JP2019015686A - 接触燃焼式ガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】補償素子における貴金属線の触媒活性を抑え、可燃性ガスが貴金属線に接触して燃焼することを抑制する接触燃焼式ガスセンサを提供する。【解決手段】可燃性ガスを検知する接触燃焼式ガスセンサ100において、貴金属線11と前記貴金属線11を覆う担体部13とを有する補償素子2を備え、前記担体部13は、前記可燃性ガスに対する前記貴金属線11の触媒活性を抑える被毒物質(鉛を除く)を含む。また、前記被毒物質は、Bi、Sn、Zn、Cu、Feから選ばれる少なくとも1種の金属である。【選択図】図1

Description

本発明は、可燃性ガスを検知する接触燃焼式ガスセンサに関する。
従来より、焼結体のガス感応部を有するガスセンサとしては、接触燃焼式ガスセンサ、半導体式ガスセンサ、固体電解質式ガスセンサ等が知られている。
例えば、接触燃焼式ガスセンサは、検知対象となる可燃性ガスに対して燃焼反応する検知素子と燃焼反応しない補償素子の2つの素子を有しているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
次に、接触燃焼式ガスセンサにより可燃性ガスの濃度を検知する一般的な原理を説明する。接触燃焼式ガスセンサの検知素子は、白金等の貴金属線と、当該貴金属線を覆う、白金等の貴金属触媒を担持したアルミナ等の金属酸化物焼結体からなるガス感応部とで構成される。この検知素子を所定温度に加熱しておき、ガス感応部において可燃性ガスを貴金属触媒と接触・燃焼させることで、燃焼の際に生じる温度変化を貴金属線の抵抗値の変化として検出する。一方、補償素子は、検知素子のように貴金属触媒を担持しないが、その他の構成は検知素子と同様に構成される。つまり、補償素子は、白金等の貴金属線と、当該貴金属線を覆う、貴金属触媒を担持していないアルミナ等の金属酸化物焼結体とで構成される。補償素子上では貴金属触媒を担持していないので可燃性ガスの燃焼が起こらず、その貴金属線の抵抗値は変化しない。可燃性ガスの燃焼熱は可燃性ガスの濃度に比例し、貴金属線の抵抗値は燃焼熱に比例するため、可燃性ガスの燃焼による貴金属線の抵抗の変化値を測定することによって可燃性ガスの濃度を測定することができる。このため、検知素子と補償素子とを2辺としたブリッジ回路に電圧の差が生じる。この電圧の差は、可燃性ガスの爆発下限界までは、ガス濃度に比例した出力として検出される。
しかしながら、上記補償素子は、金属酸化物焼結体中に貴金属触媒を担持していないが、貴金属線が触媒作用を有するため、わずかであるが貴金属線により可燃性ガスの燃焼反応がおこる。そのため、実際は補償素子の貴金属線の抵抗値は変化する。このような場合、上記ブリッジ回路に電圧の差において誤差が生じることになる。また、出力値が小さい小型の接触燃焼式ガスセンサにおいては、当該出力値に対する当該誤差の影響がさらに大きくなり、ガスの検知精度が低下してしまう。
例えば、上記補償素子における貴金属線の触媒作用により可燃性ガスの燃焼反応を抑える技術としては、貴金属線の表面を被毒物質により被毒させて、触媒活性を失わせることが考えられる。被毒物質としては、鉛がよく知られているが、近年、環境汚染に対する配慮から鉛の使用を制限する動きが強くなってきており、例えばRoHS指令に代表されるように、エレクトロニクス製品全般の廃棄に関する法規制において、鉛フリー化が盛り込まれているため、鉛の使用は好ましくない。
特許第4559894号公報
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、補償素子における貴金属線の触媒活性を抑え、可燃性ガスが貴金属線に接触して燃焼することを抑制する接触燃焼式ガスセンサを提供することを目的とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、本発明の接触燃焼式ガスセンサにおいては、可燃性ガスを検知する接触燃焼式ガスセンサにおいて、貴金属線と前記貴金属線を覆う担体部とを有する補償素子を備え、前記担体部は、前記可燃性ガスに対する前記貴金属線の触媒活性を抑える被毒物質(鉛を除く)を含むものである。
このような構成によれば、補償素子の担体部が被毒物質を含むことにより貴金属線の触媒活性を抑え、可燃性ガスが貴金属線に接触して燃焼することを抑制する。これにより、補償素子の抵抗値の変動を抑え、ガスの検知精度を向上させることができる。
また、本発明の接触燃焼式ガスセンサにおいては、前記被毒物質は、Bi、Sn、Zn、Cu、Feから選ばれる少なくとも1種の金属であるものである。
このような構成によれば、被毒物質として、貴金属線に対する優れた被毒作用を有する金属を用いることで、貴金属線の触媒活性を効果的に抑えることができる。
また、本発明の接触燃焼式ガスセンサにおいては、前記被毒物質は、前記補償素子の貴金属線の表面の少なくとも一部に吸着もしくは結合しているものである。
このような構成によれば、被毒物質が補償素子の貴金属線の表面の少なくとも一部に吸着もしくは結合することで、貴金属線表面の活性点が塞がれ、貴金属線の触媒活性を確実に抑制することができる。
また、本発明の接触燃焼式ガスセンサにおいては、前記被毒物質は、前記担体部に対して0.25〜13.5質量%含まれるものである。
このような構成によれば、被毒物質は、前記担体部に対して少なくとも0.25質量%以上含まれることで、貴金属線の触媒活性を抑える効果を得ることができる。また、被毒物質は、前記担体部に対して13.5質量%を上限として含まれることで、被毒物質の含有量に応じた貴金属線の触媒活性を抑える効果を得ることができる。
また、本発明の接触燃焼式ガスセンサにおいては、前記担体部は、球状であり、前記担体部の球径が0.60mm以下であるものである。
このような構成によれば、担体部が球状であり、担体部の球径が0.60mm以下であることにより、小型の接触燃焼式ガスセンサを構成して消費電力をより抑えることができる。
本発明によれば、補償素子の担体部が被毒物質を含むことにより貴金属線の触媒活性を抑え、可燃性ガスが貴金属線に接触して燃焼することを抑制する。これにより、補償素子の抵抗値の変動を抑え、ガスの検知精度を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るブリッジ回路を有する接触燃焼式ガスセンサを示す概略図。 検知素子の構成を示す模式図。 補償素子の構成を示す模式図。 接触燃焼式ガスセンサの水素に対するセンサ出力(ビスマスの濃度依存性)を示すグラフ。 接触燃焼式ガスセンサのイソブタンに対するセンサ出力(ビスマスの濃度依存性)を示すグラフ。 接触燃焼式ガスセンサの硫化水素暴露試験の結果を示すグラフ。
次に、本発明の一実施形態である接触燃焼式ガスセンサ100について図を参照しながら説明する。
接触燃焼式ガスセンサ100は、図1に示すように、被検知ガスである水素ガスなどの可燃性ガスを燃焼させて検知する検知素子1と、環境の変化等、可燃性ガスの燃焼以外の温度変化に基づく、検知素子1の抵抗値の変化を補正する補償素子2と、固定抵抗R1、R2とを有し、これらによりブリッジ回路を構成している。検知素子1は、可燃性ガスの燃焼熱に応じて抵抗値が変化する。検知素子1と補償素子2とは、2つの抵抗である固定抵抗R1、R2を介して電源Eに並列に接続される。ブリッジ回路は、電源Eによって常時約90〜120mAの電流を供給し、可燃性ガスが接触燃焼し易い所定の温度に検知素子1を保持している。
なお、本実施形態における可燃性ガスとは、例えば、水素、メタン、イソブタン、エタン、プロパン等が挙げられる。
検知素子1と補償素子2とは、抵抗値が等しくなるように設定してある。このため、可燃性ガスが存在しない場合には、ブリッジ回路は平衡状態となり、センサ出力Vは生じない。一方、可燃性ガスが存在すると、その燃焼によって検知素子1の温度が上昇して抵抗値が大きくなるため、ブリッジ回路の平衡がくずれ、センサ出力Vが生じる。このセンサ出力Vは可燃性ガスの濃度に比例するため、この接触燃焼式ガスセンサ100により空気中の可燃性ガスの濃度を測定することができる。
検知素子1は、図2に示すように、コイル状の貴金属線11と、当該貴金属線11を覆い、可燃性ガスと接触して燃焼させるガス感応部である担体部12とを有する。また、貴金属線11は、当該担体部12を加熱するための加熱手段になる。
貴金属線11の材質としては、例えば白金等を適用できる。担体部12は、触媒担体に貴金属触媒を担持して構成される。貴金属触媒としては、可燃性ガスに触媒活性を有する貴金属であればよく、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、白金とパラジウム等が使用でき、特に限定されない。触媒担体は、貴金属触媒を担持するものであれば特に限定されず、例えば、アルミナ、シリカアルミナ等の金属酸化物の焼結体を適用することができる。
このような検知素子1は、例えば、触媒担体を構成するアルミナ等の金属酸化物と、白金等の貴金属触媒と、エチレングリコール等の有機溶媒(バインダー)とを混合してペースト状にして、このペースト状にしたものを貴金属線11のコイル部分に、球径が0.6mm以下になるように付着させた後、貴金属線11の自己加熱によって焼成して担体部12を焼結体として形成させることにより作製することができる。
検知素子1は、可燃性ガス中に置かれたとき、通電により発熱することで自身が備える貴金属触媒が加熱されて可燃性ガスと反応し、その反応熱に応じて(可燃性ガスの濃度に応じて)出力値が変化する。貴金属線11において、材質、線径、コイル径、コイル巻数等は、従来の接触燃焼式ガスセンサの検知素子に使用するものと同様で、特に限定されない。
また、検知素子1の担体部12は、略球状である。担体部12が略球状である場合には、その径は、後述する補償素子2と同様に0.60mm以下に形成している。
補償素子2は、図3に示すように、基本的な構成は図2に示す検知素子1と同様であり、異なる構成は貴金属触媒を含まず被毒物質(鉛を除く)を含むことである。具体的には、補償素子2は、検知素子1と同一のコイル状の貴金属線11と、当該貴金属線11を覆うとともに、貴金属触媒を含まない検知素子1と同一の触媒担体で構成される担体部13とを有する。また、貴金属線11は、当該担体部13を加熱するための加熱手段になる。
貴金属線11の材質としては、例えば白金等を適用できる。担体部13は、触媒担体に後述する被毒物質を担持して構成される。触媒担体は、被毒物質を担持するものであれば特に限定されず、例えば、アルミナ、シリカアルミナ等の金属酸化物の焼結体を適用することができる。
補償素子2は、検知素子1と同様に可燃性ガス中に置かれて通電されることで、検知素子1の温度補償を行うための素子であり、検知素子1が有する貴金属触媒による燃焼熱に応じた出力値の変化分のみ取り出すために用いられる。補償素子2の担体部13中には、貴金属触媒が担持されておらず、検知素子1のように貴金属触媒の触媒反応による可燃性ガスの燃焼は生じない。当該補償素子2は、通電されることにより発熱してその周囲を覆う担体部13を加熱するものであり、熱により自らの抵抗値が変化する。貴金属線11において、材質、線径、コイル径、コイル巻数等は、従来の接触燃焼式ガスセンサの補償素子に使用するものと同様で、特に限定されない。
一般的に、補償素子は、検知素子の抵抗の変化値を補正するものであるため、検知素子と温度特性が同一であることが好ましい。しかし、補償素子は、検知素子のように担体部中に貴金属触媒を担持していないが、貴金属線が触媒作用を有しているため、わずかであるが貴金属線により可燃性ガスの燃焼反応が起こり得る。その結果として、従来の接触燃焼式ガスセンサにおいては、補償素子の貴金属線の抵抗値は変化することになる。そこで、本実施形態に係る補償素子2は、検知素子1と異なる構成として、担体部13が貴金属触媒を有しないことに加えて、可燃性ガスに対する貴金属線11の触媒活性を抑える被毒物質(鉛を除く)を含む構成となっている。これにより、補償素子2の貴金属線11の触媒活性を抑え、可燃性ガスが補償素子2の貴金属線11に接触して燃焼することを抑制する。これにより、補償素子2の抵抗値の変動を抑え、ガスの検知精度を向上させることができる。
補償素子2の担体部13は、検知素子1と同一の触媒担体に所定量の被毒物質を担持して構成される。被毒物質としては、可燃性ガスに触媒活性を抑える金属であればよく、例えば、Bi(ビスマス)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、Fe(鉄)から選ばれる少なくとも1種の金属を使用することが好ましい。これらの被毒物質は、例えば、貴金属線11の一例である白金の触媒活性を抑える際に優れた被毒作用を有するため、貴金属線11の触媒活性を効果的に抑えることができる。
また、被毒物質は、補償素子2の貴金属線11の表面の少なくとも一部に吸着もしくは結合している。具体的には、補償素子2の担体部13中に存在する一部の被毒物質は、補償素子2の貴金属線11表面の活性点の少なくとも一部に吸着もしくは結合していると考えられる。これにより、貴金属線11表面の活性点が塞がれ、貴金属線11の触媒活性を確実に抑制することができる。
特に、被毒物質の一例であるビスマスの場合は、Pt等の貴金属線11の活性点に結合(例えば、金属結合)すると考えられる。また、ビスマス以外のスズ、亜鉛、銅、鉄等の被毒物質の場合は、Pt等の貴金属線11の活性点に吸着または結合すると考えられる。
ここで、貴金属触媒と同様の触媒作用を有する貴金属線11は、当該貴金属線11の表面の特定の部位(活性点または活性サイトと呼ばれる)に、反応させたい物質(本実施形態では、可燃性ガス)が吸着・配位することで効果を発揮する。このため、目的とする物質よりも吸着・配位力が強い物質(本実施形態では、被毒物質)が共存すると、当該物質が触媒の活性点に吸着・配位して活性点が消失し、効果が著しく弱められる。このように作用する物質が本実施形態に係る被毒物質(触媒毒ともいう)である。
また、被毒物質は、担体部13に対して0.25〜13.5質量%含まれることが好ましく、より好ましくは4〜6質量%含まれることである。すなわち、被毒物質は、担体部13に対して少なくとも0.25質量%以上含まれることで、貴金属線11の触媒活性を抑える効果を得ることができる。また、被毒物質は、担体部13に対して13.5質量%を上限値として含まれることで、被毒物質の含有量に応じた貴金属線11の触媒活性を抑える効果を得ることができる。
なお、担体部13に対する被毒物質の含有率の上限値は、担体部13の作製時に用いられる有機溶媒等の被毒物質溶解性によって決定されるものである。
また、担体部13は、略球状である。担体部13が略球状である場合には、その径を0.6mm以下に形成している。これにより、小型の接触燃焼式ガスセンサを構成して消費電力をより抑えることができる。また、担体部13が略球状であり、担体部13の球径が0.60mm以下である補償素子2を備える小型の接触燃焼式ガスセンサ100においては、センサ出力が小さくなってしまい補償素子2の抵抗値の変動が大きな誤差要因となり得るが、本実施形態の接触燃焼式ガスセンサ100では補償素子2の抵抗値の変動を抑えることができるため、センサ出力の小さい小型のガスセンサを構成してもガスの検知精度を向上させることができる。
なお、本発明では、球状の担体部を有する接触燃焼式ガスセンサを接触燃焼式ガスセンサの一例として挙げているが、特に担体部の形状を限定するものではなく、例えば、半球状や楕円形状等に形成される担体部を有するMEMS型の接触燃焼式ガスセンサにおいても本発明を適用することができる。
このような補償素子2は、例えば、触媒担体を構成するアルミナ等の金属酸化物と、被毒物質を含む金属化合物の一例である硝酸ビスマスと、エチレングリコール等の有機溶媒(バインダー)とを混合してペースト状にして、このペースト状にしたものを貴金属線11のコイル部分に、球径が0.6mm以下になるように付着させた後、貴金属線11の自己加熱によって焼成して担体部13を焼結体として形成させることにより作製することができる。この場合、当該自己加熱により硝酸ビスマスが加熱分解して、担体部13内の貴金属線11の近傍においては、ビスマスが貴金属線11の表面に吸着または結合し、貴金属線11の近傍よりも外側の領域においては、酸化ビスマスとして分散して存在することになる。
本実施形態では、被毒物質の一例として硝酸ビスマスを用いて担体部13にビスマスを担持させる方法を説明したが、これに限らず、例えば、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)から選ばれる金属の塩化物、硝酸塩等を用いて、公知の方法により種々の被毒物質を担持させてもよく、また、複数の被毒物質を担持させる構成であってもよい。
また、上記硝酸ビスマスは、エチレングリコール等の有機溶媒に可溶であるとともに、入手が容易であり、安価であるという観点から、被毒物質を含む金属化合物として好ましい。
なお、補償素子2の担体部13に被毒物質を担持させる方法としては、上記方法に限らず、例えば、被毒物質を含む金属化合物の溶液(例えば、硝酸ビスマスのエチレングリコール溶液)を貴金属線11のコイル部分に直接塗布して乾燥させた後、アルミナ等の金属酸化物からなるペーストを球状に形成して焼結体を形成する方法、もしくは、アルミナ等の金属酸化物を含むペーストを球状に形成して焼結体を形成した後に、被毒物質を含む化合物の溶液(例えば、硝酸ビスマスのエチレングリコール溶液、ビスマス塩の水溶液等)を含浸させて乾燥させることにより作製してもよい。また、これ以外の公知となっている含浸法を利用することにより作製することもできる。
なお、検知素子1及び補償素子2を備えた接触燃焼式ガスセンサ100のその他の構成、機能については、従来公知の接触燃焼式ガスセンサと同様である。
以下に、図2、図3に示す検知素子1、補償素子2を用いた接触燃焼式ガスセンサ100の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
上述した作製方法により、貴金属線11としてコイル状の白金線に、触媒担体であるアルミナに対して白金を所定濃度(5〜25質量%)担持した担体部12を、略球状に設けた検知素子1を作製した。
また、上述した作製方法により、貴金属線11としてコイル状の白金線に、触媒担体であるアルミナに対して所定の溶液濃度(溶媒:エチレングリコール、0〜2モル濃度(M))の硝酸ビスマス溶液を用いて作製した担体部13を、略球状に設けた補償素子2を作製した。
このように作製した検知素子1と補償素子2とを、図1に示すブリッジ回路に組み込んで接触燃焼式ガスセンサを作製した。
なお、上記硝酸ビスマス溶液の濃度が、担持部13に対するビスマスの含有量と比例する。
次に、作製した接触燃焼式ガスセンサを用いて、水素、イソブタンの各可燃性ガスのガス濃度に対する補償素子のガス感度特性を調べた(図4、図5参照)。図4に示すグラフは、縦軸が接触燃焼型ガスセンサのセンサ出力(mV)であり、横軸が水素濃度(%LEL)である。図5に示すグラフは、縦軸が接触燃焼式ガスセンサのセンサ出力(mV)であり、横軸がイソブタン濃度(%LEL)である。
図4に示すように、可燃性ガスが水素の場合、触媒担体であるアルミナに対して被毒物質であるビスマスを含有しない補償素子(溶液濃度0M)を備えた比較例となる接触燃焼式ガスセンサでは、白金線の触媒作用により水素の燃焼反応が起こり、本来ゼロとなるべき補償素子のセンサ出力は水素濃度が高くなるにつれて上昇していく。それに対して、アルミナに対して所定量のビスマスが含有された溶液濃度0.02〜2Mのものについては、被毒物質であるビスマスの存在により白金線の触媒作用による水素の燃焼反応が抑えられ、硝酸ビスマスの溶液濃度、すなわちビスマスの含有量が増えるにつれてセンサ出力の上昇が抑えられている。また、当該溶液濃度が0.5M以上になると、センサ出力が上昇しなくなる。すなわち、当該溶液濃度が0.5M以上において、水素に対する白金線の触媒活性を完全に抑えることができることが確認できた。
図5に示すように、可燃性ガスがイソブタンの場合、触媒担体であるアルミナに対して被毒物質であるビスマスを含有しない補償素子(溶液濃度0M)を備えた比較例となる接触燃焼式ガスセンサでは、白金線の触媒作用によりイソブタンの燃焼反応が起こり、本来ゼロとなるべき補償素子のセンサ出力はイソブタン濃度が高くなるにつれて上昇していく。それに対して、所定量のビスマスが含有された溶液濃度0.02〜2Mのものについては、被毒物質であるビスマスの存在により白金線の触媒作用によるイソブタンの燃焼反応が抑えられ、硝酸ビスマスの溶液濃度、すなわちビスマスの含有量が増えるにつれてセンサ出力の上昇が抑えられている。また、当該溶液濃度が0.2M以上になると、センサ出力が上昇しなくなる。すなわち、当該溶液濃度が0.2M以上において、イソブタンに対する白金線の触媒活性を完全に抑えることができることが確認できた。
[硫化水素暴露試験]
次に、作製した接触燃焼式ガスセンサを用いて干渉ガスの一例である100ppmの硫化水素ガスを暴露した際の補償素子のガス感度特性を調べた(図6参照)。図6に示すグラフは、縦軸がエア(大気)中における接触燃焼型ガスセンサのセンサ出力の変動値(mV)であり、横軸が硫化水素の暴露時間(min.)である。
なお、比較例として硝酸ビスマスの替わりに硝酸鉛(溶液濃度0.2M)を用いて作製した補償素子を備えた接触燃焼型ガスセンサを作製し、同じく硫化水素暴露試験を行った。
図6に示すように、被毒物質としてビスマス(溶液濃度0.5〜2M)を用いた場合、硫化水素を暴露し続けても、センサ出力の変動値の変化は少ない。一方、被毒物質として鉛(溶液濃度0.2M)を用いた場合、硫化水素を暴露し続けると、60分でセンサ出力の変動値が大きく降下してしまう。
この試験結果によれば、ビスマス及び鉛は、ともに被毒物質であるが、ビスマスは担体部13中で酸化ビスマスとして存在し、水素等の可燃性ガスが白金線に接触すると燃焼反応が生じ、その際に硫化水素が暴露されると酸化ビスマスの一部が硫化ビスマスに変化すると考えられる。同様に鉛は担体部13中で酸化鉛として存在し、水素等の可燃性ガスが白金線に接触すると燃焼反応が生じ、その際に硫化水素が暴露されると酸化鉛の一部が硫化鉛に変化すると考えられる。こうして、酸化鉛の一部が硫化鉛になった場合は、補償素子2の白金線のコイル部分のコイル線間や内部に硫化鉛が介在し、この介在した硫化鉛がコイル線間等を繋ぐ導電パスとして働くのではないかと推測される。その結果として、補償素子における白金線のコイル線間の抵抗が下がり、センサ出力の変動値がマイナス側へと変化したのではないかと考えられる。一方、酸化ビスマスの一部が硫化ビスマスになった場合は、硫化鉛のような導電パスとして働かないと考えられ、補償素子2の抵抗に影響を与えないと考えられる。つまり、被毒物質としては、白金線等の貴金属線11に硫化水素等の干渉ガスが接触して燃焼反応した際に生成する化合物により補償素子2の抵抗を低下させない金属であることが好ましい。このように構成することで、干渉ガスによる補償素子2の抵抗の低下を防ぐことができる。ひいては、補償素子2の抵抗値の変動を抑え、ガスの検知精度を向上させることができる。
なお、上記「化合物」とは、被毒物質と酸素もしくは硫黄との化合物のことである。
また、上記「補償素子2の抵抗」とは、補償素子2の合成抵抗のことである。
また、本実施形態に係る補償素子2は、貴金属線11と、貴金属線11を覆う金属酸化物層となるアルミナ等の担体部13とを有し、当該担体部13では、結合相手が複数の異なる状態で被毒物質が含まれている。例えば、被毒物質の一例であるビスマスを用いた場合、担体部13では、ビスマスが貴金属線11に結合している状態と酸素と結合して酸化ビスマスとなっている状態の2つの状態で被毒物質であるビスマスが含まれる。これにより、貴金属線11の触媒活性を抑え、可燃性ガスが貴金属線11に接触して燃焼することを抑制することができる。したがって、補償素子2の抵抗値の変動を抑え、ガスの検知精度を向上させることができる。
また、本実施形態に係る被毒物質は、貴金属線11近傍とそれ以外の領域のそれぞれに、結合相手の異なる状態で含まれていること好ましい。すなわち、被毒物質の一例であるビスマスを用いた場合、貴金属線11近傍には貴金属線11に結合している状態のビスマスが存在し、貴金属線11近傍の外側の領域には、酸化ビスマスが存在することが好ましい。ここで、貴金属線11近傍のビスマスと貴金属線11近傍の外側の酸化ビスマスが存在する領域とは、それぞれビスマスの結合相手が異なるため、担体部13内において明確な境界がない層を形成しているともいえる。このように、貴金属線11近傍に被毒物質が存在することで貴金属線11の触媒活性を効果的に抑え、可燃性ガスが貴金属線11に接触して燃焼することを抑制することができる。したがって、補償素子2の抵抗値の変動を抑え、ガスの検知精度を向上させることができる。
また、本実施形態に係る被毒物質は、貴金属線11近傍では、硫化水素等の干渉ガスに対して反応しない状態で含まれていることが好ましい。上記硫化水素暴露試験結果のように、被毒物質の一例であるビスマスを用いた場合は、ビスマスが硫化水素に反応しない状態で貴金属線11近傍に存在することできるので、硫化水素等の干渉ガスによるセンサ出力の変動を抑えることができる。
また、本実施形態に係る被毒物質は、貴金属線11近傍以外の領域では、干渉ガスに対して反応する状態で含まれている。これにより、貴金属線11近傍に干渉ガスが接近することを防ぐことができ、干渉ガスによるセンサ出力の変動を抑えることができる。
また、本実施形態に係る被毒物質は、前記貴金属線11近傍以外の領域では、前記結合相手が酸素となる酸化された状態で含まれている。これにより、例えば、硫化水素等の干渉ガスが金属酸化物層に入ってきても、被毒物質の酸化物が硫化水素により硫化物になることで、干渉ガスが消費され、干渉ガスによるセンサ出力の変動を抑えることができる。
例えば、被毒物質の一例であるビスマスを用いた場合、貴金属線11近傍の外側の領域には、ビスマスが酸化された状態である酸化ビスマスが存在することになるが、当該酸化ビスマスは、可燃性ガスの燃焼時に硫化水素が暴露されるとその一部が反応して硫化ビスマスに変化する。上記硫化水素暴露試験の結果より、硫化ビスマスが導電パスとなることがないと考えられるため、被毒物質としてビスマスを用いた場合、硫化水素等の干渉ガスによるセンサ出力の変動を抑えることができる。
また、本実施形態に係る被毒物質は、貴金属線11の表面の少なくとも一部に吸着もしくは結合している。被毒物質の一例であるビスマスを用いた場合、ビスマスは貴金属線11の表面の少なくとも一部に吸着もしくは結合(例えば、金属結合)して化学的に安定な状態になっていると考えられる。このような状態であれば、硫化水素等の干渉ガスに反応せず、硫化水素等の干渉ガスによるセンサ出力の変動を抑えることができる。
本発明は、可燃性ガスの燃焼熱に応じて抵抗値が変化する検知素子及び当該検知素子の温度補償をする補償素子を備えた接触燃焼式ガスセンサに利用できる。
1 検知素子
2 補償素子
11 貴金属線
13 担体部
100 接触燃焼式ガスセンサ

Claims (5)

  1. 可燃性ガスを検知する接触燃焼式ガスセンサにおいて、
    貴金属線と前記貴金属線を覆う担体部とを有する補償素子を備え、
    前記担体部は、前記可燃性ガスに対する前記貴金属線の触媒活性を抑える被毒物質(鉛を除く)を含む接触燃焼式ガスセンサ。
  2. 前記被毒物質は、Bi、Sn、Zn、Cu、Feから選ばれる少なくとも1種の金属である請求項1に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  3. 前記被毒物質は、前記補償素子の貴金属線の表面の少なくとも一部に吸着もしくは結合している請求項1または請求項2に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  4. 前記被毒物質は、前記担体部に対して0.25〜13.5質量%含まれる請求項1〜3の何れか一項に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
  5. 前記担体部は、球状であり、
    前記担体部の球径が0.60mm以下である請求項1〜4の何れか一項に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
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