JP7343730B1 - Mems型半導体式ガスセンサ - Google Patents
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Abstract
Description
前記MEMS型半導体式ガス検知素子を収納し、前記測定対象ガスが流通可能な開口部を有するハウジングと、
前記ハウジング内において、前記開口部と前記MEMS型半導体式ガス検知素子との間に設けられるフィルタ部材と
を備えたMEMS型半導体式ガスセンサであって、
前記フィルタ部材が、シロキサンを除去する第1フィルタ部材と、硫黄系ガスを除去する第2フィルタ部材とを備え、
前記第1フィルタ部材が、前記第2フィルタ部材よりもシロキサンの除去能力が高く、前記第2フィルタ部材が、前記第1フィルタ部材よりも硫黄系ガスの除去能力が高く、
前記フィルタ部材が、貴金属を含まない、MEMS型半導体式ガスセンサ。
ガスセンサとして、図1に概略的に示されるガスセンサを作製した。ガスセンサは、フィルタ部材を配置したキャップを、ガス検知素子を配置した基台に溶着することで作製した。キャップは、高さが12mm、外径が8.3mmφ、内径が7.7mm、開口部径が2mmφになるように形成した。
ガスセンサに、シロキサン、硫黄系ガス、エタノール、シロキサン+エタノールをそれぞれ曝露して、ガス検知素子の感度の変化を測定した。シロキサン曝露試験(表1)では、10ppmのオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)を含む大気にガスセンサを90日間曝露した。硫黄系ガス曝露試験(表2)では、5ppmの硫化水素を含む大気にガスセンサを24時間曝露した。エタノール曝露試験(表3)では、250ppmのエタノールを含む大気にガスセンサを90日間曝露した。シロキサン+エタノール曝露試験(表4)では、10ppmのオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)および250ppmのエタノールを含む大気にガスセンサを90日間曝露した。曝露期間中は、ガス検知素子に対して、抵抗体への0.1秒の通電(500℃加熱)と29.9秒の無通電を交互に繰り返す間欠駆動を行なった。
ガスセンサを公知のブリッジ回路に組み込んで、ガス検知素子の電気抵抗値の変化に伴なってブリッジ回路に生じる電位差をセンサ出力として測定した。ガス検知素子の測定時の駆動条件は、抵抗体に対して0.1秒の通電(500℃加熱)を行う検知動作と、29.9秒の無通電動作とを交互に繰り返す間欠駆動とした。センサ出力の測定は、曝露試験前後において、検知対象ガスを含まない大気中で行なった。ガス検知素子の感度の変化は、曝露試験前から曝露試験後へのセンサ出力の上昇量により評価した。センサ出力は、2000ppmのプロパンを含む大気中で得られたセンサ出力を100として規格化した。ちなみに、大気中に2000ppmのプロパンが存在することを検知したときに警報を発するように構成されたガス検知器では、規格化したセンサ出力が曝露試験によって100を超えると、大気中にプロパンが存在しないにも関わらず警報を発することになる。
表1に、ガスセンサにシロキサンを曝露したときのセンサ出力の変化を示す。まず、表1において、実施例、比較例に関係なく、フィルタが酸担持シリカゲルを含む場合に(実施例1~6、比較例2~6)、酸担持シリカゲルを含まない場合(比較例1、7~10)と比べて、センサ出力の上昇が大きく抑制されている。このことから、酸担持シリカゲルは、測定対象ガスからシロキサンを除去し、ガス検知素子の被毒を抑制していることが分かる。つぎに、表1において比較例2~6と比較例7~10に注目すると、フィルタが酸担持シリカゲルを含む場合はセンサ出力の上昇が抑制されているが、フィルタが酸担持シリカゲルを含まず、アルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガン、白金担持アルミナのいずれかを含む場合はセンサ出力が大きく上昇している。このことから、酸担持シリカゲルは、アルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガン、白金担持アルミナと比べて、シロキサンを除去する能力が高いことが分かる。さらに、表1において実施例1~3と実施例4~6に注目すると、酸担持シリカゲルが上流側に配置される場合に、下流側に配置される場合と比べて、センサ出力の上昇がわずかに抑制されている。このことから、測定対象ガスからシロキサンを除去するためには、酸担持シリカゲルが上流側に配置されることが好ましいことが分かる。
表2に、ガスセンサに硫化水素を曝露したときのセンサ出力の変化を示す。まず、表2において、実施例、比較例に関係なく、フィルタがアルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガン、白金担持アルミナのいずれかを含む場合に(実施例1~6、比較例2、7~10)、アルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガン、白金担持アルミナのいずれも含まない場合(比較例1、3~6)と比べて、センサ出力の上昇が大きく抑制されている。このことから、アルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガン、白金担持アルミナは、測定対象ガスから硫化水素を除去し、ガス検知素子の被毒を抑制していることが分かる。つぎに、表2において比較例3~6と比較例7~10に注目すると、フィルタがアルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガン、白金担持アルミナのいずれかを含む場合はセンサ出力の上昇が抑制されているが、フィルタがアルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガン、白金担持アルミナのいずれも含まず、酸担持シリカゲルを含む場合はセンサ出力が大きく上昇している。このことから、アルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガン、白金担持アルミナは、酸担持シリカゲルと比べて、硫化水素を除去する能力が高いことが分かる。さらに、表2において実施例1~3と実施例4~6に注目すると、アルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガンのいずれかが下流側に配置される場合に、上流側に配置される場合と比べて、センサ出力の上昇がわずかに抑制されている。このことから、測定対象ガスから硫化水素を除去するためには、アルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガンのいずれかが下流側に配置されることが好ましいことが分かる。
表3に、ガスセンサにエタノールを曝露したときのセンサ出力の変化を示す。まず、表3において、実施例、比較例に関係なく、フィルタが白金担持アルミナを含む場合に(比較例2、7)、白金担持アルミナを含まない場合(実施例1~6、比較例1、3~6、8~9)と比べて、センサ出力が大きく上昇している。特に、フィルタが白金担持アルミナを含む場合に(比較例2、7)、白金担持アルミナの代わりにアルミナやシリカアルミナを含む場合(比較例3~4)と比べて、センサ出力が大きく上昇している。このことから、白金担持アルミナは、白金を含むことにより、エタノールの影響によるガス検知素子の被毒を促進していることが分かる。これは、白金がエタノールを酸化してエタノール酸化生成物を生成し、生成されたエタノール酸化生成物がガス検知素子の被毒を促進していると考えられる。それに対して、実施例のいずれにおいても、フィルタが白金を含まないことで、センサ出力の上昇が抑制され、ガス検知素子の被毒が抑制されている。さらに、表3において実施例1~3と実施例4~6に注目すると、上流側に酸担持シリカゲルが配置され、下流側にアルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガンのいずれかが配置される場合に、その逆の配置と比べて、センサ出力の上昇がわずかに抑制されている。このことから、エタノールによる影響を抑えるためには、上流側に酸担持シリカゲルを配置し、下流側にアルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガンのいずれかを配置することが好ましいことが分かる。また、実施例において、フィルタが酸化マンガンを含む場合に(実施例3、6)、酸化マンガンの代わりにアルミノケイ酸亜鉛やアロフェンを含む場合(実施例1~2、4~5)と比べて、センサ出力がわずかに上昇している。このことから、エタノールによる影響をさらに抑えるためには、フィルタに酸化マンガンの代わりにアルミノケイ酸亜鉛やアロフェンを含むことがさらに好ましいことが分かる。これは、酸化マンガンには、わずかながらもエタノールを酸化する能力があって、エタノール酸化生成物をわずかに生成するからであると考えられる。
表4に、ガスセンサにシロキサン+エタノールを曝露したときのセンサ出力の変化を示す。まず、表4において、実施例、比較例に関係なく、フィルタが酸担持シリカゲルを含み、かつ白金担持アルミナを含まない場合に(実施例1~6、比較例3~6)、酸担持シリカゲルを含まないか、または白金担持アルミナを含む場合(比較例1~2、7~10)と比べて、センサ出力の上昇が大きく抑制されている。このことから、酸担持シリカゲルが、測定対象ガスからシロキサンを除去し、ガス検知素子の被毒を抑制しているとともに、フィルタが白金を含まないことで、ガス検知素子の被毒が抑制されていることが分かる。たとえば、比較例1、7~10では、フィルタが酸担持シリカゲルを含まないことにより、測定対象ガスからシロキサンが除去されず、比較例2、7では、フィルタが白金担持アルミナを含むことにより、エタノール酸化生成物が生成されて、ガス検知素子の被毒が促進されていると考えられる。それに対して、実施例のいずれにおいても、フィルタが酸担持シリカゲルを含むことでシロキサンが除去され、フィルタが白金を含まないことでエタノール酸化生成物の生成が抑制されて、ガス検知素子の被毒が抑制されていると考えられる。つぎに、表1において実施例1~3と実施例4~6に注目すると、上流側に酸担持シリカゲルが配置され、下流側にアルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガンのいずれかが配置される場合に、その逆の配置と比べて、センサ出力の上昇がわずかに抑制されている。このことから、シロキサンおよびエタノールの存在下でのセンサ出力の増加を抑制するためには、上流側に酸担持シリカゲルを配置し、下流側にアルミノケイ酸亜鉛、アロフェン、酸化マンガンのいずれかを配置することが好ましいことが分かる。
2 MEMS型半導体式ガス検知素子(ガス検知素子)
21 基板
21a 基板本体
21b 絶縁支持膜
21c 空洞
22 ガス感応部
23 触媒保護層
24 抵抗体
3 ハウジング
31 開口部
32 基台
33 キャップ
4 フィルタ部材
41 第1フィルタ部材
42 第2フィルタ部材
5 リード線
6 電極
7 金網
8 不織布
Claims (3)
- 測定対象ガスに含まれる検知対象ガスを検知するMEMS型半導体式ガス検知素子と、
前記MEMS型半導体式ガス検知素子を収納し、前記測定対象ガスが流通可能な開口部を有するハウジングと、
前記ハウジング内において、前記開口部と前記MEMS型半導体式ガス検知素子との間に設けられるフィルタ部材と
を備えたMEMS型半導体式ガスセンサであって、
前記フィルタ部材が、シロキサンを除去する第1フィルタ部材と、硫黄系ガスを除去する第2フィルタ部材とを備え、
前記第1フィルタ部材が、前記第2フィルタ部材よりもシロキサンの除去能力が高く、前記第2フィルタ部材が、前記第1フィルタ部材よりも硫黄系ガスの除去能力が高く、
前記フィルタ部材が、貴金属を含まず、
前記第2フィルタ部材が、アルミノケイ酸亜鉛またはアロフェンを含む、
MEMS型半導体式ガスセンサ。 - 前記第1フィルタ部材および前記第2フィルタ部材が、前記開口部から前記MEMS型半導体式ガス検知素子に向かって、前記第1フィルタ部材、前記第2フィルタ部材の順に設けられる、
請求項1に記載のMEMS型半導体式ガスセンサ。 - 前記第1フィルタ部材が、シリカゲルを含む、
請求項1または2に記載のMEMS型半導体式ガスセンサ。
Priority Applications (1)
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JP2023105061A JP7343730B1 (ja) | 2023-06-27 | 2023-06-27 | Mems型半導体式ガスセンサ |
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JP2023105061A JP7343730B1 (ja) | 2023-06-27 | 2023-06-27 | Mems型半導体式ガスセンサ |
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- 2023-06-27 JP JP2023105061A patent/JP7343730B1/ja active Active
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