JP2019023256A - オキセタン環含有ラクトン重合体、及びその製造方法 - Google Patents

オキセタン環含有ラクトン重合体、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】揮発性が低く、硬化させる際には硬化収縮が小さく、硬化させることにより柔軟性が高い硬化物を与えることができる硬化性オキセタン樹脂組成物の樹脂原料として有用な新規オキセタン化合物、及びその製造方法を提供すること。【解決手段】本発明は、分子内にオキセタン環を含有するラクトン重合体(オキセタン環含有ラクトン重合体)を提供する。当該オキセタン環含有ラクトン重合体は、好ましくは、オキセタン環及び水酸基を有する化合物(但し、分子内にオキセタン環を含有するラクトン重合体を除く)の水酸基にラクトンが開環重合した構造を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や熱硬化型樹脂組成物の樹脂成分として有用なオキセタン環含有ラクトン重合体、及びその製造方法に関する。
反応性官能基としての水酸基を有するオキセタン化合物は、塗料、コーティング剤、接着剤、電気絶縁材料、導波路(光導波路、混載基板など)、半導体封止材料、土木建築材料、アンダーフィル、インクジェット用インク、カラーフィルター、ナノインプリント、フレキシブル基板などの分野で使用される活性エネルギー硬化型樹脂組成物や熱硬化型樹脂組成物の樹脂成分として有用である(例えば、特許文献1、2参照)。
国際公開WO2007/142236パンフレット 特開2001−163961号公報
特許文献1、2等の従来のオキセタン化合物を含む硬化性樹脂組成物を硬化させると柔軟性が高い硬化物が得られるが、フレキシブル基板、柔軟接着剤、アンダーフィルなどのさらに高い柔軟性が要求される分野では、さらに可塑剤を加えて柔軟性を高める必要があった。また、従来のオキセタン化合物は分子量が小さいものが多く、沸点が低いため揮発しやすく、硬化収縮が大きいなどの問題があった。
従って、本発明の目的は、揮発性が低く、硬化させる際には硬化収縮が小さく、硬化させることにより柔軟性が高い硬化物を与えることができる硬化性オキセタン樹脂組成物の樹脂原料として有用な新規オキセタン化合物としてのオキセタン環含有ラクトン重合体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記オキセタン環含有ラクトン重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ラクトン重合体にオキセタン環を導入することにより得られるラクトン重合体によれば、揮発性が低く、該ラクトン重合体を含む硬化性オキセタン樹脂組成物を硬化させる際には硬化収縮が小さく、硬化させることにより柔軟性が高い硬化物を与えることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、分子内にオキセタン環を含有するラクトン重合体(以下、「オキセタン環含有ラクトン重合体」と称する場合がある)を提供する。
前記オキセタン環含有ラクトン重合体は、オキセタン環及び水酸基を有する化合物(但し、分子内にオキセタン環を含有するラクトン重合体を除く)の水酸基にラクトンが開環重合した構造を有していてもよい。
前記オキセタン環含有ラクトン重合体において、前記オキセタン環及び水酸基を有する化合物は、下記式(2a)で表される化合物であってもよい。
Figure 2019023256
(式(2a)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
前記オキセタン環含有ラクトン重合体において、ラクトンは、置換基を有していてもよい、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、又はε−カプロラクトンであってもよい。
前記オキセタン環含有ラクトン重合体において、ラクトンは、ε−カプロラクトンであってもよい。
また、本発明は、前記オキセタン環含有ラクトン重合体を含有する硬化性オキセタン樹脂組成物を提供する。
前記硬化性オキセタン樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物又は熱硬化型樹脂組成物であってもよい。
また、本発明は、前記硬化性オキセタン樹脂組成物の硬化物を提供する。
さらに、本発明は、オキセタン環及び水酸基を有する化合物(但し、分子内にオキセタン環を含有するラクトン重合体を除く)を開始剤として、ラクトンを開環重合することを特徴とする、オキセタン環含有ラクトン重合体の製造方法を提供する。
前記オキセタン環含有ラクトン重合体の製造方法において、前記オキセタン環及び水酸基を有する化合物は、下記式(2a)で表される化合物であってもよい。
Figure 2019023256
(式(2a)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
前記オキセタン環含有ラクトン重合体の製造方法において、ラクトンは、置換基を有していてもよい、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、又はε−カプロラクトンであってもよい。
前記オキセタン環含有ラクトン重合体の製造方法において、ラクトンは、ε−カプロラクトンであってもよい。
本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体は、揮発性が低く、硬化の際に硬化収縮が小さい。また、本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体を含む硬化性オキセタン樹脂組成物を硬化させることにより、柔軟性が高い硬化物が得られる。従って、本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体は、フレキシブル基板、柔軟接着剤、アンダーフィルなどの高い柔軟性が要求される分野で使用される活性エネルギー線硬化型オキセタン樹脂組成物、熱硬化型オキセタン樹脂組成物の樹脂原料として有用である。
実施例1で得られたオキセタン環含有ラクトン重合体の1H−NMRスペクトルのチャートである。
[分子内にオキセタン環を含有するラクトン重合体]
本発明の分子内にオキセタン環を含有するラクトン重合体(オキセタン環含有ラクトン重合体)は、分子内に少なくとも1つのオキセタン環が共有結合でラクトン重合体構造に結合するものであれば、特に限定されない。
本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体に含まれるオキセタン環の数は、1個以上であれば特に限定されないが、1個以上20個以下が好ましく、1個以上8個以下がより好ましく、4個がさらに好ましい。オキセタン環の数が、21個以上になると、硬化物のTgが大きく低下する傾向があり、また重合体自体の結晶性が上がりハンドリング性が低下しやすい。
本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体における「ラクトン重合体」の部分の構造は、特に限定されないが、例えば、ラクトン(環状エステル)が開環重合して形成されるポリエステル構造が挙げられる。
(ラクトン)
前記ラクトンとしては、特に限定されないが、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019023256
式(1)中、Aは、置換基を有していてもよい炭素数2〜9のアルキレン基を示す。Aにおける炭素数2〜9のアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基などが挙げられる。
Aは置換基を有していてもよい。前記置換基としては、アルキル基やアルコキシ基等を挙げることができる。置換基の数は、特に限定されず、例えば、1〜5個、好ましくは1〜3個である。置換基が2個以上の場合は、置換基は同一であっても、異なっていてもよい。
前記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基等の炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基等を挙げることができる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜10程度(好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)のアルコキシ基等を挙げることができる。
上記式(1)で表されるラクトンの代表的な例としては、β−プロピオラクトン、3−メチル−β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、3−メチル−δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、3−メチル−ε−カプロラクトン、4−メチル−ε−カプロラクトン、3,3,5−トリメチル−ε−カプロラクトン、ζ−エナントラクトン、η−カプリロラクトン(=8−ヒドロキシオクタン酸ラクトン)等の炭素数3〜10のラクトンなどが挙げられる。これらのラクトンの中でも、バレロラクトン類、カプロラクトン類等の炭素数4〜8のラクトンが好ましく、特に、工業性や経済性などの点から、ε−カプロラクトンなどのカプロラクトン類が好ましい。
また、上記ラクトンには、式(1)で表される化合物の他に、例えば、1,4−ジオキサン−2−オン等のジオキサン類も含まれる。該ジオキサン類は、上述のAの置換基を有していてもよい。
前記ラクトンが不斉炭素を有する場合、光学活性体であっても、ラセミ体であってもよく、また、光学活性体の任意の割合の混合物であってもよい。また、不斉炭素が2以上存在する場合は、光学活性体であっても、ジアステレオマーの混合物であってもよい。
本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体は、前記ラクトンが、1種単独で開環重合したものであってもよく、2種以上を組み合わせて開環重合したものであってもよい。
本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体は、前記ラクトンと共に、ラクトンと共重合可能な他の重合性モノマー(例えば、ラクチド、トリメチレンカーボネート、グリコリド等)が開環重合されたものであってもよい。その場合は、ラクトン由来の構成単位と他のモノマー由来の構成単位を有するラクトン重合体となる。尚、開環重合される全重合性モノマーにおけるラクトンの割合は、例えば50重量%以上である。
[オキセタン環含有ラクトン重合体の製造方法]
本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、分子内にオキセタン環と水酸基を含有する化合物(但し、オキセタン環含有ラクトン重合体を除く。以下、「水酸基含有オキセタン化合物」と称する場合がある。)を開始剤として上記のラクトンを開環重合する方法等が挙げられる。以下に、上記方法について説明するが、本発明はこれに限定されず、オキセタン環をラクトン重合体に導入できる限り限定されない。
本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体の製造方法の1の態様(以下、「本発明の製造方法」と称する場合がある)は、触媒の存在下又は非存在下、水酸基含有オキセタン化合物を開始剤として、前記のラクトンを開環重合することによって製造することができる。本発明の製造方法により製造されるオキセタン環含有ラクトン重合体は、水酸基含有オキセタン化合物の水酸基にラクトンが開環重合したポリエステル鎖を有しており、ポリエステル鎖の重合度を調整することにより、揮発性を低下させたり、硬化物の柔軟性を向上させることができる。ポリエステル鎖の重合度は、ラクトンと、開始剤としての水酸基含有オキセタン化合物との使用割合を調整することにより、容易に調整することができる。
本発明の製造方法において、前記ラクトンは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の製造方法においては、前記ラクトンと共に、ラクトンと共重合可能な他の重合性モノマー(例えば、ラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン等の環状エステル等)を開環重合に付してもよい。その場合は、ラクトン由来の構成単位と他のモノマー由来の構成単位を有する共重合体が得られる。尚、開環重合に付す全重合性モノマーにおけるラクトンの割合は、例えば50重量%以上である。
(開始剤)
本発明の製造方法では、開始剤として、水酸基含有オキセタン化合物が使用される。水酸基含有オキセタン化合物を開始剤として使用することにより、オキセタン環を導入すると同時に、開環重合反応が制御され、分子量分布の狭いオキセタン環含有ラクトン重合体が得られる。
前記水酸基含有オキセタン化合物に含まれるオキセタン環の数は、1個以上であれば特に限定されないが、1個以上5個以下が好ましく、1個以上4個以下がより好ましく、1個以上2個以下がさらに好ましく、入手容易な点から、1個がさらに好ましい。
前記水酸基含有オキセタン化合物に含まれる水酸基の数は、1個以上であれば特に限定されないが、1個以上4個以下が好ましく、1個以上2個以下がより好ましく、入手容易な点から、1個がさらに好ましい。
前記水酸基含有オキセタン化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(2a)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019023256
式(2a)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。R1における炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基等を挙げることができる。
上記式(2a)で表される化合物の具体例としては、3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−n−ヘプチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどが挙げられ、商品名「OXT−101」(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、東亞合成株式会社製)などの市販品を使用することもできる。
前記水酸基含有オキセタン化合物の他の例としては、例えば、下記式(2b)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019023256
式(2b)中、R2は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。R2における炭素数1〜20のアルキル基としては、R1と同様のものが例示される。
式(2b)中、Bは、置換基を有していてもよい炭素数2〜5のアルキレン基を示す。Bにおける炭素数2〜5のアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基などが挙げられる。
Bは置換基を有していてもよい。前記置換基としては、アルキル基や水酸基等を挙げることができる。前記アルキル基としては、Aの置換基としてのアルキル基と同様のものが挙げられる。置換基の数は、特に限定されず、例えば、1〜5個、好ましくは1〜3個である。置換基が2個以上の場合は、置換基は同一であっても、異なっていてもよい。
式(2b)中、mは、0〜5の整数を示す。mが2以上のとき、複数のBは同一であっても、異なっていてもよい。
上記式(2b)で表される化合物の具体例としては、3−エチル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(3−ヒドロキシプロピル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(4−ヒドロキシブチル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(5−ヒドロキシペンチル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−ヒドロキシエチルオキシエチル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシ−ポリ(エチレンオキシ)メチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシ−ポリ(プロピレンオキシ)メチルオキセタンなどが挙げられ、例えば、WO2007/142236等に記載の方法により製造することができ、市販品を使用することもできる。
さらに、前記水酸基含有オキセタン化合物の他の例としては、例えば、下記式(2c)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019023256
式(2c)中、R3は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。R3における炭素数1〜20のアルキル基としては、R1と同様のものが例示される。
式(2c)中、nは、1〜4の整数を示す。nが2以上のとき、カッコ内の複数のR3は同一であっても、異なっていてもよい。
上記式(2c)で表される化合物は、例えば、特開2010−254893号等に記載の方法により製造することができる。
また、水酸基含有オキセタン化合物としては、特開2001−163961号、特開2005−320491号、特開2010−254893号に記載された化合物を使用することもできる。
本発明の製造方法においては、上述の水酸基含有オキセタン化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、上記式(2a)で表される水酸基含有オキセタン化合物を開始剤として使用することが好ましい。
水酸基含有オキセタン化合物の使用量としては、ラクトン100モルに対して、例えば0.1〜100モル、好ましくは0.5〜100モル、特に好ましくは1〜100モルである。ラクトンと水酸基含有オキセタン化合物のモル比をコントロールすることにより得られるラクトン重合体の分子量を調整することが可能である。
(触媒)
本発明の製造方法は、触媒の非存在下で行うこともできるが、ラクトンの開環重合を促進させるために触媒の存在下で行うことが好ましい。前記触媒としては、例えば、スズ、チタン、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ジルコニウム、及び亜鉛から選択される少なくとも1種の金属の化合物[例えば、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン化合物;オクチル酸スズ、モノブチルスズオキシド、モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、モノブチルスズヒドロキシオキサイド、酸化第1スズ、酸化第1スズ等のスズ化合物;塩化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム]や、アルカリ金属のアルコラート、ブチルリチウム等の有機リチウム化合物等を使用することができる。その他、触媒として、陽イオン交換樹脂(商品名「アンバーリスト15」(オルガノ(株)製)等)、硫酸、過塩素酸、BF3、及びパラトルエンスルホン酸等の酸触媒等も使用することができる。本発明においては、なかでも、取扱い易さ、低毒性、反応性、無着色性、貯蔵安定性等をバランスよく具備する点でスズ化合物、チタン化合物を好適に使用することができ、特に、オクチル酸スズ、塩化第1スズ、テトラブチルチタネートが、少量の使用で優れた触媒活性を有する点で好ましく用いられる。
触媒の使用量としては、上記水酸基含有オキセタン化合物とラクトンの総量に対して、例えば0.01〜200ppm、好ましくは0.1〜50ppmである。触媒の使用量が上記範囲を上回ると着色しやすくなり、製品の安定性に悪影響を与える場合がある。一方、触媒の使用量が上記範囲を下回るとラクトンの付加速度が極端に遅くなる傾向がある。
開環重合反応は、無溶媒下で行ってもよく、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒の存在下で反応を行うと、反応終了後の系内の粘度を低下させる効果が得られ、且つ、反応中の温度コントロールが容易となる。前記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の活性水素をもたない不活性な溶媒を使用することが好ましい。一方、エステル結合を有する溶媒を使用すると、反応中にラクトンのエステル基とエステル交換を起こし、オキセタン環含有ラクトン重合体以外の副生物が生成し易くなるため好ましくない。
前記溶媒の使用量としては、水酸基含有オキセタン化合物とラクトンの総量に対して0〜80重量%、好ましくは0〜50重量%である。溶媒の使用量が上記範囲を上回ると反応成分濃度が低くなり、ラクトンの付加・開環重合反応速度が遅くなる傾向がある。
開環重合反応は、例えば、水酸基含有オキセタン化合物、ラクトン、触媒の順序で反応器に仕込み、次いで反応系内を前記温度に上昇させることにより行うことができる。開環重合反応の経過は、ガスクロマトグラフィー(GC)で反応液中に残存するラクトンの濃度を測定することにより確認することができ、例えばラクトンの濃度が1%以下になった時点を反応の終点とみなすことができる。溶媒の存在下で反応を行った場合、使用した溶媒は反応終了後に除去してもよく、除去しなくてもよい。
本発明の製造方法における反応温度は例えば30〜220℃、好ましくは80〜200℃、特に好ましくは100〜180℃である。反応温度が低すぎると、反応速度が遅くなる傾向がある。一方、反応温度が高すぎると、エステル交換反応による着色や生じた重合体の分解反応が進行するため、色相が良好であり、分子量分布の狭いラクトン重合体を得ることは困難となる傾向がある。また、反応時間は、例えば0.5〜60時間、好ましくは1〜50時間であり、前記範囲内において、反応温度が高い場合は短めに、反応温度が低い場合は長めに調整することが好ましい。更に反応圧力は例えば0.7〜1.3気圧、好ましくは0.8〜1.2気圧、特に好ましくは0.9〜1.1気圧であり、常圧下(1気圧下)で行うことが最も好ましい。
また、反応の雰囲気は反応を阻害しない限り特に限定されないが、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で反応を行うことが好ましい。
本発明の製造方法では、重合性の炭素−炭素二重結合を有する開始剤を使用する場合は、前記開始剤の自己重合を抑制するために、ハイドロキノン、メトキノン(=p−メトキシフェノール)等の重合禁止剤や重合抑制剤を反応系に添加したり、前記重合禁止剤や重合抑制剤の添加と共に、又は重合禁止剤や重合抑制剤の添加に代えて酸素含有ガスを供給しつつ反応を行ってもよい。
本発明の製造方法では、塊状重合、溶液重合、及び懸濁重合の何れの重合方法も採用することができる。
前記溶液重合の際に使用する溶剤としては、比較点沸点が高く且つ反応に不活性な溶媒を使用することが好ましく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素を使用することが好ましい。溶媒は実質的に無水のものが望ましい。
本発明の製造方法では、開環重合反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法で行うこともできる。反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィー等の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段により分離精製できる。
本発明の製造方法により得られるオキセタン環含有ラクトン重合体は、好ましくは開始剤に対し1分子以上のラクトンが開環重合して得られる化合物であり、1分子のラクトンが開環重合して得られるラクトン付加物、1分子を超え10分子以下のラクトンが開環重合して得られるラクトンオリゴマー、及び10分子を超えるラクトンが開環重合して得られるラクトンポリマーが含まれる。オキセタン環含有ラクトン重合体は、ラクトン由来の構成単位をラクトン重合体全量の50モル%以上含有する。前記ラクトン重合体には、ラクトン由来の構成単位以外にもラクトンと共重合可能な他のモノマー由来の構成単位を含有していてもよい。
本発明の製造方法では、色相に優れた(色相[APHA]は、例えば70以下、好ましくは45以下、より好ましくは40以下、特に好ましくは30以下、最も好ましくは25以下)オキセタン環含有ラクトン重合体が得られる。
また、本発明の製造方法で得られるオキセタン環含有ラクトン重合体は低分子量成分の混入割合が低い。そのため、分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が狭く、例えば1.8以下、好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.3以下、最も好ましくは1.25以下、とりわけ好ましくは1.2以下である。そのため、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、熱硬化型樹脂組成物等の原料として使用した場合に、最終製品にブリードアウトやブルーミング(低分子量成分のしみだし)が発生することを抑制することができる。
(硬化性オキセタン樹脂組成物)
本発明の水酸基含有オキセタン化合物は、活性エネルギー線硬化型オキセタン樹脂組成物、熱硬化型オキセタン樹脂組成物(以下、「本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物」と称する場合がある)の樹脂原料として好適に使用することができる。本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物は、さらに、重合開始剤等のその他の成分を含んでいてもよい。
本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物において本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物における本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体の含有量(配合量)は、特に限定されないが、溶媒を除く硬化性オキセタン樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、1重量%以上、99重量%未満が好ましく、より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体の含有量を5重量%以上とすることにより、硬化物の柔軟性がより向上する傾向がある。
[重合開始剤]
本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物は、さらに、重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤は、本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体等の硬化性化合物の重合反応を開始乃至促進することができる化合物である。重合開始剤としてはカチオン重合開始剤が好ましい。前記カチオン重合開始剤は加熱又は光照射によってカチオン種を発生して、重合性化合物の硬化反応を開始させる化合物である。前記カチオン重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)、熱カチオン重合開始剤(熱酸発生剤)等が挙げられる。
上記光カチオン重合開始剤としては、公知乃至慣用の光カチオン重合開始剤を使用することができ、例えば、スルホニウム塩(スルホニウムイオンとアニオンとの塩)、ヨードニウム塩(ヨードニウムイオンとアニオンとの塩)、セレニウム塩(セレニウムイオンとアニオンとの塩)、アンモニウム塩(アンモニウムイオンとアニオンとの塩)、ホスホニウム塩(ホスホニウムイオンとアニオンとの塩)、遷移金属錯体イオンとアニオンとの塩等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウム塩、トリ−p−トリルスルホニウム塩、トリ−o−トリルスルホニウム塩、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム塩、1−ナフチルジフェニルスルホニウム塩、2−ナフチルジフェニルスルホニウム塩、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム塩、トリ−1−ナフチルスルホニウム塩、トリ−2−ナフチルスルホニウム塩、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム塩、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩、4−(p−トリルチオ)フェニルジ−(p−フェニル)スルホニウム塩等のトリアリールスルホニウム塩;ジフェニルフェナシルスルホニウム塩、ジフェニル4−ニトロフェナシルスルホニウム塩、ジフェニルベンジルスルホニウム塩、ジフェニルメチルスルホニウム塩等のジアリールスルホニウム塩;フェニルメチルベンジルスルホニウム塩、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム塩、4−メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム塩等のモノアリールスルホニウム塩;ジメチルフェナシルスルホニウム塩、フェナシルテトラヒドロチオフェニウム塩、ジメチルベンジルスルホニウム塩等のトリアルキルスルホニウム塩等が挙げられる。
上記ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩としては、例えば、商品名「CPI−101A」(サンアプロ(株)製、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート50%炭酸プロピレン溶液)、商品名「CPI−100P」(サンアプロ(株)製、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート50%炭酸プロピレン溶液)等の市販品を使用できる。
上記ヨードニウム塩としては、例えば、商品名「UV9380C」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート45%アルキルグリシジルエーテル溶液)、商品名「RHODORSIL PHOTOINITIATOR 2074」(ローディア・ジャパン(株)製、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[(1−メチルエチル)フェニル](メチルフェニル)ヨードニウム)、商品名「WPI−124」(和光純薬工業(株)製)、ジフェニルヨードニウム塩、ジ−p−トリルヨードニウム塩、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム塩、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム塩等が挙げられる。
上記セレニウム塩としては、例えば、トリフェニルセレニウム塩、トリ−p−トリルセレニウム塩、トリ−o−トリルセレニウム塩、トリス(4−メトキシフェニル)セレニウム塩、1−ナフチルジフェニルセレニウム塩等のトリアリールセレニウム塩;ジフェニルフェナシルセレニウム塩、ジフェニルベンジルセレニウム塩、ジフェニルメチルセレニウム塩等のジアリールセレニウム塩;フェニルメチルベンジルセレニウム塩等のモノアリールセレニウム塩;ジメチルフェナシルセレニウム塩等のトリアルキルセレニウム塩等が挙げられる。
上記アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、エチルトリメチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、トリエチルメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリメチル−n−プロピルアンモニウム塩、トリメチル−n−ブチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム塩;N,N−ジメチルピロリジウム塩、N−エチル−N−メチルピロリジウム塩等のピロリジウム塩;N,N’−ジメチルイミダゾリニウム塩、N,N’−ジエチルイミダゾリニウム塩等のイミダゾリニウム塩;N,N’−ジメチルテトラヒドロピリミジウム塩、N,N’−ジエチルテトラヒドロピリミジウム塩等のテトラヒドロピリミジウム塩;N,N−ジメチルモルホリニウム塩、N,N−ジエチルモルホリニウム塩等のモルホリニウム塩;N,N−ジメチルピペリジニウム塩、N,N−ジエチルピペリジニウム塩等のピペリジニウム塩;N−メチルピリジニウム塩、N−エチルピリジニウム塩等のピリジニウム塩;N,N’−ジメチルイミダゾリウム塩等のイミダゾリウム塩;N−メチルキノリウム塩等のキノリウム塩;N−メチルイソキノリウム塩等のイソキノリウム塩;ベンジルベンゾチアゾニウム塩等のチアゾニウム塩;ベンジルアクリジウム塩等のアクリジウム塩等が挙げられる。
上記ホスホニウム塩としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム塩、テトラ−p−トリルホスホニウム塩、テトラキス(2−メトキシフェニル)ホスホニウム塩等のテトラアリールホスホニウム塩;トリフェニルベンジルホスホニウム塩等のトリアリールホスホニウム塩;トリエチルベンジルホスホニウム塩、トリブチルベンジルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、トリエチルフェナシルホスホニウム塩等のテトラアルキルホスホニウム塩等が挙げられる。
上記遷移金属錯体イオンの塩としては、例えば、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Cr+、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−キシレン)Cr+等のクロム錯体カチオンの塩;(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+、(η5−シクロペンタジエニル)(η6−キシレン)Fe+等の鉄錯体カチオンの塩等が挙げられる。
上述の塩を構成するアニオンとしては、例えば、SbF6 -、PF6 -、BF4 -、(CF3CF23PF3 -、(CF3CF2CF23PF3 -、(C654-、(C654Ga-、スルホン酸アニオン(トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン等)、(CF3SO23-、(CF3SO22-、過ハロゲン酸イオン、ハロゲン化スルホン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、アルミン酸イオン、ヘキサフルオロビスマス酸イオン、カルボン酸イオン、アリールホウ酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。
上記熱カチオン重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、アレン−イオン錯体、第4級アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。
上記アリールスルホニウム塩としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩等が挙げられる。本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物においては、例えば、商品名「SP−66」、「SP−77」(以上、(株)ADEKA製);商品名「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」、「サンエイドSI−150L」(以上、三新化学工業(株)製)等の市販品を使用することができる。上記アルミニウムキレートとしては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。また、上記三フッ化ホウ素アミン錯体としては、例えば、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素イミダゾール錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体等が挙げられる。
なお、本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物において重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物における上記重合開始剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜3.0重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜3.0重量部、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部(例えば、0.3〜1.0重量部)である。重合開始剤の含有量を0.01重量部以上とすることにより、硬化反応を効率的に十分に進行させることができる。一方、重合開始剤の含有量を3.0重量部以下とすることにより、硬化性オキセタン樹脂組成物の保存性がいっそう向上したり、硬化物の着色が抑制される傾向がある。
本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物は、さらに、その他任意の成分として、本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体以外の重合性化合物(例えば、エポキシ化合物、本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体以外のオキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等のカチオン重合性化合物)、重合安定剤、シランカップリング剤、沈降シリカ、湿式シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、酸化チタン、アルミナ、ガラス、石英、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の無機質充填剤、これらの充填剤をオルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により処理した無機質充填剤;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂微粉末;銀、銅等の導電性金属粉末等の充填剤、硬化助剤、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤、重金属不活性化剤など)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など)、難燃助剤、補強材(他の充填剤など)、核剤、滑剤、ワックス、可塑剤、離型剤、耐衝撃改良剤、色相改良剤、透明化剤、レオロジー調整剤(流動性改良剤など)、加工性改良剤、着色剤(染料、顔料など)、帯電防止剤、分散剤、表面調整剤(消泡剤、レベリング剤、ワキ防止剤など)、表面改質剤(スリップ剤など)、艶消し剤、消泡剤、抑泡剤、脱泡剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、光増感剤、発泡剤などの慣用の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物は、特に限定されないが、上記の各成分を室温で又は必要に応じて加熱しながら攪拌・混合することにより調製することができる。なお、本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。
本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物は、特に限定されないが、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。より具体的には、本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物は、溶媒20%に希釈した液[特に、メチルイソブチルケトンの割合が20重量%である硬化性組成物(溶液)]の25℃における粘度として、300〜20000mPa・sが好ましく、より好ましくは500〜10000mPa・s、さらに好ましくは1000〜8000mPa・sである。上記粘度を300mPa・s以上とすることにより、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。一方、上記粘度を20000mPa・s以下とすることにより、硬化性オキセタン樹脂組成物の調製や取り扱いが容易となり、また、硬化物中に気泡が残存しにくくなる傾向がある。なお、本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物の粘度は、粘度計(商品名「MCR301」、アントンパール社製)を用いて、振り角5%、周波数0.1〜100(1/s)、温度:25℃の条件で測定される。
[硬化物]
本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物におけるカチオン硬化性化合物(本発明のオキセタン環含有ラクトン重合体等)の重合反応を進行させることにより、該硬化性オキセタン樹脂組成物を硬化させることができ、硬化物(「本発明の硬化物」と称する場合がある)を得ることができる。硬化の方法は、周知の方法より適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線の照射、及び/又は、加熱する方法が挙げられる。上記活性エネルギー線としては、例えば、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等のいずれを使用することもできる。中でも、取り扱い性に優れる点で、紫外線が好ましい。
本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させる際の条件(活性エネルギー線の照射条件等)は、照射する活性エネルギー線の種類やエネルギー、硬化物の形状やサイズ等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、紫外線を照射する場合には、例えば1〜1000mJ/cm2程度とすることが好ましい。なお、活性エネルギー線の照射には、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光、LEDランプ、レーザー等を使用することができる。活性エネルギー線の照射後には、さらに加熱処理(アニール、エージング)を施してさらに硬化反応を進行させることができる。
一方、本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物を加熱により硬化させる際の条件は、特に限定されないが、例えば、30〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜190℃である。硬化時間は適宜設定可能である。
本発明の硬化性オキセタン樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物は柔軟性に優れ、例えば、フレキシブル基板、柔軟接着剤、アンダーフィルなどの高い柔軟性が要求される分野に好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1[3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのラクトン開環付加重合物(オキセタン環含有ラクトン重合体)の合成]
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管及びコンデンサーのついた4つ口セパラブルフラスコに、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン232.3g、ε−カプロラクトン767.7g、塩化スズ0.05gを仕込み、150℃で、残存するε−カプロラクトンがGC分析にて1重量%(反応液全体に対して)を切るまで反応させ、常温(25℃)で液状のラクトン重合体(オキセタン環含有ラクトン重合体)を得た。図1に、得られたラクトン重合体の1H−NMRスペクトル(溶媒:重クロロホルム)を示す。
1H−NMR測定条件]
装置:JEOL RESONANCE社製JNM−ECZ400S
周波数:400MHz
重溶媒:重クロロホルム
本発明の水酸基含有オキセタン化合物は、フレキシブル基板、柔軟接着剤、アンダーフィルなどの高い柔軟性が要求される分野で使用される活性エネルギー線硬化型オキセタン樹脂組成物、熱硬化型オキセタン樹脂組成物の樹脂原料等として有用である。

Claims (12)

  1. 分子内にオキセタン環を含有するラクトン重合体。
  2. オキセタン環及び水酸基を有する化合物(但し、分子内にオキセタン環を含有するラクトン重合体を除く)の水酸基にラクトンが開環重合した構造を有する請求項1に記載のラクトン重合体。
  3. 前記オキセタン環及び水酸基を有する化合物が、下記式(2a)で表される化合物である請求項2に記載のラクトン重合体。
    Figure 2019023256
    (式(2a)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
  4. ラクトンが、置換基を有していてもよい、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、又はε−カプロラクトンである請求項1〜3の何れか1項に記載のラクトン重合体。
  5. ラクトンが、ε−カプロラクトンである請求項4に記載のラクトン重合体。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載のラクトン重合体を含有する硬化性オキセタン樹脂組成物。
  7. 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物又は熱硬化型樹脂組成物である、請求項6に記載の硬化性オキセタン樹脂組成物。
  8. 請求項6又は7に記載の硬化性オキセタン樹脂組成物の硬化物。
  9. オキセタン環及び水酸基を有する化合物(但し、分子内にオキセタン環を含有するラクトン重合体を除く)を開始剤として、ラクトンを開環重合することを特徴とする、分子内にオキセタン環を含有するラクトン重合体の製造方法。
  10. 前記オキセタン環及び水酸基を有する化合物が、下記式(2a)で表される化合物である請求項9に記載のラクトン重合体の製造方法。
    Figure 2019023256
    (式(2a)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
  11. ラクトンが、置換基を有していてもよい、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、又はε−カプロラクトンである請求項9又は10に記載のラクトン重合体の製造方法。
  12. ラクトンが、ε−カプロラクトンである請求項11に記載のラクトン重合体の製造方法。
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