JP2019015374A - 洗浄装置用シール機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗浄液供給管よりも大径のヘッド部を装着した状態の洗浄装置を挿通可能で、且つ、ヘッド部挿通後は、径の異なる複数種類の洗浄液供給管との間を効果的にシールすることができる洗浄装置用シール機構を提供する。
【解決手段】洗浄装置用シール機構2は、洗浄対象の開口部4を閉塞する受圧板36,37が備える挿通孔36Aに洗浄装置の洗浄液供給管20を挿通した状態で、当該挿通孔を封止するものであって、前記受圧板は、前記洗浄液供給管の外周面に密着するリップ部33と当該リップ部と一体に成形された基部34とを有する弾性材料から成るシール部材32を備え、前記受圧板の挿通孔の内径は、前記洗浄装置が備える前記洗浄液供給管外径よりも大径のヘッド部21外径より大きく、当該挿通孔は当該ヘッド部を挿通可能とし、前記シール部材の少なくともリップ部は、弾性変形によって前記ヘッド部を挿通可能とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、洗浄液供給管の先端に洗浄液を噴射するヘッド部を備えた洗浄装置を洗浄対象内に設置した状態で、当該洗浄対象の開口部と洗浄液供給管との間を密封する洗浄装置用シール機構に関する。
従来より、水道水や温泉水等が流通する水道配管の内壁面には、当該水道水や温泉水に含まれる成分によって、スケールが付着する。特に、温泉水には、カルシウムや、鉄、硫化水素、ケイ素などが多く含まれている。そのため、温泉水が流通する配管内壁には、温度や圧力の変化、空気の接触等によって、炭酸カルシウムや、硫化鉄、二酸化ケイ素等を含むスケールが析出する。析出したスケールは、配管内を閉塞するばかりか、ポンプ等の設備機器内に侵入して、故障の原因となる。そのため、定期的に配管等の設備機器のメンテナンスが必要不可欠である。
例えば、温泉施設では、高圧洗浄水を用いて、源泉等から目的とする温泉施設まで温泉水を搬送する配管内部のスケール除去が行われる。高圧洗浄には、例えば、洗浄ホースの先端に洗浄水を噴射するヘッド部を備えた洗浄装置が用いられ、当該ヘッド部を介して所定の高圧洗浄水を配管内部に噴射する。しかし、洗浄ホースが挿通された配管の内径と当該洗浄ホースの外径との間には隙間が生じるため、高圧洗浄水がこれらの隙間から外部に噴き出し、作業が困難となる問題がある。そこで、当該洗浄ホースと洗浄対象となる配管等との間には、これらの継手部分を密封するための種々の構成が採用されている。
例えば、特許文献1の管継手の密封構造は、燃料油等を輸送する配管の継手部分に使用されるものであって、管同士の継ぎ目を前記管の外周を覆うように形成され、内周面の周上にパッキンを収納可能な周の溝を備えた筒状体と、前記収納溝に挿入可能なTの字状のパッキンと、を備え、前記収納溝には、前記収納溝に挿入される前記パッキンの側面と、前記収納溝の側壁との間を埋める間詰め部材が設けられている。
また、特許文献2のパッキン一体型管継手は、端部外周面に環状の鍔部を形成した二つの配管部材を対向状に配置し、対向せしめた二つの配管部材の端部を直径方向に二つ割りにした環状の割りパッキン及び二つ割りの環状のハウジングで覆い、二つ割りのハウジングを縮径方向に締め付けることにより、二つの配管部材を突き合わせ状に接続するようにしたものである。このパッキン一体型管継手は、対向する二つの配管部材に跨って配置され、内周面にパッキン挿入用凹溝を形成した半円状の上側ハウジング及び下側ハウジングから成る二つ割りの環状のハウジングと、上側ハウジング及び下側ハウジングのパッキン挿入用凹溝内にそれぞれ挿着され、対向する二つの配管部材の鍔部に跨る二つの半円状パッキンから成る環状の割りパッキンと、上側ハウジング及び下側ハウジングを縮径方向へ締め付け固定する緊締具とから構成している。
特開2014−202227号公報 特開2013−119939号公報
しかし、特許文献1に記載された管継手の密封構造は、筒状体の内周面に形成された収納溝にT字状のパッキンを挿入して構成されるものであるため、当該筒状体の内側に挿入される管径は、当該筒状体やパッキンの内径によって制約される。そのため、異なる管径の接続対象を接続する場合には、それに応じた径のパッキンに交換しなければならない。また、当該管継手の密封構造を用いて、大径のヘッド部を備えた洗浄ホースを接続対象(洗浄対象)となる配管に挿脱自在に密封保持する場合には、洗浄ホースの径に応じて形成されたパッキンをヘッド部が通過することができないため、洗浄ホースからヘッド部を取り外した状態で、洗浄ホースのみパッキンを通過させ、その後、ヘッド部を当該洗浄ホース先端に接続し直す必要がある。ただし、この場合、パッキンを通過した洗浄ホースの先端を外部に引き出してヘッド部を取り付けることができない場合には、物理的に、ヘッド部を備えた洗浄ホースの密封保持は不可能となる。
これに対して、特許文献2に記載されたパッキン一体型管継手は、二つ割りの環状の割りパッキン及びハウジングを備えたものであるため、大径のヘッド部を備えた洗浄ホースを接続対象(洗浄対象)となる配管に挿脱自在に密封保持する場合であっても、大径のヘッド部を通過させた後段で外周方向から締め付け固定することが可能となる。しかしながら、当該パッキン一体型管継手は、特許文献1と同様に、接続対象の管径は、当該ハウジングやパッキンの内径によって制約される。そのため、異なる管径の接続対象を接続する場合には、それに応じた径のパッキン一体型管継手を用意しなければならない。また、当該特許文献2に記載のパッキン一体型管継手は、二分割されているパッキン及びハウジングを緊締具によって固定するものであるため、耐圧性が十分ではなく、接続される管の圧力が高くなった場合に外れてしまうおそれがある。
このような状況下で、市場からは、径の異なる洗浄ホースの先端にホース径よりも大きな径を有するヘッド部を装着した状態で、シール性を確保したまま配管内に挿入して洗浄できる洗浄装置用シール機構の開発が要望されてきた。
そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結果、洗浄液供給管よりも大径のヘッド部を外すことなく洗浄装置を洗浄対象の開口部に挿通することができ、且つ、径の異なる複数種類の洗浄液供給管と当該開口部との間を部品交換することなく効果的にシールすることができる洗浄装置用シール機構を提供するに至った。
すなわち、本発明に係る洗浄装置用シール機構は、洗浄対象の開口部を閉塞する受圧板が備える挿通孔に洗浄装置の洗浄液供給管を挿通した状態で、当該挿通孔を封止するものであって、前記受圧板は、前記洗浄液供給管の外周面に密着するリップ部と当該リップ部と一体に成形された基部とを有する弾性材料から成るシール部材を備え、前記受圧板の挿通孔の内径は、前記洗浄装置が備える前記洗浄液供給管外径よりも大径のヘッド部外径より大きく、当該挿通孔は当該ヘッド部を挿通可能とし、前記シール部材の少なくとも前記リップ部は、弾性変形によって前記ヘッド部を挿通可能とすることを特徴とする。
本発明に係る洗浄装置用シール機構において、前記受圧板は、外側受圧板と内側受圧板とを有し、これら外側受圧板と内側受圧板とにより、前記シール部材を前記洗浄対象の開口部に固定することが好ましい。
また、本発明に係る洗浄装置用シール機構は、前記外側受圧板と前記内側受圧板のうち、いずれか一方の受圧板の前記挿通孔内に進入して、前記シール部材の前記基部を当接支持する2つ以上の分割押さえ部材を備えることが好ましい。
さらに、本発明に係る洗浄装置用シール機構において、前記リップ部は、前記ヘッド部挿通後に、前記洗浄液供給管の外周面に密着することが好ましい。
また、本発明に係る洗浄装置用シール機構は、前記シール部材の前記リップ部の内径(r)と、前記洗浄液供給管の外径(R)とが、以下の式(1)の関係を満たすことが好ましい。
1.1<R/r<1.6・・・(1)
本発明の洗浄装置用シール機構によれば、洗浄対象の開口部に設けられる挿通孔を備えた受圧板は、洗浄液供給管の外周面に密着するリップ部と当該リップ部と一体に成形された基部とを有する弾性材料から成るシール部材を備え、前記受圧板の挿通孔の内径は、前記洗浄装置が備える前記洗浄液供給管外径よりも大径のヘッド部外径より大きく、前記シール部材の少なくともリップ部は、弾性変形によって前記ヘッド部を挿通可能とすることにより、洗浄液供給管よりも大径のヘッド部を外すことなく、シール部材の少なくともリップ部を弾性変形させて、洗浄対象の開口部を閉塞する受圧板が備える挿通孔に洗浄装置を挿通することができる。そして、少なくともリップ部を含むシール部材を弾性変形させることで、径が異なる洗浄液供給管であっても、シール部材を交換することなく、受圧板の挿通孔を効果的にシールすることができる。
したがって、当該洗浄装置のヘッド部から高圧洗浄液を噴射しても、受圧板の挿通孔と洗浄液配管との隙間から洗浄液が外部に噴き出す不都合を効果的に抑制することができる。
本発明の洗浄装置用シール機構の一使用態様を示す概略図である。 本実施の形態に係る洗浄装置用シール機構の分解斜視図である。 図2の洗浄装置用シール機構によって、洗浄装置を挿通した状態で受圧板の挿通孔を封止した状態を示す概略断面図である。 図3のA部分拡大図である。 図2におけるシール部材の斜視図である。 図5のシール部材の断面図である。 分割押さえ部材を装着する状態を示す図2の洗浄装置用シール機構の斜視図である。 外径23.0mmの洗浄液供給管を挿入したときのシール部材に加わる面圧を示す図3のB部分拡大図である。 外径17.0mmの洗浄液供給管を挿入したときのシール部材に加わる面圧を示す図3のB部分拡大図である。
以下、本発明に係る洗浄装置用シール機構の一実施の形態として、源泉等から目的とする温泉施設まで温泉水を搬送する配管の洗浄装置と当該配管のシール機構について説明する。まずはじめに、洗浄装置について説明し、つづいて、洗浄対象について説明する。その後で、本発明を適用した洗浄対象となる配管と洗浄装置のシール機構について説明する。
<洗浄装置>
本発明に係る洗浄装置用シール機構が適用される洗浄装置は、洗浄ホース等の洗浄液供給管と、当該洗浄液供給管の先端に設けられるヘッド部とを備える。ヘッド部は、洗浄液供給管よりも大径に形成されており、洗浄液を噴射する複数の噴射口が形成されている。本実施の形態に係る洗浄装置1の使用形態を図1に示す。図1の洗浄装置1は、洗浄液供給管20の先端に、洗浄液を噴射するヘッド部21が設けられている。この洗浄液供給管20は、ホースリール22に巻回されており、当該ホースリール22から引き出すことによって、洗浄対象となる配管3内に順次挿入可能されることが好ましい。当該洗浄液供給管20は、加圧手段としての高圧ポンプ23が接続されていることが好ましい。これによって、当該配管3の内壁面にヘッド部21から高圧洗浄液を噴射して、スケール等の析出物を除去することができる。
<洗浄対象>
本発明の洗浄装置用シール機構が適用される洗浄対象は、タンクや配管等の内壁面を挙げることができ、上述した洗浄装置1のヘッド部21を開口部4から挿通して用いるものであれば特に限定されない。図1に示す使用形態では、源泉等から目的とする温泉施設まで温泉水を搬送する配管を洗浄対象とする。具体的には、源泉と温泉施設に設けられた貯湯槽10とが温泉水搬送用の配管3によって接続されており、当該貯湯槽10に貯留された温泉水は、搬送ポンプ11によって、適宜、温泉浴場に搬送される。配管3は、メンテナンス用の開口部4を複数備え、洗浄箇所に応じて、洗浄装置1を挿入する開口部4を適宜用いる。各開口部4は、洗浄作業等のメンテナンス時以外は、閉塞部材6によって閉塞されている。そして、貯湯槽10の前段には、流路切替弁12を介して洗浄液排出用配管13が接続されている。当該洗浄液排出用配管13の端部には、洗浄によって配管3の内壁から剥離したスケールなどのゴミを回収するネット(ゴミ回収手段)14が配置されていることが好ましい。
<洗浄装置用シール機構>
次に、上述した洗浄装置と洗浄対象となる配管3の開口部4とを接続する本発明の洗浄装置用シール機構について詳述する。本発明に係る洗浄装置用シール機構は、洗浄液供給管20の先端に当該洗浄液供給管20よりも大径のヘッド部21を備えた洗浄装置1を配管3に挿通した状態で当該配管3の開口部4を閉塞する受圧板が備える挿通孔を封止する。具体的には、本発明に係る洗浄装置用シール機構は、洗浄対象の開口部を閉塞する受圧板が備える挿通孔に洗浄装置の洗浄液供給管を挿通した状態で、当該挿通孔を封止するものであって、受圧板は、洗浄液供給管の外周面に密着するリップ部と当該リップ部と一体に成形された基部とを有する弾性材料から成るシール部材を備え、受圧板の挿通孔の内径は、洗浄装置が備える洗浄液供給管外径よりも大径のヘッド部外径より大きく、当該挿通孔は当該ヘッド部を挿通可能とし、シール部材の少なくともリップ部は、弾性変形によってヘッド部を挿通可能とすることを特徴とする。
以下に、本発明に係る洗浄装置用シール機構の具体的な実施の形態を図2〜図7を参照して説明する。図2は本実施の形態に係る洗浄装置用シール機構2の分解斜視図、図3は図2の洗浄装置用シール機構2によって洗浄装置1を挿通した状態で受圧板36の挿通孔36Aを封止した状態を示す概略断面図、図4は図3のA部分拡大図、図5は図2におけるシール部材32の斜視図、図6は図5のシール部材32の断面図、図7は分割押さえ部材40を装着する状態を示す図2の洗浄装置用シール機構2の斜視図をそれぞれ示している。図2では理解を助けるため洗浄装置1をあわせて図示する。
本実施の形態に係る洗浄装置用シール機構2は、図2及び図3に示すように、配管3の開口部4に挿入して保持される管継手30と、洗浄液供給管20の外周面に密着するシール部材32と、当該シール部材32を当該管継手30に固定する受圧板36、37と、当該受圧板36、37に固定されたシール部材32を外方から補助的に支持する分割押さえ部材40とを備えている。以下、各構成要素について述べる。
管継手30は、例えば、S45C等の所定の機械的強度を備えた鉄鋼材料で構成された筒状部材であり、図3に示すように、端縁部には当該筒状部材の軸方向と略直交する方向において外方に向けて延在したフランジ部31が形成されている。
また、当該管継手30が装着される配管3の開口部4には、図3に示すように、当該配管の延在方向と略直交する方向において外方に向けて延在したフランジ5が形成されている。このフランジ5には、予め、洗浄装置用シール機構2を螺合にて固定するための複数の固定孔5Aが形成されている。上述した管継手30のフランジ部31は、当該管継手30を配管3の開口部4に挿入した状態で、当該配管3のフランジ5に当接する。この管継手30のフランジ部31には、当該管継手30を配管3の開口部4に固定するため、配管3のフランジ5に形成された固定孔5Aと合致する複数の固定孔31Aが形成されている。
当該シール部材32は、図5に示すように、筒状のリップ部33と当該リップ部33と一体に成形された基部34とを備えている。本実施の形態において、リップ部33は図6に示すように、端部にいくにしたがって径が小さくなるように傾斜している。
シール部材32のリップ部33は、挿入された洗浄液供給管20の外周面に密着することにより、配管3内に供給された高圧洗浄液が外部に飛散することを防止する。このシール部材32は、弾性変形可能な材料、例えば、熱硬化性エラストマーにより構成されている。熱硬化性エラストマーとしては、具体的に、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、フッ素ゴム(FKM)を挙げることができる。本発明では、耐摩耗性の観点からシール部材32として水素化ニトリルゴムを用いることがより好ましい。
図6に示すリップ部33の基端側33Aの内径(r)は、洗浄装置1の大径のヘッド部21の外径よりも小さい。そのため、洗浄装置1のヘッド部21がシール部材32を挿通する際には、当該シール部材32を弾性変形させて拡開させながらヘッド部21が通過する。
また、図5に示すリップ部33の先端側33Bの内径(r)は、少なくとも洗浄装置1の洗浄液供給管20の外径(R)よりも小さい。本発明における洗浄装置用シール機構は、複数種類の径の洗浄液供給管であっても、支障なくシールすることを可能とすると同時に、配管3内を高圧洗浄液で洗浄した際に生ずる洗浄液の外部への飛散を防止することを目的とする。よって、当該リップ部33の先端側33Bの内径(r)は、装着対象として想定される洗浄液供給管20のいずれの外径(R)よりも小さく形成されているものとする。具体的には、リップ部33の先端側33Bの内径(r)と、洗浄液供給管20の外径(R)とが、以下の式(1)の関係を満たすことが好ましい。
1.1<R/r<1.6・・・(1)
洗浄液供給管20の外径(R)とリップ部33の先端側33Bの内径(r)の比(R/r)を1.6倍未満とすることにより、リップ部33と洗浄液供給管20の外周面との間を支障なく密着させることができ、シール性を確保できる。このとき、洗浄液供給管20の外径(R)とリップ部33の先端側33Bの内径(r)の比(R/r)が1.6倍以上では、リップ部33の洗浄液供給管20の外周面に対する面圧が大きくなりすぎ、作業性が悪くなる。また、洗浄液供給管20の外径(R)とリップ部33の先端側33Bの内径(r)の比(R/r)を1.1倍より大きくすることにより、当該洗浄装置用シール機構2は、受圧板36の挿通孔36Aと洗浄液供給管20の隙間のシール性を確保しつつ、洗浄液供給管20の挿脱が可能となる。このとき、洗浄液供給管20の外径(R)とリップ部33の先端側33Bの内径(r)の比(R/r)が1.1倍以下では、リップ部33の洗浄液供給管20の外周面に対する面圧が小さくなり、シール性が低下する。
本実施の形態において、シール部材32を洗浄対象の開口部4に固定する受圧板は、開口部4に装着された管継手30側に配置される内側受圧板36と、管継手30とは反対側に配置される外側受圧板37である。これら内側受圧板36と外側受圧板37により、シール部材32の基部34を挟持して、当該シール部材32を洗浄対象の開口部4に固定する。内側受圧板36と外側受圧板37は、いずれも、例えば、S45C等の所定の機械的強度を備えた鉄鋼材料で構成された板部材である。
図2〜図4に示すように、内側受圧板36及び外側受圧板37には、洗浄装置1のヘッド部21及び洗浄液供給管20を挿通可能とする挿通孔36A及び37Aが形成されている。ヘッド部21及び洗浄液供給管20を挿通可能とするため、これら挿通孔36A及び37Aは、当然にヘッド部21及び洗浄液供給管20の外径よりも大きく形成されている。
内側受圧板36及び外側受圧板37のシール部材32側の面のいずれか一方、若しくは両方には、当該シール部材32を収容する収容凹部38が形成されていることが好ましい。図2〜図4には、内側受圧板36のみに収容凹部38が形成されている。当該収容凹部38は、シール部材32の厚み(t)よりも少なくとも浅く形成されており、内側受圧板36と外側受圧板37との間にシール部材32の基部34を挟持した状態で、シール部材32の基部34を圧縮可能とされていることが好ましい。また、収容凹部38は、挟持によって圧縮された状態の基部34が支障なく収容可能とされる径寸法に形成されていることが好ましい。
内側受圧板36及び外側受圧板37は、シール部材32の基部34を挟持した状態で、管継手30や配管3の開口部4に固定されるため、管継手30のフランジ部31や、配管3のフランジ5と同等以上の外形寸法である。そして、これら内側受圧板36及び外側受圧板37には、シール部材32の基部34を挟持した状態の受圧板36、37を管継手30を介して配管3に固定するための複数の固定孔36B、37Bが形成されている。
なお、本実施の形態では、内側受圧板36が管継手30とは別部材にて構成しているが、これら内側受圧板36を管継手30とを一体に構成したものを採用してもよい。
本発明に係る洗浄装置用シール機構は、上述したシール部材32と、当該シール部材32の基部34を挟持して、配管3の開口部4に固定される受圧板36、37を備えていればよいが、本実施の形態に係る洗浄装置用シール機構2は、さらに、分割押さえ部材40を備えている。
分割押さえ部材40は、受圧板36、37によってシール部材32の基部34が挟持されることにより、シール部材32が受圧板36、37の挿通孔36A、37Aに取り付けられた状態で、当該配管3内が噴射された洗浄液によって高圧となった場合でも当該シール部材32の変形を抑制する部材である。具体的に、分割押さえ部材40は、外側受圧板37に取り付けられた状態で一体となってシール部材32の基部34を押さえる複数の分割部材からなる。本実施例では、環状部材を径方向において二分割した第1押さえ部材41と第2押さえ部材42とから成る。しかし、分割押さえ部材40は、取り付けられた状態で一体となってシール部材32の基部34を押さえることができれば、環状以外の形状を採用してもよいことはもちろんである。
第1押さえ部材41及び第2押さえ部材42は、外側受圧板37の挿通孔37Aに挿入することで、シール部材32のリップ部33と一体に成形された基部34を当接支持する押圧部43、44が形成されている。
外側受圧板37には、分割押さえ部材40を螺合にて固定する複数の固定孔37Cが形成されており、これら第1押さえ部材41及び第2押さえ部材42には、当該外側受圧板37に形成された固定孔37Cと合致する複数の固定孔41A、42Aがそれぞれ形成されている。
次に、洗浄装置用シール機構2の固定及び洗浄装置1の挿入動作について図2〜図4を用いて説明する。管継手30に内側受圧板36を組み付け、内側受圧板36の収容凹部38にシール部材32を収容し、当該シール部材32の基部34を挟み込むように、外側受圧板37を内側受圧板36に重ね合わせる。ここで、シール部材32のリップ部33は、内側受圧板36側に延出するように配置する。そして、配管3のフランジ5の固定孔5Aと、管継手30の固定孔31A、内側受圧板36の固定孔36B、外側受圧板37の固定孔37Bとを合致させ、固定用ボルト46にて締付固定する。
以上のように、シール部材32の基部34が一対の受圧板36、37で挟持された状態で、先端にヘッド部21が設けられた洗浄液供給管20を配管3内に挿入する。具体的には、洗浄装置1の洗浄液供給管20の先端に設けられたヘッド部21を外側受圧板37の挿通孔37Aに挿入し、ヘッド部21を配管3側に押し入れることで、外側受圧板37と内側受圧板36との間に挟持されたシール部材32のリップ部33を弾性変形させながら、当該リップ部33内にヘッド部21を挿通させる。ヘッド部21をさらに配管3側に押し入れることで、当該ヘッド部21は、内側受圧板36の挿通孔36Aを挿通して、配管3内に進入する。このとき、シール部材32のリップ部33は、先端側33Bの内径(r)が洗浄液供給管20の外径よりも小さいため、当該リップ部33及び基部34の一部が弾性変形することにより、図4に示すように、リップ部33と洗浄液供給管20の外周面とが密着する。よって、洗浄液供給管20が挿通された状態を維持したままで、受圧板36の挿通孔36Aをシールすると同時に洗浄液供給管20の外周面との間を効果的にシールすることができる。
特に、本発明では、シール部材32を挟持する一対の受圧板36、37に形成された挿通孔36A、37Aが図3及び図4に示すように、洗浄液供給管20の外径よりも大きなヘッド部21の外径よりも大きく形成されており、これらに挟持されたシール部材32は弾性変形可能な材料にて構成されているため、洗浄液供給管20からヘッド部21を外すことなく、洗浄装置1を挿脱することができる。よって、洗浄作業に伴う洗浄装置1の挿脱作業性を向上させることができる。また、弾性変形によってヘッド部21が通過したシール部材32のリップ部33は、支障なく洗浄液供給管20の外周面に密着するため、配管3内においてヘッド部21から高圧洗浄液を噴射しても、当該洗浄液供給管20の外周面と受圧板36の挿通孔36Aとの隙間から洗浄液が外部に吹き出す不都合を効果的に抑制することができる。
さらに、弾性変形可能なシール部材32のリップ部33の先端側33Bの内径(r)は、装着対象として想定される洗浄液供給管20のいずれの外径(R)よりも小さく形成されているので、洗浄装置1の洗浄液供給管20の径が異なる場合であっても、シール部材32を交換することなく、当該洗浄液供給管20の外周面と受圧板36の挿通孔36Aとの間を効果的にシールすることができる。
本実施の形態における洗浄装置用シール機構2は、洗浄装置1を配管3内に挿通させた後、更に、上述した分割押さえ部材40を取り付けることができる。当該分割押さえ部材40は、二分割した第1押さえ部材41と第2押さえ部材42とから成るため、押さえ部材40に洗浄液供給管20を挿通させることなく、図7に示すように、配管3に挿通した状態の当該洗浄液供給管20の外側から取り付けることができる。
この際、第1押さえ部材41及び第2押さえ部材42は、内側に位置する押圧部43、44を外側受圧板37の挿通孔37A内に挿入して、外側受圧板37に形成された固定孔37Cと、第1押さえ部材41及び第2押さえ部材42の固定孔41A、42Aとを合致させて、固定用ボルト47にて締付固定する。これにより、図3に示すように、第1押さえ部材41及び第2押さえ部材42の押圧部43、44が、シール部材32のリップ部33と一体に成形された基部34を当接支持することができる。
したがって、洗浄装置1のヘッド部21から高圧洗浄液が配管3内に噴射された際に、配管3内が高圧となって、シール部材32を配管3内から外方に向けて押圧する力が生じても、当該シール部材32の基部34は、当該押圧部43、44によって支持される。このとき、洗浄液供給管20の外周面に密着するシール部材32のリップ部33及び基部34の一部が変形することによって、これら洗浄液供給管20の外周面とリップ部33との間を十分にシールすることができるため、洗浄液が外部に噴出する不都合を効果的に防止することができる。
以下に、本発明の洗浄装置用シール機構を適用した実施例を示す。この実施例では、シール部材32を熱可塑性エラストマーである水素化ニトリルゴム(H−NBR)を用いて作製した。当該実施例では、シール部材32の厚さを2mmとし、リップ部33の基端側33Aの内径(r)を24mm、先端側33Bの内径(r)を15mmとして、外径30mmの洗浄装置のヘッド部21を弾性変形により挿通可能とした。
当該シール部材32を用いた洗浄装置用シール機構2によって、外径(R)が23.0mmの洗浄液供給管20Aと、外径(R)が17.0mmの洗浄液供給管20Bを挿通し、配管3内の液圧を0.2MPaとしたときに、リップ部33が洗浄液供給管20の外周面に加える面圧の解析を行った。
当該解析には、非線形シミレーションソフト(Marc2013:商品名)を用いた。このとき、シール部材32以外の部材は剛体として解析を行った。なお、図8に外径23.0mmの洗浄液供給管を挿入した場合、図9に外径17.0mmの洗浄液供給管を挿入した場合の解析結果を示す。図8及び図9では、面圧の大きさを矢印の長さにより示す。そのため、図8及び図9は断面図であるが、各部材のハッチングを省略している。
解析結果から、外径が23.0mmの洗浄液供給管20Aを用いた場合には、外径が17.0mmの洗浄液供給管20Bを用いた場合よりも高い面圧で、シール部材32のリップ部33と洗浄液供給管20Aとが接触していることが分かる。そして、外径が17.0mmの場合の面圧は、23.0mmの場合と比較して小さいが、リップ部33と洗浄液供給管20Bとの接触部分の全域にわたって、十分にシール性を確保できる面圧値が得られていることが確認できた。
なお、上述した実施の形態では、温泉水を搬送する配管の洗浄装置と当該配管とのシール機構を例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、タンク等の閉塞された内壁を洗浄する洗浄装置と当該タンク開口部とのシールを行う場合にも同様に適用することができる。
本発明にかかる洗浄装置用シール機構は、洗浄対象内部を高圧の洗浄液にて洗浄する場合において特に有用である。
1 洗浄装置
2 洗浄装置用シール機構
3 配管(洗浄対象)
3A 内周面
4 開口部
5 フランジ
5A 固定孔
6 閉塞部材
10 貯湯槽
11 搬送ポンプ
12 流路切替弁
13 洗浄液排出用配管
14 ネット(ゴミ回収手段)
20(20A、20B)洗浄液供給管(洗浄ホース)
21 ヘッド部
22 ホースリール
23 高圧ポンプ(加圧手段)
30 管継手
30A 外周面
31 フランジ部
31A 固定孔
32 シール部材
33 リップ部
33A 基端側
33B 先端側
34 基部
36 内側受圧板
37 外側受圧板
36A、37A 挿通孔
36B、37B 固定孔
37C 固定孔
38 収容凹部
40 分割押さえ部材
41 第1押さえ部材
42 第2押さえ部材
41A、42A 固定孔
43、44 支持部
46、47 固定用ボルト

Claims (5)

  1. 洗浄対象の開口部を閉塞する受圧板が備える挿通孔に洗浄装置の洗浄液供給管を挿通した状態で、当該挿通孔を封止する洗浄装置用シール機構であって、
    前記受圧板は、前記洗浄液供給管の外周面に密着するリップ部と当該リップ部と一体に成形された基部とを有する弾性材料から成るシール部材を備え、
    前記受圧板の挿通孔の内径は、前記洗浄装置が備える前記洗浄液供給管外径よりも大径のヘッド部外径より大きく、当該挿通孔は当該ヘッド部を挿通可能とし、前記シール部材の少なくともリップ部は、弾性変形によって前記ヘッド部を挿通可能とすることを特徴とする洗浄装置用シール機構。
  2. 前記受圧板は、外側受圧板と内側受圧板とを有し、これら外側受圧板と内側受圧板とにより、前記シール部材を前記洗浄対象の開口部に固定する請求項1に記載の洗浄装置用シール機構。
  3. 前記外側受圧板と前記内側受圧板のうち、いずれか一方の受圧板の前記挿通孔内に進入して、前記シール部材の前記基部を当接支持する2つ以上の分割押さえ部材を備える請求項2に記載の洗浄装置用シール機構。
  4. 前記リップ部は、前記ヘッド部挿通後に、前記洗浄液供給管の外周面に密着する請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の洗浄装置用シール機構。
  5. 前記シール部材の前記リップ部の内径(r)と、前記洗浄液供給管の外径(R)とが、以下の式(1)の関係を満たす請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の洗浄装置用シール機構。
    1.1<R/r<1.6・・・(1)
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