JP6983561B2 - 防腐食構造 - Google Patents
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Description
[2] 前記接続部に巻回された第1のシリコーン系部材と、前記第1のシリコーン系部材の上に重ねて巻回された第2のシリコーン系部材と、が備えられ、前記第1のシリコーン系部材が前記自己接着型のシリコーン系部材であり、前記第2のシリコーン系部材が自己融着型のシリコーン系部材である、[1]に記載の防腐食構造。
[3] 前記接続部に巻回された第1のシリコーン系部材と、前記第1のシリコーン系部材の上に重ねて巻回された第2のシリコーン系部材と、が備えられ、前記第1のシリコーン系部材が自己融着型のシリコーン系部材であり、前記第2のシリコーン系部材が前記自己接着型のシリコーン系部材である、[1]に記載の防腐食構造。
[4] 前記第1のシリコーン系部材はテープ状部材であり、前記第2のシリコーン系部材は、前記第1のシリコーン系部材よりも幅広のテープ状又はシート状であり、前記第1のシリコーン系部材の全体を被覆するように巻回されている、[2]または[3]に記載の防腐食構造。
[5] 金属製配管の接続部に、自己接着型のシリコーン系部材を巻回する防腐食工法。
[6] 支持フィルムの上に前記自己接着型のシリコーン系部材を載せ、前記シリコーン系部材の接着面が表面に露出した状態とする工程と、前記接着面を前記接続部の第一部分に密着させて、前記支持フィルムの1組の第一端部及び第二端部のうち、前記第一端部側を前記第一部分から見て一方へ向けて巻き付けつつ、前記第一端部を前記第一部分の反対方向に引くとともに、前記第二端部側を前記第一部分から見て他方へ向けて巻き付けつつ、前記第二端部を前記第一部分の反対方向に引くことによって、前記第一部分を含む前記接続部に対して前記自己接着型のシリコーン系部材を押圧し、密着させつつ巻回する工程と、を有する[5]に記載の防腐食工法。
[7] 自己接着型のシリコーン系部材からなり、金属製配管の接続部に巻回される防腐食構造用部材。
本発明の防腐食工法においては、粘ちょう性を呈さないシリコーン系部材を接続部に巻回して施工を完了できるため、乾燥時間が必要なく、簡便に短期間で施工を完了できる。また、必要に応じて施工後のシリコーン系部材を容易に取り外すことができるので、配管の接続部の保守点検を容易に行うことができる。
本発明の防腐食構造用部材は、上記の防腐食構造及び防腐食工法において有用である。
本発明の第一態様は、金属製配管と、前記金属製配管の接続部に巻回された自己接着型のシリコーン系部材と、が備えられた防腐食構造である。
以下、図面を参照して本発明にかかる実施形態を例示する。
図1に示すように、金属製配管10のねじ切り部Aは、第1の配管10の端部において雄ねじの溝11が形成された部分であり、一般に腐食が起こり易い部分である。雄ねじ11には、第2の配管20の雌ねじが累合されていてもよく、この場合のねじ切り部Aは配管接続部と呼ばれる。
金属製配管の接続部は、ねじ切りに限らず、溶接して接続した部分でもよい。
第1の配管10及び第2の配管20の長手方向の形状は特に限定されず、直線状でもよいし、屈曲状でもよい。また、その長手方向の長さも特に限定されず、例えば30cm〜1m程度が挙げられる。第1の配管10及び第2の配管20の直径は特に限定されず、例えば1cm〜1m程度が挙げられる。第1の配管10及び第2の配管20のねじ切り部A以外の管壁は樹脂で被覆されていても構わない。
図2に示すように、第一実施形態の防腐食構造には、金属製配管10のねじ切り部Aに巻回された自己接着型のシリコーン系部材30が備えられている。
第1の配管10及び第2の配管20のねじ切り部(接続部)Aは金属製であり、自己接着型シリコーン系部材30が巻回された状態においては、ねじ切り部Aがシリコーン系部材30によって被覆されて、腐食の原因となる酸素や水分から保護されている。一方、シリコーン系部材30が取り外された状態(図1参照)においては、ねじ切り部(接続部)Aの金属の少なくとも一部が露出する。
本実施形態で用いられる自己接着型シリコーン系部材30は、使用前は未硬化状態であり、接続部に巻回した後で硬化する、硬化型シリコーンゴムからなる部材である。
前記硬化型シリコーンゴムは、一般に2種類に大別される。一方は、未使用時には低温で保存し、硬化時には常温以上に加熱することによって硬化させる、いわゆる付加硬化型シリコーンゴムである。他方は、未使用時には乾燥環境(防湿環境)で保存し、硬化時には空気中の水分を吸湿させることによって硬化させる、いわゆる縮合型シリコーンゴムである。本実施形態の自己接着型シリコーン系部材30は、付加硬化型でもよいし、縮合硬化型であってもよい。
硬化型シリコーンゴムは所望の形状に成形可能であり、成形後の形状を保持する。硬化型シリコーンゴムは流動性がなく圧縮により変形する特性を有している。硬化型シリコーンゴムはウイリアム可塑度(25℃)が50〜450であるのが好ましく、50〜300であるのが特に好ましい。ウイリアム可塑度が前記範囲内にあると、未硬化の状態で所望の形状に成形できるうえその形状を保持できるにもかかわらず圧縮されると容易に変形する。ウイリアム可塑度が前記下限値以上であれば、流動性がなく成形加工ができ、前記上限値以下であれば、圧縮されると容易に変形することができる。ウイリアム可塑度は、JIS K 6249:1997の「未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法」に準じて測定する。すなわち、25℃の環境下において硬化型シリコーンゴム2gの球状の試験片とし、この試験片をセロハン紙に挟んでダイヤルゲージの付いた平行板可塑度計(上島製作所製「ウイリアムプラスとメータ」)中にセットし、5kgの荷重を加えて3分間放置した後、ダイヤルゲージの目盛をミリメートルまで読み取り、試験片の厚さを記録して、この数値を100倍してウイリアム可塑度とする。
プライマー処理を施したSUS304に対する硬化型シリコーンゴムの接着力を、例えばJIS K 6854−1:1999の「90度はく離試験 接着強さ」に基づいて評価した場合、10N/mm以上であることが好ましい。上限値は特に限定されないが、保守点検のためにシリコーン系部材30をねじ切り部Aから取り外すことを考慮して、例えば、100N/mm程度が上限として挙げられる。
図3に示すように、第二実施形態の防腐食構造には、金属製配管のねじ切り部Aに巻回された第1のシリコーン系部材30と、第1のシリコーン系部材30の上に重ねて巻回された第2のシリコーン系部材40と、が備えられている。
図3の例においては、第1のシリコーン系部材30は、第2のシリコーン系部材40によって完全に被覆されており、外部に露出していない。
第2のシリコーン系部材40は、前述した自己接着型シリコーン系部材であってもよいし、後述する自己融着型シリコーン系部材であってもよい。
これらのうち、第1のシリコーン系部材30は未硬化の状態で金属製ねじ切り部Aに対する密着性が優れることから、(a)又は(c)が好ましく、第2のシリコーン系部材40が重ねて巻かれ第1のシリコーン系部材30が圧縮され防腐食構造全体の金属製ねじ切り部Aに対する密着性がさらに優れることから、(a)がより好ましい。
本実施形態の自己融着型シリコーン系部材は、自己融着性シリコーンゴムからなる部材であることが好ましい。自己融着性シリコーンゴムは、使用時の硬化処理を必要とせず、予め硬化された状態で使用される。自己融着性シリコーンゴムとしては、例えば、特開2016−114180号公報に開示されている、下記の平均組成式(I)で示されるジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物とを含有するシリコーン組成物を硬化させた硬化物が挙げられる。
[式(I)中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは1.98〜2.02の範囲の任意の数を表す。]
R1は、前記炭化水素基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基等で置換された基でもよい。
シリコーン組成物を硬化させる際に、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物で硬化を促進させる場合には、R1がアルケニル基又はアルケニル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基で置換された基が好ましい。
式(I)におけるnは、自己融着性を充分に得る観点から、1.98〜2.02であることが好ましい。
前記ホウ酸化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
テープ状又はシート状の自己融着型シリコーン系部材の長手方向に沿う引張伸び率は、硬化後の自己接着型シリコーン系部材の引張伸び率よりも大きいことが好ましく、例えば、300%以上であることが好ましく、400%以上であることがより好ましく、500%以上であることがさらに好ましい。
上記の引張強さ及び引張伸び率が前記下限値以上であれば、充分に高い自己融着性を発揮でき、配管のねじ切り部又はそこに巻回された自己接着型シリコーン系部材に対してより密着することができる。
上記の引張強さ及び引張伸び率は、引張試験機を用い、テープ状又はシート状のシリコーン系部材の長手方向に沿って、23℃、引張速度500mm/分の条件で測定した値である。
本発明の第二態様は、金属製配管の接続部に、自己接着型のシリコーン系部材を巻回する防腐食工法である。この工法によって、第一態様の防腐食構造を形成することができる。
自己融着型シリコーン系部材をねじ切り部Aに巻回する際には、密着力及び自己融着力を高める観点から、自己融着型シリコーン系部材を長手方向へ引き伸ばしながら巻き付けることが好ましい。
上記の工法によれば、溝内やケース内等の作業者の手が届きにくい狭溢部に配管10,20が設置されている場合にも、容易に自己接着型シリコーン系部材60を巻回することができる。巻回後に支持フィルム50は取り外される。
まず、ポリエチレン被覆鋼管(φ24.7mm)のねじ切り部に対して、第1のシリコーン系部材としての自己接着型シリコーンゴムテープ(信越ポリマー社製、幅20mm、ウイリアム可塑度200)をらせん状に巻き付けて、図2の様にねじ切り部を被覆した。続いて、第2のシリコーン系部材としての自己融着型シリコーンゴムテープ(信越ポリマー社製、幅25mm)を、第1のシリコーン系部材に重ねてらせん状に巻き付けて、図3の様にねじ切り部を被覆した。これにより鋼管のねじ切り部に防腐食構造を形成した。同様の試験体を3つ作製した。
上記の防腐食構造に対して、JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験で、1000時間後、防腐食構造の変化の有無を目視で確認した(塩水噴霧試験)。
その確認の結果、防腐食構造を形成するシリコーン系部材の表面に少量の塩分が析出していた他は特に変化は無く、3つの試験体の何れにおいても剥離は起きていなかった。次に、カッターで切り裂いて防腐食構造を除去し、金属製ねじ切り部を露出させて目視で確認したところ、3つの試験体の何れにも錆は生じていなかった。
以上の結果から、実施例1の防腐食構造は、防腐食性、耐候性、耐久性に優れることが明らかである。
実施例1における第1のシリコーン系部材と、第2のシリコーン系部材を入れ替えた以外は、実施例1と同様に防腐食構造を形成し、塩水噴霧試験を行った。つまり、第1のシリコーン系部材として自己融着型シリコーンゴムテープを用い、第2のシリコーン系部材として自己接着型シリコーンゴムテープを用いた以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、防腐食構造の表面に少量の塩分が析出していた。次に、カッターで切り裂いて防腐食構造を除去し、金属製ねじ切り部を露出させて目視で確認したところ、わずかながら錆が生じていた。
以上の結果から、実施例2の防腐食構造は、実施例1よりも劣る場合があったものの、防腐食性、耐候性、耐久性は概ね良好であることが分かった。
実施例1と同じポリエチレン被覆鋼管のねじ切り部に対して、自己接着型シリコーンゴムテープ(信越ポリマー社製、幅25mm、ウイリアム可塑度100)をらせん状に巻き付けて、図2の様にねじ切り部を被覆した。これにより鋼管のねじ切り部に防腐食構造を形成した。同様の試験体を3つ作製した。
上記の防腐食構造体に対して塩水噴霧試験を実施例1と同様に行った。
その結果、防腐食構造を形成するシリコーン系部材の表面に少量の塩分が析出していた。次に、カッターで切り裂いて防腐食構造を除去し、金属製ねじ切り部を露出させて目視で確認したところ、少し錆が生じていた。
以上の結果から、実施例3の防腐食構造は、実施例1よりも劣る場合があったものの、防腐食性、耐候性、耐久性は概ね良好であることが分かった。
なお、実施例3は比較例である。
実施例1と同じポリエチレン被覆鋼管のねじ切り部に防腐食構造を形成せず、ねじ切り部が露出した状態で実施例1と同様に塩水噴霧試験を行った。
その結果、金属製のねじ切り部分の実施例2,3よりも多くの部位に錆が生じていた。
実施例1と同じポリエチレン被覆鋼管のねじ切り部に対して、自己融着型シリコーンゴムテープ(信越ポリマー社製、幅25mm)をらせん状に巻き付けて、図2の様にねじ切り部を被覆した。同様の試験体を3つ作製した。
上記の試験体に対して塩水噴霧試験を実施例1と同様に行った。
その結果、試験体の表面に少量の塩分が析出していた他、3つの試験体のうち2つにおいて、らせん状に巻回した自己融着型シリコーンゴムテープの一部に緩みが生じていた。次に、カッターで切り裂いて自己融着型シリコーンゴムテープを除去し、金属製ねじ切り部を露出させて目視で確認したところ、実施例2,3よりも多くの部位に錆が生じていた。
以上から、比較例2の自己融着型テープのみを被覆した構造は、実施例1〜3よりも劣る結果であった。
・自己接着型テープ;縮合硬化型。前述の「90度はく離試験 接着強さ」は10N/mm。前述の硬化後のデュロメータ硬さ(タイプA)は約43。
・自己融着型テープ;前述の平均組成式(I)で示されるジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物と含有するシリコーン組成物の硬化物。前述の引張強さは80N以上、引張伸び率は300%以上。
20 雌ねじを有する金属製配管
A ねじ切り部
11 ねじ切り部Aを構成する溝
30 第1のシリコーン系部材
40 第2のシリコーン系部材
50 支持フィルム
60 シート状の自己接着型シリコーン系部材
70 中間体
Claims (5)
- 金属製配管と、前記金属製配管の接続部に巻回された自己接着型のシリコーン系部材と、が備えられた防腐食構造であって、
前記接続部に巻回された第1のシリコーン系部材と、
前記第1のシリコーン系部材の上に重ねて巻回された第2のシリコーン系部材と、が備えられ、
前記第1のシリコーン系部材がJIS K 6249:1997に準拠して測定されるウイリアム可塑度(25℃)が50〜450である前記自己接着型のシリコーン系部材であり、
前記第2のシリコーン系部材がジオルガノシロキサンとホウ酸化合物からなり、引張伸び率が300%以上である自己融着型のシリコーン系部材である、防腐食構造。 - 金属製配管と、前記金属製配管の接続部に巻回された自己接着型のシリコーン系部材と、が備えられた防腐食構造であって、
前記接続部に巻回された第1のシリコーン系部材と、
前記第1のシリコーン系部材の上に重ねて巻回された第2のシリコーン系部材と、が備えられ、
前記第1のシリコーン系部材がジオルガノシロキサンとホウ酸化合物からなり、引張伸び率が300%以上である自己融着型のシリコーン系部材であり、
前記第2のシリコーン系部材がJIS K 6249:1997に準拠して測定されるウイリアム可塑度(25℃)が50〜450である前記自己接着型のシリコーン系部材である、防腐食構造。 - 前記第1のシリコーン系部材はテープ状部材である、請求項1または2に記載の防腐食構造。
- 前記第1のシリコーン系部材はテープ状部材であり、
前記第2のシリコーン系部材は、前記第1のシリコーン系部材よりも幅広のテープ状又はシート状であり、前記第1のシリコーン系部材の全体を被覆するように巻回されている、請求項1〜3の何れか一項に記載の防腐食構造。 - 前記自己融着型のシリコーン系部材はテープ状又はシート状であり、その長手方向の引張伸び率は、硬化後の前記自己接着型のシリコーン系部材の引張伸び率よりも大きい、請求項1又は2に記載の防腐食構造。
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