JP2019019883A - 防腐食構造及び防腐食工法、並びに防腐食構造用部材 - Google Patents
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Abstract
Description
[2] 前記金属製配管の接続部に巻回された非シリコーン系のシールテープと、前記シールテープの上に重ねて巻回された前記自己融着型のシリコーン系部材と、が備えられた、[1]に記載の防腐食構造。
[3] 前記シリコーン系部材のJIS K 6253で規定される国際ゴム硬さ(IRHD硬度)が10〜50である、[1]又は[2]に記載の防腐食構造。
[4] 前記シリコーン系部材のJIS K 6253で規定されるデュロメータ硬度(A)が10〜50である、[1]又は[2]に記載の防腐食構造。
[5] 前記シリコーン系部材は、テープ状であり、前記接続部に対してらせん状に巻回されている、[1]〜[4]の何れか一項に記載の防腐食構造。
[6] 金属製配管の接続部に、テープ状の自己融着型のシリコーン系部材をらせん状に巻回する防腐食工法であって、前記シリコーン系部材のJIS K 6253で規定される国際ゴム硬さ(IRHD硬度)が10〜50であり、前記シリコーン系部材の巻き付け前の幅W1と、巻き付け後の幅W2の比(W2/W1)が0.5〜0.8となるように巻回する、防腐食工法。
[7] JIS K 6253で規定される国際ゴム硬さ(IRHD硬度)が10〜50である自己融着型のシリコーン系部材からなり、金属製配管の接続部に巻回される防腐食構造用部材。
[8] 前記自己融着型のシリコーン系部材が透明である、[7]に記載の防腐食構造用部材。
本発明の防腐食構造用部材は、上記の防腐食構造及び防腐食工法において有用である。
本発明の第一態様は、金属製配管と、前記金属製配管の接続部に巻回されたシリコーン系部材と、が備えられ、前記シリコーン系部材が自己融着型のシリコーン系部材である、防腐食構造である。前記シリコーン系部材は、前記接続部に対して、直接に巻回されていてもよいし、別の部材を介して間接的に巻回されていてもよい。
以下、図面を参照して本発明にかかる実施形態を例示する。
図1に示すように、金属製配管10のねじ切り部Aは、第1の配管10の端部において雄ねじの溝11が形成された部分であり、一般に腐食が起こり易い部分である。雄ねじ11には、第2の配管20の雌ねじが累合されていてもよく、この場合のねじ切り部Aは配管の接続部と呼ばれる。
金属製配管の接続部は、ねじ切りに限らず、溶接して接続した部分でもよい。
第1の配管10及び第2の配管20の長手方向の形状は特に限定されず、直線状でもよいし、屈曲状でもよい。また、その長手方向の長さも特に限定されず、例えば30cm〜1m程度が挙げられる。第1の配管10及び第2の配管20の直径は特に限定されず、例えば1cm〜1m程度が挙げられる。第1の配管10及び第2の配管20のねじ切り部A以外の管壁は樹脂で被覆されていても構わない。
図2に示すように、第一実施形態の防腐食構造には、金属製配管10のねじ切り部Aにらせん状に巻回された非シリコーン系のシールテープ30が備えられている。さらに、図3に示すように、シールテープ30の上に重ねて巻回された自己融着型のシリコーン系部材40、が備えられている。図3の例においては、シールテープ30は、自己融着型のシリコーン系部材40によって完全に被覆されており、外部に露出していない。
以下、自己融着型のシリコーン系部材40を単にシリコーン系部材40ということがある。
本実施形態で用いられるシールテープは非シリコーン系の材料からなるシール用のテープである。通常、シールテープの総質量に対して50質量%以上の主成分としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が含まれる。本実施形態のシールテープは、JIS K 6885:2005で規定されたシール用四ふっ化エチレン樹脂未焼成テープ(生テープ)であることが好ましい。
本実施形態で使用可能な自己融着型シリコーン系部材は、自己融着性シリコーンゴムからなる部材であることが好ましい。自己融着性シリコーンゴムは、使用時の硬化処理を必要とせず、予め硬化された状態で使用される。自己融着性シリコーンゴムとしては、例えば、特開2016−114180号公報に開示されている、下記の平均組成式(I)で示されるジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物とを含有するシリコーン組成物を硬化させた硬化物が挙げられる。
[式(I)中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは1.98〜2.02の範囲の任意の数を表す。]
R1は、前記炭化水素基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基等で置換された基でもよい。
シリコーン組成物を硬化させる際に、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物で硬化を促進させる場合には、R1がアルケニル基又はアルケニル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基で置換された基が好ましい。
式(I)におけるnは、自己融着性を充分に得る観点から、1.98〜2.02であることが好ましい。
前記ホウ酸化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記範囲の下限値以上であると機械的強度が高まり、上記範囲の上限値以下であるとねじ切り部に対する密着性が向上する。
上記範囲の下限値以上であると機械的強度が高まり、上記範囲の上限値以下であるとねじ切り部に対する密着性が向上する。
引張強さが50〜100N以下であると、ねじ切り部に巻き付ける際に自己融着型シリコーン系部材を断裂させずに適度に伸ばすことができ、ねじ切り部に対してより密着した構造となり易い。
上記テンシロンは、JIS B 7721「引張試験機・圧縮試験機−力計測系の校正方法及び検証方法」に基づいて校正された試験機である。上記テンシロンとして、例えば、株式会社エー・アンド・デイ製の材料試験機が挙げられる。
引張伸び率が700%以上であると、ねじ切り部に巻き付ける際に自己融着型シリコーン系部材の断裂を防ぎつつ、幅を縮小しながら引き伸ばした状態でねじ切り部に対して巻回できるので、より密着した構造となり易い。
本発明の第二態様は、金属製配管の接続部に、テープ状の自己融着型のシリコーン系部材をらせん状に巻回する防腐食工法である。この工法によって、第一態様の防腐食構造を形成することができる。
前記シリコーン系部材のJIS K 6253で規定される国際ゴム硬さ(IRHD硬度)は10〜50であることが好ましい。また、前述したその他の物性を満たすことがより好ましい。
前記シリコーン系部材の巻き付け前の幅W1と、巻き付け後の幅W2の比(W2/W1)が0.5〜0.8となるように、好ましくは0.5〜0.7となるように、巻回することにより、優れた防腐食構造を形成することがより容易となる。
上記比が0.5以上であると、自己融着型シリコーン系部材の断裂を抑制しつつ、接続部に対してらせん状に巻回することができる。
上記比が0.8以下であると、自己融着型シリコーン系部材には伸縮性及び弾性を利用して、自己融着型シリコーン系部材を引き伸ばしながら、接続部に対してらせん状に巻回することによって、その密着性をより一層向上させることができる。
まず、ポリエチレン被覆鋼管(φ24.7mm)のねじ切り部に対して、自己融着型のシリコーンゴムテープ(信越ポリマー社製、幅25mm)をらせん状に巻き付けて、図2の様にねじ切り部を被覆した。この際、前記比(W2/W1)=0.68となるように巻き付けた。これにより鋼管のねじ切り部に防腐食構造を形成した。同様の試験体を3つ作製した。
ここで使用した自己融着性シリコーンゴムテープについて、前述した方法で測定された物性値は次の通りである。
・引張強さ=54.8N
・引張伸び率=780%
・硬度(IRHD)=30
・デュロメータ硬度(A)=24
上記の防腐食構造に対して、JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験で、1000時間後、防腐食構造の変化の有無を目視で確認した。
その結果、防腐食構造を形成するシリコーン系部材の表面に少量の塩分が析出していた。次に、カッターで切り裂いて防腐食構造を除去し、金属製ねじ切り部を露出させて目視で確認したところ、3つの試験体の何れにも錆の発生は無かった。
以上の結果から、実施例1の防腐食構造の防腐食性、耐候性、耐久性の評価は良好であった。
まず、ポリエチレン被覆鋼管(φ24.7mm)のねじ切り部に対して、前記JIS規格に準拠したシールテープ(幅20mm)をらせん状に巻き付けて、図2の様にねじ切り部を被覆した。続いて、シリコーン系部材として実施例1と同じ自己融着型のシリコーンゴムテープ(信越ポリマー社製、幅25mm)を、シールテープに重ねてらせん状に巻き付けて、図3の様にねじ切り部を被覆した。これにより鋼管のねじ切り部に防腐食構造を形成した。同様の試験体を3つ作製した。
上記の防腐食構造に対して、JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験で、1000時間後、防腐食構造の変化の有無を目視で確認した。
その結果、防腐食構造を形成するシリコーン系部材の表面に少量の塩分が析出していた他は特に変化は無く、3つの試験体の何れにおいても剥離は起きていなかった。次に、カッターで切り裂いて防腐食構造を除去し、金属製ねじ切り部を露出させて目視で確認したところ、3つの試験体の何れにも錆は生じていなかった。
以上の結果から、実施例2の防腐食構造の防腐食性、耐候性、耐久性の評価は、実施例1と同様に良好であった。
自己融着型のシリコーンゴムテープを下記に変更したこと以外は、実施例1と同様に防腐食構造を形成し、塩水噴霧試験を行った。その結果、実施例1と同様の良好な結果であった。
ここで使用した自己融着性シリコーンゴムテープについて、前述した方法で測定された物性値は次の通りである。
・引張強さ=67.2N
・引張伸び率=871%
・硬度(IRHD)=40
・デュロメータ硬度(A)=26.6
自己融着型のシリコーンゴムテープを実施例3で使用したものに変更したこと以外は、実施例2と同様に防腐食構造を形成し、塩水噴霧試験を行った。その結果、実施例2と同様の良好な結果であった。
自己融着型のシリコーンゴムテープを下記に変更したこと以外は、実施例1と同様に防腐食構造を形成し、塩水噴霧試験を行った。
その結果、実施例1と異なり、3つの試験体のうち1つにおいて、部分的な緩みや剥がれが発生した。カッターで切り裂いて防腐食構造を除去し、金属製ねじ切り部を露出させて目視で確認したところ、3つの試験体のうち1つにおいて、少し錆が生じていた。
ここで使用した自己融着性シリコーンゴムテープ(信越ポリマー株式会社製、水漏れ御用)について、前述した方法で測定された物性値は次の通りである。
・引張強さ=138.3N
・引張伸び率=733%
・硬度(IRHD)=61
・デュロメータ硬度(A)=61.8
以上から、実施例5の防腐食構造は、防腐食性、耐候性、耐久性を有するが、実施例1〜4に比べると劣ることが分かった。
実施例1と同じポリエチレン被覆鋼管のねじ切り部に防腐食構造を形成せず、ねじ切り部が露出した状態で実施例1と同様に塩水噴霧試験を行った。
その結果、3つの試験体の何れにおいても金属製のねじ切り部分の広い範囲に錆が生じていた。
実施例1と同じポリエチレン被覆鋼管のねじ切り部に対して、前記シールテープをらせん状に巻き付けて、図2の様にねじ切り部を被覆した。続いて、先に巻回したシールテープの上に、更に別のシールテープをらせん状に巻き付けて、図3の様にねじ切り部を被覆した。同様の試験体を3つ作製した。
上記の試験体に対して塩水噴霧試験を実施例1と同様に行った。
その結果、試験体の表面に少量の塩分が析出していた他、3つの試験体のうち3つにおいて、らせん状に巻回したシールテープの一部に剥がれが生じていた。次に、カッターで切り裂いてシールテープを除去し、金属製ねじ切り部を露出させて目視で確認したところ、3つの試験体のうち3つにおいて、錆が生じていた。
以上から、比較例2のシールテープを2重に巻回した構造は、防腐食性、耐候性、耐久性について、実施例1〜5よりも劣る結果であった。
20 雌ねじを有する金属製配管
A ねじ切り部
11 ねじ切り部Aを構成する溝
30 シールテープ
40 シリコーン系部材
Claims (8)
- 金属製配管と、前記金属製配管の接続部に巻回された、自己融着型のシリコーン系部材と、が備えられた防腐食構造。
- 前記金属製配管の接続部に巻回された非シリコーン系のシールテープと、
前記シールテープの上に重ねて巻回された前記自己融着型のシリコーン系部材と、が備えられた、請求項1に記載の防腐食構造。 - 前記シリコーン系部材のJIS K 6253で規定される国際ゴム硬さ(IRHD硬度)が10〜50である、請求項1又は2に記載の防腐食構造。
- 前記シリコーン系部材のJIS K 6253で規定されるデュロメータ硬度(A)が10〜50である、請求項1又は2に記載の防腐食構造。
- 前記シリコーン系部材は、テープ状であり、前記接続部に対してらせん状に巻回されている、請求項1〜4の何れか一項に記載の防腐食構造。
- 金属製配管の接続部に、テープ状の自己融着型のシリコーン系部材をらせん状に巻回する防腐食工法であって、
前記シリコーン系部材のJIS K 6253で規定される国際ゴム硬さ(IRHD硬度)が10〜50であり、
前記シリコーン系部材の巻き付け前の幅W1と、巻き付け後の幅W2の比(W2/W1)が0.5〜0.8となるように巻回する、防腐食工法。 - JIS K 6253で規定される国際ゴム硬さ(IRHD硬度)が10〜50である自己融着型のシリコーン系部材からなり、金属製配管の接続部に巻回される防腐食構造用部材。
- 前記自己融着型のシリコーン系部材が透明である、請求項7に記載の防腐食構造用部材。
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