JP2019019069A - 体脂肪低減剤 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、α-リノレン酸を含むω3系高度不飽和脂肪酸について、冠動脈疾患、脳卒中等の予防効果があることや脂質代謝に影響を及ぼすこと等が報告されている。
そこでこれまでに、体脂肪の低減を目的にα−リノレン酸を高濃度に含有するジアシルグリセロールの使用が検討されている(例えば、非特許文献1)が、α-リノレン酸の効果は判然としていない。また、油脂代替物は、調理時等に天然の油脂と置き換えて使用することを前提としたもので、これまでの知見は油脂代替物を天然の油脂と比較した効果等であり、α-リノレン酸を含む油脂自体が通常の食事をした際のエネルギー消費へ与える影響については報告がない。
また、本発明は、構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂を有効成分として含み、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量で食事と同時に摂取される血中中性脂肪低減剤を提供するものである。
また、本発明は、構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂を有効成分として含み、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量で食事と同時に摂取されエネルギー代謝促進剤を提供するものである。
また、本発明は、構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂を、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量となるように食事と同時に摂取させる、非治療的な体脂肪低減方法を提供するものである。
また、本発明は、構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂を、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量となるように食事と同時に摂取させる、非治療的な血中中性脂肪低減方法を提供するものである。
また、本発明は、構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂を、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量となるように食事と同時に摂取させる、非治療的なエネルギー代謝促進方法を提供するものである。
油脂の風味・工業的生産性の点からは、油脂を構成する脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは60%以上100%以下、更に好ましくは70%以上100%以下、更に好ましくは80%以上100%以下である。不飽和脂肪酸の炭素数は、生理効果の点から、好ましくは14〜24、より好ましくは16〜22である。
飽和脂肪酸の炭素数は、好ましくは14〜24、より好ましくは16〜22である。
また、油脂に含まれる遊離脂肪酸又はその塩の含有量は、風味、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜2%、更に好ましくは0〜1%である。
トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール及びモノアシルグリセロールの脂肪酸組成は同じであることが油脂の工業的生産性の点から好ましい。
従って、構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂は、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量で食事と同時に摂取されることで、体脂肪、特に内臓脂肪の低減に有用な体脂肪低減剤、血中中性脂肪低減剤、又は特に食事後のエネルギー代謝を促進するエネルギー代謝促進剤となり得、また、当該体脂肪低減剤、血中中性脂肪低減剤、又はエネルギー代謝促進剤を製造するために使用することができる。また、構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂は、体脂肪低減、血中中性脂肪低減、又はエネルギー代謝促進のために、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量で食事と同時に摂取されるように使用することができる。
当該「使用」は、ヒトを含む動物への摂取であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
このような種々の剤型の製剤は、必要に応じて、薬学的に許容される担体、例えば、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、保存剤、増粘剤、流動性改善剤、嬌味剤、発泡剤、香料、被膜剤、希釈剤等や、構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂以外の薬効成分を適宜組み合わせて調製することができる。
種々の形態の食品は、必要に応じて、他の食品材料、例えば、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、酸味料、甘味料、苦味料、pH調整剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、流動性改善剤、発泡剤、香科、調味料等や、構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂以外の有効成分を適宜組み合わせて調製することができる。
飼料は、必要に応じて、他の飼料材料、例えば、肉類、蛋白質、穀物類、ぬか類、粕類、糖類、野菜、ビタミン類、ミネラル類、ゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等や、構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂以外の有効成分を適宜組み合わせて常法により調製することができる。
上記製剤が油脂組成物の形態である場合、油脂組成物中の構成脂肪酸としてα−リノレン酸を含有する油脂の含有量は、好ましくは90%以上、より好ましくは94%以上、更に好ましくは94.5%以上であり、また、好ましくは99.9%以下、より好ましくは99.45%以下、より好ましくは99%以下である。
抗酸化剤としては、食品に使用するものであれば特に制限はないが、天然抗酸化剤、レシチン、トコフェロール、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA)等から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
従来の油脂代替物は、調理時に通常の食用油脂と置き換えて使用することを前提としているが、油脂代替物の実使用場面で正確に規定の有効量を測りとることは手間がかかり、また、家族構成によっては、調理品を家族で共有する場合があり、各々が油脂代替物の規定の有効量を実際に摂取することは容易ではなかったと考えられる。これに対して、1食あたりの摂取量単位で包装することで、正確に規定の有効量を摂取することができる。当該規定の有効量の摂取を各々が自覚できる。また、携帯性、取扱性、継続性にも優れる。
食事の内容としては、特に限定されず、揚げ物、焼き物、炒め物、煮物、蒸し物、汁物、米飯等の加熱調理品や、サラダ、サンドイッチ、パン等の非加熱調理品等が挙げられる。
構成脂肪酸としてα−リノレン酸を含有する油脂を食事と同時に摂取するにあたっては、当該食事の調理、特に加熱調理に使用して摂取するのではなく、当該食事に混ぜたり、かけたりして、非加熱の状態で摂取することが好ましい。このように摂取することで、食事の内容、食事場所を選ばずに使用できる。
摂取期間は特に限定されず、単回摂取でもよく、反復・連続して摂取してもよい。反復・連続して摂取する場合は、5日間以上、好ましくは7日間以上連続して摂取することがより好ましく、14日間以上連続して摂取することが更に好ましい。
(i)油脂のグリセリド組成
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
<GLC分析条件>
(条件)
装置:アジレント6890シリーズ(アジレントテクノジー社製)
インテグレーター:ケミステーションB 02.01 SR2(アジレントテクノジー社製)
カラム:DB−1ht(Agilent J&W社製)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=340℃
ディテクター:FID、T=350℃
オーブン温度:80℃から10℃/分で340℃まで昇温、15分間保持
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られた油脂サンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)に準拠して測定した。
<GLC分析条件>
カラム:CP−SIL88 50m×0.25mm×0.2μm (VARIAN)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=300℃
ディテクター:FID、T=300℃
オーブン温度:150℃5min保持→1℃/min昇温→160℃5min保持→2℃/min昇温→200℃10min保持→10℃/min昇温→220℃5min保持
〔試験品〕
市販アマニ油を1食あたり2.5gずつ個包装し、試験品1とした。試験品1中のα-リノレン酸量は1.4gであった。
精製油脂1(試験品1)のグリセリド組成は、トリアシルグリセロール96.8%、ジアシルグリセロール3.1%、モノアシルグリセロール0.0%、遊離脂肪酸0.1%、また、脂肪酸組成は、C18:1 19.1%、C18:2 15.3%、C18:3 54.5%、飽和脂肪酸合計 9.7%、その他の脂肪酸 1.5%であった。
(1)被験者及び方法
健常男性10名(平均年齢39歳、平均体格指数BMI23.3kg/m2)を対象に、6日間以上の休止期間を挟む二重盲検交叉比較法にて、食事後のエネルギー代謝を経時的に測定した。
試験では、被験者は12時間以上の絶食後、摂取45分前に空腹時のエネルギー消費量を測定した。その後、指定食(483kcal、エネルギー構成比率として蛋白質15%、脂質32%、糖質53%)を、添加群では試験品1をかけて、非添加群では試験品1をかけないで摂取させた。摂取後、60分〜300分までの食事後のエネルギー消費量を測定した。
空腹時及び食事後のエネルギー消費量は呼気分析器(ARCO2000システム、有限会社アルコシステム製)にて、一定温度環境下(25℃)で測定した。食事後のエネルギー消費量(0〜300分)の増加分曲線下面積(iAUC、0分からの変化量における曲線下面積)を求めた。
有意差の検定はPaired―T検定を実施した。
結果を表1に示す。
〔試験品〕
アマニ油を酵素により加水分解して得た脂肪酸300質量部とグリセリン47質量部とを混合し、イオン交換樹脂に固定化した1,3位選択リパーゼ(ノボザイム社製)を触媒としてエステル化反応を行った。固定化酵素を濾別した後、反応終了品を分子蒸留し、酸処理及び水洗(蒸留水3回)を行い、処理油を得た。処理油を脱臭して精製油脂2を得た。精製油脂2を1食あたり2.5gずつ個包装し、試験品2とした。試験品2中のα-リノレン酸量は0.9gであった。
精製油脂2のグリセリド組成は、トリアシルグリセロール14.1%、ジアシルグリセロール85.2%、モノアシルグリセロール0.6%、遊離脂肪酸0.1%、また、脂肪酸組成は、C18:1 23.2%、C18:2 16.5%、C18:3 53.4%、飽和脂肪酸合計 5.8%、その他の脂肪酸 1.1%であった。
(1)被験者及び方法
健常男女57名(男性45名、女性12名、平均年齢51歳、平均体格指数BMI26.9kg/m2)を対象に、試験品2を、1日3食(朝食、昼食、夕食)のうちの1食の食事にかけて或いは混合して、12週間継続して摂取させた。被験者には、試験期間中は試験前と変わらぬように食事内容を適正に保ち、暴飲暴食や過度の食事量の増加、低下がないよう指示し、間食の摂取を禁止した。試験品摂取前(0週)と、摂取開始から4週間後(4週)、8週間後(8週)及び12週間後(12週)に、内臓脂肪面積及び血中中性脂肪値を測定した。採血前は12時間以上の絶食とし、水のみ摂取可能とした。
内臓脂肪面積の測定は、内臓脂肪計(EW−FA90、パナソニック(株)製)を用いて行った。本測定機は腹部生体インピーダンス法により内臓脂肪面積を測定するものであり、CTスキャンによる腹部内臓脂肪面積との高い相関を示す(Ryo M, Maeda K, Onda T, Katashima M, Okumiya A, Nishida M, Yamaguchi T, Funahashi T, Matsuzawa Y, Nakamura T, Shimomura I. A new simple method for the measurement of visceral fat accumulation by bioelectrical impedance. Diabet. Care 2005;28: 451- 453.)。血液分析は、株式会社保健科学研究所(神奈川県横浜市)に依頼した。
有意差の検定はPaired―T検定を実施した。
結果を表2及び表3に示す。
以上より、構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂をα-リノレン酸として所定量で食事とともに摂取すれば、エネルギー代謝が高まり、体脂肪及び血中中性脂肪が低減することが明らかとなった。
Claims (10)
- 構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂を有効成分として含み、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量で食事と同時に摂取される体脂肪低減剤。
- 構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂を有効成分として含み、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量で食事と同時に摂取される血中中性脂肪低減剤。
- 構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂を有効成分として含み、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量で食事と同時に摂取されるエネルギー代謝促進剤。
- 油脂を構成する脂肪酸中のα-リノレン酸の含有量が15〜75質量%である、請求項1記載の体脂肪低減剤、請求項2記載の血中中性脂肪低減剤又は請求項3記載のエネルギー代謝促進剤。
- 食事と混合、又は食事にかけて摂取される、請求項1記載の体脂肪低減剤、請求項2記載の血中中性脂肪低減剤又は請求項3記載のエネルギー代謝促進剤。
- 油脂組成物の形態である、請求項1記載の体脂肪低減剤、請求項2記載の血中中性脂肪低減剤又は請求項3記載のエネルギー代謝促進剤。
- 1食あたりの摂取量単位で包装された形態である、請求項1記載の体脂肪低減剤、請求項2記載の血中中性脂肪低減剤又は請求項3記載のエネルギー代謝促進剤。
- 構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂を、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量となるように食事と同時に摂取させる、非治療的な体脂肪低減方法。
- 構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂を、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量となるように食事と同時に摂取させる、非治療的な血中中性脂肪低減方法。
- 構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂を、α-リノレン酸として1日あたり0.2〜3.8gの量となるように食事と同時に摂取させる、非治療的なエネルギー代謝促進方法。
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