JP2019015922A - 眼鏡レンズ素材 - Google Patents
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分散性は、近赤外線遮蔽剤の分散性を目視で確認し、以下のように評価した。○:全ての粒子が均一に分散している、△:分散していない“ままこ”が存在(20%以下)し、“ままこ”の全てがフィルターでろ過できる、×:分散していない“ままこ”が存在(20%を超える)し、“ままこ”がフィルターでろ過できない。
分光透過率測定値(眼鏡レンズ素材の波長ごとの光に対する透過率)を以下の装置で測定し、以下の規格に準拠して求めた。なお、測定位置は、光学特性の測定であることから、眼鏡レンズ素材の幾何中心とした。
・装置:分光光度計U−4100(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
・規格:屈折補正用眼鏡レンズの透過率の仕様及び試験方法(JIS T 7333:2005)
上記の装置と規格を用いて、380〜400nm間の各波長の分光透過率測定し、その平均値を求めた。そして、平均分光透過率(380〜400nm)は、以下のように評価した。○:5%以下、△:5%を超え10%以下、×:10%を超える。紫外線は、目に入ると白内障や黄斑変性症を引き起こすおそれがあるため、平均分光透過率(380〜400nm)は、その数値が低い方が良い評価となる。
780〜2500nm間の各波長の分光透過率を以下の装置で測定し、以下の規格に準拠して求めた。
・装置:分光光度計U−4100(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
・規格:板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法(JIS R 3106:1998)
有機ガラス基材を130℃で1時間加熱し、加熱前後の色差(ΔE)を以下の規格に準拠して測定した。
・規格:色の表示方法−XYZ表色系及びX10Y10Z10表色系(JIS Z 8701:1999)
有機ガラス基材をUV照射(退色試験用水銀ランプ(400W)から300mmの距離で24時間照射)し、照射前後の日射透過率(780〜2500nm)を測定し、その変化率(%)を求めた。
試験例1は、ベストモードとなる実施例であり、樹脂A(チオウレタン系熱硬化性樹脂)に、複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤をMIBKに分散させたIRS1とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるUVA1を添加したものである。近赤外線遮蔽剤分散液のIRS1は、MIBKに分散されているため、イソシアネート組成物に均一に分散させることができた。眼鏡レンズ素材は、視感透過率が高いため視界が確保されており、紫外線平均分光透過率が低く紫外線が十分にカットされ、日射透過率が低く近赤外線が十分に遮蔽されていた。また、耐熱性試験の加熱前後の色差は小さく、耐UV性試験にて照射後の近赤外線遮蔽効果に遜色は見られなかった。
試験例2は、試験例1と比較して、樹脂を樹脂B(チオウレタン系熱硬化性樹脂)に変更し、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤をUVA2に変更したものである。分散性、視感透過率、紫外線平均分光透過率、日射透過率及び耐熱性試験は、試験例1同様に良好であったものの、耐UV性試験の照射後の近赤外線遮蔽効果が僅かながら劣るものであった。
試験例3は、試験例1と比較して、紫外線吸収剤を添加しなかったものである。分散性、視感透過率、日射透過率及び耐熱性試験及び耐UV性試験は、試験例1同様に良好であったものの、紫外線吸収剤が含有されていないため、紫外線平均分光透過率がやや高く紫外線が十分にカットされなかった。
試験例4は、試験例1と比較して、複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤をトルエンに分散させたIRS2に変更したものである。分散性、視感透過率、紫外線平均分光透過率及び日射透過率は、試験例1同様に良好であったものの、トルエンが全て揮発しなかったためか、耐熱性試験の加熱前後の色差がやや大きく、耐UV性試験の照射後の近赤外線遮蔽効果が僅かながら劣るものであった。なお、表中には記載しなかったが、トルエンが全て揮発しなかったためか、試験例4の眼鏡レンズ素材は、耐衝撃性試験などの評価による強度がやや劣るものであった。
試験例5は、試験例1と比較して、複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤をメタノールに分散させたIRS3に変更したものである。分散性、視感透過率、紫外線平均分光透過率及び日射透過率は、試験例1同様に良好であったものの、メタノールに起因する硬化不良が僅かに確認でき、耐熱性試験の加熱前後の色差がやや大きく、耐UV性試験の照射後の近赤外線遮蔽効果が僅かながら劣るものであった。
試験例6は、試験例1と比較して、複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤を粉体状のIRS4に変更したものである。IRS4は、イソシアネート組成物に分散可能であるものの、分散性がやや劣り、分散しない“ままこ”が確認できた。なお、“ままこ”の量は少なく、フィルターで除去が可能な量であった。視感透過率及び紫外線平均分光透過率は、試験例1同様に良好であったものの、日射透過率がやや大きく、耐熱性試験の加熱前後の色差がやや大きく、耐UV性試験の照射後の近赤外線遮蔽効果が僅かながら劣るものであった。未分散の複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤が除去されたことにより、眼鏡レンズ素材に規定量の複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤が含有されなかったことが原因と考えられる。
試験例7は、試験例1と比較して、複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤に替えて粉体状の酸化チタンのIRS5を用いたものである。分散性、視感透過率、紫外線平均分光透過率及び日射透過率は、試験例1同様に良好であったものの、耐熱性試験の加熱前後の色差が大きく、耐UV性試験の照射後の近赤外線遮蔽効果が劣るものであった。複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤と比較して、酸化チタンの近赤外線遮蔽効果が劣ることが原因と考えられる。
試験例8は、試験例1と比較して、複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤に替えて粉体状のアミニウム塩系化合物のIRS6を用いたものである。分散性、視感透過率及び紫外線平均分光透過率は、試験例1同様に良好であったものの、日射透過率が大きく、耐熱性試験の加熱前後の色差が大きく、耐UV性試験の照射後の近赤外線遮蔽効果が劣るものであった。複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤と比較して、アミニウム塩系化合物の近赤外線遮蔽効果と耐久性が劣ることが原因と考えられる。なお、アミニウム塩系化合物は、テトラキス(アミノフェニル)フェニレンジアミンの誘導体の一つである。
試験例9は、試験例1と比較して、複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤に替えて粉体状のフタロシアニン系化合物のIRS7を用いたものである。分散性、視感透過率及び紫外線平均分光透過率は、試験例1同様に良好であったものの、日射透過率が大きく、耐熱性試験の加熱前後の色差が大きく、耐UV性試験の照射後の近赤外線遮蔽効果が劣るものであった。複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤と比較して、フタロシアニン系化合物の近赤外線遮蔽効果と耐久性が劣ることが原因と考えられる。
Claims (6)
- イソシアネート組成物とチオール組成物とが熱硬化したチオウレタン樹脂からなる眼鏡レンズ素材であって、
該イソシアネート組成物が複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤を含有することを特徴とする眼鏡レンズ素材。 - 前記イソシアネート組成物が紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の眼鏡レンズ素材。
- 前記複合タングステン酸化物近赤外線遮蔽剤が、有機溶媒に分散されて前記イソシアネート組成物に含有されていることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡レンズ素材。
- 前記有機溶媒の比誘電率(εr)が10〜20であることを特徴とする請求項3に記載の眼鏡レンズ素材。
- 780〜2500nmにおける日射透過率が40%以下であり、視感透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡レンズ素材。
- 780〜2500nmにおける日射透過率が40%以下であり、視感透過率が70%以上であり、380〜400nmにおける平均分光透過率が10%以下であることを特徴とする請求項2に記載の眼鏡レンズ素材。
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