JP7356833B2 - 末梢体温亢進剤 - Google Patents
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Description
また、本発明は、構成脂肪酸の15質量%以上がα-リノレン酸である油脂を有効成分とする末梢体温亢進用食品組成物を提供するものである。
油脂の風味・工業的生産性の点からは、油脂を構成する脂肪酸中の不飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは70%以上100%以下、更に好ましくは75%以上99%以下、更に好ましくは80%以上98%以下である。不飽和脂肪酸の炭素数は、生理効果の点から、好ましくは14~24、より好ましくは16~22である。
飽和脂肪酸の炭素数は、好ましくは14~24、より好ましくは16~22である。
トリアシルグリセロールを主体とする油脂の場合、油脂中のトリアシルグリセロールの含有量は、生理効果の点、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、更に好ましくは93%以上であり、また、好ましくは99.5%以下、より好ましくは99%以下である。
また、油脂に含まれる遊離脂肪酸又はその塩の含有量は、風味、油脂の工業的生産性の点から、好ましくは0~5%、より好ましくは0~2%、更に好ましくは0~1%である。
これらの油は、それぞれ単独で用いてもよく、あるいは適宜混合して用いてもよい。なかでも、使用性の点から、植物性油脂を用いるのが好ましく、更に低温耐性に優れた液状油脂を用いるのが好ましく、更にシソ油、アマニ油及びエゴマ油からなる群より選ばれる1種又は2種以上の油脂を用いるのが、α-リノレン酸を豊富に含むため好ましい。なお、液状油脂とは、基準油脂分析試験法2.3.8-27による冷却試験を実施した場合、20℃で液状である油脂をいう。また、食用油脂は、精製工程を経た精製油脂であるのが好ましい。
従って、本発明の構成脂肪酸としてα-リノレン酸を多く含む油脂は、末梢体温を亢進する末梢体温亢進剤となり得、また、当該末梢体温亢進剤を製造するために使用することができる。また、本発明の構成脂肪酸としてα-リノレン酸を含有する油脂は、末梢体温亢進のために使用することができる。
本発明において、「末梢」とは、上肢及び/又は下肢をいう。本発明においては、ヒトの手先(手首から手指)及び/又は足先(足首から足指)の体温の亢進に適する。
「末梢体温の亢進」は、末梢体温が高くなることから末梢体温の低下抑制、維持の概念も含む。
「使用」は、ヒトを含む動物への摂取であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
このような種々の剤型の製剤は、必要に応じて、薬学的に許容される担体、例えば、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、保存剤、増粘剤、流動性改善剤、嬌味剤、発泡剤、香料、被膜剤、希釈剤等や、構成脂肪酸の15%以上がα-リノレン酸である油脂以外の薬効成分を適宜組み合わせて調製することができる。
種々の形態の食品は、必要に応じて、他の食品材料、例えば、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、酸味料、甘味料、苦味料、pH調整剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、流動性改善剤、発泡剤、香科、調味料等や、構成脂肪酸の15%以上がα-リノレン酸である油脂以外の有効成分を適宜組み合わせて調製することができる。
飼料は、必要に応じて、他の飼料材料、例えば、肉類、蛋白質、穀物類、ぬか類、粕類、糖類、野菜、ビタミン類、ミネラル類、ゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等や、構成脂肪酸の15%以上がα-リノレン酸である油脂以外の有効成分を適宜組み合わせて常法により調製することができる。
上記製剤が油脂組成物の形態である場合、油脂組成物中の構成脂肪酸の15%以上がα-リノレン酸である油脂の含有量は、好ましくは90%以上、より好ましくは94%以上、更に好ましくは94.5%以上であり、また、好ましくは99.9%以下、より好ましくは99.45%以下、より好ましくは99%以下である。
抗酸化剤としては、特に制限はないが、天然抗酸化剤、レシチン、トコフェロール、アスコルビルパルミテート、アスコルビルステアレート、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA)等から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
なお、本明細書における投与量又は摂取量は成人1人(60kg)に対しての量とする。
投与又は摂取期間は特に限定されず、単回でもよく、反復・連続して投与又は摂取してもよい。反復・連続して投与又は摂取する場合は、5日間以上、好ましくは7日間以上連続して投与又は摂取することがより好ましく、10日間以上連続して投与又は摂取することが更に好ましい。
さらに、一食あたりの摂取量を計量して摂取してもよい。
食事・餌の内容としては、特に限定されない。
構成脂肪酸の15%以上がα-リノレン酸である油脂を食事・餌と同時に摂取するにあたっては、当該食事・餌の調理、特に加熱調理に使用して摂取するのではなく、当該食事・餌に混ぜたり、かけたりして、非加熱の状態で摂取することが好ましい。このように摂取することで、食事・餌の内容、場所を選ばずに使用できる。
(i)油脂のグリセリド組成
ガラス製サンプル瓶に、油脂サンプル約10mgとトリメチルシリル化剤(「シリル化剤TH」、関東化学製)0.5mLを加え、密栓し、70℃で15分間加熱した。これに水1.0mLとヘキサン1.5mLを加え、振とうした。静置後、上層をガスクロマトグラフィー(GLC)に供して分析した。
<GLC分析条件>
(条件)
装置:アジレント6890シリーズ(アジレントテクノジー社製)
インテグレーター:ケミステーションB 02.01 SR2(アジレントテクノジー社製)
カラム:DB-1ht 10m×0.25mm×0.2μm (Agilent J&W社製)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=340℃
ディテクター:FID、T=350℃
オーブン温度:80℃から10℃/分で340℃まで昇温、15分間保持
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.-1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られた油脂サンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f-96(GLC法)に準拠して測定した。
<GLC分析条件>
カラム:CP-SIL88 50m×0.25mm×0.2μm (VARIAN)
キャリアガス:1.0mL He/min
インジェクター:Split(1:50)、T=300℃
ディテクター:FID、T=300℃
オーブン温度:150℃5min保持→1℃/min昇温→160℃5min保持→2℃/min昇温→200℃10min保持→10℃/min昇温→220℃5min保持
試験油(被験油1及び対照油)の調製
亜麻仁油(Archer Daniels Midland社製)を加水分解して得られた脂肪酸をウィンタリングにより飽和脂肪酸含量を低減させた。次いで、市販の固定化1,3位選択リパーゼを触媒とし、この脂肪酸とグリセリンとを減圧下でエステル化反応を行った。リパーゼ製剤を濾別した後、反応終了品を分子蒸留にかけ、精製して被験油1を得た。また、対照油としてサフラワー油(日清オイリオグループ(株)製)を用いた。
被験油1及び対照油のグリセリド組成及び脂肪酸組成を表1に示す。
本試験は、27~53歳の健常成人男性7名を対象に、単盲検無作為割付2群交叉比較試験で実施した。すなわち、被験者として組み入れた7名の被験者を対照油群、被験油1群の2群に無作為に割付け、外観上見分けがつかないように個包装された種々の試験油を一日あたり5g、一日の好きな時間帯に13日間継続摂取させた。
14日目に検査日を設け、12時間以上の絶食状態で検査会場(気温:25℃、湿度:50%に保たれた環境可変室)に来場し、安静後、試験油(継続摂取時と同じ群)を含んだ負荷食(パン・ヨーグルト・ゼリー・試験油[エネルギー593kcal、蛋白質エネルギー15%、脂質エネルギー33%、糖質エネルギー52%])を摂取させ、経時的に体温測定を行った。
体温測定に関しては、手の甲及び足の甲に温度ロガー(iButton DS1922T-F5#、マキシム・インテグレーテッド社製)を装着し経時的に手先及び足先の体温を測定し、外耳道(鼓膜温)の体温に関しては、耳栓型の温度ロガー(LT-2N-13、グラム社製)を装着して経時的に体温を測定した。
7名の被験者において、食後3時間までの手先及び足先の体温変化量と食後1時間までの外耳道(鼓膜温)の体温変化量を検討した。本試験では、負荷食摂取前の体温を初期値とし食後の経時的な体温変化(増加分曲線下面積:iAUC)を体温変化量として算出した。
有意差の検定は、対応のあるt検定を用いた(*P<0.05)。
解析結果は平均値(Ave.)±標準誤差(SE)で示した。
その結果、手先と足先の体温は、対照油の摂取と比べて被験油1の摂取で高値を示した(図1及び図2)。他方、手先と足先と異なり、外耳道(鼓膜温)の体温は高まらなかった(図3)。
試験油(被験油2)
試験には、亜麻仁油(日清オイリオグループ(株)製)を用いた。
当該亜麻仁油のグリセリド組成及び脂肪酸組成を表2に示す。
本試験は、29~47歳代の健常成人男性3名を対象に、試験油の継続摂取前と継続摂取後の2回の検査日を設け、継続摂取前と継続摂取後の体温の比較を行った。なお、継続摂取期間は、13日間とし、試験油を一日あたり5g、一日の好きな時間帯に13日間継続摂取させた。
検査日当日は、12時間以上の絶食状態で検査会場(気温:25℃、湿度:50%に保たれた環境可変室)に来場し、安静後、試験油を含んだ負荷食(パン・ヨーグルト・ゼリー・試験油[エネルギー593kcal、蛋白質エネルギー15%、脂質エネルギー33%、糖質エネルギー52%])を摂取させ、経時的に体温測定を行った。
温度体温測定に関しては、手の甲及び足の甲に温度ロガー(iButton DS1922T-F5#、マキシム・インテグレーテッド社製)を装着し、経時的に手先及び足先の体温を食後2.5時間まで継時的に測定した。
手先と足先の体温変化について、負荷食摂取前の体温を初期値とし食後2.5時間までの経時的な体温変化量(増加分曲線下面積:iAUC)を算出した。図のグラフは、平均値(Ave.)±標準誤差(SE)で示した。
その結果、手先及び足先の体温が、被験油2の継続摂取前と比べて継続摂取後で平均値が高値を示した(図4及び図5)。
Claims (13)
- 構成脂肪酸の50質量%以上がα-リノレン酸であり、モノアシルグリセロールの含有量が5質量%以下である油脂を有効成分とする末梢体温亢進剤。
- 油脂中のジアシルグリセロールの含有量が50質量%以上である請求項1記載の末梢体温亢進剤。
- 油脂中のトリアシルグリセロールの含有量が90質量%以上である請求項1記載の末梢体温亢進剤。
- 油脂を構成する脂肪酸中のリノール酸の含有量が10~20質量%であり、オレイン酸の含有量が10~30質量%である請求項1~3のいずれか1項記載の末梢体温亢進剤。
- 油脂が成人1人あたり1日に1~15g投与又は摂取される請求項1~4のいずれか1項記載の末梢体温亢進剤。
- 油脂組成物の形態である請求項1~5のいずれか1項記載の末梢体温亢進剤。
- 構成脂肪酸の50質量%以上がα-リノレン酸であり、モノアシルグリセロールの含有量が5質量%以下である油脂を有効成分とする末梢体温亢進用食品組成物。
- 油脂中のジアシルグリセロールの含有量が50質量%以上である請求項7記載の末梢体温亢進用食品組成物。
- 油脂中のトリアシルグリセロールの含有量が90質量%以上である請求項7記載の末梢体温亢進用食品組成物。
- 油脂を構成する脂肪酸中のリノール酸の含有量が10~20質量%であり、オレイン酸の含有量が10~30質量%である請求項7~9のいずれか1項記載の末梢体温亢進用食品組成物。
- 油脂が成人1人あたり1日に1~15g摂取される請求項7~10のいずれか1項記載の末梢体温亢進用食品組成物。
- 油脂組成物の形態である請求項7~11のいずれか1項記載の末梢体温亢進用食品組成物。
- 末梢体温を亢進する旨の表示が付された請求項7~12のいずれか1項記載の末梢体温亢進用食品組成物。
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