JP2019015220A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の制御に用いる燃料のエタノール濃度を有効に精度良く学習でき、内燃機関の制御を精度良く行うことができる内燃機関の制御装置を提供する。【解決手段】本発明による内燃機関の制御装置は、燃料のエタノール濃度(E濃度)を検出し、出力するE濃度センサを備え、E濃度センサによる検出E濃度EDに基づき、燃料噴射弁から噴射される燃料のE濃度である噴射E濃度が変化するか否かを判定し(図9のステップ22、24、26)、噴射E濃度が変化すると判定されたときに、推定噴射E濃度EI_ESTに基づいてE濃度の学習を実行することによって、E濃度学習値E_LRNを算出し、噴射E濃度が変化しないと判定されたときに、E濃度の学習を禁止し(図9のステップ25、27)、算出されたE濃度学習値E_LRNを用いて、内燃機関を制御する。【選択図】図9

Description

本発明は、エタノールを含有する燃料を用いる内燃機関の制御装置に関し、特に内燃機関の制御に用いられる燃料のエタノール濃度を学習する内燃機関の制御装置に関する。
従来、この種の内燃機関の制御装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この内燃機関では、エタノールとガソリンとを混合した燃料が用いられ、制御装置は、燃料のエタノール濃度を検出するエタノール濃度センサを備える。このエタノール濃度センサは、静電容量式のものであり、燃料が介在する一対の電極間の静電容量を検出し、燃料の温度をサーミスタで検出する。また、検出された静電容量と燃料温度に基づき、内蔵されたマイコンによってエタノール濃度が演算され、その演算結果が濃度検出値として出力される。
また、この制御装置では、内燃機関が始動後かつ暖機後であるときに、エタノール濃度センサで検出された濃度検出値と燃料温度に基づき、内燃機関の制御に用いられる制御用エタノール濃度が学習(設定)される。具体的には、燃料温度の変化量(今回値と前回値との差)が所定の基準値よりも小さいときには、制御用エタノール濃度が前回の濃度検出値に設定(更新)され、燃料温度の変化量が基準値以上のときには、燃料の温度変化によるエタノール濃度センサの検出誤差の影響を抑制するために、制御用エタノール濃度はその前回値に維持される。
特開2014−215209号公報
通常、燃料のエタノール濃度の変化は、既存の燃料にエタノール濃度の異なる燃料が給油されることによって発生し、その後、新旧の燃料の混じり合いや燃料噴射弁までの輸送が終了し、燃料全体が安定した定常状態では、エタノール濃度はほとんど変化しない。これに対し、従来の制御装置では、制御用エタノール濃度の学習が、内燃機関が始動後かつ暖機後であるという条件が成立する限り、上述した定常状態においても実行される。しかし、エタノール濃度がほとんど変化しない定常状態においてエタノール濃度の学習を行っても、学習の実効性に乏しく、また、燃料の温度変化や周辺デバイスからのノイズなどによるエタノール濃度センサの検出誤差が制御用エタノール濃度に影響しやすいため、制御用エタノール濃度が変動し、内燃機関の制御の安定性を損なうおそれがある。
また、燃料の輸送遅れなどの影響により、エタノール濃度センサの位置と燃料噴射弁の位置の間では、エタノール濃度は必ずしも一致せず、このことは、エタノール濃度センサが燃料噴射弁から離れて配置されている場合に特に顕著になる。これに対し、従来の制御装置では、制御用エタノール濃度がエタノール濃度センサによる濃度検出値に基づいて学習される。このため、学習された制御用エタノール濃度が、燃料噴射弁から噴射され、燃焼に供される燃料の実際のエタノール濃度に対してずれることがあり、その場合には、制御用エタノール濃度を用いた内燃機関の制御を精度良く行うことができない。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、内燃機関の制御に用いる燃料のエタノール濃度を有効に精度良く学習でき、それにより、内燃機関の制御を精度良く行うことができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本願の請求項1に係る発明は、エタノールを含有する燃料Fを用いるとともに、燃料Fを燃料噴射弁10から噴射する内燃機関3の制御装置であって、燃料Fのエタノール濃度を検出し、出力するエタノール濃度センサ21と、エタノール濃度センサ21の出力値(実施形態における(以下、本項において同じ)検出E濃度ED)に基づき、燃料噴射弁10から噴射される燃料Fのエタノール濃度である噴射エタノール濃度が変化するか否かを判定する判定手段(ECU2、図9のステップ22、24、26)と、判定手段により噴射エタノール濃度が変化すると判定されたときに、噴射エタノール濃度(推定噴射E濃度EI_EST)に基づいてエタノール濃度の学習を実行することによって、エタノール濃度学習値(E濃度学習値)E_LRNを算出し、噴射エタノール濃度が変化しないと判定されたときに、エタノール濃度の学習を禁止するエタノール濃度学習手段(ECU2、図7、図9のステップ25、27、図12)と、算出されたエタノール濃度学習値E_LRNを用いて、内燃機関3を制御する制御手段(ECU2、図14)と、を備えることを特徴とする。
この内燃機関の制御装置によれば、燃料のエタノール濃度がエタノール濃度センサによって検出され、その出力値に基づき、噴射エタノール濃度(燃料噴射弁から噴射される燃料のエタノール濃度)が変化するか否かが判定される。その結果、噴射エタノール濃度が変化すると判定されたときには、噴射エタノール濃度に基づいてエタノール濃度の学習が実行され、エタノール濃度学習値が算出される。一方、噴射エタノール濃度が変化しないと判定されたときには、エタノール濃度の学習が禁止される。算出されたエタノール濃度学習値は、内燃機関が制御される。
前述したように、エタノール濃度センサが燃料噴射弁から離れて配置されている場合、前者で検出される検出エタノール濃度と後者から噴射される噴射エタノール濃度は、必ずしも一致しない。また、噴射エタノール濃度は、燃焼に供される燃料のエタノール濃度であるので、内燃機関の制御に用いるエタノール濃度の学習対象として、より相応しい。
このような観点から、本発明によれば、エタノール濃度センサの出力値に基づいて噴射エタノール濃度の変化の有無を判定するとともに、変化すると判定された場合に限り、エタノール濃度の学習を実行する。これにより、前述した定常状態のような噴射エタノール濃度が変化しない状態での学習を回避し、エタノール濃度の学習を有効に行うことができる。これに加えて、エタノール濃度の学習を噴射エタノール濃度に基づいて行うので、燃焼に供される燃料の実際のエタノール濃度を反映させながら、エタノール濃度学習値を精度良く算出でき、したがって、算出されたエタノール濃度学習値を用いて、内燃機関の制御を精度良く行うことができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、判定手段は、エタノール濃度センサ21の出力値と現在のエタノール濃度学習値E_LRNとの差分(E濃度変化量ΔECHG)に基づき、噴射エタノール濃度が変化するか否かを判定すること(図9のステップ22、24、26)を特徴とする。
通常、エタノール濃度センサは、燃料タンクと燃料噴射弁の間に配置されているため、燃料噴射弁の位置と比較して、給油による燃料のエタノール濃度の変化がより早く明確に現れる。この構成によれば、エタノール濃度センサの出力値と現在のエタノール濃度学習値との差分に基づいて、噴射エタノール濃度の変化の有無を判定するので、この判定をより早く的確に行うことができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置において、エタノール濃度センサ21の出力値に対し、エタノール濃度センサ21の位置から燃料噴射弁10の位置までの燃料の輸送遅れを反映させるための遅延処理と、燃料の混じり合いによる遅れを反映させるための一次遅れ処理とを施すことによって、噴射エタノール濃度の推定値である推定噴射エタノール濃度EI_ESTを算出する推定噴射エタノール濃度算出手段(ECU2、図4、図5)をさらに備え、エタノール濃度学習手段は、算出された推定噴射エタノール濃度EI_ESTに基づいて、エタノール濃度学習値を算出すること(図12のステップ57)を特徴とする。
この構成によれば、噴射エタノール濃度の推定値である推定噴射エタノール濃度を算出するに際し、エタノール濃度センサの出力値に対して遅延処理を施すことにより、エタノール濃度センサの位置から燃料噴射弁の位置までの燃料の輸送遅れが反映されるとともに、一次遅れ処理を施すことにより、新旧の燃料の混じり合いによる遅れが反映される。これにより、推定噴射エタノール濃度を精度良く算出でき、したがって、推定噴射エタノール濃度に基づいてエタノール濃度学習値を精度良く算出することができる。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の内燃機関の制御装置において、エタノール濃度学習手段は、エタノール濃度の学習を開始した後、推定噴射エタノール濃度EI_ESTの変化速度ΔEI_ESTが所定の範囲(第3しきい値ΔEREF3)内に収束したときに、エタノール濃度の学習を終了すること(図9のステップ43〜46)を特徴とする。
この構成によれば、エタノール濃度の学習の開始後、推定噴射エタノール濃度の変化速度が所定の範囲内に収束したときに、噴射エタノール濃度がもはや変化していないとして、エタノール濃度の学習を適切に終了させることができる。
請求項5に係る発明は、請求項3又は4に記載の内燃機関の制御装置において、エタノール濃度学習手段は、エタノール濃度の学習の開始時におけるエタノール濃度学習値E_LRNの初期値が学習の開始直前におけるエタノール濃度学習値E_LRNに一致し、その後、エタノール濃度学習値E_LRNが推定噴射エタノール濃度EI_ESTに徐々に近づくように、エタノール濃度学習値E_LRNを算出することを特徴とする。
この構成によれば、学習の開始時には、エタノール濃度学習値の初期値がその直前のエタノール濃度学習値に一致することによって、学習の開始前後におけるエタノール濃度学習値の連続性が保たれ、その急変が防止される。その後、エタノール濃度学習値は、推定噴射エタノール濃度に徐々に近づくように算出される。したがって、エタノール濃度学習値に基づく内燃機関の制御を、学習の開始時には段差なく円滑に、その後は噴射エタノール濃度を反映させながら良好に行うことができる。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、エタノール濃度センサ21は、燃料の比誘電率を表す比誘電率パラメータ(比誘電率εr)を検出する比誘電率パラメータ検出装置(電極22a、22b)と、燃料の温度TFを検出し、出力する温度検出装置(サーミスタ23)とを有し、検出された燃料の比誘電率パラメータ及び燃料の温度TFに応じ、燃料の比誘電率パラメータ、温度とエタノール濃度の間の所定の関係(E濃度マップMED)に基づいて、燃料のエタノール濃度を算出し、出力するように構成されており、エタノール濃度センサ21の出力値(検出エタノール濃度ED)及び温度検出装置の出力値(燃料温度TF)に応じ、所定の関係(比誘電率マップMεr)に基づいて、比誘電率パラメータ検出装置によって検出された比誘電率パラメータを算出する比誘電率パラメータ算出手段(ECU2、図15のステップ71)と、温度検出装置の出力値に一次遅れ補償処理(一次遅れ補償器32)を施すことによって、燃料の温度の推定値である推定燃料温度TF_ESTを算出する推定燃料温度算出手段(ECU2、図15のステップ72)と、算出された比誘電率パラメータ及び推定燃料温度に応じ、所定の関係(補正用E濃度マップMEDC)に基づいて、補正後エタノール濃度EDCを算出する補正後エタノール濃度算出手段(ECU2、図15のステップ73、74)と、をさらに備え、算出された補正後エタノール濃度EDCをエタノール濃度センサ21の出力値に代えて用いること(図17のステップ22)を特徴とする。
このエタノール濃度センサでは、比誘電率パラメータ検出装置で検出された燃料の比誘電率パラメータと、温度検出装置で検出された燃料の温度に応じ、燃料の比誘電率パラメータ、温度とエタノール濃度の間の所定の関係に基づいて、燃料のエタノール濃度が算出され、出力される。温度検出装置は、一般に応答遅れ特性を有するため、例えば温度の異なる燃料の給油によって燃料の温度が大きく変化するような場合には、検出した燃料温度に応答遅れによる誤差が含まれる。その場合には、誤差を含む燃料温度をパラメータとして燃料のエタノール濃度が算出される結果、エタノール濃度センサの出力値が実際のエタノール濃度からずれてしまう。
以上の観点から、この構成によれば、エタノール濃度センサの出力値及び温度検出装置の出力値に応じ、所定の関係に基づいて、比誘電率パラメータ検出装置で検出された比誘電率パラメータを算出するとともに、温度検出装置の出力値に一次遅れ補償処理を施すことによって、燃料の温度の推定値である推定燃料温度を算出する。そして、算出された比誘電率パラメータ及び推定燃料温度に応じ、前記所定の関係に基づいて、補正後エタノール濃度を算出する。これにより、温度検出装置の応答遅れによるエタノール濃度センサの温度誤差を補償した補正後エタノール濃度が得られる。したがって、補正後エタノール濃度をエタノール濃度センサの出力値に代えて用いることによって、噴射エタノール濃度の変化の有無の判定や、その判定結果に応じたエタノール濃度の学習条件の判定などを、精度良く行うことができる。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、エタノール濃度センサ21は、燃料の比誘電率を表す比誘電率パラメータ(比誘電率εr)を検出する比誘電率パラメータ検出装置(電極22a、22b)と、燃料の温度TFを検出し、出力する温度検出装置(サーミスタ23)とを有し、検出された燃料の比誘電率パラメータ及び燃料の温度TFに応じ、燃料の比誘電率パラメータ、燃料の温度とエタノール濃度の間の所定の関係に基づいて、エタノール濃度を算出し、出力するように構成されており、エタノール濃度学習手段は、エタノール濃度センサ21の出力値が変化した後、所定時間(第1所定時間TMREF1)以内に当該変化前の値に戻ったときに(図9のステップ35:YES)、エタノール濃度の学習を禁止することを特徴とする。
前述したエタノール濃度センサの温度誤差は、温度の異なる燃料の給油などによって一時的に発生し、その後、時間が経過するにつれて解消される。この特性に基づき、この構成によれば、エタノール濃度センサの出力値が変化した後、所定時間以内に変化前の値に戻ったときには、その出力値の変化が温度誤差によるものと判定し、エタノール濃度の学習を禁止する。これにより、温度誤差を含むエタノール濃度に基づく誤学習が回避されることで、学習の精度を向上させることができる。
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の内燃機関の制御装置において、エタノール濃度学習手段は、エタノール濃度センサ21の出力値が上昇した後、所定時間内に所定量(第2しきい値ΔEREF2)以上、低下したときに(図9のステップ35:YES)、エタノール濃度の学習を禁止することを特徴とする。
この構成によれば、エタノール濃度センサの出力値が上昇した後、所定時間内に所定量以上、低下したときに、エタノール濃度センサの主たる温度誤差である高温誤差(高温の燃料に低温の燃料が給油されたときに、エタノール濃度センサの出力値が一時的に高い側にずれる温度誤差)が発生したと判定して、エタノール濃度の学習を禁止する。これにより、高温誤差を含むエタノール濃度に基づく誤学習が回避されることで、学習の精度をさらに向上させることができる。
本発明を適用した内燃機関及びその燃料供給装置を示す図である。 内燃機関の制御装置を示すブロック図である。 エタノール濃度センサを模式的に示す図である。 本発明の第1実施形態において実行される、推定噴射エタノール濃度の算出処理を示すフローチャートである。 図4の算出処理において用いられるバッファ処理を説明するための図である。 図4の算出処理によって得られる、検出エタノール濃度と推定噴射エタノール濃度との関係を模式的に示す図である。 エタノール濃度の学習処理のメインフローを示すフローチャートである。 エタノール濃度センサの高温誤差を説明するための図である。 図7のステップ11で実行される学習条件の判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 図9の判定処理のうちの学習の許可/禁止判定部分によって得られる動作例を示すタイミングチャートである。 図9の判定処理のうちの学習の終了判定部分によって得られる動作例を示すタイミングチャートである。 図7のステップ13で実行されるエタノール濃度学習値の算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 図12の算出処理によって得られる動作例を示すタイミングチャートである。 燃料噴射量の算出処理を示すフローチャートである。 第2実施形態において実行される、検出エタノール濃度の補正処理を示すフローチャートである。 図15の補正処理の内容を示すブロック図である。 第2実施形態による学習条件の判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明を適用した内燃機関(以下「エンジン」という)3及び燃料供給装置4を示す。エンジン3は、車両(図示せず)に搭載されており、エタノールとガソリンとを混合した燃料Fを使用するものである。以下、燃料F中のエタノール濃度を「E濃度」という。
燃料供給装置4は、例えば車両のエンジンルーム(図示せず)に配置され、燃料Fを貯留する燃料タンク5と、一端部が燃料タンク5に接続された燃料通路6を有する。燃料タンク5には低圧ポンプ7が設けられ、燃料通路6の途中には高圧ポンプ8が設けられている。燃料通路6の他端部は、コモンレール9を介して複数(この例では4つ)の燃料噴射弁10に接続されている。
以上の構成により、燃料Fは、低圧ポンプ7によって燃料タンク5から燃料通路6に送出され、高圧ポンプ8で昇圧された後、コモンレール9に供給され、各燃料噴射弁10から噴射される。高圧ポンプ8及び燃料噴射弁10の動作は、ECU(電子制御ユニット)2からの制御信号によって制御され(図2参照)、それにより、燃料噴射弁10の燃料噴射量GFUELなどが制御される。
また、燃料通路6には、高圧ポンプ8の上流側に、燃料FのE濃度を検出するE濃度センサ21が設けられている。E濃度センサ21は、静電容量式のものであり、図3に示すように、環状のアウター電極22a及びインナー電極22bと、インナー電極22bに取り付けられたサーミスタ23と、演算処理用のマイクロプロフェッサ(図示せず)を有する。両電極22a、22bの間及びインナー電極22bの内部には、燃料Fが満たされている。
このE濃度センサ21では、交流電圧が印加された状態で両電極22a、22bの間に発生する静電容量を介して、燃料Fの比誘電率εrが検出される。サーミスタ23は、温度に応じて電気抵抗が変化する素子を有しており、その電気抵抗を介して燃料Fの温度(燃料温度)TFが検出される。マイクロプロフェッサは、検出された比誘電率εr及び燃料温度TFに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、E濃度を算出し、その算出結果を検出E濃度EDとしてECU2に出力する。また、サーミスタ23で検出された燃料温度TFを表す検出信号は、ECU2に出力される。
また、エンジン3のクランクシャフト(図示せず)には、クランク角センサ24が設けられている。クランク角センサ24は、クランクシャフトの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号及びTDC信号をECU2に出力する。CRK信号は、所定のクランク角度(例えば30°)ごとに出力される。ECU2は、CRK信号に基づき、エンジン3の回転数NEを算出する。TDC信号は、いずれかの気筒においてピストンが吸気行程開始時の上死点(TDC)付近にあることを表す信号であり、エンジン3が4気筒の場合には、クランク角度180°ごとに出力される。
また、ECU2には、吸気管(図示せず)に設けられたエアフローセンサ25から、吸入空気量GAIRを表す検出信号が入力され、排気管(図示せず)に設けられたLAFセンサ26から、排ガス中の酸素濃度を表す検出信号が入力される(図2参照)。ECU2は、LAFセンサ26の検出信号に応じ、エンジン3で燃焼した混合気の空燃比を表す検出空燃比(当量比)KACTを算出する。
ECU2は、CPU、RAM、ROM、EPROM及びI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などから成るマイクロコンピュータで構成されている。ECU2は、前述した各種のセンサからの検出信号などに基づき、ROMに記憶された制御プログラムに従って、燃料FのE濃度を学習するとともに、学習によって算出されたE濃度学習値E_LRNを用いて、燃料噴射弁10の燃料噴射量GFUELなどを制御するエンジン制御を実行する。また、ECU2のRAMには、検出E濃度EDを記憶するためのリングバッファが設けられており(図5参照)、E濃度学習値E_LRNはEPROMに記憶される。
以下、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、ECU2によって、判定手段、エタノール濃度学習手段、制御手段、及び推定噴射エタノール濃度算出手段が構成されている。
図4は、ECU2で実行される推定噴射E濃度EI_ESTの算出処理を示す。この算出処理は、E濃度センサ21で検出された検出E濃度EDに基づいて、燃料噴射弁10から噴射される燃料FのE濃度(以下「噴射E濃度」という)の推定値を、推定噴射E濃度EI_ESTとして算出するものである。算出された推定噴射E濃度EI_ESTは、E濃度の学習に用いられる。本処理は、TDC信号の入力に同期して常時、実行される。
本処理では、まずステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、今回の燃料噴射量GFUEL(質量:g)に所定の換算係数Kfを乗算することによって、今回の燃料消費量Vf(体積:cc)を算出する。次に、この燃料消費量Vfを前回までの燃料消費量積算値ΣVfに加算することによって、今回の燃料消費量積算値ΣVfを算出する(ステップ2)。なお、燃料消費量積算値ΣVfは、例えばエンジン3のイグニッションスイッチ(図示せず)がオンされたときに、値0にリセットされる。
次に、算出した燃料消費量積算値ΣVfが所定の単位容積ΔVol以上であるか否かを判別する(ステップ3)。図5に示すように、この単位容積ΔVolは、E濃度センサ21の位置からコモンレール9までの配管容積Vtotalを、前述したリングバッファのバッファ数Nで除算した値に相当する(ΔVol=Vtotal/N)。このステップ3の答えがNOのときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ3の答えがYESで、燃料消費量積算値ΣVfが単位容積ΔVolに達したときには、燃料消費量積算値ΣVfを値0にリセットする(ステップ4)。次に、高温誤差フラグF_HERRが「1」であるか否かを判別する(ステップ5)。後述するように、この高温誤差フラグF_HERRは、E濃度センサ21の高温誤差が発生していると判定されたときに、「1」にセットされるものである。
このステップ5の答えがNOで、高温誤差が発生していないと判定されているときには、番号nのバッファに記憶されていた検出E濃度EDのバッファ値E_BF(n)をそれぞれ、番号(n+1)のバッファ値E_BF(n+1)としてシフトする(ステップ6)とともに、E濃度センサ21で今回、検出された検出E濃度EDを、番号1のバッファ値E_BF(1)として記憶する(ステップ7)。
以上のバッファ処理により、単位容積ΔVolに等しい燃料量が消費されるごとに、単位容積ΔVolの分だけ燃料Fが燃料噴射弁10側に移動したとして、バッファ値E_BFがシフトされ、更新される。例えば、図5は、E0燃料(E濃度=0)が使用されている状態からE85燃料(E濃度=85%)が給油された場合のバッファ値E_BFの推移を示す。更新回数i=1において、検出エタノール濃度EDが0から5%に変化し、バッファ値E_BF(1)として記憶されたとすると、その後、このバッファ値E_BF=5%は、単位容積ΔVolに等しい燃料量が消費されるごとにシフトされ、更新回数i=Nになったとき、すなわち配管容積Vtotalに等しい燃料量が消費されたときに、番号Nのバッファに到達し、バッファ値E_BF(N)として記憶される。
以上から明らかなように、番号1のバッファ値E_BF(1)は、その時点でのE濃度センサ21の位置におけるE濃度(検出E濃度ED)を表し、番号Nのバッファ値E_BF(N)は、E濃度センサ21の位置から燃料噴射弁10の位置までの燃料Fの輸送遅れを反映した、その時点での燃料噴射弁10の位置におけるE濃度、すなわち燃料噴射弁10から噴射される噴射E濃度を表す。
図4に戻り、前記ステップ7に続くステップ8では、次式(1)により、上述した番号Nのバッファ値E_BF(N)に一次遅れ処理を施すことによって、推定噴射E濃度EI_ESTを算出し、図4の処理を終了する。
EI_EST =(1−m)・EI_EST+m・E_BF(N) ・・・(1)
ここで、右辺のEI_ESTは推定噴射E濃度の前回値、mは所定のなまし係数(0<m<1)である。
以上の結果、図6に示すように、推定噴射E濃度EI_ESTには、検出E濃度EDに対し、バッファ処理により、E濃度センサ21の位置から燃料噴射弁10の位置に移動するまでの燃料Fの輸送遅れによるディレイ(むだ時間)が反映されるとともに、一次遅れ処理により、新旧の燃料Fの混じり合いによる一次遅れが反映される。これにより、実際の噴射E濃度を表す推定噴射E濃度EI_ESTが精度良く算出される。
一方、前記ステップ5の答えがYESで、E濃度センサ21の高温誤差が発生していると判定されているときには、現在のE濃度学習値E_LRNを、すべてのバッファにバッファ値E_BF(1)〜E_BF(N)として記憶する(ステップ9)とともに、推定噴射E濃度EI_ESTとして設定し(ステップ10)、図4の処理を終了する。
次に、E濃度の学習処理について説明する。図7はそのメインフローを示す。この処理は、所定時間ごとに繰り返し実行される。本処理では、まずステップ11において、E濃度の学習条件の判定処理を実行する。この判定処理では、E濃度の学習条件が成立していると判定された場合、学習フラグF_LRNが「1」にセットされ、他の場合には、学習フラグF_LRNは「0」にセットされる。次に、ステップ12において、学習フラグF_LRNが「1」であるか否かを判別し、その答えがYESのときには、ステップ13において、E濃度学習としてE濃度学習値の算出処理を実行する一方、NOのときには、E濃度学習を行わず、そのまま本処理を終了する。
ここで、上述した図7のE濃度の学習処理において考慮されているE濃度センサ21の温度特性について説明する。
前述したように、E濃度センサ21は、燃料Fの比誘電率εrがE濃度と相関するとともに、燃料温度TFに応じて変化するという関係に基づき、これらの三者の関係をあらかじめ設定したマップを用い、検出された比誘電率εr及び燃料温度TFに応じて、燃料FのE濃度(検出E濃度ED)を算出し、出力するように構成されている。
上記の3つのパラメータのうち、比誘電率εrは、電極22a、22bの間に存在する燃料Fの特性として直接的に検出されるため、その応答遅れ(真値に対する検出遅れ)が小さいのに対し、燃料温度TFは、燃料の温度に応じて変化するサーミスタ23の素子の電気抵抗を介して間接的に検出されるため、応答遅れが大きい。このため、既存の燃料(旧燃料)に温度の異なる燃料が給油された場合、燃料温度TFの応答遅れから、比誘電率εr及び燃料温度TFに応じて算出される検出E濃度EDが実際のE濃度から乖離し、検出誤差が生じ得る。
例えば、図8は、E濃度がEAである高温の旧燃料に、E濃度が同じEAの低温の燃料が給油された場合のE濃度センサ21の動作を示している。この場合、E濃度センサ21の位置において、燃料が高温の旧燃料から低温の給油後の燃料に置き換わると、比誘電率εrは、高温ライン上の小さな値(点X)から低温ライン上のより大きな値(点Y)に迅速に変化する(矢印a)。これに対し、サーミスタ23で検出される燃料温度TFは、応答遅れがあるためにすぐには変化せず、旧燃料の温度から給油後燃料の温度に向かって徐々に低下する。その間、検出E濃度EDは、燃料温度TFに応じて算出される結果、図8に矢印bで示すように推移し、燃料温度TFが給油後燃料の温度に等しくなるまで、実際のE濃度EAに対して高い側にずれた状態で算出される。
以下、上記のように、高温の燃料に低温の燃料が給油されたときに、サーミスタ23の応答遅れにより、検出E濃度EDが一時的に高い側にずれる誤差を、E濃度センサ21の「高温誤差」という。なお、通常、旧燃料は、エンジンルームに配置された燃料タンク5に貯留されるため、比較的高い温度状態にあるのに対し、給油される燃料の温度は、外気温に近いため、旧燃料の温度よりも低い関係にある。このため、E濃度センサ21の温度誤差は、通常、上述した高温誤差として発生し、図8に破線の矢印cで示すような、検出E濃度EDが実際のE濃度EAに対して低い側にずれる誤差(低温誤差)は、あまり発生しない。
次に、図9を参照しながら、図7のステップ11で実行される学習条件の判定処理について説明する。本処理では、まずステップ21において、学習フラグF_LRNが「1」であるか否かを判別する。この答えがNOで、E濃度の学習中でないときには、今回の検出E濃度EDと、ECU2に記憶されている現在のE濃度学習値E_LRNとの差分(=ED−E_LRN)を、E濃度変化量ΔECHGとして算出する(ステップ22)。
次に、E濃度上昇フラグF_INCが「1」であるか否かを判別する(ステップ23)。後述するように、このE濃度上昇フラグF_INCは、検出E濃度EDがE濃度学習値E_LRNに対して所定の第1しきい値ΔEREF1以上、上昇したときに、「1」にセットされるものである。この答えがNOのときには、E濃度変化量の絶対値|ΔECHG|が上記第1しきい値ΔEREF1以上であるか否かを判別する(ステップ24)。この答えがNOのときには、E濃度学習値E_LRNに対する検出E濃度EDの変化量(上昇量又は低下量)が小さいため、噴射E濃度が変化しないと判定して、学習フラグF_LRNを「0」にセットし(ステップ25)、E濃度学習を禁止する。
前記ステップ24の答えがYESのときには、E濃度変化量ΔECHGが正値であるか否かを判別する(ステップ26)。この答えがNOのとき、すなわち検出E濃度EDがE濃度学習値E_LRNに対して低下側に変化したときには、前述した高温誤差は発生しておらず、噴射E濃度が変化すると判定して、学習フラグF_LRNを「1」にセットし(ステップ27)、E濃度学習を許可する。
前記ステップ26の答えがYESで、検出E濃度EDがE濃度学習値E_LRNに対して、第1しきい値ΔEREF1以上、上昇側に変化したときには、その原因が、E濃度の実際の上昇によるものではなく、E濃度センサ21の高温誤差の発生による可能性があるため、E濃度学習の許可を保留し、次のステップ28以降において高温誤差の発生の有無を判定する。
まずステップ28では、E濃度上昇フラグF_INCを「1」にセットし、次に、以降の経過時間を計時するダウンカウント式のE濃度上昇タイマの値TM_INCを第1所定時間TMREF1にセットし(ステップ29)、E濃度最大値ED_MAXを今回の検出E濃度EDに設定した(ステップ30)後、前記ステップ25に進み、学習フラグF_LRNを「0」に維持し、図9の処理を終了する。
上記ステップ28が実行された後には、前記ステップ23の答えがYESになり、その場合には、高温誤差フラグF_HERRが「1」であるか否かを判別する(ステップ31)。その答えがNOのときには、今回の検出E濃度EDがE濃度最大値ED_MAXよりも大きいか否かを判別する(ステップ32)。この答えがYESのときには、E濃度最大値ED_MAXを検出E濃度EDに更新した(ステップ33)後、NOのときには直接、ステップ34に進む。
このステップ34では、E濃度最大値ED_MAXと検出E濃度EDとの差を、E濃度低下量ΔEDECとして算出し、次いで、算出したE濃度低下量ΔEDECが所定の第2しきい値ΔEREF2以上であるか否かを判別する(ステップ35)。この答えがYESで、検出E濃度EDがE濃度最大値ED_MAXから第2しきい値ΔEREF2以上、低下したときには、高温誤差が発生していると判定し、高温誤差フラグF_HERRを「1」にセットする(ステップ36)とともに、前記ステップ25に進み、学習フラグF_LRNを「0」にセットし、E濃度学習を禁止する。
前記ステップ35の答えがNOのときには、前記ステップ29でセットしたE濃度上昇タイマ値TM_INCが0になったか否かを判別する(ステップ37)。この答えがNOのときには、前記ステップ25に進み、E濃度学習を引き続き禁止する。
一方、ステップ37の答えがYESのとき、すなわちE濃度変化量ΔECHGが第1しきい値ΔEREF1以上になった後、第1所定時間TMREF1が経過しても、検出E濃度EDがE濃度最大値ED_MAXから第2しきい値ΔEREF2以上、低下していないときには、高温誤差は発生しておらず、検出E濃度EDの上昇がE濃度の実際の上昇によるものと判定する。この判定に従い、高温誤差フラグF_HERRを「0」にセットする(ステップ38)とともに、前記ステップ27に進み、学習フラグF_LRNを「1」にセットし、E濃度学習を許可する。
前記ステップ36で高温誤差フラグF_HERRが「1」にセットされた後には、前記ステップ31の答えがYESになり、その場合には、ステップ40に進み、E濃度変化量ΔECHGが前記第1しきい値ΔEREF1よりも小さいか否かを判別する。この答えがNOのときには、前記ステップ25に進み、E濃度学習を引き続き禁止する。一方、ステップ40の答えがYESで、E濃度変化量ΔECHGが第1しきい値ΔEREF1を下回ったときには、発生した高温誤差が解消されたとして、高温誤差フラグF_HERR及び濃度上昇フラグF_INCをそれぞれ「0」にセットする(ステップ41、42)とともに、前記ステップ25に進み、E濃度学習の禁止状態を維持する。
ここで、これまでに説明した図9の判定処理による動作例を、図10を参照しながら説明する。図10の曲線Aは、高温誤差が発生している場合の検出E濃度EDの推移を示す。この曲線Aでは、高温誤差の発生に伴って検出E濃度EDが上昇するのに応じて、時点t1において、E濃度学習値E_LRNからのE濃度変化量ΔECHGが第1しきい値ΔEREF1以上になる(以下「条件1」という)。この条件1の成立は図9のステップ24、26によって判定され、それに応じてE濃度上昇タイマ値TM_INCが第1所定時間TMREF1にセットされ(ステップ29)、学習フラグF_LRNは「0」に維持される。
検出E濃度EDは、高温誤差の特性により、E濃度最大値ED_MAXまで上昇した後、低下に転じる(時点t2)。この検出E濃度EDの低下に伴い、上記の条件1の成立後に第1所定時間TMREF1が経過する前に(時点t3)、E濃度最大値ED_MAXからのE濃度低下量ΔEDECが第2しきい値ΔEREF2以上になる(以下「条件2」という)。この条件2の成立は、ステップ35によって判定される。
そして、上記の2つの条件1及び2がいずれも成立したときに、高温誤差が発生していると判定し、高温誤差フラグF_HERRが「1」にセットされる(ステップ36、図10(c)破線)とともに、学習フラグF_LRNが「0」に維持され、E濃度学習が引き続き禁止される(図10(d)破線)。以上により、高温誤差の発生が適切に判定されるとともに、高温誤差の発生時におけるE濃度学習が禁止される。
一方、図10の曲線B及びCは、高温誤差が発生しておらず、E濃度が実際に上昇している場合の検出E濃度EDの推移を示す。具体的には、曲線Bは、旧燃料に対してE濃度が高い多量の燃料が給油されたことで、実際のE濃度が大きく上昇し続ける例、曲線Cは、E濃度が高い少量の燃料が給油されたことで、実際のE濃度は上昇するものの、その上昇量が比較的小さく、早期に収束する例である。これらの2つの場合には、前述したE濃度変化量ΔECHGが第1しきい値ΔEREF1以上になるという条件1は成立するものの、E濃度低下量ΔEDECが第2しきい値ΔEREF2以上になるという条件2は成立しない(ステップ35:NO)。
そして、条件1の成立後、条件2が成立しないまま、第1所定時間TMREF1が経過したときには(ステップ37:YES)(時点t4)、検出E濃度EDの上昇が高温誤差によるものではなく、E濃度の実際の上昇によるものと判定し、学習フラグF_LRNが「1」にセットされ、E濃度学習が開始される。以上により、高温誤差を含む検出E濃度EDを排除し、実際のE濃度を反映した検出E濃度EDのみに基づいて、E濃度学習が行われる。
図9に戻り、前記ステップ27で学習フラグF_LRNが「1」にセットされ、E濃度学習が開始された後には、前記ステップ21の答えがYESになり、その場合には、ステップ43以降に進み、E濃度学習の終了判定を行う。まずステップ43では、推定噴射E濃度EI_ESTの変化速度ΔEI_ESTを算出する。この変化速度ΔEI_ESTは、例えば、図4のステップ8で算出される推定噴射E濃度EI_ESTの今回値と前回値との差を、その間の燃料消費量、すなわち単位容積ΔVolに相当する燃料量で除算することによって算出される。すなわち、変化速度ΔEI_ESTは、燃料消費量に対する推定噴射E濃度EI_ESTの傾きを表す。
次に、算出した変化速度の絶対値|ΔEI_EST|が、値0に近い所定の第3しきい値ΔEREF3以下であるか否かを判別する(ステップ44)。この答えがNOのときには、ダウンカウント式のE濃度収束タイマの値TM_CONを第2所定時間TMREF2にセットした(ステップ45)後、前記ステップ27に進み、E濃度学習を継続する。
前記ステップ44の答えがYESで、推定噴射E濃度の変化速度ΔEI_ESTが、値0±ΔEREF3で規定される所定の範囲内にあるときには、E濃度収束タイマ値TM_CONが0になったか否かを判別する(ステップ46)。この答えがNOのときには、前記ステップ27に進み、E濃度学習を継続する。
一方、上記ステップ46の答えがYESのとき、すなわち推定噴射E濃度の変化速度ΔEI_ESTが上記の所定の範囲内にある状態が、第2所定時間TMREF2の間、継続したときには、推定噴射E濃度EI_ESTが収束し、その変化が終了したとして、E濃度学習を終了するものとし、前記ステップ25に進み、学習フラグF_LRNを「0」にセットし、図9の処理を終了する。
図11は、上述した学習の終了判定によって得られる動作例を示す。この例では、E濃度学習の開始後、推定噴射E濃度EI_ESTは、ほぼ一定の変化速度ΔEI_EST(傾き)で上昇し、時点t11において、変化速度ΔEI_ESTが減少し始めている。その後、変化速度ΔEI_ESTが第3しきい値ΔEREF3以下になったときに(時点t12)、E濃度収束タイマがスタートする。そして、変化速度ΔEI_ESTが値0±ΔEREF3の範囲内にある状態が、第3所定時間TMREF3の間、継続したときに(時点t13)、E濃度収束タイマ値TM_CONが0になる(ステップ46:YES)。それに応じて、推定噴射E濃度EI_ESTが収束したと判定し、学習フラグF_LRNが「1」から「0」に切り替えられ、E濃度学習が終了する。
次に、図12を参照しながら、図7のステップ13で実行されるE濃度学習値の算出処理について説明する。本処理では、まずステップ51において、前回と今回の処理サイクルの間で、図4のステップ8による推定噴射E濃度EI_ESTの更新が行われたか否かを判別する。この答えがNOのときには、そのまま本処理を終了する。
上記ステップ51の答えがYESで、推定噴射E濃度EI_ESTの更新が行われているときには、学習フラグの前回値F_LRNZが「1」であるか否かを判別する(ステップ52)。この答えがNOのとき、すなわち今回の処理サイクルがE濃度学習の開始直後に相当するときには、移行係数KTRNを値0に設定し(ステップ53)、後述するステップ57に進む。
一方、上記ステップ52の答えがYESで、今回の処理サイクルがE濃度学習の開始後の2回目以降に相当するときには、前回の移行係数KTRNに所定の増分量ΔK(<1.0)を加算した値を、今回の移行係数KTRNとして設定する(ステップ54)。次に、移行係数KTRNがリミット値としての値1.0を上回ったか否かを判別し(ステップ55)、その答えがYESのときには、移行係数KTRNを値1.0に制限した(ステップ56)後、NOのときには直接、ステップ57に進む。
このステップ57では、上記のように設定された移行係数KTRNと推定噴射E濃度EI_ESTを用い、次式(2)によって、E濃度学習値E_LRNを算出・更新し、図12の処理を終了する。
E_LRN = EI_EST ・KTRN+E_LRN・(1−KTRN)
・・・(2)
ここで、右辺のE_LRNはE濃度学習値の前回値である。
図13は、上記のE濃度学習値の算出処理によって得られる動作例を示す。まず、前記ステップ52〜56により、移行係数KTRNは、E濃度学習の開始時(時点t21)に値0に設定された後、処理サイクルごとに増分量ΔKずつ値1.0まで徐々に増加し(時点t21〜t22)、その後は値1.0に維持される。このように、増分量ΔKは、移行係数KTRNの増加期間を定めるものであり、この増加期間は、例えば、燃料がE濃度センサ21の位置から燃料噴射弁10の位置まで移動するのに要する期間に設定される。
また、E濃度学習値E_LRNは、移行係数KTRNを用い、式(2)によって算出される結果、E濃度学習の開始時(t21)には、移行係数KTRN=0であることで、このときの推定噴射E濃度EI_ESTとの差分ΔEの大きさにかかわらず、その直前のE濃度学習値E_LRNに一致するように算出される。その後、E濃度学習値E_LRNは、移行係数KTRNが漸増するのに応じて、推定噴射E濃度EI_ESTに徐々に近づくように算出され(t21〜t22)、移行係数KTRNが値1.0に達した以降は(t22〜)、推定噴射E濃度EI_ESTに一致するように算出される。
次に、図14を参照しながら、E濃度学習値E_LRNを用いたエンジン制御の例として、燃料噴射量GFUELの算出処理について説明する。本処理は、TDC信号の発生に同期して実行される。
本処理では、まずステップ61において、燃料噴射量GFUELの基本値GBASEを算出する。その算出は、例えば、検出された吸入空気量GAIRに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって行われる。このマップでは、基本値GBASEは、燃料FのE濃度が所定値の場合に、混合気の空燃比がほぼ理論空燃比になるように設定されている。
次に、E濃度学習値E_LRNに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、目標空燃比(目標当量比)KCMDを算出する(ステップ62)。E濃度が高いほど、同一の空気量に対してより多くの燃料量が必要になるので、このマップでは、目標空燃比KCMDは、E濃度学習値E_LRNが大きいほど、より小さな値に設定されている。
次に、LAFセンサ26の検出値から算出された検出空燃比KACTが目標空燃比KCMDに一致するように、PIDフィードバック制御などによって、空燃比補正係数KFBを算出する(ステップ63)。また、総補正係数KTOTALを算出する(ステップ64)。この総補正係数KTOTALは、エンジン3の運転状態に応じて設定される他の複数の補正係数を互いに乗算したものである。
次に、次式(3)により、基本値GBASEに、目標空燃比KCMD、空燃比補正係数KFB及び総補正係数KTOTALを乗算することによって、燃料噴射量GFUELを算出し(ステップ65)、図14の処理を終了する。
GFUEL = GBASE・KCMD・KFB・KTOTAL ・・・(3)
以上のように、燃料噴射量GFUELは、E濃度学習値E_LRNを用い、燃料Fの実際の噴射E濃度を反映するように算出される。
以上のように、本実施形態によれば、検出E濃度EDに基づき、噴射E濃度の変化の有無を判定するとともに、変化すると判定された場合に限り、E濃度学習を実行する。これにより、噴射E濃度が変化しない状態での学習を回避し、E濃度学習を有効に行うことができる。また、E濃度学習を推定噴射E濃度EI_ESTに基づいて行うので、燃料噴射弁10から噴射され、燃焼に供される燃料FのE濃度を反映させながら、E濃度学習値E_LRNを精度良く算出でき、したがって、E濃度学習値E_LRNを用いたエンジン制御を、精度良く行うことができる。
また、検出E濃度EDとE濃度学習値E_LRNとの差分であるE濃度変化量ΔECHG(絶対値)が、第1しきい値ΔEREF1以上になったときに(図9のステップ24:YES)、原則として噴射E濃度が変化すると判定するので、この判定をより早く的確に行うことができる。
さらに、検出E濃度EDが上昇し、E濃度変化量ΔECHGが第1しきい値ΔEREF1以上になった場合において、その後、第1所定時間TMREF1内に、E濃度最大値ED_MAXからのE濃度低下量ΔEDECが第2しきい値ΔEREF2以上になったときには(ステップ35:YES)、高温誤差が発生していると判定して、E濃度学習を禁止する。これにより、高温誤差を含む検出E濃度EDに基づく誤学習を回避し、E濃度学習の精度を向上させることができる。
また、推定噴射E濃度EI_ESTを算出するに際し、検出E濃度EDに対して、バッファ処理(図4のステップ1〜7、図5)による遅延処理と、式(1)による一次遅れ処理を施す。これにより、E濃度センサ21の位置から燃料噴射弁10の位置までの燃料Fの輸送遅れと燃料Fの混じり合いによる遅れを反映させながら、推定噴射E濃度EI_ESTを精度良く算出できる。したがって、推定噴射E濃度EI_ESTを用いて、E濃度学習値E_LRNをさらに精度良く算出することができる。
さらに、E濃度学習においては、E濃度学習値E_LRNを、その初期値が直前のE濃度学習値E_LRNに一致し、その後、推定噴射E濃度EI_ESTに徐々に近づくように算出する(図13)。したがって、E濃度学習値E_LRNを用いたエンジン制御、例えば図14に示した燃料噴射量GFUELの算出を、学習の開始時には段差なく円滑に、その後は噴射E濃度を反映させながら良好に行うことができる。
また、E濃度学習の開始後、推定噴射E濃度EI_ESTの変化速度ΔEI_ESTが値0±ΔEREF3で規定される所定の範囲内に収束したときに(ステップ44、46:YES)、噴射E濃度がもはや変化していないとして、E濃度学習を適切に終了させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、前述したE濃度センサ21の温度誤差を補償するように検出E濃度EDを補正し、それにより得られた補正後検出E濃度を用いて、E濃度学習を行うものである。本実施形態では、比誘電率パラメータ算出手段、推定燃料温度算出手段、及び補正後エタノール濃度算出手段は、ECU2によって構成されている。
以下、図15及び図16を参照しながら、検出E濃度EDの補正方法について説明する。図15に示す補正処理は、ECU2により所定時間(例えば100ms)ごとに実行される。本処理では、まずステップ71において、E濃度センサ21による検出E濃度EDと燃料温度TFに応じ、図16に示す比誘電率マップMεrを検索することによって、燃料Fの比誘電率εrを算出する。
前述したように、E濃度センサ21では、検出された燃料Fの比誘電率εr及び燃料温度TFに応じ、図16に示すE濃度マップMEDを用いて検出E濃度EDが算出され、出力される一方、比誘電率εrは出力されない。上記の比誘電率マップMεrは、E濃度マップMEDに設定される比誘電率εr、温度TF及び検出E濃度EDの三者間の関係を維持しながら、温度TF及び検出E濃度EDを入力とし、比誘電率εrを出力として、E濃度マップMEDを書き換えた(逆設定した)ものである。したがって、燃料温度TF及び検出E濃度EDに応じ、比誘電率マップMεrを検索することによって、E濃度センサ21で検出されている比誘電率εrが算出(逆算)される。
次に、燃料温度TFに間引きフィルタ処理及び一次遅れ補償処理を施すことによって、推定燃料温度TF_ESTを算出する(ステップ72)。この間引きフィルタ処理は、E濃度センサ21で検出される燃料温度TFが細かく振動するという特性が認められることから、検出(サンプリング)された燃料温度TFをそのまま用いて一次遅れ補償処理を施したときの、燃料温度TFの振動の増幅を回避するためのものである。具体的には、間引きフィルタ処理は、一次遅れ補償処理に用いられる燃料温度TFのサンプリング周期を本来の周期(例えば100ms)からより長い所定の周期(例えば800ms)に変更することによって、行われる。これにより、燃料温度TFの振動の増幅が有効に回避される。なお、この間引きフィルタ処理は、図16の間引きフィルタ31に相当する。
また、一次遅れ補償処理は、E濃度センサ21のサーミスタ23の応答遅れを補償し、現時点における燃料温度の真値を推定するためのものであり、次式(4)によって行われる。
TF_EST =(TF(n)−TF(n−1))/mr + TF(n−1)
・・・(4)
ここで、TF(n)、TF(n−1)は、サーミスタ23で検出された燃料温度TFの今回値及び前回値であり、mrは所定の逆なまし係数(0<mr<1)である。以上の一次遅れ補償処理は、図16の一次遅れ補償器32に相当する。以上の間引きフィルタ処理及び一次遅れ補償処理によって、推定燃料温度TF_ESTが精度良く算出される。なお、推定燃料温度TF_ESTの精度を高めるために、上記の燃料温度の前回値TF(n−1)に代えて、より以前のk回前に検出された燃料温度TF(n−k)を適宜、用いることが可能である。
次に、算出された比誘電率εr及び推定燃料温度TF_ESTに応じ、図16に示す補正用E濃度マップMEDCを検索することによって、補正用E濃度マップ値EDMを算出する(ステップ73)。この補正用E濃度マップMEDCは、E濃度マップMEDと同じ設定で、燃料温度TFを推定燃料温度TF_ESTに置き換え、検出E濃度EDを補正用E濃度マップ値EDMに置き換えたものである。したがって、算出された補正用E濃度マップ値EDMは、比誘電率εr及び推定燃料温度TF_ESTに対応する、サーミスタ23の応答遅れが補償されたE濃度に相当する。
最後に、算出された補正用E濃度マップ値EDCMに対し、ノイズの除去などのためのローパスフィルタ処理を施すことによって、補正後E濃度EDCを算出し(ステップ74)、図15の処理を終了する。なお、このローパスフィルタ処理は、図16のローパスフィルタ33に相当する。
以上の補正処理により、E濃度センサ21の温度誤差を補償した補正後E濃度EDCが算出される。算出された補正後E濃度EDCは、図4の推定噴射E濃度EI_ESTの算出処理において、検出E濃度EDに代えて用いられる。これにより、推定噴射E濃度EI_ESTをより精度良く算出でき、これを用いたE濃度学習値E_LRNの算出精度をさらに高めることができる。
また、図17は、補正後E濃度EDCを用いて実行される、第2実施形態によるE濃度の学習条件の判定処理を示す。同図において、図9に示す第1実施形態の判定処理と同じ内容のステップについては、比較の容易化のために同一のステップ番号を付している。以下、この判定処理を簡単に説明する。
本処理では、第1実施形態と同様、まずステップ21において、学習フラグF_LRNを判別し、その結果、E濃度の学習中でないときには、今回の補正後検出E濃度EDCと現在のE濃度学習値E_LRNとの差(=EDC−E_LRN)を、E濃度変化量ΔECHGとして算出する(ステップ22A)。次に、E濃度変化量の絶対値|ΔECHG|が第1しきい値ΔEREF1以上であるか否かを判別する(ステップ24)。
このステップ24の答えがYESのときには、噴射E濃度が変化すると判定して、学習フラグF_LRNを「1」にセットし(ステップ27)、E濃度学習を許可する一方、NOのときには、噴射E濃度が変化しないと判定して、学習フラグF_LRNを「0」にセットし(ステップ25)、E濃度学習を禁止する。上記ステップ27が実行され、E濃度学習が開始された後には、第1実施形態と同様、ステップ43〜46においてE濃度学習の終了判定が行われる。
以上の判定処理により、温度誤差を補償した補正後検出E濃度EDCを用い、E濃度学習値E_LRNからの補正後検出E濃度EDCの変化量に応じて、E濃度学習の実行/禁止を適切に判定することができる。また、図9との比較から明らかなように、本処理では、補正後E濃度EDCを用いるため、第1実施形態の判定処理における、高温誤差の判定に関連する多数のステップが省略されており、それにより、演算負荷が大幅に低減される。
以上のように、本実施形態によれば、E濃度センサ21で検出された検出E濃度ED及び燃料温度TFに応じ、E濃度センサ21で用いられているE濃度MEDマップを逆設定した比誘電率Mεrマップを用いて、燃料Fの比誘電率εrを算出するとともに、燃料温度TFに一次遅れ補償処理を施すことによって、推定燃料温度TF_ESTを算出する。また、算出された比誘電率εr及び推定燃料温度TF_ESTに応じ、比誘電率Mεrマップと同じ設定の補正用E濃度マップMEDCを用いて、補正用E濃度マップ値EDMを算出することなどによって、補正後E濃度EDCを算出する。以上により、E濃度センサ21の温度誤差を補償した補正後E濃度EDCを、精度良く算出することができる。
したがって、検出E濃度EDに代えて、補正後E濃度EDCを推定噴射E濃度EI_ESTの算出やE濃度の学習条件の判定などに用いることによって、これらの算出及び判定などをより精度良く簡便に行うことができ、ひいては、E濃度学習及びエンジン制御の精度を向上させることができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、噴射E濃度の変化の有無の判定を、検出E濃度EDとE濃度学習値E_LRNとの差分(E濃度変化量ΔECHG)に基づいて行っているが、これに代えて他の適当な方法で行ってもよい。例えば、検出E濃度EDに基づいて算出された推定噴射E濃度EI_ESTを検出E濃度EDの代わりに用い、推定噴射E濃度EI_ESTとE濃度学習値E_LRNとの差分に基づいて、噴射E濃度の変化の有無を判定してもよい。
また、図9の判定処理では、E濃度センサ21の温度誤差のうち、発生の可能性が高い高温誤差のみを対象として、その発生の有無を判定しているが、これに加えて、発生の可能性がより低い低温誤差を対象としてもよい。この場合、低温誤差が発生すると、検出E濃度EDは、高温誤差の場合とは逆方向に一旦、低下するので、そのような低温誤差の特性に応じた判定処理が行われる。例えばE濃度学習値からの検出E濃度EDの低下量が第1しきい値以上になった後、所定時間以内に、E濃度最小値からの検出E濃度EDの上昇量が第2しきい値以上になったときに、低温誤差が発生していると判定することが可能である。
さらに、第2実施形態では、比誘電率パラメータとして、燃料Fの比誘電率εrを用いたが、これに代えて誘電率や静電容量を用いてもよい。また、実施形態で示した検出E濃度EDに対する一次遅れ処理の手法(式(1))や、第2実施形態で示した燃料温度TFに対する一次遅れ補償処理の手法(式(4))は、あくまで例示であり、他の適当な手法を採用することが可能である。
また、実施形態では、E濃度学習値E_LRNを用いたエンジン制御として、燃料噴射量GFUELを算出しているが、これに代えて又はこれとともに、他のエンジン制御、例えば燃料噴射時期又は燃料圧力の算出や点火時期制御などを行ってもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更すること可能である。
2 ECU(判定手段、エタノール濃度学習手段、制御手段、推定噴射エタノー ル濃度算出手段、比誘電率パラメータ算出手段、推定燃料温度算出手段、補 正後エタノール濃度算出手段)
3 エンジン(内燃機関)
10 燃料噴射弁(第1噴射装置)
21 E濃度センサ(エタノール濃度センサ)
22a エタノール濃度センサの電極(比誘電率パラメータ検出装置)
22b エタノール濃度センサの電極(比誘電率パラメータ検出装置)
23 サーミスタ(温度検出装置)
32 一次遅れ補償器
F 燃料
ED 検出E濃度(エタノール濃度センサの出力値)
EI_EST 推定噴射E濃度(噴射エタノール濃度)
E_LRN E濃度学習値(エタノール濃度学習値)
GFUEL 燃料噴射量
ΔECHG E濃度変化量(エタノール濃度センサの出力値と現在のエタノール濃度 学習値との差分)
ΔEI_EST 推定噴射エタノール濃度の変化速度
εr 燃料の比誘電率(比誘電率パラメータ)
TF 燃料温度(温度検出装置の出力値)
MED E濃度マップ(所定の関係)
Mεr 比誘電率マップ(所定の関係)
TF_EST 推定燃料温度
MEDC 補正用E濃度マップ
EDC 補正後E濃度(補正後エタノール濃度)
TMREF1 第1所定時間(所定時間)
ΔEDEC E濃度低下量
ΔEREF2 第2しきい値(所定量)

Claims (8)

  1. エタノールを含有する燃料を用いるとともに、燃料を燃料噴射弁から噴射する内燃機関の制御装置であって、
    燃料のエタノール濃度を検出し、出力するエタノール濃度センサと、
    当該エタノール濃度センサの出力値に基づき、前記燃料噴射弁から噴射される燃料のエタノール濃度である噴射エタノール濃度が変化するか否かを判定する判定手段と、
    当該判定手段により前記噴射エタノール濃度が変化すると判定されたときに、当該噴射エタノール濃度に基づいてエタノール濃度の学習を実行することによって、エタノール濃度学習値を算出し、前記噴射エタノール濃度が変化しないと判定されたときに、前記エタノール濃度の学習を禁止するエタノール濃度学習手段と、
    前記算出されたエタノール濃度学習値を用いて、前記内燃機関を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記判定手段は、前記エタノール濃度センサの出力値と現在の前記エタノール濃度学習値との差分に基づき、前記噴射エタノール濃度が変化するか否かを判定することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記エタノール濃度センサの出力値に対し、前記エタノール濃度センサの位置から前記燃料噴射弁の位置までの燃料の輸送遅れを反映させるための遅延処理と、燃料の混じり合いによる遅れを反映させるための一次遅れ処理とを施すことによって、前記噴射エタノール濃度の推定値である推定噴射エタノール濃度を算出する推定噴射エタノール濃度算出手段をさらに備え、
    前記エタノール濃度学習手段は、前記算出された推定噴射エタノール濃度に基づいて、エタノール濃度学習値を算出することを特徴とする、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記エタノール濃度学習手段は、エタノール濃度の学習を開始した後、前記推定噴射エタノール濃度の変化速度が所定の範囲内に収束したときに、エタノール濃度の学習を終了することを特徴とする、請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記エタノール濃度学習手段は、エタノール濃度の学習の開始時における前記エタノール濃度学習値の初期値が当該学習の開始直前における前記エタノール濃度学習値に一致し、その後、前記エタノール濃度学習値が前記推定噴射エタノール濃度に徐々に近づくように、前記エタノール濃度学習値を算出することを特徴とする、請求項3又は4に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記エタノール濃度センサは、燃料の比誘電率を表す比誘電率パラメータを検出する比誘電率パラメータ検出装置と、燃料の温度を検出し、出力する温度検出装置とを有し、前記検出された燃料の比誘電率パラメータ及び燃料の温度に応じ、燃料の比誘電率パラメータ、温度とエタノール濃度の間の所定の関係に基づいて、燃料のエタノール濃度を算出し、出力するように構成されており、
    前記エタノール濃度センサの出力値及び前記温度検出装置の出力値に応じ、前記所定の関係に基づいて、前記比誘電率パラメータ検出装置によって検出された比誘電率パラメータを算出する比誘電率パラメータ算出手段と、
    前記温度検出装置の出力値に一次遅れ補償処理を施すことによって、燃料の温度の推定値である推定燃料温度を算出する推定燃料温度算出手段と、
    前記算出された比誘電率パラメータ及び推定燃料温度に応じ、前記所定の関係に基づいて、補正後エタノール濃度を算出する補正後エタノール濃度算出手段と、をさらに備え、
    当該算出された補正後エタノール濃度を前記エタノール濃度センサの出力値に代えて用いることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記エタノール濃度センサは、燃料の比誘電率を表す比誘電率パラメータを検出する比誘電率パラメータ検出装置と、燃料の温度を検出する温度検出装置とを有し、前記検出された燃料の比誘電率パラメータ及び燃料の温度に応じ、燃料の比誘電率パラメータ、温度とエタノール濃度の間の所定の関係に基づいて、エタノール濃度を算出し、出力するように構成されており、
    前記エタノール濃度学習手段は、前記エタノール濃度センサの出力値が変化した後、所定時間以内に当該変化前の値に戻ったときに、エタノール濃度の学習を禁止することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記エタノール濃度学習手段は、前記エタノール濃度センサの出力値が上昇した後、前記所定時間内に所定量以上、低下したときに、エタノール濃度の学習を禁止することを特徴とする、請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
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