JP2015206357A - エンジンの燃料噴射量制御装置 - Google Patents

エンジンの燃料噴射量制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】α−N方式を採用して燃焼室に導入される吸気量をより精度良く推定し、その推定された吸気量に基づき燃料噴射量を好適に制御すること。【解決手段】電子制御装置(ECU)20は、スロットル開度(TA)とエンジン回転速度(NE)に基づき吸気量(Ga)を推定し、そのGaから算出された燃料噴射量(TAU)に基づきインジェクタ4を制御する。ECU20は、エンジン運転時に、現在のISC制御量に対する現在のISC流量をISC流量特性データを参照して求め、ISC流量が最小値となるときのTAとNEに応じた第1吸気量(GaA)を第1吸気量マップを参照して求め、ISC流量が最大値となるときのTAとNEに応じた第2吸気量(GaB)を第2吸気量マップを参照して求め、ISC流量の最大値及び最小値に対する現在のISC流量の関係からGaAとGaBとの間を補間することにより、現在のGaを推定する。【選択図】 図1

Description

この発明は、エンジンに供給される燃料噴射量を制御する燃料噴射量制御装置に関する。詳しくは、エンジンに吸入される吸気量を、吸気量検出手段を使うことなく、それぞれ検出されるスロットル開度とエンジン回転速度に基づき推定し、その推定された吸気量に基づき燃料噴射量を制御するように構成したエンジンの燃料噴射量制御装置に関する。
従来、この種の技術では、一般に、エンジンに吸入される吸気量とエンジン回転速度とをパラメータとして基本燃料噴射量を算出し、その基本燃料噴射量を各種補正項により補正することにより最終的な燃料噴射量を算出するようになっている。ここで、吸気量を求めるために、エアフローメータ等の吸気量検出手段を使うことなく、エンジンの吸気通路に設けられたスロットル弁の開度(スロットル開度)とエンジン回転速度をそれぞれ検出し、それらスロットル開度とエンジン回転速度とに基づき吸気量を推定する、いわゆるα−N方式が知られている。α−N方式を採用することで、エンジンシステムの簡略化が図れ、コスト低減などのメリットが得られる。この種のα−N方式を採用した燃料噴射量制御として、例えば、下記の特許文献1〜3に記載される技術が知られている。ここで、特許文献1には、α−N方式において、スロットル開度が吸気量を決定する因子として重要であり、推定される吸気量と実際の吸気量との間に差が生じるとエンジンの空燃比制御が悪化するとの記載がある。また、特許文献2に記載のエンジンには、スロットル弁を迂回するバイパス通路が設けられ、そのバイパス通路には、エンジンのアイドル回転速度を制御するために開閉されるISC弁が設けられる。
また、特許文献3に記載された内燃機関の運転制御装置では、スロットル開度とエンジン回転速度からスロットル弁を通過する空気量(スロットル流量)が推定され、ISC弁の電磁コイルを流れる電流値からバイパス通路を流れる空気量(ISC流量)が推定され、それらスロットル流量とISC流量を加算することによりエンジンの燃焼室に導入される吸気量が推定され、その吸気量に基づいて燃料噴射量が算出されるようになっている。
一方、エンジンの吸気通路では、デポジットが内壁に付着して流路面積を狭めてしまうことがあり、スロットル弁やISC弁にもデポジットが付着することがある。また、デポジットの付着量は経時的に増えることが知られている。このように吸気系にデポジットが付着してしまうと、空気流れの障害となるので、製品初期の吸気量をそのまま維持することが難しい。そこで、下記の特許文献4には、スロットル弁側とISC弁側のデポジットの付着状態に配慮してアイドル運転時におけるエンジン吸気制御を精度良く行うことのできるアイドル回転制御装置が提案されている。この装置で、電子制御装置(ECU)は、スロットル弁及びISC弁を配置した吸気系へのデポジット付着状態を学習して吸気制御を行うようになっている。詳しくは、ECUは、スロットル弁側のデポジット付着量を確認するための第1学習領域と、ISC弁側のデポジット付着量を確認するための第2学習領域とを区分して学習を行う。これにより、製品初期の吸気量と実吸気量との差である損失流量の特性(損失特性)を確認し、この損失特性をアイドル運転時の吸気制御に活用するようになっている。この装置では、製品初期の吸気量及びその後の実吸気量をエアフローメータにより検出するようになっている。
特開平5−10170号公報 特開2001−140680号公報 特開昭63−183247号公報 特開2007−321661号公報
ところで、特許文献3に記載の運転制御装置では、ISC弁の電磁コイルを流れる電流値が一定であっても、すなわちISC弁の開度が一定であっても、スロットル弁の開度が変化することでスロットル弁下流の圧力が変化してISC流量が変化することがある。また、スロットル弁の開度が一定であっても、ISC弁の開度が変化することでスロットル弁下流の圧力が変化してスロットル弁を流れる空気量が変化することがある。しかしながら、この運転制御装置では、単にスロットル開度とエンジン回転速度から推定されるスロットル流量と、ISC弁の電磁コイルを流れる電流値から推定されるISC流量を加算することにより燃焼室に導入される吸気量が算出されるだけなので、スロットル弁又はISC弁の開度変化に対するISC流量又はスロットル流量の変化が考慮されておらず、その結果、燃焼室に導入される吸気量を正確に推定できなくなり、エンジンに供給される燃料噴射量を正確に制御できなくなるおそれがあった。
一方、デポジットの付着状態を学習して吸気制御を行う技術をα−N方式を採用したエンジンにも適用することが考えられる。しかし、エアフローメータを使用して吸気量を検出するように構成した特許文献4の装置を、エアフローメータ等の吸気量検出手段を使用しないα−N方式にそのまま適用することはできない。そのため、α−N方式を採用したエンジンにも、スロットル弁及びISC弁を配置した吸気系へのデポジット付着状態を学習しながら吸気量を推定し、その吸気量を燃料噴射量制御に反映させることが望まれる。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、スロットル弁及びISC弁を含む吸気系を備え、α−N方式を採用したエンジンにおいて、燃焼室に導入される吸気量をより精度良く推定し、その推定された吸気量に基づき燃料噴射量を好適に制御することを可能としたエンジンの燃料噴射量制御装置を提供することにある。また、この発明の別の目的は、上記目的に加え、スロットル弁及びISC弁を含む吸気系へのデポジット付着状態を反映したより正確な吸気量を推定し、その推定された吸気量に基づいて燃料噴射量をより好適に制御することを可能としたエンジンの燃料噴射量制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、エンジンの燃焼室へ吸気を導入する吸気通路と、吸気通路における吸気流を調節するためのスロットル弁と、スロットル弁を迂回するように吸気通路に設けられたバイパス通路と、バイパス通路における吸気流を調節するためのISC弁と、エンジンへ燃料を噴射供給するための燃料噴射手段と、スロットル弁の開度を検出するための開度検出手段と、エンジンの回転速度を検出するための回転速度検出手段と、検出されるスロットル弁の開度と検出されるエンジンの回転速度とに基づき燃焼室に導入される吸気量を推定し、その推定された吸気量に基づき燃料噴射量を算出し、その算出された燃料噴射量に基づき燃料噴射手段を制御する制御手段とを備えたエンジンの燃料噴射量制御装置において、制御手段は、スロットル弁が全閉となるときの、ISC弁の開度に対するバイパス通路を流れるISC流量の関係が予め設定されたISC流量特性データと、予め設定されたISC流量の最大値及び最小値と、ISC流量が最小値となるときの、スロットル弁の開度とエンジンの回転速度に対応して燃焼室に導入される第1吸気量の関係が予め設定された第1吸気量マップと、ISC流量が最大値となるときの、スロットル弁の開度とエンジンの回転速度に対応して燃焼室に導入される第2吸気量の関係が予め設定された第2吸気量マップとを備え、制御手段は、エンジンの運転時に、現在のISC弁の開度に対する現在のISC流量をISC流量特性データを参照することにより求め、ISC流量が最小値となるときのスロットル弁の開度とエンジンの回転速度に応じた第1吸気量を第1吸気量マップを参照することにより求め、ISC流量が最大値となるときのスロットル弁の開度とエンジンの回転速度に応じた第2吸気量を第2吸気量マップを参照することにより求め、ISC流量の最大値及び最小値に対する現在のISC流量の関係から第1吸気量と第2吸気量との間を補間することにより現在の吸気量を推定することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、燃焼室に導入される吸気量、すなわちスロットル弁を通過する空気量とISC弁を通過する空気量との合計空気量が、そのとき検出されるエンジンの回転速度とスロットル弁の開度、並びに、現在のISC流量に基づいて推定される。ここで、ISC流量が最小値となるときの第1吸気量を定めた第1吸気量マップと、ISC流量が最大値となるときの第2吸気量を定めた第2吸気量マップとを参照することにより、第1吸気量と第2吸気量が求められる。そして、ISC流量の最大値及び最小値に対する現在のISC流量の関係から、第1吸気量と第2吸気量との間を補間することにより、現在のISC流量に対応した現在の吸気量が推定される。第1吸気量マップと第2吸気量マップは、スロットル弁を通過する空気量とISC弁を通過する空気量との合計空気量の関係が予め設定されるので、ISC流量に対応してより正確な第1吸気量と第2吸気量を求めることが可能である。従って、燃焼室に導入される吸気量が、スロットル弁を通過する空気量に対するISC弁の開度の影響、ISC弁を通過する空気量に対するスロットル弁の開度の影響をそれぞれ考慮して推定される。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、制御手段は、エンジンのアイドル運転時に、エンジンの回転速度を所定のアイドル回転速度に調節するためにISC弁をフィードバック制御すると共に、現在のISC弁に対するISC制御量をISC学習値として学習し、エンジンの運転時に、現在のISC学習値に応じたISC流量学習値をISC流量特性データを参照することにより求め、現在のISC流量を現在のISC流量学習値に基づき補正することにより補正後ISC流量を算出し、ISC流量の最大値及び最小値に対する補正後ISC流量の関係から第1吸気量と第2吸気量との間を補間することにより現在の吸気量を推定することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、現在のISC流量が、経年変化等を反映した現在のISC流量学習値に基づき補正されることにより補正後ISC流量が算出される。そして、ISC流量の最大値及び最小値に対する補正後ISC流量の関係から、第1吸気量と第2吸気量との間を補間することにより、現在の吸気量が推定される。従って、スロットル弁及びISC弁を含む吸気系におけるデポジット付着等による経年変化を反映した吸気量が推定される。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、制御手段は、求められたISC流量学習値が所定の基準値を含む所定の範囲内の値となる場合に、ISC流量学習値を所定の基準値に補正することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、求められたISC流量学習値が所定の基準値を含む所定の範囲内でばらついても、ISC流量学習値が所定の基準値に補正されるので、ISC流量学習値のふらつき、微小な変動等が除かれる。
請求項1に記載の発明によれば、スロットル弁及びISC弁を含む吸気系を備え、α−N方式を採用したエンジンにおいて、燃焼室に導入される吸気量をより精度良く推定することができ、その推定された吸気量に基づき燃料噴射量を好適に制御することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、スロットル弁及びISC弁を含む吸気系へのデポジット付着状態を反映したより正確な吸気量を推定することができ、その推定された吸気量に基づいて燃料噴射量をより好適に制御することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、エンジンが新品の状態では、吸気量を安定的に推定することができ、その吸気量に基づき燃料噴射量をより精度良く制御することができる。
第1実施形態に係り、エンジンシステムを示す概略構成図。 第1実施形態に係り、吸気量を推定算出するための吸気量算出プログラムを示すフローチャート。 第1実施形態に係り、ISC流量特性を示すグラフ。 第1実施形態に係り、第1吸気量マップを示す概念図。 第1実施形態に係り、第2吸気量マップを示す概念図。 第1実施形態に係り、燃料噴射量制御プログラムを示すフローチャート。 第2実施形態に係り、製品初期におけるISC流量特性のばらつきを示すグラフ。 第2実施形態に係り、ISC流量特性の経年変化を示すグラフ。 第2実施形態に係り、製品初期における吸気量特性のばらつきを示すグラフ。 第2実施形態に係り、吸気量特性の経年変化を示すグラフ。 第2実施形態に係り、吸気量算出プログラムを示すフローチャート。 第2実施形態に係り、ISC流量特性を示すグラフ。 第2実施形態に係り、学習領域に対する空燃比学習値の変化を示すグラフ。 第3実施形態に係り、吸気量算出プログラムを示すフローチャート。 第3実施形態に係り、ISC流量学習値に対するISC学習補正値を求めるために参照される補正マップ。
<第1実施形態>
以下、本発明におけるエンジンの燃料噴射量制御装置を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、この実施形態におけるエンジンシステムを概略構成図により示す。二輪車両に搭載されたエンジンシステムは、燃料を貯留する燃料タンク1を備える。燃料タンク1に内蔵された燃料ポンプ2は、そのタンク1に貯留された燃料を吐出する。レシプロタイプの単気筒エンジン3には、本発明の燃料噴射手段の一例に相当するインジェクタ4が設けられる。燃料ポンプ2から吐出された燃料は、燃料通路5を通じてインジェクタ4へ供給される。供給された燃料は、インジェクタ4が開弁することにより、吸気通路6へ噴射される。吸気通路6には、エアクリーナ7を通じて外部から空気が取り込まれる。吸気通路6に取り込まれた空気とインジェクタ4から噴射された燃料は、可燃混合気を形成して燃焼室8に吸入される。
吸気通路6には、所定のアクセル装置(図示略)により操作されるスロットル弁9が設けられる。スロットル弁9が開閉されることにより、吸気通路6から燃焼室8に吸入される空気量(吸気量)が調節される。吸気通路6には、スロットル弁9を迂回するバイパス通路10が設けられる。バイパス通路10には、アイドル・スピード・コントロール・バルブ(ISC弁)11が設けられる。ISC弁11は、スロットル弁9がほぼ全閉状態となるアイドル運転時に、エンジン3のアイドル回転速度を調節するために作動するようになっている。
燃焼室8に設けられた点火プラグ12は、イグニションコイル13から出力される点火信号を受けて点火動作する。両部品12,13は、燃焼室8に供給される可燃混合気に点火するための点火装置を構成する。燃焼室8に吸入された可燃混合気は、点火プラグ12の点火動作により爆発・燃焼する。燃焼後の排気ガスは、燃焼室8から排気通路14を通じて外部へ排出される。排気通路14には、排気ガスを浄化するための三元触媒15が設けられる。燃焼室8における可燃混合気の燃焼に伴い、ピストン16が運動してクランクシャフト17が回転することにより、車両を走行させる駆動力が得られる。
車両には、エンジン3を始動させるために操作されるイグニションスイッチ18が設けられる。車両には、エンジン3の各種制御を司る電子制御装置(ECU)20が設けられる。車両用電源としてのバッテリ19は、イグニションスイッチ18を介してECU20に接続される。イグニションスイッチ18がオンされることにより、バッテリ19からECU20に電力が供給される。
エンジン3に設けられる各種センサ22,23,24,25は、エンジン3の運転状態に関する各種運転パラメータを検出するためのものであり、それぞれECU20に接続される。即ち、エンジン3に設けられた水温センサ22は、エンジン3の内部を流れる冷却水の温度(冷却水温)THWを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エンジン3に設けられた回転速度センサ23は、クランクシャフト17の回転速度(エンジン回転速度)NEを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。回転速度センサ23は、本発明の回転検出手段の一例に相当する。排気通路14に設けられた酸素センサ24は、排気通路14へ排出された排気ガス中の酸素濃度(出力電圧)Oxを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。この酸素センサ24は、エンジン3の燃焼室8に供給される可燃混合気の空燃比A/Fを得るために使用される。スロットル弁9に対応して設けられたスロットルセンサ25は、スロットル弁9の開度(スロットル開度)TAを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。スロットルセンサ25は、本発明の開度検出手段の一例に相当する。
この実施形態で、ECU20は、前述した各種センサ22〜25から出力される各種信号を入力する。ECU20は、これらの入力信号に基づき、ISC制御、燃料噴射量制御及び点火時期制御等を実行するために、ISC弁11、燃料ポンプ2、インジェクタ4及びイグニションコイル13等をそれぞれ制御する。この実施の形態で、ECU20は、本発明の制御手段の一例に相当する。
周知のように、ECU20は中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAM、外部入力回路及び外部出力回路等を備える。ECU20は、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAMと、外部入力回路及び外部出力回路等とをバスにより接続してなる論理演算回路を構成する。ROMは、エンジン3の各種制御に関する所定の制御プログラムを予め記憶したものである。RAMは、CPUの演算結果を一時記憶するものである。バックアップRAMは、予め記憶したデータを保存するものである。CPUは、入力回路を介して入力される各種センサ22〜25の検出信号に基づき、所定の制御プログラムに従って前述した各種制御等を実行する。
ここで、点火時期制御とは、エンジン3の運転状態に応じて点火プラグ12による点火時期を制御するためにイグニションコイル13を制御することである。ISC制御とは、スロットル弁9の全閉時に、エンジン回転速度NEが所定のアイドル回転速度になるようにISC弁11をフィードバック制御することである。
燃料噴射量制御とは、エンジン3の運転状態に応じてインジェクタ4を制御することによりエンジン3に供給される燃料噴射量を制御することである。この実施形態では、燃焼室8に吸入される吸気量Gaを、エアフローメータ等の吸気量検出手段を使うことなく、スロットルセンサ25により検出されるスロットル開度TAと、回転速度センサ23により検出されるエンジン回転速度NEに基づいて推定する、すなわち「α−N方式」を採用している。そして、その推定された吸気量Gaに基づき燃料噴射量TAUを算出し、その算出された燃料噴射量TAUに基づきインジェクタ4を制御することにより、エンジン3へ供給される燃料噴射量を制御するように構成される。
ここで、ISC弁11の開度が一定であっても、スロットル弁9の開度が変化することでスロットル弁9の下流の圧力が変化してISC流量が変化することがある。また、スロットル弁9の開度が一定であっても、ISC弁11の開度が変化することでスロットル弁9の下流の圧力が変化してスロットル流量が変化することがある。その結果、燃焼室8に導入される吸気量を正確に求めることができなくなり、燃焼室8に供給される燃料噴射量を正確に制御できなくなる。
そこで、この実施形態では、スロットル弁及びISC弁を含む吸気系を備え、α−N方式を採用したエンジンシステムにおいて、燃焼室8に導入される吸気量をより精度良く推定し、その推定された吸気量に基づき燃料噴射量を好適に制御するようになっている。そのために、ECU20が次のような燃料噴射量制御を実行するようになっている。
図2に、燃焼室8に導入される全吸気量、すなわち吸気量Gaを推定算出するための吸気量算出プログラムをフローチャートにより示す。ECU20は、図2に示すルーチンを所定期間毎に周期的に実行する。ここで、「所定期間毎に周期的に実行する」とは、タイマの計測により所定時間毎に周期的に実行すること、又は、回転速度センサより得られるクランク角信号に基づき、所定のクランク角(例えば、エンジンの排気上死点(TDC))毎に周期的に実行すること、を意味する。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100で、ECU20は、回転速度センサ23の検出値に基づきエンジン回転速度NEを読み込む。また、ステップ110で、ECU20は、スロットルセンサ25の検出値に基づきスロットル開度TAを読み込む。
次に、ステップ120で、ECU20は、図3にグラフで示すISC流量特性を参照することにより、現在のISC制御量y1に対するISC流量Y1を求める。図3のグラフでは、ISC制御量(ISC弁11に供給される指令値)に対する、ISC流量(バイパス通路10を流れる空気量)との関係が予め確認されて定められている。このISC流量特性では、ISC制御量が小中程度となる低中開度領域ではISC流量の変化が緩く、ISC制御量が大程度となる高開度領域ではISC流量の変化が急になっている。
次に、ステップ130で、ECU20は、第1吸気量マップを参照することにより、読み込まれたエンジン回転速度NEとスロットル開度TAに基づき、ISC流量が最小値ISCminのときの第1吸気量GaAを算出する。図4に、第1吸気量マップの概念図を示す。このマップでは、ISC流量が最小値ISCminのときの第1吸気量GaAが、エンジン回転速度NEとスロットル開度TAとの関係から定められている。ここで、ISC流量が最小値ISCminとなるときのISC制御量は最小値αである(図3参照)。
次に、ステップ140で、ECU20は、第2吸気量マップを参照することにより、読み込まれたエンジン回転速度NEとスロットル開度TAに基づき、ISC流量が最大値ISCmaxのときの第2吸気量GaBを算出する。図5に、第2吸気量マップの概念図を示す。このマップでは、ISC流量が最大値ISCmaxとなるときの第2吸気量GaBが、エンジン回転速度NEとスロットル開度TAとの関係から定められている。ここで、ISC流量が最大値ISCmaxとなるときのISC制御量は最大値βである(図3参照)。
そして、ステップ150で、ECU20は、吸気量Gaを算出した後、処理をステップ100へ戻す。ECU20は、次の計算式(1)から吸気量Gaを求めることができる。 Ga←GaA+(GaB−GaA)*(Y1−ISCmin)/(ISCmax−ISCmin) …(1)
すなわち、上記した計算式(1)において、(GaB−GaA)は、ISC流量が最大値ISCmaxとなるときにスロットル開度TAとエンジン回転速度NEから推定される第2吸気量GaBと、ISC流量が最小値ISCminとなるときにスロットル開度TAとエンジン回転速度NEから推定される第1吸気量GaAとの差(最大最小吸気量差)を意味する。(Y1−ISCmin)は、現在のISC流量Y1とISC流量の最小値ISCminとの差(最小側ISC流量差)を意味する。また、(ISCmax−ISCmin)は、ISC流量の最大値ISCmaxと最小値ISCminとの差(最大最小ISC流量差)を意味する。従って、計算式(1)では、最大最小ISC流量差に対する最小側ISC流量差の比から、第1吸気量GaAと第2吸気量GaBとの間を補間することにより、現在の吸気量Gaを推定するようにしている。
次に、図6に、上記のように推定された吸気量Gaをパラメータの一つとして実行される燃料噴射量制御プログラムをフローチャートにより示す。ECU20は、図6に示すルーチンを所定期間毎に周期的に実行する。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ300で、ECU20は、上記推定された吸気量Gaを読み込む。
次に、ステップ310で、ECU20は、目標空燃比Tafを読み込む。例えば、ECU20は、この目標空燃比Tafを、エンジン3の運転状態に応じて別途算出することができる。
次に、ステップ320で、ECU20は、燃料比重γを読み込む。この燃料比重γは、予め設定され、ECU20のメモリに記憶された値である。
次に、ステップ330で、ECU20は、インジェクタ流量特性Cinjを読み込む。このインジェクタ流量特性Cinjも、予め設定され、ECU20のメモリに記憶された値である。
次に、ステップ340で、ECU20は、読み込まれた各種パラメータGa、Taf、γ、Cinjに基づき、次の計算式(2)に従って基本燃料噴射量bTAUを算出する。
bTAU ← Ga/Taf*γ*Cinj …(2)
次に、ステップ350で、ECU20は、燃料噴射量補正係数Cfを算出する。例えば、ECU20は、この燃料噴射量補正係数Cfを、冷却水温THW、酸素濃度Oxに応じて別途算出することができる。
次に、ステップ360で、ECU20は、上記算出された各種パラメータbTAU、Cfに基づき、次の計算式(3)に従って燃料噴射量TAUを算出する。
TAU ← bTAU*Cf …(3)
そして、ステップ370で、ECU20は、算出された燃料噴射量TAUに基づきインジェクタ4を制御することにより、インジェクタ4から燃料を噴射する。その後、ECU20は、処理をステップ300へ戻す。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンの燃料噴射量制御装置によれば、燃焼室8に導入される吸気量Ga、すなわちスロットル弁9を通過する空気量(スロットル流量)とISC弁11を通過する空気量(ISC流量)との合計空気量が、そのとき検出されるエンジン回転速度NEとスロットル開度TA、並びに、現在(そのとき)のISC流量Y1に基づいて推定される。ここで、ISC流量が最小値ISCminとなるときの第1吸気量GaAを定めた第1吸気量マップと、ISC流量が最大値ISCmaxとなるときの第2吸気量GaBを定めた第2吸気量マップとを参照することにより、第1吸気量GaAと第2吸気量GaBが求められる。そして、ISC流量の最大値ISCmax及び最小値ISCminに対する現在のISC流量の関係から、第1吸気量GaAと第2吸気量GaBとの間を補間することにより、現在のISC流量に対応した現在の吸気量Gaが推定される。第1吸気量マップと第2吸気量マップは、エンジン回転速度NE及びスロットル開度TAに対するスロットル流量とISC流量との合計空気量の関係が予め設定されるので、ISC流量に対応してより正確な第1吸気量GaAと第2吸気量GaBを求めることが可能である。従って、燃焼室8に導入される吸気量Gaが、スロットル流量に対するISC弁11の開度の影響、ISC流量に対するスロットル弁9の開度の影響をそれぞれ考慮して推定されることになる。このため、スロットル弁9及びISC弁11を含む吸気系を備え、α−N方式を採用したエンジンにおいて、燃焼室8に導入される吸気量Gaをより精度良く推定することができる。その結果、推定された吸気量Gaに基づき最終的な燃料噴射量TAUを好適に制御することができる。
この実施形態では、現在のISC流量Y1に対応した吸気量Gaを推定するために、ISC流量が最小値ISCminとなるときの第1吸気量GaAを定めた第1吸気量マップと、ISC流量が最大値ISCmaxとなるときの第2吸気量GaBを定めた第2吸気量マップとが参照される。そして、現在のISC流量Y1が最小値ISCminと最大値ISCmaxとの間の値となるときは、それら第1吸気量GaA及び第2吸気量GaBを、ISC流量の最大値ISCmax及び最小値ISCminに対する現在のISC流量Y1の関係から補間することで、吸気量Gaが推定される。ここで、スロットル開度TAとエンジン回転速度NEとの関係から吸気量Gaを定めた吸気量マップは、本来ならばISC流量の各値毎にそれぞれ設定して多数の吸気量マップを持つことが望ましい。しかしながら、そのように多数の吸気量マップをECU20のメモリに格納しておくことは、製造コストの高騰につながる。その点、この実施形態では、第1吸気量マップと第2吸気量マップを持つだけとなり、製造コストの高騰を抑えることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの燃料噴射量制御装置を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において、前記第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。この実施形態では、吸気量Gaを推定算出するための吸気量算出プログラムの内容の点で第1実施形態と構成の一部が異なる。
一般に、吸気通路6やバイパス通路10では、デポジットが内壁に付着して流路面積を狭めることがあり、スロットル弁9やISC弁11にもデポジットが付着することがある。また、デポジットの付着量は経時的に増えることになる。このように吸気系にデポジットが付着すると、吸気流の障害となるので、製品初期における吸気量Gaをそのまま維持することは困難である。
図7に、エンジンシステム製造直後(製品初期)におけるISC流量特性のばらつき(個体差)をグラフにより示す。図7において、太線はISC流量特性のばらつきの中央値を示し、上側の破線はばらつきの上限値を示し、下側の破線はばらつきの下限値を示す。このように、製品初期には、個々の製品でISC流量特性にばらつきが存在することがわかる。一方、図8に、ISC流量特性の経年変化をグラフにより示す。図8において、太線はISC流量特性の初期値を示し、破線はデポジット付着による経年変化(走行距離が短い段階)後の状態を示し、1点鎖線はデポジット付着による経年変化(走行距離が長い段階)後の状態を示す。このように、同一製品でも、バイパス通路10やISC弁11にデポジットが付着することにより、ISC流量特性が経年的に変化することがわかる。
図9に、製品初期における、スロットル開度TAに対する燃焼室8へ吸入される吸気量Gaの特性(吸気量特性)のばらつき(個体差)をグラフにより示す。図9において、太線は吸気量特性のばらつきの中央値を示し、上側の破線はばらつきの上限値を示し、下側の破線はばらつきの下限値を示す。図9に示す吸気量特性は、スロットル弁9を通過するスロットル流量FsとISC弁11を通過するISC流量Fiとの総和の特性を意味する。ここで、スロットル開度TAが「0」となるアイドル運転時の吸気量Gaは、わずかに開いたスロットル弁9を通過するスロットル流量Fsと、所定の開度に開いたISC弁11を通過するISC流量Fiとを含む。このように、製品初期には、個々の製品で吸気量特性にばらつきがあることがわかる。一方、図10に、吸気量特性の経年変化をグラフにより示す。図10において、太線は吸気量特性の初期値を示し、破線はデポジット付着による経年変化(走行距離が短い段階)後の状態を示し、1点鎖線はデポジット付着による経年変化(走行距離が長い段階)後の状態を示す。このように、同一製品でも、スロットル弁9やISC弁11にデポジットが付着することにより、吸気量特性が経年的に変化することがわかる。
そこで、この実施形態では、上記した吸気量特性のバラツキ(個体差)、デポジット付着による吸気量特性の経年変化に対処して燃焼室8に吸入される吸気量Gaを好適に推定し、エンジン3に供給される燃料噴射量TAUを好適に制御するために、ECU20が次のような吸気量算出処理を実行するようになっている。
図11に、吸気量Gaを推定算出するための吸気量算出プログラムをフローチャートにより示す。図11のフローチャートにおいて、ステップ100〜140の処理内容は、図2のフローチャートのそれと同じである。図11のフローチャートでは、新たにステップ111、121〜123、160の処理が加わることになる。図12に、ISC流量特性をグラフにより示す。ECU20は、図11に示すルーチンを所定期間毎に周期的に実行する。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100、110の処理を実行した後、ステップ111で、ECU20は、ISC流量学習基準値A1を読み込む(図12参照)。このISC流量学習基準値A1は、別途実行されるISC制御で使用される値であり、ISC学習値の基準値に対するISC流量の基準値を意味する。
次に、ステップ120で、ECU20は、図12に示すISC流量特性を参照することにより、現在のISC制御量y1に対するISC流量Y1を求める。
次に、ステップ121で、ECU20は、図12に示すISC流量特性を参照することにより、今回既に得られているISC学習値x1(ISC制御量)に対するISC流量学習値X1(ISC流量)を求める。ここで、ISC学習値x1とは、スロットル弁9の全閉時に、エンジン回転速度NEが所定のアイドル回転速度になるようにISC弁11をフィードバック制御したときに得られたISC制御量を意味する。ECU20は、エンジン3のアイドル運転時にISC制御を行うようになっている。
次に、ステップ122で、ECU20は、ISC流量学習補正値B1を算出する。ECU20は、次の計算式(4)からISC流量学習補正値B1を求めることができる。
B1←X1+A1−X1 …(4)
次に、ステップ123で、ECU20は、補正後ISC流量C1を算出する。この補正後ISC流量C1は、バイパス通路10とISC弁11の個体差やデポジット付着による経年変化を反映して補正されるISC流量を意味する。ECU20は、次の計算式(5)から補正後ISC流量C1を求めることができる。
C1←Y1−X1+B1 …(5)
すなわち、この計算式(5)では、現在のISC流量Y1に、ISC流量学習補正値B1(=ISC流量学習基準値)とISC流量学習値X1との差(ISC流量学習値変化分)を加算することにより、補正後ISC流量C1を求める。このように、現在のISC流量Y1を、経年変化等を反映したISC流量学習値X1及びISC流量学習補正値B1に基づいて補正することにより、補正後ISC流量C1を求めるようにしている。
その後、ステップ130、140の処理を実行した後、ステップ160で、ECU20は、吸気量Gaを算出した後、処理をステップ100へ戻す。ECU20は、次の計算式(6)から吸気量Gaを求めることができる。
Ga←GaA+(GaB−GaA)*(C1−ISCmin)/(ISCmax−ISCmin) …(6)
すなわち、上記した計算式(6)において、(C1−ISCmin)は、補正後ISC流量C1とISC流量の最小値SICminとの差(補正後最小側ISC流量差)を意味する。従って、計算式(6)では、最大最小ISC流量差に対する補正後最小側ISC流量差の比から、第1吸気量GaAと第2吸気量GaBとの間を補間することにより、現在の吸気量Gaを推定するようにしている。そして、上記のように推定された吸気量Gaは、第1実施形態と同様、図6に示す燃料噴射量制御プログラムの実行に反映される。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンの燃料噴射量制御装置によれば、第1実施形態とは異なり、現在のISC流量Y1が、経年変化等を反映した現在のISC流量学習値X1とISC流量学習補正値B1とに基づいて補正されることにより、補正後ISC流量C1が算出される。そして、ISC流量の最大値ISCmax及び最小値ISCminに対する補正後ISC流量C1の関係から、第1吸気量GaAと第2吸気量GaBとの間を補間することにより、現在の吸気量Gaが推定される。従って、スロットル弁9及びISC弁11を含む吸気系におけるデポジット付着等による経年変化等を反映した吸気量Gaが推定される。このため、この実施形態では、第1実施形態の作用効果に加え、スロットル弁9及びISC弁11を含む吸気系へのデポジット付着状態を反映したより正確な吸気量Gaを推定することができ、その推定された吸気量Gaに基づいて燃料噴射量TAUをより好適に制御することができる。
この実施形態の燃料噴射量制御に関する効果を図13に示す。図13には、エンジン運転時における、学習領域(エンジン回転速度NE)に対する空燃比学習値の変化をグラフにより示す。ここで、空燃比学習値とは、実際の空燃比を目標の空燃比に近付けるための、基本燃料噴射量bTAUに対する増減量値を意味する。従って、空燃比学習値が「0」に近いほど吸気量Gaが標準値に適合していることを意味する。図13において、実線は本実施形態を示し、破線は従来例を示す。図13に示すように、本実施形態では、全学習領域において、空燃比学習値が「約±0.05」程度の範囲に収まり、吸気量Gaが標準的な値に適合していることがわかる。これに対し、従来例では、学習領域がアイドルから高速へ推移するに連れて、空燃比学習値が「約−0.5」から「約−0.03」へ向けてリッチ側で増大し、吸気量Gaが標準的な値から遊離し、適合していないことがわかる。このような従来例との比較から、本実施形態の燃料噴射量制御の優位性を確認することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの燃料噴射量制御装置を具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、吸気量Gaを推定算出するための吸気量算出プログラムの内容の点で第2実施形態と構成の一部が異なる。図14に、この実施形態の吸気量算出プログラムをフローチャートにより示す。図14のフローチャートにおいて、ステップ125,126以外の処理内容は、図11のフローチャートのそれと同じである。
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU20は、ステップ100,110,111,120,121の処理を実行した後、ステップ125で、ISC流量学習値X1よりISC学習補正値X2を算出する。ここで、ECU20は、図15に示す補正マップを参照することにより、ISC流量学習値X1に対するISC学習補正値X2を求める。図15の補正マップでは、ISC流量学習値X1が増えるほどISC学習補正値X2が増えるように設定されると共に、その一部分では、ISC流量学習値X1が増えてもISC学習補正値X2が一定値となる不感帯NZが設定される。この不感帯NZでは、ISC流量学習値X1が、所定の基準値であるISC流量学習基準値A1を含む所定の範囲内で、ISC学習補正値X2がISC流量学習基準値A1で一定となる。この不感帯NZは、スロットル弁9とISC弁11それぞれにおける流量ばらつきを基準に、ISC学習補正値X2が吸気量Gaの変化に置き換えられて適合値として設定される。
次に、ステップ126で、ECU20は、補正後ISC流量C1を算出する。ECU20は、次の計算式(7)から補正後ISC流量C1を求めることができる。
C1←Y1−X2+A1 …(7)
すなわち、この計算式(7)では、現在のISC流量Y1に、ISC流量学習基準値A1とISC学習補正値X2との差(ISC流量学習値変化分)を加算することにより、補正後ISC流量C1を求めることができる。ここで、ISC流量学習値X1が、図15の不感帯NZの範囲内の値となる場合は、ISC学習補正値X2がISC流量学習基準値A1に設定されるので、すなわち、ISC流量学習値X1がISC流量学習基準値A1に補正されるので、補正後ISC流量C1は現在のISC流量Y1となる。
その後、ECU20は、ステップ130,140,160の処理を実行した後、処理をステップ100へ戻す。
上記制御では、第2実施形態の制御内容に加え、ECU20は、求められたISC流量学習値X1が所定のISC流量学習基準値A1を含む所定の不感帯NZの範囲内の値となる場合に、ISC流量学習値X1をISC流量学習基準値A1に補正するようになっている。ここでは、バイパス通路10やISC弁11にデポジットが付着してISC流量学習値X1が増える前の状態(エンジンシステムが新品の状態)を想定し、吸気量Gaを推定するようになっている。すなわち、ISC流量学習値X1が、ISC流量学習基準値A1を含む不感帯NZの範囲内でばらついても、ISC学習補正値X2が一定値であるISC流量学習基準値A1に設定され、ISC流量学習値X1がISC流量学習基準値A1に補正される。これにより、バイパス通路10やISC弁11に対し実際にデポジットが付着したときだけ、ISC流量学習値X1に対するISC学習補正値X2が変化し、そのISC学習補正値X2によりISC流量学習値X1が補正されるようになっている。
以上説明したこの実施形態におけるエンジンの燃料噴射量制御装置によれば、求められたISC流量学習値X1が所定のISC流量学習基準値A1を含む所定の不感帯NZの範囲内でばらついても、ISC流量学習値X1が一定値であるISC流量学習基準値A1に補正されるので、ISC流量学習値X1のふらつき、微小な変動等が除かれる。このため、この実施形態では、第2実施形態の作用効果に加え、エンジンシステムが新品の状態では、吸気量Gaを安定的に推定することができ、その吸気量Gaに基づき燃料噴射量TAUをより精度良く制御することができる。
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
(1)前記各実施形態では、本発明の燃料噴射量制御を、二輪車両に搭載されるエンジン3に具体化したが、これに限られるものではなく、四輪車両に搭載されるエンジンに具体化することもできる。
(2)前記各実施形態では、図3、図12に示すISC流量特性を有するISC弁11を使用したが、図3、図12に示すようなISC流量特性に限定されない。
この発明は、スロットル弁及びISC弁を含む吸気系を備え、α−N方式を採用したエンジンシステムに利用することができる。
3 エンジン
4 インジェクタ(燃料噴射手段)
6 吸気通路
8 燃焼室
9 スロットル弁
10 バイパス通路
11 ISC弁
20 ECU(制御手段)
23 回転速度センサ(回転速度検出手段)
25 スロットルセンサ(開度検出手段)
NE エンジン回転速度
TA スロットル開度
Ga 吸気量
GaA 第1吸気量
GaB 第2吸気量
ISCmin ISC流量の最小値
ISCmax ISC流量の最大値
Y1 現在のISC流量
X1 ISC流量学習値
C1 補正後ISC流量
TAU 燃料噴射量
A1 ISC流量学習基準値(所定の基準値)
NZ 不感帯(所定の範囲)

Claims (3)

  1. エンジンの燃焼室へ吸気を導入する吸気通路と、
    前記吸気通路における吸気流を調節するためのスロットル弁と、
    前記スロットル弁を迂回するように前記吸気通路に設けられたバイパス通路と、
    前記バイパス通路における吸気流を調節するためのISC弁と、
    前記エンジンへ燃料を噴射供給するための燃料噴射手段と、
    前記スロットル弁の開度を検出するための開度検出手段と、
    前記エンジンの回転速度を検出するための回転速度検出手段と、
    検出される前記スロットル弁の開度と検出される前記エンジンの回転速度とに基づき前記燃焼室に導入される吸気量を推定し、その推定された吸気量に基づき燃料噴射量を算出し、その算出された燃料噴射量に基づき前記燃料噴射手段を制御する制御手段と
    を備えたエンジンの燃料噴射量制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記スロットル弁が全閉となるときの、前記ISC弁の開度に対する前記バイパス通路を流れるISC流量の関係が予め設定されたISC流量特性データと、
    予め設定された前記ISC流量の最大値及び最小値と、
    前記ISC流量が前記最小値となるときの、前記スロットル弁の開度と前記エンジンの回転速度に対応して前記燃焼室に導入される第1吸気量の関係が予め設定された第1吸気量マップと、
    前記ISC流量が前記最大値となるときの、前記スロットル弁の開度と前記エンジンの回転速度に対応して前記燃焼室に導入される第2吸気量の関係が予め設定された第2吸気量マップと
    を備え、
    前記制御手段は、前記エンジンの運転時に、
    現在のISC弁の開度に対する現在のISC流量を前記ISC流量特性データを参照することにより求め、
    前記ISC流量が前記最小値となるときの前記スロットル弁の開度と前記エンジンの回転速度に応じた前記第1吸気量を前記第1吸気量マップを参照することにより求め、
    前記ISC流量が前記最大値となるときの前記スロットル弁の開度と前記エンジンの回転速度に応じた前記第2吸気量を前記第2吸気量マップを参照することにより求め、
    前記ISC流量の前記最大値及び前記最小値に対する前記現在のISC流量の関係から前記第1吸気量と前記第2吸気量との間を補間することにより現在の吸気量を推定する
    ことを特徴とするエンジンの燃料噴射量制御装置。
  2. 前記制御手段は、
    前記エンジンのアイドル運転時に、前記エンジンの回転速度を所定のアイドル回転速度に調節するために前記ISC弁をフィードバック制御すると共に、現在の前記ISC弁に対するISC制御量をISC学習値として学習し、
    前記エンジンの運転時に、現在のISC学習値に応じたISC流量学習値を前記ISC流量特性データを参照することにより求め、
    前記現在のISC流量を前記現在のISC流量学習値に基づき補正することにより補正後ISC流量を算出し、
    前記ISC流量の前記最大値及び前記最小値に対する前記補正後ISC流量の関係から前記第1吸気量と前記第2吸気量との間を補間することにより現在の吸気量を推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射量制御装置。
  3. 前記制御手段は、求められた前記ISC流量学習値が所定の基準値を含む所定の範囲内の値となる場合に、前記ISC流量学習値を前記所定の基準値に補正することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの燃料噴射量制御装置。
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