JP2004274825A - 絶縁防食管路の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長距離にわたる絶縁防食管路を、短い工期でしかも高い信頼性で製造する。
【解決手段】複数の単位管1の端部付近以外の部分の外側面に絶縁・防食2を施す単位管絶縁防食工程と、単位管を設置現場に移送する移送工程と、移送された単位管を端部同士で相互に接合する接合工程と、接合部付近の表面に絶縁・防食を施す接合部絶縁防食工程と、を有する。単位管絶縁防食工程は、単位管の端部付近の外側面に離型性テープを巻く離型テープ巻き工程と、ガラスクロステープに塗料を浸漬する工程と、塗料を浸漬したガラスクロステープを、単位管の外側面に巻く工程と、塗料を硬化させる工程と、離型性テープを取り去る工程と、を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の単位管1の端部付近以外の部分の外側面に絶縁・防食2を施す単位管絶縁防食工程と、単位管を設置現場に移送する移送工程と、移送された単位管を端部同士で相互に接合する接合工程と、接合部付近の表面に絶縁・防食を施す接合部絶縁防食工程と、を有する。単位管絶縁防食工程は、単位管の端部付近の外側面に離型性テープを巻く離型テープ巻き工程と、ガラスクロステープに塗料を浸漬する工程と、塗料を浸漬したガラスクロステープを、単位管の外側面に巻く工程と、塗料を硬化させる工程と、離型性テープを取り去る工程と、を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力機器の管路気中送電(GIL:Gas Insulated Transmission Line)などに好適な絶縁防食管路の製造方法に関するもので、特にその管路を地中に直接埋め込む方式の管路に好適な外装防食技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
GILは、近年長距離地中送電線への適用を目的とした研究が進められている。そして、電力需要の増大に伴って超高圧地中送電線の市内導入化が進められ、長距離地中送電線(亘長数kmからそれ以上の長さで、送電容量1ルートあたり約300万kW)の建設が計画されている。
【0003】
GILは単位長さ10m弱〜数十mのパイプ型管の接続によって構成されており、内部に導体が通っており、通常内部には、電気絶縁性能に優れたSF6ガスやその混合ガスが用いられている。長距離線路への適用については、接続箇所が増えることから、信頼性、施工性、経済性などで課題があるとされている。しかし、GILは、フレキシブルな油浸絶縁紙(OF:oil filled )ケーブル、架橋ポリエチレンケーブル(CVケーブル)と比較して大幅に送電容量を増大できることから、これまで大容量地中送電線として注目され、発変電所の構内連絡線あるいは引出線として数百mの短距離線路に実用化されてきている。なお、本発明は、GILに限らず類似構造の電気機器全般に有効であるものである。
【0004】
日本国内では、既に、世界最大規模(3.3km)のGILが建設されており(CVの4倍の送電容量を確保できる)、その意味では、今後大いに建設が行なわれる設備または技術と考えられる。管路は金属管が使用され、鉄、ステンレスス鋼、アルミニウム材等から製造されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
GILは、通常の埋設管と異なり、導体から生じる磁界の外部への漏れを減らすため、導体に流す電流に相当するキャンセル電流を金属管に流す必要がある。このため、金属管はアースに対して電位差を持ち、絶縁が不十分な部位(絶縁が劣化した部分やピンホール)から局部的に、短時間でガス漏洩に至る電食の危険が考えられる。
【0006】
また、管路は、通常管路より大きいピットを掘り、その中に設置される。管路を地中に直接埋めた場合、コスト的に有利であるが、腐食や電食が問題になり、特に湿った地中や長さの長いものの場合には、長期の使用の間に腐食により管路に穴が開く可能性がある。また、短い距離の場合には、管の外表面に防食塗装等をすることもあるが、数百〜数キロメートルに渡って埋設するような場合は、良い方法が無かった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題を明確にするため、ここで金属の腐食について簡単に触れる。金属の腐食は、大きくは湿食と乾食に分類される。湿食は、土壌・水中環境中での自然腐食と電鉄その他から迷走電流による電食とに分けられ、自然腐食は鋼表面のミクロな腐食電池によるもの(一般に全面腐食と呼ばれる)、異種金属の接触による腐食電池によるもの(ガルバニック腐食)、バクテリアの作用によるもの、および巨視的な通気差あるいはコンクリート中鉄筋との電位差等によるもの(いわゆるマクロセル腐食)などに分類されている。金属表面が均一で、均質な腐食環境(水・土壌・大気など)にさらされている場合は全面が均一に腐食する。これを全面腐食または均一腐食という。
【0008】
後者の全面腐食は鉄の場合、大気・土壌・水中のいずれの条件でもその進行速度は小さく、設備・構造物に重大劣化損傷を与えることはほとんど無いと考えられている。しかし、金属表面状態の不均一あるいは環境の不均一により、局部的・部分的に腐食が集中して生じることがあり、長さに比例して不均一度も大きくなり、特に小さな局部的に腐食が集中して、孔状に金属が腐食損耗される現象を示す場合が多くなる。
【0009】
また、都市部等では、電気鉄道の軌条(レール)等からの迷走(漏れ)電流などの直流電流が配管などの埋設構造物に流入、流出すると、流出点に腐食が生じる。これが電食と呼ばれ、時には短期間で貫通漏洩に至る場合がある。その他、近接する他の配管・パイプラインに施されている電気防食(外電・排流方式)の電流によっても同様の腐食が生じることがある。
【0010】
GILは、将来の有望な送電技術であり、ますますその距離が長くなり、市街地の環境の地中にも適用が広げられる。この場合、長距離を有効に防食する手法が必要となるが現在そのようなものは、開発されていない。
【0011】
管を地中に埋めるという点で、似たものに給水装置がある。参考のために防食に対する標準的な施工方法等について述べる。構造・材質に関して、酸またはアルカリに対する耐食性を要望される時は、適切な処置、または防食材で被覆する等のが対策がなされている。漏洩電流により浸食されるおそれのある場所にあっては、非金属性の材質の給水装置を設置するか絶縁材で被覆すること等の電食防止の措置が取られている。
【0012】
具体的には、アスファルト系またはコールタール系等の塗覆装で、管の外周を完全に被覆して、電気的に絶縁し漏洩電流の流出入を防ぐ方法や軌条と管との間にアスファルトコンクリート板またはその他の絶縁物を介在させ、軌条からの漏洩電流の通路を遮へいし、漏洩電流の流出入を防ぐ方法等である。しかし、具体的な方法に関しては知られていない。
【0013】
また、管路気中送電における管路の場合は、導体への通電により熱が発生するため、耐熱性が求められており、給水装置で良く使用されているアスファルト系またはコールタール系等の材料は使用できず、それらに付加した性能の材料とそれに適合する施工法が必要とされている。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、長距離にわたる絶縁防食管路を、短い工期でしかも高い信頼性で製造する方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するものであって、複数の単位管それぞれの少なくとも端部付近以外の部分の外側面に絶縁・防食を施す単位管絶縁防食工程と、前記絶縁・防食を施された複数の単位管を前記端部同士で相互に接合する接合工程と、前記接合工程の後に接合部付近の外表面に絶縁・防食を施す接合部絶縁防食工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の実施の形態を説明する。これらの図面で相互の共通または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態の基本構成に関するものである。初めに、管路を構成する個々の単位長さの管(単位管)1の両端近くを残して事前に管1の外側面に絶縁・防食層2を施す。その後、これらを埋設現場に送り、管1を絶縁・防食処理していない部分(裸部)3を順次、溶接やフランジ4により、オーリングを介してボルト接合(図示せず)により管路を形成していく。
【0017】
例えば構成する管1の長さを15mとすると溶接に関わる裸部3の寸法として15〜30cm設けたとして、管1の98〜99%を前もって絶縁・防食処理することができる。この絶縁・防食処理は、工場内で行なうことができ、作業が困難な埋設現場の作業が少なくなり、管路製造の全体の時間節減と、品質向上を図ることができる。また、フランジに拠るボルト接合の場合は、裸部3は接合に関連する部分だけなので、さらに広範囲に絶縁・防食処理でき、埋設現場での接合部の絶縁・防食処理作業は少なくなる。絶縁・防食処理する場所を埋設現場近くに仮設置することも可能である。なお、裸部3は必ずしも積極的に設けなくとも良い。
【0018】
次に、絶縁・防食処理する材料や方法に関して図2を用いて説明する。この図は、ガラスクロステープ36を管1に巻いているところを図示している。管1は図示しない回転駆動機構により、管1の軸周りに矢印32のように回転する。ガラスクロステープ36は初め、ガラスクロステープ巻5に巻いてある。テープ巻5と管1の間に樹脂塗料容器6を設置していて、ガラスクロステープ36がそこを通る時にガラスクロステープ36内に樹脂塗料7が浸透していく。ローラ8類を介して、ガラスクロステープ36に塗料7をなじませ、また、ガラスクロステープ36の方向を変える。ガラスクロステープ36から垂れ落ちた過剰の樹脂は、樋9をつたって樹脂塗料容器6に戻る。このようにしてガラスクロステープ36を或る一定幅で1層〜数層重ね巻きし、硬化して絶縁・防食層2が形成される。
【0019】
なお、管1の両端には、前もって薄い例えばポリテトラフルオロポリエチレン(例えば、商品名:テフロン)製の離型テープを巻いて、樹脂の付着を防止する。最終的にこの離型テープを取り去り、絶縁・防食処理された個々の管1を製造することができる。
【0020】
図2で、例えばローラ8およびテープ巻5を、管1の軸方向に沿って矢印34の方向に管1に対して相対的に移動することによって、管1の外側面全体にテープを巻くことができる。他の例としては、ローラ8およびテープ巻5の位置は移動せず、管1をその軸の方向に移動させることも可能である。
【0021】
次に、図2の方法の変形例を説明する。これは、絶縁・防食処理する材料としてプリプレグ状態(樹脂をある程度硬化させた状態で、室温下では粘着性の無い半固形の状態になる)になったテープを用いる方法である。図面は省略するが、プリプレグ状態のテープを或る幅で一層ないし数層重ね巻きしていく。プリプレグ状態のテープが粘着状態であれば、離型テープと共に巻かれた状態で使用することになるが、離型テープは自動的に除去することができる(図3を参照して後述する)。
【0022】
プリプレグテープを巻いた後、さらにその外層に熱収縮テープ(例えば、商品名:収縮ルミラーテープ)を巻いた後、加熱硬化し、絶縁・防食処理層2を形成する。加熱することによりプリプレグ状態のテープから熱溶融した樹脂が流れ出し、また熱収縮テープの収縮作用によりテープ間相互やテープと管間が密着しその後に完全硬化するため、強固な絶縁・防食層が形成できる。この変形例では、作業性に優れる利点を有する。樹脂が飛散することが無いので、管の両端の離型性材料は、必ずしも巻かなくても良い。
【0023】
管の加熱方法としては、管内部に熱風を吹き込むことやリボンヒータ類を巻く方法がある。この方式を採用する場合には、熱収縮テープの外層にさらにフッ素樹脂系、例えばテフロン系(商品名)の耐熱性の離型テープを巻くとリボンヒータへの余分な樹脂の付着が防止できる。また、耐熱性に優れたものとしてシリコーン系粘着剤付白色ガラステープも市販されている。
【0024】
図3は、絶縁・防食処理する材料として自己融着性のテープ類10を或る幅で一層ないし数層重ね巻きし、融着することにより絶縁・防食処理層2を形成するようすを示す。テープを巻いた巻き物には自己融着性があるため、離型テープと一緒に巻いて使用する前に融着しないように分離している。このため、効率よく絶縁・防食処理するには、離型テープを巻きとる機構11が必要になる。
【0025】
離型テープの巻き取りは、小トルクのモータ(図示せず)を用いれば、自動的に巻き取ことができる。自己融着テープ10としてシリコーンゴム製のもの(例えば、GE−東芝シリコーン製)やブチルゴム製のもの(例えば日東電工(株)製のテープ)、エチレンプロピレンゴム製のもの(例えば3M社製)が使用できる。
また、または管の外面に樹脂を押し出し成形しライニングするか、フッ素樹脂貼り付けることにより絶縁・防食処理層を形成しても効果は同様である。
【0026】
図4は、絶縁・防食処理する材料に樹脂塗料を用いるものを示す。この図は、管1の両端に薄いポリテトラフルオロポリエチレンテープ類の離型テープを巻き、その後、樹脂塗料をスプレー12を用いて吹き付けているところを模式的に示したものである。塗料が硬化した後、離型テープを除去し、絶縁・防食処理層2が形成できる。
【0027】
ところで、管路の内部には、導体が内包されており、通電により熱が発生する。防食材料として良く使用されるアスファルト系の材料は熱により軟化や溶融して今回の目的には適していない。このため上述の絶縁・防食塗料は、耐熱性が高い方が良いが、80℃以上望ましくは、100℃以上の耐熱性を有する樹脂系である必要がある。さまざまな用途に応じて多くの樹脂類が開発されているが、後述のように、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂を主成分とする塗料類を用いれば今回の目的の耐熱性を有する、また十分な硬度を持った絶縁・防食層が得られることがわかった。
【0028】
なお、塗料の粘度調整のため、溶剤を添加しても良い。溶剤類は、樹脂が完全硬化するまでには、揮発して飛散し、最終的な絶縁・防食層内には残らない。但し、この場合には、多数回塗りする等の配慮が必要となる。
【0029】
管内で発生した熱は、管と絶縁・防食層を通じて地中内に拡散してある温度で平衡に達する。絶縁・防食層2は一般に熱の不良導体であり、絶縁・防食層の熱伝導率は温度上昇を決定する大きな要因になる。エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂からなるものをベースにして無機質充填材を添加することにより熱伝導率は大きくなる。
【0030】
図5に、エポキシ樹脂にアルミナ粉末を添加した場合の熱伝導率の例を示す。アルミナ粉末の添加量を増すと熱伝導率は大きくなるが、粘度が上昇して作業性が悪くなるため、100PHR程度が限界になる。このような樹脂への無機材料の添加により、熱放散が大きくなり温度上昇を抑制できるようになる。
【0031】
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂にも多くの種類のものが開発市販されているので、具体例を説明する。例えば、日立化成工業のフタルキッド系(商品名)の材料は、金属プライマー用との併用により、カチオン電着塗料並みの耐食性塗装層が得られる。またフタルキッドE4330(商品名)は、特殊変性剤使用により従来の変性エポキシ系に比べ溶剤溶解性が優れている特徴がある。また、TAKEDA U−PLEX Corp.社のUPフロアーシリーズ(商品名)は、色々なタイプの床材塗料であるが、低臭性・低収縮性・高耐食性樹脂をベースに創り上げた、熱水に強く、酸性、アルカリ性にも強いもので当管路の防食塗料としても優れたものが得られた。また速硬化性にも優れ、一度に厚膜の施工ができ、工期の短縮が可能である。
【0032】
また、昭和高分子株式会社のビニルエステル樹脂(商品名:リポキシ)は、エポキシ樹脂のもつ硬化後の優れた物性を保持しつつ、エポキシ樹脂の硬化作業の煩わしさを不飽和ポリエステル樹脂並みに近づけた両方の優れた特性を持つ樹脂で、本管の絶縁・防食処理材としても優れたものである。特に同社のリポキシR−807(商品名)は、優れた接着性を示すと共に低温下での硬化性もあり、作業性や環境面でも優れており、作業性と性能のバランスが取れたものである。しかし、スチレンが含まれているため作業環境上の対策が必要である。
【0033】
上述の絶縁・防食処理法において、テープ類を巻いたり、塗装する際の装置としては、被処理材である管1の両端を旋盤等の回転装置の回転軸に固定し、管全体を回転できるようにする。図2〜4の矢印32のように回転することにより、機械的にテープ36を巻き付けたり、塗装面を回すことにより管1の外側面全体に樹脂塗料を均一に付着し、均一な絶縁・防食処理層2を形成することができる。
【0034】
均一な重ね代で絶縁テープ類を巻くための装置として、被処理物である管1の軸に対して平行な移動用レール(図示せず)を設け、絶縁物を含む装置全体をレールの上に置き、管1の回転数や所定の重ね代が確保できるよう絶縁物を含む装置全体の矢印34方向の移動速度を設定できるようになっている。このため管1の回転とレール上での絶縁物の載った架台の移動速度の調節により、テープの重ね代等調整することができる。また、絶縁・防食層膜厚は、絶縁テープ類のテープ材の厚さや巻き回数により調整できる。
【0035】
絶縁・防食処理する材料や手法の他の実施の形態として、液体塗料の代わりに粉体塗料を用いることもできる。粉体塗料を静電気的に付着させたり、または事前に管全体を加熱して、粉体塗料を吹き付けて溶融付着させ、その後、余熱によるかもしくは加熱して、完全硬化する。これにより絶縁・防食処理層を形成する。
【0036】
粉体塗料としては、エポキシ系の粉体塗料やポリエステル粉体塗料が挙げられる。その他特殊な材料になるが、PFA(4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)ポリマーコーティングは、静電塗装膜として約1mmの厚膜コーティングが可能で、耐食性と非粘着性にも優れた層が形成できる。PFAシートライニングは非常に優れた耐食性があり、他の樹脂で対応できない使用用途や大型耐食機器に対応できる優れた利点があるが、先に挙げた汎用の材料に比べてコスト的な課題が残る。同種のものにETFE(4フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂)静電粉体塗装、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)コーティングも厚膜コーティングが可能で、耐熱性、耐浸透性に優れた耐食材として注目される樹脂であるが、先に挙げた汎用の材料に比べてコスト的な課題が残る。
【0037】
絶縁・防食処理法に関する他の実施の形態として、絶縁・防食処理する前に管の両端にゴム製のキャップを嵌めた後、全体を電着槽内に入れ電着塗装し、絶縁・防食処理層を形成することもできる(図示せず)。この場合は、管の内側と外側に絶縁層が同時に形成され、管の内側の層は、導体の耐電圧性向上に繋がる利点がある。
【0038】
各管の連結で、溶接法を採用した場合には、作業時に溶接の熱が溶接部から絶縁・防食処理層に伝わり、絶縁・防食層の熱劣化が考えられる。この対策のために、溶接作業の時に、溶接部近傍の絶縁層の無い裸の管部から前記絶縁・防食処理層にかけて非燃焼性のガラスクロステープや石綿クロステープ類に水をしみ込ませたものを巻いておくこともできる。このようにすることにより、水の気化熱により溶接部近傍の温度上昇が抑制されて絶縁・防食処理層の熱劣化を防ぐことが可能になる。図6はこのような冷却法を採用した場合の温度上昇の効果例であって、部材をアルミニウムとした場合の例である。
【0039】
次に、各単位管1を溶接してつなぎ合わせた溶接部分やその他の接合部分の絶縁・防食処理について説明する。最終的にこの部分にも地中に埋設されるので、絶縁・防食を行なう必要がある。基本的に今まで述べた電着塗装法を除いた単位管1での手法がほぼ適用できる。特にウェット式のガラスクロステープ巻、自己融着テープ巻、スプレー式の塗装膜形成等は大掛かりな装置が必要でないので、実用的である。
【0040】
樹脂を用いる絶縁・防食処理方法では、樹脂が硬化するまでは、重力方向に樹脂が垂れ落ち、層の均一性が損なわれることがある。そこで、樹脂の粘度が上昇するまで、管全体を緩やかに回転させるとよい。このようにすれば、樹脂の垂れ落ちや偏りを防止でき、絶縁層の厚さの均一性を確保できる。
【0041】
次に、管路全体の接続した時の熱膨張と収縮に対する応力の緩和に関する構造について説明する。熱膨張と熱収縮については、変形がある程度自由に行なえるような構造にしておけば、拘束されなくて良い。図7は、管1の両端の絶縁・防食処理しない部分(裸部)3に周方向に延びる長方形断面の溝13を3本入れたことを示す。管1同士の接合後にこの溝13にシリコーンRTVゴム(室温硬化形シリコーンゴム)等の柔軟な材料を充填しその後に、接合部の絶縁処理を行なえば、この溝13は、熱膨張・収縮の吸収部となり、引っ張りや圧縮が曲げ方向に変換されて、変形することにより応力の緩和ができる。
【0042】
なお、他の例としては、溝13を管1の両端の絶縁・防食処理しない部分3の内側表面に設けてもよい。また、溝13の形状は、台形や半円形としてもよい。さらに、溝13の本数は、任意である。
【0043】
また、図8に示すように、接合部の一部に金属ベローズ14を入れることにより積極的に変形可能にもできる。ベローズ14は、例えば、数単位の溶接接合部およびガス区分用スペーサ部の接続部に入れる。ここで、ガス区分は、管路に封入された絶縁ガスの空間を区分するものである。
【0044】
図8に示すように、FRPもしくはプラスチック製のカバー15でベローズ14全体を覆う構造を有し、管11とカバー15の間をクッション材16でシールする構造を有している。このため、ベローズ14の溝に土が入り込み変形を阻害することを避けることができる。クッション材16の例としては、ポリフルオロポリエチレン製のゴアテックス(商品名)が挙げられる。
【0045】
カバー15の構造としては、例えば、図8に示すように、半割のカバー構造として二つを合わせてベローズ14を覆う構造とすることができる。このようにするとベローズ14を取り付けた後で挟む格好でカバー15を取り付けることができる。カバー15同士の間には、前記と同様なクッション材16をはさみ込み、ボルト類で締め付けて現地で容易に組み立てられる。水分の浸入を抑制するため、この合わせ部は、地平面に対して水平か、下方にあることが望ましい。
【0046】
FRP製品の製法に関しては、多くのものが知られているが、本用途では、高い電圧は掛かからないものの、形状の複雑なものを数多く製作する必要がある。離型処理した木型等に貼り付けてFRPを製造するハンドレイアップ法が適している。価格に関しても満足できるものである。
【0047】
次に、個々に製作された単位管1同士の接合方法の特に溶接に関して説明する。個々の管1の溶接部分は、図9に示すように、階段状に嵌め合わせる構造17になっている。このような構造にすることにより、溶接時に発生する異物や溶接痕が段差の部分で止まり、管1の内部に入ることを防ぐことができる。階段状の形状は、凹凸の嵌め込み構造とすることもできる。
【0048】
図10に示す例は、目的は図9のものと同じであるが、より機能的な方法である。管1の接合部にまたがる格好で、管1の溶接接合部分の外側に、長さ20〜30cmの短尺パイプ18aを嵌め込み、それぞれの管1と短尺パイプ18aとの間に溶接部44を形成していく。短尺パイプ18aの内径は管1の外径よりわずかに大きくする。このようにすると、溶接時に発生する異物や溶接痕を管1の内部に侵入することを防ぐことができる。
【0049】
図11に示す例は、図10の例の変形例であって、管1の溶接接合部分の内側に、短尺パイプ18bを嵌め込んでいる。この場合は、短尺パイプ18bの外径を管1の内径よりわずかに小さくする。図11に示す例では、二つの管1と短尺パイプ18bの間で一つの溶接部44が形成されるので、図10の場合に比べて溶接箇所が少なくなる。なお、図11では、管1同士の溶接部44のうちの上部は溶接後の状態を示し、下部は溶接前の状態を示している。
【0050】
次に、図12は、管1同士の接合部分にパイプ形状の下敷き材19と形状記憶合金製の金具20を被せた例を示す。所定の温度に加熱すると形状記憶合金製の金具20が収縮し、下敷き材19を介して管1が締め付けられ、管1同士を連結することができる。異物等が発生しない利点を有する。
【0051】
次に、絶縁・防食層の試験に関して説明する。管1の両端を残して事前に絶縁・防食処理した後、これらを埋設現場に移送する前に問題の無い処理が為されていることを確認をしておく必要がある。ピンホール検出器等で塗膜の性能を検証することが有効であり、万一ピンホール等の欠陥が見付かった場合は、埋設する前に補修できることになる。前記の検証法は、検証する面積が小さい場合には、時間も余り要しないが、何メートルもの管に対して行なう場合には、効率の点で問題があった。
【0052】
これに対して、管1の外径に合った寸法のスカート状もしくは筒状の導電性ゴムシートを作製し、このゴムシート内に管1を入れてピンホール検出器の高圧側電極にし、管の外周部を滑らせながら検証すると短時間で済む(図示せず)。また、導電性ゴムシートを巻いて、テスターやメガー等によりピンホールの有無を知ることにより、容易に長い管路の塗膜の性能を検証することができる(図示せず)。ピンホール検出器として市販品では、岩谷産業の形式216(商品名)が利用可能である。
【0053】
さらに、絶縁・防食処理層の変形例として、管路気中送電用の外管そのものを絶縁する代わりに外管より径の大きい絶縁性筒を製作して、管路気中送電用の外管を絶縁性筒の中に入れる二重管構造にすることもできる(図示せず)。これにより完全な絶縁性を確保できる。絶縁性筒を製作する方法としてフィラメントワィデング法がよるFRP材が考えられる。
【0054】
前述の構造において、管と絶縁性筒の中に入れる二重管構造内に、ガス検知配管を設置し、管路気中送電用の外管から絶縁ガス(例えばSF6ガス)が漏洩した場合には、2重管の間に留まるため、漏洩を検知することにより管路気中送電用の外管の密封性がモニターすることができるようになる。検出器として、市販のSF6ガス漏洩検出器(例えばTIF Instrument Inc.社製のタイプTIF−5000)が利用できる。
【0055】
次に、図13に示す例では、前述の管路気中送電用の管1を地面30の下の地中22へ埋め込むに際し、管路気中送電管の下部に排水用ピット21または配管を設置している。排水が良くなったため、管路気中送電埋設部の水の停滞時間を短くできる。
【0056】
さらに、図14に示すように、埋設時に使用する土砂として、比較的大きな砂利23を敷き詰めることで、GIL埋設部の水の停滞時間を短くし、腐食の進行を抑制することが可能となる。排水用ピット21内に溜まった水は、ポンプ等でくみ出しても良い。また、図8に示したベローズ14の部位にピット21を設ければ、ベローズ用のカバー15が不要になる利点がある。
【0057】
次に、絶縁・防食とは直接的な関連は無いが、図2〜4に示した絶縁・防食処理方法と同じ方法で中心導体の表面に絶縁処理を行なうことができる。中心導体に絶縁処理することにより耐電圧性能を向上を図ることができる。
【0058】
次に、絶縁・防食処理する方法に関して図15の模式図を用いて説明する。防食をする管路外表面はなめらかな円筒形であることが望ましいが、実際には管路内部の中心導体を支持するため、管路には絶縁物支持部が設けられ、ボルト締結により管路へ取り付けるためのフランジが設置される。これらのフランジ部はボルト等を含めて角部等の突出部24が多く、突出高さにもよるが、このような部分は、図2、3に示したようなテープを管1に密着させて巻くことが難しい。
【0059】
このため、これらの突出部24には事前にある程度強度のある材料、例えば熱可塑性プラスチック材の成形材やFRP成形材等でなめらかな覆い25を設けておくことにより、テープを覆い25に対して密着して巻くことができ、さらに優れた管の防食性が得られる。この覆い25は、組み立て上、2枚構成以上の分割構造のものが望ましい。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、事前の絶縁・防食処理は、工場内で一括して生産でき、工期の短縮と信頼性の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態において単位管同士を接合する直前の状況を示す縦断面図。
【図2】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態において単位管にガラスクロステープを巻く工程を示す模式的斜視図。
【図3】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態において単位管に自己融着テープを巻く工程を示す模式的斜視図。
【図4】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態において単位管に樹脂塗料を吹き付ける工程を示す模式的斜視図。
【図5】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態で採用可能なアルミナ粉末を添加したエポキシ樹脂の熱伝導率を示す表。
【図6】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態においてアルミニウム部材を用いた場合の溶接時の温度上昇の例を示す表。
【図7】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態において単位管同士を接合する直前の状況を示す部分的縦断面図。
【図8】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態における絶縁防食管路完成後の状況を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)は横断面図。
【図9】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態において単位管同士を接合する部分の拡大縦断面図。
【図10】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態において単位管同士を接合する部分の部分縦断面図。
【図11】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態において単位管同士を接合する部分の部分縦断面図。
【図12】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態において単位管同士を接合する部分の部分縦断面図。
【図13】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態における絶縁防食管路完成後の状況を示す縦断面図。
【図14】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態における絶縁防食管路完成後の状況を示す縦断面図。
【図15】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態における単位管の縦断面図。
【符号の説明】
1…管(単位管)、2…絶縁・防食層、3…防食処理無しの部分(裸部)、4…溶接・接合部分、5…ガラスクロステープ巻、6…塗料容器、7…防食塗料、8…ローラ、9…樋、10…自己融着テープ類、11…離型テープ巻取り部、12…スプレーガン、13…溝、14…ベローズ、15…FRP・プラスチックカバー、16…摺動クッション材、17…階段状の段差、18…短尺パイプ、19…下敷き材、20…形状記憶合金、21…ピット、22…地中、23…疎水性材料、24…突出部、25…覆い、30…地面、36…ガラスクロステープ、44…溶接部。
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力機器の管路気中送電(GIL:Gas Insulated Transmission Line)などに好適な絶縁防食管路の製造方法に関するもので、特にその管路を地中に直接埋め込む方式の管路に好適な外装防食技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
GILは、近年長距離地中送電線への適用を目的とした研究が進められている。そして、電力需要の増大に伴って超高圧地中送電線の市内導入化が進められ、長距離地中送電線(亘長数kmからそれ以上の長さで、送電容量1ルートあたり約300万kW)の建設が計画されている。
【0003】
GILは単位長さ10m弱〜数十mのパイプ型管の接続によって構成されており、内部に導体が通っており、通常内部には、電気絶縁性能に優れたSF6ガスやその混合ガスが用いられている。長距離線路への適用については、接続箇所が増えることから、信頼性、施工性、経済性などで課題があるとされている。しかし、GILは、フレキシブルな油浸絶縁紙(OF:oil filled )ケーブル、架橋ポリエチレンケーブル(CVケーブル)と比較して大幅に送電容量を増大できることから、これまで大容量地中送電線として注目され、発変電所の構内連絡線あるいは引出線として数百mの短距離線路に実用化されてきている。なお、本発明は、GILに限らず類似構造の電気機器全般に有効であるものである。
【0004】
日本国内では、既に、世界最大規模(3.3km)のGILが建設されており(CVの4倍の送電容量を確保できる)、その意味では、今後大いに建設が行なわれる設備または技術と考えられる。管路は金属管が使用され、鉄、ステンレスス鋼、アルミニウム材等から製造されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
GILは、通常の埋設管と異なり、導体から生じる磁界の外部への漏れを減らすため、導体に流す電流に相当するキャンセル電流を金属管に流す必要がある。このため、金属管はアースに対して電位差を持ち、絶縁が不十分な部位(絶縁が劣化した部分やピンホール)から局部的に、短時間でガス漏洩に至る電食の危険が考えられる。
【0006】
また、管路は、通常管路より大きいピットを掘り、その中に設置される。管路を地中に直接埋めた場合、コスト的に有利であるが、腐食や電食が問題になり、特に湿った地中や長さの長いものの場合には、長期の使用の間に腐食により管路に穴が開く可能性がある。また、短い距離の場合には、管の外表面に防食塗装等をすることもあるが、数百〜数キロメートルに渡って埋設するような場合は、良い方法が無かった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題を明確にするため、ここで金属の腐食について簡単に触れる。金属の腐食は、大きくは湿食と乾食に分類される。湿食は、土壌・水中環境中での自然腐食と電鉄その他から迷走電流による電食とに分けられ、自然腐食は鋼表面のミクロな腐食電池によるもの(一般に全面腐食と呼ばれる)、異種金属の接触による腐食電池によるもの(ガルバニック腐食)、バクテリアの作用によるもの、および巨視的な通気差あるいはコンクリート中鉄筋との電位差等によるもの(いわゆるマクロセル腐食)などに分類されている。金属表面が均一で、均質な腐食環境(水・土壌・大気など)にさらされている場合は全面が均一に腐食する。これを全面腐食または均一腐食という。
【0008】
後者の全面腐食は鉄の場合、大気・土壌・水中のいずれの条件でもその進行速度は小さく、設備・構造物に重大劣化損傷を与えることはほとんど無いと考えられている。しかし、金属表面状態の不均一あるいは環境の不均一により、局部的・部分的に腐食が集中して生じることがあり、長さに比例して不均一度も大きくなり、特に小さな局部的に腐食が集中して、孔状に金属が腐食損耗される現象を示す場合が多くなる。
【0009】
また、都市部等では、電気鉄道の軌条(レール)等からの迷走(漏れ)電流などの直流電流が配管などの埋設構造物に流入、流出すると、流出点に腐食が生じる。これが電食と呼ばれ、時には短期間で貫通漏洩に至る場合がある。その他、近接する他の配管・パイプラインに施されている電気防食(外電・排流方式)の電流によっても同様の腐食が生じることがある。
【0010】
GILは、将来の有望な送電技術であり、ますますその距離が長くなり、市街地の環境の地中にも適用が広げられる。この場合、長距離を有効に防食する手法が必要となるが現在そのようなものは、開発されていない。
【0011】
管を地中に埋めるという点で、似たものに給水装置がある。参考のために防食に対する標準的な施工方法等について述べる。構造・材質に関して、酸またはアルカリに対する耐食性を要望される時は、適切な処置、または防食材で被覆する等のが対策がなされている。漏洩電流により浸食されるおそれのある場所にあっては、非金属性の材質の給水装置を設置するか絶縁材で被覆すること等の電食防止の措置が取られている。
【0012】
具体的には、アスファルト系またはコールタール系等の塗覆装で、管の外周を完全に被覆して、電気的に絶縁し漏洩電流の流出入を防ぐ方法や軌条と管との間にアスファルトコンクリート板またはその他の絶縁物を介在させ、軌条からの漏洩電流の通路を遮へいし、漏洩電流の流出入を防ぐ方法等である。しかし、具体的な方法に関しては知られていない。
【0013】
また、管路気中送電における管路の場合は、導体への通電により熱が発生するため、耐熱性が求められており、給水装置で良く使用されているアスファルト系またはコールタール系等の材料は使用できず、それらに付加した性能の材料とそれに適合する施工法が必要とされている。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、長距離にわたる絶縁防食管路を、短い工期でしかも高い信頼性で製造する方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記目的を達成するものであって、複数の単位管それぞれの少なくとも端部付近以外の部分の外側面に絶縁・防食を施す単位管絶縁防食工程と、前記絶縁・防食を施された複数の単位管を前記端部同士で相互に接合する接合工程と、前記接合工程の後に接合部付近の外表面に絶縁・防食を施す接合部絶縁防食工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の実施の形態を説明する。これらの図面で相互の共通または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態の基本構成に関するものである。初めに、管路を構成する個々の単位長さの管(単位管)1の両端近くを残して事前に管1の外側面に絶縁・防食層2を施す。その後、これらを埋設現場に送り、管1を絶縁・防食処理していない部分(裸部)3を順次、溶接やフランジ4により、オーリングを介してボルト接合(図示せず)により管路を形成していく。
【0017】
例えば構成する管1の長さを15mとすると溶接に関わる裸部3の寸法として15〜30cm設けたとして、管1の98〜99%を前もって絶縁・防食処理することができる。この絶縁・防食処理は、工場内で行なうことができ、作業が困難な埋設現場の作業が少なくなり、管路製造の全体の時間節減と、品質向上を図ることができる。また、フランジに拠るボルト接合の場合は、裸部3は接合に関連する部分だけなので、さらに広範囲に絶縁・防食処理でき、埋設現場での接合部の絶縁・防食処理作業は少なくなる。絶縁・防食処理する場所を埋設現場近くに仮設置することも可能である。なお、裸部3は必ずしも積極的に設けなくとも良い。
【0018】
次に、絶縁・防食処理する材料や方法に関して図2を用いて説明する。この図は、ガラスクロステープ36を管1に巻いているところを図示している。管1は図示しない回転駆動機構により、管1の軸周りに矢印32のように回転する。ガラスクロステープ36は初め、ガラスクロステープ巻5に巻いてある。テープ巻5と管1の間に樹脂塗料容器6を設置していて、ガラスクロステープ36がそこを通る時にガラスクロステープ36内に樹脂塗料7が浸透していく。ローラ8類を介して、ガラスクロステープ36に塗料7をなじませ、また、ガラスクロステープ36の方向を変える。ガラスクロステープ36から垂れ落ちた過剰の樹脂は、樋9をつたって樹脂塗料容器6に戻る。このようにしてガラスクロステープ36を或る一定幅で1層〜数層重ね巻きし、硬化して絶縁・防食層2が形成される。
【0019】
なお、管1の両端には、前もって薄い例えばポリテトラフルオロポリエチレン(例えば、商品名:テフロン)製の離型テープを巻いて、樹脂の付着を防止する。最終的にこの離型テープを取り去り、絶縁・防食処理された個々の管1を製造することができる。
【0020】
図2で、例えばローラ8およびテープ巻5を、管1の軸方向に沿って矢印34の方向に管1に対して相対的に移動することによって、管1の外側面全体にテープを巻くことができる。他の例としては、ローラ8およびテープ巻5の位置は移動せず、管1をその軸の方向に移動させることも可能である。
【0021】
次に、図2の方法の変形例を説明する。これは、絶縁・防食処理する材料としてプリプレグ状態(樹脂をある程度硬化させた状態で、室温下では粘着性の無い半固形の状態になる)になったテープを用いる方法である。図面は省略するが、プリプレグ状態のテープを或る幅で一層ないし数層重ね巻きしていく。プリプレグ状態のテープが粘着状態であれば、離型テープと共に巻かれた状態で使用することになるが、離型テープは自動的に除去することができる(図3を参照して後述する)。
【0022】
プリプレグテープを巻いた後、さらにその外層に熱収縮テープ(例えば、商品名:収縮ルミラーテープ)を巻いた後、加熱硬化し、絶縁・防食処理層2を形成する。加熱することによりプリプレグ状態のテープから熱溶融した樹脂が流れ出し、また熱収縮テープの収縮作用によりテープ間相互やテープと管間が密着しその後に完全硬化するため、強固な絶縁・防食層が形成できる。この変形例では、作業性に優れる利点を有する。樹脂が飛散することが無いので、管の両端の離型性材料は、必ずしも巻かなくても良い。
【0023】
管の加熱方法としては、管内部に熱風を吹き込むことやリボンヒータ類を巻く方法がある。この方式を採用する場合には、熱収縮テープの外層にさらにフッ素樹脂系、例えばテフロン系(商品名)の耐熱性の離型テープを巻くとリボンヒータへの余分な樹脂の付着が防止できる。また、耐熱性に優れたものとしてシリコーン系粘着剤付白色ガラステープも市販されている。
【0024】
図3は、絶縁・防食処理する材料として自己融着性のテープ類10を或る幅で一層ないし数層重ね巻きし、融着することにより絶縁・防食処理層2を形成するようすを示す。テープを巻いた巻き物には自己融着性があるため、離型テープと一緒に巻いて使用する前に融着しないように分離している。このため、効率よく絶縁・防食処理するには、離型テープを巻きとる機構11が必要になる。
【0025】
離型テープの巻き取りは、小トルクのモータ(図示せず)を用いれば、自動的に巻き取ことができる。自己融着テープ10としてシリコーンゴム製のもの(例えば、GE−東芝シリコーン製)やブチルゴム製のもの(例えば日東電工(株)製のテープ)、エチレンプロピレンゴム製のもの(例えば3M社製)が使用できる。
また、または管の外面に樹脂を押し出し成形しライニングするか、フッ素樹脂貼り付けることにより絶縁・防食処理層を形成しても効果は同様である。
【0026】
図4は、絶縁・防食処理する材料に樹脂塗料を用いるものを示す。この図は、管1の両端に薄いポリテトラフルオロポリエチレンテープ類の離型テープを巻き、その後、樹脂塗料をスプレー12を用いて吹き付けているところを模式的に示したものである。塗料が硬化した後、離型テープを除去し、絶縁・防食処理層2が形成できる。
【0027】
ところで、管路の内部には、導体が内包されており、通電により熱が発生する。防食材料として良く使用されるアスファルト系の材料は熱により軟化や溶融して今回の目的には適していない。このため上述の絶縁・防食塗料は、耐熱性が高い方が良いが、80℃以上望ましくは、100℃以上の耐熱性を有する樹脂系である必要がある。さまざまな用途に応じて多くの樹脂類が開発されているが、後述のように、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂を主成分とする塗料類を用いれば今回の目的の耐熱性を有する、また十分な硬度を持った絶縁・防食層が得られることがわかった。
【0028】
なお、塗料の粘度調整のため、溶剤を添加しても良い。溶剤類は、樹脂が完全硬化するまでには、揮発して飛散し、最終的な絶縁・防食層内には残らない。但し、この場合には、多数回塗りする等の配慮が必要となる。
【0029】
管内で発生した熱は、管と絶縁・防食層を通じて地中内に拡散してある温度で平衡に達する。絶縁・防食層2は一般に熱の不良導体であり、絶縁・防食層の熱伝導率は温度上昇を決定する大きな要因になる。エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂からなるものをベースにして無機質充填材を添加することにより熱伝導率は大きくなる。
【0030】
図5に、エポキシ樹脂にアルミナ粉末を添加した場合の熱伝導率の例を示す。アルミナ粉末の添加量を増すと熱伝導率は大きくなるが、粘度が上昇して作業性が悪くなるため、100PHR程度が限界になる。このような樹脂への無機材料の添加により、熱放散が大きくなり温度上昇を抑制できるようになる。
【0031】
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂にも多くの種類のものが開発市販されているので、具体例を説明する。例えば、日立化成工業のフタルキッド系(商品名)の材料は、金属プライマー用との併用により、カチオン電着塗料並みの耐食性塗装層が得られる。またフタルキッドE4330(商品名)は、特殊変性剤使用により従来の変性エポキシ系に比べ溶剤溶解性が優れている特徴がある。また、TAKEDA U−PLEX Corp.社のUPフロアーシリーズ(商品名)は、色々なタイプの床材塗料であるが、低臭性・低収縮性・高耐食性樹脂をベースに創り上げた、熱水に強く、酸性、アルカリ性にも強いもので当管路の防食塗料としても優れたものが得られた。また速硬化性にも優れ、一度に厚膜の施工ができ、工期の短縮が可能である。
【0032】
また、昭和高分子株式会社のビニルエステル樹脂(商品名:リポキシ)は、エポキシ樹脂のもつ硬化後の優れた物性を保持しつつ、エポキシ樹脂の硬化作業の煩わしさを不飽和ポリエステル樹脂並みに近づけた両方の優れた特性を持つ樹脂で、本管の絶縁・防食処理材としても優れたものである。特に同社のリポキシR−807(商品名)は、優れた接着性を示すと共に低温下での硬化性もあり、作業性や環境面でも優れており、作業性と性能のバランスが取れたものである。しかし、スチレンが含まれているため作業環境上の対策が必要である。
【0033】
上述の絶縁・防食処理法において、テープ類を巻いたり、塗装する際の装置としては、被処理材である管1の両端を旋盤等の回転装置の回転軸に固定し、管全体を回転できるようにする。図2〜4の矢印32のように回転することにより、機械的にテープ36を巻き付けたり、塗装面を回すことにより管1の外側面全体に樹脂塗料を均一に付着し、均一な絶縁・防食処理層2を形成することができる。
【0034】
均一な重ね代で絶縁テープ類を巻くための装置として、被処理物である管1の軸に対して平行な移動用レール(図示せず)を設け、絶縁物を含む装置全体をレールの上に置き、管1の回転数や所定の重ね代が確保できるよう絶縁物を含む装置全体の矢印34方向の移動速度を設定できるようになっている。このため管1の回転とレール上での絶縁物の載った架台の移動速度の調節により、テープの重ね代等調整することができる。また、絶縁・防食層膜厚は、絶縁テープ類のテープ材の厚さや巻き回数により調整できる。
【0035】
絶縁・防食処理する材料や手法の他の実施の形態として、液体塗料の代わりに粉体塗料を用いることもできる。粉体塗料を静電気的に付着させたり、または事前に管全体を加熱して、粉体塗料を吹き付けて溶融付着させ、その後、余熱によるかもしくは加熱して、完全硬化する。これにより絶縁・防食処理層を形成する。
【0036】
粉体塗料としては、エポキシ系の粉体塗料やポリエステル粉体塗料が挙げられる。その他特殊な材料になるが、PFA(4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)ポリマーコーティングは、静電塗装膜として約1mmの厚膜コーティングが可能で、耐食性と非粘着性にも優れた層が形成できる。PFAシートライニングは非常に優れた耐食性があり、他の樹脂で対応できない使用用途や大型耐食機器に対応できる優れた利点があるが、先に挙げた汎用の材料に比べてコスト的な課題が残る。同種のものにETFE(4フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂)静電粉体塗装、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)コーティングも厚膜コーティングが可能で、耐熱性、耐浸透性に優れた耐食材として注目される樹脂であるが、先に挙げた汎用の材料に比べてコスト的な課題が残る。
【0037】
絶縁・防食処理法に関する他の実施の形態として、絶縁・防食処理する前に管の両端にゴム製のキャップを嵌めた後、全体を電着槽内に入れ電着塗装し、絶縁・防食処理層を形成することもできる(図示せず)。この場合は、管の内側と外側に絶縁層が同時に形成され、管の内側の層は、導体の耐電圧性向上に繋がる利点がある。
【0038】
各管の連結で、溶接法を採用した場合には、作業時に溶接の熱が溶接部から絶縁・防食処理層に伝わり、絶縁・防食層の熱劣化が考えられる。この対策のために、溶接作業の時に、溶接部近傍の絶縁層の無い裸の管部から前記絶縁・防食処理層にかけて非燃焼性のガラスクロステープや石綿クロステープ類に水をしみ込ませたものを巻いておくこともできる。このようにすることにより、水の気化熱により溶接部近傍の温度上昇が抑制されて絶縁・防食処理層の熱劣化を防ぐことが可能になる。図6はこのような冷却法を採用した場合の温度上昇の効果例であって、部材をアルミニウムとした場合の例である。
【0039】
次に、各単位管1を溶接してつなぎ合わせた溶接部分やその他の接合部分の絶縁・防食処理について説明する。最終的にこの部分にも地中に埋設されるので、絶縁・防食を行なう必要がある。基本的に今まで述べた電着塗装法を除いた単位管1での手法がほぼ適用できる。特にウェット式のガラスクロステープ巻、自己融着テープ巻、スプレー式の塗装膜形成等は大掛かりな装置が必要でないので、実用的である。
【0040】
樹脂を用いる絶縁・防食処理方法では、樹脂が硬化するまでは、重力方向に樹脂が垂れ落ち、層の均一性が損なわれることがある。そこで、樹脂の粘度が上昇するまで、管全体を緩やかに回転させるとよい。このようにすれば、樹脂の垂れ落ちや偏りを防止でき、絶縁層の厚さの均一性を確保できる。
【0041】
次に、管路全体の接続した時の熱膨張と収縮に対する応力の緩和に関する構造について説明する。熱膨張と熱収縮については、変形がある程度自由に行なえるような構造にしておけば、拘束されなくて良い。図7は、管1の両端の絶縁・防食処理しない部分(裸部)3に周方向に延びる長方形断面の溝13を3本入れたことを示す。管1同士の接合後にこの溝13にシリコーンRTVゴム(室温硬化形シリコーンゴム)等の柔軟な材料を充填しその後に、接合部の絶縁処理を行なえば、この溝13は、熱膨張・収縮の吸収部となり、引っ張りや圧縮が曲げ方向に変換されて、変形することにより応力の緩和ができる。
【0042】
なお、他の例としては、溝13を管1の両端の絶縁・防食処理しない部分3の内側表面に設けてもよい。また、溝13の形状は、台形や半円形としてもよい。さらに、溝13の本数は、任意である。
【0043】
また、図8に示すように、接合部の一部に金属ベローズ14を入れることにより積極的に変形可能にもできる。ベローズ14は、例えば、数単位の溶接接合部およびガス区分用スペーサ部の接続部に入れる。ここで、ガス区分は、管路に封入された絶縁ガスの空間を区分するものである。
【0044】
図8に示すように、FRPもしくはプラスチック製のカバー15でベローズ14全体を覆う構造を有し、管11とカバー15の間をクッション材16でシールする構造を有している。このため、ベローズ14の溝に土が入り込み変形を阻害することを避けることができる。クッション材16の例としては、ポリフルオロポリエチレン製のゴアテックス(商品名)が挙げられる。
【0045】
カバー15の構造としては、例えば、図8に示すように、半割のカバー構造として二つを合わせてベローズ14を覆う構造とすることができる。このようにするとベローズ14を取り付けた後で挟む格好でカバー15を取り付けることができる。カバー15同士の間には、前記と同様なクッション材16をはさみ込み、ボルト類で締め付けて現地で容易に組み立てられる。水分の浸入を抑制するため、この合わせ部は、地平面に対して水平か、下方にあることが望ましい。
【0046】
FRP製品の製法に関しては、多くのものが知られているが、本用途では、高い電圧は掛かからないものの、形状の複雑なものを数多く製作する必要がある。離型処理した木型等に貼り付けてFRPを製造するハンドレイアップ法が適している。価格に関しても満足できるものである。
【0047】
次に、個々に製作された単位管1同士の接合方法の特に溶接に関して説明する。個々の管1の溶接部分は、図9に示すように、階段状に嵌め合わせる構造17になっている。このような構造にすることにより、溶接時に発生する異物や溶接痕が段差の部分で止まり、管1の内部に入ることを防ぐことができる。階段状の形状は、凹凸の嵌め込み構造とすることもできる。
【0048】
図10に示す例は、目的は図9のものと同じであるが、より機能的な方法である。管1の接合部にまたがる格好で、管1の溶接接合部分の外側に、長さ20〜30cmの短尺パイプ18aを嵌め込み、それぞれの管1と短尺パイプ18aとの間に溶接部44を形成していく。短尺パイプ18aの内径は管1の外径よりわずかに大きくする。このようにすると、溶接時に発生する異物や溶接痕を管1の内部に侵入することを防ぐことができる。
【0049】
図11に示す例は、図10の例の変形例であって、管1の溶接接合部分の内側に、短尺パイプ18bを嵌め込んでいる。この場合は、短尺パイプ18bの外径を管1の内径よりわずかに小さくする。図11に示す例では、二つの管1と短尺パイプ18bの間で一つの溶接部44が形成されるので、図10の場合に比べて溶接箇所が少なくなる。なお、図11では、管1同士の溶接部44のうちの上部は溶接後の状態を示し、下部は溶接前の状態を示している。
【0050】
次に、図12は、管1同士の接合部分にパイプ形状の下敷き材19と形状記憶合金製の金具20を被せた例を示す。所定の温度に加熱すると形状記憶合金製の金具20が収縮し、下敷き材19を介して管1が締め付けられ、管1同士を連結することができる。異物等が発生しない利点を有する。
【0051】
次に、絶縁・防食層の試験に関して説明する。管1の両端を残して事前に絶縁・防食処理した後、これらを埋設現場に移送する前に問題の無い処理が為されていることを確認をしておく必要がある。ピンホール検出器等で塗膜の性能を検証することが有効であり、万一ピンホール等の欠陥が見付かった場合は、埋設する前に補修できることになる。前記の検証法は、検証する面積が小さい場合には、時間も余り要しないが、何メートルもの管に対して行なう場合には、効率の点で問題があった。
【0052】
これに対して、管1の外径に合った寸法のスカート状もしくは筒状の導電性ゴムシートを作製し、このゴムシート内に管1を入れてピンホール検出器の高圧側電極にし、管の外周部を滑らせながら検証すると短時間で済む(図示せず)。また、導電性ゴムシートを巻いて、テスターやメガー等によりピンホールの有無を知ることにより、容易に長い管路の塗膜の性能を検証することができる(図示せず)。ピンホール検出器として市販品では、岩谷産業の形式216(商品名)が利用可能である。
【0053】
さらに、絶縁・防食処理層の変形例として、管路気中送電用の外管そのものを絶縁する代わりに外管より径の大きい絶縁性筒を製作して、管路気中送電用の外管を絶縁性筒の中に入れる二重管構造にすることもできる(図示せず)。これにより完全な絶縁性を確保できる。絶縁性筒を製作する方法としてフィラメントワィデング法がよるFRP材が考えられる。
【0054】
前述の構造において、管と絶縁性筒の中に入れる二重管構造内に、ガス検知配管を設置し、管路気中送電用の外管から絶縁ガス(例えばSF6ガス)が漏洩した場合には、2重管の間に留まるため、漏洩を検知することにより管路気中送電用の外管の密封性がモニターすることができるようになる。検出器として、市販のSF6ガス漏洩検出器(例えばTIF Instrument Inc.社製のタイプTIF−5000)が利用できる。
【0055】
次に、図13に示す例では、前述の管路気中送電用の管1を地面30の下の地中22へ埋め込むに際し、管路気中送電管の下部に排水用ピット21または配管を設置している。排水が良くなったため、管路気中送電埋設部の水の停滞時間を短くできる。
【0056】
さらに、図14に示すように、埋設時に使用する土砂として、比較的大きな砂利23を敷き詰めることで、GIL埋設部の水の停滞時間を短くし、腐食の進行を抑制することが可能となる。排水用ピット21内に溜まった水は、ポンプ等でくみ出しても良い。また、図8に示したベローズ14の部位にピット21を設ければ、ベローズ用のカバー15が不要になる利点がある。
【0057】
次に、絶縁・防食とは直接的な関連は無いが、図2〜4に示した絶縁・防食処理方法と同じ方法で中心導体の表面に絶縁処理を行なうことができる。中心導体に絶縁処理することにより耐電圧性能を向上を図ることができる。
【0058】
次に、絶縁・防食処理する方法に関して図15の模式図を用いて説明する。防食をする管路外表面はなめらかな円筒形であることが望ましいが、実際には管路内部の中心導体を支持するため、管路には絶縁物支持部が設けられ、ボルト締結により管路へ取り付けるためのフランジが設置される。これらのフランジ部はボルト等を含めて角部等の突出部24が多く、突出高さにもよるが、このような部分は、図2、3に示したようなテープを管1に密着させて巻くことが難しい。
【0059】
このため、これらの突出部24には事前にある程度強度のある材料、例えば熱可塑性プラスチック材の成形材やFRP成形材等でなめらかな覆い25を設けておくことにより、テープを覆い25に対して密着して巻くことができ、さらに優れた管の防食性が得られる。この覆い25は、組み立て上、2枚構成以上の分割構造のものが望ましい。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、事前の絶縁・防食処理は、工場内で一括して生産でき、工期の短縮と信頼性の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態において単位管同士を接合する直前の状況を示す縦断面図。
【図2】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態において単位管にガラスクロステープを巻く工程を示す模式的斜視図。
【図3】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態において単位管に自己融着テープを巻く工程を示す模式的斜視図。
【図4】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態において単位管に樹脂塗料を吹き付ける工程を示す模式的斜視図。
【図5】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態で採用可能なアルミナ粉末を添加したエポキシ樹脂の熱伝導率を示す表。
【図6】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態においてアルミニウム部材を用いた場合の溶接時の温度上昇の例を示す表。
【図7】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態において単位管同士を接合する直前の状況を示す部分的縦断面図。
【図8】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態における絶縁防食管路完成後の状況を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)は横断面図。
【図9】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態において単位管同士を接合する部分の拡大縦断面図。
【図10】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態において単位管同士を接合する部分の部分縦断面図。
【図11】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態において単位管同士を接合する部分の部分縦断面図。
【図12】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態において単位管同士を接合する部分の部分縦断面図。
【図13】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態における絶縁防食管路完成後の状況を示す縦断面図。
【図14】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の他の一つの実施の形態における絶縁防食管路完成後の状況を示す縦断面図。
【図15】本発明に係る絶縁防食管路の製造方法の一つの実施の形態における単位管の縦断面図。
【符号の説明】
1…管(単位管)、2…絶縁・防食層、3…防食処理無しの部分(裸部)、4…溶接・接合部分、5…ガラスクロステープ巻、6…塗料容器、7…防食塗料、8…ローラ、9…樋、10…自己融着テープ類、11…離型テープ巻取り部、12…スプレーガン、13…溝、14…ベローズ、15…FRP・プラスチックカバー、16…摺動クッション材、17…階段状の段差、18…短尺パイプ、19…下敷き材、20…形状記憶合金、21…ピット、22…地中、23…疎水性材料、24…突出部、25…覆い、30…地面、36…ガラスクロステープ、44…溶接部。
Claims (16)
- 複数の単位管それぞれの少なくとも端部付近以外の部分の外側面に絶縁・防食を施す単位管絶縁防食工程と、
前記絶縁・防食を施された複数の単位管を前記端部同士で相互に接合する接合工程と、
前記接合工程の後に接合部付近の外表面に絶縁・防食を施す接合部絶縁防食工程と、
を有することを特徴とする絶縁防食管路の製造方法。 - 請求項1に記載の絶縁防食管路の製造方法において、
前記単位管絶縁防食工程は、
前記単位管の端部付近の外側面に離型性テープを巻く離型テープ巻き工程と、
ガラスクロステープに塗料を浸漬する工程と、
前記離型テープ巻き工程の後に、前記塗料を浸漬したガラスクロステープを、前記単位管の外側面に巻く工程と、
その後に、前記塗料を硬化させる工程と、
その後に、前記離型性テープを取り去る工程と、
を有すること、を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。 - 請求項1に記載の絶縁防食管路の製造方法において、
前記単位管絶縁防食工程は、
ガラスクロステープに樹脂を浸漬してプリレグ状態にする工程と、
前記離型テープ巻き工程の後に、前記プリレグ状態のテープを前記単位管の外側面に巻く工程と、
その後に、前記巻かれたプリレグ状態のテープの外側に離型性のある熱収縮テープを巻く工程と、
その後に、前記熱収縮テープを加熱硬化する工程と、
その後に、離型性テープを取り去る工程と、
を有すること、を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。 - 請求項1に記載の絶縁防食管路の製造方法において、
前記単位管絶縁防食工程は、前記単位管の少なくとも端部以外の外側面に、自己融着性のテープを巻いてその自己融着性のテープを融着するか、樹脂を押し出し成形しライニングするか、フッ素樹脂を貼り付けるか、のいずれかによること、
を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。 - 請求項1に記載の絶縁防食管路の製造方法において、
前記単位管絶縁防食工程は、
前記単位管の端部に離型性テープを巻く工程と、
その後に、前記単位管の外側面に塗料を吹き付ける工程と、
その後に、前記塗料を硬化させる工程と、
その後に、前記離型性のテープを除去する工程と、
を有すること、を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。 - 請求項2または5に記載の絶縁防食管路の製造方法において、
前記塗料は、耐熱性の樹脂をベースにして無機質充填材を添加して硬度および熱伝導率を向上したものであること、を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。 - 請求項1ないし6のいずれかに記載の絶縁防食管路の製造方法において、前記単位管絶縁防食工程は、前記単位管の外側面にテープを巻くか塗料を塗布するために、当該単位管をその軸の周りに回転させる回転工程を含むこと、を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。
- 請求項7に記載の絶縁防食管路の製造方法において、前記回転工程の最中に前記絶縁・防食を施すための治具を、前記単位管の軸に沿って前記単位管に対して相対的に移動させる工程をさらに含むこと、を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。
- 請求項5に記載の絶縁防食管路の製造方法において、前記塗料は粉体塗料であって、前記塗料を硬化させる工程は加熱を伴うこと、を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載の絶縁防食管路の製造方法において、前記接合工程は、非燃焼性テープに水をしみ込ませたものを前記単位管の接合部付近の外側面に巻く工程と、その後に、前記単位管同士を溶接によって接合する工程と、を有すること、を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。
- 請求項1ないし10のいずれかに記載の絶縁防食管路の製造方法において、
前記単位管絶縁防食工程では前記単位管の端部付近に裸部を残し、
前記接合工程は前記単位管同士を溶接によって接合し、
前記接合部絶縁防食工程は前記裸部に絶縁・防食を施すこと、
を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。 - 請求項2または5に記載の絶縁防食管路の製造方法において、前記塗料を硬化させる工程は、前記単位管をその軸の周りに回転させる回転工程を含むこと、を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。
- 請求項1ないし12のいずれかに記載の絶縁防食管路の製造方法において、
前記接合工程は溶接によるものであって、
前記接合工程の前に前記単位管それぞれの端部付近に周方向の溝を形成する工程をさらに有し、
前記接合工程の後で前記接合部絶縁防食工程の前に前記溝内に柔軟な材料を充填する溝充填工程をさらに有すること、
を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。 - 請求項1ないし13のいずれかに記載の絶縁防食管路の製造方法において、
前記絶縁防食管路は管路気中送電のための管路であって、
前記接合工程の少なくとも一部は溶接接合によるものであり、
前記接合工程における溶接接合を行なう場合に、前記単位管の端部同士の間に金属製のベローズを挟んで相互に溶接接合を行ない、
前記接合工程の後に、前記ベローズ全体を覆うカバーを取り付ける工程をさらに有すること、
を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。 - 請求項1ないし13のいずれかに記載の絶縁防食管路の製造方法において、
前記接合工程の少なくとも一部は溶接接合によるものであり、
前記接合工程における溶接接合を行なう溶接位置で、前記単位管の端部が互いに噛み合う階段状になっているか、当該溶接位置の外側または内側で前記単位管に隣接する短尺パイプを配置してこの短尺パイプを前記単位管に溶接する工程を含むこと、
を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。 - 請求項1に記載の絶縁防食管路の製造方法において、前記単位管絶縁防食工程および接合部絶縁防食工程の少なくとも一方は、前記単位管の外側に絶縁性の筒を被せる工程を含むこと、を特徴とする絶縁防食管路の製造方法。
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