JP2019024368A - 米飯改良剤及び米飯又は米飯加工食品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】米飯又は米飯加工食品の製造において、製造時の作業性が向上し、かつ、炊飯後の米飯又は米飯加工食品のほぐれ性及び粒感を向上させることができる技術を提供すること。【解決手段】本発明では、下記(1)及び(2)を満たす主鎖と分岐鎖とからなる澱粉分解物を有効成分とする米飯改良剤を提供する。(1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。(2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。【選択図】なし

Description

本発明は、米飯改良剤に関する。より詳しくは、所定の特性を満たす澱粉分解物を有効成分とする米飯改良剤及び米飯又は米飯加工食品の製造方法に関する。
おにぎりなどに代表される米飯加工食品は、中食外食産業で広く流通している。米飯加工食品には、加工適性としてほぐれ性や作業性が求められると共に、食品としての風味や外観も求められている。既存技術では、例えば、食用油脂、乳化剤、多糖類等を利用して、加工適性としてのほぐれ性や作業性等、或いは、風味や食感等を向上させる技術が用いられている。
具体的には、例えば、特許文献1では、米飯に含まれる澱粉の加水分解物であるデキストリンを、炊飯後の米飯に添加することによって、水分を含んだ米飯粒の表面に液体の膜となって保持され、米粒同士の粘着性は適度に低減するので、米飯がほぐれやすくなり、咀嚼するときに口中でバラケやすくなって食べやすくなり、また米飯加工機械との付着性が抑制されて、食品加工時の作業性や成型性が改善される技術が開示されている。
特許文献2では、分岐鎖がマルトトリオースである分岐オリゴ糖を有効成分として含有することにより、米飯の味質を変化させることなく、従来にはなかった優れた老化抑制効果を奏する米飯改良用組成物を提供する技術が開示されている。
特許文献3では、分子量が50万〜500万である低分解澱粉と、DE値が1より大きく50以下であるデキストリンと、を質量比で1:9〜9:1の割合で混合した混合物を含有する、米飯の風味の持続及び/又は増強作用を有する米飯改良剤を提供する技術が開示されている。
特許文献4では、重合度20以上の構成糖を25〜55重量%、重合度2〜10の構成糖を30〜65重量%含有する糖組成物を含有することより、米飯の食感を改良し、常温または冷蔵で保存しても、電子レンジなどで再加熱することによって炊飯直後の良好な食感および外観を得ることができる米飯または米飯加工食品用の改良剤を提供する技術が開示されている。
近年は、消費者の嗜好性として、適度な硬さと弾力を有する食感があり、米粒の形が整っているような、米飯の「粒感」が求められる傾向がある。しかし、このような米飯の「粒感」を十分に満足できる技術はこれまでなかった。特におにぎりの場合、成形工程があり、粒感を得ることはより難しいという問題があった。
特開2016−167999号公報 特開2015−181412号公報 特開2017−77223号公報 特開2004−135580号公報
前述の通り、米飯加工食品分野において、米飯改良技術は様々な提案がされているが、消費者の嗜好性の変化や、より高品質な食品が好まれるようになり、その技術はまだまだ発展途上にあるのが実情である。
例えば、米飯のほぐれ性を向上させるために食用油脂を用いる場合、この食用油脂を水に分散させるために乳化剤を併用する方法がある。しかし近年は、いわゆる無添加などのナチュラル志向なユーザーから、乳化剤が敬遠される傾向にある。さらに、乳化剤によっては特有の風味があるため、加工食品の風味等が低下するという場合があった。
また、デキストリン等の澱粉分解物を使用する方法があるが、単独ではほぐれ効果が不十分であるといった問題があった。更に、デキストリン等の澱粉分解物と、食用油脂とを併用し、乳化剤を使用しないといった選択肢もあるが、この場合は、油脂が分散せずにほぐれ効果が得られず、作業性に問題があった。
そこで、本発明では、米飯又は米飯加工食品の製造において、製造時の作業性が向上し、かつ、米飯又は米飯加工食品のほぐれ性及び粒感を向上させることができる技術を提供することを主目的とする。
本願発明者らは、米飯加工食品の製造技術について鋭意研究を行った結果、特定の構造を有する澱粉分解物を用いることにより、米飯の粒感を向上させることを見出した。そして、この澱粉分解物を用いると、製造時に食用油脂を用いた場合に、油脂の分散性をも向上させることを突き止めた。その結果、製造時の作業性を向上させ、かつ、米飯又は米飯加工食品のほぐれ性及び粒感を向上させることに成功し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明では、下記(1)及び(2)を満たす主鎖と分岐鎖とからなる分岐糖質を含む澱粉分解物を有効成分とする米飯改良剤を提供する。
(1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
(2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
本発明に係る米飯改良剤において、前記xは、下記(1’)を満たしていてもよい。
(1’)8≦x
本発明に係る米飯改良剤において、前記yは、下記(2’)を満たしていてもよい。
(2’)35≦y≦60
本発明に係る米飯改良剤に用いる前記澱粉分解物において、分子量が14000〜80000である画分には、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖を有する分岐糖質の少なくとも一部が含まれていてもよい。
本発明に係る米飯改良剤には、食用油脂を含んでいてもよい。
この場合、前記澱粉分解物と前記食用油脂との質量割合を、2:1〜15:1に設定することができる。
本発明では、また、下記(1)及び(2)を満たす主鎖と分岐鎖とからなる分岐糖質を含む澱粉分解物を添加する工程を含む、米飯又は米飯加工食品の製造方法を提供する。
(1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
(2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
本発明によれば、米飯又は米飯加工食品の粒感を向上させ、かつ、米飯又は米飯加工食品の製造において食用油脂を用いた場合に、油脂の分散性を向上させることができる。その結果、米飯又は米飯加工食品の製造時の作業性を向上させ、かつ、米飯又は米飯加工食品のほぐれ性及び粒感を向上させることが可能である。
実験例3における参考例2の炊飯前の釜の様子と、炊飯後の米飯を底部から視た様子を示す図面代用写真である。 実験例3における実施例10の炊飯前の釜の様子と、炊飯後の米飯を底部から視た様子を示す図面代用写真である。 実験例5における実施例16の炊飯前の釜の様子、炊飯後の釜を上部から視た様子、及び炊飯後の米飯を底部から視た様子を示す図面代用写真である。 実験例5における実施例21の炊飯前の釜の様子、炊飯後の釜を上部から視た様子、及び炊飯後の米飯を底部から視た様子を示す図面代用写真である。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<澱粉分解物>
まず、本発明に用いる澱粉分解物について説明する。本発明に係る米飯改良剤は、以下に説明する澱粉分解物を有効成分とする。また、本発明に係る米飯又は米飯加工食品の製造方法は、以下に説明する澱粉分解物を、添加する工程を含む方法である。
米飯加工食品の製造において、以下に説明する澱粉分解物を用いることで、米飯又は米飯加工食品の粒感を向上させることができる。また、以下に説明する澱粉分解物を用いることで、製造時に食用油脂を用いた場合に、油脂の分散性を向上させることができる。その結果、米飯又は米飯加工食品の製造時の作業性を向上させ、かつ、米飯又は米飯加工食品のほぐれ性及び粒感を向上させることが可能である。また、以下に説明する澱粉分解物は、従来の澱粉分解物に比べて、所謂、澱粉臭が低減されているため、これを、米飯又は米飯加工食品に用いた場合に、風味への悪影響がほとんどない。
本発明で用いる澱粉分解物は、主鎖と分岐鎖とからなる分岐糖質を含む。そして、この澱粉分解物中のグルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の含有量(質量%)xが、下記(1)を満たすことを特徴とする。
(1)7≦x
なお、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)xは、澱粉分解物中に含まれるDP8〜9である糖鎖の含有量と、澱粉分解物をイソアミラーゼやプルラナーゼ等の枝切り酵素で処理することにより分岐鎖が切られた状態でのDP8〜9である糖鎖の含有量とを測定し、枝切り酵素処理によって増加したDP8〜9である糖鎖の量を算出することにより求めることができる。
また、本発明で用いる澱粉分解物は、分子量が14000〜80000である画分の含有量(質量%)yが、下記(2)を満たすことを特徴とする。
(2)31≦y≦60
本発明で用いる澱粉分解物は、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)xと、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)yとが、前記(1)及び(2)の両方を満たすことを特徴とする。後述する実施例で示す通り、これらの2つの条件を同時に満たすことで、米飯又は米飯加工食品の粒感を向上させることができる。また、この澱粉分解物を用いることで、製造時に食用油脂を用いた場合に、油脂の分散性を向上させることができる。その結果、米飯又は米飯加工食品の製造時の作業性を向上させ、かつ、米飯又は米飯加工食品のほぐれ性及び粒感を向上させることが可能である。
本発明で用いる澱粉分解物は、前記(1)及び(2)を満たしていればよいが、前記xは、下記(1’)を満たすことが好ましい。前記xが、下記(1’)を満たすと、米飯又は米飯加工食品の粒感や、製造時に食用油脂を用いた場合の油脂の分散性を更に向上させ、その結果、米飯又は米飯加工食品の製造時の作業性を更に向上させ、かつ、米飯又は米飯加工食品のほぐれ性及び粒感を更に向上させることができる。
(1’)8≦x
また、前記yは、下記(2’)を満たすことが好ましい。前記yが、下記(2’)を満たすと、米飯又は米飯加工食品の粒感や、製造時に食用油脂を用いた場合の油脂の分散性を更に向上させ、その結果、米飯又は米飯加工食品の製造時の作業性を更に向上させ、かつ、米飯又は米飯加工食品のほぐれ性及び粒感を更に向上させることができる。
(2’)35≦y≦60
本発明で用いる澱粉分解物において、分子量が14000〜80000である画分には、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖を有する分岐糖質の少なくとも一部が含まれていてもよい。即ち、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖を有する分岐糖質の一部又は全部が、分子量が14000〜80000である画分に含まれていてもよく、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖を有する分岐糖質の一部が、分子量が14000〜80000である画分以外の画分に含まれていてもよい。
更に、本発明に用いる澱粉分解物において、グルコース重合度(DP)が3〜7である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)zは、下記(3)を満たすことが好ましい。
(3)z≦15
グルコース重合度(DP)が3〜7である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)を15質量%以下とすることにより、米飯又は米飯加工食品の粒感や、製造時に食用油脂を用いた場合の油脂の分散性を更に向上させ、その結果、米飯又は米飯加工食品の製造時の作業性を更に向上させ、かつ、米飯又は米飯加工食品のほぐれ性及び粒感を更に向上させることができる。
なお、グルコース重合度(DP)が3〜7である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)zは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)xと同様に、澱粉分解物中に含まれるDP3〜7である糖鎖の含有量と、澱粉分解物をイソアミラーゼやプルラナーゼ等の枝切り酵素で処理することにより分岐鎖が切られた状態でのDP3〜7である糖鎖の含有量とを測定し、枝切り酵素処理によって増加したDP3〜7である糖鎖の量を算出することにより求めることができる。
<澱粉分解物の製造方法>
本発明で用いる澱粉分解物は、その組成自体が新規であって、その収得の方法については特に限定されることはない。例えば、澱粉原料を、一般的な酸や酵素を用いた処理や、各種クロマトグラフィー、膜分離、エタノール沈殿等の所定操作を適宜、組み合わせて行うことによって得ることができる。
本発明で用いる澱粉分解物を得るために原料となり得る澱粉原料としては、公知の澱粉分解物の原料となり得る澱粉原料を1種又は2種以上自由に選択して用いることができる。例えば、コーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉等の澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯、キャッサバ、甘藷等のような地下茎又は根由来の澱粉(地下系澱粉)を挙げることができる。
本発明で用いる澱粉分解物を効率的に得る方法として、澱粉原料を、酸又はαアミラーゼを用いて液化した後、枝作り酵素を作用させる方法がある。酸を用いて液化する場合、本発明で用いる澱粉分解物の製造に用いることができる酸の種類は特に限定されず、澱粉の酸液化が可能な酸であれば、公知の酸を1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、塩酸、シュウ酸等を用いることができる。
また、澱粉原料の酸液化の前後や、枝作り酵素を作用させる前後に、他の分解酵素(例えば、αアミラーゼ等)による処理を自由に組み合わせることも可能である。例えば、澱粉原料を、酸を用いて液化した後、枝作り酵素を作用させ、更に、他の分解酵素(例えば、αアミラーゼ等)による処理を行う方法を採用することも可能である。このように、酸液化、枝作り酵素による作用の後に、分解酵素を作用させることで、澱粉分解物の分解度を所望の範囲に調整することが容易になる。
また、本発明で用いる澱粉分解物は、澱粉原料の酸液化を行わず、澱粉原料をαアミラーゼ等の分解酵素を用いて液化し、次いで、枝作り酵素を用いた処理を行った後、更に、αアミラーゼ等の分解酵素を用いて分解することによっても、製造することができる。
ここで、枝作り酵素(branching enzyme)とは、α−1,4−グルコシド結合でつながった直鎖グルカンに作用して、α−1,4−グルコシド結合を切断してα−1,6−グルコシド結合による枝分かれを形成させる働きを持った酵素の総称である。本発明で用いる澱粉分解物の製造で枝作り酵素を用いる場合、その種類は特に限定されず、公知の枝作り酵素を1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、動物や細菌等から精製したもの、又は、馬鈴薯、イネ種実、トウモロコシ種実等の植物から精製したもの等を用いることができる。
以上のように、本発明で用いる澱粉分解物を製造する方法は特に限定されないが、澱粉原料を酸又は酵素で液化した後、枝作り酵素処理を行う方法が好ましい。この方法を用いれば、グルコース重合度(DP)8〜9の分岐鎖の含有量を所望の範囲に調整しやすいため、本発明で用いる澱粉分解物を安価にかつ、工業的に製造する場合に好適である。更に、澱粉原料の液化の前後や、枝作り酵素を作用させる前後に、αアミラーゼ処理を行う方法が好ましい。この方法を用いれば、澱粉分解物の分解度を所望の範囲に調整することが容易になる。
また、本発明では、目的の澱粉分解物となるように各種処理を行った後に、活性炭脱色、イオン精製等を行い、不純物を除去することも可能であり、不純物を除去することが好ましい。
更に、固形分30〜80%に濃縮して液体状にすることや、真空乾燥や噴霧乾燥により脱水乾燥することで粉末化した状態で米飯改良剤として用いることも可能である。
<米飯改良剤>
本発明に係る米飯改良剤は、前述した澱粉分解物を有効成分とすることを特徴とする。また、本発明に係る米飯改良剤は、澱粉分解物特有の不快な風味が非常に少ないため、米飯や米飯加工食品の風味への悪影響がほとんどなく、様々な加工食品への応用が可能である。
本発明に係る米飯改良剤は、有効成分として前述した澱粉分解物を含んでいれば、前述した澱粉分解物のみで構成されていてもよいし、本発明の効果を損なわない限り、他の成分を1種又は2種以上、自由に選択して含有させることもできる。他の成分としては、例えば、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、乳化剤等の成分を用いることができる。更に、公知の又は将来的に見出される機能を有する成分を、適宜目的に応じて併用することも可能である。前述した澱粉分解物は、食品に分類されるため、当該澱粉分解物以外の成分の選択次第では、本発明に係る米飯改良剤を食品として取り扱うことも可能である。
また、本発明に係る米飯改良剤には、食用油脂を含有させることが可能である。本発明に係る米飯改良剤に用いることが可能な食用油脂は、米飯や米飯加工食品の製造時に用いることができる食用油脂であれば特に限定されず、公知の食用油脂を1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、サフラワー油、ひまわり油、綿実油、菜種油、大豆油、米油、椿油、コーン油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、ゴマ油、アマニ油、アボカド油、ココナッツ油、エゴマ油、チアシード油、グレープシード油等の植物性油脂、牛脂、魚油、鯨油、豚脂等の動物性油脂、これらを原料としたエステル交換油、硬化油、分別油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、これらを粉末加工した粉末油脂等の加工油脂等を挙げることができる。
本発明に係る米飯改良剤に食用油脂を含有させる場合、本発明の効果を損なわない限り、その配合量は特に限定されず、自由に設定することができる。本発明では特に、前記澱粉分解物と前記食用油脂との質量割合を、2:1〜15:1に設定することが好ましく、3:1〜12:1がより好ましく、6:1〜10:1がさらにより好ましい。この範囲に設定することで、米飯改良剤の製造が容易となり、品質も安定し、製造された米飯又は米飯加工食品のほぐれ性及び粒感や艶を、更に向上させることができる。
また、本発明に係る米飯改良剤には、前述した澱粉分解物以外に、穀粉、澱粉及びこれらの加工品を含有させることも可能である。穀粉、澱粉及びこれらの加工品を含有させる場合、本発明の効果を損なわない限り、その種類は特に限定されず、公知の穀粉又はその加工品を1種又は2種以上自由に選択して用いることができる。例えば、米粉、トウモロコシ粉、大豆粉等の穀粉、米澱粉(例えば、もち米澱粉、うるち米澱粉など)、コーンスターチ(例えば、通常のコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチなど)、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等の澱粉、及びこれらを原料とした加工品(例加工穀粉、加工澱粉等)が挙げられる。この中でも特に、米飯又は米飯加工食品の風味と食感に影響を与えないという観点から、米由来の米粉を用いることが好ましい。また、米粉を用いることで、本発明に係る米飯改良剤に食用油脂を含有させる場合、食用油脂を吸着した状態で米粉が水に分散するため、更に食用油脂の分散性を向上させることができる。
本発明に係る米飯改良剤の形態は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、自由な形態に設計することが可能である。例えば、前述した澱粉分解物と他の任意の成分を混合した状態(所謂、ミックス製品)で流通させることが可能であり、具体的な形態としては、粉末状、顆粒状、水分を含有する乳化物状等を挙げることができる。この中でも特に、粉末状や顆粒状の形態が、保存安定性が高い点で好ましい。
<米飯又は米飯加工食品の製造方法>
本発明に係る米飯又は米飯加工食品の製造方法は、前述した澱粉分解物又は米飯改良剤を添加する工程を含む方法である。本発明に係る米飯又は米飯加工食品の製造方法において、前述した澱粉分解物又は米飯改良剤を添加する方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、米飯又は米飯加工食品の製造工程のいずれかにおいて添加することができる。例えば、米を必要に応じて研ぎ、所定量の水で浸漬し、その浸漬前又は後に、前述した澱粉分解物又は米飯改良剤を添加して撹拌し分散させた後、炊飯する方法を選択することができる。なお、炊飯時に、前述した米飯改良剤に含有させることが可能な食用油脂や、炊飯専用油等の他の米飯改良剤と併用することもできる。
また、公知の方法で炊飯した後、炊飯後の米飯を加工する工程で、前述した澱粉分解物又は米飯改良剤を添加することもできる。例えば、炒飯等の米飯加工食品を製造する場合、炊飯後の米飯を炒める時点で、前述した澱粉分解物又は米飯改良剤を添加することも可能である。
更に、前述した澱粉分解物又は米飯改良剤を炊飯時に添加し、炊飯後の米飯を加工する工程においても、更に、前述した澱粉分解物又は米飯改良剤を添加する方法を採用することもできる。
本発明に係る米飯又は米飯加工食品の製造方法において、前記澱粉分解物や米飯改良剤の添加量は、本発明の効果を損なわない限り自由に設定することができる。本発明では特に、生米100質量部に対して、前記澱粉分解物として0.5質量部以上添加することが好ましく、1.0質量部以上添加することがより好ましく、1.5質量部以上添加することがさらにより好ましい。後述する実施例で示す通り、前記澱粉分解物として0.5質量部以上添加することで、米飯又は米飯加工食品の粒感を更に向上させることができる。
前記澱粉分解物や米飯改良剤の添加量の上限は特に限定されないが、あまりにも多く入れすぎると、製造後の米飯又は米飯加工食品が、十分に糊化されない場合があり、製造において加水量を適宜調整する必要が生じる。また、コスト面を考慮すると、生米100質量部に対して、前記澱粉分解物として10.0質量部以下添加することが好ましく、8.0質量部以下がより好ましく、6.0質量部以下がさらにより好ましい。
本発明に係る製造方法によって製造できる米飯又は米飯加工食品としては、特に限定されず、公知のあらゆる米飯加工食品を製造することが可能である。例えば、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート等における、常温又は冷蔵の温度帯で搬送、保存、陳列される、各種持ち帰り弁当のご飯、おにぎり、炊き込みご飯、パエリア、ピラフ、寿司、炒飯等の米飯食品が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
(1)試験方法
[枝作り酵素]
本実験例では、枝作り酵素の一例として、WO00/58445の方法に則って、精製したRhodothermus obamensis由来の酵素(以下「枝作り酵素」とする)を用いた。
なお、枝作り酵素の活性測定は、以下の方法で行った。
基質溶液として、0.1M酢酸緩衝液(pH5.2)にアミロース(Sigma社製,A0512)を0.1質量%溶解したアミロース溶液を用いた。
50μLの基質液に50μLの酵素液を添加し、30℃で30分間反応させた後、ヨウ素-ヨウ化カリウム溶液(0.39mMヨウ素−6mMヨウ化カリウム−3.8mM塩酸混合用液)を2mL加え反応を停止させた。ブランク溶液として、酵素液の代わりに水を添加したものを調製した。反応停止から15分後に660nmの吸光度を測定した。枝作り酵素の酵素活性量1単位は、上記の条件で試験する時、660nmの吸光度を1分間に1%低下させる酵素活性量とした。
[DE]
「澱粉糖関連工業分析法」(澱粉糖技術部会編)のレインエイノン法に従って算出した。
[澱粉分解物の分子量14000〜80000の画分の含有量]
下記の表1に示す条件で、ゲルろ過クロマトグラフィーにて分析を行った。分子量スタンダードとして、ShodexスタンダードGFC(水系GPC)カラム用Standard P-82(昭和電工株式会社製)を使用し、分子量スタンダードの溶出時間と分子量の相関から算出される検量線に基づいて、澱粉分解物中の分子量14000〜80000の画分の含有量を算出した。
[澱粉分解物中のDP8〜9である分岐鎖又はDP3〜7である分岐鎖の含有量]
a.未処理の澱粉分解物中のDP8〜9又はDP3〜7である糖鎖の含有量の測定
Brix1%に調整した澱粉分解物溶液について、下記表2に示す条件で液体クロマトグラフィーにて分析を行い、保持時間に基づいて、DP8〜9又はDP3〜7の含量を測定した。
b.分岐鎖が切られた状態の澱粉分解物の枝切り酵素処理物中のDP8〜9又はDP3〜7である糖鎖の含有量の測定
Brix5%に調整した澱粉分解物溶液200μLに、1M酢酸緩衝液(pH5.0)を2μL、イソアミラーゼ(Pseudomonas sp.由来、Megazyme製)を固形分(g)当たり125ユニット、プルラナーゼ(Klebsiella planticola由来、Megazyme製)を固形分(g)当たり800ユニット添加し、水で全量400μLになるように調整した。これを40℃で24時間酵素反応させた後、煮沸により反応を停止した。これに600μLの水を加え、12000rpmにて5分間遠心分離を行った。上清900μLを脱塩、フィルター処理後、表2に示す条件で液体クロマトグラフィーにて分析を行い、保持時間に基づいて、DP8〜9又はDP3〜7の含量を測定した。
c.澱粉分解物中のDP8〜9又はDP3〜7である分岐鎖の含有量の算出
前記bで求めたDP8〜9の含量から、前記aで求めたDP8〜9の含量を引くことにより、澱粉分解物中のDP8〜9である分岐鎖の含有量を算出した。同様に、前記bで求めたDP3〜7の含量から、前記aで求めたDP3〜7の含量を引くことにより、澱粉分解物中のDP3〜7である分岐鎖の含有量を算出した。
[評価方法]
a.粒感(適度な硬さと弾力を有する食感があり、米粒の形が整っていること)
下記の表3〜7に示す米飯又は米飯加工食品について、10名のパネラーで下記の評価基準を用いて粒感を評価した。パネラーの評価点の平均値を算出して、小数点第二位を四捨五入した値を評価点とした。
5:しっかりと粒感があり、非常に良好
4:粒感があり、良好
3:普通
2:粒感がほぼなく、やや悪い
1:粒感がなく、悪い
b.油脂の分散性
下記の表5〜7に示す油脂の分散性について、下記の評価基準に基づいて専門パネラーが評価を行った。
◎:良好
○:やや良好
△:許容範囲
×:悪い
c.作業性(おにぎり成形時・釜離れ)
下記の表5〜7に示す作業性(おにぎり成形時・釜離れ)について、下記の評価基準に基づいて専門パネラーが評価を行った。
◎:良好
○:やや良好
△:許容範囲
×:悪い
d.ほぐれ性(喫食時)
下記の表5〜7に示す米飯又は米飯加工食品について、10名のパネラーで下記の評価基準を用いてほぐれ性を評価した。パネラーの評価点の平均値を算出して、小数点第二位を四捨五入した値を評価点とした。
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
e.艶
下記の表5〜7に示す米飯又は米飯加工食品について、10名のパネラーで下記の評価基準を用いて艶を評価した。パネラーの評価点の平均値を算出して、小数点第二位を四捨五入した値を評価点とした。
5:非常に艶がある
4:艶がある
3:普通
2:艶がなく、やや老化した感じがある
1:艶がなく、老化した感じがある
(2)澱粉分解物の製造
[澱粉分解物A]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE7になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり600ユニット添加し、65℃で60時間反応させた。更にαアミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、80℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが10になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Aを得た。
[澱粉分解物B]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(スピターゼHK、ナガセケムテックス株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE7になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり400ユニット添加し、65℃で60時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度45質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Bを得た。
[澱粉分解物C]
10%塩酸にてpH2.5に調整した30質量%のコーンスターチスラリーを、140℃の温度条件でDE4まで分解した。常圧に戻した後、消石灰を用いて中和することにより反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、αアミラーゼ(ターマミル120L、ノボザイムズ社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、95℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが8になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり500ユニット添加し、65℃で45時間反応させた。更にαアミラーゼ(ターマミル120L、ノボザイムズ社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、80℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが9になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Cを得た。
[澱粉分解物D]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のタピオカスターチスラリーに、αアミラーゼ(ターマミル120L、ノボザイムズ社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE10になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Dを得た。
[澱粉分解物E]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した20質量%のワキシーコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE3になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり100ユニット添加し、65℃で5時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度30質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Eを得た。
[澱粉分解物F]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した20質量%のワキシーコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(ターマミル120L、ノボザイムズ社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE3になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度30質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Fを得た。
[澱粉分解物G]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(スピターゼHK、ナガセケムテックス株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE17になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Gを得た。
(3)測定
前記で得られた澱粉分解物A〜Gについて、それぞれ、澱粉分解物中のDE、DP8〜9である分岐鎖の含有量、分子量14000〜80000の画分の含有量、DP3〜7の分岐鎖の含有量を、前述した方法で測定した。結果は、下記の実験例の結果と共に、下記表3及び表5に示す。
<実験例1>
実験例1では、澱粉分解物の具体的な糖組成が、米飯の炊飯時にどのように影響するかを検討した。
具体的には、生米800gを水1160gに40分間浸漬した後、生米100質量部に対し、1.5質量部の澱粉分解物A〜Gをそれぞれ添加して炊飯し、25分間蒸らし、下記表3に示す実施例1〜3及び比較例1〜4の米飯を得た。なお、生米800gを水1160gに40分間浸漬した後炊飯し、25分間蒸らしたものを参考例1とした。各米飯を真空冷却機で25℃に調温した後、蓋付き容器に詰めて20℃で24時間保存し、その各米飯について、前述した方法で粒感の官能評価を行った。結果を表3に示す。
表3に示す通り、DP8〜9の分岐鎖の含有量が7質量%以上、かつ、分子量14000〜80000の画分の含有量が31〜60質量%範囲内の実施例1〜3は、比較例1〜4に比べて、米飯の粒感の評価が高かった。即ち、本発明に係る米飯改良剤を用いれば、米飯の炊飯時において、従来からの澱粉分解物を用いる場合に比べて、高い米飯改良効果を発揮することが分かった。
<実験例2>
実験例2では、米飯の炊飯時において、本発明に係る米飯改良剤の添加量の違いによる米飯改良効果を検討した。
具体的には、生米800gを水1200gに40分間浸漬した後、生米100質量部に対し、下記表4に示す量の澱粉分解物Cを添加して炊飯し、25分間蒸らし、実施例4〜5の米飯を得た。各米飯を真空冷却機で25℃に調温した後、蓋付き容器に詰めて20℃で24時間保存し、その各米飯について、前述した方法で粒感の官能評価を行った。結果を表4に示す。
表4に示す通り、実施例4〜7の全てにおいて、米飯の粒感の評価は良好であり、米飯改良剤の効果は、澱粉分解物Cの用量依存的に高くなる傾向が確認された。
<実験例3>
実験例3では、澱粉分解物の具体的な糖組成が、米飯加工食品の製造時にどのように影響するかを検討した。
具体的には、生米800gを水1240gに40分間浸漬した後、生米100質量部に対して0.6質量部の食用油脂(高オレイン酸ひまわり油(昭和産業株式会社製、以下同様)(油脂の分散性、おにぎり成形時の作業性の評価時のみ0.2質量%のβカロテンを添加して着色した。以下同様))と、5.0質量部の澱粉分解物A〜Gを添加して軽く撹拌後炊飯し、炊飯後25分間蒸らして、実施例8〜10及び比較例5〜8の米飯を得た。なお、生米800gを水1240gに40分間浸漬した後、生米100質量部に対して0.6質量部の食用油脂(高オレイン酸ひまわり油)を添加して軽く撹拌後炊飯し、25分間蒸らしたものを参考例2とした。炊飯前に水への油脂の分散性を評価し、炊飯後に米飯への油脂の分散性を評価した。得られた各米飯を25℃に調温し、調温した各米飯3kgをおにぎりの成形機(小型成形機GKT3000、不二精機株式会社)へ投入し、1個当たり95gになるよう調整しておにぎりを製造し、作業性を評価した。製造した各おにぎりを、蓋付き容器に詰めて20℃で24時間保存した後、前述した方法でおにぎりの粒感、ほぐれ性、艶の官能評価を行った。結果を下記表5に示す。
表5に示す通り、DP8〜9の分岐鎖の含有量が7質量%以上、かつ、分子量14000〜80000の画分の含有量が31〜60質量%範囲内の実施例8〜10は、比較例5〜8に比べて、水への油脂の分散性、炊飯後の油脂の分散性、おにぎり成形時の作業性、及びおにぎりの粒感・ほぐれ性・艶の官能評価の全てにおいて、その評価が高かった。即ち、本発明に係る米飯改良剤を用いれば、米飯加工食品の製造時において、従来からの澱粉分解物を用いる場合に比べて、高い米飯改良効果を発揮することが分かった。
参考までに、参考例2と実施例10について、炊飯前の釜の様子と、炊飯後の米飯を底部から視た様子を、図1及び図2にそれぞれ示す。図1及び図2に示す通り、本発明に係る米飯改良剤を用いることにより、炊飯時における水への油脂の分散性が向上し、かつ、炊飯後の米飯への油脂の分散性も向上することが分かった。
<実験例4>
実験例4では、米飯加工食品の製造時において、本発明に係る米飯改良剤の添加量の違いによる米飯改良効果を検討した。
具体的には、生米800gを水1240gに40分間浸漬した後、生米100質量部に対して0.6質量部の高オレイン酸ひまわり油と、下記表6に示す量の澱粉分解物Cを添加して軽く撹拌後炊飯し、炊飯後25分間蒸らして、実施例11〜14の米飯を得た。炊飯前に水への油脂の分散性を評価し、炊飯後に米飯への油脂の分散性を評価した。得られた各米飯を25℃に調温し、調温した各米飯3kgをおにぎりの成形機(小型成形機GKT3000、不二精機株式会社)へ投入し、1個当たり95gになるよう調整しておにぎりを製造し、作業性を評価した。製造した各おにぎりを、蓋付き容器に詰めて20℃で24時間保存した後、前述した方法でおにぎりの粒感、ほぐれ性、艶の官能評価を行った。結果を下記表6に示す。
表6に示す通り、澱粉分解物の添加量が多くなるに従って、水への油脂の分散性、炊飯後の米飯への油脂の分散性、おにぎり成形時の作業性、及びおにぎりの粒感・ほぐれ性・艶の官能評価の全てにおいて、その評価が向上することが分かった。即ち、米飯加工食品の製造時における本発明の米飯改良剤の効果は、用量依存的に高くなる傾向が確認された。
<実験例5>
実験例5では、米飯の炊飯時において、米飯改良剤として、澱粉分解物と食用油脂を予め含んだミックスの形態で添加した場合の米飯改良効果を検討した。
具体的には、まず、下記表7に記載の配合量で、澱粉分解物と食用油脂が均一になるように混合し、ミックス(米飯改良剤)(油脂の分散性、作業性(釜離れ)の評価時のみ0.2質量%のβカロテンを食用油脂に添加して着色した。)を製造した。生米800gを水1240gに40分間浸漬した後、予め製造したミックス(米飯改良剤)を下記表7に記載の量で添加して軽く撹拌後炊飯し、炊飯後25分間蒸らし、実施例15〜22の米飯を得た。炊飯前に水への油脂の分散性を評価し、炊飯後に米飯への油脂の分散性と、釜離れ等の作業性を評価した。各米飯について、真空冷却機で25℃に調温した後、蓋付き容器に詰めて20℃で24時間保存した各米飯について、前述した方法で米飯の粒感、ほぐれ性、艶の官能評価を行った。結果を表7に示す。
表7に示す通り、澱粉分解物と食用油脂を予め含んだミックスの形態で本発明の米飯改良剤添加した場合であっても、前述した各実験例と同様に、米飯改良効果が発揮されることが証明された。また、前記実験例2及び4と同様に、澱粉分解物の添加量が多くなるに従って、水への油脂の分散性、炊飯後の油脂の分散性、釜離れ等の作業性、及び米飯の粒感・ほぐれ性・艶の官能評価の全てにおいて、その評価が向上することが分かった。即ち、米飯加工食品の製造時における本発明の米飯改良剤の効果は、用量依存的に高くなる傾向が確認された。また、実施例21、22の結果から、本発明に係る米飯改良剤に米粉を含有させることで、米飯改良効果が向上することが分かった。
参考までに、実施例16と21について、炊飯前の釜の様子、炊飯後の釜を上部から視た様子、及び炊飯後の米飯を底部から視た様子を、図3及び図4にそれぞれ示す。図3及び図4に示す通り、本発明に係る米飯改良剤を用いることにより、炊飯時における水への油脂の分散性が向上し、かつ、炊飯後の油脂の分散性も向上することが分かった。
また、前記実験例3における実施例9及び10と、実施例15及び16とを比較すると、実施例15及び16の方が食用油脂の添加量が少ないにも関わらず、全ての結果について良好な結果であった。また、前記実験例4における実施例12と、実施例18とを比較すると、実施例18の方が食用油脂の添加量が少ないにも関わらず、水への油脂の分散性、釜離れ等の作業性、及び米飯の粒感・ほぐれ性・艶の官能評価において、良好な結果であった。特に、ほぐれ性については、実施例15、16及び18において大きく向上していた。この結果から、澱粉分解物と食用油脂を別々に添加するよりも、澱粉分解物と食用油脂とをミックスしてから添加する方が、油脂の水への分散性が向上するため、ほぐれ性を向上させるために添加する食用油脂量を少なくすることができ、また、同等量の食用油脂を添加する場合は、ほぐれ性を大きく向上させることができることが分かった。

Claims (7)

  1. 下記(1)及び(2)を満たす主鎖と分岐鎖とからなる分岐糖質を含む澱粉分解物を有効成分とする米飯改良剤。
    (1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
    (2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
  2. 前記xが、下記(1’)を満たす請求項1に記載の米飯改良剤。
    (1’)8≦x
  3. 前記yが、下記(2’)を満たす請求項1又は2に記載の米飯改良剤。
    (2’)35≦y≦60
  4. 前記澱粉分解物の分子量が14000〜80000である画分に、グルコース重合度(DP)が8〜9である前記分岐鎖を有する分岐糖質の少なくとも一部が含まれる請求項1から3のいずれか一項に記載の米飯改良剤。
  5. 食用油脂を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の米飯改良剤。
  6. 前記澱粉分解物と前記食用油脂との質量割合が、2:1〜15:1である請求項5記載の米飯改良剤。
  7. 下記(1)及び(2)を満たす主鎖と分岐鎖とからなる分岐糖質を含む澱粉分解物を添加する工程を含む、米飯又は米飯加工食品の製造方法。
    (1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
    (2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
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