されればよい。溝部Gの方向が増えればより多くの階調数が表示可能である。
造形物3において、複数の互いに平行な溝部Gからなる複数の部分領域の溝部Gの方向が互いに異なる場合、複数の方向の万線によってなる複数の部分領域による画像の表示や、それに類似した効果を求める場合には、上記複数の部分領域の境界線がその画像の輪郭となるため、上記複数の部分領域の間の距離が狭い方がよい。その距離が0であり、それらが互いに直に接していれば、それぞれの領域が明確に識別され、最も好ましい。上記距離が間隔diの0〜2倍であれば、上記複数の部分領域が見かけ上連続して見えるので実用上充分な効果が得られる。上記距離が間隔diの0〜4倍であれば、上記複数の領域が明確に分割されているのではなく、輪郭をぼかした状態で描き分けられているという効果が得られる。このように、互いに異なる方向の溝部Gからなる複数の部分領域の距離が間隔diの4倍以下であることで互いに略接していてもよい。間隔diが均等ではない場合には、溝部Gの間隔diの平均値が用いられてもよい。本明細書の他の記載においても同様である。
一方で、溝部G等の色が互いに異なる複数の部分領域が隣接している場合、それらの間は図12の画像1に基づく造形物3のようにある程度離れていた方がよい。例えば溝部色CGが赤の部分領域と青の部分領域が近接しすぎていると、観察者が斜め方向から見た時、青の溝部Gが裏面部Rに反射して映り込んだ像と赤の溝部Gとが重複して見えるために混色することがあるからである。また、図14のようにある溝部Gの端部が別の溝部Gとつながっている場合、これらを互いに異なる色で塗り分けるのは、加工法によっては困難である。さらに、図11のように複数の溝部GがT字型に接している場合や交差している場合、諸方向の応力が交点に集中し破壊されやすい。よって互いに異なる方向の溝部Gはやや離れている方がよいが、前段落の理由で離れすぎない方がよい。具体的には、それらの距離は間隔diの0〜4倍が好ましく、1/2〜3倍がより好ましく、1〜2倍なら溝部深間隔率が1.87の造形物3を表面部Sに対して45°の方向から見た時に異なる色の溝部Gが略重ならずに見え、しかもそれぞれの色の部分領域が近接して見えるのでさらに好ましい。
《造形物の変形・応用及び造形物展示体》
〈変形例1〉
造形物3の各部で溝部色CGが異なってもよい。さらに、溝部Gの方向の変更と溝部色CGの変更が組み合わされてもよい。例えば図14aでは、造形物3に複数の部分領域があり、内側の部分領域では溝部色CGが橙O、外側の部分領域では溝部色CGが黄Yであり、加えて溝部Gの方向が内側と外側とでは90°異なっている。この場合、視線が橙Oと平行である左手前上の視点V12からは外側の部分領域の黄Yが見え、視線が黄Yと平行である右手前上の視点V13からは内側の部分領域の橙Oが見える。つまり、左からは絵柄の地の部分が黄に、図の部分は透明に見え、右からは絵柄の図の部分が橙に、その周囲は透明に見える。これにより、見る方向で図−地関係が反転し色も変わる従来なかった効果が得られる。なお、橙O及び黄Yは透明でも不透明でもよい。また、複数の部分領域の間で、溝部Gの方向と同様に、曲率・溝部の形状・ピッチ・幅・深さ・面粗さ・波長・波の振幅・位相・表面部Sや裏面部Rや基材部Mの色等が異なってもよい。これらの少なくともいずれかと溝部色CGの変更が組み合わされてもよい。造形物が複数の部分領域を有し、該複数の部分領域の少なくとも一部が前記複数の溝部の一部を有し、該複数の溝部の一部を有する複数の部分領域ごとに該複数の溝部の一部の方向・曲率・形状・ピッチ・幅・深さ・面粗さ・波長・波の振幅・位相の少なくともいずれか及び該複数の溝部の一部の色・該複数の溝部の一部以外の部分の色の少なくとも一方が異なってもよい。複数の部分領域において溝部色CGは変更されず、上記パラメータのうち複数の変更が組み合わされてもよい。
〈変形例2〉
造形物3の裏面部Rが着色され、造形物展示体4とされてもよい。その場合、溝部色CGが不透明であれば、正面等からは裏面部Rの色が見えるが、一部の斜め方向からは溝部色CGのみが見えて裏面部Rの色は溝部Gに隠れる、という異方性透過効果が得られる。例えば図14bでは、裏面部Rに着色された四角形Qが視点V14からは見えるが、視点V15からは略見えない。溝部色CGが透明であれば、視点V15からは溝部色CGと四角形Qの色が重なって見える。図14aと図14bが組み合わされると、図14cのように、溝部Gの方向と溝部色CGと裏面部Rの色とが同じ画像に基づいて変更されていれば、ある部分領域と別の部分領域とで、溝部Gの方向と、溝部色CG・裏面部Rの色・裏面部R以外の基材部Mの色の少なくともいずれかとが共に異なり、図14aの効果が強調される。図14dのように、溝部Gの方向及び溝部色CGと裏面部Rの色とが互いに異なる画像に基づいて変更されていれば、見る方向により絵柄が変化して見える。例えば溝部色CGが部分領域aと部分領域bとで青、部分領域cで赤、裏面部Rの色が部分領域aで緑、部分領域bと部分領域cとで黄というように、部分領域ごとに一部のみが異なってもよい。
上記のように、ある部分領域では他の部分領域より各色の明度が一律に高いとか各色が等しく青みがかるといった単調な色の変更ではなく、例えばある部分領域では裏面部Rの色が赤で溝部色CGが青、別の部分領域では裏面部Rの色が青で溝部色CGが赤、のように互い違いの組合せや、ある部分領域では裏面部Rの色が赤で溝部色CGが青、別の部分領域では裏面部Rの色が緑で溝部色CGが黄、のようにそれぞれの色相が全く異なる組合せで、しかも各色の彩度が高いと、部分領域どうしのメリハリがついて効果的である。具体的には、色相については、マンセル色相環において近い側が25〜50歩度分離れていれば明らかに別の色と識別できるので好ましく、35〜50なら主要原色のいずれかの色の色相の差に相当するのでより好ましく、45〜50なら補色どうしに近いのでさらに好ましい。又は複数の溝部色CGがHSV色空間のH値において離れている小さい側の角度が、90〜180°なら明らかに別の色と識別できるので好ましく、120〜180°ならRGB系又はCMY系の一方の原色系等のいずれかの色の色相の差に相当するのでより好ましく、150〜180°なら補色どうしに近いのでさらに好ましい。溝部色CGの彩度は、色相にもよるが、概してマンセル表色系における彩度で4以上が好ましく、6以上がより好ましく、8以上がさらに好ましい。溝部色CGの明度は、3〜10が好ましく、4〜10がより好ましく、5〜9がさらに好ましい。さらに上記の組合せとして、溝部色CGは彩度4以上かつ明度3以上が好ましく、彩度6以上かつ明度3以上がより好ましく、彩度6以上かつ明度4以上がさらに好ましく、彩度8以上かつ明度4以上が一層好ましい。なおマンセル表色系では、将来の新しい色材の開発等により安定的色再現域が広がることで、色票が彩度方向に拡張されていく可能性が提唱されている。また、JIS Z 8721において7.5PBの彩度として34や38が示されているが、蛍光色の場合にはこれを超える可能性がある。したがって、彩度の上限は示さない。この溝部色CGの条件は、溝部Gの個別の細部にもあてはまる。また、溝部色CGが複数の場合に限らず、溝部色CGが有色の場合には一般に、溝部色CGの彩度又は明度が上記の条件を満たしていれば、背景の色等にかかわらず溝部Gの色が際立つので、異方性カラーリング効果が向上する。
〈変形例3〉
図14dのように、造形物3の複数の溝部Gが互いに平行で、裏面部Rの一部が着色され、溝部色CGが不透明で、部分領域ごとに溝部色CGが異なれば、例えば正面からは裏面部Rによる文字が見えるが、横からは裏面部Rが溝部Gで隠れ、別の文字が複数の溝部色CGによって見える。その場合の画像1は、溝部色CGが切り替わる部分領域の境界線部分で、図15aのように処理されてもよい。図15aでは、それぞれの部分領域の万線がまっすぐに並ばず、万線ピッチの半分ずつずれることで位相が異なっている。これに基づく造形物3では、複数の溝部色CGの塗り分けを容易にでき、また境界線部のがたつきが減ってより滑らかに見える。3以上の部分領域が互いに接している箇所では、図15bの画像1のように、3の部分領域が接していれば、部分領域ごとに万線ピッチの1/3分をずらすというように、ピッチの1/(互いに接する部分領域の数)分ずらしてもよい。
〈変形例4〉
分光性塗料・偏光性塗料のように、見る方向により色が変わる色材は、造形物に玉虫色のような効果をさらに付加するが、そのような特殊な塗料によらずに同様の効果を得ることもできる。つまり、例えば、左側から見た場合と右側から見た場合とで溝側面Fが別の色に見える造形物3も製造可能である。例えば3Dプリンティングによる造形物3において、図16aのように縦方向の溝部Gの左側の溝側面F1が不透明の青に、右側の溝側面F2が不透明の橙に着色されれば、左側からは青に見え、右側からは橙に見える。また、複数の溝側面F1が画像1に基づいて赤と青で塗り分けられ、複数の溝側面F2が別の画像1aに基づいて緑と黄で塗り分けられれば、複数の色で絵柄が表示され、見る方向により全く別の色の組合せによる別の絵柄に変わる効果が得られる。
溝部色CGが不透明の場合、図16bのように隣接する2つの溝部G3と溝部G4とで溝部色CGが互いに異なれば、左側からは青に見え、右側からは橙に見える効果に近い効果が得られ、溝側面F1及びF2を異なる色で塗り分けるよりも製造が容易である。これは、図16aのような溝部Gを異なる色の2つの溝部Gに分割したものであり、2つの溝部Gで一組とみなされるので、溝部Gの間隔diは溝部G3及び溝部G4の一組の幅の中央から、それらに隣接する別の溝部G3及び溝部G4の幅の中央までの距離である。また、この場合の溝部Gの幅wはw1及びw2の和である。後述のように、溝部G3の反対側の面から溝部G4が加工されてもよい。
さらに、溝部Gがドットに基づく穴状の場合、図16c・dのように溝部Gの上側の溝側面F3・右側の溝側面F4・下側の溝側面F5・左側の溝側面F6がそれぞれ別の色で着色されれば、4方向で異なる色に見える。溝部Gは図16cのような円や楕円に基づく円柱状等、図16dのような多角形に基づく多角柱状等でもよく、途中まででなく板の裏まで貫通していてもよい。
〈変形例5〉
変形例1のような効果は異方性ライティング及び異方性反射によっても得られる。例えば図14aの造形物3の溝部色CGがすべて無色透明であれば、図14aの橙Oと平行に黄の照明が当たると、黄Y部分が黄に光るのをV12の観察者が観察でき、図の黄Yと平行に橙の照明が当たると、橙O部分が橙に光るのをV13の観察者が観察できる。溝部色CGは有色透明でもよく、それぞれの照明が交互に発光してもよく、両方が同時に光ってもよく、照明光の色が切り替わってもよく、周期的にそれらが反復してもよい。そのような照明器具Iが造形物3に追加又は併設されることで、造形物照明設備5となる。光が拡散光であれば黄Y部分がやや赤く、橙O部分がやや黄になり、また全体にムラなく光が行き渡る。光が平行光線であれば混色が少なくなり、光源の像が溝側面Fに見える。溝部Gが不透明で乱反射性が高ければ、溝部Gと平行に180°反対の2方向からそれぞれ別の色の光が当たっても、透明の場合と異なり光が混ざらずに、直交する溝部Gのそれぞれの側の溝側面Fに当たって見えるので、溝部Gの方向の2倍の数の光の色が使い分けられ、図16aと類似の効果が得られる。さらに、複数方向の溝部Gに異なる色の照明を照射することで、着色より容易に、別方向の溝部色CGを別の色にでき、またその色を自由に変更できる。複数の溝部Gが互いに直交し、照明器具Iが、それぞれの溝部Gの方向と平行に光を照射すれば、このような効果が最大化される。造形物3と照明器具Iの少なくとも一方が動くことで照明効果に変化を与えてもよい。溝部色CGが有色の造形物でも、複数の色の照明を照射することで色が変化して見える。造形物照明設備5では、造形物3と照明設備Iが一体であってもよく、それらが別個で、組合せて用いられてもよい。
〈変形例6〉
造形物照明設備5において、照明器具I・造形物3・観察者のなす位置関係は3通りである。第1では、図17aのように、照明器具Iが、造形物3の裏面部Rを含む平面に対して観察者Vと異なる側に位置する、つまり造形物3に対して観察者Vの反対側にある。裏面部Rに対する光の入射角の絶対値は90°未満である。この時、照明器具Iが造形物3を通して観察者のほぼ正面にあると、照明器具Iから造形物3内を反射せずに直進した透過光が直接視野に入り、反射光の効果が同じ色の光によって減殺されてしまう。よって、視点が想定される範囲からは照明器具Iが直接見えないような位置に照明器具Iが設置されることが望ましい。照明器具Iは、そこからの造形物3各部への入射光Irの入射角が出射可能入射角の範囲内にあり、かつ観察者から見えにくいような、例えば斜め上方の位置に設置されてもよい。第2では、照明器具Iが、造形物3の表面部Sを含む平面に対して、図17aとは逆の観察者Vと同じ側に位置する。表面部Sに正面から(図17aでは右方向から)入射する光の入射角を0°とすると、この場合の表面部Sに対する光の入射角の絶対値も90°未満である。照明器具Iが観察者の比較的近くにあると、表面部Sの反射率次第では、照明器具Iの像が表面部Sに映ることで、やはり溝部Gからの反射光の効果が打ち消される。またこの場合、観察者と造形物3の間に照明器具Iが位置すると造形物3の一部が照明器具Iに隠れて見えないことがある。照明器具Iが遠方に位置し、観察者が造形物3と照明器具Iの間に位置すると、観察者の動きにつれてその影が造形物3に投影されることとなり見苦しい。よって、この場合でも照明器具Iは造形物3の中心を通る垂直軸から離れた斜め方向から光を照射するのがよい。第3では、照明器具Iが造形物3の表面部Sと裏面部Rの間から光を照射する。つまり、造形物3が周知技術の導光板のように働く。裏面部R及び表面部Sに対する照明器具Iからの光の入射角の絶対値は90°以上である。この場合、溝部楔角θGが90°以上の大きな角度であれば導光板としてある程度機能するが、通常の導光板と異なり、光源から離れた部分での光量低下が大きい。溝部楔角θGが大きくなるほどその傾向が強く、溝部楔角θGが10°以下の溝部Gでは、基材部Mを通るほとんどの光が光源近くの数本の溝部Gによって反射されてしまい、光源から離れた溝部Gまでは届かないため、造形物3の各部で著しい光量ムラが発生し、使用に耐えない。この光量ムラは、造形物3各部で溝部楔角θGが135°から180°近くまで大きければ解消可能であるが、これは所期の効果を損なう。したがって、照明器具Iは、造形物3の中心付近から外れた周辺部であり、かつ表面部S又は裏面部Rに対する光の入射角が90°未満であるか、入射角が溝部Gに対して出射可能入射角の範囲となる位置に設置されるのがよい。溝側面Fの角度θFの調整により、特定の位置からのみ反射が見えるようにすることもできる。想定される観察者の位置は、造形物照明設備5の用途や規模、使用条件に応じてその都度定められてよい。
図17では、造形物3への入射光Irと造形物3からの出射光Orとが実線・点線・破線・一点鎖線で示され、同じ線種の入射光Ir及び出射光Orがそれぞれ対応している。さらに観察者Vが造形物3の前を矢印方向に水平に行き来するさまが上から示される。同じ線種の間の狭い側が、同じ照明器具Iからの入射光Ir及び出射光Orが届く範囲であり、観察者Vは出射光Orのその範囲内でそれぞれの出射光Orを観察可能である。複数の照明器具Iが同じ高さ(観察者Vの視点より高く、その視野には直接入らない)の異なる位置から造形物3の同じ高さに向けて、異なる線種で示される2以上の異なる色の入射光Irを照射すれば、観察者Vの動きにつれて造形物3の色が多様に切り替わったり連続して徐々に変化したりして見える。異なる色の入射光Irが、図17a及び図17bのように造形物3の同じ部分に当たっていればその部分が、図17cのように造形物3のそれぞれ別の部分に当たっていれば順次別の部分が、観察者Vの動きに伴い異なる色になる。また、溝部Gの方向が、図17a及び図17cのように垂直(観察者Vの移動方向と直交)であれば出射光Orの範囲が水平方向に狭く垂直方向に広くなり、図17bのように水平(観察者Vの移動方向と平行)であれば逆になる。前者では、溝部楔角θGが狭ければ溝側面Fと入射光Irが平行に近い部分で反射がほとんど見えない。これにより照明の色が同一のままで色の変化が得られる。また、街頭のような場所で多数の観察者が同時に行きかっていても、個々の動きにシンクロした変化を各々が観察できる。色を変更するための人感センサ等の大掛かりな仕掛けが不要でコストを抑えられるが、コストの制約がなければ、各照明器具Iの光の色の変更や照射方向及び位置の移動といった動作の追加により更なる効果が得られる。それぞれの光の指向性が高ければ明確に色が切り替わり、拡散光等であれば各色が切れ目なく自然に移行する。図17各図のように複数の照明器具Iが水平等の直線状に並び、それらの照射範囲の高さも同じで、つまりそれらの照射方向が同一平面に含まれることで、例えば同じ視線の高さの観察者に色の変化が見える。照明の照度が最大の部分の1/2になる範囲を照明器具Iから見込む角度を照射角度とすると、同一平面からの照射方向の差が照射角度の1/2以内であり、効果を意図する範囲が照射されていれば、照明器具Iの照射方向が多少異なったり、高さが多少異なったりしても、ほぼ同一平面上にある。そうではなく、照射範囲の高さをまちまちにして色もばらばらにすることで、背の異なる観察者には別の色が見えるようにしてもよい。
このように溝部Gの表面上の方向及びそれと観察者の視線との関係によっても異方性ライティング効果は変化するので、図17のように観察者が水平に歩行しながら造形物3を観察する用途や、エスカレーターの壁面に造形物3が設置され、観察者が斜めに移動しながら観察する用途といった、観察者との位置関係の変化等の条件も踏まえた上で、造形物3の各部の溝部Gの方向が決められてもよい。異方性ライティング効果だけでなく、異方性カラーリング効果等の他の効果にもこれが当てはまる。また、溝部Gが波線等に基づく曲面状なら、溝部Gの方向の変化による効果の変化が連続して発生する。
図18aの照明器具Iはライトカッターを具えているが、このようにバーンドアやレンズ等により照射範囲が制限され、狭い部分にスポットライト状に投光するよう調節されれば、色のコントラストが一層向上する。また照射範囲の制限により、観察者に直接光源が見えず、まぶしさが軽減される。ある色の照明が特定の部分領域のみに当たり、それ以外の部分に当たらないよう、その部分領域の形状に沿ったマスク等で照射範囲が制限されてもよい。
照明光の収束性等の特性によっても造形物照明設備5の見え方が変わる。図18は図17bの造形物照明設備5をSVの方向から見た図である(ただし照明器具Iの形状・特性等は一部異なる)。照明器具Iが図18aのような点光源に近ければ、入射光Irが発散光となり、出射光Orが届く範囲内の視点からは造形物3の広い部分で反射が見える。例えば造形物照明設備5が飲食店の通路に設置され、観察者の目の高さが数10cm程度の限られた範囲内にあり、造形物3との距離もほぼ一定であれば、これが適用されてもよい。さらに、溝部楔角θG又はθFの調整、あるいは造形物3全体の設置角度の調整によって、反射が見える位置が目標とする目の高さの範囲に適合されてもよい。図18bのように入射光Irが平行光に近ければ、ある視点において反射が見える部分は狭くなるが、観察者(図示しない)は出射光Orが届く広い範囲から反射を観察できる。例えば造形物照明設備5が広い空間に設置され、幅のある年齢層で様々な身長の観察者に遠近多様な距離から観察されるなら、これが適用されてもよい。図18cのように入射光Irが様々な方向の成分を含むなら、造形物3の各部で反射が観察できるが、異なる方向の溝部Gに異なる色の光を当てようとしても混色しがちである。造形物3において照明器具Iから遠い部分は近い部分より光量が低下する場合には、光量が全域で均一に近づくようグラデーションフィルター等により補正されてもよい。造形物3各部での照度差はΔ200lx以下が好ましく、Δ100lx以下がより好ましく、Δ50lx以下がさらに好ましい。また造形物3の照度は、色にもよるが200〜2000lxが好ましく、300〜1000lxがより好ましい。1000lxを超える明るい照明下で周囲が暗く照度差が大きいと、明るすぎてまぶしく、溝部G間での二次反射が顕在化し、また入射角が90°に近いほど裏面部R及び表面部Sの埃や傷が目立ち、効果が損なわれることがある。
造形物3が表面部Sと裏面部Rの両側あるいはそれ以上から観察される場合は、両側かそれ以上から照明を当てればそれぞれの側から反射が見える。その場合、それぞれの側で照明の色が異なってもよい。溝部Gが1方向であっても、照明が点滅すれば、溝部Gによる文字等が見えたり見えなかったりするという効果が得られる。溝部Gが万線に基づく複数の平行な溝部Gであればその効果がより高い。
造形物3の裏側に半透明樹脂板Tが設置された造形物展示体4では拡散光照明に近い効果が得られる。さらに導光板等の照明器具Iが装着され造形物照明設備5とされてもよい。可搬的な造形物照明設備5においても、照明器具I・環境光や使用状況との関係に応じて造形物3及び照明器具Iの諸パラメータが調整可能である。例えば、装身具に埋め込まれた造形物3が向きにより一瞬だけ光って見える、といった演出がありうる。
このように、造形物3の屈折率、造形物3の溝部の方向・θG又はθF、造形物3全体の方向、並びに照明器具Iの位置及び照射方向・照射範囲・色・造形物3各部に与える光量・光の収束や拡散の特性等が調整されることで、様々な条件に応じた異方性視覚効果を有する造形物3及び造形物照明設備5の提供が可能である。
〈変形例7〉
LED等により、例えば複数の平行な溝部Gのうち1本おきのグループを同時に光らせ、残りの1本おきのグループは暗くし、それぞれのグループが一定周期ごとに点滅を繰り返すようにして、それぞれのグループごとに色や複数の部分を組み合わせてなる絵柄を別にしてもよい。
異なる色どうしの境界部分では、色が明確に異なってもよく、徐々に連続的に変化してもよい。例えば溝部色CGと周囲の透明色の境界部分がグラデーション状に移行することで、はっきり切り替わるのとは異なる効果が得られる。これが、隣り合う溝部Gの溝部色CGが異なることで実現されてもよい。
〈変形例8〉
溝部Gが図3dのようなドットに基づく柱状等の場合、図19aのように円錐状・角錐状・半球状・多角形状等に大きくテーパーがついた形状でもよい。その場合、各方向から別の色の照明が照射された造形物を任意の方向から見る観察者には、各溝部Gの一部にいずれかの色の光が反射することで、一帯が見る方向に応じた色に見える。つまり、図16c・dと同様の効果が異方性ライティング及び異方性反射によって得られる。溝部Gは他にも、螺旋状・開口部より底面部の方が広がった形状・中心軸に対して又は対向する面が非対称な孔状等様々な形状が可能である。観察者が視点を移動させれば、造形物3の同じ一帯に別の色の反射光が見える。このような造形物3は正面等から光を投映するためのスクリーンとしても使用できる。正面以外から映像等が投映される場合、投映機が造形物3の周辺部やその面の延長に対して正対するように設置され、レンズにアオリがかかる、つまりシフトによってレンズ光軸が平行移動されることで、投映機は斜め方向から投射しながら、造形物3の中心に正対したのと同じように、遠近法の歪みなく、全面にピントが合った状態で投映することができる。このようにして1つの造形物3に多方向から複数の像等を投映し、観察者が見る位置によって像が変化するという造形物照明設備5も可能である。図19aに示すように表裏の両側から溝部Gが加工されれば、溝部Gの分布の密度が上がり、反射の輝度及びコントラストが向上する。溝部Gの充填部Fiが金属粉等の反射材でもよく、充填部Fiが蛍光塗料・特殊発光塗料等で、照明光が紫外線等でもよい。
〈変形例9〉
基材部Mが透明の造形物3において、複数の方向の溝部Gが同じ部分で重なる場合、造形物3の同じ面で格子状に交差してもよいが、図19bに断面を示すように、例えば加工部14が厚さ30mmの材料2の片面から垂直方向の複数の平行な溝部Gを加工し、逆の面から水平方向の複数の平行な溝部Gを加工し、両者を貫通させなければ、それぞれを別の色に着色し分けるのが容易である。これにより、同じ部分領域において、見る方向により異なる色が見える効果を呈する。さらに造形物3の表裏の溝部Gがそれぞれ別の画像に基づいていれば、見る方向や光の方向次第で異なる絵柄が見える。
表面と裏面の両側からの加工には、片側であれば加工精度等の理由から連続して行う必要があった工程を両側の各部に分散させることで、加工部14の時間的・装置的負荷等を小分けできる利点がある。また、隣接する部分領域が表面と裏面とに分かれていれば、加工部14は複数の色を容易に塗り分けできる。さらに、上記加工は視覚的効果にも寄与をもたらす。表面から加工した溝部Gと裏面から加工した溝部Gとで表面ないし裏面からの距離が異なることで、それらが同居する造形物3は、各種異方性視覚効果の重層化・奥行き感の強調・浮遊感の演出といった効果を得る。平行な面状の溝部Gの場合、同じ位置で複数の方向の溝部Gが交差していると、それぞれの方向の溝部Gが別の方向の溝部Gに分断されて効果が低下することがあるが、複数の方向の溝部Gが両面に分かれて加工されていれば、直接には交差しないので、そのような問題がない。
〈変形例10〉
さらに、造形物3の表面以外の各部から溝部Gが加工されてもよい。溝部Gの深さの方向が複数の造形物3、このような板状造形物が積層された多層構造の立体状造形物3、透明等のパーツが追加されたり切削等により変形した複雑な形状の造形物3がその例である。裏面だけでなく、直方体状の造形物3の側面に溝部Gがあってもよく、造形物3の表面が多面体又は曲面であってもよい。それらでは、表面から加工した溝部Gと裏面から加工した溝部Gとで表面からの距離が異なり、加えて側面から加工した溝部Gの表面からの距離がそれぞれ異なり、さらに表面から加工した溝部Gと表面との距離が、表面に凹凸があることにより異なる。つまり、表面と複数の溝部Gとの距離が複数であるか、表面が複数であるか、表面が曲面であるかの少なくともいずれかであってもよい。その場合、図19c・dのように溝部Gの開口部がある複数の面がそれぞれ外側を向いてもよく、逆に内側を向いてもよく、同じ方向に揃っていてもよく、90°等の角度で溝部Gの方向が異なってもよく、溝部Gの少なくとも一部が表面と平行でもよい。
〈変形例11〉
図19cのように、同じ位置に両面から溝部Gが向かい合わせに加工され、それぞれの側で色を変更して、溝部色CGが途中で別になってもよく、色がグラデーション状に変化してもよい。また、図19dのように、無数のドットや万線で構成された画像1が両面から別の2色で重ならないように加工され、各部で2色の比率が異なることで画像の階調再現が可能である。階調の調整は、ドットの数や分布、網点のようなドットの面積の増減、ドットの深さ、それらの併用のいずれで行われてもよい。片面から加工した溝部Gがシアンで着色され、さらにこの面に同様にマゼンタの溝部Gが加工され、その後に表面を研磨するなどしてシアンの上にマゼンタが重ならないようにし、裏面にも同様に加工すれば、3色以上のカラー画像の加工もできる。これにより連続階調の写真等が加工された造形物3は、異方性反射によって輝き、奥行き方向に広がって見えるという、通常の平面的な写真では得られない効果を奏する。
〈変形例12〉
加工部14は、平面的板状の材料2に溝部Gを形成した後に加熱するなどして変形させ、表面が曲面の造形物3を製造してもよい。その場合、加工部14は、溝部Gの開口部側が凸面となるように曲げてもよく、溝部Gを図19aのようにテーパー状とし、開口部側が凹面となるように曲げてもよい。そのような溝部Gが複数方向に交差していれば、より複雑な曲げ加工も可能となる。
〈変形例13〉
複数の造形物3が重ねられた造形物展示体4も可能である。それぞれの造形物3の溝部Gが、立体を輪切りにした断面図状の画像1に基づいていれば、これらを並べた造形物展示体4では溝部Gが積層型の立体地図のように元の立体を再現する。これに溝部Gの方向に対応した照射方向から光が当たれば、それぞれの溝部Gが輝く光の彫刻が実現する。複数の造形物3は密着又は接着されても距離があってもよい。なお、2色の平面画像による本変形例及び次変形例の図は複雑になりすぎ、簡明な図示が困難であるため、省略する。
〈変形例14〉
複数の造形物3が重なっていると溝部Gどうしのモアレが発生することがあり、各種異方性視覚効果が相乗的に作用する。少なくとも一方の溝部Gが互いに平行な曲面状か、両方の間隔diが同じか整数比、あるいはそれらに近似し、その差が狭い方の25%以下か好ましくは12%以下だとさらに効果が大きい。それぞれの色が異なると特有の効果を奏し、少なくとも一方が上下左右前後に動いたり回転したりすると(例えばスライド式自動ドアの前後透明板への施工)、際立った動的変化を示す。造形物展示体4の各部が独立して動いてもよく、ある造形物3の表面と別の造形物3の溝部Gとのなす角度が変化するように動いてもよい。
〈変形例15〉
造形物3の例えば裏面部Rが鏡面であれば、透明な基材部Mを通して観察者の側の景色が映って見える。また、観察者の側に光源があれば鏡面で光が反射して、裏面側に光源や風景がなくてもそれらがあるのと同様の異方性反射効果・異方性透過効果等が得られる。
〈変形例16〉
複数の角柱状の媒材部Mが並び、それらの間が溝部Gである造形物3も可能である。それぞれがモーター等により回転してもよく、柔軟な材料2が用いられれば曲面でも回転可能である。それぞれが固定されてもよい。
[第2の実施形態]
図20aのように、溝部Gの底面部Bが広く、凹部分の幅と凸部分の幅とが比較的近くてもよい。その場合の基材部Mが透明な造形物3を斜めから見ると、対向する2つの溝側面Fの片側が透明部分を通さずに見えるので、屈折で縮まずに長く見える。表面部Sを通して見える溝側面Fは屈折により短く見えるので、斜めから見た場合に一帯の溝側面Fがつながって見える効果を効率的に得るために、表面部Sの幅を底面部Bの幅より狭くしてもよい。溝側面F・底面部Bは透明でも不透明でもよい。
図20bのように、この造形物3が不透明であれば、底面部Bの色及び表面部Sの色が溝側面Fの色と異なってもよい。底面部Bの色と表面部Sの色とは異なっても同じでもよい。溝側面Fは表面部Sより光を吸収する色であってもよい。底面部Bも同様である。第1の実施形態に記載の構成・効果・変形例等の一部は、本実施形態にもあてはまる。例えば、溝側面Fが表面部Sに対して略垂直であれば、正面から見た場合に溝側面Fが略見えず、第1の実施形態と同様に異方性カラーリング効果が得られる。造形物3のある部分領域と別の部分領域とで、溝部Gの方向・曲率・形状・ピッチ・幅・深さ・面粗さ・波長・波の振幅・位相・溝部Gの有無の少なくともいずれかと、表面部S・裏面部R・基材部M・溝側面F・底面部Bの少なくともいずれかの両方が異なってもよい。造形物が複数の部分領域を有し、該複数の部分領域の少なくとも一部が前記複数の溝部の一部を有し、該複数の溝部の一部を有する複数の部分領域ごとに該複数の溝部の一部の方向・曲率・形状・ピッチ・幅・深さ・面粗さ・波長・波の振幅・位相の少なくともいずれか及び該複数の溝部の一部の色・該複数の溝部の一部以外の部分の色の少なくとも一方が異なってもよい。
不透明な造形物3では、表面部Sの幅と長さの少なくとも一方を各部で変更することで、表面部Sと、溝側面F又は底面部Bの少なくとも一方との、視野内の一定の範囲における面積比を変化させることができ、これにより、表面部Sの色と溝側面F又は底面部Bの少なくとも一方の色の少なくとも2色の配合を様々に変更して階調を表し、写真画像・CG・イラスト等の画像を表示することができる。表示される画像が文字や線画の場合には、例えば階調数が2階調でもよく、写真の場合には3階調以上の多階調でもよく、それが2階調化された画像でもよい。具体的には、画像処理部12等は、画像1が多階調画像の場合、万線・曲線状の万線・網点・ディザパターンドット等の様々なスクリーンやパターン等を使用して、例えば図3c・gのように面積比で階調を表示する2階調画像にすることができる。このスクリーンやパターン等は、画像処理部12等が記憶しているデータを読み出してもよく、処理の都度新たに取得してもよい。このような画像1に基づき、加工部14は、少なくとも2層が互いに異なる色で着色された3層以上の材料2の一部を除去する工程、2層2色の板材を抜き加工し第3層を貼り合わせる工程、透明等の材料で凹凸の形状を造形後に表面部S・溝側面F・底面部Bに2以上の異なる色で着色する工程・3Dプリンティング等で造形物3を製造する。このような造形物3は、表面部Sの色と底面部Bの色とが異なる場合にはその2色の組合せの比率により、例えば正面から見た場合に階調を表してもよく、表面部Sの色と溝側面Fの色とが異なる場合にはその組合せにより、例えば斜めから見た場合に階調を表してもよく、表面部Sの色と溝側面Fの色と底面部Bの色がすべて異なる場合には、それら3色すべての組合せを使ってもよい。また、画像処理部12等は、万線や網点の幅又は長さの少なくとも一方を一定とし、その数や密度や分布量の増減により階調を変化させてもよいし、面積の調整と数や分布状態の調整とを併用してもよい。
[第3の実施形態]
3Dプリンティングによる造形物3では、溝部Gが溝状でなく、ごく薄い膜状で、2面の溝側面Fがきわめて近接していてもよい。それと同様に、例えば薄手の透明等のフィルムが一定の幅で裁断され、その片面又は両面に着色された複数の帯が、一方の切り口を基底材上に固定する形で並べられ溝部Gとされた造形物3も可能である。この帯の立った状態での保持と保護のため、帯の間に透明又は半透明の樹脂等が充填され図14や図21aと同様の外観とされてもよく、帯が樹脂内に浮いた状態でもよく、その際、樹脂等から帯の一部が露出してもしなくてもよい。フィルムの切り口は正面から見えるが、切り口が目立たないよう溝側面Fとは別の色で着色されてもよい。フィルム全体が同じ色でもよく、溝側面Fの色の変化が詳細で、複数の溝側面Fにより複雑な画像が表示されてもよい。さらに互いに隣り合う複数の溝部Gの方向が複数でもよく、溝部Gが曲面でもよく、互いに平行でなく自由に多様な方向を向いてもよい。溝部色CGが溝部Gごとに異なってもよく、各溝側面Fの各部でさらに異なってもよい。第1及び第2の実施形態に記載の構成・効果・変形例等の一部は、本実施形態にもあてはまる。
[第4の実施形態]
本発明における第4の実施形態が実現するディスプレイ7では、例えば有機EL等の薄型で細長い短冊状のディスプレイモジュールDが溝側面Fとなっている。図21のように、複数のディスプレイモジュールDが互いに平行かつ一定ピッチで配置されてもよい。また、表示コントローラCがディスプレイモジュールDと有線又は無線で接続されるかディスプレイモジュールDに内蔵され、この表示コントローラCにより画像や動画が短冊状に分断されるなどして、各々のディスプレイモジュールDに振り分けられて表示されてもよい。これにより、斜め横方向からは動画等(図21では「B」の文字)が見え、正面からは見えない、という効果が得られる。ディスプレイモジュールDが両面で互いに異なる動画等を表示可能なら、観察者が左右から見た時にそれぞれ別の動画等を鑑賞でき、正面からは向こうの景色を透過して見ることができる。ディスプレイモジュールDは、携帯端末用等の小型ディスプレイモジュールが縦に並べられ繋がれたもの2枚が背中合わせに張り合わせられたものでもよい。その際、強度向上のため表裏の継ぎ目が重ならないほうがよい。両側の画面は互いに平行でもよく、表面部S側あるいはその逆側を頂角とし底辺側が開いた三角形状でもよい。
複数のディスプレイモジュールDの固定方法には、例えば以下の3通りがある。方法1:図21aのように、複数のディスプレイモジュールDの間が、第3の実施形態同様透明の樹脂等の基材部Mで埋められている。基材部Mを通して見ることで屈折が発生し、ディスプレイモジュールDの高さhが小さく見える分、これを大きくする必要がある。放熱等のため、ディスプレイモジュールDの少なくとも一部が基材部Mから露出した状態でもよい。また、各要素の熱膨張率を近づける等の温度対策が必要である。方法2:図21bのように、基材部Mが板状であって、その上にディスプレイモジュールDが固定されている。基材部Mとの固定部分がディスプレイモジュールDの幅をはみ出さないほうが目立たない。基材部Mに溝が彫られ、ディスプレイモジュールDの一部がそこに差し込まれてもよい。方法3:図21cのように、複数のディスプレイモジュールDが上端付近又は下端付近の少なくとも一方にある基材部Mで連結されていて、それ以外のディスプレイモジュールDどうしの間は空間である。各ディスプレイモジュールDが芯材等により補強されてもよい。方法2及び3では、ディスプレイ7の表面部Sは複数のディスプレイモジュールDの正面側を通る仮想的な面である。隣り合うディスプレイモジュールDの片側がたがいにつながって、曲がりくねった1枚のディスプレイモジュールDでもよい。ディスプレイ7は平面状でもよく、斜め方向から見た際のそれぞれのディスプレイモジュールDの見え方が改善するよう、中心部がくぼんだ又は凸状の弧状でもよい。弧状の場合、複数のディスプレイモジュールDは、互いに平行でもよく、それらを含む面が1つの線で交差してもよく、ディスプレイモジュールDと表面部Sとの角度が一定、例えば90°でもよい。ディスプレイ7は駆動電源を内蔵してもよく、外部から固定部分等経由で電力供給を受けてもよい。
本形態はマルチビューディスプレイ技術に関する。旧来、特開2008−527440号公報・特開2008−513807号公報・特開2008−164702号公報のようなマルチビューディスプレイ技術が知られている。これらでは視差バリアや光学系等を用いて、1つのディスプレイ上で複数の画像や動画を表示することができるが、それぞれの表示の視野角が狭く、例えば観察者が略真横に近いような側方から見ると表示がほとんど見えないという問題があった。本実施形態ではこのような問題を解決し、画面への法線と視線とのなす角度が75°以上90°未満といったきわめて深い角度から観察者が見た場合にも表示が見えるディスプレイを提供可能である。また、ディスプレイモジュールDの視野角が充分に広ければ、ディスプレイモジュールDの高さhや複数のディスプレイモジュールDの間隔の変更によって、表示が見える範囲が、正面近くまで拡張されたり、逆に側方のみに限られたりといった調整も可能である。本実施形態は、例えば、街中において通行人が店先に設置されたディスプレイ7の前を通過する時、遠くからディスプレイ7の正面に向かって歩いてくる途上ではディスプレイ7の表示内容が見え、ディスプレイ7の正面では店の中が見え、ディスプレイ7の正面を通り過ぎて振り返ると再度ディスプレイ7の表示が見える、という効果を奏する。
ディスプレイ7を製造するディスプレイ製造装置20は、図22のように管理部21・組立部22・配線部23・固定部24・仕上げ部25・検査部26を具える。ディスプレイ7を製造するディスプレイ製造方法は、図23のように管理工程S21・組立工程S22・配線工程S23・固定工程S24・仕上げ工程S25・検査工程S26よりなる。管理部21はディスプレイ7の部品配置や作業手順等を記述した指示データ6を取得し、それに基づきディスプレイ製造装置20の各部を制御する(S21)。組立部22はディスプレイモジュールDや基底材等の材料2を取得し、管理部21の制御に従ってディスプレイモジュールD等の配置を行う(S22)。配線部23は管理部21の制御に従って各種配線を行う(S23)。固定部24は管理部21の制御に従ってディスプレイモジュールD等の間に樹脂を充填して基材部Mとする等動作し、ディスプレイ7の構造を形成する(S24)。仕上げ部25はディスプレイ7の表面の研磨等を行い完成品とするが、さらに別の部品を追加してディスプレイ集合体8としてもよい(S25)。検査部26は完成品の動作確認等を行う(S26)。各部は別の工程部を含んでもよく、各部の動作順が変更されてもよい。
第1から第3の実施形態に記載の構成・効果・変形例等の一部は、本実施形態にもあてはまる。例えば、ディスプレイ製造装置20は、ディスプレイ7の裏面に大型のディスプレイモジュールD1を装着し、正面と斜め方向とで互いに異なる動画等を表示可能な、図21dのようなディスプレイ集合体8を製造してもよい。ディスプレイ7とディスプレイモジュールD1とは固定されずに設置されてもよい。ディスプレイ集合体8では、基材部Mの代わりに、ディスプレイモジュールD1に複数のディスプレイモジュールDが直接固定されてもよい。また、ディスプレイモジュールDが不透明であれば、異方性透過効果が得られるだけでなく、異方性カラーリング効果に相当する効果が得られ、これを本明細書では異方性表示効果と記載する。さらにまた、ディスプレイ7の一部の方向が図14aのように他と異なることで、例えば視点V12から見た場合にディスプレイモジュールDが見える部分領域と見えない部分領域が存在し、これらにより、ディスプレイの表示内容とは別にロゴ等が表示されてもよい。複数のディスプレイモジュールDの互いに異なる複数の方向のなす角度が図11のように90°又は72〜108°であれば、この効果がより向上する。
本形態が提供する1態様は、複数のディスプレイモジュールを有するディスプレイであって、該ディスプレイの少なくとも一部において該複数のディスプレイモジュールの表示面の方向が該ディスプレイの表面と平行でないディスプレイである。前記複数のディスプレイモジュールの少なくとも一部が互いに平行でもよく、前記複数のディスプレイモジュールの少なくとも一部が前記表面となす角度が一定でもよく、前記ディスプレイの少なくとも一部が透過性を有してもよく、前記ディスプレイのうち前記複数のディスプレイモジュール以外の部分の少なくとも一部が透過性を有してもよい。前記複数のディスプレイモジュールの方向が複数でもよく、前記ディスプレイにおける複数の部分領域ごとに前記複数の方向が異なってもよく、前記複数の部分領域が画像に基づいてもよく、画像に基づいて調整されてもよい。また、前記複数のディスプレイモジュールが1つの画像又は映像を複数に分けてそれぞれを表示してもよい。本形態が提供する別の態様は、前記ディスプレイの表面と異なる側に前記複数のディスプレイモジュールと平行ではないディスプレイモジュールを具えるディスプレイ集合体である。さらに別の態様は、複数のディスプレイモジュールを含む材料から、複数のディスプレイモジュールを有するディスプレイであって、該ディスプレイの少なくとも一部において該複数のディスプレイモジュールの表示面の方向が該ディスプレイの表面と平行でないディスプレイを製造する組立部を具えるディスプレイ製造装置である。
本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
以上説明したように、本発明により、見る方向や光線の方向が異なることで色・明るさ・絵柄が変化して見えるという、これまでにない装飾効果を奏する造形物を提供することができる。
これにより、例えば看板・社名表示板・表札・案内板・掲示板・銘板等の各種サインに社名・人名や企業ロゴ等を表示する場合に、斬新な視覚的効果を付与することができる。また、そのような各種サインに写真画像を用いる場合や、記念品や贈り物等の写真加工品に、全く新しい意匠性を加えることもできる。装飾物・店舗等のガラス面の装飾・広告表示板・オブジェへの応用も可能である。風景が見えるエレベータの外装等に採用すれば斬新な効果を発揮する。本発明は他にも、商品のブランドロゴ、自動車のエンブレム、ステンドグラスとしての使用等、様々な分野に利用可能である。
10 造形物製造装置
11 画像取得部
12 画像処理部
13 材料取得部
14 加工部
15 仕上げ部
20 ディスプレイ製造装置
21 管理部
22 組立部
23 配線部
24 固定部
25 仕上げ部
26 検査部
1 画像
2 材料
3 造形物
4 造形物展示体
5 造形物照明設備
6 指示データ
7 ディスプレイ
8 ディスプレイ集合体
B 底面部
CG 溝部色
D ディスプレイモジュール
de 溝部の深さ
di 溝部の幅方向の中心どうしの間隔
F、F1、F2、F3、F4、F5、F6 溝側面
Fi 充填部
G、G1、G2、G3、G4 溝部
I 照明器具
M 基材部
R 裏面部
S、S1 表面部
V1、V2、V3、V4、V5〜V15 観察者・視点
本発明の1つの態様は、複数の溝部を有する造形物であって、該造形物の少なくとも一部において、前記複数の溝部以外の部分が透過性を有し、前記複数の溝部以外の部分が透過性を有する前記造形物の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくとも一方であり、前記複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくとも一方である前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有し、前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有する前記造形物の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行かつ一定ピッチであり、前記互いに平行かつ一定ピッチである前記複数の溝部の少なくとも一部の溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きいことを特徴とする造形物である。
前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい前記複数の溝部の少なくとも一部が楔状でもよく、さらに前記造形物の少なくとも一部において、前記楔状の複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分の幅が、前記楔状の複数の溝部の少なくとも一部の幅以上でもよく、前記楔状の複数の溝部の少なくとも一部が前記複数の部分それぞれの少なくとも一部と直交し、前記楔状の複数の溝部の少なくとも一部と直交する前記複数の部分それぞれの少なくとも一部の幅が、該幅を前記楔状の複数の溝部の少なくとも一部のピッチから減じた幅以上でもよく、前記楔状の複数の溝部の少なくとも一部が前記複数の部分それぞれの少なくとも一部と直交し、前記楔状の複数の溝部の少なくとも一部が前記複数の部分それぞれの少なくとも一部と直交する前記造形物の少なくとも一部における前記複数の溝部以外の部分の屈折率をnとすると、前記楔状の複数の溝部の少なくとも一部それぞれの対向する側面どうしのなす角度の絶対値が0以上2arcsin(1/n)未満でもよい。また、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい前記複数の溝部の少なくとも一部が不透明でもよく、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい前記複数の溝部の少なくとも一部が、該複数の溝部の少なくとも一部の間の部分を含む前記複数の溝部以外の部分の少なくとも一部とは色が異なる充填部を有してもよく、前記複数の溝部の少なくとも一部により画像・文字・ロゴ・図形・模様の少なくともいずれかを表示してもよい。また、前記造形物の少なくとも一部における前記複数の溝部以外の部分の屈折率をnとすると、前記複数の溝部以外の部分の屈折率がnである前記造形物の少なくとも一部における前記複数の溝部の少なくとも一部の少なくとも一方の側面が該側面に隣接する前記複数の部分それぞれの少なくとも一部に対する法線となす角度の絶対値が0以上arcsin(1/n)未満でもよい
前記複数の溝部の少なくとも一部の側面が該側面に隣接する前記複数の部分それぞれの少なくとも一部に対する法線となす角度又は前記複数の溝部の少なくとも一部の方向の少なくとも一方が前記造形物と該造形物を観察する観察者の想定される視点との関係に応じて調整されてもよい。また、前記複数の溝部の一部が開口する面とは異なる面に前記複数の溝部の別の一部が開口てもよく、前記複数の溝部の少なくとも一部が該複数の溝部の少なくとも一部の深さの方向において複数の色を有し、該複数の色が前記深さの1/2から全体にかけての範囲で連続的に変化してもよい。
本発明の別の態様は、前記造形物が複数であり、該複数の造形物がそれぞれの前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに重なって観察されるように組み合わされ、前記複数の造形物の互いの位置関係が可変である造形物展示体である。
本発明の別の態様は、前記造形物又は造形物展示体と前記造形物又は前記造形物展示体に照明光を照射する照明器具とを具える造形物照明設備であって、前記複数の部分それぞれの少なくとも一部又は該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面の少なくとも一方への、各々に正面から入射する光の入射角を0°とした場合の前記照明光の入射角の絶対値が90°未満であることを特徴とする造形物照明設備である。本発明の別の態様は、前記造形物又は造形物展示体と前記造形物又は前記造形物展示体に照明光を照射する照明器具とを具える造形物照明設備であって、前記造形物又は前記造形物展示体を観察する観察者の想定される視点において、前記照明光を前記造形物又は前記造形物展示体が反射した光を前記観察者が観察できるような位置に前記造形物又は前記造形物展示体及び前記照明器具が設置されたことを特徴とする造形物照明設備である。前記照明器具から前記造形物への照明光の入射角が出射可能入射角の範囲でもよく、前記照明器具が複数であり、該複数の照明器具からの複数の照射方向が同一の平面に含まれてもよく、前記複数の照明器具の色が複数でもよい。
本発明の別の態様は、画像を取得する画像取得部と、前記画像に基づき材料を加工し、複数の溝部を有する造形物であって、該造形物の少なくとも一部において前記複数の溝部以外の部分が透過性を有し、前記複数の溝部以外の部分が透過性を有する前記造形物の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくとも一方であり、前記複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくとも一方である前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有し、前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有する前記造形物の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行かつ一定ピッチであり、前記互いに平行かつ一定ピッチである前記複数の溝部の少なくとも一部の溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい造形物を製造する加工部とを具えることを特徴とする造形物製造装置である。
本発明の別の態様は、画像を取得する画像取得工程と、前記画像に基づき材料を加工し、複数の溝部を有する造形物であって、該造形物の少なくとも一部において前記複数の溝部以外の部分が透過性を有し、前記複数の溝部以外の部分が透過性を有する前記造形物の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくとも一方であり、前記複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくとも一方である前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有し、前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有する前記造形物の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行かつ一定ピッチであり、前記互いに平行かつ一定ピッチである前記複数の溝部の少なくとも一部の溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい造形物を製造する加工工程とを具えることを特徴とする造形物製造方法である。
前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい前記複数の溝部の少なくとも一部が楔状でもよく、さらに前記造形物の少なくとも一部において、前記楔状である前記複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分の幅が、前記楔状である前記複数の溝部の少なくとも一部の幅以上でもよく、前記楔状である前記複数の溝部の少なくとも一部が前記複数の部分それぞれの少なくとも一部と直交し、前記楔状である前記複数の溝部の少なくとも一部と直交する前記複数の部分それぞれの少なくとも一部の幅が、該幅を前記楔状である前記複数の溝部の少なくとも一部のピッチから減じた幅以上でもよく、前記楔状である前記複数の溝部の少なくとも一部が前記複数の部分それぞれの少なくとも一部と直交し、前記楔状である前記複数の溝部の少なくとも一部が前記複数の部分それぞれの少なくとも一部と直交する前記造形物の少なくとも一部における前記複数の溝部以外の部分の屈折率をnとすると、前記楔状である前記複数の溝部の少なくとも一部それぞれの対向する側面どうしのなす角度の絶対値が0以上2arcsin(1/n)未満でもよい。また、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい前記複数の溝部の少なくとも一部が不透明でもよく、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい前記複数の溝部の少なくとも一部が、該複数の溝部の少なくとも一部の間の部分を含む前記複数の溝部以外の部分の少なくとも一部とは色が異なる充填部を有してもよく、前記複数の溝部の少なくとも一部により画像・文字・ロゴ・図形・模様の少なくともいずれかを表示してもよい。また、前記複数の溝部以外の部分が透過性を有する前記造形物の少なくとも一部における前記複数の溝部以外の部分の屈折率をnとすると、前記複数の溝部以外の部分の屈折率がnである前記造形物の少なくとも一部における前記複数の溝部の少なくとも一部の側面が該側面に隣接する前記複数の部分それぞれの少なくとも一部に対する法線となす角度の絶対値が0以上arcsin(1/n)未満でもよい
前記複数の溝部の少なくとも一部の側面が該側面に隣接する前記複数の部分それぞれの少なくとも一部に対する法線となす角度又は前記複数の溝部の少なくとも一部の方向の少なくとも一方が前記造形物と該造形物を観察する観察者の想定される視点との関係に応じて調整されてもよい。また、前記複数の溝部の一部が開口する面とは異なる面に前記複数の溝部の別の一部が開口てもよく、前記複数の溝部の少なくとも一部が該複数の溝部の少なくとも一部の深さの方向において複数の色を有し、該複数の色が前記深さの1/2から全体にかけての範囲で連続的に変化してもよく、前記複数の溝部以外の部分が透過性を有する前記造形物の少なくとも一部において、前記複数の溝部以外の部分の全光線透過率が80%以上でもよい。
本発明の別の態様は、前記造形物又は造形物展示体と前記造形物又は前記造形物展示体に照明光を照射する照明器具とを具える造形物照明設備であって、前記複数の部分それぞれの少なくとも一部又は該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面の少なくとも一方への、各々に正面から入射する光の入射角を0°とした場合の前記照明光の入射角の絶対値が90°未満であることを特徴とする造形物照明設備である。前記造形物又は前記造形物展示体に対する前記照明光の照射方向が出射可能入射角の範囲内でもよく、前記照明光の照射方向が複数であり、該複数の照射方向が同一の平面に含まれてもよく、前記複数の照射方向の照明光の色が複数でもよく、前記複数の溝部の方向が複数であり、前記照明光の照射方向及び色が複数であり、前記照射方向が互いに異なる前記照明光は色が互いに異なり、前記複数の溝部の前記複数の方向の少なくとも一部と前記複数の照射方向の少なくとも一部とが互いに平行でもよい。本発明の別の態様は、前記造形物又は造形物展示体と前記造形物又は前記造形物展示体に照明光を照射する照明器具とを具える造形物照明設備であって、前記造形物又は前記造形物展示体を観察する観察者の想定される視点において、前記照明光を前記造形物又は前記造形物展示体が反射した光を前記観察者が観察できるような位置に前記造形物又は前記造形物展示体及び前記照明器具が設置されたことを特徴とする造形物照明設備である。
本発明は、装飾体並びにその装飾体を製造する装飾体製造装置及び装飾体製造方法に関する。
本発明の1つの態様は、複数の溝部と、該複数の溝部の少なくとも一部が互いに重ならずにかつそれぞれの両端を含めて観察可能な第1の表面と、該第1の表面の少なくとも一部と対向する第2の表面と、前記複数の溝部のうち互いに隣り合う複数の溝部にそれぞれ挟まれた複数の間の部分と、該複数の間の部分の各々と前記複数の溝部の各々とが接する複数の側面と、を有する装飾体であって、前記複数の溝部の少なくとも一部を有する前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが、互いに平行であるかそれぞれ同一の平面に含まれるかの少なくとも一方であり、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行であるかそれぞれ同一の平面に含まれるかの少なくとも一方である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行であり、前記互いに平行である前記複数の溝部の少なくとも一部の幅方向の中心どうしの間隔が一定であり、前記間隔が一定である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部以外の部分の屈折率をnとすると、前記複数の溝部の少なくとも一部のうち任意の溝部・該任意の溝部に隣接する前記間の部分・該間の部分に前記任意の溝部が接する第1の側面・該第1の側面に前記間の部分を挟んで向かい合う第2の側面に関し、前記任意の溝部の深さが、前記第2の側面における前記第1の表面の少なくとも一部に最も近い部分内の第1の点と、前記第1の側面における前記第1の点に最も近い第2の点及び前記第1の点を通り前記第1の表面の少なくとも一部に垂直な平面と前記第1の側面との交線上の前記第2の表面の少なくとも一部に最も近い第3の点から前記第1の表面の少なくとも一部に下ろした垂線又は法線を含む直線との最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きく、前記任意の溝部の深さが前記最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きい前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の間の部分の最小の幅が前記複数の溝部の少なくとも一部の最大の幅以上であり、前記最小の幅が前記最大の幅以上である前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が、一方の側から他方を、一方及び前記複数の間の部分を透過して互いに観察可能であることを特徴とする装飾体である。
また、複数の溝部と、該複数の溝部の少なくとも一部が互いに重ならずにかつそれぞれの両端を含めて観察者から観察可能な第1の表面と、該第1の表面の少なくとも一部と対向する第2の表面と、前記複数の溝部のうち互いに隣り合う複数の溝部にそれぞれ挟まれた複数の間の部分と、該複数の間の部分の各々と前記複数の溝部の各々とが接する複数の側面と、を有する装飾体であって、前記複数の溝部の少なくとも一部を有する前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが、互いに平行であるかそれぞれ同一の平面に含まれるかの少なくとも一方であり、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行であるかそれぞれ同一の平面に含まれるかの少なくとも一方である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行であり、前記互いに平行である前記複数の溝部の少なくとも一部の幅方向の中心どうしの間隔が一定であり、前記間隔が一定である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部以外の部分の屈折率をnとすると、前記複数の溝部の少なくとも一部のうち任意の溝部・該任意の溝部に隣接する前記間の部分・該間の部分に前記任意の溝部が接する第1の側面・該第1の側面に前記間の部分を挟んで向かい合う第2の側面に関し、前記任意の溝部の深さが、前記第2の側面における前記第1の表面の少なくとも一部に最も近い部分内の第1の点と、前記第1の側面における前記第1の点に最も近い第2の点及び前記第1の点を通り前記第1の表面の少なくとも一部に垂直な平面と前記第1の側面との交線上の前記第2の表面の少なくとも一部に最も近い第3の点から前記第1の表面の少なくとも一部に下ろした垂線又は法線を含む直線との最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きく、前記任意の溝部の深さが前記最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きい前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の間の部分の最小の幅が前記複数の溝部の少なくとも一部の最大の幅以上であり、前記最小の幅が前記最大の幅以上である前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が、一方の側に位置する観察者から他方を、一方及び前記複数の間の部分を透過して互いに観察可能であり、かつ、観察者が前記装飾体を観察する際の前記第1の表面の少なくとも一部に対する前記観察者の視線方向に応じて、前記装飾体に対する前記観察者の反対側が、前記第1の表面の少なくとも一部・前記間の部分及び前記第2の表面の少なくとも一部を通して観察可能であり、又は前記複数の溝部の少なくとも一部が互いにつながって観察可能であることを特徴とする装飾体である。
また、複数の溝部と、該複数の溝部の少なくとも一部が互いに重ならずにかつそれぞれの両端を含めて観察可能な第1の表面と、該第1の表面の少なくとも一部と対向する第2の表面と、前記複数の溝部のうち互いに隣り合う複数の溝部にそれぞれ挟まれた複数の間の部分と、を有する装飾体であって、前記複数の溝部の少なくとも一部を有する前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが、互いに平行であるかそれぞれ同一の平面に含まれるかの少なくとも一方であり、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行であるかそれぞれ同一の平面に含まれるかの少なくとも一方である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行であり、前記互いに平行である前記複数の溝部の少なくとも一部の幅方向の中心どうしの間隔が一定であり、前記間隔が一定である前記装飾体の少なくとも一部において、溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の間の部分の最小の幅が前記複数の溝部の少なくとも一部の最大の幅以上であり、前記最小の幅が前記最大の幅以上である前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が、一方の側から他方を、一方及び前記複数の間の部分を透過して互いに観察可能であることを特徴とする装飾体である。
また、複数の溝部と、該複数の溝部の少なくとも一部が互いに重ならずにかつそれぞれの両端を含めて観察者から観察可能な第1の表面と、該第1の表面の少なくとも一部と対向する第2の表面と、前記複数の溝部のうち互いに隣り合う複数の溝部にそれぞれ挟まれた複数の間の部分と、を有する装飾体であって、前記複数の溝部の少なくとも一部を有する前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが、互いに平行であるかそれぞれ同一の平面に含まれるかの少なくとも一方であり、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行であるかそれぞれ同一の平面に含まれるかの少なくとも一方である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行かつ一定ピッチであり、前記互いに平行かつ一定ピッチである前記複数の溝部の少なくとも一部が楔状であり、かつ該楔状の複数の溝部それぞれの両側の側面のなす角度の小さい側が0°より大きく10°以下であり、前記楔状でありかつ前記両側の側面のなす角度の小さい側が0°より大きく10°以下である前記装飾体の少なくとも一部において、溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の間の部分の最小の幅が前記複数の溝部の少なくとも一部の最大の幅以上であり、前記最小の幅が前記最大の幅以上である前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が、一方の側に位置する観察者から他方を、一方及び前記複数の間の部分を透過して互いに観察可能であり、かつ、観察者が前記装飾体を観察する際の前記第1の表面の少なくとも一部に対する前記観察者の視線方向に応じて、前記装飾体に対する前記観察者の反対側が、前記第1の表面の少なくとも一部・前記複数の間の部分及び前記第2の表面の少なくとも一部を通して観察可能であり、又は前記複数の溝部の少なくとも一部が互いにつながって観察可能であることを特徴とする装飾体である。
また、複数の溝部を有する装飾体であって、前記複数の溝部の少なくとも一部を有する前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部以外の部分が透過性を有し、前記複数の溝部以外の部分が透過性を有する前記造形物の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくとも一方であり、前記複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか前記複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくとも一方である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行かつ一定ピッチであり、前記互いに平行かつ一定ピッチである前記複数の溝部の少なくとも一部が楔状であり、かつ該楔状の複数の溝部それぞれの両側の側面のなす角度の小さい側が0°より大きく10°以下であり、前記複数の溝部の少なくとも一部が楔状でありかつ前記両側の側面のなす角度の小さい側が0°より大きく10°以下である前記飾体の少なくとも一部において、溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい前記装飾体の少なくとも一部において、互いに隣り合う複数の溝部の間の部分の最小の幅が前記複数の溝部の少なくとも一部の最大の幅の5倍以上であり、前記最小の幅が前記最大の幅の5倍以上である前記複数の溝部の少なくとも一部により画像・文字・ロゴ・図形・模様・断面図の少なくともいずれかの少なくとも一部を表示し、前記画像・文字・ロゴ・図形・模様・断面図の少なくともいずれかの少なくとも一部を表示する前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の部分それぞれの少なくとも一部・前記向かい合う面の少なくとも一部及びそれらに挟まれた前記間の部分が透過性を有し、かつ、観察者が前記装飾体を観察する際の前記複数の部分それぞれの少なくとも一部又は前記向かい合う面の少なくとも一部に対する前記観察者の視線方向に応じて、前記装飾体に対する前記観察者の反対側が、前記複数の部分それぞれの少なくとも一部・前記間の部分及び前記向かい合う面の少なくとも一部を通して観察可能であり、又は前記複数の溝部の少なくとも一部が互いにつながって観察可能であることを特徴とする装飾体である。
前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が前記互いに観察可能である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が楔状であり、かつ該楔状の前記複数の溝部それぞれの両側の前記側面のなす角度の小さい側が0°より大きく10°以下でもよく、前記第1の表面の少なくとも一部又は前記第2の表面の少なくとも一部の少なくとも一方が平面でもよい。
前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が前記互いに観察可能である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部の各々の全体が前記装飾体の表面に露出していなくてもよく、前記複数の溝部の少なくとも一部が前記第1の表面の少なくとも一部又は前記第2の表面の少なくとも一部の少なくとも一方と互いに垂直でもよい。
前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が前記互いに観察可能である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部以外の部分の全光線透過率が80%以上でもよく、前記複数の溝部の一部が前記装飾体の表面の少なくとも一部に露出してもよい。
前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が前記互いに観察可能である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の間の部分の最小の幅が前記複数の溝部の少なくとも一部の最大の幅の5倍以上でもよく、前記複数の溝部の少なくとも一部により画像・文字・ロゴ・図形・模様・断面図の少なくともいずれかの少なくとも一部を表示してもよい。
本発明の別の態様は、画像を取得する画像取得部と、前記画像に基づき材料を加工し、複数の溝部と、該複数の溝部の少なくとも一部が互いに重ならずにかつそれぞれの両端を含めて観察可能な第1の表面と、該第1の表面の少なくとも一部と対向する第2の表面と、前記複数の溝部のうち互いに隣り合う複数の溝部にそれぞれ挟まれた複数の間の部分と、該複数の間の部分の各々と前記複数の溝部の各々とが接する複数の側面と、を有する装飾体であって、前記複数の溝部の少なくとも一部を有する前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが、互いに平行であるかそれぞれ同一の平面に含まれるかの少なくとも一方であり、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行であるかそれぞれ同一の平面に含まれるかの少なくとも一方である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行であり、前記互いに平行である前記複数の溝部の少なくとも一部の幅方向の中心どうしの間隔が一定であり、前記間隔が一定である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部以外の部分の屈折率をnとすると、前記複数の溝部の少なくとも一部のうち任意の溝部・該任意の溝部に隣接する前記間の部分・該間の部分に前記任意の溝部が接する第1の側面・該第1の側面に前記間の部分を挟んで向かい合う第2の側面に関し、前記任意の溝部の深さが、前記第2の側面における前記第1の表面の少なくとも一部に最も近い部分内の第1の点と、前記第1の側面における前記第1の点に最も近い第2の点及び前記第1の点を通り前記第1の表面の少なくとも一部に垂直な平面と前記第1の側面との交線上の前記第2の表面の少なくとも一部に最も近い第3の点から前記第1の表面の少なくとも一部に下ろした垂線又は法線を含む直線との最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きく、前記任意の溝部の深さが前記最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きい前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の間の部分の最小の幅が前記複数の溝部の少なくとも一部の最大の幅以上であり、前記最小の幅が前記最大の幅以上である前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が、一方の側から他方を、一方及び前記複数の間の部分を透過して互いに観察可能であることを特徴とする装飾体を製造する加工部とを具えることを特徴とする造形物製造装置である。
本発明の別の態様は、画像を取得する画像取得工程と、前記画像に基づき材料を加工し、複数の溝部と、該複数の溝部の少なくとも一部が互いに重ならずにかつそれぞれの両端を含めて観察可能な第1の表面と、該第1の表面の少なくとも一部と対向する第2の表面と、前記複数の溝部のうち互いに隣り合う複数の溝部にそれぞれ挟まれた複数の間の部分と、該複数の間の部分の各々と前記複数の溝部の各々とが接する複数の側面と、を有する装飾体であって、前記複数の溝部の少なくとも一部を有する前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが、互いに平行であるかそれぞれ同一の平面に含まれるかの少なくとも一方であり、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行であるかそれぞれ同一の平面に含まれるかの少なくとも一方である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行であり、前記互いに平行である前記複数の溝部の少なくとも一部の幅方向の中心どうしの間隔が一定であり、前記間隔が一定である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部以外の部分の屈折率をnとすると、前記複数の溝部の少なくとも一部のうち任意の溝部・該任意の溝部に隣接する前記間の部分・該間の部分に前記任意の溝部が接する第1の側面・該第1の側面に前記間の部分を挟んで向かい合う第2の側面に関し、前記任意の溝部の深さが、前記第2の側面における前記第1の表面の少なくとも一部に最も近い部分内の第1の点と、前記第1の側面における前記第1の点に最も近い第2の点及び前記第1の点を通り前記第1の表面の少なくとも一部に垂直な平面と前記第1の側面との交線上の前記第2の表面の少なくとも一部に最も近い第3の点から前記第1の表面の少なくとも一部に下ろした垂線又は法線を含む直線との最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きく、前記任意の溝部の深さが前記最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きい前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の間の部分の最小の幅が前記複数の溝部の少なくとも一部の最大の幅以上であり、前記最小の幅が前記最大の幅以上である前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が、一方の側から他方を、一方及び前記複数の間の部分を透過して互いに観察可能であることを特徴とする装飾体を製造する加工工程とを具えることを特徴とする造形物製造方法である。
図7は万線状の画像1に基づく溝部Gの溝方向に直交する断面の図である。造形物3の溝部G以外の部分である基材部Mに透過性がある場合、溝部Gが深いほど溝部色CGが連続して見える視点の範囲が広くなり、異方性カラーリング効果が向上する。図7において、深さがdeで、表面部Sと直交し、隣接する溝部Gとの幅方向の中心どうしの間隔di及び溝部Gの幅wが一定で、溝側面Fが平面で、底面部Bの幅weが0で、互いに平行な複数の溝部Gを、充分な距離を隔てた観察者V6が溝方向に表面部S上で直交する方向から観察する場合を考える。基材部Mの屈折率をn、空気の屈折率を1とすると、表面部Sに対する垂線又は法線と視線のなす角度(以下視線角度と記載)すなわち基材部Mへの入射角θVと、基材部M中の屈折角θrとの関係は、スネルの法則より1・sinθV=n・sinθrであるから、溝部Gの屈折像の表面部Sにおける見かけの深さdehは
Figure 2019025860
ここで、複数の溝部Gが隙間なくつながって見えるためには、dehがdi−w/2以上であればよく、
Figure 2019025860
となり、この時のde/(di−w/2)は、
Figure 2019025860
であり、de/(di−w/2)を本明細書では溝部深間隔率と記載する。溝部深間隔率が大きいほど所期の効果が高い。ソーダガラス等の一般的なガラスの屈折率は、波長にもよるが1.5前後、樹脂の屈折率は、PCで1.6、PMMAで1.49、PVCで1.54前後であるから、n=1.5とし、θV=45°とすれば、数3より溝部深間隔率が1.87083…以上であればよい。つまり、深さdeが間隔diから幅wの半分を減じた値の1.87倍以上であれば、表面方向において溝側面Fと視線が直交する場合に、視線角度が45°以上で、複数の溝側面Fが連続して見えることで、その部分の略全域が溝部色CGに見える。これは、その部分の基材部Mがそれのみでは見えず、必ず溝部Gを通して見えているということでもある。さらに視線角度θVが60°なら、溝部深間隔率が21/2以上で、造形物3に対してとりうる視線角度の範囲180°の1/3において、当該部分の一面が溝部色CGに見える。なお、we>0の場合には、溝部深間隔率はde/(di−w/2−we/2)である。
また、溝部Gが隙間なくつながって見えるための最小の溝部深間隔率は、θV=90°の場合で、cot[arcsin(1/n)]である。造形物3の基材部Mの屈折率に応じて一意に定まるこの値を最小溝部深間隔率と記載する。n=1.5なら1.1180…である。ただしθV=90では実際には溝部Gは表面からは見えないので、ある部分が一面溝部色CGに見えるためには、溝部Gの深さは隣接する溝部Gとの幅方向の中心どうしの間隔から幅wの半分を減じた値と最小溝部深間隔率との積より大きくなければならない。
出願時点で加工可能な造形物3における最大の溝部深間隔率は、深さdeが28mm、幅wが0.2mm、間隔diが0.8mmであるから40であり、これが溝部深間隔率の上限である。ただし、今後の材料の改良や製造技術の向上等により、この上限値は改善される可能性がある。本発明の技術的範囲は出願時に実施可能な範囲に限定されないのであり、後述の溝部間隔率・溝部狭長率の下限等においても同様に変更の可能性があるか、同じ理由から各種条件の上限又は下限が明示されないことがある。
なお、図7の造形物3外の2本の一点鎖線は同一視点V6からの視線を示し、実際の視点V6は図7に示すより遠方にあるので、各溝部Gに向かう視線は実用上略平行である。また、溝部Gが表面部Sに直交しない場合にも、見る方向によっては、同じ溝部深間隔率が適用できる。表面部S等に反射防止のためのコーティングやフィルム等の層が加工されている場合には、その部分の屈折率が基材部Mとは異なるが、その層の厚さが0.2mm程度以下で無色・平滑・高透過率・低ヘーズなら光路にはほとんど影響を与えないので、無視してよい。以下の記載でも同様である。
造形物3が透過性を有する基材部Mによってなる場合、要求される異方性視覚効果はその用途次第で様々である。例えば店舗のショウウインドウに造形物3が使用され、正面のごく狭い範囲からのみ店内が見えて、それ以外の広い範囲からはブランドロゴが見えることが望ましい場合には、溝部深間隔率が大きく溝部狭長率が小さい方がよい。後述するエレベータの外装用で、広い範囲で外の景色が見え、昇降につれて時おり異方性視覚効果が発現することが求められる場合には、逆に溝部深間隔率が小さく溝部狭長率が大きい方がよい。いずれの場合にも、溝部幅間隔率が小さい方が正面から見た場合の透過率が上がるが、溝部間隔率が大きければ異方性視覚効果は低下し、例えば正面から見た時にも、斜めから見た時ほどではないものの溝部Gが見える。表札や装身具等ではこれが好まれることもありうる。ただし、異方性視覚効果が発揮されるためには、造形物3の反対側が少なくとも溝部Gと同じ量見える必要がある。また、加工部14が溝部楔角θGが10°以下の溝部Gを加工するには、溝部Gの間は幅wと少なくとも同じだけ離れている必要があり、また強度上も溝部Gのピッチはdi≧2wの必要がある。よって溝部幅間隔率は1/2以下でなければならない。造形物製造装置10は、そのような造形物3の使用条件に応じて、溝部Gの幅・深さ・ピッチ・表面部Sとなす角度の関係を調整し、さらに断面形状・正面から見た場合の形状・方向・色・各部での位相・面粗さも併せて調整し、目的に適合した造形物3を製造することができる。より具体的には、画像処理部12及び加工部14は、造形物3のサイズ及び使用条件等のパラメータに応じた各種プリセット等を用いて、溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく実施可能な最大値までの範囲内で調整され、溝部幅間隔率が0以上1/2以下の範囲内で調整されることで、条件に合致した異方性視覚効果を発揮する造形物3を製造することができる。
〈異方性反射効果〉
溝側面Fが光を反射する場合、異方性視覚効果の一種である異方性反射効果がさらに得られる。つまり、光が当たる角度や見る方向の差により各部で輝き具合が変化し、より意匠性が向上する。その反射は乱反射に近くてもよいが、正反射に近い方が効果が高い。よって研磨・塗装等により溝側面Fの反射率が改善されてもよい。この異方性反射効果は溝部色CGが無色透明でも得られるので、図4のような溝部Gが特に着色されず、基材部Mと同じ色又は略同じ色でもよい。溝側面Fが反射を起こすためには、それが界面である必要がある。溝部Gは充填部Fiのない空隙か、充填部Fiがあれば基材部Mと屈折率が大きく異なれば反射が起きやすい。つまり溝部Gの屈折率及び透過率により、透明度・反射効果・明度・コントラスト・遮蔽効果等が変化する。溝部Gは溝状でなくともよく、透明樹脂板やガラス板の内部にレーザ加工等で形成されたクラック・微小な破壊面等でもよい。溝部Gの一部に凹凸があればさらに細かく光って見える。溝部Gが万線に基づいていれば、複数の溝側面F間や表面部S及び裏面部Rと複雑に反射しあうことで、造形物3各部に多様な効果が発生する。
以下、溝部Gが反射を返すための条件を検討する。造形物3の表面部Sと裏面部Rとが互いに平行であり、溝部Gが表面部Sと直交し、充填部Fiがないものとし、材部Mの屈折率をnとする。図10は、xyz座標空間において、裏面部Rがyz平面と平行であり、溝部Gの両側の溝側面Fによってなる二面角を二等分する平面がzx平面と平行であるような造形物3の、xy平面と平行な断面の図である。x軸正方向が0°、時計回りが正の向き、矢印が光の進行方向で、光路は断面と平行である。溝部Gの上側の溝側面Fによる光の反射に着目する。
I 溝部Gの開口部の反対側から光が入射する場合(θG1≦0)
図10aにおいて、溝部楔角θG1・基材部Mへの光の入射角θ1・屈折角θ2・溝側面Fへの入射角θ3・反射角θ4・空気との界面への入射角θ5・出射角θ6の関係は、sinθ1=n・sinθ2、θ2−θ3+90−θG1/2=180、−θ3=θ4、θ4−θ5+90+θG1/2=180、n・sinθ5=sinθ6であるから、次の式が導かれる。
Figure 2019025860
(1)−2arcsin(1/n)<θG1≦0の場合(図10a・b)
光が上側の溝側面Fに反射するためにはθ2≧θG1/2、出射光が光源と反対側の観察者に見えるためにはθ6>−90であるから、観察者に反射が見えるθ1の範囲は
Figure 2019025860
となり、θG1が大きいほどθ1の範囲は溝側面Fの下側で広がり、上側で狭まることがわかる。θ1が数5の範囲を上回ればθ5≧arcsin(1/n)となり臨界角を超えるのでθ6の出射は起こらず基材部M内での全反射となり、観察者からは溝側面Fの反射が直接には見えない。θ1が数5の範囲を下回れば上側の溝側面Fにθ2の屈折角の光が届かない。またθ6のとりうる範囲は
Figure 2019025860
である。例えばn=1.5、θG1=−10であれば、−7,512…≦θ1<52.248…、−90<θ6≦−7,512…となり、光源(図示しない)からのある溝側面Fに対する入射光θ1がθ1>52.248となる位置に光源が置かれると、その溝側面Fには反射が見えない。また45≦θ1≦52といった範囲の時、θ6が水平方向に近ければ、視線が造形物3に正対する部分周辺では反射がほとんど見えず、後述のように奥の景色がよく見え、θ6が水平方向から遠ければ、視線方向と入射角が正面衝突に近い状態にならず、反射部分と光源が観察者の視野内で重なることが少ない。θG1=−3であれば、−2.250…≦θ1<70,071…、−90<θ6≦−2.250…という広い範囲から観察者が異方性反射効果を観察できる。特に造形物3が比較的周辺部から見られる時に反射が見える必要がある用途には有用である。観察者(図示しない)はθ6の反対の方向の視線によりθ1の入射角で入射した光の反射を観察することができる。
図10bのように、θG1が大きいほど全反射する範囲が広がり、外から反射を観察可能な範囲が狭くなる。数6の範囲の入射光は観察者に見えるが、その範囲は図10aより狭く、図10bの点線前後のわずか数度である。この条件では、観察者から見た光源と反射する部分の方向が正面衝突に近いために見づらい。また、反射面の溝側面Fが視線に対して平行に近い側に傾斜しているため溝側面Fが狭く見え、しかも溝側面Fへの入射角が大きいため反射光が暗く不鮮明である。
(2)2arcsin(1/n)−180<θG1≦−2arcsin(1/n)の場合(図10c)
溝側面Fからの反射光のすべてで空気との界面への入射角が臨界角を超え、基材部Mの内部で全反射を繰り返す。反射光が別の溝側面Fに当たれば、その角度によっては外から観察できることもあるが、光量の減衰等により所期の効果が得られないことが多い。n=1.5であればθG1≦−83.349…である。
(3)−180<θG1≦2arcsin(1/n)−180の場合(図10d)
溝側面Fで反射した光が裏面部R側に向かい、空気との界面への入射角の絶対値がarcsin(1/n)未満なら光源と同じ側に反射光が見え、それ以上なら基材部Mの内部で全反射する。溝部楔角θGが大きいため、得られる異方性視覚効果は限定的である。
なお、arcsin(1/n)≧45すなわちn≦2−2の場合には、(2)がなくθG1≦−2arcsin(1/n)で(3)となる。
II 溝部Gの開口部側から光が入射する場合(θG2≧0)
図10eにおいて、溝部楔角θG2・基材部Mへの光の入射角θ7・屈折角θ8・溝側面Fへの入射角θ9・反射角θ10・空気との界面への入射角θ11・出射角θ12の関係より、同様に次の式が導かれる。
Figure 2019025860
(4)0≦θG2<2arcsin(1/n)の場合(図10e)
光源の反対側の観察者に反射が見えるθ7の範囲は
Figure 2019025860
であり、θ12のとりうる範囲は
Figure 2019025860
である。なお
Figure 2019025860
の範囲の入射光θ7は上下いずれの溝側面Fにも当たらないので、開口部側から光が入射する実施形態は水平方向の入射光には不向きである。例えばn=1.5、θG2=10であれば、7,512…≦θ7<90、−52.248…<θ12≦7,512…となる。光源(図示しない)が例えば70<θ7<90になるような外側に置かれた場合、視線方向と入射角とがぶつかることがなく、反射部分と光源とが観察者の視野内で視覚的に干渉することが少ないので好ましい。また観察者(図示しない)は造形物3の中心部の比較的近くで反射を観察できる。θG2=3であれば、2.250…≦θ7<90、−70,071…<θ12≦2.250…となり、観察者が反射を観察可能な範囲がより広がる。この場合、反射面の溝側面Fは視線に対して直交する側に傾斜しているため、上記(1)より反射面が広く見えて有利である。
加工法によっては、溝部Gの底面部Bが微細な凹凸状等に荒れていることがある。溝部Gの開口部の反対側から見る場合には、その部分が目につきやすく、その部分に当たる光の角度次第では見栄えが下がる。この点では(1)の方が好ましい。
(5)2arcsin(1/n)≦θG2<180の場合(図10f)
裏面部Rから基材部Mに入射するあらゆる方向の光が、溝側面Fで反射することなく、表面部S側へ透過する。溝部Gに直接入射した光は、溝内部で反射するなどして光源と同じ側の観察者から見えることがある。
なお、基材部M内の入射角が臨界角未満の場合には、全反射は起こらず一部の光が溝部Gの外へ出射する。図10fの溝側面Fでの反射でも一部の光は透過する。
したがって、溝側面Fの反射光が異方性反射効果を伴って見えるθGの範囲は−2arcsin(1/n)<θG<2arcsin(1/n)である。上記では溝部Gの上側の溝側面Fが表面部Sに対する垂線又は法線となす角度θFをθG=2θFとしてθG1及びθG2に代えることができる。したがって、下側の溝側面Fの角度にかかわらず、−arcsin(1/n)<θF<arcsin(1/n)で上記の関係が数10等を除いて成り立ち、溝部Gが表面部Sと直交しなくてもよい。溝部Gの方向を考慮しない、つまり角の向きを考えず角度の絶対値をとらえるならば、上記範囲は0≦θG<2arcsin(1/n)又は0≦θF<arcsin(1/n)である。下側の溝側面Fの反射についても同様に扱うことができる。加工部14は、造形物3の使用目的・使用条件・サイズ等に応じてθG又はθF及び表面と裏面のうち加工する側を変更することで、所期の効果が得られる光の入射方向及び視線方向の範囲を調整することができる。加工部14は、造形物3の各部でθG又はθFを変更してもよい。上記(1)の場合の数5の範囲の光の入射角θ1及び上記(4)の場合の数8の範囲の入射角θ7を合わせて本明細書では出射可能入射角と記載する。
光路は図10のようにxy平面と平行でなくともよい。様々な方向からの入射光による光路は、例えば図10のようなxy平面への正射影及びzx平面への正射影の組合せで記述できる。前者には数4又は数7が適用できる。後者ではθ1=θ6、θ2=θ5、θ3=θ4であり、−90°より大きく90°未満の入射角の入射光が同じ出射角で出射される。
〈変形例3〉
図14のように、造形物3の複数の溝部Gが互いに平行で、裏面部Rの一部が着色され、溝部色CGが不透明で、部分領域ごとに溝部色CGが異なれば、例えば正面からは裏面部Rによる文字が見えるが、横からは裏面部Rが溝部Gで隠れ、別の文字が複数の溝部色CGによって見える。その場合の画像1は、溝部色CGが切り替わる部分領域の境界線部分で、図15aのように処理されてもよい。図15aでは、それぞれの部分領域の万線がまっすぐに並ばず、万線ピッチの半分ずつずれることで位相が異なっている。これに基づく造形物3では、複数の溝部色CGの塗り分けを容易にでき、また境界線部のがたつきが減ってより滑らかに見える。3以上の部分領域が互いに接している箇所では、図15bの画像1のように、3の部分領域が接していれば、部分領域ごとに万線ピッチの1/3分をずらすというように、ピッチの1/(互いに接する部分領域の数)分ずらしてもよい。
〈変形例5〉
変形例1のような効果は異方性ライティング及び異方性反射によっても得られる。例えば図14aの造形物3の溝部色CGがすべて無色透明であれば、図14aの橙Oと平行に黄の照明が当たると、黄Y部分が黄に光るのをV12の観察者が観察でき、図の黄Yと平行に橙の照明が当たると、橙O部分が橙に光るのをV13の観察者が観察できる。溝部色CGは有色透明でもよく、それぞれの照明が交互に発光してもよく、両方が同時に光ってもよく、照明光の色が切り替わってもよく、周期的にそれらが反復してもよい。そのような照明器具Iが造形物3に追加又は併設されることで、造形物照明設備5となる。光が拡散光であれば黄Y部分がやや赤く、橙O部分がやや黄になり、また全体にムラなく光が行き渡る。光が平行光線であれば混色が少なくなり、光源の像が溝側面Fに見える。溝部Gが不透明で乱反射性が高ければ、溝部Gと平行に180°反対の2方向からそれぞれ別の色の光が当たっても、透明の場合と異なり光が混ざらずに、直交する溝部Gのそれぞれの側の溝側面Fに当たって見えるので、溝部Gの方向の2倍の数の光の色が使い分けられ、図16aと類似の効果が得られる。さらに、複数方向の溝部Gに異なる色の照明を照射することで、着色より容易に、別方向の溝部色CGを別の色にでき、またその色を自由に変更できる。複数の溝部Gが互いに直交し、照明器具Iが、それぞれの溝部Gの方向と平行に光を照射すれば、このような効果が最大化される。造形物3と照明器具Iの少なくとも一方が動くことで照明効果に変化を与えてもよい。溝部色CGが有色の造形物でも、複数の色の照明を照射することで色が変化して見える。造形物照明設備5では、造形物3と照明器具Iが一体であってもよく、それらが別個で、組合せて用いられてもよい。
〈変形例6〉
造形物照明設備5において、照明器具I・造形物3・観察者のなす位置関係は3通りである。第1では、図17aのように、照明器具Iが、造形物3の裏面部Rを含む平面に対して観察者Vと異なる側に位置する、つまり造形物3に対して観察者Vの反対側にある。裏面部Rに対する光の入射角の絶対値は90°未満である。この時、照明器具Iが造形物3を通して観察者のほぼ正面にあると、照明器具Iから造形物3内を反射せずに直進した透過光が直接視野に入り、反射光の効果が同じ色の光によって減殺されてしまう。よって、視点が想定される範囲からは照明器具Iが直接見えないような位置に照明器具Iが設置されることが望ましい。照明器具Iは、そこからの造形物3各部への入射光Irの入射角が出射可能入射角の範囲内にあり、かつ観察者から見えにくいような、例えば斜め上方の位置に設置されてもよい。第2では、照明器具Iが、造形物3の表面部Sを含む平面に対して、図17aとは逆の観察者Vと同じ側に位置する。表面部Sに正面から(図17aでは右方向から)入射する光の入射角を0°とすると、第2の場合の表面部Sに対する光の入射角の絶対値も90°未満である。照明器具Iが観察者の比較的近くにあると、表面部Sの反射率次第では、照明器具Iの像が表面部Sに映ることで、やはり溝部Gからの反射光の効果が打ち消される。またこの場合、観察者と造形物3の間に照明器具Iが位置すると造形物3の一部が照明器具Iに隠れて見えないことがある。照明器具Iが遠方に位置し、観察者が造形物3と照明器具Iの間に位置すると、観察者の動きにつれてその影が造形物3に投影されることとなり見苦しい。よって、この場合でも照明器具Iは造形物3の中心を通る垂直軸から離れた斜め方向から光を照射するのがよい。第3では、照明器具Iが造形物3の表面部Sと裏面部Rの間から光を照射する。つまり、造形物3が周知技術の導光板のように働く。裏面部R及び表面部Sに対する照明器具Iからの光の入射角の絶対値は90°以上である。この場合、溝部楔角θGが90°以上の大きな角度であれば導光板としてある程度機能するが、通常の導光板と異なり、光源から離れた部分での光量低下が大きい。溝部楔角θGが小さくなるほどその傾向が強く、溝部楔角θGが10°以下の溝部Gでは、基材部Mを通るほとんどの光が光源近くの数本の溝部Gによって反射されてしまい、光源から離れた溝部Gまでは届かないため、造形物3の各部で著しい光量ムラが発生し、使用に耐えない。この光量ムラは、造形物3各部で溝部楔角θGが135°から180°近くまで大きければ解消可能であるが、これは所期の効果を損なう。したがって、照明器具Iは、造形物3の中心付近から外れた周辺部であり、かつ表面部S又は裏面部Rに対する光の入射角が90°未満であるか、入射角が溝部Gに対して出射可能入射角の範囲となる位置に設置されるのがよい。溝側面Fの角度θFの調整により、特定の位置からのみ反射が見えるようにすることもできる。想定される観察者の位置は、造形物照明設備5の用途や規模、使用条件に応じてその都度定められてよい。
図17では、造形物3への入射光Irと造形物3からの出射光Orとが実線・点線・破線・一点鎖線で示され、同じ線種の入射光Ir及び出射光Orがそれぞれ対応している。さらに観察者Vが造形物3の前を矢印方向に水平に行き来するさまが上から示される。同じ線種の間の狭い側が、同じ照明器具Iからの入射光Ir及び出射光Orが届く範囲であり、観察者Vは出射光Orのその範囲内でそれぞれの出射光Orを観察可能である。複数の照明器具Iが同じ高さ(観察者Vの視点より高く、その視野には直接入らない)の異なる位置から造形物3の同じ高さに向けて、異なる線種で示される2以上の異なる色の入射光Irを照射すれば、観察者Vの動きにつれて造形物3の色が多様に切り替わったり連続して徐々に変化したりして見える。異なる色の入射光Irが、図17a及び図17bのように造形物3の同じ部分に当たっていればその部分が、図17cのように造形物3のそれぞれ別の部分に当たっていれば順次別の部分が、観察者Vの動きに伴い異なる色になる。また、溝部Gの方向が、図17a及び図17cのように垂直(観察者Vの移動方向と直交)であれば出射光Orの範囲が水平方向に狭く垂直方向に広くなり、図17bのように水平(観察者Vの移動方向と平行)であれば逆になる。前者では、溝部楔角θGが狭ければ溝側面Fと入射光Irが平行に近い部分で反射がほとんど見えない。これにより照明の色が同一のままで色の変化が得られる。また、街頭のような場所で多数の観察者が同時に行きかっていても、個々の動きにシンクロした変化を各々が観察できる。色を変更するための人感センサ等の大掛かりな仕掛けが不要でコストを抑えられるが、コストの制約がなければ、各照明器具Iの光の色の変更や照射方向及び位置の移動といった動作の追加により更なる効果が得られる。それぞれの光の指向性が高ければ明確に色が切り替わり、拡散光等であれば各色が切れ目なく自然に移行する。図17各図のように複数の照明器具Iが水平等の直線状に並び、それらの照射範囲の高さも同じで、つまりそれらの照射方向が同一平面に含まれることで、例えば同じ視線の高さの観察者に色の変化が見える。照明の照度が最大の部分の1/2になる範囲を照明器具Iから見込む角度を照射角度とすると、同一平面からの照射方向の差が照射角度の1/2以内であり、効果を意図する範囲が照射されていれば、照明器具Iの照射方向が多少異なったり、高さが多少異なったりしても、ほぼ同一平面上にある。そうではなく、照射範囲の高さをまちまちにして色もばらばらにすることで、背の異なる観察者には別の色が見えるようにしてもよい。
このように溝部Gの表面上の方向及びそれと観察者の視線との関係によっても異方性ライティング効果は変化するので、図17のように観察者が水平に歩行しながら造形物3を観察する用途や、エスカレーターの壁面に造形物3が設置され、観察者が斜めに移動しながら観察する用途といった、観察者との位置関係の変化等の条件も踏まえた上で、造形物3の各部の溝部Gの方向が決められてもよい。異方性ライティング効果だけでなく、異方性カラーリング効果等の他の効果にもこれが当てはまる。また、溝部Gが波線等に基づく曲面状なら、溝部Gの方向の変化による効果の変化が連続して発生する。
図18aの照明器具Iはライトカッターを具えているが、このようにバーンドアやレンズ等により照射範囲が制限され、狭い部分にスポットライト状に投光するよう調節されれば、色のコントラストが一層向上する。また照射範囲の制限により、観察者に直接光源が見えず、まぶしさが軽減される。ある色の照明が特定の部分領域のみに当たり、それ以外の部分に当たらないよう、その部分領域の形状に沿ったマスク等で照射範囲が制限されてもよい。
照明光の収束性等の特性によっても造形物照明設備5の見え方が変わる。図18は図17bの造形物照明設備5をSVの方向から見た図である(ただし照明器具Iの形状・特性等は一部異なる)。照明器具Iが図18aのような点光源に近ければ、入射光Irが発散光となり、出射光Orが届く範囲内の視点からは造形物3の広い部分で反射が見える。例えば造形物照明設備5が飲食店の通路に設置され、観察者の目の高さが数10cm程度の限られた範囲内にあり、造形物3との距離もほぼ一定であれば、これが適用されてもよい。さらに、溝部楔角θG又はθFの調整、あるいは造形物3全体の設置角度の調整によって、反射が見える位置が目標とする目の高さの範囲に適合されてもよい。図18bのように入射光Irが平行光に近ければ、ある視点において反射が見える部分は狭くなるが、観察者(図示しない)は出射光Orが届く広い範囲から反射を観察できる。例えば造形物照明設備5が広い空間に設置され、幅のある年齢層で様々な身長の観察者に遠近多様な距離から観察されるなら、これが適用されてもよい。図18cのように入射光Irが様々な方向の成分を含むなら、造形物3の各部で反射が観察できるが、異なる方向の溝部Gに異なる色の光を当てようとしても混色しがちである。造形物3において照明器具Iから遠い部分は近い部分より光量が低下する場合には、光量が全域で均一に近づくようグラデーションフィルター等により補正されてもよい。造形物3各部での照度差はΔ200lx以下が好ましく、Δ100lx以下がより好ましく、Δ50lx以下がさらに好ましい。また造形物3の照度は、色にもよるが200〜2000lxが好ましく、300〜1000lxがより好ましい。1000lxを超える明るい照明下で周囲が暗く照度差が大きいと、明るすぎてまぶしく、溝部G間での二次反射が顕在化し、また入射角が90°に近いほど裏面部R及び表面部Sの埃や傷が目立ち、効果が損なわれることがある。
造形物3が表面部Sと裏面部Rの両側あるいはそれ以上から観察される場合は、両側かそれ以上から照明を当てればそれぞれの側から反射が見える。その場合、それぞれの側で照明の色が異なってもよい。溝部Gが1方向であっても、照明が点滅すれば、溝部Gによる文字等が見えたり見えなかったりするという効果が得られる。溝部Gが万線に基づく複数の平行な溝部Gであればその効果がより高い。
造形物3の裏側に半透明樹脂板Tが設置された造形物展示体4では拡散光照明に近い効果が得られる。さらに導光板等の照明器具Iが装着され造形物照明設備5とされてもよい。可搬的な造形物照明設備5においても、照明器具I・環境光や使用状況との関係に応じて造形物3及び照明器具Iの諸パラメータが調整可能である。例えば、装身具に埋め込まれた造形物3が向きにより一瞬だけ光って見える、といった演出がありうる。
このように、造形物3の屈折率、造形物3の溝部の方向・θG又はθF、造形物3全体の方向、並びに照明器具Iの位置及び照射方向・照射範囲・色・造形物3各部に与える光量・光の収束や拡散の特性等が調整されることで、様々な条件に応じた異方性視覚効果を有する造形物3及び造形物照明設備5の提供が可能である。
〈変形例16〉
複数の角柱状の材部Mが並び、それらの間が溝部Gである造形物3も可能である。それぞれがモーター等により回転してもよく、柔軟な材料2が用いられれば曲面でも回転可能である。それぞれが固定されてもよい。
[第4の実施形態]
本発明における第4の実施形態が実現するディスプレイ7では、例えば有機EL等の薄型で細長い短冊状のディスプレイモジュールDが溝側面Fとなっている。図21のように、複数のディスプレイモジュールDが互いに平行かつ一定ピッチで配置されてもよい。また、表示コントローラCがディスプレイモジュールDと有線又は無線で接続されるかディスプレイモジュールDに内蔵され、この表示コントローラCにより画像や動画が短冊状に分断されるなどして、各々のディスプレイモジュールDに振り分けられて表示されてもよい。これにより、斜め横方向からは動画等(図21では「B」の文字)が見え、正面からは見えない、という効果が得られる。ディスプレイモジュールDが両面で互いに異なる動画等を表示可能なら、観察者が左右から見た時にそれぞれ別の動画等を鑑賞でき、正面からは向こうの景色を透過して見ることができる。ディスプレイモジュールDは、携帯端末用等の小型ディスプレイモジュールが縦に並べられ繋がれたもの2枚が背中合わせに張り合わせられたものでもよい。その際、強度向上のため表裏の継ぎ目が重ならないほうがよい。両側の画面は互いに平行でもよく、表面部S側あるいはその逆側を頂角とし底辺側が開いた三角形状でもよい。
複数のディスプレイモジュールDの固定方法には、例えば以下の3通りがある。方法1:図21aのように、複数のディスプレイモジュールDの間が、第3の実施形態同様透明の樹脂等の基材部Mで埋められている。基材部Mを通して見ることで屈折が発生し、ディスプレイモジュールDの高さhが小さく見える分、これを大きくする必要がある。放熱等のため、ディスプレイモジュールDの少なくとも一部が基材部Mから露出した状態でもよい。また、各要素の熱膨張率を近づける等の温度対策が必要である。方法2:図21bのように、基材部Mが板状であって、その上にディスプレイモジュールDが固定されている。基材部Mとの固定部分がディスプレイモジュールDの幅をはみ出さないほうが目立たない。基材部Mに溝が彫られ、ディスプレイモジュールDの一部がそこに差し込まれてもよい。方法3:図21cのように、複数のディスプレイモジュールDが上端付近又は下端付近の少なくとも一方にある基材部Mで連結されていて、それ以外のディスプレイモジュールDどうしの間は空間である。各ディスプレイモジュールDが芯材等により補強されてもよい。方法2及び3では、ディスプレイ7の表面部Sは複数のディスプレイモジュールDの正面側を通る仮想的な面である。隣り合うディスプレイモジュールDの片側がたがいにつながって、曲がりくねった1枚のディスプレイモジュールDでもよい。ディスプレイ7は平面状でもよく、斜め方向から見た際のそれぞれのディスプレイモジュールDの見え方が改善するよう、中心部がくぼんだ又は凸状の弧状でもよい。弧状の場合、複数のディスプレイモジュールDは、互いに平行でもよく、それらを含む面が1つの線で交差してもよく、ディスプレイモジュールDと表面部Sとの角度が一定、例えば90°でもよい。ディスプレイ7は駆動電源を内蔵してもよく、外部から固定部分等経由で電力供給を受けてもよい。
本形態はマルチビューディスプレイ技術に関する。旧来、特開2008−527440号公報・特開2008−513807号公報・特開2008−164702号公報のようなマルチビューディスプレイ技術が知られている。これらでは視差バリアや光学系等を用いて、1つのディスプレイ上で複数の画像や動画を表示することができるが、それぞれの表示の視野角が狭く、例えば観察者が略真横に近いような側方から見ると表示がほとんど見えないという問題があった。本実施形態ではこのような問題を解決し、画面への垂線又は法線と視線とのなす角度が75°以上90°未満といったきわめて深い角度から観察者が見た場合にも表示が見えるディスプレイを提供可能である。また、ディスプレイモジュールDの視野角が充分に広ければ、ディスプレイモジュールDの高さhや複数のディスプレイモジュールDの間隔の変更によって、表示が見える範囲が、正面近くまで拡張されたり、逆に側方のみに限られたりといった調整も可能である。本実施形態は、例えば、街中において通行人が店先に設置されたディスプレイ7の前を通過する時、遠くからディスプレイ7の正面に向かって歩いてくる途上ではディスプレイ7の表示内容が見え、ディスプレイ7の正面では店の中が見え、ディスプレイ7の正面を通り過ぎて振り返ると再度ディスプレイ7の表示が見える、という効果を奏する。
ディスプレイ7を製造するディスプレイ製造装置20は、図22のように管理部21・組立部22・配線部23・固定部24・仕上げ部25・検査部26を具える。ディスプレイ7を製造するディスプレイ製造方法は、図23のように管理工程S21・組立工程S22・配線工程S23・固定工程S24・仕上げ工程S25・検査工程S26よりなる。管理部21はディスプレイ7の部品配置や作業手順等を記述した指示データ6を取得し、それに基づきディスプレイ製造装置20の各部を制御する(S21)。組立部22はディスプレイモジュールDや基底材等の材料2を取得し、管理部21の制御に従ってディスプレイモジュールD等の配置を行う(S22)。配線部23は管理部21の制御に従って各種配線を行う(S23)。固定部24は管理部21の制御に従ってディスプレイモジュールD等の間に樹脂を充填して基材部Mとする等動作し、ディスプレイ7の構造を形成する(S24)。仕上げ部25はディスプレイ7の表面の研磨等を行い完成品とするが、さらに別の部品を追加してディスプレイ集合体8としてもよい(S25)。検査部26は完成品の動作確認等を行う(S26)。各部は別の工程部を含んでもよく、各部の動作順が変更されてもよい。
第1から第3の実施形態に記載の構成・効果・変形例等の一部は、本実施形態にもあてはまる。例えば、ディスプレイ製造装置20は、ディスプレイ7の裏面に大型のディスプレイモジュールD1を装着し、正面と斜め方向とで互いに異なる動画等を表示可能な、図21dのようなディスプレイ集合体8を製造してもよい。ディスプレイ7とディスプレイモジュールD1とは固定されずに設置されてもよい。ディスプレイ集合体8では、基材部Mの代わりに、ディスプレイモジュールD1に複数のディスプレイモジュールDが直接固定されてもよい。また、ディスプレイモジュールDが不透明であれば、異方性透過効果が得られるだけでなく、異方性カラーリング効果に相当する効果が得られ、これを本明細書では異方性表示効果と記載する。さらにまた、ディスプレイ7の一部の方向が図14aのように他と異なることで、例えば視点V12から見た場合にディスプレイモジュールDが見える部分領域と見えない部分領域が存在し、これらにより、ディスプレイの表示内容とは別にロゴ等が表示されてもよい。複数のディスプレイモジュールDの互いに異なる複数の方向のなす角度が図11のように90°又は72〜108°であれば、この効果がより向上する。
本形態が提供する1態様は、複数のディスプレイモジュールを有するディスプレイであって、該ディスプレイの少なくとも一部において該複数のディスプレイモジュールの表示面の方向が該ディスプレイの表面と平行でないディスプレイである。前記複数のディスプレイモジュールの少なくとも一部が互いに平行でもよく、前記複数のディスプレイモジュールの少なくとも一部が前記表面となす角度が一定でもよく、前記ディスプレイの少なくとも一部が透過性を有してもよく、前記ディスプレイのうち前記複数のディスプレイモジュール以外の部分の少なくとも一部が透過性を有してもよい。前記複数のディスプレイモジュールの方向が複数でもよく、前記ディスプレイにおける複数の部分領域ごとに前記複数の方向が異なってもよく、前記複数の部分領域が画像に基づいてもよく、画像に基づいて調整されてもよい。また、前記複数のディスプレイモジュールが1つの画像又は映像を複数に分けてそれぞれを表示してもよい。本形態が提供する別の態様は、前記ディスプレイの表面と異なる側に前記複数のディスプレイモジュールと平行ではないディスプレイモジュールを具えるディスプレイ集合体である。さらに別の態様は、複数のディスプレイモジュールを含む材料から、複数のディスプレイモジュールを有するディスプレイであって、該ディスプレイの少なくとも一部において該複数のディスプレイモジュールの表示面の方向が該ディスプレイの表面と平行でないディスプレイを製造する組立部を具えるディスプレイ製造装置である。
本発明の1つの態様は、複数の溝部と、該複数の溝部の少なくとも一部が互いに重ならずにかつそれぞれの両端を含めて観察可能な第1の表面と、該第1の表面の少なくとも一部と対向する第2の表面と、前記複数の溝部のうち互いに隣り合う複数の溝部にそれぞれ挟まれた複数の間の部分と、該複数の間の部分の各々と前記複数の溝部の各々とが接する複数の側面と、を有する装飾体であって、前記複数の溝部の少なくとも一部を有する前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行であり、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行であり、前記互いに平行である前記複数の溝部の少なくとも一部の幅方向の中心どうしの間隔が一定であり、前記間隔が一定である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部以外の部分の屈折率をnとすると、前記複数の溝部の少なくとも一部のうち任意の溝部・該任意の溝部に隣接する前記間の部分・該間の部分に前記任意の溝部が接する第1の側面・該第1の側面に前記間の部分を挟んで向かい合う第2の側面に関し、前記任意の溝部の深さが、前記第2の側面における前記第1の表面の少なくとも一部に最も近い部分内の第1の点と、前記第1の側面における前記第1の点に最も近い第2の点及び前記第1の点を通り前記第1の表面の少なくとも一部に垂直な平面と前記第1の側面との交線上の前記第2の表面の少なくとも一部に最も近い第3の点から前記第1の表面の少なくとも一部に下ろした垂線又は法線を含む直線との最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きく、前記任意の溝部の深さが前記最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きい前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の間の部分の最小の幅が前記複数の溝部の少なくとも一部の最大の幅以上であり、前記最小の幅が前記最大の幅以上である前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が、一方の側から他方を、一方及び前記複数の間の部分を透過して互いに観察可能であることを特徴とする装飾体である。
また、複数の溝部と、該複数の溝部の少なくとも一部が互いに重ならずにかつそれぞれの両端を含めて観察可能な第1の表面と、該第1の表面の少なくとも一部と対向する第2の表面と、前記複数の溝部のうち互いに隣り合う複数の溝部にそれぞれ挟まれた複数の間の部分と、該複数の間の部分の各々と前記複数の溝部の各々とが接する複数の側面と、を有する装飾体であって、前記複数の溝部の少なくとも一部を有する前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行であり、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行であり、前記互いに平行である前記複数の溝部の少なくとも一部の幅方向の中心どうしの間隔が一定であり、前記間隔が一定である前記装飾体の少なくとも一部において、溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく、前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の間の部分の最小の幅が前記複数の溝部の少なくとも一部の最大の幅以上であり、前記最小の幅が前記最大の幅以上である前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が、一方の側から他方を、一方及び前記複数の間の部分を透過して互いに観察可能であることを特徴とする装飾体である。
前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が前記互いに観察可能である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の一部が前記装飾体の表面の少なくとも一部に露出してもよい。
本発明の別の態様は、画像を取得する画像取得部と、前記画像に基づき材料を加工し、複数の溝部と、該複数の溝部の少なくとも一部が互いに重ならずにかつそれぞれの両端を含めて観察可能な第1の表面と、該第1の表面の少なくとも一部と対向する第2の表面と、前記複数の溝部のうち互いに隣り合う複数の溝部にそれぞれ挟まれた複数の間の部分と、該複数の間の部分の各々と前記複数の溝部の各々とが接する複数の側面と、を有する装飾体であって、前記複数の溝部の少なくとも一部を有する前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行であり、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行であり、前記互いに平行である前記複数の溝部の少なくとも一部の幅方向の中心どうしの間隔が一定であり、前記間隔が一定である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部以外の部分の屈折率をnとすると、前記複数の溝部の少なくとも一部のうち任意の溝部・該任意の溝部に隣接する前記間の部分・該間の部分に前記任意の溝部が接する第1の側面・該第1の側面に前記間の部分を挟んで向かい合う第2の側面に関し、前記任意の溝部の深さが、前記第2の側面における前記第1の表面の少なくとも一部に最も近い部分内の第1の点と、前記第1の側面における前記第1の点に最も近い第2の点及び前記第1の点を通り前記第1の表面の少なくとも一部に垂直な平面と前記第1の側面との交線上の前記第2の表面の少なくとも一部に最も近い第3の点から前記第1の表面の少なくとも一部に下ろした垂線又は法線を含む直線との最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きく、前記任意の溝部の深さが前記最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きい前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の間の部分の最小の幅が前記複数の溝部の少なくとも一部の最大の幅以上であり、前記最小の幅が前記最大の幅以上である前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が、一方の側から他方を、一方及び前記複数の間の部分を透過して互いに観察可能であることを特徴とする装飾体を製造する加工部とを具えることを特徴とする造形物製造装置である。
本発明の別の態様は、画像を取得する画像取得工程と、前記画像に基づき材料を加工し、複数の溝部と、該複数の溝部の少なくとも一部が互いに重ならずにかつそれぞれの両端を含めて観察可能な第1の表面と、該第1の表面の少なくとも一部と対向する第2の表面と、前記複数の溝部のうち互いに隣り合う複数の溝部にそれぞれ挟まれた複数の間の部分と、該複数の間の部分の各々と前記複数の溝部の各々とが接する複数の側面と、を有する装飾体であって、前記複数の溝部の少なくとも一部を有する前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行であり、前記第1の表面の少なくとも一部と前記第2の表面の少なくとも一部とが互いに平行である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行であり、前記互いに平行である前記複数の溝部の少なくとも一部の幅方向の中心どうしの間隔が一定であり、前記間隔が一定である前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の溝部以外の部分の屈折率をnとすると、前記複数の溝部の少なくとも一部のうち任意の溝部・該任意の溝部に隣接する前記間の部分・該間の部分に前記任意の溝部が接する第1の側面・該第1の側面に前記間の部分を挟んで向かい合う第2の側面に関し、前記任意の溝部の深さが、前記第2の側面における前記第1の表面の少なくとも一部に最も近い部分内の第1の点と、前記第1の側面における前記第1の点に最も近い第2の点及び前記第1の点を通り前記第1の表面の少なくとも一部に垂直な平面と前記第1の側面との交線上の前記第2の表面の少なくとも一部に最も近い第3の点から前記第1の表面の少なくとも一部に下ろした垂線又は法線を含む直線との最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きく、前記任意の溝部の深さが前記最短距離のcot[arcsin(1/n)]倍より大きい前記装飾体の少なくとも一部において、前記複数の間の部分の最小の幅が前記複数の溝部の少なくとも一部の最大の幅以上であり、前記最小の幅が前記最大の幅以上である前記装飾体の少なくとも一部において、前記第1の表面の少なくとも一部及び前記第2の表面の少なくとも一部が、一方の側から他方を、一方及び前記複数の間の部分を透過して互いに観察可能であることを特徴とする装飾体を製造する加工工程とを具えることを特徴とする造形物製造方法である。

Claims (20)

  1. 複数の溝部を有する造形物であって、
    該造形物の少なくとも一部において該複数の溝部以外の部分が透過性を有し、
    該複数の溝部以外の部分が透過性を有する該造形物の少なくとも一部において該複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行かつ一定ピッチであり、
    該互いに平行かつ一定ピッチである複数の溝部の少なくとも一部において溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく、
    該溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか、該複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくとも一方であり、
    該複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有する
    ことを特徴とする造形物。
  2. 前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部が楔状である、
    請求項1に記載の造形物。
  3. 前記造形物の少なくとも一部において、前記楔状の複数の溝部の少なくとも一部が前記複数の部分それぞれの少なくとも一部と直交し、該楔状の複数の溝部の少なくとも一部が該複数の部分それぞれの少なくとも一部と直交する該造形物の少なくとも一部における該楔状の複数の溝部の少なくとも一部以外の部分の屈折率をnとすると、該楔状の複数の溝部の少なくとも一部それぞれの対向する側面どうしのなす角度の絶対値が0以上2arcsin(1/n)未満である、
    請求項2に記載の造形物。
  4. 前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部が不透明である、
    請求項1から3のいずれかに記載の造形物。
  5. 前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部が、該複数の溝部の少なくとも一部以外の部分とは色又は屈折率の少なくとも一方が異なる充填部を有する、
    請求項1から4のいずれかに記載の造形物。
  6. 前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部により画像・文字・ロゴ・図形・模様の少なくともいずれかを表示する、
    請求項1から5のいずれかに記載の造形物。
  7. 前記造形物の少なくとも一部における前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部以外の部分の屈折率をnとすると、該屈折率がnである該造形物の少なくとも一部における該複数の溝部の少なくとも一部の少なくとも一方の側面が該側面に隣接する前記複数の部分それぞれの少なくとも一部に対する法線となす角度の絶対値が0以上arcsin(1/n)未満である、
    請求項1から6のいずれかに記載の造形物。
  8. 前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の側面が該側面に隣接する前記複数の部分それぞれの少なくとも一部に対する法線となす角度、該溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の方向・色・曲率・形状・ピッチ・幅・深さ・面粗さ・波長・波の振幅・位相、該溝部の有無・該溝部以外の部分の色又は屈折率の少なくともいずれかが前記造形物と該造形物を観察する観察者の想定される視点との関係に応じて調整された、
    請求項1から7のいずれかに記載の造形物。
  9. 前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の一部が開口する面とは異なる面に該複数の溝部の別の一部が開口する、
    請求項1から8のいずれかに記載の造形物。
  10. 前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の色が該複数の溝部の少なくとも一部の深さ方向で複数であり、
    該複数の色が該複数の溝部の少なくとも一部の深さの1/2から全体にかけての範囲で連続的に変化する、
    請求項1から9のいずれかに記載の造形物。
  11. 前記造形物が複数の部分領域を有し、
    該複数の部分領域の少なくとも一部が前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の一部を有し、
    該複数の溝部の一部を有する複数の部分領域ごとに該複数の溝部の一部の方向・曲率・形状・ピッチ・幅・深さ・面粗さ・波長・波の振幅・位相の少なくともいずれか及び該複数の溝部の一部の色・該複数の溝部の一部以外の部分の色の少なくとも一方が異なる、
    請求項1から10のいずれかに記載の造形物
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の造形物が複数の部分領域を有し、
    該造形物の少なくとも一部において該複数の部分領域ごとに前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分又は該複数の部分と向かい合う面の少なくとも一方の色が異なる
    ことを特徴とする造形物展示体
  13. 請求項1から12のいずれかに記載の造形物又は造形物展示体が複数であり、該複数の造形物又は該複数の造形物展示体がそれぞれの前記溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部が重なって観察されるように組み合わされた
    ことを特徴とする造形物展示体
  14. 請求項1から13のいずれかに記載の造形物又は造形物展示体と
    該造形物又は該造形物展示体に照明を照射する照明器具と
    を具える造形物照明設備であって、
    該造形物又は該造形物展示体及び該照明器具によってなる位置・照射方向・照射範囲・各部に与える光量の各々の関係、並びに該照明器具の色・光の収束や拡散の特性の少なくともいずれかが該造形物・該造形物展示体又は該造形物照明設備と該造形物・該造形物展示体又は該造形物照明設備を観察する観察者の想定される視点との関係に応じて調整された
    ことを特徴とする造形物照明設備。
  15. 前記複数の部分それぞれの少なくとも一部又は該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面への前記照明の入射角の絶対値が90°未満である、
    請求項14に記載の造形物。
  16. 前記造形物及び前記照明器具によってなる照射方向の関係が出射可能入射角の範囲で調整された
    請求項14又は15に記載の造形物照明設備。
  17. 請求項1から13のいずれかに記載の造形物又は造形物展示体と
    該造形物又は該造形物展示体に照明を照射する照明器具と
    を具える造形物照明設備であって、
    該照明器具が複数であり、該複数の照明器具からの複数の照射方向が同一の平面に含まれ、
    前記複数の部分それぞれの少なくとも一部又は該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面への前記照明の入射角の絶対値が90°未満である
    ことを特徴とする造形物照明設備。
  18. 前記複数の照明器具の色が複数である、
    請求項17に記載の造形物照明設備。
  19. 画像を取得する画像取得部と
    該画像に基づき材料を加工し、複数の溝部を有する造形物であって、該造形物の少なくとも一部において該複数の溝部以外の部分が透過性を有し、該複数の溝部以外の部分が透過性を有する該造形物の少なくとも一部において該複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行かつ一定ピッチであり、該互いに平行かつ一定ピッチである複数の溝部の少なくとも一部において溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく、該溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか、該複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくともいずれかであり、該複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有する造形物を製造する加工部と
    を具えることを特徴とする造形物製造装置。
  20. 画像を取得する画像取得工程と
    該画像に基づき材料を加工し、複数の溝部を有する造形物であって、該造形物の少なくとも一部において該複数の溝部以外の部分が透過性を有し、該複数の溝部以外の部分が透過性を有する該造形物の少なくとも一部において該複数の溝部の少なくとも一部が互いに平行かつ一定ピッチであり、該互いに平行かつ一定ピッチである複数の溝部の少なくとも一部において溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きく、該溝部深間隔率が最小溝部深間隔率より大きい複数の溝部の少なくとも一部の間に露出した複数の部分それぞれの少なくとも一部及び該複数の部分それぞれの少なくとも一部と向かい合う面が互いに平行であるか、該複数の部分それぞれの少なくとも一部が同一の平面に含まれるかの少なくともいずれかであり、該複数の部分それぞれの少なくとも一部が幅を有する造形物を製造する加工工程と
    を具えることを特徴とする造形物製造方法。
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