JP2019014114A - 透光板 - Google Patents
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上記の樹脂を用いることにより、透光板の耐候性を高くすることができる。
例えば、上記架橋ポリマーは、複数のイソシアネート基を有する架橋剤によって架橋されていることが好ましい。イソシアネート基を有する架橋剤は反応性が高いため、硬い架橋ポリマーを形成することができる。イソシアネート基は、例えばOH基と反応してウレタン構造を形成するので、ポリマーの主鎖にOH基があると、ここから架橋を形成することができる。複数のイソシアネート基を有している架橋剤では、イソシアネート基が反応して得られるウレタン構造が、架橋構造を形成する部分となる。
境界層の厚さがプライマー層の厚さの5%以上であると、ハードコート層とプライマー層との密着性を高めることができる。一方、境界層の厚さがプライマー層の厚さの50%以下であると、境界層はハードコート層から供給されたSiによって形成されているので、ハードコート層の成分比に偏りが生じにくく、剥がれにくくすることができる。
境界層中のSi濃度を上記範囲とすることにより、ハードコート層とプライマー層との密着性を高めることができる。
図1は、本発明の透光板の一例を模式的に示す断面図である。なお、図1に示す各層の厚さは、図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の厚さの関係を表してはいない。
本発明の透光板は、樹脂製の基材と、上記基材の上に設けられたプライマー層と、上記プライマー層の上に設けられたハードコート層と、プライマー層とハードコート層に挟まれた境界層とからなる。
例えば、本発明の透光板を自動車用等のガラスとして使用する場合、基材は、曲面状に湾曲していることが好ましい。
基材の厚さが上記範囲であると、例えば自動車用等のガラスとして使用する場合の機械的強度を確保することができ、さらに、透光板の全体に歪み等が発生しにくくなる。
基材とハードコート層との間にプライマー層が設けられていると、基材及びハードコート層の双方に対する接着力を強くすることができ、透光板の耐久性を強くすることができる。
架橋ポリマーからなるプライマー層は、充分な硬さを有するため、透光板の耐久性を高くすることができる。
上記の樹脂を用いることにより、透光板の耐候性を高くすることができる。
例えば、架橋ポリマーは、複数のイソシアネート基を有する架橋剤によって架橋されていることが好ましい。イソシアネート基を有する架橋剤は反応性が高いため、硬い架橋ポリマーを形成することができる。イソシアネート基は、例えばOH基と反応してウレタン構造を形成する。複数のイソシアネート基を有している架橋剤では、イソシアネート基が反応して得られるウレタン構造が、架橋構造を形成する部分となる。
本明細書において、シリコーン樹脂とは、主鎖が主にシロキサン結合で構成された樹脂であればよく、側鎖、官能基などは特に限定されない。さらに、ハードコート層には、シリコーン樹脂の他に添加物が加えられていてもよい。添加物としては、例えば、シリカハイブリッドコンポジット、シリカゾル等が挙げられる。これらの添加物は、1種又は2種以上使用することができる。
ハードコート層は樹脂の材料としてSiを含有しているが、プライマー層ではSiは必須成分ではなくほとんど含有していない。Siをほとんど含有していないプライマー層にSiを含有する境界層を形成することによって、プライマー層からハードコート層に向かってSi濃度が順に高くなるようになるため、界面におけるSi濃度差を小さくでき、密着力を強くすることができる。また、プライマー層より高いSi濃度を有する境界層をプライマー層とハードコート層との間に形成することにより、シリコーン樹脂からなるハードコート層とプライマー層との密着性を高めることができ、透光板の耐久性をより高くすることができる。
境界層の厚さがプライマー層の厚さの5%以上であると、ハードコート層とプライマー層との密着性を高めることができる。また、境界層の厚さがプライマー層の厚さの10%以上であると、ハードコート層とプライマー層との密着性をさらに高めることができる。
一方、境界層の厚さがプライマー層の厚さの50%以下であると、境界層はハードコート層から供給されたSiによって形成されているので、ハードコート層の成分比に偏りが生じにくく、剥がれにくくすることができる。また、境界層の厚さがプライマー層の厚さの40%以下であると、ハードコート層の成分比に偏りが生じにくく、さらに剥がれにくくすることができる。
境界層の厚さを上記範囲とすることにより、ハードコート層とプライマー層との密着性を高めることができる。
境界層中のSi濃度を上記範囲とすることにより、ハードコート層とプライマー層との密着性を高めることができる。
高沸点溶媒としては、水、アルキレングリコールアルキルエーテル、アルコール類などが挙げられる。アルキレングリコールアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、1−メトキシ−2−プロパノールともいう、沸点121℃)等が挙げられる。アルコール類としては、n−ブタノール(沸点117℃)、ジアセトンアルコール(沸点166℃)などが挙げられる。
ランプカバーとしては、ヘッドランプカバー、スモールランプカバー、ウィンカーカバー、フォグランプカバー、テールランプカバー、ブレーキランプカバー、バックランプカバー、車内灯カバー等が挙げられる。
ランプレンズとしては、ヘッドランプレンズ、スモールランプレンズ、ウィンカーレンズ、フォグランプレンズ、テールランプレンズ、ブレーキランプレンズ、バックランプレンズ、車内灯レンズ等が挙げられ、ランプカバーと一体化したものであってもよい。
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
以下のように、樹脂製の基材の表面にプライマー層を形成した後、ハードコート層を形成することにより、実施例1のサンプルを作製した。
基材としては、100mm×100mm×5mmのポリカーボネート(旭硝子株式会社製カーボグラス(登録商標))を準備した。
アクリル系プライマー(モメンティブ社製 470 FT 2050:固形分9wt%、PGM76wt%、ジアセトンプロパノール15wt%)100重量部、及び、架橋剤(旭化成社製ブロックイソシアネート デュラネートMF−B60B:固形分量60wt%)0.95重量部を含有する樹脂溶液を満たした槽に基材をディップしたのち引き上げ、135℃で40分間乾燥させた。
プライマー層が形成された基材を、シリコーン樹脂(モメンティブ社製 AS4700F)を含有する樹脂溶液に酢酸を添加して、樹脂溶液のpHを4.7に調整した後にディップしたのち引き上げ、140℃で60分間乾燥させた。シリコーン樹脂を含有する樹脂溶液には、高沸点溶媒としてPGM1.9wt%、水13.1wt%、n−ブタノール14.2wt%が含まれている。
シリコーン樹脂を含有する樹脂溶液に酢酸を添加しなかったことを除いて、実施例1と同様に、プライマー層及びハードコート層を形成した。樹脂溶液のpHは5.4であった。以上により、比較例1のサンプルを得た。
透過型電子顕微鏡(日本電子社製 JEM2010)を用いて、各サンプルの断面を観察した。加速電圧は200kVであった。
エネルギー分散型X線分析法を用いて、実施例1及び比較例1のサンプルの元素分析を行うことにより、ハードコート層中のSi濃度、境界層中のSi濃度、及び、プライマー層中のSi濃度を求めた。
・エネルギー分散型X線分析装置:EMAX ENERGY((株)堀場製作所製)
・加速電圧:10kV
・印加電流:10μA
・測定倍率:×5k
以上の結果から、実施例1のサンプルにおいて、境界層中のSi濃度は、プライマー層中のSi濃度より高いことが確認された。また、実施例1のサンプルにおいて、境界層中のSi濃度は、ハードコート層中のSi濃度より低いことも確認された。
以下に示す煮沸試験を行い、ハードコート層とプライマー層との密着性を評価することにより、各サンプルの耐久性を評価した。
11 基材
12 プライマー層
13 ハードコート層
14 境界層
Claims (5)
- 樹脂製の基材と、前記基材の上に設けられたプライマー層と、前記プライマー層の上に設けられたハードコート層と、からなる透光板であって、
前記プライマー層は、架橋ポリマーからなり、
前記ハードコート層は、シリコーン樹脂からなり、
前記プライマー層と前記ハードコート層との間には、前記プライマー層より高いSi濃度を有する境界層が形成されていることを特徴とする透光板。 - 前記架橋ポリマーは、アクリル樹脂又はウレタン樹脂からなる請求項1に記載の透光板。
- 前記架橋ポリマーは、分子内のウレタン構造によって架橋されている請求項1又は2に記載の透光板。
- 前記境界層の厚さは、前記プライマー層の厚さの5〜50%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の透光板。
- 前記境界層中のSi濃度は、9at%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の透光板。
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